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巨匠ロベール・ブレッソン監督の映画『バルタザールどこへ行く』が、4Kリストア・デジタルリマスター版で復活。2020年10月30日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開される。映画史に残る最高傑作がスクリーンに復活1966年公開の『バルタザールどこへ行く』は、フランス映画界の巨匠ロベール・ブレッソン監督の代表作として映画史に輝く最高傑作だ。ロベール・ブレッソンが長年映画化を望んだ本作は、聖なるロバ“バルタザール”をめぐる現代の寓話。ドストエフスキーの長編小説「白痴」の挿話から着想し、一匹のロバ“バルタザール”と少女マリーの数奇な運命を繊細に描いている。純粋さから悪の道へと堕ちていく少女マリーを演じたのは、当時17歳のアンヌ・ヴィアゼムスキー。初の映画出演作となった本作を皮切りに、『中国女』など、ゴダール作品への出演を重ねていくこととなる。ストーリー小さな農村で、農園主のジャックと幼なじみのマリーは、生まれたばかりのロバに「バルタザール」と名づけ可愛がる。だが年月が経ち、「バルタザール」は別の飼い主のもとへ。やがて逃げ出した「バルタザール」は、美しく成長したマリーと再会し、まるで愛し合う恋人のように慰め合う。だが運命は、「バルタザール」にもマリーにもあまりにも過酷な試練を与えていく。マリーの両親は誇り高さゆえに没落し、マリーは不良少年ジェラールに拐かされ悪徳の道に落ちていく。「バルタザール」もまたマリーの元を引き離され、次々と人手に渡っていく…。ロベール・ブレッソン監督作『少女ムシェット』も同時公開なお、公開同日より、一人の少女の悲運な運命をまざまざと描いた映画『少女ムシェット』も全国公開。ロベール・ブレッソンが遺した名作が、4Kリストアのデジタルリマスター版でスクリーンに蘇る。【詳細】『バルタザールどこへ行く』公開日:2020年10月30日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開※一部の劇場を除き、上映は 4K リストア・デジタルリマスター版から変換された2K上映となる。監督:ロベール・ブレッソン脚本:ロベール・ブレッソン出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、フランソワ・ラファルジュ、フィリップ・アスラン、ナタリー・ジョワイヨー、ヴァルター・グリーン、ジャン=クロード・ギルベール、ピエール・クロソフスキー、ロバのバルタザール配給:コピアポア・フィルム+lesfugitives
2020年09月14日3月2日(月)放送の日本テレビ「映画天国」では、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』や『若者のすべて』など数々の名作で知られる名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』をオンエアする。1906年にイタリア・ミラノの貴族の家に生まれ、1942年に『郵便配達は二度ベルを鳴らす』で映画監督デビュー。その6年後には『揺れる大地』を発表。『ベリッシマ』『夏の嵐』、ドストエフスキーの小説を映画化した『白夜』などを世に送り出すと、アラン・ドロンらを起用した『山猫』ではカンヌ映画祭のパルム・ドールに輝き、『熊座の淡き星影』ではヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。1967年にはカミュの『異邦人』を映画化するなど、映画史に残る名作の数々を生み出してきたヴィスコンティ監督。彼が1971年に製作したのが本作となる。ドイツの高名な老作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)は静養のために赴いたベニスで、究極の美を体現したような美少年タージオ(ビョルン・アンドレセン)に出会う。ゆるくカールした金髪と澄んだ碧眼の瞳。まるでギリシャ彫刻のようなタージオにアッシェンバッハは次第に心を奪われてゆく…というストーリー。アッシェンバッハ役には『召使』『ダーリング』で英国アカデミー賞に、『わが恋は終りぬ』ではゴールデングローブ賞にノミネート、ヴィスコンティ作品には本作のほか『地獄に堕ちた勇者ども』にも出演しているダーク・ボガード。タージオ役には本作への出演で一躍アイドル的な人気を博し、日本でも熱狂的なファンを生んだビョルン・アンドレセン。またタジオの母役で『デューン/砂の惑星』などのシルヴァーナ・マンガーノも出演する。映画天国『ベニスに死す』は3月2日(月)深夜25時59分~日本テレビで放送。(笠緒)
2020年03月02日演出家・三浦基が代表を務める京都の劇団・地点が、ドストエフスキー作『罪と罰』を2月29日(土)・3月1日(日)に神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール、3月20日(金・祝)から22日(日)まで京都芸術劇場 春秋座で上演する。同作は、三浦がロシアの国立ボリショイ・ドラマ劇場からの依頼で、現地の所属俳優とともに制作、今年6月に同劇場での上演を予定しているが、ロシアでのクリエイションを前に、まずは自身のインスピレーションの源泉となる地点でその世界観を作り上げ、日本で披露する。物語の舞台は、ロシア帝国の首都サンクトペテルブルク。猛暑の7月、青年ラスコーリニコフは、質屋の老婆とその妹を斧で殺す。娼婦のソーニャ、妹ドゥーニャ、苦学生ラズミーヒン、快楽主義者のスヴィドリガイロフら、彼を取り巻く人間たち。その関係の中で、法を超越する特権的個人や、人を殺す権利をめぐる彼の思想も徐々に明らかにされていく……。ロシアでもっとも読まれてきた小説のひとつ『罪と罰』を、その舞台となっているサンクトペテルブルクの劇場で日本人演出家が手がけるという、かなり大胆で意欲が感じられる今企画には、三浦独自の“読み”の可能性に期待が持たれているという。三浦の作品づくりは、既存のテキストを再構成・コラージュするという独自の手法で、発語法も言葉の抑揚やリズムをずらし、言葉そのものを剥き出しにすることから音楽的とも評されている。そんな彼の演出スタイル“自由な読み”によって、原作の大きなテーマのひとつとなっている信仰問題などが大胆に普遍化されることも期待される。また、この作品は「棺桶のような狭く暗い小部屋に閉じこもっていた主人公が殺人を契機に外へ出かけ、人々と出会う物語」とも言われるが、人から人へ向かう“ベクトル=矢印”を視覚化し、歩くという日常的動作により空間を形づくっていくという。2007年から取り組んできた「チェーホフ四大戯曲連続上演シリーズ」をはじめ、ロシアの作家の作品を継続的に上演してきた三浦にとって、本作はこれまでの創作活動の集大成といっていい。まずは日本で、どんな可能性を拓くのか。4月にはロームシアター京都の新館長就任も控える三浦。大きな節目となる2020年の第一歩が幕を開ける。文:伊藤由紀子
2020年02月26日恒例の特集「ポーランド映画祭」が今年も開催されている。8回目を迎える本年度は、映画作家のイエジ―・スコリモフスキが監修を担当。ポーランドの最新作から歴史に残る名作、レア作まで幅広い作品が揃う。映画ファンにとってポーランドは、アンジェイ・ワイダやクシシュトフ・キェシロフスキを輩出したなじみの深い国で、近年も『イーダ』や『COLD WAR あの歌、2つの心』など良質な作品が多く製作されている。2019年はポーランドと日本の国交樹立100周年、ポーランド民主化30周年にあたるアニバーサリー・イヤー。これまで以上に充実した作品群が映画祭に集まった。巨匠アンジェイ・ワイダの特集では名作『灰とダイヤモンド』、『死の教室』、そして彼が創設した映画学校の生徒による短編作品を上映。2017年に翻訳が出版され話題を呼んだボレスワフ・プルスの小説を映画化した1968年製作の『人形』、ワイダがドストエフスキーの『白痴』を原作に坂東玉三郎を主演に迎えて描く『ナスターシャ』、ロマン・ポランスキー監督がポーランド時代に手がけた短編集など、映画ファン垂涎のプログラムが並ぶ。さらに最新のポーランドも数多く紹介され、本映画祭でジャパンプレミアを迎える。飛行機に乗り合わせた様々な人々の姿を描いた『パニック・アタック』をはじめ、映画祭の監修者スコリモフスキが俳優として出演する『ユリウシュ』、知られざる史実に迫るドキュメンタリー『パラグアイへのパスポートポーランド外交における秘話』などが続々と上映される。会期中には上映だけでなく監督によるトークや、ゲストを招いた上映後解説も予定されており、長年に渡って映画ファンを魅了し続けてきたポーランド映画をさらに深く、多角的に楽しめる内容になっている。ポーランド映画祭201911月23日(土)まで東京都写真美術館ホールで開催中
2019年11月14日映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』が、2020年2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて公開される。“運命の絵”に魅せられた老美術商主人公は、年老いた美術商オラヴィ。仕事一筋に生きてきた彼のもとに、ある日、音信不通だった娘から、問題児の孫息子・オットーを職業体験のため数⽇預ってほしいという依頼を受けることから物語は始まる。その矢先、オラヴィが出会ったのは、オークションハウスで飾られた1枚の肖像画。署名がないもののその価値を確信したオラヴィは、その絵画を手に入れようと資金集めに走る。そのなかで明らかになる、娘親子の過去──絵画に魅せられ生涯を捧げた男と、その家族が見出す“本当に価値のあるもの”が描きだされる。アラヴィが出会った“幻の名画”物語のキーとなる、オラヴィがオークションハウスで見つけた1枚の肖像画。全てがベールに包まれた作品だったが、孫息子・オットーの協力もあり、近代ロシア美術の巨匠イリヤ・レーピンの作品という証拠を掴む。イリヤ・レーピンといえば、19世紀に⽂学のトルストイやドストエフスキー、作曲家のチャイコフスキーなどと並び、近代ロシア美術を牽引した国宝級と称される画家のひとり。そんな“幻の名画”が何故ここにあるのかー?名画に込められた真実が明かされる時、すれ違う家族の秘めた想いが絆を紡ぎだす―。監督にクラウス・ハロ監督を務めるのは、クラウス・ハロ。⻑編のデビュー作でベルリン国際映画祭クリスタル・ベア賞を受賞、過去4作品がアカデミー賞外国語映画賞フィンランド代表に選出され、フィンランドを代表する監督と称される。アカデミー賞のショートリストに選出、ゴールデングローブ賞外国語映画賞にもノミネートされた前作『こころに剣士を』の脚本家と再びタッグを組み、国宝級絵画を多数有するフィンランド国立アテネウム美術館などの全面協力のもと、本作を作り上げた。詳細映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』公開日:2020年2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて公開原題:ONE LAST DEAL監督:クラウス・ハロ脚本:アナ・ヘイナマー出演:ヘイッキ・ノウシアイネン、ピルヨ・ロンカ、アモス・ブロテルス、ステファン・サウク配給:アルバトロス・フィルム、クロックワークス2018年 / フィンランド / シネマスコープ / 95分 / DCP5.1ch / フィンランド語・スウェーデン語・英語
2019年10月27日映画『読まれなかった小説』が、2019年11月29日(金)に公開される。トルコの巨匠 ヌリ・ビルゲ・ジェイランが描く父子の物語映画『読まれなかった小説』を手掛けるのは、前作『雪の轍』で第67回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したトルコを代表する監督 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン。今回そんな監督自身の人生も反映させたという本作は、作家を夢見る青年・シナンと、小さな街の教師として平凡に生きる父・イドリスとの関係を描いた親子の物語。まるで正反対の彼らは、互いの気持ちが永遠に交わらぬようにみえたが、意外にもそんな2人を繋いだのは、誰も読むことのなかったシナンの小説だったー。“ジェイラン監督史上、最も美しい映画”第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品である『読まれなかった小説』は、“ジェイラン監督作品中で最も美しい映画”と賞されるほど、芸術的な映像美も魅力の1つ。トルコを舞台にした広大な景色だけでなく、室内の装飾にいたるまで完璧に計算し尽くした美しいフレーミングは、3時間という長編作品であることを忘れさせてくれるほどだ。さらにバッハの旋律や、シナンが訪れる書店に飾られたフランツ・カフカやヴァージニア・ウルフの肖像、チェーホフ、ドストエフスキー、ニーチェら世界中の偉大な作家たちを感じさせ語り口も相まって、崇高な文学のような作品に昇華させている。■あらすじシナンの夢は作家になること。大学を卒業し、トロイ遺跡近くの故郷へ戻り、処女小説を出版しようと奔走するが、誰にも相手にされない。シナンの父イドリスは引退間際の教師。競馬好きな父とシナンは相容れない。気が進まぬままに教員試験を受けるシナン。父と同じ教師になって、この小さな町で平凡に生きるなんて……。父子の気持ちは交わらぬように見えた。しかし、ふたりを繋いだのは意外にも誰も読まなかったシナンの書いた小説だった――。【詳細】映画『読まれなかった小説』公開日:2019年11月29日(金)監督・編集:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン撮影監督:ギョクハン・ティリヤキ脚本:アキン・アクス、エブル・ジェイラン、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン音楽:ミルザ・タヒロヴィッチ挿入曲:J.S.バッハ「パッサカリア ハ短調BWV582」(編曲:レオポルド・ストコフスキー)出演:アイドゥン・ドウ・デミルコル、ムラト・ジェムジル、ベンヌ・ユルドゥルムラー、ハザール・エルグクルほか英題:The Wild Pear Tree配給:ビターズ・エンド
2019年09月05日インド古来の伝記を、インド映画史上最大級の製作費を費やした絢爛豪華な映像美で描き、全世界で大ヒットした『パドマーワト 女神の誕生』がついに日本上陸!めくるめく日本版予告編と場面写真が公開された。ストーリー13世紀末、シンガル王国の王女パドマーワティは、西インドの小国、メーワール王国の王ラタン・シンと恋に落ち、妃となった。同じころ北インドでは、叔父を暗殺した若き武将アラーウッディーンが、イスラム教国のスルタン(王)の座を手に入れていた。獰猛で野心に満ちた彼は権勢を広げていく中で絶世の美女、パドマーワティのうわさを聞きつけ、メーワール国に兵を差し向ける。しかし、堅牢な城壁とラタン・シンの抵抗により、パドマーワティの姿を見ることも許されなかった。やがて始まるラタン・シンとアラーウッディーンの誇りと野望を懸けた戦い。圧倒的に不利なその戦に、パドマーワティはある決意をもって臨んでいた…。この度解禁された予告編では、ドストエフスキーの「白夜」を下敷きにした作品や、「ロミオとジュリエット」を原案にした『銃弾の饗宴ラームとリーラ』など、歴史大作を中心に耽美的な映像を追究するインドの巨匠サンジャイ・リーラ・バンサーリー監督が本領を発揮。圧倒的な美しさを見せつける王妃パドマーワティ、狂気さえ感じさせる野望に満ちたイスラム王アラーウッディーン、小国の王ながら高潔さを重んじるラタン・シン。この3人の信念が交錯して、やがて一国の運命を揺るがす戦いとなっていく様を、まるでシェークスピア劇のような重厚さで描きつつ、全編を通してインド映画特有の華麗なダンスシーンはもちろん、当時の建築を再現した壮麗なセットや豪華な衣装、圧倒的な数の群衆シーン、スケール感溢れる戦闘シーンなど、大迫力かつ荘厳な世界を表現。インド映画ファンの間では「黒澤明監督の『乱』のようだ」「暴力的なまでの美」などと称されるほど、絢爛豪華な映像美を映し出している。公開時点でインド映画史上最高となる約30億ドルの製作費が投じられ、絶世の美女パドマーワティの衣装は、一着およそ200万ルピー(約320万円)、重さは30キロに及ぶものも。『トリプルX:再起動』でハリウッド進出も果たし、インド映画界で最も出演料が高額といわれるトップ女優ディーピカー・パードゥコーンは1日12時間もの間、その衣装を着続け撮影に臨んだという。また、アラーウッディーン役を熱演したのは昨年ディーピカーと結婚し、話題を呼んだランヴィール・シン。だが、彼は撮影後、実際の性格や振る舞いにも大きな影響が現れ、元に戻るために精神科医のカウンセリングを受けたとか。500年にわたり語り継がれる、あまりにも有名な伝記の映画化に、インドでは製作段階から注目を集めていたが、劇中でのヒンドゥー教やインド古来の民族ラージプート族の描写に憶測が飛び交い、一部の過激な宗教団体による上映中止運動などが勃発。その話題の高まりもあり、2018年インド国内興収で3位となる約61億円、インド映画の世界興行成績でも歴代10位となる約100億円の大ヒットを記録している。『パドマーワト 女神の誕生』は6月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年04月11日ロシアの文豪、ドストエフスキーの世界的な名著『罪と罰』が、2019年新春、三浦春馬さんを主演に迎えて舞台化。今回は主人公のラスコリニコフと心を通わす娼婦のソーニャを演じる大島優子さんにインタビュー!3年ぶり3度目の舞台出演となる本作にかける思いから、30歳を迎えて変化したという心情やライフスタイルまで、幅広くお話を伺います。『罪と罰』は行間からにじむ“人間らしさ”————本作は、世界文学の最高峰とも言われるドストエフスキーの長編小説『罪と罰』が原作ですが、初めて小説を読んだときの印象は?大島優子さん(以下、大島さん):ドストエフスキーの作品は重厚な世界観でかなり読みごたえがあるので、最初に読んだときは正直、心にズドーンと大きな重りが乗ったように感じました。でも、何度か繰り返し読んでいくうちに、それぞれの登場人物の「人間らしさ」が浮かび上がってきて、どのキャラクターにも共感できる部分を見出している自分に気づいたんです。そこからは、ストーリーが格段に面白く感じられるようになりました。——今回演じるソーニャの人物像についてはどのように受け止めていますか?大島さん:家族を養うために、娼婦として体を売って働くという自らの過酷な人生だけではなく、ラスコリニコフの犯した罪までも受け入れて生きる……。ソーニャは、いかなる物事も赦す広い心をもったマリア様みたいな人だと思います。そんな深い慈愛に満ちた女性像を舞台上でどう表現するのか、台詞の中に秘められたソーニャの真意を紐解きながら、これから模索する日々が続きそうです。——これから始まる稽古に先駆け、本作の脚本・演出を手がけるフィリップ・ブリーンさんによるワークショップが催されたそうですが、参加していかがでしたか?大島さん:意外なことに、今回のワークショップでは『罪と罰』の話は一切出てこなかったんです。ワークショップでは、シェイクスピアを題材に取り上げ、その作品への「アクセス」の仕方(演じ方)をレクチャーしていただきました。フィリップさんの指導法は、まずは役者に自由に演技をさせ、それを見てアドバイスをしながら表現を肉づけしていくというやり方なんです。彼の演劇への愛と熱情に圧倒されながら、私自身も息つくことを忘れるくらい、いろいろな感情をくすぐられた2日間でした。フィリップさんから学んだ演劇スキルを、今回の舞台で活かしたいと思っています。三浦春馬さんのストイックさが刺激に——初共演となる三浦春馬さんの印象は?大島さん:三浦さんは、演技に対してとてもストイックな方ですね。舞台上で、力強くラスコリニコフを演じる姿が今から目に浮かびます。先日お会いしたときに、「フィリップさんは僕がとても信頼している演出家だから、安心してついていけば大丈夫だよ!」と心強い言葉をかけてくれました。そんな頼もしい座長とベテラン俳優さんたちの足を引っ張らないよう、まずはこれから始まる稽古を頑張ります!——本作には、「自分にとっての正義とは何か」という深いテーマが潜んでいると思いますが、大島さんにとっての正義とは?大島さん:自分、他者、もの……。何に対しても誠実であることかな。人間だから、その時々の環境の変化によって感情のアップダウンはあるけれど、常に心がけているのは、人や物事に正面から丁寧に向き合うこと。そうすれば、誰も嫌な思いをせずに、気持ちよくお付き合いすることができますからね。——長期間にわたる舞台公演を乗り切るための体力づくりはしていますか?大島さん:1カ月前から筋トレを始めました!三浦さんが役づくりでかなり体を絞られた姿を見て、私のやる気に火がつきましたね。自分でサーキットトレーニングのメニューを組み立てています。例えば、腕立て6回+スクワット12回+腹筋15回を20分間繰り返すというように、自宅で毎日トレーニングをしています。続けるうちに筋肉がついてきたので、これから食事制限もやろうかなと。そう意気込んだ矢先、昨日は好物のラーメンを食べてしまいました(苦笑)。今朝もみっちりトレーニングをしたからチャラになるかな!?——普段から心がけている健康法や美容法はありますか?大島さん:食事では、なるべく炭水化物を控え、野菜を多めに摂るようにしています。美容では、とくに肌の乾燥に注意して、化粧水をたっぷりつけたり、パックをしたり。最近、美顔器を手に入れたので、毎日のスキンケアがより楽しくなりました。いずれも、大切なのは自分に合った方法でストレスなく続けられること。実は、私はフルーツが苦手で、以前は健康や美容のために何とか克服して食べなきゃ!と頑張っていましたが、それがけっこう苦痛だったんです……。苦手なものは無理して受け入れなくてもいいやと、あるとき吹っ切れて、それからは今までよりも自分に優しい考え方ができるようになりました。これまでの20代、これからの30代——10月に30歳を迎えて、価値観やライフスタイルに変化はありましたか?大島さん:30歳になってから、自分のまわりの空気がフワッと軽くなった気がしますね。20代は、いろいろなことに気にしすぎて、わりと窮屈な考え方をしていましたが、最近では良い意味で妥協することを覚えたというか、気持ちの割り切り方が上手くなったと思います。おのずと肩の力が抜けて、心に余裕が出てきました。——周囲をパッと明るくする大島さんの笑顔も一段と輝いていますね!大島さん:ありがとうございます。仕事のときも、友人に会うときも、常に楽しく!を心がけています。そうすると自然と笑顔が溢れてきますね(笑)。——最近、思わず笑顔になってしまうような楽しみはありますか?大島さん:コーヒーを飲んでいるときが幸せですね。昔はあまり飲まなかったけど、海外でおいしいコーヒーに出会ってから大好きになりました。毎朝、良い香りに包まれながら、自分でゆっくりとコーヒーを淹れる時間がお気に入りです。最近、味覚が変わったのか、20代のときには食べなかった甘い物も好きになりました。食べ過ぎは注意ですが、おいしいコーヒーとスイーツの組み合わせを想像するだけで、もう最高!これからは、食でもオトナの楽しみを探求していきたいです。——筋トレにコーヒータイムと、おうち時間も充実していますね。ちなみに、今のお部屋の雰囲気はどんな感じですか?大島さん:インテリアはすべて明るめのウッディカラー、ファブリックはオフホワイトで統一しています。観葉植物やお花も飾って、リラックスできる空間づくりをしていますよ。やはり、ナチュラルな雰囲気が一番落ち着きますね。音楽を聴いたり、録画しておいたバラエティ番組を見て笑ったり、おうち時間も私らしく楽しんでいます。意外にもハンドメイドがお好き!?——LIMIAのユーザーのみなさんは物作りを好まれます。大島さんは何かDIYやハンドメイドはしますか?大島さん:友人と一緒にアロマキャンドルをハンドメイドしました。ウェブで作り方を調べて、何種類かのキャンドルを削って、身体に優しい着色料や化粧品のラメを使ってデコレーションしたんです。自分で何かを手作りするのは楽しいですよね!——最後に、海外渡航後初めての舞台出演作となる本作への意気込みと、2019年の抱負を聞かせてください!大島さん:私自身、脚本を読むたびに毎回違う感情が湧いてくるような奥深いストーリーなので、観てくださる方によって作品の捉え方は変わってくると思います。いろいろな角度から、濃密な人間ドラマを楽しんでいただけると嬉しいですね。観客のみなさんに、舞台上から熱いメッセージをお届けできるよう、私らしくソーニャと真摯に向き合いながら、本番に向けて役づくりを深めていきたいと思います。来たる2019年は、復帰を待ち望んでくださったファンのみなさんをハッピーにできるよう、私自身も楽しみながら、魅力的なお仕事にどんどんチャレンジしていきたいです!公演概要【Bunkamura30周年記念シアターコクーン・オンレパートリー2019DISCOVERWORLDTHEATREvol.5『罪と罰』概要】●原作:フョードル・ドストエフスキー●上演台本・演出:フィリップ・ブリーン●翻訳:木内宏昌●美術・衣裳:マックス・ジョーンズ●会場:Bunkamuraシアターコクーン●上演期間:2019年1月9日(水)〜2月1日(金)●チケット:全席指定S席10,500円、A席8,500円、コクーンシート5,500円(税込)●キャスト:三浦春馬、大島優子、南沢奈央、松田慎也、山路和弘、立石涼子、勝村政信、麻実れい、他『罪と罰』オンライン予約はこちら●インタビュー・文:中山理佐●撮影:土佐麻理子●ヘアメイク:犬木愛(Agee)●スタイリング:百々千晴
2018年12月03日展覧会「国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア」が、2018年11月23日(金・祝)から2019年1月27日(日)まで、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて開催される。ロシア美術の殿堂、国立トレチャコフ美術館所蔵のコレクションが来日本展は、“ロシア美術の殿堂”と評されるモスクワの国立トレチャコフ美術館が所蔵する豊富なコレクションより、19世紀後半から20世紀初頭のロシアを代表する作家の風景画、風俗画、人物画、静物画を、自然や人物像に内在するロシア的なロマンをテーマに紹介するもの。帝国崩壊にロシア革命、激動の時代に描かれた“ロシア的なロマン”ロシア帝国崩壊の足音が聞こえ始め、やがてロシア革命を迎える激動の時代であった19世紀後半。この時代に多くの画家たちが大いなるロマンを見出し、絵画の題材としたのが、白樺や樫の木の深い森、雪に覆われた大平原、樹木や草花が芽吹く春といったロシアの大自然だ。それは人々に芽生え始めた郷土愛からなのか、これらの美しい自然とともに、当時の複雑な社会やその厳しい時代を生き抜いた人々、男性たちの目を釘付けにする女性像もまた題材となっている。例えばクラムスコイの《忘れえぬ女(ひと)》は、過去にも何度か来日を果たしている名作であり、本展で最も注目すべき作品の一つ。トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」の主人公をモチーフにしたとも指摘されており、後述する19世紀後半のロシア文化の発展、そして“ロシア的なロマン”を象徴する作品と言えるかもしれない。激動の時代で隆盛を見たロシア美術界この時代のロシア文化について、チャイコフスキーやムソルグスキーといった作曲家、トルストイ、ドストエフスキーに代表される文豪は日本でもよく知られているが、美術の分野でも多くの才能を排出している。制約の多い官製アカデミズムに反旗を翻す形で、クラムスコイら若手画家たちが、ありのままの現実を正面から描くことを目指した「移動派」を組織した一方で、モスクワ郊外・アブラムツェヴォのマーモントフ邸に集まったクズネツォフ、レヴィタン、コローヴィンらは、懐古的なロマンティシズムに満ちた作品を多く残す。注目すべきは、いずれのバックグラウンドにも、“祖国に対する愛”という共通点があることだろう。今注目を集めるロシア的なカルチャー最も近い話題では、サッカーワールドカップの開催地として注目を集めているロシアだが、近年のファッション・カルチャー界ではコム・デ・ギャルソン(COMME des GARÇONS)の川久保玲に見出されたゴーシャ・ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)が大いに活躍しているほか、ロシア革命と共に発展したロシア・アヴァンギャルドのデザインの世界が注目を集めるなど、その文化的な側面が再評価されつつある。そんな今、“ロシア的なロマン”に思いを馳せながら、ロシア美術の殿堂と評される、国立トレチャコフ美術館所蔵の名作の数々を鑑賞してみてはいかがだろう。開催概要展覧会「国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア」開催期間:2018年11月23日(金・祝)〜2019年1月27日(日)※2018年11月27(火)、12月18日(火)、2019年1月1日(火・祝)のみ休館。開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム入館料:一般 1,500円(1,300円)、大学・高校生 1,000円(800円)、中学・小学生700円(500円)※( )内は前売・団体料金。※学生券購入の際は、学生証の提示が必要。※障害者手帳の提示で割引料金あり。詳細は窓口にて。チケット販売期間:<前売券>2018年9月15日(土)~2018年11月22日(木) 予定<当日券>2018年11月23日(金・祝)~2019年1月27日(日)チケット取扱:<前売券>チケットぴあ、ローソンチケット、セブンチケット、e+(イープラス)、他主要プレイガイド
2018年07月20日音楽家の椎名林檎、演出振付家のMIKIKO、そして小説家の西加奈子というトップクリエイターの3人が、初めて旅番組に挑戦した「猫にまた旅 ~椎名林檎・MIKIKO・西加奈子 ロシアを行く~」が、6月30日(土)に放送されることが決定した。今年デビュー20周年を迎え、書き下ろしたドラマ「カルテット」の主題歌が話題になったことも記憶に新しい椎名林檎、「Perfume」「BABYMETAL」など様々なアーティストの振付を手掛けるMIKIKO、そして、「まく子」が実写映画化されることも決定している直木賞作家・西加奈子。プライベートでも親交を深める彼女たちが訪れたのは、帝政ロシアの都として栄えたサンクトペテルブルグ。歴史と芸術に彩られた美しい街で、“3人の猫娘たち”が“芸のこやし”をハンティング。クリエイターならではの視点で、古都の魅力を掘り下げていく。番組内では、ロシアの伝統楽器「バラライカ」のバンドアンサンブルを体感したり、世界5大バレエ団として名をはせる「マリインスキー・バレエ団」に潜入したり。またロシアの文豪ドストエフスキーの家の訪問など、3人の創作に通ずるシチュエーションが満載。ほかにも、世界の猫・ロシア編として、ロシアンブルーのブリーダーを訪ね、ロシアの一般家族の夕食に突撃も。もちろん、エルミタージュ美術館をはじめとする名所も周る。「猫にまた旅 ~椎名林檎・MIKIKO・西加奈子 ロシアを行く~」は6月30日(土)23時5分~NHK総合テレビにて放送。(cinemacafe.net)
2018年06月19日こんにちは。ママライターのあしださきです。突然ですが、皆さんに質問です。最近美しいものを見て心を動かされたことはありましたか?「美は世界を救う」ロシアの小説家であり思想家である、ドストエフスキーが残した言葉です。暗いニュースが毎日流れる現代社会の中で、この言葉の示す通りその美しさで世の女性を救っている(彼女たちに生きがいを与えるほどに心酔させている、という意味で)男性たちがいるのをご存じでしょうか?2次元でもなく、3次元でもない。“2.5次元”という活躍のフィールドを新たに生み出し、その美しい容姿、話し方、歌声で多くの女性ファンを獲得している「2.5次元俳優 」の魅力を、今回はご紹介したいと思います。●2.5次元俳優ってどんな俳優さん?・漫画やアニメ、ゲームを元にした舞台(主にミュージカル)に出演する俳優。・これまでは2次元(漫画などの中)に存在していたキャラクターを、(1)高い演技力 (2)圧倒的歌唱力 (3)魅力的な容姿 の3本柱をもって完璧なまでに舞台上で演じきる、まだメジャーになっていない若手俳優。●美しくて当然! さらに、原作ファンをもうならせる“憑依系”であることが必須これは、2.5次元俳優ファンの方が各方面でおっしゃっていることですが、彼女たちは「原作への愛」が半端じゃないんです。漫画は何百回と(あるいはもっと)読み、アニメ化されたものも総チェック。登場人物のセリフの一言一言まで暗記しているなんてザラなんだとか。『自分の大好きなキャラクターが実際の人間として動き、話し、歌う姿をただ見るためにこんなに入れ込んでいるんじゃない。キャラそのものになっていて欲しい』(20代女性/看護師)というのが、彼女たちの意見。完璧にそのキャラクターを自分のものにしていてくれないと嫌 なわけです。つまり、役が完全に“憑依”したかのような仕草、振る舞い、話し方が大事。そのためには、俳優自身もその原作への愛を十分に観客にアピールできないとダメなのです。このような高すぎるハードルを悠々と越えてきた俳優さんのみが与えられる、「2.5次元俳優」というポジション。●舞台の魅力は“一期一会”の出会い私のような無知な主婦(しかも若くはない30代)にとってみると、足を運ばないと見られない“敷居の高さ”を感じるミュージカルや舞台。また高額なチケット代も、世間一般の感覚との差を感じてしまうポイントになるのです。趣味にしてはコストがかかりますから。ただ、今は動画配信サービスが充実し、誰もが広く利用できる環境になりました。自宅に居ながら好きなドラマや映画も手軽に楽しむことができますよね。では、なぜあえて舞台なのでしょうか。そこには、舞台にしかない“一期一会”の出会いが待っている から。2.5次元俳優の魅力を語る上で欠かせない、最高のエッセンスがこの“一期一会”。『生の舞台は1度として同じ回はないです。アドリブやその日の空気も全然違う。俳優さんと観客が一体感をもって舞台を完成させている実感が味わえるから好き』(20代女性/会社員)これが2.5次元舞台の最大の魅力でしょうか。●まだメジャーになっていない若手俳優さんじゃないと出せない“萌え”多くの2.5次元俳優の皆さんは、まだテレビや映画にバンバンでまくっているような方ではないということに、お気付きでしょうか?『2.5次元って、すでに売れている俳優さんがやってしまうと「何か違う」という感じだと思います。まだ発掘されていない原石のような若手俳優さんがキャラクターそのものになってくれる。それに“萌える”ファンが多いと思います』(30代女性/主婦)すでに何かの役で認知され、イメージが付いてしまった俳優さんではなく、“原石”の俳優に萌える のですね。本当に奥が深い!----------いかがでしたか?私は実はまだ2.5次元ミュージカルは見たことがありませんでした。しかし、今回の調査でかなり興味がわいてきて、これからもしかしたらハマっていくこともあるかもしれないな、と感じています。皆さんもぜひ、この奥深き、美しい世界を覗いてみませんか?●ライター/あしださき(元モデル)●モデル/坂井由有紀(央将くん)
2017年02月13日●宝塚とジャニーズの共通点1980年に発売された村上龍の小説『コインロッカー・ベイビーズ』(講談社)。発行から36年の時を経て、このたび舞台化される。乳児の頃にコインロッカーに残された青年・ハシを橋本良亮(A.B.C-Z)、キク役を河合郁人(A.B.C-Z)が演じる。昆夏美やシルビア・グラブといったミュージカル界の実力者、更にはROLLYや芋洗坂係長など豪華なキャスティングで一体どのような世界が展開されるのか。脚本・演出を務めた木村信司は、宝塚歌劇団に所属し、ふだんは「清く、正しく、美しく」を信条に舞台を作り上げている。今作にかける思い、宝塚との違いなどについて、改めて話を伺った。○宝塚では絶対にできない脚本にチャレンジした――木村さんは宝塚歌劇団の演出家ですが、今回はなぜ『コインロッカー・ベイビーズ』に関わることになったのでしょうか?頼まれて書いたわけではなかったんです。自分は宝塚をすごく愛していて「清く、正しく、美しく」という教えのもとに頑張っているのですが、「宝塚では絶対にできないような脚本を書けるんだろうか」という思いがあり、一番遠い題材を考えたときに、この作品が浮かびました。原作が出版されたときには面白いSF小説として読んだんですが、21世紀になった時に読み返して、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』と共通するところがあるなと。「僕たちを殺すな、生き残る。もう一度現れる」という子供の叫びを聞いた気がして、脚本に起こしました。2001年頃の話です。――書いたものを形にしようと動き始めたのはいつからですか?いろいろな伝手を使いまして、5年前、村上先生の手元に脚本と企画書が届きました。それから10日も経たないうちに、ぜひやってほしいという話が来まして、びっくりしましたね。「条件もそちらの思うように」というお話でした。あとになってから知ったのですが、映画界では常識となっているくらい難攻不落の著作権だったそうです。舞台化が動き出したのは、村上先生に「やってよろしい」と言っていただけたことがすべてでした。――そこはやはり脚本の力が大きかったのでしょうか。もし感じ取ってもらえたものがあったとすれば、熱だったんだろうなと思います。○その瞬間、輝くことに命をかける――主演がジャニーズの方で、木村さんは宝塚の方ですが、宝塚とジャニーズの違いは感じますか?共通点を話した方が早いかもしれません。一番の共通点は、皆、良い子だということです。舞台には正直に人柄が出てしまいますし、何を隠していても根底が出るので、見ているとよくわかります。うちのタカラジェンヌたちと同じ情熱をもって舞台にかける男の子たちだと思います。――パフォーマンスの点などではいかがでしょうか?その瞬間輝くことに命をかけるようなパフォーマンスは、共通しているところかもしれません。スキルはもちろんですが、一瞬一瞬にかける情熱が、より大きな魅力になっています。――主演のお二人の印象はいかがですか?公演も何回か見せていただいて、ジャニーズ事務所が手塩にかけて育て上げた舞台の申し子達だなと思っています。河合くんは、口調からも感じられますが、ガッツがありますよね。橋本くんは、見た目もロマンティックじゃないですか。先日の製作発表では、シルビアさんを自然とエスコートしていて、女の子がぽーっとなるのは無理もない(笑)。ライブでお客様にアピールすることをずっと勉強してきた2人ですから、これから脚本に2人の想像力を加えて、冒険していけることを楽しみに思っています。やりたいことはミーハーなこと。河合くんの曲にガッツがあった、橋本くんクールだったね、昆ちゃん可愛かった、シルビアさんの歌が心にしみた。そういったミーハーをつなぎ合わせて、お客さんに喜んでもらえるものを作りたいと思います。●入るまで、宝塚を観たことがなかった○脚本・演出家を目指したきっかけ――木村さんご自身についてお聞きします。脚本・演出家を目指したきっかけについて教えて下さい。脚本を書こうと思ったのは、小田島雄志先生訳のシェイクスピア全集を全部読んだことがきっかけなんです。それまでもずっと小説などは書いていたのですが、自分はリアルな話よりも、ロマンティックな物語に資質があるのではないかと思っていました。そこへシェイクスピア全集を呼んで「脚本家だ!」と。実は僕、少し変わった経歴なんです。"引きこもり"なんて言葉もない時代でしたが、大学に入る前の3年間、本ばかり読んで過ごしていました。シェイクスピア全集を読んだことによって、「ぜひ大学で勉強したい」と受験して、合格して入学したあとはずーっと脚本を書いていました。――そのころから、宝塚歌劇は視野に入っていたのですか?実は、入るまで観たことがありませんでした(笑)。就職活動時に台本を送ったところ、試験に通ったのですが、最初に上演された『扉のこちら』と言う作品は、宝塚を観ないままに書いた試験台本そのものなんです。宝塚歌劇について知っていたのは「男役さんという、素敵な人がいるらしい」ということだけ。イメージする素敵な人を主人公で書いてみたら通ったので、やはりもともとロマンティックな要素を持っていたのではないでしょうか(笑)。――宝塚以外の作品も書いていらっしゃるんですね。時間があくと腕が落ちて来ますので。上演するあてもないままに書いている作品も、今4~5作はありますね。これからの宝塚のためのプレゼンとして書いているものもあれば、「これは宝塚でできない」と思って書いたものもあります。アスリートと一緒で、日々の研鑽ですね。○単に観劇ではなく、経験として残るものに――宝塚歌劇団の演出家の方も、宝塚歌劇以外の外部の公演の演出をされたり、活躍されていますね。宝塚には、優秀な脚本家・演出家がたくさんいます。外部舞台に出すのは、他流試合で腕を磨いて、戻ってきたときにその経験を活かして、仕事に励んで欲しいということじゃないかと思うんです。やっぱり一定期間は人材を外に出すことにはなりますので、勉強の一貫ととらえているのではないかなと。――留学のようなイメージでしょうか。脚本家同士、演出家同士など内部の交流はあるのですか?タカラジェンヌも含めて、スタッフ皆が家族なんです。宝塚という家に住んでいます(笑)。――今回の作品は「清く、正しく、美しく」とはかなり離れた世界観ですが、演出プランの違いは出てきますか?「清く、正しく、美しく」は宝塚では絶対に外せない、大切な教えですが、僕自身の役者に対するスタンスは、宝塚で演出するときと変わりません。これまでもモーニング娘。と『リボンの騎士』、声楽家団体「二期会」と一緒に『シューベルト』など外部舞台の経験がありますが、スタンスを変えたことなく、裸のままでいって、可能性を探っていきます。――客層の違いは意識されますか? 今回は舞台を観慣れている方も多いのかなと思います。幕が開くまで、どんなお客様がいらっしゃるのかはわかりませんから。宝塚にしても、大劇場と地方公演では変わってきますから、見慣れている・見慣れていないということではなくて、お客様に何か一つの経験として残るものにしたいと思っています。単に観劇ということではなく、Experienceとして、という気持ちはありますね。音楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』公演日程:2016年6月4日~2016年6月19日会場:赤坂ACTシアター原作:村上龍脚本・演出:木村信司音楽:長谷川雅大出演:橋本良亮(A.B.C-Z) 河合郁人(A.B.C-Z)昆夏美 シルビア・グラブ 真田佑馬 芋洗坂係長 ROLLY
2016年05月18日●日本は今、チャンスの時期自動家計簿・資産管理サービスや、ビジネス向けクラウドサービスなど、お金に関するプラットフォームを開発・提供しているマネーフォワードは、11月22日に品川インターシティホールで「Money Forward お金のEXPO2015」を開催した。1500人分のチケットは完売となり、世の中の「お金」に対する関心の高さを示していると言えるだろう。「銀行、証券、保険、ライフプランニングなど、暮らしに不可欠なお金に関する課題をすべて解決する1日」として設定された本イベントでは、各分野のスペシャリストたちによるさまざまな講演が行われた。その中に、2001年に小泉内閣の経済財政政策担当大臣に就任、その後金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任した竹中平蔵氏が登壇。竹中氏からは、「誰も知らなかった『お金』と『日本の未来』の見据え方」と題した講演が行われた。本稿では、その講演内容をお届けしよう。○世界の偉人たちが捉える「お金」の価値「お金について議論したり、学んだりする機会が日本は少ない。今日は自分のために、これからの人生や日本、経済について考えをめぐらす時間にしてもらいたい」と、竹中氏は話を始めた。小泉元総理がスピーチをする際に、原稿作成を行っていたという竹中氏。その際、世界の偉人たちの名言を参考にすることが多かったという。「名言集を読んでいて、おもしろいことがわかった」と竹中氏は言う。「経済や法律、政治に関する名言はそこまで多くない。圧倒的に多い名言は男女の問題。そして、その次がお金について。例えば、イタリアのベルルスコーニ元首相は『なぜ私が女性にモテたのか、それは金を持っていたからだ』という言葉を残している。ドストエフスキーは『金、金とは鋳造された自由』と表現している。お金というものは圧倒的な存在感を持っている。お金がなくても幸せな人はいるが、お金があることによっていろいろなことができるようになる。人生の中で、お金と正面から向き合うことは重要なことである。アインシュタインは『宇宙で一番力の強い論理は金利の複利計算だ』と述べている」(竹中氏)金利の複利計算とはどういうことか? 例えば、資産を年7%の利回りで運用していったとすると、10年で資産は元の2倍になるということになる。「私たちは、1%でも所得を増やし、資産を1%でも高い利回りで運用することに対して、もっと真剣に考えなければならない。資産を金利で儲けるのは怠け者のすることだと、批判されることがあるが、日本はこれまでのように額に汗して働くのでは、発展途上国に勝てない状況になっている。これからは、額ではなく、脳に汗する仕事が大事になってくる。所得には、労働所得と資産所得の2通りがある。日本には1500兆円の資産があるはずなのに、それをうまく生かせていない。まず、労働所得で資産を貯め、それを運用して1%でも利回りを高くするよう考えなければいけない」(竹中氏)竹中氏によると、GDPに占める資産所得の割合は、アメリカは2割なのに対し、日本はアメリカの10分の1以下だという。その理由は「低金利だということ以上に、株式や投資信託を避け、銀行預金による資産運用だったからだ」と竹中氏は述べる。「2020年までにがんばれる基礎をつくれるかどうかで、その先の日本の未来が大きく変わるだろう。2020年までの5年間は、日本にとって非常に貴重なチャンスの時期。貪欲に考える期間にしてもらいたい」(竹中氏)●世界と日本の変化○世界の経済状況は?では、世界全体の経済状況はどうなっているのだろうか? 竹中氏は次のように解説した。「毎年1月末にスイスで開催されるダボス会議では、今年、非常に楽観的な雰囲気が支配していた。会議では、今年の成長率は去年よりも高まり、特にアメリカ経済が安定し、世界を引っ張っていくと予測された。しかし、これは基本シナリオであって、リスク要因についても挙げられた。それは、中東問題、新興国(特に中国)経済の減速、アメリカ金融政策の正常化である。まず、シリアからの難民問題やパリでのテロ、ベルギーの駅封鎖、ワシントン攻撃の懸念など、1つめの中東のリスク要因は顕在化している。また、中国株も6月12日をピークに株価が4割下がった。現在中国は世界で2番目に大きな輸入大国であり、その中で日本は2番目に輸入をしてもらっている状況。つまり、中国の経済状況によって、日本は大きく影響を受けることになる」(竹中氏)竹中氏は続けて中国経済について次のように言及した。「どうして世界の歴史の中で、イギリスが最初に産業革命が起きたのか? それは、Rule of the law(ルール・オブ・ザ・ロー)、すなわち法の支配を最初に確立したから。法の支配とは、自分ががんばって稼いだお金は自分で自由にできるということ、すなわち自分の権利が守られているということ。この法の支配があるから、安心して経済活動に取り組める。中国の最大の課題は法の支配が確立していないことだ。中国は、今回の株価の低下は乗り越えるだろうが、今後5~10年のタームでみると、必ず成長率を落としてくるだろう」(竹中氏)竹中氏は「これからはどの国の経済もイノベーションを起こさないとやっていけない時代。イノベーションが起こせるかどうかで変わってくる」と話す。「イノベーションは自由が保証され、権利が確立されている社会で生まれる」と、竹中氏は経済学者のシュンペーターの言葉を引用した。「世界はいま、ものすごく動いている。その中でしっかりと稼いでいかないといけないが、私たち日本人は日本のことを誤解している面がある。その誤解を指摘しておきたい」(竹中氏)○日本の未来は?竹中氏は、日本に関する4つの誤解について、次のように指摘した。「日本は経済的に豊かな国」という誤解「日本における一人あたりのGDPは世界で20番目くらい。これは先進諸国30カ国の中だとBクラス。ルクセンブルクやノルウェーなどと比べるとGDPは半分以下である。これは、決して豊かだとは言えない」(竹中氏)「日本は大量の借金をしている」という誤解「日本は大量の借金は背負っていない。ギリシャは外国に借金をしているが、日本は政府が国民に借金をしている。例えるならば、旦那さんが奥さんに借金をしているような状況」(竹中氏)「日本人はよく働く」という誤解「日本の製造業の労働時間は、アメリカと同じくらい。韓国と比べると3割くらい低い。統計に表れないサービス残業もあるだろうが、思い込んでいるほど世界の中で働いているわけではない」(竹中氏)「日本人はもっと消費をすべき」という誤解「日本人はもっと消費をすべきだというのはうそ。昨年、家計の貯蓄率はマイナスとなっており、これは予想通り低くなったと言える。人口が高齢化すると、貯蓄率は低くなる。消費が進まないのは財布が小さいから。つまり、稼げなくなってきているからということ」(竹中氏)では、どうすれば稼ぐ力をつけられるのだろうか?「稼ぐ力をつけるには、マーケットで競争力を持たなければいけない。その方法はただ一つ、競争すること。競争しないと競争力はつかない。アベノミクスの支柱とされているTPPによって、たくさんの競争力のあるものが輸出入できるようになる。そして、この競争を高めるために必要なことが規制緩和だ」TPP以外にも、日本では徐々に変化が起きている。「これまで日本の農業は、企業が参入できないことから輸出もできず、IT投資も遅れているといった状況だった。これは医療の分野でも言える。日本では過去36年間、新しい医学部は一つもつくられていない。それが36年ぶりに成田空港の近くにできることになった。また、インフラの運営権を民間に売る動きもある。東日本大震災で津波の被害にあった仙台空港は、地域開発の拠点として、東急建設と前田建設に運営が任されることになった。関西空港も、オリックスとフランスのヴァンシが第一交渉権者として確定している。これは、世界でも注目されているコンセッションだ」(竹中氏)最後に、竹中氏は次のように語って、講演を締めくくった。「日本に来る外国人観光客は昨年1300万人だったのに対し、今年は1900万人を超えると言われている。さまざまなチャンスの最後の決め手が2020年のオリンピック・パラリンピックだ。今アジアには中間所得層が5億人いて、2020年には17.5億人になると予測されている。新幹線ができたのは、当時のオリンピックが発展途上国型のオリンピックだったからであるが、今回は違うだろう。一体何が生み出されてくるのか、それは政治家にもジャーナリストにも学者にもわからない。それを経済の中で皆さんが手探りで探していくことが重要なのではないだろうか。過去と他人は変えられないけれど、未来と自分は変えられる。それを肝に銘じて、皆さん自身の人生を考えてもらいたい」(竹中氏)
2015年12月22日こんにちは、ぽこひろです。以前、ハウコレで「目指せ客モテ!男子が「常連以上」になりたくなる女子店員の特徴・5選」という記事を紹介しました。そして今回は、その好評を受け、さらに、「カフェ編に絞ってもう一回やってほしい」というサイバー攻撃かと思うほどの大量のご要望にお応えしさっそくやっていきたいと思います。休日などにカフェに行くのが好きという20代男子50人に聞いてみました。全国のカフェ店員さん、必見でありんす!■1.本の話が好き「カフェって、やっぱり本好きが多いと思うの。だから、俺が読んでる本とかに対して、『それ、我孫子武丸ですか!? 私も大好きなんです!』って食いついてきたら最高だよね。てか、お願いだから食いついてほしい」(大学生/22歳)あくまでイメージですが、カフェはお客もお店の人も、本が好きそうですよね。これをキッカケに仲良くなろうと狙っている男子は少なくないかもしれません。見かけたら是非、興味を持ってあげましょう。ドストエフスキーやサルトルなど、いかにもカッコつけな感じだと、また少し微妙ですけどね・・・・・・。■2.俺にだけ懐っこい「基本静かで黙ってる感じの子が、俺にだけ親しげに接してくれるとすごく嬉しいよね。年が近かったりってのもあるかもしれないけど」(フリーター/26歳)カフェに限らずですが、こういった特別感は効果的です。1みたいに本を取っ掛かりとして仲良くなったあとに、これができたら最高ですね。■3.近くに住んでるっぽい「シフトが終わるのが比較的遅かったり、休日も午前中から働いてたりすると、『この近所なのかなー』って思うよね。近くに住んでるって想像すると、なんか俄然興味が湧いてくる」(公務員/24歳)これはどういうわけか、男子としてはたしかにドキッときてしまうポイントかもしれません。「近くなんですー」と言うくらいは構わないと思いますが、具体的な家の場所は言わないほうが、万が一のためには安全かもしれません。ストーカーにならないといいのですけどね・・・・・・。■4.「本日のコーヒー」を熱く語る「ちょっとカフェでバイトするのって、軽い一種のステータスみたいになってるところあるじゃん?そういうミーハー的な子が多い中で、本当にコーヒーが大好きでカフェで働いてる子は、すごくいいよね。俺も純粋にコーヒーが好きで、カフェに通ってるし」(大学院生/25歳)チェーン店じゃない本格的なお店だと、スタンダードなメニューから、ラムを入れたコーヒーやミント入り、水出しなどなど世界各国のコーヒーがあり楽しいですよね。それを熱っぽくお客さんに語る姿は、とても魅力的に違いありません。せっかくカフェで働くんですから、見た目などにばかり気を遣わずに、コーヒーを極めたいですよね。■おわりにいかがでしたか?カフェのアルバイトというのは人気で、倍率もなかなかと聞きます。その難関をくぐり抜けたんですから、誇りをもってしっかりと仕事とモテを両立させてほしいところです。(ぽこひろ/ハウコレ)(伊東亜梨沙/モデル)(柳内良仁/カメラマン)
2015年07月01日昨年の第67回カンヌ国際映画祭にて「パルム・ドール」を受賞した『雪の轍(わだち)』が、まもなく6月27日(土)より日本公開される。本作の上映時間は、なんと3時間超。審査員長を務めていたジェーン・カンピオンは当初、「正直3時間16分という上映時間を聞いたときは、トイレ休憩が必要だわ、なんてことを考えながら、みんなで観ることを怖がっていた」と言う。だが、観賞後には「物語が始まった途端に魅了されてしまった。あと2時間は座って観ていられたでしょう!!」と絶賛。その結果、本作は見事「パルム・ドール」史上最長の上映時間の作品となった。3時間を超える映画と聞くと、確かに一瞬たじろいでしまうが、『風と共に去りぬ』『七人の侍』『シンドラーのリスト』、そして最近では『愛のむきだし』など、3時間を超える名作は数え切れない。さらに、アカデミー賞で最多11部門を受賞している3作品、『ベン・ハー』『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』はいずれも3時間以上の大作ばかり。ラストまで観客の集中力を途切れさせることなく、ドラマを描く監督の演出力があるからこそ成立する“長尺映画”は、映画体験の真骨頂ともいえるのだ。トルコが誇る巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイランによる本作『雪の轍』は、カッパドキアの洞窟ホテル・オセロを舞台に、ホテルのオーナーとして暮らす元舞台俳優のアイドゥンと、若く美しい妻、そして妹との愛憎、さらにアイドゥンが思わぬ形で恨みを買ってしまったある一家との不和を描く、濃厚な人間ドラマ。文豪チェーホフの著作をもとに、シェイクスピア、シューベルト、ニーチェ、さらにドストエフスキーなどといった数々の名作のモチーフが散りばめられている。「美しく、長い物語は、徐々に抽象性を失い、骨の髄にこたえるものになっていく」(ソー・フィルム)、「その長さに怖気づいてはならない。これは雄大な映画なのだ」(TF1ニュース)と、海外メディアも長さを一つの特長として紹介し、「こんな大胆な、無謀な映画作りがあるのかとあきれながら、3時間16分の大作を身を乗り出して見た」(作家・池澤夏樹)、「あきるところがない。画面の美しさ、凄さにも堪能」(作家・阿刀田高)、「主人公の心の鎧を溶かすには、3時間もの長尺の物語が必要だったのだ」(ロシア文学者・浦雅春)と、日本の著名人からも絶賛の声が寄せられている。世界各国、時代を超えて、映画ファンに愛され続けている3時間越えの名作たち。ちなみに、ギネス記録の長尺映画は1987年にアメリカで製作された『The Cure for Insomnia』。上映時間は5,220分、87時間!俳優による自作の詩の朗読で、初演は同年の1月31日~2月3日まで、3泊4日かかったという。『雪の轍(わだち)』は6月27日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年06月19日第67回カンヌ国際映画祭にてパルム・ドール大賞受賞した『雪の轍(わだち)』の本ビジュアルが、このたび解禁となった。カッパドキアに佇むホテル・オセロ。若く美しい妻と、離婚で戻ってきた妹と暮らす元舞台役者のアイドゥン。オーナーとして悠々自適に暮らす毎日だが、冬の訪れによって閉ざされいくホテルの中で、それぞれの内面が次第に明らかになっていく。さらに、アイドゥンへの家賃を滞納する一家との不和が彼を悩ませる。妻と妹、気の置けない友人、そして相容れない隣人との終わりのない会話をつづけながら、アイドゥンは人を赦すこと、愛することの意味と自らの人生に思いを馳せていく。凍てつく大地の雪解けを待ちながら―。過去に、カンヌ国際映画祭コンペティション部門にてグランプリを2回と監督賞を受賞した、トルコが誇る巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン。昨年の第67回カンヌ国際映画祭にて、満を持してのパルム・ドール大賞受賞した監督作『雪の轍(わだち)』が、初の日本公開作品として6月27日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開する。本作は、カッパドキアの洞窟ホテルを舞台に、今は裕福なホテルのオーナーとして暮らす元舞台俳優のアイドゥンと、若く美しい妻、そして妹との愛憎、さらに主人公が思わぬ形で恨みを買ってしまったある一家との不和を描く。彼らの住むカッパドキアに冬が訪れるとともに、取り残された彼らの鬱屈した内面が静かに明らかになっていく、濃厚な人間ドラマだ。ストレートな言葉で感情をぶつけ合う登場人物たちには、そこはかとない滑稽さも漂い、さらに「人間であること」を考えさせられる、見応えのある作品となっている。さらに本作の大きな特徴は、文豪チェーホフの著作をはじめ、シェイクスピア、シューベルト、ニーチェ、さらにドストエフスキーなどといった数々の名作のモチーフがちりばめられているところだ。劇中にはドストエフスキーの「白痴」を想起させるシーンや、主人公たちの交わされる会話にロシア文学を代表する文豪トルストイやドイツの哲学者ニーチェの言葉が用いられたりと、細部に至るまであらゆる名作へのオマージュが感じられる。カンヌ国際映画祭では審査員長を務めたジェーン・カンピオン監督は「知的で洗練された、素晴らしい作品。あまりに引き込まれて3時間の映画であることを忘れてしまった!」と絶賛。濃厚な世界観と人の心をえぐる展開、そして圧倒的な映像美によって紡がれる3時間16分に、世界的なメディアから賛辞が送られ、見事最高賞のパルム・ドール大賞を受賞した。世界の名だたる戯曲、音楽、哲学の要素が、3時間16分という長さに凝縮された、今まで体感したことのない極上の見応えに仕上がった本作。鑑賞後、誰もが圧倒されるという極上の映画体験を楽しみに待とう。『雪の轍(わだち)』は、6月27日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月08日米BOX OFFICE MOJOは12月26日~12月28日の全米週末興業成績を発表した。『ロード・オブ・ザ・リング』前日譚“ホビット”シリーズ最新作『ホビット 決戦のゆくえ』が2週連続トップ。累計興行収入1億6,852万2,000ドルと堅調に業績を伸ばしている。2位はアンジェリーナ・ジョリー監督第2作目となる『Unbroken(原題)』が初登場。第二次世界大戦で旧日本軍の捕虜となった米兵の実話を映画化した。ジャック・オコネルが主人公を演じている他、準主役の残忍な看守役を歌手の雅-MIYAVI-が演じていることでも話題だが、日本兵による残虐な虐待シーンが物議を醸し、日本での公開は未定だ。3位も初登場の『イントゥ・ザ・ウッズ』。1987年初演のブロードウェイミュージカルを『シカゴ 』、『NINE』のロブ・マーシャルが映画化。シンデレラ、ラプンツェル、赤ずきんなどのおとぎ話の主人公たちのその後をディズニーが描いた作品。魔女をメリル・ストリープが演じる他、ジョニー・デップ、エミリー・ブラントら実力と人気も兼ね備えた豪華キャストの出演にも注目が集まる。その他、マーク・ウォールバーグが大減量してギャンブルに溺れる大学教授を演じた、『The Gambler(原題)』が7位に初登場。ドストエフスキー原作の『熱い賭け/ザ・ギャンブラー』(1974)のリメイク作にあたる。第二次世界大戦時、解読不可能と言われたドイツ軍の暗号“エニグマ”の解読に挑んだ英国人数学者の数奇な運命を描いた『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』が前週16位から8位に公開5週目で初のトップ10入りを果たした。主演は今や押しも押されもせぬ人気俳優、ベネディクト・カンバーバッチ。
2014年12月30日文豪ドストエフスキーの小説を原作とし、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグが一人二役の難役に挑んだ『嗤う分身』。第26回東京国際映画祭で大きな話題をさらった本作が、ついに11月8日(土)より全国で公開される。このたびシネマカフェでは、本作でヒロインを演じたミア・ワシコウスカのインタビュー映像を独占入手!本作での共演をきっかけに交際を始めたジェシーの魅力を堂々と語る、ミアの貴重な姿をお届けする。内気で存在感の薄いサイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)は、会社の上司や同僚にもバカにされるサエない存在。コピー係のハナ(ミア・ワシコウスカ)に恋をしているが、話しかけることもできない。そんなある日、サイモンとまったく同じ容姿を持つ新人ジェームズ(ジェシーの二役)が入社してくる。容姿は同じだが、性格は正反対の2人。しかもジェームズは、女性にモテモテの男だった。サイモンは次第にジェームズのペースに翻弄され、やがて思いもよらぬ事態へと飲み込まれていく――。ドストエフスキーの隠れた名作を、見事に映画化した本作。メガホンを握ったのは、新世代の鬼才として注目される英国出身のリチャード・アイオアディだ。主演は、本作で自身初の一人二役という難役に挑んだジェシー・アイゼンバーグ。そして、同じ容姿の2人の男の間で揺れ動くヒロインを、『アリス・イン・ワンダーランド』の若き実力派ミア・ワシコウスカが好演。孤独を抱え、どこか掴みどころのない可憐な存在感で、物語に華を添えた。また、製作総指揮にはイギリスの名優マイケル・ケインが名を連ねているだけでなく、劇中歌に日本の60年代昭和歌謡(坂本九、「ジャッキー吉川&ブルーコメッツ」)が挿入されるなど、意外なコラボも実現。レトロで奇妙なディストピア世界を舞台に、もう一人の“自分”の出現によってすべてを狂わされていく男の顛末を、ダークユーモアとロマンスたっぷりに描いている。このたび公開されたミアのインタビューでは、容姿は同じでも性格が真逆な2人の男を相手に演技したことを始め、本作への出演のきっかけが『スプリング・ブレイカーズ』の監督ハーモニー・コリンだったことを明かし、また、本作をきっかけに交際を始めたジェシーのことを「俳優として大好きだった」と共演前から気になる存在だったことを笑顔で語るなど、非常に貴重な映像となっている。今後も、デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『マップ・トゥ・ザ・スターズ』や『アリス・イン・ワンダーランド』続編など、個性的な役柄が続くミア。さらなる活躍が期待される彼女の素顔を、こちらからご覧あれ。『嗤う分身』は11月8日(土)よりシネマライズほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:嗤う分身 2014年11月8日よりシネマライズほか全国にて公開(C) Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013
2014年11月04日ケータイ、スマホ、電子書籍端末などでも小説が読める時代になりました。文字だけで私たちを楽しませてくれる「小説」は最もお手軽で、しかし深みもあるエンターテインメントではないでしょうか。今までにあなたを感動させた小説はありますか?その小説は何でしょうか? マイナビニュース会員に聞いてみました。調査期間:2012/10/25~2012/10/28アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数 916件(ウェブログイン式)■あなたは今までに読んで感動した小説はありますか?はい232人25.3%いいえ684人74.7%まず「感動した小説があるか」を聞いてみました。約25%、1/4が小説で感動した経験があるとのこと。一番感動させてくれた小説は何か、またどんな点に感動したかを聞きました。結果、票が大変に割れました。一番票数を集めた小説でも6票でした。小説に関しては好みが非常に分かれるようです。代表的な意見と共にご紹介します。●『ノルウェイの森』著者:村上春樹別れようと思っていた恋人となぜかやり直してもいいかなと思ったきっかけになった。(京都府/女性/29歳)同回答が合計6人。今やノーベル文学賞の本命となっている村上春樹さんの代表作。ファンが多い作品として知られています。●『西の魔女が死んだ』著者:梨木香歩子供向けの小説ながら奥が深く、主人公とおばあちゃんの言葉が心に響くから。(栃木県/女性/28歳)同回答が合計6人。日本児童文学者協会新人賞を受賞しています。児童文学の新しい傑作です。●『塩狩峠』著者:三浦綾子利己的に生きるのではなく、利他的に生きるところ。(東京都/男性/29歳)同回答は合計5人。実際に起こった鉄道事故を元に、クリスチャンである三浦綾子さんが「自己犠牲」をテーマに描いた古典的な名作です。●『いま、会いにゆきます』著者:市川拓司純粋で温かい物語だったところ。(兵庫県/女性/27歳)同回答は合計5人。メディアミックス展開で大成功を収めた小説。映画は2004年に公開されています。●『手紙』著者:東野圭吾人間同士の温かいきずなに触れた。(東京都/男性/42歳)同回答は合計4人。毎日新聞に連載され、単行本になるや第129回直木賞候補になったベストセラー。●『容疑者Xの献身』著者:東野圭吾見返りを求めない、こんなに深い愛があるものかと感動しました。(広島県/女性/29歳)同回答は合計4人。ミステリー小説です。映画化もされて大々的に宣伝されたので、読んでなくても知っている人が多いのでは。それにしても東野圭吾さんの小説は人気がありますね。●『白夜行』著者:東野圭吾読んだ後の余韻を残すうまさ。(大阪府/女性/30歳)同回答は合計4人。これまたベストセラーになった東野圭吾さんのミステリー。2006年にはテレビドラマ化。2011年には映画化されました。●『恋空』著者:美嘉まだ若い自分が好きな人をおいて死んでしまう。(富山県/男性/31歳)同回答は合計3人。元はケータイ小説で、美嘉さんのデビュー作でもあります。2006年に書籍化されてベストセラーになりました。●『星の王子様』著者:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ読んでいて純粋な気持ちになった。(大阪府/女性/23歳)同回答は合計3人。児童文学史に残る永遠の名作。大人になってから読むと、また別の感動が心に広がります。●『アルジャーノンに花束を』著者:ダニエル・キイス人間にとっての幸せってなんだろうと考えさせられるところ。(栃木県/男性/39歳)同回答は合計3人。SF小説の傑作です。映画化された際の邦題『まごころを君に』は、あの『エヴァンゲリオン』に引用されています。●『罪と罰』著者:フョードル・ドストエフスキー主人公が殺人を犯してもその男を愛した女が彼の送られるシベリアまでついて行って彼をずっと見守っていたところ。(熊本県/男性/29歳)同回答は合計3人。長いことでも有名なロシア文学の古典です。ロシア文学は登場人物の名前を覚えるのも大変なんです。長いので。●『おおつごもり』著者:樋口一葉人間の業を見事に描いているから。それも24歳の女性の作品であるから。(東京都/男性/45歳)樋口一葉と言えば今や5千円札の人。彼女は夭折しましたが偉大な文学者でした。今読んでみるとみずみずしい筆致に驚かされます。●宮部みゆきさんの小説全般人物描写の匠(たくみ)さと、目に浮かぶような情景描写のテクニックには嫉妬(しっと)心さえ浮かびます。(東京都/男性/37歳)宮部みゆき作品で「これ」という票をたくさん集めたものは残念ながらありませんでした。しかし、「全部好き」という回答がこの人以外にも。さすがベストセラー作家ですね。熱い支持者がいます。この記事を読んでいるあなたが感動した小説は何でしょうか?(高橋モータース@dcp)
2013年01月13日ロシアの純文学を代表する文豪・ドストエフスキー。彼の最高傑作と称される「カラマーゾフの兄弟」が市原隼人、斎藤工、林遣都をメインキャストに迎え、フジテレビの土曜ドラマ(通称・土ドラ)にて初のドラマ化が決定した。物語は、“父殺し”という究極の罪。容疑をかけられたのは、血の繋がった息子たち。ミステリーの鍵は、追いつめられ変容していく彼らの心の機微に、掲げた哲学に、せめぎ合う会話の中に浮かんでは沈む。父親が象徴するものは、理不尽な現代、のさばる体制…。その混沌の中、人間の底なしのエゴと強欲が描かれる。原作とは異なり、日本が舞台となるドラマ「カラマーゾフの兄弟」。市原さん、斎藤さん、林さんの3人が物語の中心となる黒澤家の3兄弟を演じる。主人公となる次男・黒澤勲を演じるのは、フジテレビ系ドラマでの主演は「WATER BOYS 2」以来8年ぶりとなる市原さん。勲は、一流大学の法学部・法科大学院を卒業したクールな若手弁護士という表の顔と、サイコ小説を書き精神のバランスを保っている危険な香りを放つ2面性をもった難役だ。そして、勲と同様に父殺しの容疑をかけられる残りの2人、失業中でヒモのような生活をしているいい加減な長男・満役に斎藤さん、精神科医を目指す医大生の三男・涼役に林さんがそれぞれ扮する。今回の決定を受け、市原さんは「小説家の代名詞とも言われるドストエフスキーの作品に携われることを心より感謝しています。今作は、サスペンスと共に3人の兄弟やその父親、登場人物一人一人の“考え方”“心理”“振る舞い”を大切にして、道理や常識の枠にはまりきらない世界観を楽しんでいただければ」とやる気満々といった様子。それぞれに全く性格の違う3兄弟が、果たしてどんなアンサンブルを見せてくれるのだろうか?実力派俳優が織りなす重厚なサスペンス劇に目が離せない。ドラマ「カラマーゾフの兄弟」は2013年1月12日(土)から毎週土曜日23時10分よりフジテレビにて放送スタート。公式サイト:www.fujitv.co.jp/brothers_karamazov/
2012年11月27日WOWOWの連続ドラマW「罪と罰 A Falsified Romance」の制作発表会見が4月11日(水)、東京・銀座の時事通信ホールで行われ、主演の高良健吾と共演の水川あさみが出席した。文豪・ドストエフスキーの名作をモチーフに、現代社会の闇に切り込む硬派な題材に「大変だった」と口を揃えるが、それでも「この2人だからこその“ぶつかり合い”ができた」(高良さん)、「現場を引っ張ってくれた。私より年下ですが、すごく尊敬している」(水川さん)。深い信頼関係があったからこそ、苦難を乗り越えたと誇らしげな様子だった。ロシア文学の古典を現代の日本に置き換え翻案したコミック「罪と罰 A Falsified Romance」(双葉社刊)を今回、実写ドラマ化した本作。高良さん演じる引きこもりの青年・裁弥勒(たちみろく)が独自の思想にかられ、女子高生殺害を決行するが、事態は思わぬ展開を見せ、弥勒本人も窮地に立たされる。水川さんが事件後、追い詰められる弥勒と出会い、その運命を大きく変える悲運のヒロイン・飴屋英知香を演じる。高良さんにとっては、今回が初の連続ドラマ主演。「こんなに濃い撮影期間はなかった。役柄と同じくらい追い込まれたが、現場が一緒に悩んでくれたし、『これはすごいドラマになるんじゃないか』といういままでにない異様な雰囲気だった」とふり返り、「これが(連ドラ)初主演で本当に良かった」と手応えは十分だ。一方、水川さんは“不幸中毒”とも言える英知香役に「何を考えているか本当に理解できない。決して素敵な女性とは言いがたい」と役づくりに苦心した様子。「体当たりと言えば聞こえはいいですけど(笑)、もう『やるしかないな』って。とにかく、むき出しの感情でしか成立しないと思った」と女優魂をぶつけた。2人はすでに共演経験があり、プライベートでも「何回か仲間内で飲みに行ったことがある」のだとか。撮影前には、高良さんが「これ、どうなるかな」、「不安でしょうがない」といった相談メールを水川さんに送っていたそうで、劇中さながらの“支えあう”関係性が構築されていたことを明かした。いざ撮影が始まると「高良くんの演技に対するエネルギーが、現場に満ち溢れていた」(水川さん)。追い込まれたからこそ、俳優としての本領を発揮した高良さんと水川さんの“新境地”が、「罪と罰 A Falsified Romance」の大きな見せ場となりそうだ。連続ドラマW「罪と罰 A Falsified Romance」は、WOWOWプライムで4月29日(日)より毎週日曜22:00~放送(全6話/第1話は無料放送)。■関連作品:苦役列車 2012年7月14日より全国にて公開© 2012「苦役列車」製作委員会横道世之介 2013年、全国にて公開■関連記事:吉田修一×沖田修一『横道世之介』、綾野剛ら注目俳優の出演決定!『蛇にピアス』コンビ復活!高良健吾&吉高由里子で吉田修一の青春小説を映画化岩井俊二×北川悦吏子によるラブストーリーも東映、多彩なラインナップを発表麻里子さま、前田敦子と大島優子を馬に例えると…?AKB48・前田敦子、芥川賞受賞の文学映画にヒロイン役で参加決定!
2012年04月11日今年は"墓ブーム"が来るのだろうか。先日、インターネットサービスプロバイダのニフティ株式会社が運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」にて、『お墓日和 vol.1~墓マイラーたちと美墓デザインの世界~』というイベントが開催された。その後、TVや新聞でも取り上げられ、"墓"および"墓マイラー"が注目されはじめている。"墓マイラー"とは、世界各地の著名人のお墓を巡る人たちのことを指す。今回、このお墓イベントには、こだわりのデザイン墓石を集めた本・『美墓』(幻冬舎)のスタッフが集めたえりすぐりの墓マイラーたちが出演した。それぞれが熱い墓トークを繰り広げたイベントの後、一部の出演者の方々に、なぜ今お墓なのか・お墓の何に引かれるのか等、思いの丈を語っていただいた。■お話を伺った墓マイラー・チェコから来た墓マイラーのホリー・ペトルさん(駐日チェコ共和国大使館一等書記官・チェコセンター東京所長)・あきやま みみこさん(『著名人のお墓を歩く』著者)・カジポン・マルコ・残月さん(WEB『文芸ジャンキー・パラダイス』管理人)――まず、皆さんはどのようなきっかけで墓マイラーになったのでしょうか?ホリー・ペトルさん(以下、ホリー)「昔からの習慣ですね。ヨーロッパでは、親族以外の有名人のお墓にお参りするのは普通のことなんです。ヨーロッパの女性の中には、有名人の墓参りをして、墓石にキスをする人もいますよ」あきやまみみこさん(以下、あきやま)「私は、人に誘われて雑司ヶ谷霊園に行ったのが最初です。もともとカメラが趣味で、雑司ヶ谷霊園に行ってからは、散歩しながらお墓の写真を撮るようになって……200~300くらいは行きましたね」カジポン・マルコ・残月さん(以下、カジポン)「僕はですね……長くなりますよ?(笑)19歳のときに、10代で一番お世話になった人にお礼を言いに行こうと思って。当時の僕にとって、最大の恩人はドストエフスキーでした。将来にも片思いにもすべてに行き詰まって泥沼状態だったのですが、『罪と罰』を読んで救われたんです。なんとか一言でもスパシーバ(ありがとう)と言いたい。そしてお墓に行ったら……心にアート・サンダーが落ちたんですよ!全身が感電したんです!分かります!?今まで教科書や本でしか見たことのないドストエフスキーが、実際に生きていたからこそ、今ここに墓があるんだ!って。それなら、シェイクスピア、バッハ、ゴッホ、手塚先生、恩人全員にお礼を伝えなきゃ、と。もうそこからが僕のお墓人生の始まりで……稼いだお金、全部墓参りに消えましたよ!(笑)」――……ハイテンションなカジポンさんですが、今までに1,316名もの著名人のお墓を参られたそうですね?カジポン「もう、行かないと、人生が前に進まないんですよ!例えば、こんなにチャップリンの映画に感動したのに、お墓に行かないでいいの!?って。『こんなにすてきな作品をありがとうございます』って感謝を伝えに行くんです」――で、19歳から今までずっと、芸術作品への感動を伝えに、墓参りを続けているわけですね。カジポン「ええ、もう19~42歳まで、かれこれ23年間です。23年前にドストエフスキーのお墓の前で頭がショートしてから治ってないんですよ。もう出家したようなもんです(笑)」――ショートですか(笑)皆さん、今までに頭がショートするくらいこれは良かった!というお墓はありますか?ホリー「高尾霊園にある寺山修司さんのお墓ですね。行ったのが天気の悪い日で、みぞれだったんです。その天気の悪さが、寺山さんの雰囲気とバッチリ合っていてとてもすてきでした。竹久夢二さんのも好きですね。小さくてかわいらしいお墓で」あきやま「私は、衝撃だったのは岡本太郎さんですかね。岡本さんの代表的な作品の形をしているお墓で。見つけた瞬間思わず、ワーッって駆け寄っちゃいました(笑)」カジポン「僕は断然、ダニー・ケイです。なんと墓石の形が長椅子!座ってくれと!そして背もたれに、彼が好きだったものがいっぱい彫ってあるんです。サイッコーですよ!」――(ダニー・ケイのお墓を見ながら)ほー、確かにこれはあまり見たことはない墓です。――ところで、お墓、そして墓参りのよさってなんでしょうか?ホリー「すでに亡くなった方のことを知ることができる。故人の研究をするときに、お墓はその人のことを知る資料として優れているんですよ。著名人であれば、墓石の裏にその人の歴史が書かれていることもありますからね」あきやま「私も、時を越えてその人と会える点が魅力だと思います。同じ時代に生きた人ではなくても、その人と会うことができる……いえ、実際に会えるわけではないですが、墓石の前に立つと、気持ちが対面しますから」カジポン「僕は先ほども言ったようにお礼を言いに行くわけですが、芸術家などの墓参りをすると、墓石が言うわけですよ、『おれの作品に感動したんだろ?じゃあ、生きてる人間ともコミュニケーションとれるじゃないか』と。そこが魅力です」――最後に、墓ブーム来ると思いますか?ホリー「ぜひ来てほしいですね。ブームになったら『なんでお墓なんか見に行くの?』って周りにけげんな顔をされなくなりますし(笑)」あきやま「墓参りをする人(=墓マイラー)が増えるかどうかは分かりませんが、お墓に興味を持つ人は増えると思います。自分のお墓をどういうものにしよう、と真剣に考える人が多くなるかと」カジポン「うーん、墓ブームが来る来ると10年前から言われてるんですが、今度こそ来てほしいですね!」墓マイラーの皆さんの、お墓への真剣な思いに頭が下がりっぱなしだった今回の取材。今まで、墓地の前を通るときは、何かに取りつかれそうな気がしてそそくさと通りすぎていた自分の低俗さときたら。「お墓は怖いものじゃないんです」(ホリーさん)というように、もっと身近な存在として考えてもいいのかもしれない。手始めに、近所の墓地に親しみを持つことからはじめてみようと思う。(朝井麻由美/プレスラボ)【関連リンク】占い、ユーレイ、それとも宇宙人? あなたがひそかに信じてるものは?お墓にユーレイいないといいなぁ……。霊感ゼロだけど仏道に入りたいのですが、どうしたらいいですか?出家への道は厳しいです心霊研究家に聞く、心霊スポットで絶対にやってはいけない三つのこと霊が眠る場所へ行く際には慎重に行動してください
2010年04月10日前回「読書の秋だけど……。あなたが読めなかった分厚い本は?」で、惜しくも途中で挫折してしまった名作エピソードをご紹介しました。『罪と罰』(フョードル・ドストエフスキー)や『雪国』(川端康成)などなど……、20代読者たちからたくさんのエピソードが集まり、大いに盛り上がりました。(たぶん)。今回は調子に乗って「読めなかった本」シリーズ第2弾「マンガ本」編をお送りします!「たかがマンガ」と侮るなかれ。集まったコメントを読んで、あなたも「これ、途中で挫折してた!」と思い出すことになるかも……?■『X(エックス)』(CLAMP)「CLAMP(=女性4人からなる創作集団)作品が好きで、世紀末というテーマにドキドキしながら読んでいました。ところが、月刊誌だった関係上、連載スピードが遅く、最終回より先に、現代が世紀末を無事に迎えてしまうという結果に。ラストを知ってしまったような気がして、読むのをやめました」(26歳/出版)こちらは映画にもなった、人気作品。『X』だけに、テーマソングをX JAPANが担当していたことをよく覚えています。そういえばこの作品、現在休載中なんだそうですよ。読み直すなら、今?■『ベルセルク』(三浦建太郎)「当時、つき合っていた彼氏が夢中で読んでいて、『彼氏の好きな物を知りたい!』という気持ちからチャレンジ。ですが、彼氏と別れたタイミングで読むのをやめました。正直、話が前後しすぎてわかりづらい!」(25歳/webデザイナー)私の友人はこの作品について「最終回を迎えるには、惜しい作品」と賞しておりました。とはいえ、最終回までの道のりはまだまだあるようですが。■『デスノート』(大場つぐみ、小畑健)「ちょうど友だちが『すごくおもしろい!』と騒いでいた時期に読み始めたものの……。なかなかみんなが騒いでいる段階に追いつかず、挫折。心もいっしょに折れた感じがしました」(24歳/税理士)「デスノート」というと、映画化・アニメ化され、いっときブームにまでなったマンガ。はやりから一歩遅れてスタートするのって、勇気がいるんですよね。あと、根気も。■『天使禁猟区』(由貴香織里)「キレイな絵が好きで読んでいましたが、あまりにも話がややこしすぎるのと登場人物が多すぎることに疲れ、ドロップアウト。マンガって、絵がキレイなだけじゃだめなんですね……」(29歳/公務員)いくら絵がキレイでも、ストーリーがよくなければ台無し!?厳しいです、マンガの世界。■『ブラックジャック』(手塚治虫)「オムニバス形式で読みやすく、毎回『おもしろい!』と思って読んでいました。ところが『どうせおもしろいんでしょ……』と思うようになり、読まなくなってしまいました。だって、どうせどこから読んでもおもしろいし、患者は助かるし」(28歳/ライター)あの手塚治虫作品を途中で挫折してしまうだなんて!おもしろすぎるのも、ときとして挫折の原因になってしまうのですね。マンガで挫折するということは、てっきりストーリー展開が遅すぎるとか、話が長く続きすぎているという理由が多いとばかり思っていましたが、そうでもない様子。あなたが途中で挫折してしまったマンガは、いくつある?(吉住夏樹/プレスラボ)【関連リンク】読書の秋だけど……。あなたが読めなかった分厚い本は?「読めなかった」シリーズ第1弾が、こちら!モテたい男子必見!モテワザ満載の少女漫画3冊!このなかに、最後まで読めなかったマンガは入っていますか?大人になっても"We Love漫画!"COBS世代のバイブルコミックとは?さすがに……このなかにはないですよねぇ?
2009年10月03日秋といえば、読書の秋。「ちょっと、名作と呼ばれる本でも読もうかなぁ」なんて考えている読者も居るかもしれません。「そんな読者たちのために名作をご紹介」といきたいところですが…、そこはコブス横丁。そうは問屋が卸しません!ここではあえて20代の世代たちが果敢に挑戦し、惜しくも途中で挫折してしまった名作エピソードをご紹介と思います。■「罪と罰」(フョードル・ドストエフスキー)「主人公を含め登場人物たちの名前を覚えられず、ギブアップ。ストーリーも、誰が誰なんだかわからないままで、よく覚えていません」(26歳/webデザイナー)主人公の名前は「ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ」、ヒロインの名前は「ソーフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ」。しかも、名前が長いだけでなく、呼び方が途中で変わるらしいですよ。そりゃ大変。■「万延元年のフットボール」(大江健三郎)「読み始めて、3~4ページくらいで本を閉じました。内容も文章も非常に難解で…、たぶん、もう読まないと思います」(28歳/編集)この人は、「大江健三郎の何が面白いのか1 mmも分からない」とさんざんなことを言っておられました。ノーベル賞は、その難解さ故のもの!?■「モモ」(ミヒャエル・エンデ)「小学生のころ、友だちみんなが『おもしろかった!』というのでトライ。『読みたい!』というテンションがどうも続かず。第1章まで読み、やめました」(25歳/薬剤師)ありますよね、本を読むために必要なテンションて。もしかすると、今なら読破できるかも?■「ソフィーの世界」(ヨースタイン・ゴルデル)「読みすすめている途中でテレビかなにかで結末を知ってしまい、読むのをやめてしまいました。結末、本で知りたかったなぁ」(28歳/ライター)『あなたはだれ?』、『世界はどこからきた?』の答えを、本以外で知ってしまうという結末。■「雪国」(川端康成)「かの有名な『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった』という一文を読んで勝手に満足してしまい、そこから先は読みすすめていません。じつをいうと、いまだにストーリーを知りません」それって、書き出しの一文じゃないですか!もしかして、1ページから先へ読みすすめていない…?いくら心に響くといわれる名作といえど、「読みづらい」、「わからない」となると、ただの苦行に。上記の意見を参考に、今年の秋は何とか読破できそうな名作を選びたいと思います!(吉住夏樹/プレスラボ)【関連リンク】実はビジネスマン必須スポット?最先端の図書館事情!図書館へ行って、名作たちへリベンジだ!今一番売れている!?『間違いやすい漢字』著者に聞いた!活字にはこんな間違い、ございます大人になっても“We Love漫画!”COBS世代のバイブルコミックとは?今度、マンガ挫折エピソードについても聞いてみたい
2009年08月14日