s**t kingz(通称シッキン)は日本ダンス界のパイオニア的なパフォーマンスチームとして世界的に知られている、日本を代表するダンスグループ。それだけでなく、最近ではソロでも日本や韓国のアーティストの楽曲の振り付けやコンサートの演出などを手掛け、アーティストたちからもその実力が高く評価されています。今年は絵本『あの扉、気になるけど』も出版し、マルチな才能がますます開花。そんな彼らが今年12月に「メリーオドリマX’mas」を開催します。毎年、舞台をやり続けてきた彼らが満を持して、今回は踊りまくりなステージを見せたいと語る、その意味は?s**t kingzのみなさんがダンスに出会ったいきさつから、最新ライブへの意気込みまで、たっぷりお話を伺いました。写真・大内香織 動画・千葉 諭 文・尹 秀姫左から、NOPPO、kazuki、shoji、Oguri。--ダンスパフォーマンスはもちろん、アーティストの振り付けやコンサートの演出、ファッションショーへの出演、そして最近では絵本の出版など、活動の幅が群を抜いて広いs**t kingzさんですが、まずは4人のダンスとの出会いについて教えてください。kazuki 僕がダンスに初めて出会ったのは小学5年生くらいの頃。兄も今、ダンサーなんですけど、兄がダンスを始めたのを単純にまねしたのがきっかけでした。当時はダンスのことなんてまったく知らないのに、兄貴がダンスをやるならやろうかな、みたいな感じで始めたら、どっぷりハマっちゃって、今に至るという感じです。当時、たくさん習い事をやっていて、ピアノはサボりたくてしょうがなかったんですけど(笑)、ダンスだけはその時から一生続けていく予感がしていましたね。習い事以外でもやりたいと思っていたくらい、特別でした。NOPPO うちはkazukiとは逆で、習い事は1人ひとつまでと決まっていたんですよ。その当時は算数の塾に通っていて、妹が先にダンスをやっていたんですけど、そこに見学に行った時に楽しそうだったので、試しにやってみたというのがはじまりです。だからきっかけはダンスが好きというよりも、算数がいやだったっていう(笑)。ダンススクールでは友だちもすぐできて、そこからはどっぷりですね。shoji 僕は大学からダンスを始めたんですよ。もともとダンスはやってみたかったんですけど、高校生までは運動神経が悪かったので、やりたいとは言えなくて。大学に入った時、周りには誰も知っている人がいなかったから、ダンスをやるなら今しかない! と思ったのが始まりですね(笑)。完全に大学デビューです。Oguri shojiは最初、スキップすらできなかったもんね(笑)。shoji 自転車も、大学に入ってから乗れるようになったんですよ。いまだに運動神経が悪い名残は残ってて、右手でポイント(人差し指だけを立てる)すると、下に下げてる左手もポイントしちゃうっていう。運動神経のいい人は、別々にできるんですよね。Oguri 僕は、ちっちゃい頃からダンスに対する憧れだけは強かったですね。踊ってる人たちを見ながら、いいなあと思ったり、勝手にライバル視したりしてたんです。だけど、ダンスをどうやってはじめればいいのか、はじめ方がまったくわからなかったんです。身近にダンスしている人がいなかったし、ダンスってそれまでとは違う世界っていう感じがあるじゃないですか。でも、高校生の時に入っていた部活にも飽きてきて、近くにダンス・スタジオがあるのがわかって、ダンスに興味のない友だちを無理やり見学につれて行ったんです。そこで生で見る本物のダンスにハマりました。Shoji 1984年10月24日生まれ、神奈川出身、172㎝、A型。--先日、出版された絵本『あの扉、気になるけど』は、ダンスの動画がQRコードで読み込めたり、s**t kingzさんならではの工夫とNOPPOさんの個性あふれる絵がとても印象的でした。絵本を出版するに至ったきっかけは何ですか?shoji 去年、図書館がテーマの「The Library」っていう舞台をやらせていただいて、その流れで「いつかs**t kingzの本が図書館に並ぶ日が来たらいいな」という思いから始まったプロジェクトだったんですよ。普段、s**t kingzがやってる舞台にはセリフがないんですよね。セリフがないぶん、子どもから大人まで楽しめるし、言葉が違う人たちでも楽しめるというのがs**t kingzの舞台のいいところなんですね。そしてそれって、絵本と似たところがあるんじゃないかと思ったんですよ。絵本も、子どもから大人まで楽しめるし、大人になってから読むのと子どもの時とではまた感じ方が違ったり。s**t kingzとしては、どうしてもダンスを本の中に何かしらの形で落とし込みたかった、というのもありました。子ども向けのダンスではなく、大人が観てもカッコいいと思うダンスを身近で観てもらえたら素敵だなと思ったので、そういう作品を作ろうと思ってできたのがあの絵本でした。--絵本『あの扉、気になるけど』は、s**t kingzさんの結成やメンバーと重なる部分があるんですよね。NOPPO s**t kingzはもともとkazukiがメンバーを集めて、新しいことをやろうよということで、最初はユニットとしてスタートしたんです。でも一緒にやっているうちになんだかしっくり来て、いつの間にかチームになったという感じです。絵本で言うと、kazukiが猫で、僕がロバ、shojiがニワトリで、Oguriが犬。僕とkazukiはもともと幼なじみで、小学生の頃からダンスをやっていたのですが、絵本でも、猫がロバと出会うところからストーリーが始まります。僕らもその後、Oguriと出会って、shojiと出会って、一緒にダンスをするうちに、気づけば4人でいろんなことが達成できました。その過程は、大変だったというよりは、むしろ楽しく笑っていたら、いつの間にかできていたことが多くて。でもこれって、ひとりじゃできなかったよなっていうことがほとんど。そういう僕たちの話を絵本に込めました。絵本は、扉を開けたらまた新しい扉が現れ、なんだかわくわくするねというお話なんですが、実際に僕らもそういう感じでした(笑)。--ダンスに限らない幅広い活動は、絵本のテーマである“扉の向こうにある、まだ見たことのない世界”を、s**t kingzさんが見せてくれようとしているのかな、と感じました。s**t kingzさんがグループとして目指しているものは何ですか?shoji 基本的に、常にチャレンジャーでありたいという思いはありますね。その時々で出会った新しいものにチャレンジする人たちでいたいなと思っています。だから、あまり明確な目標は立てないようにしているんですよ。ゴールを決めちゃうと、そこしか見えなくなってしまうので。それこそ絵本をを出す時も、誰が絵を描く? ってなった時、他の3人がなんとなくNOPPOかなと思って黙ってたら決まったんです(笑)。最初は無茶ぶりかなと思ったけど、絵本を描いたことで、NOPPOのアートな側面が開花するきっかけにもなったりして。だから、その時その時の出会いを大事に、そこから受けた刺激でさらに新しい扉を開けていく、そんなチームでありたいなって思いますね。Oguri 1987年1月6日生まれ、東京出身、172㎝、A型。--先日は「True Colors DANCE -No Limits-」でNOPPOさんが講師を務めたワークショップも開催されました。NOPPO 高校生の頃からダンスを教えるようになって、キッズの教室をもたせてもらったんですけど、それからしばらくはキッズに教える機会がなくて。僕は子どもを教える時は、僕も遊んじゃうんですよ(笑)。楽しんじゃうっていうか。子どもって、言葉で教えるとずっとキラーパスを受けてるみたいな感覚になっちゃうんですよね。だから、キッズからも発信できるようなクラスになったらいいなと。言葉だけでなく、ダンスで触れ合えるようにしたいなと思って、僕が動いたらまねしてという感じで、あんまりしゃべらないようにしています。僕らは海外でもワークショップをさせてもらっていて、最初の頃はどう教えていいかわからなかったけど、ジェスチャーは伝わるんだなっていうのがわかって、その時の経験は今も役に立ってますね。--みなさんがダンスをしながら感じた、ダンスのここが面白い! というポイントは何ですか?kazuki いろいろあるなあ(笑)。Oguri 僕は音楽も好きなので、好きな音楽で踊っている時の幸福感がすごく好きですね。自分が好きな音楽で、好きなように踊っている人を見るのも好き。その人が好きな音楽を目でも感じられる気がするんですよね。音楽って、耳で感じるものだけど、ダンスを通じて、目でも感じることができる。いろいろな刺激を同時にもらえる感覚になれるのって、ダンスならではだなと思いますね。shoji ダンスって、共感できる瞬間を作りやすいと思うんですよね。たとえば、ダンサーは失恋の辛さを踊りで表現したとして、観ている人からすれば、踊っている人に何が起きたかはわからないじゃないですか。でも、自分が持っている悲しい思い出を振り返って、勝手に共感できるんです。だけどもしダンサーが「私は昨日、彼氏と別れて……」と話したとしたら、そこまでの共感は生まれないと思うんですね。ダンスって、単純に感情としてその人の表現を受け取れて、こっちで勝手に解釈して、悲しいとか切ないとか感じることができるんです。言葉がないぶん、感情だけでやり取りできるので、表現する側としても受け取る側としても、すごく楽しい。人によって解釈が違ってもいい、そこがダンスの楽しいところです。NOPPO ただ流行しているからやってみよう、というスタンスのダンスもいいけど、本当にダンスが好きなら、努力してみるというのもいいですよ。次はこういうことをやってみようとか、この人の動きはなぜ素敵なんだろうとか、この曲のこの歌詞を表現してみたいだとか、ダンスのことを考えるだけで感性も育つし、ダンスをするための身体もできあがってくるし、人間的にも成長できると思うんです。ダンスは遊びでもあるけれど、突き詰めて踊ったら、本当に素晴らしいダンスが生まれるんです。そういう面もあるんだって知ってほしいですね。kazuki ダンスをやっていない人にダンスのよさを伝えるとしたら、ダンスには正解がないということかと。僕らはダンスを仕事にしているので、ダンスについて考えなきゃいけないことが山ほどあるんですけど、ダンスってひと口に言ってもいろいろなジャンルがあるんですよ。それに、何をしてもいい。ダンスをはじめる最初の一歩を踏み出すのは大変かもしれないけど、踏み出してみたら後は正解がないから、何をしてもいい。僕らだって、たぶん自己満足の延長でここまできたと思うし。自分が楽しければそれでいい、それくらいの、ふわっとした感じが好きです。楽しみ方がいくらでもあるから。ダンスに何を求めるかによって、悩みも尽きないけど、それが必要ない人がいたっていいし。ひとりで踊ってもいいし、友だちと踊るのも楽しいし、人前で踊って歓声をもらえたら達成感につながるだろうし。作品を表現してみたいんだったら自分で考えるのも楽しいだろうし。いろいろな楽しみ方が無限にあるんです。自分の好きなやり方でダンスをすれば、全員楽しくダンスできるんじゃないかなと思いますね。Kazuki 1986年9月24日生まれ、大阪出身、168㎝、B型。--12月には待望のダンス・ライブ「メリーオドリマX’mas」が開催されます。史上最高に踊りまくり、とのキャッチフレーズがついていますが、どんなライブになりそうですか?shoji とにかく踊りまくる! というテーマなので、今から自分たちを追い詰めています(笑)。今までいろいろな舞台をやらせていただいて、ストーリーの中でパフォーマンスをしてきたんですけど、今までのステージは、言うなれば、1時間半という時間とストーリーがあるからこそ面白いダンス、という感じでした。でも今回は、そういうことをすべてとっぱらって、とにかくいろいろなs**t kingzのダンスを観てもらおうと思って。勢いのあるものから、ハッピーなものから、セクシーなものから、とにかくs**t kingzのダンスのよさをみなさんに伝える、そういうライブにできたらなと思っています。ダンスに興味のない人にはとっつきにくく感じられるかもしれませんが、s**t kingzは常にどうやってみなさんに楽しんでもらえるかを考えて作品を作っているので、安心して観に来てください!NOPPO この舞台をやったら、こういうのはしばらくやらないんじゃないかな。NOPPO 1986年8月19日、神奈川出身、188㎝、A型。shoji たとえば、30分で1つのコントを見せるか、3分のコントを10本見せるかって、同じお笑いでも全然違いますよね。30分だからこそ面白いものもあるし、3分で10本やれば別のものが観られる面白さもある。今回のステージは後者ですね。ダンスって言われると全部同じじゃないの? って思われるかもしれないけど、s**t kingzってこういうダンスもできるんだ!? っていうのを短い時間でたくさん見せる、そういうライブになるんじゃないかなと思います。僕たちにとってもかなりの挑戦になると思うので、ぜひ見届けに来ていただきたいです!kazuki 今回のステージは、ようやくs**t kingzとして1時間半踊れるっていう感じなんですよ。これまでの舞台は役があって、なんとなく設定を守りながら踊ってきたので。でも今回は、s**t kingzの4人としてガツンとステージで1時間半踊れるんです。意外に今までなかったことなので、そういう意味で、本当に踊りまくりですね!Oguri みなさんに笑顔になってもらって、僕らもみなさんの笑顔をクリスマス・プレゼントとして回収するつもりでいます(笑)。shoji プレゼント交換みたいなね(笑)。当日は一応、席はあるんですけど、ライブと銘打っているだけあって、ある曲ではみんな立ち上がってもらって、みたいなこともできたらいいなと思ってます。みなさんの応援のおかげで、早くも追加公演も決まりました! こんなことになるとは僕たちも思ってなかったので、早めのクリスマス・プレゼントをもらった感じですね。このお返しを、ライブでできたらいいなと思っています!s**t kingzさんのコメント動画はこちら!
2019年10月18日新国立劇場バレエ団がケネス・マクミラン振付『ロメオとジュリエット』を上演する。シェイクスピアの悲劇のバレエ化で、1965年の初演以来、世界中で愛されている名作だ。新国立劇場では2001年以来レパートリーに加わり、今回で5演め。押しも押されもせぬ人気演目となっている。主演3キャストのうち木村優里・井澤駿組の、舞台上での衣裳付きリハーサルに潜入した。【チケット情報はこちら】ジュリエットの木村は初役、ロメオの井澤も前回(2016年)は怪我で降板したため、共に観客には初お目見えのフレッシュなコンビとなるふたり。スラリとした容姿が実に舞台映えする。見学した3幕は、ロメオとジュリエットが初めて一夜を過ごしたあとから始まる。ロメオはその前の2幕でジュリエットの従兄ティボルトを殺害してヴェローナの町を追放となり、ジュリエットと離れなければならない。指揮者が振るタクトに合わせ、オーケストラではなくピアノがプロコフィエフの音楽を奏でるという、リハーサルならではの光景の中で展開するのは、愛と嘆きがない交ぜになった切ないパ・ド・ドゥだ。去ろうとするロメオのマントを脱がせ、別れを惜しむ木村ジュリエット。そのジュリエットを切なげに抱きしめ、抱き上げる井澤ロメオ。マクミランの振付は、演劇のように自然かつドラマティックで、ジュリエットの踊りにも両手で手を覆って嘆くなどの仕草が組み込まれるのだが、そうした動きと共に木村の悲しげな息遣いが聞こえてきて、真に迫る。別れの時が来てロメオが去ると、入れ替わりにジュリエットの両親、乳母、そして、婚約者パリスが入ってくる。意に沿わない結婚に抵抗し、懇願するジュリエットだが、両親も乳母も取りつく島がない。そのことを悟ったジュリエットがベッドの上で身じろぎせず何秒間も座り続ける場面があるのだが、彼女が覚悟を決め、結果的に悲劇へと向かう前のこの姿には、心打たれずにはいられない。教会へ出向き、ロレンス神父から仮死状態になる薬を渡されたジュリエットが自室に戻ると、再び両親やパリスが現れる。ここでパリスと踊るジュリエットは、うつろな、まるで魂の入っていない人形のよう。さらに必見なのは、薬を相手に彼女が繰り広げる、怯えや恐怖、決意の表現。木村の瑞々しい表現力が光る。こうしてドラマは、ジュリエットが死んだと思い込んだロメオの自殺、そのロメオを見たジュリエットの慟哭、そして自害まで一気に駆け抜けていく。愛し合いながらすれ違い、それでも互いを想いながら果てる恋人たちの姿を、悲しく美しく描き上げたマクミランの傑作の開幕は間もなくだ。取材・文:高橋彩子
2019年10月17日東京バレエ団が、世界的に活躍する振付家、勅使川原三郎に委嘱した『雲のなごり』を世界初演する。約2週間後に初日を控え、勅使川原によるリハーサルが公開された。この作品には、東京バレエ団から5人のダンサーたちが出演、演出助手で共演もする佐東利穂子とともに、勅使川原との創作に取り組んでいる。リハーサルの冒頭、「いま私たちは、音楽に対しての理解を、誤差のないように、ともに同じ身体言語で捉えようと稽古しています」と語った勅使川原。音楽は、武満徹の『地平線のドーリア』(1966年)と『ノスタルジア-アンドレイ・タルコフスキーの追憶に-』(1987年)、本番ではオーケストラの生演奏が実現する。その独特のサウンドがスタジオに響くと、ダンサーたちはたちまち身体を反応させる。2016年の勅使川原演出のオペラ『魔笛』に出演し、彼の世界は経験済みというダンサーもいるが、皆一様に手探りの状態でのスタート。そんな中にも時折、目を見張るほど美しい瞬間が立ち現れる。創作のプロセスは順調に進んでいるようだ。【チケット情報はこちら】リハーサル後の記者懇親会で、「このような機会をいただき、とても嬉しい。悩むことなく武満さんの音楽でいきたいと思った。『地平線のドーリア』には、独特の、直観的な、身体的な感じを受けていた」と話す勅使川原。藤原定家の歌「夕暮れはいずれの雲のなごりとてはなたちばなに風の吹くらむ」に着想し、「はじまりもおわりもないことがありうるのではないか」と、創作にのぞむ。佐東も、「武満さんの音楽を初めて聴いた瞬間、身体が衝撃を受けたことを思い出します。あらためてこの音楽を捉えなおし、向き合いたい」という。同席した東京バレエ団の斎藤友佳理芸術監督は、「東京バレエ団での新作の初演は、ノイマイヤー振付『時節の色』以来19年ぶり。創立55年でようやく日本人振付家の方に振付をお願いできることになった」と感無量の様子。ダンサーたちも、「どれだけ新しい世界に自分が入ることができるか、挑戦です」(沖香菜子)、「苦戦と模索の日々だが、作品ができる場にいられることは、ダンサーにとっていい経験」(柄本弾)、「稽古場で勅使川原さんが言われる言葉を素直に受け取り、自然と作品になっていくことを目指したい」(秋元康臣)と意欲的。勅使川原も「私が上から色を塗るのではなく、皆の中から何かを引き出すことがこの作品の第一の目的」と、彼らの可能性に賭ける。同時上演は、バランシン振付『セレナーデ』とベジャール振付『春の祭典』。勅使川原の新作とともに、趣の異なる現代の傑作がずらりと並ぶ。公演は10月26日(土)、27日(日)、東京文化会館にて。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2019年10月15日熊川哲也率いるKバレエカンパニー『マダム・バタフライ』が開幕。プッチーニのオペラに熊川独自の目線を加えて送る新作だ。初日のもようをレポートしよう。【チケット情報はこちら】舞台上には、月岡芳年や喜多川歌麿の美人画を思わせる洋装と和装の女性が二重写しになった、オリジナルの幕。実際、和洋の対比は、この作品の大きな特徴となっている。プロローグで、目隠しをした少女の傍らでひとりの武士が短刀で自害する。この少女こそ幼き日のバタフライ。蝶々夫人の父が帝から短刀を下賜されて切腹して娘に短刀を遺し、その短刀で蝶々夫人が自害するというオペラのエピソードを発展させた場面だ。続く1幕1場の舞台は、アメリカ海軍士官学校。卒業を控えた水兵の卵達が、若々しく喜びに満ちた踊りを見せる。教官のピンカートン(堀内將平)が颯爽と登場。敬礼も織り交ぜたダンスが小気味良い。やがて、ピンカートンの恋人のケイト(小林美奈)、さらに色とりどりのドレスに身を包んだ女性達も現れ、男女の踊りの輪が広がっていく。だがピンカートンには長崎行きの辞令が下る。1幕2場は、来日したピンカートンが仲間と遊郭を訪れる場面。小部屋に入った女性達が買い手を待っている。女性達をきびきびととりまとめるスズキ(荒井祐子)。やがて花魁道中が始まった。優美に扇をひらめかせる夜の蝶達の中心にいる花魁(中村祥子)は、憂いを帯びた圧倒的な美しさだ。と、そこにバタフライ(矢内千夏)が飛び出してくる。さくらさくらのメロディで天真爛漫に踊るバタフライに、すっかり魅了されるピンカートン。道化的な斡旋人ゴロー(石橋奨也)の仲立ちで二人の”結婚”が決まり、その場は祝祭モードに。ここまでが、オペラにはない、いわば熊川が創った前日譚だ。2幕以降はオペラをベースに、クライマックスまで、息を呑むような美しく哀しい人間ドラマが展開する。バタフライとピンカートンの結婚式。矢内のバタフライからは、これまで信じてきた宗教を変える戸惑いと、アメリカ人の妻としての誠を捧げようと心を決めるいじらしさが手に取るように伝わってくる。幼馴染のヤマドリ(小林雅也)も祝福するが、バタフライの叔父ボンゾウ(遅沢佑介)はピンカートンに刀を向ける。すると、バタフライがその前に立ちはだかり、さらにあの小刀がボンゾウを止めるのだった。その後のバタフライをいたわるピンカートンとの甘やかなパ・ド・ドゥは感動的。しかしそれは束の間の愛に過ぎず、ピンカートンは帰国。洋装もすっかりさまになったバタフライは、愛の結晶である一子を育てながらその帰りを待つが、彼女を待ち受けるのは悲しい運命だったーー。バタフライが凄絶な覚悟を決めるラストシーンでの、能さながらの舞は必見。なお、この日のレッドカーペットには、三田佳子、コシノ・ジュンコ、斉藤由貴、トリンドル玲奈、デヴィ・スカルノ、瀧川鯉斗も登場。『マダム・バタフライ』世界初演という特別な日を彩った。10月10日(木)~10月14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて公演。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2019年10月04日つい先日『カルミナ・ブラーナ』という大作を世に送り出したばかりの熊川哲也が、早くも次なる新作を発表する。プッチーニのオペラ『蝶々夫人』を全幕バレエ化する『マダム・バタフライ』だ。『カルミナ・ブラーナ』がBunkamura開業30周年記念公演なら、こちらはKバレエ カンパニーの20周年記念公演。本日9月27日に東京・オーチャードホールで幕を開けたあと、10月10日(木)からは東京文化会館 大ホールでも公演を行う。過去には『カルメン』でもオペラのバレエ化に挑んだ熊川。その時はオペラの物語に忠実に沿う形だったが、今回は肉付けを施すと言う。開国まもない長崎で、遊女見習いのバタフライと米兵ピンカートンが出会い、つかの間の結婚生活を送る……という骨子はそのままに、ピンカートンのアメリカ時代や、彼がバタフライを見初めた過程などを追加。アメリカのシーンではドヴォルザークの音楽も使うなど、演出・振付・台本をひとりでこなす、熊川ならではの手法で悲恋物語を描き出す。舞台美術を手がけるのは、オペラやミュージカルでも多くの実績を持つダニエル・オストリング。西洋で生まれた日本が舞台のオペラを、日本人振付家が西洋人デザイナーとともに、西洋の踊りであるバレエで表現する本作。和と洋がどのように融合するのかにも注目だ。文:町田麻子
2019年09月27日熊川哲也主宰のKバレエカンパニー創立20周年記念公演『マダム・バタフライ』がいよいよ9月27日に開幕する。初日を2週間後に控えた9月13日、熊川が「ダンサーたちに“蝶々夫人”が身を置いた当時の日本文化に触れて欲しい」と旧知の東京神楽坂組合理事長 渡辺和子氏の協力で神楽坂芸者衆を招き、唄、三味線、踊りの芸を鑑賞するイベントが行われた。【チケット情報はこちら】熊川は今回の趣旨について「『マダム・バタフライ』はカンパニー20周年を祝う素晴らしい作品になると思います。東洋と西洋の舞踊のコラボレーションを日々模索しつつ、この何か月間、試行錯誤してきました。ダンサーたちは普段西洋のものには慣れ親しんでいますが、日本の文化を知っているようで知らない。この機会に日本舞踊の世界を見て、着物での踊りや日本の“侘び寂び”を感じ、(作品に生かして)演じて欲しい」と語った。カンパニーのダンサー全員が見守る中、神楽坂芸者衆が登場。まずは立方(踊り):きよ乃、三味線:夏栄、唄:眞由美による手ぬぐいを使った「佃流し」、お座敷でフィナーレ曲に使われるというにぎやかな「さわぎ」を扇子の舞で。3曲目は立方:眞由美、三味線:夏栄で深川芸者の艶を唄った「辰巳よいとこ」の踊りで締めくくった。間近で日舞の動きを見ると、膝を曲げたいわゆる「腰を入れた」低い重心でバランスを保っているのがよく分かる。バレエとはまったく違う体の使い方、顔の向きや目の動かし方ひとつで表情を作る様子をダンサーたちは食い入るように鑑賞していた。そして返礼として『マダム・バタフライ』の抜粋シーンを披露。作品の見せ場の1つでもある花魁道中のシーンを、花魁役の山田蘭と振袖新造役の8人のダンサーが踊った。本物の日舞に触れたためか、ダンサーの足を摺るような動き、花魁役の山田の切れ長の目のわずかな動きにも艶のある表情が見え、本番が楽しみになった。続いて成田紗弥、山本雅也のペアが踊ったバタフライとピンカートンの「初夜のパドドゥ」は、伏し目がちな目線での“静”から、感情が高ぶる“動”への変化を大きく見せる美しいパドドゥとなっていた。芸者衆による日本の伝統芸能を鑑賞し、バタフライと花魁役を踊る中村祥子は「普段バレエでは大きく広く踊るけれど、シンプルな顔の動きだけでも表現できるということを学びました」と感慨深そうに述べ、初日をつとめる矢内千夏からは、着物の長い裾の裁き方など具体的な質問も。初日を控えたダンサーたちに新たなインスピレーションを与える貴重な機会になったようだ。20年前から神楽坂のお座敷で芸者衆の芸に親しんでいたという熊川。バレエだけでなく文化への広い興味があってこその意欲的な作品づくりなのだと改めて感じるイベントでもあった。公演は、9月27日(金)~29日(日)までBunkamuraオーチャードホールにて、10月10日(木)~14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて上演。チケット発売中。取材・文:郡司真紀
2019年09月20日<ダンス×演劇×J-POP>という組み合わせで、台詞を使わずに身体表現と音楽で物語をみせるダンスエンタテインメント集団「梅棒(うめぼう)」による舞台『ウチの親父が最強』が現在上演中。大好評の東京公演のレポートをお届けする。梅棒 Extra シリーズ『ウチの親父が最強』チケット情報“梅棒 EXTRA シリーズ”と題した本作は、2014年に上演された第2回公演の5年ぶりの再演。梅棒のメンバー8名(伊藤今人、梅澤裕介、遠山晶司、遠藤誠、塩野拓矢、櫻井竜彦、天野一輝、野田裕貴)に加え、ゲストには、ミュージカルからストレートプレイまで幅広い作品で活躍中の多和田任益、ダンスパフォーマンスに定評がある横山結衣(AKB48)、そして梅棒公演ではお馴染みで本作の初演にも出演したパイレーツオブマチョビアン、鉄棒ダンスで注目を集める上西隆史(AIRFOOTWORKS)、子役の永洞奏瑠美が名を連ねる。初演は、梅棒が初めて長編を披露した作品(第1回公演はオムニバス形式)であり、第2回公演にしてPARCO劇場に進出し、多くの人が彼らの名を知るきっかけとなった大切な作品。ある男女が出会い、結婚し、子供が生まれ、成長し……という家族の物語で、梅棒らしいコメディテイストもしっかりと盛り込まれつつ、全体的に温かでホロリとくる作品だ。梅棒初出演の多和田はその豊かな演技力に加え、長い手足を存分に生かしたダンス、アクションで、登場人物の中でも複雑な役どころを鮮やかに演じていた。ヒロイン役で同じく梅棒初登場の横山は、愛らしくコロコロ変わる感情表現とキレのあるダンスパフォーマンスとのギャップが印象的。さらに、永洞の小さな身体がのびのびと広がるダンスや芝居には心を惹きつけられ、パイレーツオブマチョビアンや上西が繰り出す目を疑うようなパフォーマンスは痛快だ。そして、ときに引き締め、ときにとっちらかし、作品を賑やかに仕上げるのは、やはり梅棒メンバーのパフォーマンス。この絶妙なバランスは、ぜひ劇場で確認してほしい。ここ数年の本公演と比べると、劇場のサイズ感やストーリー展開、選曲(再演版の選曲もあり)に新鮮味を感じ、逆に“今の梅棒”の良さも改めて見えるようにも感じた『ウチの親父が最強』は銀座 博品館劇場での上演を終え、9月20日(金)から23日(月・祝)まで東京・新国立劇場 小劇場、その後、10月19日(土)に福岡・西鉄ホール、10月22日(火・祝)に三重・四日市市文化会館 第2ホール、10月25日(金)から27日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年09月19日熊川哲也率いるKバレエカンパニーが、新作『マダム・バタフライ』を初演する。原作は、ジョン・ルーサー・ロングの小説に基づくプッチーニのオペラ。長崎の元芸者バタフライ(蝶々さん)がアメリカ人海兵ピンカートンの現地妻となって一子を設けるが、アメリカに帰国し本妻ケイトを伴って再び現れたピンカートンに子供を渡し、自害するという物語だ。この題材を熊川は独自のバレエとして生まれ変わらせる。公演を前に、リハーサルのもようが公開された。【チケット情報はこちら】初めに報道陣に対し、熊川が作品への思いを説明。「『マダム・バタフライ』は、米兵と日本女性とのわずか1か月の出来事を描いたピエール・ロティの小説『お菊さん』に、ルーサー・ロングがロマンを加え、美しいストーリーに仕立てたものだと言われていますが、僕は長崎へ行き、これはフィクションではなくノンフィクションだと考えるようになりました。当時の芸者の女性が笑顔も作らずアメリカ人と写っている写真を見た時、“悲しい、ではなく、信念をもって生き抜いたんだと思わないといけないんだな”“日本女性は素晴らしい”と思ったのです」そしてまず公開されたのは、バタフライ(矢内千夏)とピンカートン(堀内將平)が初夜を迎えるパ・ド・ドゥ。直前には、バタフライの改宗に怒った伯父ボンゾウが乗り込んできて、結婚式を台無しにしたところだ。哀しみや不安を湛えて正座するバタフライを、ピンカートンはいたわるように後ろからそっと抱きしめる。その優しい求愛に、バタフライの表情も徐々にほぐれていく。ピンカートンにリフトされ、ひらひらと手を羽ばたかせるバタフライ。やがて愛の喜びの中、バタフライはピンカートンに肩を抱かれ、奥へと消えていく。15歳のバタフライの可憐さと心の繊細な移ろいを、余すところなく踊る矢内。堀内演じるピンカートンの紳士ぶりも印象的だ。続いて披露されたのは、花魁道中。熊川は、ピンカートンとバタフライの出会いの場として遊郭の場面を作った。色とりどりの扇を立体的にひらめかせる女性達。その中央に立つのが、山田蘭演じる花魁だ。笑顔を見せない彼女の表情は憂いを帯び、冒頭で熊川が語った写真を思い起こさせる。女性達の艶やかな色香にすっかり当てられてしまった様子のピンカートン。ダメ押しのように、花魁は彼に流し目をするのだった。日本的な所作を学ぶため、日本舞踊や歌舞伎の映像を参考にしたという矢内はパ・ド・ドゥについて「心の中では色々な感情が渦巻いているのですが、感情をぐっとこらえることで伝えられるものもあるのではないかと思って演じています」。プッチーニの音楽を聴いて今回、余計な振りは要らないのではないかと感じたという熊川は「愛国心とはなかなか言いづらい時代ですが、この作品を観て、同じ日本人として、心を豊かにする清い水のような感覚を味わってほしいと思います」と語った。公演は、9月27日(金)~29日(日)までBunkamuraオーチャードホールにて、10月10日(木)~14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて上演。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2019年09月19日いまヨーロッパを席巻するドイツのバレエカンパニー、「バレエ・アム・ライン」が、代表作《白鳥の湖》を携え初来日を果たす。2009年、スイス出身のマーティン・シュレップァーが芸術監督及び首席振付家に就任すると、作品のクオリティが飛躍的に上昇。斬新な解釈と現代性を備えた振付はバレエファンの目を開かせ、カンパニーは“21世紀バレエ芸術のパイオニア”として人気と称賛を集めている。「バレエ・アム・ライン《白鳥の湖》」チケット情報《白鳥の湖》といえば、台本はプティパ=イワーノフの改訂版、音楽は削除や追加など、原典版から7割方変更が加えられたものが主流とされる。1877年初演のチャイコフスキー原典版で作品を観た人はほとんどいないのが現状だ。そんな中、振付家のマーティンは、小澤征爾が指揮するボストン交響楽団の原典版録音を聴き「これなら衣装やセットに頼らず振付ができる!」と強いシンパシーを抱く。作曲家、指揮者、振付家が、高次元で共鳴し合えた瞬間だった。2018年、初演台本と原典版を用いた新感覚の『白鳥の湖』が完成した。物語にはヒロインの祖父など、改訂版には出てこない人物が多数登場する。劇中には無音でダンサーが踊る場面があるなど、新たなストーリーと演劇的要素の強い振付は観客の想像力を刺激し、ヨーロッパを中心に話題沸騰となった。本作アンバサダーで元宝塚歌劇団花組トップスターの真飛聖は現地を取材し、マーティンにも話を聞いたという。「アム・ラインの魅力についてマーティンさんは『誰ひとり脇役がいない。ひとりひとりのキャラクターを唯一無二の存在として舞台に立たせている』と話してくれて、とても素敵だなと。所属ダンサーも彼に習いたいと集まって来た人がほとんど。マーティンへの尊敬と信頼の念が、多国籍で年齢層も幅広い彼らをひとつにまとめているのだと実感しました」。バレエ経験者の真飛は、彼の作品に固定概念を覆されたとも。「同じ音楽で想像とまったく違う《白鳥の湖》を表現されていて、こんなバレエもあるのかと衝撃でした。ダンサーは衣装や言葉に頼らず表現することの重みを感じているので、ちょっと涙が出そうになるくらい感動的な場面もあり、ひとりひとりの表情まで見逃せません。アスリートのような肉体美から放たれる演者の息吹が躍動感に繋がり、人数以上のパフォーマンスを見るような迫力でした」。尚、2020年、マーティン・シュレップァーは、マニュエル・ルグリの後任としてウィーン国立バレエ団の芸術監督に就任することが決まっている。そのため、彼が率いるバレエ・アム・ラインとしては、今回の初来日公演が最後の上演となる。公演は9月20日(金)・21日(土)東京・Bunkamuraオーチャードホール、9月28日(土)に兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて上演。チケット発売中。また、28日(土)15時公演の前(14:25~14:40)には、真飛聖がアナウンサーとともに公演の見どころを語るプレトークショーが決定。取材・文:石橋法子
2019年09月13日9月に初来日する、ヨーロッパで今最も注目を集めるバレエカンパニー、「バレエ・アム・ライン」。芸術監督を務めるマーティン・シュレップァー氏に、『バレエ・アム・ライン』、また公演する『白鳥の湖』の魅力について聞いた。【チケット情報はこちら】2009年より同バレエ団の芸術監督を務めるシュレップァー氏。すでに名のあるバレエ団ではあったが、氏の改革以来、大きく飛躍してきた。氏が芸術監督となってから変わったことは「アーティスティックな状況の変化」と語る。「新しく5つのスタジオがある”バレエハウス”を作ったこと、そしてカンパニーの名前が変わりました。美徳の部分を変えたと言えるのではないでしょうか。純粋なダンスに目を向けたというのは、決してストーリー性があるバレエをしないとか、嫌いとかではなく、アーティスティックな観点からの変革を続けてきたことで、我々のカンパニーに対する外からの評判や印象が変わったのではないでしょうか」また『白鳥の湖』は日本でも良く知られる古典だが、今作は2018年の同バレエ団の新作。氏が制作する中で一番のインスピレーションとなったのは、小澤征爾のチャイコフスキーだという。「私個人として大型の古典的な作品を取り扱うことを長くテーマにしていたのですが、その準備に3、4年は必要だと思っていました。『白鳥の湖』と『眠れる森の美女』で迷っていたとき、小澤征爾のチャイコフスキー原典版の録音を聞き、倒れてしまうぐらいの衝撃を受け、それが最後の決め手になりました」と話す。また優雅な踊りをイメージするバレエとは違い、同バレエ団の『白鳥の湖』はスピーディな動きも特徴だ。「私のレッスンというのはとても独特ですが、常識外れではない。音楽的なダイナミックさに合わせてすばやく激しく動くことを求めています。私のカンパニーのダンサーは、体格も違うし年齢も国籍も多種多様。日本人では加藤優子さんという素晴らしいダンサーがいて、彼女は47歳ですが偉大なアーティストです。私の作品は身体への要求は高いと思いますが、振付はいつもハーモニー(調和)なものではなく、私自身ヨーロッパ人なのでレジスタント(抵抗性)も好きですし、舞台上でのフリクション(衝突)を大事に思います。舞台上ではハーモニーたっぷりな作品よりドラマがあるほうが面白いものになりますね」公演は9月20日(金)・21日(土)、東京・Bunkamura オーチャードホールにて、9月28日(土)兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて。
2019年09月04日ドイツのバレエ団“バレエ・アム・ライン”が、昨年初演した芸術監督マーティン・シュレップァー振付の話題作『白鳥の湖』を引っさげて初来日する。この有名作が1877年に世界初演された際の台本および音楽の構成に立ち返りつつ、物語よりも人間の心理に焦点を当てて送る、現代的、独創的な作品だ。9月の公演を前に、カンパニー所属の日本人ダンサー、中ノ目知章の取材会が行われた。【チケット情報はこちら】「この『白鳥の湖』の見どころは、音楽の美しさが前面に出ていて、その音とダンスが合っていること、そしてキャラクターそれぞれの個性が出ていることだと思います」と中ノ目は言う。「マーティンが重視したのは、クラシカルな美だけでなく、陰と陽両方の美しさ。この作品ではオデットの継母が悪役として登場し、僕はその継母の側近役を初演から踊っているのですが、演じるにあたっては、悪く見せるのではなく、自分の中に存在する悪い部分をエネルギーとして出すよう努めました」2015年に入団し、現在27歳。シュレップァー監督下で着実に成長してきた。「芸術監督が直々にレッスンを指導することは珍しいと思うのですが、マーティンは週1回ほど見てくれるので、皆、気合が入りますね。彼のレッスンは、ただのウォーミングアップではなく、常に自分の肉体の限界まで行き、そこからさらに高めていくことを求められる。僕は“せっかく良い脚を持っているんだから、もっときちんと使って欲しい”と、毎回のように彼から骨盤の引き上げ方、付け根からの伸ばし方を指導してもらってきました。脚が伸ばせるようになるとしっかり立てるし、上半身もより使えます。マーティン自身、フィギュアスケートの経験があり、ダンスの訓練だけをしてきた人より筋肉が強く素晴らしい踊り手で、ダンサーにもそれを求めるので大変ですが、彼とリハーサルする時は彼より上手に踊るよう心がけています(笑)」せっかくの日本公演だけに「やはり王子を踊りたかった」との思いも口にした中ノ目。「シュレップァー版の王子は、強さだけでなく弱さや、心の変化といったものが、従来版以上に描かれていて、とても人間味があるんです」。とはいえ、2020年よりマニュエル・ルグリの後任としてウィーン国立バレエ団の芸術監督に就任するシュレップァーに誘われ、中ノ目もウィーンへの移籍が決まっているのは、その実力が評価され、期待されている証だ。「マーティンに『良いダンサーだから』と評価してもらえたことは、僕の力になっています。彼はウィーンのバレエ団をヨーロッパ一、世界一のカンパニーにすると言っていて、それはきっとバレエ・アム・ラインでも彼が目指していたこと。なので僕は、彼のもとで世界一のダンサーになるのが目標です」まずは、シュレップァーと中ノ目のバレエ・アム・ラインでの集大成と呼べそうな日本公演、見逃せそうにない。公演は9月20日(金)・21日(土)、東京・Bunkamura オーチャードホールにて、9月28日(土)兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて。取材・文:高橋彩子
2019年08月22日ヨーロッパで今最も注目の高いバレエカンパニー、「バレエ・アム・ライン」による初来日公演が、今年9月20日(金)・21日(土)に東京、9月28日(土)には兵庫にて開催される。【チケット情報はこちら】その演目はバレエを見たことがない人でも知っている有名な演目《白鳥の湖》だ。マニュエル・ルグリの後任として2020年シーズンよりウィーン国立バレエの芸術監督就任が決まっている鬼才マーティン・シュレップァーが世界初演時の原典譜と台本を用いてチャイコフスキーが理想とする《白鳥の湖》を新演出。ファンタジーよりリアリティを追求した物語性豊かな作品は、見慣れた≪白鳥≫のイメージをガラっと変える。日本公演のアンバサダーに就任したのは、元宝塚歌劇団花組男役トップスターで、現在は女優として活躍する真飛聖。真飛は公演の見どころについて、「セットがシンプルで、衣装もチュチュや白タイツは登場しない。人間がシンプルな姿で表現することで、観る者の想像力を掻き立てる演出になっている」と語る。また、ドイツ・デュッセルドルフを訪れ現地でバレエ・アム・ラインのレッスンを見学した真飛。「バレエダンサーは華奢なイメージだけど、バレエ・アム・ラインのダンサーたちは裸足で踊ったり、アクロバティックな振付が多いので、筋肉がすごい!女性ダンサーも肉体がバレリーナというよりアスリートという感じで、バレリーナであんなに筋肉質なダンサーは初めて見ました」とダンサーたちの肉体美を絶賛。自身も小さな頃からバレエをやっていたというが、新しい世界観での《白鳥の湖》に驚きを感じたと言い、「ちょっと敷居が高いなと思う人でも、彼らのスタイリッシュで力強いパフォーマンスを観たら衝撃を受け、その肉体表現にさらに興味が湧いて、もっとバレエを観たいと思ってもらえると思う。これまでバレエを観たことがなくても、気軽に劇場に来ていただけたら」とメッセージを送った。公演は9月20日(金)・21日(土)、東京・Bunkamura オーチャードホールにて、9月28日(土)兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて。またアンバサダーの真飛がドイツ・デュッセルドルフを訪れ、同公演を紹介する特別番組「恋するバレエ~真飛聖魅惑のドイツ旅~」が、8月4日(日)朝5時15分より関西テレビ放送にて、8月25日(日)15時30分よりBS日テレにて放送される。チケットはいずれも発売中。
2019年08月02日熊川哲也が英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍後、Kバレエ カンパニーを設立したのは1999年のこと。古典作品を独自の視点で演出した作品群のほか、稀有なダンサーである熊川の審美眼によって創り出される意欲作も、Kバレエの魅力だ。2014年にはオペラ原作の『カルメン』、2017年には台本や音楽などすべての構成を担当した『クレオパトラ』を世界初演。毎日芸術賞特別賞を受賞するなど、高い評価を得ている。そして今年、カンパニー創立20周年を迎えた熊川が次に挑戦するのは、オペラ『蝶々夫人』の全幕バレエ化だ。都内で行われた制作発表に足を運んだ。【チケット情報はこちら】物語は明治時代、開国間もない頃の日本で展開する。長崎の武家に生まれたバタフライ〔蝶々〕(矢内千夏、中村祥子、成田紗弥のトリプルキャスト)は、家が没落したことで、今では遊女見習いとして遊郭にいた。その頃、海軍士官としてアメリカから赴任してきたピンカートン(宮尾俊太郎、山本雅也、堀内將平のトリプルキャスト)は、たまたま訪れた遊郭でバタフライと出会う。可憐な一輪の花を思わせるバタフライに惹かれ、ピンカートンは港を見下ろす邸宅に彼女を住まわせることにする。ピンカートンに一生を捧げるものと信じて、嫁入り道具や父の形見の短刀を携えやってきたバタフライだったが……。会見では熊川と矢内、中村、成田、そしてピンカートン役のほか本作では振付補佐も務める宮尾が登壇。 和と洋が融合する新たなバレエの舞台を、今まさに制作中という熊川は、「自分自身に“必ず成功する!”と言い聞かせているところ」と笑わせながらも、「非常に悩みましたね」とクリエイティブの苦労を明かす。「我々ダンサーは“アウト”(身体や脚を常に開くバレエの基本)にするという西洋の伝統を受け継いできたわけで、対照的な日本の“イン”の動きを同時にするのは、やはり難しい。なので、日本的な要素はスピリットなものに込めようと思っています」と熊川は語る。その“イン”の象徴ともいえるバタフライ役の矢内は、昨年プリンシパルに昇格したばかり。「日本人だからこそ感じ取れる心情はあると思うので、そこを大切に演じたいです」と真剣な面持ちだ。一方、同じバタフライ役でも、ベルリン国立バレエ団やハンガリー国立バレエ団でプリンシパルの経験を持ち、スケールの大きさが魅力の中村。「自分と一致する部分があまりないので大変ですね」と笑いつつ、熊川の振付には「いつも感銘を受けています」と新たな挑戦を楽しんでいる様子だ。また注目のホープ、成田は「国籍や身分の違いも超える愛を、ステップや音楽に乗せて演じられたら」と初々しく語った。「バタフライが物語でどう見えるかを考え、客席からブーイングが起きるほどのピンカートンにできれば」と話す宮尾ともども、意気込みは充分。Kバレエならではの『マダム・バタフライ』の誕生を、今から楽しみに待ちたい。9月27日(金)から29日(日)までオーチャードホール、10月10日(木)から14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて上演。取材・文/佐藤さくら
2019年08月01日リーボック(Reebok)とヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)がコラボレーション。ユニセックスで着用できる「リーボック × ヴィクトリア・ベッカム」が、2019年7月25日(木)より順次発売される。ダンス&エクササイズ着想のユニセックスウェア2度目のコラボレーションとなる「リーボック × ヴィクトリア・ベッカム」では、第1弾をさらに進化させたユニセックスで着用できるストリートウェア・コレクションを展開。インスピレーション源は、ヴィクトリアが日々行っているストイックなエクササイズと、ダンサーとしての経験だ。スポーツウェアのエッセンスと、トレンド感、80年代~90年代のムードをミックスして、アパレル・シューズ・アクセサリーをデザインした。アースカラー×ネオンカラーキーカラーはアースカラー。カーキやネイビーなどのミリタリーカラーに、スモーキーなピンクを組み合わせた。また、旬なネオンカラーをアクセントにプラスオン。落ち着きのあるアースカラーに、パキっとしたネオンイエローをマッチさせて、躍動的な要素をプラスした。ネオンカラーのスニーカーコレクションのメインとなるシューズは、リーボックが90年代に発売したランニングシューズ「ボルトン(Bolton)」をベースに、アレンジしたもの。シューレースにネオンカラーを大胆に起用して、プレイフルなデザインに仕上げている。オーバーサイズアウターアウターウェアは、バリエーション豊富なラインナップ。ウインドブレーカー、ボンバークルーネック、アノラックを取り揃えた。80年代から90年代初頭にかけてのファッションへのオマージュとなっていて、ブランドロゴとグラフィックを印象的に使用している。ユニセックス仕様のオーバーサイズもポイントだ。バレエ着想のダンススカートまた、バレエからのインスピレーションのもと、アンダーウェアやアパレルをデザインした。ブラジャーはフィット感があり素肌感覚で纏える、ストレスフリーな仕様。繊細な素材で仕上げたオフショルダーのトップスや、エアリーなダンススカートも揃っている。【詳細】「リーボック × ヴィクトリア・ベッカム」発売日:2019年7月25日(木)より順次発売取扱い店舗:バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)銀座店、三越伊勢丹新宿店、ヌビアン(NUBIAN)<アイテム例>・RBK VB ダンス スカート 14,040円(税込)・RBK VB ボルトン ソックロー 30,240円(税込)・RBK VB アノラック 54,000円(税込)・RBK VB オーバーサイズ ボンバー ジャケット 70,200円(税込)【問い合わせ先】リーボック アディダスグループお客様窓口TEL:0570-033-033※電話受付 平日 9:30~18:00
2019年07月28日現代のバレエ界において“レジェンド”という言葉がもっとも相応しいダンサー、アレッサンドラ・フェリとロベルト・ボッレ。彼らが9人のゲストたちと展開する〈フェリ、ボッレ&フレンズ〉。その開幕を前に、ふたりに公演の見どころを聞いた。【チケット情報はこちら】ふたりは今回、Aプロで上演されるアシュトン振付『マルグリットとアルマン』で共演。オペラ「椿姫」と同じ、デュマ・フィスの小説を原作とした35分ほどの作品だ。「私の大好きなバレエなの。これより先に、ジョン・ノイマイヤーが振付けた『椿姫』でもマルグリットを踊っているけれど、おかげでアシュトンのマルグリットでも、そのキャラクターの陰影を心の底から理解して演じることができているわ」と話すフェリ。ボッレは、彼女が演じる高級娼婦マルグリットに恋する純粋な青年、アルマンを踊る。「非常に密度の濃いバレエです。この作品を核に、いくつもの宝石をちりばめるようにしてプログラムを組みました」と話す。その美しい容姿から、イタリアの貴公子と呼ばれてきた彼だが、長く芸術監督を務める〈ボッレ&フレンズ〉の初の日本公演となる今回、実に対照的なふたつのプログラムを組んできた。「いっぽうのBプロは、(ジョン・ノイマイヤーが芸術監督を務める)ハンブルク・バレエ団のダンサーたちも参加して、敬愛するジョンにオマージュを捧げるプログラムに。僕が踊る『オルフェウス』は彼が僕に振付けてくれた作品だし、アレクサンドル・リアブコとは、ジョンが振付家ベジャールの70歳の誕生日に捧げた『作品100~モーリスのために』を踊ります」(ボッレ)。フェリも、「今回は私たちが80歳を迎えたジョンへのお祝いと、感謝の気持ちを込めたいわ。私も『バーンスタイン組曲』でハンブルクの彼らと共演し、また、私にとって極めて特別な作品、『フラトレス』を踊ります」。イタリアの伝説的女優、エレオノーラ・ドゥーゼを題材とし、フェリのために創作されたバレエ『ドゥーゼ』、その第2幕に配された場面だ。「瞑想的で、スピリチュアルな作品です。それは死後の世界であり、すべてがゆるやかに進む、まるで禅の庭のような美しさです」(フェリ)『ロミオとジュリエット』や『マノン』などのドラマティックな役柄で一世を風靡したフェリ。44歳で1度引退するも50歳で見事に復帰、多くの人々を魅了し続ける彼女の、まさに新境地だ。ボッレも、「Aプロ、Bプロと全く違う世界をお見せすることになるから、両プログラムとも観ていただかなきゃ、損ですよ!」と笑顔を見せた。公演は7月31日(水)~8月4日(日)、東京・文京シビックホールにて。チケットは発売中。取材・文;加藤智子
2019年07月26日他の追随を許さぬエレガンスで世界のバレエシーンの最高峰であり続けるパリ・オペラ座バレエ団より、エトワール(最高位ダンサー)のドロテ・ジルベールやマチュー・ガニオら、トップダンサー5名が来日して日本初演の2作を披露した『ル・グラン・ガラ』から1年半。新たに3名のオペラ座ダンサーが加わるなど、さらにパワーアップした『ル・グラン・ガラ2019』が、7月23日(火)に文京シビックホール 大ホールで開幕する。まず上演されるAプロは、昨年にはなかったクラシック作品を中心としたガラ公演。ヌレエフ版の『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『ライモンダ』に加え、フォーサイスからローラン・プティ、マクミラン、バランシン、プレルジョカージュまでの名作が並ぶ、バレエ初心者でも楽しめること間違いなしのバラエティ豊かなラインナップだ。そしてBプロは、昨年の2作が好評を博した振付家、ジョルジオ・マンチーニが出演ダンサー8名とともに目下創作中の『マリア・カラスへのオマージュ』と、バランシンの『ジュエルズ』より“エメラルド”と“ダイヤモンド”。世界初演の新作と、すでに定評ある作品を続けて観ることができる、こちらも魅力的なプログラムとなっている。日本にいながらにして、世界最高峰のバレエ団の“今”を心ゆくまで堪能できる公演となりそうだ。文:町田麻子
2019年07月23日ロシア・バレエ界の巨匠振付家ボリス・エイフマン率いるエイフマン・バレエが21年ぶりに来日。東京公演を控えた7月17日、在日ロシア大使館にて記者会見が行われ、エイフマンをはじめ、ダンサーのリュボーフィ・アンドレーエワ、オレグ・ガブィシェフ、リリア・リシュクが出席した。【チケット情報はこちら】この日、日本に到着したばかりだというエイフマンは「成田からここに来るまで、車窓を眺めながら昔のことを思い出していました」と感慨深げ。1990年代初頭、祖国が困難に見舞われる中、日本からの招聘に応じ来日を果たしたが「日本での公演は、私たちの選んだ道が間違っていない、正しい道を進んでいるという自信を授かった大切なツアーとなりました」と振り返る。そして、最後の来日公演から20年もの時を経て、再び日本での公演を迎えるがエイフマンは「日本に“戻ってきた”のは私エイフマンだけであり、バレエ団はみなさんがまだ知らない、新たなエイフマン・バレエです」と過去とは切り離された新たなバレエ団であることを強調。「私たちが世界中で受け入れられるその秘密は、肉体を言葉として、人間の心理を表現することができるからです」と語り、“古典”と“モダン”という言葉で比較されがちなエイフマン・バレエのスタイルについても「感じてほしいのは私たちの芸術。モダンでも古典でもなく、すべてを含んだ新しい、私たちのスタイルです」と唯一無二のオリジナリティへの強烈な自負をのぞかせた。今回、トルストイの傑作小説をチャイコフスキーの音楽に乗せて描く『アンナ・カレーニナ』と“考える人”で知られる彫刻家ロダンと彼が愛した女たちの物語『ロダン ~魂を捧げた幻想』が上演される。既に滋賀、静岡での公演が行われたが、ロダンを演じるガブィシェフは「ロダンを踊りながら、聴衆が集中し、ロダンの苦悩を共に受け止めてくれているのを感じました」と嬉しそうに語る。既に8年にわたりこの演目に向き合ってきたが「日本で踊るロダンは、日本人似のロダンになる気がしています(笑)」と語っていた。今回、初来日となるアンドレーエワは、ロダンの弟子であり恋人でもあったカミーユを演じるが、静岡での公演での日本の観客の反応に「温かく受け入れ、理解していただけたことに安堵を覚えました」と笑顔を見せる。改めて、ダンサーとしてエイフマン作品に参加する醍醐味を尋ねると、「新たな演目、役柄に出会うたびにワクワクし、役柄を通して自分さえも気づかなかった自分を発見しています」と力強く語った。そして、ロダンの内縁の妻・ローズを演じるリシュクは作品について「ありふれた伝記ではなく愛憎劇です。いまの時代、CGで何でも作ることができますが、私たちは肉体で素晴らしい彫刻を作ることができ、それは人々の心を動かすのではないかと思います」と語った。東京公演は7月18日(木)~21日(日)まで東京文化会館にて開催。取材・文・撮影:黒豆直樹
2019年07月18日歌あり、ダンスありのコメディ・ミュージカル映画『ダンスウィズミー』より、三吉彩花のダンスシーンの裏側を映すメイキング映像が到着した。本作は、「突然歌って踊り出しておかしくない?」をテーマにした、これまでにない全く新しいミュージカル作品。音楽を聞くと、勝手にカラダがミュージカルしてしまう状況に陥ってしまう主人公・静香を三吉さんが演じている。今回、オーディションにてこの役を射止めた三吉さんは、公開中の予告編でも分かるように、劇中では笑顔のダンスシーンを披露。しかし、そんなダンスシーンの撮影のため、地獄のようなトレーニングが続いた。クランクインの2か月前、三吉さんのスケジュールは本作のために割かれ、歌やダンス、振り付けのみを教わる日やポールダンス、テーブルクロス引きなど様々な特訓の連続。さらに、クランクイン後も続き、歌とダンスのトレーニングは250時間も費やしていたという。到着したメイキング映像では、三吉さんが足をアイシングしてもらう姿や、監督のOKに笑顔でやしろ優とハイタッチする姿などが収録。また、矢口史靖監督の「もう1回」が飛び、撮り直し続出。オフィスのデスクの上をまるでランウェイのように軽やかにステップを踏み、笑顔でフィニッシュを決める「Happy Valley」のシーンでは、最後の笑顔が決まらないために、何度もテイクを重ねており、その度にシュレッダークズを拾っては撮影の繰り返しだったそうで、三吉さんの顔から笑顔が消えていく様子もとらえられている。『ダンスウィズミー』は8月16日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ダンスウィズミー 2019年8月16日より全国にて公開Ⓒ2019映画「ダンスウィズミー」製作委員会
2019年06月29日プロ振付師の頂上決戦として、数多くの人気振付師を輩出してきたことで話題のエンタメ作品コンテスト『Legend Tokyo』。本大会はオリンピック開催にともなう会場都合で、昨年東京での最終章を迎えたが、7月6日(土)・7日(日)、名称新たに『Legend UNIVERSE』として大阪で開催される。「Legend UNIVERSE 2019」チケット情報今回は、今まで本大会が輩出してきた関西の人気振付師が勢揃い!中でも最大の注目株は、「バブリーダンス」で社会現象を巻き起こした、人気振付師akane率いる登美丘高校ダンス部の高校生たちが参戦。『Legend Tokyo』では2015年、2016年と2年連続審査員賞を受賞してきたakaneだが、今回は大阪開催とあり、登美丘高校ダンス部名義で史上初となる部員総動員での参加が決定。まさに、この日しかみられない総勢75名の圧巻の舞台作品が披露される!akaneは「今までさまざまな大会に挑戦してきた登美丘高校ダンス部ですが、開催地が東京であったり人数制限があるなど、部員全員で参加できる機会がありませんでした。今回は大阪開催であり、プロ振付師の大会なので作品持ち時間も5分間と長く、舞台セットや照明も使える状態の作品創りを含め、やりたいことを存分にできるので、これまでにない新しい登美丘高校ダンス部をみていただけるはずです!」と語る。また、もうひとつの注目は、目隠しをした状態で完璧なフォーメーションダンスをすることで話題のMemorable Momentより、谷川香織理、NAOのメンバーふたりが振付師として渾身の新作を持って大会に参戦する。さらにMemorable Momentはチーム全体としてゲスト作品を披露するほか、リーダーKAORIaliveがオープニング新作を披露。また、大会MCを務めるのは『Legend Tokyo』の2代目覇者として名高い、梅棒のリーダー伊藤今人。まさにこの日、日本のダンス・エンタメのオールスターが大阪に集結する。果たしてこの戦いを制し、関西大会初の最優秀作品賞“レジェンド”に輝くのは誰なのか!?『Legend UNIVERSE』は7月6日(土)・7日(日)、大阪・オリックス劇場にて。チケットは発売中。
2019年06月27日今年も古川雄大、大野拓朗のW主演で上演された、小池修一郎演出のミュージカル『ロミオとジュリエット』。若さゆえの衝動、苛立ち、興奮が軸となる本作で、見事ダンスという手法でそれらを表現したのが京都出身の振付師KAORIalive。若手俳優の登竜門的作品は、今や若手ダンサーらの憧れのステージにもなっている。とりわけ情感豊かな群舞の振付に定評があり、小池とのタッグでは他にミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』などの大ヒット作でも知られる。そんな彼女が主宰する表現系ジャズダンスチームMemorable Momentが、昨年好評を博した最新ダンス公演『ロミオが描いたジュリエット』を関西で初めて上演する。Memorable Moment「ロミオが描いたジュリエット」チケット情報物語は、クラウンが「ロミオとジュリエット」に魔法の筆でいたずら書きをする所から始まる。ページを破り他の童話と混ぜ合わせると、自らも本の中に吸い込まれてしまう。対立し合う王国、幸せの青い鳥が見えない子供たち。離ればなれになったロミオとジュリエットは、いつしか自分たちの手で“真実の物語”を描き始めて……。純愛劇の一方でKAORIaliveは現代性も重視。童話に出てくる「青い鳥」をツイッターに見立てるなど(!)、SNS依存が蔓延する現代の風潮にも警鐘を鳴らす。同時に情報過多の時代に「人生は自分の手で切り拓く」という大きなテーマを盛り込んだ。曰く、「原作では主人公らが互いへの愛ゆえに死を選びますが、今作ではまた違った決断をふたりが下す。死の描き方にもこだわりました」。見学に訪れた稽古場では、ロミオ役の大柴拓磨ら主要メンバーが和気あいあいと振付の最終確認を行っていた。見学したのは登場人物の紹介場面。本番では誰もが知る童話のキャラクターが映像から飛び出たような趣向で楽しませる。「しかも弱虫のピノキオがマッチョに変身したり。クラウンのいたずらでそれぞれの性格が少しずつ変化する」のも見もの。コミカルな芝居仕立ての場面から華麗なジャンプ、ターン、決めポーズまで。流れるような場面転換で一瞬たりとも飽きさせない。本番ではさらに映像や音楽、衣裳の効果も加わり、これが台詞のない公演であることを忘れるほど、物語に見入ってしまうはずだ。じつは作品が完成した一昨年前、開演直前に暴風警報が発令され上演が中止となった過去がある。内容に磨きをかけて挑んだ翌年の初演では、「感動で涙が止まらなかった」など、大きな反響を呼んだ。KAORIaliveたちもいつになく手応えを感じ、今回の関西初演に踏み切った。「ダンスへの興味のあるなしに関わらず多くの人が楽しめる作品を目指しました。劇場に入った瞬間から始まる物語の世界をお楽しみください」。公演は6月22日(土)、23日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。ゲストダンサーに大柴拓磨、SAWADA(WRECKING CREW ORCHESTRA)、KIMIKO(chore0ringz)、TUKI(TUKIとKUMA)を迎える。取材・文:石橋法子
2019年06月19日今年7月、21年ぶりの来日公演が行われるエイフマン・バレエ。その公演を控えた6月2日、上演作品の『アンナ・カレーニナ』『ロダン~魂を捧げた幻想』について、文学、美術の専門家を講師に招いた「エイフマン・バレエ来日記念講演会」が開催された。【チケット情報はこちら】『アンナ・カレーニナ』についての講師は、東京外国語大学教授でロシア文学研究者の沼野恭子。まず小説に登場する3組の家庭の関係性の解説から始まり、冒頭の有名な一文「幸福な家庭はどれもみな似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」を引用。小説では「幸福と不幸」「都会と田舎」「生と死」など対比のコントラストが効いていることを紹介した。また機械文明の象徴として「鉄道」が物語の伏線となっている点など、小説を読み解くヒントを提示し「当時のロシア社会がリアリスティックに、端整な文体で描かれている。読書の快楽を味わうことができる名著」とその魅力を語る。さらに小説とバレエでは描かれ方が違うことに触れ「小説がどのように“アダプテーション”(原作を映画や舞台に脚色、翻案すること)されているかを観るのがもっとも楽しい。バレエという身体言語で文学をどのように表現しているのかも見どころ」と締めくくった。続いて、彫刻家オーギュスト・ロダンの創作魂に迫る『ロダン~魂を捧げた幻想』にちなみ、ロダン・コレクションで知られる静岡県立美術館の上席学芸員、南美幸が登壇。ロダンが一躍有名になった作品「青銅時代」について、そのリアルさが物議を醸したことや、代表作「地獄の門」「カレーの市民」の制作過程について、写真を交えながら解説した。またバレエでも描かれている、妻ローズと助手で恋人のカミーユとの三角関係に言及し、カミーユがロダンとローズを揶揄して描いたデッサンや、3人の関係を表現した彫刻「分別盛り」など、愛憎うごめく作品も紹介。晩年のロダンがニジンスキーの『牧神の午後』を賞賛し、彼をモデルにした彫刻を作っているという話もバレエファンにとって興味深い内容だった。最後にサンクトペテルブルクで『ロダン』を鑑賞し、バレエ団の稽古も見学した舞踊評論家の桜井多佳子が登壇。長身の美しいダンサーたち(ダンサーの採用基準は男性が184cm、女性は173cm以上)がアクロバティックな動きを繰り広げる興奮と、音楽の効果的な使われ方の面白さについて臨場感たっぷりに語った。文学、美術講座としても知識欲を刺激する贅沢な内容の2時間で、バレエファンはもちろん、文学、アート好きにとっても楽しめる公演になることを確信する講演会だった。公演は7月13日(土)に滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール、7月15日(月)に静岡・グランシップ(静岡)中ホール・大地、7月18日(木)~21日(日)まで東京・東京文化会館にて行われる。取材・文:郡司真紀
2019年06月12日バレエ、カッターシューズの新作が発売2019年5月31日、株式会社チヨダよりオリジナルブランド「cloverleaf(クローバーリーフ)」の新作が3タイプ発売される。定番デザインのフラットバレーシューズである品番CL-1001は、ブラック、ブラック/エナメル、レッド/エナメル、シルバー、ブルー/パイソン、ピンク/パイソンの6色展開。サイズは22.0~25.0cm(ブルー/パイソン、ピンク/パイソンは23.0~24.0cm)となっており、本体価格は3490円。ヒールの高さが3cm、美しく足を演出するバレーシューズである品番CL-1002は、ブラック、ブラック/エナメル、レッド/エナメル、ベージュ/シルバー、グレー/シルバーの5色展開。サイズは22.0~25.0cmとなっており、本体価格は3490円。かかと部分にパットが備わった、フィット感が心地よいカッターシューズの品番CL-1003は、ブラック、ブラック/パイソン、ゴールド/パイソン、シルバー、サックス/スエード、ピンク/スエードの6色展開。サイズは22.0~25.0cm(サックス/スエード、ピンク/スエードは23.0~24.0cm)となっており、本体価格は2890円。全国のシュープラザ、東京靴流通センター、靴チヨダ、CHIYODA HAKI-GOKOCHI、クローバーリーフ、公式オンラインショップにて販売される。嬉しい機能が備わった万能アイテム今回発売される品番CL-1001、品番CL-1002、品番CL-1003には抗菌防臭加工クッションインソールが備わっており、衛生面が気になる女性には嬉しい仕様となっている。また、バレエシューズタイプの品番CL-1001、品番CL-1002には足にフィットするよう、つま先部分のリボンに工夫が施されている。キャッチコピーである「ふらっとふんわりちょうどいい」を再現したバレエ、カッターシューズは、コーディネートに合わせて何足もそろえたくなる万能アイテムだ。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社チヨダのニュースリリース
2019年05月30日熊川哲也のKバレエがおくる『シンデレラ』は2012年に初演された。誰もが知るシンデレラの物語を、美しさと上質なユーモア溢れる演出で見せる今舞台が5月24日(金)から上演される。その公開リハーサルでは、今シーズンにプリンシパル・ソリストとして入団し、初主演に抜擢されたふたりの稽古シーンがお披露目された。【チケット情報はこちら】シンデレラを演じる成田紗弥は、韓国のユニバーサル・バレエ団から移籍。芯の通った身体と儚げな表情の、健気なシンデレラだ。1幕より『シンデレラと継母たち』の場面では義姉妹(杉山桃子、高橋怜衣)と義母(ルーク・ヘイドン)にこき使われ、働かされる。布、ほうき、鞄、ドレスなど小道具の多いシーンで、段取りが難しい。指導の浅川紫織が「火を焚く時はオーバーに全身を使って小道具を見せて」と示すと、とたんに客席からも見やすくなる。自然な動きを心がけ、物語を繋いでいく浅川の指導を受け、成田は「振付を覚えるのと、表現力をつけるのが大変」とくらいついていく。働かされ耐え忍ぶシンデレラだが、ひとりになると亡き母親の形見を取り出し、幸せだった思い出に浸る。その時間だけは、愛された少女のように軽やかだ。成田の持つ儚さとあいまって、幸せと寂しさを同時に表現する。2幕より披露されたのは『シンデレラと王子のパ・ド・ドゥ』。矢内千夏の明るいシンデレラに対し、高橋裕哉の王子は少し控えめで初々しい。指導する遅沢佑介が高橋に「相手の体重が右肩に乗るまで待って」「ここはシンデレラの動きに自分の動きを重ねて」と、身体の状態を具体的に示していく。ハンガリー国立バレエ団から移籍したばかりの高橋は「的確にステップを押さえていかないと綺麗に見えない」と、演技よりもまずひとつひとつの振りを身体に落とし込んでいく。高橋の身体が安定感を増せば、矢内が輝いて見える。そのシンデレラを見つめて嬉しそうに笑う王子。ふたりの表現がなめらかに重なり合い、恋人たちのうっとりとした場面ができあがっていく。本番にはほかプリンシパルの宮尾俊太郎、中村祥子らが出演。4人のシンデレラと4人の王子によるKバレエ『シンデレラ』は、5月26日(日)まで東京・東京文化会館、5月31日(金)から6月2日(日)まで東京・Bunkamura オーチャードホール、6月4日(火)に静岡・アクトシティ浜松、6月6日(木)に大阪・フェスティバルホールにて上演。熊川独自のアイデアが光る夢のような『シンデレラ』の世界へ誘う。取材・文:河野桃子
2019年05月20日デュッセルドルフとデュースブルグの2か所に本拠地を置くライン・ドイツ・オペラのバレエカンパニー、バレエ・アム・ラインの初来日公演が決定!演目は作曲家・チャイコフスキーの中でも特に有名なバレエ作品である『白鳥の湖』で、9月20日(金)・21日(土)東京・オーチャードホール、9月28日(土)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールにて上演される。バレエ・アム・ライン「白鳥の湖」チケット情報バレエ・アム・ラインでは、スイス出身の振付家であるマーティン・シュレップァーがチャイコフスキーの原典版音楽(通常バレエに使用されているのは変更、削除、他曲が挿入され、ほぼ30%が原典版と異なる)を使用し、台本は世界中で上演されている“プティパ・イワーノフ改訂版”ではなく改変前のオリジナルを使用。『白鳥の湖』おなじみの白タイツやチュチュを衣装に取り入れず、陰影を際立たせる演劇的要素の強い照明や多国籍なダンサーたちの個性を生かした振付で、これまでにないスタイリッシュで力強くスピード感のある新しい『白鳥の湖』を創り出した。このシュレップァー版『白鳥の湖』は2018年6月、ドイツで世界初演を迎え、その個性的なダンスをはじめ、衣装や照明、美術、そして“古典”と“モダン”を融合させた斬新な演出が話題を呼び、チケットは即日完売、連日観客を熱狂させ大成功を収めた。ヨーロッパで強烈なインパクトを与え続け、いま最も注目されているバレエの革命集団のが創り出す“究極のアート”の世界をぜひ体感してほしい。チケットは5月25日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、東京公演は5月24日(金)23:59まで、兵庫公演は5月23日(木)23:59まで先行先着プリセール実施中。
2019年05月17日女性らしさと快適な履き心地を同時に実現するバレエシューズ。高さがないのに華やかで、ガーリーなスタイルはもちろん、ハンサムなきれい目コーデにもお似合い。長時間ヒールを履いた後、足をいたわるサブシューズとしても活躍してくれます。かさばらないので、持ち歩いて履き替えてもいいですね。 定番のブラックで、気分はパリジェンヌADAM ET ROPE’ FEMME - メタリックバレエ ¥12,960(税込)まずは定番、エレガントなブラックのバレエシューズ。内側には「保温性・吸汗性・防汚性・速乾性」に優れたやわらかな素材を用い、履き込むほど足になじんでフィット。ベーシックなデザインに甲浅のシルエットが、まるでフランス女優のような飾らない美しさを叶えてくれます。 とにかく使える、スタイリッシュなシルバーPORSELLI - NORMAL VAMP シューズ ¥33,480(税込)毎シーズン即完売、イタリア老舗ブランド『PORSELLI』のバレーシューズ。新色のシルバーは、スタイリングのポイントに最適。シボの入った革素材が大人っぽい一足です。履いていることを忘れてしまいそうな軽い履き心地で、重たくなりがちな今時期の着こなしから重宝します。 ありそうでなかった配色に夢中!Le Talon GRISE × 竹下玲奈さんコラボ - ポインテッドバレエ ¥10,584(税込)ヘルシーかつ個性的なファッションと、小粋なライフスタイルで注目を集めるモデル・竹下玲奈さんとのスペシャルコラボ。パイピングのパープルが効いたイエローは、ありそうでなかったアートな配色。パッと視線を集める、春らしい足もとをつくってくれます。トレンドのポインテッド・トウに、華奢で女性らしい極細のリボンもこだわりのポイント。 フェミニンな透け感を楽しんでSPELTA - メッシュバレエシューズ ¥23,760(税込)大胆なメッシュ使いが新鮮なバレエシューズは、エアリーな素材感がシーズンムードたっぷり。小さなリボンと、かかとのレザー使いも印象的です。素足にペディキュアでセンシャルな雰囲気を演出したり、カラータイツやソックスで遊ぶのもまた乙。涼しげな印象で、夏まで大活躍の予感! 赤エナメルのツヤでいっそう華やかにLe Talon - ポインテッドエナメルバレエ ¥8,424(税込)華やかさのあるエナメル素材で、大人の女性に似合う上品な一足。深みのあるレッドは、エレガントな差し色として、シーズンレスに使える便利なカラーです。ブランド定番のやや甲浅シルエットで、指のまたがのぞく感じが絶妙。インソールに低反発クッションを使用し、足あたりやわらかなのも嬉しいですね。 長時間にわたって足を酷使する1日に、ヒール靴は現実的ではありませんね。そんな時バレエシューズなら、リラックス感のある履き心地に加え、程よい「きちんと感」が付いてきます。幅広い相手に好印象を与えてくれる便利なアイテムです。 text : FACY LADY 編集部 【関連記事】 ※ 買い逃せない!人気ショップの売れ筋「春コート&リネンアイテム」 ※ ロング丈がトレンド。春ムードを盛り上げる「大人の花柄スカート」 ※ ミリタリー初心者にも◎ 大人っぽく着られる「ショートモッズコート」
2019年04月24日バレエイベント「上野の森バレエホリデイ2019」の一環として、クイーンのフレディ・マーキュリーに捧げられたバレエ作品「バレエ・フォー・ライフ」の特別野外上映を、東京国立博物館にて、2019年4月26日(金)・27日(土)の2日間で行う。同演目は、クイーンを代表する17の名曲に20世紀最大の振付家モーリス・ベジャールが振付けたダンス・パフォーマンスで、ダンサーたちがお馴染みのヒット曲に合わせてエネルギーに満ち溢れた踊りを披露する。1997年に名門モーリス・ベジャール・バレエ団によって初演された際には、カーテンコールにブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、エルトン・ジョンが登場。「ショウ・マスト・ゴー・オン」をライヴ演奏したという、クイーンお墨付きの作品だ。実はクイーンのフレディ・マーキュリーは、当時バレエタイツを衣裳として着用していたり、英国のバレエ団の舞台に立ったこともあるというエピソードが残っている。作品中にはレザージャケットやバレエタイツを身に着けた“フレディ”も登場するほか、「クイーン・ライヴ!! ウェンブリー1986」や「ライヴ・キラーズ」といった伝説のライヴの音源も交えるなど、さながらコンサート会場と劇場を行き来するような感覚が楽しめる。この作品は90年代に一度映像化されたものの、その後絶版となった「バレエ・フォー・ライフ」は、現在モーリス・ベジャール・バレエ団の公演でしか接する機会のない幻の作品。この機会に、重要文化財である表慶館の前に設置された特別スクリーンで、『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットで沸くクイーンとバレエの魅力に触れてみてはいかがだろう。【開催概要】上野の森バレエホリデイ2019 野外シネマ「バレエ・フォー・ライフ」開催日:2019年4月26日(金)・4月27日(土)時間:19:00〜上映開始(20:45 終了見込み)※雨天中止。※18:50〜19:00まで、小田島久恵(音楽ライター)によるプレトークあり。会場:東京国立博物館 表慶館前(東京都台東区上野公園)料金:無料※東京国立博物館の入館料が別途必要※高校生以下、および満18歳未満、満70歳以上は無料。座席:250名※座席が満席となった場合は、芝生や周辺に座る事が可能。【問い合わせ先】NBSチケットセンターTEL:03-3791-8888(平日10:00-18:00/土曜10:00-13:00/日祝休)
2019年04月19日元SMAPの香取慎吾が、ファミリーマートのフラッペシリーズの新商品“チーズケーキ”フラッペのイメージキャラクターに就任。香取がダンスを披露するチーズケーキフラッペのテレビCM「ファミマのフラッペつくりかたダンス」篇が完成し、香取のソロダンス映像と併せて18日、公開された。香取慎吾が“チーズケーキ”フラッペのイメージキャラクターに今年2月に発売したデザート、新しい地図の「CHI-ZU CAKE(チーズケーキ)」に続く、“チーズ味”の商品となるチーズケーキフラッペ。公開された映像には、シュールで自由なフラッペダンスを披露する香取の姿が映し出される。地中に突き刺さる巨大なフラッペ、牝牛かと思いきやおじさんの“牛おじさん”に、謎のフラフラお化けの“オバッペ”、そしてマッシュルームカットの香取と子供“ペペッペ”。音楽に合わせてドヤ顔でリズムをとる香取たちは、突然フラッペを持ちながら音楽に合わせて踊り出す。そして、先ほどの挑戦的な表情とはうって変わり、笑顔でフラッペをモミモミ、ガシガシ、そして完成したフラッペを思いっきり吸い込んだ瞬間、香取たちの体が宙に舞う!?そんな不思議な内容で、フラッペの作り方と香取たちのフラッペダンスのリズムだけは深く脳裏に刻まれる強烈なインパクトを残す映像に。併せて公開されたソロダンス映像では、香取のキレキレなフラッペダンスをじっくりと堪能することができる。撮影後、香取は「すごく楽しかった!」と一言。「僕はいろいろな世界の経験があるので、この世界観は初めてではない感じがしました(笑)。すごくシュールで自由な感じがして、久々にこの世界に来たなーと幸せな気分になりましたね。違和感は全くないと思いますよ!」と続け、さらに「最近自分の個展が始まったばかりなので、ちょっとアーティスト香取になっていた部分があったのですが、今日の撮影で一気に引き戻されましたね(笑)。すごく居心地が良くて、やっぱこれだよなーという感じ。これぞ“ザ・慎吾ちゃん”といったところですかね!」と話した。振りを覚える際に「あっ、これは本気ださなくちゃ」とこぼした香取は、「僕はもちろん全然大丈夫ですが少し難しいかもしれない。でも、ちょっと本気で真似してくれようとしたら、皆が踊れるダンスだと思うんです。日本中の子供たちが真似してくれて、お父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんと皆で踊ってくれたらうれしいですね」と期待。「これまでの人生で踊ってきた全てのダンススキルをこのフラッペダンスに注ぎ込みました! まさに僕のダンス人生の集大成だと思って下さい!!」と力強く語った。また、「音楽に合わせて踊ると、自然と笑顔になれるんです。人生で一度もダンスを踊ったことがない人もいると思いますが、絶対に一度は踊ってもらいたいです。難しいことは何もなく、音で遊ぶだけでいいんです。フリが正確でなくてもいい。音に合わせて何となく動いているだけで、それだけで楽しくなれるんです。踊ったことがない人は、フラッペダンスを人生初の踊りにして欲しいですね」と、ダンスへの熱い想いを明かした。
2019年04月18日“バブリーダンス”で知られる大阪府立登美丘高校ダンス部が5日、東京ミッドタウン日比谷で行われた同施設の開業1周年イベント「TOKYO MIDTOWN HIBIYA 1st Anniversary」に登場し、英ロックバンド・クイーンの楽曲からインスピレーションを受けた新作ダンスを披露した。この新作ダンスは、「We are the Champion」、「We Will Rock You」などのクイーンの楽曲を用いたもの。3月29日に放送されたフジテレビ『めざましテレビ』の生放送特番で初披露し、話題となった。この日のイベントでは、ボーカルであるフレディ・マーキュリーに扮したダンス部員30人が登場し、息の合った圧巻のパフォーマンスを披露。観客から大きな拍手が沸き起こった。ダンスを構成した振付師のakaneも登壇。「私もクイーンの大ファンだったんですけど、唯一無二の音楽、パフォーマンス、ファンに対する愛とか音楽に対しての熱さとか、クイーンは本当に素晴らしいチーム。音楽をしっかりと表現しながら私たちも唯一無二のパフォーマンスしたいという思いを込めて作らせていただきました」と熱い思いを明かした。イベントでは、クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの生き様を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』のブルーレイ&DVD&デジタル配信のリリース日が4月17日に決定したことを記念し、ブルーレイ&DVD『ボヘミアン・ラプソディ』ジャケット除幕式も実施。20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン代表取締役社長の川合史郎氏が登壇し、魅力をアピールした。
2019年04月05日マニュエル・ルグリ率いる世界一流ダンサーと、国際的に活躍する日本の気鋭音楽家によるコラボレーション「マニュエル・ルグリ『Stars in Blue』バレエ&ミュージック」が本日3月8日(金)初日を迎える。公演を目前に記者会見が行われ、ルグリがその才能に惚れ込み信頼を寄せているオルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン(ともにボリショイ・バレエ プリンシパル)、シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)と、ヴァイオリニスト三浦文彰、ピアニスト田村響、振付家のパトリック・ド・バナ、ウィーン国立バレエ団専属ピアニスト滝澤志野の8名が登壇した。初来日から35周年を迎えるルグリは「私にとって音楽は特別なもの。素晴らしい音楽家の方と舞台で共演できる機会を与えていただき、うれしく思っています」とまず感謝を延べた。自身はソロ『Moment』と、スミルノワとの世界初演『OCHIBA~When leaves are falling~』を踊る。新作については「オルガのような若く才能溢れるダンサーと踊れるのは本当に夢のようなこと」と目を輝かせる。『OCHIBA』振付のバナは、作品がアレッサンドロ・バリッコの『絹(シルク)』にインスピレーションを得た、静謐な愛の物語だと明かし、作品を踊るスミルノワは「新しい芸術に足を踏み入れたと感じています。シンプルな動きでいかにお客様を引きこむかが難しくて…今はドキドキしています」と話した。アッツォーニは、チュージンと『ソナタ』(ウヴェ・ショルツ)を踊る。「一緒に踊るということは、パートナーからエネルギーをもらって自分のものにするということ。また今回、素晴らしい音楽家の方と共演することでお互いを近くに感じて、美しい関係を築けるのではと思います」。チュージンは「みなさんと共演できるのは僕にとって大きな名誉。本当にハッピー。これ以上の言葉はないです……」と短いコメントで、全員爆笑。バナが席を立ってチュージンを温かくハグした。その『ソナタ』でラフマニノフの「チェロ・ソナタ」をヴァイオリンで演奏する三浦は「僕はチェロは弾けないので(全員笑)。でもチェロとは違う新鮮な響きになると思います。ダンサーの方たちが演奏している目の前まで来られるので、その迫力を感じます」。田村は、バレエとの共演は初めて。「リハーサルではダンサーの方の空気を感じながら演奏できました。音楽と動きの融合の美しさ、素晴らしさを体感していただければと思います」最後にルグリが「音楽とダンスが緊密になることで、より音楽の存在を感じ、新しい踊りの可能性を見出すことができるかもしれません。私たちにとっても貴重な体験となることでしょう」と新しい挑戦への期待と決意で締めくくった。公演は3月8日(金)・9日(土)の東京芸術劇場コンサートホールを皮切りに大阪、宮崎、愛知にて行われる。取材・文:郡司真紀
2019年03月08日世界的フラメンコ・ダンサー、エバ・ジェルバブエナの1年半ぶりの来日公演『Cuentos de Azucar 砂糖のものがたり』が決定した。これまで映画監督のマイク・フィギス、写真家のピーター・リンドバーグなど各界のトップアーティストらとジャンルを越えた共演を重ねてきたエバが、今回出会ったのが奄美の歌姫、里アンナ。先の大河ドラマ『西郷どん』ではオープニングテーマを歌い、他にも世界的振付家シディ・ラルビ・シェルカウイ公演への参加や、舞台女優としてミュージカル『レ・ミゼラブル』へ出演するなど、彼女自身も多彩なフィールドで活動する注目の奄美民謡歌手だ。エバとの共演を「光栄に思う」と言う里。2018年にヨーロッパで初演、日本では初上演となる本作の魅力について訊いた。エバ・ジェルバブエナ 来日公演2019「Cuentos de Azucar ~砂糖のものがたり~」チケット情報エバはかつて奄美が黒糖のプランテーションだった歴史に触れ、幼少期に故郷の砂糖工場近くで夏休みを過ごした日々を思い出し、その後もフラメンコと奄美民謡との間に運命的とも言える共通点を見出したという。互いの文化について里は「ともに譜面を持たず、呼吸や間合いは表現者に委ねられている点も同じです」と語る。創作の過程ではエバを奄美に招き、土地の伝承を共有し、宴の終わりには踊り歌でもてなした。「最後に私の汗と匂いがついた手拭いを置いていきますと歌う別れの曲『山原』や、命懸けの逢瀬の曲『かんつめ』など、恋愛の歌詞が多いのも奄美民謡の特徴です。中でもエバは奄美に伝わる女性崇拝の信仰に共感していました。奄美のフグが産卵のため海底にサークル状の巣を作るという話も興味深かったようで、舞台装置にそのイメージが反映されています」。女性や自然のサイクルをテーマにした本作で里は7、8曲を歌い繋ぐ。フラメンコギターや和太鼓が伴奏の楽曲からアカペラまで、奄美とスペインの魅力を伝えるべくアレンジを加えた。「音楽はセッションによって作り上げました。決めの部分だけを共有して、その他はエバやカンテの方との呼吸や、その時々の感情の赴くままに歌っています」。エバの踊りは思わず見惚れてしまうほど感動的だという。「一度、本番中に歌い出しを忘れて見入ってしまったことがあったほど(笑)。中でも全員でエバを囲むフィナーレは、初演の客席からも一番多くの『Ole(オレ)!』の歓声が聞こえました」。大河ドラマ『西郷どん』では二階堂ふみ演じる西郷の妻の兄嫁役で出演も果たした里。故郷では地元の人々が自分のことのように出演を喜んだという。「今回、私を知って観に来てくださる方にはフラメンコの素晴らしさを、エバのファンの方には奄美の島唄の良さを、それぞれ知っていただける機会になればと思います」。エバ・ジェルバブエナ 来日公演2019『Cuentos de Azucar ~砂糖のものがたり~』は、3月22日(金)・23日(土)東京国際フォーラム ホールC、3月26日(火)大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:石橋法子
2019年03月01日