ヴィム・ヴェンダース監督作『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』が、6月21日(金)より全国順次公開されることが決定。日本版ポスタービジュアルが解禁された。本作は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。監督は、『PERFECT DAYS』(23)で第76回カンヌ国際映画祭主演俳優賞(役所広司)を受賞し、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたことも記憶に新しい、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。『パリ、テキサス』(84)、『ベルリン・天使の詩』(87)、『ミリオンダラー・ホテル』(00)などの劇映画だけでなく、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(11)、『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』(14)などドキュメンタリーも手掛け、世界各国から高い評価を受けている。アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する、戦後ドイツを代表する芸術家。1991年、高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞。ヴェンダース監督と同じ、1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。1971年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは、戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。製作期間には2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」とヴェンダース監督は語る。キャストには、アンゼルム・キーファー本人のほか、自身の青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の息子、アントン・ヴェンダースが務めている。本作は『PERFECT DAYS』が出品された第76回カンヌ国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督作品として2作同時にプレミア上映された。この度解禁となった日本版ポスタービジュアルは、作品の1つである巨大な塔の中に佇むアンゼルム・キーファーの後ろ姿を映し出したもの。中央のキャッチコピー「圧倒的な没入感」とある通り、目の前に巨大で立体的な芸術品が迫りくるような迫力ある3D映像を、ぜひ劇場で確かめてほしい。さらに併せて、アンゼルムの手掛けた作品の一部が捉えられた場面写真も解禁。また、2025年3月下旬から6月下旬まで、世界遺産・二条城でアンゼルム・キーファーの大規模個展が開催されることも決定している。『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』は6月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて順次公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家 2024年6月21日より TOHO シネマズ日比谷ほか全国順次公開© 2023, Road Movies, All rights reserved.
2024年03月08日ヴィム・ヴェンダース監督の『Anselm』(原題)が『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』の邦題で6月21日(金)に公開されることが決定し、日本版ポスタービジュアルと場面写真2点が解禁された。本作は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が主演俳優賞を受賞、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたことも記憶に新しい『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダースが監督を務める。『パリ、テキサス』、『ベルリン・天使の詩』などの劇映画だけでなく、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』、『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』などドキュメンタリーも手掛け、世界各国から高い評価を受けている。アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する戦後ドイツを代表する芸術家で、1991年には高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞。ヴェンダース監督と同じ1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。1971年からはフランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。ヴェンダース監督は映画の制作期間に2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」と監督が語るように、従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像で再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。キャストには、アンゼルム・キーファー本人のほか、自身の青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の息子、アントン・ヴェンダースが務めている。本作は『PERFECT DAYS』が出品された第76回カンヌ国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督作品として2作同時にプレミア上映されたほか、昨年の第36回東京国際映画祭でも上映された。今回解禁となった日本版ポスタービジュアルは、作品のひとつである巨大な塔の中に佇むアンゼルム・キーファーの後ろ姿を映し出したもの。中央のキャッチコピー「圧倒的な没入感」とある通り、目の前に巨大で立体的な芸術品が迫りくるような迫力ある3D映像に期待が高まる。併せて解禁となった場面写真は、アンゼルムの手掛けた作品の一部を捉えたものとなっている。また、2025年3月下旬から6月下旬まで、世界遺産・二条城でアンゼルム・キーファーの大規模個展が開催されることも決定している。『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』6/21(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開公式サイト()監督:ヴィム・ヴェンダースエグゼクティブプロデューサー:ジェレミー・トーマス撮影:フランツ・ルスティグステレオグラファー:セバスチャンクレイマー編集:マクシーン・ゲディケ作曲:レオナルド・キュスナー出演:アンゼルム・キーファー/ダニエル・キーファー/アントン・ヴェンダース2023年/ドイツ/93分/1.50:1/ドイツ語・英語原題:Anselmカラー・B&W/5.1ch/3D&2D字幕:吉川美奈子配給:アンプラグド(C)2023, Road Movies, All rights reserved.
2024年03月08日ヴィム・ヴェンダース、ホウ・シャオシェン、アッバス・キアロスタミ、ソフィア・コッポラなど、世界中の映画監督が“東京”を舞台に撮影した作品を集めた特集上映「映画に愛される街、TOKYO! ―アート・キッチュ・エキゾチズム―」が3月16日(土)から3月29日(金)まで、渋谷の映画館・ユーロスペースにて開催決定。特集上映の予告編とポスタービジュアルも到着した。本企画は作品上映やトークセッションを通じて【東京/TOKYO】の多様な魅力を紐解き、観客や次代の作家たちの感受性を刺激することを意図した令和初の試み。あらゆるものを貪欲に取り込み、常に進化を続け、多様性を体現してきたこの街は国内外の多くの映画作家たちをいまも変わらず惹きつけている。『東京画 2K レストア版』© Wim Wenders Stiftung 2014上映作品には古今東西、ジャンルを問わず、バラエティーに富んだ映画が集結。ヴィム・ヴェンダースが小津安二郎の東京を探し歩く『東京画』、ファッションデザイナー・山本耀司の仕事を追った『都市とモードのビデオノート』をはじめ、イランの巨匠アッバス・キアロスタミが現代を舞台に日本人の俳優・スタッフを起用した『ライク・サムワン・イン・ラブ』。『ライク・サムワン・イン・ラブ』©mk2/Eurospace近未来の東京で暮らすトルコ人家族を描いた日本初公開のサスペンス・スリラー『IGUANA TOKYO ーイグアナ トウキョウー』(カアン・ミュジデジ監督)に加え、スペシャル・スクリーニング『あなたの東京、わたしの東京』(ホームムービー特別上映会)として、家族の記録、地元のお祭り、散歩の風景など、地域や家庭に眠っていた8mmや16mmフィルムのホームムービーを上映。商業映画とはまた異なる、市井の作家の私的な視点が捉えた東京の記憶が、観る者に語りかける。<上映作品一覧>『IGUANA TOKYO ーイグアナ トウキョウー』カアン・ミュジデジ監督『TOKYO EYES』ジャン=ピエール・リモザン監督『TOKYO!』ミシェル・ゴンドリー監督/レオス・カラックス監督/ポン・ジュノ監督『ライク・サムワン・イン・ラブ』アッバス・キアロスタミ監督『ロスト・イン・トランスレーション』ソフィア・コッポラ監督『書かれた顔 4Kレストア版』ダニエル・シュミット監督『神々の山嶺 』パトリック・インバート監督『都市とモードのビデオノート 4Kレストア版』ヴィム・ヴェンダース監督『東京画 2Kレストア版』ヴィム・ヴェンダース監督『二郎は鮨の夢を見る』デビッド・ゲルブ監督『不思議なクミコ』クリス・マルケル監督『珈琲時光』ホウ・シャオシェン監督スペシャル・スクリーニング『あなたの東京、わたしの東京』(ホームムービー特別上映会)ポスタービジュアルは音楽、書籍、雑誌のイラストをはじめ漫画家やアニメーターとしても活躍するイラストレーターのサヌキナオヤ氏の描き下ろしで制作、木々が生い茂る公園に光が差し込んでいる様子が描かれている。今回の特集上映はスクリーンの外の東京の街並みと、スクリーンの中の【東京/TOKYO】が地続きにあるような、自らの街に対する認識が拡張されるような体験を提供できる唯一無二の機会に。『TOKYO!』ミシェル・ゴンドリー監督「インテリア・デザイン」©2008 「TOKYO!」世界中の映画監督たちの映画の中で【東京/TOKYO】がどのような背景や被写体であったかを改めて見つめ直し、感じ取ることは、この街の魅力を再発見し、あるいは問い直すことに繋がるだろう。『珈琲時光』「映画に愛される街、TOKYO! ―アート・キッチュ・エキゾチズム―」は3月16日(土)~ 29日(金)ユーロスペースにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:TOKYO! 2008年8月16日より渋谷シネマライズ、シネ・リーブル池袋ほか全国にて順次公開ライク・サムワン・イン・ラブ 2012年9月、渋谷・ユーロスペースにて公開二郎は鮨の夢を見る 2013年2月2日よりヒューマントラストシネマ有楽町、 ユーロスペースほか全国にて公開© 2011 Sushi Movie,LLC神々の山嶺 2022年7月8日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© Le Sommet des Dieux - 2021 / Julianne Films / Folivari / Mélusine Productions / France 3 Cinéma / Aura Cinéma書かれた顔 4Kレストア版 2023年3月11日よりユーロスペースほか全国にて公開1995 T&C FILM AG / EURO SPACE
2024年02月22日現代ドイツを代表する映画監督・写真家であるヴィム・ヴェンダースの展覧会『ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし』が、3月2日(土) まで東京・N&A Art SITEで開催されている。本展では、ヴェンダースが「究極のロードムービー」と称する『夢の涯てまでも』のクライマックスシーンから生み出された、鮮烈な色彩の電子絵画作品「Electronic Paintings」に加え、『パリ、テキサス』ロケ時にヴェンダースが撮影し、写真家としての才能を知らしめたアメリカ中西部の風景写真「Written in the west」シリーズが展示される。また「恵比寿映像祭2024『月へ行く30の方法/30 Ways to Go to the Moon』」の地域連携プログラムの一環として、2月20日(火) から3月1日(金)(2月26日、2月29日を除く)、3月20日(水・祝) の10日間にかけて『夢の涯てまでも ディレクターズカット 4Kレストア版』が東京都写真美術館で上映されるほか、本展に関するドキュメンタリー映像上映・トークイベントが行われる予定だ。<開催概要>『ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし / Wim Wenders’s Lucid Gaze』2月1日(木) ~3月2日(土) 東京・N&A Art SITE※日曜・月曜・祝日は休館公式サイト:
2024年02月07日ヴィム・ヴェンダース監督による、東京を舞台にした『PERFECT DAYS』は、企画が勝利した映画ともいえる。プロデューサーとして世界的監督を口説き、共に脚本を手がけた高崎卓馬さんが語る、完成までの旅の軌跡。巨匠ヴィム・ヴェンダース最新作は“木漏れ日のような映画”『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、映画史に残るような作品を撮り続けている、ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダース。東京を舞台に撮影され、主演の役所広司さんが第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことでも注目を浴びている、最新作『PERFECT DAYS』がいよいよ公開を迎える。本作の種となったのが、渋谷区にある17か所の公共トイレを世界的な建築家やクリエイターがリニューアルする「THE TOKYO TOILET」というプロジェクト。発案者であるファーストリテイリング取締役の柳井康治さんが、高崎卓馬さんに相談を持ちかけたのが、長い旅の始まりだ。「いいトイレを作ったもののメンテナンスが大変で、みんなが大事に使うようになるにはどうすればいいだろう、という相談でした。かつて渋谷系と呼ばれたミュージシャンに曲を作ってもらう案から派生して、架空の映画のサウンドトラックにしたら面白いんじゃないかという話になって。そしたら柳井さんが、それなら本当に映画を作らないかと言い出したんです。存在しない映画のサントラだから、企画として面白いのに…」映画を作るのは簡単なことではないが、一度浮かんだアイデアに対する高揚感のほうが勝ってしまった。さらに監督候補に挙がったヴェンダースを、ふたりとも敬愛していたことが決め手となった。「ドキュメンタリーとフィクション、どちらも撮っている彼だからこそできる表現があると思ったので、“あなたじゃないとダメなんです”というラブレターを書きました。もし断りの手紙が来たとしても、それを額に入れて飾ってやるぞと思っていましたね(笑)」主人公の平山という男は、渋谷のトイレの清掃員で、押上の古いアパートに一人で暮らしている。早朝、近所の老女が掃除する竹ぼうきの音で目を覚まし、風変わりなデザインのトイレを隅々まで磨き上げ、文庫本を読みながら寝落ちするまで、傍からは同じことを繰り返す日々に見える。高崎さんは監督と共に、平山の人物像を立体的に作り上げていった。「どこで何を撮るのか、シナリオハンティングのためにヴィムが日本に来たとき、主人公の暮らしぶりや好きなものを、一問一答形式で質問攻めにされました。実際に街を歩いて撮影場所を探したりもしたのですが、最終日に『男の暮らしはわかったが、シナリオはどこにもない』と言われて焦りました。それでこの1週間、彼と話したり見たりしたことを思い出し、日本には“木漏れ日”という言葉があると伝えました。男の人生は木のように動かず、毎日変わらないけど少しずつ成長している。そんななかある出来事が起きて木が揺れ、木漏れ日を作るのだと」撮影期間は16日間。高崎さんがまず驚いたのは、主演の役所さんの変化だった。「現場に入ってきたときの顔が明らかに違ったんです。時間をかけてシナリオを読み込み、書かれていない部分を想像して、平山のことをずっと考えていたのでしょうが、細胞を入れ替えたのかと思うくらい別人になっていましたね」撮影現場でのヴェンダース監督の様子については、「懐の大きな映画の先生だった」と振り返る。「もっとアーティストらしく、感情に任せて撮るのかなと想像していたのですが、プロデューサー的でもあって、僕らの意見にも耳を傾けてチームを回していく人でした。彼は“マスターショット”と呼んでいたのですが、各シーンの最も大事な構図を考えて現場に臨んでいて、それが毎回とにかく美しく、真横で感動していました」完成した映画には日本に暮らす私たちがよく知る光景が映し出されているものの、ここではないどこかのような不思議な余韻を残す。「シナリオを作っているとき、ヴィムにどういうテーマなのか聞いたら、そういうことを考えちゃダメだって言われたんです。それが言葉にできるのだったら、映画を作る必要はない。映画でしか捕まえられないものにしないといけないんだって。作り終わってやっぱり思うのは、みんなが同じ感想でなくてもいいということ。絵や写真と一緒で、今日観て気づくこともあれば、1週間後、あるいは10年後に観て気づくこともある。しかも何かを感じることに正解も間違いもないのが、映画の一番いいところ。そういう作品になったかな、という気はしています」『PERFECT DAYS』トイレ清掃員として働きながら、音楽や本、休日に通う居酒屋、仕事の合間に見上げる木漏れ日などに喜びを感じている平山。ある日、思いがけない人が現れ、彼の心が揺れ動く。フィクションをドキュメントのように追う手法で、観終わったら“平山さん”に会いに行きたくなるはず。監督/ヴィム・ヴェンダース脚本/ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬出演/役所広司、中野有紗、柄本時生、アオイヤマダ、田中泯、三浦友和ほか12月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。©2023 MASTER MIND Ltd.たかさき・たくまクリエイティブディレクター、小説家。電通グループ グロース・オフィサー。JR東日本「行くぜ、東北」など数々の広告キャンペーンを手がけ、2度のクリエイター・オブ・ザ・イヤーなど国内外の受賞多数。著書に小説『オートリバース』(中央公論新社)、絵本『まっくろ』(講談社)など。※『anan』2023年12月27日号より。写真・中島慶子取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2023年12月22日12月22日(金) から公開される映画『PERFECT DAYS』より、ヴィム・ヴェンダース監督のインタビュー映像が公開された。『PERFECT DAYS』は、『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたヴェンダース監督が役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた作品だ。ヴェンダース監督が、日本の公共トイレのなかに「small sanctuaries of peace and dignity」(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いだ本作は、第76回カンヌ国際映画祭で役所が最優秀男優賞を受賞。また、第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第60回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待され、米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表選出も決定した。今回公開されたロングインタビューは映画の制作直後にヴェンダース監督のオフィスにて収録。当初15分程度を予定していたインタビューは徐々に熱を帯び、映画がどのように生まれたか、シナリオづくりのときに何をイメージしていたか、一緒に制作していたチームにも演じる役所広司にも伝えなかった思いを語った。1時間半にも及んだインタビューは、共同脚本の高崎卓馬がテーマごとにまとめ、6本の映像に。今回の動画は「観客自身を、平山にする」というテーマでまとめられたインタビューとなっている。なお、公式サイトでは12月22日(金) にロングインタビュー全6本を掲載予定。さらに、主人公平山の「映画にはならなかった日々」の353日をDAYS OF HIRAYAMAというオリジナルコンテンツとして公開。触れるたびに表情を変える不思議な 『スクロール・ブック』と合わせて、主人公平山の世界を存分に感じることができるサイトとなっている。ヴィム・ヴェンダース監督 インタビュー映像<作品情報>『PERFECT DAYS』12月22日(金) 公開公式サイト: MASTER MIND Ltd.
2023年12月11日『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダース監督による短編映画『Some Body Comes Into the Light』が第36回東京国際映画祭にてワールドプレミア上映されることが決定した。本作は、役所広司主演の最新作『PERFECT DAYS』に出演する田中泯との奇跡のコラボレーションで生み出された短編映画で、『PERFECT DAYS』撮影最終日に日本で撮影されたもの。しかしあまりに鮮烈なその映像は引力があり、本編のなかにはおさまりきれなかったのだという。カンヌ国際映画祭の後、ヴェンダース監督はあの映像を一つの作品にすることを思い付き、『ピナ踊り続けるいのち』やヴェンダース財団などでヴィム・ヴェンダース監督とも創作をともにしている世界的に活躍する音楽家、三宅純氏の音楽と出会い、より美しく神秘的な作品として完成。美しい時と光の揺らぎ。言葉のない、唯一無二の物語となっている。本作は東京国際映画祭期間中に4回の上映を予定。ヴェンダース監督のもうひとつの新作、戦後ドイツを代表する画家、アンセルム・キーファーの美しきドキュメント『ANSELM』、そして第73回ベルリン国際映画祭にて最優秀脚本賞(銀熊賞)を受賞した『MUSIC』との併映となる。また、『MUSIC』との併映、丸の内TOEIでは、田中泯、高崎卓馬(映画『PERDECT DAYS』脚本・プロデュース)、三宅純(音楽)による舞台挨拶も実施される。【ヴィム・ヴェンダース監督 コメント】田中泯とは何年も前に出会い、彼の踊りを観たこともある。親しくしていた友人のピナ・バウシュにとって彼は偉大なヒーローで、大きなリスペクトとともによく話しを聞かせてくれました。だから、私たちの映画『PERFECT DAYS』で小さな役を演じることを泯さんが引き受けてくれたときは、本当に胸が踊りました。でもその一方で、不安を覚えました。泯さんの才能を見せるのに十分な時間が映画のなかに本当にあるだろうか、この映画で彼の存在を本当にうまく表現できるのだろうか、そう自分を疑ったのです。ほとんどの人からは「見えない」が、主人公の平山にとっては確実に存在する「ただの」ホームレスという小さな役を演じているとき、泯さんはかなり落ち着いていた。私はそれで心強い気持ちとともに、この役を大切にしようと心に誓いました。なのに撮影が終わりにさしかかった頃、再び同じ疑念がわいたのです。泯さんの大いなる才能を思えば、まだ存分に描ききれていないと感じたのです。撮影の最終日、この日は主役の役所広司さんは不在で、いつもであれば足りない街の実景の撮影に充てるのですが、私はその半日を泯さんの撮影に使いたいと皆に言いました。撮影スタジオを用意して、撮影のフランツ・ラスティグが本物の木をたくさん用意して、泯さんのパフォーマンスを余すところなく撮影しました。彼と木々のみで、他にセットは一切なく、ただ光と影だけでした。大きな木漏れ日のなかの田中泯、と言えるかもしれません。映画のなかの夢のシーンで、この映像をふんだんに使えるという期待がありましたがそれでも結局、泯さんの登場は少ないままでした。私は突然に(カンヌ映画祭の受賞式の最中に)思いついたことを、良き友であり脚本を一緒につくった高崎卓馬氏に話しました。『PERFECT DAYS』のためにまだやり残したことがある、泯さんのあの踊りの映像の完全版を編集することだ、と。それがついに完成して、この作品を、そしてあの映画のホームレスの存在が、平山だけでなく世界中のたくさんの人々の目に触れる。そのことをとても誇りに思います。泯さん、あなたは私が今まで出会った人の中でも、極めて素晴らしい人です!ヴィム・ヴェンダース『Some Body Comes Into the Light』は10月26日(木)より丸の内TOEIほか、第36回東京国際映画祭にて上映。『PERFECT DAYS』は12月22日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年10月09日ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』が、第96回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品として出品されることが分かった。日本映画製作者連盟が発表した。7名の選考員が、8作品の中から選出したという。近年、同部門に出品された作品には早川千絵監督の『PLAN 75』、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』、河瀬直美監督の『朝が来る』などがある。海外メディアも報じており、「The Hollywood Reporter」は「日本からこの部門に、日本人以外の監督が手掛けた作品が出品されるのは初めて」と報じている。ヴェンダース監督は『パリ、テキサス』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などの名作を世に送り出してきた映画界の巨匠。主演の役所広司は今年のカンヌ国際映画祭で、日本人俳優としては『誰も知らない』の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞する快挙を成し遂げた。また、本作は同映画祭でエキュメニカル賞も受賞した。監督はドイツ人だがキャストは日本人で言語も日本語。役所さんのほか、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和、田中泯が出演している。『PERFECT DAYS』は、10月23日から11月1日に開催される第36回東京国際映画祭のオープニング作品に決定しており、ヴェンダース監督がコンペティション部門の審査員長を務めることも明らかになっている。日本公開は12月22日。(賀来比呂美)■関連作品:PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月05日役所広司が第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した、ヴィム・ヴェンダース監督作『PERFECT DAYS』が12月22日(金)より公開されることが決定した。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきた名匠ヴィム・ヴェンダースが、長年リスペクトしてやまない役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた本作。日本の公共トイレのなかにsmall sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いだ。全国公開のメイン館となるTOHOシネマズ シャンテは、1988年にヴェンダース監督の『ベルリン・天使の詩』が30週にもわたるロングラン上映で大ヒットを記録した記念すべき映画館。10月23日(月)より開催される第36回東京国際映画祭の審査委員長としてヴィム・ヴェンダース監督が来日することが決定しており、それに併せて、10月24日(火)より特別先行上映も行われる予定だ。『PERFECT DAYS』は12月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国。(シネマカフェ編集部)■関連作品:PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年08月30日10月23日(月)~11月1日(水)に開催される第36回東京国際映画祭で、コンペティション部門の審査委員長をドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースが務めることが決定した。ヴィム・ヴェンダースは、『ことの次第』(1982)でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞するなど、キャリアを通じて世界中で多くの栄誉を受けてきた。『パリ、テキサス』(1984)でカンヌ国際映画祭パルムドール、『ベルリン・天使の詩』(1987)で同カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞し、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999)、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(2011)、『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』(2014)の3作品で米国アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門へのノミネートを果たした。また、親日家としても知られ、特に『東京物語』(1953)を観て魅せられたという小津安二郎監督への傾倒は深く、1985年には小津安二郎へのオマージュとしてドキュメンタリー映画『東京画』を製作し、高い評価を得た。東京・渋谷の公衆トイレのリノベーションを紹介したアートプロジェクトThe Tokyo Toiletの一部である最新作『パーフェクト・デイズ』(2023)は、日本の俳優である役所広司を主演に迎え、今年のカンヌ国際映画祭で同氏に最優秀男優賞をもたらした(ドイツ人アーティスト、アンセルム・キーファーのポートレイト映画『アンセルム』も同映画祭Special Screenings部門に選出)。同監督の東京国際映画祭への参加は1991年のクロージング作品『夢の涯てまでも』、1993年のヤングシネマコンペティション部門の審査委員長、2011年の『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』以来4回目の参加となる。また、小津安二郎監督特集も決定。今年で生誕120年となる、日本が世界に誇る巨匠の特集を小津ファンでもあるヴィム・ヴェンダース監督を迎える中で特集を組めることは内外の映画ファンにとっても大きな喜びとなるだろう。詳しい上映作品及びイベントに関しては、後日発表される予定だ。■コメントヴィム・ヴェンダース東京国際映画祭にまた戻ってこられることを嬉しく思います。以前の私の初めての審査委員長体験は本当に良い思い出しかなく、今でも当時の審査委員の人たちとは交流があり、お互いに「クローディーさん(プロデューサーのClaudie Ossard)」、「ポールさん(作家のPaul Auster)」、「ヴィムさん(監督ご本人)」と「さん」を付けて日本風に呼び合っています。今年の東京国際映画祭は私が敬愛する巨匠・小津安二郎監督の死後60年、生誕120年の記念すべき年に開催されるもので、そんな機会に参加できることは私にとっては特別なことです。東京国際映画祭チェアマン 安藤裕康昨年秋ヴィム・ヴェンダース監督が世界文化賞受賞のため訪日した際、親日家で知られる同監督に今年の審査委員長就任を打診したところ、前向きな反応を頂いて心強かった。そして今年、小津安二郎生誕120年の記念の年に、同監督を敬愛するヴィム・ヴェンダース監督に審査委員長をお引き受け頂くことになって、本当に有意義だと思う。また、同監督の最新作『パーフェクト・デイズ』に主演している役所広司さんが、この度のカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞されたとの素晴らしいニュースも喜ばしい限りだ。第36回東京国際映画祭は10月23日(月)~11月1日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアにて開催。(text:cinemacafe.net)
2023年06月12日ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースと役所広司がタッグを組み、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた長編映画『PERFECT DAYS』(原題/日本公開未定)が、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品。レッドカーペットや公式上映に監督やキャスト陣が登場した。数々の傑作を世に送り出し続けたヴィム・ヴェンダースが、日本の公共トイレのなかに「small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)」を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いだ本作。第76回カンヌ国際映画祭、開催10日目となる5月25日、晴れやかな日差しに迎えられ、15時半頃、『PERFECT DAYS』のコンペティション上映を直後に控えたヴィム・ヴェンダース監督、主演の役所広司、中野有紗、アオイヤマダ、田中泯がレッドカーペットに登場した。大きな声援を受け、ゆっくりとレッドカーペットを進むと、劇中で使用されている楽曲Lou Reedの「Perfect Day」がかかり、監督が思わず踊りだす場面も。レッドカーペットの前に実施された取材では、「編集ではみんなの顔を見ていたけど、カンヌで実際に会うことができてとても嬉しい」と顔をほころばせていた監督。役所さんについて聞かれると「彼の作品は、かなりの数を見た」という。「警官としても侍としても素晴らしい、なんという役者なんだと思っていた。役所さんと仕事するのは夢のようでした」と役所さんへの思いを明かす。また、「この作品にはスピリチュアルなレベルがあって、みなそれを感じてくれていた」とキャスト陣への厚い信頼も明かした。一方、役所さんがヴェンダース監督から学んだことについて話題が及ぶと、「常に楽しそうにしていたので、その姿勢がキャストを励まし、大きな演出になっていた」という。役所さん演じる主人公・平山の姪を演じた中野さんは「本当にありのままのわたしとキャラクターを重ねて演じるような環境をヴィムが整えてくださったので、自然に演じることができた」と回顧、ホームレスを演じた田中さんは「映像にとらえたものは全部その場でやったもの。わたしはスピリットそのものです」と明かし、アオイさんは「ヴィムさんも、役所さんも周りを引き立ててくれる人だなと思った」と語った。公式上映は、2,300人以上を収容できるパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレにて満員の観客の中、開催。会場に監督とキャストが現れると、観客は総立ちで迎え、約5分間におよび拍手が鳴りつづけ、上映開始前から期待の大きさを感じさせる。そして2時間5分の上映が終了するや否や、会場は一気に熱を帯び、観客は一斉に立ち上がって約10分に渡るスタンディングオベーションが起こった。感激につつまれる監督を役所さん、中野さん、アオイさん、田中さんが優しくつつみこみ、映画同様、あたたかく感動的な上映となった。熱気はそのままに、キャストのみ上映後の囲み取材を実施。熱いスタンディングオベーションを受けた気持ちについて聞かれると、役所さんは「みなさん褒めるの上手ですよね(笑)」と謙遜し照れつつも「監督が言ってたんですけど、褒められても自分がうまいと思わないで、けなされても自分がダメだと思わないで、映画で語りなさい。と。まさにそうだなと。でも今日みたいな暖かい拍手を受けて、ああお客さんが喜んでくれてるんだ。良かったな。と単純に思いました」と顔をほころばせた。中野さんは「どういう反応がくるのかなと不安だったけど、きっと感じるものがあるんじゃないかという望みはありました。スタンディングオベーションで拍手と喝采を感じた時にそれが確信に変わりました」とコメント。ベテランの田中さんは「映像のお仕事で(スタンディングオベーションを受けたのは)初めてです。嬉しいというよりも『役所さん、やったね!!』という気持ちで、抱きつきたかったです」と、主演の役所さんを気遣った。最後にアオイさんは「役所さんが爆発するわけでも、変身するわけでもない映画なんですが、日常の幸せ、平和の象徴が描かれた映画が評価された、ということがとても嬉しく思いました」と締めくくった。『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンド監督がコンペティション部門の審査員長を務めている、今回のカンヌ国際映画祭。カンヌの常連であるヴェンダース監督が、日本を舞台にした本作で計21作品の中から最高賞となるパルム・ドールを狙う。主演男優賞はじめ各賞が発表となるのは、現地時間5月27日(土)となっている。(text:cinemacafe.net)
2023年05月26日ドイツを代表する映画監督のヴィム・ヴェンダースが5月11日、都内で行われた「THE TOKYO TOILET Art Project with Wim Wenders」記者発表会見に出席した。2020年から東京・渋谷区内17ヶ所の公共トイレを、建築家やクリエイターが改修するプロジェクトに賛同し“トイレを舞台にしたアートフィルム”を製作することになり、主人公のトイレ清掃員を演じる役所広司とともに意気込みを語った。『ベルリン・天使の詩』『東京画』など、数々の名作で知られるヴェンダース監督は、本作のロケハンを行うため、約10年ぶりに来日。「なかなか東京に戻ってこられず、ホームシック状態だった」と明かし、「社会的に意義があるプロジェクトに参加し、都市の特別な場所である“トイレ”について、自由に物語を紡ぎだせるのは、すばらしいこと」と期待のコメント。「貧富の差も、年齢の違いもなく、人類がひとりの人間になれるのがトイレ。英語ではrestroomといいますが、文字通り“心休まる”場所であり、美しくメンテナンスをするのは、世界にも真似してほしい日本的コンセプトだと思う」とプロジェクトの重要性を説いていた。オファーを快諾したもう1つの理由は、役所の存在だといい「ご出演した『Shall We ダンス?』『バベル』など10数本観ていますが、どんな役柄を演じても、そこに必ず役所さんご本人がいらっしゃる。今回ご一緒するのは、なぜ自分がそこまで惹かれるのか理由を知るためでもあるんです」と早くも期待感。「私は好きじゃない俳優とは仕事しませんし」と語ると、役所は「この作品で嫌われないように頑張りたい」と背筋を伸ばした。その役所は「ヴェンダース監督の作品ですからね。断る俳優はいないんじゃないかと思う」と興奮しきり。「俳優になって40年、頑張ってこの業界にしがみついてきて良かった(笑)。すばらしいご褒美をいただいた気がします」と喜びを明かし、「世界中の皆さんに、日本や日本人というものを理解してもらえる物語になれば。とても美しい物語になる予感がしました」と意気込んだ。ヴェンダース監督とは、役柄についても言葉を交わしたそうで「きっと主人公は単に仕事で清掃しているだけではないと思う。撮影しながら、作品を仕上げていく感覚でしょうし、日々いろんなことが起こると思うので、何とかついていきたい」と抱負を語った。現在はヴェンダース監督による都内のロケハンとともに、シナリオの構想が練られている段階だといい、公開時期やフォーマット、タイトルなどは未定となっている。取材・文・写真=内田涼
2022年05月11日現代ドイツを代表する映画監督、ヴィム・ヴェンダースの名作10作品が最新リマスター版で劇場に舞い降りる国内初の大規模特集上映「ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも」が開催、その予告編が解禁となった。ヴィム・ヴェンダースは、1945年8月14日、デュッセルドルフ生まれ。ニュー・ジャーマン・シネマの先駆者のひとりであり、現代ドイツを代表する映画監督であるほか、写真家としても活動している。ヴィム・ヴェンダース監督『ゴールキーパーの不安』(71)で長編映画デビュー。ロードムービー三部作となる『都会のアリス』(74)、『まわり道』(75)、『さすらい』(76)を発表し国際的な注目を浴びると、『パリ、テキサス』(84)でカンヌ国際映画祭パルム・ドール、『ベルリン・天使の詩』(87)で同監督賞、『ことの次第』(82)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、『ミリオンダラー・ホテル』(2000)ではベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞。近作に『世界の涯ての鼓動』『ローマ法王フランシスコ』(ともに18)などがある。彼の代名詞ともいえるのがロードムービー。かりそめの出会いと別れを繰り返す彼らの旅は、迂回し、迷い、目的を失い、ときに引き返す。移動のなかから物語は紡がれ、それが“映画”となっていく。初期ロードムービー三部作をはじめ、代表作の『パリ、テキサス』2Kレストア版、『ベルリン・天使の詩』4Kレストア版。さらに日本を題材にしたドキュメンタリー『東京画』2Kレストア版、キューバ音楽の巨人たちを追った『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』、さらに本邦初の劇場公開となる『夢の涯てまでも』のディレクターズカット4Kレストア版と、ヴェンダースの魅力が詰まった珠玉の10作品が監督自らの監修による最新マスターで一挙公開される。「ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも」は11月5日(金)~12月16日(木)、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次開催。(text:cinemacafe.net)
2021年10月15日映画監督ヴィム・ヴェンダースの大規模特集上映「ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも」が、2021年11月5日(金)から12月16日(木)まで、Bunkamura ル・シネマを皮切りに全国の劇場で順次開催される。ヴィム・ヴェンダースの大規模特集上映が全国で1971年に長編デビュー後、自信が定着させたロードムービー、そして独自の視点から切り込むドキュメンタリーの名手として、今なお世界で愛され続ける名作の数々を世に送り出しているヴィム・ヴェンダース。今回の特集上映では、全10本の作品を厳選し、監督自らが監修した最新のレストア版で上映する。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『都市とモードのビデオノート』など全10本上映作品は、代表作の一つとして多くの映画ファンに愛される『パリ、テキサス 2K レストア版』、ヴェンダースが敬愛する小津安二郎が描いた“東京”と、近代化した当時の東京の対比を描き出した『東京画 2K レストア版』、ファッションデザイナー・山本耀司の創造性に迫るドキュメンタリー『都市とモードのビデオノート 4K レストア版』など。ヴェンダースが新たに手を加え完成させた計287分のSF大作『夢の涯てまでも ディレクターズカット 4K レストア版』も、本邦初上映となる注目作の一つだ。初期ロードムービー3部作もこのほか、『都会のアリス 2K レストア版』、『まわり道 4K レストア版』、『さすらい 4K レストア版』の初期ロードムービー3部作、『ベルリン・天使の詩 4K レストア版』、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』と、ファン垂涎の作品群が揃っている。開催概要「ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも」開催期間:2021年11月5日(金)〜12月16日(木)会場:Bunkamura ル・シネマほか全国の劇場で順次<上映作品>『都会のアリス 2K レストア版』(1974/西ドイツ/モノクロ/スタンダード/112分) © Wim Wenders Stiftung 2014『まわり道 4K レストア版』(1975/西ドイツ/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/103分) © Wim Wenders Stiftung 2015『さすらい 4K レストア版』(1976/西ドイツ/モノクロ/ヨーロピアン・ビスタ/175分) © Wim Wenders Stiftung 2014『アメリカの友人 4K レストア版』(1977/西ドイツ・フランス/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/126分) © Wim Wenders Stiftung 2014『パリ、テキサス 2K レストア版』(1984/西ドイツ・フランス/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/148分) © Wim Wenders Stiftung 2014『東京画 2K レストア版』(1985/西ドイツ・アメリカ/カラー/スタンダード/92分) © Wim Wenders Stiftung 2014『ベルリン・天使の詩 4K レストア版』(1987/西ドイツ・フランス/パートカラー/ヨーロピアン・ビスタ/128分)© Wim Wenders Stiftung – Argos Films『都市とモードのビデオノート 4K レストア版』(1989/西ドイツ・フランス/カラー/スタンダード/81分) © Wim Wenders Stiftung 2014『夢の涯てまでも ディレクターズカット 4K レストア版』(1994/ドイツ・フランス・オーストラリア/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/287分)© Wim Wenders Stiftung 2015『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999/ドイツ・アメリカ/カラー/ビスタ/105分) ©Wim Wenders Stiftung 2014
2021年08月21日ボンジュールレコード(bonjour records)から、ロンドンのブックストア「アイディア・ブックス(IDEA BOOKS)」と映画監督ヴィム・ヴェンダースのコラボレーションTシャツが登場。2020年5月22日(金)より、ボンジュールレコード 代官山店・福岡パルコ店、ジャドール ジュン オンライン、ZOZOTOWNで販売される。英国「アイディア・ブックス」とは「アイディア・ブックス」は、アンジェラ・ヒルとデイヴィッド・オーウェンによって設立されたロンドンが拠点のブックストア。インスタグラム上では35万人超のフォロワーを誇り、世界中からユニークな本を求めて訪れるファンも多い。「アイディア・ブックス」は、オンラインショップやドーバー ストリート マーケット ロンドンで古本の販売からスタートしたが、現在ではアラスデア・マクレラン、コリエ・ショアといった人気フォトグラファーやブランドとタッグを組んだ写真集なども展開。今回は、世界的な映画監督ヴィム・ヴェンダースとコラボレーションしたTシャツを発売する。ヴィム・ヴェンダースとコラボTシャツホワイトをベースにしたミニマルなシルエットのTシャツには、1984年のカンヌ国際映画祭にてパルム・ドールを獲得した、ヴィム・ヴェンダースを代表するロードムービー『パリ、テキサス』のロゴや、『ベルリン・天使の詩』、『都会のアリス』のワンシーンを切り取ったグラフィックをオン。また、ヴィム・ヴェンダースのフォトブックの中からセレクトした印象的な写真もあしらった。Tシャツの他には、『パリ、テキサス』をモチーフにしたフーディーやソックスも揃う。【詳細】「IDEA × WIM WENDERS」発売日:2020年5月22日(金)取扱場所:ボンジュールレコード 代官山店/福岡パルコ店、ジャドール ジュン オンライン、ZOZOTOWNアイテム例:・Tシャツ 7,150円(税込) サイズ:M/L/XL・フーディー 14,850円(税込) サイズ:M/L・ソックス 5,170円(税込) サイズ:フリー
2020年05月22日ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)は、2020-21年秋冬コレクションを発表した。ヴィム・ヴェンダース&ピナ・バウシュから着想今季は、ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースの作品と、同じくドイツの振付師・ダンサーのピナ・バウシュから着想を得ている。モンマルトル ニューヨーク(MONTMARTRE NEW YORK)とタッグを組んだグラフィカルなジャカードストールには、「Last Waltz」「Dance with Me」「Floating Emotions」といったワードが綴られており、ルックの所々に用いられることで、ヴィム・ヴェンダース、ピナ・バウシュ両名の世界観をサブリミナル的に連想させる役割を果たした。『ベルリン・天使の詩』を彷彿させるオーバーコートファーストルックで登場したのは、ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』で主人公の天使・ダミエルが羽織っていた重厚感のあるオーバーコートを彷彿させる、グレーのロングコート。ウエストにステッチでギャザーを寄せたパワーショルダーのコートは、緩急のあるフォルムながら、しなやかな生地の落ち感が手伝ってどこか静かな雰囲気をまとっている。アヴァンギャルドなパール度々散見されるのはパールの装飾だ。ジャケット、シャツの合わせや袖口の部分にボタンの代わりにあしらわれていたり、パンツの裾やグローブの指先、レザーシューズなどにアクセントとして用いられていたり。ヨシコ クリエーション(YOSHiKO CREATiON)が手がけたパールアクセサリーも随所に登場している。パールそのものの華やかさを生かしたまま、ジョン ローレンス サリバンらしくソリッドな方法で用いられることにより、パールがアヴァンギャルドな存在感を放っている。舞踊のように流動的なシルエットピナ・バウシュの舞踊のごとく、流動的で有機的なデザインを衣服に落とし込んでいるのも印象的だ。緩やかなドレープ感のワイドパンツは、たっぷりと生地を使った流れるようなシルエットが余韻を残す。レッドやベージュのチェスターコートには、ボタン付きのスリットを配し、ボタンを開けて着ると躍動感のあるフォルムに。オーバーサイズニットは、ラフに身に着けることで不均一なドレープを生み出している。ボンデージやライダースなどアナーキーなスタイルもフロントにボンデージストラップを配したパンツやジャケット、ノイジーな抽象柄のシャツなど、ジョン ローレンス サリバンのコアにあるインダストリアルミュージックやダーク・サブカルチャーなどからインスパイアされたディテールも見て取れる。鮮やかな赤1色のライダースジャケットにメッシュのカットソーを重ねた、アナーキーなルックも登場した。
2020年03月11日ジル・サンダー(JIL SANDER)が、映画監督ヴィム・ヴェンダースとコラボレーションした、2018年秋冬コレクションのシーズンムービー「TimePassing」を発表。ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻による初めてのジル・サンダー秋冬。そのシーズンムービーを手掛けるのは、2018年春夏コレクションのキャンペーンビジュアルに引き続き、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』や『アランフエスの麗しき日々』などを世に送り出してきた巨匠ヴィム・ヴェンダースだ。また今回は、彼の妻であるドナータ・ヴェンダースも制作に関わっている。3分間のショートフィルムとして完成したシーズンムービー「TimePassing」では、キャストたちが時間を行ったり来たり"タイムループ"するシナリオが展開される。2018年秋冬コレクションのキールックを纏った登場人物たちは、どこか非現実的なロケーションの中で、朝食を作ったり、身支度をしたり...とそれぞれの日常を過ごしている。同じ日常を繰り返しているだけのように見える人物たちだが、身に纏うピースは、彼らの感情を反映するかのように次々と変化していく。やがて、いままで交じり合うことの無かった2人が出会い...そこに何が生まれるのか?鑑賞者の想像力を掻き立て、物語に引き込む、印象的な仕上がりとなっている。なお、このシーズンムービーは、2018年9月10日(月)から9月17日(月)まで、東京・表参道駅構内で放映される。【問い合わせ先】オンワードグローバルファッションTEL:0120-919-256
2018年09月08日ジル・サンダー(JIL SANDER)は、映画監督ヴィム・ヴェンダースを迎え、2018年春夏コレクションのビジュアルを発表。2018年春夏、ルーシーとルーク・メイヤー夫妻を新クリエイティブ・ディレクターに迎え、新しいスタートダッシュをきった新生ジル・サンダー。会場を変え、メンズ・ウィメンズ合同で新作を披露するなど、従来のショー形式と変えた新しい形を模索する彼らが作り出すキャンペーンビジュアルは、コレクション同様に斬新さに満ちている。コレクション発表から数か月が経ち、公開となった2018年春夏コレクションのキャンペーンビジュアル。手掛けたのは、2017年12月に新作映画『アランフエスの麗しき日々』の公開を控える、ドイツ人映画監督ヴィム・ヴェンダースだ。ブランドにとって初めての映画監督とのコラボレーションである。撮影はヴィム・ヴェンダースの母国であるドイツで実施。首都ベルリンで収められたキャンペーンビジュアルには、湖の中から出てくるシュノーケルを付けた男性の姿と、それを遠くから見守る女性の姿を捉えられている。中央には、ジル・サンダーのロゴ、それと同様に大きな存在感を放つのが、右上に添えられた「一時停止」の記号だ。張り詰めた瞬間、その止まった時間と空間に置き去りにされて次に何が起こるのか?見ている人の好奇心を搔き立てる、印象的な仕上がりとなっている。12月には、ムービー全編が公開予定。公式サイトにて紹介される予定だ。
2017年12月01日ヴィム・ヴェンダース最新作、映画『アランフエスの麗しき日々』が2017年12月16日(土)より全国順次公開される。原作となる戯曲はペーター・ハントケの「アランフエスの麗しき日々 夏のダイアローグ」。名作『ゴールキーパーの不安』や脚本を手掛けた『ベルリン・天使の詩』などに続き5本目のコラボレーション作品となる。『アランフエスの麗しき日々』ではヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品。「生涯で初めて100%自分の思いのままに撮り上げた映画」とヴェンダースは語る。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、近年はドキュメンタリーの発表が目立ったヴェンダース。今回は、ほとんどキャストが登場せず、2人の男女の会話でストーリーが進んでいくユニークなスタイルで撮った。原作の副題に「夏の対話」と表現されているように、全編にわたり、女と男が織りなす対話で映画が構成されている。ある柔らかい風が吹く麗しい夏の日、目の前には広々とした平原が広がり、その遠くにはパリのシルエットが見える木陰のテラスというシュチュエーションだ。会話の内容とは次のようなもの・性的体験・子供時代・記憶・夏の本質・男と女の違い・女性的な視点と男性的な認識についてまるで決闘あるいはQ&Aゲームのように会話が交わされていくそう。なお、ヴェンダースにとって初のフランス語作品であることも見どころの1つと言える。『アランフエスの麗しき日々』あらすじ木々の間を吹き抜ける涼風が木漏れ日を揺らす夏の午後、小高い丘の上の一軒家。足下に広がる田園風景の遠くに、パリの街並みがおぼろげに見え、 庭の木陰に置かれたテーブルをはさんで座る一組の男女が、最初はためらいがちに、長い対話を始める。性的体験、子供時代の思い出、それぞれの記憶、夏の本質、男と女の違いについて...。ときにゲームのように激しく言葉が応酬し、ときに長いモノローグや間、静寂へと変容する。庭に向かって大きく開け放たれた扉の奥の書斎には、タイプライターを前に、作家がひとり、庭を見つめながら座っている...。作品情報映画『アランフエスの麗しき日々』公開日:2017年12月16(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開原題:Les BEAUX JOURS d’ARANJUEZ監督ヴィム・ヴェンダース監督・脚本:ヴィム・ヴェンダースキャスト:レダ・カテヴ、ソフィー・セミン、イェンス・ハルツ、ニック・ケイヴ原作:ペーター・ハントケ『アランフエスの麗しき日々 夏のダイアローグ』(論創社)製作年:2016年/製作国:フランス、ドイツ、ポルトガル言語:フランス語、ドイツ語、英語字幕翻訳:松岡葉子配給:オンリー・ハーツ
2017年06月23日ドキュメンタリー作品『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』で3Dの可能性を進化させた巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の7年振りの劇映画『誰のせいでもない』。このほど、11月12日(土)からの公開を前に、主演を務めたジェームズ・フランコがヴェンダース監督との仕事や豪華共演陣について、たっぷりと語るインタビュー動画がシネマカフェに到着した。舞台は、カナダ・ケベック州モントリオール郊外。作家のトマス(ジェームズ・フランコ)は恋人サラ(レイチェル・マクアダムス)と暮らしているが、仕事がうまくいかずその関係はぎこちない。ある大雪の日、車を走らせていたトマスは、目の前に飛び出してきた何かに驚き、急ブレーキをかける。そこには車の前で虚ろに座り込んでいる幼い少年がいた。幸い怪我もなく、ほっとしたトマスが彼を家まで送ると、母ケイト(シャルロット・ゲンズブール)は息子の姿を見て半狂乱になる…。トマス、恋人のサラ、編集者のアン(マリ=ジョゼ・クローズ)、そして少年の母ケイト。誰のせいでもない1つの事故が、1人の男と3人の女の人生を変えてしまうーー。本作は、ある雪の日に不可抗力で起こった交通事故をきっかけに、1人の男と3人の女の運命が変わっていく12年間を描いたドラマ。「人物の心の深い奥こそ3Dで語るにふさわしい」と語るヴェンダース監督が、俳優たちの表情や内面を、ロードムービーの名手らしく風景のランドスケープのように、かつ緊張感たっぷりに映し出している。今回到着したインタビュー動画からは、フランコが、ヴェンダースが作りあげようとする世界に対して入念な準備をした上で、ヴェンダースと現場で丁寧に作り上げていった様子が伺える。出演作は監督で決めるという彼は、ヴェンダースの作品だからこそ本作への出演を決め、かつ映画が描く物語にも関心があったと出演理由を語る。脚本を読み、ほかの多くの映画と比べて「原因と結果の描写が繊細」で「物語の展開が重要ではなく登場人物の人生を紹介するような作品」だと感じながら、監督が求めるトマス像をイメージして撮影に臨んだことを明かす。その結果、フランコは初日から監督の要求をすぐに理解し、また監督もフランコの演技について修正しなかったという。「彼の提案は全て気に入った」とフランコが言うように、彼の要求にはたいてい納得し、お互い理解できた上で撮影が進み、とてもテイク数が少ない現場だったとふり返っている。自身も映画監督でもあるフランコだからこそ、脚本からヴェンダースの意図を的確にすくい上げることができたのかもしれない。そのほか、映像では、彼が演じたトマスを取り巻く3人の女性のキャラクターとの関わりや、映画のテーマのひとつでもある“罪悪感”、またヴェンダースが挑戦した3Dについても言及。ヴェンダースとの出会いは、フランコにとって素晴らしいものになったのは間違いなさそうだ。『誰のせいでもない』は11月12日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月04日アリシア・ヴィキャンダルが、ヴィム・ヴェンダースの次回監督作『Submergence』への出演を交渉しているようだ。遠く離れた恋人たちが、ふたりの間の熱烈な恋愛を支えに生き続けるというロマンチックスリラー。男性の主役には、ジェームズ・マカヴォイが決まっている。撮影はヨーロッパとアフリカで行われる予定で、撮影開始は来年3月。その他の画像ヴィキャンデルは、今、急速に注目を集めているスウェーデンの女優。今年は主演作『エクス・マキナ(原題)』、『コードネームU.N.C.L.E.』、『リリーのすべて』が北米公開された。『リリーのすべて』では、さまざまなアワードへのノミネーションの可能性もありそうだ。また、マット・デイモン主演、ポール・グリーングラス監督による『ボーン』最新作への出演も決まっている。『コードネーム U.N.C.L.E.』公開中文:猿渡由紀
2015年12月01日ジェームズ・マカヴォイが、ヴィム・ヴェンダースの次回監督作『Submergence』に主演することがわかった。その他の情報原作は、2011年に出版された同名の小説。遠く離れた恋人たちが、生きるか死ぬかの状況に置かれる、ロマンチックスリラーだ。撮影は、来年3月にヨーロッパとアフリカで始まる。マカヴォイの次回公開作は、ダニエル・ラドクリフと共演する『Victor Frankenstein。』北米公開は今月25日。来年は『X-Men/ Apocalypse』が控える。ヴェンダースの最新作は、ドキュメンタリー映画『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』。現在撮影中の『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の続編では、プロデューサーを務めている。文:猿渡由紀
2015年11月04日ヴィム・ヴェンダースが『Buena Vista Social Club: Adios』の製作総指揮を務めることになった。ヴェンダースが監督と脚本を兼任した1999年のドキュメンタリー映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の続編。1作目から20年が経過し、キューバとアメリカの国交が回復した2015年、このバンドがどう変わったのかを描くものだという。撮影はすでに始まっている。監督はルーシー・ウォーカー。その他の情報『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』はオスカーのドキュメンタリー部門にノミネートされ、サウンドトラックも爆発的に売れた。ヴェンダースは『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』でも同部門にノミネートされている。文:猿渡由紀
2015年09月16日『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』や『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、数々の傑作ドキュメンタリー映画を手掛けてきた巨匠ヴィム・ヴェンダースの最新作『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』より、このほど予告編映像が解禁となった。本作は、ヴィム・ヴェンダースとジュリアーノ・リベイロ・サルガドの二人が共同監督として制作。写真家の顔も持つヴィム・ヴェンダースは、もともとサルガドの写真作品を2枚所有しているほどのファンであり親交もあったことから、セバスチャン・サルガドの長男ジュリアーノがすすめていた本作に参加することになった。ブラジル出身の写真家セバスチャン・サルガドは、30代で写真を撮り始めて以来40年間、世界中を飛び回り、何年も要するプロジェクト作品を数多く発表してきた。モノクロを基調とする彼の作品は常に人間を捉え、死、破壊、腐敗といった根源的なテーマが扱われ、それらは写真と呼ぶにはあまりにも美しく、荘厳であるがゆえに、サルガドは“神の眼”を持つ写真家とも呼ばれている。彼は、2004年から「Genesis(ジェネシス)」プロジェクトを開始。地球上の最も美しい場所を求め、ガラパゴス、アラスカ、サハラ砂漠など12か国余りで撮影された作品は、熱気球から撮られた水牛の群れ、遊牧民のネネツ族のシベリア横断、サンドイッチ諸島での“ペンギンの楽園”など、生と死が極限に交わる、誰も見たことがない圧巻の風景が写し出されている。本作ではこのプロジェクトに同行したサルガドの息子ジュリアーノとヴェンダースの2人のクリエイターの視点から、唯一無二の写真家の足跡を解き明かしていく。今回公開となった予告編では、長年サルガドが取り組んできた労働、貧困、紛争などの写真プロジェクトから自然環境保護を謳いあげた最新プロジェクト「GENESIS」までの道のりを、家族との関係を含めて描かれている。難民や移民、厳しい労働に従事する者たちを写し取りながら、神話的とも評されるサルガドの写真世界を存分に映像として表現したドキュメンタリーに仕上がっていることが窺える。“神の眼”を持つと称されたサルガドがフィルムに刻んだ風景の数々。まずはこの映像から、彼が捉えた地球上で最も美しい場所を目撃してみて。『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』は、8月1日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月29日ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースが10月25日(火)、開催中の東京国際映画祭で最新作『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』の舞台挨拶に登壇した。世界的舞踊家で一昨年、急逝したピナ・バウシュのパフォーマンスを20年来の友人であるヴェンダース監督が3Dカメラで撮影した本作。劇場での公演だけでなく、カメラは彼女が芸術監督を務めた舞踊団のダンサーたちが森や庭園、工場などで見せるパフォーマンスも映し出す。開口一番「みなさん、こんにちは」と日本語で挨拶したヴェンダース監督。本作を手がけることになった理由を問われると「私は『なぜ?』と思ったことは一度もありません。理由などなく、ただ作りたいと思い続けてきました。1985年に初めて彼女のダンスを見て以来、ずっとね。そのとき私は若かったので、彼女に会って『映画を作らせてほしい』とお願いしたんです」。数年後に彼女は承諾するが「反対にそのときは僕の方が悩みました。どうしたら彼女の姿を映像化できるのか?その術が見つかりませんでした」と明かす。それから悩むこと何と20年。3D技術の発達を受けて、ようやく数年前に映画の企画が動き出す。「でも、2009年の秋から撮影に入ろうとした矢先の6月30日に、彼女は急にこの世を去ってしまいました。映画化が遅すぎたんです…」と監督は悲痛な表情を浮かべた。「彼女なくしては映画は作れないと私は一度、映画を作るのを断念しました。でも残ったダンサーたちは彼女が亡くなった晩も泣きながら踊っていました。彼らの姿に触発されて、私はもう一度、映画を作ろうと決意したんです。ピナと一緒に作ることはできなくても、ピナのために彼らと共に映画が作ることができると思ったんです」と、監督はピナ亡き後の映画作りについて明かした。これから映画を鑑賞する観客に向けて監督は「これからみなさんを東京から、彼女が40年来住んでいたドイツの小さな街へと連れ出します」とニッコリ。なお、日本滞在中に監督は福島を訪問する予定であることも明らかになった。東京国際映画祭は10月30日(日)まで六本木ヒルズほか都内各所で開催中。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』は2012年2月25日(土)より公開。特集「東京国際映画祭のススメ2011」■関連作品:Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち 2012年2月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国にて順次公開© 2010 NEUE ROAD MOVIES GMBH, EUROWIDE FILM PRODUCTION■関連記事:ヴェンダースが亡きダンサーに捧げる、世界初3Dアート映画『PINA 3D』日本公開決定!
2011年10月25日『パリ、テキサス』、『ベルリン・天使の詩』など、独特の情感あふれる世界観で数多くの映画ファンを魅了し、ドイツを代表する名匠ヴィム・ヴェンダース。カメラワークの名手である彼が、亡き盟友であり天才舞踊家のピナ・バウシュの生きた軌跡を、最新の3D技術を駆使してとらえたダンスドキュメンタリー『PINA 3D』(原題)がこのほど日本公開されることが決定した。ドイツ生まれの舞踊家・振付家であり、演劇とダンスを融合させた独自の舞踊芸術を拓いてきた、ピナ・バウシュの世界。そして彼女の人生そのものとも言える「ヴッパタール舞踊団」の不朽の名作を映像に収めた本作。同郷のアーティストとして、バウシュとは長年親交が深かったヴェンダースは、何年にもわたって彼女とコラボすることを話しあい、ヴェンダースは最新のデジタル3D技術で彼女を撮ることを決意していた。だが、映画がプリプロに入った2009年、バウシュが突然亡くなってしまい、この映画は彼女へのトリビュートとして彼女のカンパニーである「Tanztheater Wuppertal」とコラボレーションして完成するに至った。彼女から受けた影響についてヴェンダースはこう語る。「映画監督として、印象的なもの、技術的なものなど、たくさんの映画を作ってきました。映画(movie)は動作(movement)を意味していて、動作(movement)についてのことなのです。しかし、movieとmovementについて気づいたのは、初めてピナ・バウシュの作品を観たときでした。でも彼女のようにmovementを創造したり解釈することはできませんでした。実は、彼女と比べると、私たちの“観る”技術は素人同然です。ピナの目は体を通して魂が教えてくれるものを観られるように訓練されていたのです。それまで私はバレエはもちろん、世界中でダンスの公演を観てきましたが、ひっくり返るような、椅子から投げ出され、床にたたきつけられるような体験は、それまで一度もありませんでした」。実際、スクリーン上では、この映画がバウシュに関する映画ではなく「ピナのための」映画ということが字幕で強調されている。これまで『ステップ・アップ3D』や『StreetDance 3D』などポップミュージックをベースにした3D映画は手がけられてきたが、アート系のダンス作品が3D映画化されるのは本作が世界初。本年のベルリン映画祭でその圧倒的な臨場感と世界観が喝采を浴び、既にヨーロッパ各国で大ヒットを記録している。映像界と舞踊界、それぞれのアートシーンを牽引してきた類稀なる2つの才能、そして3Dの新たなるコラボレーションは、いかなる世界を完成させているのか?いまから公開が待たれるところだ。『PINA 3D』(原題)は2012年、公開。■関連作品:PINA3D (原題) 2012年、公開© 2010 NEUE ROAD MOVIES GMBH, EUROWIDE FILM PRODUCTION
2011年07月27日