人気キャラクターのスヌーピーを、心あたたまるサイエンスを通して表現するサイエンスアート展「SNOOPY™ FANTARATION」が開催。2018年3月1日より開催される東京展を皮切りに、全国へ巡回する。© 2017 Peanuts Worldwide LLC第一線で活躍する日本のフィギュア作家達が制作した作品の他に、愛知工業大学からはスヌーピーがダンスする「スヌーピーダンスロボ」、4足から2足歩行へと進化する「スヌーピーロボ」など3作品が出展。そして、『ピーナッツ』の4コマ漫画を約5,000枚使った4Dモザイクアートなど、本展のために約3年の歳月をかけて準備された作品が会場を飾る。さらに、本展の総合プロデューサーである大谷芳照が、原作者のチャールズ M. シュルツと出会うきっかけともなった、大阪の商業施設「スヌーピータウン」プロジェクトのために制作、その後アメリカに寄贈されたオブジェが約4半世紀ぶりに凱旋帰国し、展示される。また、グッズコーナーでは、約100アイテムを越える本展オリジナルグッズも多数発売予定。第1弾は2018年3月1日から19日まで、松屋銀座にて開催。その後、ジェイアール名古屋タカシマヤ、阪急うめだ本店、広島三越ほか、全国への巡回が決定している。以降の会場は順次発表。前売り券は各プレイガイドにて、2月28日まで販売予定。サイエンスアートが繰り広げる新しいスヌーピーの世界を楽しんで。【イベント情報】スヌーピー × おもしろサイエンスアート展「SNOOPY™ FANTARATION」東京展会期:2018年3月1日〜3月19日時間:10:00〜20:00(入場は閉場の30分前まで、最終日は17時閉場)会場:松屋銀座 8階イベントスクエア入場料:一般 1,000円、高校生700円、中学生500円、小学生300円
2017年12月05日2016年2月12日、重力波の初観測が発表されました。それはアインシュタインが存在を予言してからおよそ100年後のことでした。でも「重力波」と聞いても「いったい何のことだか、さっぱりわからない」そんな人が、ほとんどではないでしょうか。当然ですよね。これまで体感したことのない未知の波長ですから。かぎりないロマンをかきたてるサイエンス。でも科学の世界はむずかしく、敷居が高いもの。そんな文系女子におすすめの「わかりやすくて深いサイエンス本」を紹介します。■猫たちが語りだすサイエンス『真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ』(薬袋摩耶/イラスト浅生ハルミン/亜紀書房)猫の集会。それは人間にとっては謎だらけのシロモノでしかありません。ところが、この本ではちがいます。毎週水曜日の夜、猫たちはひとところに集まって勉強会をひらきます。ある夜は「ウイルスと細菌は、どのようにちがうのか」。別の晩は「ワクチンと免疫について」と、いうふうに。また、「iPS細胞とは何か」などと最新の科学の話題を猫にでも理解できる言葉で語っています。個性的な猫たちの会話に楽しく耳をかたむけながら、サイエンスの専門用語を覚えることができます。そして、科学が抱える問題点がみえてくる、ユニークな入門書です。■原因不明の病を克服した、サイエンスライター『生命(いのち)のふしぎ』(柳澤桂子/集英社文庫)著者は生命科学者として、またサイエンスライターとして活躍中。経歴だけに注目すると「まあ、エリートなのね」と、いいたいところですが、彼女はおよそ20年間も寝たきりの生活を送っていました。まったく原因がわからず、病名もあいまい。そのためにどのように治療をすればよいのか、方針がたてられなかったのです。しかし、あるうつ病の薬が効き、劇的に回復します。そんな奇跡の人の言葉の、ひとこと、ひとことが胸にひびきます。「孫が生まれてから、私は地球の行く末を今までより深刻に考えるようになった。(中略)この子がお嫁さんになって、子供を産んで、またその子が子供を産んで、と連綿と続く未来が具現化して、心に映るようになった。その子供たちは、延々と私の遺伝子のコピーを受け継いでいくのである。私という個体が消滅したのちも、私の一部が残っていく。そして、いつかは人類滅亡の日を迎えるであろう。私は、子供を産んでしまったことをなかば悔いているが、子供や孫の存在が幸せをもたらしてくれることも確かである」(本書より抜粋)サイエンスエッセイとしてはもちろんですが、ことばに奥行きがあり、人生論としても逸品です。■なぜ、私は私なの?『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』上・下巻あり(ダニエル・Eリーバーマン/訳・塩原通緒/早川書房)ヒトの体のしくみは、謎につつまれています。この本は健康本でもなければ、人類学の解説書でもありません。けれども、なぜ人間は人間になったのか。という疑問にいどむためには、進化の歴史は避けて通れない道。現在、私たちの体内ではなにかが変わりはじめているのでしょうか? それを知るためには人類史をたどり、科学の発達していく過程をあきらかにすることが必要なのです。おもしろそうだけど初心者には読みこなすのが大変そう。そんなため息が聞こえてきそうですが、ひとつひとつの章が短いので、すぐに読破できました。登場人物が多い外国の小説を読むよりも、むしろ理解しやすいかもしれません。物事を大きなスケールで考えられるようになる大作です。ミステリアスで、簡潔なサイエンスの世界のドアをノックしてみませんか?
2016年04月17日子どもの理科離れが指摘されていますが、自然科学系の博物館や展示施設は大人気! 楽しみながら勉強にもなる、そんなサイエンス系のおすすめお出かけスポットをご紹介します。■プロジェクションマッピングと直径11mの円形4Kシアターは圧巻! 宇宙ミュージアム「TeNQ」科学の進歩や日本人宇宙飛行士の増加、さらには漫画『宇宙兄弟』のヒットなども手伝って、昨今、宇宙に興味を持つ人が増えてきたように思います。そんな「宇宙大好き」な人におすすめなのが、この宇宙ミュージアム「TeNQ」です。暗い空間で不思議な音が響くトンネル「トンネル0(ゼロ)」を通って、最初に案内される「はじまりの部屋」では、ナビゲーターの静かな語りの後、全幅約20m、全高4.5mのプロジェクション・マッピングがスタート。壁の凹凸を巧みに使って演出されたプロジェクション・マッピングを見ることで、来場者は一気にミュージアムの世界観に引きこまれます。そして、その衝撃のまま、続いて進むのが、最大の見どころとも言える「シアター宙(ソラ)」。シアター宙は、直径11mの円形のスクリーンを、上から覗き込むかたちで見るスタイル。4K超の大迫力の高解像度映像を見ていると、まさに目の前に宇宙が広がっているような感覚に包まれます。シアター宙で上映される映像プログラムは2種類あり(2016年4月時点)、一度目の当たりにすると、きっとどちらも見たくなってしまうはずです。圧巻の映像美に酔いしれた後は、展示を見て、子どもと一緒に「知りたい!」欲求を満たしましょう。「サイエンス」エリアでは、東京大学総合研究博物館との産学連携プロジェクトにより、最新の宇宙研究に触れることができます。と言っても、難しい研究ばかりではなく、子どもでも楽しめる展示がちゃんと用意されているので、ご安心を。天井に映る地球の映像を寝転びながら見上げたり、マルチビジョンで太陽系探査機から送られてくる宇宙の最新映像を眺めたり、「宇宙って本当にあるんだ…」と実感できることでしょう。続く、「イマジネーション」エリアには、遊びのコンテンツが多数用意されています。子どもに特におすすめなのは「アストロボール –Go!Go!Sphero–」。球体ロボット「Sphero」を手元のタブレットで操作して、制限時間内にゴールを目指す…というゲームなのですが、これがなかなか難しく、楽しいのです。大人が苦戦する横で、子どもが悠々とゴールする…ということも珍しくありません。訪れた際は、ぜひ親子でチャレンジされることをおすすめします。そのほかにも、子どもから大人まで楽しめるコンテンツが満載。最後には、写真撮影スポットも用意されていて、楽しかった思い出とともに、記念写真も撮影できますよ。・ 東京ドームシティ|宇宙ミュージアム『TeNQ(テンキュー)』 ■乗り物は立派なサイエンス! 電車とバスの博物館「サイエンス」と言うと、勉強に直結するものに目がいきがちですが、子どもが大好きな乗り物だって、立派な科学。東急田園都市線・宮崎台駅直結と駅からのアクセスも良く、子どもの好きな電車とバスの両方を一度に楽しめるのが、東急電鉄の運営する「電車とバスの博物館」です。2016年2月のリニューアルにより、子ども向け施設が充実したこともあって、おすすめ度はさらに上がっています。到着し、入館する時点で、まずテンションが上がること間違いなし。入場ゲートが実物の自動改札機になっており、普段「自動改札機にピッとする」ことに憧れのある子どもだちにとっては、非常にうれしい仕掛けと言えるでしょう。館内に入り、最初に目にするのは、夜明けから終電後までの東急線の1日が大型ジオラマで再現された「東急ヒストリーパノラマシアター」。ジオラマの中を模型の電車が走るさまに、子どもは釘付けになってしまうはず。実際に行ったママによると「子どもがここから動かなかった(笑)」というコメントも。シアターでは、短編映画「電車を運転する仕事」、「運行を支える仕事」も放映されています。ほかにもたくさんの展示がありますが、子どもと一緒に行くのであれば、この後は「キッズ・ワールド」に移動するのがおすすめ。親子が並んで操作できる「キッズシミュレーター」では、運転体験ができるだけでなく、専用サイトにアクセスして車両をデザインしておくと、シミュレーターの運転中にデザインした車両が登場。すれ違いを楽しむことができます。また、デザインした車両はペーパークラフト(有料:1枚200円)で購入もできますよ。そのほか、大人でも楽しめる本格的な運転シミュレーターや、昔のバスに乗れる展示もあり、親子で心ゆくまで楽しめる作りになっています。 館内には授乳室も完備。ほどよい広さなので、お子さんを抱っこしての移動でも気にならないようです。・ 電車とバスの博物館|東急電鉄 ■ウルトラヒーローと一緒に科学を学ぼう! 千葉市科学館 春休み・GW特別企画展大好きなヒーローと一緒に科学を学べたら、子どももうれしいですよね。千葉市科学館で春休み・GW特別企画展として開催されている「科学アカデミーへようこそ ウルトラマン ~めざせ!地球を守る未来のヒーロー~」なら、それが可能です。宇宙の基本を知って、ウルトラマンのいるM78星雲を探したり、ウルトラマンのパワーの源やエネルギーに関する実験をしたり、特撮の技術を学んだりできる、「ウルトラ講座」。3分の制限時間内で、つみ木や脳トレゲームにトライする「3分でできるかな」。ウルトラマンの能力のすごさを実感できる「シュワッチ体験」。そして、ICタグのついたカードを持って館内をめぐり、問題を解く「ウルトラクイズラリー」の4つのミッションを実行すると、ヒーロー認定書をもらうことができます。第1弾が2016年3月18日~4月17日、第2弾が4月22日~5月31日までと、2期に分かれており、第1弾と第2弾では、アカデミーの内容や展示が若干変わるそうです。ウルトラマン大好きなお子さんやパパ・ママはぜひ訪れてみたいですね。・ 千葉市科学館:イベント詳細 以上、ウーマンエキサイト編集部がセレクトした、おすすめのサイエンス系お出かけスポットをご紹介しました。春のお出かけの参考になれば幸いです。
2016年04月11日スイッチサイエンスは2月26日、Arduinoの初心者向けキット「The Arduino Starter Kit」の日本語化を行い、日本語に対応した「The Arduino Starter Kit(日本語版)」を2月25日に販売開始したことを発表した。同キットは、Arduinoが2012年に発売した電子回路や電子工作の初心者に向けたキットで、Arduinoを使った作例が掲載された書籍「THE ARDUINO PROJECTS BOOK」と、その書籍に沿って実験するために必要な部品が含まれている。同書籍には15種類の作例が掲載されており、Arduinoの基本的な使い方から少し複雑なプロジェクトまで、さまざまなレベルの作例を通して、電子回路や電子工作、Arduinoについて学ぶことができる。同キットはこれまでに、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語、中国語に対応していた。日本語版の価格は1万2500円。注文は同社Webサイトから行うことが可能となっている。
2016年02月26日○ライフサイエンスに特化した画像解析サービス東京大学 本郷キャンパスの一角にある「アントレプレナープラザ」には、同大学との関わりが深いベンチャー企業が集う。そのうちのひとつが、ライフサイエンス分野の研究者に向けた画像解析サービスを提供するエルピクセルだ。画像解析を利用した技術には、衛星データや地理情報を解析するための技術や、製品や部品の個体を識別する技術などさまざまなものがあるが、同社はライフサイエンス分野の画像解析に特化しているのが特徴だ。エルピクセル 代表取締役 島原佑基氏は、「ライフサイエンスだけでいいのか? とよく言われますが、医療、製薬、農業など、ライフサイエンス業界は、それだけでGoogleのような会社が作れてしまうほど、とても広い。むしろ絞りきれていないと感じているくらいです」と説明する。大学院時代に「メンブレントラフィック」という細胞内の物質輸送システムに関する研究を行っていたという島原氏。研究室では、顕微鏡で観察される細胞内のタンパク質や脂質の動きを画像にして解析するソフトウェアを開発していた。生物系の研究者は数学が苦手で、画像処理も不得意だという人が多く、研究室ではたくさんの共同研究が行われていたという。「そのニーズに耐え切れず、会社にした」(島原氏)というくらい、その需要は大きい。「現在、学術論文の9割には画像が掲載されていると言われています。三大科学誌『Nature』、『Science』、『Cell』の過去3年分を調べたところ、一番多い画像は電気泳動の結果を撮影した写真でした。また、蛍光顕微鏡、および蛍光ではない顕微鏡で撮影した画像がそれぞれ4割くらい。重複しているものも考慮すると、全論文の半分程度は顕微鏡画像が載っているといえるでしょう。生物学者と顕微鏡画像の処理は、切っても切れない関係にあります」(島原氏)ライフサイエンスに精通していて、なおかつ画像処理に明るい人材は少ない。同社はAdobeと共に研究者向けの画像処理の講義を行っているが、そこで約3300名の参加者に対し「画像処理は必要ですか?」と質問したところ、約9割は必要であると答えたという。しかしながら、「大学で画像処理を学ぶ機会はありますか?」という質問に"YES"と答えたのはたったの3%。画像処理について教えられる人材が大学にほとんどいないというのが現状だ。そこで同社は画像処理に関して、Webでの情報発信やeラーニング教材の開発も行っている。ライフサイエンスの分野において、画像処理技術の需要にサービスの供給が追いついていないのは、日本だけでなく海外でも同様だ。島原氏は「世界中に教育活動を行っていきたい」と、画像処理に関する教育活動についても積極的な姿勢を示している。現在、同社の主力事業は、研究機関・企業との共同研究やシステムの受託開発だというが、今年の夏には画像解析のデファクトスタンダードとなるような、クラウド上で利用できるソフトウェアをリリースする予定だ。ライフサイエンスにおける画像解析は案件ごとに特化しており、ソフトウェアとして一般化することは難しいという印象だが、島原氏は「最初からすべてを解決しようとは思っていません。細胞個数のカウントの自動化、細胞面積の計測、動きのトラッキングといったニーズの大きいところから、まずは広げていきたいと思っています」と説明している。○大学発ベンチャー、成功の秘訣は?大学発ベンチャーのなかでも東京大学発の企業は日本で一番多く、現在約200社程度が存在している。しかしながら、一時期のベンチャーブームが過ぎ去り、ピーク時には年度あたり約250社まで増えた大学発ベンチャーの新設数は、2013年度時点で52社にまで減少。ここ数年は横ばい傾向にある。大学発ベンチャー設立のハードルはどこにあるのだろう。「事業化の大きなハードルは“人”ではないでしょうか。私は起業する際にあまりハードルを感じなかったのですが、その理由は周りに強力なパートナーがいたから。逆に、それがなければうまくいかなかったと思っています」(島原氏)同じ研究室の助教とポスドクと共に同社を立ち上げた島原氏だが、「3人とも副業として会社を始めたのも成功の要因として大きかったのでは」と分析。1年目は3人全員が人件費ゼロで活動し、結果的に利益の一部を大学へ寄付するまでになったという。「仕事はひとつにしなければいけないとか、副業はダメだとか、日本の人は変にまじめなところがありますが、飲み会やスポーツに費やしている時間を、おもしろいことをやるという感覚でビジネスに当ててもよいのではないでしょうか」(島原氏)こうして“カジュアル”に起業したというエルピクセルだが、着実に成長を続けている。同社の目標は、大学と企業の架け橋となるような研究所を作ることだ。この研究所について島原氏は、「触媒を与えると軌道に乗るようなすばらしい技術は周りにたくさんあります。我々がまずきちんと成功して、そこから得られたノウハウを持って、技術シーズの活用をエンカレッジしていけるようになったらおもしろいですね。大学発ベンチャーのハードルはすごく高い。アカデミアから企業に行くことに抵抗を感じる人が多いのが現状です。研究者にとって、ベンチャー企業は大学よりも自己実現できる良い場所だということをきちんと示して、ここに来れば優秀な研究者たちが集まっているんだと思ってもらえるような場所にしていきたいです」と語る。同社サービスへのニーズは日本国内のものだけにとどまらない。海外からも引き合いが多く、近々ジョイントベンチャーを立ち上げ、海外拠点を作る予定だ。エルピクセルの今後のさらなる飛躍に期待したい。
2016年02月24日米国政府は2016年1月30日(現地時間)、幼稚園児から高校生まですべての米国に住む学生に対し、コンピューターサイエンスを学ぶ機会を増やすため、40億ドルを拠出する計画を発表した。さらにMicrosoftも同政策についてサポートすることを同日発表している。「Computer Science for All」と題した発表内容によれば、日本の幼稚園年長組から高校までの13年間を指す米国の「K-12教育」で、コンピューターサイエンスを学ぶ学生はわずか4分の1。22の州は科目を単位として認めていない。米国政府は2018年までにSTEM教育を受けた51パーセントの生徒が、コンピューターサイエンスに分野で働き、今後の米国産業を支えるために重要だと考えていることから今回の計画に至った。Microsoftは自社の企業市民活動である「YouthSpark」を通じて、7,500万ドルの支援を行い、コンピューターサイエンスの活動を支援する。同社プレジデント兼CLOのBrad Smith氏は「他国ではコンピューターサイエンス分野に注力しているが、米国内の高校でも(STEM教育を実施しているのは)12パーセントに達していない」と、政府よりも厳しい視点で支援すべき背景を説明した。本施策に協力する企業はMicrosoft以外にも、AppleやFacebook、Salesforce.org、QualcommといったIT業界ではなじみ深い社名が並ぶ。CTO of U.S.のMegan Smith氏は、Barack Obama大統領が2016 State of the Union Addressで発言した「今後数年間、すべての学生が実践的な仕事に就けるため、コンピューターサイエンスと数学の授業を提供し、進捗状況を構築する必要がある」を引き合いに出しながら、「コンピューターサイエンスは、経済的機会や社会的流動性のために必要な『新たな基本スキル』であると認識している」と説明している。阿久津良和(Cactus)
2016年02月01日データビークルは1月29日、電通、アプレッソ、takram design engineeringと共同開発したデータサイエンス専用変換ツール「Data Ferry」(データフェリー)を5月9日より発売すると発表した。初めに、代表取締役 CEOを務める油野達也氏が新製品を開発した経緯を説明した。油野氏によると、データ分析がうまくいかない原因はデータの切り分け方にあり、データ切り分けにおける課題を解決する製品として、同社が昨年7月に発表したのがデータ分析ソフト「Data Diver」だ。「データ分析は、収集・分析・行動といったステップを踏む。データの切り分けがよくないパターンは2つあり、1つはIT部門が収集と分析を行い、現場が行動を行っているパターン、もう1つはIT部門が収集を行い、分析を外部のデータサイエンティストが行い、現場が行動を行っているパターン。前者の場合、現場がどのように行動するべきかわからなくなっており、後者の場合、データサイエンティストはお金と時間がかかる割には、業務についてわかっていないという問題が生じている」そこで、「Data Diver」はプログラミングの知識がなくても高度な統計技術を利用できるようにすることで、現場が分析まで踏み込めるようにした。ただし、「Data Diver」を展開する中で、「データ連携ソフトが高い」「データをタイミングよく入手できない」といったデータ連携やデータ整備における課題が見えてきたという。こうした課題を解決するため開発されたのが「Data Ferry」だ。油野氏には、データ分析を行うデータサイエンティストには専用機が必要であると考え、「素性のよいエンジン」を探していたところ、アプレッソに行き着いたと語った。「『高度な改善要求に耐えられる製品を持っていること』『共に戦えるエンジニアがいること』『海外で実績を持つファクトリー体制があること』という要素がそろっているエンジンを探していたが、正にアプレッソがそうだった」(油野氏)「Data Ferry」にエンジンを提供するアプレッソの代表取締役社長を務める小野和俊氏も説明会に登壇した。小野氏は代表取締役社長という立場ながら、根っからの"技術者"ということで、今でもアプレッソの製品のエンジニアリングに関わっているという。小野氏は、油野氏が挙げた「素性のよいエンジン」の条件を引き合いに出し、同社の技術力の高さをアピールした。「これまで、各所からコンサルティングも提供してはどうかとの声もいただいてきたが、一貫してプロダクトの開発に注力してきた。また、ビッグデータの分析に対するニーズの高まりなどを踏まえ、大量のデータを高速処理できる機構も独自で開発しているほか、Javaエンジニアも多数そろっており、技術力には自信がある。また、エンジニアについても、新規の戦略アライアンスなどに対応できる開発体制を構築しており、開発生産性を最大化するための環境への投資も積極的に行っている。製品のグローバルかも着実に進めており、販売に加え、シンガポールに開発拠点を設けたり、英語・中国語でサポートを提供したりするなど、力を入れている」「Data Ferry」の機能については、製品企画担当の藤田大地氏が説明を行った。藤田氏は、「Data Ferry」のコンセプトについて、「分析に特化したツールであり、基本となるEAIは安定した国産エンジンを搭載している。ターゲットはIT部門以外としているため、設定はすべて自然言語で行える思い通りに、ユーザー自身がデータを加工できるような仕組みを用意している」と語った。「Data Ferry」の技術面におけるキモは専用ストレージ「Analytical Source Lake」だ。各種データソースを統一されたデータセットに変換し、分析可能な形で醸成・蓄積することができる。Analytical Source Lakeに蓄積されたデータについて集計、テーブル統合、サンプリング、クレンジングが行われる。加えて、藤田氏は「Data Ferry」の特徴として「完全なプログラムレス」「データベース内蔵」「分析に関する処理をすべて自動化」「オンプレミスとクラウドを双方向で接続」「データのマスキングによるセキュリティ対策」を挙げた。「Data Ferry」はクラウドサービスとして提供され、利用料は月額40万円から(1ユーザーID、初期データ容量は1TBまで)。オンプレミスの販売については、国内のSIベンダーと協業を進めているところだという。
2016年01月29日北海道大学は1月16日14時より、バナプルとブルーインパルスファンネットの協力のもと、第86回サイエンス・カフェ札幌「自在の翼を手に入れろ~ブルーインパルスの飛行技術と不安定からの数学的発想~」を紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン(北海道札幌市)にて開催する。ブルーインパルスは、航空自衛隊の航空祭や国民的な大きな行事などで華麗なアクロバット飛行(展示飛行)を披露する専門のチームで、昭和39年(1964)の東京オリンピック開会式にも5色のスモークで五輪を空に描いた。今回のサイエンス・カフェ札幌では、ブルーインパルスの隊の中でも"地獄ポジション"と称される4番機のパイロットとして演目開発にも携わった高橋 KYONCEE 喜代志さんに、数理連携の第一人者であり航空ファンでもあるという西浦廉政さんが"不安定性"をキーワードに迫る。自在に空を飛ぶための機体の速度と高度を保ち、さらに、一糸乱れぬ隊形を組んだり6機それぞれが異なる機動をしたりするためには、ブルーインパルスのパイロットたちはその瞬間に何を考えているのだろうか。パイロットと数学者という異なる分野のプロフェッショナルが、ブルーインパルスの映像も交えながら語り合う。サイエンス・カフェ札幌は14時~15時30分(開場13時30分)、紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン(北海道札幌市中央区北5条西5丁目7番地sapporo55ビル)にて開催する。前半に高橋さんと西浦さんのトークを、その後、Q&Aとサイン会を予定している。定員は約80人、参加費は無料。なお、当日は暖かい服装での来場を呼びかけている。
2016年01月04日北海道大学(北大)は12月25日、データサイエンスの最新の手法を開発し、細胞内の分子モーター「F1-ATPase」における高効率なエネルギー変換の重要な仕組みを解明したと発表した。同成果は、北海道大学 電子科学研究所附属社会創造数学研究センター 李振風 准教授、小松崎民樹 教授、東京大学 工学研究科 応用化学専攻 野地博行 教授らの研究グループによるもので、12月17日付けの英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。F1-ATPaseは、化学エネルギーを使って回転するモータータンパク質で、分子構造変化と複数の中間反応を巧妙に組み合わせることで、効率よく化学エネルギーを回転の力学エネルギーに変換している。この中間反応は、ATPがF1-ATPaseに結合する過程、F1-ATPaseに結合したATP(結合ATP)が加水分解してアデノシン二リン酸(ADP)が生成する過程、ADPがF1-ATPaseから解離する反応、無機リン酸が解離する反応などから構成されているが、高効率なエネルギー変換を実現するための反応順序がどのように制御されているかなどは未解決問題となっていた。なかでも、結合ATPの加水分解については、反応生成物の結合解離過程と比べて回転に必要なトルク発生への寄与が少なく、放出するエネルギーも全体から見てわずかであることがわかっていたが、結合ATPの加水分解がF1-ATPaseの反応サイクルのなかでどのような役割を果たしているのかについてはよくわかっていなかった。今回の研究では、F1-ATPaseの回転時系列データから回転停止時間とその間の回転角度揺らぎの統計を解析するため、ノイズの性質をできるだけ仮定しない変化点解析とファジークラスタリングを組み合わせた手法を開発。同手法とマイクロ秒時間分解能でのF1-ATPase一分子の回転観察を組み合わせて、結合ATPの加水分解反応およびリン酸解離待ちに相当する階段状の回転時系列データの回転停止プロセスの詳細な速度論に着目し、その加水分解反応が果たす役割を詳細に調べた。この結果、結合ATPの加水分解反応に伴って、回転停止プロセスの間に回転角度が反時計回りに20度ほど有意に変化していることがわかった。これは同反応が、回転角度の変化によりリン酸解離反応の反応障壁を大きく減少させることで、ATP加水分解→リン酸解離といった正しい反応順序を維持するための「鍵」としての役割を担っているものと捉えることができる。この成果はF1-ATPaseだけでなく、V-ATPase、キネシン、ミオシン、ダイニンなどのモータータンパク質における高効率の分子メカニズムの解明に繋がるものと期待されている。
2015年12月25日スイッチサイエンスは12月2日、中国のMaker Works Technologyが開発、製造しているお絵描きロボットキット「mDrawBot」の通常販売を12月9日より開始すると発表した。同ロボットキットは、組み合わせ方によって「mScara」、「mCar」、「mSpider」、「mEggBot」という4つのお絵描きロボットを作ることができるもので、Makeblockというロボット作成プラットフォームに基づいて設計されたアルミ製の部品や電子モジュール、Arduino Unoと互換性のある専用マイコンボード「Makeblock Orion」など、60種類以上のパーツによって構成されている。4つのロボットについては、mScaraは、平らな面に絵を描くことができるロボットで、ロボット本体から伸びる腕を動かして絵を描く。mCarは、走った軌跡を描くことができるロボットカーで、ペンの代わりにチョークを取り付けることで、道路などの上にも絵を描くことができる。mSpiderは、壁やホワイトボードに絵を描くロボットで、ロボット本体を2本の糸で壁に吊り下げ、その糸をステッピングモーターで引っ張りあげたり伸ばしたりすることで絵を描く。そしてmEggBotは、卵やピンポン球のような球面に絵を描くことができるロボットとなっている。また、フリーソフトウェア「mDraw」を使うことで、より簡単にmDrawBotを制御することができるほか、Makeblockの部品の多くが工業用標準部品と互換性があるほか、レゴとは機械的にも電子的にも互換性があるため、レゴ用のパーツを自由に組み合わせる事も可能だという。なお、価格は3万2400円。注文は同社Webサイトから行うことが可能となっている。
2015年12月02日ディー・エヌ・エー(DeNA)の子会社・DeNAライフサイエンスは11月18日、東京大学医科学研究所と共同で、遺伝子検査サービス「MYCODE」において、インターネットを活用したユーザー参加型のゲノム研究を2016年1月から開始すると発表した。同共同研究では、MYCODE利用者の内、研究に同意した人を対象に、インターネットによるアンケートに任意に参加してもらうことで、病気や体質、生活習慣と遺伝子の関係を解明することを目的とする。アンケートでは、身長や体重などの体格、喫煙、飲酒、コーヒーの摂取傾向などの嗜好性、ドライアイ、男性型脱毛症やインフルエンザなどの病気、髪色や耳たぶの形状など20項目以上について回答してもらう。これらの回答結果と遺伝情報を解析することで、関連するSNP(DNAの中で1カ所の塩基が別の塩基に置き換わる現象)の探索を行い、日本人では関連SNPが見つかっていない病気・体質についてリスク予測モデルを構築することを目指すという。同研究の成果により、遺伝子検査における新しい検査項目の提供や、より大規模な日本人データに基づく検査結果の提供が可能となるほか、SNPのタイプに応じた病気の予防法開発などが期待される。
2015年11月19日インターネットを通して研究者に直接資金提供を行うだけでなく、情報やマンパワーの提供、さらには研究者同士のコラボレーションを促し、“第二次オープンサイエンス革命”を起こしたい――こう語るのは、学術研究に特化したクラウドファンディングサイト「academist」を運営するアカデミスト 代表取締役の柴藤亮介氏だ。「オープンサイエンス」とは、書籍『オープンサイエンス革命(紀伊國屋書店)』において理論物理学者であるマイケル・ニールセン氏が提唱したもので、インターネットやオンラインツールなどの活用により、研究の過程で得られた情報や知識を共有することで科学を発展させていく試みのことをいう。同書のなかでニールセン氏は、資金提供を行うパトロンたちが17世紀に科学論文という文化を作ったことで「第一次オープンサイエンス革命」が生じたとしている。「インターネット技術が発達した現在は、第二次オープンサイエンス革命の時期。研究成果をオープンにすることが“第一次”であるのなら、“第二次”では科学研究のアイディアやプロセス自体をオープンにしていきたい」(柴藤氏)しかしながら閉鎖的なイメージのある学術界で、果たして柴藤氏の言う「第二次オープンサイエンス革命」を起こすことはできるのだろうか。11月14日に行われた「サイエンスアゴラ 2015」内のトークイベント「オープンサイエンス革命 ~オンライン・コラボレーションによる研究推進の可能性~」では、さまざまな分野の若手研究者たちがオープンサイエンスの可能性について議論した。○オンラインコラボレーションで一般市民でも研究に参加できる慶應義塾大学 先端生命科学研究所の特任講師 堀川大樹氏は「クマムシ博士」として知られており、書籍・有料メルマガの執筆やグッズ販売などで得られた資金をもとに、極限環境への耐性を持つ生物「クマムシ」の研究を行っている。研究においては、とにかくクマムシの数が必要だというが、その飼育には手間が掛かる。そこで堀川氏は学校や科学教育機関などとコラボレーションを行い、理科教育の一環としてクマムシの飼育観察をしつつ、その数を増やしてもらうという取り組みを提案した。クマムシの飼育にはある程度の技術が必要となるため、堀川氏はそのノウハウを提供するというわけだ。研究者と教育機関とのコラボレーションは、比較的多くの分野の研究で実践できるものではないだろうか。またクマムシを「増やす」手伝いだけでなく、「発見する」手伝いもできる。「クマムシ学会最大の謎」であるという「オンセンクマムシ」は、1937年に長崎県・雲仙で発見されたといわれているが、標本がなく、さらに発見場所の温泉が干上がってしまい、いまだ再発見できていないという。そこで堀川氏は「ボランティアを募ってオンセンクマムシを探すミッションをできないか」と提案。たとえば、クラウドファンディングの見返りとしてこのミッションへの参加権を提供すれば、マンパワーも研究資金も得られる一石二鳥の取り組みとなる。同じ生物学分野でのオープンサイエンスの事例として、京都大学大学院農学研究科 博士課程の末広亘氏は、アリ研究における取り組みを紹介した。アリは日本だけでも約300種が存在しているうえに、どこにどの種類のアリがいるかはわからない。研究者だけで完全なモニタリングを行うことは不可能だといえる。そこで解決策となるのが、オンライン上での一般市民の研究参加だ。アメリカではすでに成功事例があり、一般市民の協力によって1年半のあいだに全米500地点で107種類のアリを見つけることができたという。アメリカに侵入した外来種「オオハリアリ」の侵略メカニズムを研究する末広氏は「自分は3年間のうち40カ所でしか調査できていないので、これはすごい数だ」と評価する。研究手法を統一させて即座に情報共有できるのは、オンラインでしかありえない。現在は研究者がそれぞれに情報共有のプラットフォームを作っているが、末広氏は「さまざまな分野で共通のプラットフォームがあれば、よりオープンサイエンスの試みが促進されるのでは」と、一般市民と研究者のオンラインコラボレーションにおける今後の課題をあげていた。生物系だけでなく、宇宙物理の分野にも一般市民のオンラインコラボレーション事例がある。理化学研究所 基礎科学特別研究員の湯浅孝行氏は、『オープンサイエンス革命』でも取り上げらている「Galaxy Zoo」の事例を紹介した。Galaxy Zooは、一般市民がWebブラウザ上で銀河の形状を分類できるサービスだ。このサイトからはすでに、48本もの論文が出版されているという。また、ここから発展したサービス「Zooniverse」では、野生生物や化石、惑星調査に対し、100万人以上の市民が参加している。また湯浅氏は自身でも、オンラインコラボレーションの場を提供する。後述するように湯浅氏は、雷雲におけるガンマ線放射現象のメカニズムを解明したいと、研究費のクラウドファンディングを行った。この研究に対して我々一般市民は、研究資金の提供という形だけでなく、マンパワーという形で協力することができる。具体的には、Webブラウザ上に表示されたある時間帯のガンマ線の検出データを見て、ユーザーが数値の増えている部分の判別を行うというものだ。この判別結果と、同じ時間帯の雷雲の様子を見比べ、湯浅氏らはその関係性を調査する。同サイトは2015年度末に公開することを目標に開発されているという。○クラウドファンディングで得られるのは研究資金だけではない!?湯浅氏とともにクラウドファンディングにチャレンジした京都大学 白眉センター 理学研究科 特定准教授の榎戸輝揚氏は普段、宇宙X線望遠鏡による天体の研究を行っているが、修士課程の学生のころには雷雲から発生するガンマ線を手作りの検出装置で検出するという研究で論文を執筆した。この装置を再び活用し、ガンマ線と雷雲がどういう相互作用をするか調査したいと数年前に科研費に応募したが、残念ながら採用されなかった。このとき、知り合いの研究者からacademistを紹介され、研究費クラウドファンディングへのチャレンジを決意したという。結果としては、目標金額の160%となる約160万円を集めた。これは、academist史上最高の達成率となっている。しかし得られたものは、研究資金だけではなかった。検出装置の設置に適した金沢の大学や高校から「うちの学校に検出装置を設置してはどうか」というメッセージがきたというのだ。現在、榎戸氏らは合計4校と具体的な話を進めている。さらに榎戸氏は「研究者たちでスタートアップをやっているような感覚にワクワクした。研究費としては微量かもしれないが、直接応援をもらうことで研究費の大切さを肌で感じ、研究の推進力をもらうことができた」とコメントした。クラウドファンディングは資金だけでなく、多くの“副産物”を生んでいることが伺える事例だ。○オープン化が進む情報科学分野特有の文化とはソースコードを公開し、プログラマやエンジニアたちが共同でソフトウェアを開発していく「オープンソースソフトウェア(OSS)」の文化が根付いている情報科学分野。最近ではコラボレーションツール「GitHub」を利用したソフトウェア開発が主流になっており、オンラインコラボレーションの流れはますます加速している。湯村翼氏は、情報通信研究機構に技術員として勤務しながら北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科にて研究を行っている、いわゆる社会人学生だ。もともと大学では宇宙プラズマの研究をしていたが、就職後に情報科学の分野へ進み、AR(Augmented Reality:拡張現実)の技術開発や、ホームネットワークの研究を行ってきた。ITエンジニアたちのあいだでは知識やノウハウ共有のために、カンファレンス、勉強会、ハッカソンなどが頻繁に行われており、日によっては1日に全国で40件以上開催されていることもある。自分のソースコードやノウハウをオープンにしてしまうというと、他分野の研究者は抵抗を感じてしまうかもしれない。これについて湯村氏は「情報科学の分野では、誰かが作ったものをもう一度作る『車輪の再開発』をなるべく行わないようにするという文化があるためでは」と分析する。さらに同分野では、Youtubeなどの動画サービスが研究者の発表の場になりつつある。国際会議の投稿時に義務付けられたり、査読対象になったりすることもあるという。湯村氏自身も、動画での研究発表を推奨する「ニコニコ学会β」を運営。なかでも「研究してみたマッドネス」は、誰にでもオープンな「ユーザー参加型研究」を実践することを目的としたセッションで、インターネット上で活動しているアマチュアの研究者と、ビジネスやアカデミアで活躍するプロの研究者とが一緒になって発表し、討議を行う。ユーザー参加型研究の世界を湯村氏自らが作り上げているのだ。個人PCのスペックが向上し、またAWS(Amazon Web Services)などのクラウドサービスにより高性能なリソースを手軽に利用することが可能になってきたため、最近ではコンピュータひとつあればさまざまなことができるようになってきた。「情報科学の分野では、オープンサイエンスがより進みやすくなってきている」(湯村氏)***研究費クラウドファンディングや、研究者と一般市民のコラボレーションは、科学コミュニケーションとしての意義もある。まだまだ課題は多いが、まずは情報科学分野における豊富なオンラインコラボレーションの事例を他分野へ展開していくことが今後、第二次オープンサイエンス革命を起こすためのヒントを見出す鍵となるのではないだろうか――第一線で活躍する若手研究者たちの熱いトークセッションを聞き、そう感じた。
2015年11月19日総務省は11月17日、将来の経済成長を担う“データサイエンス”力の高い人材育成のための取組として、ウェブ上で誰でも参加可能なオープンな講義「社会人のためのデータサイエンス入門」を同日から再開講すると発表した。同講座は本年3月に開講し、1万5千人を超える人が受講したが、ユーザーからの要望を踏まえ、同日から再開講する。1回10分程度×4~7回程度(1週間)×4週間のビデオ講義となっており、 各週の確認テストと最終テストを実施する。各週のテーマは、1週目が「統計データの活用」、2週目が「統計学の基礎」、 3週目が「データの見方」、4週目が「公的データの入手 とコースのまとめ」となっている。受講登録は、こちらから行える。また、本講座の続編として、実践編講座「ビジネスで使うデータ分析(仮称)」を平成28年春に開講予定だという。
2015年11月17日蓮の花の形をした建物が印象的な「ArtScience Museum at Marina Bay Sands(アートサイエンス・ミュージアム)」は、国際巡回展示が観賞できるシンガポール初の博物館。期間限定で開催される興味深い展示は、常にチェックしておきたい。金曜日には、ファミリー向けのお得なサービスも。マリーナ・ベイを特徴づける個性的な建物マリーナ・ベイ・サンズの併設施設として2011年にオープンしたアートサイエンス・ミュージアム。「芸術科学」をテーマとする博物館としては、世界初と言われている。蓮の花の形が斬新なこの博物館は、建築家モシェ・サフディ氏の設計。マリーナ・ベイ・サンズの会長がこの形を「シンガポールの歓迎をする手」と称賛したように、そのユニークな建築物はシンガポールのアイコンの一つとなっている。10本の「指」の先には天窓が設けられ、壁面をランダムに照らす。この屋根からは、雨水が中央のアトリウムを通って35メートル下のプールに滴り落ちる仕組み。雨水は構内で再利用されており、環境に配慮した建築物としても有名。国際巡回展示を観賞できる場所このミュージアムはアート、デザイン、メディア、建築、テクノロジーをテーマとし、大小合わせて21ものギャラリーにて、最先端の展示を観賞することができる。常設展「ArtScience : A Journey Through Creativity」では、Curiosity(好奇心)、Inspiration(インスピレーション)、Expression(表現)の3つの展示スペースを通し、創造のプロセスへの旅を表現。アーティストの作品を生む原動力、どのようにスキルを身に付け、創り出し、それによって私たちの世界がどう変わるかを考える機会を与えられる。ここでは、常設展に加え、世界的に有名なコレクションの国際巡回展示を開催できるのが最大の特徴。過去には、「タイタニック:アーティファクト エキシビション」「ハリーポッター展」「ダリ:Mind of Genius」など、シンガポールで最も人気の高い展覧会が催されてきた。毎週家族にお得なイベントも毎週金曜日は、子供が無料になる「ファミリーフライデー」を開催。大人のチケット1枚購入につき、12歳未満の子供が4名まで無料で入場できる。また、毎月一回、木曜日には、通常営業の後に「ArtScienceレイト」を開催。通常展示が終わる19時から22時まで、この夜限りの最先端パフォーマンスを目撃しよう。バーもオープンし、アートに浸る大人の夜を過ごすことができる。・詳しいスケジュールと内容はこちらArtScience Museum(アートサイエンス・ミュージアム)・住所:6 Bayfront Ave, Singapore 018974・営業時間:10:00-19:00(最終入館は18:00)・電話:+65 6688 8888・入場料金:展示内容により異なる詳しくはこちら・アクセス方法:マリーナ・ベイ・サンズのベイサイド。ショッピングモールの目の前。MRTベイフロント駅より徒歩10分。©All Photos to Singapore Tourism Board
2015年09月27日データアーティスト代表取締役の山本覚です。前回は、マーケターを対象に、データサイエンスの最新トレンド「ディープラーニング」について、その基礎と活用法を紹介しました。今回は、アンケート調査について解説します。○アンケート調査は、今も昔も重要な手法アンケート調査とは、ご存じの通り、古くからあるマーケティング手法の1つ。モニターに一定の選択肢を提示し回答をもらうことで、ノイズを含まない、リサーチャーが知りたい情報をダイレクトに仕入れることが可能です。同手法の起源は、紀元前3,000年頃までさかのぼります。記録によると、古代エジプトではピラミッド建設のために人民の慣習や信条を調査したようです。現代では、たとえば、製品開発前に行う顧客の意識調査や、広告接触後のブランドに対する意識変化の調査などに用いられていますね。本連載のテーマ「想像力を掻き立てる」という視点で見ると、アンケート調査は、データに基づき顧客像を特定したのち、施策の立案などに想像力のリソースを集中するために有効な手法だと言えます。2014年12月、マクロミルが蘭メトリックスラボを買収する際、同社の小西氏が「マーケティングリサーチ市場は国内で1,800億円、海外ではなんと4兆円にものぼる」と語っています。マーケティングリサーチには、アンケートのほか、グループインタビューやデプスインタビュー(1対1)、覆面調査など数多くの手法があり、その中でもアンケートは、定量的なデータが比較的容易に集められるため、評価指標や次の一手を見出すために実施する企業が多いです。最近ではネット上で簡易にアンケートが実施できるネットリサーチが登場し、市場の約3分の1を占めるなど、まだまだ今後も成長する市場だと感じます。○一方で、課題もあるこのように利点が多いアンケート調査ですが、課題もあります。アンケートの結果はあくまで調査結果で、そこから直接的な施策につながりにくいという点です。例えば、「ある保険サービスの広告メッセージを設計するためにアンケート調査を行った」というケースを思い浮かべてください。アンケートの質問項目として、「申込みを検討中」や「どういうサービスかわからない」というような選択肢を設ければ、商品への興味関心の度合いを知ることができます。ここでは、「申込みを検討中」と回答した人を「顕在層」、「どういうサービスかわからない」と回答した人を「潜在層」と定義します。調査後、顕在層が60%、潜在層が40%だということが明らかになったとします。顕在層には申し込みを後押しするため、類似商品との比較やその優位性を訴求するとよいです。一方、潜在層には商品理解を促すため、コンセプトの説明などが効果的だと判断できます。このように、本来であればアンケート調査の回答を参考に、個人にフォーカスしたメッセージを送るべきですが、実際には多数決のように、調査結果で最も多い「顕在層」にのみメッセージを打ち出しているケースを度々見かけます。これでは、せっかくの調査結果と実際の施策が乖離してしまい、効果が薄くなってしまいます。回答者すべてに効果のある施策を打ち出すため、アンケートの集計時に時期や時間帯、性別、年代別といったセグメントで顧客をグルーピングし、「ある時期は20代顕在層からの相談が多く、ある時期には潜在層女性の相談が増える」というように、施策を打つタイミングを分けるという方法があります。しかし、これは、アンケート結果を集計しながら少しずつ顧客の特徴を揃えていくため、精度を高めることが難しく、どうしても別々の層の顧客が混ざってしまいます。このように、アンケートの結果を顧客の興味関心に合わせて細かく仕分けていく作業は、とても手間がかかります。そのため、集計作業に時間や頭のリソースがとられてしまい、本来行うべき施策の立案、クリエイティブ的な視点で言えば「メッセージコピーの設計」にリソースをさけなくなってしまうわけです。○解決策は、アンケート結果とWebサイトの訪問者を紐づけることしかし、このような課題は、DMP(データマネジメントプラットフォーム)の出現により、急速に解決されることになりました。DMPとは、Webページの閲覧情報や商品の購買履歴といったユーザー情報を、マーケティング活動において利用しやすい形式で蓄積できる情報基盤のことです。2013年以降、マーケティング業界において急速にその認知が拡大しました。DMPは、基本的に、各ベンダーが発行するプログラム(タグ)をWebサイトに設置することで利用できます。これにより、Webサイトに訪れたユーザーのcookieや閲覧コンテンツ、検索キーワードなどから、デモグラフィックスや嗜好情報までを抽出・貯蓄することができるようになります。さて、このユーザーIDですが、DMPのプログラムをネットリサーチサービスのWebサイトに埋め込むことで、アンケートの回答と紐付けることができます。先ほどの例であれば、商品への興味関心がわかる回答をユーザーIDにラベルし、「回答に合わせて適した広告を表示させること」も実現可能です。つまり、アンケート調査の結果と施策を直接関連付けることができるというわけです。○データに基づき、アンケートの回答を拡張するここでもう一つ問題が発生します。「Web上のアンケートを、自社のすべての顧客が行ってくれるわけではない」ということです。実際、アンケートに回答してくれる顧客は一部に留まります。つまり、ターゲットとなる顧客すべてにラベリングを行うことは不可能となるのです。そこで、アンケートを取れなかった顧客に関しては、アンケート結果が取れたユーザーとの類似性をもとに、「この顧客がもしアンケートに答えていれば、きっと顕在層だろう」というようにアンケートの答えを類推していきます。これは、過去のアンケートと比較し、ユーザーごとのビッグデータをWeb上において取得していることから実現する仕組みです。例えば、ユーザーによっては過去の検索キーワードを数万件というレベルでストックしています。その中から、アンケート結果の類推に役立つデータを抽出・分析することで、(アンケート上のデモグラフィックスから推測するより)はるかに高精度に、顧客の嗜好を予測することができます。この技術は、アドテクノロジーの分野においてオーディエンス拡張などのソリューションとして用いられており、そのコア技術として機械学習の分類機を活用しています。本連載の第一回で解説したディープラーニングも、今後はこのようなオーディエンス拡張のなかでどんどん取り込まれていくと考えています。最後に、実際にアンケート結果の拡張を行う際に使用されるデータを紹介します。下の図表は、インティメートマージャーがマーケティングアプリケーションの保険に関するアンケート結果とユーザーIDの連携を行い、アンケートの回答結果ごとに、回答者が普段Web上で検索しているキーワードを集計した結果の一部となります。この図から分かるように、顕在層は「医療」や「貯金」に関するキーワード群を検索しやすい傾向にあり、特に「入院」というキーワードの検索数は潜在層と比較し4倍以上の確率で検索しています。これらのキーワード群の違いから、アンケート結果のないユーザーであっても、アンケート結果を予測することが可能となるわけです。さて今回は、従来から存在するマーケティング手法「アンケート調査」において新たなテクノロジ―「DMP」を活用することで、調査結果と施策が直結しないというこれまでの課題が解決できることを紹介しました。これにより、マーケターは、顧客が商品にどれくらい興味関心を抱いているかを、性別や居住地、年収といったデモグラフィックスに基づきセグメントしていく作業から解放され、各顧客層に対しどのようなメッセージを伝えるかというクリエイティブな部分に集中できるようになるのです。○執筆者紹介山本 覚 (やまもと さとる)東京大学 博士課程 在籍時に松尾豊准教授の研究室で人工知能を専攻。その後、アイオイクス株式会社のLPO事業にプロダクトマネージャーとして参画し、導入者数400社超のLPOツール「DLPO」の全アルゴリズムを開発する。データマイニングを用いたWebページの改善実績は100社以上。「論理化されたものはシステムで処理し、人が人にしかできない営みに集中する環境を作る」ことを理念とし、データアーティスト株式会社 代表取締役社長に就任、現在に至る。
2015年09月08日はじめまして、データアーティスト 代表取締役の山本覚です。ここ10年ほど、ビジネスにおけるデータサイエンスに携わっています。今回から、「想像力を掻き立てるデータサイエンス」と題して、マーケターに役立つようなデータ分析・データ活用についてお話をさせていただきます。さて、読者のみなさんは「データサイエンス」と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。一般的には、「ロジカルでちょっと堅苦しくて、"想像力"や"クリエイティブ"とは縁がないもの」と想像する方が多いのではないでしょうか。しかし実際は、「煩雑な業務を自動化し、アイディアを生み出すなど "人間にしか出来ないこと" に集中する時間を作ることができる手段」であると言えます。いわば、想像力を掻き立てるためのツールだと言っても過言ではありません。本連載では、マーケターの皆さんに向け、データサイエンスの新潮流となる「ディープラーニング」を活用することで、施策・戦略の考案やクリエイティブイメージの発案などに注力できるということをお伝えできればと思います。○そもそも、ディープラーニングとはなんだ?!2006年からジェフリー・ヒントン氏らによって研究されている「ディープラーニング」は、2013年ころから「なんかgoogleが、その、猫の顔を、自動的に、あれでしょ?」というような具合で、都市伝説的に有名になりました。そもそも、この「ディープラーニング」とは何でしょう。ネットで調べればすぐ出てくるのですが、端的に言うと「脳の中の神経細胞となる"ニューロン"の繋がりをシミュレートしたもので、ニューロンがつながってできた層をディープに重ねましたというもの」です。「うーん? つまりどういうこと?」と思われるかもしれません。要は、ニューロンのつながりを最適化する計算方法がスマートになったため、ニューロンの層をディープに重ねるということ (ディープラーニング)を実現したということです。それでは、もっと噛み砕いて説明します。○人間の10年分の作業を一瞬で行う?!このディープラーニングの何がすごいのか。それは、「データを見せるだけで、データの特徴を勝手に学習してくれる」という点です。これは、これまでの人工知能ではできないことでした。猫の顔を学習する際のプロセスの違いを例に、具体的に説明したいと思います。従来の人工知能では、猫の画像を直接人工知能にかけることができず、事前に目・鼻・口の位置を認識するプログラムを作成し、人工知能にかける必要があります。つまり、目や鼻、口それぞれ個別に認識させてからでなければ、人工知能の力を発揮できない状態でした。これは猫だけではなく、例えばポストを認識させたい場合には、投函口などポストらしさを表すものを認識させるプログラムを作らねばならない ―― 認識させたいものに合わせた前準備が必要とされたわけです。このように、従来の人工知能は、データの変更に対し、膨大な手間がかかります。加えて、人によって"猫らしい"と考える特徴が異なるため、特徴を考える人の手腕次第で認識の精度に著しく影響が出るという課題がありました。特徴の判断が属人化するため、人工知能の性能が高くても「特徴を抽出する人の限界」を超えられないのです。一方、ディープラーニングの場合は、猫の画像に対し、特徴を抽出する前処理が必要ありません。"猫らしい"特徴の抽出も含め、勝手に学習をしてくれるため、人工知能に直接データを渡すことが可能となります。しかも、人間があれやこれやと考えた場合と比較し、圧倒的に高い精度を出すことが可能です。とある画像認識の大会では、人間がさまざまな特徴を考えて1年に1%ずつ、精度をこつこつ上げて来たのに対し、特段前処理の工夫をせずに最初からディープラーニングを使った場合では、10%も精度が改善したという実績があります。すなわち、10年分の改善が一瞬で行われたというわけです。「人間がデータの特徴を考えなくて良い (前準備なく活用できる)」ということは、マーケターにとって非常にありがたいことではないでしょうか。例えば、ディープラーニングにより、「自社サイトの画像と類似する画像をWebから自動で探し出す」ことが可能となり、マーケターは「ABテストを継続的に行うPDCA自動化ソリューションの考案を行う」というように、マーケティングの話だけに集中することができるようになります。まさにこれこそが、想像力を掻き立てるデータサイエンスです。もし、データの特徴を人間が考えていた場合、そのために多くの時間がとられることになります。「うちのサイトには猫の画像が多いから猫の特徴を調べよう!」「耳のとんがり具合を強調したほうが猫の検出程度が高くなります!」「大変です!! 来週から急きょ犬の特集が始まります!!」「イヌ・・だと・・・?」というようなことになってしまうかもしれません。○順番に関する情報全般に適応できる……かも?!さて、このようにすごい技術であるディープラーニングですが、実際には、どのような領域で活用されているのでしょう。研究が始まった2006年以降の「ディープラーニングに関する論文」2,586本をすべて調べてみました。下の図の左側にある花火のようなものは、内容の似ている論文同士をどんどんつなげていき、つながりが密になっている所をグルーピングした「学術俯瞰マップ」と呼ばれるグラフです。このグラフを用いることで、ある研究領域にどのような詳細なテーマが存在するか、さらにそれぞれのテーマに含まれる論文数や、テーマ同士の近さなどが分かります。このグラフに出てくるグループ(赤は定性データ対応、黄色は時系列データ対応など)は、さまざまな研究テーマに対応しているのですが、今回は青のグループに注目してください。青のグループはディープラーニングが得意とする「特徴の自動抽出」のグループです。さらに、この特徴の自動抽出のグループを同様の手法でグループ分けしたところ、画像認識に関するグループが半分以上の割合を占めました。一方、マーケティングに対する直接的な応用例のグループなどは現状見受けられません。これは、「まだ研究されていない」ということを意味します。このままディープラーニングの行く末は、「猫の顔分析マシーン」となってしまうのでしょうか……?ここで私が注目したのはタンパク質の構造分析です。タンパク質というのは、20種類以上あるアミノ酸が順番につながった紐のようなもので、最後にくるくるっと折りたたまれて機能を発現します。「タンパク質の分析がマーケティングの何の役に立つのだ?」と思われそうですが、マーケターは日々、「サイト内で○のような行動をした人は、××を買いやすい」ということを考えていますよね? これは、「アミノ酸がつながる順番からタンパク質の形がわかる」というシチュエーションと似ていませんか?ユーザーの行動パターンを分析する中で、「最初に見たページが一番大事なのでは?」「いやいや、直近の3ページが大事だ」「待て、このページを見たあとで、あのページを見たのでは印象が違うはずだ」というマーケターそれぞれの意見を、エンジニアが頭を捻って対応することは多いと思います。ディープラーニングは、こうした悩みを解消できます。ゴールとなる「好みの商品 (タンパク質の形)」と、ゴールを決めるWebページの閲覧順序(アミノ酸の順番)をデータ化するだけで、ユーザー行動のパターン分析は格段に楽になります。そのあとは、ディープラーニングがWebページの閲覧順序から、ユーザーの好みの商品を自動でさがしてくれる、かもしれません。○執筆者紹介山本 覚 (やまもと さとる)東京大学 博士課程 在籍時に松尾豊准教授の研究室で人工知能を専攻。その後、アイオイクス株式会社のLPO事業にプロダクトマネージャーとして参画し、導入者数300社超のLPOツール「DLPO」の全アルゴリズムを開発する。データマイニングを用いたWebページの改善実績は100社以上。「論理化されたものはシステムで処理し、人が人にしかできない営みに集中する環境を作る」ことを理念とし、データアーティスト株式会社 代表取締役社長に就任、現在に至る。
2015年08月25日Google Xのライフサイエンス・チームがXラボを離れてAlphabetの事業子会社として独立する。Google+でAlphabetのSergey Brin社長が明らかにした。ライフサイエンス・チームはGoogle Xにおいて、プロアクティブなヘルスケアを実現するテクノロジを開発しており、昨年1月に血糖値をモニターするスマートコンタクトレンズの開発プロジェクトを発表して大きな話題を呼んだ。新会社は、ソフトウエアエンジニア、腫瘍学者、光学専門家など様々なサイエンティストから成り、これまでライフサイエンス・チームを率いてきたAndy Conrad氏をCEOとする。事業報告構造は変わるが、目標は変わらず、他のライフサイエンス企業と協力しながらR&D初期の段階にある新しいテクノロジを臨床試験へと発展させる。
2015年08月24日メタップスとデジタルガレージ(DG)は6月30日、スマートフォンアプリの運用型広告を主要事業とするデジタルサイエンスラボを合弁で設立したことを発表した。同社の設立は、既存のセオリーを超える新しい視点や広告効果指標を提供し、より収益性の高いアプリ広告ソリューションを提供することを目的としたもの。DGのデジタルマーケティング領域におけるノウハウと、メタップスのグローバルな営業力とデータ解析技術を組み合わせることにより、両社の強みを活かしたスマートフォンアプリの広告ソリューションを提供する。今後は、取扱いメディアの領域拡大や広告商品の新規開発を行い、国内外のクライアントの収益化とグローバル展開を支援していく考えだ。
2015年06月30日山形カシオのダイビング向け水中トランシーバー「Logosease」(ロゴシーズ)が、東京都・上野の国立科学博物館で開催される「山形から未来を照らすサイエンス - 見る・聞く・感じるイノベーション -」にお目見えする。会期は2015年5月2日(土)~同年5月6日(水)の9時~18時(入館は閉館の30分前まで)、会場は国立科学博物館の日本館1階企画展示室、入場料は一般・大学生が620円(20名以上の団体は310円、高校生以下と65歳以上は無料)となっている。Logoseaseは、レジャーで使用する一般的なダイビング器材と干渉しないケーブルレス構造の水中トランシーバー。超音波・骨伝導・音声処理・防水といった技術を用い、水中で呼吸するレギュレーターをくわえたまま、水中での会話を実現できる。本体は水中マスクに装着するポケットサイズ。ラインナップはいくつかあるが、多機能な「アドヴァンスドモデル」の大きさは89.0×41.0×44.8mm、重さは約107gだ。耐水圧は55m、使用温度は0℃~40℃、水中での最大通信距離は50m~100m(水中の透明度や障害物などによって変わる)。電源の内蔵バッテリーはUSB充電方式で、駆動時間は約3時間(うち10%が送信時間の場合)。Logoseaseの開発にあたっては、地域の産学連携として、山形カシオと山形大学および東北芸術工科大学が協力し、2013年1月に商品化。今回の企画展は、山形大学が取り組む最先端の科学技術を、小中学生にも分かりやすく解説するものだ。Logoseaseは山形大学の研究成果のひとつとして紹介され、小学5年生の女の子がダイビングに挑戦する映像や、実際のダイビングで使う器材を展示する。
2015年04月18日DeNAライフサイエンスは2月27日、一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE」に新たな検査項目の「祖先」を追加した、新メニュー「ディスカバリー」の提供を開始すると発表した。MYCODEはオンラインで検査キットを申し込み、検査キットで自分の唾液を返送することで遺伝子の統計学的特徴や、疾病リスクを低減する可能性のある生活習慣へのアドバイスなどを提供するというもの。調べる検査項目数に応じて複数の検査メニューが設定されている。新メニュー「ディスカバリー」は、「遺伝子で自分のルーツを知る旅へ」をテーマに、自分の体質の遺伝的な傾向のほか、ハプログループと呼ばれるミトコンドリアDNAの遺伝的グループを分析することで、人類発祥の地から日本に至るまで自分の祖先がどのように移動したかを知ることができるという。また、祖先によって判明するハプログループを表現したキャラクターを結果と併せて提供する。通常価格は9800円(税別)で、2月16日以前に「MYCODE」を購入した人は、4月末まで先着1万名に無料で提供されるほか(提供開始は3月後半を予定)、以降は追加料金980円(税別)を支払うことで検査結果を閲覧できるという。また、280項目に対応した「オールインワン280+」と、がん・生活習慣病・体質など100項目を選んだ「ヘルスケア100+」の2つの検査メニューについては、検査内容はそのままに、それぞれの名称が「ヘルスケア」(2万9800円・税別)、「ヘルスケアLite」(1万9800円・税別)に変更された。なお、「カラダ30+」については、2月27日以降の購入ができなくなったほか、「カラダ30+」を受けた人は「ディスカバリー」の無料キャンペーン、有料での閲覧ともに対象外となるの。
2015年02月27日ディー・エヌ・エーの子会社、DeNAライフサイエンスはこのほど、「遺伝子検査」に関する調査の結果を公表した。同調査は、同社と東京大学医科学研究所との共同研究で、8月より遺伝子検査サービスの提供を開始し約3カ月が経過したことに伴い行った。調査は、全国の20代から70代の一般の男女を対象に10月、ディー・エヌ・エーが主体となり実施。1,200人の有効回答を得た。○知りたいことは三大疾病のリスク遺伝子検査の認知率は、6月実施の調査から12.7%アップして、100%に到達した。「遺伝子検査を受けてみたい」(32.5%)が、「受けてみたいと思わない」(23.8%)を上回る結果となった。一方で「今はわからない」(43.7%)が最も多い回答だった。「受けてみたい」と回答した世代別ランキングでは、1位が「20代」で50.5%となった。以下、2位が「30代」(49.0%)、3位は「50代」(30.5%)となった。遺伝子検査商品を選択する際に重視する上位項目は、「公的な研究機関が行っている」(63.5%)、「有名な検査機関が行っている」(56.7%)、「アフターケアが充実している」(52.6%)と、6月実施の調査と変わらない結果となった。遺伝子検査で知りたいことは、「病気のリスク」という回答が、「体質」関連の項目を大きく上回った。また、遺伝子検査で三大疾病のリスクを知りたくないと感じているのは、6.3%という回答になった。一般消費者は遺伝子検査で病気のリスクを「知りたい」という意識が、「知りたくない」を大きく上回っていることがわかったという。女優のアンジェリーナ・ジョリーが、遺伝子検査を受けて乳房を予防切除したことを知っている人は79.1%。遺伝子検査に関する知識のレベルに関する質問では、「ない」(21.7%)、「あまりない」(60.2%)という結果となった。多くの人が遺伝子検査に関する知識は自信がない、ということが浮き彫りになったという。
2014年11月25日スイッチサイエンスは、ドライバだけで組み立て可能な人型模型ロボットキット「RAPIRO(ラピロ)」の国内販売を開始したことを発表した。同ロボットの詳細は、企画者である機楽の石渡氏のインタビューを参照していただければ幸いだが、ボディはプラスチック製パーツ30個で構成されており、サーボモーターは片足2個ずつ、片腕3個ずつ、腰1個、首1個の合計12個が用いられている。また、両目部分はフルカラーLEDを採用しており、自由は発色で光らせることが可能だ。さらに、制御基板はArduino互換であるため、ユーザーのプログラミングに対する障壁を下げることが可能なほか、頭部に超小型・低価格Linuxパソコン「Raspberry Pi」を搭載することが可能であり、そちらの機能を活用することでBluetoothや無線LANによる外部接続なども可能となる。加えて、頭部にはRaspberry Pi専用オプションのカメラモジュールを搭載することも可能だ。電源はACアダプタ接続、もしくはニッケル水素充電池(単3形5個)で、ニッケル水素電池では45~90分程度の動作が可能だという。なお、販売は同社Webサイト、アマゾンマーケットプレイスのほか、同社の販売代理店にて取り扱われる予定。価格は4万4100円(消費税5%時)または4万5360円(消費税8%時)で、ロボット工学およびソフトウェアの分野での研究、教育、学習に加え、ホビーとしての使用を想定しているという。
2014年03月04日人工心臓弁、血行動態モニタリング技術等を手掛けるエドワーズライフサイエンスは26日、「心臓弁膜症に関する意識調査」の調査結果を発表した。この調査は、毎年9月29日に行われる心血管病予防キャンペーン「世界ハートの日」に向けた、一般の人向けの認知度調査。全国40歳以上の男女を対象に、40代はインターネット、その他は電話で8月1日から5日まで実施され、合計1,000名から回答を得た。「心臓弁膜症の認知度」を聞いたところ、「名前程度は知っている」「詳しく知っている」を合わせ、約80%の人が知っていた。年代別では、50代以降に比べ、40代の認知度が低いことが明らかになった。心臓弁膜症とは、心臓の弁の働きが悪くなり、血液の流れが滞ったり、逆流したりする病気。心臓に負担がかかり、息切れやめまい、胸が痛くなるなどの症状のほか、ひどい場合は失神、心不全などを引き起こし死に至ることもある。自然に治ることはなく、重症になると手術が必要となる。「心臓弁膜症は、本人に自覚症状がないまま悪化することがあると知っているか」との問いに「知っている」と答えた人は30%だった。この結果について、イムス葛飾ハートセンター院長の田鎖治医師(心臓血管外科)は、「心臓は筋肉でできているので、多少の負担がかかっても耐える能力があります。しかし、気づかずに放置してしまうと、かかり続けた負担で筋肉が弱り、手術で心臓弁を取り換えても元に戻らなくなってしまうこともあります」と解説している。「心臓弁膜症を身近な病気だと感じるか」との問いには、「身近だとは思えない」との回答が57%を占めた。また、「心臓弁膜症の原因」についての質問では、「生まれつきかかりやすい人がいると思う」が55%を超えた。一方で「高齢による動脈硬化に関連したものだと思う」との回答は25.5%に止まった。田鎖医師は「日本における心臓弁膜症の推定患者数は200~300万人とも言われています。最近の心臓弁膜症の主な原因は動脈硬化。長生きすれば誰もがかかりうる病気です」と解説している。「家族や友人などに自覚症状がある場合、医師への相談を勧めるか」との質問には、70%が「勧める」と回答した。一方で「自分に自覚症状がある場合、医師に相談に行くか」との質問に「行く」と答えた人は14%に止まった。アンケートの詳細報告と解説は「ニュースリリースのページ」で閲覧できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月01日メディアサイエンス・エスポアは19日、不足がちな酸素の摂取を補助する高濃度酵素リキッド「WOX(ウォックス)」300mlを自社サイトにて発売開始した。同製品は、酵素が水の中に長期間安定して溶存する新しいタイプのリキッドで、消化管から水と一緒に酵素が体内に吸収される。酸素は寝ている間に血液とともに体中を巡り、細胞の新陳代謝を活発にして疲労物質の除去とメンテナンスを行う働きがある。体のエネルギーを作り、若さを維持するために必要不可欠。酸素を効率的に摂取するには呼吸が重要とされるが、現状では加齢やストレス、生活習慣、疾病などで、多くの人が十分な酸素量を取り込めていない。同製品は、消化管からの酵素摂取を目的に開発されたもので、水と酸素を成分とし、開放(開栓)状態であっても30日以上30ppm以上の溶存酸素濃度を維持する。同製品は1本350円、同社サイト にて販売。1日1本が目安で、数回に分けてこまめに飲用する。特に就寝前や起床時など体が酸素を欲しているときが効果的とのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月23日神奈川県は、今後も高い成長が期待される新産業分野(ライフサイエンス、環境、そのほかロボットや航空宇宙分野等)を中心に、新規事業の立ち上げを目指すプロジェクトを全国から募集している。4月20日までの募集で認定件数は7件ほどの見込み。公募対象となるプロジェクトと申請者は、ライフサイエンス、環境、そのほかロボットや航空宇宙分野等を中心とした新産業分野のプロジェクトに取り組む人で、別に定める起業化支援パートナーを有するプロジェクトが対象となる。応募されたプロジェクトは、認定委員会による選考のうえ決定。プロジェクトに取り組むベンチャーや個人を、「次世代を担うかながわベンチャー」として認定し、原則として500万円を上限に、事業費の一部を支援する。神奈川県によると、この事業は平成17年度から実施しており、これまで61社の支援を実施してきたとのこと。平成24年度の認定予定件数は7件程度になる見込み。募集期間は平成24年3月26日~4月20日まで(当日消印有効)。募集要項・申請書は神奈川県ホームページよりダウンロードできる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月18日