来年2020年のクラシック界の主役は、生誕250年を迎える“楽聖”ベートーヴェンで決まりだろう。この久々にやって来る大きなメモリアルイヤーに向けて、国内外でさまざまなイベントが企画される中、速くもエンジン全開の勢いでベートーヴェンに取り組むのが「パーヴォ・ヤルヴィ&N響ベートーヴェン:オペラ『フィデリオ』」公演だ。モーツァルトと並んで、ほぼすべてのジャンルに於いて名作を生み出してきたベートーヴェンが、苦悩に苦悩を重ねて完成させた唯一のオペラ『フィデリオ』とはどのような作品なのだろう。ちなみに、ベートーヴェンの悩みの大きさは、初演から9年にわたって改訂を繰り返したほか、作品の肝となる序曲を4曲も書いてしまったことからも伺える。今回は、通常の「フィデリオ序曲」のほかに、名高い「レオノーレ第3番」も演奏されるというのだから興味深い。「コンサート形式ならではの工夫によって、より深く音楽に親しんでほしい」と語るヤルヴィだけに、気合の入り方は半端ではない。そして特筆すべきは出演者たちの顔ぶれだ。これまた「現在望みうる最高のキャスト!」とヤルヴィが豪語する布陣で臨む『フィデリオ』に興味津々。ベートーヴェンが作品に込めた「愛・自由・正義」のメッセージを真正面から受け止めたい。◆公演概要8月29日(木)、9月1日(日)Bunkamuraオーチャードホールパーヴォ・ヤルヴィ&N響オペラ『フィデリオ』指揮:パーヴォ・ヤルヴィ(N響首席指揮者)合唱:新国立劇場合唱団合唱指揮:冨平恭平管弦楽:NHK交響楽団ドン・ピツァロ:ヴォルフガング・コッホフロレスタン:ミヒャエル・シャーデレオノーレ(男装時:フィデリオ):アドリアンヌ・ピエチョンカロッコ:フランツ=ヨーゼフ・ゼーリッヒマルツェリーネ:モイツァ・エルトマンジャキーノ:鈴木 准ドン・フェルナンド:大西宇宙公式サイト()
2019年08月23日