昨年出版された 『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』 の著者・水谷さるころさん。 前回の記事 では、最初の結婚での学びから導き出した夫婦関係を良好にするコツをお話いただきました。生活していくなかで、子育ても加わり溜まっていく夫への不満…。どのように発散していいのか、わからなくなってしまうこともあると思います。後編では、水谷さん流夫婦間の不満の清算の仕方について教えてくれました。■不満はお金で清算してスッキリ――水谷家のルールで、ぜひこれはおすすめというのは、ありますか?我が家のルール16“不満は溜め込まずこまめに清算 実際のお金に換算するのもあり”ですね。不満って数値化されないんで、決めると楽になるんですよ。うちの場合は、丸1日家にいないと2,000円払うことになっています。――2,000円という金額はどこから?うちは全て割り勘で、食費を払うのが夫の役割なので、夫がいない時、なんで私が食費を払わなくてはいけないの? と思い…いないときは子どもと私の食費2,000円を置いていってくれという計算なのです。実は2,000円の理由はちょっとずつ変わっていて、最初はもしシッターさんをお願いした場合に、区の助成金やらなんやらを使ったとしても1日約4,000円が自己負担になる計算で、だからそれを割り勘して2,000円だとして…という計算にしていました。夫がいなくて、イラっとする気持ち…そんな時、子どもと遊びに行ってファミレスでご飯食べて2,000円払う時に、これが自分のお金じゃないと思えるだけで、私はだいぶストレスが減ります。それで気持ちが収まるのです。「パパのお金で食べちゃおうねー」って。■自分にとって納得するものは何?――2,000円じゃ足りない人もいますよね、きっと。気が済む金額って人ぞれぞれ違うと思います。以前、この話をした時に「2,000円じゃ全然足りないです」という方もいて。それって、もう不満が溜まりすぎていて、今までの不満の慰謝料を取りたい気分なのでは…?と思いました。そうなる前に、「ま、2,000円置いていったから、いいか~」と思える日々の細かい精算がいいんじゃないかなと。■自分の人生の価値観を整理整頓――お金の精算は嫌という人もいますよね?もちろんその方法が嫌だという人もいると思います。そういう人は花を買ってきてもらったり…とかでもいいですよね。大切なのは、そういう会話を夫婦でするべきだということなのです。そこで、(前編でも話した)何が嬉しくて、何がイヤかの話になるんです。みんな抑圧されすぎちゃって、何がしたくて、何がイヤで、何で保証されたら嬉しいかが、自分で整理できてない人が多いと思います。友人夫婦の不満や愚痴を聞くときって、ほぼカウンセリングをしている気分になります。夫に対しての不満を聞きつつ、どういうアプローチをしてもらったら不満がなくなるのかを引き出すんです。多くの人が、わからないのです。自分でそれを考える訓練をしていないから。親や世間から「そうするべきだと刷り込まれたこと」と「自分は本当はどうしたいのか」を整理して、自分の人生の価値観を棚卸しすること。それをすると、「じゃ2,000円置いていって。それで気が済むから」という会話が夫婦でできるようになると思います。■愛する家族の関係を良好に続けるために毎日の生活の中で、不満をためて取り返しがつかないことになる前に、具体的に何をすればいいかをルールとして可視化した水谷さん。一見ドライに見えるかもしれませんが、愛する家族との良好な関係を続けて行きたいからこそ、しっかり自分、そして夫の本質を見つめた結果なのです。心の声をオープンにし、夫婦間のコミュニケーションをすることが簡単ではない人もいるかもしれません。でも、自分を知ってコミュニケーションをとることでハッピーな変化…起こりそうな気がしませんか?■今回のお話を伺った水谷さるころさんのご著書 『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』 (水谷さるころ/新潮社 ¥1,080(税込))
2019年07月31日「子育ては母親メイン」という価値観が強いなか…どうやって夫に家事育児に参加してもらい夫婦関係も良好な形を築くのかというのは、多くの人が抱える悩み。どんな解決策があるのでしょうか…。漫画家・水谷さるころさんは、夫といがみ合わずに暮らしたい! をテーマに自分たちに必要なルールを導き出しました。フェアな子育て実現のために奮闘する日々を描いた 『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』 では、そのルールを解説。この1冊に、あなたの家庭の働き方改革のヒントが隠れているかも。水谷さるころ(みずたに さるころ)さん千葉県出身。イラストレーター、漫画家、グラフィックデザイナー。2016年に自身の結婚、離婚、事実婚で再婚したアラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけれど』(幻冬社)を出版。趣味は空手。さるころの育児マンガ マイル日記: Twitterアカウント: @m_salucoro 家の中のことは漫画に描いてもいいという夫婦間の約束の元、夫婦の日常をオープンに見せるエッセイ漫画が人気の水谷さるころさん。夫婦関係を良好にするコツ、子育てについてをお話くださいました。■夫は、論破されると喜ぶタイプ――夫・野田Dさんは、どのような人ですか?うちの夫は、論破されるとキュンとするタイプなんです。自分をロジックや何かで負かしてくれる、自分より優れている何かしらの能力があって、学びがあるのがいいらしいです。NOが言えないタイプの人だと、何も返って来ないから、得るものもない。それがつまらないのだそうです。言い返してくれて、自分が間違っている時に、間違ってるって言ってくれる人が好き…という、ちょっと不思議な人です。■失敗から学んだのは、頑張りすぎないこと――はっきりNOをいう妻、論破されたい夫。相性がとてもいいですね。そうですね。相性はとてもいいと思います。私は、最初の結婚では自分さえ頑張ればいい…NOを言うより頑張ればいいという考えでした。――なぜ変わったのですか?離婚を通し反省したことは頑張りすぎるのってよくないなってこと。自己責任という言葉で、「自分が頑張ればOK」という感覚が今の社会には蔓延していますよね。でも、そうやってすべて自分で背負ってもダメだし、人のせいにしていてもダメだし、バランスを取ることが大事なんだと気がついたのです。人の人生まで背負うのって無理なんですよね。夫はこういう人だから、私がこう頑張ればいいっていう解決法には限界があるんです。それを反省した結果、NOとかこれは無理とハッキリ言えるようになりました。そしていい関係を築けるようになりました。■問題は視覚化。“ルール作り”で良好に――水谷さん家族が実践している我が家のルールの中で、ぜひみんなにも取り入れてほしいルールはありますか?“共有財産を持たない”とかは我が家の特別ルールですよね(笑)多くの方に当てはまるものでいうと、我が家のルール4“「察してチャン」は禁止”かな。ルール6の“おかしいと思ったら即話し合い 要求はわかりやすくはっきりと”も、“「察してチャン」は禁止”と近いですよね。夫婦間で、自分は何がイヤで何をしたいのか、ちゃんとコミュニケーションをとることが大事だと思うのです。■日本の教育はコミュニケーション下手を生む?!――確かに。ただそれって、なかなかの労力が必要ですよね。そうなのです。自分の意見を言わずに相手を受け入れるのって、実は楽なのです。自分で抱え込んじゃえば、コミュニケーションを頑張らなくていいので、楽なんですよ。でも、相手との健全な関係がほしいなら、全部を受け入れちゃダメ。努力が必要です。日本の教育って、我慢や自分の意見を主張する前に周りと調和することを教えるところがあって、自分の意見を言う練習をしてないんですよ。私たち世代は特に、まず、自分の気持ちは抑え込むものだって教えられてたと思うんです。そうすると、今私は悲しいのか、苦しいのかすら、わからなくなって、だから、コミュニケーションが上手にできず、夫婦関係がうまくいかないという結果を招いてしまったのではないかと。■抑圧せず自分の意見を持たせる子育てを意識――それって、子育てにも関係してくることですよね。本当にそうだと思います! だから私は子育ての中で強く意識しているのが、“何がしたい”そして“何がいやか”を、とにかく自覚させること。「●●をしなくちゃいけないから、これをしなさい」という話し方ではなく、息子と「何がやりたくて、何がイヤなのか」を会話してから、「だけど、今はこれをしなくてはいけない」という風に接するようにしています。離婚をきっかけに自分の心の声を整理整頓。常識や世間体を取っ払ったところで、自分が本当に欲しいものを導き出した水谷さん。人生には失敗はつきものです。でも、ただの失敗で終わらせない。そこから何かを得る。そして新たなる夫婦関係、親子関係に役立てる。この精神こそが、強さに繋がるものなのかもしれませんね。後編では、水谷さん家族ならではの、ちょっと変わった、でも説得力のあるルールについて教えてくれます。■今回のお話を伺った水谷さるころさんのご著書 『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』 (水谷さるころ/新潮社 ¥1,080(税込))
2019年07月30日このところ「おむつなし育児」という育児法が話題になっています。多くのママは、「おむつなし」と聞くと、まった全くおむつをしないの? 床や部屋が汚れはしないのかな? などと疑問に思うかもしれません。そこで今回は話題の育児法、「おむつなし育児」について解説、検証してみます。■「おむつなし育児」は、かつては日本でもやっていた「おむつなし育児」は、決して目新しいものではなく、布おむつも紙おむつもなかった時代、当たり前にやっていた方法です。いつのまにか日本では途切れてしまいましたが、今再び注目されています。簡単に言えば、「おむつの中でおしっこやうんちをすることを当たり前にせず、なるべくおむつの外でさせることで、赤ちゃんのうちに排せつの気持ちよさを伝えてあげる方法」です。言い換えれば、「おむつでうんちやおしっこをすると気持ち悪い」という感覚を当たり前にすることだといえます。■おむつをまったくしないわけではありません「おむつなし」とは言っても、普段はおむつをしています。赤ちゃんをよく観察して、おしっこやうんちが出そうかな? というタイミングでおむつを外し、なるべくおまる・トイレなどでさせてあげるのが、おむつなし育児の基本です。とはいえ、何がなんでもおむつなしで! と気合いを入れ過ぎる必要はありません。家ではおまるでしていても、外出時は紙おむつでしてOK! くらいの緩やかな気持ちで取り組むことがポイントです。「おむつを外す」ことが目的ではなく、赤ちゃんの頃から排せつの仕組みや楽しさを親子で共有することが最も大切な目的。そこが、いわゆるトイレトレーニングとは違うところでもあります。歌を歌ったり、掛け声をかけたり、時には遊んでみたりと、コミュニケーションしながら行うのもおすすめです。■ママにとって子育ての自信につながります! 出産してすぐは、赤ちゃんがどうして泣いているのか、何を求めているのかがわからなくて戸惑うママがほとんどです。でも、時間を重ねて赤ちゃんに向き合っていくうちに、だんだんと赤ちゃんの欲求に気付きやすくなっていきます。これと同じように、おむつなし育児を続けていくと、徐々に子ども自身のサインやタイミングが、自然にわかってくるようになるそうです。しかも赤ちゃんは自分の欲求がすぐに満たされるとご機嫌な時間が長くなります。それは、ママにとって育てやすさを感じることにも繋がります。また、排せつ以外の欲求も気付きやすくなることが多く、結果的に子育ての自信に繋がることにもなります。とある国では、生後数ヵ月間は、家の床に赤ちゃんを置いてはいけないという風習があり、赤ちゃんはずっと、スリングのような布の中でママに抱っこされて過ごすそうです。すると、赤ちゃんとママがずっと密着しているため、五感で感じ合うようになり、排せつのタイミングがわかるようになる、という話を聞いたことがあります。おむつなし育児とは、まさにこうした感覚なのでしょうね。■おむつなし育児を実践しているママに聞いてみました!「いつの間にか子どもの排せつのタイミングがわかるようになって、親として自信が持てたような気がします!」(6ヵ月の子のママ)「ずっと便秘がちでしたが、おむつの外に出すほうがたくさん出るようで、便秘も自然に解消できました!」(7ヵ月の子のママ)「以前は布おむつを使っていましたが、だんだんおしっこの量が増え、洗濯が大変になってきたので、おむつなし育児に切り替えました。今では助かっています」(5ヵ月の子のママ)「オムツ代が節約できます! しかもエコですよね」(8ヵ月の子のママ)「トイレでうんちやおしっこをすることに抵抗を感じることがなかったので、トイレトレーニングに苦労せずに済みました」(1歳6ヵ月の子のママ)おむつオムツなし育児とはつまり、赤ちゃんとじっくり丁寧に向き合うこと、そして、親子のコミュニケーションを豊かにするためのひとつの方法だと感じました。軽い気持ちで構わないので、興味がある人はぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
2014年09月19日