生ハムはハムと違い、フレッシュさや肉の味わいが深く、食べ比べのできる食材です。最近では、輸入されるものも増え、世界中の生ハムを食べる機会が増えましたよね。プロシュートやパンチェッタなど、よく耳にする名前もあるのではないでしょうか。スペインやイタリア、ドイツや中国のものなど世界各国の生ハムが手に入りやすくなりましたので、好きな生ハムブランドがある人も多いでしょう。今回は、生ハムの産地と種類別に製法やおいしい食べ方をまとめて紹介します。■生ハムには種類がある 「ハム」とは、主に豚のもも肉によって作られた加工肉の総称です。日本では、「ハム」の中でも加熱していないものを、一般的に「生ハム」と区別されることが多いのですが、海外では、まとめて「ハム」という総称で呼ばれています。 ・骨付き生ハムそもそも英語で「ハム」とは、豚肉のもも肉のこと。歴史は古く、ローマ時代のころから、保存食として豚の骨がついたまま塩漬けにし、ぶらさげて乾燥させてきました。いまでも、イタリア料理店やスペイン風バル、専門店などで、大きな豚の太ももがぶらさがっているものを見かけることが多いのではないでしょうか?このふともも(原木といいます)を1本買うこともできますが、多くは、スライスして真空パックされたり、グラム販売されたりしています。ドイツなど地域によっては、乾燥させたあと燻製にするものもあり、乾燥だけさせたものを「ドライハム」と区別します。・燻製しないものは『ドライハム』 一方、骨つき生ハムの中でも、燻製せずに乾燥させたものは「ドライハム」と呼ばれます。塩漬けしてじっくり熟成させたものが多く、長期にわたって自然熟成させることで、ねっとりとした味わいになるのが特徴。イタリアやスペリンでは、このタイプのものが多いです。 ・ドイツ系生ハム『ラックスハム』 ラックスとはドイツ語で「鮭」のことで、ハムの色が鮭の身の色に似ていることからこう呼ばれます。豚のもも肉以外、肩やロースなどの部位を使ったものも多く、日本の生ハムもこのタイプに含まれます。乾燥させながら発酵させたあと、冷温で燻製するのが特徴です。塩気のきいたどっしりとした味が特徴で、塊をスライスしながら食べるのがおすすめですよ。■生ハムの原料と製法の違い・生ハムの原料は主に『白豚』 生ハムの原材料は、産地によって大きく違いますが、ほとんどが白豚です。イタリアでは、もともと白豚が使われ、スペインでも、イベリコ地方の「ハモン・イベリコ」などを除いて、白豚が使用されています。白豚は黒豚に比べてはやく「食べごろ」になるため、戦後には生産効率のよい白豚が利用されるようになった背景があるようです。また、白豚のやわらかい肉質もハム向きといえるため、ほとんどの生ハムは、現在でも白豚が使用されています。 ・海外の生ハムの製法豚の太ももをしっかり塩漬けし、それを乾燥させて熟成させるのが共通した製法です。塩漬けする際に皮がついたままだったり、はがしたあとだったり、乾燥させる前に湯通し(加熱)したり、熟成したあとに燻製したり…産地によって工程が変わる場合もありますが、大切なのは、長時間熟成させること。数ヶ月、長い場合には4年ほど風通しのいい場所につるし、熟成させることになります。そのため、ヨーロッパでは、風のよくふく山岳地帯に有名産地が多く集まっています。また、豚の飼育にもこだわって、えさや飼育法も含めてその土地の風土に合わせて工夫をしており、味わいが大きく異なるのです。また、同じ産地のものでも熟成の期間によって味が変わり、日本の専門店や現地では、ワインのように産地や熟成期間によって人気が違うということが起こっています。・国産の生ハムの製法 湿度の高い日本では、食品衛生法の基準が厳しく、比較的短期間でハムをつくる製法が取られています。スーパーなどで販売されている大量生産の生ハムは、自然乾燥させることがむずかしく、調味料などを加えて燻製したあと1〜2週間の短期間で熟成させます。海外産に比べみずみずしい生ハムが多いのが特徴です。ところが、最近では、ヨーロッパ同様山岳地帯で、自然に熟成させる生ハムを作り始めた農家が多く、国産品の生ハムも人気が急上昇。チャンスがあれば、食べ比べしてもいいですね。■ハムと生ハムの種類と熟成 ハムはもともと保存食として古くはローマ時代からつくられたものでした。保存のために塩漬けをし熟成させますが、いろいろな製法があります。 ・塩漬けする方法 どの生ハムも、最初に殺菌のために塩漬けをします。このとき産地でとれる天然塩を使いますが、海が近いスペインやイタリアでは、地中海で取れる塩をそのまま豚の肉にすりこむそうです。スペインでは皮をはいだ身に、イタリアでは皮付きのまますりこみます。また、ドイツ系のラックスハムは、文字通り塩に漬けこむ(埋め込む)ものが多くなり、天然塩の味わいと、塩漬けする方法で、できあがりの塩気の具合が変わります。・乾燥させる方法塩漬けしたあと、骨つきのまま乾燥させるのも、生ハムの大事な工程です。このとき、ヨーロッパ系生ハムではぶらさげて半年〜4年かけて自然乾燥させるものもありますが、地域によっては、カビや腐敗などを防ぐために冷温乾燥させるもの、加熱(湯通し)するもの、ラードを塗るものもあります。いずれも、長期間かけて水分をぬいていくため、できあがったときには最初のものより5〜6割ぐらいの大きさになっています。・熟成させて燻製する方法ドイツ系のラックスハムは、熟成させたあと、香りや保存力をつけるため最後に燻製をします。このとき小分けにして網をかけることもあるので、日本産の「ボンレスハム」(日本では、もも肉ハムをボンレスハムと呼ぶことが多い)を想像するといいでしょう。実際、日本産のハムもこの製法が多いのですが、スペイン産生ハムでは、ほとんど燻製を行いません。イタリアは、地域によって燻製するものとしないものがありますが、日本では主に燻製されていないタイプが人気です。 ・熟成期間の違いどのハムも、乾燥させながら熟成させてうま味を閉じ込めるのが特徴です。それぞれ豚肉に合わせて、うま味を出す工夫をしているのです。通常1年ほどたてば食べごろですが、ワインやチーズと同様に熟成期間が長ければ長いほど、まろやかで個性ある味になり「通好み」の食材となるでしょう。 ■『世界三大生ハム』とは 生ハムでも特に歴史があり、美味で知られているものは「世界三大ハム」として有名です。 ・イタリアの『プロシュート・ディ・パルマ』 直訳すると「パロマのハム」。イタリアでは、豚のモモ肉の生ハムは「プロシュート」と呼ばれます。中でも「パルマハム品質協会」の全基準をクリアして、パルマ侯爵の王冠マークの焼き印が押されている一級品を「プロシュート・ディ・パルマ」と認定してします。パロマ地区独特の山からおりてくる爪いかい風、昼夜の寒暖差が、肉を乾燥・熟成させ、やわらかく深みのある味に特徴があります。ちなみに、プロシュートは、プロシュットと呼ばれることもあり、日本ではイタリア産の生ハムを、「プロシュート」と総称することもありますよ。・スペインの『ハモン・セラーノ』スペインの山岳地帯・アンダルシア地方で、白豚のももで作られるハム。「山のハム」の意味があります。蹄のついたままの骨つき肉で、山岳地帯の冷たい空気を最低でも9ヶ月以上利用して熟成させます。プロシュートに比べて歯ごたえがあり、塩気がマイルドなところが、人気の由来です。 ・中国の『金華ハム』 中国浙江省の金華地区で作られているハム。「金華火腿」とも呼ばれます。なんと900年以上の歴史があり、体が白く頭と尾が黒い優良豚だけで作られ、腐敗しにくい冬に仕込みが開始されます。2ヶ月ほど、塩に埋め込んで塩漬けしたあと、天日で乾燥させ、そのあと表面にラードを塗り1年ほど乾燥させて熟成させます。ヨーロッパ系のハムと違ってぶらさげるのではなく、棚にならべて、ときどき上下に繰り返して、満遍なく乾燥させる独特の製法です。しっかりした身と塩が強い味が特徴で、そのまま生では食べず、調理して食すのが特徴。中国だけでなく、シンガポールや台湾などでも人気ですよ。 ■イタリアの生ハムの主な種類 生ハムといえば、イタリア産のものが多く、日本では、イタリア産の生ハムをまとめて「プロシュート」と総称することも。もちろん、たくさん種類があるため、有名で比較的入手しやすいものをピックアップしました。 ・プロシュート・ディ・サント・ダニエレイタリア北東部にあるサント・ダニエレ産のプロシュート(ハム)。じつは、パルマ産より歴史が古く、伝統にこだわってより大事に飼育された豚の肉は、甘くねっとりしていて、香り高い生ハムとなっています。パルマ同様、保護指定原産地保証をされていて、認定を受けているのは数少ないため、希少種として人気です。・コッパ・ディ・パルマパルマ産の「コッパ」と呼ばれるハム。豚の太ももではなく、後頭部から背中にかけた肉を、燻製したあとに乾燥・熟成させる製法です。赤身部分が多く、そこに白い脂肪分が入っているのが特徴です。より肉の味をしっかり味わいたい人におすすめの一品です。 ・クラテッロ・ディ・ジベッロもも肉の真ん中あたりのやわらかい部位を使った小ぶりの生ハム。パロマ近くのジベッロ村で作られ、めったに手に入らない希少種のため、イタリア料理の食材の王様とも呼ばれていますよ。製法は少し特殊で、豚の膀胱の中に詰めて紐で網目状に縛って熟成させているので、クラッテロならではの独特の味があります。■スペインとフランスの生ハムの主な種類 イタリアと並び、スペインやフランス産の生ハムも、おいしいものがたくさんあります。逸品を紹介します。 ・スペインの『ハモン・イベリコ・ベジョータ』 日本でも有名なスペイン・イベリコ産の豚を使った、ハムを「ハモン・イベリコ」と呼び、中でも最上級のものを「ベジョータ」と呼びます。世界三大ハムの「ハモン・セラーノ」が白豚を使うのに対し、「ハモン・イベリコ・ベジョータ」はどんぐりだけを食べた黒豚を使うのが特徴で、肉の甘みと熟成されたうま味がバランスのよい生ハムです。ちなみに、どんぐりのほかのえさも食べた黒豚を使った生ハムは、「ハモン・イベリコ・デ・カンポ」、どんぐり以外の餌を食べた黒豚は「ハモン・イベリコ・デ・セボ」と呼ばれて区別されていますが、いずれもイベリコ豚は完全放牧で育てられることも特徴です。 ・フランスの『ジャンボン・ド・バイヨンヌ』 フランスの南西部・バイヨンヌ地方の生ハム。この地域は、スペイン・バスク地方と古くから交流があり、フランスでは16世紀より王室では生ハムを食べる週間がありました。スペイン国境のピレネー山脈の麓で乾燥されて、塩味のきいた赤身が特徴です。■生ハムとパンチェッタの違いイタリアの「パンチェッタ」や「グアンチャーレ」もよく耳にする加工肉の名前ですよね。生ハムと何が違うのでしょうか。 ・パンチェッタは『燻製しないベーコン』 パンチェッタは、イタリア語で「豚のバラ肉」のこと。これを塩漬けにした塊肉だったり、スライスしたうずまき状になった姿で販売されていることが多く、生ベーコンと呼ばれることもあります。生ハムのように乾燥させることはないですが、塩漬けにしているため、生ハムと混合されることが多いようです。大手食品専門店では塊肉で販売されていることもあり、塩をぬりこみ1週間ほど自宅で熟成させればたべごろに。自家製ベーコンを作りたい人にもおすすめです。 ・生でも食べることができるパンチェッタの特徴は、生でも食べられること。塩漬けにされているので、日本で販売されている生肉のように加工が必要ではなく、塊肉をスライスしてそのまま食べることが可能です。スライスして燻製すればいわゆるベーコンになり、細切りにしてスープにしたりパスタの具材としても、使い勝手のいい食材になります。 ・パンチェッタと『グアンチャーレ』も違うグアンチャーレも、よく聞くイタリアの加工肉の名前です。これは「豚のほお肉」を塩漬けして2、3週間熟成させたもの。日本でいうところの「豚トロ」と同じで、白い脂肪分が多く、甘みのある味わいです。これもパンチエッタ同様塩漬けにされていて、冷蔵庫で熟成させることが可能です。パンチェッタよりも脂身が多く、アマトリチャーナやカルボナーラなどと相性の良い食材ですよ。 ■知っておきたい生ハムの選び方 生ハムの製法や、産地による違いを紹介してきましたが、「じゃ、どれを選べばいいの?」と思いますよね。食べるものに合わせて選びかたを紹介します。 ・ワインに合わせて選ぶワインも世界各国産地のものがありますが、一番シンブルに合わせるなら、イタリアワインにはイタリア産生ハム、スペイン産ワインにはスペイン産生ハムを選びましょう。また、イタリアの生ハムはマイルドでやわらかい味のものが多いですが、スペイン産生ハムは、赤みが多くて歯ごたえがしっかりしているため、チーズが合うような赤ワインと合わせるなら、スペイン産生ハムがおすすめです。 ・合わせる食材て選ぶフルーツやカナッペとしてオードブルや軽食、おつまみとして食べたい場合は、イタリア産の生ハムがおすすめ。メロンや柿などのフルーツとも相性がよく、サーモンと合わせたりグリッシーニにまいたりしておつまみにもなります。濃厚なチーズや、しっかりしたパンと合わせる場合は、スペイン産生ハムを。コクのあるねっとりした味で、一品でも十分なおつまみになります。ちなみに、ドイツ系ラックスハムも薄切りにしてオードブルにするのがおすすめ。赤身の味がしっかりするので、さっぱりとした味のメロンや、なしなどのフルーツと好相性です。 ・迷ったら『プロシュート』を選ぼうイタリア産のプロシュートには、熟成後燻製させた「プロシュート・コット」と、燻製していない「プロシュート・クルード」と2種類あります。燻製していない「クルード」のほうが、よりくせがなく何にでも合わせやすいので、何を選んでいいか悩んだ時は、「プロシュート・クルード」を選びましょう。また、同じプロシュートでも、熟成させた期間がいろいろありますが、生ハム初心者はほどよく熟成された18〜24ヶ月のものがおすすめ。ほどよく肉の味や塩気がまろやかで、食べやすいものが多いです。■生ハムの保存方法保存食として製造されている生ハムですが、それは原木(太もも一本まるごと製造されたもの)の場合に限られます。多くはスライスされて販売されているので、冷蔵保存が必要です。・原木や塊肉の場合パーティなど大人数で食べたい場合、塊の状態のものを購入することもあるでしょう。このときも、スライスと同様冷蔵保存が必須です。また、スライスした断面を、空気にふれて乾燥しないように守ることが重要です。断面にオリーブオイルを塗ったあとに、キッチンペーパーで切り口を覆うようにし、そのあと全体をラップでしっかり包みましょう。包んだまま、ジッパー付き保存袋に入れて、冷蔵庫に入れて保存してください。 ・冷蔵庫で保存するスライスされたものは、真空パックでされているものでも、量り売りされているものでも、冷蔵保存しましょう。冷凍保存をすすめられる場合もありますが、生ハムの食べごろは、脂肪が少し柔らかく溶け始めるころ。油の甘さが感じられるタイミングが一番おいしいので、冷凍の場合は、冷蔵庫で自然解凍か流水解凍させてから食べるようにしましょう。冬場などは30分ほど室温で解凍させてもいいですが、急激な温度変化は味の変化をまねくので、じっくり解凍させるのがコツです。一度解凍したものは、再び冷凍させることはなく、食べ切るようにしましょう。・ラップで密閉する 一度開封した生ハムは、一度に食べきるのが理想です。空気に触れてしまうと、乾燥したり脂肪分が酸化したりしてしまうため、空気に食べないようにすることが理想です。大量に買ってきた場合は、1回分ずつ食べる量を目安にラップで密閉し、そのあとジッパー付き保存袋で保存するのがおすすめです。できるだけ3日〜1週間ぐらいで食べ切るようにしましょう。 ・アルミホイルをかけるどうしても冷凍したい場合は、アルミホイルを用意しましょう。空気にふれないようにラップをして、ジッパー付き保存袋にいれたあと、アルミホイルで包み冷凍庫へ。アルミホイルは冷気伝導が速いため、急速冷凍の役割を果たしてくれます。平らにならして冷凍すれば、曲がることなくハムも冷凍でき、解凍もしやすくなりますよ。3ヶ月を目安に食べ切るようにしましょう。■産地ごとに味わいが違う生ハムを楽しんで一口に生ハムといっても、産地でとれる豚肉の味や、塩漬けで使う塩の味、乾燥させる地域の気候や製造される工程の微差などで、味わいが深く変わることがわかりました。一気にたくさん食べ比べるチャンスは、なかなかないかもしれないですが、「どこでどう作られたか」を知って食べると味わい深さがまたちがってくるはず。また、専門店では、気軽に生ハムについて教えてくれるので、いろいろ質問しながら楽しんでみましょう!
2021年02月16日1992年よりスペインで暮らし、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。2003年には日本人女性初となる、スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得。アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。2018年にJリーグの特任理事に選任されると、2020年に常勤理事となり、スペインより(11/30~2/1まで一時帰国中)帰国することになりました。育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。ビジャレアルの育成改革を中心とした、濃密なインタビューを4回に渡ってお届けします。(取材・文鈴木智之)育成の名門ビジャレアルが「ピッチ外」という育成で一番大変な面に目を向けるようになったキッカケとは(写真はサッカー少年のイメージ)■小中学生で親元を離れるのは良いことなのか――佐伯さんが所属していたビジャレアルは、育成に定評のあるクラブです。スペインの年代別代表に選手を輩出し、トップチームにも多数の選手を送り込んでいます。育成に実績のあるクラブが、なぜ改革をしようと決断したのでしょうか?私が所属していたビジャレアルが、アカデミーの指導改革を行ったのが、2014年です。ビジャレアルはご存知のとおり、育成に特化してクラブを運営してきました。アカデミーからトップチームへと選手が昇格し、クラブとしても欧州チャンピオンズリーグなどで上位に食い込む中で、国内外から評価を得るようになりました。ビジャレアルはスペイン全土から選手をスカウトし、寮に入れて育成していきます。一番下は小学6年生です。小学生、中学生という多感な時期に、親元を離れて生活するのが良いことなのか。まずそこに葛藤がありました。スペインは地域性が色濃い国です。ビジャレアルはバレンシア州にあるのですが「バレンシア語」といって、使う言葉も違います。――別の地域から来た子どもは、馴染むのが大変ですね。そうなんです。遠方から来た子達を地元の学校に入れても、授業がバレンシア語なので、何を言っているかわからない。そのため、学校に馴染むことができないといった問題がありました。そのような経緯があり、(小学生年代で越境させる子はほとんどいなくなりました)。やはり、多感な時期は親元で生活するのがいいだろうという結論に達したのです。このように様々なトライアンドエラーを繰り返しながら、選手の育成をしてきました。寮生活をしている子は100人ほどいますが、それだけの数がいると、人間性の部分での指導、アプローチが行き届かないこともあります。そこであるとき、気がついたのです。「私達はプロクラブの指導者と名乗っておきながら、グラウンドの中で行われることだけを指導しているのではないか」と。やれ4-4-2だ4-3-3だという話ばかりで、グラウンドを一歩離れた選手の姿に、どれだけ関心を持って指導していたのだろうかと省みたのです。■アカデミー生の90%以上はプロになれない――ヨーロッパのトップクラブのアカデミーが、そのような観点を持ったことは、非常に興味深いです。ビジャレアルのアカデミー生は"フットボールバブル"と呼ぶべき、恵まれた環境でサッカーに取り組んでいます。全額クラブ負担で衣食住のケアがされていて、寮には栄養士もランドリーサービスもあります。Tシャツにさえ、アイロンをかけてもらえる環境です。学費はクラブが負担し、サッカーをすることで報酬も得ています。一般の中高生ではありえない環境ですが、その状態で長く育ってしまうと、いつしかそれが普通になってしまいます。そして18歳になると高級車を買ったり、iPhoneの最新版を持ったり、ブランド品を身につけたりという感覚になってしまうわけです。――まさにバブルですね。普通の中高生の感覚からかけ離れた状態をクラブが作っておきながら、彼ら全員がプロ選手になれるわけではありません。プロとして契約書にサインできる選手が、アカデミーの中で何人いるかと考えた時に、ビジャレアルのようなエリートアカデミー選手でも6~7%という数字が出てきました。つまりアカデミーの93%の選手は、プロとして生計を立てて行くことができないわけです。クラブもそれを理解しながら、選手に投資をしています。プロになった1%の子だけに目を向けて、その他の 99%の子達に責任を持たなくていいのでしょうか。「トップチームに何人昇格した」「他のクラブに高額で移籍させることができた」というのが私達の勲章ではなく、いま面倒を見ているアカデミーの選手達が、サッカー選手ではなくなった時、もっと言うとビジャレアルというバックグラウンドがなくなった時の姿に責任を持つことが、私達指導者の責務ではないかという反省が、改革のきっかけになりました。■ピッチ外という一番大変な面に向き合うようになったキッカケ――非常に考えさせられますね。ごくまれに、ユース出身の選手が犯罪を犯したというニュースを耳にします。でも、その段階ではもう自分たちのクラブの選手ではないので、大抵が知らん顔をします。「何年か前に、そんな選手いたよね」「ひどい人生を送っているね」と話をするだけで、彼らがビジャレアルのアカデミーにいた時、つまり成長段階で彼らの周りにいたのは、他ならぬ私達です。アカデミーを巣立っていった選手が、そのような状況になっていることに対して、「私達は責任を感じなくていいのだろうか?」といったことを指導者間でディベートし、内省を行いました。――責任感あふれる行動だと思います。指導者として勇気を持って、一番大変でエネルギーを吸い取られるところに、あえて向き合っていく。それがプロフェッショナルクラブの指導者と言えるのではないか。指導者とはそういう仕事なのではないかという考えに基づいて、改革をしました。たとえばAという選手がいたとして、彼は学校では生徒会長であり、彼女の前では恋人であり、クラブではおとなしいキャラクターだけど、親の前ではよく喋る子だったりと、様々な側面をもっています。しかし、私達は「サッカークラブにいるA君」という面でしか見ておらず、判断していませんでした。105m☓68mのグラウンドの中にいるときのA君に対してしか、アプローチしていなかったのです。――サッカー選手としてだけでなく、ひとりの人間として包括的に見ることの大切さに目を向けたのですね。サッカー選手としての価値を高めていくことが、最終的なクラブの目標としてはあるけれども、「価値とは何だろう?」と考えた時に、ボールを上手に扱えることなのか、速く走れることなのか、デュエルでたくさんボールを奪うことができることなのか......。そうではなく、もっと壮大なものではないだろうかという結論に達しました。つまり「人として豊かになれば、ピッチ上でのパフォーマンスにもプラスに現れてくるのではないか」ということです。なぜならばフットボールは、スピードやパワー、持久力など数値で測れるものを競う競技ではなく、様々なファクターの中から瞬時に判断し、たくさんの選択肢を持った中から、最適な行動を自分で選び取ることが必要なスポーツだからです。そこにスキルが加わり、クオリティの高いパフォーマンスに変わっていきます。■学校と連携して選手の日常を知る取り組み――どのようにして、サッカー以外の部分に目を向けていったのでしょうか?ひとつは学校との連携です。勉強に対してどのように取り組んでいるのか、学校ではどのような生徒なのか、先生との関係性はどうかなど、学校に対してクラブの指導者が積極的に関わるようになりました。いまでは学校の職員会議に、ビジャレアルのスタッフが参加する関係性です。さらに「Google Drive」というITソフトを使い、その選手に関わる多くの人と情報を共有し合う仕組みを作りました。Aという選手には、サッカーの指導者、寮の生活指導スタッフ、勉強を担当する先生、掃除や洗濯など身の回りのケアをする人など、たくさんの人が関わっています。そこで「Google Drive」の中に、Aという選手のファイルを作り、その日にあった特筆事項などを共有します。――現代的な仕組みですね。たとえば、学校の先生が「A君は同級生のB君と激しい言い争いをして、気が立っているので、寮に戻ったときの態度が悪いかもしれません」と記入しておけば、寮の生活指導の先生も「なんだこいつは。態度悪いな」となるのではなく、A君を取り巻く環境を理解することで対応も変わり、コミュニケーションも豊かになります。コーチはA君の身に起きた出来事を知っているので、練習場に来る時はふてくされているだろうなと、前もってイメージすることができます。そうすると、A君と接するときの指導者の態度も変わってきます。■一人ひとりが豊かになることがチームの強化につながる――それをチーム全員分するというのは、時間もエネルギーも相当かかりませんか?はい。チームに選手が20人いるとして、それぞれの人格や置かれている状況、バックボーンは全員違います。そうであるにも関わらず、私達はチーム全体にメッセージを発したり、フィードバックを行ってきました。それらの意味のなさに気がつき、すごく反省しました。個々にアプローチをし、個別に最適化を図ること。その結果として、選手一人ひとりが豊かになることが、チームの競技力や強化につながるのではないかと、考えが変わりました。そのような取り組みを行い、一つひとつ改革をしていきました。(第2回に続く)佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月02日株式会社プリアップは、スペイン・バルセロナの高級パティスリー「ブボ・バルセロナ」よりバレンタインギフトにぴったりな「キューブボンボン ラブ(4種)」「キューブボンボン ラブ(4種×2)」を2021年1月28日に発売いたします。 さらに、大丸東京店「2021 バレンタイン ショコラ プロムナード」と京王百貨店 新宿店「京王チョコレートマーケット」のバレンタインフェアに出店いたします。バレンタインギフトにぴったりな「キューブボンボン ラブ」キューブ型のかわいらしいボンボンショコラより、バレンタインギフトにぴったりな「キューブボンボン ラブ」が日本初上陸。ハートマークがワンポイントのチョコレートは、ひと口で、ローズやフルーツなど香り豊かな味わいと、ナッツやポップロックの食感をお楽しみいただけます。ご家族やご友人、大切な人への贈り物として、自分へのご褒美チョコとしていかがでしょうか。キューブボンボン ラブ(4種)キューブボンボン ラブ(4種×2)2021年1月28日に日本公式オンラインショップと「ブボ・バルセロナ 表参道店」にて販売開始いたします。ブボが追及し続ける、視覚と味覚の新たなハーモニーをお楽しみください。【商品情報】キューブボンボン ラブ(4種)1,480円(税抜)キューブボンボン ラブ(4種×2)2,700円(税抜)※各種2個のセットです。(チョコレート内容)・ミルクチョコレート/ヘーゼルナッツ、ポップロックス・ミルクチョコレート/コーン、ラズベリー・ホワイトチョコレート/ストロベリー、カヴァ・ホワイトチョコレート/クリーム、ローズ大丸東京店と京王百貨店 新宿店のバレンタインフェアに出店決定冬の一大イベント、バレンタインフェアに出店。日本初上陸のバレンタイン商品「キューブボンボン ラブ」のほかに、ブボの定番商品「チョコフルーツ」や彫刻のように美しいチョコレート「チョコスカルプチャー」などを販売いたします。【バレンタインフェア情報】■大丸東京店名称:2021 バレンタイン ショコラ プロムナード期間:1月28日(木)~2月14日(日)会場:大丸東京店 11階 ショコラ プロムナード スペシャル会場アクセス: 東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅八重洲北口改札を出てすぐ)公式サイト:販売サイト:■京王百貨店 新宿店名称:京王チョコレートマーケット期間:2月4日(木)~2月14日(日)会場:京王百貨店 新宿店 7階 大催場アクセス:東京都新宿区西新宿1-1-4(各線新宿駅から徒歩1分)WEB販売サイト:日本公式オンラインショップにて、1月28日新商品一斉発売日本公式オンラインショップでは、バレンタイン商品「キューブボンボン ラブ」に加えて、以下の商品を一斉発売いたします。キューブボンボンキューブ型のかわいらしいボンボンショコラ。フルーツ系からリキュールの入った大人な風味まで幅広く味わえます。カタランナッツ(4種)ナッツの風味が楽しめる4種セットです。(チョコレート内容)・ホワイトチョコレート/栗、ピーカンナッツ・ミルクチョコレート/ヘーゼルナッツ・ホワイトチョコレート/パインナッツ・ダークチョコレート/アーモンドミニバー(4種)リキュールとチョコレートのハーモニーが楽しめる、大人な風味の4種セットです。(チョコレート内容)・ダークチョコレート/ウイスキー・ダークチョコレート/ラム・ダークチョコレート/テキーラ・ダークチョコレート/日本酒フルーツ(4種)フルーツやバジルの、風味豊かな4種セットです。(チョコレート内容)・ホワイトチョコレート/バナナ、パッションフルーツ・ダークチョコレート/リンゴ、シナモン・ホワイトチョコレート/柚子・ホワイトチョコレート/ラズベリー、バジルインフュージョン(4種)コーヒーとティーの両方の風味を楽しめる、4種のセットです。(チョコレート内容)・ホワイトチョコレート/抹茶・ミルクチョコレート/ラプサン・スーチョンティー・ホワイトチョコレート/カプチーノ・ダークチョコレート/コーヒーカタランナッツ&フルーツ(8種)ナッツの風味が楽しめる4種セットの「カタランナッツ」と、フルーツやバジルの風味豊かな4種セット「フルーツ」。全8種のセットです。ミニバー&インフュージョン(8種)様々なリキュールとチョコレートのハーモニーを楽しめる大人な風味の4種セット「ミニバー」とコーヒーとティーの両方の風味を楽しめる4種のセット「インフュージョン」。全8種のセットです。アソート(16種)風味豊かなキューブボンボン、全16種が楽しめる贅沢なセットです。■価格(税抜):4種/各1,480円 、8種/各2,700円 、16種/4,800円チョコスカルプチャースペイン語で"ESCULTURAS"=彫刻と名付けられた、まさに彫刻のように美しいチョコレート。チョコレートを思いきり割ると、中からたくさんの愛が溢れでてきます。ミニハンマー付ブレイクマイハートビッグ情熱の国スペインを象徴するようなハートのチョコレートです。内容量:190g(ダークチョコレート、小さなハート形チョコレート12個入り)/7,900円(税抜)ゴールドの「SECRET NOTE」に想いを綴り、ハートの中に入れることができます。※すべての商品は「ブボ・バルセロナ 表参道店」でも販売中です。※公式オンラインショップ取り扱い商品は、2021年1月13日時点のものです。変更となる可能性もございます。取り扱い商品に関しては、公式オンラインショップをご確認ください。「ブボ・バルセロナ」日本公式サイトとは2020年11月18日に日本公式サイトをリニューアル。ブボの由来や歴史、店舗情報、商品ラインアップといったコンテンツに加えて、ショッピング(オンラインショップ)もお楽しみいただけるようになりました。オンラインショップでは、繊細な味わいと美しさを兼ねそなえた、「ブボ・バルセロナ」のチョコレートを、日本全国の皆様にお届けいたします。店舗にお越しいただけないお客様でも、ご自宅でブボの世界をご堪能いただけますよう、たくさんのアイテムをそろえてお待ちしております。是非ご利用ください。日本公式オンラインショップ:国内店舗「ブボ・バルセロナ 表参道店」について2020年10月19日にリニューアルオープン。1階のブティックではチョコレート、マカロン、ケーキなどを販売しております。本場バルセロナを感じさせる店内で、ご自分用やお土産用にゆっくりと商品をご覧いただけます。2階のカフェでは、ブボこだわりのケーキやマカロン、ドリンクをご提供いたします。表参道の大通りより一本奥に入った立地にございます。落ち着いた通りの中、ガラス張りで開放的な空間でのゆったりとしたカフェタイムをお楽しみください。【所在地】東京都渋谷区神宮前5-6-5 Path表参道B棟【営業時間】12:00~20:00【電話番号】03-6427-3039【Mail】 info@bubojapan.com※1月13日時点の営業時間です。2階カフェは、緊急事態宣言発令に伴いまして、当面の間お休みさせていただきます。「ブボ・バルセロナ」とは「ブボ・バルセロナ」は、2005年、スペインのバルセロナに誕生した、独創的且つ繊細なデザートの世界を追求するパティスリー。厳選された材料を使用し、素材本来のナチュラルな美味しさを活かした奥深い味わいのチョコレートや、専任のデザイナーが生み出す精巧でデザインコンシャスなパッケージなど、細部に至るまで繊細さと革新性に磨きをかけ、バルセロナのファンの感性を魅了し続けています。日本公式サイト:公式Instagram:公式Twitter:公式Facebook:企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2021年01月28日ファジアーノ岡山やアジア各国で代表チームに関わり、現在はU-20ワールドカップを目指すU-19日本代表を率いる影山雅永監督。前編ではコミュニケーション能力や子どもたちの本能を目覚めさせることについてお話を頂きました。後編では親と子どもの関わり方について伺いましたのでご覧ください。(C)松尾祐希■昔に比べ足元の技術は高いが運動能力が低下している現代の子どもたち前編では大人たちのスタンス次第で子どもたちの本能を呼び起こし、自ら意見を発する場を作れる可能性についてお話をしました。子どもたちの技術は以前と比べて向上したのは間違いありません。「技術は格段に高くなりました。ロングキックをあまり使わなくなって来たのでそこはレベルが上がっていないかもしれませんが、ファーストタッチの能力、インサイドキックの質。止めて蹴る能力はすごく高いです」影山監督が認めるように子どもたちのレベルは目を見張るものがあります。一方で現代の子どもたちは屋外で活動する機会が減り、部屋の中で遊ぶ時間が多くなりました。その影響は少なからずあり、身体を動かす機会が減ったことで運動能力の低下が叫ばれてきました。外で遊ばない傾向は海外も同様で、問題点として上がっているそうです。影山監督が以前研修で訪れたオーストリアのレッドブル・ザルツブルグでは、育成年代の施設に一工夫を凝らしており、その光景は今でも鮮明に覚えていると言います。「外で遊ぶ子どもが減ってきているので、オーストリアのレッドブル・ザルツブルグは面白い施策をしていました。プロとは別にアカデミーの施設を持っている中で、ピッチの周りに遊具がずらりと並んでいたんです。クラブの方に理由を尋ねると、『今の子どもたちが山や川などで遊ぶ機会が減っているから遊具を設置した』と仰っていました。アスレチックから落ちないようにしたりして、週に1回は遊具で遊ばせているそうです。運動不足の問題は世界中で起こっているのだと感じました」■スポーツへの欲求は高まっているしかし、影山監督は新型コロナウイルス感染拡大の影響による休校、チーム活動停止によって、外で身体を動かしたいという欲求が高まっているとも感じているそうです。「外で遊びたいという理由から、子どもを連れて外遊びをしていた方も多いですよね。みなさんも休校中は親子連れの方を公園でたくさん見かけたと思います。その中で、僕が住んでいるエリアではサッカーをやっている子が一番多かったかもしれません。『改めてサッカーはすごい』と感じましたが、コロナ禍でステイホームを余儀なくされたので、子どもたちは外で遊びたいという欲求が出たと思います。これまでのように思い切りスポーツができない時期があったことで、よりスポーツへの欲求は高まったのではないでしょうか」■サッカー強国スペインでは12歳までクラブ所属禁止のチームも。その理由とはこうした状況に置かれたからこそ、親が子どもとどのように関わるかは重要です。では、親御さんはどのように向き合っていくべきなのでしょうか。影山監督は言います。「サッカーだけやって英才教育をしてうまくなることを肯定する人もいます。しかし、子どもたちはいろんな可能性を秘めています。様々な研究により、いろんなスポーツをやっている子どもの方が最終的に一流の選手になる傾向があるそうです。今年1月にU‐18日本代表でスペイン遠征を行なった際に、私はリーガエスパニョーラのレアル・ソシエダで研修を受けました。そこで多くの事を学んだのですが、バスク地方では12歳までクラブに所属することを禁じていました。いろんなスポーツをやってほしいという観点から、クラブに所属するのは13歳からというバスク独自の法律があるそうです。サッカーを本格的に学ぶのは13歳からと決まっているのは、本当に素晴らしい考えだなって思いました」様々な競技にもトライさせることで、子どもたちの運動に関係する神経が刺激されます。バレーやキャッチボールをすれば落下地点や空間把握能力が高まりますし、他のスポーツから得られる学びはたくさんあります。積極的に子どもたちにスポーツに触れさせることは健やかな身体の発育にも繋がり、サッカーを上達させる一因になるのは間違いありません。■小学生年代でサッカーに向いていない、プロになれないの判断は早すぎるプロ選手になるためには幼い頃からその競技に触れていた方がいいのかもしれませんが、あくまで一例です。サッカーでも、中学校からキャリアをスタートさせてプロの世界へ飛び込んだ選手もいます。だからこそ、影山監督はゴールデンエイジという言葉に対し、必要以上に影響されて欲しくないと言います。「中学年ぐらいだとまだ発育的にも将来どんな選手になるのか分かりません。ゴールデンエイジという言葉を勘違いされる親御さんも多いのですが、12、3歳ぐらいでその年代のトップレベルにいないからプロになれないということはありません。中学生からサッカーを始めてプロになった選手たちもいるので、技術が身に付けられない訳ではないのです。ゴールデンエイジは神経も発達する時期なので、より多くボールに触れた方が技術を身に付きやすいのは間違いありません。ただ、技術の向上は努力次第で何歳からでもできます。自分も引退してからの方が上手くなっているぐらいですから。なので、小学校3、4年生でサッカーに向いているか、プロになれる可能性があるかなど、将来を判断するのは早いと思います。子どもたちは大きな可能性を秘めています。小学生の時にトレセンに入っていなくても、高校で伸びた事例は多くありました。中学まで違うスポーツをやっていたけど高校から始めて、素晴らしい才能を持った選手もいます」様々な場所でサッカーに携わってきた影山監督。自身も小学校5年生の息子を持つ親として、子どもとの向き合い方を考えてきました。その中で重要なのは、大人たちがコミュニケーションを取る環境や様々な角度でスポーツに触れられる場を設け、子どもたちの才能をより磨くことだと言います。心身を鍛えれば、サッカーだけではなく、1人の人間として大きく羽ばたくきっかけにもなります。子どもたちの可能性をより広げるためにも、大人たちのアプローチが重要なのかもしれません。影山雅永(かげやま・まさなが)福島県の磐城高校を経て筑波大学に入学。同期の井原正巳氏(現・柏レイソルヘッドコーチ)、中山雅史選手(アスルクラロ沼津)らとプレーし、卒業後は古河電工(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)に入団。Jリーグでも活躍し、1995年は浦和レッズ、翌年はブランメル仙台(現・ベガルタ仙台)に籍を置いた。引退後は筑波大学の大学院で学び、1998年にはワールドカップに初出場した日本代表で対戦国のスカウティングを担当。その後はケルン体育大学などで学び、2001年からはサンフレッチェ広島でコーチを務めた。以降はアジア各国でA代表や育成年代の監督を歴任。2009年からはファジアーノ岡山のヘッドコーチに就任し、翌年からは監督として指揮を執った。2017年からはU-18日本代表監督(U-20ワールドカップを目指すチーム)となり、昨年5月のFIFA U-20ワールドカップ・ポーランド大会ではチームを2大会連続となるベスト16入りに貢献。現在はU-19日本代表監督として、来年開催予定のFIFA U-20ワールドカップ・インドネシア大会を目指している。(取材・文・写真:松尾祐希、JFA)
2020年12月14日「将来海外でプレーしたい」そんな純粋で大きな夢を抱く子どもたちに「正しい努力をさせてあげたい」。そう願うのが親の本音ではないでしょうか。新刊『世界を変えてやれ!―プロサッカー選手を夢見る子どもたちのために僕ができること』では、「日本と世界を繋ぐ橋渡し」役の著者・稲若健志氏が、将来を夢見る選手たち、保護者、指導者に向け、アドバイスを送っています。改めて稲若氏に聞いた、子どもたちの夢を叶えるために知っておきたい世界の常識、最終回となる今回のインタビューは、問題解決能力やチャレンジし続ける姿勢を身につける方法、子どもの視野を広げるために親はどうすればいいかについてお送りします。<<第三回:練習量が多い=一生懸命ではない。元レアルのサルガド氏が指摘する日本の保護者の「誤った認識」■若ければ若いほど柔軟に感覚を変えていける――世界に出たとしても誰もが必ずプロサッカー選手という夢を掴めるわけではありません。サッカーから離れたあとにグローバルな社会で生き抜く人間力が身につけられる、というのが稲若さんの考え方の一つです。稲若さん自身、若くしてアルゼンチンにサッカー留学したことがきっかけとなり、今に繋がっていると思います。「僕の場合、何も助けとなるものがなかったことが逆に良かったと思っています。最近、アフリカに3回ほど行きましたが本当に良かった。アフリカに求めるものは『何もないこと』ですが、現代の便利な世の中と比べられるからすごくいいんです。僕が若いときにアルゼンチンにサッカー留学した当時、携帯も何もなかったので、自分で一から調べないと生きていくことができませんでした。公園に行って集まってくる子どもたちに飴をあげて、聞いた言葉を家に帰って辞書で調べることを1年くらい繰り返して、それで言葉を覚えたんです。わからないことを自分でどうにかする方法を覚えたし、そういう姿勢が今の僕を作っています。これがダメならば次はこれだ、という次の次の次の選択肢まで考えられる思考になっていったのですが、僕がそうだったように、人は若ければ若いほど柔軟に感覚を変えていけると思います。海外に飛び出して行けば、頼る親もいないし、自分から人に聞かないとわからないし、聞くための言葉すらわからないから、必死に言葉を覚えるという良い循環になると思います。日本だと周りが簡単に教えてくれるので、自分で解決する力はなかなか身につきません。ちなみに、僕の会社でサッカー留学する場合は、朝起きたら子どもたちはまず部屋の掃除をします。掃除から始まり、ご飯を食べて、それから練習をする、という規律の中でしっかりと生活してもらいます。日本にいれば、朝起きてからまず掃除はしないですよね。普段とは異なる新鮮な感覚で生活ができることもサッカー留学の良いところだと思います。親がいない環境になれば、自分でやるしかありません。日本にいれば失敗すらできないようになっています。失敗する前に親が失敗を防いでしまうこともありますからね。ある程度の学年の子でも、暑かったら(子どもに)帽子をかぶらせるかどうかも親が判断してしまうのが今の日本です。この点、海外から帰国すると子どもが自分で洗濯をするとか、掃除をするとか、食器を洗うとか、そういう行動をする姿に親御さんたちは子どもの成長を感じるようです」■親の視野が広がれば、子どもの視野もひろがる――今回書かれた書籍『世界を変えてやれ!』の中には年長さんがサッカー留学した話も収録されていますが、稲若さんは年齢に関してはどう考えていますか?「子どもが海外に行きたいと思ったときがタイミングだと思います。もちろん、人それぞれタイミングは異なります。子どもが海外に行きたいと思うきっかけには、出会う人とか、出会うための環境にいるとか、そういう影響が大きいです。その年長さんのケースは、年長さんで海外留学するかどうかの最終判断は親が決めることなので、こちらもその判断を受け入れてスペインに行きましたが、特に何も問題なく終わりましたよ。その親御さんは『うちはこの子に6歳になるまで自分たちの愛情は精一杯注いだので、これからは他の人の愛情でどう育つのか見てみたいのでスペインに送ります』と初めは悩みながらも決断されていました。ほとんどの親御さんが言うのは『うちの子はまだしっかりしていないので......』『迷惑をかけるので......』ということです。そうやって子どもにブレーキをかけてしまうのですが、迷惑ではないし、わが子を心配する気持ちもわかります。ただ、これだけは覚えておいてください。そういったご家庭の場合、わが子が親のステイタスを越えることは、まず無いです。親の視野が広がれば、子どもの視野が広がります。親がチャレンジを続けるのであれば、子どもも間違いなくチャレンジを続けます。自分の行動によって子どもの将来に多大なる影響を与えると思ってください。大事なのは、子どもが真剣に悩んだ結果、自分で決めたときに親が背中を押すことができるかどうかです。それは親が決めることであり、子どもの未来を左右できることなのです」サッカーでもなんでも、失敗することで「じゃあどうすればいいか」を学ぶ機会になります。親がチャレンジする姿を見せないのに、子どもが失敗を恐れずチャレンジする力を身につけられるでしょうか。子どもの成長や自立、社会で生きていくための思考力や判断を身につけてほしいと願っているのに、わが子を心配しすぎてブレーキをかけてしまうのではなく、子ども自身が考えて決めたことを後押ししてあげることが最大のサポートなのです。<<第三回:練習量が多い=一生懸命ではない。元レアルのサルガド氏が指摘する日本の保護者の「誤った認識」稲若健志(いなわか・たけし)株式会社ワカタケ代表。1979年生まれ。神奈川県出身。藤嶺学園藤沢高校卒業後、ディエゴ・マラドーナに憧れアルゼンチンに渡航しプロ契約を結ぶ。愛媛FCや栃木SCなどでプレーしたのち引退。帰国してからも10年以上に渡り、毎年アルゼンチンを訪れ、指導や教育を学び、26歳のときに株式会社ワカタケを設立。中井卓大選手の挑戦の支援を通し、レアル・マドリードに強いパイプを持つ。レアル、アトレティコ、セルタなど日本でのキャンプ及び海外キャンプのライセンスを持つほか、世界各国につながりを持ちリーガ主催のジュニアの大会への出場権も保有。世界を子どもたちに見せるべく、年間1000人以上の子どもたちに海外にいく機会を作っている。
2020年11月26日「将来海外でプレーしたい」そんな純粋で大きな夢を抱く子どもたちに「正しい努力をさせてあげたい」。そう願うのが親の本音ではないでしょうか。新刊『世界を変えてやれ!―プロサッカー選手を夢見る子どもたちのために僕ができること』では、「日本と世界を繋ぐ橋渡し」役の著者・稲若健志氏が、将来を夢見る選手たち、保護者、指導者に向け、アドバイスを送っています。改めて稲若氏に聞いた、子どもたちの夢を叶えるために知っておきたい世界の常識、第3回目のインタビューは、スペインの親から学ぶ、子どものサポートに必要な距離についてお送りします。<<第二回:レアル中井選手、ビジャレアル久保選手のように若くして海外へ渡るメリット、デメリットとは■家に帰ってからもサッカーの話はしない――子どもの夢を叶えるためにサポーター役となる親ができることはどんなことでしょうか?「まず、これは触れておかないといけないのですが、海外と比べたとき、日本の親は指導者と距離があります。あまりグイグイ聞くことはありません。なぜ聞かないかといえば、自分の子どもを試合に出してもらえなくなる怖さを感じているからです。海外のクラブはビッグクラブでも小さなクラブでも、親が『うちの子は何が足りないのですか?』などと監督にガンガン聞きにいきます。スペイン人はLINEのグループに監督も入っているほどで、そこで親は言いたい放題です。ただ、指導者側も親に何を言われようと何でも答えられるし、話ができます。『どうして試合に出られないのか?』と聞かれれば論理的に理由を説明できます。論理的に説明できないと、親を納得させることができないことが多い。だから指導者と親の距離が遠くなってしまうのだと思います」――欧州では親が子どもにサッカーを教えることを明確に規制しているクラブもあると聞きます。その点は指導者と親の関係についてしっかり線引きをしているのですね。「レアル・マドリードにも『親は親でありなさい』という考え方があります。親が子どもを指導することの何が問題かと言えば、試合中に子どもが親の顔を見るようになってしまうのです。すると指導者の話を聞かなくなるし、リスペクトもなくなる。それは子どもにとってもチームにとっても良いことではありません。スペイン人は自分の子どもに対してサッカーのことはあれこれ言いません」――スペインの親御さんたちは試合中も何も言いませんか?「もちろん、審判にはすごく文句を言いますよ(笑)。あとは『がんばれ!』とか『行けるぞ!』とか、応援者としての声は当然ありますが、監督がいる前で、親が我が子に『ここをこうしろ!』などと言うことはありません。家に帰ってからもサッカーの話はしないという感覚は多くの人たちが持っています。これが日本の場合、親は指導者には指摘することはなくとも、自分の息子にはあれこれ言ってしまいます。場合によっては、その子のお父さんが監督をやっているチームもあるし、公私混同になってしまうと子どもはきついです。海外ではそういうケースはほぼありません」■日本の親は真面目ですごく一生懸命――例えば、レアル・マドリードのミッチェル・サルガドは日本に何度も来日してサッカークリニックの指導などに当たっていますが、日本の親についてどう言っていますか?「日本の親は真面目ですごく一生懸命。でも、『一生懸命だからこそ教え過ぎてしまう、これが日本だ』と言っています。練習に置き換えれば、それは練習量の多さに変わり、量をこなせば努力は報われると信じている。しかし、サルガドも海外の指導者たちも『一生懸命とはそういうものではない』と言います。本来あるべきは『一生懸命だからこそ何かを言うのを我慢しましょう』という姿勢です。子どもが親にあれこれ言われればプレッシャーに感じるし、伸びるものも伸びません」――では、親としてのベストなサポートとは何でしょう?「シンプルですが、親のやるべきことをしっかりやる、ということです。しっかりご飯を作り、しっかり食べさせて、練習に連れていく。そしてグラウンド内のことは監督やコーチに任せる。子どもが悩んでいるときに、親が子どもの変わりに指導者に聞いてあげるのはいいと思いますが、日本の場合、多くは指導者に聞く前に悩んだままチームを辞めてしまうケースが多い。それは違うのではないでしょうか。それも指導者と親の距離が遠いことが原因にあるようには思いますが」――サッカーで留学することについても伺いたいのですが、子どもが留学したいと言い出したときに親はどうサポートすべきでしょうか。「子どもが何かのきっかけで『海外に行きたい』となったときに、親の反応は二つです。驚いてしまうか、行かせてあげようと思うのか。驚くというのは親が心の準備ができていない証拠です。そういう親はだいたい『まだ早い』などと言って(子どもを)否定しがちです。早いなどと言っているうちに限りのある留学の枠は埋まってしまい、チャンスを逃します。一方、海外経験がある親は心の準備ができているのですんなり子どもの背中が押せます。つまり、子どもどうこうよりも親の問題の方が多いということです。頭ごなしに『まだ早い』と否定されてしまった子どもは、ひとまず我慢して、やがて諦めて、結局はやる気がなくなってしまうものです」――サッカー留学について、親として必ず押さえておくべき情報などアドバイスがあればお願いします。「サッカー留学には適正価格があり、国によって異なりますが、相場は2か月で50万円ほどでしょうか。べらぼうに高い価格の会社もありますし、逆に価格とクオリティが合っていると感じれば自ずと人は集まります。その見極めはしっかりして下さい。また、注意すべきは、留学に行く国を狭めないことです。欧州に行きたい、南米に行きたい、という姿勢に固執し過ぎることなく、もし叶わなかったときでも別の国を選択すれば留学を経験するチャンスはあるし、物事を大きな面で捉えてチャンスを掴まえることが重要だと思います。僕は今までいろんな国に行きましたが、どの国に行っても大きな刺激があることは間違いありません」子どものためと思ってやっていることがプレッシャーになって、伸びるものも伸びなかったら逆効果ですよね。また、対話できれば解決の糸口が見つかるかもしれないのに、悩みを抱えたまま辞めてしまい、結果としてより悪い状態になることもあります。ピッチ再度ではうるさく喚くけれど、指導者としっかり対話ができ、家で子どもを追い詰めないスペインの保護者の姿勢は親のサポートのあり方として参考になる部分があるのではないでしょうか。<<第一回:世界のクラブが日本人選手に求めるスキルとは。レアル中井選手から学ぶ世界で生き抜く方法稲若健志(いなわか・たけし)株式会社ワカタケ代表。1979年生まれ。神奈川県出身。藤嶺学園藤沢高校卒業後、ディエゴ・マラドーナに憧れアルゼンチンに渡航しプロ契約を結ぶ。愛媛FCや栃木SCなどでプレーしたのち引退。帰国してからも10年以上に渡り、毎年アルゼンチンを訪れ、指導や教育を学び、26歳のときに株式会社ワカタケを設立。中井卓大選手の挑戦の支援を通し、レアル・マドリードに強いパイプを持つ。レアル、アトレティコ、セルタなど日本でのキャンプ及び海外キャンプのライセンスを持つほか、世界各国につながりを持ちリーガ主催のジュニアの大会への出場権も保有。世界を子どもたちに見せるべく、年間1000人以上の子どもたちに海外にいく機会を作っている。
2020年11月20日「将来海外でプレーしたい」そんな純粋で大きな夢を抱く子どもたちに「正しい努力をさせてあげたい」。そう願うのが親の本音ではないでしょうか。新刊『世界を変えてやれ!―プロサッカー選手を夢見る子どもたちのために僕ができること』では、「日本と世界を繋ぐ橋渡し」役の著者・稲若健志氏が、将来を夢見る選手たち、保護者、指導者に向け、アドバイスを送っています。今回は改めて稲若氏に聞いた、子どもたちの夢を叶えるために知っておきたい世界の常識、などを、全4回にわたってインタビューでお届けします。■レアルの中井選手から学ぶ世界で生き抜く方法――世界で戦える選手を間近で見てきた稲若さんが考える、世界のトッププレイヤーが持っているものとは何でしょうか。「技術、メンタル、フィジカルがあることは大前提ですが、世界で活躍するトップレベルの選手たちは自分で『習慣』を作ることができます。先日、元スペイン代表監督のロベルト・モレロが話していました。メッシやネイマール、スアレスのようなスーパースターは何が違うのかといえば、『サッカーの中で生活をしている』と」――24時間、サッカー選手ということですか?「そうです。例えば、スポーツドリンクは糖分が入っているから飲まない、といった日々の行動を徹底的に習慣にしていける選手が世界に行けます。プロでもピッチ上では頑張っていても、ピッチ外のちょっとした誘惑に負けてしまう選手もいます。でも、世界のトッププレイヤーたちは例外なく細部に気を遣っているし、それを当たり前にできています」――その点、稲若さんがずっと間近で見てきた中井卓大選手(レアル・マドリード所属)はどうでしょうか?「僕はピピ(中井卓大選手の愛称)のことを8歳から知っていますが、8歳の頃から毎日、朝起きたら欠かさずストレッチや体幹、ボールタッチをしてきました。歯を磨くのも朝ご飯を食べるのも30分のトレーニングのあとで、雨が降ろうがサボったことはないと思います。『毎日が勝負』というスタンスで、一段ずつ階段をのぼっていった選手です。最初からレアル・マドリードの今のカテゴリーまでたどり着けるという考えはなかったと思いますし、まずは自分のいるカテゴリーで全力を尽くし、その結果、また次のカテゴリーへと。その繰り返しでのぼっていったのです。正直、ピピが今のようになるとは思っていませんでしたが、ピピは人一倍努力をして、一歩ずつ階段をのぼっていった先に今のカテゴリーまで上がったという選手です」■世界のクラブが日本人選手に求めているものとは?――世界のクラブは日本人選手に何を期待しているのでしょうか?「一般的に日本人は『真面目』『監督の言うことは聞く』『言われたことはできる』という評価をされています。ただ、今の久保建英選手(ビジャレアル)もそうですが、チームでのポジショニングのバランスやディフェンス力の低さが試合出場を阻む足かせになっているように見えます。日本では『うまい選手が海外で使われる』と思っている人も少なくないかもしれませんが、欧州ではまず『チームにハマる選手が使われる』というのが常識です」――チームにハマるというのは?「技術が高いのではなく、"何かをしっかりと持っている選手"です。『言われたことをしっかりできる』『ポジショニングをミスしない』『ボールを取られてはいけない場所で絶対に取られない』といったことです。たとえ技術が高くても、チームの一員としてハマるための力が劣っていると、監督は『まだ使えないな』と判断するということです。試合に勝つことができる監督は、何より11人全員がしっかりと意図どおりに動けるかを見ています」――それを踏まえて、日本人選手が海外のスカウトから目に留まるためには?「目に留まるのは、ボールをこねくり回す選手ではなく、走るときに走る、守るときに守れる、そういった判断力が高い選手が評価されます。その上で、結果を残せば目に留まる可能性は高まります。どうしたってチームが弱ければ個々の活躍はなかなか目につきません。チームがある程度は強く、チームの中でやるべきプレーを体現しながら、DFならば1対1に負けない、FWならばゴールを奪う、そうやって個人として結果を残せる選手が目に留まります」――ちなみに、日本のU‐12世代と海外の子どもたちの違いは感じますか?「スペイン代表やレアル・マドリードで活躍したミッチェル・サルガドとは2013年からの付き合いになりますが、そんなサルガドがよく日本の子どもたちを見て『リアルがない』と言います。シュート練習をするときに子どもたちが『これはワンタッチですか?』と聞くことに対して『グラウンドにいるのは自分。コーチに聞く前に常に自分で判断しなさい』と指摘する光景をよく見ます。これには親の過保護も関係しているのだと思います。夏場の熱中症対策として子どもに帽子を被らせてサッカーをさせる親もいます。子どもの命を守る対策を取ること自体はおかしくありませんが、低学年のうちだけならまだしも、高学年になっても親が「○○しなさい」と指示して、子どもに判断させないこともあります。危ないからと言って子どもからリアルを奪ってしまえば、結局子どもは逞しくならず、試合にも勝てません。サルガドがいう『リアルがない』を真剣に考えるべきだと思います」――その差を埋めるためにはどうすれば?「日本の場合、親はサッカーをあまり見ないし、指導者も海外まで行って現地のサッカーを見るための時間も取れない忙しさなので、結局は自分の経験則だけで指導してしまう傾向が強いと思います。そうなると、サッカーについて周りが正解をわかっていないから、子どもが迷子になってしまう。海外の場合、指導者たちは常に近隣諸国のサッカーを見に行ってアップデートを繰り返しています。そういう指導者が親から『何でうちの子は起用されないのか?』などと突っ込まれても、理路整然と答えることができるだけの理論武装ができています。だから親にも指導者に対するリスペクトがあるので、指導者と親の距離感が近いという関係性があります。この海外のリアルを知るためには、やはり自分の肌で感じるしかないと思います。同年代のバルサの子どもたちのプレーをYouTubeなど動画サービスで見たときに『うまい!』と思っても、実際にどのくらいうまいのか、どのくらい差があるかはわかりません。指導者も、子どもも、親も、実際に海外に行って体感しないとわからない明確な差というものがあるし、わかった気にならないで、現地で体感することをスタートラインにしてはどうでしょうか」稲若健志(いなわか・たけし)株式会社ワカタケ代表。1979年生まれ。神奈川県出身。藤嶺学園藤沢高校卒業後、ディエゴ・マラドーナに憧れアルゼンチンに渡航しプロ契約を結ぶ。愛媛FCや栃木SCなどでプレーしたのち引退。帰国してからも10年以上に渡り、毎年アルゼンチンを訪れ、指導や教育を学び、26歳のときに株式会社ワカタケを設立。中井卓大選手の挑戦の支援を通し、レアル・マドリードに強いパイプを持つ。レアル、アトレティコ、セルタなど日本でのキャンプ及び海外キャンプのライセンスを持つほか、世界各国につながりを持ちリーガ主催のジュニアの大会への出場権も保有。世界を子どもたちに見せるべく、年間1000人以上の子どもたちに海外にいく機会を作っている。
2020年10月27日2020年は、大切な人を突然失う悲しみや喪失感について改めて考えさせられる瞬間も多かったと思いますが、そんな苦しみと向き合う主人公のリアルな姿を描き、各国で絶賛されている映画がまもなく公開を迎えます。それは……。ミステリアスな話題作『おもかげ』【映画、ときどき私】 vol. 334スペインに暮らすエレナは、元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。ひと気のないフランスの海辺から助けを求める息子の声。エレナにとっては、それが息子の声を聞いた最後となる。それから10年が経ち、エレナはその海辺のレストランで働いていた。ある日、そこで偶然出会ったのは、息子の面影を宿した少年のジャン。エレナを慕うジャンは、お店を頻繁に訪れるようになる。しかし、徐々に距離を縮める2人の関係に周囲は戸惑い始めるのだった……。2019年アカデミー賞の短編実写映画賞にノミネートされ、世界各地の映画祭で50以上の賞を受賞した短編映画『Madre』。長編映画となった本作では、短編の“その先”を描き、話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ロドリゴ・ソロゴイェン監督短編が高く評価されたことによってその才能が認められ、“スペインの新鋭”として注目を集めているソロゴイェン監督。短編を長編の冒頭としてそのまま使用し、新たな物語を紡いでみせるという珍しい手法で完成させた本作に込めた思いや現場の様子などについて語っていただきました。―まずは、息子を失う母親を主人公にした物語を描こうと思ったきっかけを教えてください。監督正直言って、自分でもなぜ描きたいと思ったのかはわかりません。ただ、短編の『Madre』がこの映画の出発点であったということだけは、間違いなく言えると思います。この短編というのは、もともとひとつの“試し”のようなつもりで作ったものでした。その過程で感じていたのは、ここで描いているような母親が子どもを失うという体験が何よりも重い感情であり、非常に大きな“爆発”を生む題材になるであろうということ。特に今回の場合は、生死が不確定な失踪という状況であるため、愛する人を亡くしてしまうというのとはまた違う深い悲しみを生むものだと考えました。―母と息子という関係性を取り上げたことに関しては、何かご自身の経験が反映されている部分もあるのでしょうか?監督おそらく、僕と母の関係も少しは投影されているところがあるかもしれないですね。というのも、僕と母親は20年間2人だけで暮らした経験があり、その間にまったく問題がなかったわけではないですが、ものすごく深い繋がりがありますから。脚本を書きながら母のことが頭にあったのは間違いないと思います。劇中で母と息子の関係を扱い、タイトルにスペイン語で母という意味を指す単語「Madre」を選んだほどなので。これは映画監督としてこれまでに何度も経験していることなんですが、あとで自分の作品を振り返ったときに新たなことに気づかされるというのは多いものなんですよ。短編で感じていた“借り”を返すことができた―では、今回の作品をいま振り返ってみていかがですか?監督いまの僕がこの映画を作ったときの自分を完璧に判断できる時期にはまだきていないので、よくわからないですが、あえて少しだけ分析してみると、さっき言ったように僕の母が影響を与えているとは思います。20年後にこの作品を振り返ってみても、きっとそう感じるでしょうね。映画を作っているときは、「自分はこういうことを言いたいのかな」と思って映画を撮っているんだけれど、数年後に振り返ってみると、「あのとき気づいていなかったけど、実はこういうことを言いたかったんだな」と再認識することはよくあることなんです。―なるほど。ちなみに、短編を作ったあと、物語に対して“借り”があると考えていたそうですが、長編を作ったことでその借りを返せたと感じていらっしゃいますか?監督それは今回の登場人物に対して、何か続きを与えなければならない“義務”があったという意味ですが、間違いなく今回の映画を通じて、その借りは返せたものと感じています。エレナはブラックホールに陥ってしまったような狂気に近い状態にいたので、彼女に提供したいと思ったのは、その続きとひとつのラブストーリー。最初に描いている感情は、おそらく誰もが考えうる最悪な状態のひとつであるけれど、10年間も絶望にいた彼女を光のほうへ導くようなストーリーと癒しを与えられたのではないかなと個人的には考えています。みなさんにそれぞれの答えを探してほしい―観客に委ねるような部分も多く見られましたが、そのような意図に込めた思いを教えてください。監督この映画は最初から何もかもが決まっていたわけではなく、オープンな映画にしたいという狙いはありました。とはいえ、それはいつもと同じで、撮影中はひとつの旅をしているようなところがあったので、そのなかでいろいろな発見があれば、それらをどんどん取り入れるようにしています。ただ、今回のキーポイントは、ミステリーの要素を残すことだったので、観客のみなさんにもさまざまな答えを出してほしいと思いました。とはいえ、観客によってはすべての答えを提示してほしいと感じる人もいるかもしれないし、自らいくつかの答えを出して楽しむ人もいるかもしれないし、なかには答えを一切必要とせずに映画をそのまま味わって感動する人もいるかもしれないですけどね。―確かに、観客によって受け取り方は大きく異なるほど“余白”があると思いました。監督僕としては、この映画という旅を一緒に歩むなかで、必ずしも答えがなければならないとは思っていません。実際、最初に決めていたことだけでなく、現場の流れのなかで生まれた部分もたくさんありましたから。これからも信憑性のある作品を作っていきたい―では、作品を作り上げるうえでもっとも苦労したのは、どのあたりでしょうか?監督ジャンとエレナの2人の関係性を表している場面がありますが、エモーションの部分が絡んでくるようなシーンは難しかったと言えるかもしれないですね。なぜかというと、ここで彼らがお互いのことをどういうふうに見ているのか、2人の関係は何なのかというのを問いただすところでもあったからです。彼らの関係性は「相手に喜んでほしい」とか「相手を幸せにしたい」といった感情からできあがっているので、冒頭でまるで死んでいるかのような状態だったエレナが磁石のように引き付ける存在のジャンのおかげで光へと向かう旅に出ることができたのです。と同時に、ジャン自身も自分の旅をしているので、最終的にはお互いに助け合って旅を続けている側面が大きかったように感じています。技術的な面で大変なところもいくつかありましたが、複雑な撮影を前に僕たちは苦しむよりもひとつの挑戦として楽しみながら挑んでいたので、本当にいい経験になりました。役者たちにも、自由に演じてもらった部分はけっこうあったのではないかなと思っています。―それでは、監督自身が映画作りにおいて、一貫して大事にしていることがあれば教えてください。監督映画監督をやっていくうえで規範のようなものはあるかもしれないですが、できればそういった決まりにしばられることなく、つねに真っ白な気持ちで新しいプロジェクトに取り掛かりたいと思っています。もちろん難しいこともありますが、そういう気持ちで毎回臨むのが僕のスタイルです。そして、もうひとつ譲れないものを挙げるとすれば、それは信憑性。あくまでも僕の価値観においてですが、いままで撮った作品は話の内容や登場人物の言動など、大切にしている基準は観客に信じてもらえるかどうかですね。もちろん、ほかの人が作った非現実的な映画におもしろさを感じることも、興味も深いと思うこともたくさんあります。とはいえ、そういう作品を観ると、自分が撮りたいのは人々に信じてもらえるようなものなんだと改めて感じさせられるので、これからもそういった物語を作っていきたいです。希望の光を見つける“旅”に出る!愛を失った悲しみと愛に出会った喜び、そして絶望から再生までの道のりを見事に描いた本作。予測できない展開に引き込まれた先で、観客が思うそれぞれの“答え”を見つけてみては?引き込まれる予告編はこちら!作品情報『おもかげ』10月23日(金)よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー配給:ハピネット©Manolo Pavón
2020年10月22日スペインのバルを彷彿させるおしゃれな空間タパスをはじめとした本格西欧料理を提供自然派を中心とした各国300種のワインが揃う青い扉が目印! スペインのバルを彷彿させるおしゃれな空間目黒駅東口のロータリーから1本入った通りにある、おしゃれな青い扉が目印のお店ガラス張りの床から半地下にあるワインセラーが見通せるテーブル席もありますJR目黒駅から徒歩2分、飲食店が立ち並ぶ賑やかな通りの中に、ひっそりと佇む【キッチン セロ】は、ビストロ系料理とワインが楽しめる目黒のお手軽バル。入口のおしゃれな青い扉からもわかるとおり、まるでヨーロッパのような雰囲気と料理のおいしさ、それにワインの種類の豊富さが食通やワイン好きから支持されています。オープンキッチンに沿った長いカウンター席は13席あります店内に入ると、まるで本場スペインのバルのような雰囲気!カウンター席が中心なので少人数やおひとり様、初めての方でも気軽に立ち寄れるカジュアルさも人気です。多彩なタパスをはじめ、本格西欧料理を提供本格的な西欧料理はワインにぴったり!料理は、『アジの洋風なめろう』や『玉ねぎのオーブン焼き』などのタパス類をはじめ、燻製玉子や小ヤリイカのフリット、『ラム肩ロース』などの鉄板料理に加え、『トリッパのとっからオーブン焼き』や『鴨のコンフィー』などなど。さらに〆のパスタやパエリアを合わせて全60種をラインナップ。今回はその中でもぜひオーダーしてほしい料理を3品選んでみました!『赤いサラダ』自家製シェリービネガーソースの酸味が味の決め手『赤いサラダ』1,100円(税抜)お店を訪れたらまず頼んでほしいのが、長野産のニンジンをサーモンやトマトとともに和えた『赤いサラダ』。自家製のシェリービネガーのドレッシングとマッチし、最初に食べるのにぴったりの一品です。『赤のサラダ』以外にも、『緑のサラダ』『白のサラダ』『黒のサラダ』があり、色で選べて視覚で楽しめるのも魅力です。『山芋とフォアグラのコロッケ』珍味をボリューム満点に仕上げた『山芋とフォアグラのコロッケ』1個600円(税抜)お店の人気メニュー『山芋とフォアグラのコロッケ』は、高価なフォアグラをサトイモで包んでボリューミーに仕上げた一品。バルサミコソースが絶妙で、赤ワインにぴったりです。「千代幻豚」を使ったメニュー信州飯田産の「千代幻豚」。※調理法は定期的に変わるのでお店の方にお尋ねくださいまた、一般市場に出回らない希少種、長野産の「千代幻豚」を使った料理もラインナップ。しっかりとした甘さとしつこくない脂身が絶妙な味わいをかもし出す『千代幻豚の生ハム』や、リンゴの酸味がきいたソースが肉の甘みを引き立てる『千代幻豚のソテーシェリービネガーソース』など、1頭買いすることでそれぞれの部位に適した料理をリーズナブルな価格で提供してくれます。自然派を中心とした各国300種のワインが堪能できるグラスワインは赤白で10種類前後。グラスは650円~、ボトルは4,000円~(ワインリスト有り)自慢のワインは、日本、フランス、イタリア、スペインをはじめ、自然派を中心に300種類以上揃っているとのこと。入口横にある小上がりのテーブル席からは、ガラス張りの床から半地下のワインセラーを眺めることもでき、ワイン好きにはたまりません!そんなスペインのバルのような空間で、本格的な西欧料理を味わえるワイン食堂【キッチン セロ】。ぜひ訪れてみてください。キッチンセロ【エリア】目黒【ジャンル】洋食【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】6000円【アクセス】目黒駅 徒歩2分※東京都からの営業時間短縮要請により、~2020年8月31日までは22時までの営業となります。その後の営業時間に関しましては直接お店にお問い合わせください。
2020年08月06日「the BEEMINE lab」日本に上陸スペイン発のCBDブランド「the BEEMINE lab(ビーマインラボ)」が日本に初上陸。2020年8月5日、日本最大級のCBD専門セレクトショップ「hempnavi」にて、厳選4アイテムの販売をスタートします。伝統養蜂×CBD「the BEEMINE lab」は、スペイン・マドリードで誕生したCBDブランド。“CBD×ハチミツ”の力に着目し、サプリメントやスキンケアアイテム、食品等を展開しています。同ブランドのアイテムに使われる原材料はオーガニック100%にこだわり、殺虫剤や除草剤など化学物質は一切使われていません。アイテムの一例今回日本に初上陸するのは、食品とCBDオイルなど厳選4アイテム。中でもプロポリスが豊富なローズマリーハニーに、精神活性をもたないカンナビジオール(CBD)とオリーブオイルをブレンドした「HANI+(ハニープラス)」は、トーストにのせたりヨーグルトにトッピングしたりと、日常生活に気軽に取り入れやすいアイテムです。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社ボタニカルのプレスリリース
2020年08月03日身長差やサッカーの理解度の差があって同じ学年でもレベル差が大きい中学年の指導に悩むコーチから、チームの底上げを図れるトレーニングメニューなどはある?とご相談をいただきました。池上さんは、これまで見てきた中で欧州の子どもはそれほどレベル差がついてないといいます。その原因は、日本とは真逆の「指導の順番」なのだそうです。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にして、チームの底上げを図ってください。(取材・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<U-10でどこまで守備戦術を教えて良いもの?指導のコツがあったら教えて<お父さんコーチからの質問>いつも連載拝読しています。私は少年団でU-10 、U-12の指導をしている者です。先日別の記事で、小学校中学年ぐらいは一番デコボコしているとありましたが、まさしく私のチームも同じ状況なので、指導面でのアドバイスが欲しくご相談させていただきました。体の成長速度は個々の成長速度があるので何ともし難いですが、この学年へのトレーニングメニューで、チームの底上げを図れるものであったり、もしくは練習や試合でのチーム分けの工夫などがあれば教えてください。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。日本の子どもたちはなぜ、そんなにデコボコが目立つのか。それは、小学校中学年くらいだと、体の大きさや運能能力の違い、サッカーへの理解度の違いがあるから仕方がない――私たち指導者はそんなふうに考えてきました。■欧州の子どもたちは日本ほど同年代でのレベル差がないところが、スペインなど欧州の子どもはそこまでデコボコではありません。よく見ていると、欧州の子どもたちは、相手とぶつからないようにプレーします。日本のように「相手に押し負けるな」とか「コンタクトで負けるな」などという声はコーチから一切出てきません。なぜなら、幼稚園児くらいのころから「どこでボールをもらうといいかな?」とコーチらに導いてもらえるので、相手から離れてボールを受けることが身についています。日本の子どものようにボールを奪いに来る相手を体で押さえてコントロールするのではなく、フリーな状況でパスを受けます。そして、そのことを学んで身に着けるためのトレーニングを、幼稚園児のころからたくさん積むのです。その際、守備をする側は、攻撃をしてくる相手のパスカットを狙います。相手に体をぶつけるようにして足元のボールをガシガシと奪いにきません。つまり、トレーニング全体に、ボディーコンタクトがないのです。それはなぜでしょう。ひとことで言うと、育成する「順番」が日本と違うからです。「認知→判断→行動(プレー)」欧州の子たちは、この順番で育てられます。例えば、3~6歳、もしくは小学校低学年までの間に、まず「認知する力を」養います。自分がボール保持者だとしたら、味方がどこにいるか認知します。例えば、2対1の状況で、自分がドリブルでゴールに向かったほうが点が取れるのか、味方にパスしたほうが得点の可能性が高いのか。そのとき、守備をする相手選手の位置によって、いつパスをしたほうがいいのか。それが認知する力です。どこが空いてる?誰がチャンス?――そういうことを彼らは10歳くらいまでに見極められるようになります。見極められるようになったら、判断してプレーします。相手選手がパスをしたい味方との間に立っているから、ドリブルでボール1個分ずらしてからパスを通す。自分で縦に突破すると見せかけて、相手が自分に近づいた瞬間、相手をあざ笑いようにスルーパスを通す。そういった判断ができるようになります。この1.認知、2.判断ができるようになったら、最後の3.行動(プレー)の指導に入ります。プレーはつまりはスキル、技術です。それは「今の判断は良かったね。あとはコントロールを磨いていこう」というような声掛けです。トラップをミスしたり、パスがそれたりして正確にできなかったとしても、しっかり認知をし、タイミングよく判断ができているのだから、あとは技術を磨けば済むことです。■日本の子どもたちにレベル差が生まれてしまう理由ところが、日本の子どもたちは、これを逆にした順番で指導されています。1.行動、2.判断、3.認知で教えられているのです。サッカーボールに出会ったら、まずインサイドキックを教えます。コーンドリブルをします。リフティングもですね。かなり長い時間、クローズドスキルに割かれています。それらをやってから、小学校中学年くらいになってから、コーチにこう言われたりします。「ただ蹴るだけじゃだめだ」「まわりをよくみて」「スペースを探せ」「ボールをもらえる位置にいないから、いつまでたってももらえないでしょ?」そこで子どもたちは非常に混乱します。そこで格差、つまりデコボコも出てきます。日本のトレーニングは、本来は最後に指導したほうがいい「行動」、技術練習から始めているので、なかなかうまくいかない。ジュニアの世界大会で日本の子どもたちが優勝して「日本の子どもは足元の技術がうまいですね」と欧州のコーチに褒められます。足元の技術から始めているので、うまいのは当然です。ただし、そのあとはどうでしょうか?ユース年代、成人してからと、上に行くほど世界との差が開いていないでしょうか。私の大学の先輩である祖母井秀隆さんは1970年代、すでに「見て、考えて、判断して、プレーする」という段階を踏んで指導すべきだ、とおっしゃっていました。脳科学的にもそれが正しいのだとおっしゃって、私も納得出来ました。それから40年以上経過しましたが、日本はいまだ指導の順番は逆行したままです。■認知、判断力をつける練習メニュー(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)ご相談者様は、ぜひ前述した三つの順番を意識した練習に変えましょう。具体的には、ミニゲームや2対1といったオープンスキルのメニューをたくさん行って、子どもたちの認知・判断の力を鍛えてあげてください。ぶつかれ、負けるな、などと言ってはいけません。スピードやパワーを求めず、ゆったりとした状態でサッカーの成り立ちを伝えてください。「どこを見てた?」「どうしたらいい?」と子どもたちに質問して、考えさせるのです。認知・判断力はそうやって試行錯誤しながら自分で獲得するものです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年06月12日スペイン発のシューズブランド「アンヘル アラルコン(ANGEL ALARCON)」が日本初上陸。デミルクス ビームス(Demi-Luxe BEAMS)取り扱い店舗、ビームス 公式オンショップで発売される。「アンヘル アラルコン(ANGEL ALARCON)」は、老舗シューズファクトリーがプロデュースするスペインのシューズブランドだ。元々はヒールやパンプスなど、オケージョンラインを中心に、スペイン国内のみで発売していたが、2020年春夏シーズンよりリニューアル。ブランドコンセプトやスタイルを一転させて、グローバル展開をスタートする。新生「アンヘル アラルコン(ANGEL ALARCON)」が提案するのは、現代のライフスタイルにマッチするシューズやサンダル。昔ながらの伝統的な技術を引き継いだ、丁寧な靴作りが好印象だ。ラウンド型バックルをあしらった「クロスバックル サンダル」は、デイリーからリゾートシーンまで幅広く活躍してくれるフラットサンダル。上質な羊革で仕立てたアッパーが高級感を演出してくれる。ソールにはクッションが入っているので、歩きやすいのも嬉しいポイントだ。カラーはブラック、ベージュを取り揃える。また、高すぎないヒールで歩きやすい「リザード トングサンダル」も発売。程よく肌みせしてくれ、ヘルシーな足元に引き上げてくれる。こちらもスカートルックからパンツコーディネートまで、様々なコーディネートにマッチしそうだ。【詳細】「アンヘル アラルコン(ANGEL ALARCON)」※2020年5月上旬現在発売中。※デミルクス ビームス店舗の営業状況は公式サイトを確認。・クロスバックル サンダル 15,400円(税込)サイズ:35~38カラー:ブラック、ベージュ・リザード トングサンダル 15,400円(税込)サイズ:35~38カラー:ブラック、ベージュ
2020年05月10日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『TauLa』の“地味スペイン”料理です。スペイン料理で真っ先に思い浮かぶものといえば、パエリアにアヒージョにイベリコ生ハム……それからバスクチーズケーキ?「でも、もっと知られていない素晴らしい料理があるんですよね」と、今年2月にスペイン料理店『TauLa』を下北沢にオープンした高橋翔太さんは言う。「たとえばメネストラ。10種類ほどの季節野菜を軽く煮込んだシンプルな料理ですが、日本ではなかなか出合えないですね」。派手さはないけれど、素材を活かしたグッとくる料理。それらのことを高橋さんは「地味スペイン」と言い、積極的にオンメニューしている。カタルーニャ風煮込みのカピポタもその一つだ。カタルーニャ語で“頭と足”を意味する料理で、豚肉のコメカミや耳、肩すねを野菜や豆と一緒にじっくり煮込む。豚や野菜の旨味が溶けたスープに食感の心地よさが加わって、一口ごとに気持ちが和らぎ胃が温まる。20代の頃バックパックで訪れて以来、15年以上スペイン料理を探求してきた高橋さん。現地でもバスクやカタルーニャのレストランで2年ほどの時を過ごした。「結局、地元のおばあちゃんに教えてもらったり、まかないで出合った料理が一番印象に残ってるんですよね」。素朴な味の記憶を丁寧な仕事にのせて。高橋さんの料理は、新たなスペイン料理の横顔を私たちに伝えてくれる。“地味スペイン”には、心に迫る何かがあるのだ。TauLa東京都世田谷区北沢3‐34‐6北沢グリーンビル1FTEL:03・5738・8534テイクアウト15:00~、ディナー18:00~翌1:00(日曜~24:00)月曜休、日曜不定休(月1回)左上から時計回りに、先付けはアンチョビ、オリーブ、ギンディージャを楊枝にさしたピンチョス「ヒルダ」、カタルーニャ風煮込み「カピポタ」¥2,400、バスク風あさりご飯「アロスアルメハス」¥2,600。スペインの自然派ワイン(グラス¥1,000~)とともに。メニューによりテイクアウトも可(詳しくはFacebookで)。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。※『anan』2020年4月29日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2020年04月24日株式会社ラスディは100%天然素材で手肌にも環境にも優しいCleanerAllをクラウドファンディングサイトMakuakeにて先行発売を開始いたしました。スペイン発!世界で一番優しい洗剤が日本に初上陸!〜これ一本で家中ピカピカに〜株式会社ラスディは100%天然素材で手肌にも環境にも優しいCleanerAllをクラウドファンディングサイトMakuakeにて先行発売を開始いたしました。■Makuakeプロジェクト概要プロジェクトページ・実施期間:2020年3月25日~2020年4月28日CleanerAllの3つの特徴1.こだわりのスペイン産の原料を使い、全て手作り。世界で愛されているCleanerAllが日本に!2.100%天然原料でできているので手肌に優しい!環境にも優しい!3.研磨材が入っていないので傷がつかない。これ1つでどんな素材にも使える!CleanerAllの人気の秘密現在スペイン、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ、イギリス、カナダ、アメリカ、オーストラリア、クウェート、エコ意識の高い10カ国で愛されているマルチクリーナーCleanerAllがついに日本でもデビュー。これまでは「自然成分の製品は汚れが落ちにくい。」そんなイメージを持たれていました。しかし100%自然素材でありながらCleanerAllは洗浄力にも自信があります。スペインのカスティーリャ地方で古くから使われている植物性の石けんをひまわりオイルベースで作りました。カスティーユ石鹸は強力な洗浄力で、泡立ちがよく、ベタベタした油っぽさも残りません。また安全な石けんとしても有名で敏感肌などの方も安心して使えます。ホワイトクレイは石けんや化粧品にも多く使われ、洗浄作用と吸着作用に優れ、汚れをきれいに落としてくれます。ホワイトビネガーは水垢や石けんカス、ガラス、鏡などの水回りの汚れに強く、ピカピカに。エコクリーニングブームのヨーロッパではホワイトビネガーを使った掃除も大人気です。【どんな素材にも使える!】これひとつで台所、タイル、ガラス、鏡、床、車、住まいの汚れに何でも使えます。油性ペンで書いたこんな落書きもこの通り。きれいに落とすことができます。研磨剤は不使用傷をつけたくない大切な製品にも使用可能。金、銀、ステンレス鋼、アルミニウム、ガラス、プラスチック、セラミック、銅、クロム、錫、黄銅などの素材に適しています。バスルームではお風呂の水垢もキッチンではシルバー製品や冷蔵庫フローリング、傷をつけたくないシルバーアクセサリーもピカピカ!どんな素材にも適しています!!!【「CleanerAll」製品概要】【商品名】CleanerAll【成分】ホワイトクレイ、水、ヒマワリ油ベースの石けん、レモン、ホワイトビネガー、グリセリン【内容量】200g【生産国】スペイン※香料、リン酸塩、溶剤、着色料、保存料を一切含んでいません。すべての原料は完全に生分解されます。【本リリースに関する報道お問い合わせ先】株式会社ラスディ担当:原TEL:090-4358-3200e-mail:info@lasdy.co.jp企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2020年04月14日フレッシュなサバを使った新商品パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社は、スペイン産のサバを使った缶詰食品「サントーニャ・サバ・オリーブオイル漬」3種を発売。2020年3月26日より、アウトドアブランド「パタゴニア」直営店やオンラインストアにて販売を開始しました。地球を守るための食品事業同商品は、優良な農業や漁業をサポートすることで地球環境を救うことにつなげる“パタゴニア プロビジョンズ”事業より誕生しました。使われるサバは、スペインの伝統的な漁法で捕獲されたもの。針と糸を使用する方法のため、魚を傷めず品質を保てると共に、混獲の発生がほとんど起こらないことから乱獲を防ぐことができます。非常食にも最適肉厚で旨みの強いサバはオーガニック・エクストラバージンオリーブオイル漬けに。「レモンケイパー」、「スパニッシュパプリカ」そして「ローストガーリック」の3つの味からチョイス可能です。(画像はプレスリリースより)【参考】※パタゴニア日本支社のプレスリリース※「パタゴニア」公式サイト
2020年03月28日ギタリストの宝庫スペインから、またひとり興味深い才能が輩出された。2007年のフランシスコ・タレルガ国際ギターコンクールを始め、ニューヨークのプロ・ムジチス賞等を含む13の国際コンクールで優勝を果たしたという凄腕ギタリスト、ラファエル・アギーレその人だ。曰く「神の祝福を受けたギタリスト(マインツECHO誌)」、「ギター界の未来(クルトゥア・ポート誌)」、「もっとも称賛されたスペイン・ギターを代表する一人(エル・パイス誌)」、「成熟しており強烈(リトモ誌)」などなど、彼の実力を伝える世界各地の記者の声も、これ以上無いほどの讃えよう。まさにスペイン・ギター界の希望の星と言った趣だ。スペインの大先輩に当たるアンドレアス・セゴビアや、ナルシソ・イエペスから受け継いだ伝統的なクラシックギターに加え、フラメンコやポップスに映画音楽などなど、ギターならではの幅広いレパートリーを手掛けることもその人気に拍車をかけている様子のラファエル・アギーレ。その実力やいかに。再来日となる今回の公演には、アルベニスやタレガにロドーリーゴ、ファリャなど伝統的なスペイン物の他、パコ・デ・ルシアの作品なども披露。スペインならではの情熱的ステージに期待したい。(c)European Music Foundation●公演概要2月4日(火)浜離宮朝日ホール「ラファエル・アギーレギター・リサイタル」
2020年01月30日スペイン発のデザイナーズパティスリー、ブボ バルセロナ(bubó BARCELONA)から、2020年のバレンタインチョコレートが登場。ブボ バルセロナ表参道本店をはじめ、新宿高島屋、松坂屋 名古屋店、あべのハルカスなど全国22か所で開催されるバレンタイン催事会場にて順次販売される。2020年のバレンタインは、3種類のチョコレートスイーツを用意。パティシエの世界大会で、“Best Chocolate Cake(世界一チョコレートケーキ)”を受賞した「シャビーナ」は、表参道本店と一部の催事会場にて展開する。ベースには、天然バニラシロップを染み込ませたスポンジ生地、シナモンやグローブなど香り豊かなスパイスをミックスしたオリーブオイルケーキ生地を使用。素材の味が複雑に合わさり、優雅な風味が口いっぱいに広がる1品となっている。表参道本店と全国の催事場で販売される「ボンボンセレクシオン」は、ブボ バルセロナの魅力が詰まったアソートボックス。トマトゼリーとプラリネの2層のガナッシュで構成される「パンコントマテ」や4つのスパイスを組み合わせた「4スパイス」など、ブボ バルセロナらしい個性豊かな味わいを楽しめる。また、スペインで人気NO.1を獲得した「チョコフルーツ」も登場。フレーバーは、キャラメリゼした大粒のマカダミアナッツに、バニラが香るホワイトチョコレートをコーティングした「マカダム」をはじめ、シナモン入りのココアパウダーで仕上げた「シナモン」などを用意する。高級感のあるブラックのギフト缶は、贈り物にもぴったりだ。【詳細】ブボ バルセロナ バレンタイン限定チョコレート発売日:2020年1月22日(水)販売店舗:ブボ バルセロナ表参道本店、全国22会場のバレンタイン催事会場(大丸 札幌店/大沼山形本店/仙台三越/藤崎本館/松屋銀座/日本橋高島屋S.C./小田急百貨店 新宿店/新宿高島屋/東武百貨店 池袋店/丸広百貨店 川越店/新潟伊勢丹/ながの東急/静岡伊勢丹/三越名古屋/松坂屋 名古屋店/あべのハルカス/大丸 梅田店/近鉄百貨店 上本町店/近鉄百貨店 奈良店/そごう広島店/岡山タカシマヤ/井筒屋 小倉店)価格例:・シャビーナ 800円+税(表参道本店、一部催事店舗)・ボンボンセレクシオン 4個 1,800円+税/6個 2,600円+税/12個 5,000円+税・チョコフルーツ マカダム 100g 2,200円+税/190g 3,300円+税
2020年01月19日写真家、奈良原一高が1960年代に発表したシリーズ「スペイン偉大なる午後」に注目した『奈良原一高のスペイン約束の旅』が、世田谷美術館にて2020年1月26日(日)まで開催されている。1931年生まれの奈良原一高は、1950年代後半に、極限状況で生きる人間の姿を見つめる「人間の土地」「王国」などのシリーズによって、戦後日本の新しい写真表現を切り開いた写真家だ。同展では、そんな奈良原が1960年代に発表したシリーズ「スペイン偉大なる午後」に注目。これまでほとんど取り上げられることのなかった同シリーズを、奈良原一高アーカイブズ所蔵のニュープリントにより120点のモノクローム作品として紹介する。これらの作品は、1962年から65年にかけてヨーロッパに向かった奈良原が、3度にわたり訪れ、5ヶ月あまりを過ごしたスペインで撮影されたもの。長い内戦が終わり、観光客の誘致によって徐々に変わりゆくであろう、スペインの人々の暮らしや文化をダイナミックに捉えている。展覧会は「祭り」「町から村へ」「闘牛」の3章で構成。伝統的な祭りのダンスに興じる若者や、中世の面影を残す地方の村々、鮮やかに舞う闘牛士など、当時のスペインの魅力を写し留めた作品が並ぶ。奈良原自ら「約束の旅」と名付けた道のりの痕跡として残された作品の数々から、彼が見つめたスペインの熱気を体感することができるはずだ。【開催情報】『奈良原一高のスペイン約束の旅』2020年1月26日(日)まで世田谷美術館にて開催【関連リンク】世田谷美術館()奈良原一高《偉大なる午後マラガ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《偉大なる午後パンプローナ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《フィエスタパンプローナ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《フィエスタパンプローナ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《バヤ・コン・ディオスコルドバ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《バヤ・コン・ディオス》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-65年(c)Ikko Narahara奈良原一高《バヤ・コン・ディオス》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《偉大なる午後》〈スペイン偉大なる午後〉より1963年(c)Ikko Narahara
2019年11月28日日本最大級のスペインフェスティバル「フィエスタ・デ・エスパーニャ」が11月23日(土)と24日(日)に代々木公園イベント広場で開催される。「フィエスタ・デ・エスパーニャ」は、日本とスペインの交流400周年にあたる2013年にスタートし、今年で7回目を迎える大型イベント。昨年には約13万人、累計で70万人を超える来場者を集めている。今年も会場にはケータリングカーを含む約30ブースのフード出店や、物販・展示ブースが登場し、ステージでは様々なパフォーマンスを予定。直径2メートルもの巨大なパエリアパンで2種類のパエリアがつくられる様子を見学できたり、多彩なフラメンコの披露も予定されている。都内にいながらにして、スペインに滞在している気分を味わえるイベントだ。フィエスタ・デ・エスパーニャ201911月23日(土)10時から20時まで11月24日(土)10時から19時まで入場無料※飲食等は有料代々木公園/イベント広場
2019年11月23日スペイン王室御用達レストラン「ホセ・ルイス」が日本初上陸。2019年11月1日(金)、渋谷スクランブルスクエアに日本初店舗をオープンする。スペイン王室御用達レストラン「ホセ・ルイス」が日本上陸1957年、スペイン・マドリードにオープンし、60年以上にわたって市民に愛されてきたレストラン「ホセ・ルイス」。今では、スペイン国王一族も長年にわたって通い続けるレストランとしても知られ、味だけでなく見た目にもこだわった、伝統と革新の両方を大切にする料理を提供し続けている。日本初店舗となる渋谷スクランブルスクエア店では、伝統と革新をテーマに、スペインの伝統と日本の文化を融合させたメニューを展開。日本限定のアレンジメニューも提供予定だ。おすすめメニューを紹介おすすめしたい一品目は、スペイン本場でも提供しているスペイン風オムレツ「伝統トルティージャ」。前スペイン国王が“1番美味しいトルティージャ”と絶賛した逸品でもある。また、トルティージャのレシピを日本の食材と技法でアレンジした「濃厚なチーズがとろけるスフレトルティージャ」も展開。ふわとろな食感と濃厚な味わいは病みつきになること間違いなしだ。2つ目におすすめしたいのがパスタのパエリア「名物 濃厚海老出汁のフィデワ アイオリエスプーマ」だ。魚介の出汁をたっぷりと吸ったパスタの上には、食べ応えのある大きな海老が飾られている。また、ワインをはじめお酒と楽しむならピンチョスもおすすめ。「ホセ・ルイス」では好みのピチョスを数種類から選ぶことができる。スイーツにはバスク風チーズケーキはいかが。日本でも認知度が高まってきたバスクチーズケーキも「ホセ・ルイス」らしくエレガントな一皿で味わえる。稀少ワインを本場「ホセ・ルイス」から直輸入店内では、「ホセ・ルイス」所有のワイナリーから直輸入した、日本で稀少なワインを渋谷スクランブルスクエア店だけのために入荷。国際コンテストで数々の金メダルを受賞する「ボデガス・モセン」のワインも、日本のレストランで唯一味わうことができる。世界初リゾート型店舗もオープンへなお、2020年5月には、世界初となるリゾート型店舗をリゾートホテル「TWIN LINE 軽井沢」内にオープン。「TWIN LINE 軽井沢」の店舗でも、“伝統と革新”をテーマとし、日本限定のアレンジメニューを含むラインナップを揃える。【詳細】ホセ・ルイス 渋谷スクランブルスクエア店オープン日:2019年11月1日(金)住所:東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号 渋谷スクランブルスクエア ショップ&レストラン 13階営業時間:11:00~24:00※フード L.O. 23:00、ドリンク L.O. 23:30※年中無休(ビル休業日を除く)TEL:03-6452-6227■メニュー価格例伝統トルティージャ 1,200円濃厚チーズがとろけるスフレトルティージャ S 1,400円、L 2,800円タコとじゃが芋のガルシア風 ホセ・ルイス スタイル 800円名物 濃厚海老出汁のフィデワ アイオリエスプーマ 1,600円名物ピンチョス各種 各300円名物 バスク風チーズケーキ S 800円、L 1,500円■ドリンクメニュー例Mocén COBRANZA グラス 880円、ボトル 4,500円Mocén Selección Especial VERDEJO(白) Glass 680円、ボトル 3,800円Mocén Spu(スパークリング) ボトル 3,800円 ※2020年1月入荷予定オリジナルサングリア グラス 680円、デキャンタ 3,800円
2019年10月25日スペインに住んで19年の吉原久美子さんが、スペインのブルゴスに住む小学校の先生・ホアキンさんの暮らしをレポートしてくれました。ホアキン先生は独身ですが、独身男性でも家は借りるのではなく購入するのがスペイン流。自分の好きなように家をデザインしていくことが生活をすることであり、それが生きることでもあるといいます。ホアキン先生は壁を上手に使い、自身のこだわりを表現しています。さっそく見せていただきましよう。■ 廊下の壁には好きな詩を玄関を入るとまず、壁に描かれた木の絵が目を引きます。こんな感じでオレンジ色と黄色のマジックを使って描かれた木。よく見ると、文字が書いてありますね。これはホアキン先生が好きな詩のフレーズなのだそうです。■ キッチンの壁はウェルカムボードキッチンのデザインは、白を基調にオレンジをアクセントカラーにしています。キッチンのテーマカラー・オレンジを使った棚は自作です。スペインの独身男性は紅茶とコーヒーにこだわりがあるといいますが、ホアキン先生もそのようですね。壁の白いタイルはウェルカムボードの役割をしていて、来た人がみんな一言書いていくのです。中国人のお友達のメッセージもありますね。水性マジックを使っており、壁はタイルなので、除光液を使えば簡単に落とせるそうです。こだわりの壁に取り付けられたのは、やはりテーマカラーのオレンジの時計。壁に時計の機械部分を埋め込んで、オレンジ色の文字盤を貼り付けてあります。■ 忙しいなかでもアイディアが広がる壁ホアキン先生は授業を受け持つと同時に、資格試験のための勉強もしています。小学校の先生なので何教科も教えなくてはならないし、学芸会のような行事も目白押し。幅広い友人たちとの交流などプライベートの活動範囲も広いので、項目ごとにホワイトボードを使ってメモしています。大事なことを書いた紙はボードではなく棒にぶら下げていますが、見えますか?一番奥にある、紙がたくさんぶら下がっているところ。棒は棚の下に回転できるネジでくっつけているので、動かすことができます。棒を動かしてみました。奥の机に座って仕事をしているときにちゃんと見えるように、90度回転できるのです。壁にたくさん資料を貼り付けて、一見ごちゃごちゃしていても居心地の良さがあるのは、木材をたくさん使っているからかもしれません。居間の壁には好きなものを額に入れて飾り、くつろぎを演出しています。ダイニングテーブルの上には……新聞紙?いえ、新聞紙模様のテーブルクロスです。いろいろなところにこだわっていて、人生を楽しんでいる様子が感じられますね。■ 好きなものに囲まれていたいから壁にこだわる野球帽はすっかり縁がすり減っていますが、大事な思い出がいっぱいだからこうやって壁に飾られているのです。壁を上手に生かして生活しているホアキン先生。好きなものがたくさんあるから「できるだけ好きなものに囲まれて暮らしたい」という気持ちが、壁を使う理由の一つなのではないでしょうか。
2019年10月15日クラシックの歴史において「スペイン音楽」はどうも別扱いされているような気がしてならない。フランスとはすぐ隣り合わせにあり、音楽家の交流も頻繁だったスペインがなぜ?との疑問は、スペインの作曲家たちが描き出した名曲の数々を聴いてみると解決できそうだ。本公演のタイトルにもある「哀愁のスペイン」は、まさにスペイン音楽の魅力を見事に言いきったキャッチに違いない。そう、スペイン音楽は他のどの国の音楽よりも民族色が強いのだ。今回予定されるビゼーの「カルメン」や、ラロの「スペイン交響曲」&ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」はまさにその代表曲。哀愁に満ちた美しいメロディの数々は、クラシック初心者にもすぐに受け入れられる親しみやすさに満ちている。ソリストに瀬崎明日香(ヴァイオリン)と木村大(ギター)を迎えたマエストロ“コバケン“こと小林研一郎の熱いタクトが楽しみでならない。瀬崎明日香木村大◆公演概要9月11日(水)サントリーホール大ホール「コバケンの名曲の花束~哀愁のスペイン/オービック・スペシャル・コンサート2019」指揮:小林研一郎ヴァイオリン:瀬崎明日香ギター:木村大ナビゲーター:朝岡聡管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
2019年09月05日“スペインのアカデミー賞”といわれるゴヤ賞で作品賞を含む3部門を制した、バスケットボールチームの物語『CHAMPIONS』(英題)が、『だれもが愛しいチャンピオン』として12月27日(金)より公開されることが決定した。スペイン中に“アミーゴス旋風”を巻き起こす!プロ・バスケットボールのコーチ、マルコは“負ける”ことが大嫌いなアラフォー男。ところが短気な性格が災いして問題を起こしてチームを解雇、裁判所により社会奉仕として知的障がい者たちによるバスケットボールチーム“アミーゴス”を指導することに。はじめは困惑するマルコだったが、彼らの純粋さ、情熱、豊かなユーモアに触れて一念発起、アミーゴスは全国大会でまさかの快進撃を見せる…。2018年、スペイン国内で大ヒットを記録し、その後各国の映画祭でその名を轟かせ、アカデミー賞外国語映画賞スペイン代表作品にも選出。日本でも、6月に開催されたスペイン映画祭2019にて特別上映されるやいなや、会場は熱気に包まれ、映画ファンの心を掴んだ。本作には、実際に障がいを持つ600人もの中からオーディションで選ばれた10名の俳優が出演。その人情味あふれる語り口は、爽快かつ心温まるエンディングに結実、誰もがそれぞれに愛しくて特別な存在であることを伝えている。さらに観る者の想像を超えるラストは、“チャンピオン”という言葉の本当の意味を噛み締めたくなることだろう。今回、アミーゴスの面々の輝く笑顔が印象的なビジュアルと、人生迷走中の元プロリーグ・コーチのマルコとアミーゴスのみんなの勇姿を切り取った場面写真も併せて解禁。また、本作の共同脚本・編集も手掛けたハビエル・フェセル監督が11月下旬に来日予定であることも発表されている。『だれもが愛しいチャンピオン』は12月27日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年09月05日スペインのピアニストといえば、かつて一斉を風靡した美しき名手アリシア・デ・ラローチャ(1923-2009)の名前を思い出す。彼女亡き後のスペインピアニズムは一体どうなってしまったのだろう。などと思っていた矢先に現れたのがホアキン・アチュカロだ。と言いつつ1932年生まれのアチュカロとラローチャとの年齢差はわずか9歳。見方を変えれば、これまでラローチャの影に隠れていた大器にようやく光が当てられたとも言えそうだ。今回の公演では、モーツァルト、ベートーヴェン&ショパンの名曲のほか、得意とするスペインのグラナドス&アルベニスなどの作品が披露される。まさにスペインピアニズムの継承者を堪能するにふさわしいラインナップだ。老いてなお色気を感じさせるスペイン人特有のダンディズムも合わせて堪能したい。◆公演概要9月9日(月)日経ホール「ホアキン・アチュカロピアノ・リサイタル/第488回日経ミューズサロン」●ホアキン・アチュカロ(ピアノ)Joaquin Achúcarro:1932年スペイン・ビルバオ生まれ。59年リヴァプール国際コンクール優勝。以来、世界中の著名ホールでベルリン・フィル他と共演。C.アバド、R.シャイー、C.デイヴィス、Z.メータ、小澤征爾、S.ラトルら指揮者が信頼を寄せる世界最高の巨匠のひとり。2014/15シーズンは北米、南米、ヨーロッパ、アジアなど12か国で演奏、ヴェルビエ音楽祭へ参加、リスボンでは4つの協奏曲を10日間で演奏し大成功を収める。CDはホアキン・ロドリーゴ唯一のピアノ協奏曲ほか多数、DVD「アチュカロ・プレイズ・ブラームス」(C.デイヴィス指揮ロンドン響)や「ファリャ&フレンズ」(S.ラトル指揮ベルリン・フィル)でも見事な音楽性を披露。2000年《平和のためのユネスコ・アーティスト》に選出。2003年スペイン国王より国家功労十字勲章を授与。イタリア・シエナのキジアーナ音楽院名誉教授、同院国際サマーコースの専任講師。1989年より南メソジスト大学(アメリカ・ダラス)の名誉教授。www.achucarro.com
2019年09月04日レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『Bar Portillo(バル ポルティージョ)』のコンビナード(タパス6種の盛り合わせ)です。「バル」とは、スペインの“立ち飲み居酒屋”をさす。その特徴はタパスという小皿料理(オリーブの実、魚や野菜のフリットなど)が充実していること。日本でよくみかけるバルは、低価格だけを強調する“安っぽい”店のなんと多いことか!と、あきらめていたけど、骨太な店が登場してきた。5月10日、中目黒にオープンした『バル ポルティージョ』は、スペインでも珍しいスタイル。何しろタパスは30種以上、さらに現地のバルでは絶対出ないパエリアを10種類前後揃えている。実はここ、代官山『サル イ アモール』、銀座『ラ パンサ』で大成功を収めたアロセリア(米料理専門店)の3店舗目。オーナーの岡本ビクトル栄氏の思いは、店名に込められていた。“小さな扉”。これはスペインへの入口という意味。タパス初心者にもわかりやすいよう、プランチャ(鉄板焼)、フリット(揚げ物)などのテーマごとにグルーピングした盛り合わせが用意されている。これがあれば2人でつまむには十分。そして、19時からは炊き上がったパエリアをテーブルごとに回って売り歩くサービスも。本来2~3人分3000円前後の一品料理だけど、売り歩きパエリアはタパス値段で一皿600~700円。上手に利用して、スペイン料理のおいしいとこ取り!コンビナードNo.5。イベリコ豚の生ハム、ピキージョピーマンのコンフィ、イカのフリート、焼きチョリソとフライドエッグ、マッシュルームのセゴビア風、タラのグラティナードの6種で¥3,500。Bar Portillo東京都目黒区青葉台1‐19‐12 エスセナーリオ青葉台103TEL:03・6455・253617:30~23:30(22:30LO)、土・日・祝日17:30~23:00(22:00LO)月曜休いぬかい・ゆみこレストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。※『anan』2019年6月19日号より。写真・清水奈緒取材、文・犬養裕美子(by anan編集部)
2019年06月12日日本テレビ系「アナザースカイII」の5月17日(金)放送回に、女優の飯豊まりえがゲスト出演。飯豊さんは写真集の撮影で訪れたというスペインの南端にあるマラガで意外な素顔をのぞかせる。オーディションから「ニコ☆プチ」モデルとしてデビュー。同誌の姉妹誌「nicola」から「Seventeen」と同世代の熱い支持を受けながら連続テレビ小説「まれ」や「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などで女優としても活動。2016年放送の月9「好きな人がいること」や映画『きょうのキラ君』などで注目を集めると、『暗黒女子』では清水富美加と、「マジで航海してます。」では武田玲奈とそれぞれW主演。そして昨年春放送の「花のち晴れ~花男 Next Season~」で演じた超お嬢様の人気モデル・メグリン役も大きな反響を呼んだ飯豊さん。今回飯豊さんは念願の写真集を撮影した思い出の地・スペインへ。アンダルシアの白い街・ミハスでの偶然の出会いに、現地のお宅訪問では街の景観を守る秘密に感激。再訪したスペインを堪能する飯豊さんだが、絶品ガスパチョに思わず悲鳴…何が起きたのかは放送をお楽しみに。またデビューのきっかけからオーディションに落ち続けてカリスマモデルになるまで、自信のなさを克服する方法など彼女の素顔にも迫っていく。また司会の今田耕司と広瀬アリスが飯豊さんの所属事務所であるエイベックスの本社に潜入。いまモデルとして、女優として、さらなる成長を遂げつつある飯豊さんの素顔をお楽しみに。映画『名探偵ピカチュウ』は、ゲーム「ポケットモンスター」の人気キャラ・ピカチュウをハリウッドが実写映画化。見た目はカワイイのに中身は“おっさん”の名探偵ピカチュウが相棒・ティムと人間とポケモンが共存する街、ライムシティで繰り広げる冒険を描くストーリーで、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のジャスティス・スミスや渡辺謙らが出演。飯豊さんをはじめ竹内涼真、西島秀俊、梶裕貴、林原めぐみ、山寺宏一らが声優を担当している。映画『名探偵ピカチュウ』は現在絶賛公開中。「アナザースカイII」は5月17日(金)今夜23時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2019年05月17日今年で92歳になる私の母は、スペインにある私の家の近くのマンションでひとり暮らしをしています。母が生まれて初めてひとり暮らしを始めたのは79歳の時。今もとても元気でなんでも食べますが、一度転んで歩けなくなったことがありました。86歳のとき、1人で入浴した際に、腰を打ち付けてしまったのです。立ち上がるのがやっとの状態からまた歩けるようになり、92歳になった今でも寝たきりにならないのは3つの理由がありました。■ 1.昭和2年生まれのプライドベッドの周りに欲しいものがすべて手に届くように配置しています。腰が痛いだけではなく、腰を打った拍子にいろいろな所に影響が出てしまったのではないかと思います。足の指もうまく動かなくなり、足を左右交互に動かすことができなくなりました。それでも、オムツを拒否して絶対嫌だと言います。昭和2年生まれのプライドでしょうか。仕方がないので、ポータブルトイレをベッドの横に設置しました。ポータブルトイレは今は物置状態ベッドに腰掛ける→ベッドから立ち上がる→ポータブルトイレにつかまり立ちをする→ポータブルトイレに座るこの工程でなんとか1人の時も他人に助けられずに用を足せました。■ 2.車椅子を購入廊下で歩く練習が可能最初は食事を寝室まで持って行っていたのですが、ポータブルトイレもあることですし、食事をするのはやはり居間のほうが気分が晴れます。また、テレビも居間に置いてあるので楽に寝室に行けるように車椅子を購入しました。車椅子で居間に行くようになると、なんとなく機嫌も良いように感じます。自分の部屋であっても、そこから動けないというのは、囚われている気分になるのでしょう。そのような状況を私のブログにも書いていたのですが、経験者の方から「車椅子を買ったのなら車椅子を押して歩いてみるといいですよ」とアドバイスをいただきました。さっそく車椅子を押してみると、右、左と足が自然に動くではありませんか!何度も繰り返して普通に歩けるようになりました。みっともない姿を見せたくないという格好付けの母が練習できたのは廊下が広かったおかげです。そして車椅子があれば家の中ならどこにでも行けるのは「バリアフリー」だから。特別に意識してバリアフリーにしたわけではなく、もともとスペインの家の仕様が敷居がないため、どの家もバリアフリーなのです。もしかしたらそれもスペインでは寝たきりの高齢者が少ない理由なのかもしれません。■ 3.お風呂に手すりをつけるもともとは1人でお風呂に入っていた時に倒れてしまったのが原因で腰を痛めてしまったわけですが、それでも手すりは必須です。現在は私がフォローしてお風呂に入れていますが、西洋式のお風呂は日本のものと比べてバスタブの高さが低く、横になるタイプなので入りやすいと思います。手すりがあるので、自分で力を入れてなんとか1人で上がれるので、補助の必要がありません。ちなみにピソ(マンション)のエレベーターにも手すりがついているので安心です。■ 1人でなんでもできる環境づくりが大事bino / PIXTA(ピクスタ)母は今も1人暮らしをしています。1人暮らしをしていると意外と歩くことが増えて、じっとしているわけにもいきません。それだけリスクも増えますが、動く機会も増えます。最初の画像をご覧になって、散らかってると思われた方もいるかもしれませが、なんでもすぐに取り出せる状態が心地よいなら、とそのままにしています。私が考える寝たきりにならない家の条件は、以下の3つです。バリアフリーで歩く練習のできる廊下のある家周りに必要なものが配置され、簡単に手に取れるようになっている自分1人でなんでもできるようにする工夫がされている寂しくないかしら?とおっしゃる人もいるのですが、自分のペースで暮らせることが合っている人もいます。家族であっても、寝起きの顔を見せたくない、入れ歯を外した顔が恥ずかしいなど、高齢者にも恥じらいがあります。誰でも1人暮らしが最善策というわけではありませんが、自由に1人でいることも選択肢の一つではないでしょうか。
2019年03月26日スペインに住み始めてから、ずっと食洗機を使っています。今では食洗機なしで生きていけない状況になっています(笑)。スペインではほとんどの家庭に食洗機があります。その理由は、キッチンにもちゃんとビルトインの食洗機が置けるようになっているからです。今回は、筆者が食洗機を19年使い続けて、食洗機なしで生きていけないと感じる理由、もっと日本でも使って欲しいと感じる理由をご紹介します。■ 食洗機のある生活忙しい日々、料理を作り終えて、さあ食べようというときにキッチンが汚れていると困ってしまいます。しかし、とりあえず、使った鍋類を食洗機に入れてしまえば片付き、スッキリした環境で食事ができます。食事が終わった後も、それぞれが食べ終わった後の食器を食洗機に並べれば、全員一緒に食事を終了することが可能です。ゆっくりコーヒーを飲みながら、映画やテレビを楽しめます。誰が皿を洗うかということでモメる必要もありません。また、食洗機ですっきりと洗い上げられた食器に慣れてしまうと、手洗いの食器をちょっと不衛生に感じるようになってしまいます。■ 食洗機はエコロジー食洗機を使いたいけど、アンチエコロジーなのではないかと思ってる人も多いかもしれません。これまでも手で洗うのと食洗機を使うのとでは、どちらがエコロジーかという実験が何度も繰り返されて来ました。イギリスのエコロジー団体Green Choicesの公式サイトの記事によると、食洗機を使った方が水の使用量も少なく、お湯で洗う場合と比べると機械が直接温めるため、より効率的にエネルギーを利用できるということです。また、ボン大学の研究によれば、食洗機での洗浄は、より衛生的でバクテリアを除去できるそうです。■ 食洗機に合わせた食器選びメインのお皿、スープ皿、デザート皿18枚で収納もスッキリ日本でなかなか食洗機が普及しない理由は、食洗機で洗えないものがあることではないでしょうか。輪島塗のお椀などはもちろん食洗機に入れられません。でも便利さを優先したい方は、普段使いの食器を食洗機対応の、ごく普通のセラミックにしてはどうでしょう。■ 食洗機の選ぶときのポイントアマゾンで食洗機を購入した人のコメントには、大きめのフライパンが入らなかったなどという書き込みが見られます。また、口コミや個人ブログの記事を読むと、意外に単身世帯が使っているようです。小さめの食洗機は単身世帯にはちょうど良くても、ファミリーには小さすぎるのではないかという疑問も投げかけていました。大きさを比べてみましょう。一般的な日本製の食洗機のサイズは幅550×奥行344×高さ598mm。ミーレをはじめとしたヨーロッパの標準サイズは、幅598×奥行570×高さ805〜870mm。高さに幅があるのは、ビルトインタイプですから、キッチンに合わせて高さを調節するためです。ご覧のように幅はあまり変わりませんが、特に奥行きが違いますね。人数に関係なく、使うお鍋の数は、3人家族でも5人家族でもあまり変わらないのではないでしょうか?実際、我が家は5人家族でしたが、現在上の子どもたち2人が大学に入り一人暮らしをしているため、3人家族になりました。それでも食洗機の使用頻度や洗い物の量はほとんど同じです。■ オススメの食洗機は「ミーレ」扉をキッチンの家具に合わせることも可能。こちらは友人のカルロスのキッチンですまずドイツ製の家電は長持ちします。夫の実家では1970年にミーレの食洗機を購入しましたが、なんと30年もの間使い続けました。しかし、スペインではボッシュはミーレの3分の1くらいのお値段で購入できます。だから、我が家はボッシュ。しかし、日本では、ミーレが40万円、ボッシュは30万円くらいで販売されています。配管工事はどちらを設置しても同じなので、差はますます少なくなりますね。ですから、もし食洗機を入れることに決めたら、筆者はミーレをオススメします。【参考】※Green Choices
2019年03月02日スペインの南部、アンダルシアにはパティオ(中庭)のある家が一般的です。パティオという中庭は、スペイン建築でよく見られます。なぜ、パティオ(中庭)のある家が多いのかを考えてみました。■ アンダルシアの古い町並みは、細い道が特徴アンダルシアの夏は暑いことで有名です。午後3時くらいが最高気温で、45度になるなんてしょっちゅう。2018年の夏、メスキータがあるコルドバは52度を記録しました。そのように暑いアンダルシアでどうやって生活しているの?と思う人も多いのではないでしょうか。実は意外に家の中は涼しいのです。その秘密は、細い道。細い道だから、家と家があまり離れていません。そのためお互いに影を作り合うのです。おまけに古い家は、分厚い壁で覆われています。壁の厚さがなんと60cmもあるため、外の温度に左右されません。外壁が白いのは、細い道で影を作りあっても光を反射して、暗くならないようにしているのです。■ 家と家が近くにあっても中庭を作れば影ができる!いくら道を細くしても家が庭で囲まれていては当然、家と家の間隔が広くなってお互いに影を作れません。家と家をくっつけて建造し、真ん中に庭を作ること、これがパティオ(中庭)の始まりなのでしょう。数件がパティオを共有しているところもあります。古い学校や病院、市場にもパティオがあり、くつろぎ空間を作っています。■ パティオを飾るのがアンダルシアの楽しさパティオは建物に囲まれているため、車道とは切断されています。それは、干して貯蔵する食材を作るためにも有利です。昔は特に舗装されていない道を馬車が走ると埃が舞い上がったことでしょう。そのため、アンダルシアでは赤ピーマンなど野菜類を干して貯蔵する習慣が多いのです。例えば、私の住んでいるハエン県では赤ピーマンだけではなく、豚肉のロース肉にお塩をしっかりまぶして干します。これはもちろん冬だけです。アンダルシアというと年中温暖だと思う人も多いのですが、冬は0度を切るほど寒くなります。壁の鉢植えに水やりをする方法(コルドバの街にある彫刻)パティオの長所は、ほかにもあります。外側に庭ですと外からの視線が気になりますが、パティオならパジャマのまま水やりをしていても問題ありません。外にテーブルを置いて食事をしても外から見えるわけではないというのもメリットです。そして暑い時期になるとギラギラ太陽で枯れてしまう花たちが元気に花を咲かせ、冬の間太陽不足で花を咲かせない植物も白い壁の反射で太陽の光がたくさんあり1月でもゼラニウムの花が咲いています。その土地にある家の形にはやはり理由があるのですね。伝統的なことには意味があるようです。確か京都にも中庭文化がありました。京都には京都の理由があるのでしょう。長所がたくさんあるパティオ。新しく家を考えるときに取り入れてみてはいかがでしょう。きっと素敵な空間が作れますよ。
2019年02月19日今回は子どものころから自転車が大好きなスペインの銀行の元頭取が、自分が乗っていた自転車をそのまま装飾して作った「自転車の家」をご紹介します。誰にでも小さいときに憧れていたもの、なりたかったものってありますよね。現在はペンションとして営業している元頭取の自転車コレクションのようなお宅にご案内いたしましょう。■ まず「自転車の家」の外観を拝見!コンスエロは、小さな時からずっと自転車が大好き。銀行に勤めている間もずっと自転車が大好きで集めていました。そして使い古した大好きな自転車を置く場所がないので家の壁に貼り付け始め、とうとう「自転車の家」が完成してしまいました。最初は外から見て、「誰の家だか知らないけど、目立ちたがり屋さんの家ね!」と思っていました。まさか真摯に自転車好きな初老男性の家だなんて、思ってもいなかったのです。元の家は1940年頃に建てられたお屋敷。寝室が10室ある大邸宅です。天井も高く、室にもよりますが4.5mあります。裏に回るとこのように大きな建物であることがわかります。裏側には、庭などのスペースがあります。■ 玄関と入り口のホールには自転車と歴史を感じる家具類この家の家主であるコンスエロさんは、DIYも大好き。入り口にはこんな手作りポスト。「素敵ね」と言うと、「うん。だけど今では誰も手紙なんか書かないからね。中身は請求書だけだよ」とコンスエロさん。扉を開けて内部からドアを見ると十字架型に光が入るようになっています。最初にこの家を建てた人はとても信心深かったのでしょう。十字架と自転車の組み合わせってとても不思議な感じがしますね。猫足の家具とそして壁に飾られた自転車。■ 有名自転車レース選手の自転車も!まだコレクションは増えていく…スペインでは、自転車レースがとても人気です。各地に自転車愛好家のクラブがあり、アマチュアの参加するレースもたくさん開催されています。有名選手も多く、いつも話題になっています。この部屋に飾られている自転車は、スペインで初めてツール・ド・フランスで優勝したバアモンテス(Bahamontes)が練習で使っていたものです。この自転車を持っていた人は、バアモンテス選手のファンだったのですが、彼が亡くなった時、奥さんが自分が持っているよりここに置いておいたほうがいいと思い、寄贈しました。ちなみに、右にあるピアノは、まだ電気が無かった時代のピアノで、ろうそく立てが両脇についています。こちらはドイツ女性に寄贈された古ーい子ども用の自転車です。車輪が木製ということにも驚かされます。■ 好きな自転車を使った装飾品に囲まれて…こちらは、自転車を使った装飾品でいっぱいの室内です。自転車を壁に固定して絵を描いています。落ち葉も額に入れるとデュシャンの作品のよう。電気スタンドにも自転車。一つ上の写真のスタンドは車輪がついてます。■ 現在は、ペンションとして公開中!こちらは、愛車と一緒にいるコンスエロさんご本人です。コンスエロさんは銀行を定年退職した後、子ども達も独立したので、現在は「自転車の家」をペンションとして公開しています。もしも自転車が大好きだったら、一度泊まりに行ってみてはいかがでしょうか?アンダルシアのハエン県、カソルラにあるペンションです。LA CASA DE LAS BICICLETASlacasadelasbicicletascazorla@gmail.comTelf:660 13 46 90
2019年02月15日