『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』が1月10日、新劇場・JR東日本四季劇場[春]で開幕した。東京竹芝の「ウォーターズ竹芝」に生まれたこの劇場は、1998年に開場し、2017年まで同地で稼働していたJR東日本アートセンター四季劇場[春][秋]の後継となるもの。劇団四季の新たな拠点の幕開けは、舞台芸術への愛情と、四季の理念である「人生は素晴らしい。生きるに値する」というメッセージを詰め込んだ、希望に満ちた華やかなショウになった。劇団四季といえば『キャッツ』や『オペラ座の怪人』『ライオンキング』といった海外ミュージカルの日本版上演という印象を持つ人も多いかと思うが、実はショウ作品も人気が高い。これまでも劇団の節目ごとにオリジナルの名作ショウをいくつも作り上げてきた。本作『The Bridge』は本来は昨年7月、JR東日本四季劇場[秋]の開幕を飾る予定だったが、コロナ禍のスケジュール見直しにより変更、このたびの[春]のこけら落とし公演になった。劇場や上演時期の変更、また90分休憩なしという四季のショウとしては珍しいスタイルであることなど含め、開幕まで紆余曲折があったことは想像に難くない。だが、そうして誕生したステージは、斬新でありつつも、四季らしい、四季ならではのものになっている。内容は、『リトルマーメイド』『アラジン』といった人気ミュージカルのナンバーを本番とは違うアレンジ、ダンスで魅せ楽しませるのはもちろん、ファミリーミュージカルや“昭和三部作”といったオリジナル作品の名曲も丁寧に織り込まれる。さらには、劇団の出発点であるストレートプレイ、ジロドゥの『オンディーヌ』、アヌイの『ひばり』といったセリフ劇の要素も組み込み、改めて劇団四季が自分たちのアイデンティティを噛みしめているかのよう。そんな様々な要素をつなぎ、「劇場は夢を見るところ」という力強い思いが全編を貫く。選曲も、祈りや希望を謳うナンバーが揃い、コロナ禍という逆風の中に伝えるべきメッセージを丁寧に選んでいるのがわかる。ことに終盤で歌われる『美女と野獣』の「人間に戻りたい」 ――これは劇中、魔法によって“モノ”に姿を変えられてしまった野獣の城の召使いたちが「人間に戻ったらあれをしたい、これもしたい」と歌う楽曲である―― は、「世の中が落ち着いたら日常を楽しもう、それまで希望をなくさず頑張ろう」というエールに聞こえ、胸にしみた。公演は2月11日(木・祝)まで同劇場にて、チケットは発売中。東京公演の他、3月14日(日)~3月28日(日)までは福岡・キャナルシティ劇場で上演後、4月16日(金)より全国を巡演予定。なお最後に、客席は上演中はもちろん開幕前も私語はほとんどなく、観客も感染症対策にしっかりと協力していたことも特記したい。取材・文:平野祥恵
2021年01月13日劇場版最新作『相棒 -劇場版IV-』の公開を記念して2週にわたって『相棒』劇場版を放送する企画の第2弾として、2月12日(日)今夜は「日曜洋画劇場」枠で『相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン』が放送される。「相棒」シリーズ初の劇場版となった本作。2008年5月1日に公開されると大ヒット、翌月には公開時と同規模の約300スクリーンでのロングランも決定。大きな話題をさらった。東京郊外の巨大なテレビ塔で、「f6」という暗号めいた記号とともに元ニュースキャスター・仲島の遺体が発見される。一方、警視庁特命係の右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は小包爆弾のターゲットとなった衆議院議員・雛子(木村佳乃)の警備を命じられる。予告どおり雛子は爆発物で襲われるがなんとか難を逃れ海外視察へと出発。しかし襲撃現場には「d4」という記号が残されていた。右京と薫は会員制のSNSで「処刑リスト」という掲示板を発見、仲島と雛子の事件が予告されていたことを知る。掲示板には2週間前に事故死した判事の名前も残されており、その現場には「e4」という記号が。右京は暗号がチェスの手を示す棋譜記号であると確信し、一連の事件には関連があると推理する。捜査一課がなかなか犯人に近づけないなかで、右京は独自に捜査を始め「処刑リスト」を管理者から乗っ取ったという謎の人物と真剣勝負へ。ついに「チェックメイト」に持ち込むがゲーム終了と同時に驚愕の事実が発覚する…という物語。主人公の杉下右京を水谷豊が、そしてその相棒である亀山薫を寺脇康文が演じるほか、鈴木砂羽、川原和久、六角精児、岸部一徳、西村雅彦、原田龍二、松下由樹、津川雅彦、本仮屋ユイカ、柏原崇、有森裕子、岸谷五朗、平幹二朗、西田敏行と錚々たるキャストが集結。『探偵ミタライの事件簿星籠の海』などの和泉聖治監督がメガホンを取ってよりスケールアップした“相棒”ワールドが展開される。なお劇場版最新作『相棒-劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』は現在全国公開中。7年前に英国日本領事館で起こった集団毒殺事件と少女誘拐、日本国内に秘密裡に持ち込まれた化学物質、そして東京のど真ん中で行われる世界的なスポーツ大会の凱旋パレード。それらの点と点を、杉下右京が持ち前の推理と洞察力によって線で結んだとき、『相棒』史上最も衝撃的で悲痛なクライマックスがおとずれる――。反町隆史、仲間由紀恵、石坂浩二、そして“元相棒”の及川光博、“元鑑識”六角さんといったシリーズの人気キャラクター総集結で特命係と国際犯罪組織の戦いを圧倒的な映像で描く。日曜洋画劇場『相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン』は2月12日(日)21時~テレビ朝日系で放送。(笠緒)
2017年02月12日12日(現地時間)、フランス・パリの劇場「バタクラン」が多くの犠牲者が出た昨年11月の同時多発テロ事件以来、1年ぶりに営業を再開。スティングがライブを行った。ライブの冒頭、スティングは聴衆に「まず、1年前のテロで命を落とした人々を思い出そう。そして、この歴史ある会場が示す生命と音楽を祝福しよう」とフランス語で語りかけ、「彼らのことを忘れない」と1分間の黙祷を捧げた。昨年11月13日(現地時間)に起きたパリ同時多発テロ事件で、バタクランはアメリカのバンド「イーグルス・オブ・デス・メタル」のライブ中に襲撃され、89名の死者が出た。約1年間の改修工事を終えたバタクランの定員は1,497人。発売されたチケット1,000枚は30分でソールドアウト、約500枚分で犠牲者の家族らが招待された。会場には心理学者やカウンセラーも待機していた。当日、会場には「イーグルス・オブ・デス・メタル」のメンバー、ジェス・ヒューズも献花に訪れたが、バタクランの支配人のジュール・フルト氏に入場を断られた。ジェスは今年3月、事件にバタクランのイスラム教徒スタッフが関与した可能性があるとコメントし、フルト氏は「世の中には許せないことがある。彼は2か月おきに虚偽の話を繰り返す。私たちの警備員を共犯だと告発するなんて、どうかしている。もうたくさんだ」と、彼の入場を拒否したと語った。一方、「イーグルス・オブ・デス・メタル」のマネージャーは「ビルボード・マガジン」に、「ジェスは確かにパリにいましたが、それは家族や友人、ファンたちと1年前の悲劇を追悼するためでした」とコメント。ジェスは最初から劇場に入場するつもりはなかったとして、フルト氏が嘘を喧伝していると非難した。バタクランでは今後、ピート・ドハーティ、ホンダ ステップワゴンのCM曲や坂本龍一とのコラボレーションでも有名なセネガルのユッスー・ンドゥールなどのライブを予定している。(text:Yuki Tominaga)
2016年11月14日