5月4日、シャネル(CHANEL)が韓国で15-16クルーズコレクションのショーを開催した。会場となったのは建築家ザハ・ハディドが設計し、2014年3月ソウルにオープンしたばかりの東大門デザインプラザ(DDP)。会場には、クリステン・スチュワート、ティルダ・スウィントン、アルマ・ホドロフスキー、小松菜奈、菊地凛子、BIG BANGのG-DRAGON、TAEYANG、 韓国人女優 のパク・シネ、韓国人俳優イ・ジョンソクなど、著名なゲストが一堂に招かれた。韓国の伝統的な文化を、近代アジアの大胆なコンテンポラリー精神とともに洗練されたスタイルを再解釈したコレクション。フュ―シャピンク、コーラル、オレンジ、薄紫色、青磁色、ミントグリーン、ターコイズブルー、ロイヤルブルーといった鮮やかなカラーパレットで彩られた。マルチカラーをランダムに組み合わせたヴィヴィッドなルックでショーはスタート。東洋の伝統な色遣い“五方色”を思わせながらも、異文化をミックスし個性的で奇抜なスタイルを好む韓国の文化背景が垣間見える。クラシックなツイードを用いたスーツの他、ペンシルスカート、ストレートスカート、ひざ下丈のスカート などのシルエットや、シフォン、オーガンジー、レースなど組み合わせる素材のバリエーションは様々で自由なムードに溢れている。シャネルの誇るクチュリエ技術もオリエンタルなニュアンスに。トップス、ワンピース、パンツの裾には繊細な寄木細工風の刺繍が施された。グログランやベルベットのリボンで胸元をコンシャスしたビスチェドレスはソウルの夜の街のネオンのように煌びやかで妖艶だ。イブニングには、朝鮮半島の 民族衣装“チマチョゴリ”を彷彿させるドレスが登場した。
2015年05月12日『未来世紀ブラジル』や『12モンキーズ』といった傑作を数多く生み出し、高い人気を誇るテリー・ギリアム監督。その最新作は、名優クリストフ・ヴァルツを主演に迎えて描いた近未来ヒューマンドラマ『ゼロの未来』。 舞台は、コンピューターが世界を支配している近未来。天才プログラマーのコーエンは、荒廃した教会に一人で暮らし、「人生の意味」を教えてくれるというある電話を待ちながら、「ゼロ」という難解な数式の解明に取り組んでいた。そんななか、パーティで知り合った謎の美女ベインズリーに惹かれはじめていくコーエン。人間嫌いで、閉ざされた世界に生きていたコーエンが他人に心を開くことで、彼の人生も大きく動き出すことに……。 今回主演を務めたクリストフ・ヴァルツは、はまり役でコーエンを熱演し、この作品に大きなエネルギーを与えています。そして、多くの俳優たちに敬愛されているギリアム監督だけに、ベン・ウィショーやティルダ・スウィントン、マット・デイモンといった錚々たる俳優たちがカメオ出演しているのも見逃せません。 また、本作のオープニングシーンは、ギリアム監督が初めて来日した際に秋葉原を訪れたときの体験が基になっており、そのときの秋葉原旅行そのものを描いたという。「あんなカルチャーショックを受けたのは生まれて初めてだった」と語るほど、電車を一歩降りたときに広がる秋葉原の騒音や映像、ダンスをしている姿などに衝撃を受けたとのこと。ぜひ、その注目のオープニングからラストまで、ギリアム・ワールドにどっぷり浸かってください。 「人は物事を自らの手によって複雑にしているだけで、本当の幸せはシンプルなものである」という本作のメッセージ。色んなものがあふれている現代だからこそ、大切なものを見失いがちなのかもしれません。様々なものに縛られている自分を解放したとき、自分にとって本当の幸せと生きる意味が見えてくるはずです。 イベントデータ: 『ゼロの未来』 公開表記:5月16日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館他にてロードショー 配給:ショウゲート © 2013 ASIA & EUROPE PRODUCTIONS S.A. ALL RIGHTS RESERVED.ALL RIGHTS RESERVED.
2015年05月10日イタリア出身の衣装デザイナー、ミレーナ・カノネロ(Milena Canonero)がウェス・アンダーソン(Wesley Anderson)監督の映画『グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)』で、15年度におけるアカデミー衣装デザイン賞を受賞した。この映画の主要キャストが着用した衣装は、ミレーナ・カノネロがフェンディ(FENDI)とコラボレーションして制作したもの。ブランドのファー工房で作られたアイテムが、映画の舞台となる1920年代終盤の雰囲気を巧みに再現するの一役買っている。エドワード・ノートン(Edward Norton)演じる“ヘンケル警部”が着たのは、グレーのアストラカンファーをオーバーサイズに仕立てたミリタリー調のコート。一方、ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)演じる“マダム D”は、イタリア製シルクとブラックミンクのラグジュアリーなケープをまとった。その他、主要な女性キャストが身につけるケープとファーのストールも、すべてフェンディが手がけている。今回のアカデミー賞の受賞について、ブランドのチェアマンでCEOのポエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)は、「エドワード・ノートンとティルダ・スウィントンのあの記憶すべきファーの衣装を制作したことは、私たちにとって大きな誇りです。衣装デザイナーのミレーナとの究極のコラボレーションは、情熱に突き動かされたフェンディとシネマとの密接な関係が対話し続けていることを再確認出来ます」と語っている。
2015年02月28日『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』のテリー・ギリアム監督の最新作『ゼロの未来』の予告編映像が公開になった。本作はギリアム監督がコンピュータに支配された近未来を舞台に描く人間ドラマだ。予告編映像ギリアム監督は伝説のコメディ集団“モンティ・パイソン”のメンバーとして活躍し、先の2作のほか『バンデットQ』『フィッシャー・キング』『ブラザーズ・グリム』など独創的な映画を次々に発表。世界各国に熱狂的なファンがいる映画作家だ。本作の主人公コーエンは、荒廃した教会にひきこもって謎めいた数式“ゼロ”の解明に励む天才プログラマー。これまで彼は孤独に数式と向き合ってきたが、ある日をきっかけに魅力的な女性ベインズリーと“ゼロ”の秘密を知る青年ボブと出会い、人生が大きく変化していく。主人公のコーエンを名優クリストフ・ヴァルツが演じるほか、劇中にはベン・ウィショー、ティルダ・スウィントン、マッド・デイモンらもカメオ出演しているという。このほど公開された予告編の冒頭には、近未来の都市など、日本の文化を思わせるデザインが数多く登場するが、ギリアム監督は「私が初めて日本を訪れたときに、とても西洋化されたホテルに宿泊し、そのあと秋葉原に行ったんだ。秋葉原駅で電車を一歩降りると、騒音や映像やダンスをしている姿や洗濯機やタイプライターや踊っている人の姿が目や耳に入ってきて…あんなカルチャーショックを受けたのは生まれて初めてだった。『ゼロの未来』のオープニング・シークエンスは、私の秋葉原旅行そのものなんだ」とコメントしている。『ゼロの未来』5月16日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほかにてロードショー
2015年02月20日ナーズ(NARS)が、今春の新作コレクションを、2月13日に発売する(一部数量限定)。アイメイクアイテムは3種。デュオアイシャドーの新作3902(4,200円)は、光沢のある明るいシマリングネクタリンと、ダークなチェスナットの2色の組み合わせで、単色使いはもちろん、それぞれアイライナーとハイライトとしても使用可能。シングルアイシャドーの2089(2,500円)はまぶたの上でシマーに輝くピーチピンク。アイペイント(アイカラーベース)の8152(2,800円)は、まぶたに陰影を演出するライナーとしても使用出来る。リップメイク3種はカラー、数量ともにすべて限定発売。キャラメルヌードカラーのリップスティック9304(3,200円)の他、リップグロスNでは桜貝のように繊細なピンク5600(3,000円)と唇にハイライトを添えるシルバーの5601(3,000円)が登場する。ブラッシュ(フェイスカラー)の4055(3,000円)は、光沢感のあるシアーピンクがほんのりと色付き、様々な肌色に馴染みやすい。同コレクションのキャンペーンビジュアルは、ティルダ・スウィントンを主役に迎え、ナーズの創始者でクリエーティブディレクターであるフランソワ・ナーズが撮影した全4幕からなる“Portraits by The Artist(アーティストによる肖像)”シリーズの第2幕。再生の季節である春をイメージした新ルックは、色彩を極限までそぎ落とし、美しい“素肌感”を引き立たせた。
2015年01月28日女優ティルダ・スウィントンとパリ・ガリエラ宮モード博物館館長オリヴィエ・サイヤールによる即興劇「クロークルーム」が、ピッティ・イマージネ・ウオモ87の特別プログラムとして1月15日、フィレンツェのペルゴラ劇場で行われた。この2人によるパフォーマンスは2012年、13年にフェスティバル・ドートンヌ・パリで行われ話題を集め、今回はピッティのために新たにプログラムが構成された。舞台装置はクロークを想定したと思われる長机と、洋服を預かるハンガーラックだけ。クローク(机)で出迎えるティルダを観客が自分の持ち物を預けに行くというシンプルな構成で、開演前の事前申請もなく観客は自発的にそのクロークに並ぶ。ティルダは客から預かったストールやジャケット、コートなどを預かり、客に控えの紙を渡した後、それぞれのアイテムと対峙。あるときはストールを前に机に突っ伏し、コートのフードで頭を覆い、机の下にもぐり机からずり落ちたジャケットの袖に頬をすり寄せ、あるときはキッス、花を添える、などさまざまな行動を演じる。無言で続くその行為は預けた客、あるいは預けられたモノに対してティルダ自身が、コミュニケーションを図っているかのようにも見えるが、人と人、人とモノのつながりに対して何らかのシグナルを発しているかのようだ。シンプルなシチュエーションで80分にわたり、客に息をつかせず無言で演じるティルダ・スウィントンの圧倒的な表現力とともに、オリビエ・サイヤールの服飾史を背景にした演出はフィレンツェの地でも大きな拍手を持って迎えられた。ティルダは昨年10月にメルセデス・ベンツのグローバルキービジュアルのモデルを務めたことから、メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京のスペシャルゲストとして来日。2011年にはラフ・シモンズが衣装を手掛けた映画『ミラノ、愛に生きる』のキャンペーン時にも来日。日本通として知られており、今回の「クロークルーム」の続編も、日本での上演が期待される。余談ながら、今回フィレンツェでの初回(2回公演)のプログラムで、クロークにネクタイを預ける客として参加した日本人のジャーナリストには、ティルダが紙にキスマークを付けるパフォーマンスで返答。終了後にそのキスマークのメッセージとともにネクタイが本人に返却され、ピッティ関係者から「今回のMVP」と祝福を受けていた。
2015年01月22日1月13日から16日までフィレンツェで開催される第87回ピッティ・イマージネ・ウオモのスペシャルゲストはブランド設立20周年を迎えた「マルニ(MARNI)」と、ニューヨークのラグジュアリーストリートブランドの「フッド・バイ・エア(Hood By Air)」が選ばれ、それぞれ15日と14日にショーを行う。また、15SSより「トッズ(TOD’S)」のメンズクリエーティブディレクターに就任したことでも話題を集めたアンドレア・インコントリがデザイナープロジェクトに選ばれ、14日にショーを実施する。また「スーパー・ドゥーパー・ハッツ(SuperDuper Hats)」のマッテオ・ジオーリと「カモ(Camo)」の ステファノ・ウゲッティの2人のデザイナーによるデュオプロジェクト「Arrivo」が、サイクリングウェアをテーマとしたワールドプレミアを発表する。さらに、昨年パリで上演され話題を呼んだ英国女優ティルダ・スウィントン主演、ガリエラ宮モード博物館ディレクターのオリヴィエ・サイヤール脚本・監督のコンテンポラリーダンスの公演も行われる。今回はパリで発表されたドレス中心の作品から、スーツを中心に構成したパフォーマンス「クロークルーム(Croakroom)」が発表される。今回のピッティ・イマージネ・ウオモ87のテーマは「ウォークアバウト・ピッティ(WALKABOUT PITTI)」。ライフスタイルとしての“ウォーキング”に着目し、会場のフォルテッツァ・ダ・バッソの会場演出、アクセサリー提案の他、フィレンツェを歩いて楽しむための様々なルート提案がマップやアプリで提案される。展示イベントとしては「BORN IN THE USA by Liverty Fairs」を新たに増設。3×1、American Trench、BKC/The Brooklyn Circus, Dehen 1920, Dickies 1922/Palmer Trading, Filson,Frank Clegg, Freenote, Imogene + Willie, Knickerboker Mfg Co, MSL by Billy Reid, Norman Russell,Oak Street Bootmakers, Quoddy, Red Wing, Save Khaki, Schott/Perfecto by Schott, Shinola, The Hillside, Upstate Stock.などのメイドインUSAのブランドが参加する。また新プロジェクトとしてスウェーデンのデザイナーを集めた「スェーデンスポット(SWEDEN SPOT)」が新設される。また併催されるレディスの「Pitti W」ではロシアがゲストネーションとして出展する。またNorth sailsが新ブランド、WP Lavori in Corsoがバイクメーカーのドゥカッティと新たにコラボしたライダーズコレクション、英国のアウトドアブランドKarrimorがナイジェル・ケボーンとコラボしたカプセルコレクション「K100」などが、世界で初めてのコレクションを発表する。なお前々回、前回に引き続き、伊勢丹新宿店メンズ館ではピッティ・ウオモに出展する企業から厳選されたブランドの先行予約イベントが今回のピッティに連動して行われる。
2014年12月05日「H&M」は、H&Mデザインアワード2014で優勝したエディ・アネミオン(Eddy Anemian)によるカプセルコレクションを10月23日に発売する。日本ではH&M SHIBUYAが取り扱いを予定している。このコレクションは、映画『I Am Love(ミラノ、愛に生きる)』(2009年)で主演を務めたティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)と、フランス出身の画家ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル(Jean Auguste Dominique Ingres)にインスパイアされたもの。花柄の室内装飾用ファブリックなどをテープ状にカットし、再構築したロングスカートやジャケットなどが象徴的なアイテム。また、ラッフルを層状に重ねたホワイトのスカートや花柄のボウがアームホールに施されたホワイトのジャンプスーツ、ヘビーツイル素材のブラックのトップスなどをラインアップしている。■発売に先駆け、エディ・アネミオンにメールインタビューを行った。――H&Mデザインアワード2014では、どのような点が評価されたと思いますか?恐らく、クチュールのスピリットがあったからです。私のコレクションは8人のセミファイナリストの中で最もクラフトマンシップにあふれたもので、既製服としての生産は多少難しいものでした。一方、H&Mは丁度新しいコラボレーションに新たな方向性を求めていました。それが両者にとってよい出会いとなったのではないでしょうか。――優勝したことで、どんな影響がありましたか?受賞したことで、多くの人が私の仕事に興味を持ってくれて、その後も私を応援してくれています。これは私に次のコレクションへの自信と、今後私の顧客となり得るの多くのSNSフォロワーを与えてくれました。――H&Mとコレクションを製作したのは、どんな経験だったでしょう?多くの責任感を感じましたが、H&Mのデザインチームとプレスチームに支えられたので、プレッシャーを感じずにいられました。製造、生産過程を実際に見て多くを学びました。デザインチームは私のデザインとテクニックを尊重し、個々のサンプルが完璧に仕上がるよう、話し合いを重ねることが出来ました。――完成したコレクションを見てどう感じましたか?ラックに掛かった、私のオリジナルコレクションとそっくりなサンプルを見た時はとても驚き、満足しました。それが現実の商品となり、店頭で見られることをとても楽しみにしています。女性がこのコレクションを、パワフルで自信に満ち溢れ、グラマラスに着こなしてくれることを期待しています。――尊敬するデザイナーやクリエーターはいますか?ラフ・シモンズ(Raf Simons)とニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)が大好きです。彼らの輝かしいキャリアは素晴らしいと思いますし、多くのファッション学生にとってのお手本です。――これからの活動について教えてください。当分の間は「ディオール(Dior)」のスタジオでインターンをします。パリのファッションハウスで数年は働いた後、5年以内に何か新しいプロジェクトで戻って来たいと思っています。いつかオートクチュールのファッションウィーク時にパリでファッションショーをしたいと願っています。そのために一生懸命働くつもりです。
2014年10月12日本年度ベルリン国際映画祭「銀熊賞(審査員グランプリ)」を受賞し、公開するやいなや各国で次々と記録を更新、ウェス・アンダーソン監督最高の大ヒットとなり、世界中で大旋風を巻き起こしている『グランド・ブダペスト・ホテル』。先日、一般の方を抽選で募った『グランド・ブダペスト・ホテル』リレー試写会が行われ、上映後のトークショーには、かねてからアンダーソン監督と親交の深いファッションライター・エディターの野村訓市氏が登壇したが、なんと、そこに『her/世界でひとつの彼女』のプロモーションで来日していたスパイク・ジョーンズ監督が、飛び入りで参加していたことが分かった。世界大戦前夜の1932年、美しい山々を背に優雅に佇む、ヨーロッパ随一のグランド・ブダペスト・ホテル。エレガントな宿泊客たちのお目当ては、“伝説のコンシェルジュ”グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)だ。ある日、グスタヴの長年のお得意様である伯爵夫人のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺され、遺言で貴重な絵画「少年と林檎」を贈られたグスタヴが容疑者にされてしまう! グスタヴは自らの潔白を証明するため、そして命より大切なホテルの威信を守るために、愛弟子のベルボーイ・ゼロ(トニー・レヴォロリ)と共に、ヨーロッパ大陸を逃飛行しながら謎に挑む──。一般試写会後のトークショーに登壇したのは、数々のファッション誌、カルチャー誌にてライター・編集者をしている野村さんと、そのこだわりとセンスから圧倒的支持を得ている男性誌「POPEYE」編集長の木下孝浩氏。実は野村さんは、アンダーソン監督初期の作品から出演し続けているビル・マーレイやエイドリアン・ブロディ、エドワード・ノートン、ティルダ・スウィントン、さらにウィレム・デフォー、ジュード・ロウ、シアーシャ・ローナン、レア・セドゥら超豪華なキャストに混じって、日本人ツーリスト役として出演を果たしていたのだ。「撮影が行われたのは一昨年の1月で、少し会うつもりだったのに、急にウェスのスタッフからメールがガンガン届くんです。身長は何センチだ、髪型はどんなだ、髭は生えているか?とか」と、ふり返る野村さん。本作は現代、1960年代、そして大戦前夜の3つの時代が描かれているが、ジュード・ロウも出演する60年代のシーンで出演することになったという。仕事で事前のフィッティングが出来ず、衣装を自前で用意することになったのだが、アンダーソン監督独特のこだわりから、持っていったパンツの裾を有無を言わさずバッサリ切られてしまったという野村さん。それを受け、木下さんは「この作品に限らずですが、とにかくファッション、セット、スタイルが洒落ていますよね。N.Y.のテイラーで自分のスーツを作り続けていたり、こだわりが普通じゃなくて、ほかのニューヨーカーとは違う」と監督のセンスを絶賛。「あとは彼が取材嫌いっていうのも編集者としてはそそられます」と話した。また、野村さんは「現場での夕食は必ずみんなで食べるのが決まり(笑)。僕は数日でしたが、ほぼずっといたレイフ(・ファインズ)は『たまには外でひとりで食べたい』と言っていたが、ウェスに『だめだ』と言われたそうです」と、アットホームな雰囲気を感じさせる撮影中のエピソードも明かしてくれた。すると、質疑応答でサプライズが!野村さんとやはり親交があり、飛び入り参加していたスパイク・ジョーンズ監督がなんと挙手!野村さんに役作りについて質問し、会場は一気にヒートアップした。最後は、野村さんが「『グランド・ブダペスト・ホテル』が豪華キャストによるミステリー仕立てのエンターテイメントだとしたら、『her』は主役のホアキン・フェニックスと声だけの出演だけどスカーレット・ヨハンソンの感情の揺れ動きを描いたエモーショナルな作品。同世代のふたりの監督が互いに違ったアプローチで作ったこの2作品を、ぜひみなさん観てください!」と締めくくった。『グランド・ブダペスト・ホテル』は6月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:グランド・ブダペスト・ホテル 2014年6月6日よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほか全国にて公開(C) 2013 Twentieth Century Foxher/世界でひとつの彼女 2014年6月28日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 2013 Untitled Rick Howard Company LLC All rights reserved.
2014年05月29日「シャネル(CHANEL)」は、14-15クルーズコレクションをアラブ首長国連邦・ドバイにてランウエイショーで発表した。会場として特別にドバイ海岸に建設された砂色の建物はマシュラビーヤ(格子窓)で装飾され、中にはオアシスが設けられた。日没後、キャンドルの光の下でショーがスタート。アーティスティックディレクターのカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は、「これは万人のための、理想の東洋を表現したもの。伝説から映画、ドラクロワの絵画から1914年のポール・ポワレの作品まで、様々なものから影響を受けた」と語る。ボリュームのある袖に極小のスパンコールを刺繍したボレロジャケット、ウエストをベルトでマークしたツイードのプレースーツ、ゴールドのルレックスシルク製バギーパンツ、ネオプレンのカメリアが刺繍されたジャケットなどがキーアイテム。東洋のモザイク柄からインスピレーションを得たプリントは、花柄と幾何学模様が組み合わさり、ドレスやシルクシフォンのチュニックなどを彩った。イブニングでの、胸元に宝飾を散りばめたシルクのクレープドレスや、ブレード刺繍が施されたロングドレスはドバイにある世界一の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」を思わせる。素材には軽量ツイード、シルクシフォン、リネン、ゴールドラメにコットンボイルなど軽くて繊細なものが多く用いられ、透け感やレイヤリングで遊び心を持たせたスタイルが提案された。アクセサリーには、ウォッチやファインジュエリー、コスチュームジュエリーなどを合わせ、ゴールドのキルトレザーで作られたジェリー缶型のハンドバッグ、宝飾をまとったサンダルやオリエンタルなスリッパなども登場。エルザ・スキャパレリの孫で女優のマリサ・ベレンスン風のカールヘアには三日月のティアラが飾られた。ショーには、シャネルのアンバサダーである女優のヴァネッサ・パラディ、ティルダ・スウィントン、アンナ・ムグラリス、アリス・デラル、ジョウ・シュン、更に、ダコタ・ファニング、フリーダ・ピントー、エリザ・セドナウィ、ヤスミン・ハムダン、ラザーヌ・ジャマル、映画監督のナディーン・ラバキー、アブドゥラ・アル・カービといったセレブリティを含む1,000人が来場。歌手のジャネール・モネイのコンサートも行われた。
2014年05月24日イタリアのハイジュエラー「ダミアーニ(DAMIANI)」は、創業90周年を記念したポップアップショップを4月30日から5月6日まで伊勢丹新宿店本館4階ジュエリー&ウォッチプロモーションスペースにオープンする。会場ではイタリアから取り寄せた10年代ごと10型の限定コレクションを受注販売。1920年代は羽をモチーフとしたネックレス「チャールストン(CHARLESTON)」(2,779万円)、60年代は幾何学的なピアス「オプティカル(OPTICAL)」(556万円)、70年代は色とりどりの花々を繋いだチョーカー「ブルーム(BLOOM)」(453万円)、80年代はブランドロゴをアメジストやダイアモンドなどのジェムで表現したリング「トリビュート(TRIBUTE)」(1,247万円)、2010年代はダミアーニのイニシャル「D」の周囲にオーブを配したペンダント「ダミアニッシマ(DAMIANISSIMA)」(516万円)など各年代を代表するジュエリーの復刻版に現代風アレンジを加えたアイテムを披露。世界で各9ピースの限定発売。また、ブランドを代表する「ベル エポック」コレクションの90周年限定クロスモチーフネックレスを90点限定発売。ダミアーニ一族のインタビューや製作風景を紹介する特別映像も公開する。ダミアーニは、エンリコ・グラッシ・ダミアーニ(Enrico Grassi Damiani)が1924年に開いた宝石工房を、息子のダミアーノ(Damiano)とその妻ガブリエラ(Gabriella)、夫妻の子供達が経営してきた宝飾ブランド。創作から販売までを一貫して行い、細部まで職人が手作業で仕上げている。ブラッド・ピット(Brad Pitt)やグウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)をイメージキャラクターに採用し、ソフィア・ローレン(Sophia Loren)やティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)に愛用されるなど、セレブとの縁も深い。
2014年04月28日フェンディ(FENDI)は、6月公開予定のウェス・アンダーソン監督の最新映画『グランド・ブダペスト・ホテル』のために、劇中に登場するコートやアクセサリーを製作した。同作は、ヨーロッパ随一のホテルを舞台に繰り広げるミステリー・エンターテインメント作品。フェンディは、アカデミー賞も受賞した映画衣装デザイナーのミレーナ・カノネロと協力し、エドワード・ノートンや、ティルダ・スウィントンら俳優達の衣装を手掛けた。ノートン扮するヘンケル警部が着るグレーのアストラカンファーミリタリーコートや、スウィントン演じるマダムDのまとうブラックミンクの襟、ラグジュアリーなイタリア製シルクベルベットケープの手描きのディテールと袖などもフェンディのデザイン。フェンディは以前にもルキノ・ヴィスコンティ監督『家族の肖像』のシルヴァーナ・マンガーノやアラン・パーカー監督『エビータ』のマドンナなどの衣装を手掛けている。フェンディのチェアマン兼CEOのピエトロ・ベッカーリは「イタリア、ヨーロッパ、そしてアメリカで製作される映画のために思い出に残る衣装を作るのは、フェンディのDNAと歴史に根ざしたもの」とコメントを発表している。
2014年03月24日『殺人の追憶』のラストで、ソン・ガンホが演じる刑事は、覗き込んだ排水溝の奥に何を目にしたのか……。見つめる先を確かめたい欲求に心をかき乱されたわれわれ観客は、同じポン・ジュノ監督のこの『スノーピアサー』で、次々と目の前に迫ってくる“その先の光景”の鮮烈なビジュアルに圧倒され続ける。とにかく“見せて”驚かせる。自らの作風をアップデートさせる監督の強い意志に呆然とするしかない。もちろん監督のファンでなくとも、本作はシンプルに楽しめるだろう。その他の写真ストーリーは単純明快(このあたりも過去の彼の作品と印象が違う)。列車の後部車両で悲惨な生活を強いられてきた主人公たちが、一同決起し、前部車両に突進していく。近未来の格差社会で起こる革命が、1本の長い車両での“前進”によって展開するので、見た目にもひじょうに分かりやすい。ドアを開けるたびに出てくるユニークな車両風景で、テーマパークのアトラクションに乗っているような感覚も与えてくれる。革命団の、前へ、前へという方向性が映画自体の強力な推進力にもなった。そんなアトラクションに乗っていた観客は、要所で激しい一撃も喰らい、そこにポン・ジュノの本領が発揮される。近未来が舞台ながら、斧や棍棒という原始的な武器を多用したバトルは確実に生々しい痛みを伝えるし、ティルダ・スウィントンの“超・上から目線”総理に代表されるキャラクターのアクの強さは、トラウマになるレベル。ティルダは『グエムル/漢江〈ハンガン〉の怪物』に惚れ込んだことが出演のきっかけであり、ポン・ジュノ作品でなかったら、ここまで俳優と役の過剰な化学反応は実現しなかったかも。極めつけはクライマックスだ。『殺人の追憶』の刑事や、怪物グエムル、『母なる証明』の母のように、強い動機に突き動かされ、ひたすら前に進んだ主人公たちは、最後の最後に、前進に疑問を投げかける。はたして前に進むだけでいいのか? その疑問は、われわれ全人類への警鐘でもある。アトラクションとして存分に楽しんでいたら、脳天からガツンとやられ、骨太なテーマに引きずりこまれた感じ。でも、この感覚こそ、最高の映画体験じゃないか!?『スノーピアサー』公開中文:斉藤博昭
2014年02月17日雪と氷に覆われた近未来の地球をひたすら走る列車の中で、支配層と被支配層に分かれた人々が、“生きる”ための闘いを繰り広げる、映画『スノーピアサー』。韓国の鬼才ポン・ジュノ監督がクリス・エヴァンス、ソン・ガンホら国際色豊かなキャストを揃えた本作には、早くも劇場にかけつけた人々から「次に何が出てくるか分からないおもしろさ」「様々なバリエーションの車両が出てきて、TVゲームみたい」「人間の本質に迫った演出が実に冴えている」と、その多面的な魅力が語られているが、このほど、オスカー女優ティルダ・スウィントンが驚きの扮装で支配層の権力者を熱演する本編映像が到着した。新たな氷河期を迎えた地球上を周回する列車「スノーピアサー」では、主人公・カーティス(クリス・エヴァンス)ら最後尾に乗る乗客たちは、“生きる”ため、彼らを支配する圧倒的権力者・メイソン総理の非道に屈するしかなかった。だが、やがてカーティスはエドガー(ジェイミー・ベル)やナムグン(ソン・ガンホ)の力を得て、メイソン総理を転覆させるべく“革命”を実行する――。その非道で冷酷なメイソン総理を演じているのが、『フィクサー』でアカデミー賞「助演女優賞」を受賞したティルダ・スウィントン。今回公開された本編映像は、メイソンがカーティスたちに向かって圧倒的権力を振りかざす演説シーンで、スウィントンの比類なき女優魂を感じることができる映像となっている。スウィントンは、トム・ヒドルストンとヴァンパイヤの恋人同士を演じたジム・ジャームッシュ監督作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』などでは透明感ある中性的な魅力を放ち、男女問わず観客を魅了するエレガントな美人女優にもかかわらず、本作では牛乳瓶メガネに入れ歯で、原型をとどめない変貌ぶりを披露。映画を観た多くの映画ファンやマスコミ関係者が、驚嘆の声を上げている。さらに、そのスウィントンに関する衝撃の情報を、ポン・ジュノ監督自ら、先日プロモーションで来日した際に大暴露!監督によれば、なんとスウィントンは、このメイソン総理だけでなく、本作に“一人二役”で出演しているというのだ。監督に告げられるまで、本編を何度も観ている10人以上の宣伝チームでさえ誰一人と気付いておらず、その衝撃の登場場面はどこか尋ねても、監督は嬉しそうに「よく見ればすぐ分かりますよ」と満面の笑顔でお茶を濁すのみ。もう一つの役柄や登場シーンについては一切明かされることなく、監督は帰国してしまったという…。これから本作を観る人も、すでに鑑賞済みの人も、ポン・ジュノ監督からの挑戦状ともいえる、“もう一人のティルダ・スウィントン”探しに挑んでみてはいかが?『スノーピアサー』は2月7日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開。(上原礼子(cinema名義))■関連作品:スノーピアサー 2014年2月7日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開(C) 2013 SNOWPIERCER LTD.CO. ALL RIGHTS RESERVED
2014年02月12日『キャプテン・アメリカ』のクリス・エヴァンス、オスカー女優ティルダ・スウィントンらが出演するSFエンターテインメント大作『スノーピアサー』のジャパンプレミアが29日(水)に予定されているが、当日、登壇予定のポン・ジュノ監督に対する質問募集が行われている。その他の写真質問は映画公式FacebookとTwitterで受付中。ジュノ監督はカンヌやベルリンなど多くの映画祭で高い評価を集め、世界中に熱狂的なファンをもつ人気監督だけに、彼に質問できるのは貴重な機会だ。また、公式FacebookとTwitterでは未公開画像を使った壁紙の配布も行われている。本作の舞台は新たな氷河期を迎えてしまった地球。そこで生き残った人間は、“スノーピアサー”と呼ばれる列車に乗り込んでいるが、そこでは先頭車両の上流階級が列車を支配し、後方車両の乗客は奴隷のような扱いをうけていた。映画は、後方車両で暮すカーティス(エヴァンス)らが革命を起こすため、先頭車両を目指す姿を描いている。『スノーピアサー』2月7日(金) TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
2014年01月21日現在公開中のジム・ジャームッシュ監督の新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』で、現代に生きる吸血鬼のカップルをティルダ・スウィントンと共に演じるトム・ヒドルストン。日本のファンの間でも“トムヒ”という愛称で親しまれている彼の、程よく鍛え上げられた上半身裸のショットが初公開となった。『マイティ・ソー』シリーズのロキ役で大ブレイクし、いまや世界中で人気を築き上げているトム・ヒドルストン。ジム・ジャームッシュは、彼を迎えて21世紀に生きる吸血鬼アダムを作り上げる際、サングラス・手袋・髪の毛のビジュアルにこだわったという。まず“サングラス”は、光を好まない吸血鬼たちの必須アイテムといえるが、さらに、ジャームッシュ監督は「映画に出てくるヴァンパイアには、いくつもの神話が付け加えられてきた。たとえば、牙も最初からあったわけじゃないし、聖水、にんにくなど、映画がいくつも作られるうちに、どんどん累積していったんだ。そこで、僕らも自分たちのオリジナルな何かを発明しようと思ってね」と、トムやティルダに革の“手袋”をさせることを思いついたそう。「やってみたら、すごくクールだったんだ」と監督自身も語っているように、“手袋”は独自の発想で加えられた現代の吸血鬼の必須アイテムとなった。また、“髪の毛”については、「ワイルドな、どこか動物的なヘアスタイルにしたかった。彼らはその振る舞いも、ワイルドな動物っぽさと、非常に洗練された人間らしさが、半々なんだ」と、妖艶な吸血鬼らしさを表現するヘアスタイルについて触れた。「いろいろなカツラを試してもらって、あのスタイルに落ち着いた。ティルダが『動物っぽくするなら、本当に動物の毛を使ったら』と言って、ヴァンパイア役のカツラには全員、ヤギの毛と、ヤクの毛と、人間の髪の毛が混ぜてあるんだ」と話すほど、こだわりの吸血鬼ヘアがつくられることになった。こうして、現代に生きる世界で一番美しい吸血鬼が誕生した。しかも本編でトムは、ロキ役のときには重厚な“邪神”の衣装に隠されていた見事な肉体を披露しており、青白く憂いを帯びたミステリアスでセクシーな吸血鬼ぶりを存分に見せている。さらに、トム演じるアダムとティルダ演じる恋人イヴとのシーンでは、二人が一糸まとわぬ全裸で横たわるシーンも登場しており、その美しさにも話題沸騰中だ。ファンの間ではすでに、これまでの彼とはまた違った姿に惚れ直す人が続出。また、今まで“ロキ様”や“トムヒ”に馴染みがなかった女性たちの間でも、本作でのセクシーな吸血鬼に魅せられる人が相次いでいるという。再び“ロキ”を演じる『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』の日本公開を前に、本作でいっそう“トムヒ”ファンが増殖することは間違いないだろう。『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』はTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマほか全国にて公開中。(上原礼子(cinema名義))■関連作品:オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ 2013年12月20日よりTOHO シネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマほか全国にて公開(C) 2013 Wrongway Inc., Recorded Picture Company Ltd., Pandora Film, Le Pacte &Faliro House Productions Ltd. All Rights Reserved.
2013年12月24日ジム・ジャームッシュ監督の4年ぶりの最新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』で、吸血鬼の恋人“アダムとイヴ”を演じたイギリス人俳優トム・ヒドルストンと、オスカー女優のティルダ・スウィントン。その妖しくも美しいカップルをご紹介。何世紀も愛し合い、生き続けてきた吸血鬼・アダム(トム・ヒドルストン)と恋人・イヴ(ティルダ・スウィントン)。ある日、久々の再会を果たし、愛に満ちた日々を送っていた2人の前に、突然イヴの破天荒な妹・エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が現れるのだが…。ジャームッシュ監督は本作のメガホンをとるにあたり、自身が何年も温めていた愛する吸血鬼の物語が、バイロンを始め、イギリスのロマン派詩人から生まれたことに敬意を表し、メインキャストには全てイギリス人俳優を揃えることにこだわったという。アンダーグラウンド・シーンでカリスマ的人気を誇る、伝説のミュージシャンでもあるアダム役に選ばれたのは、先日イギリス「Empire」誌の恒例“最もセクシーな映画スター”投票でジョニー・デップ、ブラッド・ピットら人気ハリウッドスターを抑え、ベネディクト・カンバーバッチに次ぐ第2位を獲得した、1981年生まれ32歳のトム・ヒドルストン。そして、アダムの永遠の恋人・イヴ役を演じたのは、『ブロークン・フラワーズ』『リミッツ・オブ・コントロール』に続き、3度目のジャームッシュ作品となるオスカー女優ティルダ・スウィントン。ティルダは今年52歳を迎えており、何と吸血鬼版“アダムとイヴ”は、20歳の年の差カップルだったのだ。劇中でもイヴに甘えてみたり、逆らえない面があったりと、ちょっぴり尻に敷かれている(?)アダム役のトムは、「イヴはずっとアダムより広く、彼の脆さを包み込むことができます」と2人の関係を表現する。「それはただ、とても美しいストーリーです。お互い愛し合い、認め合った2人の人間の間で、彼らはたまたまヴァンパイアだったのです。永遠の命という文脈の中で愛を探求するというアイデア、もし不死身という挑戦を課されていたら?それは神の恵みか、それとも呪いか?それは互いへの責任(コミットメント)にどう影響を与えるのか?ということだと思います」と、何千年も生き続けた吸血鬼の恋人たちの、かつてない愛の形と世界の魅力を語った。また、常にマイペースで自分の作りたい映画だけを撮り続けてきたジャームッシュ監督も、「人間の愛(恋人同士)と、吸血鬼の愛(恋人同士)の違いを感じる点はありますか?」の問いに対して、本作のこのカップルを「違いなんてないよ。人間だろうが吸血鬼だろうが、ラブはラブだ。ただし吸血鬼たちは超人的存在だけど、こと愛に関しては人間と同様だと言えると思う」と話しており、世が21世紀に移り変わっても、普遍に続く愛について考えを示している。ジャームッシュ監督独特のオフ・ビート感でユーモラスかつ、皮肉たっぷりに描かれる、孤独と闇の世界でひっそりと生きる、永遠の命を持つ吸血鬼たちの日常。これまで、『マイティ・ソー』シリーズや『アベンジャーズ』など、アメコミ作品のイメージが強かったトムの新境地ともいえる本作での憂いを帯びた吸血鬼の姿と、そして中世的な容姿が神秘的なティルダの姿は、人間世界の年齢の差を超えた世界で一番妖しくエレガントで美しい吸血鬼のカップルとして、永遠に映画史に刻まれることになるかもしれない。『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』は12月20日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマほか全国にて公開。(上原礼子(cinema名義))■関連作品:オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ 2013年12月20日よりTOHO シネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマほか全国にて公開(C) 2013 Wrongway Inc., Recorded Picture Company Ltd., Pandora Film, Le Pacte &Faliro House Productions Ltd. All Rights Reserved.
2013年12月16日『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)などで知られるポン・ジュノ監督の最新作『スノーピアサー』の日本版予告映像が公開された。フランスのコミック「LE TRANSPERCENEIGE」を原作にした同作は、ポン・ジュノ監督が初めてインターナショナル・キャストを迎え、英語作品として世界に発信する近未来SFエンタテインメント作品。地球温暖化を防ぐため化学薬品が撒かれ、新たな氷河期に突入してから17年が経った2031年。地球上を走る列車「スノーピアサー」だけが、生き残った人類にとって残された唯一の生存場所だった。先頭車両に乗る上流階級が、後方車両の乗客を支配する"世界"で、列車最後尾の住人カーティスは、仲間を引き連れて、自由を求め、反乱を試みて先頭車両を目指すのだが……。このたび公開された予告映像は、魚たちが泳ぐ巨大水槽やレストラン、教室などの充実した施設などがある上流階級が暮らす「先頭車両」と、最下層の人々が奴隷のように扱われ、武装した兵士たちによって支配されている、窓さえもない「後方車両」といった列車「スノーピアサー」内の様子を収録したものだ。主演を務めるのは『キャプテン・アメリカ』シリーズで知られるクリス・エヴァンス。またソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、オクタヴィア・スペンサー、ジェイミー・ベル、ユエン・ブレムナー、ジョン・ハート、エド・ハリスらが出演する。すでに公開された韓国では900万を超える大ヒットを記録し、10月30日に公開されたフランスではハリウッド超大作に続いて初登場第4位を記録。167カ国での公開が決定している。映画『スノーピアサー』は、2014年2月7日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開。
2013年11月20日『ストレンジャー・ザン・パラダイス』、『コーヒー&シガレッツ』、『ブロークン・フラワーズ』など、独特なオフビートの世界を描く鬼才ジム・ジャームッシュ監督。4年ぶりとなる最新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』が、日本でも12月に公開が決定し、主演を務めるトム・ヒドルストンの劇中ビジュアルが初お披露目となった。アンダーグラウンドなミュージシャンの吸血鬼・アダム(トム・ヒドルストン)は、自己破滅的な人間たちの行動にうんざりしていた。そんなとき、恋人・イヴが彼の元を訪れる。何世紀も愛し合い、生き続けてきた吸血鬼の2人は、久しぶりの再会を楽しむはずだったが、イヴの破天荒な妹・エヴァが突然姿を現し、3人の運命はゆっくりと思わぬ方向へと動き始めるのだった…。本作は、ジャームッシュ監督が構想に7年もの時間を費やした、自らの集大成ともいえる吸血鬼のラブストーリーだ。本年度カンヌ国際映画祭「コンペティション部門」に出品され、大きな話題を呼んだ。主演は『マイティ・ソー』シリーズ、『アベンジャーズ』のロキ役として一躍スターダムを駆け上がった英国人俳優、トム・ヒドルストン。今回初お披露目された劇中ビジュアルでは、ロキとはまるで別人!アメコミの世界から脱出し、見事にジム・ジャームッシュ・ワールドの住人へと変身を遂げ、妖しい雰囲気をプンプンに醸し出している。このビジュアルだけ見ても、トムが新境地を見せてくれることは間違いなさそうだ。共演には、2007年『フィクサー』でアカデミー賞「助演女優賞」に輝き、『ムーンライズ・キングダム』(ウェス・アンダーソン監督)、『スノーピアサー』(ポン・ジュノ監督)と大活躍が続くティルダ・スウィントン。さらに、『アリス・イン・ワンダーランド』、『イノセント・ガーデン』のミア・ワシコウスカと、実力派が名を連ねている。ベネディクト・カンバーバッチに続いて、いま最も注目されている英国人俳優のトムを迎えて、インディーズ魂あふれるジャームッシュ監督が描く、吸血鬼のラブストーリー。果たして、どんな作品に仕上がっているのだろうか?『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』は、12月よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(江﨑仁美(cinema名義))
2013年09月24日インディペンデント映画を対象にしたゴッサム・アワードで、ウェス・アンダーソン監督の『ムーンライズ・キングダム』が作品賞を受賞した。同作品は、2月に発表になるインディペンデント・スピリット・アワードにもノミネートされており、アワードシーズンの本格的な到来に向けて勢いを増している。『ムーンライズ・キングダム』は、今年5月のカンヌ映画祭のオープニング作品に選ばれたコメディ映画。ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレー、ティルダ・スウィントンらが出演する。ゴッサム・アワード発表後に発表されたインディペンデント・スピリット・アワードのノミネーションにも食い込んでおり、オスカー候補入りの可能性も匂わせてきた。昨年はこの賞を『ツリー・オブ・ライフ』と『人生はビギナーズ』の2作品が受賞しており、『ツリー・オブ・ライフ』がオスカーにノミネートされている。ゴッサム・アワード作品部門の候補に上がっていたのは、同作品のほかにポール・トーマス・アンダーソンの『ザ・マスター(原題)』、ジャック・ブラック主演の『Bernie』、ガエル・ガルシア・ベルナルが出演する『The Loneliest Planet』、アントン・イェルチン出演の『Middle of Nowhere』。監督賞に輝いたのは『Beasts of Southern Wild』の新人監督ベン・ザイトリン氏。演技部門ではエミリー・ブラント主演の『My Sister’s Sister』がアンサンブル・パフォーマンス賞を受賞した。文:猿渡由紀
2012年11月28日『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』、『ダージリン急行』、『ファンタスティックMr.FOX』など独特なタッチとユーモアで唯一無二の世界観を確立してきたウェス・アンダーソン監督の待望の最新作『ムーン・ライズキンダム』。来年2月8日(金)に公開されることが決定し、このほど本作の前売り券特典となる、キャスト陣それぞれがあしらわれた超キュートな7種類のポストカードのビジュアルがこのたび明らかとなった。養子であることを寂しく思いつつ、周りの友達とは違う自分に違和感を感じながら日々ボーイスカウトで生活をするサムは、いつも本ばかり読んでキャラクターたちの世界に生きる少女・スージーに恋をする。キャンプでの生活を窮屈に思った2人は文通を始め、キャンプからの脱走を企てる。生きていくためのキットを全て持ち出し、愛するスージーを救い出し、森で自由を満喫する彼ら。やがて保安官、ソーシャル・ワーカー、スージーの両親、みんなが彼らを捜すうちに平和な村は大騒動に巻き込まれていく――。12歳の少年と少女の“駆け落ち”をきっかけに、不器用で愛おしい大人たちを演じる豪華キャスト陣を巻き込みながら物語が展開していく本作。たった一人で島を守るシャープ警部役を演じたブルース・ウィリスは、中年男性の悲哀とおかしみを感じさせる絶妙な演技を披露。そして、生真面目でちょっと間の抜けたボーイスカウトのウォード隊長には演技巧者のエドワード・ノートン、厳格なスージーの両親にビル・マーレイとフランシス・マクドーマンド。そして、冷酷な福祉役をティルダ・スウィントンが演じている。言わずとしれた名優たちのこれまで見たことないキャラクターに、カンヌ国際映画祭ではオープニング作品とコンペティション部門で上映され、さらに全米でも大ヒットを記録している。もちろん本作でもアンダーソン監督の世界観は健在。衣装・美術など、細部までとても凝った作りになっており、今回公開となったポストカードのビジュアルからもそのキュートな世界観は充分感じることができる。アンダーソン監督史上、最大のヒット作にして最高傑作との呼び名も高い本作。この冬、あなたもとびきりキュートな“小さな島の大冒険”を体験してみては…?『ムーン・ライズキンダム』は2013年2月8日(金)よりTOHO シネマズシャンテほか全国にて公開。■関連作品:ムーンライズ・キングダム 2013年2月8日よりTOHO シネマズシャンテほか全国にて公開© Focus Features
2012年11月21日ティルダ・スウィントンが、ファッションを題材にしたSFショートフィルムに出演することになった。ティルダは、ガリエラ美術館館長オリヴィエ・サイヤールが主催する最新ファッションパフォーマンス「ジ・インポッシブル・ワードローブ」のリハーサル中に、パリを拠点とする写真家・アーティストのカトリーナ・ジェブが手がける短編映画『The Future Will Last a Very Long Time』(原題)に出演するという。「WWD」の報道によれば、同作でティルダは白のグローブとハイヒールに白衣姿で登場するそうで、9月29日から10月1日(現地時間)にかけて開催される「パリ・フォール・フェスティバル」で毎晩上映されるという。劇中でティルダはガリエラ美術館の歴史アーカイブに目を通しながら、アメリカの作家ナタリー・クリフォード・バーネイが以前所有していた「マドレーヌ・ヴィオネ」のドレスなど、ファッション史に残る作品の数々を発見していくという筋書きになっているとのこと。中にはナポレオン・ボナパルトやサラ・ベルナールなど歴史的偉人のイメージをティルダに重ねるという描写もあるようだ。エキセントリックなデザイナー服を好むことで有名なティルダだが、自身をイメージキャラクターに起用してくれるデザイナーたちがいることを「幸運なこと」だと語る。「私にとっては、ドレスの入った箱をカッターで開けるようなことなのよ。古いコーデュロイパンツで登場したような私に、私のためにドレスを贈ってくれるような友達がいて本当に幸運なことだと思っているの。まるでシンデレラのようよ。私自身ではなく、ほかの友達の努力の結晶なのよ」。■関連作品:少年は残酷な弓を射る 2012年6月30日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010ムーンライズ・キングダム (原題) 2013年公開© Focus Features
2012年08月01日ズバ抜けたカリスマ性、逆らうことを許さない美しさと威厳を持ち合わせた女性たち。彼女たちを称え、人々はこう呼ぶ…“女王様”。同性からの羨望を集め、男性からは憧れと共に、怖れ(?)の眼差しを向けられる彼女たち。シネマカフェのランキング企画「シネマカフェゴコロ ランキング5」では、「あなたが思う“女王様”が似合う女優」をテーマにアンケートを実施。納得のあの人から予想外なあの人まで、みんなが認める“女王様”を大発表!やはりと言うべきか…ダントツで1位に輝いたのは、“エリカ様”こと沢尻エリカ!「性格・生き方・外見、全てが“女王様気質”だと思うから」(30代・男性)という意見が示すように、スクリーンを離れての「別に…」発言に始まり、電撃入籍&離婚劇をめぐる数々の言動や問題行動のイメージが強い様子。ほかにも「雰囲気、ふるまいがまさに女王様!」(40代・女性)、「イメージとゴージャス感」(40代・男性)といった声が寄せられた。数々のバッシング報道やスキャンダルさえ力に変えて、5年ぶりの復帰作として臨んだ『ヘルタースケルター』をめぐる一連の騒動ももちろん、“女王様”の健在を証明。まさにクイーン・オブ・クイーン、今後の出演作にも無条件で注目が集まりそう。2位も日本からのランクインとなる天海祐希。凛々しく、逞しく、男性にも物怖じせずに突き進んでいく姿は、頼れる姉貴分のような存在で女性たちの羨望を集める。「芯が強そう」(20代・女性)、「凛としていて、ぐいぐい引っ張っていってくれる女王様」(20代・女性)と、女性たちが目指す“強い女”としての支持は絶大!人気を博した主演ドラマ「カエルの女王様」(フジテレビ)での男勝りなミュージカルスター役も女王様オーラ全開で、男役トップとして活躍した宝塚時代の面影を感じさせていたのは、記憶に新しいところ。一転して3位からは、ハリウッド勢が続く結果に。3位に名を連ねるのは、オスカー女優のニコール・キッドマン。「あの目力で全てを支配する感じがします」(20代・女性)、「氷のような美しい微笑で君臨しそう」(30代・女性)と圧倒的なニコールの“美”にひれ伏す女性が続出し、納得のランクイン。4位には、アンジェリーナ・ジョリー。こちらもエリカ様と同様にプライベートでのイメージが強いようで、「最近のブラピの態度を見ていると尻に敷かれている感が出てるから」(30代・男性)、「ブラピの態度を見ていると家庭での強さが見え隠れしている」(20代・女性)との意見が…。現在撮影中のディズニー映画『Maleficent』(原題)では女王様ではなく魔女を演じているが、ブラッドと2人きりのときはきっとプリンセスに戻るはず?そして5位には、シャーリーズ・セロンが滑り込んだ。上位4名と異なりシャーリーズを推したのは女性のみ。PR来日を果たした『スノーホワイト』で見事にダークな女王を演じきったが、彼女の「美貌と気品と低い声」(20代・女性)を推す声が目立った。。そのほかにも、「眼力がすごい!」との声が上がったシャロン・ストーンや『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』のメリル・ストリープといったベテラン勢から、ティルダ・スウィントンやヘレナ・ボナム・カーターの少し恐そうな(?)女王様たち。さらに、「エイリアンもひれ伏す」(20代・女性)という意見が寄せられた肉体派(?)のシガニー・ウィーバーに和田アキ子まで幅広い声が集まった。女王様の条件は可愛いだけでも、綺麗なだけでもダメ。厳しさや人を屈服させる圧倒的な“美”、カリスマ性がやはり必要。さて、あなたが憧れる“女王様”は誰?「“女王様”女優」ベスト51位:沢尻エリカ2位:天海祐希3位:ニコール・キッドマン4位:アンジェリーナ・ジョリー5位:シャーリーズ・セロン次回の「シネマカフェゴコロランキング5」のテーマは「“メガネ男子”が似合う俳優は?」。こちらもぜひ、ご応募ください。「シネマカフェゴコロランキング5」■関連作品:ヘルタースケルター 2012年7月14日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012 映画『ヘルタースケルター』製作委員会スノーホワイト 2012年6月15日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
2012年07月30日この異常なまでの悪意と愛に包まれた物語、あなたは何を感じる――?オスカー女優ティルダ・スウィントンが渾身の演技を魅せる、親子の深淵なる愛と狂気の物語『少年は残酷な弓を射る』がまもなく公開となる。シネマカフェでは、こちらの公開に先駆けて女性限定試写会を開催!これは単なる憎しみなのか?それとも愛なのか?本作が問う“是非”をずばり読者に直撃!問題を提起するのは、主人公・エヴァと息子・ケヴィンの関係。なぜか幼い頃から母親であるエヴァに対して反抗を繰り返し、心を開こうとしないケヴィンはやがて美しく、賢い少年に成長する。だが、この悪魔のような息子はある日、母親の全てを破壊するような事件を起こす…。心の底では家庭に縛られずもっと自由に外に出て仕事をしたい、という気持ちを抱えているエヴァは予期せぬタイミングで誕生した我が子に、それでも愛情をかけるが、彼女の努力は報われるどころか悪化の一途をたどる。一方、母親の心の奥底を見透かしたように、執拗なまでに彼女に悪意を向ける息子・ケヴィン。果たして、どちらに問題を感じるか?という究極の質問をぶつけたところ、約半数の人が「どちらでもない」と回答。一方だけの責任を問うのではなく、親子の普遍的な関係に起きうる問題として受け止めた人が多かったようだ。一方で、問題点を「ケヴィン」に見る人も少なくなく、母親・エヴァに思いを重ねた女性が多いのが特徴的であった。「母の息子への愛が足りないと解釈する人は多いと思うけど、そんな生易しいものではないと感じた」、「母親は偉いと思った。生まれてからずっとひねくれた子を虐待も無視もしないで、話しかけ続けているから」(30代)、「どんなに苦しめられても、やっぱり母は子の味方なんだと思った」(20代)。子育ての難しさを実際に経験している女性は、この物語がさらに身に染みるよう。「子育てに失敗も反省も、子供が感じる愛情不足もあるかもしれないけど、でもどんなに時間がかかっても、どこかの時点で母と子が互いを親子だと確かめ合えたらそれで良いのではないかと」(40代)この異常とも思える母と息子の関係だが、2人の関係について「怖いけど少し共感する」という声が大多数を占めていたのは、女性として母に共感するのはもちろん、子供であった経験から分かる感情というものがあるから。「どこかケヴィンの気持ちに共感してしまうのが怖かった」(10代)、「自分の母親と重なるところがありました」(20代)、「男の子と母親だと、思っている以上にありうる世界なのかもしれないと思った」(20代)という声も寄せられた。そのケヴィンを、生まれもっての“狂気”が乗り移ったかのように演じるのが、新進俳優のエズラ・ミラー。母親役のティルダに負けぬインパクトを放ち、本作を機に注目を集めている期待のイケメン俳優だ。何と言ってもその「鋭く、ねちっこい視線」に胸を刺された女性が多く、「美しくて、存在感がハンパない!見方・キャラによっていろんな役を演じそう」、「このニヒルな役柄が怖ろしいほどにしっくりくる」、「『危険な遊び』のマコーレー・カルキンを思い出した」と多大な期待が寄せられる結果となった。ケヴィンが起こす事件へと向かう緊迫感の連続、それを助長する“赤色”の効果、そして怖ろしくも“あり得る”と感じさせる母子のドラマ。読者の感想からは、様々な要素が取り上げられていたが、では一言でこの映画の“ジャンル”を表すなら…?最後に聞いたところ、約7割の女性が「人間ドラマ」と回答!単なるスリラーでもホラーでもない、リアルだからこそ怖ろしい、この“事件”の目撃者に、あなたもなってみては?『少年は残酷な弓を射る』は6月30日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。■関連作品:少年は残酷な弓を射る 2012年6月30日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010
2012年06月26日映画の祭典、カンヌ国際映画祭が5月16日、南仏カンヌで開幕した。第65回となる今年のオープニング作品は、カンヌには初登場となるウェス・アンダーソン監督の最新作『ムーンライズ・キングダム』(原題)。アンダーソン監督に加え、ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ティルダ・スウィントンら主要キャストがレッドカーペットを飾った。映画は、1965年のニューイングランドの小さな島を舞台に、ボーイスカウトのキャンプから逃避行をする12歳の少年と少女の恋と、彼らを取り巻く大人たちの混乱を描いた、いわばウェス版『小さな恋のメロディ』(’71)といった趣。ウェス・アンダーソンは「僕が子供の頃、こんなことが起きてほしいと願っていたことを映画にしたんだ。それと、子供の頃に誰かを好きになる感覚をみんなに思い出してほしい、という気持ちも込めている」と、作品への思いを語った。子供たちを捜す警察署長を演じるブルース・ウィリスは、ウェス作品には初出演。「ウェスの演出方法は独特で、とても新鮮な体験だったよ。映画の中ではいろんな事件が起きるけれど、これは愛についてのお話なんだ。誰もが、愛されたいし、愛されるべきなんだよ」と語った。また、『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』(’01)、『ライフ・アクアティック』(’05)ほかアンダーソンの全作品に出演しているビル・マーレイは、「アート映画と言われる映画だけど、ギャラは少なくて拘束時間は長い。ほかに稼げる仕事があるから、ウェスのためには奉仕できるんだよ」と語って笑わせた。今年の審査委員長は、『息子の部屋』(’01)でパルム・ドールを受賞しているナンニ・モレッティ。審査員は、ユアン・マクレガー、ダイアン・クルーガー、アレクサンダー・ペインといった映画人に、デザイナーのジャン=ポール・ゴルチエも加わり、総勢9名。27日まで世界の映画が青い空と海と共に、カンヌを彩る。(photo/text:Ayako Ishizu)特集:第65回カンヌ国際映画祭■関連作品:第65回カンヌ国際映画祭 [映画祭]ムーンライズ・キングダム (原題) 2013年公開© Focus Features■関連記事:【カンヌレポート】ラクダ闊歩に美女との豪奢クルーズ…“将軍様”が大暴れ!いよいよ開幕、カンヌ映画祭今年注目すべき華麗なるミューズを一挙チェック!ユアン・マクレガー、A・ペイン監督らが今年のカンヌ国際映画祭コンペ部門審査員にミス・ユニバース優勝の森理世が故郷・静岡とカンヌの結びつきを猛アピール!三池崇史、2年連続でカンヌに殴りこみ!『愛と誠』、カンヌ国際映画祭で上映決定
2012年05月17日オスカー女優ティルダ・スウィントン主演で贈る衝撃作で、昨年度ロンドン映画祭にて見事グランプリを受賞したエモーショナル・サスペンス『少年は残酷な弓を射る』。その過激すぎる内容から世界各国で話題となった原作本が、このたび日本で発売されることが決定した。母親に対して異常なまでの悪意と執着心を抱く息子と、そんな我が子に戸惑いながらも愛情と恐怖との間で葛藤する母親の親子の関係を緊張感たっぷりに描いたミステリー。「何故、そこまで…?」という疑問を抱いた瞬間に、観る者はさらなる恐怖に襲われる。既に劇場公開されている各国では、成長と共に息子・ケヴィンの中で膨れ上がる母親への憎悪、その怖ろしき“報復”のかたちが多大な衝撃をもたらしている。そして、その原作本「We Need To Talk About Kevin」の評価は、まさに賛否両論。400ページにも及ぶ長編小説で、著者ライオネル・シュライバーは本作で英国女性作家文学賞の最高峰であるオレンジ賞に輝き、英米ではベストセラーとなった一方で、「我が子にここまで愛情を感じられない母親なんているわけがない!」と過激な内容に対して激しい反応も…。海外評を耳にした日本の出版社は当初、当然ながら国内での発売に及び腰で出版は難航を極めた。だが、本作のもつ“母になることへの怖れ”や“生まれてくる子を愛せないかもしれないという不安”という、多くの女性が感じていながら決して口に出すことのなかった真実に共感した女性編集者が出版を決意し、今回の発売に至ることとなった。原作ストーリーがもたらす衝撃に加えて、この物語の中心となる母子役として抜擢された2人の演技も強烈!『ナルニア国物語』シリーズや『ミラノ、愛に生きる』などで厳しくも美しい、“甘くない”女性を演じてきたティルダが息子の扱いに葛藤する母親を、“魔性”と表現するに足るその危なげな美しさで話題となっている新星エズラ・ミラーが息子のケヴィンを怪演。ティルダは51歳とは思えない美貌も凛としたオーラも何もかもの一切を、エズラ扮する息子の悪意によってことごとく奪われていく…。原作のもつ過激さを一層加速させるキャスティングにも注目の本作。まずは「心の準備を…」と考える方は、原作をチェックすることをオススメしたい。『少年は残酷な弓を射る』は6月30日(土)よりTOHOシネマズ シャンテにて公開。「少年は残酷な弓を射る」価格:1,700円(上巻・下巻ともに)出版元:イーストプレス発売日:6月15日(金)■関連作品:少年は残酷な弓を射る 2012年6月30日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010■関連記事:【ハリウッドより愛をこめて】“笑い”でオスカー助演俳優部門を席巻する、注目の2人いよいよ決戦!アカデミー賞候補発表『ヒューゴ』VS『アーティスト』の一騎打ち?
2012年05月15日ソファの上にちょこんと、けれども背筋をピンと伸ばしてたたずむ姿は天使か女神か。キュートでいてエレガント、朗らかでいて静謐なミシェル・ウィリアムズが放つ何層もの魅力に触れ、グラマラスなセレブの顔と繊細な少女の心を併せ持つ存在、マリリン・モンローに、彼女が驚くほどナチュラルに寄り添えた理由が分かった気がした。世紀のスターを演じ、アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされたミシェル自身、「マリリン・モンローを演じる上では外見的な変身に苦労させられるのと同時に、彼女の魂に近づくことが大事だった」と語る。「喋り方から指の動かし方まで、外見的な役作りをここまで徹底させたのは初めてよ!」と思わず苦笑するミシェル。セックス・シンボルとしてハリウッドを賑わせたマリリン・モンローと化すにあたっては、「目一杯お化粧すること!(笑)」の次に「自分自身を研究し尽くすこと」が重要だったという。「そもそも私は自分の顔を見るのがすごく嫌い。家の鏡を大きな地図で覆ってしまっているくらいなの。でも、今回は覚悟を決め、自分の顔を隅から隅までじっくり研究したわ。どうすれば彼女のように魅力的に見えるか?どうやって完璧なマリリンになればいいのか?を考えるためにね。その甲斐あって、いまは自分の顔と向き合うのに以前ほどの抵抗はなくなった。あとは…そうね。『エンジェルズ・メイクアップ』のコラーゲン・アイパッチを使えば、もっと抵抗がなくなるわ。12時間寝て目覚めた後みたいにスッキリした目元になるから、ものすごくオススメよ(笑)」。透き通る美肌の秘密をこっそり教えてくれるさまもチャーミング。ただし、「私自身が真の美を感じるのは、風がそよぐ草原を見たり、友人の笑顔に触れているとき。“人生”を感じられる瞬間にこそ、自分自身を美しいと思えるの」とも明かし、「マリリンの光り輝く魅力も内面から来るものだったんじゃないかしら」と続ける。「彼女の出演作や写真を見ると、守ってあげたい気持ちになる人が多いと思う。彼女は様々な方法で内面の脆さを隠そうとしたけれど、少女の頃に負った痛みや傷が消えることはなかった。隠そうとしても見え隠れしてしまう部分が、謎めいたものとして大勢を惹きつけたのね。いままでの役もそうだけど、やっぱり重要なのは役の精神を理解すること。その点、マリリンという存在に共感できる部分は多かったわ。彼女ほどではないにせよ、自分自身を信じられなかったり、力不足を嘆いたりする葛藤は女優業に付き物だもの。とは言え、役を演じるときは自分と似ている部分よりも異なる部分を見つけようとするものよ。似ている部分は何もしなくても似てくるし、意識することで誇張されてしまったりもするから」。『マリリン7日間の恋』で語られるのは、マリリンが『王子と踊り子』の撮影でイギリスを訪れた7日間。ストーリー自体、実体験に重なるところがあったという。「撮影が始まる前は少し近い気持ちだったわね。というのも、映画の中のマリリンも撮影当時の私も30歳で、アメリカ人なのも、イギリスで撮影するのも同じ。伝統的な演技法に長けたイギリスの名優たちと共演する状況も一緒だったわ。私はそういった演技のレッスンを受けたこともなければ、シェイクスピア劇に出たこともないから、力不足じゃないかとひるむ気持ちすらあった。でも、映画の中のマリリンとは違い、私の場合は信頼し合える共演者たちに恵まれたの。彼らは私を温かく迎え入れてくれたわ」。歩んできた道はイギリスの名優たちと異なれど、いまやミシェルがトップ女優の1人であるのは紛れもない事実。演技の道に足を踏み入れた少女時代をふり返り、「12~3歳の頃はメソッド演技の俳優たちに興味津々だったわ」と明かす。“メソッド演技”とは役の感情を追体験する演技法で、マリリン・モンローも取り入れた手法だ。「同世代の子たちが興味を持つスターには関心がない子供だったの。どうしてかしらね…(笑)。ジェームズ・ディーン、マーロン・ブランド、モンゴメリー・クリフト、もちろんマリリン・モンローと、いろいろなメソッド俳優たちの伝記を読み漁ったわ。たくさんの俳優に憧れ、影響を受けているのはいまも昔も同じね。日本に来る飛行機の中で『ハンナとその姉妹』(’86)を観たのだけど、ダイアン・ウィーストが本当に素晴らしかった。ケイト・ウィンスレットやホリー・ハンター、ティルダ・スウィントンも大好きな女優よ。尊敬する仲間の名前を挙げればきりがないわ」。ヴィム・ヴェンダース、アン・リー、トッド・ヘインズら、共に作品を作り上げてきた名匠も多数。「作品に取り組むたびに、監督たちから多くのことを学ぶの」と、女優業に対する尽きない想いを口にする。「演技を始めて20年経ったいまもお芝居への愛を持ち続けていられるのは、どの作品でも学ぶことが大きいから。まだまだ知らないことがたくさんあるし、求められるものも作品ごとに違う。好奇心が満たされ、決して飽きることがないの。私の仕事は監督が望むものを提供すること、そして彼らが思い描くフレームを埋めていくこと。それぞれの作品が誇らしいし、いままで仕事をした全ての人たちが私にとっては特別な存在だわ」。演技に対し、映画に対し、惜しみない愛情を注ぐミシェルにこんな質問も。アカデミー賞に輝いた『アーティスト』や過去に組んだこともあるマーティン・スコセッシ監督の最新作『ヒューゴの不思議な発明』など、映画愛を謳った作品をどう思う?「私は元々ノスタルジックなタイプで、朝食を食べていても何だかじんわりしてしまうことがあるくらい(笑)。それに、ハイテクは苦手だから、手紙を書くときもいまだに手書きなの。古き良き時代に対する思い入れは強いし、昔を伝える映画が作られるのは個人的にも嬉しいことよ」。ところで、『王子と踊り子』はマリリンが主演のみならずプロデュースにも乗り出して意欲を注いだ1作。ミシェル自身は『ブルーバレンタイン』で製作総指揮にクレジットされていたが、今後の興味はプロデュース業にも向けられているのだろうか。「正直に言って、いまのところは“ノー”よ。『ブルーバレンタイン』は8年もかかったプロジェクトだから、企画の立ち上げからずっと関わってきた私とライアン(・ゴズリング)へのご褒美として製作陣がクレジットしてくれたの。そもそも私にはプロデュースまでこなすほどの脳ミソはないし(笑)、どちらかと言えば一つのことにじっくり取り組むのが好き。ビジネスには向いていないと思うの。いつか自分のエネルギーがあり余っているのを感じ始めたら挑戦するのもいいかもしれないけど…、いまは母親業と女優業にエネルギーを使い果たしている感じね!」(photo:Toru Hiraiwa/text:Hikaru Watanabe)特集:7stepで学ぶ、マリリンstyle■関連作品:マリリン 7日間の恋 2012年3月24日より全国にて公開© 2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.■関連記事:椿鬼奴、マリリン・モンローになりきって「今年は結婚したい」と婚活宣言!ミシェルのキュートな3変化に胸きゅん!春先取り、来日ファッションをチェックミシェル・ウィリアムズ、一番好きなモンロー映画は『お熱いのがお好き』ミシェル・ウィリアムズ、娘のマチルダちゃんと貯めた義援金を福島に寄付ミシェル・ウィリアムズが初来日!純白ドレスで“現代のマリリン”を見事に体現
2012年03月21日みなさん、こんにちは!先週24日(現地時間)に発表された本年度アカデミー賞のノミネーションを見たり聞いたりしている方も多いかと思います。私も当日はWOWOWでの取材のため、発表会場を訪れていましたが、そこでは様々なサプライズがありました。まず一つ目の驚きでみんなの注目の的となっていたのが、レオナルド・ディカプリオのまさかの主演男優賞候補の落選です。クリント・イーストウッド監督作『J・エドガー』での渾身の演技から、候補入りを確信していた人たちにとってはまさかの結果でした。また、主演女優賞ノミネートにグレン・クローズ(嬉しい!)が候補入りしたのも驚きでした。その一席には、ティルダ・スウィントン(『少年は残酷な弓を射る』)かシャーリーズ・セロン(『ヤング≒アダルト』)が選出されることが有力視されていました。そして、おそらく最も驚きだったのは、マーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』が11部門で最多ノミネートを果たしたということでしょう。それまでの映画賞レースを制してきた『アーティスト』は、10部門ノミネートにとどまりました。日本の映画ファンのみなさんにとっておそらく驚きだったのが、この2人のノミネートではないでしょうか?助演女優賞にノミネートされたメリッサ・マッカーシー(『Bridesmaids』<原題>/上写真右)と、助演男優賞にノミネートされたジョナ・ヒル(『マネーボール』/上写真左)です。アメリカでは驚きでも何でもない選出なのですが、この2人の昨年の活躍には目を見張るものがありました。『Bridesmaids』は昨年最もヒットした映画の一本であるし、観た人に聞けば全員、メリッサがベストパートを演じていたと言うでしょう。彼女は本作に加えて、アメリカの人気コメディ番組「Mike and Molly」にも出演しており、数々の賞を獲得しています。一方、ジョナ・ヒルは『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(’07)を始めとした数々の大作に出演する、いまハリウッドで最もホットな若手コメディアンの一人。彼は最近、大幅な減量に成功したのですが、これでジョージ・クルーニーやブラッド・ピットから主演男優賞を略奪できるかもと冗談を飛ばしているのだとか!とにかく、メリッサとジョナの2人はいま最も勢いに乗る注目スターなので、アカデミーが彼らを選出するのも全く不思議ではないのです。さて、こうして候補作を見ると、ある傾向が見えてきます。作品賞での一騎打ちが予想されるこの2作は映画作りへのオマージュを捧げています。片や、アメリカの巨匠マーティン・スコセッシの『ヒューゴの不思議な発明』ではフランス映画にオマージュを捧げていますし、フランスの若手監督ミシェル・アザナヴィシウスが手がけた『アーティスト』は往年のアメリカ映画にオマージュを捧げています。この2作に加えて、作品賞部門にノミネートされた映画には、“フランス・パリ”に縁ある作品が多く集まりました。ウディ・アレン監督作『ミッドナイト・イン・パリ』とスティーヴン・スピルバーグ監督作『戦火の馬』は2作共にフランスで撮影されています(『戦火の馬』は一部)。このほかに関心が集まるのは、男優・女優同士の戦いでしょう。主演男優賞部門では、親愛なるジョージ・クルーニーとブラッド・ピットがバトルを繰り広げますし(個人的には、ジョージが勝つと思いますが)、主演女優賞部門では、一方はハリウッドにおける、一方は政治における歴史的人物を演じた2人の素晴らしい女優が勝負を賭けます。その2人とはご存知の通り、『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』のメリル・ストリープと『マリリン7日間の恋』のミシェル・ウィリアムズです。こちらの女優勝負では、私はメリル・ストリープが勝利するのでは、と予想しています。これまで何度も賞レースを制してきたと思われているメリルですが、実際に栄冠を手にしているのは2回のみ。17回もノミネートされているのですが!オスカーを獲得したのは1983年の『ソフィーの選択』以来なのです。さて、みなさんはこの賞レース、予想の準備はできていますか?今年は間違いなく混戦になりそうです!(text:Lisle Wilkerson)(原文)Hey readers! Well, by now, you have probably seen a list or maybe heard some of the nominations that came out on Tuesday, Jan. 24 (US Time).I was at the nominations event to do reports on it for WOWOW, and I must say that there were quite a few surprises.One of the biggest surprises (and one of the things that EVERYONE was talking about) was the fact that Leonardo DiCaprio was left out of the Best Actors category. Everyone that that FOR SURE he would be nominated for his extraordinary work in the Clint Eastwood film, "J. Edgar".Another big surprise was that Glenn Close got the nomination for Best Actress (which I was very happy about!!!). Many people were saying that Tilda Swinton or Charlize Theron would probably be in that slot instead.And probably the biggest surprise of all was the fact that Martin Scorsese’s film "Hugo" was the big winner in the nominations, getting ELEVEN nominations altogether!!! "The Artist", which so far has been the big movie to beat at all the awards ceremonies, received 10 nominations.There were two nominations that are probably a big surprise to Japanese movie fans...Melissa McCarthy for Best Supporting Actress (for her role in "Bridesmaids")and Jonah Hill for Best Supporting Actor (for his role in "Moneyball") . BUT for those of us here in the U.S., it isn’t really that big of a surprise at all. These two comedians/actors have had a tremendous year in 2011."Bridesmaids" was one of the biggest and best selling movies in 2011, and if you ask ANYONE, Melissa McCarthy was the best part of the film. She also stars in one of the most popular tv shows here in the U.S., "Mike and Molly", and has been winning awards for her starring role in that as well.Jonah Hill has been a big part of many big films such as "Superbad", and is currently one of the hottest young male comedians/actors in Hollywood. He also lost ALOT of weight, and has recently been jokingly telling the press that he is now ready to take the leading man roles away from George Clooney and Brad Pitt!!None the less, Melissa McCarthy and Jonah Hill are two bright rising stars, so it is no surprise that the Academy has decided to recognize them both with a nomination for their work.Now some very interesting trends in this year’s nominees....the two films that will probably be battling it out for "Best Picture" are BOTH homages to making movies. "Hugo", which is directed by veteran American director Martin Scorsese, pays homage to French films. And "The Artist", which is directed by a young French director, Michel Hazanavicius, pays tribute to American movies.This year in the "Best Picture" category, there also seems to be a bit of a theme...France/Paris. First of all you have "Hugo" and "The Artist", and you also have Woody Allen’s "Midnight in Paris" and Steven Spielberg’s "War Horse", which both take place in France (just part of "War Horse" does).Another interesting thing about the nominees is that this year BFFs (Best Friends) George Clooney and Brad Pitt are competing against each other for "Best Actor"(In my opinion, George Clooney will win this award).And in Best Actress you have two incredible actresses who are nominated for "Best Actress" for playing historical icons, one a Hollywood icon, and the other an icon in politics.Of course I am talking about Meryl Streep for her role in "The Iron Woman", and Michelle Williams for her role in "My Week with Marilyn". For this category, I have a feeling that Meryl Streep will win. Many people think that Meryl has won many times, but in actuality she has only won TWICE. Even though she has been nominated 17 times!!! And the last time she won an Oscar was in 1983 for her role in "Sophie’s Choice".So readers, have you already started predicting who YOU think will win? I must say that this year it is VERY hard to predict!!!© AP/AFLO© ロイター/AFLO■関連作品:Bridesmaids (原題)© 2011 Universal Picturesヤング≒アダルト 2012年2月25日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.少年は残酷な弓を射る 2012年6月、TOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010アルバート・ノッブス© Morrison Films / Chrysalis Films 2011 マリリン 7日間の恋 2012年3月24日より全国にて公開© 2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.マーガレット・サッチャー鉄の女の涙 2012年3月16日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2011 Pathe Productions Limited , Channel Four Television Corporation and The British Film Institute.マネーボール 2011年11月11日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開ファミリー・ツリー 2012年5月18日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2011 Twentieth Century Fox戦火の馬 2012年3月2日より全国にて公開© Dream Works II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.ミッドナイト・イン・パリ 2012年初夏、新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開© 2011 Mediaproducción, S.L.U., Versátil Cinema, S.L. and Gravier Productions, Inc.ヒューゴの不思議な発明 2012年3月1日よりTOHOシネマズ 有楽座ほか全国にて公開© 2011 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.アーティスト 2012年4月7日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilm第84回アカデミー賞 [アワード] 2012年2月26日(現地時間)、ハリウッド・コダックシアターにて授賞式が開催© AMPAS■関連記事:ミシェル・ウィリアムズが選ぶ、勝負服は?注目すべきアカデミー賞ファッション人間以上にバトル過熱化?巨匠&名優が擁立する、アカデミー賞級の“犬”たち『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』がSAG賞を席巻!3部門を制覇鬼才デヴィット・フィンチャー、オスカー候補女優を「パーフェクト!」とベタ褒め『アーティスト』快進撃はさらに続く!監督協会賞も受賞し、オスカーに王手
2012年01月31日“女が憧れる女”っていますよね。仲良くなりたいとか、あんな風になりたいとか、そんな単純な話ではなく、とにかく惚れ惚れするほどカッコイイ女。私にとって、ティルダ・スウィントンもその一人。クールビューティの代表格で、ちょっと怖そう。男に対しても、女に対してもまったく媚がない。面白くなければ笑わない。でも、その様子はエ○カ様みたいに不躾な感じでは決してなく、極めてエレガントです。もちろん仕事についても、役選びの渋さといったら映画好きにはたまりません。『カラヴァッジオ』『エドワードII』『オルランド』『BLUE』『ザ・ビーチ』『アダプテーション』『サムサッカー』『ブロークン・フラワーズ』『フィクサー』、そして『ナルニア国物語』シリーズ。いずれも作家性の際立つ作品ばかり。役柄を思い出しても、実に癖のあるものばかり。そのおかげで、登場するだけで場面が引き締まり、緊張感があふれ出す。アンジェリー・ジョリーのクールさとはひと味違い、彼女にはノーブル&インテリの香りが漂います。それもそのはず、スコットランドの名家出身で、ケンブリッジ大学卒業後はロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演技を学んだサラブレッド。51歳とは思えない隙のない美貌は、“高嶺の花”のような近づきがたさもあります。公私ともに極めてクールな印象ですが、そんな彼女が、ふっと笑うと、「あ、笑った…」と意味もなくこちらまで嬉しくなってしまう。いい女って、そんなものなのでしょうか。そんな彼女がいつにも増して、ぴたりとはまっていたのが新作『ミラノ、愛に生きる』。友人のルカ・グァダニーノと製作に11年をかけて練り上げた作品で、社会という場で作られた考えからの超越がテーマになっています。ティルダが演じるのは、ミラノの富豪・レッキ家の後継者候補に見初められ、イタリアに渡ったロシア人のエンマ。彼女が息子の友人(料理人)と出会い、恋に落ちたことをきっかけに本当の自分へと戻っていくまでを描いています。冒頭のエンマは裕福に暮らし、二人の子供に囲まれ一見恵まれているようではあるものの、表情が乏しいのが気になるところ。そんなエンマのワードローブは、ラフ・シモンズがデザインするジル・サンダー。来日したティルダ曰く「ヒッチコックやルキノ・ヴィスコンティ、パゾリーニといった作家が作り上げたような、エモーショナルで官能的な作品を目指しました。そこで重要になったのが、ジル・サンダーでした」とのこと。本質的で、シンプル。それなのに表情豊か。エンマに寄り添いながらも、彼女の抑えた感情を補足するかのような美しいシルエット、カラフルな色合いの洋服は、役柄と相まって、それは魅力的にエンマという女性を縁取っていました。ジル・サンダーの服と合わせているのは、パールのネックレス(ブラックパールのロングネックレスは特にかっこいい!)や、大ぶりで質のよさそうなダミアーニのジュエリー、そしてエルメスのバッグ。バーキン、ケリー、マサイなどが、あくまでもカジュアルでエレガントな日常使いのバッグとして登場。貴族を筆頭とする特権階級の人々だけに許された金銭的、精神的余裕を感じさせる使い方を見るにつけ、これが正しいエルメス使いというものか…と感心してしまいました。当然、ティルダは素のままでお似合い。物も使い手を選ぶものなのですね。さて、服の話に戻りましょう。ティルダが言っていたように、ジル・サンダーの服は本作で重要な役割を担っていますが、実は、エンマがそれを脱ぎ捨ててからも印象的です。上流階級というしがらみを上質な服を脱ぐように捨て去り、年下の恋人のシャツをまとって別人のような姿を見せるエンマ。その時の美しさは、神々しいほど。きれいに整えられていたロングヘアは無造作なショートカットになり、化粧も施さず、木々に囲まれた場所で愛を交わす。自分に戻ることの心地よさを知り、本当に愛おしい人に巡り合った喜びを知ったことで、生き生きとした官能的な素顔を見せ始めるのです。固い表情ばかりだった顔にはバラ色の赤みがさし、表情は柔らかく優しくなっていくエンマ。思えば、年下の恋人と絡むシーンでは、恋仲になる以前から、ほかでは見せないキュートな笑顔を見せていました。特に、彼の作った料理を口にしたときの官能の表情も素敵!クールビューティがふと笑った時にこちらがつい感じてしまう幸福感を、ここでも味わうことができるのです。つまり、彼女が本物の愛を知って身に着けたのは、何も補う必要のないほどの最上の美。もはや上質なアイテムは必要なし。究極のシンプルから究極の洗練を生むと評判のジル・サンダーも、こうなるともはや手は出せません。ジル・サンダーに身を包み、エルメスを普段使いするクールビューティのエンマをかっこいいと思いながらも、やはり、すっぴんでノーブランドのシャツを嬉しそうに身に着けているナチュラルビューティのエンマの方が素敵だと思ってしまった私。物質的には決して補えない幸せがこの世にあり、それを手にした者は無敵なのだと改めて教えられる作品です。(text:June Makiguchi)■関連作品:ミラノ、愛に生きる 2011年12月23日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開© 2009 First Sun & Mikado Film. All Rights Reserved■関連記事:ティルダ・スウィントン、“衣食住”が華麗なコラボ奏でる新作携え3度目の来日
2011年12月14日『フィクサー』(’07)でアカデミー賞助演女優賞を獲得したティルダ・スウィントンが最新作『ミラノ、愛に生きる』(ルカ・グァダニーノ監督)を携え来日し、10月25日(火)、本作がプレミア上映された東京・千代田区のイタリア文化会館で舞台挨拶を行った。日本の地を踏むのは『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』のPR来日以来、約5年半ぶり3度目。「本当ならもっとたくさん来たい場所なの。日本のファンは私たちが作る少し奇妙な映画にも興味を示し、大切にしてくれるから、まるで“ホーム”にいるような感覚なのよ」と誰もが見とれる美貌で、笑みを浮かべた。「私にとっては宝物のような作品。普通、映画作りは思い通りにならないものだけど、この作品は奇跡的にすべてが希望通りに仕上がったの」と語る新作『ミラノ、愛に生きる』は、ティルダ演じる富豪夫人・エンマが、息子の友人であるシェフのアントニオとの情事を通して、本来の自分に目覚め、心身ともに解放される姿が描かれる。ティルダはプロデューサーとしても名を連ね、グァダニーノ監督と共に構想期間を含め12年間の歳月を本作に費やした。この日のティルダは、ジル・サンダーの華麗なドレスで登場。実は劇中の衣裳デザインを、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるラフ・シモンズが担当しており、「ヒッチコックやルキノ・ヴィスコンティ、(ピエル・パオロ・)パゾリーニといった作家が作り上げたような、エモーショナルで官能的な作品を目指したの。そこで重要な要素となったのが、ジル・サンダーだったの」とティルダ。劇中で、ティルダが着こなす数々のコレクションは大きな見どころだ。また、愛人となるシェフが調理する料理も物語のカギ。例えば、彼が作る「甘酢ソースの海老とカポナータ」がエンマの中に眠る官能を目覚めさせる…そんなシーンも見せ場になっている。さらに舞台となるミラノの美しさは必見。ティルダ自身も「とても特別で愛すべき街なの。スコットランド育ちの私にとっては、エキゾチックな地だし、友人もたくさんいるわ」とその魅力を語っていた。エンマが暮らす豪邸内の調度品(シャンデリアやタペストリー、羽目板張りの壁、絵画や彫像などなど)にも思わずウットリするはず。まさに“衣食住”が華麗なコラボレーションを奏でる作品に仕上がったのだ。「映画が描くテーマは、“愛の革命”ね。それまでアバター(仮の姿)で生きてきた女性の人生が変わる瞬間を見てほしい。自然や愛、そして人生といったお金では買えない豊かさを描いているわ」と熱っぽく語るティルダ。知的でクールな表情の中に、映画に対する情熱があふれ出していた。『ミラノ、愛に生きる』は12月23日(金・祝)から渋谷Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。■関連作品:ミラノ、愛に生きる 2011年12月23日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開
2011年10月25日