KAAT芸術監督・白井晃が演出を手掛ける近現代戯曲シリーズ『春のめざめ』『恐るべき子供たち』が4、5月に連続上演される。その製作発表会が行われ『春のめざめ』に出演する伊藤健太郎、岡本夏美、栗原類、『恐るべき子供たち』に出演する南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大、そして白井が登壇した。【チケット情報はこちら】白井は、今年この2作を続けて上演することについて「“生”と“性”シリーズといいますか、思春期の大人社会との対峙の中で子供たちがいかに戦っていくのか、どうやって自分の道を見つけていくのか。そういう若き日の葛藤を描く作品を、連続で上演する試みに挑戦します」とコメント。今回が2度目の上演となる『春のめざめ』は「昨今はミュージカルで有名になっていた作品ですが、もともとはストレートプレイだぞということをしっかり見せたいと思い、2年前に上演しました。そのときに好評をいただき、この作品をKAATで継続的に上演できたら、そして若き俳優の皆さんとこの作業を共有していくことができたらと、今回の再演に至りました」と話す。白井が初めて手掛ける『恐るべき子供たち』は「ジャン・コクトーの小説は若き頃から愛読しておりましたので、この作品を演劇にできないかと上演台本をノゾエ征爾さんに書いていただいています。これからいろんなアイデアを掘りながら、キャストの皆さんと一緒につくっていきたいです」と語った。『春のめざめ』の主演・伊藤は「僕は舞台が2度目なのでまだまだ素人のようなもの。白井さんやキャストの皆さんの胸を借りてしっかり演じていきたいです」と意気込み、岡本は「初演を客席で観劇したのですが、その日の日記には“ヴェントラ役をやりたかった”と書いていました」と明かす。初演に続き出演する栗原は「どんなに時代が進んでも、思春期に起こる身体の異変や、身体と脳の違いで、誰もが苦痛や葛藤を経験するのだと思いました。たとえ本が同じでもキャストが変われば完全に新作だと思うので、また一から皆さんとつくっていきたい」と話した。『恐るべき子供たち』の主演・南沢は「白井さんとはずっとご一緒したいと思っていたので、このお話をいただいたとき本当に嬉しかったです。白井さんから“大変だと思うけれど、覚悟して”と言われたので、心して挑みたいです」、映像を中心に活躍する柾木は「僕は最後の舞台出演が3年前。経験も浅いですが、一生懸命演じて素敵な作品にできたら」、松岡も「戯曲は初挑戦で緊張していますが、本番までしっかりがんばっていきたいです」とそれぞれ語った。『春のめざめ』は4月13日(土)、『恐るべき子供たち』は5月18日(土)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで開幕。取材・文:中川實穗
2019年02月08日三島由紀夫の小説を原作にした2018 PARCO PRODUCE 三島×MISHIMA 『命売ります』が東京・サンシャイン劇場にて12月9日(日)まで上演中だ。【チケット情報はこちら】開幕を迎え脚本・演出を手掛けるノゾエ征爾は「三島由紀夫の驚きのパンクな小説。を演劇化したらこんな風になったと、別に奇をてらったようなことは何もしていませんが、ともかく面白な原作に面白な役者が乗っかったらこんなんになりました」、主演の東啓介は「三島由紀夫でありながらノゾエさんの脚本・演出で、とてもエンターテイメントな作品に仕上がっていると思います。山田羽仁男という人物が愛されるよう、僕はひたむきに演じていきます。キャスト、スタッフ全員で作り上げてきましたので、是非劇場でご覧ください!」、上村海成は「『半分、青い。』等、最近やらせていただいた役とかなり違うタイプの役柄で、しかも初のストレートプレイなのでとてもドキドキしていますが精一杯演じます!お客様に観ていただくのがとても楽しみです!」とそれぞれコメントを寄せた。ある日ふと「死のう」と思い立ち「命売ります」という新聞広告を出した羽仁男(はにお)のもとに、訳ありの人々が次々と訪れる物語。原作が「週刊プレイボーイ」に連載されたエンターテインメント小説ということもあってか、羽仁男を取り巻く人物たちはキャラが濃く、それを上村や馬渕英里何、莉奈、樹里咲穂、家納ジュンコ、市川しんぺー、平田敦子、川上友里、町田水城、ノゾエ、不破万作、温水洋一という個性的なキャスト達がより一層ポップに立ち上げる。そんな彼らに命を買われる羽仁男は、若く、“いい生活”をしている、いわゆるエリート。演じる東の抜群のルックスも相まって、登場人物がずらりと並ぶオープニングでも一人浮き上がって見え、そんな彼こそが自分の命を売っているのだという異常さが引き立つ。何度命を買われても生き残ってしまう羽仁男。生きたくないから命を売っているのに、その出会いや体験が彼を変えていくのを観ていると、なんとも言えない気持ちになる。オムニバスのように進んでいく物語は一つひとつが一癖ある展開なのだが、劇中でふと歌われる歌の歌詞がそれとは真逆のストレートさで、目の前の出来事の別の面を見せる。ポップで笑えて楽しい舞台だが、命とは、生きることとはなんだろうかということを考えずにはいられない、ちょっと不思議な感覚が味わえる作品だ。公演は、12月9日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて、12月22日(土)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。取材・文:中川 實穗
2018年11月27日2018 PARCO PRODUCE “三島×MISHIMA”シリーズの第二弾『命売ります』が11月24日に開幕。原作は三島由紀夫が1968年に「週刊プレイボーイ」に連載したエンターテイメント小説で、ある日ふと「死のう」と思い立った27歳の羽仁男(はにお)が新聞に「命売ります」という広告を出す。すると訳ありげな人間たちが次々現れ――という物語。脚本・演出はノゾエ征爾。その通し稽古に潜入した。【チケット情報はこちら】東啓介が演じる主人公・羽仁男と関わる人々は、上村海成が演じる吸血鬼の母親のために羽仁男の命を買う高校生・薫や、馬渕英里何が演じる間貸しする女・玲子、莉奈が演じる謎の老人の妻・るり子、樹里咲穂が演じる吸血鬼の女、家納ジュンコが演じる図書の貸出係の女など、役柄を並べるだけでも面白そうな本作。さらに、最初に羽仁男に接触する謎の老人を温水洋一、るり子を愛人にしている男を不破万作が演じるほか、市川しんぺー、平田敦子、川上友里、町田水城、ノゾエがさまざまな役柄で登場する。組まれたセットは上下2段で等間隔に並んだ扉と、同じく床に等間隔に並んだ長方形の台で、スーパーマーケットの売り場のようにも見える。オープニングではそこにキャストたちが等間隔に並び、オリジナルの曲を全員で歌った。「妻といい仲になって、嫉妬した愛人から殺されてほしい」など、依頼内容はどれも個性的。羽仁男は毎回命を懸けて遂行するもなぜか生き残ってしまうため、オムニバスのように次々と出来事が描かれていく。命を買いに来る人たちはユーモラスでありながら切実で、依頼のひとつひとつに人間の欲望や業がカラフルに詰まっている。そして個性的なキャストたちの芝居により、そこに人間の持つおかしさや愛おしさ、そして残酷さが感じられた。そのなかで東は、死が迫り妙に生き生きしたり、死にたいのに死ねず苛立ったり、出会いと別れを繰り返すうちにある変化が訪れたりと、あらゆる依頼を渡り歩く姿が危うくセクシーだ。エンタテインメント小説と呼ばれる原作とノゾエによる演出の掛け算で、物語はポップに進んでいく。だからこそ浮き上がってくる三島由紀夫の死生観は、芝居に笑わされながらも心にグイグイと迫ってくるため、観終わった後には何とも言い難い気持ちになった。ぜひ劇場で味わってほしい。公演は12月9日(日)まで東京・サンシャイン劇場、12月22日(土)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。取材・文:中川 實穗
2018年11月26日2018 PARCO PRODUCE “三島×MISHIMA”シリーズの『豊饒の海』に続く第2弾として、この秋上演される舞台『命売ります』。原作は、三島由紀夫作品のなかでも文庫版(1998年刊行)が累計発行部数29万部超のうち25万部は15年以降の重版という、今改めて注目を浴びる小説。脚本・演出はノゾエ征爾。【チケット情報はコチラ】主演の東啓介と、上村海成に話を聞いた。物語は、ある日ふと「死のう」と思い立ち服毒自殺を図るも未遂に終わった主人公・羽仁男(はにお)が、「命売ります」という新聞広告を出すことから動き出す。すると訳ありげな怪しい男女がつぎつぎに現れ……。原作を読んだ東は「羽仁男は僕が今まで読んできた主人公とは違いました。“自分はこうしたいから進むんだ!”ではなく“もうどうでもいい”からはじまって、そこから人が変わっていく、それがすごく素敵だと思いました。作品として、今やる意味というのものもあると思っています」。上村も「登場人物がみんな別の生き方をしていて、自由な生き様のようなものを感じました。今って“多様性を認めよう”と言ってる割に、みんなの意見に賛同しないといけない空気があるように感じます。その中でこうやっていろんな人がいるのを見ると、そんなに縛られなくていいんじゃないかと思ってもらえるんじゃないかな」。東が演じるのは羽仁男、上村が演じるのは母親のために羽仁男の命を買いに来る高校生・井上薫。役について東は「実はもともとテニスのインストラクターになりたかったのですが、それが怪我でできなくなってしまったときに“今までの時間ってなんだったんだろう”“自分が生きている意味ってなんだろう”と考えたことがあります。僕はそこで芝居というやりたいことを見つけたのですが。誰もが1度は死にたいとかもう嫌だとか思ったことがあると思うので、今回はそこから考えていければいいなと思っています」、上村は「僕の役は、すごく素直にお母さんのためにやっているのですが、それがまっとうじゃなく感じられるほどの真っ直ぐさなので。そうなるくらいに自分も役に没頭していかなければと思っています。真面目な中にも怖さを孕んでいる。簡単には演じられない役だと思います」。人気2.5次元作品やミュージカル作品で次々と主演を務める東、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』で主人公の弟・楡野草太役でも注目を集める上村。若手として伸び盛りのふたりが、今作では手練れのキャスト陣にズラリと囲まれる。それについて東は「プレッシャーはめちゃくちゃ感じます(笑)。でも主演として引っ張れるところは引っ張っていきたいです」と意気込む。ふたりの挑戦にも期待しつつ開幕を待ちたい。公演は11月24日(土)から12月9日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。取材・文:中川 實穗
2018年08月21日混沌として複雑。だけど心に響く、松尾スズキ流時代劇『ニンゲン御破算』。「初演の印象というと、みんながやたらと水の中に入ってビショビショになっていたとか、荒川(良々)君が黒人の役をやっていたとか、出てくるのはそんなのばっかり(笑)」苦笑か、思い出し笑いか、阿部サダヲさんがおかしそうに話すのは、所属する大人計画の主宰・松尾スズキさんが2003年に手がけた舞台『ニンゲン御破産』のこと。「出演していた僕らも説明できないくらい複雑な脚本だったんです。でも、15年経って読み直してみるとすごいんです。書いた当時の松尾さんは30代。いまの僕より若いのに、こんなに難しくて面白いものを書いていたかと思うと本当にすごいです」物語の舞台は幕末。歌舞伎好きが高じ、侍ながら狂言作者を志す、阿部さんが演じる加瀬実之介と、彼をとりまく人々が描かれる。複雑と評されるだけあって、時空は縦横無尽に行ったり来たり。次々とアクロバティックな展開を見せていく。「実之介の目線で読むと、狂言作者の弟子志願としてしゃべっているところもあれば、自分の語る物語に入っている場面もあったり。物語が多重構造になっていて、面白いけれど、やる側は相当難しい。すごくふざけた話のようにも見えるんだけど、物語が展開していくと、じつは悲しさもあるんですよね。でも、出てくる人たちがみんな狂ってるから、悲劇っぽくはならないし、笑いの要素もたくさん入っているのが、さすが松尾さんだなって思います」曰く、「一回観ただけじゃ、どんな話かわからない」。けれど、そこも松尾作品の面白さだとも。「僕、松尾さんの世界って、全部わかる必要なんてないと思うんです。むしろ、全部わかっているのって…嫌。“なんで?”ってのみ込めないまま観ていると、たまに“わかる”っていうセリフが急に出てきて、それがズシンって残るものがある。正直、演じている僕らが、わからないままやってることも多いです。でも、わかってやっている人のお芝居が面白いのかといったら、そうとも限らないですよね。大人計画の俳優がテレビに出始めた頃、僕らは普通にやってるつもりなのに、世間からは、おかしな人たちの集団だと思われていたのと同じ。計算してやっているより、無意識なのに面白いほうがいいのかなって」15年前の初演で実之介を演じたのは、歌舞伎界でも屈指の人気を誇った故・十八代目中村勘三郎(当時は勘九郎)さん。「歌舞伎っぽい言い回しのセリフも多く、脚本は完全に勘三郎さんへのアテ書きですが、今回もそこは変わりないです。でも考えてみれば、実之介は狂言作者を夢見ている人だから、“歌舞伎っぽく”でいいのかな、と。前回との大きな違いは、稽古で松尾さんがミザンス(舞台での立ち位置)という演劇用語を頻繁に使うこと。最近覚えて、使いたくて仕方がないんだと思います(笑)」あべ・さだを1970年生まれ、千葉県出身。グループ魂のボーカルとして9月にはライブも決定。主演映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』が10/12公開。狂言作者を志し、鶴屋南北(松尾スズキ)、河竹黙阿弥(ノゾエ征爾)に弟子入りした加瀬実之介(阿部サダヲ)。成り行きから、南北たちの前で、自らの人生を語り始めた彼は…。6月7日(木)~7月1日(日)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作・演出・出演/松尾スズキ出演/阿部サダヲ、岡田将生、多部未華子、荒川良々、皆川猿時、小松和重、村杉蝉之介、平岩紙、菅原永二、ノゾエ征爾、平田敦子ほかS席1万500円A席8500円コクーンシート5500円(すべて税込み)Bunkamuraチケットセンター TEL:03・3477・9999(10:00~17:30)大阪公演あり。初演時の阿部さんの役は、侍を夢見るマタギ・灰次。今回は岡田将生さんが演じる。写真左が、勘三郎さん演じる実之介。©細野晋司※『anan』2018年6月6日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年06月08日ジャニーズJr.のユニット・Travis Japanの宮近海斗が、11日深夜放送のニッポン放送系ラジオ番組『宮近海斗のオールナイトニッポンR』(27:00~29:00)のパーソナリティを務めることが1日、明らかになった。12月7日より東京・銀座 博品館劇場で幕を開ける、オールナイトニッポン50周年記念舞台『太陽のかわりに音楽を。』に出演することから、ラジオ初心者の宮近がパーソナリティに初挑戦。同作は宮近演じる『オールナイトニッポン』パーソナリティのミュージシャン・トロイが、50年前の『オールナイトニッポン』番組現場にタイムスリップするという展開で、当時の番組舞台裏の熱気や情熱を描く。今回は同作にちなみ、"実際の『オールナイトニッポン』パーソナリティ経験を通してラジオを知る"ことをテーマに放送する。宮近がラジオは一体どのように放送しているのか、スタジオの内外から様々なものを見て触ってレポートに挑戦するほか、「メールのかわりにおハガキを。」と題した投稿コーナーを設け、ラジオの原点であるはがきのメッセージを募集。「宮近クンに答えてほしいこと」「あなたのささやかなお悩み、相談したいこと」に答えていく。また、放送には舞台で共演するジャニーズJr.の高田翔、演出を担当するノゾエ征爾もゲスト出演し、舞台の魅力を語っていく。なお、ニッポン放送は28時30分までの放送となる。
2017年11月01日松尾スズキさん作の絵本を舞台化した『気づかいルーシー』で、ルーシー役を演じる岸井ゆきのさんが舞台に対する意気込みを語ってくれました。気づかいも“しすぎ”に注意!?愉快なホロ苦喜劇、待望の再演。松尾スズキさん作の絵本をノゾエ征爾さんの手により舞台化した『気づかいルーシー』。初演は‘15年、好評を博しての再演に、ルーシー役の岸井ゆきのさんは「早く稽古したくてしたくてたまらない」と意気込む。「前回、公演が終わるのが寂しいくらい楽しくて、再演の話を聞いてからずっと待ち遠しかったから」とはいえ、初演は稽古当初から順調だったわけではなく、「本番1週間前くらいまで、自分のなかで全然整理がつかない部分があった」そう。「音楽劇なんですが、それまで普通にお芝居していたところから突然歌うっていうのが…。小さい頃からミュージカルが大好きだったのに、いざ自分がやるとなったら、どうしても整理が追いついていかないんです。それをノゾエさんに話したら、『こういうもんだと割り切る人はいっぱいいるけれど、悩めるなら悩んだほうがいい』と言ってくださって。そしたらある時、感覚的に一本筋が通ったと思えた瞬間があったんですよね。ノゾエさんが信じて待ってくださったことがありがたかったです」そのノゾエさん自身もまた、本番直前に大幅な美術セットの変更を決断。そうやって全部に妥協せずにきたことが初演の評価に繋がっている。「大変だったけれど、それで世界観がより明確になって皆がルーシーの世界に入り込め、完成も早かったんですよ。おかげで再演のハードルは高いですけど(笑)。でも子どもから大人まで誰もが楽しめる舞台ですし、より鮮明で豊かな世界を皆で作っていけたらいいなと思っています」きしい・ゆきの1992 年生まれ。近作にドラマ『真田丸』など。劇団☆新感線『髑髏城の七人~Season風~』は9/15~、11月には主演映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』が公開。ルーシー(岸井)とおじいさんはふたり暮らし。ある日、おじいさんが馬から落ちて亡くなり、ルーシーを気づかった馬は、自らおじいさんの皮をかぶってなりすますことにするが…。7月21日(金)~30日(日)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト原作/松尾スズキ(千倉書房『気づかいルーシー』)脚本・演出・出演/ノゾエ征爾出演/岸井ゆきの、栗原類、川上友里、山口航太、山中崇、小野寺修二整理番号付き自由席大人4000円ほか(税込み)東京芸術劇場ボックスオフィスTEL:0570・010・296福井、長野、富山、広島公演あり。※『anan』2017年7月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・星野加奈子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年07月23日第一線で活躍する劇作家、演出家が北九州に滞在し、オーディションで選出された出演者で「北九州」をモチーフとした作品を創る。その作品をもって東京公演も行ない、地域から中央へ発信を行う。そんなプロデュース公演をかねてより行なってきていた北九州芸術劇場。9作目となる今年は、劇団はえぎわ主宰のノゾエ征爾が登場。2012年に岸田國士戯曲賞を受賞、昨年12月には蜷川幸雄企画・原案『1万人のゴールド・シアター2016』の脚本・演出を手がけるなど、枠にとらわれない創作活動で注目を集める彼が、北九州という地で新たな創造を始める。舞台『しなやか見渡す穴は森は雨』チケット情報「作品のタイトル(『しなやか見渡す穴は森は雨』)は、出演者の名前の頭文字をつなぎあわせたもの。この出演者だからこその作品にしたいという思いからですね。相当な数の言葉がでてきて時間はかかりましたが、納得いくタイトルになりました。もちろん作品の内容にも、このタイトルは絡んできます。『穴』は僕の作品によく登場するのですが、ハマるものだったり、落ちるものだったり、そして光が差し込む場所でもあったり。生きづらい世の中だけど、なんとなく光が差し込むような晴れやかさも感じる作品にしたいと思ってます」。当初は、東京を舞台とし、北九州出身者によるストーリーを考えていたというノゾエ。稽古中に、出演者全員と北九州の街を3時間ほど散歩して、やはり舞台は北九州にすべきと衝動的に思ったそうだ。「遠く離れたところに来て、普段会わない方々と会って。そこに沸き起こった衝動に従うべき。健全なことが起きたと捉えてます。一からやり直しで若干焦りつつも(笑)、それ以上にワクワクしてます」113名の応募者の中から選ばれた出演者は16名。特に人数を決めていた訳ではなく、オーディションという短い時間の中で「ちょっと好きになった」役者をセレクト。このシリーズに多数参加している万能グローブガラパゴスダイナモスの椎木樹人は「このシリーズは本当に刺激的。個人的に大好きなノゾエさんとご一緒できる事も楽しみ」、劇団ショーマンシップの原岡梨絵子は「稽古の段階でも、いろいろな化学反応が起きています。このメンバーだからできる作品にしたい」と笑顔。他14名も、それぞれ熱く意気込みを語った。抽象度の高い舞台美術と、ビターメルヘン、ビターファンタジーとも言えそうな作風が魅力のノゾエが、北九州という地で何を思い、何を表現するのか。和やかでありながらも緊張感漂う稽古場では、少しの時間でどんどん作品が変化していく様も見せてくれた。今まで見たことのない、感じたことのない「北九州」の魅力を舞台で体感できそうだ。公演は2月26日(日)から3月5日(日)福岡・北九州芸術劇場 小劇場、3月10(金)から12日(日)まで東京・あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)にて。チケット発売中。
2017年02月14日水野美紀が主宰する劇団ユニット「プロペラ犬」の第7回公演『珍渦虫(ちんうずむし)』が東京・下北沢のザ・スズナリにて10月27日に開幕。今作では、水野が脚本・演出・出演を務め、演劇人として大きな一歩を踏み出す作品となった。プロペラ犬『珍渦虫(ちんうずむし)』チケット情報昨年、劇団居酒屋ベースボールのえのもとぐりむ、宮下貴浩、福澤重文とともに立ち上げた劇団ユニット「かくたすのいるところ」で水野は演出を担当しているが、プロペラ犬としては今回が初。連行おい名義で脚本も手掛けているが、こちらもプロペラ犬としては今作が初めてとなった。そんな水野が描くのは、引きこもりのラノベ作家・桐生たくみと新人編集者・吉川麗子の交流によって明らかになる人間の光と闇。スランプ状態に陥っている桐生のもとに訪れた吉川が、小説を完成してもらおうと奮闘するうちに、桐生の心の奥に眠っていたトラウマを呼び起こしていく。毎回、実力のある演技派の役者が揃うこともプロペラ犬の見どころ。内向的で気の弱い桐生を演じるのはノゾエ征爾(はえぎわ)、ぶしつけにぐいぐいと迫る吉川は伊藤修子(拙者ムニエル)。対照的なふたりが密室にいるだけでもおかしいのに、コミカルなやりとりが絶妙で、次々に笑いを起こしていく。そんな地味な現実から一転、桐生が描く小説の中は華やかな世界。引きこもりヒーロー影山たぎりを演じる猪塚健太(劇団プレステージ)の過剰すぎるイケメンぶりは必見。ヒロインうずみ役の福永マリカはとてもキュートでツンデレな姿もかわいらしい。現実と空想の世界が小気味いいテンポで絡み合い、爆笑につぐ爆笑に。水野はベテラン編集者の沼袋ふみこやヒーロー影山の秘書などを熱演。福澤重文と宮下貴浩によるキャピキャピな女子高生や、米村拓彰らによる歌とダンスも見ものだ。物語が進むにつれて、次第に個々の胸の奥に潜む深層心理が浮き彫りになっていく。人間が持つ表と裏、封印されていた過去、序盤からたびたび登場する突拍子もない出来事や事柄、それらばらばらに思えたことがつながっていく。それは観る者にとっても他人事ではなくなり、自分を見つめ直すきっかけとなるはずだ。プロペラ犬『珍渦虫』は、11月8日(火)まで上演。チケット発売中。取材・文:門 宏
2016年11月01日塚田僚一(A.B.C-Z)と渡部秀の二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』が、5月に東京・PARCO劇場で上演される。その翻案・脚本・演出を担当するノゾエ征爾(はえぎわ)に話を聞いた。舞台『ボクの穴、彼の穴。』チケット情報原作はイタリア人童話作家デビッド・カリの絵本。日本では、松尾スズキ初の翻訳絵本として注目を集めた作品だ。「戦争です!」という言葉から始まる物語は、戦場の塹壕に取り残され、穴=シェルターの中でお互いへの恐怖と疑心暗鬼にさいなまれるふたりの兵士の姿を描く。「戦争は遠いものだと思いがちですが、根っこにあるのは誰もが持っているものです。今回、現代の若者といえるふたりに集まってもらえたので、“一見遠い戦争”と“現代の若者”の融合によって、現代の設定では表出できない、人間味のようなものを舞台上に立ち上げられたらと思っています」キャストの何を見るか尋ねると「芝居より人柄」だという。塚田と渡部の印象は『陽』だと答えた。「でも絶対『陽』だけのわけがない。その奥にすごく惹かれています。素とはまた違う、根っこにあるものを役に投影したい。嘘はつかせたくないっていうのはありますね」。共に身体能力の高いふたりだが、設定は「穴の中」。身体能力を発揮する場面は少なそうだが、敢えて選んだ。「身体のポテンシャルが高いふたりの“出したいエネルギー”をどうギュッとさせるか。それによって漏れてくるものがすごくあると思うので。(フラストレーションが溜まって)何回か喧嘩があるかもしれない(笑)。でも、“いい負荷”ってあると思うんです」。渡部も「穴の中で疑心暗鬼、そんな極限状態で自分の中から出て来るナニカをみつけて舞台上で表現してみたい」とコメントを寄せた。8月7日で43年の歴史に一旦幕を閉じることになったPARCO劇場。本作は「クライマックス・ステージ」の“シーズン2”の作品として上演される。“シーズン2”では、劇場の次なる時代を担うであろうクリエイター“ネクスト世代”の作品が中心。ノゾエにとってPARCO劇場は初登壇だが、話をもらったときは「数秒止まった記憶があります。でも正直嬉しかったです。演劇人ならやりたい場所ですから」。PARCO劇場には「確固たる演劇愛を感じる」と話しつつも「最後の枠に僕を引っ張り上げてくれるのは嬉しいですけど、褪せない開拓心に感服です」と笑った。『ボクの穴、彼の穴。』は、5月21日(土)から5月28日(土)まで東京・PARCO劇場にて。チケットの一般発売は4月29日(金・祝)午前10時より。取材・文:中川實穗
2016年04月28日アイドルグループ・A.B.C-Zの塚田僚一が、俳優の渡部秀との2人舞台『ボクの穴、彼の穴。』に出演することが6日、わかった。原作はイタリア人童話作家デビッド・カリの絵本で、翻訳は松尾スズキ。舞台への翻案・脚本・演出を、2012年に「◯◯トアル風景」で岸田國士戯曲賞を受賞したノゾエ征爾が務める。戦場の塹壕に取り残された兵士が互いに相手を「モンスター」だと信じ、疑心暗鬼に陥っていく姿を描く。金髪と筋肉が特徴で、フジテレビ系バラエティ番組『アウト×デラックス』などでも活躍する塚田は、「初主演! 初二人芝居! 初めての事ばかりですけどすてきな作品をお届けできるように全力で頑張りマッスル!」と気合を入れた。2010年に『仮面ライダーオーズ/○○』で主演を務めて以来さまざまなドラマ・舞台に出演する渡部も「今回舞台で触れる『戦争』は、僕らが漠然とイメージする『戦争』とは少し違っていて、個人対個人の小さな火種を描く作品になります。穴の中で疑心暗鬼、そんな極限状態で自分の中から出て来るナニカをみつけて舞台上で表現してみたいと思います」と舞台のテーマに思いを乗せた。原作翻訳を務めた松尾スズキのゼミをきっかけに演劇をはじめたというノゾエは、「塚田さん、渡部さんの、そのみずみずしい、現代の若者の身体と感性に、すごく期待が膨らんでいます。絵本原作の今作に、お二人の人間味を表出できたらと思っています」と主演2人に期待を寄せる。また、「『戦争』×『現代日本で生きる僕らの身体』から、あらためて、人間の儚さ、愚かさ、おかしさ、そして何よりもいとおしさを抽出できたらと思っています。それは、僕らにとってものすごく大切なもので、何度気付いても、何度も忘れてしまうものです。そうしてまた戦争がはじまっていくわけですが」と、戦争についての思いを語った。公演は5月21日~28日、パルコ劇場で行われる。
2016年04月06日指揮者の小澤征爾が総監督を務める音楽祭「2015セイジ・オザワ松本フェスティバル」が8月9日(日)より長野県松本市で行われる。【チケット情報はこちら】同音楽祭は、小澤征爾をはじめ、数多くの名音楽家を育て上げた故・齋藤秀雄の理念を継承し「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」という名称で、1992年より毎年夏に開催。昨年、斎藤秀雄の没後40年とサイトウ・キネン・オーケストラ発足から10年の節目を迎え、今年より小澤の名を冠して新生。小澤征爾のもとに、世界中から優れた音楽家たちが結集し、オペラやコンサート、若い音楽家や小中学生に向けた教育プログラムを行う。ラインナップは、小澤征爾が指揮を務めるオペラ『ベアトリスとベネディクト』(ベルリオーズ作曲)や、オーケストラコンサートBプログラム。同音楽祭への出演は2年連続となる指揮者、ファビオ・ルイージによるハイドンとマーラーの交響曲。音楽祭会期中に、80歳の誕生日を迎える総監督・小澤征爾のバースデーコンサートなどが行われる。「2015セイジ・オザワ松本フェスティバル」は、8月9日(日)から9月6日(日)まで、長野・まつもと市民芸術館主ホールほかで開催。チケットの一般発売は6月6日(土)午前10時より。
2015年06月05日温水洋一と江波杏子によるふたり芝居『ご臨終』が11月5日(水)より東京・新国立劇場で幕を開ける。カナダのモーリス・パニッチが1995年に発表した戯曲の翻訳劇で、演出を務めるのは劇団「はえぎわ」主宰で高い演出力を見せるノゾエ征爾。人生の終幕、孤独に向き合うふたりの皮肉とユーモアに満ちたやりとりをノゾエはどのように捉え、形にするのか?舞台『ご臨終』チケット情報長年、音信不通だった叔母から「もうじき死ぬ」との手紙を受け取り、最期を看取るつもりで仕事も辞めて彼女の元に駆け付けた甥。だが叔母は彼の世話を受けつつも打ち解けず、しかも一向に死ぬ気配もない。やがて、衝撃の真実が明らかに…。「やられた!マジか、こう来たか…」。最初に脚本を読んだノゾエの衝撃である。ふたり芝居でありながら叔母はほとんど言葉を発せず、セリフのほとんどを甥が担うという展開、終盤のどんでん返し。「潔さがあふれている本だと思いました。作家がつっかえてない感じが心地いい。僕らなら、思いついても留めてしまうものを気持ちよく本に表してると感じました。一方で生きることへの思念や死に対する距離感など、自分と似た感覚を感じることがチラチラとありました」。ふたり芝居とは「究極的に人間が向き合うこと」。まさに本作で、死を前にした老婆とそれを見送る中年男性が見せるのは、老成や大人の振る舞いといったものではなく、自分をさらけ出し、死や孤独を前に全てをさらけ出す姿。「単純な言い方になってしまうけど、根本的なところで人と人が寄り添う。そこが一番好きなところです。孤独に立ち向かう時、死を前にした時に誰かがいる。そのことの大きさを感じます。観る方の年齢、抱えているものによってチューニングの合うところは違ってくるでしょうね」。稽古場では温水と江波とシーンごとに話し合う姿が目に付くが「教えられる部分が多いです」と語る。「おふたりとも解釈がとても深くて、ディスカッションの中からそれぞれのキャラクターが膨らんでいった部分が大きい」とも。甥ばかりが喋り続けるという極端な状況で、動きも決して多くはない。「沈黙から発せられるものがすごく多い。自分勝手にたたみかける男と言葉を発しない老婆の間で、むしろ強い“対話”が成り立っている。そこから伝わってくる人間らしい肌触り、温もりを楽しんでいただきたいです」。公演は11月5日(水)から24日(月・祝)まで。取材・原稿・撮影:黒豆直樹
2014年11月05日温水洋一と江波杏子が劇団「はえぎわ」のノゾエ征爾の演出の下、カナダの劇作家モーリス・パニッチによる皮肉に満ちたふたり芝居に挑む『ご臨終』。初日まで10日ほどに迫った10月下旬、静かな熱気に包まれた稽古場に足を運んだ。何十年も音信不通だった叔母からの「もうじき死ぬ」との手紙を受け取り、中年の甥は仕事をやめてまで彼女の元に駆けつけ、共同生活を送ることにするが、彼女は寝たきりながら一向に死ぬ気配がない。やがて、ある驚愕の事実が判明し…。叔母の寝室というワンシチュエーションで物語は展開するが、生活感に満ちたふたりのやりとりをよそに、セットは「人物をより浮き立たせたい」というノゾエの狙いもあって抽象的な作りとなっている。本作が“異色の”と表現される最大の要因は、ふたり芝居でありながら、ほとんどのセリフを甥が話し、叔母はほとんど言葉を発しないという点。膨大なセリフを抱える温水はもちろんだが、「病気のため寝たきり」という設定の中で甥の言葉を受け止め、時にスルーし、わずかな動きや表情、視線、そして沈黙でもって感情や寝室の空気を伝えなくてはならない江波の苦労もかなりのものである。ノゾエは演出席でふたりの芝居を見つめるが、シーンが終わるごとにふたりの元に駆け付け、壇上で3人が細かくディスカッションし、試行錯誤を繰り返しながら作り上げていくという光景が繰り広げられた。仲が良いとは言えない叔母と甥が、死や老い、孤独といった人生で避けられない現実と向き合うさまを描くが、全体に漂うのはシニカルで辛口のユーモアに満ちた空気。温水は、親から愛されずに育ち、“生きづらい”人生を送る甥を体現しており、明るい口調で葬儀の段取りや棺桶のサイズを決めたかと思えば、急に泣き出したり、というひねくれた情けない中年を文字通り感情豊かに演じる。そんな彼の姿をも通じて、謎の叔母の姿が浮かび上がってくるが、ふたりの関係性や空気感を伝えるためにノゾエ、温水、江波が徹底的に話し合い、細部にわたって詰めていたのがセリフの間や動作のタイミング。食事に塩を振る動作、ふと顔を上げる瞬間、ちょっとした視線など小さな動きの積み重ねが、独特の空間を作り上げていることが分かる。やがて判明する衝撃の事実――。人生の終盤を迎えた者たちの哀愁と人間臭さに満ちた静かな空間をじっくりと味わえる舞台になりそうだ。新国立劇場にて11月5日(水)開幕。取材・原稿・撮影:黒豆直樹
2014年10月31日現在来日公演を開催中のウィーン国立歌劇場が、10月26日に「小学生のためのオペラ『魔笛』」公演をKAAT 神奈川芸術劇場で開催した。世界的指揮者の小澤征爾も会場に訪れた。「ウィーン国立歌劇場」の公演情報2003年にウィーン国立歌劇場が、次世代のオペラファンの育成、子どもたちの情操教育の一環として始めた同企画。当時の総裁のイオアン・ホーレンダー、音楽監督の小澤征爾が立案し、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏で、モーツァルト作曲の名作オペラ「魔笛」の物語を約1時間にまとめて上演。間近でオペラを体験できるように、子どもたちの観劇用スペースとして舞台上に平土間席を設けるのが特徴だ。同企画の日本初演となったKAAT公演には、昼夜あわせて2273名が来場(うち子どもは1046名)。日本人歌手の甲斐栄次郎(ウィーン国立歌劇場専属ソリスト)がパパゲーノ役を担当し、「魔笛」の物語を日本語でナビゲート。コンパクトにしたとはいえ、休憩なしで約1時間の舞台は、子どもたちにとってはやや長丁場だが、動物たちの着ぐるみが登場したり、オーケストラの楽器紹介や主要アリアを随所に盛り込むなど、子どもたちに集中して楽しんでもらう工夫が随所に。これこそが本場ウィーンで毎年人気を博している所以だろう。文字通り目の前でオペラを体感した日本の子どもたちは、ときに笑い、ときに歓声をあげ、キラキラと目を輝かせながら拍手を送った。昼公演を鑑賞後、記者陣の取材に応じた小澤征爾は「日本の子どもたちはお行儀が良いね!世界一」と笑顔。子どもたちの喝采に包まれた公演の成功を喜び「この企画はステージの上でやったのでは駄目。子どもたちと同じ目線でやることが鉄則だね。最近は子どもたち向けの音楽会が増えているけど、一番大事なのは、一生懸命に演奏すること。ほんの少しでも気を抜けば、子どもたちには絶対に伝わる。音楽家が音楽に徹すると、必ず通じるんだと僕は信じている」と熱く語り、久々の公の場で元気な姿をみせてくれた。
2012年10月29日周囲を山に囲まれているのに、そのホテルの名は“シーサイドモーテル”。そんな微妙なモーテルの一室で、生田斗真と麻生久美子が何をする――?別冊漫画ゴラクに連載された岡田ユキオの漫画「MOTEL」を原作に、あるモーテルに偶然集まったひと癖もふた癖もある輩たちが微妙に、絶妙に交錯しつつ、小さな幸せを見つけようとする姿を描いた『シーサイドモーテル』の製作が決定!主人公のセールスマン・亀田を『人間失格』で映画初出演にして主演を務める生田斗真が、そして一見、陽気なコールガールのキャンディを独特の空気感で観る者を魅了し、次々と話題作へと出演する麻生久美子が演じることが発表された。物語の舞台は周りを山に囲まれ、どこにも海なんかないのになぜか「シーサイド」という名がついたモーテル。かたや怪しげな化粧品を売りさばくインチキ・セールスマン。かたや三十路を前にすでに人気に陰りの見えるコールガール。この偶然の出会いが2人にもたらすのは、彼らが求めてやまない小さな幸せ?それとも…。生田さんは、自身の役を「インチキクリームを売りさばく詐欺師で、モーテルで偶然出会ったコールガールに恋をしてしまう青年」と説明。さらに「豪華なメンバーと作品を共に出来ることを楽しみながら演じていきたいです。監督からは、好きに遊んで下さいと言われました。本気で遊びます」と意気込みを語る。一方の麻生さんも「生田さんとの会話劇をテンポ良く作り上げられるよう頑張りたいと思います。とにかく出演者の方々が魅力的なので、贅沢な見どころ満載な映画になると思います」とコメント。是枝裕和監督(『誰も知らない』、『空気人形』)や西川美和監督(『ゆれる』、『ディア・ドクター』)の作品を手がけてきた独立系制作プロダクション、テレビマンユニオンによる本作。メガホンを取る守屋健太郎監督は2人について「生田くんは、いままでにないこの軽薄なキャラクターを楽しみながら演じてくれています。すでに衣裳合わせのときには亀田になりきっていて、数日前まで太宰治の作品をやっていたとは思えない豹変ぶりでした。麻生さんが演じるのは、亀田を翻弄する存在で、どこまでが駆け引きの言葉で、どこからが本音なのか、なかなか本心が見えにくい難しいキャラクターなのですが、とても絶妙なバランスで演じてくれています」と絶賛。2人の掛け合いを見どころに挙げている。因みに本作には、亀田とキャンディ以外にも個性的なキャラクターが数多く登場。借金を踏み倒したギャンブラーに、その恋人の猫好きな女。借金取りにチンピラ、伝説の拷問職人にED気味の社長、やる気のない警察官などが絶妙に交錯する群像劇となっている。現段階で生田さんと麻生さんのほかに、先輩・後輩の警察官コンビを演劇を中心に活躍する赤堀雅秋(「THE SHAMPOO HAT」主宰)、ノゾエ征爾(劇団「はえぎわ」主宰)が演じることが明かされているが、それ以外の登場人物の配役に関しては今後、徐々に発表されていく予定。この個性的過ぎる面々を誰が演じるのか?そして生田さん、麻生さんとの“化学反応”も楽しみだ。やがて朝を迎えたとき、彼らは海の見えないこのモーテルに海を見つけることが出来るのか――?すでに8月より撮影は開始されている『シーサイドモーテル』。公開は2010年を予定。■関連作品:シーサイドモーテル 2010年、全国にて公開
2009年09月10日