年齢を重ねると、からだの組織が老化し、基礎代謝、筋肉量が低下するため、太りやすくなる…。自分自身、まさに年々、実感していることですが、これはアラフォー世代共通の悩みともいえるのではないでしょうか。ではこの問題、どうしたら解決できるのでしょう?代謝アップに欠かせない、タンパク質(プロテイン)の基礎知識「食事制限をしても痩せない、すぐにリバウンドしてしまう、これは筋肉の元となるタンパク質不足が原因です」と語るのは、『プロテイン ダイエット レシピ』の著者であり、日本初のプロテイン料理教室を主宰している山崎志保さん。さっそく山崎先生の著書も参考にしながら、基礎代謝&筋肉量アップ、ダイエットにも効果的な、タンパク質を上手に取り入れる方法について学んでいきましょう。タンパク質不足で起きる不調の数々とは?そもそもタンパク質とは、脂質、糖質と並び、私たちの健康維持に必要な三大栄養素のひとつ。筋肉や皮膚、髪の毛、臓器など、からだの大部分を作りだしているものなのです。だからこそ、タンパク質が不足すると、体力や免疫機能が低下し、肌荒れ、抜け毛、疲れがとれにくい、といった不調が現れるわけです。改めて、タンパク質の重要性を感じますね。また山崎先生によると、基礎代謝量と筋肉量は比例するので、筋肉が多いほど、消費カロリーが多く、からだが燃えやすくなるそう。運動するにしても、ある程度の筋肉量がないと、なかなか良い効果が得られないというのも頷けます。積極的に取り入れたい、高タンパク質の食材一日のタンパク質摂取量の目安は、体重1kgあたり1g、つまり体重50kgの人は50gとなります。とはいえ、単純に肉50gに含まれるタンパク質が50gというわけではありません。たとえば肉類でいうと、高タンパクで知られる鶏ささみ100gのタンパク質含有量は約25g程度。魚類では、マグロの赤身100gで26g程度、大豆系で納豆は100gで16g程度です。豆腐や納豆などの大豆製品、赤身肉、魚介類、卵、そして牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品と、タンパク質を多く含む食材はいろいろあるので、動物性、植物性タンパク質を含む食材をバランスよく、量を調整しながら取り入れるのが理想的といえそうですね。プロテインパウダーを、食事と併用するのもおすすめ高タンパク質の食材を取り入れるのは重要ですが、含有量を計算するのが面倒、忙しくて時間がない、という人には山崎先生が提案している「プロテインパウダー」を取り入れてみるのも良さそうです。プロテインパウダーというと、アスリートのイメージが強く、筋肉ムキムキになりそう…と不安になる方もいるかもしれませんが、女性はホルモンの関係もあり、その心配はないとか。プロテインパウダーには主に、ホエイ(乳)プロテインと大豆プロテインがあり、水や牛乳に溶かして飲むだけでなく、フレーバーにあわせて食事やスイーツの材料として手軽に利用できるといったメリットも。山崎先生の著書には、カレーや、しゅうまいといった食事系や、ヨーグルトボウルやラムレーズンボールなどのおやつ系にプロテインパウダーをプラスするレシピの数々が。これならふだんの食事とあわせて楽しめそうです。さらに詳しく知りたい方は、様々なレシピが掲載されている書籍『プロテイン ダイエットレシピ』を参考にしてみてはいかがでしょうか。ダイエットはもちろん、からだの様々な不調を改善する働きをしてくれるタンパク質。これからもっと上手に、ふだんの食生活にも取り入れていくことを心がけていきたいですね。参考書籍:『基礎代謝UPで燃えるカラダをつくる プロテイン ダイエットレシピ』山崎志保 著 河出書房新社山崎志保 プロフィールプロテインレシピ研究家。1969年生まれ。日本ボディビル&フィットネス連盟公認指導員1級。NESTA認定パーソナルトレーナー。証券会社、健康産業新聞社を経て、2007年より日本ボディビル連盟主催コンテストにエントリー。2009年にJBBFミス21健康美 全国大会優勝ほか、実績多数。記者の経験から得た機能性素材・機能性食品の知識と、もともと趣味であったお菓子・パン作りの技術、パーソナルトレーナーとしての知識を合わせ、オリジナルレシピ『フィットネスブレッド」「プロテインスイーツ」を考案。現在、東京都台東区にてフィットネスブレッド&プロテインスイーツ手作り教室『Aries~アリエス』を主宰している。書籍関連Photo : ©安田裕『プロテインダイエットレシピ』(河出書房新社)
2015年07月22日理化学研究所(理研)は6月11日、エリンギに「眠り病」と呼ばれる感染症の病原体に特異的に結合するタンパク質が存在することを発見したと発表した。同成果は、理研小林脂質生物学研究室の石塚玲子 専任研究員、小林俊秀 主任研究員らの共同研究グループによるもので、6月9日付け(現地時間)の米科学誌「The FASEB Journal」に掲載された。「眠り病」は吸血バエが媒介する寄生原虫「トリパノソーマ」が引き起こす感染症で、病状が進行すると患者は昏睡して死に至ることが名前の由来となっている。病原体であるトリパノソーマに対する特効薬は開発されておらず、ワクチンや抗体療法による予防や治療が考えられている。しかし、トリパノソーマは抗原変異を繰り返すため、今のところ成功していない。トリパノソーマは血流中に存在するとき「セラミドホスホエタノールアミン(CPE)」という脂質を細胞表面に発現することが報告されている。脂質は遺伝子変異の影響を受けないため、抗原変異が起こりにくいため、CPEは眠り病の診断や治療薬のターゲットとして有用であると考えられる。今回の研究では、エリンギ由来の「プロロトリシンA2」「エリリシンA」、ヒラタケ由来の「オステリオリシン」という3つのタンパク質がCPEとコレステロールの複合体と非常に強く結合することを発見した。このうち、「プロロトリシンA2」と「オステリオリシン」はトリパノソーマだけでなくヒトの細胞にも結合したが、「エリリシンA」はヒトの細胞に結合せず、血流型のトリパノソーマに特異的に結合した。「エリリシンA」とトリパノソーマの結合は数分で発生するため、今回の結果は同タンパク質がトリパノソーマ感染の1次診断に利用できる可能性を示すものとなった。また、「エリリシンA」は「エリリシンB」の存在下では、細胞膜に孔をあける毒素として作用するため、この性質を使ってトリパノソーマ感染の治療に応用できる可能性がある。
2015年06月11日岡山大学は5月29日、光化学系Iというタンパク質複合体の構造を解明したと発表した。同成果は同大大学院自然科学研究科(理)の沈建仁 教授(同大光合成研究センター長)、菅倫寛 助教と中国科学院植物学研究所の共同研究グループによるもので、5月29日付け(現地時間)の米科学誌「Science」に掲載される。光化学系Iタンパク質複合体は、酸素発生型光合成において、太陽光を生物が利用可能な化学エネルギーに変換する役割を担い、水からの電子と光エネルギーを利用して、二酸化炭素を糖に変換するために必要な還元力を作り出している。高等植物の光化学系I複合体は14個のタンパク質と90個以上のクロロフィル(葉緑素)、22個のカロテノイドなどで構成されており、外側に光エネルギーを集める集光性アンテナタンパク質が4つ結合し光化学系I-集光性アンテナタンパク質複合体が形成されている。光化学系I-集光性アンテナタンパク質複合体における光エネルギーの高効率吸収・伝達の機構を明らかにするためには、同複合体の立体構造を解明する必要がある。同研究グループは、エンドウ豆の葉から精製・結晶化した光化学系I複合体を、大型放射光施設SPring-8を利用することで2.8 Å分解能で立体構造を解析。その結果、155個のクロロフィル分子を同定し、これまで分かっていなかった多くのカロテノイド、脂質分子などの配置を解明した。さらに、詳細な構造が分かっていなかった多くのタンパク質サブユニットの構造を明らかにし、光エネルギーを吸収し、反応中心へ伝達する経路を同定することに成功した。同研究グループは今回の研究成果について、光合成の機構解明や人工光合成での光エネルギー利用効率の向上だけでなく、他の巨大膜タンパク質の結晶構造解析にも重要な知見を提供することになるとしている。
2015年05月29日「糖質制限」系ダイエットでも、群を抜いてメディアに取り上げられることが多い「ケトジェニックダイエット」。ケトジェニックダイエットとは、ズバリ “食べて痩せて健康になる” 食事法です。もともとは、病気を治療する目的から始まった食事法であり、機能性医学に基づく栄養指導で成り立っています。正しく実践すれば、健康にこそなれ、栄養不足に陥ることはなく、筋肉の減少も最小限にとどめることができます。4月から新しい環境に変わる人、春の薄着シーズンに向けてボディラインを絞りたい人、今からでも間に合います! 今回ご紹介するのは、アラフォー女子のためにアレンジした簡易版のルール。まずは1週間、実践してみましょう。1週間のトライアル! アラフォー女子向け ケトジェニック・ルールケトジェニックダイエットの 基礎知識コラム をご覧になると、ケトジェニック回路にスイッチして、脂肪が燃えていくイメージがさらに湧いてくるかと思います。「ケトジェニックダイエットを始める場合、まずカロリーのことはきれいさっぱり忘れていただきます。カロリー神話が捨てきれないと、ケトジェニックダイエットは上手くいきません。これは『食べるダイエット』なんだということを忘れずにいてくださいね」と応援するのは、アンチエイジング・機能性医学のドクターで「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」副理事長の斎藤糧三先生。斎藤糧三先生 プロフィール日本機能性医学研究所CMO、ナグモクリニック アンチエイジング・機能性医学 外来医長、「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」副理事長。1998年日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究推進のため「日本機能性医学研究所」を設立。著書に『サーファーに花粉症はいない』『腹いっぱい肉を食べて1週間5kg滅! ケトジェニックダイエット』。 「食べなければ痩せる」・・・×「食べて痩せる」・・・◎と頭を切り換えなければ、体の代謝システムがパニックを起こし、結果的にケトジェニック回路は回らなくなります。通常、食事によるダイエットは1カ月に1kgくらいが理想と言われています。自己流の食事制限では、どうしても栄養バランスが取れず、体に負担がかかるためです。でも、ケトジェニックダイエットは体の中から健康になると同時に脂肪だけを燃やすことができるダイエット法です。個人差はありますが、1週間で数kg減ることもあります。では、どう食べる?! ケトジェニック3原則とは糖質をできるだけセーブして、タンパク質、食物繊維とミネラルを、通常よりもかなり多く摂るのがケトジェニックな食事法。とりあえず1週間は、ご飯やスイーツは絶対NG。そして、毎日同じ条件で体重と体脂肪率を測定するようにします。では、仕事にプライベートに多忙なみなさんでもできる、シンプルな3原則をご紹介しましょう。その1糖質は、1食20g以下にセーブ!ケトン体をつくり出すための必須条件は糖質制限です。摂取する糖質の量は1食20g以下(1日当たり60g以下)にします。糖質とは「炭水化物から食物繊維を除いたもの」。糖質量は食品成分表で計算しますが、食材の糖質量を表示しているウェブサイトや本、アプリを利用すると便利です。また、糖質の量が100g当たり10g未満の食品・食材は「低糖質食品」とみなし、1食分の糖質の量にカウントしなくてもよいことにします。その2.タンパク質は、決められた量を!1日に「体重1kg当たり1.2~1.6gのタンパク質」を摂ります(2.0gは超えないように)。例えば体重55kgの人なら、55×1.2~1.6g=66~88g必要。肉や魚は正味量の約20%がタンパク質量なので、もし体重55kgの人が肉だけで必要なタンパク質を摂るなら、1日330~440g食べなければならない計算。良質のタンパク質であれば植物性、動物性どちらでもよいので、卵や大豆製品も賢く取り入れて。食材に含まれるタンパク質の目安は…肉(100g)20g、魚肉(100g)20g、卵(1個)約6g、豆腐(1丁300g)20g、大豆(100g) 10g、豆乳(100ml)7g、納豆(1パック40g)6.6g その3.葉野菜などは、肉魚と同量以上の量を!食物繊維の総量(水溶性と不溶性の合計)は1日20g以上が目標。葉野菜は重量の3~5%が食物繊維なので、400gのサラダで約20g摂れると覚えましょう。だいたい肉や魚と同じ量以上の野菜をとる感覚で。ただし、同じ野菜でも糖質の多い根菜類(れんこん、にんじん、ごぼう、かぼちゃなど)やイモ類、果物類は少量に。また、ミネラルにも意識を向けて。カリウム1日3.5g、カルシウム1日650mg、マグネシウム1日350mgを摂れるようにします。以上の3つが3原則です。また、小麦粉や米粉、砂糖などを使用しているスイーツなどは論外ですが、ゼラチンや寒天、大豆粉やふすま粉、おからなどを利用した糖質ゼロスイーツなら、おやつも食べてOKです。すぐに役立つ! ケトジェニック的「食べてOK」「食べたらNG」食材リスト「ケトジェニックダイエットを決意して、みなさんがいちばん知りたがるのが、具体的な食材のこと。食べてもいいのは糖質が少ない食べ物ですが、意外な食品に糖質がたくさん含まれていたりするので気をつけてください。特に、最近の野菜や果物は糖度が高くなっているので注意が必要です。たとえば『糖度○○%の甘いイチゴ』のように『甘さアピール』をしているものは食べないのが無難。昔ながらの酸っぱいイチゴを選んで少しだけ食べる意識を持ちましょう」(斎藤先生)【食べてOK】●牛・豚・鶏・羊など肉類全般、魚介類全般、卵、大豆製品(特に大豆製品は、女性ホルモン量が少ない40代後半以降の女性は上限なしでOK)●バター、植物油(特にオメガ3系脂肪酸を含むオイルを推奨。中鎖脂肪酸でできたココナッツオイルは1日大さじ2杯を推奨)●葉野菜、海藻、きのこ (毎日大量に摂るつもりで)●糖質の少ない果物、チーズ、ナッツ類、カカオ比率の高いビターチョコレート●焼酎、ウォッカなどの蒸留酒、辛口ワイン(ワインは醸造酒ですが、少量なら大丈夫)●糖質の少ない調味料 (塩・こしょう・酢・マヨネーズ・ハーブ類)【食べたらNG】●ご飯、麺類、パスタ、パンなどの炭水化物●スナック、お菓子類全般●糖質の多い根菜、芋類●小麦粉を含む加工食品●糖質を含む調味料 (砂糖、みりん、ケチャップ、ソース、市販のドレッシング)●牛乳、ヨーグルト (乳糖を含むため)●ドライフルーツ●市販の野菜ジュース、フルーツジュース、人工甘味料入りの飲料全般●ビール、日本酒、梅酒、紹興酒などの醸造酒、酎ハイやカクテルなど甘いアルコール類【こんなとき、どうする?】■どうしても主食が食べたい!1食20gの糖質で計算すると…ご飯(精白米)約50g(お茶碗1/3くらい)、食パン約45g(8枚切りで約50g)、パスタ(乾麺)約30g。とても少ない量ですが、これ以外の糖質は摂れないことになります。こんにゃく入りごはん、寒天入りの麺、低糖質パン(100g中糖質10g未満)などはもっと量を食べてもOKです。■外食でメニューを選ぶときは…肉や魚はステーキやソテー、グリルなど、シンプルに調理したものを選ぶと間違いなし。調味料には糖質が使われていることが多いので、ソースやタレが少なめ、または別添えでサーブされるものをチョイスします。サラダなどの野菜も「ドレッシングは別に添えて」と頼みましょう。■糖質の多い野菜がわからない…葉っぱは糖質が少なく、根菜・イモ類は糖質が高いと覚えるだけ。にんじん、じゃがいも、ごぼう、れんこん、かぼちゃなどは糖質が多いので、この期間は避けましょう。特に、砂糖やみりんを使った野菜の煮物は要注意。糖質が思いのほか高くなります。■どうしても間食がガマンできない!そんなときは、お菓子ではなくおつまみコーナーへGO! アーモンド、くるみ、ピスタチオなどナッツ類がベスト。塩分の高い味付きミックスナッツではなく、「素焼き」「無塩」のものがベター。中にはジャイアントコーンをナッツだと思っている人もいますが、コーンですから! お間違いなく。■牛乳やヨーグルトがNGだなんて・・・乳糖=糖質が含まれることはもちろん、遅延型食物アレルギーの確率が高いと言われているため、ケトジェニックダイエットではNG食材として扱います。牛乳の代わりには豆乳がおすすめです。ただし、調製豆乳には糖質が含まれているので、必ず無調整豆乳を選んで。ヨーグルトも、豆乳から作られるヨーグルトなら大丈夫です。さて、これで1週間がんばってみましょう。みんなが知りたかったのはこれ!ケトジェニックダイエットQ&Aこのダイエットの全貌も実践方法も何となくわかったけど、とても素朴な疑問やいまいち心配なこともありますよね? まとめてお答えいたしましょう。Q ケトン体が出ているかどうか、調べる方法はありますか?A あります! 血中のケトン体濃度は血液で測定するしかありませんが、尿中ケトン体は、薬局で売っている(取り寄せとなることが多い)ケトン体試験紙で知ることができます。「ウロペーパーⅢ」は、試験紙に直接尿をかけて反応を見るもの。ケトン体が出ているほど、濃い紫色に変化。毎日測定しているうちに、何をどう食べるとケトン体が体量につくられる(=脂肪が燃えている)かがわかってきます。Q ケトジェニックダイエットが向かない人もいますか?A 残念ながらケトジェニック回路がなかなか回らない人もいるようです。そのため、今回は「1週間のお試しケトジェニック」をおすすめしました。なかなかケトジェニック状態にならない人の中には、覚悟が決まらずに糖質断ちがきちんとできていない人がいます。なかなか痩せない人は、振り返ってみることも大事です。また、腸内環境によっては、肉食に適していない人もいます。例えば、気持ち的には肉食にシフトしていても、長年穀物中心の食生活を続けてきたおかげで腸内細菌が草食動物型になっている人などは、腸内環境を悪化させてしまうケースも。ケトジェニックを始めて、下痢や便秘を繰り返す、おなかが異常に張る、オナラが多すぎる・臭い、などの症状がある人は、食べる量を減らしたりドクターに相談するなどしてみましょう。Q ケトジェニックダイエットをやってはいけない人はいますか?A ケトジェニックダイエットは、タンパク質の摂取量が多めです。腎機能に問題のある人はもともとタンパク質の摂取量制限を受けているはずなので、気をつけなくてはなりません。まずは必ず主治医に相談を。また、タンパク質は小腸でアミノ酸に分解された後、肝臓へ送られ、体を構成するタンパク質に組み替えられるので、肝臓にも負担がかかることが考えられます。どちらにしても腎臓や肝臓に不安のある人は、ドクターに相談してください。Q 糖質をきっぱりやめたら、ケトジェニック回路はどれくらいで回りますか?A 人によって違いますが、一般的には厳密に糖質制限をしてから2日か3日でケトジェニック回路がオンになるようです。痩せやすいタイプの中には12時間糖質をカットしただけで、ケトジェニック状態になる人もいます。なかなかケトジェニック体質にならない人のなかには、意外なところで糖質を摂ってしまっていたなんていうことも…。1週間のトライ期間で、見極めたいものです。Q 筋肉量を減らさないように、チェックする方法は?A ダイエットで減らしたいのは脂肪だけ。脂肪の量は、体脂肪率から簡単に知ることができます。体脂肪率を目安にして・・・脂肪量=体重×体脂肪率残りの除脂肪量(除脂肪体重)は体重からこの体脂肪量を引いた重さです。筋肉量そのものではありませんが、筋肉が落ちてしまったかどうかの目安になるもの。次の計算式を覚えておきましょう。体重ー体重×体脂肪率=除脂肪体重例えば、体重62.0kgで体脂肪率30.0%の人は・・・、体重62.0ー体重62.0×0.30=43.4kg これが除脂肪体重です。毎日こまめに計算すると、筋肉が減っていないかどうかの指標になります。Q ずっと長く続けても大丈夫ですか?A 厳密な糖質制限なら1週間で約5kgでも減量できると言われているのがケトジェニックダイエット。最初から短い期間で集中的にやるつもりでいたほうが成功確率は高まります。ただ、今回ご紹介しているケトジェニックダイエット法は「100g中、10g以下の糖質を含む食品はカウントしない」ので、やや緩めのルールです。この方法なら1カ月は続けてOK。その後も続けたい場合は、さらに緩い「セミケトジェニックダイエット」にしてみてはいかがでしょう。Q 途中で糖質を摂ってしまったらどうなりますか?A せっかくケトン体回路が回り出した頃、我慢できずに糖質を食べてしまうと、回路はたちまちOFFになります。でもほんの少しの糖質ならまだ大丈夫。一度ONになった回路はまたすぐONになりやすいのです。どれくらいの量の糖質を摂取するとケトジェニック回路が閉じてしまうのかは、個人差が大きいもの。以下の表は、1週間ごとに緩くしていった女性の例ですが、ケトジェニック回路が回っている状態で、わずか50gの白米(=糖質18g)を摂っただけで、ケトン体の生成がガクッと低下。体重が全く減らなくなってしまったという事例です。せっかくなら、1週間はうっかり糖質を摂ってしまわないようにするのが理想的ですね。ケトジェニックダイエットに成功した人は、具体的にどんなものを食べているのでしょう? 体重・体脂肪が減ってキレイに変身したというアラフォー女子ふたりの例をご紹介しましょう。ケトジェニックダイエット体験者NRさん(41歳・自営業、身長 152cm)の場合NRさんは、10代の頃から自己流ダイエットとリバウンドの繰り返し。産後は、育児や家事、仕事の両立に精一杯で、いつのまにか70kgを超えてしまいます。しかも高血糖→低血糖の症状がひどく、寝ても寝ても眠い。どうしてこんなに体力がなくなってしまったのだろうと悩んでいた頃に、人生初のメタボ検診で自分の数値に驚き、糖質制限をスタートされたそう。▼NRさんの食事記録より(ある5日間)「8カ月経った今もリバウンドなし。少しゆるめのケトジェニック=低糖質&高タンパク食継続を継続し、忙しい日でも必ず3食食べています。外食も多いのですが、肉・魚・卵といったタンパク質はかなりしっかりと食べ、葉野菜も欠かしません。小さな子供がいるので、糖質オフスイーツもよく作ります。料理に低糖質の工夫をするのも楽しくなり、ちょっとハマってしまうほどに。このような食事を続けているだけで、除脂肪体重(筋肉量)が増え、サイズは減少、体脂肪率が後から徐々に減少する…という健康的なキープ期間を過ごしています」(NRさん)●1日目朝:目玉焼き2個、レタス(50g)、亜麻仁油小さじ1、なめこと絹豆腐の味噌汁、麦茶昼(コンビニ):シーチキン、グリーンサラダ、たまごサラダ、コーヒー 夜:牛肉のほろほろ煮、シーザーサラダ、牛もも肉のソテー(マカロニは食べず)、スパニッシュオムレツ間食:無塩ローストナッツ(アーモンド&くるみ30g)、麦茶●2日目朝:おからパウンドケーキ、ハッシュドビーフ、ゆで卵2個、ミックスナッツ、ココナッツオイル入りコーヒー昼(外食):カンザスビーフステーキ(300g)、サラダビュッフェ夜(外食):ジンギスカン、鹿肉のソテー、水菜サラダ●3日目朝:豚肉塩こしょうソテー(150g)、白菜サラダ(100g)、油揚げのピザ(糖質0ソーセージ)、ソイポタージュ(白菜味噌汁+大豆プロテイン)昼(外食):牛皿2倍もり、牛丼ライト(葉野菜+絹豆腐)、焼き鮭夜:常夜鍋(豚肉+ほうれん草+にんにくと日本酒)、レタス(100g)、木綿豆腐+肉そぼろ●4日目朝:豚ロースソテー(150g)、目玉焼き1個、レタス(100g)、コーヒー昼(外食):牛丼ライト、牛皿2倍もり、冷や奴夜:トラウトサーモン刺身、しめじ+昆布+かつおぶしのごま油醤油炒め、油揚げと絹豆腐のみそ汁、レタス+ブロッコリースプラウトのサラダ、アボカド+チーズ+オリーブオイルのサラダ、えびの塩焼き●5日目朝:さば塩焼き、豚ロースソテー(30g)、ミニトマト(10g)、レタス(50g)、 たまねぎ薄切り少々、ゆで卵1個、かきたま汁昼:さんま焼き、大根おろし、しめじ+こんぶ+かつおぶしのごま油醤油炒め、 絹豆腐+ツナ+パプリカ+絹豆腐、油揚げと大根の味噌汁、麦茶夜:ローストビーフ+水菜+パプリカ、クリスマスリース風ミートローフ+葉野菜たっぷり、糖質0ソーセージとミニトマトのコンソメスープ、自家製ローストチキン+ブロッコリーなど手作り!糖質オフおやつ左上から)おからマフィン、おからマフィンチョコ、おからチョコケーキ、おからチョコ蒸しパン、おからチーズ蒸しパン、おからパウンドケーキバナナ、おから抹茶パウンドケーキ、おから蒸しパン カニ&ブロッコリー、おから蒸しパントマト風味、コーヒーゼリー、チョコブラウニー、おからベースのティラミス、大豆粉のクッキー、水切り豆腐のレアチーズケーキ風▼NRさんのダイエット日記より抜粋※数値は、体重・体脂肪率の順■ダイエット前:71kg ・42%低血糖のせいか甘いものを食べたい欲求が強く、イライラも多くて心情の起伏も激しかった頃。糖質制限をスタートすると、体調がよくなり心も軽くなった。以前よりも睡眠時間がとれて目覚ましよりも早く起きれるようになる。心身のスタミナがついたと実感。■1ヶ月後:61.9kg(9.1kg減)、37.9%(4.1%減)その後9kg減のまま1ヶ月ほど推移。■2カ月後:ケトジェニックダイエットに出会い、スタート。アドバイザー検定の講習会にも参加。1週間で3kg減。■5カ月後:54kg(17kg減)、28.0%(14%減)2歳児の息子さんの体重分(13kg)以上の減量に成功。体脂肪率もほぼ平均に。低糖質&高タンパク食を継続。■8カ月後:低糖質&高タンパク食継続。体重・体脂肪率はそのままキープ中。※あくまでも個人の体験談となります。食事内容・運動量・体質などによるため、このような体重の変化がすべての人に当てはまるわけではありませんケトジェニックダイエット体験者MTさん(38歳・会社員、身長159cm) の場合MTさんは、むくみやすく、だるさや眠気に悩まされていました。ストレス食いが止まらず、人生のMAX体重になったことから、友人の勧めでケトジェニックダイエットを決意されたそう。「最初は半信半疑でスタート。ネックは会社で食べるランチで、外に出ればなかなかケトジェニックな食事はできないと踏んで、お弁当に。忙しい朝、時間をかけてキレイなお弁当を作るヒマがあるわけでもなく、さっとお弁当箱に詰め込んで持っていくスタイルにしました。これは、しっかりケトジェニック食を続けたときの10日間の記録です。昼食は、ほぼ毎日お弁当を作り、会社内で食べました。夜は家族にも協力してもらい、できるだけ外食しない工夫を。味つけはシンプルに調味料を極力少なくするのがコツ。途中からはココナッツオイルを多用しました」(MTさん)▼MTさんの食事記録より(ある10日間)●1日目朝:豆乳、アボカド、青汁、アマニ油入りスムージー昼:厚揚げ焼き、豚しゃぶサラダ、ほうれん草、ベーコンソテー夜:豚ロースとエリンギののソテー、キャベツ+きゅうり+パプリカ●2日目朝:豆乳、アボカド、青汁、アマニ油入りスムージー、もやしとカイワレのお浸し、 ほうれん草卵とじ、牛もも肉塩レモン焼き昼:牛肉&鳥胸肉ソテー、卵焼き、厚揚げ焼き、ほうれん草と豆もやしのナムル、コーヒー夜:鳥胸肉のチーズ巻き、アボカドとマグロのサラダ●3日目朝:ゴーヤとツナのサラダ、厚揚げ焼き、えのきのバターソテー昼:鳥胸肉ソテー、豆もやしのタラコ和え、ゴーヤのお浸し、ひじき&野菜サラダ夜:アボカド・マグロ・胡瓜のサラダ、冷奴●4日目朝:豆乳・青汁・アボカドのスムージー、ベーコンエッグ+サラダ、厚揚げ焼きおろし生姜添え昼:牛らんぷ肉ステーキキノコ添え、大豆と野菜のサラダ夜:豚ロース&厚揚げソテー+サラダ、豆腐と絹さやと油揚げの味噌汁●5日目朝:牛肩ロース、エリンギソテー、サラダ、アイスコーヒー昼:ツナとゴーヤのマヨネーズ和え、厚揚げ焼きミョウガ添え、牛モモ肉&エリンギソテー、アボカドサラダ夜:鳥挽き肉のとうがんスーブ・ハツのレモン塩焼き・焼きサンマ●6日目朝:蒸し鶏のサラダ、ココナッツカレー昼:豚しゃぶとアボカドサラダ、厚揚げ焼き、ツナとゴーヤのサラダ夜:紅鮭とキノコのホイル焼き味噌仕立て、豆とトマトの野菜スープ●7日目朝:茹で野菜の肉巻き&サラダ、鳥挽き肉と豆もやしのスープ昼:ラム肉のソテー、厚揚げと小松菜炒め、サラダ夜:豆乳鍋●8日目朝:豚ロースとパプリカソテー、厚揚げココナッツオイル焼き、じゃこと大根のサラダ、コーヒー昼:ゴーヤチャンプル、豆とじゃこのサラダ、牛モモ肉ソテー夜:素揚げ豆の野菜あんかけ、豚ロース焼き、ゴーヤのお浸し、焼きナス●9日目朝:牛ヒレステーキ、ココナッツカレー、野菜サラダ、豆もやしのサラダ昼:牛ランプステーキ、クラゲと豆サラダ、卯の花夜:ラム肉の野菜炒め、銀むつ西京味噌焼き、冷奴●10日目朝:豆乳・青汁・アボカドスムージー昼:厚揚げ焼き、小松菜ごま和え、鳥胸肉ココナッツオイル焼き、ひじきのサラダ、枝豆夜:牡蠣入りキムチ鍋(糖質0麺入り)▼MTさんのダイエット日記より抜粋※数値は、体重・体脂肪率・ウェストの順■ダイエット前: 63.0kg・35.0%・75cm■1カ月後:. 58.5kg(4.5kg減)・28%(7%減)・69.0cm(6cm減)最初はそれほど肉が食べられず、大豆製品を多用。それでも1カ月で成果が出始めて、見た目が変わり、むくみが取れて小顔に。目が大きくったと言われるようになる。いちばん大きな変化は、昼食の後も眠気に襲われず、仕事がはかどるように。生活のすべてがポジティブになり、ケトジェニックダイエットの健康効果を実感し始める。■6カ月後:. 53.0kg(10kg減)・23.5%(11.5%減)・64.0cm(11cm減)セミ・ケトジェニック食を継続。お酒もよく飲むが、太りにくくなってほとんどリバウンドなし。食べすぎて太ったかなかなと思ったときに、数日~10日間ほどケトジェニック食にして調整。■10カ月後: 51.9kg(11.1kg減)・22.0%(13%減)・62.0cm(13cm減)ひき続き同じ食生活で11号だった洋服が7号に変化。体脂肪率も平均以下に減ったため、厳密なケトジェニック食ではなくなったけれど、リバウンドする気配はなし。胴回りはすっかり「薄い人」の域に。見た目の印象が別人になったと言われる。※あくまでも個人の体験談となります。食事内容・運動量・体質などによるため、このような体重の変化がすべての人に当てはまるわけではありませんいかがでしたか? ケトジェニックダイエットはもりもり食べて健康的に痩せるメソッド。まずはケトジェニック3原則にそった食事スタイルに切り替えることから、チャレンジしてみてください。食べないダイエットはもう卒業! 健康的にキレイになる食事と軽い運動も取り入れて、夏に向けてスリムなボディを手に入れましょう。
2015年04月01日タンパク質摂取不足タンパク質摂取不足は皮膚機能の老化現象を招き、肌水分量の低下やコラーゲン合成が減少することが知られている。日本人はタンパク質の摂取量が不足しており、高齢者においては健康維持に最低限必要とされる量も摂取できていない人がたくさんいることが指摘されている。研究の背景牡蠣(かき)は「海のミルク」と呼ばれるようにタンパク質、グリコーゲン、ビタミン、タウリンや亜鉛などを豊富に含んでいることから滋養強壮効果があることが知られている。牡蠣の美容効果に対してはあまり注目されていなかったが、近年同様に滋養強壮効果の高いスッポンの美容効果が注目され、スッポンエキスを含む健康食品が美容のために売り出されている。東洋新薬は広島県産牡蠣エキス「まるごと濃縮かきエキス」を販売している。牡蠣のむき身を酵素分解により、濃縮エキスとしたもの。滋養強壮成分を豊富に含み、亜鉛の含有量が高いのが特徴。亜鉛の吸収促進作用も有している。研究成果マウスを使った動物実験において、タンパク質摂取不足による、皮膚の老化機能、肌水分量の低下、コラーゲン合成低下をまるごと濃縮かきエキスが抑えることを明らかにした。研究内容は日本薬学会第135年会(2015年3月25日~28日:神戸)で発表がおこなわれた。【参考】・東洋新薬プレスリリース
2015年04月01日愛知県・名古屋港水族館では、2月末より「オワンクラゲ」の展示を開始している。飼育が難しいため、見学希望者は早めの来館を促している。○緑色蛍光タンパク質を持つクラゲオワンクラゲは緑色蛍光タンパク質を持つクラゲ。同物質は生物学者の下村脩氏により1960年代に発見された。オワンクラゲの持つ緑色蛍光タンパク質を発見した生物学者の下村脩氏は、2008年に同研究においてノーベル化学賞を受賞している。同館住所は愛知県名古屋市港区港町1番3号。営業時間は通常9:30~17:30。休館日は毎週月曜日。春休み期間は無休。入館料は大人・高校生が2,000円、小・中学生が1,000円、幼児(4歳以上)が500円。詳細は公式サイトを参照のこと。
2015年03月07日岡山大学はこのほど、マラリア原虫の薬剤耐性タンパク質の働きを解明したと発表した。同成果は同大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の森山芳則 教授、表弘志 准教授、自然生命科学研究支援センターの樹下成信 助教らの研究グループによるもので、3月2日付け(現地時間)の「米科学アカデミー紀要」電子版に掲載された。3大感染症の1つとされるマラリアは現在でも世界で年間2億人が感染し、60万人以上が死亡している。近年、抗マラリア薬に耐性を持つマラリア原虫が出現し、対策が困難となってきている。マラリア原虫の抗マラリア薬に対する耐性の原因としてPfCRTタンパク質の遺伝子変異が知られているが、マラリア原虫の遺伝子が特殊であることや、膜タンパク質の生産が難しいことからタンパク質レベルでの解析ができず、PfCRTの働きについてはわかっていなかった。今回の研究では、PfCRTの遺伝子を合成し、岡山大学が開発した膜タンパク質の生産システムに導入。PfCRTを大腸菌に大量に作らせ、精製し、その機能を測定することに成功した。その結果、PfCRTは薬物を輸送するだけでなく、アミノ酸やポリアミンなどの栄養物質を輸送するトランスポーターであることがわかった。アミノ酸はマラリア原虫が生きていくために必須な栄養素で、抗マラリア薬はこの働きを阻害することで効果を発揮していたことが示唆された。今回、PfCRTが運ぶ物質が特定されたことで、同タンパク質を標的とした新しい抗マラリア薬の開発につながることが期待される。
2015年03月03日東京農工大学(農工大)は1月28日、タンパク質の保持・放出を制御することができる医療用シートを開発したと発表した。同成果は同大学大学院工学研究院応用化学部門の村上義彦 准教授と同大学院博士後期課程在籍の安齋亮介 氏らの研究グループによるもの。1月25日に国際専門誌「Colloids and Surfaces B: Biointerfaces」電子版に掲載された。狙った時間と場所に薬物を送り込むドラッグデリバリーシステム(DDS)では、内部に薬物を保持して、その薬物を少しずつ放出するための材料を適切に選択することが重要となる。現状では、ゲル、粒子、シートなどさまざまな形態の材料の開発が検討されている。これまで、ポリ乳酸など生体適合性が高い疎水性高分子を素材としたシートは報告されていたがタンパク質の保持・放出の制御が困難、細胞増殖効果や創傷治癒効果が高い親水性の薬物(タンパク質)を内部に保持することができない、シート内部における薬物の分散状態を評価することが難しく、材料の性能評価が困難であるといった課題があった。今回開発されたシートは、内部に性質が異なる高分子ブロックが連結した高分子で形成する高分子ミセルを組み込むことによって上記の課題を解決することに成功。高分子ミセルの組成を選択することによって、タンパク質の保持・放出を制御することが可能となった。また、高分子ミセルを内部に分散させることによって「疎水性シートの内部に親水性の空間を作り出すこと」を実現した。同研究グループはさらに、タンパク質の分散状態を評価する手法として、「拡張フラクタル解析」という解析法を考案した。シートは取り扱いが容易で、保存安定性が高いため、今回の成果は「外科手術の際に患部に、事前に準備したシートを貼り付けて、薬物を患部だけに放出することによって治療効果を高める」といった新しい外科手術の実現につながる可能性がある。また、同研究で提案された発展的フラクタル解析は医療用シートだけでなく、ゲル・粒子など他の形態の材料の内部状態評価に適用することができ、幅広い研究領域での活用が期待される。
2015年01月29日東京大学は12月9日、ヒト白血球抗原(HLA)の安定性を解析し、1型糖尿病のかかりやすさに関連するHLA遺伝子型が、安定性が顕著に低いHLAタンパク質を作ることを見出したと発表した。同成果は同大学大学院医学系研究科の宮寺浩子 助教(研究当時)、徳永勝士 教授らの研究グループによるもので、12月8日付(現地時間)の「The Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載された。1型糖尿病は主に免疫系の細胞が、インスリンを生産する脾臓のβ細胞に対して免疫応答を起こすことによって発症し、特定のHLA遺伝子型を持つと1型糖尿病の発症率が高くなることが報告されている。同研究グループは、HLAのタンパク質の安定性が自己免疫疾患のかかりやすさに関わる可能性に着目し、HLAタンパク質の安定性を推定するための測定手法を構築した。その手法を用いて約100種類の主要なHLA遺伝子型の安定性を測定したところ、1型糖尿病のかかりやすさに関連するHLA遺伝子型が、安定性が顕著に低いHLAタンパク質を作ることを発見した。さらに、HLAタンパク質の安定性制御に関わるアミノ酸残基を変える遺伝子多型を同定し、その遺伝子多型が1型糖尿病のかかりやすさに強く関連することを明らかにした。同研究グループは「HLAのタンパク質安定性という、これまで着目されてこなかった特性も自己免疫疾患の発症率に大きく影響を与える可能性が示されたことは、従来の定説とは異なる発症機序が自己免疫疾患に関わる可能性を示唆します」とコメントしている。
2014年12月09日生理学研究所(生理研)などの研究グループは12月9日、遺伝性てんかんのひとつである常染色体優性外側側頭葉てんかん(ADLTE)の原因がタンパク質の構造異常に基づくことを見出し、薬剤で異常タンパク質を修復することによりてんかんが軽減することを明らかにしたと発表した。同成果は同研究所の深田正紀 教授、同 深田優子 准教授、同 横井紀彦 特任教授、北海道大学医学部の渡辺雅彦 教授、蘭Erasmus大学のDies Meijer 教授、東京大学先端科学技術研究センターの浜窪隆雄 教授らの共同研究によるもの。12月9日付け(現地時間)の米科学誌「Nature Medicine」に掲載される。同研究グループは、遺伝性側頭葉てんかんの原因遺伝子LGI1に注目し、ヒトの側頭葉てんかん患者で見られる22種類のLGI1変異を体系的に解析し、「分泌型」と「分泌不全型」の2種類に分類した。その後、「分泌型変異」あるいは「分泌不全型変異」を有する変異マウスを作成し、LGI1の変異がどのようにしててんかんを引き起こすのかを調べた。その結果、分泌型変異マウスでは、LGI1は細胞外に分泌されるが、受容体との結合が阻害されることを見出した。一方、分泌不全型変異マウスでは、LGI1がタンパク質の構造異常のため細胞内で分解されてしまい、脳の中で正常に働くLGI1が減少してしまっていることがわかった。これらの結果により、いずれの場合も、LGI1が本来の作用点である受容体と結合することができないことが、同てんかんの分子病態であると考えられるという。さらに、同研究グループは、たんぱく質の構造を修復しうる低分子化合物が分泌不全型LGI1の構造異常を改善し、分泌を促進することを突き止め、てんかん感受性が改善することを発見した。今回の成果は、タンパク質の構造異常に基づくてんかん治療に広く応用されることが期待される。
2014年12月09日東京大学と科学技術振興機構(JST)は11月21日、インフルエンザウイルスの増殖に関わる約300個の宿主タンパク質の同定し、それぞれのウイルス増殖サイクルにおける作用を決定することに成功したと発表した。同成果は同大学医科学研究所の河岡義裕 教授と渡邉登喜子 特任准教授らによるもので、11月20日付け(現地時間)の米科学雑誌「Cell Host and Microbe」オンライン版に掲載された。現在、インフルエンザの治療薬としてタミフルなどの抗ウイルス薬が使われているが、それらの薬剤は特定のウイルスタンパク質の働きを抑えるため、遺伝子の変異によって薬が効きにくくなる耐性ウイルスが発生してしまう危険性がある。そのため、ウイルスのタンパク質に作用せずにウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の開発が求められている。ウイルスは宿主細胞内のたんぱく質の働きを利用して増殖するため、宿主細胞のタンパク質とウイルスの相互作用を抑える薬剤があれば、有効なインフルエンザ治療薬となる可能性がある。同研究グループは、インフルエンザウイルスタンパク質と結合するヒトタンパク質(宿主因子)を網羅的に探索。その結果、11種類のインフルエンザウイルスタンパク質と相互作用する1292個の宿主因子を同定した。次に、それらの宿主因子がインフルエンザウイルスの増殖とどのように関係しているのかを調べたところ、ウイルスの増殖効率に影響を与える323個の宿主因子を同定した。また、それらの宿主因子の機能を阻害する薬剤が抗ウイルス薬として有効であるかどうかを検討した結果、いくつかの薬剤に抗ウイルス効果があることが確認された。今回得られた成果は、インフルエンザウイルスの増殖や感染のメカニズムを明らかにするために有用であるとともに、インフルエンザ治療薬開発の重要なターゲットになると期待される。
2014年11月21日岡山大学は10月28日、ストレスタンパク質であるHSP90αが、哺乳類の生殖細胞におけるレトロトランスポゾン(利己的に転移する因子)の再活性化抑制機構に関与し、ゲノムの恒常性維持にも重要であることを遺伝的に証明したと発表した。この成果は、同大学医歯薬学総合研究科(医学系)免疫学分野の鵜殿平一郎 教授、一柳朋子 助教らの研究グループによるもので、9月27日付け(現地時間)の「Nucleic Acid Research 電子版」で公開された。哺乳類の生殖細胞の形成過程では、胎生期に一度レトロトランスポゾンが活性化する。その後、DNAメチル化酵素などの核内タンパク質によって再抑制されるが、この抑制機構が破綻すると精子形成不全になることが知られている。一方、細胞質ではpiRNAと呼ばれる小さなRNAが産生されおり、piRNAは細胞質でのレトロトランスポゾンmRNAの切断を誘導すると共に、核内でレトロトランスポゾン配列のDNAメチル化を誘導する働きもある。このpiRNA生合成系の破綻も精子形成不全を引き起こすことがわかっている。今回、HSP90αを欠損した胎生期のマウスの精巣を詳細に解析したところ、生殖細胞の発生過程で産生されるべきpiRNAの生成異常およびレトロトランスポゾンの抑制異常があることが明らかとなった。特に、piRNA結合タンパク質が細胞質から核内へ移行できないことから、HSP90αが細胞質の情報と核内の活動を繋ぐ重要なタンパク質である可能性が示唆された。HSP90αは昆虫や植物でもpiRNAやmiRNAなどの小分子RNAの生成に関わっているので、この機構は進化的にかなり保存されていると推察されるとのこと。同研究チームは今回の研究成果について、「ストレスタンパク質の機能の新たな一面を明らかにしただけでなく、不妊症の原因究明として今後応用できる可能性がある」とコメントしている。
2014年10月29日(画像はイメージです)中性脂肪蓄積を抑制するタンパク質AIMが肝臓においてがん細胞を選択的に除去2014年10月3日、東京大学はメタボリックシンドロームのブレーキとして働くタンパク質AIMが、肝臓に生じたがん細胞を選択的に除去することを明らかにしました。AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)はCD36などの受容体を介したエンドサイトーシス(細胞外から細胞内への取り込み)によって脂肪細胞や肝細胞に取り込まれ、細胞内で脂肪酸合成酵素(Fatty Acid Synthase; FASN)の活性を阻害することにより、細胞内での中性脂肪の蓄積を抑制します。このAIMの作用は肥満や脂肪肝の進行を抑制します。AIMが欠損したマウスは、高脂肪食を与えた場合に同じ高脂肪食を与えたマウスよりも、肥満や脂肪肝が高度に進行するとの報告があります。AIMの血中濃度は個人差があり、年齢、性別によって変動します。またいくつかの疾患によって変動することも報告があります。したがって、メタボリックシンドロームの中核になる内臓肥満のなりやすさの指標になる可能性を秘めています。今回の研究成果細胞が癌化するとAIMは細胞内に取り込まれなくなります。その結果、がん細胞の表面にAIM蓄積します。細胞表面上に蓄積したAIMは体の免疫作用の標的となり、結果としてがん細胞が死亡することになります。AIM欠損マウスでは高脂肪食で脂肪肝を誘導するとほぼ全例が肝細胞がんを発症したのに、正常マウスでは脂肪肝の状態でとどまることで実際に発癌抑制に働くことが分かりました。さらにAIM欠損マウスが脂肪肝を発症してから、AIMを定期的に投与すると肝細胞がんの発症を予防できました。AIMの今後に関して日本人の肝細胞がんは、C型慢性肝炎から肝硬変を経過して、発症する場合がほとんどです。今回のAIMが外から与えても効果があることが、マウスで示されたことにより、AIMが肝細胞がんの発癌を抑制する可能性があります。AIMは生体内にあるタンパク質ですから、安全性も高いことが予想されるとのことです。【参考】・東京大学プレスリリース
2014年10月10日東京大学は10月3日、メタボリックシンドロームのブレーキとして働くことが知られているタンパク質「AIM」に、肝臓に生じたがん細胞を選択的に除去する働きがあることがわかったと発表した。同成果は同大学大学院医学系研究科の宮崎徹 教授らの研究グループによるもので、10月9日付け(現地時間)の米科学誌「Cell Reports」に掲載される予定。AIMは同研究グループが発見した、血液中に存在するタンパク質で、通常は脂肪細胞や肝臓の細胞(肝細胞)に取り込まれ、細胞中での中性脂肪の蓄積を阻害することによって肥満や脂肪肝の進行を抑制するメタボのブレーキとして知られている。今回の研究では、肝細胞ががん化すると、AIMは肝細胞に取り込まれず、細胞の表面に留まるようになることを確認した。さらに、表面に蓄積したAIMを目印とし、免疫システムがん化した肝細胞を攻撃するようになることがわかったという。近年、メタボリックシンドロームの流行と共に、脂肪肝が進む結果、肝細胞ががん化し肝臓がんが発症するケースが注目されている。今回の発見は血液中のAIM値は肝臓がん発症のリスクを予測するマーカとなり得ることを示唆しているだけでなく、AIM投与による新しい治療法の開発につながる可能性があるという。現在、肝臓がんには有効な抗がん剤がないためその期待は大きく、ヒト由来のAIMを用いた治療剤であれば安全性は高いと考えられている。
2014年10月06日滋賀医科大学は、アルツハイマー病(AD)の発症を抑制するタンパク質「ILEI」を同定したと発表した。同成果は、同大分子神経科学研究センターの西村正樹 准教授、遠山育夫 教授らと、東京都健康長寿医療センターの村山繁雄 部長らによるもの。詳細は「Nature Communications」に掲載された。アルツハイマー病の分子病態は、脳内のアミロイドβ(Aβ)蓄積により惹起されることまでは分かっているものの、Aβ蓄積の一次的原因の多くは未だに不明であり、分子病態の是正による治療法の確立には到っていないのが現状だ。今回の研究では、Aβペプチド産生の原因物質である前駆体タンパク質(amyloid-β precursor protein:APP)のC末端断片(APP-C99)のAβ非産生経路による分解を促進することで、Aβ産生経路を抑制し、Aβ産生レベルを減少させるタンパク質「ILEI」を発見したという。具体的にはILEIは、培養細胞を用いた解析から、その強制発現により細胞から分泌されるAβレベルを約30%程度減少させ、ILEI発現抑制を50%程度増加させることが確認されたほか、無細胞系の反応では、γセクレターゼがAPPを切断する活性を阻害しないことが確認されたという。また、Aβ産生の直前の基質(直接の前駆体)であるAPP-C99を不安定化し細胞内レベルを減少させることでAβの産生を抑制できること、ならびにILEIは本来、脳において正常な神経細胞が発現し分泌している物質であること、そして認知症のない症例の脳やアルツハイマー病以外の神経疾患症例の脳に比較して、AD例の脳ではILEIのレベルが減少していることを確認。さらに、トランスジェニックマウスを用いた解析から、ILEIを脳に高レベルで発現させるとアルツハイマー病モデルマウスにみられる脳Aβ蓄積と記憶障害を改善できることが確認されたという。今回の結果を受けて研究グループでは、ILEIないしILEI様活性が新たな治療法開発のターゲットになる可能性が示されたとコメントしている。
2014年06月05日東北大学は3月6日、これまで不可能だった、メラニン色素を合成・貯蔵する小胞「メラノソーム」上に人為的なタンパク質分子を送り届けることができる技術の開発に成功したと発表した。成果は、東北大大学院 生命科学研究科 修士大学院生の石田森衛氏、同・荒井沙希氏、同・福田光則教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、2月28日付けで米科学誌「Journal of Biological Chemistry」電子版に掲載された。ヒトの肌や髪の毛に含まれる黒いメラニン色素は、有害な紫外線から体を守るために重要な役割を担う。しかし、その一方でメラニン色素は蓄積してしまうとしみやそばかすの原因になるし、逆に部分的な脱落してしまうと「白斑」の原因になってしまう。メラニン色素は、「メラノサイト(メラニン色素産生細胞)」に存在する「メラノソーム」と呼ばれる袋(小胞)の中で合成・貯蔵されている。そしてメラノソームは成熟すると、メラノサイトの細胞内を細胞骨格に沿って輸送され、肌や髪の毛を作る細胞に受け渡されて初めて肌や髪の毛の暗色化が起こる仕組みだ。画像1は、そうした特定の細胞小器官(オルガネラ)へのタンパク質分子の輸送も描かれた、メラノサイトの内側を表した模式図だ。メラノサイトに限らずすべての真核細胞の細胞内は、膜で包まれたさまざまな細胞小器官(袋)で満たされているが、この図では簡略化されており、核、小胞体、ミトコンドリア、メラノソームのみが示されている。それぞれの細胞小器官は独自の役割を担っており、その機能を果たすために独自のタンパク質分子を持っており、メラノソームもメラニン合成酵素などの特殊なタンパク質分子を多数含む。これらのタンパク質分子にはそれぞれが働くべき細胞小器官にのみ輸送される必要があるため、それぞれの分子に輸送シグナル(配列)が備わっていると考えられている。それを表したのが画像1左下の拡大図で、これまでの研究により、核、ミトコンドリア、小胞体などへの輸送シグナルが同定されており、任意のタンパク質分子を特定の細胞小器官に輸送する技術も開発済みだ。しかしこれまで、メラノソームにタンパク質分子を輸送するツールは開発されていなかった。そこで研究チームは今回、まずメラノソームに局在することが知られているタンパク質の中で、メラノソーム上の荷札として機能する形で、その輸送(細胞辺縁部から中心方向へと微小管を伝って行う「逆行輸送」)に関わる「メラノレギュリン(Mreg)」分子に着目。まず、この分子のメラノソームへの局在化に必要なアミノ末端側の領域を決定し、これらの領域を用いて「メラノソームターゲティングタグ(MST tag:melanosome-targeting tag)」が新規に開発された(画像2~4)。次に、得られたMSTタグを本来メラノソームに局在しないタンパク質分子に融合させ、得られた融合タンパク質のメラノソームへの局在化やメラノソームの分布に対する影響が検討されたのである(画像5~11)。その結果、以下のことが明らかにされた。まず1つ目は、Mreg分子のアミノ末端領域(アミノ酸番号1~139:画像2)はメラノソームへの局在化に必要不可欠な領域であるということ。Mreg分子はメラノソームの「微小管逆行性輸送」(画像1)に関与し、Mreg分子はアミノ末端側でメラノソームに局在し、カルボシキル末端側で「RILP」や「ダイニン・ダイナクチン複合体」と結合する。なお、アミノ末端領域のみを発現してもメラノソームの形成や分布には影響を与えないという(画像3・4)。また今回はMSTを融合させたタンパク質を可視化するため、カルボシキル末端側には「赤色蛍光タンパク質(mStr)」が融合されている。例えば、画像5の「Rab5A」や画像6~7の「Rab27A(Q78L)」など、任意のタンパク質をMSTとmStrの間に挟んでメラノサイトに発現させると、メラノソーム上に局在する仕組みである。画像3は、MSTタグのメラノソーム局在化の顕微鏡写真だ。mStrのみをメラノサイトに発現させても、メラノソーム上には局在しないが(上段)、Mreg分子とmStrを融合させた「Mreg-mStr」はメラノソーム上に局在し、微小管逆行性輸送を促進することによりメラノソームの核周辺での凝集を引き起こす(中段)。一方、MSTタグのみを融合させたMST-mStrはメラノソーム上に局在してもメラノソームの凝集を誘導しない。挿入図は四角の部分の拡大図を示し、右列の重ね合わせの図ではメラノソームが緑色の疑似カラーで示されている。点線はメラノソームの凝集を起こした細胞の縁の部分を示したものだ。そして画像4が、Mreg-mStrおよびMST-mStrを発現するメラノサイトにおけるメラノソームの凝集率を示したグラフ。Mreg-mStrを発現する細胞では頻繁にメラノソームの核周辺での凝集が観察されたが、MST-mStrではメラノソームの分布にはまったく影響が認められなかったという。2つ目は、MSTを融合したタンパク質分子がメラノソームに局在化することを確認したこと。例えば、別の細胞内小器官「初期エンドソーム」に局在するRab5Aという分子にMSTタグを融合すると、MST-Rab5Aはメラノソーム上に局在するという具合だ(画像5)。画像5は、MSTタグを融合したRab5Aのメラノソームへの局在化をとらえた顕微鏡画像。Rab5Aは初期エンドソームに局在する分子だが(中段)、この分子の脂質化修飾部位を外しMSTタグを画像2のように融合させると、メラノソーム上に局在化することが可能だ(下段)。挿入図は四角の部分の拡大図で、右列の重ね合わせの図ではメラノソームが緑色の疑似カラーで示されている。初期エンドソームとメラノソームは別個の細胞小器官のため、Rab5A(赤)とメラノソーム(緑)のシグナルはまったく重ならない(中段)。一方、MST-Rab5A(赤)はメラノソーム(緑)上に局在するのが確認可能だ。3つ目は、「Q78L」のアミノ酸変異を持つ低分子量Gタンパク質「Rab27A」分子はメラノソームに局在化することができず、メラノソームの輸送障害を引き起こす(色素異常の症状を示す「グリセリ症候群」の特徴)。この変異体Rab27AにMSTタグを融合させるとメラノソームに局在し、メラノソーム輸送が回復するのである(画像6・7)。なおRab27Aは、メラノソームの「アクチン線維」上の輸送を行う際(画像1)の、メラノソーム上の荷札として機能するタンパク質だ。「GTP(グアノシン三リン酸)」を結合した活性化型のRab27A分子はメラノソーム上に局在し、ここに運転手役の「Slac2-a」(「メラノフィリン」ともいう)と運送トラック役の「ミオシンVa」が結合することにより、アクチン線維に沿った細胞膜直下までのメラノソーム輸送を促進する画像(画像8・9)。Rab27Aの機能が損なわれているグリセリ症候群患者のメラノサイトでは、メラノソームがアクチン線維に上手く受け渡されず、微小管逆行性輸送によりメラノソームが核周辺へと押し戻され、メラノソーム凝集の症状を示してしまう。今回の研究で用いられたRab27A(Q78L)変異体は78番目の「グルタミン」が「ロイシン」に置換されており、GTPアーゼの活性がないことが知られている。画像6は、MSTタグを融合したRab27A(Q78L)のメラノソームへの局在化とメラノソーム分布の回復を示した顕微鏡画像。RNA干渉法によりRab27Aを欠損させた細胞では、メラノソームのアクチン輸送が起こらず、メラノソームが核周辺で凝集する(最上段)。siRNAに抵抗性(SR:siRNA-resistant)のRab27AをRab27A欠損細胞に戻すとメラノソーム上に局在し、メラノソームの分布が回復する(2段目)。Q78Lの変異を持つRab27A分子はメラノソームに局在できないため、メラノソームの分布は回復しない(3段目)。一方、MSTを融合させたRab27A(Q78L)はメラノソーム上に局在し、メラノソームの分布も回復するが(5段目)、MSTタグのみでは回復効果は認められない(4段目)。挿入図および点線は画像3の説明と同じだ。なお画像7は、画像6に示されているメラノサイトにおけるメラノソームの凝集率を示したグラフだ。4つ目は、Rab27Aはメラノソーム上の荷札役として機能し、運転手役Slac2-aおよび運送トラック役のミオシンVaをメラノソーム上に呼び込んで輸送を促進することは前述した通りだが、Slac2-a分子の「SHD(Slp homology domain)領域」を欠損させると荷札であるRab27Aを認識できなくなり、メラノソーム上には局在できなくなる(画像10)。よって、Rab27Aを欠損するメラノサイトでは、荷札がないためSlac2-a、ミオシンVaがメラノソームにアクセスできず、メラノソームの輸送障害を引き起こしてしまうのである。ただしRab27Aに結合できない「Slac2-aΔSHD」にMSTタグを付加した「MST-Slac2-aΔSHD」をRab27A欠損細胞に発現すると、MST-Slac2-a分子はメラノソーム上に局在するため、ミオシンVaによってメラノソームの輸送が回復する仕組みだ(画像11)。画像10は、Slac2-a分子およびMSTタグを融合したSlac2-aΔSHD変異体の模式図。Slac2-a分子はアミノ末端側にメラノソーム上のRab27A(荷札役)を結合するSHD領域を、中央部分にモータタンパク質であるミオシンVa(運送トラック役)を結合するMBD(myosin Va binding domain)領域を持つ。MST-Slac2-aΔSHDはRab27Aを認識するSHD領域を除き、代わりにMSTを融合したものである。画像5では融合タンパク質分子の検出のため、mStrの代わりにFLAGタグを使用している。画像11は、メラノソーム凝集を示すRab27A欠損細胞におけるMST-Slac2-aΔSHDの発現を撮影した顕微鏡画像。RNA干渉法によりRab27A(最上段)を欠損させられた細胞では、メラノソームが核周辺で凝集してしまう(上段)。この細胞にSlac2-aやSlac2-aΔSHDを発現させても、荷札役のRab27Aがないため、メラノソームを認識できず、メラノソームの分布は回復しない(中央2および3段目)。しかし、MST-Slac2-aΔSHDは荷札のRab27Aに関係なくメラノソームに局在化でき、ミオシンVaとも結合できるため、メラノソームの分布が回復する(下段)。挿入図は四角の部分の拡大図を示し、右列の重ね合わせの図ではメラノソームが赤色の疑似カラーで示されている。点線はメラノソームの凝集を起こした細胞の縁の部分を示したものだ。以上の結果から、MSTタグは成熟メラノソーム上に人為的にタンパク質分子を局在化させる初めてのツールとして利用できることが明らかになったというわけだ。また、MSTタグを融合させても、融合させた分子の機能を損なうことはなかったことから(例えば、Slac2-a分子のミオシンVa結合能など:画像10・11)、タンパク質分子の機能を保持したままメラノソーム上に局在化させることが可能となったのである。今回の成果により、MSTタグを用いて成熟メラノソーム上にタンパク質分子を送り届ける新技術が確立された形だ。2013年度のノーベル生理学・医学賞の対象となった小胞(膜)輸送の研究分野では、特定の膜でできた細胞小器官への輸送シグナルが解明されたことにより、その細胞小器官の機能解明が飛躍的に向上してきた。今回のMSTタグの開発により、メラノソーム上に任意のタンパク質分子、あるいはその断片を局在化させることが可能となり、メラノソームの形成や輸送の詳細な分子機構の解明、ひいてはそれらの人為的な制御に応用されることが期待されるとしている。
2014年03月07日(画像はプレスリリースより)医療の機関にも販売される、低タンパク質のおいしい「食パン」テルモ株式会社は「そらまる(R)食パン」を2月4日から発売する。発売はテルモのウェブサイトの「テルモネット通販」での販売となる。またこの商品は、医療機関も対象としている。テルモは、タンパク質の調整食品「そらまる」シリーズを扱っている。今回の商品は、2013年に発売された「そらまるおかゆ」に続く3弾目の商品だ。パッケージの愛らしいロゴ文字と、ふっくらとした、2つの食パンのプリントは、消費者に食べたいと思わせ、全体的に親しみやすいデザインとなっている。低タンパク質の食パンの特徴この食パンは1箱20袋入り(1袋2枚)で、一般の食パンと比較して、タンパク質が25分の1にカットされている。またカロリーは(1袋2枚) 267カロリーで、タンパク質は0.37gに設定されている。そしてタンパク質の調整とともに、ナチュラルな、おいしい食パンに仕上げる「植物性乳酸菌発酵」の米粉が用いられている。また、そらまる食パンの焼き上がりについて中身は、モチモチな舌触りで、表面はサックリとおいしく味わうことができる。タンパク質を気にする方や、健康に気をつける方は、この商品を試してみては。【参考リンク】▼テルモ株式会社 プレスリリース
2014年02月07日京都大学は1月29日、サントリー生命科学財団、セルフリーサイエンス、横浜市立大学との共同研究により、抗エイズウイルス活性を有するヒトのタンパク質「APOBEC3G(A3G)」の酵素反応を、「NMR(核磁気共鳴)法」によってリアルタイムで追跡し、定量的に解析することに成功し、A3Gタンパク質がエイズウイルスの遺伝子を効率的に破壊する仕組みを明らかにしたと発表した。成果は、京大 エネルギー理工学研究所の片平正人教授、同・古川亜矢子 日本学術振興会特別研究員らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月29日付けで独科学誌「Angewandte Chemie International Edition」オンライン版に掲載された。A3Gタンパク質は、エイズウイルスの遺伝子の「シトシン」塩基を脱アミノ化して「ウラシル」塩基に変換することでウイルスの遺伝情報を破壊し、抗エイズウイルス活性を示す(画像1)。A3GはまずウイルスDNAに非特異的に結合し、その後DNA上をスライディングして標的となるシトシンに到達し、酵素反応を引き起こす。また酵素反応は、ウイルスDNA上の複数の標的シトシンにおいて同時に並行して進行する。「ミカエリス-メンテン法」などの従来の酵素反応の解析手法ではこのような複雑な系を解析することができず、A3Gタンパク質が働く仕組みは謎に包まれていた。そこで研究チームは今回、まずウイルスのモデルDNAとA3Gタンパク質を試料管に入れ、これをNMR装置にセット。そしてDNA上の複数のシトシンで同時並行に進行する塩基変換反応を、各シトシンに由来するNMRシグナルを別個に観測することで、リアルタイムでモニタリングすることに成功した(画像2)。次に、研究チームはA3GのDNAへの非特異的な結合と結合後のDNA上でのスライディングを考慮した反応モデルを構築。そして、画像2で得られた実験結果が定量的に解析された。この結果、A3Gは上流方向にスライディングしながら標的シトシンに到達した際には、下流方向にスライディングしながら到達した際より、脱アミノ化反応の酵素活性が高いことが判明したのである(画像3)。上流に近い標的シトシンほど脱アミノ化されやすいことはこれまでの観測事実として知られていたが、酵素活性がスライディングの方向に依存するという新たな知見により、このことを合理的に説明することが初めてできるようになったというわけだ。また脱アミノ化による遺伝情報の破壊がすでになされた直近の部位には、A3Gはもはやあまり作用しないことも確認された。これは、エイズウイルスのDNA上の広い範囲で効率的に遺伝情報の破壊を行うのに適した性質だと考えられるという。このようにNMRシグナルを用いたリアルタイムモニタリングによって、これまで不明であったA3Gタンパク質の動作機構が解明された形だ。A3Gタンパク質の抗エイズウイルス活性の根幹である脱アミノ化反応の動作機構が解明されたことで、A3Gを活用した抗エイズウイルス薬の創製の活性化が期待されるという。また今回開発されたNMRシグナルを用いた反応のリアルタイムモニタリングと定量解析の手法は、同時並行的に進行するほかの複雑な酵素反応や生体内カスケード反応の解析にも応用可能とした。またNMRシグナルを用いたリアルタイムモニタリング法は、バイオマスを微生物によって分解することでエネルギーや化成品などの有用物質を獲得する際にも、時々刻々変わる物質群の動態を一網打尽に解析することができ、役立つと考えられるとする。研究チームは2009年に、A3Gの立体構造の決定にも成功しており、それをA3Gの動的な側面に関する今回の知見と合わせることで、A3Gを活用した新規の抗エイズウイルス薬創製の基盤を確立していきたいと考えているという。またNMRシグナルを用いたリアルタイムモニタリング法を、バイオマスから有用物質を獲得するのに活用することへの利用も開始しており、この進展を目指すとしている。
2014年01月31日東京大学は1月22日、活性酸素によって誘導される細胞死や免疫応答を促進する細胞内の「シグナル伝達分子」であるタンパク質「ASK1」の分解を促進させる新たなユビキチン化酵素タンパク質「Roquin-2」を発見したと発表した。成果は、東大大学院 薬学系研究科 薬科学専攻細胞情報学教室の一條秀憲 教授、同・松沢厚特任准教授、同・丸山剛 特任研究員(当時)らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間1月22日付けで「Science Signaling」オンライン版に掲載された。活性酸素とは、「スーパーオキシド」、「ヒドロキシラジカル」、「過酸化水素」、「一重項酸素」など、酸素に由来する反応性の高い分子の総称のことをいう。ミトコンドリアでのエネルギー産生や細胞膜での酵素反応などによって生体内では常に生成されている。そして生体内で活性酸素が過剰に産生されてしまうと、生体を構成するタンパク質やDNA、細胞膜などが損傷を受ける可能性があり、活性酸素によって修復できないほど細胞が障害を受けると、細胞死が誘導される仕組みだ。このような活性酸素によって誘導される細胞死は、心筋梗塞や脳梗塞といった虚血性疾患や神経変性疾患、糖尿病、がんなどさまざまなヒトの疾患に関与することが知られていた。また過剰な免疫応答は、強いアレルギー反応や炎症を引き起こし、ぜんそくや皮膚炎、リウマチなどの自己免疫疾患につながってしまう。しかし、このような細胞死や免疫応答が、どのような仕組みによって調節されているかについては、不明な点が残されていたのである。研究チームはこれまで、ASK1が活性酸素誘導性の細胞死や免疫応答を促進すること、ASK1が活性化されるとそれに伴ってASK1が「ユビキチン化」され、分解されることも見出していた。ただし、ASK1のユビキチン化に関与する分子やユビキチン化の仕組みについてはまだ明らかになっていなかった。そこで、研究チームは今回の研究でも引き続きASK1に注目。そして、その分解を促進させる新たなタンパク質を同定し、細胞死や免疫応答を適切に調節する仕組みを見出したというわけだ。なお、ASK1などのシグナル伝達分子とは、細胞内外のさまざまな環境の変化を感知し、その情報を核や細胞内の小器官へと伝達する一連の分子群のことをいう。また、ユビキチンとは76個のアミノ酸からなる小さめのタンパク質で、ほかのタンパク質の修飾に用いられるという特徴を持つ。タンパク質の分解やDNA修復、小胞膜輸送、シグナル伝達など多様な生理機能に関わっている。特にユビキチンが共有結合によって鎖状に連なった「ポリユビキチン」は、タンパク質分解酵素複合体である「プロテアソーム」によって認識され、分解されるべきタンパク質の目印となることがわかっている。今回の研究では、具体的に、特定のタンパク質を消失させる「RNA干渉法」を用いた「スクリーニング」によって、ユビキチン化に関わる約1500の遺伝子の中から、このASK1のユビキチン化分解を促進するタンパク質の探索が行われた。RNA干渉法とは、標的とする遺伝子と塩基配列が同じ2本鎖RNAを細胞内に導入すると、標的とする遺伝子のmRNAが分解され、その遺伝子の発現が抑制できる技術のことをいう。またスクリーニングとは、目的とする遺伝子やタンパク質などを、多くの群の中からさまざまな手法を用いて選別・特定する作業のことである。スクリーニングの結果に発見されたのRoquin-2だ。解析の結果、Roquin-2は、実際にヒトの細胞において、活性酸素の刺激によって活性化したASK1をユビキチン化して分解を促進すること、また活性酸素によって誘導される細胞死を抑制することが確認されたのである。さらに、実験に広く用いられている原始的なモデル生物である「線虫」において、Roquin-2がASK1を分解することによって、細菌に対する免疫応答が調節されていることも見出された。これらの結果は、Roquin-2がASK1のユビキチン化分解を介して、活性酸素による細胞死や免疫応答を調節するタンパク質であること、またこのRoquin-2によるASK1の分解は、原始的生物である線虫からヒトまで進化的に保存された重要な仕組みであることを示しているという。以前に研究チームは、Roquin-2とは逆の働きをする、ASK1からユビキチンを外すタンパク質として「USP9X」を同定しており、USP9XがASK1の分解を抑制してその活性を持続させ、活性酸素誘導性の細胞死を促進することを見出していた。その結果も合わせると、生体内で起こるASK1を介した活性酸素誘導性の細胞死や免疫応答は、USP9Xや今回同定されたRoquin-2のバランスによって適切に調節されていることが示唆されたという。Roquin-2は、過剰な細胞死や免疫応答を原因とする虚血性疾患や神経変性疾患、炎症や自己免疫疾患など、さまざまなヒトの疾患に対する新たな治療標的となることが期待されるとしている。
2014年01月23日いつまでもずっとキレイでいたい! 美意識の高い女性であれば、みんなそう思っていますよね? その「キレイ」を左右するのは、タンパク質だということを知っていましたか?タンパク質は、皮膚・毛髪・爪などのハリやツヤのもとになっているのだそう。髪や肌にハリ・ツヤがあるだけでも、女性の印象は大きく変わりますよね。5歳位は簡単に若く見えてしまいます。さらにタンパク質は、酵素、ホルモン、免疫システムや神経伝達物質の材料として、また生きていくためのエネルギーとしても使われているのだとか。タンパク質(Protein)の語源はギリシャ語の「プロティオス」(一番大切なもの)。このことからもわかるように、タンパク質はわたしたちの体にとって重要な要素なのだそう。しかし、このタンパク質は、熱や圧力、湿度の変化などによって簡単にゆがんでしまうという特徴があるそうです。髪のダメージの原因は、タンパク質のゆがみにあるということが明らかになっています。■髪ダメージの根本原因は、タンパク質のゆがみ毛髪の約95パーセントはタンパク質で構成されています。健康な髪では外側にあるキューティクルがタンパク質をダメージから保護していますが、キューティクルがめくれあがったり剥がれてしまったりすると、中のタンパク質がダメージを受けてゆがみ、流出してしまいます。髪に強度を与えているタンパク質が流出してしまった髪は細くなり、切れやすくなるため、コシやハリがなくなり、枝毛や切れ毛になってしまうそう。髪のダメージは、タンパク質の立体構造がゆがむことで生じているそうです。■傷んでいる髪は髪の「限界温度」が低い!さらに、痛んでしまった髪は、熱にも弱いことが明らかに。髪の限界温度とは、髪のタンパク質が形を保持できなくなってゆがんでしまう温度のこと。タンパク質は熱に弱い性質を持っているため、ドライヤーやヘアアイロンで熱を加えただけでもゆがんでしまうそう。健康な髪は154度の熱まで耐えられると言われていますが、傷んだ髪は低い温度にも耐えることができず、すぐにタンパク質がゆがんでしまいます。その場合、限界温度より低い温度で髪を扱わなければならなくなってきます。■髪のダメージを防ぐ最新美容法は「タンパク質美容」それでは、どうすればタンパク質のゆがみを防止することができるのでしょうか? それが、今注目を集めている「タンパク質美容」です。タンパク質に着目したケアをすることで、根本から美しくなることを目指す美容法です。ほとんどがタンパク質で構成された髪は特に、髪本来の美しさを保持するためには必要不可欠です。 では具体的に、美しい髪を手に入れるためにはどうしたらいい?1.トレハロース配合のヘアケア商品で髪タンパク質の変性を防止美しい髪に必要な成分として注目されているのが「トレハロース」です。高い保湿力を持ったトレハロースは、ダメージで歪んでしまった髪タンパク質の結合に働きかけ、髪構造を改善すると考えられています。最近では、傷んだ髪のタンパク質を補うだけでなく、トレハロースを配合することで残っているタンパク質の変性自体を防ぐシャンプーも開発されています。まだ残っているタンパク質に作用し、変性しにくくすることで、髪を内側から健康な状態にしてくれるそうです。2.CMC配合トリートメント剤でキューティクルを保護また、キューティクルがめくれあがったり剥がれると、髪ダメージにつながってしまいます。毛髪には水分子を含むタンパク質層と脂質成分(主にセラミド・コレステロール・脂肪酸)からなるCMC(細胞膜複合体)と言われる水分保持機能を持つ組織があり、このCMCがキューティクルの細胞同士を接着する役割を果たしています。CMCがダメージによって壊れてしまうと、キューティクルに浮きやはがれがおこり、タンパク質が流出しやすくなってしまいます。パーマやカラーをしたらCMC配合トリートメント剤でCMCを補うことが重要なのだそう。3.良質なタンパク質を食事から摂取髪の材料となるタンパク質は食事でしっかり摂ることが大切。なぜなら、人間の 体は20種類のアミノ酸で構成されていますが、必須アミノ酸と呼ばれる9つのアミノ酸 は体内ではつくりだせないため、食事から摂取する必要があるそのです。4.良質な睡眠をとる食事から摂ったタンパク質はアミノ酸に分解され、体内に吸収されます。吸収されたアミノ酸からしっかりタンパク質を合成するためには、良い睡眠が必要不可欠です。夜10時から深夜2時までが美容にとってのゴールデンタイムと言われています。この時間に睡眠をとると、成長ホルモンが分泌され、新陳代謝を活発にし、疲労を回復させ、肉体を再生させます。日中に食事から摂ったタンパク質もこの時間に合成され、傷んだ細胞が修復されるそうです。 ■「タンパク質美容」におすすめの商品傷んだ髪におすすめなのは、トレハロースを配合しているヘアケア商品。ユニリーバ・ジャパンの「ラックス バイオフュージョン」シリーズが挙げられます。 乾燥した砂漠でも枯死することがない奇跡の植物ローズ・オブ・ジェリコの再生メカニズムに着目し、その抽出成分トレハロースを配合しているそうです。タンパク質に働きかけて、失われた結合を補うことで、 タンパク質の立体構造をより適切な状態に導くのだそう。タンパク質のゆがみを防ぐことで、傷んだ髪に生命感を呼び覚ますヘアケア商品です (詳細はこちらから) 。年を重ねるうちに目に見えて衰えていくのが髪や肌のハリ・ツヤです。逆に言うと、これを改善すればぐっと若く、美しく見えるのだから、まっさきに取り組みたいですよね。タンパク質に着目した最新の美容法「タンパク質美容」を、みなさんもはじめてみてはいかがでしょうか。・タンパク質美容推進委員会 公式サイト
2013年04月04日