近年、急速に認知されてきたコスメといえばデリケートゾーンコスメではないでしょうか。デリケートゾーンとは、ズバリ言うと、女性の性器、VIOエリアのこと。ヨーロッパではすでにデリケートゾーンをケアするのは常識となっていますが、日本ではここ数年でやっと浸透してきたところです。では、“デリケートゾーンに使うコスメ”とは何なのか。現在の日本の実情や、性教育の遅れなども含め、お話ししたいと思います。■デリケートゾーンコスメって何だろうデリケートゾーンコスメとは、女性の性器周り、つまり“おまた専用”のコスメのことを指します。なぜ専用のものが必要なのかというと、顔同様、膣内のPh値が関係しています。健康的な膣内は弱酸性で、平均3.5~4.5位に保たれており、自浄作用が働いていると言われます。しかし洗浄力の高いボディソープやアルカリ性の石鹸(せっけん)は殺菌力が強いものが多く、Ph値のバランスを崩してしまい、かゆみやおりものの原因になってしまう可能性も。顔にも常在菌がいて、取りすぎない洗顔が推進されるようになりましたが、それはデリケートゾーンも同じ。専用のコスメで優しく洗い、必要以上のものは取らないケアを。菌との共生は人間の美容と健康にとっては重要事項なのです。デリケートゾーンの悩みで多いのは、臭いとかゆみ、そして蒸れなどがあげられます。女性には月に1度生理が訪れます。ただでさえ、ナプキンをしたり、蒸れやすい環境にあるのがデリケートゾーン。必要な皮脂膜などを洗い流して、乾燥をひき起こせば、ますます悪臭の原因にもなりかねません。 これまでなかなかフォーカスされなかった部分だけに、悩みを外に打ち明けられなかった人も多かったのではないでしょうか。その場所をじっくり見直すためにもぜひ注目してほしいのが、デリケートゾーンコスメなのです。■遅れている日本の性教育振り返ってみれば、昭和の時代に、親子でデリケートゾーンの話をしてきた、生理や性の話をしてきた、という家庭はそうそうないでしょう。日本ではそういう話をするのはたとえ家族であってもタブー。それこそ、おまたを触ろうものなら、そんなところ触ってはダメ、と母親に叱られた人が大半なのではないでしょうか。しかし、考えてみると、このデリケートゾーンほど、女性にとってつながりが深く、大切な場所はありません。それこそ排泄(はいせつ)もすれば、生理の血を出すところでもあれば、ここから生命が生まれてくるという、体の機能にとって非常に重要で、かつ神聖な場所です。それなのに、その部分の話になると目を伏せてしまい、「何か汚い場所」として捉えられてしまう…よく考えたらおかしな話です。これは日本の性教育の遅れが関係していると考えられます。もともとすべてのことにオープンにするアメリカ、ヨーロッパの文化とは違うこともありますが、性の問題は特にクローズドな状態にあるのが現状。男尊女卑の文化も根強く存在し、性の問題は揶揄(やゆ)もされやすい。ちなみに、ヨーロッパでは、すでに多くのデリケートゾーンコスメが展開されており、性についての知識もしっかりと教育されているというから、日本とは正反対です。■知るべき知識を知らずにいる怖さ重複して言うと、ここは生命が生まれる場所で、女性の機能が集約されている場所でもあります。つまり、この場所から目を背けているということは、体の機能と向き合っていない、女性として向き合っていない、ということになるのではないでしょうか。毎月この場所で行われる月経を含め、しっかりと知識を持っている女性はどれだけいるのでしょう。脳と卵巣の連携によって女性ホルモンが分泌されて、女性ホルモンが2種類あって、それがそれぞれどういう働きをして、経血につながるかを学ぶ場面は少なかったように思います。女性にとって女性ホルモンは切っても切り離せない大切な機能であり、生命を誕生させる機能を知らずに育つということはとても恐ろしい話かもしれません。日本の性教育の遅れは顕著で、今も教育の指針は統一されてはおらず、各家庭で独自に行われているのが現状なのです。■デリケートゾーンコスメから始めてみよう性教育に迷う大人たち。親たち。けれど、その必要性は分かっている。では、その一歩をどう踏み出せば良いのでしょうか。そんな時にひと役買うのが、デリケートゾーンコスメたちです。デリケートゾーン専用のコスメを使って洗う。この行為は、その場所に目を向けるとてもいいきっかけになります。女性ホルモンだ、生命の誕生だ、と言うとちょっと重い話になってしまいますが、お手入れを行う=いたわるということであれば、誰でも始めやすいはず。まずは目を向けること。意識するだけで、がぜん違ってきます。ちなみに、私が娘たちにデリケートゾーンコスメで性教育を始めたのは、長女が5歳、次女が2歳の時。「大事なところだから洗おうね」その一言だけで、子どもは何かを感じ取ってくれるものです。自分を知る第一歩として、こんなにいいツールはありません。そこで今回は、親子にも使いやすいデリケートゾーンコスメたちをいくつか紹介しようと思います。■親子で使いたいデリケートゾーンコスメまず、基本となるのはやはり洗浄料だと思いますが、今は顔と同じように、洗った後の保湿クリームや、スプレータイプやシートタイプなど、その場面に合わせてたくさんのデリケートコスメたちがラインアップされているので、自分のライフスタイルに合わせて、手に取りやすいものから始めてみましょう。▼ピュビケア デリケートコットン ワイプ“かぞくに使って欲しいもの”をコンセプトに、ナチュラル&オーガニックなデイリーユース製品を作り続けるたかくら新産業。粘膜の経皮吸収にもフォーカスし、さまざまなオーガニック製品を展開しているなかで、いち早く、日本初のデリケートゾーン専門美容サロンピュビケアとコラボレーションしてオーガニックコスメブランドを発売。デリケートゾーン専用のマイルドなソープや保湿クリームなど、こだわった製品展開で、イタリアのICEAを取得しています。100%オーガニックコットンを使用したウェットシート。このワイプシートは、使った後、そのままトイレにも流せるという機能性にも優れている逸品。何と言っても手に取りやすい価格にも注目。外出先や旅先など、いろんな場面で重宝すること間違いなし。(左)フレッシュシトラス (右)フローラルローズ 各12枚入り ¥648(税込)/たかくら新産業▼アンティーム オーガニック by ルボアインティメール バーシングオイルフランスなど、ヨーロッパの子どもたちは早くからそういった教育を母親から受け継ぎ、自分の体をいたわっていく習慣があるといいます。フランスにあるフィトテラピーの考え方をベースに、日本における植物療法の第一人者である森田敦子氏が手がけたデリケートゾーンケアコスメ、アンティーム オーガニック by ルボアから、新たにお目見えしたのは、かつてないマタニティケア、『インティメール バーシングオイル』。産前・産後の女性だけでなく、デリケートゾーンのケア含め、女性が“性”と向き合うことの大切さを伝えたいという森田氏のメッセージが込められています。産前のケアにも産後のケアにも使えるマッサージオイル。32周目以降に使うことで、硬くなった膣や会陰をやわらげ、スムーズな出産をサポート。また、年齢を重ねて萎縮した膣をほぐす目的にも使える画期的な製品。お風呂上がりに使うのがオススメ。“触る”ことを改めて意識させる、女性に1度は手にとって欲しいプロダクト。30mL ¥10,800(税込)/サンルイ・インターナッショナル▼トレスマリア ソープ & トレスマリア ミラー“ラグジュアリーデリケートゾーンコスメブランド”として、バルドゥッチ淳子さんが立ち上げたトレスマリア。洗う、潤す、見つめる、という3ステップで女性の大切な部分をケアすることを提案します。鏡で自分のデリケートゾーンを見るということはとても重要なステップ。月の周期によって体が大きく変化する女性ならではのお手入れを、ぜひ親子でやってみてほしいです。(右)国産のシャクヤクコンプレックスと10種類の美容成分やシルクソルトを配合。しっとりなめらかに洗い上げるソープ。180g ¥4,104(税込)/(左)3ステップの最後、見つめるのために作られた楕円形ミラー。キーワードとなるシャクヤクの花のピンクが印象的。¥1,944(税込)/バルドゥッチ▼ウーマンエッセンシャルズ リフレッシュスプレーフランスからお目見えしたのは“最も女性らしい部分をケアすることで、女性の人生と魅力を向上させること”をブランド理念としたウーマンエッセンシャルズ。皮膚・粘膜・体毛という3つの要素があるデリケートゾーンにアプローチする高レベルな処方を搭載したブランド製品として誕生。フランスの婦人科医と皮膚科医による医療品と同様の厳格なクリニカルテストによって認められています。この『リフレッシュスプレー』は、ボディとデリケートゾーン両方に使えるデオドランドスプレーで、リフレッシュ効果も高く、最初の1本としてもおすすめです。デリケートゾーンというのは、常に隠されている状態で、蒸れと闘っており、臭いを気にしている女子は多いもの。洗浄料、保湿剤、マッサージ剤とラインアップも豊富な中、特にこのスプレーは使い勝手がよい人気アイテム。30mL ¥2,592(税込)/BCL<取材協力>・ピュビケア ・アンティーム オーガニック by ルボア ・トレスマリア ・ウーマンエッセンシャルズ
2017年07月31日