古典派を代表する作曲家ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)は、同時代のスーパースター、モーツァルト(1756-1791)とベートーヴェン(1770-1827)のあまりにも眩い存在感によって、かなり割りを食っている印象だ。両者共にハイドンから大きな影響を受けているだけに、その素晴らしさを改めて見直す必要がありそうだ。その絶好のチャンスが目前に迫った『天地創造』公演にありそうだ。『四季』と並んで、ハイドンが遺したオラトリオの中でも最も名高い『天地創造』の公開初演は1799年。旧約聖書の「創世記」第一章と、ミルトンの「失楽園」を題材としたこの壮大な作品は、ハイドン自身の指揮によって大成功を収めたと伝えられる。ウィーンでは今も新年恒例の演目として親しまれているこの作品が、日本においては演奏機会も多くなく、まだまだ知られざる名作のままなのは残念至極。今回の公演は、ハイドン再評価のためにもぜひ体験してほしい。演奏は、世界最高峰の古楽演奏団体「オランダ・バッハ協会」の芸術監督を35年間に渡って勤めたヨス・ファン・フェルトホーフェン指揮する気鋭の古楽演奏団体「レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ」に、日本を代表する歌手を揃えた魅力的な布陣だ。そしてこの公演の中心にあるのが、「ヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団(ヨスコア)」。この団体が今後5年計画で宗教曲の名作を順次開催予定というのも楽しみだ。その第1回公演に選ばれたのがハイドンの『天地創造』だけに、聴き逃すことなかれ!ヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団ヨスコア 第一回演奏会 ハイドン「天地創造」2月19日(日) 14時開演東京オペラシティ コンサートホール指揮:ヨス・ファン・フェルトホーフェンソプラノ:松井亜希テノール:櫻田 亮バリトン:与那城 敬管弦楽:レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ合唱:ヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団
2023年02月15日兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)の第139回定期公演となる2月のステージは、ドイツ・オーストリアの作曲家たち(ハイドン、ベートーヴェン&シューベルト)の作品だ。互いに重なり合う時代を生き、創造という名のバトンを受け継いできた3人の音楽は、古典派からロマン派に至る大河ドラマを見るような趣だ。ハンガリーの貴族エステルハージ家の伯爵からの提案によってハイドンが作曲したと伝えられる交響曲第6番『朝』に始まり、ベートーヴェン唯一の短調のピアノ協奏曲「第3番」。そして最後はシューベルトの大作、交響曲第9番『ザ・グレート』というプログラムは聴き応え十分。PACと共に数々の名演を重ねてきたオランダ生まれの名匠ユベール・スダーンの指揮が冴え渡る瞬間に出会えそうだ。そして注目は、ベートーヴェンのソリストを務める児玉麻里(ピアノ)だ。大阪に生まれて6歳で渡欧した才媛は、今やベートーヴェンのスペシャリストとして世界的に活躍する存在だ。3人の偉大な作曲家たちに想いを馳せる素敵な時間を見逃すことなかれ。兵庫芸術文化センター管弦楽団第139回定期演奏会ユベール・スダーン ザ・グレイト2月17日(金)、18日(土)、19日(日) 15時開演兵庫県立芸術文化センター指揮:ユベール・スダーンピアノ:児玉 麻里管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団●ユベール・スダーン(指揮)オランダ・マーストリヒト生まれ。ブザンソン国際指揮者コンクール優勝、カラヤン国際指揮者コンクール第2位。これまでに、ベルリン・フィル、ロンドン響、バンベルク響、ウィーン響、ミュンヘン・フィル、シュトゥットガルト放響、フランクフルト放響、ドレスデン・シュターツカペレ、ミラノ・スカラ座管弦楽団等、主要なオーケストラを指揮しているほか、パリ・バスティーユ・オペラや、パルマ、パレルモ、ボローニャなどの歌劇場でも指揮している。メルボルン交響楽団首席客演指揮者、ユトレヒト交響楽団音楽監督などを歴任。ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者を経て、2004年9月に東京交響楽団の音楽監督に就任した。オペラでは、2006年新国立劇場で指揮した「皇帝ティートの慈悲」が、年間ベスト・オペラ公演に選ばれている。国際的な音楽祭においても、プラハの春音楽祭、ザルツブルク・モーツァルト週間、ウィーン芸術週間、ラヴェンナ音楽祭など、数多くの音楽祭に参加している。2004年7月、ザルツブルク市名誉市民およびザルツブルク州ゴールデン勲章を授与された。兵庫芸術文化センター管弦楽団とは、定期演奏会やモーツァルト・シリーズで幾度も共演を重ねている。●児玉麻里(ピアノ)大阪生まれ。6歳で渡欧。14歳の時、最年少、最優秀でパリ国立高等音楽院に入学。ピアノをタチアナ・ニコラエワ、アルフレッド・ブレンデルなどに学ぶ。17歳でプルミエ・プリを獲得して卒業。同年、同音楽院のマスター・コースに進み、19歳で修了。この間、数多くのコンクール優勝、上位入賞を果たす。同音楽院を修了後、ロンドン、ニューヨークなど欧米の主要都市で次々とデビューを果たす。現在、ヨーロッパ、アメリカ、日本、アジアで演奏活動を展開する数少ない国際的なピアニストとして名声を確立している。また、ベルリン・フィル、ロンドン・フィル、モントリオール管や、日本各地のオーケストラ等と共演。CD録音も活発で、「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集」、ケント・ナガノ指揮による「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集(第0~5番)」を完成させている。また、サンフランシスコの室内楽フェスティバル「フォレストヒルミュージカルデイズ」とイタリアの「traluceesogno」の創設者でもある。■チケット情報
2023年01月30日ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト #05 ナチュラルホルンの宇宙技芸『ホルンと弦楽のディヴェルティメント』が2021年12月27日 (月) に仙川フィックスホール(東京都調布市)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)にて発売中です。カンフェティでチケット発売中! ★ライブ配信あり*配信日時:12月27日17:00より(レクチャーと夜公演)*リアルタイムのみ視聴可・アーカイブなし 公式ホームページ 公式Twitter 公式 Instagram 公式Facebook 公演概要ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト#05 ナチュラルホルンの宇宙技芸『ホルンと弦楽のディヴェルティメント』日程:2021年12月27日 (月)会場:仙川フィックスホール(東京都調布市仙川町1丁目25-2仙川アヴェニュー北プラザ 2F)古典派の時代にもっとも愛された楽器といえば、ホルンではないでしょうか。自然な構造ゆえに音にムラがある当時のホルン(ナチュラルホルンと呼ばれる)は、ヨーゼフ・ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンらを刺激し、多くの独奏作品を作らせました。ミヒャエル・ハイドンも例外ではありません。ナチュラルホルンには、新日本フィルハーモニー交響楽団ホルン奏者で、ナチュラルホルンの名手・藤田麻理絵が出演。兄ヨーゼフ・ハイドンの作品も演奏され、このシリーズでは初の兄弟ハイドンコンサートとなります。特に兄ヨーゼフによる変ホ長調のディヴェルティメントでは、驚くべき超高音の旋律から柔らかく支えるバスまで、ナチュラルホルンの魅力を深く堪能できるでしょう。2021年のミヒャエル・ハイドン・プロジェクトを締めくくるコンサート。チケット購入者が無料で聞くことができるレクチャーも開催。公演とレクチャーの模様はライブ配信(アーカイブなし)でもお届けします。会場で、おうちで、ハイドン兄弟とナチュラルホルンの魅力に、ぜひ触れてみませんか。コンサート(昼の部/夜の部)J.M.ハイドン:ディヴェルティメント 変ロ長調 MH10F.J.ハイドン:ディヴェルティメント 変ホ長調 Hob.IV:5J.M.ハイドン:ディヴェルティメント ト長調 MH6J.M.ハイドン:ディヴェルティメントニ長調 MH173*昼夜の公演は同じ演目ですレクチャー*公演のチケットを購入されたお客さまが対象です(要予約/追加料金なし)■出演藤田麻理絵(ホルン) / 山本佳輝(ヴァイオリン) / 丸山韶(ヴァイオリン/ヴィオラ) / 野津真亮(チェロ) / 布施砂丘彦(ヴィオローネ) / 奥田佳道(レクチャー講師)■スタッフ主催: ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト後援: オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京、オルケストル・アヴァン=ギャルド助成: 文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業■開催スケジュール12月27日(月) 14:30開場/15:00開演 …コンサート(約1時間・休憩なし)12月27日(月) 16:40開場/17:00開始 …レクチャー(約45分間・休憩なし)12月27日(月) 18:30開場/19:00開演 …コンサート(約1時間・休憩なし)■チケット料金(単体) 一般:3,000円、学生:2,000円(全席自由・税込)*昼夜セット券の販売はございません◆ライブ配信の視聴券(1800円)*配信日時:12月27日17:00より(レクチャーと夜公演)*リアルタイムのみ視聴可・アーカイブなし団体概要ミヒャエル・ハイドン・プロジェクトは、2021年、コントラバス奏者の布施砂丘彦によって立ち上げられました。素晴らしい作品を残しながらも忘れられてしまった作曲家たちにスポットを当て、その音楽をひろく届けることを目的とした演奏団体です。2021年は、9月から12月にかけて、全5公演を開催いたします。(カンフェティにてチケット取扱中!)☆ #01 優美で多感な娯楽音楽 『オーボエと弦楽のディヴェルティメント』 9月28日(火) 近江楽堂 (オンデマンド配信:10月12日-10月18日から7日間)☆ #02 モーツァルトとの友情 『ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲』 10月14日(木) 近江楽堂 (オンデマンド配信:10月28日-11月3日から7日間)☆ #03 酒に溺れた男の音楽劇 『ヴェルグルのバス弾き』 11月19日(金)・20日(土) 北千住BUoY (オンデマンド配信:12月6日-12月12日から7日間)☆ #04 ミヒャエル・ハイドンの後任者 『番外編!ディッタースドルフの弦楽作品』 12月10日(金) 自由学園明日館 (オンデマンド配信:12月18日-12月24日から7日間)★ #05 ナチュラルホルンの宇宙技芸 『ホルンと弦楽のディヴェルティメント』 12月27日(月) 仙川フィックスホール (ライブ配信:同日17:00〜リアルタイムのみ視聴可(アーカイブ無し)) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年12月17日ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト #04 ミヒャエル・ハイドンの後任者『番外編!ディッタースドルフの弦楽作品』 が2021年12月10日 (金) に自由学園明日館(東京都豊島区)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)にて販売中です。カンフェティでチケット販売中 ★オンデマンド配信あり (配信期間:12月18日〜12月24日から7日間) 公式ホームページ 公式Twitter 公式 Instagram 公式Facebook 公演概要ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト#04 ミヒャエル・ハイドンの後任者『番外編!ディッタースドルフの弦楽作品』日程:2021年12月10日 (金)会場:自由学園明日館 ラウンジホール(東京都豊島区西池袋2-31-3)ミヒャエル・ハイドン・プロジェクトは、「忘れられてしまった巨匠」たちにスポットを当てます。番外編である「#04ミヒャエル・ハイドンの後任者」の主人公は、ミヒャエル・ハイドンの後任としてグロースヴァルダイン(現ルーマニアのオラデア)の宮廷で楽長をつとめた、カール・ディッタース・フォン・ディッタースドルフ男爵です。刺繍職人の息子として生まれたディッタースドルフは、ヴァイオリン奏者として名を馳せ、男爵位を付与されて貴族にまでなりました。オペラなどの作曲で大成功し、当時はモーツァルトよりも有名だったという話もありますが、いまではその名を聞くことはほとんどありません。今回ももちろんピリオド楽器を用います。当時流行した「ウィーン調弦ヴィオローネ」などと呼ばれるコントラバスは、現代の楽器とは異なり、華やかに和音を奏でることが特徴です。会場は池袋駅から徒歩すぐ、100年前に建設された洋館「自由学園明日館」。チケットのご予約はお早めに!また、会場にお越しいただけないお客様は、ぜひ後日配信をご利用ください。コンサートC.D.v.ディッタースドルフ:6つの弦楽三重奏曲よりC.D.v.ディッタースドルフ:ヴィオローネ協奏曲第1番変ホ長調よりC.D.v.ディッタースドルフ:二重奏曲ほかプレトーク*主宰・布施砂丘彦によるプレトークを開催予定!■出演廣海史帆(ヴァイオリン/ヴィオラ) / 大光嘉理人(ヴァイオリン) / 布施砂丘彦(ヴィオローネ)■スタッフ主催: ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト後援: オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京、オルケストル・アヴァン=ギャルド助成: 文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業■開催スケジュール12月10日(金) 18:30開場/18:40開演 …プレトーク(約10分間)12月10日(金) 18:30開場/19:00開演 …コンサート(約1時間・休憩なし)■チケット料金一般:3,000円学生:2,000円(全席自由・税込)◆オンデマンド配信の視聴券(1800円)*配信期間:12月18日~12月24日 から7日間団体概要ミヒャエル・ハイドン・プロジェクトは、2021年、コントラバス奏者の布施砂丘彦によって立ち上げられました。素晴らしい作品を残しながらも忘れられてしまった作曲家たちにスポットを当て、その音楽をひろく届けることを目的とした演奏団体です。2021年は、9月から12月にかけて、全5公演を開催いたします。(カンフェティにてチケット取扱中!)☆ #01 優美で多感な娯楽音楽 『オーボエと弦楽のディヴェルティメント』 9月28日(火) 近江楽堂 (オンデマンド配信:10月12日-10月18日から7日間)☆ #02 モーツァルトとの友情 『ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲』 10月14日(木) 近江楽堂 (オンデマンド配信:10月28日-11月3日から7日間)☆ #03 酒に溺れた男の音楽劇 『ヴェルグルのバス弾き』 11月19日(金)・20日(土) 北千住BUoY (オンデマンド配信:12月6日-12月12日から7日間)★ #04 ミヒャエル・ハイドンの後任者 『番外編!ディッタースドルフの弦楽作品』 12月10日(金) 自由学園明日館 (オンデマンド配信:12月18日-12月24日から7日間)☆ #05 ナチュラルホルンの宇宙技芸 『ホルンと弦楽のディヴェルティメント』 12月27日(月) 仙川フィックスホール (ライブ配信:同日17:00〜リアルタイムのみ視聴可(アーカイブ無し)) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年12月01日ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト #03 酒に溺れた男の音楽劇 『ヴェルグルのバス弾き』 が2021年11月19日 (金) ~2021年11月20日 (土)に北千住BUoY(東京都足立区)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)にて発売中です。カンフェティでチケット発売中 ★オンデマンド配信あり (配信期間:12月6日〜12月12日から7日間) 公式ホームページ 公式Twitter 公式 Instagram 公式Facebook 公演概要ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト#03 酒に溺れた男の音楽劇 『ヴェルグルのバス弾き』日程:2021年11月19日 (金) ~2021年11月20日 (土)会場:北千住BUoY(東京都足立区千住仲町49-11)ミヒャエル・ハイドンは宗教音楽や器楽作品だけでなく、オペラや世俗カンタータなどの分野でも多くの作品を残しました。今回取り上げる《ヴェルグルのバス弾き》は、おそらく本邦初演となるジングシュピール(歌芝居)です。この音楽劇の上演は、本シリーズの他公演とは趣が大きく異なります。会場は、元銭湯の廃墟を改装した北千住のアートスペース「BUoY」。音楽家のみならず、演劇、ダンス、美術、表象文化論の専門家らが集い、ひとつのコンサートを作り上げます。豪華な出演者も大きな魅力のひとつです。歌手は、バッハ・コレギウム・ジャパンで活躍する澤江衣里(ソプラノ)と渡辺祐介(バス)。オーケストラは、ヴァイオリンの原田陽やチェロの上村文乃など、国内外で活躍する若手らが担います。自身もかなりの大酒飲みだったミヒャエル・ハイドンによる、飲んだくれが主人公のジングシュピール。疫病禍において「外で飲んだくれること」が忌避すべきこととされるいま、250年前の音楽劇は、どのように日本初演を迎えるのでしょうか。生のコンサートと、インターネットでの後日配信で、ぜひお楽しみください。コンサート(1日目/2日目)J. M. ハイドン:ディヴェルティメント変ホ長調 MH.9よりJ. M. ハイドン:シンフォニアト長調 P.8J. M. ハイドン:ジングシュピール《ヴェルグルのバス弾き》MH.205*両日の公演は同じ演目ですアフタートーク(2日目)*最終日は、アフタートークを開催予定!■出演澤江衣里(ソプラノ:リーズル役) / 渡辺祐介(バス:バートル役) / 神田初音ファレル(ダンサー/俳優) / 原田陽(ヴァイオリン) / 大光嘉理人(ヴァイオリン) / 伴野剛(ヴィオラ) / 上村文乃(チェロ) / 布施砂丘彦(コントラバス) / 山根(星野)友紀(チェンバロ)■スタッフ布施砂丘彦(総監督) / 植村真(演出) / 相馬巧(ドラマトゥルク/翻訳) / 小駒豪(美術)主催: ミヒャエル・ハイドン・プロジェクト後援: オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京、オルケストル・アヴァン=ギャルド助成: 文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業■開催スケジュール11月19日(金) 18:30開場/19:00開演 …コンサート(約1時間・休憩なし)11月20日(土) 13:30開場/14:00開演 …コンサート(約1時間・休憩なし)11月20日(土) 16:00開演 …アフタートーク■チケット料金一般:4,000円学生:3,000円(全席自由・税込)◆オンデマンド配信の視聴券(1800円)*配信期間:12月6日~12月12日 から7日間団体概要ミヒャエル・ハイドン・プロジェクトは、2021年、コントラバス奏者の布施砂丘彦によって立ち上げられました。素晴らしい作品を残しながらも忘れられてしまった作曲家たちにスポットを当て、その音楽をひろく届けることを目的とした演奏団体です。2021年は、9月から12月にかけて、全5公演を開催いたします。(カンフェティにてチケット取扱中!)☆ #01 優美で多感な娯楽音楽 『オーボエと弦楽のディヴェルティメント』 9月28日(火) 近江楽堂 (オンデマンド配信:10月12日-10月18日から7日間)☆ #02 モーツァルトとの友情 『ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲』 10月14日(木) 近江楽堂 (オンデマンド配信:10月28日-11月3日から7日間)★ #03 酒に溺れた男の音楽劇 『ヴェルグルのバス弾き』 11月19日(金)・20日(土) 北千住BUoY (オンデマンド配信:12月6日-12月12日から7日間)☆ #04 ミヒャエル・ハイドンの後任者 『番外編!ディッタースドルフの弦楽作品』 12月10日(金) 自由学園明日館 (オンデマンド配信:12月18日-12月24日から7日間)☆ #05 ナチュラルホルンの宇宙技芸 『ホルンと弦楽のディヴェルティメント』 12月27日(月) 仙川フィックスホール (ライブ配信:同日17:00〜リアルタイムのみ視聴可(アーカイブ無し)) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年11月09日2020年のベートーヴェン生誕250年の余韻が未だ続くことを感じさせる魅力的な公演の登場だ(新日本フィルハーモニー交響楽団 #38 ルビー/3月26日&27日:すみだトリフォニーホール)。“『運命』の新たな響きを求めて”というキャッチコピーの下、古楽界の大物 鈴木秀美が新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮する同公演は、コロナ禍によって不完全燃焼に終わったベートーヴェン・イヤーを再び輝かせる力に満ちているようにも思える。メインの交響曲第5番『運命』からどのような響きが引き出されるのかはもとより、前半に置かれた『ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲』という魅力的な選曲にも注目したい。ソリストとして登場する、崔 文洙(ヴァイオリン)、長谷川彰子(チェロ)&崔 仁洙(ピアノ)の3人のコラボレーションやいかに。そして古楽を知り尽くした鈴木秀美が新日本フィルからどのようなパフォーマンスを引き出すのか。興味は尽きない。●公演詳細: ●指揮:鈴木 秀美Hidemi Suzuki, conductor神戸生まれ。20世紀の最後16年間オランダ・ベルギーに住み、ヨーロッパ各地で演奏・指導する他、ブリュッセル王立音楽院バロック・チェロ科に初代教授として招聘され、2000年に帰国するまで務めた。ソリストとして、また18世紀オーケストラ、ラ・プティット・バンドのメンバー及び首席奏者として演奏し、バッハ・コレギウム・ジャパンでは2014年まで首席奏者を務め、バッハの全宗教作品の通奏低音を演奏・録音した。2001年に古典派を専門とするオーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)を創設し、ハイドンを中心とするコンサートを行う。自身のレーベル《アルテ・デラルコ》からOLC、室内楽、ソロ等の録音を続々とリリース。指揮者として日本各地の交響楽団に客演するほか、海外にも招かれる。現在山形交響楽団首席客演指揮者。東京音楽大学チェロ科客員教授、東京藝術大学古楽科講師。楽(らく)遊会弦楽四重奏団メンバー。録音はソロ・室内楽・指揮全般にわたって多数。著書に「『古楽器』よ、さらば!」「ガット・カフェ」「無伴奏チェロ組曲」「通奏低音弾きの言葉では、」。第37回サントリー音楽賞、2011年度斎藤秀雄メモリアル基金賞、文化庁芸術作品賞ほかを受賞。
2021年02月18日日本を代表するチェロ奏者で指揮者の鈴木秀美率いる“オリジナル楽器集団”オーケストラ・リベラ・クラシカによるシリーズ7回目の公演テーマは「古典派の弦」。プログラムには、モーツァルトの「ディヴェルティメント」&メンデルスゾーンの「弦楽のためのシンフォニア」といった弦楽アンサンブルの名曲中の名曲が並び、作曲家が生きた時代の音色を味わう素敵な時間が披露される。2001年に鈴木秀美の主宰によって結成された同オーケストラは、オリジナル楽器演奏とその研究を旨とするプロフェッショナル集団だ。普段聞き慣れた音楽が、彼らの演奏によってガラリと趣を変えた姿で浮かび上がる様はまさに目からウロコの連続。作品本来の旨味を味わう絶好のチャンスがここにある。●公演概要1月11日(土)パルテノン多摩小ホール「鈴木秀美KLASSIKの世界vol.7」●鈴木秀美(チェロ)神戸生まれ。「18世紀オーケストラ」「ラ・プティット・バンド」等のメンバー及び首席奏者として活躍した。鈴木雅明の主宰する「バッハ・コレギウム・ ジャパン」では創立から2014年まで首席チェロ奏者として、J.S.バッハの全宗教曲の演奏及び録音で通奏低音を務めた。ヨーロッパ各地、オーストラリア、中国、韓国、ベトナム等で演奏する他各地の講習会で講師を務め、94年に新設されたブリュッセル王立音楽院バロック・ チェロ科に教授として招聘され、2000年に日本へ帰国するまで務めた。 91年9月《バッハ/無伴奏チェロ組曲全曲》日本全国ツアーの好評により同年度の村松賞大賞を受賞。99年より2008年まで、水戸芸術館専属の弦楽四重奏団「ミト・デラルコ」としても活動した。「ガット・サロン」「ガット・ストリーム」等の室内楽シリーズを行うほか、楽遊会(らくゆうかい)弦楽四重奏団としても活動している。録音では、バロック~初期ロマン派までのソロ・室内楽を多数録音し、数多くの独奏者と通奏低音として共演。95年には日本人としては 初めてのオリジナル楽器による《バッハ/無伴奏チェロ組曲全曲》を録音し (DHM、現ソニー)平成7年度文化庁芸術作品賞を受賞、05年に 新録音をリリース(レコード芸術誌特選)。以降同レーベルで日本人初の専属アーティストとして 《シューベルト/アルペジオーネ・ソナタ》《ベートーヴェン/チェロ作品全集》《ロマンス》(ピアノ小島芳子)などのCDを発表し、《ハイドン/チェロ協奏曲集》では1998年、 第36回レコード・アカデミー賞(協奏曲部門)を、また2000年にはベートーヴェンの初期作品のCDでフランスのディアパゾン金賞を受賞した。平井千絵との「メンデルスゾーン: チェロとピアノのための作品集」で06年文化庁芸術祭優秀賞受賞。08年秋には同じく平井千絵と「ショパン・チェロ作品集」をリリースした。2001年に古典派を専門とするオーケストラ・リベラ・クラシカを結成、ハイドンを中心としたプログラムで年に2~3回の公演を行い、《アルテ・デラルコ》レーベルよりそのライヴ録音を続々とリリース。同レーベルにはソロや室内楽のほか声楽アンサンブル《ラ・フォンテヴェルデ》の録音も含まれ、既に50タイトルを超える。指揮活動も活発になりつつあり、オーストラリア、ポーランド、ベトナム等に招かれるほか、日本各地のシンフォニー・オーケストラへの客演指揮・チェロ独奏も好評を博している。山形交響楽団首席客演指揮者。著書に「『古楽器』よ、さらば!」とその改訂版(音楽之友社)、「ガット・カフェ」、「無伴奏チェロ組曲」(東京書籍)、「通奏低音弾きの言葉では」(アルテス・パブリッシング)がある。第37回サントリー音楽賞、第10回斎藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。東京音楽大学チェロ科客員教授、東京藝術大学古楽科非常勤講師。雑司谷拝鈍亭終身楽長。●オーケストラ・リベラ・クラシカオリジナル楽器で古典派音楽を専門に演奏するオーケストラ。 チェロ奏者・指揮者の鈴木秀美が主宰・音楽監督をつとめ、2002年5月に旗揚げ公演を開催。 高いレベルのアーティスト三十数名が国内外から集結、表現力の高さと楽曲への斬新なアプローチが話題になっている。 決して広く知られてはいないハイドンの初・中期の交響曲に新たな光を当て、 また《パリ交響曲集》やモーツァルトの名交響曲・セレナーデ等を今までに演奏、現在はハイドンの後期作品、さらにベートーヴェンの交響曲も演奏している。鈴木自身のチェロをはじめ、若松夏美のヴァイオリン、S. ホッホランドやK. ベゼイデンホウトのフォルテピアノ他、 多数の奏者を独奏(唱)に招いて協奏曲や歌曲を演奏した。浜離宮朝日ホールなどでの定期公演はライヴ収録され、アルテ・デラルコ・レーベルからリリース、演奏会とあわせて好評を博している。定期公演は浜離宮朝日ホールから東京文化会館を経て、2011年10月からは上野学園 石橋メモリアルホールで行われる。
2020年01月06日新年の幕開けは、普段とは一味違う贅沢な時間を味わいたい!と願うのが人の常。音の良さには定評のあるトッパンホールで開催されるニューイヤーコンサートは、まさにその願いを叶えてくれるひとときだ。ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのコンサートマスターとして活躍するダニエル・ゼペックが率いるトッパンホール チェンバー・オーケストラと共演するのは、ドイツの名門シュターツカペレ・ドレスデンの首席奏者として活躍してきたチェロの名手ペーター・ブルンズと、日本のホープ山根一仁(ヴァイオリン)。彼らが奏でるハイドンのチェロ協奏曲とヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「四季」は、2020年の幕開けに相応しい豪華さだ。もちろん、コンサートマスター、ダニエル・ゼペックによるJ.C.グラウンのヴァイオリン協奏曲も見逃せない。音楽はワイン同様、それを味わう器によって印象は大きく変わるものだ。408席の親密な空間にあふれる美しい音の息吹に身を委ねる快感を、是非ご体験あれ!●公演概要1月8日(水)トッパンホール「トッパンホールニューイヤーコンサート2020」●ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン)Daniel SEPECフランクフルト生まれ。ディーター・フォルホルツ、ゲルハルト・シュルツに師事、シャンドル・ヴェーグ、アルバン・ベルク弦楽四重奏団にも学ぶ。1993年からドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務める一方、ソリストとしても活躍、ハーディング、ブリュッヘン、ピノックらの指揮者と共演している。また、ヨーロッパ室内管弦楽団、カメラータ・ザルツブルク、アンサンブル・オリオール・ベルリンに客演コンサートマスターとして出演するほか、優れた古楽奏者としてホグウッド指揮/アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック、ハーゼルベック指揮/ウィーン・アカデミー合奏団、ヘレヴェッヘ指揮/シャンゼリゼ管弦楽団等と共演。バロック・ヴァイオリンによるソロ公演も行い、ビーバー《ロザリオのソナタ》全曲レコーディングがドイツ・レコード批評家賞を受賞するなど、高い評価を得ている。2010年9月から14年7月までバーゼル音楽院で教授を務めた後、14年にリューベック音楽大学教授に就任。トッパンホールには、アルカント・カルテットのメンバーとして2回出演、14年10月の北村朋幹〈エスポワール シリーズ〉Vol.2にスペシャル出演、18年3月には無伴奏で登場。J.S.バッハやビーバーに、ベリオ、ライヒを組み合わせたプログラムで名演を聴かせた。●山根一仁(ヴァイオリン)Kazuhito YAMANE●ペーター・ブルンズ(チェロ)Peter BRUNSドイツを代表するチェリストとして、国際的な評価を得ている。ベルリン生まれ。ベルリンのハンス・アイスラー音楽院にて、ペーター・フォーグラーに師事。ソリスト、また室内楽奏者として、ベルリン・フィルハーモニー、カーネギーホール、ウィグモアホールのほか、東京、香港、シンガポール、ドレスデン、ライプツィヒ、ゲヴァントハウスなど世界各地で演奏している。クフモ、ベルゲン、ロッケンハウスなど国際音楽祭への参加も数多い。また、シノーポリ、インバル、ノセダ、M.アルブレヒトらの指揮のもと、シュタッツカペレ・ドレスデンやベルリン放送交響楽団をはじめとする世界の主要オーケストラと共演。古楽から現代まで幅広い時代の作品をレパートリーとし、とりわけベルリン古楽アカデミーと共演を多く重ねている。1993年から2000年まで、モーリッツブルク城での室内楽フェスティヴァルのアーティスティック・ディレクターを務めている。ドイツ国内の音楽学校でも教授を務め、98年から05年までドレスデン高等音楽院、05年からはライプツィヒ高等音楽院で教鞭をとっている。06年9月からはライプツィヒのメンデルスゾーン室内オーケストラのプリンシパル・ゲスト・コンダクターを務めている。2007/2008シーズンには、ゲヴァントハウスにおいて自身のコンサートシリーズを行っている。CDは、ブラームスのチェロ・ソナタ、バッハの無伴奏組曲、フォーレ、ブルッフ、シューマン、CPEバッハの作品を録音しているほか、シュターツカペレ・ドレスデンとのドヴォルザークの協奏曲、メンデルスゾーン室内オーケストラとのハイドンのチェロ協奏曲は高く評価されている。使用楽器は、パブロ・カザルスが所有していた1730年ヴェニス製のカルロ・トノーニ。
2019年12月30日2020年の楽団創立50周年に向けて、ますます勢いに乗る神奈川フィルハーモニー管弦楽団(以下 神奈川フィル)の記念すべき第350回目の定期演奏会は大注目だ。節目の公演で演奏されるのは、演奏時間約1時間半の大作「天地創造」。旧約聖書の創世記「神による7日間の天地創造」を天使たちが歌う第1,2部、そして天上での生活と、人間が禁断の果実を食べ地上に下るまでを人間の始祖“アダムとイヴ”が歌う第3部からなる壮大な音楽叙事詩で、作曲家ハイドンの最高傑作と言われている。【チケット情報はこちら】神奈川フィルとハイドンの関係は、指揮者川瀬賢太郎が神奈川フィルの常任指揮者就任時に立ち上げたハイドン作品を集中的に演奏するシリーズから始まった。ベートーヴェンやモーツァルトに隠れがちなハイドンの魅力を伝えることを主眼にしたシリーズだったが、現代の作品や神奈川フィルの楽団員を独奏者に起用するなど多様な取り組みがオーケストラの演奏水準を飛躍的に向上させたとして、企画内容とともに内外から脚光を浴びた。今回の「天地創造」は、その「ハイドンシリーズの集大成」として位置づけられている。加えて今回の注目は、バッハ・コレギウム・ジャパン(以下、BCJ)が神奈川フィルと共演することだ。BCJとは。作曲家J.S.バッハの作品を演奏するために鈴木雅明氏が設立した演奏団体で、毎年のように世界中を巡るツアーを行っていることからも分かるように、その演奏水準の高さは世界中で称賛を受けている。今回共演するBCJの合唱団は、ニューヨーク・フィルとも共演歴があり、今回出演する28名の精鋭の歌声には期待が高まる。そして、指揮を務めるのは鈴木優人氏。先述の鈴木雅明氏の息子であり、演奏家、作曲家、指揮者、プロデューサーとマルチな才能でクラシック音楽界を席巻する逸材で、神奈川フィルとの過去3回の共演はいずれも高い評価を得ている。神奈川フィルがハイドンシリーズで培ってきた成果を更に拡げる存在として適任と言える。“ハイドンの最高傑作”“最高の合唱団との共演”“才能あふれる指揮者”これほどの好材料が三拍子そろった公演に注目をしないほうが難しい。7月13日(土)は壮大な物語を音楽の力とともに感じたい。公演は神奈川・横浜みなとみらいホール大ホールにて。
2019年06月27日1498年創立。500年以上の歴史を誇るウィーン少年合唱団が今年も、4月から6月の約1か月半にわたって東北から九州まで日本全国をめぐる。ツアー初日を前に、4月26日東京・赤坂のサントリーホールブルーローズにて来日会見が開かれた。今年は日本オーストリア国交樹立150年の記念年であり、日本をよく知る彼らにとっては元号が令和に変わった節目のタイミングであることも大きな意味を持つ。プログラムには、おなじみのクラシックの名曲やウィーンの歌、ミュージカル・ナンバーなどとともに、合唱団芸術監督のゲラルト・ヴィルト作曲による両国友好150年の記念曲《内なる平和》や、皇室にちなんだ《歌声の響》《ねむの木の子守歌》も含まれている。会見後、メンバーの3人、ヤコブ君(12歳)、ネイサン君(13歳)、ティモ君(13歳)に、プログラムの中で1番好きな曲を尋ねると、ヤコブ君はバンキエーリの《カプリッチアータ》。ネイサン君は「全部。すべての曲が生き生きしている」と優等生の答え。ティモ君は、ネタバレになるので控えるがアンコール曲の名を挙げた。逆に難しい曲はあるかと聞いたところ、全員が口を揃えて「日本の曲!」と答えた。やはり日本語の発音は難題のようだ。10歳から14歳まで約100人のウィーン少年合唱団の団員たちはふだん、ウィーン市内のアウガルテン宮殿で、「ハイドン」「モーツァルト」「シューベルト」「ブルックナー」の4つのグループに分かれて全寮制で生活・活動しており、今回来日したのは「ブルックナー組」の26人。彼らを率いるイタリア人カペルマイスター(楽長)のマノロ・カニンは会見で、グループの特徴を問われ、「サッカーが上手いこと」と軽くはぐらかしたが、ヴィルト芸術監督によれば、「各組のカペルマイスターの個性によって、音楽の解釈も練習の仕方も異なる。当然グループごとに特徴が出てくるが、それは『ウィーン少年合唱団』という統一された特徴の中のニュアンスのようなもの」ということだそう。ちなみに芸術監督は、目をつぶって聴いても各組の名前を言い当てられるというが、私たちにもそれが可能かと聞くと、「理想的には、不可能であってほしいですね」と笑った。あくまでも「全体でひとつ」なのだ。「500年の伝統」と聞くと、私たちはつい、脈々と伝わる門外不出の演奏の秘法みたいなものの存在を求めてしまう。音楽の解釈、発声、発音……。でも、ヴィルト監督は「大切なのはそんなことではない」と少しだけ語気を強めた。「国籍や宗教、各自の家庭環境などを超えて子供たちが集まり、500年の間にその輪が世界規模になった。これこそが供たちの人生にとって大事なこと。生活をともにして音楽を作り上げ、生涯続く友情を培うのです」なるほど。その多様性こそが伝統というわけ。まさにダイバーシティ。彼らは、音楽をも超えた、理想の地球の縮図なのかもしれない。取材・文:宮本明
2019年05月17日世界最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2019」が、2019年5月3日(金・祝)から5月5日(日・祝)まで、東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町エリアにて開催される。フランス生まれのクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」「ラ・フォル・ジュルネ」とは、1995年フランス西部で誕生したクラシック音楽祭。日本では2005年の初開催以来毎年ゴールデンウィークに開催しており、ホールでの有料公演のほか、誰でも気軽に楽しめる地上広場での無料コンサートなどが実施され、街中が音楽に包まれる。毎年テーマに沿った内容でプログラムが展開されるのも特徴。2019年は「Carnets de voyage ― ボヤージュ 旅から生まれた音楽(ものがたり)」をテーマに掲げ、作曲家たちが旅先からインスピレーションを得て書き上げた名作の数々を主役とした約322公演を行う。モーツァルト、ショパンらの名曲を一流演奏者らの手で音楽祭を彩るのは、18世紀にモーツァルトがヨーロッパ中を旅しながら創作した名作、晩年をロンドンで暮らしたハイドンが残した一連の交響曲、リストがイタリア滞在中に着想を得て発表した《巡礼の都市:第2年「イタリア」》、ラヴェルの《スペイン狂詩曲》、シャブリエの狂詩曲《スペイン》、ドビュッシーの《ピアノと管弦楽のための幻想曲》、ショパンの《ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調》など。なお、全ブログラムの発表に関しては2月中旬を予定している。演奏者には、ポーランドの一流オーケストラ「シンフォニア・ヴァルソヴィア」、ロシア屈指の交響楽団「ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」らを迎える。また、アンヌ・ケフェレックほか有名ピアニスト、バイオリニストらも登場し、美しい音色を奏でる。【詳細】「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2019」開催日程:2019年5月3日(金・祝)~5月5日(日・祝)会場:東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)、大手町・丸の内・有楽町エリア各プレイガイド先行発売開始:2019年2月中旬(予定)チケット一般発売開始:2019年3月中旬(予定)公演数:約322公演/有料公演 約122公演、無料公演 約200公演URL:
2018年11月16日神奈川フィルハーモニー管弦楽団(常任指揮者・川瀬賢太郎)の2019~2020年シーズン・ラインナップが決定。概要発表の会見が開かれた。【チケット情報はこちら】メイン・シリーズに当たる横浜みなとみらいホールでの定期演奏会「みなとみらいシリーズ」は全10回(13公演)。会見にも出席した川瀬はそのうち3回に登場する。まず5月の公演ではソロ・コンサートマスター石田泰尚独奏によるブロッホのヴァイオリン協奏曲と、メンデルスゾーンの《夏の夜の夢》。ブロッホは、この数年来石田から「しつこいぐらいに」(川瀬)ラブコールを受け続けていたのだそう。《夏の夜の夢》は音楽だけでなくストーリーの朗読付きの上演で、気鋭の演出家・田尾下哲が台本を書き下ろす。12月はメインの《展覧会の絵》を、有名なラヴェル編曲でなくストコフスキー編曲で、というのもひねりが効いているが、B・A・ツィンマーマンの《ユビュ王の晩餐のための音楽》[1966]も目を引く。過去のさまざまな名曲がこれでもかと引用されている作品だ。3月はシェーンベルク編曲によるブラームスのピアノ四重奏曲。「とにかく難しいが、自分の任期6年目となるオケの力とチームワークを最もわかりやすく聴いていただける曲」と川瀬。前半の、現代作曲家ジェームズ・マクミランのヴァイオリン協奏曲[2009](独奏=郷古廉)は、川瀬が自信ありげに「まあ、聴いてください」といざなう、異種の音楽から叫び声までいろんなものが登場するユニークな音楽だ。川瀬世代の若い才能の起用もとても楽しみ。ハイドン《天地創造》(7月)を指揮するおなじみ鈴木優人、そして神奈川フィル初登場の日本生まれのアメリカ人指揮者ユージン・ツィガーン(9月)はともに1981年生まれ。クルト・マズアの愛弟子カーチュン・ウォン(11月)は1986年生まれの注目株。過去の共演でオーケストラ内でもひときわ評価が高いという。約2年間の改修を終えた神奈川県民ホールでの「県民ホール名曲シリーズ」は全3回。改修で変化したサウンドを考慮して、オーケストラ・ピットを上げ舞台前面にオーケストラを配置するなど、新しい聴き方、楽しみ方を提案してくれそうだ。1994年生まれの新星指揮者・太田弦の登場に期待(4月)。川瀬は《くるみ割り人形》全曲を指揮する(6月)。現在改修中で来年4月再開予定の神奈川県立音楽堂での「音楽堂リニューアルシリーズ」全4回はモーツァルトがテーマ。しかも「モーツァルト+(プラス)」ともいうべき、「モーツァルトとの組み合わせ」にさまざまな工夫が。川瀬が指揮する細川俊夫の《月夜の蓮》[2006]は、同時に演奏されるモーツァルトのピアノ協奏曲第23番へのオマージュ、というように(2月/独奏=菊池洋子)。王道の名曲から、クラシック通を唸らせるこだわり抜いた佳曲まで、オーケストラのやる気満々がじわじわと伝わってくる。目が離せない来季の神奈川フィルだ。取材・文:宮本明
2018年09月27日ロンドンといえばアフタヌーンティー? 渡英する前、ロンドンといえばアフタヌーンティー、というざっくりとしたイメージを思い浮かべていました。 でも、「きっとみんな午後は優雅にアフタヌーンティーを楽しんでいるんだろうな…」というのはわたしの妄想だったのです!初めて会った人から、‘Do you actually eat Sushi everyday?(実際毎日お寿司食べるの?)’と聞かれることがよくありますが、そんなことないですよね。 それと同じ感じで、私の描いていた優雅な午後のアフタヌーンティーは身近なものではありませんでした。 それでも、英国の上流階級文化として長い歴史のあるアフタヌーンティーを楽しめる場所はたくさんありますが、どこも高級ホテルのレストランばかり。大学生の私にはなかなか手が出せません。ですが、せっかくロンドンに来て3年も住んでいるのに一度も’ The London’を経験しないのはもったいない!ということで、今回はアフタヌーンティーを体験してきたので、その様子をちょっとご紹介したいと思います! 内装、スイーツ、どこを取っても絵になる空間!今回選んだのはロンドンの高級住宅街サウスケンジントンにある、Barclay Hotel(バークレーホテル)の1階に位置するレストラン、Coliins Room(コリンズルーム)のアフタヌーンティーです。 ここを選んだ理由は何と言ってもアフタヌーンティーの可愛さ。 Prêt-à-Portea(プレタポルティー)と名付けられたアフタヌーンティーのスイーツは、ファッションショーのロンドン コレクションで発表されたファッションアイテムをモチーフにに作られています。そのため春夏/秋冬でメニューが異なります。 食器はすべてウェッジウッドがバークレーホテルのために特注した青と黄色を使った可愛らしいもの。アフタヌーンティーにはスイーツだけではなくサンドウィッチや一口サイズのフィンガーフードもついてきます。 今回いただいたのは、7月なので春夏コレクションをモチーフにしたスイーツたち!ビキニをかたどったアイシングクッキーやトランプやマリリン・モンローが描かれたチョコレート、そして有名ブランドの新作の靴や鞄に似せたケーキ。 ロンドンのケーキは日本人の私にとってちょっと甘いな、と思うことがよくあるのですが、ここのケーキはどれも食べやすい!濃厚な甘さの中にフルーツの酸味があったり、さっぱりとした味のケーキに甘いチョコレートが乗っていたりと、バランスがとても良く、大人な味でした。 紅茶はたくさん種類があり、定番のイングリッシュブレックファースト、アールグレイの他に、緑茶やカモミールティー、ハーブティーなど、たくさんの種類がありました!ずっと夢だったアフタヌーンティー。紅茶もケーキも美味しかったのですが、それよりも優雅な空間でのんびりとした時間を過ごせたのが、とても幸せでした。有名なモーツァルトやハイドンなどの作曲家は、作曲家人生のなかでロンドンを何度か訪れており、その滞在中に曲をいくつも作曲しました。そんな作曲家たちも、アフタヌーンティーを楽しんでいたのかな?と思うとちょっとワクワクしてしまいますね! 記事:京花Instagram::
2018年08月05日毎年、長野県松本市を舞台に開催される、指揮者 小澤征爾が総監督を務める国際音楽祭のセイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)。桐朋学園の創設者のひとりであり、偉大な教育者であった故・齋藤秀雄氏の没後10年にあたる1984年、小澤征爾と秋山和慶の呼びかけで世界各地に散る同門の志が一堂に集い、メモリアルコンサートを行ったことから、世界に名を響かせることとなる、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)が生まれた。1992年にはSKOが母体となり、サイトウ・キネン・フェスティバル松本が誕生。2015年にセイジ・オザワ 松本フェスティバルと音楽祭の名称を新たにし、今年で27年目の開催を迎える。世界各地で活躍する演奏家たちが、唯一無二の音色を奏でるSKOによるオーケストラ コンサートは、3プログラムを開催する予定だ。【チケット情報はコチラ】Aプログラム(8月26日(日))は、2011年のフェスティバルでチャイコフスキー《交響曲第4番》を指揮したディエゴ・マテウスが、満を持して《第5番》を指揮。ハイドン《協奏交響曲》は、SKOが誇る名手たちが奏でる独奏にも注目して欲しい。Bプログラム(8月31日(金))は、総監督 小澤の弟弟子である秋山和慶が、得意とする王道のフレンチ・プログラムを指揮。Cプログラム(9月2日(日))は、フェスティバルとも縁の深いジャズ・トリオのマーカス・ロバーツ・トリオを迎えアメリカンでジャジーなプログラム “OMF Gig”をお届けする。小澤の恩師であるバーンスタインや、アメリカが誇る名作曲家ガーシュウィンの心躍る楽曲に身を委ねてみては。また、小澤がオーケストラ公演と合わせて情熱を注ぐオペラ公演では、プッチーニの喜劇『ジャンニ・スキッキ』を上演。遺産相続と恋人たちの行方を愉快に描いたオペラは、家族そろって楽しめること間違いない。OMFでしか聴けない、上質な室内楽プログラムも3つを開催。特に注目は、約半世紀にわたり、ジュリアード弦楽四重奏団で第1ヴァイオリンを務めたロバート・マン氏を偲び開催する「ふれあいコンサートI ~ロバート・マン メモリアルコンサート~」(8月19日(日))。氏が創立時より情熱を注いだ小澤征爾スイス国際アカデミーを迎え、弦楽四重奏と弦楽合奏を行う。マン氏がジュリアード弦楽四重奏団期より最も愛し、弦楽合奏としても多く指揮をした曲でもあり、近年、小澤も好んで取り上げている想い入れの深い、ベートーヴェン《弦楽四重奏曲第16番 Op. 135 第3楽章》の演奏も予定している。室内楽の偉大な指導者であったマン氏の教えを受け、音楽の真髄に触れた若い音楽家たちの演奏は必聴だ。他にも、1000円で聴ける「OMF室内楽勉強会~金管アンサンブル~発表会」(8月18日(土))や、教育プログラムを開催。期間中は松本市内のあちこちでオープンイベントも開催している。OMFは8月18日(土)から9月7日(金)まで開催。この夏はぜひ信州・松本で、忘れられない音楽体験を楽しんでみてはいかがだろうか。
2018年07月05日東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の、今年4月から始まる2018~19シーズンの定期演奏会ラインナップは、すでに昨秋速報で伝えられていたが、2月5日、東京都内であらためて発表会見が開かれた。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 チケット情報「飯守泰次郎桂冠名誉指揮者の素晴らしいドイツ・ロマン派の真髄を軸に、それとのバランスを考えながら、私や他の客演指揮者たちが、なるべく多彩な作品を聴いていただけるようにプログラムを組んできた。それは来シーズン以降も変わらない」2015年から常任指揮者を務め、新たに2021年まで契約を延長した常任指揮者の高関健は、年間プログラムの基本的な骨組みをそう説明した。そして、新シーズンの一番の特徴は、東京オペラシティ定期演奏会と、ティアラこうとう定期演奏会の全13公演を全部まとめて一体化したプログラムを組んだことだという。これまでのティアラ定期は、どちらかといえば名曲コンサートが多く、それは幅広い聴衆にオーケストラ音楽に親しんでもらおうという意図からだったが、最近は客層もかなり変わり、入門プログラムだけでは満足してもらえなくなったのだと理由を語った。「とはいっても《新世界》も《田園》もやる。その中で、さらにもうちょっと(クラシック音楽の世界に)入ってほしいという願望です」高関は群馬交響楽団の音楽監督時代、一度演奏した作品は10年間は取り上げないことを自らとオーケストラに課していたそうで、そうすることで一曲一曲と真剣に対峙してきた。その姿勢は今も変わらないという。「東京の複雑なオーケストラ・シーンの中で、どう生き残るか。なんとか這い上がっていきたい」個々のコンサートは、公演ごとに作曲家、国、時代などのテーマで切り取られており、全体で通して見ると、ハイドンから武満まで、有名曲からレアな作品まで、幅広いレパートリーがバランスよく配置されていて、どれもこれも興味を引かれる魅力的なラインナップとなっている。会見ではさらに、2019年4月から新たに藤岡幸夫の首席客演指揮者就任が発表されたのも大きな話題。故渡邉暁雄の最後の愛弟子。慶應大学卒業後、日本フィルの指揮研究員を経て英国王立ノーザン音楽大学指揮科で学び、英国を本拠に活動していた藤岡は、英国音楽のスペシャリスト。現在BS放送で音楽番組の司会を務めるなど華やかな存在だ。この日もさっそく、「こういうのは言ったもん勝ち」と、2019年シーズンの自分の2回のコンサートに、ウォルトンの交響曲第1番と伊福部昭の舞踊曲《サロメ》を振らせてほしいと公開アピールして個性を披露、隣席の高関らを苦笑させた。学究肌の高関と外向的な藤岡、そしてドイツ音楽の重鎮・飯守と、かなりタイプの異なる3人の指揮者が揃った強力かつ強烈な陣容。これまで以上に目が離せない、楽しみなシティ・フィルだ。取材・文:宮本 明
2018年02月07日昨年就任した新音楽監督リッカルド・シャイーとともに11年ぶりの来日を果たしたルツェルン祝祭管弦楽団(スイス)。夏のルツェルン・フェスティバルのために、世界の一流オーケストラの首席奏者やソリストたちが結集する特別編成のオーケストラだ。10月6日(金)から始まる公演を前に、シャイーと、フェスティバル総裁のミヒャエル・ヘフリガーらが出席して10月4日に記者会見が開かれた。【チケット情報はこちら】会見会場となったのは、ルツェルン・フェスティバルが東日本大震災の復興支援のために提案し、2013年から2015年にかけて松島、仙台、福島で稼働した494名収容の移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」。今回の来日に合わせて、期間限定で東京ミッドタウン芝生広場に再出現した(すでに終了)。ルツェルンと日本とを結ぶ絆の象徴だ。「ヘフリガー総裁からコンセプトを聞いていたこの建物が実現していること、そこに自分がいることに感動しています」。冒頭にそう述べたあとシャイーは、今回のふたつの公演プログラムについて丁寧に、たっぷりと語った。まずはベートーヴェンの《エグモント》序曲、交響曲第8番、そしてストラヴィンスキー《春の祭典》というプログラム。「世界中で愛されている巨人ベートーヴェンの、異なるスタイルの2曲を聴いていただきます。ドラマチックな深い響きの《エグモント》。モーツァルトやハイドンの伝統を、ユーモアやジョークを交えて描いた交響曲第8番。この交響曲は難しい作品です。ベートーヴェンの書いた速度記号はとても速い。私たちは勇気を持って、なるべくそれに近い速さで演奏するように挑戦します。そして後半は日本の皆さんも楽しみにしている《春の祭典》。このオーケストラはソリストの集まり。個々のソロが際立って、きっと新たな発見があると思います。130人が一丸となって鳴らす最後の一撃は圧倒的。これをベートーヴェンのあとに演奏するのは見事なコントラストではありますが、大きなチャレンジでもあります」もうひとつはオール・R.シュトラウス。《ツァラトゥストラはかく語りき》《死と変容》《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》を演奏する。「有名な《ツァラトゥストラ》では、ドラマチックなオープニングから最後のコーダへの盛り上がりをお楽しみください。《死と変容》は、人間の死の数時間前からの変容・浄化を描いています。疲れ果てた人間の深層を表すようなテーマから、最後の浄化のテーマへと移行するさまは感動的です。しかし私たちはコンサートを悲劇的な死のテーマで終わらせたくないので、非常に楽しい、そしてちょっと皮肉な《ティル》で締めくくります」10月6・7日(土)の東京公演を皮切りに、8日(日)川崎公演、9日(月・祝)京都公演が行われる。シャイーが「年に数週間しか集まらない彼らに、独自の『音』があるのは奇跡だ」と語るスーパー・サウンドが、もうまもなく鳴り始める。取材・文:宮本明
2017年10月06日初来日中の、両腕のないホルン奏者フェリックス・クリーザーが日本ホルン協会の主催で開いたトークライブを聞いた(6月13日・ヤマノミュージックサロン新宿)。【チケット情報はこちら】生まれつき両腕のないクリーザーは、ホルンを足で操作する。しかし配布されたプログラムに「そのことにフォーカスするのではなく、同じホルンを、音楽を愛するものとして、それらを通した喜びについて語り合う会にしたい」(日本ホルン協会会長・樋口哲生氏)とあったように、音楽に注目してほしいというのは本人の望みでもあるだろう。とはいえ、どのように演奏しているのかは気になるところ。楽器はごく一部をカスタマイズしている以外は通常のモデルのままだ。足を使うため、当然ながら座って吹く。マウスピースが口もとに来るように、特製のスタンドに楽器を固定する。そして通常は左手の人差し指、中指、薬指で押さえる3本のレバーを、左足の第1~3趾で操作する。足首の筋がとても発達しているように見える。動画投稿サイトには彼の映像もアップされているので、百聞は一見にしかず。ぜひ一度ご覧になることをお勧めしたい。この日披露したベートーヴェンのホルン・ソナタからも芳醇な音色と起伏に富んだ歌い口が聴こえてきて、ホルン奏者としての彼の卓越した美点が、けっしてその奇跡のような足技によるフィンガリングだけにあるのでないことがすぐにわかる。「ホルンの魅力をたくさんの人に伝えたい」というクリーザー。そのためにドイツでもこうしたトークライブやテレビ出演の機会を積極的に活用しているとのこと。その意味では、ハンディを乗り越えるどころか、それをプラスの要素に転じているとさえ言える。言葉を慎重に選ぶ必要があるが、好奇の目に晒されることも厭わないぐらい、ホルンを愛する気持ちは強い。1991年ドイツのゲッティンゲン生まれ。4歳の時に「ホルンが吹きたい」と宣言したというが、その理由やきっかけは自分でもわからないのだそう。「僕も不思議なんだ。両親は法律家で、もしかしたらホルンという楽器の存在さえ知らないぐらいだから。ひょっとしたらテレビで見て気に入ったのかもしれない。でもまったく記憶にないんだ」。音楽教室では木琴を勧められたが、頑なに「ホルン!」と言い張るので、教室の先生がついに根負けしたそう。ドイツではすでにベルリン・クラシックス・レーベルから、ソロと協奏曲の2枚のCDをリリース。昨年夏のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭では、名誉あるレナード・バーンスタイン賞を受賞している。また、今回の来日に合わせて自伝『僕はホルンを足で吹く』も邦訳出版された(ヤマハ・ミュージック・メディア刊)。6月24日(土)には東京交響楽団の定期演奏会でハイドンとモーツァルトの協奏曲を吹く(秋山和慶指揮)。間違いなく現在最もホットな若手演奏家の一人だ。公演のチケットは発売中。取材・文:宮本明
2017年06月15日13回目を迎える真夏のクラシック音楽祭「フェスタサマーミューザKAWASAKI」は、首都圏のプロ・オーケストラが一堂に会して競演するという、ありそうだけれどここでしか体験できない音楽祭。3月29日、JR川崎駅前のミューザ川崎で概要の発表会見が開かれた。今年も首都圏の10楽団が中心となり、ミューザ川崎シンフォニーホールを主会場として7月22日(土)から8月11日(金・祝)まで全21公演が行なわれる。キャッチコピーは「気分奏快!」。「フェスタサマーミューザKAWASAKI」チケット情報音楽祭のオープニングはいきなりシェーンベルク《浄められた夜》とストラヴィンスキー《春の祭典》というスタイリッシュなプログラム(7/22(土)・東京交響楽団)。20世紀を代表するふたりの大作曲家だが、もはやこれらを現代音楽だと感じる人は少ないだろう。それどころか、こんなヴィヴィッドな作品こそクラシック入門にふさわしいはず。官能と興奮で今年の「サマーミューザ」が幕を開ける。チェコの若き巨匠ヤクブ・フルシャが振る祖国の魂、スメタナ《我が祖国》(7/26(水)・東京都交響楽団)と、マエストロ・チョン・ミョンフンによるベートーヴェン(7/27(木)・東京フィルハーモニー交響楽団)というクラシックの王道名曲プロは、マニアも初心者も必聴。日程中盤に組まれた、ミュージカル界の歌姫・新妻聖子も登場するNHK交響楽団のポップス・プログラム(7/29(土))、名アレンジャーとしても名高い渡辺俊幸が指揮する映画音楽集(8/1(火)・読売日本交響楽団)は、夏フェスらしい肩肘張らない洗練されたお楽しみ。最終週に入って、古楽アプローチを介して名曲の新しい顔を聴かせてくれる鈴木秀美の振るメンデルスゾーンとハイドンは大注目(8/6(日)・神奈川フィルハーモニー管弦楽団)。そして炎のマエストロ小林研一郎の代名詞ともいうべき十八番、ベルリオーズ《幻想交響曲》(8/9(水)・日本フィルハーモニー交響楽団)を聴き逃しては今年の夏が終わらない。フィナーレは秋山和慶&東京交響楽団によるラフマニノフ・プロ(8/11(金・祝))。話題のピアニスト反田恭平がピアノ協奏曲第3番を弾く。他にも特別参加の井上道義&オーケストラ・アンサンブル金沢とゲルギエフ&PMFオーケストラ、久石譲&新日本フィル。川崎市内にキャンパスを置く昭和音楽大学と洗足学園音楽大学のオーケストラ。さらにミューザ川崎のホールアドバイザーを務める、小川典子(ピアノ)、佐山雅弘(ジャズ・ピアノ)、松居直美(オルガン)らの出演などなど、さまざまな趣向の注目公演が目白押しだ。今年の夏も川崎が熱い。取材・文:宮本 明
2017年03月30日指揮者の小澤征爾が総監督を務める音楽祭「2015セイジ・オザワ松本フェスティバル」が8月9日(日)より長野県松本市で行われる。【チケット情報はこちら】同音楽祭は、小澤征爾をはじめ、数多くの名音楽家を育て上げた故・齋藤秀雄の理念を継承し「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」という名称で、1992年より毎年夏に開催。昨年、斎藤秀雄の没後40年とサイトウ・キネン・オーケストラ発足から10年の節目を迎え、今年より小澤の名を冠して新生。小澤征爾のもとに、世界中から優れた音楽家たちが結集し、オペラやコンサート、若い音楽家や小中学生に向けた教育プログラムを行う。ラインナップは、小澤征爾が指揮を務めるオペラ『ベアトリスとベネディクト』(ベルリオーズ作曲)や、オーケストラコンサートBプログラム。同音楽祭への出演は2年連続となる指揮者、ファビオ・ルイージによるハイドンとマーラーの交響曲。音楽祭会期中に、80歳の誕生日を迎える総監督・小澤征爾のバースデーコンサートなどが行われる。「2015セイジ・オザワ松本フェスティバル」は、8月9日(日)から9月6日(日)まで、長野・まつもと市民芸術館主ホールほかで開催。チケットの一般発売は6月6日(土)午前10時より。
2015年06月05日“天使の歌声”の呼び名で愛されるウィーン少年合唱団が来日。4月24日に東京都内で記者会見を行った。ウィーン少年合唱団2014年 日本公演1498年に創設され、かつてハイドンやシューベルトも所属していた伝統あるウィーン少年合唱団。世界の数ある少年合唱団の中でも抜群の人気と実力を誇り、ウィーンの音楽大使として世界各地でコンサートを開催。特に日本へは1955年の初来日以来、度々ツアーを行っており、毎回、完売公演が相次ぐほどの人気を博している。今回の来日メンバーは、日本人団員1名を含むハイドン組の25名。「日本には温かいファンの方が多くて、いつも家族のもとに帰ってきたように感じます。ツアーでは、新しい音楽と出会えるのが楽しみのひとつ。昨年も日本の曲をたくさん歌わせて頂きましたが、すぐに合唱団にとっても大好きな曲になりました」と芸術監督ゲラルト・ヴィルトが挨拶した。東日本大震災の直後からチャリティ公演を開催するなど、惜しみない支援を続けるウィーン少年合唱団。今回の日本公演に先駆けて、去る3月5日にはウィーン楽友協会で行われた震災復興支援プロジェクト「歌う第九コンサート」に出演。シュテファン・ヴラダー指揮ウィーン・カンマー・オーケストラ、南相馬ジュニア・コーラス(MJC)、日本から一般参加した合唱メンバーあわせて約320名と共演し、「第九」ことベートーヴェンの交響曲第9番を演奏した。「今回のプロジェクトで、こんなに大勢の日本人の皆さんが『第九』を歌うことを初めて知りました。ベートーヴェンの『第九』は、もちろん我々オーストリア人にとって大切な曲なのですが、日本の方々にとっても同じように賛歌なのですね。“歓喜の歌”の歌詞にあるように、まさに世界中の人々が一緒になれるという体験でした。また、日本人の皆さんと一緒に歌うということは、合唱団の子どもたちの教育にとっても非常に貴重だったと思います」とヴィルト芸術監督が感想を述べた。会見では「歌う第九コンサート」主催者である社団法人世界音楽合唱チャリティー協会の会長・林昭男と同夫人の歌手・小林幸子も登壇。チケット収入と会場での寄付金全額を南相馬ジュニア・コーラス(MJC)の音楽監督・金子洋一に贈呈した。会見の最後には、日本公演のツアープログラムから、映画『風立ちぬ』主題歌の「ひこうき雲」(荒井由実作曲)、「ラデツキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス作曲)、東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」(作詞:岩井俊二/作曲:菅野よう子)の3曲を披露したウィーン少年合唱団。日本公演は、4月26日(土)のサンシティ越谷市民ホール(埼玉)を皮切りに、6月15日(日)の東京オペラシティ コンサートホール公演まで、全国31公演を開催する。
2014年04月25日東京交響楽団の2013年度シーズンラインナップ発表記者会見が、12月3日にミューザ川崎で行われた。「ユベール・スダーン Grand Finale」と題し、任期最終年を迎える音楽監督ユベール・スダーンとの集大成のシーズンとなる。東京交響楽団の公演情報ユベール・スダーンは、2004年9月の音楽監督就任以降、明確なコンセプトと洗練された音楽作りで、東京交響楽団を国際レベルに通用するオーケストラへと導いてきた名匠。ラストシーズンでは「これまでに最も聴衆の皆さんに満足していただけた演奏、曲目を選びました」と語るように、ハイドンの最初と最後の交響曲、モーツァルトの戴冠ミサとレクイエム、ブルックナーの交響曲第4番、ベルリオーズのロメオとジュリエット、シューベルトの交響曲第2番など、活動の集大成といえるプログラムが並ぶ。また、2013年に生誕200年を迎えるヴェルディとワーグナーについて「各コンサートのアンコールでぜひ取り上げたい」と、現在プログラムを計画中とのことだ。その他、スダーン以外の指揮者陣についても、各々が十八番とするプログラムを据えた充実のラインナップ。特に、自身の成功のきっかけとなった「春の祭典」を指揮する首席客演指揮者クシシュトフ・ウルバンスキ、「アルプス交響曲」を指揮する次期音楽監督ジョナサン・ノットのふたりは注目を集めそうだ。2013年度シーズンは、東日本大震災の被害により現在復旧工事中の本拠地、ミューザ川崎シンフォニーホールのリニューアル・オープンとなる。「ようやく我が家に戻ってくることができます。この2年間は非常に大変な日々を過ごしましたが、素晴らしい楽員たちに支えられ、乗り切ることができました」とスダーンも感慨深げ。4月7日(日)の「リニューアル・オープン・コンサート」では、スダーンが「大好きな作曲家」というブルックナーの作品から、交響曲第9番とテ・デウムを取り上げる。「このホール、このオーケストラ、そして作曲家の偉大さを感じてもらうにはこの曲以外にないと思いました」と、スダーン渾身のプログラムで、本拠地の復活に華を添える。東京交響楽団2013年度シーズンのチケットは、サントリー定期演奏会、川崎定期演奏会、東京オペラシティシリーズが1月16日(水)より順次一般発売。また、2013年度だけの特別企画として、ユベール・スダーン指揮の5公演をセットにした「スダーン・セット券」も1月16日(水)より発売。特典として、CDプレゼントや、スダーン監督との記念撮影などが用意されている(※スダーン・セット券はTOKYO SYMPHONYチケットセンターでのみ販売)。
2012年12月07日“天使の歌声”の呼び名で愛される、世界で最も有名な合唱団、ウィーン少年合唱団が来日。通算26回目となる日本公演に向けた記者会見が、4月26日に東京都内で行われた。「ウィーン少年合唱団 2012年 日本公演」の公演情報1498年に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世によって宮廷礼拝堂聖歌隊として創設され、ハイドン、シューベルトといった大作曲家たちも所属していた由緒あるウィーン合唱団。現在は10歳から14歳の約100名の団員が、モーツァルト組、ハイドン組、ブルックナー組、シューベルト組の計4グループに分かれ、ウィーンのアウガルテン宮殿で全寮制の生活をしている。今回は、日本人団員1名を含むシューベルト組の25名が来日。東日本大震災の直後に予定されていた昨年のツアーは、やむなく中止となったが、現地ウィーンでいち早く復興支援チャリティ公演を実施するなど、日本との絆について大事に考えてきたという彼ら。2年ぶりとなる今回の来日に際して、原発問題などの日本の状況についてウィーンの専門家に調査を依頼。安全性を確認し、保護者とも協議を重ね、賛同を得た上で、実現したという。「震災は非常にショッキングでした。(日本人団員の)友だちは日本に両親がいたので、とても心配していました。今回のツアーが実現して、各地を訪れるのがとても楽しみです」「食べ物もとても美味しいし、高層ビルやジェットコースター、東京タワーとか、ウィーンには無いものがたくさんあるので、日本に来るのが楽しみでした!」と団員メンバーからも来日公演に向けて思いが語られた。会見の最後には、パーセル作曲「来たれ、汝ら芸術の子」、瀧廉太郎作曲「花」、ヨハン・シュトラウス2世作曲「ハンガリー万歳」を披露。「花」では日本人団員のケンシ君が得意のヴァイオリン・ソロで華を添えた。ウィーン少年合唱団 2012年 日本公演は、4月28日(土)の岐阜公演を皮切りに、7月8日(日)まで全国34公演を開催。チケットは発売中。
2012年04月27日“天使の歌声”と称されるウィーン少年合唱団が、2012年の来日ツアー開催を決定した。「ウィーン少年合唱団 2012年 日本ツアー」の公演情報1498年、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世によって宮廷礼拝堂聖歌隊として創設され、かつてハイドンやシューベルトも所属していたウィーン少年合唱団。現在、10歳から14歳の約100名のメンバーは、ウィーンのアウガルテン宮殿内で全寮制の生活をし、モーツァルト組、ハイドン組、ブルックナー組、シューベルト組の計4グループに分かれて活動中。ウィーンの音楽大使として世界各地でコンサートを行っており、なかでも日本でのツアーは毎春恒例となっている。昨年の来日ツアーは、東日本大震災の影響により見送られたが、同4月に地元ウィーンで史上初の全4組合同演奏による「東日本大震災復興のためのチャリティコンサート」を実施。「ふるさと」など日本の歌を披露。その収益金は全額、被災地の学校に送られている。ウィーン少年合唱団 2012年 日本ツアーは、4月下旬から7月上旬まで全国17公演を開催。チケットの一般発売は、東京・神奈川公演が、1月21日(土)10時より、大阪公演が1月22日(日)10時より開始。また一般発売に先駆け、現在チケットぴあではインターネット先行販売を受付中。■ウィーン少年合唱団 2012年 日本ツアー4/28(土) 下呂交流会館(岐阜県)4/30(月) 習志野文化ホール(千葉県)5/3(木・祝) サントリーホール(東京都)5/4(金・祝) 東京オペラシティ(東京都)5/10(木) 長岡市立劇場(新潟県)5/12(土) ザ・シンフォニーホール(大阪府)5/13(日) ザ・シンフォニーホール(大阪府)5/20(日) 東京オペラシティ(東京都)5/26(土) 島根県芸術文化センター「グラントワ」(島根県)5/27(日) プラバホール(島根県)6/2(土) 所沢市民文化センター(埼玉県)6/3(日) サントリーホール(東京都)6/10(日) 横浜みなとみらいホール(神奈川県)6/15(金) 東京オペラシティ(東京都)6/16(土) 東京オペラシティ(東京都)6/17(日) 東京オペラシティ(東京都)7/8(日) サンシティ越谷市民ホール(埼玉県)※その他公演は、決定次第、公式サイトにて発表される予定。
2012年01月16日