2020年5月23日、22歳という若さでプロレスラーの木村花さんが亡くなりました。自宅に遺書と思しきメモがあったほか、亡くなる前に「さようなら」などの投稿をSNSに残していた点から、ネットでは自ら命を絶ったのではないかと考える人が相次いでいます。木村さんはバラエティ番組への出演をきっかけにSNSで不特定多数から誹謗中傷を受けていたため、多くの人が誹謗中傷行為を問題視する声を上げました。スマイリーキクチ、被害を受けた中傷事件を振り返りコメント1988年に起こり、あまりの残虐性に世間を震撼させた『女子高生コンクリート詰め殺人事件』。お笑いタレントのスマイリーキクチさんは1999年頃からネットで「スマイリーキクチがこの事件に関与している」と根拠のないうわさを立てられ、長年、誹謗中傷に遭っていました。(通称:スマイリーキクチ中傷被害事件)匿名掲示板やブログ、SNSで殺人犯扱いを受け、深く心を傷付けられてきたスマイリーさん。誹謗中傷の被害者を減らすため、2020年5月30日には木村さんの件を受けて開かれた、政府の誹謗中傷対策を目的とする会合にも出席しています。「誹謗中傷は依存症だ」同年6月7日、スマイリーさんは誹謗中傷をやめたくてもやめることができない女性についての記事を引用した上で、Twitterで持論を展開。自身が経験した誹謗中傷事件を振り返りながら、このようにコメントしました。僕を9年間ネットで誹謗中傷してた人物は警察の取り調べで「あいつは殺人犯ですよ、ネット見てください」と本気で話していたそうです。一流企業に勤めている社会人です。他人に嫌がらせや攻撃をするあまり自分の心が蝕まれていた。中傷された側は傷つく、中傷する側も傷つく。中傷は依存症だと思った。@smiley_kikuchiーより引用「誹謗中傷は依存症である」と述べた、スマイリーさん。訴えられる危険があるにも関わらず、他人を誹謗中傷するために貴重な時間を使う人たちは、依存といっても過言ではないのかもしれません。誰かを攻撃してストレス発散をしなければ落ち着かないほど、心が追い詰められているのでしょうか。誹謗中傷行為は加害者と被害者どちらも傷付けていることを指摘したスマイリーさんの投稿は拡散され、多くの人が考えさせられました。・誹謗中傷することに依存するだなんて、不幸ですね…。しっかり治療するべきです。・他人を攻撃して自己を確立する…なんて闇が深いんだろうか。・なんにせよ、熱心に誹謗中傷をする人の精神状態は普通ではないと思う。自分では異常性に気付けないのだろう。被害者の立場であるにもかかわらず、加害者の傷付いた心を見抜くスマイリーさんからは、他人を思いやる優しさを感じます。きっと、不安な時は八つ当たりをしたくなってしまう人は少なくないはず。誹謗中傷の加害者になる可能性は、誰にでもあるのでしょう。加害者や被害者を減らすために、社会全体が誹謗中傷対策に取り組むべきであると再認識させられます。[文・構成/grape編集部]
2020年06月08日出版・映像を中心としたコンテンツ制作・販売を行う「カドカワ」が運営するインターネットと通信制高校の制度を利用した「N高校」の代々木キャンパスで6月27日、「ネットいじめ」をテーマとする特別授業が行われた。Netflixが制作した話題のドラマ『13の理由』を教材としたり、オンラインのディスカッションボード(チャット)を用いたり、全国7キャンパスにも中継するなど、実に“ネットの高校”らしい手法がとられた。ネットリテラシーの授業を必修とする同校の新たな試みから、何が学べるのだろう。Netflixオリジナルシリーズ 「13の理由」独占配信中SNS世代の高校生が抱える悩みN高校の全国8キャンパスに所属する生徒のうち約250名が参加した特別授業「Netflixオリジナルシリーズ『13の理由』で考えるSNS世代の高校生が抱える悩み 〜その時あなたならどうする?〜」。パネリストとして登壇したのは、約20年前に凶悪事件の加害者だとデマを流されて中傷被害を受け続けている芸人・タレントのスマイリーキクチ氏と、いじめを経験した教育YouTuberの葉一氏。授業ではアメリカで制作されたいじめやスクールカースト(学校内の序列)、同調圧力、自殺などがテーマのドラマ『13の理由』からいくつかのシーンを流し、日本での事情やアドバイスをパネリストが話すだけでなく、生徒からの質問やコメントに答えるという形式だった。扱われた内容は大きくわけて、①写真によるネットいじめ②集団における同調圧力によるいじめ③SOSの出し方・受け止め方の3つ。スマイリーキクチ氏(左)葉一氏(右)「①写真によるネットいじめ」で最も懸念されるのは、たとえアップロードした写真や動画を削除しても、ネット上に残ってしまうことだとパネリストの二人は指摘する。それは仲間外れにされるのを恐れて悪口を書き込んでしまうなどの「②集団における同調圧力によるいじめ」の問題と関連しており、書き込みをした記録が残ることから自分が書いたことに対して負う責任は大きい。「③SOSの出し方・受け止め方」については葉一氏が、「この人になら少し話してみてもいいかも」と思う人がいたらネット上の人であっても踏み込んで話してみたらいいのではないかと、いじめられていたことを誰にも相談できなかった過去を振り返りながら答えた。またスマイリーキクチ氏は解決策の選択肢は1つだけではなく「助けを求めてきた人が選べるように3つくらい提案するのがいいのではないか」と相手の立場に立つことの重要性を強調していた。チャットを利用した、リアルなネット環境での授業同授業の大きな特徴は、日本ではあまり使用されないオンラインのディスカッションボード(チャット)を利用し、生徒が匿名で質問や思ったことを随時書き込めるようにしていたところにある。なかには数こそ少ないもの、実際のチャットにあるような、特に授業とは関係のない書き込みもあり、まさに「ネットのリアル」そのもの。『13の理由』Netflix
2018年07月05日