明日1月27日(水)に発売される『FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号』では、中村憲剛氏とつながりが深い方々にインタビュー。その企画のひとつとして行われた、かつてのチームメイトである伊藤宏樹氏(現・川崎フロンターレ強化部)との対談は関係性の深いふたりの歩みがわかる貴重なトークとなっている。今回、誌面の都合により、本誌ではカットせざるを得なかった未公開部分を特別に掲載。兄弟のように強い絆で結ばれたふたりのクロストークをお楽しみあれ。――ふたりがチームメイトだったときは、どんな話をすることが多かったのですか?中村憲剛(以下、中村)「本当にずっとしゃべっていたよね。だから、いつ、とかではなく常に、だよね」伊藤宏樹(以下、伊藤)「うん、何をしゃべっていたかが分からないくらいに(笑)」中村「アウェイのときに宿泊するホテルでも、普通に部屋に行って話していた。今はあり得ないけど、本当にずっとベッタリだった」伊藤「ね。でも、試合になれば、いつも喧嘩していた」中村「そうそう。ちなみに俺ら、仲良くはないんですよ?(笑)」伊藤「憲剛は俺しか文句を言える人がいないから、こっちにばっかり言ってくる」中村「みんな先輩だったから(笑)」伊藤「当時、ボランチなのに、まあ守備はしないし、ポジショニングはめちゃくちゃで(笑)。だからこっちも言うけど、でも、それがたまにいいチャンスになるし、(当時監督だった)関塚(隆)さんもそれを褒めるんですよ。それで憲剛は伸び伸びやっているから、こっちは(守備面などの)文句を言って、喧嘩をするわけです。そうしたら、だんだん憲剛が成長してくるにつれて、賢いから的確なことを言うんですよ。すると、こっちも言い返せなくなって、グーってなって、とりあえず『うるせえ!』となる(笑)。そういったやり取りが多かったかな。でも、昔はそんなことがおもしろかったけどね」中村「こっちとしても言い負かしているというか。この人ね、リアクションはそんなに多くないんですよ。我慢して、我慢して、最後に『うるせえ!』と言う。あとは『取れよ!』とか。まあまあな口を……」伊藤「そんな言い方ですよ。もう、昔は(笑)」中村「こっちも『宏樹っ!』とか、呼び捨てにしていて(笑)。だからシーズン最初のキャンプのときに、それをやると新加入(の選手)が『えっ?』ってなっていたよね(笑)。普段にしても好きなものや趣味も全部、違うからね。馴れ合うような仲の良さじゃない」伊藤「うん」――それなのにアウェイのホテルなどでも一緒にいられる理由とは?伊藤「何だろうね、あれ。バスや新幹線でも隣だったし」中村「居心地がいいから。何を言っても大丈夫という安心感。たぶん。失礼な後輩ですよ。今、思えば」伊藤「失礼極まりない後輩だよ(笑)」中村「極まりない(笑)。だけど、昔からのフロンターレのサポーターは結構、知っているよね」伊藤「ふたりのつながりで言うと、僕が(2013年に)引退するときに、憲剛は二人組(の練習相手)や隣に座る人がいなくなってさみしいんだろうなという話をしていたんだけど、この間、憲剛が引退するときに、(小林)悠が全く同じ話をしていたから『ああ、歴史っておもしろいな』というのは、個人的には思ったね」中村「だって大変だったよ。“宏樹ロス”……」伊藤「長くやったら、そうなるんですよ。やっぱり悠も憲剛と長く一緒にやって、そういう関係になった。それでまた、何年後かに悠が何を言うんだろう、というのは思います」中村「宏樹さんの引退VTRを、当時、妻とずっと見ていてふたりで泣いていましたもん(笑)」伊藤「あはは(笑)」中村「うう……いなくなるって……。だから結構、大変だった。2014年から悠がそういう存在になるまでは本当に。要は、宏樹さんがやっていた役割を俺がやって、俺がやっていたことを悠がやらなくてはいけなくなったから。本当はタサ(田坂祐介)だったんですけどね、俺のなかでは。宏樹さん、俺、タサで、いつも3人一緒だった。だから、つなげていこうと。だけど、あいつ(田坂)はドイツに行ってしまった(笑)」伊藤「そう」中村「だから、後継者を探さなきゃいけなくなってしまった。タサは今も仲がいいし、俺と宏樹さんみたいな感じだけど、でも、いなくなっちゃったから、当時は慌てましたよね」伊藤「あれは慌てたね(笑)」中村「せっかく宏樹さんがフロンターレの先輩から受け継いできたものを、俺もちゃんと受け継いで、それをタサにつないで、(その次は)悠と決めていたのに、いなくなったから結構大変だったよね」(写真左より)中村憲剛、伊藤宏樹――確かに、考えると中村選手と小林選手の間が、世代的にも少し空いている感じはあります。伊藤「年齢的にね」中村「タサやタニ(谷口博之)だったんだけど、間にいた選手は全員、菊地(光将)も横山(知伸)も移籍しやがった(笑)」伊藤「しやがったって(笑)」中村「だから俺が頑張んなきゃいけなかったんですよ。宏樹さんがいなくなって、いかに宏樹さんが、あらゆる日陰の仕事をやっていたかがわかったから」伊藤「それ、もうちょっと大きな声で言ったほうがいいよ(笑)」中村「(笑)。要は、俺と宏樹さんは“表と裏”ではないけど、俺が表面をやって、宏樹さんが裏面のマネージメントというかチームの雰囲気作りを含めて、いろいろなところに目を届かせてくれていたことに初めて気付いた」伊藤「俺らはチームキャプテン・ゲームキャプテンみたいな感じで別れていて、ふたり(の間)では『ふたりで一人前だな』みたいな自覚があった。お互いにないところを補いながらね。そういうのも含めて、僕が引退してからの憲剛には注目していましたけど、そこからの憲剛の歩みは成績にも出ていますけど、周りに伝えることを含めて後輩たちを育ててきたところがあるし、今のチームを作り上げるためにすごく貢献したと思います。本当にすごいと思いますよ」――“世代をつなげていく”話は、昔からそういうふうに話していたんですか?中村「昔からですね。『そこの木の“幹”をちゃんと太くしていかないと』という話はずっとしていた。だけど、自分ひとりではできないから、育つのを待つしかなかった」――宏樹さんは自身の引退後のことはどう考えていたんですか?伊藤「あまり考えてはいなかったですけど、自分の引退は関係なしに、ターニングポイントとしては、風間(八宏)さんが2012年に(川崎フロンターレに)来て、やるサッカーが明確になったことで、憲剛も楽しそうにしていた。そこを突き詰めたことが、今のこのスタイルになったところもあるし、そこについての心配はしていなかったです」中村「サッカー的なところはね」伊藤「うん」中村「振り返れば、最初は、サッカー自体も風間さんになって『大丈夫か?』みたいになっていた。でも、最初のサンフレッチェ広島戦で、俺のアシストから宏樹さんが先制点を取ったんですよ。不慣れな右SBで宏樹さんが珍しくいい動きをしていてさ」伊藤「あれ、面白いよね。本当に最初の試合で、みんな(従来の)ポジションと違うところをやっていて。ある意味、今までのフロンターレの概念みたいなものを壊して、一つでもいいプレーができればみたいな感じでやった試合だった。それで、あの得点が取れた」中村「あの1点は、今のフロンターレのベースの本当に第一歩になったから。あのゴールを俺と宏樹さんで取ったというのは、歴史的には非常に大きかったんじゃないかなと、改めて思いますけどね。……うれしそうだな、おい宏樹っ!(笑)」伊藤「『何で、お前があそこにいんねん!』みたいな感じだったんですけどね(笑)」中村「本当にそういうゴールだった。連戦がスタートするなか、風間さんになってからの新たな船出。『大丈夫かな、フロンターレ?』となっているときの1試合目。その試合はボッコボコにされるんですけど(笑)、それでもあの1点を俺と宏樹さんで取ったというのは『あ、これでやっていける』みたいな思いはありましたからね」(明日1月27日(水)7:00配信の未公開記事後編に続く)取材・文:林遼平撮影:佐野美樹FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号川崎フロンターレとサッカー人生を歩んできた中村憲剛のバンディエラの矜持に迫ります。1万文字にもおよぶ本人のロングインタビューはもちろん、ピッチの外から見届けた天皇杯決勝のラストゲームにも密着。小林悠、家長昭博、大島僚太、谷口彰悟、登里亨平らチームメイト、恩師、クラブスタッフにもインタビュー。サッカー漫画『GIANT KILLING』の漫画家・ツジトモによる中村憲剛の描き下ろしイラストやスキマスイッチ・常田真太郎からのメッセージ、よき理解者である伊藤宏樹との対談も掲載。タイトル:FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号発行:ぴあ株式会社発売:2021年1月27日定価:1,500円(本体1,364円)判型:B5判・96ページAmazon: 楽天ブックス: 書店、ほかネット書店にて詳細はこちら:
2021年01月26日2021年1月17日放送の、情報番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)に元プロサッカー選手の内田篤人さんが出演しました。同月11日に行われた、『第99回全国高校サッカー選手権』の決勝に応援リーダーとして出演した内田さん。新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の感染拡大防止のため、無観客で行われた決勝戦についてこのように想いを語りました。こういう強いチームになってくると部員数が200人くらいいるんですよ。そうすると、ベンチに入れない180名くらいはスタンドで観ることになるんですね、普段は。でも、今回はそういうこともできずに、各高校で観たりとか。何より、お父さんお母さんがスタンドで観れないことがかわいそうだなって思いましたね。まあ、仕方ないんですけどね。ワイドナショーーより引用決勝戦が無観客で行われたことは「仕方がない」としながらも、子供たちの雄姿を直接見ることのできなかった親の気持ちを考え、かわいそうだと発言した内田さん。無観客で行われた決勝戦についてネットからは、さまざまな声が上がりました。・本当にスタンドで応援したかった親の気持ちを考えると切ないよな。仕方がないこととは思うけれど。・無観客で行われていたので、選手たちの声が響いて、静かな熱い大会でしたね。来年こそは、スタンドで家族や仲間が声援を送れるようになってほしい。・スタンドで直接見れず、とても悔しかった。来年こそは、大声援を送れたらいいな。・コロナ禍の中、うまくいかないことも多かったはずだけど、頂点を決めるに相応しい、素晴らしい試合でした。来年はスタンドで応援したい!頑張る我が子や、チームメイトへ向けて大きな声援を直接届けたかったという人も多いでしょう。1日も早く、コロナウイルスが終息する日が来ることを願わずにはいられません。[文・構成/grape編集部]
2021年01月17日「全部隙がない、文句の付け所がない」というサントリーサンゴリアス新キャプテン中村亮土の言葉が理解できる。1月6日、『ジャパンラグビートップリーグ』サントリーへ新加入したボーデン・バレットの記者会見が行われた。オールブラックス88キャップを誇る2016・2017世界年間最優秀選手にも輝いた壇上のスーパースターは、スマートな佇まいで柔和な表情を湛えつつ真摯に質問に答えていったのだった。「日本に来られてうれしい。家族も快適に過ごしている。『トップリーグ』開幕を非常に楽しみにしている。サントリーのスタイルであるアグレッシブなアタッキングラグビーは自分に合っているので非常に楽しみ。プレシーズンマッチ2試合に出たが、そのスキルレベルの高さに驚いた。自分もまだ成長できるので、スキルを磨いていきたい」(写真左より)土田雅人シニアディレクター、ボーデン・バレット土田雅人シニアディレクターも、スーパースターが加入した喜びを次のように口にした。「ボーデン・バレットという頼もしい仲間、名実ともに世界ナンバーワンの選手を迎え入れて非常に光栄。グラウンドの上だけではなく、練習での態度や日々の生活も素晴らしい。現行の『トップリーグ』のスタイルは今季まで、来季には新リーグがスタートする。これまで東芝と最多タイとなる5度優勝してきたが、彼の活躍によって6回目の優勝を決めて有終の美を飾りたい。多くの人に彼のプレーを見てもらい、新型コロナウイルスで大変な日本を少しでも元気にしたい」日本行きを決めた理由を問われると、バレットは「『ラグビーワールドカップ2023』でプレーすることを逆算して決断した。ニュージーランド協会との話し合いで1年間のサバティカル(長期休暇)を許してもらったので、日本でプレーする選択をした。フランスでプレーするチャンスもあったが、これまで何度か来日し、昨年の『ワールドカップ』でも日本の印象が良かったので決めた」と説明した。さらに土田シニアディレクターが「日本に6回、昨年は『ワールドカップ』で40日以上過ごした中で、日本のおもてなしや食事、人間性を非常に気に入ったよう。金額は言えないが、おそらく金銭的にはフランスの方が高かったと思う。また『トップリーグ』でもラグビーの質が落ちないというのも大きかったのでは」と補足した。日本ラグビーの印象についてバレットは「日本のラグビーは世界でもいい位置にいる。オールブラックスの仲間からもスキルレベルが高く、インテンシティ(強度)が高いと聞いている。これから若い選手たちが成長していく姿を見ていきたい」と答え、サントリーの選手の印象については「サンゴリアスには才能のある選手が揃っている。中村のフィジカリティには驚いている。齋藤直人、中野将伍という若くポテンシャルが高い選手もいる。彼らの将来が楽しみ」と口にした。スタンドオフ(SO)か、フルバック(FB)、どちらのポジションを好むか質問されると、バレットはこのように返答した。「一番は10番でプレーしたい。10番はスクラムハーフ(SH)とのコンビネーションはもちろん、センター(CTB)やウイング(WTB)ともコミュニケーションを取り、ディビジョンメイクしていかなければならない。プレッシャーのかかった状態でいい解決策を導き出していきたい」SOでどんなプレーを見せるのか聞かれると、「予測できないプレーをファンにお見せしたい。ラン、パス、キックから自分がどんなプレーを選択するのか見てほしい」とコメントした。12月26日・東芝ブレイブルーパス(49-14で勝利)、1月2日・パナソニック ワイルドナイツ(21-7で勝利)のプレシーズンマッチ2試合の手応えを問われると、「週末のパナソニック戦ではディフェンスラインにスピードがあり、自分たちはなかなか前へ出られなかった。まだプレシーズンなのでボールを早く回し素早くリサイクルするスタイルでやっているが、シーズンが開幕したらアジャストしてスマートにキックを使うこともしていかないといけない」と今後の課題を語った。対戦を楽しみにしている選手、チームはという質問には「対戦したい選手のトップ3はブロディ・レタリック(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)、TJ・ペレナラ(NTTドコモレッドハリケーンズ)、ベン・スミス(神戸製鋼)。チームとして対戦したいのは神戸製鋼、パナソニック」と返答した。今後のプランについては「目の前の目標である『トップリーグ』優勝と『ワールドカップ2023』出場という目標がある。選手としてもっともっと改善していきたい。今回プレーするのは1シーズンだけかもしれないが、将来的に日本へ戻って来てプレーしたいという気持ちはある」と明らかにした。さらに来週に迫った開幕戦へ向かうコンディションは整ったかという問いにも、「イエス。スターターでプレーしたいという思いはある。もうすでにトヨタ戦の準備を進めている。ぜひ先発でプレーしたい」と希望を口にした。記者会見の質問はピッチ外にも及んだ。新型コロナウイルスを抑え込んでいるニュージーランドから日本へやって来て不安はないか聞かれると、「選手としてチャレンジングなシチュエーションでも自分がいかに対応するかを常に考えている。アジャストしていく自信はあるし、アジャストする責任を全うしたい」とキッパリ。謙虚な性格はどのように培われたか問われると、「退屈でおとなしい印象かもしれないが、オンとオフは切り替えていきたい。今後、チームメイトとプレミアモルツで乾杯できれば」と笑った。また、好きな日本食は「刺身、寿司、とんこつラーメン、焼肉が好き。日本食の新鮮さに驚いている。チームメイトたちに誘ってもらっているが、コロナでこういう状況なので外食できていない状況だが」と答え、覚えた日本語をリクエストされると「お願いします、ありがとうございます、おはようございます。現在次回はもっと面白い日本語を披露できるように準備したい」とユーモアを交えて返した。グラウンド外でもジェントルマンで完璧なバレットだが、彼が最も輝くのはやはりグラウンド上だ。18年目の最後の『トップリーグ』は1月16日(土)にいよいよ開幕する。1月16日(土)・豊田スタジアムでのトヨタ自動車ヴェルブリッツとの開幕戦のチケットは発売中、1月24日(日)・駒沢オリンピック総合運動場 陸上競技場でのクボタスピアーズ戦のチケットは車いすエリアを残すのみ。秩父宮ラグビー場で行われる1月30日(土)・NTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦、2月6日(土)・東芝ブレイブルーパス戦のチケットは1月6日(水)午後11時59分まで先行抽選受付中、1月15日(金)午後6時より一般発売。グラウンドで躍動するサントリーサンゴリアスの背番号10を見逃すわけにはいかない。チケット情報関連記事
2021年01月07日川崎フロンターレひと筋18年の“クラブの象徴”、中村憲剛選手が現役引退を電撃発表したのは、大怪我から復帰し、40歳となる誕生日にゴールを決めた翌日。いま明かす胸の内とは……。無観客試合の味気なさ。コロナ禍で痛感したのは…。――シーズン中の引退会見は、我々が度肝を抜かれました。僕にとっては前々から思っていたことで、先輩である伊藤宏樹さん(現在、川崎フロンターレ強化部スタッフ)の引退も考えるきっかけのひとつになりました。宏樹さんは、僕が33歳の時に引退されたのですが、その発表をホーム最終戦の週初めにされたんです。僕たちは報告を受けて、気持ちを無理やり整理して試合に挑みました。結果は勝利こそしましたが天皇杯では負けてしまい、宏樹さんはドタバタしたまま退かれました。その様子を見て、チームメイトにも応援してくださる方々にも、お別れまでの気持ちの猶予みたいなものが必要だと思ったんです。また、今年改めてサポーターの存在の大きさを痛感したというのもありますね。無観客試合をスタジアムの上から観ていたのですが、何とも言えない味気なさを感じました。これまでサポーターがいて当たり前だったことが、実はそうではなかった。みなさんがいてこそエモーショナルな空間ができるのだと初めて思いました。ですから、ひとりでも多くの人に自分のプレーを見てもらいたい、そうじゃなかったら寂しいと思い、このタイミングでの発表となりました。――選手の方々の反応はみなさん同じだったそうですね。まずは絶句、次に「まだできるじゃないですか」の言葉でしたね。「そうだよね」や「おつかれさま」ではなく、そう言ってもらえるなんて、とても嬉しかったです。ただ、みんなが僕への思いもいろいろと話してくれたので、精神的にはこたえました(笑)。――中村選手も選手やクラブへの思いは相当あるでしょうね。僕は川崎フロンターレに拾ってもらったと思っています。最初はついていくのに必死でしたが、いつしか自分の立ち位置がわかるようになり、毎年すべてをクラブに捧げてきたつもりです。そこから、多くの人に「元気が出た」「勇気をもらえた」と言われるプレーヤーになれたのは、クラブおよび支えてくれたみなさんのおかげ。もう感謝しかないですし、これからはそれを還元していきたいです。なので、引退後もフロンターレを離れるつもりはありません。でも、クラブだけに携わるということでもなくて、まだ何も決まっていませんが、若い選手の育成や、Jリーグの普及活動もお手伝いしたいですし、ゲーム解説にも興味があります。今は指導者のライセンスを取っている最中で、将来的には監督も視野に。でもS級(最高位の指導者資格)を取るまでにあと3~4年はかかりますね。この仕組み、何とかしてくれませんか(笑)。って、これでは体がいくつあっても足りないですね。――ダメもとでお聞きします。現役復帰の可能性は、本当にもう1ミリもないのですか?本気で決断したことなので、それはないですね(笑)。自分を裏切ることになりますし、今はそのイメージは湧かないです。ともかく、これまで好きなサッカーを40歳まで続けたのは我ながらよくやったなと思います。そして、むしろここからだなと思っています。今まではいわば自分がメインで周囲を巻き込んでいましたが、これからはサポートや応援する側になりますから。自分なりにブランディングを考えていかなければいけない。でも、不安よりは期待のほうが勝っていますよ。第二の人生を思い切り楽しもうと思います。――とはいえ、現役生活はまだあります!(本誌発売日の)2日後は天皇杯の準決勝ですね。もちろん勝って、元日の決勝で優勝して引退できたら本当に幸せ。簡単ではないと思いますが、実現できたら、こんなに恵まれたサッカー選手はいないと思います。泣いても笑っても僕のラストになりますが、他の選手に余計なプレッシャーをかけたくないので、一選手として優勝を狙いにいきます。リーグ優勝も泣くかなと思ったら笑ってましたし、今回も笑って終えそうです。涙はきっと、グラウンドにひれ伏すほどに泣いたリーグ初優勝で枯れたのかな(笑)。なかむら・けんご1980年10月31日生まれ、東京都出身。川崎フロンターレ所属。ポジションMF。中央大学卒業後、同クラブ入団。幅広い視野と高度なテクニック、特にスルーパスが持ち味で、長年チームを牽引し3度のリーグ優勝に貢献、常勝軍団へと導いた。日本代表にも招集され活躍。2020年11月1日、今シーズン限りでの現役引退を表明。カメラマンがドリブルとシュートをいきなりリクエスト。「本当に怪我していたのかな、と思うくらい好調です。天皇杯は自分にとってラストの試合ですが、私情抜きに完全燃焼で頑張ります」。天皇杯準決勝は12月27日(日)、決勝は2021年1月1日(金)。クラブでは中村憲剛選手への感謝を込めて「One Four KENGO」プロモーションを実施中。※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。写真・藤尾真琴インタビュー、文・伊藤順子(by anan編集部)
2021年01月01日《text:桑畑優香》『パラサイト 半地下の家族』が米アカデミー賞4部門に輝き、女性監督の『はちどり』が日本でミニシアターを中心にロングランを記録するなど、今年、日本と世界で進撃を続けた韓国映画。2021年も話題作の日本上陸が続々決定している。中には今年大ヒットしたドラマで人気の俳優が出演している作品も。大作、社会派、コメディ、青春ドラマetc. 来年必見の多様で多彩な4本をピックアップした。壮大なるディストピアで生き抜く人々『新感染半島 ファイナル・ステージ』コン・ユが釜山行きの列車でゾンビと闘った『新感染ファイナル・エクスプレス』の4年後の物語。とはいえ、『新感染半島 ファイナル・ステージ』は、おそらく多くの人にとって、予想を裏切る(いい意味で!)はずだ。なぜなら『新感染半島 ファイナル・ステージ』が描くのは、完全なるアナザーストーリー。本作の舞台は、もはや現実社会でいうところの日常が崩壊した後の終末後の朝鮮半島だ。前作からさらにスピード感を増したアクロバティックなゾンビが恐怖を高める中、ヨン・サンホ監督ならではのヒューマン・ドラマはしっかり健在。軸となっているのは、ディストピアと化した朝鮮半島で生きるために抗う生存者一家の奮闘だ。監督に「彼の目から伝わってくる思いがあまりにも強烈で、つい引き込まれてしまう」と言わしめたカン・ドンウォン。そして「冬のソナタ」でヨン様の上司役で人気を博したクォン・ヘヒョが、生存者一家の祖父役でいぶし銀の演技を見せる。さらに、「美しき日々」でチェ・ジウ扮するヒロインの妹的存在の少女を演じたイ・ジョンヒョンが、家族を守るために体を張って闘う母親(!)役に。ダークカラーの服に身を包み、銃を手にする凛とした姿は、『ターミネーター』シリーズのお母さん戦士、サラ・コナーを彷彿させる。怖いのはゾンビのみならず、人間の渦巻く欲望。極限状態に置かれた人たちに残された未来は、破滅か希望か――。知られざる「闇の40日」を掘り下げる『KCIA 南山の部長たち』社会派サスペンスの真打が『KCIA 南山の部長たち』。韓国現代史最大の事件のひとつ、パク・チョンヒ大統領暗殺を正面から捉えた作品だ。「独裁者」「経済発展の立役者」といまも見方が大きく分かれるパク・チョンヒ大統領だが、本作が焦点を当てるのは単なる人物評価ではない。全編を貫くのは、「大統領に次ぐ強大な権力を持っていたと言われるKCIAのトップが、なぜ大統領を射殺したのか」というミステリー。1979年10月26日に至るまでの40日間に関わった人物の行動を掘り下げ、歴史の闇に肉薄する。特筆すべきは、「ミニマムな演出」だ。KCIAの部長に扮する主演のイ・ビョンホンも、大統領役のイ・ソンミンも、抑えたトーンのセリフと動作を生かしつつ、目や眉、唇の小さな動きで深い感情を表す。それが一層ひりひりかつジリジリと、誰もが知る歴史的な「暗殺の日」に向けて緊張感を高めていく。韓国映画評論家協会賞で作品賞と主演男優賞を受賞し、2021年開催のアカデミー賞国際長編映画賞韓国代表にも選出。まさに名実ともに今年の韓国映画界を象徴する作品といえるだろう。ユーモアたっぷりで心ほっこり『チャンシルさんには福が多いね』2020年の韓国は、女性監督が相次いでデビューした年だった。そのひとりが、『チャンシルさんには福が多いね』のキム・チョヒ監督だ。キム監督は、もともと『ハハハ』『ソニはご機嫌ななめ』『自由が丘で』などホン・サンス監督のプロデューサーを務めていたが41歳で辞め、今後に悩んでいた時に女優のユン・ヨジョンの映画での方言指導の仕事をゲット。それが「元プロデューサーが俳優の家で家事手伝いをすることになる」という本作の着想につながったという。映画はチャンシルさんがともに仕事をしていた映画監督が突然亡くなるところからスタート。職を失ったチャンシルさんは、年下の俳優ソフィのお手伝いさんとなり、ソフィのフランス語の先生(年下!)に心をときめかせ……。アラフォー女性の切ない物語かと思いきや、ちょっぴりとぼけたハートウォーミングなコメディだ。カン・マルグム扮する、のびのび自然体なチャンシルさんに加え、『ミナリ』でアメリカの賞レースで高い評価を受けた演技派ユン・ヨジョン、ランニング&トランクスで『欲望の翼』のレスリー・チャンのそっくりさんに扮するキム・ヨンミン(ご存じドラマ「愛の不時着」の耳野郎!)など、脇のキャラも立ちまくり。‘太陽のように輝く果実’という名前のごとくポジティブで明るいチャンシル(燦実)さんの姿ににっこり、ほっこり。かけがいのないものをひとつ失っても、それに代わるたくさんの福が実は身近にあるということを、気づかせてくれる。現実にもたくさんいる私たちの物語『野球少女』まず、冒頭に流れる文字に驚く。「韓国のプロ野球が始まった当時、医学的に男性でない者は不適格選手とされた。1996年の規約改定により、現在は女性もプロになれる」とある。つまり、女性もプロ野球選手になれるのだ。『野球少女』は、そんな女子にとって稀有なプロの世界を目指す高校3年生のスインが主人公。演じるのは、ドラマ「梨泰院クラス」のトランスジェンダーの料理長役でブレークした、イ・ジュヨンだ。天才少女と称えられ、韓国で高校野球20年ぶりの女子選手として注目されるスイン。ところが、憧れのプロ球団に指名されたのはチームメイトで幼なじみの男子だった。母や友達、野球部の監督からも夢をあきらめるように忠告され、女子だからという理由で入団テストを申し込むのもままならず――。監督が「シナリオを書きながら多くの人にインタビューをしたところ、現実にも大勢のスインが存在すると気づいた」と言うように、学生時代は男女平等だったはずが社会に出たら実は不公平というのは、日本でもあるあるな出来事。すなわち、『野球少女』は特殊なスポーツの世界ではなく、現実にもたくさんいる私たちの物語だ。真っすぐに夢を信じるスインの姿に勇気をもらえるのはもちろん、コーチのジンテのアドバイスも心に響く。そう、若者のみならずビジネスにも役立つヒントがちりばめられた、「NiziU」の生みの親J.Y.Parkの金言のように。(text:桑畑優香)■関連作品:チャンシルさんには福が多いね 2021年1月8日よりヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© KIM Cho-hee All RIGHTS RESERVED/ ReallyLikeFilmsKCIA 南山の部長たち 2021年1月22日よりシネマート新宿ほか全国にて公開© 2020 SHOWBOX, HIVE MEDIA CORP AND GEMSTONE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.新感染半島 ファイナル・ステージ 2021年1月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.野球少女 2021年3月より全国にて公開© 2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED
2020年12月25日今年ももうすぐ終わりですね。今週末から冬期休暇に入られる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今年はコロナ渦ということもあり、帰省や当初予定していたことを取りやめてご自宅でゆっくりされる方も多いかもしれませんね。そんな時間に、お子さんのサッカーに関連する記事をじっくり読んでみませんか。ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2020年に配信した全記事の中でみなさんの注目度が高かった記事をランキングでご紹介します。2020年に一番読まれたのは、小学生年代にも本格適用されることになった「新ルール」のほかに「判断力」や「運動能力」など保護者の皆さんの関心が高い記事がランクイン。ぜひいま一度ご覧ください。第5位育成の名門、三菱養和サッカークラブに聞いたサッカー上達につながる「判断力」の身につけさせ方お子さんに身につけてほしいスキルは?と聞くと必ず挙がる「判断力」。ですが、どうやって身につけさせればいいのかが分からないという声も。育成の名門、三菱養和サッカースクールの統括責任者を務める秋庭武彦さんに、子どもに判断力をつけさせるためにどうすればいいかをお伺いしました。記事を読む>>第4位「うちの子運動神経が悪くて」と悩む親必見!「サッカー以前」に必要な運動スキルとは運動ができる子と苦手な子の違いはなに?運動苦手なのは遺伝だからしょうがないの?外遊びや自然の中で遊ぶなど、身体を自在に使って遊ぶ機会が少なくなっていることもあり、いまの子どもたちはサッカーをするための基礎的な運動体験から得られる体力運動能力が低いのだとか。いわきスポーツクラブアカデミーアドバイザーでドームアスリートハウスアスレティックアカデミーアドバイザーの小俣よしのぶさんに、家庭でできる身体機能を整える運動などを教えていただきました。記事を読む>>第3位高校サッカー選手権優勝の静岡学園が、部員が多く1日2時間半程度しか練習できないからこそ身につけたタイムマネジメント術子どもの年齢が上がってくると関心が高くなることの一つが、時間管理です。勉強にサッカーに趣味に、上手く時間を使って欲しいと思う保護者の方は多いもの。強豪校のサッカー選手がどんなタイムマネジメントをしているのか知りたいという声もたくさん聞かれます。部員数が多いのにグラウンドが少ない。練習時間が限られるなか上手くやりくりして近年は現役東大生も生んだ静岡学園のタイムマネジメント術をご紹介。記事を読む>>第2位相手をつかんでまで止める、競り合いで負けると「死ね」と暴言を吐く子、どう指導すればいい?負けん気が強いのは良いけど、「負けたくない」という気持ちが強すぎて良くない方向に向かっている。試合中興奮すると相手をつかんでまで止める、競り合いで負けた時相手に「死ね」など暴言を吐いてしまう子をどう指導したらいい?というコーチからのお悩みです。熱くなりすぎたり暴言は良くないですよね。どのように指導したらいいのか、池上正さんがアドバイスを送ります。記事を読む>>第1位新年度から8人制にも本格適用! 新ルールをおさらいしよう!! <前編>小学生年代にも本格適用されている新ルールは、これまでとどこが変わったのか。ハンドやゴールキック、交代の位置など、大きく変わったポイントを紹介します。これまで「審判は石と思え」と言われ、審判員にボールが当たってもプレーは続行されていましたが、これからはドロップボールとなるのです。ルールの変更点を今のうちに勉強しておきましょう。記事を読む>>■おしくもランク外だった記事昌平高校を全国レベルに引き上げた藤島崇之監督が行う技術と思考力ある選手育成の裏にある「組織」の存在10数年前までは全国的に無名だった昌平高校を今や全国レベルの強豪校に躍進させた藤島崇之監督。短期間での飛躍的成長の背景には何があったのでしょうか。昌平高校に選手を送る育成組織の存在、選手のケガが劇的に減った理由などをお話しいただきました。記事を読む>>コーチに隠れて仲間が「キモい」と言ってくる問題「きもい」「おまえは消えろ」とコーチがいない時に言ってくるチームメイト。「言い返せ」と言っているが相手は口が達者で「口では勝てない」という。中学に行っても同じチームなので同じようなことが続くのでは、という心配と、もう6年生なので自分で解決しないといけない年齢だなぁという感情で揺れているお母さんからご相談をいただきました。皆さんならお子さんがそのような状況にあったらどうされますか?いじめ、暴言などに悩んでいたり、心配している親御さんもいるかと思います。ぜひご覧になってみて下さい。記事を読む>>◇◇◇◇◇◇◇◇◇これからも様々な情報を配信していきますので、2021年もよろしくお願いいたします。2019年の人気記事ランキングはこちら>>
2020年12月24日中村憲剛の偉大さはイベント名を見ても理解できる。12月21日に行われた引退セレモニーの正式名称は『おフロの恋人! LOTTE presents 中村憲剛引退セレモニー&優勝報告会』である。勝点83、26勝、88得点、得失点差57、2位に勝点18差、最少敗戦3試合などなど、記録尽くめで史上最速優勝を果たした川崎フロンターレの優勝報告会の前に、引退セレモニーと謳われているのだ。名前だけではない。2時間半ほどのプログラムの中で、鬼木達監督や谷口彰悟主将のあいさつなど優勝報告セレモニーは15分ほど。時間配分も大半は引退セレモニーが占めた。福田紀彦川崎市市長より市民栄誉賞が授与された (C)J.LEAGUE等々力陸上競技場に1万3000人を集めるなどセレモニーは異例の規模で行われたが、決して華美ではなかった。中村がどれだけクラブ・川崎市に愛され、中村がどれほどクラブ・川崎市に愛されていたかわかるあたたかいイベントであった。式はホームタウン活動で親交が深かった中原消防署や中原警察署、河川協力団体のとどろき水辺の楽校、フロンターレ算数ドリルで関わった川崎市立有馬小学校の関係者が感謝の言葉を並べてスタート。キングカズこと三浦知良をはじめ、川島永嗣、ジュニーニョなど盟友・戦友たちもビデオメッセージを送った。福田紀彦川崎市市長から市民栄誉賞が授与され、36名ものクラブOBも登壇した。さらに本人も登場。チームメイトからのメッセージ、家族からの花束贈呈、スキマスイッチ常田真太郎、SHISHAMOからのあいさつ、川崎市の小学生からの手作りシャーレのプレゼントなど、涙あり、笑いあり、感動ありのラインナップとなった。中村憲剛引退セレモニーに1万3000人が集った (C)J.LEAGUEエース・小林悠は涙ながらに「苦楽をともにした憲剛さんと初めて優勝した時を超える感動はこの先も絶対にない。一緒に抱き合って喜び合えたことが本当にうれしかった。憲剛さんがいなかったら、今の僕は絶対にないと断言できます。僕にとって大きな存在でした」と感謝の念を表した。長男・龍剛くんは「中村憲剛選手の18年間のサッカー人生は出来すぎでした。悲しい時も悔しい時もともに乗り越えてきた家族として、ありがとうと伝えたいです。引退、おめでとう。そして、ありがとう」と12歳とは思えぬクオリティの手紙を披露した。中村は集まったゆかりのある人々、チームメイト、クラブ関係者、そしてファン・サポーターに感謝の言葉を並べた。「みんながありがとうと言ってくれたけど、ありがとうと言いたいのは僕の方。何でもない大学生を拾ってくれたフロンターレには感謝しかありません。僕はフロンターレで学んだ。それは地域密着、『川崎市のみなさんを笑顔に、元気にする』こと。自分がただサッカーをやっていればいいという発想の人間だったら、ここまでプレイヤーとして続けられなかったと思うし、フロンターレもここまで大きくなることはなかったと思っている。本当にそういった意味でフロンターレに拾ってもらって心からよかったと思っているし、この18年間、本当に感謝の気持ちしかない。頼もしい後輩たちにフロンターレは任せて、僕は先のステージに進みたい。今日の景色は一生忘れません。本当に感謝しています。フロンターレ、最高です」胴上げの回数はもちろん背番号にちなみ14回 (C)J.LEAGUE場内一周では神輿にものった (C)J.LEAGUEチームメイトたちによって背番号と同じ14回を2セット胴上げされた中村は場内を一周。ファン・サポーターとの別れを惜しんだ。セレモニーを終えた後、中村は記者会見に登場し、「もう何だろ。すごいことが起きたんだなと。感情が揺さぶられて、心地よい疲労感で気持ちよかった。一生忘れられない光景がまたひとつ増えました。本当に引退するんだなと」と率直な感想を語った。さらに「夢見心地。今もフワっとしている。本当に感謝しかない。本当に幸せ者だなと。入れてくれたのもそうだし、ここまで大きく育ててくれたのもそう。僕も還元していかないといけない」と続けた。泣いたことを指摘されると、「泣かない方がおかしい(笑)。感情を揺さぶられすぎて、わけがわからなくなかった。みんなの思いがありがたすぎて。基本泣き虫だから、案の定泣きました」と頬を緩めた。チームを代表してメッセージを送る小林悠(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE小林からのメッセージについて質問されと、「いつ泣くかなと見ていたが、あいつにしか話せない話をしてくれたので、僕も感極まった。僕の方こそ感謝している。彼が優勝させてくれたんで」と言い、龍剛くんの手紙について問われると、「息子の文章力の高さにちょっと引いた(笑)。彼が息子であることを僕は誇りに思う。もちろん妻もふたりの娘もそう。4人がいなければ、僕はここまでがんばれなかった。心の底から感謝している」と振り返った。サッカーを志す子どもたちへメッセージも送った。「僕自身足が遅かったり、体が小さかったりと劣等感を持っていた。劣等感を武器に変えることで道が切り開けて、40歳までやれた。可能性に蓋をせずに、毎日毎日トレーニングしていけば誰でも必ず道は開ける。受け入れてくれる素晴らしいクラブが川崎にはあると伝えたかった」次なる夢の日本代表監督について、コメントを求められると、「過程を経て、タイミングが合って初めてなれるもの。そうなるには本当に勝たないといけないし、評価されないといけない。自分から目指しますなんて軽々しく口にできないが、目指すのは自由」と口にした。大いなる目標の前に、目の前に迫った目標がある。もうひとつのタイトル『天皇杯』である。次なる戦いに向けて、中村は「今日は感情を揺さぶられすぎたので、今日は切り替えられない。明日トレーニングがある。明日からしっかり切り替えていきたい。みんなとサッカーできるのもあと10日。まず準決勝に向けてしっかり準備をして全力で向かっていきたい。(国立での決勝については)正直そこまで考えていない。相手のあることなので、勝てる保証はどこにもない。準決勝、等々力でやるのは最後。そこで全力を尽くすことしか考えていない」とキッパリ。中村憲剛の勇姿が見られるのも最大あと2試合 (C)J.LEAGUE中村憲剛は、そして川崎フロンターレは12月27日(日)・等々力陸上競技場での『天皇杯』準決勝でブラウブリッツ秋田×福山シティFCの勝者と対峙し、1月1日(金・祝)・国立競技場での『天皇杯』決勝を目指す。準決勝のチケットは予定枚数終了、決勝のチケットは12月26日(土)午前10時より一般発売。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)チケット情報
2020年12月22日《text:SYO》ついに…いや、ようやく彼の時代がやってきた。仲野太賀、27歳。間もなく芸歴15年目に突入する若き演技派は、いま大輪の花を咲かせようとしている。映画好きを中心に、「外さない俳優」として支持されてきた仲野さん。10月クールのテレビドラマ「この恋あたためますか」や「あのコの夢を見たんです。」で新たな注目を浴びる彼の魅力を、改めて深堀りしていきたい。錚々たるメンバーの中でも際立つ存在感まずは、時計の針を2007年に戻そう。この年に公開された映画『バッテリー』は、林遣都の俳優デビュー作として有名だが、野球を志すチームメイト役で仲野さんも出演しているのだ。本作では、現在のどっしりとした演技につながる安定感ある芝居を早くも披露しており、再観賞すると「おお!」と思うはず。その後、2008年の映画『那須少年記』で初主演を飾り、『さんかく』(2010)や、ドラマ「黒の女教師」(2012)に出演。この「黒の女教師」、いま観ると千葉雄大、土屋太鳳、山崎賢人、広瀬アリス、杉咲花、中条あやみといった錚々たるメンバーが生徒役を演じている。そして…2012年に公開された『桐島、部活やめるってよ』で、仲野さんは頭角を現す。神木隆之介、橋本愛、東出昌大、山本美月、松岡茉優とこちらもすさまじいキャストだが、その中でも仲野さんはキーパーソンを演じているのだ。本作は、バレー部のキャプテンだった桐島が部活を辞めたことで、学内のヒエラルキーに異変が生じる物語。仲野さんが扮したのは、桐島の抜けた穴を埋めることになった部員。自らの才能が足りないことに悩み、「何とかしようとしてこの程度なんだよ、この程度なんだよ俺は!」と絶叫する姿が痛々しく、切ない。仲野さんならではの得意技として、「人生が思い通りにいかない弱者」を演じると、他の追随を許さないほどにハマる、というものがあるが、その特長を決定づけた1本でもあろう。ブレイクを経て、成長、進化…その後、『私の男』(2014)、『あん』(2015)、ドラマ「恋仲」(2015)などに出演し、活動の幅を広げていた仲野さんに、運命的な出会いが訪れる。それが、宮藤官九郎が脚本を務め、岡田将生・松坂桃李・柳楽優弥が共演したドラマ「ゆとりですがなにか」だ。この作品の中で仲野さんは、岡田演じる先輩を振り回すトラブルメーカーの“モンスター後輩”を憎たらしいほど見事に演じ切り、ブレイクを果たす。その人気ぶりは圧倒的で、スピンオフ作品「山岸ですがなにか」まで制作された(こちらも傑作なので、未見の方はぜひ)。その後、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した『淵に立つ』(2016)が公開され、コツコツと積み上げてきた「独立系の良作・力作に出続ける」部分と、知名度が融合。2017年には、映画ファンのお気に入り作として名高い『南瓜とマヨネーズ』で、現実にもがき苦しむミュージシャン志望の若者を切々と演じ、高く評価された。ドラマから映画と派生し、ヒットした「今日から俺は!!」(2018~2020)といった大衆作品にも出れば、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』(2018)や『タロウのバカ』(2019)、『MOTHER マザー』(2020)、『生きちゃった』(2020)といった攻めた作品にも出演し続ける。2020年は、なんと7本もの出演作が公開され、完全に覚醒した印象だ。中でも、2016年の『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』で組んだ佐藤快磨監督と再び顔を合わせた主演作『泣く子はいねぇが』(2020)での彼の演技は、圧巻。泥酔したあげくに不祥事を起こし、妻子に去られてしまった男が、数年ぶりに帰郷。七転八倒しながら人間として成長していく姿を、泥臭く体現した。大人になりきれず、未熟で、それでも前に進もうともがくどうしようもない人間らしさは、仲野さんにしか出せないだろう。そして、同時期に始まったドラマ「この恋あたためますか」と「あのコの夢を見たんです。」では、全く異なる演技を披露。後者は、南海キャンディーズの山里亮太による「妄想エッセイ」の映像化で、仲野さんは赤メガネをかけ、山里を好演。さらに、劇中劇(妄想)の中で、中条あやみや森七菜といった毎話交代するヒロインと、息の合った掛け合いを見せた。仲野さんと森さんは共演作が多く、本作「この恋あたためますか」、さらにはティファニー×ゼクシィのCMでも共演(これまた泣けるのだ)。「この恋あたためますか」では、森さんが扮するヒロインをめぐって、中村倫也演じる会社の社長と恋愛バトルを繰り広げている。お菓子作りにひたむきで、ヒロインを支える実直なキャラクターは、仲野さんの新たな“進化”を感じさせる。2021年も話題作に出演、もはや“無敵”の俳優にここまでは、現在公開&放送された内容。来年も、仲野旋風は収まらないどころかさらに拡大する。まずは、2021年2月11日に公開する『すばらしき世界』。日本が世界に誇る実力派監督・西川美和の最新作で、第56回シカゴ国際映画祭で観客賞と最優秀演技賞(役所広司)の2冠に輝いた力作だ。人生の大半を刑務所で過ごした殺人犯(役所さん)が、社会復帰を目指す物語だが、本作で仲野さんは準主役に抜てきされた。主人公を取材するうち、情が移ってしまう元テレビ番組の制作者をリアルに演じており、物語の“良心”として、さらには観客と物語をつなぐポジションとしても機能している。仲野さんを追ってきた身としては、万感の思いが込み上げてくるほどのベスト・アクトだ。ぜひ公開を楽しみにお待ちいただきたい。その翌週の2月19日に公開する『あの頃。』では、重度のハロプロファンをエネルギッシュに演じており、観る者を爆笑させるだろう。口やかましく、ひねくれ者で見栄っ張りだが、その実小心者でもあるという、なんとも憎めない男を好演。ホロリと泣かせる名演も披露しており、主演の松坂桃李(「ゆとりですがなにか」コンビだ)とも好相性を見せつける。今泉力哉監督に加え、『南瓜とマヨネーズ』の冨永昌敬が脚本を手掛けている点にも注目だ。2018年に、盟友・菅田将暉のオールナイトニッポンにゲストとして登場したとき、仲野さんはこう言っていた。「『共喰い』のオーディションで、俺は芝居さえ見てもらえなかったのに(菅田)将暉は見てもらえて、あっという間に主役ですよ。(中略)一番最初のジェラシーだわ、お前に対して(笑)」と。同エピソードでは、菅田将暉と染谷将太への嫉妬に苦労したと振り返っており、雌伏のときを過ごしていたことがうかがえる。しかし、だからこそ、人気がついてきた仲野太賀はもはや無敵。この先ますます絶対的な存在になっていくであろう彼の視界は、もう曇天でも向かい風でもない。どこまでも真っ青な晴天の下を、仲野太賀はひた走っていく。(SYO)
2020年12月22日「コロナ禍ではオンラインでご公務をされたりと新しい取り組みをしていらっしゃる。幅広い興味をお持ちですし、ご自身がやりたいことをなさっていただきたいです」雅子さま(57)の現状に、そうエールを送るのはご学友の清家ルリ子さん(56・旧姓村岡)。12月9日にお誕生日を迎えられた皇后陛下、雅子さま。本誌が清家さんにお話を伺ったのは、その翌日のことだ。「家が近所だったので、学校の行き帰りもずっと一緒でした」そう話す清家さんは小学3年から高校1年まで田園調布雙葉学園で雅子さまと同級生。さらに、中学時代は同じソフトボール部のチームメイトで苦楽を共にした仲。「ソフトボール部は私たちの代からなんです。雅子さまを含めたメンバーでつくろうと盛り上がり、中学2年生時に立ち上げました。3年のときには世田谷区大会で優勝しています。まぐれですけどね」創部わずか1年で優勝という快挙には、こんな裏話が……。「最後に残ったほかの2校はどちらも優勝候補で体格もよく、やじもすごかったんです。私たちはカトリックの学校で女子だけで育ってきているので、そういうのは全然、わかりませんでした。そこで初めてやじを学び、負けずにやじを飛ばして。そうしたら、相手チームもカッとして、逆にエラーをしたりして勝てたみたいなものです。どんなやじだったかは、ちょっと言えませんけれど(笑)」雅子さまがやじとは、いまとなっては驚きだ。その後、雅子さまのご留学などで頻繁に会えなくなってからも交流は途絶えず、清家さんの結婚式では雅子さまが介添え役をされた。「22歳くらいのときです。介添え役の雅子さまと私の歩く速度が速くて、司会の方に『もっと、ゆっくり歩いてください!』と注意されて、みんなに笑われながら2人で歩いたのもいい思い出ですね」取材中、時折、雅子さまを“オワ”(旧姓が小和田のため)と呼ぶ清家さん。懐かしさのあまり当時の呼び名が出てしまうようだ。親交の深さがうかがえるがそんな清家さんでも、雅子さまが29歳で皇室に嫁がれて以降はお会いできたのは数度。同窓会といった機会だという。印象深いのは、’09年2月に帝国ホテルで開かれたソフトボール部の“先生方を囲む会”。「顧問の先生が定年で辞めることになり、元部員が集まったんです。30人以上が出席し、雅子さまもいらしてくださいました。すでに雅子さまのご病気が報じられていましたのでご体調に触ってはいけないと、深く話はできない雰囲気でした。それに雅子さまもお気軽には皇室のことをお話しになれないでしょう。私たちも当然聞きません。世間話ばかりで雅子さまは聞き役に回られていました」それでも会話から愛子さまへの愛情を感じる瞬間があったという。「昔からずっとショートヘアでスポーティにしていらして、長い髪をしていたのはあまり見たことがなかったのですが、このときはロングヘアにされていました。それで私が『どうして、伸ばされたんですか?』と伺ったんです。そうしたら雅子さまが『娘に“私も髪を伸ばすから、お母さんも一緒に伸ばそうよ”と言われて、それで2人で伸ばすことに』って。私は子供がいないので、子供ってやっぱり本当にかわいいものなのだなと感慨深く思いましたね」’09年当時といえば、愛子さまは7歳。雅子さまと愛子さま、母娘のほほえましい日常が垣間見える。清家さんはその後も一度、同窓会でお会いしたというが、「皇后さまになられる前にもう一度お会いしたかった」と寂しそうに話す。「“皇后さまになられたら、きっと会えなくなるだろうから”と友達みんなで同窓会を2?3回ほど企画したんですけれど、ご多忙だったのかご体調のためなのか、雅子さまはいらっしゃることができず、企画は流れてしまいました。こちらはただお会いしたいだけでも、雅子さまが人とお会いになるためには、多くの人が動くことになるでしょうから、今後もやはり難しいでしょうかね……」最後に、皇后陛下としての雅子さまへの思いをこう語る。「大変なお立場でしょうし、何をやっても事前に相当勉強される方ですが、ゆっくりとしたペースで進まれてほしいと願っています」「女性自身」2020年12月29日号 掲載
2020年12月17日リーダーシップというと、以前は付いて来い!という強い人物像を描きました。今は仲間と協力しあえる、人のことを気遣うことができる、フォローし合える人のことだとサカイクキャンプのライフスキル講習では伝えています。サカイクキャンプではリーダーシップとは「相手の立場に立って行動できること」を念頭に子どもたちと接しています。キャンプを過ごす中で子どもたちがどう変わるのかを菊池健太コーチに聞きました。(取材・文:前田陽子)サカイクキャンプで選手同士話し合う姿■強いキャプテンシーから気遣いの人へ。リーダーシップ像が変わった「リーダーシップ」というと保護者世代のみなさんは、強い精神でみんなを引っ張る、組織の上に立つといった、強さや行動力、対人コミュニケーションに長けた人だとイメージする方もいるかもしれません。サッカーでいうと、うまい子がキャプテンのように指示を出すようなことを考えるかと思いますが、じつはサカイクキャンプに参加する子たちは、自分から前に出て思いを伝えることが苦手な子が多いのだと菊池コーチは言います。元日本代表の中田英寿さんや本田圭佑選手のような、強い意志で選手を鼓舞するようなリーダー像もありますが、現在のリーダーシップは協力し合え、人のことを気づかうことができ、互いをフォローし合える人だとサカイクキャンプのライフスキル講習では伝えています。1人でみんなを引っ張り、重責を一身に担うのではなく、自分の得意分野は精一杯頑張って、不得意なところはできる子に任せて協力して勝利を目指す、そんな人が現代のリーダーシップと考えているのです。元鹿島アントラーズの内田篤人さんも「プレイ中の気配りが大切」だと言っていましたが、近年はJFAのトレセンでも同様で足元の技術だけでなく、気配りのできる子が評価されています。菊池コーチはこんなエピソードを教えてくれました。以前、サカイクキャンプの練習中にコーチやトレーナーさんが重いジャグを抱えているのを手伝ってくれた子がいたそうです。その子はピッチの中でリーダーシップをとるような子ではなかったそうですが、そういうことも素晴らしいいリーダーシップだとコーチたちは考えているのだそう。「相手の立場に立って行動してくれることもリーダーシップだよ」と、みんなの前で伝えるとその子は嬉しそうな表情を見せ、同時に自信もついたようだったとコーチは振り返ります。自発的に行った行動を褒められ、認められて、「こういうこともリーダーシップなんだ」と気が付いたその子は、以降の練習中も少しずつ声が出せるようになったそうです。■思いは伝えなければ、伝わらない。そのために自信をつけるもちろん旧来の「言葉や行動でみんなを引っ張るリーダーシップ」も発揮できればいいのですが、できない子の方が圧倒的に多いものです。思いはあってもどう伝えたらいいのかわからないのです。でも、大人やまわりの人が行動や言葉を認めて評価することで、自信が付きます。そうすると自信をもってプレイができて、自信をもって話せるようになると菊池コーチ。些細な事でも認められる、受け入れられることで、その自信が人に思いを伝えることの糧になるのだそうです。ですが、すべてを褒めたたえればいいのではなくメリハリが必要なのだそう。「褒めて伸ばすことはいいと思いますが、今の子はどんなプレーでも褒められているので、その子の『特にいいところ』を指導者に伝えてもらっていないように感じます」と語るコーチ。「幼少期から始める子が多いので何となくサッカーはうまくできている子は多いです。キレイにボールもつながるし、サッカーの形はできています。けれど、そういった足元の技術だけでなく自分の考えを持ってプレイの意図は何なのか、『僕はこうしたい』ということを伝えることがサッカー選手には大切だと考えます。それを伝えることで仲間からも意見が出て、前向きな話にしようというコミュニケーションになります。リーダーシップもそうですが、まずは自分の思いを伝える力が大事だと思います」と、サッカーではボールコントロールだけではなく、自分の考えを伝えることが重要なのだと教えてくれました。■自分を知ることで自信がつき、積極的にプレイできるようになるサッカーの技術向上と自信はリンクします。サカイクキャンプでは、例えば守備の時に、積極的にボールに向かって行けたことを良かったと認めたうえで、「行き過ぎると抜かれるから、どこまで追うかタイミングがポイントだよ」などと具体的なことを示すそうです。すると子どもは、まず褒められたことで自信が付き、きちんと話を聞く耳が持てます。「頭の中で理解してトライ&エラーで続けてもらい、うまくいったところで褒めます。そこ子の判断を認めて、そのうえでチャレンジしようと言い続けることが大事」だと菊池コーチ。サッカーはミスの多いスポーツなので、ミスは当然あるもの。たくさんのトライ&エラーが子どもたちに自信を与えることができるのです。ライフスキルをキャンプに導入するにあたり、コーチたちはまず学ぶことからスタートしたそうです。どうしたら子どもたちが心からサッカーを楽しめるんだろう、どうしたらいきいきした顔で過ごせるのか、子どもたちが考えながらプレイするようになるのか、どういう風に声をかけると子どもたちにわかりやすいのか、その辺りの考えを深めていったのだそうです。以前はコーチたちそれぞれの感覚でやっていたことが、ライフスキルプログラムで共通認識ができたので、指導の中で同じワードが出てくるようになりました。そのおかげで、子どもたちも迷いなくキャンプを楽しむことができるようになったと感じるそうです。「今の子はみんな技術がすばらしい」と技術面で以前よりうまい子が増えているとコーチは言います。真似をすることが得意で、動画で見ているのかリフティングなどは低学年の子でも放っておいたらずっとやっているそうです。ですが、キャンプが始まってサッカーをやったらうまくいかない子も多いのだとか。リフティングなど、ひとりで行う自分の世界ではうまくても、サッカーは人と関わって成立するスポーツなので、足元でボールを扱う個人の技術だけでは不十分なのです。チームメイトがいて、対戦相手の仲間がいて、みんなで意見を出し合い勝ちに向かって協力する、本来のサッカーをサカイクキャンプで体験することができます。自分で考え行動すること、上手くいかなくても再度チャレンジする姿勢、周囲の状況を理解し、自発的に協力できることは、サッカーのプレーにもつながっているのです。家では親に甘えてしまって、指摘されるとふてくされてしまう子も、大好きなサッカーを楽しみながら過ごすキャンプでは、同じことをコーチに指摘されても素直に聞く耳を持てたりするもの。サッカーも普段の生活でも一回り成長してほしいなら、この機会にサカイクキャンプに参加させてみませんか?
2020年12月07日サカイクキャンプ独自のカリキュラム、サッカーを通じて社会を生きる力を育む「ライフスキル」プログラム前回はサカイクキャンプで身に付くライフスキルの中から「感謝の心」と「コミュニケーション力」を中心に菊池健太コーチにお話しを聞きました。いずれもピッチ上ではもちろん、学校など普段の生活でも必要な力です。具体的な言葉や方法を示すのではなく、自分で考えさせる伝え方をすることで、感謝の心とコミュニケーション力を引き出しつつ、考える力も同時に身に付けられます。(取材・文:前田陽子)サカイクキャンプでは練習中や試合のハーフタイムに子どもたちどうしで「何ができるか」「何をすればいいか」を話し合う機会がたくさんあります<<足元の技術習得より「ごめん」「ありがとう」が言える、人を気遣えることがサッカー上達につながる理由■サッカーができるのは親のおかげ。子どもたちはそう思っていますサカイクキャンプではまず「サッカーは何人でするスポーツ?」と聞きます。そして「誰がいるからサッカーができると思う?」と。すると子どもたちは「親」と口を揃えます。普段子どもたちが親に対して「サッカーをできること」についてお礼を言うことは少ないと思いますが、本当はちゃんと感謝しているのです。でも、気持ちは言葉に出して伝えなければ相手に伝わりません。サカイクキャンプのライフスキル講習では、伝えることの大切さも話しているので、キャンプから帰った時に親御さんに「ありがとう」が言える子になっているはずです。次に、サッカーをできる理由を問うと、一緒にプレーする仲間や審判の声が上がります。子どもたちは相手チームのことを敵と言いがちですが、敵ではなくサッカーをする仲間です。「相手がいないとサッカーはできないから、相手選手だよね」と話します。相手選手をリスペクトすることも感謝の心に通じます。相手選手と同時に大切なのがチームメイトです。子どもたちの中でもどうしても上手い下手で優位が付いてしまい、うまい子が全体を仕切ってしまうことがよくあります。その際には「サッカーを楽しむ権利は全員が持っている。唯一それがみんなに均等にあることでそれを奪う事は許されないことだよ」と伝えるそうです。「下手だからチームに入れないとか、Bチームだからあっち行っていろとか。少なからずまだこういう態度があるので、それは絶対にダメなことで、してはいけないことだ」ということをきちんと理解できるまで伝えると菊池コーチは教えてくれました。サカイクキャンプは、初めての子からトレセン活動の子まで誰でも参加できます。できる子に「サッカーはみんなで楽しむスポーツだから、誰かのミスをカバーしてあげることが大事。誰かのミスをつついているようでは勝つことはできないよね」と声をかけると、「よし、やろう!」と士気が高まることも多いのだとか。中には「あいつのミスじゃん、なんで俺がカバーしないといけないの」といった他責的な発言をする子もいるそうですが、「サッカーがうまい子は、このキャンプ以外の場所にもたくさんいて、その時々によっては君も"上手じゃない方"になるかもしれない。その考え方は間違っているよ」ということを言い聞かせるそうです。そして、そういった子をわざとうまいチームにいれてみたりするのだそう。そうるすことで考え方を変えてほしいし、サッカーの本質を理解してほしいと考えているからだと菊池コーチは言います。■コミュニケーションは"目的のために前向きな話をする"こと試合中に声を出してコミュニケーションを取ろうと言われても、どんな声かけがいいのか、どうしたらいいのか分からない子が多いのが現実です。「どんなコミュニケーションがあるの?」と聞くと、どうしても言葉にすることが多く出てきます。今年は新型コロナウイルスの影響で難しいですが、ハイタッチや抱き合って喜んでいるシーンなどの写真を見せて「これもコミュニケーションだよね」とコミュニケーションの方法は様々あることを伝えています。サカイクキャンプのコーチたちが考えるコミュニケーションは、目的のために前向きな話をするということ。何でもかんでも伝えていいよとなると、「おまえちゃんとやれよ」「今のボール取りに行けよ」「シュート決めろよ」など味方にダメ出ししてしまいがち。これもコミュニケーションのひとつと言えるかもしれませんが、後ろ向きでマイナスなこと。前向きな話をすると雰囲気も良くなって結果も良くなります。ですが、その際に具体的な言葉を教えることはありません。サカイクキャンプでは、試合のハーフタイムには必ずコーチたちが「どんな話をしようか」と声をかけます。負けているとマイナスな言葉が多くなるので、「うまくいかないなら逆転するためにどうすればいいだろう、何ができるかを話すといいよ」とアドバイスをすると前向きな会話が増えてくるそうです。ですが、残念なことに負けているとどうしてもあら捜しになってしまい、ダメだったところを見てしまう子が多いのだとか。子どもたちは、普段接している人が話しているように言うのでしょうね、とコーチたちは見ています。子どもたちが発する言葉を聞くと、「チームで結構厳しく言われているんだろうな」とか、周囲に前向きな言葉をかけられる子は「チームでもいい声をかけてもらっているんだな」というのはわかるものだそうです。子どもは体験からしか言葉が出ないので、周囲の会話の質が自然と身に付いてしまいます。親御さんたちにもいつもどんな言葉をかけているのかを、振り返ってもらえるといいかもしれません。キャンプでは「伝える」ことを大事にしていますが、それは声に出すことだけではありません。時に目線やしぐさ、アイコンタクトでのコミュニケーションをとることもあります。コーチから子どもたちへ親指を立てて「今のプレーはグッドだよ」とジェスチャーも。どの子もグッドサインを出してもらえると嬉しくて笑顔になるものです。高学年になるとコーチがしていることをマネしてくれるなど、コミュニケーションのレパートリーも増えていくことも多いそうです。■環境ができれば、子どもたちは自然とコミュニケーションをとるようになるキャンプで泊まる宿舎は、他の利用者も泊っています。施設内でほかの利用者に出会った際や施設の方へ「おはようございます」「こんにちは」など、コーチたちが積極的にコミュニケーションをとるところを見せることで、子どもたちも自然とあいさつができるようになるそうです。感謝の心にも通じますが、宿舎の人へ「ありがとう」が言えるのはとても喜ばしい光景です。うまくいかない事に対して前向きな意見を言うなど、自分のチームの戻ってからも発言できることを期待しているとコーチは言います。サカイクキャンプに来た時は引っ込み思案でもじもじしている子もたくさんいますが、3日間で確実に変わるそうです。子ども同士が慣れてくるというのもありますが、初日と最終日では全く違う表情、態度になると言います。最終日はずっと一緒にやっていたチームのような雰囲気になり、住所を交換して年賀状のやり取りをしたりする子たちもいるそうです。コミュニケーションは無理やり取らせるものではありません。どんなことをしたらいいかというヒントを与えてあげることが大事だと菊池コーチは言います。大人が環境を整えてあげれば子どもたちは自然とコミュニケーションが取れます。ですので、子どもがいろんな人とお話するようにあれこれ口をだしたり、演出してみたりする必要はありません。大人はあまり介入しないことが一番だとサカイクキャンプでは考えています。<<足元の技術習得より「ごめん」「ありがとう」が言える、人を気遣えることがサッカー上達につながる理由
2020年11月24日サカイクキャンプ独自のカリキュラム、サッカーを通じて社会を生きる力を育む「ライフスキル」のプログラムでは、子どもたちが生きていく中で必要なスキルとされる「考える力」「リーダーシップ」「感謝の心」「チャレンジ」「コミュニケーション」の5つの力をサッカーをしながら学べます。親御さんたちもライフスキルの概念に賛同してご参加いただいている方も多いのですが、では具体的にライフスキルが高まるとサッカーにどう影響するのか、まではいまいちよくわからない、という方もまだまだ多い様子です。そこで今回は、子どもたちを指導しているサカイクキャンプの菊池健太コーチに「ライフスキル」とはどういうものなのか、子どもたちがどう成長できるのかを聞きました。(取材・文:前田陽子)サカイクキャンプでコーチの話に耳を傾ける子どもたち■ピッチ上で仲間をフォローできる人が求められている以前は足元の技術など個人技を磨くことが推奨されましたが、今はチームにいかに貢献できるか、チームのためにプレイできるかが求められる時代。そのためには、一緒にプレイする仲間を知り、自分のことを仲間にわかってもらう必要があります。そこで必要になるのがライフスキルです。ピッチ内外で考え、サッカーができることに感謝し、いろいろなことにチャレンジして、コミュニケーションを取り、リーダーシップでチームを導く。技術の習得に比べて、パッと見て変化がわかることではありませんが、ここを磨くことで技術も向上していくのです。JFAでも"判断も含めてテクニック"と言っています。育成年代の選手たちに求めるスキルとして「仲間をフォローすることができる選手」を高く評価するとも言っています。元日本代表の内田篤人さんも、その判断力の早さ、仲間との連携意識やプレーの正確性に定評がありました。サカイクキャンプではこれからのサッカーや人生に必要なライフスキルを知り、体感することができます。■サッカーというスポーツの本質を知る「チームプレイであるサッカーは、勝つことを目的に仲間同士が互いをフォローするもので、それがサッカーというスポーツでフォローし合うことが当たり前であることを子どもたちに伝えています」と菊池コーチ。すると自然とミスをフォローするプレイが増えていきます。自分のタイミングでボールを蹴っていた子が、コミュニケーションを知ると仲間を思ったパスが出せるようになります。俺が活躍すればいいという、独りよがりのプレイが減っていくのです。サッカーはミスのスポーツであり、助け合いが必須です。ミスをしたら「ごめん」と謝ること、味方がフォローしてくれたら「ありがとう」とお礼を言えること。その瞬間に口にすることは難しくても、普段からごめんなさい、ありがとうが言える習慣が身に付いている子は、ピッチの中でも助けてもらいやすかったりして、結果として試合が上手く回るのです。親御さんたちはどうしても個人技のところに注目してしまい、何点取った、何人抜いたで褒めたり残念に思ったりしますが、子どもたちの中には目立たないけれど丁寧なパスが出せたりする子もいて、そんな子はとても技術が高いとコーチたちは評価します。菊池コーチは「足元の技術は後からついてきます。ボールを扱う技術は大事ですが、丁寧さや気遣いができる選手はすごいんです」とも。一概に技術と言っても個人のものとチームの中でのものの2種類があります。もちろん、どちらも伸びるといいのですが、まずはサッカーの本質であるチームプレイを学ぶことが小学生年代には大切だとサカイクでは考えています。■キャンプに参加することが、チャレンジの第一歩キャンプは初めての場所、初めての友達、初めてのコーチ。泊りで行くのは子どもにとってすごく大きなチャレンジです。これは大人でもなかなか難しいこと。まずはキャンプに行こうと決断した子どもの勇気を褒めてあげましょう。その上で、キャンプへの持ち物は自分で何が必要かを考えて判断させて持たせてください。サカイクキャンプでは支度から子どもに任せてほしいという思いもあり、細かく持ち物を提示していません。3日間必要なものを自分で考えてほしいのです。寒い時期ならピステ持ってくる子もいますし、洗濯するから少しでいいという子もいます。そういう様子を見ていると親御さんは手をかけずにやってくれているなと思います。反面、「一日目の上はコレ、下はコレ」とセットしたものを持ってくる子もいます。親御さんなりの子どもへのサポートかもしれませんが、そういった子は柔軟な発想ができず、2日目に雨が降ったりして、翌日分(キャンプの最終日)を着替えに使うと、最終日の朝に「もう着る服がない」と大騒ぎすることもあるのだとか。子どもたちが準備した上での忘れ物はコーチたちは想定済みです。シャンプーや洗剤などの細かなものから、サッカーに必要なボールなどもサカイクキャンプでも準備しているので、忘れ物をしても安心してください。もちろん、忘れ物をしない方が良いのですが、忘れてしまったときにどうするかが大事で、その過程をコーチたちはどう解決していくかを見守っています。レガースやソックスなど借りれるものならチームメイトに「貸して」と言えること、チームメイトが忘れ物をして困っていたら「貸してあげようか」と提案できること、そういったお互い助け合って協力することが大事なのです。そのようなことが自然にできるようになると、例えばボールを奪われそうな時など、ピンチの際に仲間にヘルプを求めること、味方がピンチの時は自分が助けに行くことなど、サッカーの動きにもつながっていきます。ピッチの外での行動が変わるとピッチの中の行動も変わります。ライフスキルが身に付くと、技術も伸びてくるのです。■キャンプに来た子どもたちは、必ず成長しますサカイクキャンプに参加する子には、すべてにおいて、自分で考えて行動できる子になって欲しいとコーチたちは考えています。サッカーもコーチや周り仲間に何かを言われてプレイするのではなく、自分の判断でプレイを選択できる子になってほしい。いずれ社会に出てからも自分の意見をしっかり持って、自分で考えて判断ができる、そんな子になってくれたらと思っています。そのために小学生の間はサッカーは自由で楽しいと感じてもらいたい。中学高校に行けば自然とサッカーも厳しくなり、社会人になれば仕事もしなくてはなりません。なので、根底に楽しさ、仲間と協力するすばらしさを蓄えてほしいと考え、コーチたちは子どもたちと接しています。
2020年11月17日肩肘張らないローファイな感覚が今っぽさを醸すネオ・ソウル・バンド、yonawo。自主制作でリリースした音源に、SNSで川谷絵音や小袋成彬が反応を寄せるなど、デビュー前から注目を集めていた。昨年、メジャーデビューを果たし、待望のフルアルバム『明日は当然来ないでしょ』をリリースした。「最初は、とくにコンセプトも決めてなかったんです。ただ、みんなでアレンジをあれこれ作っていく中で“浮遊感”みたいなものがあるなと感じて。それは落ち着かない不安定さというより、なんだか居心地のいい、気持ち良さのあるふわふわとした感じ。それをアルバム全体から感じてもらえたら」(荒谷翔大・Vo)彼らの代表曲でもある「天神」などボーカルの荒谷が高校生の頃からストックしていた楽曲だけでなく、新たに書き上げたものも多い。メンバー同士でじっくり吟味しながら、はじめてのアルバムの一曲一曲を選んだそう。「僕らのグループラインがあって、ふだんからそこでくだらない話から音楽のことまでいろんな話をしています。今回、コロナの自粛期間もあったので、動画を添付して“こういう感じ、どう?”“いいじゃん”って話し合って。集まれなくて困ったけど、逆にそれぞれが制作にじっくり向き合えたから、それはよかったかなと思ってます」(斉藤雄哉・Gt)荒谷と斉藤は中学時代からのサッカークラブのチームメイトで、メンバー全員が高校時代からのつながり。バンドである以前に、そもそも気の置けない友達同士であることがyonawoのリラックスしたムードを醸し出しているのかもしれない。「高校生の時に、荒ちゃんの歌詞とか耳なじみのいいメロディ、持っている壁のない世界がいいなってはじめて思って。それをずっと共感していたいと思ってたどり着いた先が今です(笑)」(野元喬文・Dr)「今だってみんなで騒いでいる時がいちばん盛り上がる(笑)。僕たち、福岡に住んでいるので東京で仕事があると1台の車に乗って移動するんです。車中では、お互いのおすすめの曲をかけたり、全員が好きなアークティック・モンキーズを熱唱したり。そういう時間が楽しいから、福岡に住んで自分たちらしく活動をする今のスタイルを大事にしたいなと思っています」(田中慧・Ba)ジャケットのアートワークは野元が描いたものをベースに一般に公募して選ばれたもの。『明日は当然来ないでしょ』【初回限定盤(CD+DVD)】¥3,600【通常盤(CD)】¥2,800(WARNER MUSIC JAPAN)ヨナヲ写真左から、野元喬文(Dr)、田中慧(Ba)、荒谷翔大(Vo)、斉藤雄哉(Gt)。2018年結成。自主制作した2枚のEPはいずれも入荷即完売に。’19年に配信限定シングルをリリースし、メジャーデビュー。野元さん・ジャケット、パンツ(共にカズキナガヤマ)靴(ブローム) 以上スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575インナー(カーリー/サカス ピーアール TEL:03・6447・2762)田中さん・ジャケット(サウル TEL:080・1687・0445)スウェット(レザー アンド レース TEL:050・1499・3704)パンツ(シンヤコズカ/エムエイティティINFO@THE-MATT.COM)靴(フット・ザ・コーチャー/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)荒谷さん・Tシャツ(ピッツ TEL:03・6447・4324)パーカ(ネーム TEL:03・6416・4860)ジャケット(レザー アンド レース)パンツ(サバイ/ヘムトPR TEL:03・6721・0882)バングル(ヨハン シルバーマン/ティーニー ランチ TEL:03・6812・9341)リング(キュイエール アン 925/シャポリエ クール TEL:06・6202・3730)斉藤さん・ジャケット、パンツ(共にワイ.オー.エヌ./スタジオ ファブワーク)スウェット(レザー アンド レース)靴(セブン バイ セブン/サカス ピーアール)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年11月18日号より。写真・井手野下貴弘スタイリスト・市野沢祐大(TEN10)取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年11月12日このたびサカイクでは、これまでよりさらに読者の皆様に寄り添ったコンテンツを提供するため、リアルな読者の声を聞く場を設けました。今回は読者の生の声を聞く『オンライン座談会』を開催しました。参加者のみなさんは、お子さんのサッカーについて様々な悩みをお持ちで、サカイクのコーチ陣が質問やお悩みに回答させてもらいました。ここでは、その一部を紹介します。「これは私と同じ悩みだな」「こんな考え方もあるんだな」など何かを感じて、少しでもお役に立てたらうれしいです。(構成、文:鈴木智之)サカイクコーチが読者のご相談に回答しました■「戦力外通告」受けているチームから移籍した方が良いの?【お父さんからの質問】(小3、街クラブ所属)息子は小学3年生で、来年度に向けて、チームの選手コースを目指しています。現状は、チームの選抜にギリギリ選ばれたり、外れたりする状況です。本人は4年生になっても、そのチームで友人と一緒にサッカーをしたいと言っていますが、コーチからは「戦力として見ていない」と言われています。また、コーチにびびって気軽に話せないことがあり、コーチとの関係性を築けていないようです。親としては、その状況で来年も同じチームに行かせるかどうか悩んでいます。コーチに厳しめに見て貰えているのはありがたいことなのですが、ちょっとしたことで交代を命じられたり、先発からベンチに変更させられることがあります。その状況下でサッカーを続けて、本当に楽しめているのかな? と思うことがあります。他のチームを探すべきでしょうか?【サカイクコーチの回答】私の子どもも似た境遇だったので、お気持ちはすごくわかります。私の子は小学校低学年のときにスクールでサッカーを始めて、3年生のときに選手コースに選ばれました。最初ははりきっていたのですが、次第に「行きたくない」「足が痛い」と言い出すようになりました。よくよく聞いてみると、コーチにプレーのダメ出しをされることが多く、プレッシャーからサッカーを楽しめなくなっていたのです。私はそこで「もしクラブを辞めたかったら、辞めてもいいよ」と言いました。親としては、子どもがいきいきと楽しんでサッカーをすることが、何よりも大切だと感じたからです。ただし、「クラブを辞めさせることが、はたして正解なのだろうか?」と、たくさん悩みました。そこで思ったのが、「小学生のときに、プレッシャーを感じながらサッカーをすることの是非」です。サッカーを続けるのであれば、中学、高校とカテゴリーが上がるにつれて、嫌でもプレッシャーはついて回ります。だからこそ、何も小学生の時から、厳しい環境でサッカーをしなくてもいいのではないかと思ったのです。最終的には子どもの意見を尊重し、クラブを辞めることになりました。そのことをコーチに伝えると「逃げるのか?」と言われたり、周りの保護者からは「一緒にやろう」と言われましたが、サッカーが嫌いになることが一番良くないことだと思ったので、そのクラブを辞めて、別のクラブを探して入りました。その甲斐があり、いまでも楽しくサッカーをしています。相談者さんは、まずお子さんの気持ちがどうなのかを聞いてあげてほしいと思います。試合に出られなくても、本人が楽しくできていれば、まだ3年生なのでチームを変える必要はないと思います。お子さんの将来、5年後、10年後のことを考えて決断してみてください。■ワンマンで傲慢な指導者のもと、実戦経験を積めないのを何とかしたい【お父さんからの質問】(小3、スポーツ少年団所属)小学3年生の息子が、40年近く続いている少年団に通っています。クラブの代表がかなりのワンマンで、人の言うことを聞きません。昔から傲慢だったようで、他のチームから敬遠されています。そのため、練習試合や招待試合などのお誘いが少なく、試合の機会が限定されています。大会などで知り合った、他チームのコーチから試合を申し込まれることもあるのですが、その旨を代表に伝えても「あそことはやらない!」など一蹴されてしまいます。そのため、実戦経験が乏しい状況です。息子の学年の子たちはみんな意識が高く、保護者も含めていいメンバーだと思っているので、チームを移るのは最終手段だと思っています。子ども自身は楽しくやっているのですが、どうすればいいでしょうか?【サカイクコーチの回答】指導者と保護者の意見が食い違うことは、よくあるケースです。保護者同士の関係性は良さそうなので、子どものために何ができるかを話し合いながら、根気強く、積極的に意見を交換し合うのが、子どもたちのためになると思います。そこでポイントなのが「子どもたちのために」という視点から、指導者に働きかけることです。その際に、言い方や伝え方には、とくに気を配ると良いと思います。ベテラン指導者は保護者に意見されると、自分がやってきたこと全体を否定されていると感じ、感情的になってしまうことがあります。そうではないことをしっかりと伝えて、対話を続けていってみてください。大変だとは思いますが、いまこそ保護者間のチームワークを発揮するときです。■子どもの積極性を引き出す声かけのポイントは「未来の話」【お父さんからの質問】(小3、スポーツ少年団所属)小3の息子は聞き分けが良い一方、親としてはもう少し、積極性がほしいと思っています。その辺りのことを私が指摘すると、すねてしまいます。うまく言葉をかけてあげたいと思いつつ、3年生は自我が出てくるので子どもになんて声をかければいいか、距離感に悩んでいます。【サカイクコーチの回答】お気持ちはお察ししますが、なるべく子どもにあれこれ言わないことです。まずはそこが出発点だと思います。そのうえで、どうしても言いたいことがあるのであれば、試合後に反省会をするのではなく、「次の試合で、どう頑張るか」について話してみてください。良くなかったプレーは、お子さん自身が一番よくわかっています。それについて、お父さん、お母さんがあれこれ言っても「わかってるよ、うるさいなぁ」となってしまいます。なので、できなかったことに対して言うのではなく、「今度の試合はどんなプレーをする?」「どんな気持ちでプレーしたらいいかな?」など、未来の話をしてみましょう。そうすると「3点取る」とか「守備を頑張る」など、子どもは話してくれると思いますよ。■勝ちにこだわる指導になっていじめを受けた。この状態から抜け出すには?【お母さんからの質問】(小3、スポーツ少年団所属)小学3年生長男のことです。赤ちゃんの頃から人一倍敏感で、恐いことや、痛いことが嫌いです。保育園の友達がたくさん入るからと、1年生からサッカークラブに入ったのですが、親から見ると、サッカーが向いているとは思えず、夢中になっているとは言い難い面があります。そのため、上達も遅いです。でも本人は友達とワイワイやっているのが楽しく、友達と遊びたいからサッカーをやっているという状態です。それでも体力はついてきているし、友達と一緒に過ごせて、楽しそうにしていました。しかし、3年生になるとレベル別でチームを分けることになり、お父さんコーチ達がやりたかった、勝ちにこだわるサッカーが始まってからは、練習や試合中に怒鳴られる事が多くなり、チームメイトにも責められるようになりました。ついには、一緒に朝練をしている別のチームの子からいじめを受けました。その時に「この状況から抜け出すには、みんなから離れるか、サッカーが上手くなるしかないんじゃない?」という話をしたら、「みんなと一緒にいたいしサッカーもやめたくない」とのこと。それならば、もう少し練習しようかとなり、朝10~20分程度、一緒に練習をする事になりました。長くなりましたが、うちのような子でもサッカーで変われたケースありますか?また、上達するための練習メニューを知りたいです。【サカイクコーチの回答】サカイクには「親子でできる練習メニュー」がたくさん掲載されているので、ぜひそちらを参考にしてみてください。ただ、ひとつ心に留めておいてほしいのが、「お子さんの気持ちはどうなっているか?」です。ちょうどいま、成長のための根っこを生やしている段階だとしたら、必要以上に水を与えてしまうと腐ってしまうので、保護者のペースで水をあげないようにしましょう。「この子はどういう風に成長していくんだろう」と楽しみに、長い目で見ると良いと思います。突然、試合に負けたことで練習を始めたり 「上手くなりたい!」という気持ちが芽生えることがあるので、その瞬間を見逃さず、大事にしてあげてほしいと思います。<サカイク3分動画トレーニング>「リフティングが苦手」という悩みを改善するトレーニング■「速いだけだな」など傷つく事ばかり言うコーチ【お母さんからの質問】(小4、クラブチーム所属)コーチの声かけがひどいんです。「このやろう、何やってんだ」なんて当たり前。息子は足がすごく早いのでチームで一軍というかトップにいますが、指導者に「お前は早いだけで何もできない」「走ることしかできないんだろう」など、しょっちゅう心ないことを言われるんです。ちょっと体調を崩したら「小さいヤツだな」など、子どものメンタルを傷つけることが多いコーチで。チームは足技を重視していて、技ができなかったり、リフティングも既定の回数ができないと練習に参加させてもらえません。全国を目指すチームなので求める水準が高いのは理解していますが、コーチの指示通りに動かないと次の試合に出してもらえなかったりするので、いつも委縮して思い切りプレーできず伸び悩んでいます。そんなことが日常茶飯事なので、楽しくプレーできていない。折れそうな心を親がどう支えていけばいいのでしょうか。【サカイクコーチからの回答】正直リフティングは時間と努力でみんなできるようになります。サッカーという競技はどうしても数値で表せない要素が多いので、評価ポイントの一つとしてリフティングを重視するチームもあると思うのですが、今現在それほどリフティングができなくても大丈夫です。ボール遊びとしてはリフティングは良いのですが、クラブの規定などを設けることによって苦にならないと良いですね。回数を気にするのでなく、遊びとして楽しくやれれば良いです。私が教えているスクールの生徒たちもそんなにたくさんリフティングできませんよ。10歳ぐらいからゴールデンエイジに突入するので、技術や技の習得はこれから追いついてきます。今は楽しい気持ちをもたせてあげることを優先してください。お子さんにとっては、親御さんが一番の味方でファンであることが大事だと思います。試合後に「どうだった?」「こうしたほうがよかったんじゃない?」など反省会を始めてしまうと、子どもの逃げ場もなくなるので、先ほど別の質問で回答したように「未来の話」をするとよいですね。いかがでしょうか。今回の「オンライン座談会」は、当初の予定時間をオーバーするほど、たくさんのトピックが寄せられました。参加者のみなさんは、お悩みをサカイクキャンプコーチに話すことで、心が軽くなったり、改善のヒントを得ることができたようでした。今後もこのような場を設けていく予定ですので、「私もこんな相談がしたい」「話を聞いてほしい」という方がいらっしゃいましたら、ご参加をお待ちしています。
2020年11月10日元日本代表のキャプテン長谷部誠選手の出身校、藤枝東高校は、高いレベルで勉強とサッカーを両立している学校としても知られています。県内トップクラスの進学校がどのようにして文武両道を行っているのか、同校出身の小林公平監督にお話を伺いました。選手自身が映像を編集してプレー分析も行うなど、自分たちで課題改善を行う取り組みなども伺ったのでご覧ください。(取材、文:本川悦子)藤枝東高校サッカー部の部員たち。練習後にチームメイトと談笑する姿■選手自身が映像を編集してプレー分析も名門・藤枝東がオンラインミーティングやサッカーノートのアプリを駆使して選手との意思疎通を図ってきたというのは前編でお伝えしました。彼らはそれ以外にもテクノロジーを使った活動を積極的に行っています。その1つが練習・試合の動画分析です。選手数人が公式戦や練習試合、紅白戦を撮影し、編集したものを共有ファイルにアップ。それを全員が帰宅途中や帰宅後に映像確認し、感想をサッカーノート(アプリ)に書いたり、ミーティングで議論し合ってフィードバックする形を取っているのです。今年から使っているソフトでは、個人のシュートシーンやゴールシーン、被ゴールシーンに特化した映像編集ができるほか、セットプレー時の好守も確認が可能です。さらには時間帯ごとのパス・シュート数などのデータも出てくるので、チーム全体が自分たちの課題や収穫を明確に捉えられます。こうした科学的アプローチの有効性を小林公平監督も実感しているといいます。「現場で見ている感覚と後から映像で振り返る感覚は全然違います。実際にプレーしていた選手も自分の一挙手一投足を映像で客観視すれば、何が課題でどう改善すればいいのかハッキリします。試合前に対戦相手の映像分析をするチームはよくありますけど、日常的に映像を使って可視化する作業に慣れておけば、将来的にそういう仕事に携わることも可能だと思います。ツエーゲン金沢入りが内定している稲葉楽選手もJクラブの練習に参加した時『藤枝東ではプロ同等の分析やスカウティングをしていることが分かって大きな自信になった』と話していました。藤枝東は社会のリーダーになるべき人材を育てている部分も大きいので、これからも可能な限り多くの情報を入手して、有効活用していくように、選手たちには働きかけていきたいと考えています」■加圧トレーニングの定期計測でフィジカル管理データ管理という意味では、2018年から取り入れている加圧トレーニングの定期的計測を行い、練習や試合に生かしています。今年のコロナ禍で3か月間活動休止になったこともあり、選手たちの太もも周りの筋肉が落ち、体脂肪率が増えてしまったといいます。そこで再び加圧トレーニングに注力し、フィジカル強化を図って、最大の目標である高校サッカー選手権に備えているのです。「6月時点ではそこまで数字的な変化は見られなかったのですが、夏場になって計測したら平均4~5㎝ダウンという状況が鮮明になりました。『これは大変だ』と危機感を抱き、意識的に取り組みました。日本ユース年代のSランクである高円宮杯プレミアリーグ参加チームと我々の一番の差はやはりフィジカル。僕が藤枝東の監督に就任した6年前も技術・戦術面の違いはほとんど感じませんでしたが、身長体重を筆頭に当たりの強さや激しさ、走力の部分が劣っていると痛感させられたんです。その差を縮めるべく、サッカーノートのアプリを導入したり、管理栄養士さんに食育の話をしてもらったりとさまざまな試みをスタートしましたが、短時間で筋量を増やせる加圧はかなり効果がありました。10月に計測したところようやくコロナ前の状態に戻った印象ですが、継続しないと意味がない。選手も自覚を持って取り組んでくれています」■高2まで目立った選手でなかった長谷部誠が急激に伸びたキッカケ小林監督が自ら行動を起こす重要性を繰り返し強調するのも、1学年上の長谷部誠選手(フランクフルト)という偉大な存在を目の当たりにしているから。長谷部選手は高2まではそこまで目立った選手ではなかったものの、高2の終わりに静岡県選抜に選ばれ、高いレベルに目覚めてからはグングンと成長していったそうです。練習から100%でやるように意識も変わり、意欲的にサッカーと向き合うようになって、浦和レッズ入りというチャンスをつかみました。2008年にドイツに渡り、日本代表に定着し、8年間もキャプテンを務めるといった飛躍的成長には小林監督も驚きを禁じ得なかったといいます。「高校生は何らかのきっかけをつかめば長谷部さんのようになれる可能性を秘めている」と今も自らに言い聞かせているのです。「県選抜に入ってからの長谷部さんは『自分は十分やれる』という自信と手ごたえをつかんだのか目の色が変わっていきました。浦和入りした後、長谷部さんのいるサテライトと練習試合をしたことがあるのですが、もう手が付けられないレベルになっていた。『17~19歳の2年間でここまで変わるのか』と本当にビックリしましたね。当時は服部(康雄=静岡県サッカー協会副会長)先生が指導されていましたけど、サッカーの楽しさを面白さを追求する姿勢を重んじていましたし、主体性や自主性も大事にしていました。そういう環境だったから長谷部さんは伸び伸びとやれたし、自分で気付いて成長できたんだと思います。僕自身も『ここでもう1回サッカーをやりたい』と感じたのが指導者になったきっかけです。そういう藤枝東の文化を引き継ぎ、発展させていくことが自分の大きな仕事。入ってくる選手も『長谷部さんみたいになりたい』という子が年々増えています。つねに誠実で多くの人に愛されるのが長谷部さん。今の選手にも『愛される選手になりなさい』とことあるごとに声をかけています」このように藤枝東は人間的成長を促しながら、かつてのような高校トップを目指しています。同じ高体連で2019年プレミアリーグ王者の青森山田高校らとはまだまだ実力差があると小林監督は感じているそうですが、藤枝東らしく文武両道を貫き、自主性や自立心を生かしながら進化を遂げていければ理想的。そうなるように今後も高いレベルに突き進んでいくつもりです。小林公平(こばやし・こうへい)藤枝東高校出身。高校時代は県を代表する左サイドバックで、全国総体準Vや国体制覇などに貢献。国士舘大卒業後、藤枝東高非常勤講師、湖西高監督を経て2015年に藤枝東高校サッカー部監督に就任。
2020年11月09日恋人同士でも、何でもあっけらかんと話し合えるカップルっていますよね。その姿は、まるで仲の良い友達を思わせるかもしれません。そんなカップルになれる相手は、どのような相手なのでしょう。そこで今回は、星座×血液型別から、付き合ったら「親友みたいなカップル」になる男女ランキングをご紹介します。■ 10位…みずがめ座A型女性×いて座B型男性みずがめ座A型女性といて座B型男性は、2人の感覚がピッタリとハマると盛り上がる関係です。2人の好きなものや好みが一致すれば、話題が絶えることはないでしょう。基本的にお互いのプライベートに深く干渉しない者同士なので、一度打ち解けると心地よい親友カップルになれるはずです。■ 9位…おとめ座A型女性×うお座AB型男性おとめ座A型女性は、相手の細かい心の変化に敏感なタイプ。そしてうお座AB型男性は観察眼に優れ、相手の感情を読み取るのが得意なタイプです。2人が出会うと、何だか初めて会った気がしないと感じるかも。友人同士のように、仲良く笑い合える親友カップルになるでしょう。■ 8位…さそり座A型女性×おうし座O型男性この2人は、お互いが何を考えているのか読めないのに、結果的にピタッとハマる親友カップルでしょう。さそり座A型女性のバリケードをおうし座O型男性が破り、懐に飛び込んでしまう形で恋が始まるかも。さそり座A型女性は、そんなおうし座O型男性をじつはイヤだと感じず、そのまま盛り上がって仲の良い親友カップルになりそうです。■ 7位…しし座B型女性×ふたご座B型男性このしし座B型女性とふたご座B型男性は、フィーリングや感情のリズムが非常によく似ている者同士です。何となくどこか行きたい気分だなぁと思えば、相手も同じ気分だったり、どこへも行きたくない……と感じていれば、相手も同じ気持ちだったり。そんな気の合う親友カップルになるでしょう。■ 6位…おうし座B型女性×てんびん座O型男性おうし座B型女性とてんびん座O型男性は、同じB型同士でノリが似ています。良くも悪くも遠慮しないで付き合えるので、交際相手としては申し分ないでしょう。仕事上の仲間やチームメイトの場合は、いつもつるんで男女の枠を超えられるはず。必ずいつもそばにいる親友カップルになるでしょう。■ 5位…うお座B型女性×やぎ座A型男性うお座B型女性は、理想主義者で空想の中であれこれと思い浮かべるのが大好き。そしてやぎ座A型男性は、未来に向けてミッションを掲げ、そこに向かって進んでいく努力家。そんな2人が出会うと、同じ趣味や目標を分かち合い、価値観が通じ合うでしょう。唯一無二の親友カップルになれるはず。■ 4位…いて座O型女性×みずがめ座O型男性いて座O型女性にしてみれば、みずがめ座O型男性は単純で子供みたいに感じることがあるかもしれません。しかし、いて座O型女性にとっては、ある意味扱いやすい男性なのです。まるで漫才コンビのような楽しい2人になるでしょう。いつも笑いの絶えない親友カップルなので、周囲の人たちからも羨ましがられそうです。■ 3位…おひつじ座O型女性×しし座A型男性おひつじ座O型女性としし座A型男性は、まるで兄弟のような関係です。言いたいことは包み隠さずに言うし、時にはやり過ぎなんじゃないかと思うほど、相手に介入しようとするでしょう。もちろんケンカもしますが、その度に2人の絆は深まり親友のようになれるはず。■ 2位…さそり座AB型女性×かに座A型男性さそり座AB型女性とかに座A型男性は、繊細な神経を持つ者同士。お付き合いすると、2人きりで美しい世界をつくっていくでしょう。お互いにつらいことや不満を言い合いながら、慰め合うことができる者同士になるのです。芸術的なものに関心を抱きやすいため、いつも一緒に何かをしているような親友カップルになるでしょう。■ 1位…おとめ座A型女性×おひつじ座O型男性おとめ座A型女性は、おひつじ座O型男性の男らしく頼りになるところを好きになります。一方、おひつじ座O型男性は、おとめ座A型女性の楚々とした雰囲気に惹かれるでしょう。そんな2人が付き合うのに時間はかからないはず。恋人のようであり、全くタイプが異なる親友でもあるような、味わい深いカップルになるでしょう。■ 恋人同士の中にも「友情」は存在する?「友情は喜びを2倍にし、悲しみを半分にする」ということわざがありますが、これは同性だけに言えることではありません。異性に関しても同様なのです。お互いの言いたいことを何でも素直に言い合える相手は、人生において非常に貴重ですよ。もしも出会うことができたら、手放さないようにしましょう。あなたにとって、大切な存在になる相手のはずです。(脇田尚揮/占い・心理テストクリエーター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2020年11月09日チームメイトからのからかいを真に受け怒ってしまい、チーム内で浮いてる息子。すぐ大声を出して怒ってしまうので、成り行きを見てないコーチたちに息子だけが怒られることも。そんなことが続き、「おれだけが全部悪い」「おれがバカだから」と涙をこぼし自分で頭をゲンコツで殴ることも......。普段のちょっとしたことで過剰に怒られている感じがするものの、息子にも原因があるので指導者陣に相談しづらい、とのご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<スパルタ母のしごきで息子がやる気喪失。父はどうすりゃいいの問題<サッカーママからのご相談>こんにちは。現在小2(7歳)の息子は、1年前からスポーツ少年団でサッカーをしています。当初は息子を入れて学年3人だったのが、今では人数が増えて同学年7人になりました。人数が増えて嬉しい反面、仲間から浮いた存在になっている息子についての相談です。息子はちょっとしたからかいなども真に受けて怒ってしまうことが多く、チーム内で距離を取られてしまいがちです。怒って大声を出したり、からかいにすぐカッとなってしまうため、余計に面白がられて更にからかわれたり、その結果、指導者にきつく叱られることが多々あります。そんなことが何か月か続き、家にいるときに息子が「おれだけが全部悪い」「おれがバカだから」「おれは全然できてない」と涙をこぼし始めました。頭を自分でゲンコツで殴ることも数回ありました。いつも息子が騒ぎだすことで指導者が気付くため、その時点では息子ひとりが怒っていて、からかっていた子や周りではやし立てた子は特に叱られることはありません。それで、自分が全部悪いと言っているようです。本人は納得いかないけど、そうやって自分を納得させようとしているように感じます。息子自身も集中力がなく、よそ見や砂いじりをしていたり、他の子にふざけてちょっかいを出すときもあり、そこは直していかなければならないところだと思っています。すぐに怒ってしまうので、それで他の子から距離をとられてしまうのも大人としては理解できるところです。集中力が足りないのも、怒りやすいのも、息子自身も直さなければと思ってはいるようですがすぐには改善できず、同じことで注意を受け続けて「またできなかった」と失敗体験を積み重ねてしまう日々。サッカーも、自主トレを続けている割には他の子のようには技術が身につかず自信がないので引け目になっていて、色んなことを受け流す余裕がないんだろうと思います。チームの子とうまくいかないこと、サッカーがなかなか上達しないこと、指導者からも問題児と認識されていること、息子自身が自分をダメだと言い始めていること、色んなことが積み重なってしまってどこからどう手をつけていいのかわかりません。集中力がなくて試合でもベンチ態度が悪い(砂いじり、草いじり、よそ見など...)ことや、すぐに怒って輪を乱すことなど息子に非があることが多いので、普段のちょっとしたことで過剰に怒られている感じがするものの、指導者陣に相談しづらいです。何かアドバイスをいただけませんでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。よくぞご相談してくださいました。小学校で過ごすぶんはそこまで大変ではないけれど、サッカーチームという集団活動になると、さまざま難しい局面を迎えてしまう。そういったお子さんは決して少なくありません。さまざまなきまりやルールがその子にとってハードルが高かったり、サッカーのスキルの優劣に打ちのめされたりする。そのため自己肯定感が下がってしまい、せっかくの楽しいサッカーの時間が苦痛になってしまう――。息子さんは、まさにそんな状況ではないでしょうか。■心の成長がゆっくりなだけ。周りの子と同じように、と働きかけるのは逆効果私も長男がとっても個性的でしたので、それなりに状況を察することができます。すぐにカッとなって手を挙げる。試合で相手にファウルされると、すぐに報復する。小学5年生くらいまで、ほうぼうで謝ってばかりいました。お母さんも個性豊かな息子さんに少しばかり苦労されているようです。さまざまトラブル続きで、親のほうも疲れちゃいますね。でも、大丈夫。焦る必要はありません。息子さんは、ほかのお子さんよりもほんの少しだけ心の発達がゆっくりなだけです。一見すると短所ばかりと思えるかもしれませんが、このように個性的なお子さんには、まだ本人や親御さんが気づいていない「いいところや才能」を隠し持っていることが多いのです。そこに密かに期待を寄せながら、今はまずはリラックスして、息子さんをおおらかな目で見てあげてください。子どもの発達がのんびりしているのに、親や周囲の大人たちが「周りの子と同じようにしなさい」と働きかけてしまうと逆効果です。親の側は「これもひとつの個性だ」と受け取って、ここはのんびりいきましょう。■7歳ならベンチで砂いじりをするのはある意味自然なことそこで、私からは「のんびり子育てプラン」の3ステップをお伝えします。良かったら参考にしてください。その1。他のお子さんと少し異なる個性を、できる限りおおらかに受け止めましょう。すでに前述したことではありますが、ここが非常に重要です。一度、整理してみましょう。例えば、「集中力がなく、よそ見や砂いじりをしていたり、他の子にふざけてちょっかいを出すときもあり、そこは直していかなければならない」と書かれていますが、なぜこのような行動をしてしまうのでしょうか?息子さんが「性格の悪い子」だからでしょうか?「意地悪な子」だからでしょうか?どれも違います。息子さんは7歳です。この年齢で、試合に出ておらずベンチにいるときに、砂いじりをするのはある意味自然なことです。だって、暇なんですから。お母さんも電車に乗って、文庫本も読み終わってしまった、なんていうとき、スマートフォンをいじったりしますよね。コーチは仲間のプレーを見るようにと言うでしょうが、難しいことです。子どもの見方はいろいろあるかと思いますが、私がコーチなら「ベンチでも集中して試合を観なさい」と命じて、その通りやってしまう子がもしいたら、大人の言うことを聞きすぎるという面でその子のほうが心配です。ただ、ここで私が「できる限り」受け止めて、と書いたのは、受け止めきれないことがあってもいいよということです。腹が立ったり、情けなかったり、息子さんに「ちゃんとしないさい!」と怒りたくなる(もう怒っちゃってるかもしれませんが)瞬間もあるでしょう。そういうときは、少し息子さんのこの問題と距離を置きましょう。たまには、練習や試合を休んで二人でどこか遊びに行ってもいい。たまには、お父さんがおられれば、お父さんに、いなければ他の大人に任せてもいい。子育てをお休みする時間が必要です。常に頑張ったりしなくていい。とにかくぼちぼちいきましょう。■昔ながらの忍耐と根性ではなく、逃げ場を作ってあげてその2。母子とも自己肯定感を上げる。「おれだけが全部悪い」「おれがバカだから」「おれは全然できてない」と涙をこぼし、頭を自分でゲンコツで殴る、と書かれています。これはいけません。まだ7歳で、ゆっくりめの彼にとって、少々ハードな環境のようです。ここはぜひ「ダメなんだから頑張れ」と圧迫して、這い上がらせる昔ながらの手法で接するのではなく、まずは彼がそう感じることに心を寄せましょう。「辛いね。でも、気にしなくていいよ」「きつかったね。でも、大丈夫だよ」「バカとか誰が言ったの?お母さんは全然そう思わないよ」と慰め、励ましてください。無言で背中をさするだけでもいいです。そして、サッカーについては「一度始めたのだからやり通せ」などと言わず、「嫌だったらいつでもやめていいよ」「他のことをしてもいいよ」「他のチームを探そうか?」と逃げ場所を作ってあげてください。それとともに、お母さんも自信を持ってください。サカイクにメールを出してまで、成長がゆっくりめな彼と真剣に向き合っている。そんなお母さん、素晴らしいと思います。ピンチの時は、成長するチャンスの時間です。いつの間にか解決して、子どもは成長していきます。チームの子とうまくいかない。サッカーがなかなか上達しない。指導者からも問題児と認識されている。息子自身が自分をダメだと言い始めている。どこから手をつけていいかわかりません、とありますが、これらはすべて繋がっています。他者を変えるのはなかなか難しいので、まずは自分をダメだと思っている息子さんの心をほぐすことから始めましょう。■時には親が言葉で補ってあげることも大事(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)その3。コーチに相談する。サッカーの活動が始まれば、そこは選手とコーチたちの空間です。親御さんがさまざま口を出すことではありませんし、ただ見守っていれば良いのです。指導者の方については「すぐに怒って輪を乱すことなど息子に非があることが多いので、普段のちょっとしたことで過剰に怒られている感じがする」と述懐されています。であれば、そこはお母さんの言葉で補ってあげてください。「少し発達がゆっくりめなので、ご迷惑をかけることがあるかしれませんが、長い目でみてもらえませんか?」と。もしそれで迷惑がられたり、叱り飛ばすようなことが続くのなら、一度お子さんと相談してチームを替えたほうがいいかもしれません。以前に比べて、サッカーのコーチの方々は子どもについてとても勉強されています。子どもの発達は個人で大きな差があり、そこを受け止める重要性をご存知の方は多いです。担当コーチが難しそうなら、クラブの代表の方に相談してもいいでしょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年11月03日一目惚れした恋人と結婚。とてもステキなことですが、結婚はゴールではなくスタート…しかし、一緒に暮らして初めて見えてくることも、けっして少なくありません。Youtubeチャンネル『平成の雄叫び』では、学生時代に恋人同士だった2人が結婚した後、ようやく現実に気付いた夫婦の動画が配信されています。いじり・いじられな関係『ぽっちゃり男子』のナオヤは、大学時代は野球部の4番打者でしたが、長打か三振かというムラのあるタイプ。そんなナオヤは、自分を『豚呼ばわり』するマネージャーのアユミに一目惚れ。猛アタックして付き合い始め、ナオヤは、ちょっとキツイ冗談を言い合える『いじり・いじられな関係』を気に入っていました。エサ用意したよ~大学を卒業した後、同棲から結婚に踏み切った2人は、エリカという子宝にも恵まれ、笑いの絶えない幸せな家庭を築いていました。ところが、娘のエリカが言葉を話せるようになっても、相変わらずナオヤを豚呼ばわりするアユミ。ナオヤは、教育上、アユミの言葉づかいがよくないと思い始めます。パパのこと大好きだよエリカが小学生になり、以前にも増してナオヤへの当たりが強くなるアユミ。夫婦で大学の同窓会に出席した時も、アユミの態度は野球部の元チームメイトから同情されるほどでした。不意に娘のエリカから「大好き」といわれ、これまで我慢していた感情が一気にあふれたナオヤは…。気になる続きは、YouTubeでご覧ください。この後、ナオヤは、弁護士として活躍している野球部の元チームメイトに連絡し、離婚へと踏み切りました。恋人同士だった学生時代とは異なり、結婚して子供が生まれた夫婦には、子供を正しく育てる責任が伴います。アユミのキツイ冗談は、いつの間にか冗談では済まなくなっていました。『後悔先に立たず』ということわざを、ふと思い出させるような動画でしたね。[文/AnyMama(エニママ)・構成/grape編集部]
2020年10月27日チームによって欲しい選手が違うのは理解できるけど、やっぱり知りたい「Jクラブのスカウトが声をかける選手の特徴とは?」という読者の疑問に答えるこの企画。川崎フロンターレのアカデミースカウト担当の大田和直哉さんに聞く「Jクラブのセレクション」について。後編です。後編では、セレクション時の保護者の振る舞いや、受ける時の心構え、自立に対する考え方など、セレクションに興味のある子どもたち、保護者に向けて、ためになるお話をたくさん聞くことができました。(取材・文:鈴木智之)<<前編:Jクラブのスカウトが見るポイントは?川崎フロンターレのアカデミースカウトが語る選手評価ポイント■どんな保護者なのかを気にする割合が増えている――選手をスカウトするときに、その選手の保護者のキャラクターを気にする指導者やクラブは多いと聞きます。大田和さんはどのように考えていますか?クラブとしても、その選手の保護者がどういう人なのかを、気にする割合は年々増えています。ただ、誤解してほしくないのですが、その保護者が良い、悪いというのではなく、「どのような人なのか」を把握することが大切だと考えています。だからこそ、スカウトの段階で保護者の方とコミュニケーションをとり、どのような人なのかを理解するようにしています。――保護者の立場として、フロンターレにスカウトされるような「上手な子」を、どのようにサポートすればいいのでしょうか?これは私の印象になるのですが、私が良いなと思える選手の保護者は、子どもをサポートしようとしすぎるのではなく、自分が好きなことをやって、輝いている人が多いように感じます。仕事や趣味など人によって様々ですが、親が自分の人生を楽しんでいる姿を見て、子どもも同じように、好きなサッカーを楽しくやっています。その姿を見ると、すごく良いなと思います。――何人ぐらい受けに来るのですが?U-10の場合、今年は2日間、3部に分けて行ったのですが、1回60人なので、全部で180人ほどになります。その中で合格するのは、学年によって違うのですが、1学年10人程度で運営しているので、3年生の場合、現U-10カテゴリーに3年生が4人いるので、セレクションで合格する子は4~6名程になります。■身の回りの事ができれば「自立」なのか?海外と日本の違いに見る本当の自立とは――ジュニアサッカーの現場において「子どもの自立」がキーワードになることが多いですが、保護者が手をかけすぎると、自立を妨げることになるのでしょうか?最近、「自立ってなんだろう」と考えていて、思い当たったことがあります。私は2年前からフロンターレのアカデミーのスカウトをしているのですが、それまでは中国の広州富力で、U‐10の監督をしていました。中国の保護者は子どもの送迎は当たり前、練習前後には着替えを手伝ったりと、日本人から見ると過保護に見えました。日本でいう「自立」とは、自分のことを自分でやることだととらえられていて、私もそういう考えでした。――多くの日本人がイメージする「自立」は、「自分のことは自分でする」ですよね。中国の子たちは、着替えを保護者に手伝ってもらったりと、日本人がイメージする自立とはかけ離れています。でも、自分が思っていることを相手に伝えたり、大人に意見を聞かれたときに答える能力がすごく高いんです。ヨーロッパもそうですが、日本以外の国は、保護者と子どもの距離がすごく近い印象を受けます。でも、子どもは自分の意見をしっかり言える。海外では「自分の意見をはっきり言う」ことが自立と考えられていて、日本の場合は「自分の行動範囲のことを自分でできる」ことを自立と言っているのではないかと思います。――「自立」の種類というか、受け止め方が違うのですね。多くの日本の子どもは、自分の意見を言うのが苦手です。コーチがみんなの前で「このプレーはどう思う?」と聞くと、黙って答えないといった場面も目にします。海外の子の場合は「僕はこう思う」「それは嫌だ、やりたくない」など、自己主張ができます。はたして、日本と海外のどちらが本当の自立なのだろうかと考えています。どちらもできるような選手がいたら、確実にサッカーが上達するスピードが速いと思います。■久保建英は過去のどの選手よりもピカイチだった――フロンターレジュニアに所属していた選手には、久保建英、三好康児、板倉滉、三笘薫、宮代大聖などのプロ選手がいますが、彼らのジュニア時代のエピソードはありますか?アカデミーの玉置(U‐15監督)に聞いた話ですが、久保建英選手がセレクションに来たときは、過去のどの選手と比べてもピカイチだったと。彼は自分がしたいプレーをするというよりも、試合の状況を見て、どこにボールが来そうかを予測してポジションをとり、相手ボールのときは、自陣ゴール前まで下がってボールを奪って、そこからドリブルで全員抜いていくようなプレーをしていたそうです。もちろんドリブルだけでなく、相手を引きつけて、味方にアシストをすることもあったそうです。玉置は「ピッチ上の監督のように、試合を作っていた。あの年齢でそんなことができる子は見たことがない」と言っていました。宮代大聖はトップチームの中でも、シュート技術が高い選手なのですが、ジュニア、ジュニアユースの頃からその技術はずば抜けていました。――セレクションでは、自分の得意なプレーをしてアピールすることが大切なのですね。自分の武器はこれだというものがある選手は、それを出すことが大事だと思いますし、ミスを恐れず、得意なプレーをしてほしいと思います。――サッカーはチームスポーツなので、自分がやりたいプレーだけをしていても、味方の信頼を勝ち得なかったり、ボールが回ってこないことがあります。そのバランスはどう考えていますか?セレクションの試合の合間に、その日初めて会った選手に「どこのチーム?」などと積極的に話しかけて、選手同士で人間関係ができていると、試合でその子にボールが集まりやすいことがあります。セレクションでボールが集まりやすいのは、チームの中で一番上手な選手か、オフザピッチでチームメイトとうまくコミュニケーションがとれる選手だと思います。――セレクションで、人間性の部分をチェックするところはありますか?そこはすごく見たいのですが、セレクション会場で、一人の子どもと接する時間は限られています。そのため、セレクションのときにコーチがなるべく話しかけるようにしていて、どのような受け答えをするかは気にしています。■セレクションはチャレンジの場――セレクションは緊張すると思いますが、心構えのアドバイスはありますか?緊張する子としない子がいると思いますが、子ども自身が、絶対に受かりたいから緊張するのか。もしくは保護者のプレッシャーがすごくて、受からなくてはいけないと緊張してしまうのか。そのどちらかだと思うので、後者の緊張は無くしてあげたいですね。保護者の方は「結果は考えずに、自分のプレーを出してきたら?」など、お子さんが緊張しないような言葉をかけてあげるといいのかなと思います。スクールに来るような感覚で、楽しんでいつものプレーができるような声かけをしてもらえたらと思います。――反対に、良くない保護者の関わり方はありますか?セレクションでたまに見かけるのが、試合と試合の間に保護者が自分の子どもを呼んで、指示をしたり、ダメ出しをしている姿です。子どもにとってプレッシャーになったり、過緊張になりかねないので、良くないと思います。――最後に、今後セレクションを受けに来る選手に対して、メッセージをお願いします。スカウトで小学生や中学生に声をかけると、「○年生のときに、フロンターレのセレクションに落ちたんですよ」と言われることがあります。低学年のときにセレクションに落ちたとしても、成長するにつれて「良い選手」と評価を受ける例はいくらでもあるので、早々に可能性を見極めない方がいいというのはお伝えしたいです。それと、セレクションの結果に対して、子どもより保護者が一喜一憂しないことですね。セレクションに落ちたときに、保護者がすごく悲しんで「フロンターレなんかもういいよ」など、マイナスの発言をすると、子どもは影響されサッカーに対してマイナスな気持ちが生まれてしまいます。セレクションをテストの場ととらえるのではなく、チャレンジする場という気持ちで、来ていただけるとありがたいです。<<前編:Jクラブのスカウトが見るポイントは?川崎フロンターレのアカデミースカウトが語る選手評価ポイント大田和直哉(おおたわ・なおや)神奈川県出身。少年時代には川崎フロンターレ U-15に所属。2008年から2016年まで川崎フロンターレスクール・普及コーチを務め、2009年には3種神奈川県トレセン川崎北地区コーチも兼務。2017年広州富力足球倶楽部U-10監督に就任。2018年からアカデミー部門のスカウト兼コーチを務めている。所有ライセンス:日本サッカー協会公認B級ライセンス
2020年10月26日サッカーの上達に欠かすことのできない「サッカーノート」。有名プロ選手から子どもまで、サッカーをする人々のマストアイテムになりつつあります。サカイクでもサッカーノートを開発し、サカイクキャンプに参加している子どもたちや「サッカーノートがほしい!」というお子さんに向けて、提供を開始しました。そこで今回はサカイクサッカーノートの開発に携わった、「しつもんメンタルトレーニング」の藤代圭一さんと、サカイクキャンプでメインコーチを務める菊池健太コーチ、サカイクサッカーノートの開発責任者、竹原和雄部長による、「考える力を育むサカイク流サッカーノートの書き方」をお伝えしたいと思います。(取材・文:鈴木智之)【詳細】子どもたちが自ら進んで書き出す、これまでよりたくさん書けるようになるサカイクサッカーノート■サッカーノート=反省、では続かないサカイクサッカーノートの特徴のひとつ。それは「子どもたちが、自分から進んでやる気になる、ポジティブな質問」が、いたるところに散りばめられていることです。一般的なサッカーノートはサッカーのプレーや練習内容、その日の反省や日々のコンディションといった「サッカー面」にフォーカスしたものです。サカイクキャンプも最初はそのような内容でノートを制作していたのですが、「サッカーの話だけだと、子どもたちは正解を探して書くようになり、自由に自分の考えを書くところから離れてしまっていた」(菊池コーチ)という面もあり、改良を加えました。たとえば、1ページ目の質問は「なりたい自分に近づこう」というテーマで「どうしてサッカーをはじめましたか?」「サッカーの好きなところはどんなところですか?」「いつも応援してくれる人は誰ですか?」など、「自分を知る」ことから入っていきます。それらの質問を考えた藤代さんは、理由を次のように明かします。「サッカーノートを書く=反省するというイメージを持っている指導者や選手が多く、書くことが長続きしないケースも見てきました。サカイクさんもそうですし、僕もそうですが、サッカーノートを成長するためのツールとして、ポジティブに活用してほしかったので、最初のページに『質問の答えに正解はないから、楽しんで答えよう』というメッセージを入れました」■子ども自身が「成長したい」という気持ちになる工夫サカイクサッカーノートは「目標を達成するための、小さな一歩」を積み重ねることを大切にし、「1ヶ月後、どうなっていたら最高ですか?」「そのために、どんな工夫をしますか?」など、書いて終わりではなく、なりたい自分をイメージし、そのためにどうすればいいかという、行動に落とし込むように作られています。竹原部長は、サカイクサッカーノートの開発についての想いをこう語ります。「大人でもそうですが、真っ白いノートを渡されて『考えて書きなさい』と言われても難しいですよね。ビジネスには『フレームワーク』という言葉がありますが、子どもにもある程度、思考の枠組みを与えてあげることが大切だと思います。ただ、それは型にはめるという意味ではありません。サカイクサッカーノートは、子どもたちが自由に考えられる余白も大切にしながら、子ども自身が『成長したい!』というマインドセットになるための工夫をたくさんこらしています」竹原部長の意見を受けて、藤代さんは「サッカーノートを個人で完結させるのではなく、監督やコーチ、チームメイト、お父さん、お母さんとのコミュニケーションツールとしても使ってもらえたらいいですよね」とイメージを語ります。「サッカーノート書き終えた後に、友達同士で見せ合うと、互いに全然違う答えを書いていることがあります。そこで相手を知ることができますし、比較対象がいることで、改めて自分の考えが明確になったり、自分が大切にしていることがはっきりします。なので、ノートは一人で完結するのではなく、他者と関わり合いながら作ってほしいと思います」■キャンプで導入したら保護者にも好評実際にサカイクキャンプでは、サッカーノートを使い、一日の最後にノートを書く時間を設けています。菊池コーチは「コーチが『ノートを見ながら、グループで話し合おう』と言わなくても、自然と、子どもたち同士で『何て書いた?』とコミュニケーションが生まれています」と笑顔を見せます。サカイクキャンプが終わり、家に帰って親御さんにノートを見せながら、「1日目はこんなことがあって......」と話をするお子さんもいるとのことで、保護者からは「サッカーノートを通じて、子どもの様子が知れるので良い」と評判のようです。藤代さんは「保護者の方々は、お子さんがどんなことを考えているのか、表面的なことは知ることができても、奥底の部分を知るのは難しいもの」と言います。「子どもの様子を見て、『うちの子、やる気が見られないんです』『すぐ諦めちゃうんです』という感想を持つ親御さんがいますが、表面的に見えるものだけでは、わからないことがあります。子どもが奥底に持っている気持ちを、親御さんにも知ってほしいという願いから、子ども自身が進んでたくさん書くことができるようなノートにしました」■サッカーノートを続けさせるポイントサッカーノートを継続して書くのは大変です。一人で書くだけだと、途中で飽きて辞めてしまうかもしれません。藤代さんは「ノートに対して、好意的に関わってくれる人がいると、長続きすると思います」とアドバイスを送ります。「コーチが子どもたちに提出させて管理をするか、罰則やルールを設けないと、続かないという声も耳にしますが、指導者や保護者など、ポジティブなメッセージを送ってくれる人が周囲にいて、好意的に関わってくれる人がいると、続けやすいと思います。それがお父さん、お母さんなど、子どものことを一番に考えて、応援してくれる人であれば最高ですよね」成長への考え方を身につけて、サッカーに対して前向きに取り組むための助けとなる、サカイクサッカーノート。チーム単位で使用したり、親子間のコミュニケーションツールとして活用するなど、使い方は様々です。ぜひ、お子さんの成長に、役立てみてはいかがでしょうか?
2020年10月21日努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、いろんなメディアで集めたトレーニングを実践するスパルタで過干渉な妻を変えたい。というお父さんからのご相談をいただきました。うまくはないけど楽しくサッカーをしていたのに、母親のダメだしと強制練習でサッカーが嫌いになってしまうことが心配だと言っても「子どものためなの!あなたは甘い」と言われ話し合いができなくて......とお悩みをいただきました。今回のご相談に、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんは、ご自身も同じような体験があると言います。かつての体験と取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカーチームでいじめ?親はどう振舞えばいいのか問題<サッカーパパからのご相談>このコーナーは母親からの相談が多いようなのですが、妻の過干渉などについて相談させてください。9歳の息子がサッカーをしています。監督からチームの方針などは事あるごとに言われているので、試合や、練習中は指示や大声を出すことはないのですが、帰ってからはダメだしばかりです。努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、サカイクをはじめとしたいろんなメディアで集めたトレーニングを実践しています。私の方は、プロになってほしいわけでもないですし、まだ3年生なのでコーチの言う事に耳を傾けたりチームメイトと仲良く協力できればいいのでは、と思っています。何より妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌です。なので「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」と言うのですが、「息子のためを思ってやっているの。何が悪い。あなたの考えが甘い」と話を聞いてくれません。息子はレギュラーではなくチームの中では平均的か少し下手なぐらいです。それでも試合は楽しそうにしていたのですが、最近は妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきているように思います。私自身は楽しんでいてくれればいいよ、と伝えているのですが、子どもにとって母の影響は大きいもので、このままサッカーが嫌いにならないか心配です。親の過干渉が子どもにとって良いことはないと思います。家庭で解決する問題なのかもしれませんが、先輩ママとして島沢さんのアドバイスをいただけませんでしょうか。<島沢さんのアドバイス>わわわ!デジャブかと思いました。奥様、十数年前の私とよく似ています。この度はご相談をいただきありがとうございます。私も息子が小学3年生くらいまで、試合中はぎゃんぎゃん叫んでいました。ただ、私はビデオでダメ出しをしたり、自主練させたりはしませんでした。それは、仕事で忙しく、息子のサッカーに分配するエネルギーが残っていなかったためで、余裕があればやってしまったかもしれません。ただし、そんなふうに「ダメなヤツ」だったので、奥様含めた多くのママやパパがついつい熱血になってしまう感覚や理由が理解できます。■息子がより幸せな人生を送れる基盤を作ろう、と夫婦で同志感覚を持つ立派な指導者の方々は、なぜあんなに熱くなるのかわかりませんねえと「僕らは君らとは違う感」を醸し出すのですが、私は心の片隅でホントかいなと疑っています。何の後悔も失敗もせず、最初からとても良くできた親など、ほとんどいません。特に、圧迫して子どもを奮起させる教育観が強い日本では、親たちもそうやって育てられています。よく言われることですが「育てられたように育ててしまう」のはある意味当然なのです。私は自分のライターという仕事のなかで、さまざまな子育ての専門家に出逢い、その方々の知見とエキスを呑んで、自分の子育てをある程度変えることができました。しかしながら、それと同様、あなたに奥様の子育てを変えるエキスになれとは言いません。ここで大事なのは「一緒に子育てを勉強して、少しでもいい親になろうね」という"同志感覚"です。われらの息子をよりよく、より幸せな人生が送れる基盤を作ろうぜ――そんなふうに奥様に寄り添う姿勢と心構えをまずはをつくってください。■考えが甘いのは過干渉しているほう。子どもの成長を阻害している以下、具体的なアドバイスを五つ贈ります。①子育てに関する本を読んで勉強するネットで「サッカー子育て本」と検索してみてください。書籍名でトップにあがるのは『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』と『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』です。これらは、今や「少年サッカーの神様」と言われる池上正コーチの書籍で、私が一緒に作った本です。少年サッカー親の子育てバイブルと言われているものなので、ぜひ参考にしてください。ほかに、脳科学者の林成之先生が著した『<勝負脳>の鍛え方』(講談社)という新書もお勧めです。子どもの発達が理解できます。②自分の自信を作るあなたが「妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌」で、「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」とアドバイスすることはまったくもって正しい。正しいけれど、今のところ「息子のためを思ってやっている。あなたの考えが甘い」と一蹴されています(サッカーだけに。いや失礼!)。ところが、考えが甘いのは、実は妻のほうです。なぜなら、言うことを聞かせ、無理やりでも自主練をやらせていることは、こうしなさい、ああしなさいと働きかけているので、子どもは自分で「上手くなるにはどうしたらいいんだろう?」と考えることもしなくていいし、楽です。お母さんの言うとおりにして、それでも上手くならなかったら、思春期になって「お母さんのメニューが悪かった!ちっともうまくならないじゃないか!」と怒ってちゃぶ台をひっくり返したり、家庭内暴力に出ます。楽をした(させられた)分、こころ(脳)が成長していないので、自分で段取りして前進しなくてはいけない年齢になると、一気に成長が止まってしまうのです。一方で、わが子に主体性を持たせるような子育てをしている家庭の子どものほうが、中学、高校でスポーツも勉強も大きく伸びます。「もっと上手くなりたいなら自分で考えてごらんよ。ただ、ママもパパも楽しくサッカーしてくれればそれでいいけどね」子どもと距離を置き、その子に対し主体性を求める。それこそが、本当の厳しさです。そんなことに比類する事柄とその根拠が、ご紹介した本にたくさん書かれています。それを読んで、あなたのほうが自信をもってお母さんと向き合える態勢を整えてください。■過干渉な親は賢い人が多い。だからこそできる解決法③自分と向き合う本にこうこう書いてあるんだよと伝えるのが目的ではありません。まずは、ご自分に自信を持ってほしいと思います。なぜなら、ご相談の文章を読むと、あなたは息子さんのために何をすべきかをすでに理解しているし、行動も起こしています。全面的に正しい(拍手です)。しかしながら現時点では「妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきている」状態で、このままサッカーが嫌いにならないかと心配しつつも、話が通じない妻に対しお手上げ状態。いつ順番が回ってくるかわからないこの相談コーナーにメールを書かれるのですから、メール文以上に深刻な状況と察しています。問題を解決するためには、まず、妻ではなく、あなたが自分と向き合い、変わることです。お父さんは、きっととてもやさしい方だと思います。そのやさしい性格のまま、一日も早く自信をつけてお母さんと話し合って下さい。④どんな子育てがいいかを話し合ういきなり過干渉はやめろと切り出すのではなく「最近、やる気失ってるみたいだよね。ちょっと話し合わない?」と二人でテーブルにつきましょう。ケーキとかお茶を用意して、世間話のように。最初に、妻の奮闘をねぎらってあげてください。子育てよく頑張ってるよね、と。子に過干渉な親は総じてエネルギーがあり、賢い方が多いようです。できる人だから、サッカーの練習方法など情報を集められるわけです。でも、ママ、どうもちょっと違うようだ。僕と一緒に、サッカー少年の子育てを勉強しようよ。少し違う頑張り方をしないか?と提案してみましょう。■相手を許しながら、少しずつ変えること(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)⑤干渉することをひとつずつ減らす・自主練は、息子さんから誘ってこなければやらない。・試合後のダメ出しはやめる。ひとつずつ、なくしましょう。「いや、ママ、上手くなってほしいという気持ちはわかるけれど、そこは譲れない。わが家では、こういう子育てにしようって話し合ったよね」奥様を許しながら、変えていく。そんなイメージです。お父さん、落ち込むことは何もありません。妻の過熱癖に早く気付いてよかったのです。たかが子どものサッカー。そこを忘れてほしくないので、文中に寒いシャレなど挟んでみました。ピンチのときは、大人も子どもも成長する時間です。ここを切り抜ければ、とても素敵な家族になれると思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年10月14日小説を音楽にするユニット「YOASOBI」の原作を映画化する『たぶん』の主要キャストが発表された。本作は、3組の男女が紡ぐ最も切ないショートストーリー。大学生カップルで同棲していたが、些細なことで少しずつズレを感じ、別れを選んだ2人を描く『ササノとカノン』。夏の大会が自粛で中止になってしまった高校サッカー部員とマネージャーを描く『川野と江口』。そして、社会人で恋人だが、お互いの気持に応えられなくなっている2人を描く『クロとナリ』の3つで構成される。『ササノとカノン』に出演する男女役には、「魔進戦隊キラメイジャー」射水為朝/キラメイイエローの木原瑠生と、「竹内涼真の撮休」への出演が決定している小野莉奈。『川野と江口』には、『映画 滑走路』の寄川歌太と「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」にも出演した吉田美月喜。『クロとナリ』には、YouTuberでタレントのめがねと、舞台「黒子のバスケ」、ミュージカル「刀剣乱舞」などに参加する糸川耀士郎が出演決定。ササノ役の木原さんとカノン役の小野さんは「『たぶん』『きっと』こうなればいいなという人の理想や後悔をササノという人を通して、皆さんに共感してもらえるように頑張ります」(木原さん)、「この作品への出演は私にとって本当に嬉しくて夢のようです。なので1シーン1シーン後悔のないうように丁寧に取り組みたいと思います」(小野さん)と意気込む。川野役の寄川さんは「同じ物語から曲と映画が生まれ、それを僕が演じることでまた何か新しい『たぶん』が生み出せたらと思っています。楽しみにしていてください」とメッセージを寄せ、江口役の吉田さんは「江口の優しさを温かく丁寧に伝えられたらなと思っています」と話す。そして、ナリ役のめがねさんは「惹かれ合うのも、離れるのも説明なんて出来なくて『たぶん分からない』あの感情を大切に、ナリちゃんになれたらいいなと思います」と言い、クロ役の糸川さんは「小説・音楽・映画と広がり続ける YOASOBI さんの世界に入り込める事、大変嬉しく思います」と出演を喜んだ。監督は、『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』に参加したYuki Saitoが手掛ける。ストーリー『ササノとカノン』大きな物音で目覚めるカノン。別れたササノが部屋を整理しに帰ってきていた。同棲を始めたとき「私たちは変わらない」そう思っていたのに些細なことで少しずつ“ズレ”を感じ、別れを選んだ。大学はオンライン授業になり、就職活動を控える中、将来を真剣に考えるカノンと楽観的なササノ。どうしてこうなったの?悪いのは彼なのか、私なのか。たぶん…。『川野と江口』サッカー部の川野とマネージャーの江口はビデオ通話をしていた。今頃、最後の大会を迎えているはずだったが、今年は自粛により中止に。通話を切ると川野のラインにチームメイトから江口が東京へ引っ越すと知らされる。3年間チームと自分を支えてくれていた江口のことを思い、気づくと川野は自転車で走り出していた――。『クロとナリ』インテリアデザイナーのナリは彼氏のクロとなかなか連絡が取れず、直接家を訪ねる。インターホンを押すとクロが出迎えるも、玄関にはヒールの靴が。アリサと名乗る女性は編集の仕事をするクロの元同僚。クロが貸していたDVDを返しにきていたという。クロのことが大好きなナリは動揺を隠せずその場で言い合いになってしまう。こんなにも好きなのに…。『たぶん』は11月13日(金)より公開。(cinemacafe.net)■関連作品:たぶん 2020年晩秋公開予定
2020年10月13日“小説を音楽にするユニット”YOASOBIの楽曲「たぶん」の原作小説が実写映画化。2020年11月13日(金)より公開される。YOASOBIとは?若者を中心に高い人気を集めるYOASOBIは、コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、二人組の音楽ユニット。“小説を音楽にする”という新感覚のアプローチが最大の特徴で、2019年に公開したデビュー曲「夜に駆ける」では、ストリーミング再生回数2億回を突破するヒットを記録。また2曲目「あの夢をなぞって」は原作小説がコミカライズ、3曲目「ハルジオン」は飲料や映像作品とコラボレーションを果たすなど、活躍の場を広げている。YOASOBIの原作小説が、初の実写化!そして今回映画化される「たぶん」は、2020年7月にリリースされた4作目の楽曲のベースとなった原作小説。YOASOBIの原作小説を実写映画化するのは、同ユニットにとって初となる出来事だ。映画は、3組の男女が繰り広げる3つのショートストーリーで構成。同棲をしていたが、お互いの気持ちのズレを感じ別れを選んだ大学生カップルのササノとカノン。夏の大会が自粛で中止となってしまった高校生サッカー部員・川野とマネージャーの江口。恋人同士だがお互いの気持ちに応えられなくなっている社会人のクロとナリ。それぞれの“最も切ない別れ”と“新しい一歩”を、YOASOBIの楽曲「たぶん」にのせて描き出す。物語を彩る個性派キャスト陣物語を彩る3組の男女役には、個性豊かなキャスト勢が集結。<大学生カップル>ササノ役を演じるのは、俳優だけでなくアーティストとしても活躍する木原瑠生、カノンにはドラマ「中学聖日記」に出演した小野莉奈が務める。<高校生カップル>川野役は、映画『滑走路』に出演した寄川歌太、その彼女となる江口は吉田美月が担当。<社会人カップル>インテリアデザイナーのナリをユーチューバーのめがねが、彼氏のクロをミュージカル「刀剣乱舞」に出演する糸川耀士郎が演じる。詳細映画『たぶん』公開日:2020年11月13日(金)監督:Yuki Saito脚本:岸本鮎佳原案:しなのキャスト:木原瑠生、小野莉奈、寄川歌太、吉田美月喜、黒澤はるか・めがね、糸川耀士郎主題歌:YOASOBI「たぶん」配給:イオンエンターテイメントあらすじ【ササノとカノン】大きな物音で目覚めるカノン。別れたササノが部屋を整理しに帰ってきていた。同棲を始めた時、「私たちは変わらない」そう思っていたのに些細なことで少しずつ“ズレ”を感じ、別れを選んだ二人。大学はオンライン授業になり、就職活動を控える中、将来を真剣に考えるカノンと楽観的なササノ。どうしてこうなったの?悪いのは彼なのか、私なのか。たぶん…。【川野と江口】サッカー部の川野とマネージャーの江口はビデオ通話をしていた。今頃、最後の大会を迎えているはずだったが、今年は自粛により中止に。努力が報われないまま、憂鬱な受験の話をしていた。通話を切ると川野のラインにチームメイトから江口が東京へ引っ越すと知らされる。3年間チームと自分を支えてくれていた江口のことを思い、気づくと川野は自転車で走り出していたー。【クロとナリ】インテリアデザイナーのナリは彼氏のクロとなかなか連絡が取れず、直接家を訪ねる。インターホンを押すとクロが出迎えるも、玄関にはヒールの靴が。アリサと名乗る女性は編集の仕事をするクロの元同僚。クロが貸していた DVD を返しにきていたという。クロのことが大好きなナリは動揺を隠せずその場で言い合いになってしまう。こんなにも好きなのに…。
2020年10月12日サッカーをしている子どもたち、高学年になると「トレセン」の存在を知りますよね。チーム内で上手いと思っていた上級生がトレセンに呼ばれて行ってきた、というのを間近で見ることも増えます。プロになった選手たちも少年時代からトレセンに参加している経験を持つ選手も多く、上手くなりたい子どもたち、さらには保護者にとって「トレセンに選ばれるかどうか」は重大な関心事です。そこでサカイクでは、日本サッカー協会(JFA)のユース育成ダイレクターの池内豊さんに、トレセンの目的や選ばれる選手の特徴などをうかがいました。(取材・文:鈴木智之)トレセンでは何を見ているのか日本サッカー協会に聞きました(写真は少年サッカーのイメージ)■トレセンの目的はタイムリーに刺激を与えることトレセンとは、クラブを主とした選手育成と平行して、日本サッカー協会や都道府県協会、地区協会などが選手を選抜し、「個の育成」を目的に行う活動のことを言います。トレセンには、下から地区トレセン、47都道府県トレセン、9地域トレセン、ナショナルトレセンというカテゴリーがあり、U‐12年代から活動しています。トレセンの意義や目的について、池内氏は次のように言います。「トレセン活動自体は、30年以上前から始まっていて、12歳頃から選手をセレクトして、上を目指している子たちに、タイムリーに刺激を与えることを目的としています。(トレセン活動の最上位カテゴリーである)ナショナルトレセンでは、サッカーについての考え方などを、ナショナルトレセンコーチが選手たちにしっかりと伝え、最終的にはA代表につなげていきたいと思っています」トレセン活動の手応えについては「各地域から幅広く選手を見ることができるのは、ひとつの成果だと思います」と話します。「U‐12のナショナルトレセンから、U‐13/U‐14のエリートプログラムへの橋渡しができるようになり、エリートプログラムから、U‐15代表につながる選手が非常に多くなってきました。選手発掘の流れができてきたのは成果だと思います」■トレセンは将来を保証するものではない一方で、課題も感じているようです。それは、U‐15代表を経験した選手から、A代表へと上り詰める選手があまり見られないこと。「U‐12からU‐15までのつながりはできてきましたが、そこから上(A代表)への流れはまだまだです。私も監督をしていましたが、U‐17代表からA代表に進む選手は10%程度しかありません」これは言い換えると、12歳、15歳、17歳の時点で高い評価を受けていたとしても、将来どうなるかはわからないということです。池内氏もそこは認めていて、「U‐12のトレセンであれば、12歳の時点で良い子に刺激を与える場がトレセンであって、選ばれたからといって、将来につながる保証はどこにもありません。それは毎回のトレーニングで伝えるようにしています」と話します。「トレセンに選ばれたことで、選手や保護者が天狗になってしまうのは、我々が一番危惧することです。トレセンに選ばれなくても、悔しさをバネに頑張れば、絶対に次につながります」■「テクニック」とは判断力を伴うもの池内氏自身も、高校時代、自分以外のチームメイトのほとんどが国体メンバーに選ばれる中、選抜から漏れたことがありました。その悔しさをバネに「普段の3倍練習した」ことで、国体選抜を飛び越えて、年代別の日本代表に入った経験があるそうです。とくに12歳前後の年代は、成長による個人差が大きい時期です。身体の大きさ、パワー、スピードといった部分では、成長速度や生まれ月による影響など、様々なことが関係してきます。「私自身、育成年代に何十年と携わっていますが、子どもの頃は成長に個人差があるので、見極めが難しいです。12歳の時点では、プラスマイナス5歳ほど、成長に個人差があると言われています。指導者はそれを頭に入れて、評価することが大切だと思います」サッカーには、身体の大きさや成長スピードに関わらず、高めることができるものがあります。それがテクニック(技術)です。池内氏は「成長の個人差に関わらず、テクニックを身につけることは必要です。そこに早熟、晩熟は関係ありません」と、言葉に力を込めます。「テクニックとは、技術に加えて判断を伴うものです。状況を観て、判断して、一番良いと思うプレーを選択し、そのための技術を発揮する。そのすべてを『テクニック』という言葉に込めています。ボールを止めて、蹴る動作の質を高めるのは当然のことで、サッカーは動きながら、ゴールに向かいながら、どういうテクニックを発揮することができるかが大切になります。ぜひ、動きながらのテクニックを身につけてほしいと思います」サッカーの試合中、ボールに触っている時間はほんのわずかです。テクニックに加えて「オフ・ザ・ボールの動き」も同時に身につけていくことで、試合の中で消えることなく、攻守に関わることができるようになります。「テクニックの他に大切なのは、ボールを持っていない場面(オフ・ザ・ボール)での動きの質を上げることです。具体的には、ボールに近い所での攻守に渡るサポートです。攻撃ではボールを失わないためのサポートや、相手の守備を突破するためのサポート。守備では味方が抜かれた時のサポート、ボールを奪うためのサポート。ボールから遠いところでも、ポジションをしっかりととることを含めて、ボール周辺のオフ・ザ・ボールの動きは身につけてほしいと思います」■相手との駆け引きや判断を伴う中でのシュート練習をそして何より、「シュートのテクニック」を高めることにも、目を向けてほしいそうです。「サッカーの目的はゴールを決めることなので、子どもたち全般に言えることですが、シュートのテクニックはもっと練習してほしいですね。どこにボールを蹴るかというコントロールもそうですし、相手との駆け引きや判断を伴う中でのシュートは、もっとトレーニングした方がいいと思います」技術だけでなく、判断をともなう「テクニック」を身につけること。それが将来、良い選手になるために必要なことと言えるでしょう。トレセンでは、レベルの高い仲間と切磋琢磨することで、より精度の高いプレーをするためにはどうすればいいかを考えたり、コーチのアドバイスから刺激を受けられる場になっているようです。後編では、トレセンに向けた準備やリーグ戦の意義などについて、話は進んでいきます。池内豊(いけうち・ゆたか)現役時代はフジタ工業クラブサッカー部などに所属、1981年には日本サッカーリーグ1部で新人王を獲得。日本代表としてワールドカップにも出場。引退後は名古屋グランパスエイトユースで指導者の道に進む。2007年にU-15日本代表監督に就任、2009年のFIFA U-17ワールドカップでも指揮を執った。現在はJFAユース育成ダイレクターを務める。
2020年10月08日優しいけど自己主張が上手くない小6の息子がチームメイトから意地悪を受けている。今のところイジメとまでは判断できないので、わが子にも「やり返せ」しか言えない。チームではサッカーが上手い子や、技術はそこそこでも口が達者な子が幅を利かせている。大人しく優しい子でもチームで評価され上手くなれればいいけど、放任主義のコーチたちには期待できない。親としてうまく立ち回ればいいけど、いい方法が思いつかない。どうすればいい?というご相談をいただきました。少年サッカーの保護者の悩みとして、いじめ問題を抱える親御さんもいらっしゃると思います。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<食トレだと無理やり食べさせられ胃潰瘍に。安全無視のクラブをやめたい問題<サッカーママからのご相談>子どもの人間関係に関しての悩みです。小学校6年生の息子が隣町のサッカー少年団に所属しています。息子の立場は、Aチーム(一軍)の控えといったところです。移籍したこともあり、学年内に同じ小学校の子はいません。優しい性格ですが自己主張やコミュニケーションが苦手な息子は、学年が上がるに連れて仲間から意地悪を受けることが増えました。悪質なイジメとまでは行かないので、親としてもその子たちに苦情を言うことができないし、コーチに相談するのも気が引けます。ですが息子も言われたことを気にしている時もあり、親としてもどかしいです。現段階ではイジメにつながらないことを祈ることしかできません。どこのチームでも同じだとは思いますが、サッカーが上手い子や、上手くなくても自己主張が強く口が達者な子が、幅を利かせると思います。中学以降は学区も違うしその子たちと同じチームになることはないので、最後まで続けさせようかと思っていますが、状況がひどくなるなら途中でも辞めさせようかと考えることもありますが、Bチームの子達とは割りと上手くやっていますので、辞めさせるのもためらわれます。私の方で何か上手く立ち回れたらいいのかもしれませんが、どんな風にすればいいのか思いつかず、「やられたらやり返せ」と息子に言うくらいしかできません。放任主義のコーチや、たまにしか来ない総監督は頼りになりそうにありません。大人しく優しい子でも、やる気さえあればサッカーが上手くなるようなチームが有るのが理想ですが、私の知る限りでは上記のように上手い子か、口が達者で上に気に入られる子たちが優位に立つチームが多いように思います。まるで社会の縮図のようにも思えますが......。義務教育の学校ではないので、「意地悪が気になるなら辞めろ。でなければ我慢しろ」が正しいのでしょうか。サッカーチーム内のイジメに関しての知見もないですし、何か今後の指針になるようなアドバイスを頂けたら幸いです。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただき、ありがとうございます。お母さんご自身「イジメにつながらないことを祈ることしかできません」と書かれているので、まだそこまでの段階ではないのかもしれません。どんな時に、どんなことを言われたのか、どういった扱いを受けたのか。そのことで、息子さんがどんなふうに傷ついたのか。ご相談のメールだけではいじめかどうかの判断はつきかねます。したがって、これといったアドバイスは特にはありません。一番いいのは放っておくことだと私は思います。小学6年生と最上級生ですし、あと半年で中学生になります。思春期、反抗期に差し掛かってきてもいるでしょうから、母親に何でも話す月齢は過ぎています。■ぶつかりながら成長する経験も大事、まずは見守る姿勢をいじめや、子ども同士のトラブルは難しい問題ではあります。が、親や教師、サッカーのコーチなど大人がいちいち介入するものでしょうか。無論、介入すべき酷いいじめもあります。毎日、トイレに連れていかれ、仲間の前でズボンをおろされ続け不登校になったケースを知っています。SNSで悪口を書かれたことがもとで、友人をあやめてしまった小学生も過去にはいました。まずは、お子さんによく話を聞いて、酷そうだと判断したらコーチに話してみましょう。そうでなければ、意地悪をしたり、されたりは、子どもの世界にはあって当然のことと理解してください。じゃがいもが一緒に洗われると、それぞれがぶつかって泥が取れてきれいになるように、子どもたちもぶつかりながら成長するものです。そんなことを経験することは人間形成に重要です。自分たちで解決するのを見守ることを考えてください。■お母さんの思考の中に子どもの意思が見当たらないそこで私からひとつ、ご提案します。今回の「いじめかも問題」をきっかけに、子離れしてみませんか?中学以降は学区が違うため、いじめらしいことをしている子たちとは同じチームにならない。よって「最後まで続けさせよう」と、お母さんは思っている。ただし、状況がひどくなるなら「途中でも辞めさせよう」と考える。一方で、Bチームの子と上手くやっているから「辞めさせる」のもためらう。続けさせる。辞めさせよう。辞めさせる。言葉の端々に、子どもに対し「○○させる」と話す方のほとんどが、過度に干渉する子育てに陥っていました。15年余りの教育やスポーツの育成現場を取材してきた知見からのお話です。子どものことを考えるとき、話すとき、お母さんは主語が自分自身になっています。「私は」サッカーを辞めさせたい。「私は」今のチームで続けさせる。この主語を、ぜひ「わが子」にしてください。君はどうしたい?どうしたらいいと思う?そんなふうに「問い」を立てられる母親になってほしいのです。主語が親御さん自身である限り、お子さんはその手から離れることはできません。「お母さんは、サッカーを辞めさせる」「お母さんは続けさせる」――この思考の中に、お子さんの存在や意思が見当たりません。サッカーをやるのは、お子さん自身なのに。この、子離れするために「主語を子どもにする」ことは、今の状況を変えるひとつの鍵になるでしょう。さらに、鍵はあと二つあります。■やられたらやり返せというのは有効なアドバイスではないもうひとつは、お母さん自身が「正しい大人」になってください。「私の方で何か上手く立ち回れたらいいのかもしれませんが、どんな風にすればいいのか思いつかず、やられたらやり返せと息子に言うくらいしかできません」と書かれています。本気でしょうか?やられたらやり返しなさいと伝えるのは、いじめられたらいじめ返せばいいと教えているわけです。恐らく、意地悪なことを言われたら言い返せばいいじゃないの、くらいな気持ちかもしれませんが、お子さんにとって有効なアドバイスになってはいないように思います。もちろん悪いのは、嫌なことや意地悪なことを言ってくる仲間です。ですが、これはお子さんの問題です。まずは、嫌なことを言われたお子さんの気持ちに寄り添いませんか。「嫌だったね。よく我慢したね。君は何も悪くないよ。大丈夫だよ。お母さんに何かできることはある?」そんなふうに尋ねてあげませんか。どうすれば、彼らがそういうことをしなくなるか。どんな解決法があるか。誰に相談すればいいか。そこを一緒に考えてあげてはどうでしょうか?■子どもが助けを求めていないのに先回りしている可能性(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめは、先回りしないこと。相談の文章だけで判断できませんが、お子さんが「お母さん、僕はもう限界だ。何とかしてほしい」とSOSを出しているわけではないように見えます。それなのに、お母さんは先回りしていないでしょうか?コーチは頼りにならないと言ってらっしゃいますし、チームや仲間の良し悪しも一存で判断(評価)されています。悪質なイジメであろうがなかろうが、チームメイトにお母さんが直接苦情を言うのはやめましょう。そして、お子さんが自分でコーチに相談することを勧めてあげてください。そこで相手にされなかったり、逆にお子さんが傷ついてしまったなら、そこで初めて一緒に話をしてはいかがでしょうか。お母さんは、コーチや、いじめらしいことをしている子どもたちに、自分がどう挑めばよいかを私に聞きたかったかもしれません。わが子がピンチを迎えると、親として何をしたらいいかと自分が動くことを考えがちですね。でも、子ども同士のトラブルは、親が出ていかないほうがいいケースがほとんどです。いつも話していることの繰り返しになりますが、覚えておいてください。「言わなければ」ではなく、子の話を「聞かなくては」と考えてください。見守ってあげましょう。親が見守ることで、子は成長します。結果的に、子の人生を護ることになるのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年09月30日前回の記事でもお伝えしたように、我々は、保護者として子どものためにベストな選択をしようと考えています。その裏返しに、子どもの将来に対し、保護者としてよりよい選択をしているのか、と不安になったり、焦ったりします。競技面では、幼児期からスポーツクラブに入ったり、習い事としてスポーツを始めるスタイルも親の悩みの種になります。かつてはデイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当し、現在は米国在住で米国のプロから子どものスポーツまでカバーしている谷口輝世子さんがお伝えする、スポーツをする子の保護者としてのあり方。後編では親のストレスを軽減するアドバイスを送ります。子どものスポーツで目に見えないストレスを抱えている保護者の皆さんはぜひこれを読んで気持ちを軽くしてください。(構成・文:谷口輝世子)子どものスポーツでの成功は親の育児の成果、という考えが保護者に重圧を与える<<前編:なんとなく感じる不安、焦り......。子どものスポーツで保護者にかかる重圧とストレスの原因とは■もし、幼い子どもがスポーツを始めたいと言ったら、どうしたらよいのか北米では年齢に応じたスポーツの育成の目安としてLTAD(Long Term Athlete development)というガイドラインがあります。6歳ごろまでは第一段階のActive Startという言葉で説明されており、毎日の生活のなかで体を動かすことを推奨しています。子どもたちが体を動かして遊ぶことを楽しめる環境で、チャレンジしたいと思えるもの、しかし、競技的ではないゲームのようなものがよいとされています。子どもが怖さや不安を感じるような環境は避けたほうがよいようです。9歳ごろまでは、楽しみながらいろいろな動きを身につけられるようにするのがよいとされています。保護者はこういったガイドラインを参考にして、子どもが楽しめるスポーツ環境を探すことはできます。ただし、そういった環境づくりはクラブの運営者、経営者にも担ってもらわなければならず、保護者の自己責任だけではどうにもなりません。たとえ、保育園や幼稚園の友達がスポーツクラブに入ったからと焦って入会する必要はないでしょう。子どもが、それぞれに身体を動かすことを楽しく感じられることが生活のなかにあればよいのではないでしょうか。また、子どもがスポーツを始めると、どうしても他の子どもと比べてしまい、遅れているのではと焦ったり、ものすごく才能があると期待することもあります。しかし、12歳ごろまでは子どもが将来、どんな選手かを予測するのは困難だと言われています。それに体の成長スピードもひとりひとり違います。保護者は、子どもがスポーツ活動に何を望んでいるか、親として何を望んでいるかを言語化したりして、できるだけ広く、長期的にとらえる工夫を。試合や競技結果に過度に一喜一憂しないように、親である自分の視線を変えることは自分でやってみることができます。一方で、チームやスクールの運営者、指導者は、参加しているどの子どもにも成長するチャンスを与えてほしいと強く願います。これらは保護者だけでなく、指導者講習やスポーツ界全体のテーマとして取り組んでもらいたいものです。■子どものスポーツでの成功は、親の子育ての成果なのか前編の記事で紹介した英国の研究者カミラ・ナイトは、スポーツする親をどのようにサポートするかというテーマで講演をしたときに、次のようなスライドを見せました。「子どもの成功、成功できないことは、あなたがどのような親かを示すものではない」この文言のポスターをスポーツ会場に掲示することで、親のストレス軽減に役立ててもらおうというものです。私も実際にスポーツ会場で目にしたことがあります。これは子どもが競技や試合で成功すること、もしくは、うまくいかないことは、親がどのような子育てをしているかを示すものではない、というメッセージです。子どものスポーツの成功は、親の子育てと無関係でしょうか?いやいや、多かれ少なかれ親の子育てとは関係があるのでは、と皆さんが感じるのは当然です。保護者が食事を用意し、スポーツの費用を負担し......。親がそういったことを全くしなければ、子どもはスポーツでの成功どころか、スポーツ活動にさえ参加できないからです。しかし、「子どもの競技成績がふるわないのは、親の子育てが悪いからだ」ということは科学的に証明できていません。親が適切に子育てをしても、ただ、子どもの体の成長が遅いタイプなのかもしれませんし、「他の子どもに比べると」運動が苦手なだけかもしれません。子どものスポーツでの成功は、親の子育ての成果を示すものだ、という考え方は、保護者に親としてもっと頑張らなければいけない、という重圧になり得ます。そして、悪魔のささやきをしてくるかもしれません。「子どもがスポーツで成功することは、よい親であることを周囲に示すことができる」と。でも、それは親である自分に恥をかかせないように、子どもを頑張らせることにつながり、親のエゴのために子に成功してほしいと願うことにつながります。子どもが試合でミスをした後にベンチに下げられて悔しい気持ちになる方もいるかと思います。私もそういう経験があります。また、わが子が良いパフォーマンスをすればチームメイトの保護者に対して鼻が高い気分になったり。親の中に人より優位に立ちたいという気持ちがあり、子どものスポーツを通じて達成しようとしているのです。あるいは親である自分の満たされない何かを子どものスポーツを通じて得ようとする、仕事や家族関係のストレスを抱えていて子どものスポーツに依存していることも。子どもにイライラしているのではなく、自分自身にイライラしているのです。親として得意な気分になりたい、承認されたい感情は消えることはないかもしれませんが、わが子にスポーツを楽しんでもらいたいなら、時には親である自分自身の心の中を覗いてみることも必要かもしれません。子どもが安心して毎日を生きるには、親やそれに代わる大人の関わりが不可欠です。しかし、「親が頑張らないと良い選手に育たない」と頑なになると、その弊害もあります。だからこそのポスターの文言なのです。■レギュラー・補欠。出場時間の問題これは日本だけでなく、子どものスポーツの盛んな国では、同じような問題を抱えていると思います。米国でも同じです。日本の保護者は内に抱え込んで悩む人が多いかもしれませんが、米国人は自己主張する人も多いです。米国の学校運動部では、保護者と指導者の話し合いのルールを定めています。これは、日本でも、応用できるのではないか、と私は考えています。米国の中学や高校の運動部でよく使われている話し合いのルールは、・話し合いに適切な時間を決めておく。・保護者は、出場時間、ポジション、戦術、他の子どもについての質問はできない。・出場時間をもっと得たいと思うときは子ども本人がコーチに質問をする。・保護者はどのようにしたら子どものパフォーマンスが向上するのか、コーチに聞くことはできる。などです。コーチはシーズンや年度はじめに活動理念と方針を示し、保護者、子どもである選手と話し合いのルールを決めておきます。事前に決めてあることによって、保護者の側は「こんなことを聞いてもよいのか、でも、言っておきたい」という悩みやストレスを少しは軽減できます。コーチ側もそれは同じでしょう。これも保護者だけでどうにかできることではなく、指導者、子ども、保護者がいっしょになって対話ルールを作る必要があると思います。さらに具体的な内容、そのほかのストレスを抱え込まないヒントなどは、拙著の『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか』(谷口輝世子著、生活書院)をご参考にしていただけると幸いです。<<前編:なんとなく感じる不安、焦り......。子どものスポーツで保護者にかかる重圧とストレスの原因とは
2020年09月18日元バルセロナで現在はヴィッセル神戸でプレーするアンドレス・イニエスタ選手。世界最高峰のプレーを日本で見られるのは本当に幸せなことですよね。そんなイニエスタ選手が、自身の理念を伝えるサッカーアカデミー「Iniesta’s Methodology(イニエスタ メソドロジー)」では、自身の経験やビジョンを次世代の子どもたちに伝える指導を行っています。そんなイニエスタ選手が日本の子ども達と共有したいこととは。昨年開催された「Iniesta’s Methodologyスペシャルエディションin神戸」で語った内容をご覧ください。(取材・文・写真:貞永晃二)Iniesta’s Methodologyスペシャルエディションin神戸参加者の子どもたちと記念撮影(C)貞永晃二■イニエスタが日本人の子どものと共有したいことイニエスタ選手のアカデミーでダイレクターを務めるフアン氏が夢について講義を行いました(C)貞永晃二特別講義「夢を叶えるために大事なこと」の講師を務めたフアン・カルロス氏はアカデミーのテクニカルダイレクターを務める人物で、イニエスタ選手が9歳の頃、故郷スペイン・アルバセテのクラブ「アルバセテ・バロンピエ」でプレーしていた当時に出会いました。その後20年以上の間イニエスタ選手の成長と活躍ぶりを見守り、サッカーを通じて親交を深めてきたことでイニエスタ選手が厚く信頼する方です。講義では、イニエスタ選手の華麗な選手人生を振り返りながら、夢を叶えるために大事なことを伝えました。フアン:「彼は自分がどのようにサッカーというものをどのように感じているのか、どのように捉えているのか、楽しんでいるかを日本人の子どもたちに伝えて、そして感じてほしいのです。このメソドロジーはイニエスタ選手が練習してきた内容をそのまま練習しようというプロジェクトで、世界でもトップ選手であるイニエスタ選手がしているようにトレーニングをして、サッカーが与えてくれる情熱を日々感じていく練習をしています。彼は日本の子どもたちの持つ特徴や、日本の文化にとても興味を持っているので、自身のサッカーへの情熱を伝えて、日本の子どもたちが持っているサッカーへの情熱を共有したいのです。このイニエスタ メソドロジーで、子どもたちと共有したいのは『どういうふうに教えて、どういう経験をして、プロ選手になっていくか』ということです。人としてどんな価値観を持ち、経験を積んできたか説明して子どもたちの能力に合った練習を挿入して組んでいきます。そこで注意していることは、相手、味方、ボール、スペースの確保、ピッチ上でボールを受けるときのポジション、相手を突破するのか、相手の裏をかく動きをどうやるのかなど、できるだけ質の高い練習を考えています。そして個人としても、チームとしても成長することを目指します」■認知・判断・実行の向上ができるトレーニング子どもたちとミニゲームを楽しんだイニエスタ選手(C)貞永晃二フアン氏は、イニエスタ選手が大切だと考えている考えは、自己犠牲、努力、向上心、情熱、チームワークの5つだと教えてくれました。そこからトレーニングの内容を作っていくのだそうです。フアン:「Iniesta’s Methodologyでは常に試合をイメージして、ボール、味方、対戦相手を重視して練習します。そして、イニエスタ選手自身の反省から来ていることは技術、戦術、体力、そしてメンタルを同時に向上できるような練習を取り入れていることです。子どもの年代では心も体も成長しますから、認知能力、判断能力、実行能力という3つの能力の向上を目指します。子どもたちのモチベーションを高めることで、練習意欲や参加する姿勢を養います。そして何よりもサッカーを楽しみながら学んでもらうことです。これが一生続けるべき学び方だと考えているのです。子どもたちにはどういうところを好きになったのか、どこに注意を払ったのか、何に興味があったのかを聞き出します。そうすることでイニエスタ選手とともに練習内容を考えるときに、子どもたちの欲求に応えられるような練習にしたいからです」と指導哲学を教えてくれました。子どもたちは「楽しい」からサッカーを続けたくなる、それをしっかり大人が理解して接することが大事なのです。これは指導者だけでなく、親も参考になる意見です。■プロ選手になりたければ学校の勉強も大事質疑応答で子どもたちが「プロ選手になるにはどのようなことを続ければいいですか?」と尋ねるとフアン氏は「たくさん練習をして、たくさん努力して、学校でよく勉強すること。そして親とコーチの言うことをよく聞くこと。そして練習ではいっぱい楽しむこと」と答えました。サッカーの技術的な回答を予想していた保護者達にとっては予想外の答えだったようで、会場では大きな笑いが起こりましが、イニエスタ選手がこのメソドロジーで伝えたいのは、サッカーに関することだけではなく、『アスリートとして大切な日常の立ち振る舞いやケガを防止するための身体のケアなど、人間的な成長を目的とした機会を創出』することなのです。サッカーのプレーだけでなく、勉強や人間性などオフザピッチの生活も重要な要素なのだと理解することができる言葉でした。■イニエスタが子どもたちに伝えたいことその後行われた実技指導では、子どもたちはお揃いの背番号8のユニフォームでピッチを駆け回りました。小2、3年生組と小4~6年生組に分かれ、ラダーを使ったウォームアップから、フェイントを入れたドリブル練習やミニゲームの中にじゃんけんや遊びの要素を挟んだもので自然に笑顔になれる楽しめるトレーニングが紹介されていました。途中で登場したイニエスタ選手は記念写真撮影のあと、実際のトレーニングメニューやミニゲームに参加して子どもたちと触れ合いましたが、メソドロジーで最も重視するのはやはり「サッカーを楽しむ」ことなのだということが伝わってくる内容でした。最後にイニエスタ選手とメディアの一問一答をご紹介します。【イニエスタ選手の一問一答】――子どもたちに囲まれてどういう感想を持ったか?アンドレス・イニエスタ(以下、イニエスタ)子どもたちと一緒の時間を楽しんでいます。私が日本に来た目的、理由の1つが自分のサッカーの理解の仕方を、サッカーの未来を担う子どもたちに教えたいという気持ちです。そういった意味でこれは大事なプロジェクトですし、やっていて楽しめるプロジェクトでもあるので、子どもたちにはこのイベントで楽しい時間をすごしていただきたいなというふうに思っています。――10歳前後の子どもたちが身につけるべきスキルはどういうものか?イニエスタ:彼らは育成年代でこれからどんどん育っていく年代なので、いろいろな要素を練習していく必要がありますが、本当に基礎的なこと、頭を上げて周りを見る、味方が周りのどこにいるかを判断する能力や、例えば両足でキックできるように技術を磨くというところが重要になります。ただ、そういった技術が高いだけでなく戦術もフィジカルも重要です。こういった場では子どもたちにいろいろな要素を教えていくことで彼らが成長していく中でどんどん総合的にサッカー選手としての力を身につけていけるようにやっています。特に重要だと思うタスクの1つがチームプレーです。サッカーというのは1人でプレーするものではなくて、チームとしてプレーしてはじめて成り立つものなので、やはり子どもの頃からゲームの中でのポジショニングや味方を見つけることや味方とのコンビネーションなどを学んでいくことが大事だと思いますし、このイニエスタ メソドロジーではそういうところを重点的にやっています。――子どもたちの教訓となるような座右の銘にしているような言葉があれば教えて下さい。イニエスタ:いつも言うことでもあるのですが、子どもの頃から、そしてキャリアを通してやり続けてきたことは、『学び続ける、成長し続ける姿勢』です。監督の話を聞いて、監督をリスペクトして、また毎日新たなことを学ぶ姿勢を持つこと、チームメイトと協力し合ってチームメイトを成長させたり、逆にチームメイトから学ぶことだったり、先ほども言いましたように、サッカーというのはチームスポーツなので大事なフレーズというか、コンセプトとしてはやはりサッカーにおいては周りが自分を成長させてくれますし、自分も周りに与えるものもある。そういう協力関係があってはじめて成立するスポーツなので、そこを理解していくことが大事かなと思います。――親元を離れバルサのカンテラに入られたわけですがご両親はどのように支えてくれましたか?イニエスタ:確かにあれは難しい時期ではありました。離れて生活するようになったこともあって、親はいつも私のことを助けてくれました。アルバセテにいた頃から、練習に連れて行ってくれたりして犠牲を払ってくれましたし、実際に離れて生活するという意味でも彼らが払った犠牲は大きなものだったと思いますし、人生はいい時ばかりではないので、両親はいい時も悪い時も私を支えてくれましたし、家族の意味はそういうところにあるのかなと思っています。【オンラインイベント決定】イニエスタ選手のトークセッションを8月31日開催!日本サッカー、日本の子どもたちのサッカーの「良いところ」「スペインとの違い」イニエスタ選手が12歳の頃の1日のスケジュールについてなどを語ります。テレビ放送、Webのアーカイブ配信ナシ。リアルタイムでしか見られない貴重なイベントです。ぜひご参加ください。詳細・申し込みはこちら>>■イニエスタ選手に質問するコーナーもあのイニエスタ選手に直接聞けるチャンス※事前抽選があります■サイン入りユニフォームを抽選で8名にプレゼント!!※お申込時に振られるお申込番号が抽選番号となります
2020年08月25日世間はお盆休みですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。休暇をとられている方も、世間のカレンダーとは逆にお仕事の方も、お子さんが夏休みのこの時期に色々と考えることがあるのではないでしょうか。本日は、ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2020年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった記事をランキングでご紹介します。サッカーを通してわが子を成長させる親の接し方について参考になることがたくさんありますので、ぜひいま一度ご覧ください。第5位上手い子だけボールを触れればいいの? サッカー強国ドイツが導入を決めた3vs3のミニゲーム「フニーニョ」とはわが子を含めチームメイトの子どもたちも、好きでやっているサッカーなのに試合中1度もボールに触れない子がいて良いと思いますか?それで「楽しい」という気持ちをもち続けられるでしょうか。スポーツ本来の楽しみ方を全員に感じてもらう、みんながボールに触れる環境がチーム全体のレベルアップにつながります。少年の全国大会がないドイツで、ドイツサッカー連盟が9歳以下の試合に導入を推奨したことで注目されるようになったミニゲーム「フニーニョ」が、チームの底上げにおすすめな理由とは。ドイツで長く指導者を務め、フニーニョ導入の経緯や実際の現場を知る中野吉之伴さんに教えていただいたフニーニョのメリット記事を読む>>第4位新年度から8人制にも本格適用! 新ルールをおさらいしよう!! <前編>すでにJリーグでは取り入れられているサッカーの新ルール。まだ小学生年代では適用しきれていないかもしれませんが、もともと日本サッカー協会が「遅くとも2020年4月1日」と8人制サッカーのルール改正適用の時期を定めていました。すべての大会で新ルールが適用されるのですが、今年は新型コロナウイルスの影響などでチーム活動停止の期間などもあり、まだ新ルールに慣れてないチーム、子どもたちも多いのでは?酷暑の時期、涼しい場所での座学でサッカーへの理解を高めるのもお勧めです。ハンドや交代など多くのルールが改正された今回の新ルールについて今のうちに覚えておきましょう記事を読む>>第3位夏休み短縮、炎天下の登校...今年の夏、子どもたちの学校生活で心配なことトップは?3位にはこの夏の心配事のアンケート結果がランクインしました。多くの学校で夏休みが短縮され、例年は夏休みだった時期も登校になり、マスクをしての授業など、親も子も先生方も経験したことがない今年の夏への不安など、忌憚なきご意見が寄せられました。保護者のみなさんが心配しているのはどんなことなのか、外出の際に子どもに気を付けてほしいことは・・・記事を読む>>第2位「うちの子運動神経が悪くて」と悩む親必見!「サッカー以前」に必要な運動スキルとは「運動能力」の記事に関心の高い親御さんはとても多いです。運動ができる子と苦手な子の違いは何でしょうか。親御さんたちの中にも自分の幼少期に比べ、わが子の運動体験が少ないかも......と潜在的に感じている方もいらっしゃると思います。そもそもいまの子どもたちはサッカーをするための基礎的な運動体験から得られる体力運動能力が低いので、サッカーのスキル習得を中心とした練習や運動をしても上手く習得できないのだ、といわきスポーツクラブアカデミーアドバイザーを務める小俣よしのぶさんが教えてくれました。身体活動の基礎となる姿勢維持の力が弱い子も増えているのだとか。「走る運動も身体を支える力が必要です。走るフォームを直してほしいという要望をよく聞きますが、走る運動は総合的な体力運動で、子どもにとっては高負荷の運動なんです」運動が苦手なお子さんの運動機能を向上させるために、家庭でもできる「身体機能を整える運動」を教えてくれたので参考にしてください記事を読む>>第1位高校サッカー選手権優勝の静岡学園が、部員が多く1日2時間半程度しか練習できないからこそ身につけたタイムマネジメント術毎年注目度の高い高校サッカー選手権大会。今年優勝した静岡学園は南米のサッカースタイルをベースに世界で活躍できる選手育成を目指し、足元のスキルなど個人技に優れた静学スタイルは多くのファンを魅了しました。昨年度の部員は260名。なのに練習グラウンドはフルコート1面と小コート1面という環境。グランドを使える時間が限られているなかでサッカーも勉強も両立するために選手たちがどんな工夫をしているか、齊藤興龍コーチにお話を伺いました。サッカーに勉強にと忙しい選手たちのタイムマネジメントに関心のある保護者の意見も多く寄せられます。近年では現役サッカー部員で東大合格者も生んだ静岡学園の選手たちが、どんな風に時間を使って高いレベルでタイムマネジメントをしているか、ご覧ください記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。【保護者、指導者の皆さんへ】連日猛暑続きで夏バテが続いている方もいらっしゃるのではないですか?まだまだ暑い日は続きますが、お父さんお母さんの疲労回復のためにこちらの記事をご紹介しますので、参考にしてリフレッシュしてくださいね。バスクリンのお風呂博士に聞いた「正しい入浴と睡眠の知識」>>
2020年08月11日「お前が何でJ下部行けたんだ」「お前いらなくない?」。小学生時代にJクラブの育成組織に所属していたけど上に上がれず、セレクションを受けて入ったチームでチームメイトから誹謗中傷を受けている。中学生だから親がでしゃばるのもどうかと思うけど、相談させてほしい。とご連絡をいただきました。チームメイトからのいじめは、小学生年代でも心配な親御さんも多いことでしょう。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとに、子どもを守るための3つのアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<試合が多いため毎週の遠征費が家計を圧迫。移籍させたい問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。どうしようもなく悩みご相談いたします。息子は中学一年生でサッカークラブチームに所属しています。小学校の頃は某Jクラブの育成組織に所属していましたが、進級できず。セレクションを受け今のチームに所属しているのですが、体格もなく足の速さも遅い方で現チームでいじめ(誹謗中傷)に合っているようなのです。「お前が何でJ下部行けたんだ」とか「足遅いんだよ(笑)」「お前いらなくない?」など。はじめは頑張って自習練したりしていましたが、最近は暴言が酷くなってきたようで、「サッカーをやめたい、つまらない」と夜な夜な枕を濡らしこらえています。それでも最後には「やる」とは言いますが、明るかった笑顔は消え暗い表情の息子を見てるのもつらいです。厳しいスポーツの世界だからコーチに相談するのも気が引けます。中学生なので親がでしゃばるのもどうかという気もあって。こんなとき見守ることしかできないのでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただき、ありがとうございます。中学生男子が泣いてしまうのですから、おそらくチームメイトからの暴言はひどいのだろうと察します。そばで見ているお母さんも辛いですね。とはいえメールだけで詳しいことはわからないので、あくまで推測の上でのお話であることを前提にお聞きください。■「いじめに負けるな、強くなれ」と命じるのではなく、「あなたは何も悪くない」と伝えてメール文によると、息子さんはJクラブの育成組織出身者。それゆえに、そうではない中学生たちから少しばかり疎まれている。つまり、彼らにとってジェラシーの対象になっていることがよくわかります。息子さんが落ち込むのを見て、彼ら「非J育成組織組」は溜飲を下げるわけです。とてもばかばかしいし、スポーツマンシップに欠ける行為です。いいですか?悪いのは、完全にそのチームメイトたちです。それなのに、親御さんの中には間違った行動をとる方もいらっしゃいます。「厳しい世界なんだから耐えなきゃだめだ」「おまえのほうが強くならなきゃ」「言われるほうも問題がある」「逃げたら負けだ」いかがでしょうか?こういったアドバイスは、「いじめられている側の問題」にしてしまっています。息子さんは何も悪くない。悪いのは誹謗中傷するチームメイト。ここを絶対にはき違えないこと。これが私からのひとつめのアドバイスです。これがとても重要です。それを誤って、「まだ中学生だから、そういうやつもいるよね」とか「試練だと思って乗り越えろ」などと軽い気持ちで言わないこと。思ってもいけません。もし、少しでもそう考えていたのなら、考え方を変えてください。今の子どもたちは、自分を否定してくる言葉をストレートに受け止めがちです。「ああ言ってるけど、軽い気持ちで言ってる」「暴言だけど、ただの嫉妬だ」そんなふうに逃がすのが苦手です。苦手なことを「うまくやれ」と命じるのではなく、「あなたは何も悪くない」ときちんと伝えください。例えば、お父さんや、ほかの兄弟姉妹。祖父母など、ほかの家族でそのような対応をされる方がいたら、息子さんの目の前でお母さんがそれをバッサリ否定してあげましょう。そうせずに、息子さんに「お父さんはこう言ってるけど......」などと、陰で言うような状況はダメです。夫に遠慮してはいけません。■子どもをポートする上で大事なのは「言う」より「聴く」そして、二つめ。親御さんがサポートするうえで大事なことは、息子さんの話に耳を傾け続けることです。お母さん自身もお仕事があったり、他にも兄弟姉妹がいてお忙しいかもしれませんが、彼が落ち着くまでは毎日でも話を聴いてあげてください。子どもがいじめられたり、その身の上に何か困ったことが生じたとき、親御さんがそこにかかわって解決しようとする傾向があります。いわゆる「転ばぬ先の杖」ですね。以前も、この連載で「杖を用意してしまうと、自分の足で難題を乗り越える脚力がつきませんよ」と伝えているように、親が出しゃばってしまうと課題解決する力を育む機会をつぶすことになります。したがって、まずは本人の話を聴いて、その辛さに一緒に向き合ってください。「それはひどいね!ママなら、我慢できないかも」とか「許せないね」と息子さんのぶんまで怒ってあげてもいい。とにかく、本人の話を聴き続けましょう。小学生に同様の問題が起きたり、いじめ以外でも子どもが悩みを抱えたときも、いつも同じアドバイスをしています。「言わなきゃ!より、聴かなきゃ!と考えていください」と。お母さんも「コーチに相談するのも気が引けます」「中学生なので親がでしゃばるのもどうかという気もあって」と躊躇されていますね。ただ、毎日「今日はどうだった?」というわざとらしい聴き方はいけません。「サッカー、楽しかった?」「いつでも話聞くからね」「お母さんたちは君の味方だよ。楽しくサッカーしてほしいと思ってるよ」そういったことを伝えながら、聴く耳を持っているということをアピールしましょう。■逃げることは恥ではない。子ども自身が見出す「次の一手」を尊重しようそして、三つめ。どこかのタイミングで「じゃあ、どうする?」と解決方法を尋ねてみてください。もう中学生なので「いろいろ言うのはやめてほしいと勇気を出して言う」とか、「コーチに相談してみる」「他の自分を悪く言わない仲間に相談する」もしくは、「とにかく無視する」など、さまざま出てくるかと思います。そうならず「わかんないよ」と沈んでいるようなら、「少しお休みしてみる?」とクラブと距離を置くことを提案してもいいかと思います。逃げることは恥ではありません。逆に「悪い仲間や環境からは逃げていいのだ」ということを伝えてください。自分から「もうこのクラブを辞めたい」と言うかもしれません。もしくは、「もう少しやってみる」かもしれません。そうやって、どんな答えが出たとしても、それを否定しないでください。すべての答えを「そうか、じゃあ、そうしてみるといいよ。自分で考えたようにやってみるといいよ」と受容してあげてください。もし、それがお母さんの望む答えでなかったとしても、尊重してあげましょう。息子さんがこの、毎晩枕を濡らすような苦しみの中で見出した「次の一手」なのです。そこをまず認めてあげてください。■あまりに追いつめられると......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)いじめられているときは、子どもも、大人も、著しく自己肯定感が落ちています。「自分はここでサッカーをしていいのか」「自分はこのクラブにいていいのか」あまりに思い詰めると「自分は生きていていいのか」になります。スポーツは何のためにするのか。ぜひそんなことを家族で話し、価値観を共有しながら道を探っていってください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年07月10日世界中を旅できない、スポーツをライブで観戦できないなど、これまで当たり前だったことができなくなり、常識が大きく変わってしまった今、時代と社会を映し出すドキュメンタリー作品に、これからを生き抜くヒントがある。今こそ観るべき、厳選ドキュメンタリーをお届けします。生の感情を呼び起こすドキュメンタリーが急伸。新型コロナの影響で動画配信サービス愛好派が増えるなか、ドキュメンタリーへの注目度が上昇!Huluによると、「自粛期間中は、若者の支持が厚い『セックス・ストーリーズ』や『ゲイケーション』などのドキュメンタリーの視聴がかなり伸びました」とのこと。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞受賞作を多く配信するネットフリックスも、「4月までの1年間で、ネットフリックス使用世帯のおよそ90%が、なんらかのドキュメンタリー作品を再生しています」とコメント。世界的ブームとなった『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』は日本でも話題に!“時代を映す”というドキュメンタリーの特質を実感させたのが、Amazonプライム・ビデオだ。ステイホーム中の話題作『真の英雄たち~新型コロナウイルスと戦う人々~』は、パンデミックに立ち向かうエッセンシャルワーカーを追った作品。同社によると「企画から配信までわずか2週間のハイスピードで制作」というから驚く。新型コロナで生活が一変し、“ニューノーマル”な時代が到来。新しい生き方のヒントは、生の感情を呼び起こすドキュメンタリー作品にあるのかもしれない。2020上半期バズった必見作!新型コロナと戦う縁の下の力持ちに、エールを送りたくなる。『真の英雄たち~新型コロナウイルスと戦う人々~』新型コロナの最前線で戦う、普通の人々の活躍に焦点を当てた作品で、パンデミック発生と制作がほぼ同時期というリアルタイムさも魅力。医療従事者を支える病院職員や、ホームレスに食事やマスクを配るNGOを主宰する元ホームレスの女性など、縁の下の力持ちとして人々の生活を支える庶民派ヒーローに、エールを送りたくなること確実。困った人や地域社会を大事に思う彼らの頑張りや思いやりに、番組ホストを務めるスターが思わずもらい泣きするほど。頑張るヒーローへの支援を早々に決めたAmazonの懐の深さにも感動。2020年/Amazon Prime Videoにて独占配信中究極の状況下で生き延びるハウツーと精神力を学べる。『ALONE~孤独のサバイバー~』無人島に送られた10人のサバイバルを追う冒険ドキュメンタリー。各人が撮った映像などで構成され、シェルターや食料を確保し、火をおこすところからスタート。クマやオオカミに怯えて早々にギブアップする人もいれば、孤独な日々に精神的に参ってしまう人も!?究極の状況に陥った場合、人間を生かすのはサバイバル能力よりも心の強さと実感する。また出場者全員に共通していたのが家族愛の強さで、カメラに向かって心情を吐露する姿にしんみり。1話観たらすぐに続きが観たくなり、一気見必至!2015年/Hulu、Amazon Prime Videoにて配信中キャラクターの凶悪かつ強烈な個性で新型コロナの恐怖への耐性を養う!『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』私設動物園を隠れ蓑に、野生動物の違法繁殖ビジネスに手を染めた、ジョー・エキゾチックの転落人生を追うドキュメンタリー。宿敵キャロル・バスキンとの確執や、動物ビジネスで金儲けをたくらむうさんくさい輩の介入、ジョーの狂気的な行動と歪んだ人間性、すべてが常軌を逸していて目が点に!映画や小説よりも奇妙な現実に頭がクラクラする。戦時中はホラー映画がヒットするといわれているけれど、今回、新型コロナの恐怖への耐性を養うのに、ジョーたちの強烈な個性が役立ったのかも!2020年/Netflixオリジナルシリーズ 独占配信中バスケットボール界のレジェンドとなったM・ジョーダンの真実とは?『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』名将フィル・ジャクソンの下でシカゴ・ブルズが優勝した1997‐1998年シーズンを軸に、バスケットボール界のレジェンド、マイケル・ジョーダンを追う作品。20年分近い映像と当事者の証言を巧みに構成した全10話の力作だ。500分を超える作品は、ジョーダンがスター選手へ上り詰める過程や勝利にこだわるメンタル、父親やチームメイトとの関係、ブルズ全盛期を支えたS・ピッペンやD・ロッドマンらの逸話など盛りだくさん。ジョーダンを知らない若者にとって、彼がスニーカーのアイコンだけではないことがよくわかるはず。2020年/Netflixオリジナルシリーズ 独占配信中性的嗜好は千差万別。人のセックスを笑うことなかれ!『セックス・ストーリーズ』女優やプロデュサーとしても活躍する作家カーリー・ショルティーノが多様化する性的嗜好とSEXを探究!『フィフティ・シェイズ』シリーズで一般化(?)したBDSM=嗜虐的な性向は氷山の一角にすぎず、リュクスな大人のオモチャ界やオンライン覗き部屋、風変わりな嗜好に特化した旅行業社などが次々に登場。女王様に尽くすのが生き甲斐のライフスレイブや環境保護意識がフェティッシュ化したエコセクシュアルなんて知らない言葉も学べて、奥深い性の世界が覗ける仕組み。性をオープンに語るプラットフォーム的番組だ。2018年/Huluにて独占配信中※『anan』2020年7月15日号より。文・山縣みどり(by anan編集部)
2020年07月09日