コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは、能町みね子さんと「夫婦(仮)」として共同生活を送り、最近は『私みたいな者に飼われて猫は幸せなんだろうか?』(著:能町みね子、写真:サムソン高橋)も上梓したゲイライターのサムソン高橋さんです。全3回。「結婚しないと一人前じゃない」という呪いジェーン・スーさん(以下、スー):時代が変わったと前回おっしゃってましたが、体感として何が変わりましたか?サムソン高橋さん(以下、サムソン):『弟の夫』とか描いてる漫画家の田亀源五郎さんが女装家のブルボンヌさんと話をしてまして。ブルボンヌさんが、田亀さんの『僕らの色彩』がとてもいいと。若い子に向けてすごく優しい目線で描いていると言ったら、今57歳くらいなのかな、田亀さんいわく、自分が若かった頃、上の世代のゲイが本当にひどかったって。どうひどいかというと、結婚して子供がいて、表では立派な身なりで立派な仕事でお金も稼いでいるゲイが若い田亀さんに「ゲイ漫画家なんてやっちゃいけない」とか、「ちゃんと結婚して子供をつくりなさい」とか説教してきたって。スー:それは残酷ですね。若い女がかけられる呪いと一緒じゃん。サムソン:そういう年上のゲイを見てきたから、田亀さんは若い子に呪いをかけたくないって話してました。僕自身老け専で20代の頃に40歳くらいの人と付き合っていたけど、たしかに今還暦超えたあたりのゲイはほぼ結婚してましたね。ちょうど僕くらいの、50から下くらいが結婚しなくてもやっていけるようになった感じがあります。スー:男も女も、性指向に関わらず、結婚しないと一人前の大人として社会で認められない時代がたしかにありました。地域によってはまだあるし。その後、「非婚時代」が来て、今は「同性婚」を俎上(そじょう)に乗せるところまで来てます。サムソン:今から考えたら、社会的には立派な既婚のゲイの人は不幸だったと思うんですよね。自分を正当化したいために、若い子に呪いをかけるという。スー:子供のために自分のやりたいことを諦めてきた親が子供に呪いをかけるのと一緒ですね。同じ呪いがゲイのあいだにもあった。サムソン:私くらいの世代から会社とかなくてもフリーで生きていけるようにもなって。そうなると、私たちが一人ぼっちで老後と対峙(たいじ)しないといけない最初の世代ですよ。同年代のゲイと話すと話題は老化と親の介護ばかり。スー:独身女と同じです。直面している問題は独身の男も女も同じ。サムソン:一寸先は闇よ。10年前と比べたら、なんで自分はここに来たのって思うこと、スーはない?スー:ありますよ。どうしてこうなった?って。私の場合、最初に本を出した時はアラフォーで、今アラフィフですけど、「未婚」という冠がついたニュータイプのように見られたので最初の5年くらいはそれでご飯が食べられました。でもそうやってニュータイプのフィギュアのように見られてしまうことにも違和感を覚えるので、今はそこからなるべく外れていこうとしてます。「未婚」を背負わされたくない
2022年04月15日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは、能町みね子さんと「夫婦(仮)」として共同生活を送り、最近は『私みたいな者に飼われて猫は幸せなんだろうか?』(著:能町みね子、写真:サムソン高橋)も上梓したゲイライターのサムソン高橋さんです。全3回。「とにかく社会の歯車になりたいって思っていた」ジェーン・スーさん(以下、スー):サムソンさんはもともとは鳥取のご出身ですね。サムソン高橋さん(以下、サムソン):スーさんは文京区育ちですよね。『私がオバサンになったよ』読んでうわーって思いました。軍パン履いてアフロでフェリス女学院ですって。当時「CUTiE」に載ってたCHIEKO BEAUTYっぽい。スー:その世代ではありますけど、違う違う。そういうのを指をくわえて見てたCHIEKO BEUATYワナビー。サムソン:うちは典型的なダメな親でしたからね。スー:どうダメだったんですか。サムソン:単純に働かない。スー:あー、ベーシックな。サムソン:はい、本当にベーシックなダメな親で。親が働かなくて、お母ちゃんが主に家計を支えているんだけど、お父ちゃんは働かない、暴力を振るう、ギャンブル狂。スー:西原(理恵子)さんの話みたいだ。サムソン:西原さんはお金にしたからいいですけど。スー:お金にしないんですか?サムソン:お金にするほどの能力も努力する精神力もない。スー:東京に出てきたのは大学?サムソン:ワンクッションあって、大学は大阪でした。スー:大阪から東京に出てくるのがいくつの時ですか?サムソン:話すと長くなるんですけど、わたくし親がそんな感じでしたからサラリーマンになるのが夢だったんですよ。普通に企業で働いて、お給料をもらいたい。とにかく社会の歯車になりたいって思っていた。スー:努力したがらないのは子供の頃からですか?サムソン:そうそう。でも自分がゲイというのはわかっていたから、その辺ですでにずいぶん外れているので社会的にはレールの上から外れたくなかった。大学を卒業する頃はバブルだったし、卒業さえすれば大丈夫って思ったのに卒業できなかった。スー:そこで引っかかってしまいましたか。サムソン:真面目系クズって一時流行りましたけど、マジそれなんですよ。お勉強でもマークシートを塗りつぶすのは成績いいけど、自由研究とかができない。自主的に何かをするというのがね、大学のレポートとか。それでレールからゴロゴロと落ちた。スー:除籍ですか。退学ですか。サムソン:大学には9年くらいいましたからね。スー:除籍のパターンですね。でもそこから東京に来て編集者になるわけですよね?サムソン:「SAMSON」というゲイ雑誌があって、そこに投稿してたんです。そうしたら「面白い文章書くじゃない、編集部に遊びに来ない?」って。スー:面白い人がちゃんとフックアップされる時代があったんですよね、かつて。サムソン:大学辞めて自堕落なひどい生活をしてたので、「そんなんだったらうちで働いたら?」と言われて東京に来ました。スー:「キミ面白いね、書いてみなよ」なんて、今ほとんどないですよね。サムソン:あるとしたら「安く使う」という魂胆しかない。スー:それはフックアップじゃない。サムソン:90年代後半頃、日本が貧しくなったって言われましたけど、今から考えたらあの頃はまだ元気ありましたね。ゲイの出会いの場は…
2022年04月13日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは、能町みね子さんと「夫婦(仮)」として共同生活を送り、最近は『私みたいな者に飼われて猫は幸せなんだろうか?』(著:能町みね子、写真:サムソン高橋)も上梓したゲイライターのサムソン高橋さんです。全3回。気がついたらIZAMとひなのより続いている「結婚(仮)」ジェーン・スーさん(以下、スー):能町みね子さんとの生活を始めてどのくらいですか?サムソン高橋さん(以下、サムソン):引越しの段ボールの山のなかで平昌オリンピック(2018年2月)を見てた覚えがあるので……ちょうど4年です。スー:4年たっていかがですか。能町さんは『結婚の奴』を上梓されたし、対談(例えば)で結構お話しされてますけど。サムソン:「ままごと婚」と言われたIZAMとひなの*よりかは続いているね。*ビジュアル系バンドSHAZNAのボーカル・IZAMと吉川ひなの。1999年2月に結婚し同じ年の9月には離婚を報告スー:わはは!それ、通じる人のほうがもはや少ないかも(笑)。この4年間で大きな喧嘩(けんか)をすることもなく?サムソン:ないですね。互いに愛情的なものがあるわけではないから、そんなにコンフリクトが起きない。スー:ご存じない方のために、少し補足しましょう。詳しくは能町さんのご著書『結婚の奴』を読んでいただければと思いますが、サムソンさんと能町さんは「結婚(仮)」という形で4年前から同居生活をしていて、生活面でいうと能町さんが、昭和で言うところのお父さん?サムソン:かな?スー:サムソンさんがお母さんということで、家のことをやる、と。サムソン:だらしないお父さんとだらしないお母さんですよ。毎月能町さんから10万円をもらって、朝食、昼食、夕食、光熱費をやりくりしてます。あと私も書く仕事と、他にバイトもしてます。スー:やりくり上手ですね。サムソン:そんなに悪くないでしょ。スー:サムソンさんは『世界一周ホモのたび (本当にあった笑える話)』シリーズを出されるくらい頻繁に旅に出る方ですけど、お互いが頻繁に家を空けることもOKになってるんですか?サムソン:なってるのかな?能町さんも昨年は急に夏、青森に2、3カ月行ってましたしね。東京の五輪とコロナと暑さから逃げるためだったんですけど。それもわりと「いってらっしゃい」みたいな感じで送り出しましたし。スー:その間にさみしいとかなかったですか?サムソン:私ね、さみしいという感情ないのよ。そして、そういうことによって、二人の関係に何か問題が起きるわけではないですね。それもやっぱり、男女の愛情があるわけじゃないから、ということもあるんじゃない?恋愛感情があると、相手に自分の思い通りになってほしいという気持ちが出てくるでしょう。そういうの、なかった?スー:当然あります。ありました。サムソンさんと能町さんはいわゆる恋愛感情をベースにしていない結婚、つまりゆるい連帯という言い方になるのかな。“猫ババア”になった能町さん
2022年04月11日監督組合賞(DGA)が発表された。劇場用長編映画賞を受賞したのは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン。この受賞で、カンピオンのオスカー監督賞受賞は、より確かなものになった。1949年から昨年までの間に、DGAの結果とオスカー監督部門の結果が一致しなかったことは7回しかない。劇場用映画初監督賞の受賞者は、『ロスト・ドーター』のマギー・ギレンホール。ドラマシリーズ部門は『メディア王〜華麗なる一族〜』のマーク・マイロード、コメディシリーズ部門は『Hacks』のルチア・アニエロ」、テレビ用映画またはミニシリーズ部門は『地下鉄道〜自由への旅路〜』のバリー・ジェンキンスが受賞した。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』Netflixで配信中文=猿渡由紀
2022年03月14日展覧会「Soul ジェーン エヴリン アトウッド展」が、シャネル 銀座内のシャネル・ネクサス・ホールにて2022年3月30日(水)から5月8日(日)まで開催される。写真家ジェーン ・エヴリン・アトウッドの日本初個展ジェーン・エヴリン・アトウッドは、1970年代からパリを拠点に活動を続けるアメリカ人の写真家。社会における排除/排他という概念を追究すべく、多くの人が知らない、もしくは見て見ぬふりをしている「閉ざされた世界」に入り込み、苦難に向き合い生きていく人間の姿を撮影している。デビュー作となった、パリの路上に立つ娼婦たちの姿を撮影したシリーズや、盲目の子どもたちを捉えたシリーズは高く評価され、人間性や社会性が重視された作品に贈られる「第1回ユージン スミス賞」を受賞。その後も、エイズ患者の密着取材、10年間にも及ぶ女囚たちの撮影、4年間を費やした地雷犠牲者の調査など、被写体を深く理解するために、何か月も、時には何年もの間対象と時間を共にするという情熱的なアプローチでプロジェクトに没頭してきた。被写体に対する思いやりを示した彼女の作品は、直接的でありながら繊細。過酷な現実を捉えながらも、冷酷さや搾取的な印象を受けないのが特徴だ。日本で初めての個展となる本展では、アトウッドの代表的なシリーズから厳選した作品の数々や、報道カメラマンの仕事などを紹介しながら、彼女の被写体に対する飽くなき探求の軌跡を展示していく。【詳細】「Soul ジェーン エヴリン アトウッド展」会期:2022年3月30日(水)~5月8日(日)※会期中無休営業時間:11:00~19:00(最終入場18:30)会場:シャネル・ネクサス・ホール住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F※入場無料※予約不要【問い合わせ先】シャネル・ネクサス・ホール事務局TEL:03-6386-3071All photos © Jane Evelyn Atwood
2022年03月13日今年のサンダンス映画祭で、“ジェーン”たちが突然注目を浴びている。これまであまり知られていなかった彼女らについての映画が、偶然にも2本、上映されたのだ。ひとつはエリザベス・バンクス主演の『Call Jane』、もうひとつはドキュメンタリー『The Janes』。“ジェーン”とは、特定の女性の名前ではなく、60年代後半から70年代初めのシカゴで中絶を提供した女性たちのこと。当時、中絶は違法で、たとえ母体に危険が及ぶ場合でも、医師のほとんどは拒否した。それらの医師はもちろん男性である。自分の体のことを自分で決めさせてもらえず、女性が肉体的にも精神的にも苦しむ中、“ジェーン”を名乗るこれら数人の女性たちは、大きなリスクを冒してまで、密かにこれらの女性たちを助けた。アメリカでは今、テキサス州をはじめとする保守的な一部の州で、またもや中絶が事実上不可能になりつつある。それだけに、彼女らの物語は、とてもパワフルで意義深い。『Call Jane』の監督は、『キャロル』の脚本家フィリス・ナジー。彼女も、多くの観客同様、ジェーンらについてほとんど知らなかったそうだ。「脚本を読んで、彼女らがとても重要なことを、緊急性を持ち、しかもユーモアと明るさをもって行っていたことに感動した。今、これはとても重要なトピックなので、同じテーマの映画はほかにもあるけれども、私たちは世代を超えてこのことについて話し合っていかなければならない。女性の『選ぶ権利』が消えてしまわないように」と、彼女は上映後のヴァーチャル会見で述べている。この映画を作るにあたり、ナジーも、出演者も、実在の“ジェーン”たちには会う機会はなかったとも明かした。一方、『The Janes』には実在のジェーンたちが複数出演する。監督コンビのひとりエマ・ピルデスは、「私はシカゴで育ったため、家族のつながりがあり、実在の彼女らと話すことができた。彼女らは、今の世の中が悪いほうに向かっていることをわかっているから、話をしてくれたのだと思う。映画監督として、私たちは、こんな形でこの問題に貢献したいと思っている」と述べた。『Call Jane』は、バンクス演じる女性が“ジェーン”らによって中絶を受け、自分もまた“ジェーン”のひとりになっていく過程を描く。片や、ドキュメンタリーの『The Janes』では、このグループが生まれる前から、彼女らがついに逮捕されるところまでの全体像を語る。どちらも重要で、優れた映画。合わせて見ると、より心を動かされ、深く考えさせられる。文=猿渡由紀
2022年01月28日ロックバンド・サザンオールスターズの桑田佳祐が監督・音楽を担当した映画『稲村ジェーン』(90)をラジオドラマ化した『稲村ジェーン2021〜それぞれの夏〜』が、23日〜26日(23:50〜)の4日にわたりニッポン放送にて先行オンエア、 29日(13:00〜)にはTOKYO FM/JFN系列37局にて一挙放送される。同作は、映画『稲村ジェーン』の主人公・ヒロシが2021年の夏を生きていたら……という設定で物語が展開していく。物語は、75歳の“おじいさんサーファー”となったヒロシが偶然、ある女の子に出会うのだが、その女の子は、ヒロシが幻想のような「暑かったけど、短かった夏」を共に過ごした1965年に出会った一人の女の子のことを思い起こさせる……というシーンからスタート。映画『稲村ジェーン』の主題歌である「真夏の果実」、挿入歌 「希望の轍」をはじめ、映画のサウンドトラックとして書き下ろされたサザンオールスターズの楽曲たちと共に、登場人物たちの“それぞれの夏”が描かれていく。主人公・ヒロシ役を演じるのは、林遣都。もともと桑田のファンだったという林がオファーを受け即快諾し、出演が決定した。ぶっきらぼうで冷めた性格だが、どこか心優しい一面も持ち合わせる主人公・ヒロシを、重厚かつ色気のある声の演技で繊細に表現している。さらにヒロイン・波子役兼“とある女の子”役には、NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)、Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』など話題作への出演が続く、恒松祐里。全てを見透かすような大人びた発言をするヒロインを、かわいらしく、時にはミステリアスに、魅力たっぷりに演じた。さらに主人公の親友・マサシ役に、映画『ミッドナイトスワン』やテレビ朝日系ドラマ『IP~サイバー捜査班』(毎週木曜20:00~)に出演中の吉村界人、ヤクザのカッチャン役に浅香航大、そして4人が集まるバーのマスター役に勝村政信と、『稲村ジェーン』の世界に花を添える豪華キャスト陣が勢ぞろい。また、サザンオールスターズのパーカッショニスト・野沢秀行の特別出演も決定。実は野沢は、映画『稲村ジェーン』 にも、桑田のオファーを受けて海浜組合員役で出演し、実際に撮影まで全て終えていたのだが、最終の編集段階で大幅に全体尺を縮めざるを得なかったことで、出演シーンが泣く泣くカット。桑田が平謝りしたという逸話があったのだが(幻の出演シーンは本編エンドロールに一部収められている)、この度映画の公開から30年以上の時を経て、改めて今回のラジオドラマに出演することとなった。
2021年08月16日(左から)ジェーン・スー、堀井美香“おばさん”世代が今夢中なポッドキャスト(インターネット配信の音声プログラム)番組、毎週金曜17時配信の『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』(TBSラジオ)をご存知だろうか。2020年10月の開始直後から話題となり「JAPAN PODCAST AWARDS2020」で「ベストパーソナリティ賞」と、リスナー投票により決まる「リスナーズチョイス」をW受賞。各種サービスのポッドキャストランキングでも常に上位をキープ!ポッドキャストに馴染みがなかった中高年女性層をも取り込み、今絶大な支持を獲得中だ。そんな人気プログラムの収録現場に、週刊女性編集部が潜入!パーソナリティのジェーン・スー(48)、TBSアナウンサー・堀井美香(49)の両人にお話を聞きました!■台本なし、生活情報ゼロの ゆるゆる“おばさん”トーク2016年4月から始まったTBSラジオのお昼の帯番組「ジェーン・スー生活は踊る」(月〜木)からコンビを組んでいる二人。番組が生まれたきっかけは?ジェーン・スー(以下、スー)もともと『生活は踊る』は月〜金だったんですが、月〜木になりまして。お昼よりもっとゆるゆると、生活情報ゼロ!という感じで始めさせていただいたのが『OVER THE SUN』でございます。タイトルは『おばさん→オーバー・ザ・サン(笑)』的な、与太話の延長でつけました。今までメディアであまり取り上げられなかった、あっち行ったりこっち行ったりするおばさんの“横滑りする話”を楽しんでいただくトークプログラムです。――毎回のトークテーマは「離婚」や「介護」「子育て」「推し活」「美容整形」「大人のVIO脱毛」といった生活の延長線上のものから、「サンリオ」「全日本女子プロレス」などなど、中高年女性世代の心に「刺さる」チョイスで、リスナーからのメールも熱くて濃い内容揃い。予定時間は「毎回およそ30分」となっているが、1時間近くのボリュームになっていることも多い。堀井美香(以下、堀井)台本はもちろんないですし、何を喋るかも特に決めてないんです。流行とか関係なく、私たちが今興味あることを話してます。あえて今“五郎丸ポーズ”をやってみたりとか……。スー微妙に古いトレンドでも「私たちが“今”気になる」がポイントですね。番組内でグルメバーガーを食べて感想を言い合ったりとか。でも、食べながらなぜか好きな寿司ネタの話もするという……「This is マルチタスク!」 ですよ。なんですが、好きな寿司ネタについては過去の放送でもう話していたらしくて(笑)。堀井リスナーさんからのメールで指摘されてね。本当に私たち、話したことをちゃんと覚えてなくて……。いただくメールもどれも面白いし、ほんとにリスナーさんに助けられています(笑)。スー某一流ホテルを自分の好きな有名人である“推し”に見立てて、“ホテル=推し”にチェックインしてみたというレポートを送ってくださった猛者がいらしたり、ほんとうにリスナーさんは天才ばかり。ラジオの常連投稿者とは違って、この番組には皆さん思いのたけをすべて書いて送ってくださるんで、新しいリスナー層に出会えたという喜びもあります。『親に言われた忘れられない一言』には200通くらい来たよね?堀井そのあと、私が提案した『徳川埋蔵金について知ってること』には7通くらいでした(笑)。スーメールがあんまり来なくて私たちが困る、っていうこともあるんですけど、そういう回があってもいいかなと。ファンの方に喜んでいただいて盛り上がったのは「2021年にまるで昨日のことのように『SEX AND THE CITY』のことを話す」とかがありましたね。20年以上前のことでも昨日のことのように話せるのが、我々おばさんです。■スー&美香、お互いの第一印象番組の聴きどころがパーソナリティの二人の絶妙な掛け合い。「未婚のプロ」を自称する人気エッセイストのジェーン・スーと、いわゆる“女子アナ”ブーム全盛期にTBSへ入社し、すでに成人した子どもが2人いる堀井美香。一見、水と油のように属性の全く違う二人だが、第一印象はどうだったのか?堀井私がはじめてジェーン・スーさんとお仕事する時に前情報として聞いたのが、作詞家で、エッセイストで、アイドルのプロデュースとかされていて、おしゃれなクリエイター集団に所属していて……、見せていただいた近影もおしゃれだったので「なんか手ごわそう」って思いましたね(笑)。スー私は堀井さんに対しては「ああ、同世代の女子アナブームの方ね」って感じで、本当に合うのかな、大丈夫なのかなって感じでした。最初に二人でやった番組のときに、進行をお任せしていいのかなと思ったら、この人はいきなり台本を捨てたんです(笑)。今ではおなじみのムーブで「美香ちゃんちょっと!」なんて言えるんですけど、当時は「なんだこの人は!」って思いましたね。堀井打ち解けるのにけっこう時間かかったよね?徐々に仲よくなっていきましたけど、今ほど踏み込み合うような感じではなかったですよね。ある程度の節度を持ってのお付き合いでした。スー『生活は踊る』がはじまって、続けるうちにだんだんと距離が近くなっていったと思います。5〜6年はかかりましたかね、なんやかんや。今は土足で部屋に上がるくらいの無遠慮さはありますね。親に見つかったら怒られるくらいの(笑)。■番組で「感謝」の湯呑みを作りたい――もうすぐ50回を越える「OVER THE SUN」。今後の展望は?スー特にないですね。強いて言えば「おばさん掲示板」としての役割をきちんと果たすっていうことですかね。あたしたちはあくまで会場整理係ですから。リスナーの皆さんと一緒に楽しんでいく。堀井今が一番いいですね。こちらがお題を出したことに、みなさんがメールしてくれて……。なんと、番組にスポンサー様(popIn株式会社)が付いてくださったし、ほんとに長く続けたいなと思います。これをお返しするにはどうしたらいいのかしら……。スー本当に感謝ですよね……。私たちこの歳になってびっくりしたんですが、親の言ってることとか、みつを(故・相田みつをさん)の言ってることは正しい、ってことに変わってきて。若いころはああいうシンプルな感謝とかに抵抗・反抗して生きてきたんですけど、最終的には石は丸くなり、同じ中洲にたどり着き、感謝・感謝の毎日ですよ。堀井「感謝」って入れた湯呑みを番組で作りたいくらいです。こういうことを20代、30代に言ってもまだわからないだろうけど……。スーこの番組は若い方にご参加いただくのは全然OKですけど、おもねる気はゼロですから。若いからってメールを読むことはしません。わかるように話す気もゼロです(笑)。■『OVER THE SUN』は聴く『週刊女性』!?そのうち取材班が渡した『週刊女性』を読み始めた二人。スー健康情報ですよ美香さん。こういうのが響く年齢になってきましたね。堀井見て、『オーバー50から稼げる資格』だってスーちゃん……!スー私は木村拓哉の見出し、「ちょ、待てよ」だね(笑)。堀井記事がぜんぶ魅力的!大雨、雷情報だって!スーちゃん気をつけなさいよ!スー知りませんよ。読者投稿ページ見てください、堀井さん。(投稿を一つ朗読する)……。我々のところに来るメールとなんにも変わらないですよね。週刊女性になかなか投稿が採用されない方は、全部こちらに送ってください!堀井そうですそうです! ぜひ『OVER THE SUN』にも一筆いただきたいです!スーこちらの読者の皆さんは、ポッドキャストを聴いたことがない方も多いと思いますけれども、“聴く週刊女性”だと思って、楽しんでいただければと思います。どこから聴いても大丈夫ですよ。先週の話も私たちは覚えていませんから(笑)。毎週金曜日が楽しみになる老若男女の“おばさん”続出中のポッドキャスト『OVER THE SUN』。自分の好きなタイミングで、さかのぼって聴くこともできるのがポッドキャストの大きな利点。思い立ったらスマホやパソコンのポッドキャストアプリでぜひ聴いてみては?ジェーン・スー●1973年、東京都生まれの日本人。プロデューサー、作詞家、コラムニスト。TBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』(月〜木)でパーソナリティを務める。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞受賞。2021年にドラマ化された『生きるとか死ぬとか父親とか』ほか、著書多数。堀井美香●1972年、秋田県生まれ。TBSアナウンサー。TBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』第5週でジェーン・スーのパートナーを務める。近著に『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン刊)。取材・文/高松孟晋撮影/伊藤和幸
2021年08月08日コラムニストのジェーン・スーさんとT B Sアナウンサーの堀井美香さんによるPodcastのトーク番組、『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』(毎週金曜17時配信予定)。リスナーから寄せられるメールは、「これこれ、私たちが知りたかったのは!」と膝を打ちたくなるリアルな体験談ばかりです。それはまさに、「オバサン掲示板」。どの雑誌やサイトにも載っていない口コミ情報に沸く、ジェーン・スーさん&堀井美香さんの絶妙な掛け合いを聞いていると、気の置けない友達と話しているような気分に。前編に引き続き、後編では、更年期にさしかかった女性たちのさまざまな悩みについて語っていただきました。“諸行無常の閉経物語”からシンママのお悩みまで堀井美香さん(以下、堀井):番組が始まって9カ月ですが、本当にいろんな情報が寄せられますね。年齢層も幅広くて、悩みに対する解決法が集まったり。特に生理、閉経については、参考になりましたねえ。ジェーン・スーさん(以下、スー):“諸行無常の閉経物語”ね。それと、整形についても、リアルな声が楽しかったな。知らない世界がたくさんあるよね。番組でけっこう胸を打たれたのは、「離婚した子どもに父親のことを聞かれたらどうしたらいいの?」っていう、シングルマザーになりたての女性に対して、離婚して時間がたった先輩ママからのメールがたくさん寄せられた回。「うちはこうしたよ」とか、自分が親に離婚された人が、「こうしてほしかった」という意見を寄せてくれたり。堀井:経験者じゃないとわからない意見。こういう生の声がありがたいんですよね。スー:リアリティがあってね。今、ネットに出てくる情報って、その多くが最終的に購買に落とし込むように誘導されてるんじゃないかと思って。だから前回のVIO脱毛でも商品レビューなんかも緊張して読むことになるんだけど、リスナーからのメールだとそういうことはなくて。「聞いて聞いて!」っていう感じで気楽だから。更年期障害のサプリがリアルなものになってきた堀井:スーさん、最近カラダの変化とか、気になっていることってあります?スー:やっぱり、「更年期障害」かな。いつ始まって、どんな症状になるのか。あまりにも人それぞれだから身構えてる感じ。よく「ホットフラッシュがくる」っていうけど、私、子どもの頃からめっちゃ汗かきなんですよ、特に顔とか首! だからこれがホットフラッシュなのか、いつもの汗なのかがわからない。「そうじゃないのよ、わかるのよ」とかよく言われるんですけど、わかんないから! もしかしたらもう始まってるのか?どうなんだ?堀井:人によって違うって言いますからね。スー:それ!「人による」が多すぎるんだよね、女の話は。生理もPMSも。堀井:私はね、膝が痛いんです……。本当に痛くて、特に右膝だけ。ちょっと正座するだけで、イテテテテって立ち上がるみたいな。ずっと鼠蹊(そけい)部も痛いし、私いつまでハイヒール履けるんだろう?こうやって、膝って悪くなるのかな。老眼もそうですけど、なかなかこないと思ってて、きたらどっぷりじゃないですか。祖父母がよく言っていたような老化のあらわれが、自然にスライドしながら、そうなっていくんだ!って。「コンドロイチン」なんて冗談みたいな言葉だと思ってましたけど、更年期障害対策のサプリメントも、リアルなものになってきました。スー:世の中に出ているさまざまな健康食品、健康器具の広告を、自分にも襲ってくるであろうトラブルになってくるんだろうなという目で見るようになった。特に、膝と目だよね。堀井:育毛もね……。こうやって巻いてもだんだん汚くなってくる。ボリュームがないし、きれいな巻きにならない、ツヤがなくなってくるのは悲しい。姿勢も変わってきたり。思春期のメランコリックが戻ってきたスー:私はね、気分が落ち込むようになったかな。わけもなく悲しくなったりとか。堀井:えー、あなたにもそんなことがあるの!?スー:ありますよ!若い頃って、アンニュイだったり、乙女心みたいなものがあったじゃない?ある時からそれらが完全になくなって、私「軍人」みたいに強くなっちゃったんですよ。それが、最近になって、不定愁訴というか、わけもわからず悲しくなったり、落ち込んでシュンとしたりとか。思春期みたいな気分の落ち込みが戻ってきて、それが久しぶりに、すっごく楽しい。軍人から人の心に戻ってきた!みたいな。堀井:いやあ、私なんて、もうこのまま死んでしまうのかなと思うくらい落ち込むことがありますよ。もう全部やめたいと思うことがある。このまま3日くらい寝てたいとか。何もやりたくない、何も欲しくない。スー:それはだから、性格じゃなくて、年齢だって。私もあるから。堀井:あなたいつも、元気はつらつじゃない。スー:それがね、ちょいちょい落ち込むようになったの! 最初は「なんでこんなに不安なんだろう?」と思ったんだけど、「もしやこれは年齢的なもの?……ということは、13、14歳の頃のあの感じが……戻ってきた?」と気づいて。何もしたくなくてやる気が出ないという状態に、うっとりするようになっちゃって。「私って、空が曇っただけで悲しくなる女の子なの」って。でもね、基本的にもう軍人だから、大体一晩でそのメランコリックが終わっちゃう。堀井:私は本当に何もやる気がなくなるときがあるんですけど……。スー:それは私の解釈では、更年期の「メランコリック」です。「もう全部イヤ」はメランコリック。でも、堀井さんのその状態ってここ数年じゃない?堀井:ああ、確かに、子育て終わってからですね……。もう私なんて、会社に勤めてなかったら、一週間でも寝ていられると思うんですよ。でも会社を急に休んだりしたら大事になる、そのあとの謝罪行脚を考えるとめちゃくちゃ面倒だから、休まないんだけど。スー:そこは、心の捉えようでね。思春期ぶりに戻ってきたメランコリックを楽しまなきゃ! また軍人モードに戻っちゃうんだよ。これから。堀井:その発想が、本当にすごいわ。私なんて、ついついネガティブに考えてしまうんですけど。ああ、ここもダメになってきた、あそこも弱くなってきた、とか。「自己満の時代」ならではの更年期の乗り越え方スー:私の場合、「年を取って太りやすくなった」とかないんですよ、ずっと太ってるから。寝つきは悪くないけど、途中で起きちゃうのは前からだし、ホットフラッシュは暑がりだからわからない。私の周りでホットフラッシュが自覚できたのは、めっちゃ冷え性の子だけです。私は大体のことが、だからわからない。そんな中で、唯一「更年期?」って自覚できたのが、そのメランコリック。私は逆に、どこで気づくんだろう?と思ってる。あ、生理の量が増えたというのはあるかな。でもあれも、中学生くらいの時、同じような感じになったから、これも思春期!? 経血の量が増えたのとメランコリックは、認知のゆがみによって若返りと処理している感じ。堀井:落ち込むのもそうだし、いろんなことに欲がなくなってきていて、食欲も。食べなくてもいいもん。スー:このまま即身仏になるんじゃないの、本当に!堀井:いや私本当に、欲の低下をすごく感じるんですよね。1日食べなくても、忙しければそれで終わっちゃうから、寝る前にアイスとか食べて。スー:ってやってるから、筋肉が落ちて、膝が痛くなるんですよ。まんまと老化の一途をたどってるんだから!堀井:この間、お肉を食べた時、食べたいと思って食べてないから、「牛がかわいそう」って思えてきちゃって。「私、なんで牛食べてるんだろう」って。欲がなくなって精進料理を食べる人って、そうなっていくんだなって。自然の流れにそって、このまま行くと、山菜とかだけ食べて、それでいい。スー:「チリン」って聞こえなくなったら死んだなって。堀井:もう私は一汁一菜でいいんですよ。おいしいお店にもときめかなくって。洋服も、アナウンサーという職業柄、買ってますけど。ジャージでいい。制服を作ってほしいくらい。スー:目指せスティーブ・ジョブズだもんね。5着くらいでグルグル回してますもんね。堀井:そう(笑)。スー:私は逆に、まだ欲があるから、お肉がおいしいですね。ジムでは、「レッグリフトで何キロ上げられるか」ってやってる。150キロ上がるんですよ。でもね、それって自己満足なんですよ。私だって150キロ上げる理由ないじゃないですか、足が太くなるし。でも上げたい。200キロまでいきたいんですよ、それでいいの。だから堀井さんも、欲がないとか食べたくないとか、それも自己満なんですよ。他者からの評価から、自己満の時代へシフトしているんですよ。堀井:なるほど。更年期障害も自己満の時代という視点を持てば、乗り越えられそうですね。スー:そうよ、なんでも楽しまなきゃ。楽しんだもの勝ちなんだから!(取材・構成:山野井春絵)
2021年07月09日コラムニストのジェーン・スーさんとTBSアナウンサーの堀井美香さんによるPodcastのトーク番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』(毎週金曜17時予定)。2020年10月から配信が始まるやいなやポッドキャストランキング(日本)で1位に躍り出るなど話題になり、現在も好調をキープしています。恋愛、結婚、離婚、カラダの話など、番組で語られるテーマはさまざま。リスナーから寄せられるリアルすぎる体験談に、舌鋒鋭いジェーン・スーさんとふんわりした堀井さんとのやりとりが絶妙で、ハマる人続出中です。そんな2人に、最近番組でも話題に上った 「中年女性のお悩み」をテーマに対談をしていただきました。「O」に毛が生えてるなんて知らなかったジェーン・スーさん(以下、スー):番組でも取り上げましたけど、確かに「VIO脱毛」が話題になることは多くなりましたよね。私たちが学生の頃は、まだ腕・ワキ・膝下の脱毛を、やるかやらないかっていう程度。30代の頃は、ドラマ「SEX AND THE CITY」でも登場したブラジリアン・ワックスが流行しはじめて、アメリカへ旅行に行った時、友達と面白がってやってみたんですけど。終わった後の自分の姿に爆笑して、それっきり。堀井美香さん(以下、堀井):私も、興味はありますが、やったらやったで、もしかしたらマイナス面もあるのかなって思っちゃうんですよね。スー:自分で機械を購入して脱毛する人もいるよね。昔、私も毛を引っ張って抜くタイプの脱毛器を買ったことがあるけど、めちゃくちゃ痛かったし、毛穴も痛んでしまった。今は良くなってるのかなと思って、Amazonとかでよく見るんだけど、レビューを読んで比較検討しているうちに、訳わかんなくなって、うーっと熱が上がったみたいになっちゃって、ベッドにバタン(笑)。もう何がいいのか、よくないのか、五里霧中で藪(やぶ)の中って感じですよ。堀井:私、「VIO脱毛」っていう言葉を聞いたのが、3年くらい前だったかな。今では普通に電車の広告でも目にするじゃないですか。昔は、アンダーヘアの脱毛なんて、口にするのもはばかられるという感じだった気がするんですけど。スー:そもそも「O」に毛が生えてるなんて知らなかったし、自分がどうなってるか知らないわ。しかし、早かったですよね。10年前、ブラジリアンワックスが話題になってから、「VIOやってないの?」って話になるまでの時間が早かった! 固定概念って、あっさり変わっちゃうんだなって。この話を大っぴらにすること自体が、私たちの世代にとっては目新しいこと。でも下の世代では普通になっていて、なんていうのかな、ロケット切り離され感。宇宙にさまよって落とされていく側のロケットになったような……。介護脱毛にカルチャーショック堀井:番組で、「介護をされることを考えて、VIO脱毛をしておく」という話を聞いて、それはカルチャーショックでした。そうなんだ、考える必要があるんだ、って。白髪になるとできないから、早めに受けておくのがいいんだという話もあって。具体的にVIO脱毛をしておいたら、介護の際にどういいんでしょう?スー:短期間ながら私も母親の介護を経験しましたけど、ヘアがあると、排便の時に手間がかかる場合がある。頻繁にお風呂に入れないなら、臭いが出てきたりする人もいるのかもしれないし。介護する側が楽なんじゃないかな。それをあえて自分で処理しておくというのは、「申し訳ない、恥ずかしい」という気持ちからだよね。そうそう、医療系の人から、「前のヘアを少し残しておかないと、泡立てるのに不便」という意見が寄せられましたよね。ツルツルだとそれはそれで洗いづらいと。堀井:最近は、男性もあらゆる部位を脱毛する人が増えているみたいですけど、男性も介護のことを考えてVIO脱毛をするのかしら。スー:うーん、それはどうかな。そういう感覚を持つ男性は、まだまだ少ないんじゃない? やっぱりこれは、介護をした経験がある人のほうが感じやすいから、現状、介護されることを見据えた脱毛を考えるのは女性が多いということなんじゃないかと。リアリティを持って考えられるというか。いや、しかし、私が父親の介護をするとして、ヘアがなかったら、どう思うんだろう。ただでさえ異性の性器は見慣れないものだから、ヘアで隠れていたほうが気分的に楽なのか、処理しやすいからやっぱりなしのほうがいいと思うのか……今はちょっと想像がつかないな。脱毛のジェネレーション・ギャップ堀井:ママ友に聞いたんですが、新体操部とか、水泳部とか、露出の多いスポーツをされている中学生の娘さんを、ワキとVゾーンの脱毛に連れて行くんですって。スー:なるほど。親がお金を出してくれるから、ますます若い人にとっては「脱毛は当たり前」の時代になっているんでしょうね。学生の頃、ワキや腕の脱毛に10万円以上使っている友達を見て、すごいな、私にはとても出せないな、と思っていましたけど。堀井:親がさせるとしたら、子どものことを考えて、きちんとした医療脱毛を選択すると思うんです。そしたら、また金額も跳ね上がるんですかね? ちょっと相場がわからないんですけど。スー:そう、適正価格がよくわからないよね。でも数万円でできるものじゃないでしょう、10万円以上はするわけじゃない? 中高生で部活とかの理由があれば、出してもらえるかもしれないけど、大学生くらいになると、もう親には言えないよね。言い出すのも恥ずかしいだろうし、でもまとまった金額を自分で払うのも難しい。堀井:大学生に10万円以上は、負担が大きいよね。そのためにアルバイトをするという感じになっちゃうのかな。オーバー40にとってVIO脱毛は“最後のお祭り”感スー:若い人は処理して当たり前という風潮はあるのかもしれない。でも、数が多いほうが一般的だと思うという傾向はどの年代でも同じ。処理をしている人に接してビックリしてしまう世代もいれば、逆も真なり。これからは「男の人で処理してない人に会った」と驚く若い女性が出てくるかもしれない。堀井:そうね。今のところ、周りを見回しても、オーバー40では処理している人のほうが少ないかな。やっている人が少ないからこそ、話題になるというか。初潮が来る前の子どもと一緒ですよね(笑)。スー:そう、VIO脱毛は、オーバー40にとって、最後の「エイヤ!」、最後の大冒険というか。この年になると、もう未知数のことってあまりないじゃないですか。ググればいろいろ出てくるし。でも女性器周りの話って、禁忌だっただけに知らないことがまだたくさんあって、そのうちの一つがVIO。だからこそ、前人未到の山のような気がして、登るか登らないかという気にさせられる(笑)。堀井:そうね、確かに! 目新しいからね、ついいろいろ知りたくなっちゃう。スー:それって言わば、祭り感。色めきたつから、私たちの番組でも盛り上がるんだと思うな。やるときの心理的なハードルが高かったり、やった後の達成感だったり、若い人にとってはワキや腕の脱毛と同じ感覚かもしれないけど、40代にとっては、新しい感覚。「やるぞ!」とか「やったぞ!」とか。でも、毛に会えなくなるのは寂しい堀井:情報に踊らされそうになりますけど、でもそこは、ちょっと冷静でいたいなという気持ちもあるんですよ。スー:それでいいんじゃないですか? 人によって考え方が異なるのは普通のことだし、脱毛をする・しないのチョイスは、自分の意思で決めたいよね。頭以外のヘアは、全部なくさなきゃダメだという強迫観念は、なくなってほしい。私は……あと、10年待とうかな。10年たったらもっと医療が進んでるだろうから、痛くなさそうで、いいかも。堀井:でもやっちゃったら、もう会えなくなると思うと寂しいな。スー:え、何に?毛に?堀井:そう、やっぱりあったほうがよかった……ってなった時には、もう取り返せないわけでしょう。スー:フフフ、そうだね(笑)。※後編のテーマは「更年期のお悩み」。7月9日(金)公開です。(取材・構成:山野井春絵)
2021年07月07日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは、5月12日に最新作『くれなずめ』が公開された松居大悟(まつい・だいご)監督です。全3回。“東京タワーが見えるタワマン”に引っ越したワケジェーン・スーさん(以下、スー):ところで生活に変化はありましたか?松居大悟さん(以下、松居):どうでしょう。車に乗り出したとかそんなレベルですね。スー:住まいは?松居:結構引っ越しはしてます。でも築年数があって畳があるところに住もうとしてます。タワマンとかはちょっと。スー:そろそろ住んでみては、タワマンに。松居:住めないですね。怖いんですよ。行っちゃうと、もう下げられなくなりそう。床暖あったり、宅配ボックスあったり、めっちゃ便利そう。スー:便利に殺される!松居:あとはワインを飲み始めてしまいそうな怖さがあります。スー:でもさー、ワイン飲み始めたくらいで鈍るような感性だったらそもそも……っていうのもあるじゃないですか。私はいつも、自分にそれ問いかけてます。「こういう庶民的なことで私は十分満足なんだよね」っていう自尊心って、実はすごい下品だと思ってる。庶民的と言われるものが好き、ってのとは別のノイズが入ってる気がして。私は、年を重ねたこととか、女性として稼ぎが良くなったことを後ろめたく思わせるような世の中は絶対嫌なんです。なぜなら、私が男だったらそんな思いしないから。だからこそ、いい生活ができるならしてみようと思って。今住んでる部屋からは東京タワーが見えるんですよ(笑)。シャバいタワマン。去年いろいろあったから、エイっと。同時に、揺らぎもあります。もともとあった感受性のシナプスが鈍化するんじゃないかという恐怖。一方で、そんなことくらいで書くこと喋ることの強度が変わったりするほど私は脆弱(ぜいじゃく)なのか、そもそもその自負こそが過信じゃないかとか、ぐるぐるしてます。松居:僕はいい部屋に住みたいけど、普通に知らないっていうのもあるんですよね。スー:一回アドベンチャーランドに行ってみるのはいいですよ。学びがある。松居:知るってことですね。知ってから必要ないなら必要ないと。スー:それそれ。そうしないと「どうせ金持ちはタワマンに……」の亡霊につぶされますからね。住んでみて初めて、マジこれほんと住みにくいってなるかもしれないし。松居:スーさんのタワマンはどうですか?スー:久しぶりにシングルに戻ったので、こうなったら緩やかな自傷行為みたいな部屋に住んでやろうと。目の前にドーンと東京タワーですけど、全部屋が賃貸だからかゴミ置場の倫理観が欠けてたりして面白いです。都会の野営地みたいなマンション。前に住んでたところは分譲の人がほとんどだったからなのか、ゴミ置き場もとってもきれいだった。松居:よく見つけましたね!スー:私、天才だと思う。もうちょっと先に行けば2割3割高くて、ちゃんとエントランスにドアマンがいるような物件もあるのに。でも今の私にはここがちょうどいいかな。住人は誰一人知らないけど、すれ違う人たちとの殺伐とした連帯感がある。環境的に便利で暮らしやすいし。一生住む感じのマンションではないけど、ソファに座りながら見る東京タワーはくだらなくて最高です。タワマンとか、高い買い物とか、高い食事とか、形骸化されたそういうワードみたいなものを全部試してみること、私には意味があります。あっちのブドウは酸っぱいに違いないみたいなこと、食べてもいないのに言うのは格好悪いから。松居:僕も10年くらい前かな、一回渋谷に住んだんですよ。多分20代じゃないと住まない気がしたので。でも3カ月くらいで引っ越しましたね。スー:合わなかった?松居:どこに行くにもスクランブル交差点を通過して渋谷駅に行くわけですけど、朝まで飲んでる人たちを横目に現場に出かけて、夜疲れて帰ってきたら酔っ払った若者がウェイウェイしてて……みたいなことがだんだん耐えられなくなりました。スー:一度は試してみるのって大切ですよね。自分たちの時代の価値観にどう落とし前をつけるか
2021年05月19日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは、5月12日に最新作『くれなずめ』が公開された松居大悟(まつい・だいご)監督です。全3回。【第1回】冴えてるか冴えてないかも自分で決めたい…映画『くれなずめ』で描いたもの自己拡張していくのが苦手ジェーン・スーさん(以下、スー):今、松居さんの映画は2本公開中で。1本が『くれなずめ』。そしてもう1本が『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』。こちらの映画はもともとはドラマですね。そもそもこのお話はどのタイミングで来たんですか?松居大悟さん(以下、松居):2016年、30才の時です。企画書の表紙にシーズン1のあの6人の名前があって、「こういう企画があったらやりますか?」みたいなところから始まりました。ちょうどテレビ東京が「ドラマ24」という枠を20代30代の感度の高い人に向けたものにしたかったそうで。スー:ゼロからですね。松居:テレビってすごいと思いました。すごく広がったし、「バイプレイヤーズの松居さん」と言われるようになりました。スー:テレビの影響力はまだまだありますよね。テレビを経て人との距離感は変わりました?もっと言うと、今までにはなかった思いはしました?松居:テレビの仕事というものの考え方が違うというのは感じましたね。僕は映画や舞台をベースにやってきたので、面白いものを作るためにみんな頑張るけど、それこそ『バイプレイヤーズ』くらいになると、演出プランよりもいかに健康で元気でその日を終えて次の日を迎えるかが一番大事だと思いました。創作のつもりで挑むと絶対にバースト(破裂)しちゃいます。スー:妥協点が違う?着地させるポイントとか?松居:スポーツみたいな感じなんですよね。スー:テレビはスポーツ。それすごく興味深い。映画は映画で3Kみたいな環境でやってるのはよろしくない、という声も上がってくるようになりましたが。松居:そういうことを言う人は結構いい環境でやってたりしますよ。本当の3Kはそれでやるしかないからやり続けるし。時代が声高にそう言っていたとしても、現場には下りてきていない気がします。スー:えー、下りてきてないのか。松居:言ってる人たち偉いぞ頑張れって言ってる人も実態を知らない。不思議な感じです。スー:当事者の声じゃないというのは、この時代の特徴の一つかもしれませんね。松居:僕もスーさんに聞きたかったんですけど、当初から今くらいのところに至るまでに環境の変化ってめちゃくちゃあったじゃないですか。でも大事なところ、芯は変わらないのはなんでですか?スー:私は新しい人とご飯に行ったりしないから。同じメンツとばっかり会ってるから変わりようがない。松居:ほうほうほう。スー:実は人がそんなに得意ではないんですよね。人前に出るのは基本的には好きじゃない。仕事だからやるけど。人前に出たり、華やかな場所に行くのが好きだったりすると、もっといろんなことを経験して考え方に影響が出たりするんでしょうけど、それが皆無なので。環境自体が変わってないんですよ。友達も変わってない、食べるご飯も変わってない。週末は寝ている。新しく知り合った人も、今までの人と同じ感じの人ばかりだし。松居:へー。スー:ものを作ることと宣伝は頑張ります。それはちゃんとやらないと、絶対つまらないことになるから。連載を単行本にまとめるときも、多分売り上げはそんなに変わらないけど、かなり手を入れますし。そういうことを優先してると、自己拡張のほうにあまり行かない。松居:信用できます。スー:松居さんは自己拡張はどうですか?松居:大きくしようとしたら大きくならない気がして気にしてないですね。結果的にラジオやったり、小説『またね家族』も書きたいから書きましたけど。スー:そうだ!小説も書いたんですよね。ラジオ「JUMP OVER」(J-WAVE)も4年めでしょう。続いてますね。別ジャンルからのオファーで断った仕事はあります?松居:恋愛リアリティーショー内への出演依頼。あれは断りました。スー:わはははは!出演者としてか!私はテレビのコメンテーターやバラエティはほとんどお断りしています。松居:自分に来たらどうするだろう。スー:目立ちたがり屋ではない?松居:ああだこうだ言うのは苦手ですが、人前に立つ自分は好きだったりします。スー:フフフ。世界よ自分に注目しろ!って思ってる?松居:そうですね。ちょっとね。ミーハーなところはありますね。スー:私にはそれが欠けてるんだよなぁ。人から見られるのが本当に苦手。自己拡張してくために外に出るんじゃなくて、なんならうちにきて欲しい。松居:それベストですね。スー:吉田羊さん(テレビ東京毎週金曜深夜0時12分O.A.『生きるとか死ぬとか父親とか』ジェーン・スー役)がうちに来てくれたことがあって、吉田さんの気を使わせない心配りもあってそれはすごく楽しかった。でも吉田羊さんの家でパーティーがありますって言われたら行かないと思う。テレビの価値が高かった最初と最後の世代
2021年05月17日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは、5月12日に最新作『くれなずめ』が公開された松居大悟(まつい・だいご)監督です。全3回。同世代や上の世代が無理している姿を見てきたジェーン・スーさん(以下、スー):新作映画『くれなずめ』を拝見しました。めちゃめちゃおもしろかったです。松居監督作品をすべて見ているわけではないものの、僭越(せんえつ)ながらこれは突き抜けるものがありました。松居大悟さん(以下、松居):うれしいです。ありがとうございます。スー:こう来て、ああ来て、までは想像つきましたけど、後半からの畳み掛けがすごかった。これで終わらせてたまるものか、という監督の意地を感じました。松居:死んで終わりじゃないぞ、と。スー:そうそう。ありきたりな終わりにはしないぞという気概。過去に私たち、松居さんが2015年に出した『さあハイヒール折れろ』という本で対談してまして。『松居大悟恋愛対談集』でしたね。あそこから我々はどう変わったのか、変わってないかを話せればと思って今回お声掛けしました。監督デビュー作の『アフロ田中』(2012年公開)を撮ったのが28歳くらいでしたか?松居:25です。スー:若い!!今から思えば大役ですね。原作はのりつけ雅春さん、主演が松田翔太さん。松居:あの時はそんなに大きい話とわかってなかったですね。デビュー作だったし。スー:もともとゴジゲンという劇団を大学時代からやってらっしゃった。松居:あとはドラマの脚本をちょっと書いたり、とかです。スー:そこからいきなり人気漫画『アフロ田中』の映画化。10年前は日本もまだお金があったのかなぁ。新しい若手に撮らせようという空気がありましたけど。松居:主人公と同世代の目線で撮ってほしいと、劇団公演を見に来たプロデューサーにオファーされて。スー:あの時25歳か。最初にお会いしたのは三宿にあったクラブのWEBでしたね。コロナもあって、先日惜しまれながら閉店してしまいましたが。「申し訳ナイト」というイベントで。10年前だと、私は37歳とか?まだ本も出してない頃だったような。松居:スーさんは「シケ金」(コミュニティFM「ORDINARY FRIDAY〜つまりシケた金曜日〜」)とちょっとTBSラジオやってるとか、その頃でしたね。スー:あのまま二人とも芽が出ず朽ち果てていた可能性もあるわけで、よくお互い生き残ったなあというのが正直な感想です。この間に名前を聞かなくなった人は少なくないので。松居:いっぱいいますね。スー:松居さんはこの10年で、めきめきめきめき頭角を現しました。映画や舞台だけでなく、テレビドラマ『バイプレイヤーズ』の監督をやったり、ラジオのレギュラー番組(J-WAVE「JUMP OVER」)を持ったり。それを自分のフィールドに還元もして、『バイプレイヤーズ』は映画にもなったし、ラジオをテーマにした舞台も作った。最初に出会った頃には想像もつかないくらいのご活躍です。生き残れた理由について、以前ちらっと「無理しなかったからだと思う」と言ってましたけど、そこを詳しく聞きたくて。松居:僕の同世代とか、上もそうですけど、無理していってる姿を結構見てきたんですよ。スー:無理するとは、具体的にどういうこと?松居:「こういうふうにしてください」という周りの要求もそうですし、自分たちがやってるものを大きく見せたい、もっと広く届けたいとなったときに、自分の足場をちょっと忘れて三段跳びしようとする感じですかね。スー:作りたくもないものを作るってこと?それとも代理店の言うことを全部聞くってこと?(笑)どっちもか。松居:両方ですね。しかもそれが無意識に自分のそばにいる。スー:無意識は怖いな……。意識のあるところで「これは俺の企画じゃないけど、やったほうがいいんじゃないか」って心が揺れたことありました?松居:ありましたよ。これやったらたくさんの人が見てくれると思って、背伸びして。けど結局は企画が頓挫して、後で思うと、やるべきことをやりたいことにすり替えられなかったという、自分の底力が足りなかったのもあると思います。スー:ああ、やり遂げるにはモチベーションを変換する力が必要になるのか。と同時に、松居さんがずっとやってきた「冴えない男群像劇」は途中で頓挫してないですよね。松居:いえいえ、してるのもたくさんあります。映画って、出資者が直前で撤退とかよくあって、そういう時、小さい規模でもやろうとか、お金を出してくれる人を別に探そうとか、意地でやるかどうかに違いが出ますね。自分がどうしてもやりたいものは、なんとか食らいついていく。20代後半は特にきつかったです。デビュー作はヒットしたからよかったけど、そのあと27,28,29あたり。途中で出資者がいなくなって、自分で別のところ探して「お願いします」って頭下げて、それでも興業として当たらないとか。名前がないし、若手でもなくなってきて。30代になってようやくやりたいことをやれる位置に来れたような気がします。ちょっと遠回りしました。スー:デビューが早かったからね。すごいですよ。『バイプレイヤーズ』だって、面白い作品としていろんな人から名前が挙がってきて、見てみたら「松居さんだ!」って。誇らしかったです。松居:うれしいです。運と縁ですね。スー:もちろん運と縁もあるけど、そこに至るだけの努力をしてるし、結果を残せるかはその人の実力次第という部分も否めないですよね。松居:12本目が『くれなずめ』、11本目が『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(全国公開中)で。そこまではどれも「アフロ」より小さい規模です。大きい話は途中で全部なくなって。もうちょっと無理したらやれたかもしれないけど、そうしたら違う未来だった気もしますし。焦らなかったのは“おぼっちゃん”だったから?
2021年05月15日映画『逃げた女』の公開を記念して、本作の監督ホン・サンスの過去の作品を上映する「HONG SANGSOO RETROSPECTIVE 12色のホン・サンス」がヒューマントラストシネマ有楽町とアップリンク吉祥寺にて開催されることが決定した。2021年ベルリン国際映画祭では、最新作『INTRODUCTION』が銀熊(脚本)賞を受賞し、2年連続して銀熊賞受賞に輝く快挙を果たしたホン・サンス監督。『豚が井戸に落ちた日』でデビューして以来、時流に惑わされることなく悠々と我が道を歩くことで国際的な評価を確立してきた。「HONG SANGSOO RETROSPECTIVE 12色のホン・サンス」と題した今回の特集上映では、日本最終上映となる『よく知りもしないくせに』『ハハハ』『教授とわたし、そして映画』『次の朝は他人』の4作品をはじめ、イザベル・ユペールとの初コラボ『3人のアンヌ』や、ジェーン・バーキンがカメオ出演している『へウォンの恋愛日記』。韓国では大ヒットした四角関係を描く『ソニはご機嫌ななめ』。加瀬亮主演の『自由が丘で』。キム・ミニとの初タッグ作で、前半と後半、2通りの展開で描く異色のラブストーリー『正しい日 間違えた日』。キム・ミニが韓国人俳優として初めてベルリン国際映画祭銀熊(主演女優)賞を受賞した『夜の浜辺でひとり』。第70回カンヌ国際映画祭に2作品招かれたことでも話題となった『クレアのカメラ』と『それから』と、12作品がラインアップされている。なお、6月12日(土)からユーロスペースで開催される特集上映「作家主義 ホン・サンス」では、『カンウォンドのチカラ』と『オー!スジョン』という、初期2本が連続上映される。ホン・サンス監督24作目となる『逃げた女』は、公私にわたるパートナーであり、『お嬢さん』で強烈な印象を残したキム・ミニとの7度目のタッグとなる話題作。夫と5年間、1日たりとも離れたことのない主人公の女性が、3人の女友達と再会するところから物語が展開していく、愛、結婚、これからについて、揺れ動く女性心理をスリリングにあぶり出すヒューマンドラマだ。「HONG SANGSOO RETROSPECTIVE 12色のホン・サンス」は5月14日(金)~27日(木)ヒューマントラストシネマ有楽町、5月28日(金)~6月10日(木)アップリンク吉祥寺にて開催。『逃げた女』は6月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:逃げた女 2021年6月11日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて公開© 2019 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved
2021年04月22日女性が抱えるモヤモヤを、書いて、しゃべって、痛快に言語化してくれるジェーン・スーさん。読者世代の先を歩く女性として、楽しいこともそうじゃない現実も、飾り立てず教えてくれた。胸がすくジェーン・スーさんのエッセイのなかでも、自身の家族について洗いざらい綴った『生きるとか死ぬとか父親とか』は、少々異質な存在といえる。そのドラマ化にあたって思うことや、父親との現在の関係、新たな扉を開いてしまった感のあるポッドキャスト番組『OVER THE SUN』と、落ちてしまった沼の話まで。滞った日常の風通しをよくしてくれる、スーさんの言葉をどうぞ。――スーさんのエッセイは、過去にも『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』がドラマになっています。『生きるとか死ぬとか父親とか』は、よりプライベートな内容といえますが、ドラマ化についてはどんなお気持ちですか?スー:エッセイ自体は父と私の月報みたいなエピソードの羅列で、ドラマになりそうな起承転結はないんです。なのでうちの家族をそのまま再現したというより、似た家の話としてもっと豊かにストーリーを作ってくださっています。ただまあ、ラジオのシーンなど創作の部分も現実に即していたりして、構造としては非常にややこしいフィクションではあるんですけど。エッセイとはまた違う魅力の作品になっていると思います。――キャスティングでは、スーさん化した吉田羊さんが話題です。スー:以前から、私の最上位変換が吉田羊さんだと言われることがあって、ゲラゲラ笑っていたんですけど、まさか向こうからこちらに寄せてくださるとは(笑)。現実とフィクションの境目がますますわかんなくなって、面白いことになぜか今、私のほうが偽者みたいに見えちゃってますからね。――お父さん役はいかがですか?スー:父は國村隼さんの持ってらっしゃる厳格さとか真面目さがまったくない人なので、どうなるのかなと思ったんですけど、適当な感じというか、抜けた感じが出ていて、やっぱり役者さんってすごいなと思いました。吉田さんと私も、隣に並ぶとまったく似てないんですよ。にもかかわらず、雰囲気として似ているように見えてくる。役者さんの力ですよね。――ドラマ版は、ラジオパーソナリティとしての一面がフィーチャーされているのが特徴的です。お悩み相談コーナーで取り上げられる悩みと、ドラマのなかで起こる出来事がリンクする面白さも。スー:トキコの番組のパートナーになるアナウンサーや、ディレクターも出てきますしね。お悩み相談のセリフについては、私だったらたぶんこういう言い方をするなどと意見をして、監修させてもらったのもありがたかったです。――親の人生や、親との関係をどう受け止めるかについても考えさせられます。この本を書くことによって、お父さんとの関係にその後、変化はありましたか?スー:私の場合、書くことが自己セラピーになっている部分が大きいので、自分の中で詰まっていたボトルネックがなくなり、父との関係はたぶん以前より良好になりました。今はさらに時期が進んで介護未満という段階になっていて、新しい連載を始めています。――「マイ・フェア・ダディ!」ですね。お父さんのことを再び書こうと思ったのはなぜでしょう。スー:『生きるとか~』が、親子という関係を情緒がどう捉えるかっていうところだとすれば、「マイ・フェア~」はもっとプラクティカルというか、老いていく親に対して現実に何をしなければいけないかを書きたいと思っています。いい意味でシステマティックにやっていかないと、感情的に引っ張られてしまうので。前の本よりは実用書に近いかもしれません。――読んでいて参考になります。ちなみに『生きるとか~』をお父さんは読まれたのでしょうか?スー:読んだと本人は言ってますけど、たぶん読んでないと思います。周りの人にも配ってるらしいんですけど、本当に読んでいたら配んないと思うんだけどな、普通。――たしかに(笑)。スーさんは書くという目的がありましたが、親がどんな人生を送って何を思っていたのか、興味があっても聞く機会のない人も多いと思います。スー:親子の話というか、父として娘にっていうスタンスだとつまんないんです。ただ、父になる前や夫になる前の話はすごく楽しかったので、そっちをメインに聞いていくと、父親っていうひとつのタグしか付いていなかった人間に、いろんなタグが付いてきて、面白くなるんじゃないかなと思います。ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』は、主人公の蒲原トキコが奔放な父・蒲原哲也に、エッセイ執筆のために家族の思い出を聞く物語。20年前に亡くなった母との出会い、全財産の喪失、ほかの女性の影など悲喜こもごもの記憶を通して、家族の愛憎を描く。テレビ東京系列「ドラマ24」枠で、毎週金曜24時12分~放送中。ジェーン・スー1973年生まれ。東京都出身。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で第31回講談社エッセイ賞を受賞。新潮社のPR誌『波』で「マイ・フェア・ダディ!介護未満の父に娘ができること」を連載中。TBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』、ポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』のMCを担当。※『anan』2021年4月21日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年04月16日ジェーンマープルドンルサロン(Jane Marple Dans Le Salon)の2021年春コレクションから新シリーズ「The grand house」が登場。ワンピースなどを2021年4月9日(金)より発売する。“架空の別荘地”をイメージしたワンピースなど「The grand house」は、19世紀に出版された苗木屋の図版をモチーフに、“架空の別荘地”をイメージしてデザインした新シリーズ。ナンバリングされた樹木や花々、フランス語で記された泉をレイアウトした彩り豊かなワンピース、スカート、スカーフを展開する。レース襟ワンピース「The grand houseフラッフィードレス」は、レースで仕立てた襟が印象的なワンピース。ロマンチックなAラインのスカートに華奢なリボンをポイントに配した、フェミニンなムードが漂う一着だ。タック入りスカートロング丈の「The grand houseタックスカート」もラインナップ。張りのある生地を用いて、立体的なタックディテールを美しく引き立たせた。淡いピンクとフレッシュなグリーンでその他、ウエスト切り替えのないシンプルなワンピース「The grand houseタブリエドレス」やスカーフなども用意。いずれも、淡いピンクとフレッシュなグリーンの2色を取り揃える。【詳細】「The grand house」発売日:2021年4月9日(金)アイテム例:・The grand houseタックスカート 32,500円・The grand houseフラッフィードレス 65,500円・The grand houseタブリエドレス 49,500円・The grand houseスカーフ 6,500円【問い合わせ先】株式会社セント・メアリ・ミードTEL:03-3468-0232
2021年04月10日ジェーン・スーのエッセイを吉田羊主演でドラマ化する「生きるとか死ぬとか父親とか」が4月9日から放送開始。「心鷲掴みされた」「共感出来る」などの声とともに、ジェーン・スーさんをモデルにした主人公を演じる吉田さんの“再現度”も話題を呼んでいる。ラジオパーソナリティー・コラムニスト・作詞家と多彩な顔を、女性からの圧倒的な支持を集める”独身のカリスマ“ことジェーン・スーが自身の家族の出来事と思い出を描いたリアルストーリーを映像化する本作。吉田さんがジェーン・スーさん自身をモデルにした主人公を演じる。20年前に母を亡くしたった一人の肉親となった父・哲也とはひとたび顔を合わせればギクシャク、一度は絶縁寸前までいったものの、いまでは時々外食しながら話をする関係になっている蒲原トキコに吉田さん。昔は破天荒な人生を歩んでいたが今ではすっかり丸くなった、どこか自由奔放で愛嬌のある父・哲也には國村隼。2人のほか20代の頃のトキコを松岡茉優が、トキコがメインパーソナリティーを務めるラジオ番組「トッキーとヒトトキ」で、トキコと共にラジオを進行するアナウンサーの東七海に田中みな実が、そのほか岩崎う大(かもめんたる)、岩井勇気(ハライチ)、平子祐希(アルコ&ピース)らもキャスティングされている。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。1話では「トッキーとヒトトキ」に寄せられた27歳の女性リスナーからのメールに対し、トキコが「独身って麻薬。それぐらい楽しい。でも独身の楽しさは寂しさと天秤にかかってる…」とコメントするシーンからスタート。結婚はお互いに寄り添えるかだと思うと続け「私なんていまだに独身生活楽しいし」と語るトキコとそれを聴くリスナーたち。オープニングをはさんで、物語はトキコが哲也と母の墓参りに行くシーンに。その後ファミレスで哲也から引っ越したいという相談を受け、家賃を援助して欲しいと頼まれたトキコは哲也のことをエッセイに書き、その原稿料で家賃を助けると答える。そして引っ越しが終わり哲也の新居に案内されるトキコ。そこでトキコは哲也に「結婚ってなんだろう」と問いかけ、生前の母に同じ問いを投げかけたとき「その人が死ぬほど好きだったっていう記憶を捨てないことよ」と返答されたことを伝える…という展開。開始早々、視聴者からは「冒頭からボロ泣きなんですけど」「開始数分で心鷲掴みされた」などの声が続々SNSに投稿されていく。「旦那いても息子いても共感出来る、想像出来る」といった声や「結婚とか独身とか裏切りとか…【好き】って何だろ」といった反応。また「画面のトーンや光と影 好き」と映像について触れるコメントも。「吉田羊さんはスーさんそのもの」「吉田羊さんがス―さんに見えました」「吉田羊さんの細かい仕草や喋り方など完全にスーさん」と吉田さんの“再現度”を讃えるツイートも多数寄せられている。(笠緒)
2021年04月10日アナ スイ(ANNA SUI) 2021-22年秋冬コレクションが発表された。壁穴から覗く、サイケデリックな色の世界今季のイメージソースとなったのは、1968年に公開された映画『ワンダーウォール』。退屈な日々を過ごす科学者(ジャック・マッゴーラン)が、自室の壁の穴から隣の部屋に住む若くて美しいモデル ペニー・レーン(ジェーン・バーキン)を見つけ、自身とは対照的な華やかな世界に生きる彼女に魅了されていくという物語だ。牛柄のジャケットやハット魔法にかけられたような鮮やかな色合いのワードローブ キャビネットの前に登場したのは、大胆な牛柄があしらわれたボアジャケットやハット、トップスで構成したルック。モノクロの世界で生きていた科学者の日常を映し出すかのような、シンプルなカラーが用いられている。モノクロの世界にヴィヴィッドカラーをプラスモノクロの世界に鮮やかな色がミックスされていく様子を物語として昇華させた同作品のように、シックなカラーに鮮やかなカラーをのせたアイテムも目立つ。例えば、シフォン素材で仕立てたブラウスは、ブラックとホワイトを基調とした花柄に、ヴィヴィッドピンクの幾何学模様をのせることで調和の取れたスタイルへとまとめ上げた。可憐なレースを配したツイードのセットアップ伝統的なデザインにエッジの効いた素材を取り入れたアイテムは、科学者とモデルという対照的な2人の人物が交差する様子を表しているようだ。例えば、フォーマルな印象のツイードのセットアップには可憐なレースをあしらってフェミニンなムードに、テーラードジャケットにはきらきらと煌くスパンコールを敷き詰めてエッジィな印象に仕上げている。クリエーターとのコラボレーションまた、今季のコレクションでは、様々なクリエイターとコラボレートしたアイテムも豊富なラインナップで展開された。アーティスト モニカ・フォースバーグは幻想的なヘビと孔雀をベルベットのワンピースに描き、イラストレーターのゴールデン・ドウズとオリヴィア・スイはサイケデリックなカラーで危うい魅惑を放つフラワーモチーフをTシャツに描いた。
2021年03月14日ラジオパーソナリティー・コラムニスト・作詞家と多彩な顔をもち、女性からの圧倒的な支持を集めるジェーン・スーが自身の家族の出来事と思い出を描いたリアルストーリーをドラマ化する「生きるとか死ぬとか父親とか」が、4月、テレビ東京金曜深夜のドラマ24にて放送。吉田羊がジェーン・スー自身をモデルにした主人公を、國村隼がその父親を演じる。主人公・蒲原トキコは20年前に母を亡くし、父の蒲原哲也がたった一人の肉親。愛嬌はあるが破天荒な70代の父、独身で勝気な40半ばの娘。ひとたび顔を合わせればギクシャクし、一度は絶縁寸前までいった2人だが、いまでは時々外食しながら話をする関係になっている。そんなある日、トキコは父についてのエッセイを連載することになった。ネタ集めのため父に会うたびいろいろな家族の思い出を聞く。しかし、それは楽しい記憶ばかりではない。母との出会い、全財産の喪失、ほかの女性の影…。父への愛憎と家族の表裏を描く、普遍にして特別な家族の物語となっていく。さらに今回のドラマの見どころとして、主人公がパーソナリティを務めるラジオ番組の「お悩み相談のコーナー」がある。ジェーン・スーさん自身もラジオ番組でのお悩み相談コーナーが大人気であり、まさに“人生相談の名手”だが、今作のラジオシーンのセリフは全てジェーン・スーさんによる監修のもと制作。夫婦関係や友人関係、SNS社会や見た目の悩みまで、様々なお悩みをキレ味のよい言葉で応じていく。そんな本作の主人公で、劇中での人気ラジオ番組「トッキーとひと時」でパーソナリティーを務めるトッキーさんこと、娘・蒲原トキコ役に、「コールドケース」シリーズ、や「恋する母たち」などジャンルを問わず、多彩な演技で魅せる吉田羊。昔は破天荒な人生を歩み、いまではすっかり丸くなったが、どこか自由奔放な愛嬌のある父親・蒲原哲也役に、映画『騙し絵の牙』ほか、『MINAMATA』(原題/2021年公開予定)、『KATE』(原題/2021年公開予定)など数多くの海外作品にも出演する名優・國村隼。さらに本作のメイン監督を務めるのは山戸結希。『溺れるナイフ』や『ホットギミックガールミーツボーイ』、『21世紀の女の子』では企画・プロデュースなど映画作品を手掛け、今回、連続ドラマでは初監督となる。吉田羊「私自身の人生を生きている感覚」「お父さん役の國村さんとは、9年ぶりの共演です」と吉田さん。「尻尾を掴ませない飄々とした佇まいは、どこか今回の『お父さん』にも通じていて、『してやられた!』と最後は笑って許してしまう、そんな人間力をお持ちの方です」とコメント。「不思議なもので、親子を演じていると似てきて、同じタイミングで空を見上げたり、ため息をついたり、口元を拭ったり…」と明かす。吉田さん自身も4年前に母親を亡くしており、「トキコを演じながらも、私自身の人生を生きている感覚。スーさんは書くことで、私は演じることで、皆さんは視ることで、それぞれの家族と向き合い、何かしらのヒントが見つかれば幸いです」とアピールする。國村さんは「ジェーン・スーさんの原作は親の世代も子供の世代もそれぞれの暮らしやすさを追い求めながら、またそれゆえの衝突もあり、少しの苦みとゆるやかな愉しみのなかで人生は過ぎて行く、そんな面白さをまざまざと描き出していきます」と語る。「共演する吉田羊さんは、軽やかに過酷な現場を楽しんでおられて、私もそのおすそ分けを頂いている気分になってしまいます。台本を読みながら、そして演じながら、したいことはするしかない。しかしそのしっぺ返しは甘んじて受けるんだぞ。肝(はら)は括っておくもんだ。という人生の教訓・三カ条を頂いたと思っております」と、破天荒な父親役を受けとめているよう。「まさか吉田羊さんにジェーン・スーを演じていただけるとは」「父と私の、ごく私的な日常が映像になるなんて!父にとっても私にとっても、身に余る光栄です。ドラマ化にあたり、創作していただいたフィクション部分も大変気に入っています」とジェーンさん。「まさか吉田羊さんにジェーン・スーを演じていただけるとは」と明かし、「國村隼さんに父を演じていただけること、天国の母も喜んでいると思います」とコメント。「大人になり、親との関係の紡ぎなおしを考え始めたみなさんに楽しんでいただけたら」と本作のテーマに触れる。また、シリーズ構成も担当する山戸監督は「勇気と優しさに満ちたジェーン・スーさんの素晴らしい原作エッセイを、名作を生み出してきた『ドラマ24』にてお届けできることを光栄に思います」とコメント、「『より正しく生きたい』と望みながらも、間違ってしまうことこそが、人間の本性であるーーそのことを、何度でも思い出しながら撮れたなら」と期待を込めて語っている。ドラマ24「生きるとか死ぬとか父親とか」は4月9日(金)深夜0時12分~テレビ東京ほかにて放送。※テレビ大阪のみ、翌週月曜深夜放送予定。動画配信サービス「ひかりTV」「Paravi」にて配信。(text:cinemacafe.net)
2021年02月16日多くの女性たちの悩みを受け止め、的確なアドバイスを繰り出してきたジェーン・スーさん。あるとき、動物の生態や特徴などについて書かれたものを読んでいたら、「こういう女の子、いるな」「あれ?私とも重なる部分がある…」などいろいろ見えてきたのだそう。女性たちを動物になぞらえるエッセイを書き、その連載の延長で始めたお悩み相談を合わせてできあがったのが、この『女のお悩み動物園』だ。自分に似た動物を見つけて納得!モヤモヤを振り払ってくれる名回答。「オオカミやサルにはボスがいて、上意下達の命令系統がはっきりしています。一方、『イルカにはボスはいないがリーダーはいる』というのをどこかで聞いて、そっちが私たちの理想とする働き方だなと思った。そんなこともヒントになりました」行動や心理パターンから、〈悪あがきするアヒルさん〉〈攻撃的なヤマアラシさん〉など16の動物に、女性を分類。そうした女性だからこそ陥りがちな悩みを、スーさんが分析。ポジティブな解決策も探ってくれる。「自分も若いころは、アヒル的なところがあったなと反省しているんです。それは自信のなさの裏返しでしたし、いまは『人には人のペースがあるのだから、自分でやってしまった方が早い』と何でも背負ってしまうトラかな。おかげで四苦八苦しています(笑)。よかれと思って変わっていったところの先に、また違う悩みも生まれるし、新しい武器を手に入れたからこそ、足りないところにも気づく。ただ、誰もがそんなことの繰り返しだと思うので、卑下しすぎず、悲観しすぎず、自分の目指すところへ少しずつ近づいていけばいいんじゃないかなと思うんです」バサッと斬ってくださいと頼まれるのは好きじゃない、とスーさん。「スカッとするのははたで見ている人だけで、斬られる相談者ではない。万人に刺さる答えや、間違いのない安全パイの答えをひねり出すより、あくまで相談者さんと向き合って、大人の知恵で助けてあげられたらなと思っていました」シスターフッド(女性同士の連帯)の潮流を、本書からも感じる。「だからこそ、過去の常識や『これがふつう』という言葉で、相談者さんや読者に自分の価値観を押しつけないようにしました。どこからでも読めるし、心が軽くなったと言われると嬉しいですね」作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。1973年、東京都生まれ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞を受賞。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』放送中。『女のお悩み動物園』見習いたい理想の動物あり、我々の同胞的な愛すべきダメ動物ありで、どれも首肯してしまう。20代から40代の働く女性が抱く悩みを網羅。小学館1500円※『anan』2021年1月20日号より。写真・土佐麻理子(スーさん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年01月15日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田隆之(きよた・たかゆき)さんです。全3回。我々はなぜ“男が知らない男のあだ名”を作るのがうまいのか?ジェーン・スーさん(以下、スー):桃山商事でたくさんの女性から恋愛相談を聞いてきて、女性側の話に共通点があると感じたことはありますか?相互理解に至らない要因というか。清田隆之さん(以下、清田):我々のところにくるのは異性愛者の女性が多いので、夫や彼氏、仕事相手やアプリで知り合った人など、男性とのいざこざを聞くことになります。そこで耳にする「男に対する不満や疑問」に関してはいろいろ共通点があり、また自分にとっても思い当たる節が多く、それらを反省的な視点でまとめたのが『よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門』(晶文社)でした。そんな背景があるため、ディスコミュニケーションの原因は主に男性側にあると考えてしまいがちなところがあり、女性の話に疑問を抱くことは正直あまりないというか。ただ、「桃山商事は女に甘い」と男女双方から批判されることが少なからずあって、そこは確かに考えるところではあります。でも、そうだな……傾向として言うなら、「私はどうしたらいいですか?」と聞かれる割合は多いかもです。自分のことは自分で決めたほうがいいと考えているので「どうしたいですか?」と聞き返してしまうのですが、行動や決断に対して自分でゴーサインを出すことに苦手意識を抱いている女性が多い印象はあります。あと、エピソードを聞く限りひどい男だと感じるのに、「でも本当は悪い人じゃない」「私にも彼をいら立たせる要因があると思う」など、相手をフォローしたり自責的に考えたりする女性も一定数いるように思います。スー:そうか……。それは弱さなんだよなぁ、ある意味。とは言え、完全には「ひどいやつ」とは言い切れない女性の気持ちもわかるような気がします。私も言えないもの。ところで、桃山商事には男性の相談者が訪ねてくることもあると思いますが、彼らからそうした「ひどい」とされる行動の説明というか、フォローはありますか。清田:確かに割合として、男性の相談者さんには自分の加害者性に悩んでいる人が多いです。また、最近は連載などでも男性の身の上話を聞く機会が増えてきました。ただ、彼らの話は総じて抽象的で、「なぜそうしてしまったのか」の部分が正直よくわからなかったりする。言動の背景や要因に関しては、自己省察や男性との対話を重ねながら言語化を進めていきたいなと思っています。スー:恋バナなんかは特に顕著ですが、女性のほうが話の描写が具体的ですよね。清田:自分語りの語彙(ごい)が圧倒的に豊かですよね。あと女の人って観察眼がまじ鋭利だなって感じることも多いです。例えば桃山商事で「男が知らない男のあだ名」という企画をやっていて、それが本当に恐ろしいものばかりで。スー:うわー!企画名を聞いただけで、もう胸が痛い。耳も痛い……。清田:女性たちが身近な男性にこっそりつけてるあだ名ってあるじゃないですか。ガールズトークやグループLINEなどで盛り上がったりしているものを収集しているのですが……。スー:ううっ。私が代わりに謝罪します。我々そういうことになると、必要以上にクリエイティブになる傾向が……。清田:例えばある女性の彼氏は、セックスでイクときに必ず上を向きながら目を瞑(つぶ)るみたいなんですね。それがおもしろくて女友達と盛り上がったらしいんですが、そこでついたあだ名が「座頭市」という(笑)。スー:ひどい。でも誰か言いそう。清田:あと、これは桃山商事の新刊『どうして男は恋人より男友達を優先しがちなのか』(イースト・プレス)にも収録した話なんですが、メンバーのワッコは会社のセクハラおやじに「チンウィズハーン」というあだ名をつけています。いわく、お気に入りの社員を自分の権限で出張に同席させたりするらしく、「性欲(=チンコ)」と「権力(=ハンコ)」を兼ね備えているということで「チンコwithハンコ→チンウィズハーン」となったようです(笑)。スー:あはは!天才的だな。自分自身を言語化する訓練をしたことがない、言語化する機会もない、しないでもやってこられる、それが下駄の1つでもある、という男性サイドと、なんでも言語化して、因数分解して自分の置かれた立場を把握してきた女性陣とでは、他者への観察力にも圧倒的な差が出るわけですね。男の人はもっと直接的なあだ名をつけそう。清田:そうなんですよ……。最初は男性からも「女の知らない女のあだ名」を聞き集めていたんですが、即物的で差別的でクリエイティビティの欠片(かけら)もなくて、全然笑えなかったんです。腕力や体格など身体的には男性のほうが強いかもしれないけど、言語能力を1つの筋肉として捉えると、女の人のほうが圧倒的にバキバキだなって。スー:それはなんとなくわかる。『さよなら、俺たち』の中で、別れる時に元カノが清田さんに送ってきた手紙がいくつも紹介されていましたよね。あれにすごい既視感があって。元カノみんな、そろいもそろって悟りを開いたような。まるで出家した尼のような口調で「俗世に残る清田さん、あなたにはいいところもたくさんある。だけどね」っていうスタンスでした。私も散々書いてきた記憶があります。もらうほうとしては恐怖新聞ですね。清田:ぐうの音も出ない言葉ばかりで、おなかの奥までズシーンと響きました……。スー:尼の口調で痛いところ突いてきますもんね。「あんたなんか最低!」と言われるほうがよっぽど気楽でしょう。煮えたぎる感情をすべて排除した精神状態で、「私たちの今までの付き合いの中で、こういうことがありましたね」と静かに振り返られる感じ。清田:本を書くにあたって久しぶりに読み返したんですが、思わず驚いてしまったものもあって。というのも、元カノたちはみな同年代の人なので、手紙を書いてくれたときは高校生とか大学生とかアラサーだったわけです。なのにびっくりするほど文章が大人で。当時は正直、彼女たちのことを見くびっていたというか、自分に自信がない、ちょっと頼りない女の子くらいに思っていた節がありました。ところが改めて読んでみると、こちらのことをめちゃくちゃクリティカルに見抜いている上、それが的確な言葉で表現されてもいて、彼女たちはこんなすごいものを書いていたのか……って。スー:あはは!相手のことをなめていらっしゃたんでしょうね。私は「別れたくない」という相手に「もう、そういう次元の話ではないのです。なぜなら……」ってプレゼンシートみたいな尼レターを出したことがあります。そういえば、もうなめられたくないと思ったから別れたんだったな、あれは。「自分には性的な魅力がない」コンプレックス
2020年12月26日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田隆之(きよた・たかゆき)さんです。全3回。男子校的なノリと「こじらせマッチョ」の共通点ジェーン・スーさん(以下、スー):豊山時代の清田さんの話がもっと聞きたいです。清田隆之さん(以下、清田):日大豊山は「ストニュー」でイケてる学校ランキングに数えられ、また体育会系の校風も強く、当時池袋を席巻していたカラーギャングに入ってる人なんかもいて、全体的にオラついた学校だったと思います。そんな中で、ヤンキーやスポーツエリート、イケメンやオシャレなやつらがヒエラルキーの上位にいた。僕は友達の多いタイプだったけどヤンキーでもオシャレでもないし、サッカーをやっていたけどレギュラーになれず、成績も下のほうでおまけに家がバブル崩壊の影響で生活苦になり、高校時代は結構どん底でした。そこで「面白くなるしか道はない!」と思い立ち、いかにも男子校的なノリに過剰適応していきました。例えばちんこを出すとか、先生にいたずらを仕掛けるとか。スー:わはは!それ学内YouTuberじゃないですか。清田:どれだけばかなことをできるか的な……。本当に最悪なんですが、学校の地下にトイレがあって、みんなそこにこっそりうんこをしに行くんですけど、誰かがその個室に入るのを待ち構え、ドアの上から水をかけるといういたずらとかを友達と熱心にやってました。スー:かけられたほうも、「ひでぇなお前らゲラゲラ」と、平気なフリを暗黙の了解でやるやつですね。清田:そうそう、ネタにガチでキレるやつはダサいという風潮があるし、チキン野郎と見なされるのをめちゃくちゃ恐れているんですよね、男子カルチャーって。だから何事もなかったかのように平然と出てきたりするという。スー:どうりで「ピッチャービビってる!ヘイヘイヘイ!」が煽(あお)りになるわけだ。「こじらせ女子」は雨宮まみさんが作った言葉ですが、今って「こじらせマッチョ」の時代だと思ってまして。トランプ政権時代にホワイトハウスでクラスターが起きた時、それでもマスクを付けないと言う人がいました。たいした病気じゃないとね。強さを誇示したいとき、人は「俺はここまで大丈夫」というチキンレースをやるじゃないですか。チキン野郎と思われたくない男子校と変わらないですよね。オチとして怖いのが、トランプの支持率は決して低くなかったこと。公衆衛生の概念が欠如しているというワンイシューだけでほかがどんなによろしくてもアウトだと私は思うのですが……。こじらせマッチョの魅力って何だろうと常々考えるわけです。清田:オラつきとかイキりみたいなものに固執することの意味ですよね。何なんだろう……。例えば「ホモソーシャル」とか、あるいは『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』(レイチェル・ギーザ/DU BOOKS)で解説されている「マン・ボックス(=伝統的な男らしさのイメージ)」いう概念を知ったあとだったら、「そこからこぼれ落ちることの怖さ」という説明もできるかとは思うのですが、渦中にいるときはそんな自覚はないわけで、そこが難しいところで。スー:その怖さを丁寧に解説していただけないでしょうか。体感としてわかりきれなくて。ホモソの輪から外れる恐怖って、具体的にどういうことなのか。清田:ジェンダー研究の分野では、ホモソーシャルとは「女性蔑視と同性愛嫌悪をベースにした男同士の強固な結びつき、および男たちによる社会の占有」を意味するそうなんですね。マン・ボックスの中には<タフ、強い、大黒柱、プレイボーイ、ストイック、支配的、勇敢、感情を出さない、異性愛者>といった言葉が並んでいます。そういったものの中にいれば仲間と認めてもらえるし、「支配する側」に立つことができる。一方、そこから外れてしまうと「寒いやつ」とか「チキン野郎」とか「女々しい男」とされてしまい、それがとても怖い。そういう構造になっているんだとは思いますが、じゃあその怖さの質って一体何なんだって話ですよね……。スー:そうそう。残念ながらそれと背中合わせにあるのが、女性は弱い存在と思われたほうが表層的には大切に扱ってもらえる場合があること。男女関係においては自己決定権を手放すという手痛い損とセットの話ですが。社会的地位が高くはない男性でも、弱い女性に対しては相対的に強くいられるので、現実的かどうかは別として、弱い女性のほうが需要があるとされている。一方で、弱さを持つことによって、駅で知らない人にどんとぶつかられたりとか、付随する負債もかなり大きい。そのあたりのことを女性は特にこの数年でだいぶ言語化してきていると思います。そして、男性がホモソーシャルに縛られていることも、清田さんや田中俊之先生などいろんな男性が語り始めたことによって、私たちはかなり理解を深めてきたとは思っています。でも、なぜそれが手放せないのかがわからない。ホモソなんてやめればいいのに、なぜやめられないか。そうそう、ネットでは日本人でトランプのことを「おやびん」と呼んでる人が多数いまして。ボス然とした人が欲しいんでしょうか。自分の頭で考えなくとも、とにかくその人を肯定していれば居場所ができるという権力構造。清田:あー、なんかわかるような気がします。例えばスポーツとかでも、強豪チームのファンであることでマウント取ってくる男の人って一定数いるんですよ。お前が強いわけじゃないだろって思うけど、弱いチームのファンをばかにしてくる。強い側につくことで優越感を得られるという構図って、自民党とか大阪における維新の会とか、圧倒的多数の与党を支持している人(もちろん全員ではありませんが)にも通じるものがあるなって個人的には感じています。スー:強いものが好きっていう感覚は、決して自分が強くなりたいわけではなく、強いものにくっついていれば思考停止でいられるからでしょう。本物の親分は部下を守ったり子分のために身をていしたりするけど、トランプだけでなく、象徴としての「おやびん」はどうなんだろう。子分を養分にしてるだけなようにも思います。清田:チューチュー吸ってるだけと言ったら失礼かもですが、いざというときでも守ってくれないイメージは正直ありますよね。オラつくのって気持ちいい!
2020年12月24日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田隆之(きよた・たかゆき)さんです。全3回。僕が「桃山商事」を立ち上げた経緯ジェーン・スーさん(以下、スー):こうやってゆっくりお話するのは初めてですね。清田さんといえば、恋バナ収集ユニット「桃山商事」の活動でも知られ、最新刊『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)も話題になっています。大学でのサークル活動がそのまま仕事になったとのことですが、どんな経緯だったんですか?清田隆之さん(以下、清田):通っていたのは早稲田大学だったんですが、そこで二つのサークル活動をやっていました。一つは自分が立ち上げた桃山商事の活動で、もう一つがメンバーとして参加していた出版系サークルです。デザイン、イラスト、テキスト、写真と、それぞれ得意なものを担当してばかばかしいグラフィック作品を作る団体で、学内外で話題になり、雑誌連載など出版社から仕事のオファーが来るようにもなって。当時は就職氷河期で就活はしておらず、「このまま食っていけるのでは?」と2005年の卒業後にそのままメンバー五人で法人化しました。編集プロダクションとデザイン事務所が合わさったような小さな制作会社でしたけど、ゆくゆくは広告のクリエイティブをやろうという野心を抱き広告賞にも応募したり。食ってくために受験雑誌のコンテンツ制作からエロ本の白黒ページを埋める仕事まで、何でも必死にやりました。スー:清田さんはそこで文章を担当されていたんですか?清田:僕はテキスト担当で、いろんな雑誌でライター仕事もしていました。一時期は月給が30万円を超え、代々木に広いオフィスを借りられるくらいにまでなったんですが、リーマンショックの影響をモロに受け、原稿料やデザイン料が一気に下がって会社として売り上げがきつくなり……。当時はメンバー全員が30歳手前で、会社の経営を安定させるために稼げる仕事を増やすか、クリエイティブチームとして認知されるよう給料を削って作品づくりの比重を重くするか、みたいな話し合いを何度も重ねました。でも全員の意見がまとまることはなく、段々と「自分の視点でモノを書けるようになりたい」という思いが勝るようになり、約8年働いたその会社を辞め、32歳のときに独立しました。スー:そうだったんですね。いまその会社は?清田:制作会社として今でも活動しています。社員も十人近くいるんじゃないかな。立ち上げメンバーも二人残っていて。スー:おお、続いていらっしゃるんですね。私が最初に清田さんのお名前を目にしたのは、桃山商事としての活動だったように思います。清田:桃山商事は元々、思いつきで始めた遊びのような活動でした。僕の通っていた第一文学部が女子ばかりの環境で、クラスメイトから彼氏の愚痴や恋愛の相談を聞くことが多かったんですね。「男子の意見を聞かせて」みたいな。でも自分にはまともな意見を言える自信がなく、高校や予備校の同級生に助けを求めました。その「複数人の男で恋バナを聞く」というスタイルが意外な好評を呼び、口コミで広まって友達の友達とかからも依頼が来るようになって(笑)。「また仕事が入った!」って盛り上がり、会社みたいにしようとなってつけたのが「桃山商事」という名前でした。当時ちょうど高田純次さん、大竹まことさん、渡辺正行さんの3人が日テレで「あんたにグラッツェ!」(通称「あんグラ」)という番組をやっていて、毎回1人の女性ゲストを、おしゃれで面白くてシニカルなおじさんたちが囲んで楽しませるというコンセプトにインスパイアされた部分もひそかにありました。スー:まさかのその3人!清田:桃山商事の活動は卒業後も続き、恋人と別れたとか、彼氏とうまく行かないとか、依頼があるごとにみんなで集まっていました。学生時代はみんな時間があったので、落ち込む女子と一緒に海とか山とか遊園地に出かけ、車中で話を聞きながら「それはつらい……」「ひどい彼氏だ!」なんて盛り上がるチャラチャラした活動でしたが、社会人になってからはカフェなどでじっくり話だけを聞く現在のスタイルになっていきました。それを仕事でご一緒する雑誌やウェブメディアの編集さんに雑談レベルで喋っていたら、「せっかく変わった活動してるんだし何か書いてみたら?」と声をかけていただき、段々と仕事と結びつくようになりました。スー:へー!なにが仕事になるか、わからないものですね。私が最初の本『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)を出したのが2013年で、確か清田さんの名前を見るようになったのもその頃だったような。清田:まさに『わたプロ』の書評をTVブロスに書きました。その時スーさんともTwitterでやりとりして。スー:それだ。そうそう、昔やりとりしたって記憶あります。SNSがあったら炎上してたかも…
2020年12月22日FASHION HEADLINEの人気企画「おしゃれな人が使ってるエコバックがみたい! 」。今回は、憧れのパリジェンヌたちが愛用しているオシャレエコバッグをリサーチ! 近い未来、また気兼ねなく海外旅行を楽しめるようになったら、お土産として買ってきたい! そんな気持ちも込めてお送りします。環境問題の取り組みに熱心なフランスで、使い捨てプラチック製レジ袋が禁止されたのは2016年7月のこと。今では、スーパーやマルシェへの買い物にエコバッグを持って行くのは、パリジェンヌにとって日常の行為として染み付いています。かつてジェーン・バーキンが持っていたようなカゴバッグはもちろん可愛いのだけれど、重量と実用性を考慮するとやっぱり布製やレザーのエコバッグが日常使い向き! 気になる10選、早速チェックして。01. Le Bon Marché(ボン・マルシェ百貨店)© Le Bon Marché Rive Gaucheパリ高級住宅街7区に構える、歴史と伝統を持つ1852年創業世界最古の百貨店「ボン・マルシェ(Le Bon Marché)」。コットン素材やナイロン素材など折り畳み式のエコバッグもそろえているものの、人気はエコレザー素材のトートバッグ。百貨店内のエレベーターの構図を模したジオメトリック柄は、同百貨店のオリジナルプリント。02. Q bagパリ発「キューバッグ(Q bag)」は、ネオプレーン素材でしっかりとした作りなうえに、軽い・畳みやすい・シワになりづらいと、三拍子そろう優秀なエコバッグ。バッグ本体の重さはアイフォーン(iPhone)とほぼ同じ約200gだけれど、形崩れすることのない丈夫な構造のため、出勤バッグや小旅行用など、使い道はさまざま。汚れたら洗濯機で洗うことができるから、清潔に長く使えるはず。03. Merci(メルシー)ライフスタイル系コンセプトストアとして、今なお高い人気を誇る「メルシー(Merci)」が展開するエコバッグは、厚手のコットン素材を使用した丈夫なトート型。ロゴだけを施したシンプルなデザインで、布地とロゴのカラーは種類豊富にそろえる。マチがたっぷりあるから見た目以上に荷物をたくさん入れられるのも嬉しい。04. Polène(ポレーヌ)「ポレーヌ(Polène)」は2016年にパリで誕生。曲線とプリーツを生かしたミニマルでユニークなデザインのバッグをフルグレインレザーで表現している。すべての製品は、革産業で有名な街、スペインのウブリケで熟練の職人の手仕事によって一つ一つ丁寧に仕上げられており、クラフトマンシップを感じられる贅沢なエコバッグとしてもパリジェンヌの間で人気。トート型の「ル・キャバ(Le Cabas)」は、たっぷり荷物が入る大型ながら軽量で、上質なレザーの仕立てがコーディネートをアップグレードしてくれる優れもの。05. Biocoop(ビオコープ)Photo by Yusuke Kinaka「ビオコープ(Biocoop)」は、オーガニックの取組みを実践する生産者と消費者の有意義な流通を図るべく、協同組合として1986年に発足。生鮮食品の他にスキンケア用品、生活用品など、生活に必要なオーガニック商品をすべて取りそろえた便利なお店。健康志向や環境問題に対して高い関心を持つ顧客が多く、もちろんエコバッグもリサイクル生地&ゼロ・ウェイストで生産されている。生地が厚くマチもあり、肩紐付きで沢山荷物が入ると使い勝手も抜群!06. COMME des GARÇONS SHIRT(コム デ ギャルソン・シャツ)Photo by Steve Gaudinモード派パリジェンヌから支持されるのは、「コム デ ギャルソン・シャツ(COMME des GARÇONS SHIRT)」のトートバッグ。布地のバッグをビニールで覆ったこのシリーズは、シーズン毎に異なるデザインが展開されるとすぐに完売してしまう人気のアイテム。雨の日でも濡れるのを気にする必要がなく、耐久性も高い!07. Maison Plisson(メゾン・プリソン)フランス中の厳選食材を集めたセレクトショップ「メゾン・プリソン(Maison Plisson)」。地産地消の生鮮食品や、小規模生産されたフランス製品に特化し、作り手の顔の見える商品を販売している同店のエコバッグは、正方形のトート型。ロゴを施したエプロンやマグカップなど、オリジナル商品は日本未上陸のお土産としても人気です。08. Maison N.H.(メゾン・エヌアッシュ)Photo by Steve Gaudin長年パリに暮らす2人の日本人女性が立ち上げた「メゾン・エヌアッシュ(Maison N.H.)」は、ヨーロッパの旅で出会ったモノたちからインスパイアされたバッグやアクセサリーを展開。モードなスパイスとエスプリを重ねたデザインは、カジュアルながらもシックに着こなしに溶け込む。中が程よく見えるメッシュバッグは、カラフルなフルーツを入れると絵になりそうな可愛らしさがあります。09. Petit Bateau(プチバトー)Photo by Steve Gaudin1893年に子供の肌着メーカーとして誕生して以来、フランスを代表する子供服ブランド「プチバトー(Petit Bateau)」。フランスの出産祝いの定番といえばこのブランドのベビー服。荷物がかさみがちなママ向けバッグとして軽量なコットン素材のバッグを展開しており、デザインの良さからエコバッグとして、ママだけでなく幅広い層から人気が高い。10. COS(コス)Photo by Steve Gaudin“長く愛用できるタイムレスなワードローブ”をテーマに「H&M」グループから誕生したコンテンポラリーブランド「コス(COS)」。シンプルで大人っぽいデザインのアイテムがそろい、フランスにもファンが多い。ナイロン素材のトートバッグは開け口を絞ったり、持ち手の長さを調整できるなど、実用性を考えられたディテールが人気の秘密。フランスから届いた、コーディネートの主役にしたい素敵な最旬エコバッグ10選。気になるエコバッグは見つかりましたか? いつかまたフランスに出かけられるようになった際には、ぜひ、お土産の参考にしてみてくださいね。
2020年10月05日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストはAV監督で『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』などの著書がある二村ヒトシさんです。全3回。【第1回】自分の傷に無自覚だとどうなる?中年クライシスと「心の穴」の関係【第2回】「弱さ」を見せるのは男らしくない、「欲望」を語るのは女らしくない?自分を幸せにするのが自分に課された唯一の義務二村:人生をよりよくする男女の別れってあると思ってて。男も女も、自分の状態と相手の状態をよくわかっていれば、穏便ではないかもしれないけど、くっついたり離れたりをもっとできるって思うんだよね。スー:わかります。愛も情もあるけど、幸せじゃないから別れるときって、あると思う。二村:意地を張ってしまう人は幸せになれない。あと被害者意識ね。これが先に来ちゃうと幸せが遠のく。スー:恋愛においては、どちらも被害者であり加害者ですからね。自分に課された唯一の義務って、自分で自分を幸せにすることだと思ってるんです。私は不幸になるために生きているわけではない、と。そこだけは裏切っちゃいけない。そこを裏切るとすごくダサい。二村:同感です。スー:人間には、自分の意思とは関係ないガチャで決まった親とか生育環境によってえぐられた穴がある。穴の形を自分で把握することは、自分が被害者であることを認めるのと同義で、それは男性にとっては社会的な死とイコールなので認めたくない。二村:女性の多くは逆に、自分の被害者性を認めて生きている。スーさんのお母さんはやらなかったけど、母親って夫の加害を悪口として娘に吹き込むみたいなことを、しばしばやってしまうでしょう。スー:そういうのは一切なかったですね。母は父の6歳年上なのですが、私が調子に乗って母がするように父をからかったりすると、「あなたは関係ないでしょう」と母から一蹴されてました。そこははっきりしてた。「お父さんがいなくて寂しいわ」とか、そういうことも一切口に出さなかったし。寂しかったとは思うけど、被害者ぶることを嫌う母親でした。それは私も同じです。穴の話に戻りますが、穴に石膏(せっこう)を流し込んで出てくるのが欲望の形。欲望の発露に関係性の不均衡は付きもの。よって欲望の形を知ることは、自分が加害者にも被害者にもなり得ると自覚すること。女性にとっては、自分が加害者にもなり得るるという事態は、存在の辻褄(つじつま)が合わなくなることだから、欲望の形を確かめること自体が禁忌(きんき)になった部分もあるかも。二村:ああ、それは気がつかなかった。だから女性は無意識に「リードしたがらない」のか。そうなんでしょうね。スー:リーダーシップのある女性は敬遠されがちな傾向も残存してますしね。男性、女性ともに、異なる社会的禁忌(きんき)があるんでしょう。それを外す必要がありますね。男性は被害者になりうる自分を認め、女性は加害者になりうる自分を認める。二村:被害者であることを認めたくないものだから、たとえばネトウヨになることによって加害者ムーブをとるとか、そういうタチの悪い男もいる。スー:あー。自分たちが最弱者であるということを認めたくないからですね。二村:コンビニで怒鳴ってる親父も同じ。あれ良くないよね。しかも悲しい。スー:一方で、 加害性を自覚して、生きづらくなっている繊細な男性もいます。二村:繊細な男性は一部の女性にモテるんだけど、自分がモテてしまったこと自体を加害と感じるし、叩(たた)けば埃(ほこり)が出る体だとわかっている。あるいは女性に対して悪いことをしてない愛妻家であっても、世の中で成功する人はお金を稼いでいるわけで、その点で自分に加害性を感じる。まともな男は罪悪感に押しつぶされ、まともじゃない男はますます威張る。スー:私は年齢や社会的立場の変化から、自分が加害者になり得るという恐怖が年々大きくなっています。傾向として男女に振り分けられがちですが、本質的には権力勾配(こうばい)の話だから。権力を持てば、よっぽど意識してない限り加害性が付帯してくるわけです。パワーゲームですね。二村:社会的には男女は対等になっていくべきですよ、政治とか企業とかはまだまだ時間かかるだろうけど。スーさんみたいな女性も増えていくだろうと思う。そうなっても興奮できるように、やっぱり信頼できる相手とのセックスのときだけ「プレイとしての支配と被支配」を楽しむしかないんじゃないですか。「スペックがいい人と一緒になって認められたい」は欲望じゃない?スー:緊張を伴わない信頼関係があると性的興奮から遠ざかる可能性について第2回で少し話しましたが、「プレイとしての支配と被支配」には、もうひとつ先にある信頼関係が必要なのかもしれません。ところで、例えば父親が恋多き男だからといって「真面目で恋愛経験の少ない男性と生涯を共にしよう」という判断になるのは、これ欲望じゃないんですよね。自分を穴に落とさないための予防線でしかない。欲と反対側にあるものです。社会的地位のある人と一緒になって世間に認められたいというのも、本質的には欲望とは全く関係のない話だとも思います。二村:臨床心理士の信田さよ子さんは「女は一目惚れした相手と結婚すると不幸になる傾向がある」っておっしゃってました。つまり第一印象で惹かれすぎてしまうというのは心の穴の作用だから、そこは自覚的になれってことです。でも今スーさんがおっしゃったのはむしろ逆で、自分の本質的な欲望を抑え込んで賢く生きようとしても、人生の満足は得られないよってことですよね。矛盾した話だけど、これ、どっちも当たってると思う。スー:自分のシーソーがアンバランスに傾いていることだけはわかる。ただ、どっちにどう傾いているかがわからなくて、とりあえずグラグラしないために重しを乗せてみようとか、無作為に重しだけいろいろ買ってきてはバラバラ乗せてみるとか。いろいろやっても、自分の欲望のありかがわからないとダメですね。他人に認められるためのスペックを追求しても、それは自分の欲望を満たすことにならない。二村:どっちかに傾きすぎてスッ転ばないよう、うまくギッコンバッタンできるようになるべき。心の穴にズッポリはまりこんだまま、これが自分の恋心に殉じることだと勘違いして手首を切り続けている人もいっぱいいるしね。そこまで行っちゃわないためにも、スーさんが言うように一回ちゃんと穴に落ちて痛い目にあって、自分は何を欲しがっていたのか見極めてもいい。そこから遠ざかるんじゃなくて、それを満足させつつ、自分の心の穴と向き合う。心の穴なんて一生の課題なんだから、向き合いながら、実人生で致命傷を負わないように生きるためにそれぞれカスタマイズできる。スー:拙著『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で「清水の舞台から飛び降りて複雑骨折するの超楽しい」って書いたんですよ。欲望全般で、それをやるといいのかもしれません。飛び降りないで、安全なところだけで狩りをしてても、結局のところ不定愁訴の人生になる。「心の穴の形を変えていけるのは自分だけ」
2020年09月23日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストはAV監督で『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』などの著書がある二村ヒトシさんです。全3回。【第1回】自分の傷に無自覚だとどうなる?中年クライシスと「心の穴」の関係仕事の充実感も性的興奮?スー:アダルトビデオのジャンルって、本当に細分化されてますよね。ピザ食べたくてデリバリーのサイト見ても、あんなにピザのバリエーションないですよ。食欲より男性の性欲のほうが産業として細分化されてるんだなと思いました。それぞれのカテゴリーにニーズとお客さんがいることを考えると、性欲は心の穴を如実に反映している可能性がありますよね。人の心にあいている穴は、千差万別だろうから。そしてなぜか、男性は自分の欲望の形をよくわかっているんだな。自分が何に興奮するか。私はよくわからないんです。ここにきて、性的欲望と自分というものを捉え直したいと思ってまして。二村:それ、ニッポン放送の吉田尚記アナと対談した時にも出た話題で、男は昔ならレンタルビデオ屋の暖簾(のれん)の奥の棚の前で、今ならFANZAのジャンルのタグ一覧を見て「それまで気づいてなかった自分の欲望と出会ってしまう」「自分自身を発見する」ということがあります。これもポルノ表現規制派の人に言わせると「ということは、やはり男はポルノによってまともではない性癖を刷り込まれてしまっているのだ、ポルノは危険だ!」という議論になっちゃうんですが……。ポルノだけでなく実際の行為でも、例えば子供の頃に母親から受験勉強を無理強いされて虐待されていたので、大人になった今も、女性からボコボコに殴られた後で同じ女性から「よしよし痛かったね」ってされないと満足を得られないというエリート男性の話を聞いたことがあります。スー:なるほど。心の穴を埋めるような行為が性的満足と同一線上にあるとするなら、私の場合それは何なのか。マジでわからないんですよねー。自分が性的に何に欲情するのか、この年になってもまったくわからん。二村:スーさんがジェーン・スーとしての仕事をバリバリやってて、それが「お母さんの生き直し」をしていることなんだって自分で気づいたのは、セックスではないけれど充分に性的なことだって思いますよ。性的興奮って、誰かの体に触りたい触られたいと思うことや性器が充血することだけとは限らなくて、ようするに「それをすると心の穴が埋まること」だから。スー:確かに、仕事の成果が出たときが一番興奮するという自覚はあります。でもそれって性的興奮なのかな。二村:仕事ができる人の多くがそうで、つまりセックスそのものの代わりになるわけじゃないけど、単にお金を稼ぐためだけじゃなく、自分の何らかの本質的な充足のために、その仕事をしている。スー:そうか。お金のためだけじゃないっていうのはそうですね。興奮するためにやっているところはあるかも。二村:ていうか、モテやセックスへの過剰な欲望も、相手の肉体への執着も、じつは何らかの「心の穴埋め」なんですよ。で、お互いがそうなんだから、お互いさまなんです。スーさんのお父さんが女性にモテるのは、お父さんのキャラクターがお相手の女性の心の穴を刺激して、引き寄せるからだろうし。スー:そうそう、自分にハマる相手を探すのがうまいんですよね。「愛されたい」欲望が否定される社会はキツい二村:よく「三大欲求」っていうじゃないですか。いわゆる食欲、性欲、睡眠欲。でも食欲っていっても、生きてくために必要な栄養を摂取したい「欲求」と、うまいものを食いたい欲とかFacebookにあげて自慢できるようなレストランに行きたい「欲望」は違う。スー:おっしゃる通りですね。インスタ映え優先の食欲もある。二村:寝るための場所と、充分に眠れる時間は誰にとっても生きていくために必要だけど、寝るベッドが豪華かどうかは人権の範疇(はんちゅう)じゃない。性欲について考えるのはさらに難しくて、すべての人間に平等にセックスの相手が配給されるなんてばかなことがあるわけがない。でも「愛されたい」という気持ち、これを人間は、どうしても持ってしまう。スー:うんうん。「愛されたい」という欲望を持つこと自体が否定される社会はキツいですよ。二村:人間、セックスしなくても「いわゆる恋愛」をしなくても、死にはしませんよね。でもちょっと意味を拡大して、まったく誰からも愛されなかったり何も愛することができなかったり、何かを愛することを完全に禁じられたら、心が死ぬというより、人間は本当に死んじゃうと思うんです。人間関係において、この世の誰かがあなたの存在を肯定してますよって思えることがないと、生きていくのが大変です。できれば人生の最初で、それを親からされておいたほうが後々の人生で生きていきやすくなる。でも自分が愛されることについて不器用な人間になっても、愛させてもらえる何かを見つけられれば、生きていくことができる。アイドル産業はショービジネスというより、応援することで「愛したい」という欲望をかなえてくれるビジネスですよね。あるいは、とにかく見返りを求めず他人に優しくすることで人柄が良くなって、ぜんぜん別の誰かから思いもかけず優しくしてもらえるというような贈与の関係が起きることもある。でも「無条件で愛してくれる相手を得たい。それは基本的人権に含まれているはずだ」って思っちゃったり、さらには「俺を愛さない女という存在は、みんなクソだ」みたいな思想にまでたどり着いちゃう場合もある。スー:人権の部分と、その先の+αを混同してしまう。二村:そう。人間として肯定されるというのは基本的人権だけど、恋愛の機会は人権じゃないし、すべての人に公平に与えられるもんじゃない。スー:キツいけど、恋愛機会は人権の範疇じゃない。なるほどね。二村:日本でもアメリカでも、国の成長期にはみんなが働いてみんなが結婚して人口を増やして経済を回そうというのが世の中の空気で、モテない男性もお見合いで結婚していた。働いてさえいれば非モテが非モテのままセックスできて子供がつくれる時代。その頃の感覚が今も残ってる人が多いのかもしれない。でも逆にいうと、その頃は「結婚しない自由」はあまりなかった。未婚の男女も同性愛者も今よりもっと差別されていた。スー:あーそれはあったかも。そして異性愛の場合、女性が経済的に自立して自由意思を主張できる時代になれば、パートナーになる男性側にマッチングしづらい人が出てくるのは当然ですよね。国策でどうにかしていた時代は家、学歴、稼ぎみたいな三高が効いたけど、女が自立をすればするほど、パートナーに求められるニーズも多様化する。男女の社会的格差があるから、受け皿としてのしわ寄せが女性に寄りがちなのが悩ましいところですが。二村:多くの男性を支配しているのは、じつは性欲じゃなくて、本当は「愛されたい欲」なんだと思います。人間として尊重してくれる他人が近くにいるかどうか。ところが、そのへんが不器用な男性ほど一足飛びに「女を得られない俺は、差別されている!」みたいな被害者意識を持っちゃう。スー:それが、女性という種族への憎しみになっちゃうケースだ。二村:さみしさが根っこにあって人を憎むようになってしまうの、きついよね。「正しくない欲望、上等!」
2020年09月21日コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストはAV監督で『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』などの著書がある二村ヒトシさんです。全3回。芸能人の炎上や不倫騒動…「心の穴」との関係は?スー:最初に二村さんとお話ししたのは『淑女のはらわた二村ヒトシ恋愛対談集』で声をかけていただいた時で。犬山紙子さん、まんきつさんをはじめ7人くらいの方と対談されてましたね。二村:その本が出た後で深澤真紀さんとも対談して、叱られたわけです。「あんたって、あんたが書いた本を読んで『私のことが書いてある!』って思うような女には先生ぶるけど、ジェーン・スーみたいなそう思わなさそうな女に対してはペコペコしてるよね」って。おっしゃる通りで、返す言葉もなかりけりって感じだったんですけど。スー:ははは。そんなふうには思わなかったけどな。もう6年も前のことですね。二村:スーさんは、まだ『生きるとか死ぬとか父親とか』を書かれる前だったけど、お父さんのことを少しお話しされてましたよね。それを聞いて僕は、なんか見当違いのことを喋っていました。スー:いえいえ。その後もイベントなどで時々お会いして。いつも話し足りないまま終わってしまうので、今回お呼びたてしました。というのも、最近の芸能人の炎上やら不倫騒動やら政治家の言動やらを見ていて、二村さんが提唱する「心の穴」の話を思い出すことが多かったんです。もちろん自分のことも含めてなんですが、自分の心についた傷なり痛みなり不安なりを認識しないまま平気なフリで過ごしていると、他者の傷にも鈍感になってしまう。挙句、ひどいことをして人を傷つけ、のちのちどえらい目に遭うんだなって。不誠実な態度や行動にシンパシーを感じることはありませんが、同時に、この人たちは自分が深く傷ついていることに気付いていないんだろうなとも思って。自分の穴や傷や不安に対して鈍感な人ほど、出世したり人の上に立てたりするのが現行のシステムで、それが問題なのだとは思いますが。二村さんは以前から「心の穴」――誰もが心に穴をあけている――という話をされてますが、いつ頃から心の穴に興味を持ったんですか。二村:まあAV監督やってたからですよ。例えば、ある一人のAV女優さんが、なんでAV女優になったのか。スカウトマンにおだてられたせいだったとしたら、彼女は「エロい女としておだてられること」を強烈に求めていたわけですよね。その承認欲求の根源にあるのは何なのか。もしくは「昼間の仕事をしていると、うまく生きていけない」からだったのかもしれないし、「性的な冒険がしたかったから」かもしれないし、「親に復讐するため」だったのかもしれない。それはなぜなのか。散財した借金を返すためだったとしたら、なぜ彼女には「お金を使ってしまうという行為が必要」だったのか。AV女優という同じことをやっているのに、一人一人みんな心の奥にある動機が違う。でも僕はAV女優を特殊な人種だとは思えないので。あらゆる人間の職業選択、あらゆる恋愛の傾向、あらゆる対人関係、あらゆる生き方が、実は本人が意識的にコントロールできてるわけじゃなくて、いつか誰かによって心にあけられた穴を無意識に埋めようとして、つまり自分の穴に操られて生きていると思うんです。人間の性格が「その人が幼少期から、何を、どうやって諦めてきたか」の集積によって形成されるっていうのはフロイトが言ってます。スー:傷でも癖でもなく、「穴」と表現したのはなぜでしょう。二村:穴があること自体は良いも悪いもないと思っているので。心の穴からはトラブルの種も生じるかもしれないけど、仕事をしていくエネルギーとか、その人の魅力も生じるわけでしょう。誰の心にも必ず欠落があって、それを埋めようとして恋愛をしたり何かに依存したり依存症になったり、何かを憎んだりしている。子供の頃に得られていなかったものをなんとか得ようとする。あるいは逆に、親との関係を大人になってから誰かを相手に再現しようとする。自分が親からされたことを他人に対してやってしまう。あるいは親が絶対しなかったことをしようとしてもがく。でも、穴そのものが埋まることは一生ない。埋まったら、その人は何もしない人になっちゃいますよ。フロイトの流れをくむラカンという精神分析家は「人間は、自分が本当に欲しいものは、自分では絶対わからない」と言います。とくに男性的な人は自分の欠落をあまり認めないよね。自分で自分をコントロールできていると思い込んでいて、それで周囲を傷つける。女性的な人は逆に自分のさみしさには敏感だけど、そのさみしさや苦しさを目の前の人や社会のせいにしてると被害者意識が強くなって、ますます苦しくなる。でも少なくとも、だんだん自分のパターンがわかってくれば、お互いの心の穴を悪いほうに刺激しない人と付き合うようになって、そうすると、相当マシになるんじゃないですか。スー:なるほど。おっしゃる通り、生きていく上で「お互いの心の穴を悪いほうに刺激しない人とつきあう」ことって、幸せな状態でいるのにすごく重要なことですね。私は、あとからどうにかなると思ったら大間違いな気質が、二村さんおっしゃるところの「穴」なのかなと思いました。二村:個性っていうのは感情の部分だけじゃなくて、変えようがない気質とかも重要な要素ですよね。親の性格や生育環境をこっちが選んで生まれてくることもできないわけだし。スー:不祥事を起こす人を見ると、明日は我が身と思います。自分の「穴」に落とし前をつけておかないと、中年以降ヤバイんじゃないかっていう恐怖を感じていて。例えばですけど、「自分が欲しいものはこれだ」って猪突猛進していった先に何もなかったらどうしよう、とか。心の穴をうまく飼い慣らせなくなるのが「中年クライシス」?二村:中年クライシスってことがある。ある年齢や立場になって仕事のことがある程度わかっちゃって「もう、ここから先は見えた」という虚(むな)しさ、あと加齢による鬱(うつ)とかで心の穴が広がります。成功した男なら若い女に溺れる、子供がいる人なら子供の教育に執着したりスポイルしたり。僕も40代で一回AVが嫌になったんですよ。半年ばかり仕事を休んで妻と子と過ごしたんで、なんとか持ち直しましたけど。心の穴をうまく飼い慣らせなくなる季節が来ると、心の病気になる。破滅願望も育っていく。スー:自分の傷に無自覚なゆえに破滅願望を持ってしまった人が近くにいると、大変でしょうね。でも不祥事が起きたら起きたで、近しい男性が「おまえ、ダメだぞ!」って世間の代わりに叱って、それで手打ちになる。二村:相棒とか親友が、私は彼の悪いところわかってますって、世間に向かって「俺が叱っておきますから」ってステートメントを出すやつだ。ホモソーシャルの中では美談になるけど。スー:そうそう。あれ、世間で女性が不祥事とされることをやったときには機能しないシステム。二村:僕、ああいうザ・男性社会が嫌いなんですけど、一方で性の専門家みたいな顔をして偉そうなこと言っちゃってるっていうのもあるんで、いつバチが当たって足を踏み外すかわからないわけです。それは怖いですね。スー:最近、善悪の軸が強く固定されすぎているような気がしています。実はほとんどのことはグラデーションだから、そう簡単に善悪の二項対立には分けられないと思っていて。善悪だけで言えば、悪の側に回らない人なんていないですからね。私は母親の人生の生き直し
2020年09月19日ユニクロ(UNIQLO)とイネス・ド・ラ・フレサンジュ(INES DE LA FRESSANGE)がコラボレーションした「ユニクロ / イネス・ド・ラ・フレサンジュ」の2020年秋冬コレクションが登場。2020年8月28日(金)より31店舗のユニクトとオンラインストアにて発売予定だ。70年代の自立した女性たちに捧げるオマージュ2020年秋冬シーズンでは、イネスが憧れを抱いた1970年代の自由で自立した女性たちにオマージュを捧げるコレクションを展開。1970年代を象徴する時代のファッションリーダーの、ジェーン・バーキン、アリ・マッグロウ、ダイアン・キートンといった自立した女性たちからインスパイアされている。カラーパレットは、マスタードイエローや、ハニーホワイトといった穏やかな色彩がメイン。上品で華やかなウェアが揃う。3つのキーワードから見る、ユニクロ / イネス・ド・ラ・フレサンジュの新作今季は、ボヘミアン、ネオブルジョワジー、マニッシュの3つがキーとなっている。ボヘミアン:「3Dニット」がユニクロ / イネス・ド・ラ・フレサンジュから初登場ひとつめのキーワードとして、今季はボヘミアンをピックアップ。特に注目したいのが、シームレスな3Dならではの立体感や着心地の良さが魅力の「3Dニット」だ。ほっこりするようなテクスチャーのクルーネックタイプに、フェアアイル柄をあしらった。なお、「3Dニット」は本コレクション初登場となる。また、70年代を象徴するボヘミアンカルチャーをイメージした、ペイズリー柄のワンピースやブラウス、スカートも登場。ツイストプリーツをあしらうことで、しなやかな質感に仕上げた。ペイズリー柄の他、ぼかした模様やドット柄などのバリエーションも用意する。ネオブルジョワジー:シルク100%のブラウスやラップドレスで洗練された着こなし2つめのキーワードとして掲げるネオブルジョワジーを表すのは、シルク100%のブラウスやラップドレス。洗練された可憐な着こなしへと導いてくれる。秋冬に欠かせないアウターで注目したいムートン風ジャケットも登場。その他、使いまわしのきくロングカーディガンや、キュロットパンツもおすすめだ。マニッシュ:ツイード素材のジャケットなどメンズライクなコーデを楽しむマニッシュなコーディネートも70年代女性のスタイルを表現するに欠かせないトピック。かっちりとしたシルエットのコートは、ワイドパンツと合わせて思い切りメンズライクで合わせるもよし、フリルブラウスなどと合わせてフェミニン×マニッシュなミックスコーデも楽しむのもよし。懐かしいムード漂うコーデュロイはカジュアルながらも洗練された出で立ちで。イネス・ド・ラ・フレサンジュらしいフレンチシックなスタイルを完成させるにも欠かせないアイテムとなりそう。【詳細】ユニクロ / イネス・ド・ラ・フレサンジュ 2020年秋冬コレクション発売日:2020年8月28日(金)取り扱い:ユニクロ31店舗とオンラインストア(予定)※一部商品は国内全店舗で展開。■価格アウター 5,990~14,990円パンツ/スカート 2,990~5,990円シャツ 2,990~5,990円ニット 3,990~8,990円ワンピース 4,990~12,900円グッズ 1,990~4,990円※上記は現時点での価格で、変更の可能性あり。
2020年07月30日ユニクロ(UNIQLO)とイネス・ド・ラ・フレサンジュのコラボレーションによる2020年秋冬コレクションが8月28日より発売される。イネス・ド・ラ・フレサンジュが、2020年秋冬コレクションのヒントにしたのは、“1970年代のファッションアイコン”。イネス自身も憧れを抱いたジェーン・バーキン、フランソワーズ・アルディといった映画スターたちは時代のファッションリーダーであると同時に、新しい女性像の象徴でもあり、「当時は多くの女性たちが、“女性はこうあるべきだ”という昔からの慣習にとらわれない生き方をしたいと強く願っていました。そして、解放された女性たちは、ファッションも人生も自ら開拓していきました」と、イネスは振り返る。着る服も自らの価値観に合わせて選び、独自のワードローブを作り上げた、当時の自立した女性たち。今シーズンは、現代もなお多くの女性たちから支持される、“素晴らしき女性たち”からインスピレーションを得たコレクションが展開される。Bohemian70年代の自由な空気を象徴するボヘミアンスタイル。ペイズリーやドット柄などバリエーション豊かなツイストプリーツのスカートやワンピースがラインアップされる。また、秋冬に欠かせないニットアイテムは、フォークロアのムード漂うフェアアイル柄がキーアイテムに。これは、本コラボレーション「UNIQLO / INES DE LA FRESSANGE」初の3Dニット仕立てとなっている。Neo Bourgeois続いてのキーワードは、ネオ ブルジョワ。洗練された女性のアイテムとして欠かせないシルク100%のブラウスやラップドレスが充実。ムートン風のジャケットやロングカーディガン、キュロットパンツと合わせて、遊びを加えたカジュアルな着こなしを楽しみたい。Mannish率先してマニッシュなスタイルにも挑戦していた70年代の女性たち。本コレクションでも、かっちりとしたシルエットのコートから、クラシカルなツイードジャケット、コーデュロイのパンツなどメンズライクなコーディネートに欠かせないアイテムが登場。アイテムラインアップは、ウィメンズ39型。価格帯は、アウター 5,990円から1万4,990円、パンツ / スカート 2,990円から5,990円、シャツ 2,990円から5,990円、ニット 3,990円から8,990円、ワンピース 4,990円から1万2,900円、グッズ 1,990円から4,990円(価格帯は変更の可能性あり)。販売店舗は、国内のユニクロ31店舗とユニクロオンラインストアにてフルラインアップでの取り扱い、一部商品は国内全店舗での取り扱いとなる。スペシャルサイト(www.uniqlo.com/inesparis)も公開中。>>その他のユニクロの記事はこちらから
2020年07月29日株式会社バロックジャパンリミテッドが展開するハイカジュアルブランド「MOUSSY(マウジー)」より、アーティストであり、モデルや女優としても世界的な人気を博すLou Doilon(ルー・ドワイヨン)とのエクスクルーシヴコラボレーションが実現。2020年6月19日正午よりコラボレーションアイテムを初お披露目いたします。詳細はこちら:かねてよりMOUSSYがブランドアイコンの一人として掲げていたLou Doillonとのコラボレーションは、彼女のオリジナル・アルバム『Soliloquy』のJAPANバージョン発売を記念し、実現したもの。Lou Doiilon本人の描き下ろしイラストをTシャツに落とし込んだ計4型のアイテムを制作し、アルバム『Soliloquy』のCDディスクデザインをモチーフにしたオリジナルタグも制作いたしました。Tシャツはスタンダードシルエットとボックスシルエットの2タイプをご用意しており、柔らかく、心地良い肌触りの生地を採用し、快適な着心地を叶えます。【 Lou Doiilon × MOUSSY 】品番:上から順番に010DSB01-0330 / 010DSB01-0340 / 010DSB01-0320 / 010DSB01-0350販売価格:5,480円+税COLOR:OFF WHITESIZE:FREEWEB先行予約発売日:6月19日(金)店舗発売日:6月26日(金)【Lou Doiilon × MOUSSY オリジナルタグ】本アイテムは2020年6月19日正午より自社ECサイト()にて先行予約販売を開始いたします。全国のMOUSSY店舗では2020年6月26日より販売開始予定。エクスクルーシヴなコラボレーションをお見逃しなく!<Lou Doillon(ルー・ドワイヨン)>1982年9月4日フランス・パリ生まれ。父は映画監督のジャック・ドワイヨン、母は女優・歌手のジェーン・バーキン、義姉はシャルロット・ゲンズブールと、芸能一家のなかで育つ。女優業のほかにモデルとしても活躍し、アイコニックな存在として世界中から注目を集める。2012年、デビュー・アルバム『Places』を発表し、シンガーとしても本格的に活動をスタートさせた。同アルバムはフランスの各メディアから絶賛され、翌年、フランスのグラミー賞に当たる「ヴィクトワール・ドゥ・ラ・ミュージック」で最優秀女性アーティスト賞を受賞。<Lou Doiilon / Soliloquy(ソリロキー)>(c)CraigMcDean▪TRACKLISTBrotherThe JokeAll These NightsLast TimeToo MuchIt’s YouBurnFlirtNothingsSoliloquyWindowsSnowed In<Rambling RECORDS:RBCP-3353>「独り言」と言う意味の「Soliloquy」と名付けられた本作は、ディープでエフォートレスなアコースティック・サウンドに彩られた一枚。彼女のハンドライティング作品のように素朴で滋味あふれる仕上がりである。「ソリロキー」は比喩に富んでいるが、意味はそんなに難しいものではない。”Nothing”には、逸らす視線という意味があり、 “Widows”は隠喩だがドロシー・パーカーから影響を受けている。”Flirt”は、会話が始まる前に相手が消えてしまうといったような付き合いを示していて、そういうことは誰にとっても経験のあることだろう。対照的に、歯に衣着せぬ”Brother”の歌詞にアルバムは始まり、「私たちには希望が必要です。バリケードを登る私たちを見てください、さあ、私たちが目指している場所を見てください」とルーは問いかける。説得力に満ちた本盤がライブ公演にてどのように翻訳されるのか。ルーにとっても、それは挑戦だ。「ギターをこれまでずっと抱えていたけれど、今回はもっとステージの前方に立って楽器を演奏しないことも考えています。もっと自由になってみようかしら?」パリのオリンピック劇場にて満場公演された際、踊って歌うルーの姿を、オーディエンスが感極まって迎えたことは記憶に新しい。<MOUSSY(マウジー)>DENIM / STANDARD / VINTAGE / BLACK4つのキーワードを掲げ、MOUSSYが提案するのはWork, Weekend, Luxury など、あらゆるシーンのTrend Style MOUSSYの代名詞であるDenimと上質なベーシックアイテムを中心に魅せるスタイリングは、内面の強さと美しさを引き出し、魅力的な女性像を造り上げる。常に流行を意識し、自分自身を表現し、追及し続けるすべての女性たちへ向けた、ハイカジュアルブランド。MOUSSY HP Instagram @moussyofficialMOUSSY Twitter @moussyofficialMOUSSY Facebook @moussyOFFICIAL企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年06月23日