ショパンが生きた時代の音楽を探求するため、ポーランド国立フリデリク・ショパン研究所(NIFC)によって2023年10月に第2回目が開催された『ショパン国際ピリオド楽器コンクール』。ショパンの音楽を彼が生きた時代の楽器で再現し、研究を深めること、また若いショパニストたちにピリオド楽器の世界へ足を踏み入れるきっかけを与えるため立ち上げられた国際コンクールだ。第2回同コンクールで優勝したのは、カナダ出身のエリック・グオ。モダンピアノの奏者でありながら、類まれなコントロール能力でピリオド楽器を演奏し、聴衆や審査員を魅了した。記者会見の登壇は、鈴木優人(バッハ・コレギウム・ジャパン(以下BCJ)首席指揮者)、2023年第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者エリック・グオ、ポーランド国立ショパン研究所所長 アルトゥール・シュクレネル。優勝者のエリック・グオは、「優勝から今まで、ショパンへの印象や理解はどう変化したか」という質問に、「今回、ショパンがいかに即興性の強い作曲家であるかを、ひしひしと感じた、ショパンを未来志向の作曲家であることを理解できたことは、私にとって大きな変化だった」と答えた。また、「ピリオドピアノはそれぞれの個体で全く異なるため、向き合い方も様々な対応が求められる。常にその楽器を理解しようとつとめ、毎回異なる経験をしている。ピリオド楽器を演奏することがモダン楽器の演奏を深め、また逆もあると思う」と述べた。エリック・グオは、すでに浜松と兵庫でリサイタルを行い、1月30日(火)東京オペラシティコンサートホールでの優勝者コンサートでは、1843年製プレイエル(タカギクラヴィア所有)を用いて鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパンとショパンのピアノ協奏曲第1番、第2番を演奏する。共演する鈴木優人は「演奏の中で即興的な生の会話ができるよう、新しいことに取り組む気概にみちたリハーサルが進んでいる」と明日の演奏会への期待を膨らませた。(提供:ジャパン・アーツ)第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール 優勝者コンサート■チケット情報()1月30日(火) 19:00開演東京オペラシティ コンサートホール
2024年01月30日今まで知らなかった本当のショパンに出会えそうだ。昨秋開催された「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」の優勝者エリック・グオ(カナダ)が来日、ショパンのピアノ協奏曲全2曲を一挙に弾く。バッハ・コレギウム・ジャパンを率いて共演する指揮者の鈴木優人は言う。「ショパンの協奏曲は、大編成の現代オーケストラには物足りないというか、(音量のバランスを気にして)独奏ピアノとフルパワーでぶつかり合う精神状態になれないんです。それがピリオド楽器のオーケストラだと、ソロとオーケストラががっぷり四つに組んで、競う合うように弾くことができる。とてもエキサイティングなショパンになりますよ!」それこそ協奏曲の醍醐味。ショパン国際ピリオド楽器コンクールは、あのショパン・コンクールと同じポーランドのショパン研究所が主催する、ピリオド楽器(つまり作曲家が生きた時代のピアノ)を使って競われる、“もうひとつの”ショパン・コンクール。19世紀のピアノは現代の楽器と比べると音量は小さいが音色は多彩。ピリオド楽器オーケストラとの共演なら両者がとてもバランスよく、互いにいきいきと弾ききることができるのだ。そしてなにより、あの親しんだ名曲が、ショパンが作曲時にイメージしていたままの響きでよみがえる。「ピアノはもちろんですが、ピリオド・オーケストラであることが、聴いた印象に大きく影響すると思います。ガット弦の弦楽器の色合いはショパンのナイーヴな音楽にぴったり。管楽器はほとんどが19世紀のオリジナル楽器を使います。バロック時代よりも状態の良いものが残っているので、レプリカでなくオリジナルの楽器を使いやすいんです。演奏ピッチはピアノに合わせてA=430Hzです」しかしじつは、どんな楽器を使うか以上に大事なのが、その姿勢自体なのだと説く。「根本的に大事なのは、音楽への対峙やアプローチの違い。その楽器を選択している奏者の思いや音楽への向き合い方が、やっぱり音に出ます」コンクールの優勝者グオは、じつは普段はモダン・ピアノ奏者として活動している。鍵盤奏者として、ピアノ、チェンバロ 、オルガンなど歴史楽器に精通した鈴木との共演を頼もしく感じているはず。「ソロとオーケストラが一体という気持ちで音楽を作ります。ソロだけでなく、ぜひ、その融合で生まれる全体の響きを聴いてください」取材・文:宮本明第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者コンサート■チケット情報()1月30日(火) 19:00開演東京オペラシティ コンサートホール
2024年01月26日クラシック音楽界は、昨年2022年にポーランドのワルシャワで開催された「ショパン国際ピアノ・コンクール(ショパン・コンクール)」の余波で沸き立っている。その理由は、世界最古にして最難関の同コンクールにおいて、反田恭平が2位、小林愛実が4位という歴史的な好成績を遺したからだ。ショパン・コンクールがこれほどまでに評価されるのは、過去の優勝者のレベルの高さにある。マルタ・アルゲリッチ(1965年)やマウリツィオ・ポリーニ(1960年)に、クリスティアン・ツィメルマン(1975年)などなど、現代のクラシック界における極めつけのスーパー・スターを輩出してきたことがその理由だ。その話題のコンクールにおいて、今をときめく反田恭平と第2位を分け合ったピアニスト、アレクサンダー・ガジェヴの来日公演が実現するとなれば、これは気になる。1994年イタリア生まれのガジェヴは、9歳でオーケストラとの共演を果たし、10歳でリサイタルデビューという早熟ぶりを発揮。2015年には「浜松国際ピアノコンクール」と2021年の「シドニー国際ピアノコンクール」で優勝を果たし、その勢いで挑んだ2022年の「ショパン国際ピアノコンクール」で2位入賞を果たした実力者だ。今回のリサイタルツアーにおいては、J.S.バッハ、フランク、ショパン&ムソルグスキーという多彩なプログラムを披露。ピアニストとしての完成度の高さを改めて認識させてくれる時間となりそうだ。未来を担う俊英の“今”を見逃すことなかれ。●アレクサンダー・ガジェヴからのメッセージ今回のリサイタルは、「心の動き」を巡るプログラムです。最初に演奏するバッハの変ホ長調のフランス組曲第4番は、私たちの魂を高揚させてくれます。そこからフランクの「前奏曲、フーガと変奏曲」へと旅を続けます。オルガン作品に基づくその美しい旋律は、メランコリックなスロー・ワルツを思わせます。遠い過去に思いを馳せるひと時となるでしょう。続いて3曲取り上げるショパンの夜想曲は、美しくも不穏なざわめきを喚起します。その心の動揺は、スケルツォ第3番で頂点を迎えます。ポーランドの作曲家ショパンが残した最もドラマティックな作品の一つですが、激しい展開の中にも心穏やかなコラールが姿を現します。それは冒頭のバッハと繋がる世界なのです。後半はムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」です。東方正教会の精神性を宿すこの作品は、キリスト教会と異教との主題が絡み合い、高雅と野卑、聖と俗、悲劇と喜劇とが融合して、ロシア文化の大いなる魅力を映し出します。この音楽の旅を皆さまとご一緒できることを楽しみにしています。アレクサンダー・ガジェヴピアノ・リサイタル■チケット情報月1日(水) 札幌コンサートホールKitara 大ホール11月3日(金・祝) 杜のホールはしもと・ホール11月4日(土) 北九州市立響ホール11月7日(火) 東京オペラシティ コンサートホール11月11日(土) 住友生命いずみホール11月12日(日) 東広島芸術文化ホールくらら大ホール
2023年10月24日笠井瑞丈×上村なおか主催、『今、ショパンを踊る』が2023年12月5日 (火) ~2023年12月7日 (木)に国分寺市立いずみホール(東京都国分寺市泉町3-36-12)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 〜人の内側にめくれた耳の形は ショパンを聴くためにある〜バッハ、モーツァルトの音楽には動物たちは耳をそばだてないベートーヴェンの音楽にはライオンも耳を傾けるしかしショパンのピアノ曲は蝶たちも踊り始める暗いポーランドの森の中瑞丈はショパンに似ている裕子はショパンの母になおかは姉にそして美紀子はジョルジュ・サンドを想わせるではないか(文章・笠井叡)笠井叡笠井叡の構成演出振付による新作ダンス公演「今、ショパンを踊る」。出演は笠井瑞丈、上村なおか、浅見裕子、そして笠井叡作品には初参加となる川村美紀子。笠井叡がこれまでソロでも踊ってきた「ピアノ協奏曲第一番」などの曲にこの4人のダンサーが取り組み、新たなる世界を創造する。今現在起きている戦争はヨーロッパの時代が終わりゆくことへの抵抗のようにも見える。パンデミックを経て世界の力関係が変化していく中で人間は一体どのような力を持ち得るのだろうか。 作曲家フレデリック・ショパンにはその父の影響もあり音楽家というより革命家の血が流れており、その音楽の中には古典派やロマン派とは全く違った革命的な力がある。そしてこの作品の作者である笠井叡の言によれば、ショパンは「音楽そのものがダンスしている」のである。この舞台では、古典とされる音楽が持つ革命的な力が、笠井瑞丈、上村なおか、浅見裕子、川村美紀子という4人の稀有なダンサーの身体と結びつき、ショパンその人の人生の如く燃焼し尽くすことで、ショパンの音楽の持つダンス性をまさに今「ダンスそのもの」として開示することを試みるものである。古典・近代・現在を貫いて、それが今この時代の革命となり時代の閉塞を突破することで、人間が持っている力の可能性を信じる希望としたい。笠井瑞丈上村なおか浅見裕子団体概要笠井瑞丈と上村なおかにより02年に設立。「他者とのダンスを通した交流・交感」「世代間の対話」の二つを基盤として、公演の企画制作、ワークショップ等を行っている。これまでの主な作品として、ピアノの高橋悠治の生演奏による笠井瑞丈振付デュオ作品「海とクジラ」(13年)、木佐貫邦子振付デュオ作品「R-i-P」(14年)、上村なおか自作ソロ作品「solo」(16年)、鈴木ユキオを迎えての笠井瑞丈振付グループ作品「雪の蠅」(17年)、笠井と上村の共同振付によるグループ作品「奇跡の星」(18年)、笠井叡・近藤良平・川村美紀子の3人の振付家による3つのデュオ 「2×3」(18年)がある。また、天使館における「ダンス現在」「night session」シリーズも継続して行っている。笠井瑞丈/Mitsutake Kasai笠井叡に舞踏を、山崎広太にダンスを師事。98年より自作のソロダンスを開始。様々なスタイルのダンスのエッセンスを取り入れながら独自の世界観を持つ作品を発表している。近年はソロだけでなく作品振付や客演でも注目を集めている。平成20年度文化庁新進芸術家海外留学研修員として、09年ニューヨークで1年間研修。10年横浜ソロ×デュオ・コンペティション・プラス審査員特別賞受賞。16年 テロ・サーリネンカンパニーの作品にゲスト出演。17年5月 振付笠井叡『花粉革命』を踊る。第 12 回日本ダンスフォーラム賞受賞。上村なおか/Naoka Uemura金沢市生まれ。幼少よりバレエを始める。木佐貫邦子にダンスを、笠井叡にダンスとオイリュトミーを師事し、作品にも多数出演。「ひとつの身体」の可能性を探るべく95年より自作ソロダンスを開始。16年より、言葉とカラダの結びつきを探求するシリーズ「Life」始動。「身体の発見と冒険」をキーワードに様々なジャンルのアーティストとの協働作業やワークショップ、振付、共作、客演も積極的に行う。第36回舞踊批評家協会新人賞受賞。桜美林大学芸術文化学群などで講師も務めている。公演概要『今、ショパンを踊る』公演期間:2023年12月5日 (火) ~2023年12月7日 (木)会場:国分寺市立いずみホール(東京都国分寺市泉町3-36-12)■出演者笠井瑞丈上村なおか浅見裕子川村美紀子■スタッフ構成・演出・振付:笠井叡照明:森下泰(ライトシップ)音響:角田寛生舞台監督:金子美月主催:笠井瑞丈×上村なおか■公演スケジュール12月5日(火)19:0012月6日(水)19:0012月7日(木)19:00※開場は、開演の30分前です。■チケット料金(全席自由・税込)前売一般:3,500円学生:2,500円当日一般:4,000円学生:3,000円<カンフェティ席(会員限定特別割引席)設置公演>(全席自由・税込)一般:3,500円学生:2,500円カンフェティ席300円割引!3,500円→ カンフェティ席3,200円! 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年10月13日昨年のツアーではsold out続出のピアノリサイタルをお聞き逃しなく!2021年 第18回ショパン国際ピアノ・コンクールで第2位を反田恭平氏と分かち合い、併せてクリスチャン・ツィメルマン賞(ソナタ最優秀演奏賞)を受賞したアレクサンダー・ガジェヴのピアノリサイタルが、2023年11月12日(日)14時00分から東広島芸術文化ホールくらら(広島県東広島市)の大ホールで開催される。Profileゴリツィア(イタリア)生まれ。9歳でオーケストラと初共演、10歳で初リサイタルを開いた。17歳の時、イタリアの教育機関で最高評価を得た若手だけが競うコンクール「プレミオ・ヴェネツィア」(2013年)で優勝。その後2015年からは同年の浜松や、2018年モンテカルロ、2021年のシドニーなど、現在まで参加した国際コンクールでほぼすべて優勝している。2021年のショパン国際コンクールの第2位およびソナタ賞受賞は非常に注目された。2022年イタリアで権威あるフランコ・アッビアーティ賞を受賞。これまでルイージ指揮/RAI国立響、ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管をはじめ、指揮者ではテミルカーノフ、ヴィト、井上道義、山田和樹らと共演している。今後はハレ管、ミラノ・ヴェルディ響などと共演を予定。ヴェルビエ音楽祭やオールドバラ音楽祭などにも参加している。《Program》J.S.バッハ:フランス組曲第4番 変ホ長調 BWV815C.フランク(H.バウアー編):前奏曲、フーガと変奏曲ロ短調 op.18ショパン:ノクターン 第4番 ヘ長調 op.15-1ノクターン 第5番 嬰ヘ長調 op.15-2ノクターン 第13番 ハ短調 op.48-1スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 op.39ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』※曲目・曲順は変更になる場合もございます。~ガジェヴ氏より、リサイタルにむけてのメッセージです~今回のリサイタルは、「心の動き」を巡るプログラムです。最初に演奏するバッハの変ホ長調のフランス組曲第4番は、私たちの魂を高揚させてくれます。そこからフランクの「前奏曲、フーガと変奏曲」へと旅を続けます。オルガン作品に基づくその美しい旋律は、メランコリックなスロー・ワルツを思わせます。遠い過去に思いを馳せるひと時となるでしょう。続いて3曲取り上げるショパンの夜想曲は、美しくも不穏なざわめきを喚起します。その心の動揺は、スケルツォ第3番で頂点を迎えます。ポーランドの作曲家ショパンが残した最もドラマティックな作品の一つですが、激しい展開の中にも心穏やかなコラールが姿を現します。それは冒頭のバッハと繋がる世界なのです。後半はムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」です。東方正教会の精神性を宿すこの作品は、キリスト教会と異教との主題が絡み合い、高雅と野卑、聖と俗、悲劇と喜劇とが融合して、ロシア文化の大いなる魅力を映し出します。この音楽の旅を皆さまとご一緒できることを楽しみにしています。アレクサンダー・ガジェヴ ピアノリサイタル【日時】2023年11月12日(日)14:00開演(14:30開場)【会場】東広島芸術文化ホールくらら大ホール【チケット料金】全席指定・税込SS席:5,000円(残りわずか)S席:4,500円A席:3,500円学生(大学生以下):全席2,000円【チケット取扱】・くらら チケットセンターTel. 082-426-5990・チケットぴあ (Pコード 249-163)【お問合わせ】東広島芸術文化ホールくらら チケットセンター〒739-0015東広島市西条栄町7-19(10:00~19:00土日祝営業)Tel. 082-426-5990 *未就学児入場不可*学生券は購入時または公演入場時要学生証提示*車椅子席・介助者席はくららチケットセンターのみ取扱い 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年09月23日2023年1月1日、ピアニストの反田恭平さんが、結婚したことをTwitterで報告しました。お相手は、同じくピアニストの小林愛実さん。2人はそれぞれTwitterで連名入りの文章を公開し、結婚への想いをつづっっています。いつも応援してくださっている皆様へこの度、私たち反田恭平と小林愛実は結婚いたしました。そして新しい命を授かりました事をご報告いたします。小林は、今後体調を見ながらお仕事をさせていただき、延期や出演の見送りなど、ご迷惑をおかけすることもありますが、また、会場で皆様にお会いできる日を本当に楽しみにしております。これからは2人で支え合いながら、互いに音楽家としてより一層精進していきたいと思っていますので、私たち夫婦を温かく見守って頂ければ幸いです。@kyohei0901ーより引用ご報告です。 pic.twitter.com/W0Xu81Ht1J — 反田恭平 Kyohei Sorita (@kyohei0901) January 1, 2023 結婚と同時に、小林さんの第1子妊娠も明かされています。2021年に行われた国際音楽コンクール『第18回ショパン国際ピアノ・コンクール』で、反田さんが2位、小林さんが4位で受賞。同大会で日本人が2位を受賞するのは、1970年に出場した内田光子さん以来とあって、大きな話題を呼びました。反田さんと小林さんの結婚発表に、多くの人が祝福しています。・将来が有望な2人のピアニスト同士が結婚か!今後も楽しみですね。・『ショパン国際ピアノ・コンクール』で研磨し合った2人が結婚するなんて、漫画みたいな設定!・「この2人が結婚してほしいな」と思っていたら本当にするとは…!今後、反田さんと小林さんは夫婦として人生をともに歩みつつ、ピアニストとしてもさらに技術を磨いていくことでしょう。反田さんと小林さん、ご結婚おめでとうございます![文・構成/grape編集部]
2023年01月02日2015年の第17回「ショパン国際ピアノコンクール」優勝者チョ・ソンジンの来日公演が近づいてきた(2022年8月25日東京オペラシティ他)。今回の公演は、コロナ禍による2度の延期を経て、2019年以来3年ぶりに実現するステージだけに期待が募る。今回予定されるプログラムについては、後半に置かれたロマン派の名曲はもちろんのこと、冒頭に置かれたヘンデルの「クラブサン組曲」に興味津々。往年のピアノファンにとっては、リヒテルとガヴリーロフが交互に演奏を繰り返した録音や、キースジャレットによる名盤が記憶に残っているに違いない。演奏される機会が決して多いとは言えないながら、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」に勝るとも劣らない鍵盤楽器のための名曲だ。チョ・ソンジンの繊細なピアニズムによって、ヘンデルの力作に再び注目が集まることに期待したい。大きな話題となったショパンコンクール優勝から7年。今や世界のトップピアニストとして活躍するチョ・ソンジンの進化と深化やいかに。なにはともあれ、3度目の正直となる今回こそは、無事に開催されることを祈るばかりだ。●チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル2022年8月25日(木)19:00東京オペラシティコンサートホール(完売)<プログラム>ヘンデル:クラヴサン(チェンバロ)組曲第2番ヘ長調HWV427ヘンデル:クラヴサン(チェンバロ)組曲第8番へ短調HWV433ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 変ロ長調 Op.24***シューマン:3つの幻想小曲集 Op.111シューマン:交響的練習曲 Op.13公演詳細: <他公演日程>8/23(火)18:45 愛知県芸術劇場コンサートホール8/27(土)15:00 よこすか芸術劇場<プログラム>ヘンデル:クラヴサン(チェンバロ)組曲第5番ホ長調HWV430ヘンデル:クラヴサン(チェンバロ)組曲第7番変ロ長調HWV440ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 変ロ長調 Op.24***ショパン:スケルツォ第1番〜第4番
2022年07月21日株式会社日本アーティスト(所在地:東京都杉並区、代表取締役:幡野 菜穂子)は、2022年7月18日(月・祝)に、人気・実力とも世界最高峰のピアニストであるショパンコンクールの覇者『スタニスラフ・ブーニン』の9年ぶりの公演を主催します。ブーニン氏1待ち望んだ伝説との再会。ピアノの巨匠ブーニン氏自身が語る今、そして、ショパン国際ピアノコンクール優勝から更に熟練を極めたピアノ。9年の時を経て、再び日本で響く。ブーニン氏2■「スタニスラフ・ブーニン~再会~」公演日時:2022年7月18日(月・祝)15:00開演会場 :昭和女子大学 人見記念講堂■コンサート内容1985年ショパン国際ピアノコンクール、観衆を熱狂させた当時若干19歳のスタニスラフ・ブーニン氏。その後の初来日公演では“ブーニン・ブーム”と呼ばれるほどの一大センセーションを巻き起こしました。その伝説のブーニン氏が、9年間の休養を経て日本のファンと『再会』する公演を、7月18日(月・祝)、昭和女子大学 人見記念講堂にて開催します。公演は2部構成。1部は、ブーニン氏にお話を伺うトークショー。朝岡 聡氏に司会を務めていただきブーニン氏の魅力に迫ります。2部では熟練を重ねた今のブーニン氏の魅力的なピアノに『再会』。再会に選んだ曲はやはりシューマン。“やはりシューマン”というその理由、伝説と呼ぶにふさわしいブーニン氏の、新たな魅力を目撃する公演です。■スタニスラフ・ブーニン氏からのメッセージ『世界が変わると言われる今、私は精神的な存在の根底にある宝を浮き彫りにするために、一歩前に踏み出します。魔法のように引き寄せられて、今、シューマン音楽への取り組みは、まさにその衝動に駆られる対象になっています。』サイン■東京公演 詳細公演日時 :2022年7月18日(月・祝)開場 14:15 開演 15:00会場 :昭和女子大学 人見記念講堂出演 :スタニスラフ・ブーニン(ピアノ)朝岡 聡(司会)浜野 与志男(通訳)チケット料金:S席8,000円(税込) A席6,000円(税込) B席4,000円(税込)曲目 :シューマン 色とりどりの小品 作品99※曲目は変更になる場合がございます。予めご了承ください。※未就学児入場不可チラシ<チケット販売窓口>・日本アーティストチケットセンターTEL : 03-5305-4545(平日10:00~18:00・不定休) ※オペレーター対応e-mail: info@nipponartists.jp ・チケットぴあ(Pコード:216-644) ・イープラス(Lコード:35288) ・ローソンチケット ■出演者 プロフィール・スタニスラフ・ブーニン(ピアノ) Stanislav Buninリヒテルやギレリス等の巨匠を育てた名教育者G.ネイガウスを祖父とし、1966年モスクワに生まれた。1983年ロン=ティボー国際コンクールに17歳で優勝。1985年第11回ショパン国際ピアノコンクール優勝。EMIと専属契約を結び10枚以上のCDを録音。1999年ヨーロッパにおける演奏活動が高く評価され“Viotti d'Oro賞”受賞。1999年から全8回におよぶ「ショパン・チクルス」開始。国内ではワルシャワ・フィル、プラハ放送響、ベルリン響、N響、読響他数多くのオーケストラと共演。ブーニン氏は、1988年のアルメニア大地震、阪神・淡路大震災、 奥尻島地震などの直後に被災した子供たちの元を訪れチャリティコンサートの開催やピアノを寄付するなどの支援活動を行ってきた。2010年ショパンコンクール優勝25周年を記念しユニセフへのチャリティ・ガラ・コンサート開催。更に8月にはワルシャワで、アルゲリッチ等も参加し1ヶ月に亘って開催された「生誕200年ショパンフェスティバル」の最終日に出演、音楽祭を締めくくった。演奏後の拍手は鳴り止まず、満員の聴衆を魅了した。2011年7月には東日本大震災で孤児となった子供たちの為に、中村 紘子、山下 洋輔両氏を迎え「S. ブーニン・チャリティ・ガラ・コンサート」を開催、収益金はすべてあしなが育英会に寄付。 2012年4月には、被災地仙台三桜高校音楽部と共演。7月、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会を支援するコンサート開催。12月にはベルリン交響楽団とドイツ・ベルリンフィルハーモニーホールにてシューマンのピアノ協奏曲を共演。大好評を博す。・朝岡 聡(司会)朝岡 聡フリーアナウンサー、コンサートソムリエ。慶應義塾大学卒業後、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。久米 宏「ニュースステーション」「はなきんデータランド」「ウィンブルドンテニス中継」「プロ野球中継」「ニュースシャトル」などスポーツ、情報、報道番組で活躍。フリーになってからはTV・ラジオ・各種CMに加え、クラシックやオペラのコンサート企画や司会にもフィールドを広げる。その進行やインタビューは、興味深いテーマを軽妙なタッチで語るのが特徴で、芸術の裾野を広げる司会者として注目と信頼を集めている。東京フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団など国内オーケストラをはじめ、東京文化会館、サントリーホール、Bunkamuraオーチャードホールなどの主催コンサートに多く参加するほか海外オケ・アーティストとの共演も多数。リコーダーを大竹 尚之、吉澤 実の両氏に師事、玄人はだしの腕前である。著書に「笛の楽園~僕のリコーダー人生~」(東京書籍)、「いくぞ!オペラな街」(小学館)、「恋とはどんなものかしら~歌劇的恋愛のカタチ~」(東京新聞)など。東京藝術大学客員教授。日本ロッシーニ協会副会長。■会社概要会社名 : 株式会社日本アーティスト代表者 : 代表取締役 幡野 菜穂子所在地 : 東京都杉並区高円寺南4-7-1-4F設立 : 2013年12月事業内容: コンサート・プロモーター。海外、日本のコンサートを企画・招聘URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月22日昨秋日本でも大きな話題となった第18回ショパン国際ピアノコンクールにおいて、第3位に輝いたスペインの新鋭、マルティン・ガルシア・ガルシアの初来日公演が開催される。スペイン、ヒホン生まれのマルティン・ガルシア・ガルシアは、2018年にニューヨークで開催された「国際キーボード・インスティテュート&フェスティヴァル」で第1位を獲得したことを皮切りに、2021年「クリーブランド国際ピアノコンクール」で優勝。その勢いで臨んだ2021年秋の「第18回ショパン国際ピアノコンクール」で3位入賞を果たし、一躍国際的にその名を知れるようになった新鋭だ。コンクールでの活躍の模様はYou Tubeを通じて世界中に配信されたことも記憶に新しいマルティン・ガルシア・ガルシアの初来日公演が実現するとなれば、これは見逃せない。東京で予定されるのは、オール・ショパンプログラムの「リサイタル」と、ショパンのピアノ協奏曲を披露する「協奏曲の夕べ」の2公演。特に昨秋のショパン国際ピアノコンクールに於いて「最優秀協奏曲特別賞」を受賞した協奏曲演奏は気になるところだ。ショパン・コンクール第3位の実力や如何に!?
2022年05月19日広島ホームテレビ(所在地:広島県広島市代表取締役社長:三吉 吉三)は、主催で2022年6月19日(日)「小林愛実 オール・ショパン ピアノ・リサイタル~ショパンコンクール4位入賞! 蘇る!!ワルシャワの感動!!~」を三原市芸術文化センター ポポロで開催いたします。熟考された演奏解釈を揺るぎない設計図として、自在なテクニック、大胆さと繊細さを合わせ持つ高い表現力で、演奏を繰り広げる小林愛実。彼女にとって❝特別な作曲家であり続ける❞というショパンの世界を存分に感じてください。©Darek Golik / Chopin Institute小林愛実プロフィール2021年10月「第18回ショパン国際ピアノコンクール」 第4位入賞。7歳でオーケストラと共演、9歳で国際デビューを果たした。数多くの国に招かれ、スピヴァコフ指揮モスクワ・ヴィルトゥオーゾ、ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラなど国内外の多数のオーケストラと共演。2010年に14歳でEMI ClassicsよりCDデビューし、サントリーホールで日本人最年少となるリサイタルを開催した。2015年10月「第17回ショパン国際ピアノコンクール」ではファイナリストとなった。2018年にはワーナークラシックスとインターナショナル契約し、「ニュー・ステージ~リスト&ショパンを弾く」をリリース。最新CDは、「ショパン:前奏曲集 他」。現在、フィラデルフィア・カーティス音楽院で、マンチェ・リュウ教授のもと研鑽を積んでいる。メッセージ三原市芸術文化センターポポロは、私が15歳の時に2枚目のアルバム「熱情」を録音させて頂いた思い出深いホールです。その時の美しいホールの響きを今でも鮮明に覚えています。今回はリサイタルでまたこのホールに戻って来る事ができ、嬉しく思っております。今回は、ショパンの24の前奏曲とスケルツォ全曲のプログラムです。ショパンの様々な魅力を皆様と共有できる事を今から楽しみにしております。(小林愛実)プログラム※オール・ショパン・プログラム24の前奏曲 作品28****************スケルツォ 第1番 ロ短調 作品20/スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 作品39/スケルツォ 第4番 ホ長調 作品54※曲目、曲順はやむを得ない事情により変更になる場合がございますので、予めご了承下さい。公演概要公演名:小林愛実 オール・ショパン ピアノ・リサイタル~ショパンコンクール4位入賞! 蘇る!!ワルシャワの感動!!~日時:6月19日(日) 15:00開演 (14:15開場)会場:三原市芸術文化センター ポポロ料金:一般 4,800円(ポポロクラブ会員 4,300円)、ペア 9,000円※未就学児童の方のご入場はお断りさせていただきます。※ご来場の際には、マスク着用・検温のご協力をお願いいたします。〔チケット情報〕-------------------------------------------------------------------------------★ポポロ先行発売3月19日(土)~■ポポロ(0848)81-0886■ポポロオンライン -------------------------------------------------------------------------------★一般発売3月26日(土)10:00~■ポポロ(0848)81-0886■ポポロオンライン ■チケットぴあ(Pコード:212-619) (PC/携帯)■ローソンチケット(Lコード:62484) (PC/携帯)※ローソン・セブン-イレブンで店頭販売あり-------------------------------------------------------------------------------※新型コロナウイルス感染拡大予防のための業種別ガイドラインを踏まえた内容にて販売いたします。※公演中止の場合を除き、お客様の体調不良および新型コロナウイルス感染によるチケットの払い戻しは致しません。チケットご購入の際はご自身の体調や環境をふまえご判断くださいますようお願い致します。▼イベントページはこちら : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月17日昨年秋に開催されたショパン国際ピアノコンクールで第4位に入賞した、ピアニストの小林愛実。子供の頃から天才少女として注目され、華やかな演奏活動を続けてきた彼女は、2度目の挑戦となった今回のショパン国際ピアノコンクールへの入賞で、より広い世界に向かう扉を開いた。今、まさに新たな飛躍の瞬間にあり、音楽界から熱い視線を集める。そんな小林が、2月28日(月)、東京都交響楽団の定期演奏会に登場。同楽団音楽監督の大野和士のタクトのもと、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏する。この曲は彼女が、一度目の挑戦となった前回2015年のショパン国際ピアノコンクール前、10代最後の頃からレパートリーとする作品。ベートーヴェン中期の傑作であり、ピアノ協奏曲の新しい表現に挑む作曲家の創意があふれ出すような楽曲だ。以前、小林はベートーヴェンについて、「自らの気持ちをダイレクトにぶつけて作曲しているように感じる作曲家なので、自分も感情をぶつけて演奏する。ただこの第4番のピアノ協奏曲は穏やかな部分が多く、他の作品とは何かが違うように感じる」と話していた。明るく前向きな雰囲気の中に繊細さを備えた楽曲に、彼女の生き生きとして推進力のある音楽性は、よく合うだろう。小柄な体から繰り出されるしなやかな音、パワフルな音のコントラストにも、大いに期待できそう。小林は20代を迎えてから、自らがピアノを弾く意味をあらためて掴んだといい、「自分の個性というものは、音楽にただ真摯に向き合うなかで見えてきたり、築かれたりするものだと思う」と語る。目指す方向を見出し、気持ちの強さを手に入れた今の彼女の演奏は、確信に満ち、想いがまっすぐ聴き手に伝わってくる。ピアノとオーケストラが親しく対話するような作品で、東京都交響楽団、そして初共演となるマエストロ大野に小林はどんな音楽を持ちかけ、そしてオーケストラはそれにどのように応えるのだろうか。楽しみな演奏会だ。文:音楽ライター 高坂はる香東京都交響楽団 第944回 定期演奏会日程:2022/2/28(月) 19:00開演会場:東京文化会館 大ホール■チケット情報
2022年02月18日昨年秋に開催されたショパン国際ピアノコンクールで第4位に入賞した、ピアニストの小林愛実。子供の頃から天才少女として注目され、華やかな演奏活動を続けてきた彼女は、2度目の挑戦となった今回のショパン国際ピアノコンクールへの入賞で、より広い世界に向かう扉を開いた。今、まさに新たな飛躍の瞬間にあり、音楽界から熱い視線を集める。そんな小林が、2月28日、東京都交響楽団の定期演奏会に登場。同楽団音楽監督の大野和士のタクトのもと、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏する。この曲は彼女が、一度目の挑戦となった前回2015年のショパン国際ピアノコンクール前、10代最後の頃からレパートリーとする作品。ベートーヴェン中期の傑作であり、ピアノ協奏曲の新しい表現に挑む作曲家の創意があふれ出すような楽曲だ。以前、小林はベートーヴェンについて、「自らの気持ちをダイレクトにぶつけて作曲しているように感じる作曲家なので、自分も感情をぶつけて演奏する。ただこの第4番のピアノ協奏曲は穏やかな部分が多く、他の作品とは何かが違うように感じる」と話していた。明るく前向きな雰囲気の中に繊細さを備えた楽曲に、彼女の生き生きとして推進力のある音楽性は、よく合うだろう。小柄な体から繰り出されるしなやかな音、パワフルな音のコントラストにも、大いに期待できそう。小林は20代を迎えてから、自らがピアノを弾く意味をあらためて掴んだといい、「自分の個性というものは、音楽にただ真摯に向き合うなかで見えてきたり、築かれたりするものだと思う」と語る。目指す方向を見出し、気持ちの強さを手に入れた今の彼女の演奏は、確信に満ち、想いがまっすぐ聴き手に伝わってくる。ピアノとオーケストラが親しく対話するような作品で、東京都交響楽団、そして初共演となるマエストロ大野に小林はどんな音楽を持ちかけ、そしてオーケストラはそれにどのように応えるのだろうか。楽しみな演奏会だ。チケットはチケットぴあで2月25日(金)まで販売中。(文:音楽ライター 高坂はる香)■東京都交響楽団 第944回 定期演奏会日程:2022/2/28(月) 19:00開演会場:東京文化会館 大ホール
2022年02月17日朗読劇『いつもポケットにショパン 〜2nd Lesson〜』が、1月13日に東京・紀伊國屋ホールにて開幕した。くらもちふさこの同名コミックを原作とした朗読劇シリーズ第2弾となる本作。ピアニストを目指す主人公・須江麻子とその幼なじみ・緒方季晋のすれ違いと成長が、甘酸っぱい青春模様を交えて描かれる。キャストは日替わりで8組の俳優・声優陣がラインナップ。2019年の第1弾と同じく、脚本を吉田玲子、演出を酒井麻衣が続投する。取材日だった初日のキャスティングは、尾崎由香&高野洸ペア。尾崎は三つ編み姿が初々しく、高野はピンク色の大きなポケットが印象的なジャケットを羽織って登場した。ピアニスト・里見有香が生演奏するショパン「小犬のワルツ」に乗って、尾崎と高野は同じピアノ教室に通う麻子と季晋の仲睦まじい幼少期を微笑ましく演じながら、客席を劇世界へといざなう。季晋のドイツ留学と滞在先での列車事故を機に、幼い二人は離れ離れとなってしまう。やがて音楽高校に進学した麻子は、有名ピアニストの母と比較される劣等感を拭えず落ちこぼれていた。そんなある日、帰国した季晋が別の音楽高校へ通っているという話を耳にする。再会の喜びに湧く麻子に対して、季晋はまるで別人のように彼女を憎んでいた。幼少期の麻子は明るく純粋で、おしゃべりな少女だった。しかし成長するにつれ、母へのコンプレックスから感情表現が乏しくなり、演奏にも表れるように。朗読はモノローグを中心に進行するため気持ちを饒舌に語っているように聞こえるが、尾崎は高校生になった麻子の屈託を、幼少期のあどけない声音と比べてトーンを下げることで獲得していた。これに対して先輩や教師、そして季晋との交流を通じて次第にピアノに“覚醒”していく様子も鮮烈に造形する。「あいつ(=麻子)よりすごいピアニストになるんだ」──。列車事故でこの世を去った母の無念を知り、麻子に対して異様な競争心をたぎらせる季晋。高野は時に台本から目を離しながら、親の仇を討つような険しい視線を麻子に向ける。激しい苦悩や葛藤の描写がバラエティ豊かだったのはもちろん、麻子の先輩や教師など多様なキャラクターなどにも声色を変えて扮する巧みな演じ分けが光っていた。麻子との雪解けシーンでは“身長差”に萌えた観客も多いだろう。上演時間は100分ほど(休憩なし)。公演は1月23日(日)まで。チケットぴあでは現在、当日引換券を販売中。取材・文:岡山朋代
2022年01月14日6年ぶりに開催された「ショパン国際ピアノコンクール」の熱気も冷めやらぬ中、日本人入賞者2人(反田恭平&小林愛実)の共演が早くも実現する(2021年12月8日:東京芸術劇場コンサートホール)。この豪華なステージが企画されたのはコンクールのはるか以前であるはずだけに、企画者の先見の明に拍手を贈りたい。同公演の企画の趣旨は、ピアノ・デュオ(2台のピアノ)演奏」によって、2人の異なる個性を持つピアニストが、それぞれの表現力や感性、技術がぶつかり合うことで生まれる、ライブでしか味わえない熱狂的な空間を想像する新しい形のリサイタル。敢えて「VS」という挑戦的なシリーズ・タイトルを提示したのは、初顔合わせとなる2人のピアニスト、ジャンルの違う2人のピアニストなど、表現の交歓の中で即興的に生まれていく、予想することのできない“衝突”や“情熱”を、お客様も一緒に体感していただきたいという思いからだという。「ショパン国際ピアノコンクール」で大きな話題となった2人のピアニストの共演&競演。その奇跡的な瞬間が目前だ。●公演概要12月8日(水)東京芸術劇場コンサートホール芸劇リサイタル・シリーズ「VS」 Vol.1 反田恭平 × 小林愛実(プログラム)モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 KV448シューマン:小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品 作品85 より第4曲「花輪を編みながら」ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲シューベルト:幻想曲 ヘ短調 作品103 D940ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 作品56b
2021年11月05日6年ぶりに開催されたクラシック界最高の若手ピアニストの登竜門「第18回ショパン国際ピアノ・コンクール」の結果が発表された。優勝の栄冠はカナダのブルース・リウに輝き、スター誕生のニュースが世界中を駆け巡った。日本人の参加者に於いては、反田恭平(2位)、小林愛実(4位)という好成績が印象に残る結果となった。その入賞者によるガラ・コンサートが開催されるとなればこれは聴き逃がせない。クラシック界の未来を担う若き入賞ピアニストたちの躍動に期待したい。●公演情報「第18回ショパン国際ピアノ‧コンクール2021 入賞者ガラ‧コンサート」2022年2月1日(火)、2月2日(水)東京芸術劇場コンサートホール※詳細は、後日Webなどで発表予定⇒ ●第18回ショパン国際ピアノ・コンクール入賞者第1位ブルース(シャオユー)リウBruce (Xiaoyu) Liu第2位アレクサンダー・ガジェヴAlexander Gadjiev<ソナタ賞>第2位反田恭平Kyohei Sorita第3位マルティン・ガルシア・ガルシアMartin Garcia Garcia <コンチェルト賞>第4位小林愛実Aimi Kobayashi第4位ヤクブ・クシリックJakub Kuszlik<マズルカ賞>第5位レオノーラ・アルメリーニLeonora Armellini第6位J J ジュン・リ・ブイ J J Jun Li Bui●ブルース(シャオユー)リウ (カナダ)1997年5月8日パリ生まれ。モントリオール・コンセルヴァトワールでリチャード・レイモンドに師事し卒業、現在はダン・タイ・ソンに師事している。クリーヴランド管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、モントリオール交響楽団、オーケストラ・オブ・ジ・アメリカズなどの主要オーケストラと共演しており、中国国家大劇院管弦楽団とは北米ツアーを行った。最近のシーズンには、ウクライナ国立交響楽団、リヴィウ・フィルハーモニー管弦楽団と連続する二度の中国ツアー(中国国家大劇院、北京音楽庁、上海東方芸術センターなどへの出演を含む)を行ったほか、サル・ガヴォーでラムルー管弦楽団とも共演。仙台、モントリオール、テル・アヴィヴ、ヴィセウの国際コンクールで入賞している。
2021年10月27日5年に1度、ショパンの祖国ポーランド・ワルシャワで行われる「ショパン国際ピアノコンクール」開催が目前だ(2021年10月2日〜23日)。本来ならば2020年秋の予定が、コロナ禍によって1年延期。2021年10月17日のショパンの命日を含む前後20日あまりの開催となった第18回。ポリーニやアルゲリッチにツィメルマンなど、今に至るピアノ界のスーパースターを多数輩出してきた同コンクールだけに、世界中のクラシックファンが注目するのも納得だ。さて、ショパン作品のみが演奏課題とされる「ショパン国際ピアノコンクール」だけに、ショパンの名曲を知っておくのはコンクールを楽しむ上での必須条件。そのための予習にピッタリのコンサートが開催される(9月26日:サントリーホール)。「ショパンの旅」と題された及川浩治のリサイタルは全国で3万5千人以上を動員し、日本全国で大きな感動を呼んだ人気企画。特にショパンの没後150年にあたる1999年に開催されたプログラムの充実ぶりは今も語り継がれる素晴らしさだ。そのコンサートが復活するとなれば聴き逃がせない。「ノクターン第20番」や「幻想即興曲」に「英雄ポロネーズ」などなど。ショパンの代表作がこれでもかとばかりに繰り出されるステージは、まさにショパン尽くしの極地。コンクールに向けての予習はこれで完璧と言えそうだ。感動の原点に向き合う及川浩治のパフォーマンスに注目したい。●公演詳細9月26日(日)サントリーホール大ホール及川浩治ピアノ・リサイタル「ショパンの旅」1999年オリジナル版
2021年09月11日ピアニスト及川浩治のオール・ショパン・リサイタル「ショパンの旅」[9月26日(日)サントリーホール・10月31日(日)シンフォニーホール]は、及川自身が書いた台本による語りを交え、よく知られた名曲を中心に作曲家の人生を辿る興味深い企画。実はこれ、1999年のショパン没後150年に全国で3万5千人を動員した伝説のコンサートの初めての再演だ。「まだデビュー5年目。その頃は協奏曲を中心に活動していて、ソロ・リサイタルの機会があまりなかったんです。あるホールに打診したら、『新人で大ホールを埋めるのは難しい。何か企画を考えて』と言われてしまって。必死にプランを練って持っていったのがこれでした。すると、あっという間に完売で追加公演。全国に展開していただけることになり、自分でもびっくりしました。しっかり考えたことは結果に出るのだと初めて気づかされた、初心、原点のコンサートです」語り部分は、ショパン自身を始めとする、当時の人々の〝証言〟で構成されている。及川自身のショパンへの思いなどの主観はあえて排した。「何冊も本を読んで。大変でした(笑)。でも専門の作家の方にお願いするよりも、ピアニストとして、曲の感覚に直結するような言葉を選ぶことができたと思います。もちろん、知ることで演奏に反映された要素も。そういう意味でもショパンについて一番勉強した年でした」22年を経ての再演。当時よりも自然体でショパンと向き合えると語る。「歳を取って、多少なりともショパンの音楽への共感度が深まっているはず。つい先日、10数年ぶりにピアノ協奏曲第1番を弾かせていただいたんですけれども、やっぱりめちゃくちゃいいなと思って。自分のアプローチが自然体になっているのを感じました。僕はよく、〝情熱のピアニスト〟とかって書いていただいて、理論的でないピアニストだと思われているところがあるんです(笑)。でも実はめちゃくちゃ考えるタイプなんですよ。理屈っぽいんです。でも、あまり理屈にとらわれすぎないように。特に今回のプログラムはみなさんがご存知の有名な曲が大部分ですし、考えすぎずに、いまの自分の感性で、現代のピアノの響き、現代のコンサートホールに合ったショパンの世界を皆さんと共有できればうれしいですね。再演は自分にとっても新鮮。22年前とはちょっと違う表現になるだろうと思います。語りも、前回は芝居っ気がありすぎたかもしれないので、今度はもっと自然体で(笑)」(宮本明)
2021年08月31日2021年秋のクラシック界最大の話題といえば、“ピアノの詩人”ショパンの名を冠した世界最高峰のコンクール「ショパン国際ピアノコンクール(5年に1度開催)」だ。本来ならば、昨2020年秋に開催予定だったところが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により1年延期。第18回目となる今回は、ショパンの命日に当たる10月17日を挟んだ2021年10月3日〜20日にポーランドのワルシャワで開催される。先日すでに出場者の内訳が発表され、日本から参加する14名の中には、角野隼斗、反田恭平、牛田智大、小林愛実といった話題のピアニストが名を連ねるだけに、例年以上の盛り上がりと成果が期待される。そして今回、「ショパン国際ピアノコンクール」を楽しむための素敵なアルバムが発売になる(8月25日発売予定)。その名もずばり『ショパン スーパー・ベスト・オブ・ベスト』と名付けられた同アルバムには、ショパン国際ピアノコンクールの歴代の覇者、そして今注目の世界的ピアニストの名演奏が32曲も収められているのだから嬉しい限り。更に注目したいのが監修者だ。ベストセラー『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』の著者で脳科学者の古屋晋一氏書き下ろしによるライナーノートは、さながら前述の著書の続編を読む趣だ。アシュケナージ、ブーニン、チョ・ソンジン、アルゲリッチ、内田光子の演奏テクニックの徹底解説は要注目。これさえあれば、ショパン・コンクールは100倍楽しい⁉●古屋晋一氏コメント「今年は10月にショパン国際ピアノコンクールが行われます。コロナ禍でストリーミングの普及が加速し、映像を通してコンテスタントの演奏を鑑賞される方も多いのではないでしょうか。その映像の中には、ピアニストのこれまでの研鑽が集約された、様々なスキルの結晶が散りばめられています。このアルバムを通して、名ピアニストらの身体の叡智と至高の音楽との関係を紐解く一つの視点をご提案することで、皆様のより充実した鑑賞の一助となれば幸いです」●古屋晋一ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー・シニアプログラムマネージャー、ハノーファー音楽演劇大学 客員教授、上智大学 特任准教授、京都市立芸術大学・東京音楽大学・エリザベト音楽大学 講師。大阪大学基礎工学部、人間科学研究科を経て、医学系研究科にて博士(医学)を取得。ミネソタ大学 神経科学部、ハノーファー音大 音楽生理学・音楽家医学研究所、上智大学 理工学部にて勤務した後、現職。研究の主な受賞歴に、ドイツ研究振興会(DFG)Heisenberg Fellowship、Klein Vogelbach Prize、Alexander von Humboldt財団Postdoctoral Fellowship、文部科学省 卓越研究員など。主な演奏歴に、KOBE国際音楽コンクール入賞、Ernest Bloch音楽祭出演、兵庫県立美術館にてリサイタルなど。主な著書に、ピアニストの脳を科学する、ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと。Sony CSL主催ピアノアカデミーにてオーガナイザー、ロンドン大学ゴールドスミス校にてIndustry Advisory Board、国際学会Neurosciences and MusicにてScientific Boardを務める。古屋晋一 オフィシャル公式HP: www.neuropiano.net▽商品情報タイトル:『ショパンスーパー・ベスト・オブ・ベスト』発売日:2021年8月25日品番:UCCS-1301/2定価¥2,200 (税込)
2021年07月30日人間の言葉を話さないペットたちは飼い主に何かを伝えたい時、言語以外のあらゆる方法で伝えようとします。たとえばお腹が空いた時は、たいていの犬や猫は鳴いたり吠えたりしてアピールするのではないでしょうか。ところがケイト・ニクスさんの愛猫であるウィンスローは、ちょっと変わった方法で意思を伝えようとするのです。ある日、「晩ごはんをちょうだい!」とアピールしてきたウィンスローがこちらです。Dinner time is 2 hours from now pic.twitter.com/apG7l19uRD — Kate Nyx ACAB (@IAmKateNyx) August 4, 2020 ウィンスローは空腹の時、ピアノを弾いてアピールするのです!しかし残念ながらこの時はまだ夕食の時間まで2時間もあり、「まだディナーの時間じゃないでしょ」とケイトさんにたしなめられてしまいました。実はケイトさんはミュージシャンなのです。ある時からウィンスローにダイエットをさせるため、一度に与えていた食事の量を2回に分けることにしたのだそう。その時にただ普通に与えるのではなく、ピアノを弾いたらあげるようにしたところ、それ以来ウィンスローはお腹が空くとピアノを弾いてアピールするようになったといいます。“What if, hear me out...you gave me some pizza?” pic.twitter.com/ps7DFxiwkd — Kate Nyx ACAB (@IAmKateNyx) August 21, 2020 彼はいつもピアノを弾いているわけではなく、ご飯が欲しい時やかまってほしい時など、何かしらケイトさんに伝えたいことがある時だけ弾くのだそうです。この動画にはたくさんのコメントが寄せられています。・なんて才能豊かな猫なのかしら!・彼のアルバムはいつリリースされるんだい?・俺の中で彼はショパンを超えた。なおこのピアノは子供用のおもちゃで、猫用ではないとのこと。しかし、今ではすっかりウィンスローのお気に入りになっているそうです。いつかウィンスローがピアノを弾く猫として、ケイトさんと一緒にステージで演奏する日が来るかもしれませんね![文・構成/grape編集部]
2020年08月24日新型コロナウィルス感染拡大防止のために開催延期となっていた「日本・ポーランド国交樹立100周年記念『ショパン 200年の肖像』展」が、6月2日から開催されている(〜6月28日/練馬区立美術館:月曜休館)。当初の予定よりも大幅に期間が短縮され、関連事業として予定されていた「ショパン!ショパン!ショパン!」のイベント等も中止または延期となってしまっただけに、短期間とは言えども展覧会が開催されることは幸いだ。同展では、現在、ショパンの遺品・権利などを一括して保有・管理、研究および普及活動を行っているワルシャワの国立フレデリック・ショパン研究所(NIFC:Narodowy Instytut Fryderka Chopina)の全面協力のもと、同研究所の所有する本邦初公開の自筆譜や手紙、美術作品などを中心に、ワルシャワ国立博物館やドルトレヒト美術館(オランダ)、国内美術館が所蔵する油彩画など貴重な約250点が展示されている。音声ガイドに人気声優、坂本真綾を起用するほか、漫画『ピアノの森』の原画展示も行うなど、クラシックファンはもちろん、一般の方でも気軽にショパンに親しむ工夫が随所に見られる展覧会だ。この貴重な機会を見逃すことなかれ!●詳細は
2020年06月13日聞けば、胸にグッと来るメロディ。懐かしくもあり、新しくもある、誰もが知る楽曲の数々。ジョージ・ガーシュインと、ショパンの楽曲にのせてつづる舞台2作品が、今年も東京は座・高円寺1にて上演される。脚本を斎藤憐、演出を佐藤信が手がけ、開館時から10年にわたって続いている座・高円寺1のレパートリー『ピアノと物語』は、ふたりの俳優が読む往復書簡とピアニストの生演奏で構成。作曲家の人物像とその作品世界に同時に触れられるステージとして、演劇好きにも音楽好きにも愛されている。12月20日(金)・21日(土)に上演されるのは、ガーシュインの楽曲でつづる『アメリカン・ラプソディ』。音楽に対する情熱をもって駆け抜けたガーシュインの生涯を、公私にわたるパートナーとして才能を触発し合った女性作曲家ケイ・スウィフトと、20世紀を代表するヴァイオリニストのひとりヤッシャ・ハイフェッツ、ふたりの往復書簡とガーシュインのピアノ曲の生演奏で描き出す。出演は、安定感のある声音で聞く者を魅了する秋本奈緒美と、低音ボイスで物語に深みを与える斉藤淳。ピアノ演奏は、国内外で幅広い活動をみせる佐藤允彦。『ラプソディ・イン・ブルー』『アイ・ガット・リズム』『パリのアメリカ人』など、ウキウキ系からしっとり系まで、名曲揃いのラインナップだ。12月22日(日)から24日(火)まで上演されるのは、ショパンの楽曲でつづる『ジョルジュ』。39年と7カ月でこの世を去ったショパンの名曲の多くが生み出された、作家ジョルジュ・サンドと過ごした9年間を描き出す。出演は、ジョルジュ役に冨樫真。ジョルジュとショパンの日々を包容力豊かに見守る弁護士ミッシェル役に浅野和之。そんなふたりのやりとりを、第15回ショパン国際ピアノコンクール4位入賞の関本昌平が、繊細なピアノ演奏で彩る。『幻想即興曲』『英雄ポロネーズ』『別れの曲』など、誰もが聞き覚えのあるショパンの楽曲が、より立体感を増して響くひとときだ。文:小川志津子
2019年12月16日日本とポーランドの国交樹立100周年を記念する「ポーランド芸術祭2019 in Japan」の一環として、“現代最高のショパン弾き”と称されるラファウ・ブレハッチとワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団が来日。これに先立ち10月30日、駐日ポーランド共和国大使館にて記者会見が行われ、ブレハッチ、ワルシャワ・フィルの音楽監督であり指揮者のアンドレイ・ボレイコらが出席した。【チケット情報はこちら】つい先日、同オーケストラの音楽監督に就任したばかりのボレイコにとって、この日本公演が初めての海外公演となるが、以前からたびたび来日しており「日本を愛しております。ワルシャワ・フィルを率いて来日できたことで気持ちが高まっています」とニッコリ。ショパンのピアノ協奏曲第2番、第1番が演奏される予定だが「日本ほどショパンの音楽を幅広い人々が愛してくださっている国はないと思います。そのショパンの曲を、現在望みうる最高のショパン弾きであり、親友でもあるラファウと一緒に演奏できる喜びでいっぱいです。音楽という共通言語で民族の差を乗り越え、素晴らしい音楽を日本のみなさんにお届けしたい」と意気込みを語った。「いま感じている思いを表す言葉は2つ。『喜び』と『期待』です」と語るブレハッチ。「2005年にショパン国際コンクールで優勝したときと同じオーケストラと演奏ができる喜び」に加えて「ボレイコ氏は、音楽の細かいニュアンスを大切にする厳しい指導を行なっており、それはピアノパートに留まらない、オーケストラとしてのショパン音楽の醸成につながっていると感じています」と期待を口にし「日本の皆さまとお会いできるのを楽しみにしています」と日本のファンの前での演奏を心待ちにしていた。来年2020年は5年に1度のショパン国際コンクールの開催年であり、ワルシャワ・フィルがコンクール参加者と演奏することになるが、ボレイコは「ショパンのピアノ協奏曲は、実はオーケストラが響かせるパートはそれほど多くはありません。だからこそ難しいものと言えます。料理にたとえるなら、いろんな食材を使い料理するのは比較的簡単ですが、(ショパン・コンクールは)和食のように、食材がひとつかふたつに限られている状況です」と同コンクールならではの難しさを説く。ブレハッチは日本のピアニストの印象を問われ「世代を問わずどのピアニストからもショパンへの愛を強く感じます」と語り、ボレイコも「日本では、ショパン音楽を単なる理論としてではなく、リアルな芸術として体現する世代が十分に育っていると思います」とうなずいていた。会見最後、ブレハッチがショパンの「マズルカ作品24」を生で演奏。その魅惑的な音色に出席者たちは酔いしれていた。ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の日本公演は福岡、富士、東京、堺、横浜で開催。ブレハッチは大阪、豊田、福岡、水戸、横須賀にてリサイタルを行う。取材・文・撮影:黒豆直樹
2019年11月01日韓国の俊英チョ・ソンジンが第17回ショパン国際ピアノコンクールを制覇してからすでに4年の歳月が過ぎようとしている。この間、常にピアノ界の第一線で活躍を続けたチョ・ソンジンの存在感はますます大きくなり、たくましさを増した印象だ。そのレパートリーも、得意のショパンはもとよりモーツァルトやドビュッシーなどなど、自らの可能性を確かめるかのように慎重に広げられてきたことも功を奏し、今や押しも押されもしないピアノ界のスターとして認知されている。まさにショパン国際ピアノコンクールの栄光の歴史に名を刻むにふさわしい存在と言えるだろう。そのチョ・ソンジンが今回のリサイタルで披露するのは、モーツァルトの「幻想曲ニ短調」&ピアノソナタ第3番に、シューベルトの「さすらい人幻想曲」。そして、ベルク&リストのピアノ・ソナタという、ピアノファン垂涎のプログラムだ。特に気になるのが後半のベルクとリストの2つのソナタ。ともに「ロ短調」で書かれたこの2曲の存在感は、ピアノの歴史の中でも特筆モノだ。このよりすぐりの名曲に対峙するチョ・ソンジンの心意気やいかに。俊英の今を聴く上で最良の時間がここにある。◆公演概要9月24日(火)サントリーホール大ホール「チョ・ソンジンピアノ・リサイタル」◆チョ・ソンジンSeong-Jin Cho(ピアノ, Piano)(c)Harald Hoffmann DG2015年10月第17回ショパン国際ピアノ・コンクール優勝、ポロネーズ賞も同時受賞し、国際的な脚光を浴びる。卓越したテクニックと透明で美しい音色、身体中から溢れ出る音楽性が聴く人の心を打ち、若き世代で最も際立つピアニストの一人として、高く評価されている。1994年ソウル生まれ。2008年モスクワ・ショパン国際ピアノ・コンクールで優勝、2009年浜松国際ピアノ・コンクールでは15歳で最年少優勝を果たし、2011年チャイコフスキー及び2014年ルービン・シュタイン国際コンクールで第3位受賞。これまでにチョン・ミュンフン、マゼール、ヤンソンス、ゲルギエフ、プレトニョフ、アシュケナージ、ラトルなどの著名な指揮者の指揮の下、ベルリン・フィル、バイエルン放送響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ミュンヘン・フィル、フィルハーモニア管、フランス国立放送フィル、チェコ・フィル、ブダペスト祝祭管、マリインスキー歌劇場管、ロシア・ナショナル管、デンマーク放送響などの世界一流のオーケストラと共演。また、カーネギー・ホール、コンセルトヘボウ、ロッテ・ホール、ラ・セーヌ・ミュージカル、マリインスキー歌劇場をはじめとする世界を代表するコンサートホールでリサイタルを行っている。現在ベルリン在住。老舗ドイツ・グラモフォン・レーベルと専属契約を結び数々のCDが発売されており、最新録音は「モーツァルトのピアノ協奏曲第20番、ピアノ・ソナタ第3番、第12番」。
2019年09月19日公演タイトルにもなっているゴドフスキーの『ショパンのエチュードによる53の練習曲集』とは、いったいいかなる作品なのだろう。ただでさえ難しいとされるショパンのエチュード(練習曲集)に、ポーランド(現在のリトアニア)生まれの作曲家にしてピアニスト、レオポルド・ゴドフスキー(1870-1938)が手を加えてさらに難しくしたというこの作品。日本で全曲演奏されるのは今回が初めてというだけでも興味深い。ゴドフスキーによる編曲の目的は、更に高度なピアノ技法に到達するための練習曲の創造であって、コンサート用により素敵な作品を生み出すためではないというあたりも徹底している。というわけで、この恐るべき作品を弾きこなせるピアニストがこの世にいったい何人存在するのかという難曲中の難曲が誕生したのだ。今回の“全曲演奏”という日本初の企てに白羽の矢が当てられたピアニストは、イタリアの鬼才フランチェスコ・リベッタ。すでにミラノとナポリでは“全曲演奏”を行っているピアノ界屈指の超絶技巧の持ち主だ。9月23日のコンサートでは、ショパンのエチュード作品10ベースと作品25ベースが、昼夜2公演に分けて披露される。弾くのはもちろん、聴くのにもそれなりの気合が求められそうなこの公演。まさに前代未聞の体験が目前だ。◆公演概要9月23日(月)戸塚区民文化センターさくらプラザホール「ゴドフスキー『ショパンのエチュードによる53の練習曲集』全曲演奏会出演:フランチェスコ・リベッタ(ピアノ)フランチェスコ・リベッタ1968 年イタリアのレッチェ生まれ。ヴィットリア・デ・ドンノに音楽の手ほどきを受け、パリでジャック・カステレードに作曲や管弦楽法を学びIRCAM (フランス国立音響音楽研究所)にも在籍。チッコリーニには「彼の世代では最も才能豊かなピアニスト」と評された。兵役後、ベートーヴェンのソナタ全曲演奏会(1993/94年)や、ゴドフスキーの「ショパンのエチュードによる53の練習曲」全曲演奏会で高い評価を得た。これまでにこの作品の全曲演奏は以下で開催している。ナルド(イタリア、1989年……おそらく世界初)、ガラティナ(イタリア、1990年)、ミラノ(1994/5年)、ナポリ(1995年)、フィレンツェ(1995/6年)、ミラノ(2006年)、ブラジリア(2010年)、マイアミ(2018年)。ほかにこの曲集の全曲演奏をしているピアニストとして確認できているのは2人だけで、現時点でリベッタがもっとも多く演奏しているピアニストと言えるだろう。これまでの共演者としてはリフシッツ(ピアノ)、ヘンデル(ヴァイオリン)、フラッチ(バレエ)などが挙げられ、「マイアミ・国際ピアノ・フェスティバル」にはここ15 年以上連続出演。CD/DVD のリリースはVAI社を中心に20 種近くに及ぶ。1999 年、2001年、2014年に来日している。
2019年09月18日“3年に一度の音楽の祭典”横浜音祭り2019が開催中だ。様々なコンサートが行われる中でも、特に注目したいのが「ショパン 永遠の貴公子をたどる」公演だ。ここでは、ショパンの「ピアノ協奏曲」と「バラード」を、今をときめく“ピアノの貴公子”實川風と福間洸太朗 の2人が響宴するという珠玉のコンサートが体験できる。福間洸太朗(C)Marc_Bouhironモーツァルトとクレメンティ、ベートーヴェンとフンメル、ショパンとリスト、いつの時代も、競合するピアニストがいてこそ音楽界は華やかに盛り上がる!ということで、現代を代表する二人のピアニストが、ショパンの代表曲を同じステージで弾いたらどうなるのかという贅沢なコンサートがここにある。ショパンの音楽は、情緒的に見えながら構造的、女性的のようで男性的、柔和と見せかけて鋭利な刃物のように冷酷、実はとても複雑で多面的というのが、本公演の企画趣旨。二人のピアニストによる全く違ったショパンへのアプローチが、この作曲家の真実を浮かび上がらせてくれるに違いない。◆公演概要「ショパン~永遠の貴公子をたどる/横浜音祭り2019」9月18日(水)横浜みなとみらいホール大ホール原田慶太楼(C)Claudia_Hershnerピアノ:實川風、福間洸太朗指揮:原田慶太楼管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
2019年09月12日2015年のショパン国際ピアノコンクールで、日本人では10年ぶりのファイナリストとなった小林愛実。今、世界的に注目されている若手ピアニストのひとりだ。その彼女が、11歳の時に開いたデビューリサイタル以来、12年ぶりに福岡シンフォニーホールで演奏する。「デビューリサイタルのことはよく覚えています。あの思い出深いホールで再び演奏できるなんて」と嬉しそうに語る小林。今回、ショパンとシューマン、ロマン派を代表するふたりの作品でプログラムを構成した。「デビューリサイタルでもショパンを演奏したんです。ショパンは、クラシックをあまり聴かない方でも馴染み深い曲が多くて、優雅でロマンティック。初期と後期では大きく作風が変わるので、時代を通しての変化を感じていただけたら嬉しいです。シューマンの『謝肉祭』は、小さな20曲からなる1つの作品で、いろんなキャラクターが次々に登場するので、飽きずに(笑)聴いていただけると思います」とクラシック初心者にも楽しめるポイントを教えてくれた。山口県出身。レッスンのために東京、アメリカへと環境を変えながら音楽への向き合い方も変わってきたという。特に、20歳で挑戦したショパン国際ピアノコンクールは大きな転機となった。「以前は本能的・感覚的に演奏することが多かったんですが、作曲家の意図や作品の背景を学び始めてからは、作曲家が何をどう伝えたかったのかということを考えるようになりました。そして自分がそれをどうやって聴く人に伝えるか。自分が感じるままに弾くことももちろん大切ですけどね」現在はアメリカ・フィラデルフィアを拠点に活動しているが、クラシックの本場であるヨーロッパへの移住も考えているという。「今回演奏するショパンやシューマンもそうですが、ヨーロッパ出身の作曲家が多いので、自分もそこに身を置いてみたい。もっと勉強して、音楽の幅を広げたいんです。弾く人の性格はもちろん、それまで経験してきたものも音楽に色濃く表れると思うので」と今後の夢を語ってくれた。「まだ若いし、学ぶべきことはまだまだたくさんありますが、デビューから12年生きてきた分(笑)、音楽にも深みが出ていると思います」と、自分自身の変化も楽しんでいる様子。そして、その日のその瞬間を聴衆と共有できるコンサートホールの空間が好きだという。「作品のひとつひとつに敬意を持ち、純粋に楽しんで演奏しています。ホールに広がるピアノの響きを皆様と共に感じながら、その作品の素晴らしさを伝えることができればすごく幸せです」『小林愛実 ピアノ・リサイタル』は7月12日(金)福岡シンフォニーホールで開催。チケットは発売中。
2019年06月25日朗読劇『いつもポケットにショパン』が6月11日より新国立劇場小劇場で始まった。1980~1981年に「別冊マーガレット」(集英社)で連載された、くらもちふさこによるコミックが原作で、ピアノの生演奏を交えながら、日替わりキャストによる朗読劇として上演する。【チケット情報はこちら】本作は、ピアニストを目指す主人公・須江麻子と、彼女の幼馴染である緒方季晋のすれ違いと交流を軸に、ふたりの両親の問題や交友関係などを複雑に絡ませながら、甘酸っぱい青春模様やふたりが成長していく様子を丁寧に描いている。連載から40年近く経った今でも強く人々の心に残り、2018年にNHK連続テレビ小説『半分、青い。』に劇中マンガとして登場して、反響を呼んだ。そんな本作が、今回、男女ふたりの朗読劇として蘇った。アニメ『けいおん!!』などのヒット作を手掛けてきた吉田玲子が脚本を担当し、ファンタジックな世界観を描くことが得意な映画監督・酒井麻衣が演出を担当。キャストは日替わりで、愛原実花×下野紘、北原里英×藤田富、三戸なつめ×小早川俊輔、工藤遥×北川尚弥、内田真礼×小南光司の計5組が演じる。本記事では、初日の愛原と下野による上演をレポート。舞台上には1台のピアノ、そのほかいくつかの箱が置かれ、左右の天井からは淡い色の布が垂れ下がる。透け感のある黄色いワンピースを着た愛原と、茶色のジャケットを着た下野が、大きなボールを投げ合い、子どものように戯れるというやや抽象的なシーンから始まる。そして、ふたりは本を手にし、麻子と季晋の物語を情感たっぷりに語っていく。それぞれの配役のほかに、麻子の母である須江愛子や、麻子の指導教官である松苗先生などの登場人物もふたりが朗読するのだが、その役幅の広さには驚かされた。本作の見どころのひとつは、ピアノが生で演奏されること。生演奏ならではの迫力ももちろん感じられたが、幾何学的なイメージ映像や照明の変化も相まって、より世界観が広がる演出となっていた。単なる朗読劇というカテゴリーを超えて、ぜひショパンの美しい旋律に酔いしれてほしい。公式パンフレットで、脚本の吉田は「5組10名の役者の方々の声と個性と解釈の違いもまた、作品に豊かな彩りを加えてくれるのではないでしょうか。愛も幸せも忘れていた思い出もポケットの隅っこに隠れているかもしれません。ぜひ、この朗読劇を通して、探してみてください」。演出の酒井は「世代を渡って語り継がれる名作を、今、この瞬間に皆様にお届けできる事を光栄に思います」とコメントしている。上演時間はおよそ1時間40分(休憩なし)。公演は6月16日(日)まで。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年06月13日展覧会「日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン─200年の肖像」展が、東京・練馬区立美術館にて、2020年6月2日(火)から6月28日(日)まで開催される。その後、2020年8月1日(土)から9月22日(火・祝)まで静岡市立美術館へ巡回予定。“ピアノの詩人”フリデリク・ショパンの音楽と生涯フリデリク・ショパンは、ポーランド出身の作曲家。繊細な曲調やピアノ曲を多く作曲し、“ピアノの詩人”とも呼ばれている。日本とポーランドの国交樹立100周年を記念して開催される「ショパン─200年の肖像」展では、ショパンの多彩な美術作品や資料を通じ、生誕から約200年にわたるショパン像を紹介。ショパンの音楽と生涯を主軸に、自筆の楽譜や手紙、油彩画、彫刻など約250点を、5つの章に分けて展観する。直筆の楽譜や手紙を日本初公開中でも注目は、ショパン自筆の楽譜や手紙。所蔵するフリデリク・ショパン博物館でも公開が限られている貴重なものだ。文字の筆圧などからは、その時々のショパンの心情を垣間見られるだろう。友人の手によるショパンの肖像画また、ショパンの肖像画のなかでも特に有名な《フリデリク・ショパンの肖像》も、日本初公開となる。ショパンの友人であったオランダ出身の画家、アリ・シェフェールによって描かれたものだ。シェフェール自身が保有していたこの作品からは、友人に向けたショパンの温かな眼差しを感じることができる。そのほか、ポーランドのフリデリク・ショパン博物館から出展されるショパンにまつわる現代作品や、ワルシャワやパリでの音楽活動・友人関係などを、風景画や肖像画とともに紹介。また、ショパン国際ピアノコンクールの歴史も、映像や写真の資料を通じて展観する。展覧会概要日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン─200年の肖像」展■東京会場会期:2020年6月2日(火)~6月28日(日)※当初は4月26日(日)の開幕予定であったが、延期会場:練馬区立美術館住所:東京都練馬区貫井1丁目36-16休館日:月曜日開館時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)観覧料:一般1,000円、高校・大学生および65~74歳800円、中学生以下および75歳以上無料、障害者(一般) 500円、障害者(高校・大学生)400円※付き添いの場合、1名までは障害者料金で観覧可。団体(一般) 800円、団体(高校・大学生)700円※ぐるっとパス利用者500円(年齢などによる割引の適用外)練馬区文化振興協会友の会会員招待(同伴者1名まで)※観覧当日、受付で会員証を提示のうえ、招待券を受け取り※一般以外のチケット購入希望者は、証明できるものを提示。(健康保険証・運転免許証・障害者手帳など)※会期中のイベントはすべて中止※来館に際しての注意事項は、公式サイトを確認のこと※予定は変更となる場合あり■静岡会場開催予定日:2020年8月1日(土)~9月22日(火・祝)場所:静岡市立美術館住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17−1 葵タワー
2019年04月15日ショパン生誕200年の2010年、1日でショパンのピアノ作品全曲を弾く演奏会を成し遂げた横山幸雄。以来、このショパンにどっぷりつかることのできる公演は、GWの恒例となった。横山にとって、特別な存在であるショパンの音楽の「血中濃度を上げる」大切な機会だという。横山幸雄 入魂のショパン 2017 チケット情報今年も、13時開演、21時終演の5部構成という長丁場。ショパンが若き日に書いた「24のエチュード」に始まる充実したプログラムだ。選曲の背後にあるテーマは、ジョルジュ・サンド。「ショパンが彼女に出会う直前から、ふたりが過ごした一番良い時期までの作品を中心に取り上げます」ショパンの6歳年上で、パリ社交界の中心的存在のひとりだった作家のサンドは、ショパンが20代後半からの約9年を共にした恋人だ。天才的才能を持ちながら、気難しく病弱なショパンを支えた存在でもある。「最初にエチュードを置いたのは、まず、まだサンドを知らない頃の作品を聴いていただこうと思ったから。そして第2部でとりあげる『24の前奏曲』は、ふたりが共に過ごしたマヨルカ島で書かれた愛の結晶です。サンドと出会ったあと、ショパンの音楽がどうなったのかが感じられると思います」ショパンはサンドの愛に包まれ数々の傑作を生み出したが、彼女の愛は次第に母性的なものへと変化し、やがてふたりの関係は破局を迎える。「サンドはショパンのよき理解者でありながら、ある部分については理解できていなかった。だからショパンは、彼女といてもどこか孤独だったのではないでしょうか。そこにある葛藤が、第4部で演奏するバラード2番やスケルツォ3番、ポロネーズ5番のような、激情と静けさを持つ曲に現れています。この時期を過ぎると、他人のことは考えていないような境地に入っていく。芸術家とは、孤独なものですね」第5部では、主なテーマとする時代以外の、初期と後期の作品からいくつかを取り上げる。終曲「幻想ポロネーズ」では、そんな晩年のショパンがたどり着いた深い精神を聴くことになる。「聴いてすぐに良さがわかる作品ではないかもしれません。僕自身、中学生で初めて聴いたときは充分にわからなかった。でも本当にすばらしい、ショパン最後の大作です」それではサンドとの出会いの前後にあるショパンの変化を、横山はどう捉えているのだろうか。「ショパン自身は、何も変わらなかった。僕はそう思います。サンドは影響を与えているようで、根本的な部分を揺るがすことはできなかったのでしょう」サンドと過ごした時代の心の動き、根底に流れる揺るぎないショパンらしさ。その繊細な機微を、横山の端正なピアノが生き生きと描きあげる。横山幸雄 入魂のショパン 2017は5月5日(金・祝)13:00より、東京オペラシティ・コンサートホールにて開演。チケットは発売中。取材・文:高坂はる香(音楽ライター)
2017年04月27日映画『天使にショパンの歌声を』が、2017年1月14日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国の劇場で公開される。舞台は、白銀の世界に佇むカナダの寄宿学校物語の舞台は、白銀の世界に佇む小さなカナダの寄宿学校。音楽教育に力を入れ、コンクール優勝者も輩出する立派な名門校だったが、修道院による学校運営が見直され採算の合わない音楽学校は閉鎖の危機に直面することに。校長であり教育者であるオーギュスティーヌは必死に抵抗し、音楽の力で世論を動かす秘策を考える。そんな時、転校してきたばかりの姪のアリスに天性のピアニストの才能を見出すが、彼女は一筋縄ではいかない問題児。オーギュスティーヌは、孤独で心を閉ざしたアリスに、音楽の素晴らしさを教えようとするのだが…。物語を彩るクラシックの名曲の数々劇中には、ショパンの「別れの曲」、リストの「愛の夢」など涙を誘うピアノの有名曲から、モーツァルト、ベートーヴェンのピアノソナタ曲、そして心洗われるヴィヴァルディの合唱曲「グローリア」まで数々の名曲が登場し物語を彩る。天才少女アリス役のライサンダー・メナードの繊細で高度なピアノ技術、アリスの親友役エリザベス・ギャニオンの胸打つアカペラなど、純粋な“音楽の力”を堪能できるのが本作の見どころの一つだ。カナダを代表する女性映画監督、レア・プール監督本作でメガホンを取るのは、『天国の青い蝶』『翼をください』などで知られる女性映画監督、レア・プール。時代に翻弄されながらも音楽の力を信じて強く生きる女性たちを通して、映画『天使にラブソング』を彷彿とさせるような、感動の“シスター・アクト”を描き出した。【作品情報】『天使にショパンの歌声を』公開日:2017年1月14日(土) 角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開監督:レア・プール 『天国の青い蝶』『翼をください』出演:セリーヌ・ボニアー『アサインメント』、ライサンダー・メナード、ディアーヌ・ラヴァリー、ヴァレリー・ブレイズ、ピエレット・ロビタイユ、マリー・ティフォ、エリザベス・ギャニオン(C)2015-9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)
2016年10月14日