イギリスの名匠ケン・ローチ監督の映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』と『家族を想うとき』が、新宿武蔵野館、kino cinema横浜みなとみらいにて10月14日(金)より2週間限定で上映されることが決定した。『夜空に星のあるように』で長編映画監督デビュー、2作目『ケス』ではカルロヴィヴァリ映画祭グランプリを受賞。『麦の穂をゆらす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』でパルムドールを2度受賞しているローチ監督。労働者や社会的弱者に寄り添った人間ドラマを描いてきたローチ監督の作品は、世界中の観客の心に寄り添い続けてきた。今回急遽、決定したリバイバル上映では、複雑な社会制度に翻弄され、貧困に苦しみながらも助け合い生きていこうとするダニエルとケイティ親子との心の交流を描いた『わたしは、ダニエル・ブレイク』。新自由主義が生み出した現代社会の歪みとその渦中で翻弄される家族の姿を映し出した『家族を想うとき』の2作品がラインアップ。新型コロナウイルスの拡大を経て、格差が広がり貧困問題が深刻化するこの時代に、1人でも多くの人へローチ監督の作品を届けたいという思いから、今回の上映が実現したという。『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』は10月14日(金)より新宿武蔵野館、kino cinema横浜みなとみらいにて2週間限定上映。(cinemacafe.net)■関連作品:わたしは、ダニエル・ブレイク 2022年10月14日より新宿武蔵野館、kino cinema横浜みなとみらいにて公開© Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve , British Broadcasting Corporation, France 2家族を想うとき 2022年10月14日より新宿武蔵野館、kino cinema横浜みなとみらいにて公開©Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British BroadcastingCorporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2019
2022年09月26日マーゴット・ロビー主演で『オーシャンズ11』がリブートされる模様だ。監督は『スキャンダル』でロビーと組んだジェイ・ローチ。ロビーとローチはプロデューサーも兼任する。舞台が60年代のヨーロッパということ以外、設定やストーリーはわかっていない。まだ正式にゴーサインは出ていないが、来年春の撮影開始を目指しているようだ。この映画のオリジナルは、1960年に公開された『オーシャンと十一人の仲間』。フランク・シナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィス・Jr.らが出演した。2001年にはスティーブン・ソダーバーグがジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンらで『オーシャンズ11』としてリブート。こちらは3作目まで製作された。また、2018年には女性キャストでスピンオフの『オーシャンズ8』が公開されている。文=猿渡由紀
2022年05月20日2018年初演の日本キャスト版『メリー・ポピンズ』が新キャストを迎え待望の再演。初演同様、煙突掃除屋のバートを務めるのがダンサーで俳優の大貫勇輔(ダブルキャストは初役の小野田龍之介)。続投の知らせに大貫は「4年間で学んだことをプラスできる。ワクワクした気持ちが溢れてきました」と合同取材会で意気込みを語った。ミュージカル『メリー・ポピンズ』チケット情報舞台は1910年のロンドン。不思議な力を持つメリーが、子守が居つかないバンクス家に現れたことで騒動が巻き起こる。同名の児童文学が原作の愛と魔法に溢れたミュージカルだ。原作を映画化しアカデミー賞5部門を受賞したディズニーと『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』を手掛けるキャメロン・マッキントッシュがタッグを組み舞台化した。初演時、長期にわたるオーディションでバート役を射止めた大貫。実家のダンススタジオで10代の頃から講師を務めていた経験から「教室で子どもたちに伝える感覚とバートがバンクス家の子どもたちと接する感覚が近くて。本能的にバートはハマり役という感覚があった」。初演時、「初日の幕が上がった時、人生で初めて泣きそうになりました」と語る。初演から4年を経た今「選択肢が増えた」と自信をのぞかせる。弱点に感じていた歌唱はミュージカル『王家の紋章』のイズミル役で鍛えられた。憧れのシルヴェスター・リーヴァイの楽曲を前にダンスを封印、猛特訓の甲斐あり高音への苦手意識が薄まった。続くミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』では初のミュージカル作品での座長に大抜擢。約1年半かけて身体を作り込むと、コロナ禍にも公演を成功へ導いた経験が血肉となった。本作ではバートとしてメリーへの特別な想いを抱きつつ、バンクス家を良くしようと奔走する。「てんてこ舞いだった初演に比べ、再演の舞台ではちょっとした台詞が胸に突き刺さる」と一段深い視点から役作りに挑んでいる。メリー役は濱田めぐみ、笹本玲奈のダブルキャスト。「濱田メリーは隙の無いミス・パーフェクト。尊敬の思いが強いので子犬みたいに撫でてほしいという意識になる。笹本メリーはもう少し人間味があって、尊敬より恋心が大きい。だからかっこつけたくなっちゃう」と。ぜひ見比べてほしい。『チム・チム・チェリー』など耳馴染みのある楽曲、圧巻のダンスシーン、随所に盛り込まれた“魔法”の数々など見どころ満載の本作。「メリーが客席に飛んでいく場面では何度見ても泣けちゃうし、本当に魔法に思えてくる。トリックアートのようなセットや照明も美しく、そこに普遍的な家族の愛のテーマが描かれる。総合芸術として完成されたミュージカルです」と笑顔いっぱいに語った。大阪公演は5月20日(金)から6月6日(月)まで、梅田芸術劇場メインホールにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年05月12日イギリス映画界の名匠ケン・ローチ監督の長編デビュー作『夜空に星のあるように』(原題:Poor Cow)が、12月17日(金)よりリバイバル上映されることが決定した。『レディバード・レディバード』『大地と自由』などを手掛け、『麦の穂をゆらす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』の2作品は、カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞したローチ監督。格差社会、貧困、人種差別といった社会問題を多く取り上げ、労働者階級や第3世界からの移民たちに寄り添った映画を撮り続けている。1967年の日本公開から53年の時を経て劇場公開される本作。ロンドンの労働者階級に生まれたジョイは、泥棒稼業で生計を立てているトムと結婚し妊娠するが、トムが逮捕されてしまう。ジョイは叔母の家に厄介になるが、夫の仲間だったデイヴが現れ、彼に惹かれ一緒に幸せな日々を送るも、彼もまた逮捕されてしまう――というあらすじ。本作では、すでにその一貫した視点やプロ、アマ問わないキャスティング、ロケ撮影中心、大胆なシーンの省略、即興性等、監督のその後の映画に見られる特長が、顕著に表れている。主演は、本作でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭主演女優賞を受賞したキャロル・ホワイトと、『コレクター』『プリシラ』に出演するテレンス・スタンプが務めた。イギリス・フォーク・ロック界の巨人ドノヴァンによる、ロンドンの労働者階級の生活を美しく彩る音楽も必聴だ。上映決定と併せて公開された特報映像では、テレンス演じるデイヴが、ジョイと幼い子に、ドノヴァンの「Colours」を歌うシーンが登場している。『夜空に星のあるように』特報映像『夜空に星のあるように』は12月17日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次上映。(cinemacafe.net)
2021年10月15日第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されたケン・ローチ監督作『家族を想うとき』から、予告編と新場面写真が到着した。『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明していたローチ監督が、それを撤回してまで描きたかったのは、グローバル経済が加速する中で変わっていく人々の働き方と、時代の波に翻弄される「現代の家族の姿」。理不尽なシステムによる過酷な労働の中で、社会の下層から這い上がれない家族を通し、現代社会への「怒り」を描く。今回到着した映像は、30秒と短いながらも美しく力強い家族の絆を感じさせる。本部の上司に「勝つのも負けるのもすべて自分次第。できるか?」と確認され不安な表情の父リッキー。想像以上に過酷な働き方に疲弊していくリッキーとマイホーム購入を夢見て介護福祉士として必死に働くアビーという、忙しい両親とのすれ違い生活に寂しい思いを募らせていた息子セブは、「父さんみたいな負け犬にならない」と暴言を吐くなど、問題行動を起こすようになってしまう。そして、息子のために急遽仕事を休んだリッキーに対し「仕事に穴を開けるなら制裁金100ポンドだ」と追い討ちをかけてくる上司に、家族を守ろうと必死に声を荒げるアビーといった姿も。一変して、車の中で楽しそうに踊る家族や、配送を手伝った娘ライザと父とのシーンなど、幸せそうなひとときも描かれている。また予告編と併せて公開された場面写真には、リッキーの険しい表情や、アビーが仕事で介護をしている場面。さらに、配送の合間にトラックの荷台でリッキーとライザが談笑したり、食卓を囲む幸せそうな家族が切り取られている。『家族を想うとき』は12月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:家族を想うとき 2019年12月13日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開©Joss Barratt, Sixteen Films 2019
2019年09月16日日本でも大ヒットとなった『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明していたイギリスを代表するケン・ローチ監督が、引退宣言を撤回して手掛け、第72回カンヌ国際映画祭で世界中から絶賛された最新作『Sorry We Missed You』(原題)の邦題が『家族を想うとき』に決定し、ビジュアル&海外版予告が解禁。さらに、NHK「クローズアップ現代+」では是枝裕和監督との対談が実現していることが分かった。父リッキーは、マイホーム購入の夢をかなえるためにフランチャイズの宅配ドライバーとして独立。母アビーはパートタイムの介護士として、時間外まで1日中働いている。家族を幸せにするはずの仕事が、家族との時間を奪っていき、高校生の長男セブと小学生の娘のライザ・ジェーンは寂しい想いを募らせてゆく。そんななか、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう――。個人事業主とは名ばかり、理不尽なシステムによる過酷な労働条件に振り回されながら、家族のために働き続ける父。そんな父を少しでも支えようと互いを思いやり懸命に生き抜く母と子どもたち。日本でも日々取り上げられている労働問題と重なる物語は、名匠が引退宣言を撤回してまで描きたかった、加速するグローバル経済の中で変わっていく市井の人々の働き方と、時代の波に翻弄される現代の家族の姿を映し出す。この度解禁された日本版ビジュアルは、イギリスの美しい夕暮れの田園風景を背景に、主人公リッキーたちが並ぶ家族4人の写真がメイン。皆で過ごす時間が減りながらも、互いを思いやり懸命に生きる彼ら。「本当はもっと一緒に過ごしたい」というストレートな想いを凝縮した、「毎日、抱きしめて」というコピーが添えられている。また、9月17日(火)のNHK「クローズアップ現代+」では、ケン・ローチ監督と是枝監督の対談の様子を収めた【是枝裕和×ケン・ローチ “家族”と“社会”を語る】を放送予定。ロンドンで行われた対談では、ローチ監督を師と仰ぐ是枝監督の思い、お互いのキャストへの演出へのこだわりや、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『万引き家族』と共に現代社会の片隅で生きる人々を描いてパルム・ドールを受賞した両監督が「映画が不寛容な社会にできること」をテーマに熱く語る。『家族を想うとき』は12月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。「クローズアップ現代+」【是枝裕和×ケン・ローチ “家族”と“社会”を語る】は9月17日(火)22時~NHK総合にて放送予定。(text:cinemacafe.net)■関連作品:家族を想うとき 2019年12月13日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開©Joss Barratt, Sixteen Films 2019
2019年09月09日第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、3度目の最高賞パルムドール受賞も囁かれているケン・ローチ監督作『Sorry We Missed You』(原題)が、12月13日(金)より日本でも公開されることが決定した。イギリス、ニューカッスルに住むある家族。父リッキーはマイホーム購入を夢みて、大手配送業者のフランチャイズの下請けドライバーとして働き出す。母アビーはホームヘルパーとして朝から晩まで働く毎日。次第に家族で過ごす時間が減って行き、息子セブと娘ジェーンは寂しさを募らせてゆく…。本作は、第69回カンヌ国際映画祭にて最高賞パルムドールを受賞した『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケン・ローチ監督の最新作。『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明していたが、引退宣言を撤回してまで監督が描きたかったのは、時代の波に翻弄される“現代の家族の姿”――。これまで、労働者や社会的弱者に寄り添い、彼らを取り巻く現実と、それでも明日を懸命に生きようとする人々を描き続けてきたローチ監督。本作では、理不尽なシステムによる過酷な労働の中で、社会の下層から這い上がれない家族を通し、現代社会への「怒り」を描く。なお、脚本は『わたしは、ダニエル・ブレイク』『ジミー、野を駆ける伝説』で手を組んだポール・ラヴァティが手掛けた。『Sorry We Missed You』(原題)は12月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2019年05月17日米国の人気子ども番組『セサミストリート』に登場するキャラクターの関係性が議論の俎上に上がっている。バートとアーニーは作中ではルームメイトで親友同士。とても仲が良いことから、2011年に「2人は同性愛者のカップルだ」という噂が広がり、Facebookで2人を結婚させようとする署名活動が行われた。制作者側は「2人は男性とみなされているがあくまでもパペットであり、性的指向はない」と噂を否定し、騒ぎは沈着した。今回、この話題が再び持ち出されたのは、番組の脚本家の1人マーク・サルツマンが、バートとアーニーのエピソードは、自分と男性パートナーの関係に基づいて書いている、と発言したことによる。番組を提供するNPO法人セサミ・ワークショップはTwitterで声明を発表。「常々言っているように、バートとアーニーは親友です。彼らは未就学児童に、人はどんなにお互い同士が違っても良い友達になれる、ということを教えるために創り出されました。男性キャラクターであると認識されていますし、他のセサミストリートのマペットがそうであるように、人間のような仕草もします。しかし、彼らはあくまでも操り人形であり、性的指向は存在しません」「セサミストリートは常に、インクルージョンと受容を支持してきました。ここはあらゆる文化とバックグラウンドを持つ人々を受け入れる場所です。バートとアーニーは親友になるために、そして子どもたちに『自分と違う人とも仲良くやっていけるんだよ』ということを教えるために生まれたのです」サルツマンはQUEERTYのインタビューで、「15年間にわたりバートとアーニーをカップルとして描いてきた」と明言。「彼らはそう(カップルである)としか説明のしようがない」とまで言い切っている。長年番組で操り人形師としてマペットたちに命を吹き込んできたフランク・オズはTwitterで持論を展開。「マーク・サルツマン氏は、バートとアーニーはゲイなのか?と訊かれたみたいだね。彼がそのように思っているのはいいよ。もちろん実際は違うけどね。ただ、なぜそんなことを質問したんだろう。何か問題があるの?どうして人がゲイかどうかを定義する必要があるんだい?ストレートかゲイか、なんてことより、人間であるということのほうがよっぽど大切だよ」番組の意向と、脚本家の創造の源が乖離していたことは間違いないが、性別や性的指向、そして人種といった人間を“区別”するものが存在しないことこそが、『セサミストリート』の世界の素晴らしさではないだろうか。
2018年09月19日50年以上に渡る俳優人生を送ってきたバート・レイノルズが、木曜日(現地時間)に亡くなった。享年82。バートの姪は「Us Weekly」誌に、「おじは健康上の問題は抱えていましたがこれは全く予想していなかったことでした」とバートの死は突然であったことを明かしている。関係者によれば、バートは木曜日に心臓発作で倒れ、病院に搬送されたが、そのまま亡くなったという。訃報を知ったセレブたちは、SNSに追悼メッセージを寄せた。バートの代表作の1つ、『ブギーナイツ』で共演したマーク・ウォールバーグは、「伝説の人であり、友人であるバート・レイノルズ。安らかに眠ってください」とツイート。アーノルド・シュワルツェネッガーはバートを「私のヒーローの1人」であり、「アスリートから俳優に転身するお手本を見せてくれた」と称えた。バートは、若い頃アメフトの選手として活躍した。また、シルベスター・スタローンは、過去にバートから『ランボー』のトラウトマン大佐にキャスティングするよう頼まれたことがあるとふり返った。「無理だよ。あなたのギャラは高すぎるし、有名すぎる。それに、ランボーよりもタフでしょう?」と断り、バートに笑われたという思い出だ。バートの姪によると、バートはクエンティン・タランティーノ監督の最新作『Once Upon a Time in Hollywood』(原題)への出演が決まっていたが、2日間を予定していた撮影はまだ行われておらず、残念ながら出演は叶わなかった。(Hiromi Kaku)
2018年09月07日2016年カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した巨匠ケン・ローチ監督の『I, DANIEL BLAKE』が、『わたしは、ダニエル・ブレイク』として2017年3月、日本公開されることが決定した。舞台は、イギリス北東部ニューカッスル。大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは心臓の病を患い、医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするダニエルだったが、複雑な制度が立ちふさがり、必要な援助を受けることができない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと彼女の2人の子どもを助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく――。前作の『ジミー、野を駆ける伝説』を最後に、映画界からの引退を表明していた社会派の巨匠ケン・ローチが、現在のイギリス、そして世界中で拡大しつつある格差や貧困にあえぐ人々を目の当たりにし、どうしても最後に伝えたい物語として引退を撤回してまで挑んだ本作。複雑な国の制度に翻弄され、人としての尊厳を踏みにじられ、貧困に苦しみながらも、助け合い生きていこうとするダニエルとケイティ親子との心の交流は、世界中に感動と涙を届け、カンヌ国際映画祭では見事、『麦の穂を揺らす風』(’06)に続く2度目のパルムドールを受賞した。今年6月、EU離脱を決めたことも記憶に新しいイギリスでは、10月21日より公開されており、ケン・ローチ作品史上最大のヒットを記録。常に労働者や社会的弱者に寄り添い、彼らを取り巻く厳しい現実と、それでも明日を懸命に生きようとする人々の明るさや温かさ、底力を描き続けてきた監督の集大成であり、最高傑作との声が相次いでいる。そして、衝撃的な大統領選を終えたばかりのアメリカでは、12月25日に公開を控えている。早くもアカデミー賞ノミネートを確実視する声が続出するなど、作品への賞賛はとどまるところを知らない。また、2017年は『夜空に星があるように』(‘67)での長編映画デビューから50周年を迎えるケン・ローチ記念イヤーでもある。決して遠い国の出来事ではない本作の、満を持しての日本公開を楽しみにしていて。『わたしは、ダニエル・ブレイク』は2017年3月18日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月10日長寿国として知られる日本。世界保健機関(WHO)が発表した「世界保健統計」によると、2015年の日本人の平均寿命は83.7歳となり、世界一となっています。「元気で長生きしたい」というのは、多くの人が願うこと。では、みなさんが健康のために意識していることはありますか?バランスの良い食事や、適度な運動が、健康な体作りのために大事なのはご存知の通り。しかしそれ以外にも、長生きにつながる習慣があるようです。海外メディア『Bustle』が報じた、長生きするために役立つ可能性のある意外な習慣をご紹介します。もちろん人によって体質は異なりますが、試してみる価値はありそうです。100歳こえても元気にすごしたい、という人には試してみては?■1:山で過ごす高地に暮らす人は、平均して長生きするという複数の研究データがあります。高地研究センターのロバート・ローチ氏によると、心臓病や脳卒中を発症するリスクが低く、健康的な生活を維持する傾向があるといいます。また新鮮な空気や、定期的な運動につながる環境であることもプラスに考えられます。■2:ほどほどにお酒を飲む適度に酒を飲むことでも、健康に良い影響があるといいます。お酒の量はその人の健康状態や許容範囲にもよりますが、グラス1~3杯程度になるとのこと。複数の研究で、アルコールを我慢するよりも、習慣的に飲酒をする方が心を落ち着かせる効果があると指摘されています。もちろん脱水症状にならないようにすること、飲み過ぎには注意する必要があります。■3:サーモンを食べるオメガ3脂肪酸を含む食品は、心臓病やアルツハイマー病のリスクを下げるといわれています。とくにサーモンには、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。ただし養殖されたものは避けて、天然のサーモンを選ぶようにしましょう。■4:もっと人と交流する親密なつながりを持つ人は、孤独でいる人や、人とのつながりを保てない人よりも、長生きする傾向があるそうです。2010年に米医学誌『PLOS Medicine』で発表された研究報告では、強い社会関係を持つ参加者は、50%生存率が高いことを示しています。友達や家族と過ごす時間を多く持ちたいですね。■5:セックスをするセックスをすることは、健康にも良い効果があります。とくにオーガズムを迎えることが、寿命を延ばすことにつながるといいます。スタンフォード大学のルイス・ターマン教授が行った研究の中で、オーガズムの頻度と寿命とに関連が見つかったとか。他にもセックスには、カロリー消費やストレスを減らす効果があるようです。■6:お笑い番組を見るストレスを受けているときには、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの分泌量が増えます。しかし笑うことで、このコルチゾールの量を低下させることが可能だそうです。さらに笑いには、鎮痛作用のあるエンドルフィンを増やす、高血圧を下げるといった効果もあるとのこと。面白い番組を見たり、友達と会話を楽しんだりと、笑う機会を増やしてみましょう。■7:上質な枕カバーを使う睡眠不足は、不安やストレス、慢性的な病気の悪化や、免疫機能の低下につながります。質の良い睡眠をとるためには、寝具類を変えることも効果的です。例えばシルクの枕カバーは、肌の水分を整えるなど、快適な眠りにつながるといいます。■8:自分で夕食を作る忙しいからと、いつも食事を適当に済ませていませんか?外食では、料理メニューの中にどれだけの塩分や脂肪が含まれているかはわかりません。自分で食事を作ることで、実際に摂取するものを把握できるうえ、よりヘルシーに仕上げることができます。*時間は未来へ向かって進み続け、決して戻ることはありません。忙しいからと自分の健康管理をおろそかにしたことで、将来後悔したくはないもの。今から少しずつでも健康を意識した生活を心がけていきたいですね。(文/椎名恵麻) 【参考】※8 Weird Things That Will Help You Live Longer-Bustle
2016年10月04日ケン・ローチ監督が22日、第69回カンヌ国際映画祭で歴代8人目となる2度目のパルムドール賞受賞者となった。2006年の『麦の穂をゆらす風』以来10年ぶりに新作『アイ・ダニエル・ブレイク』で同映画祭最高賞を受賞した。コメディアンのデイブ・ジョンズが主役を務めた同作品は、妻を失い、心臓発作の影響で働くことも困難な状況を強いられているが、政府から援助を得ることもできないイングランド北部に暮らす中年男性の姿を追ったストーリーとなっている。同映画祭の審査員たちは「頑張り屋と怠け者」という嘲笑的な対比が横行する現代のイギリスで、鉄条網に囲まれたかのような福祉行政の無人地帯に迷い込んでしまったキャラクターたちの描写を高く評価した。メル・ギブソンからトロフィーを受け取ったローチ監督は、その受賞スピーチの中で「緊縮経済における危険な政策」について苦言を呈した。「私たちは希望のメッセージを伝えなくてはなりません。こんな世界ではなくてもいいのだと」「私たちが暮らしている現代社会は危険な状態です。新自由主義という考え方によって引き起こされた緊縮経済における危険な政策に支配され、私たちの生活に大惨事をもたらされています」そして同映画祭の今年のグランプリにはグザヴィエ・ドラン監督の新作『イッツ・オンリー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』が選ばれた。審査員賞にはアンドレア・アーノルド監督の『アメリカン・ハニー』、女優賞には『マ・ローザ』のジャクリン・ホセが選ばれた。『ザ・セールスマン』はアスガル・ファルハーディーが脚本賞を受賞し、主演を務めたシャハブ・ホセイニが男優賞を獲得している。監督賞には『グラデュエーション』のクリスティアン・ムンジウ監督、『パーソナル・ショッパー』のオリヴィエ・アサイヤス監督が輝いた。(C)BANG Media International
2016年05月24日第69回カンヌ国際映画祭授賞式が5月22日夜(現地時間)に開催され、イギリスの名匠ケン・ローチ監督の『I,Daniel Blake』(原題)が最高賞パルムドールに輝いた。2006年の『麦の穂を揺らす風』以来、10年ぶり2度目のパルムドール受賞となったケン・ローチ。『I,Daniel Blake』は、心臓病で失業した木工職人ダニエルと、貧困にあえぐシングルマザーのケイティが生活保護を求めるものの拒まれ、窮地に陥る姿を描く。社会主義者として知られるケン・ローチは「貧困にあえぐ人々に取材した作品で、このような豪華な場にいるのは、やや違和感がありますが」と前置きしつつ、「カンヌ映画祭を支える労働者の人々に感謝します」とスピーチした。社会保障システムの欠陥を告発しつつも、『天使の分け前』に通じるユーモアもあり、観客、評論家の評価も高く、納得の結果となった。次席にあたるグランプリは、カナダの若き天才グザヴィエ・ドランの『It’s Only The End of the World』(原題)に贈られた。一昨年『Mommy/マミー』で審査員賞を受賞したグザヴィエは、さらなる名誉に感激の涙をぬぐった。本作はギャスパー・ウリエル、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセルらフランスのオールスターで描く、秘密を抱えた家族のドラマ。受賞者会見でグザヴィエは「いままでは観客はどう思うのか、ということを考えていたが、これからは自分に忠実でありたい」と語った。監督賞はクリスチャン・ムンジウとオリヴィエ・アサイヤスの同時受賞。アサイヤスが『アクトレス~女たちの舞台~』に続いてクリステン・スチュアートを起用した『Personal Shopper』(原題)は心霊映画だったためか現地での評価が低く、『マッドマックス怒りのデスロード』のジョージ・ミラー率いる審査員団の意外な選択に記者席からはブーイングが起きた。このほかの主な受賞作は以下の通り。パルムドール『I, Daniel Blake』ケン・ローチ(イギリス)グランプリ『It’s Only The End of the World』グザヴィエ・ドラン(カナダ)監督賞『Graduetion』クリスチャン・ムンジウ(ルーマニア)監督賞『Personal Shopper』オリヴィエ・アサイヤス(フランス)脚本賞『The Salesman』アスガル・ファルハーディー(イラン)審査員賞『American Honey』アンドレア・アーノルド(イギリス)男優賞『The Salesman』シャハーフ・ホセイニ(イラン)女優賞『Ma’ Rosa』ジャクリン・ホセ(フィリピン)(photo / text:Ayako Ishizu)
2016年05月23日