なにしろ小さなお店が好きなもので、どんどん店舗を増やしたり規模が大きくなると、さみしい気持ちになることも。今回ご紹介するのは、“小さな小さなお店”から、お引っ越しをしてすこーし大きくなり、“小さなお店”になったドーナツ屋さん。新しい店舗で、夢、膨らんでいるようです。揚げたてをガブリ! 〔ヒグマドーナッツ〕がお引っ越し。雨でも揚げたて食べれます出店していた音楽フェスやファーマーズマーケットで、厳選した北海道の原材料で作るドーナッツが人気となり、2016年、学芸大学に常設店をオープンした〔ヒグマドーナッツ〕。移転のためしばらくお休みをしていましたが、このたび2018年8月26日に、同じ学芸大学で新しい店舗がオープンしました!旧店舗で印象的だった壁の鱗もはがして一緒にお引っ越し。ひと目で「〔ヒグマドーナッツ〕だ!」とわかる店構えで、うれしくなります。次々と揚げられていくドーナッツがカウンターごしに出迎えてくれるのも変わりなく。フワッフワの揚げたてをガブリ!あぁ。正しいドーナッツの食べ方は、やっぱり、これこれ!では、移転前と違う部分は……?それは、屋内のイートインスペースができたこと。これまでは、かなりお天気に左右されてきたそうですが、もうそんなこともありません。雨の日でも、揚げたてをその場で食べられます。猛暑日でも冷房が効いているので快適。無農薬の黒豆きな粉に特濃ソフトクリーム…ドーナツがこんなにポテンシャルある食べものだったなんて……左から、黒豆塩きなこ260円、チョコレート300円、ラズベリー300円(すべて税込)。ほか、プレーンはもちろん、シナモンシュガーやハニーマスカルポーネなども。全部で8種類(現在《リモンチェッロ》はお休み中)あるドーナッツメニューの中でも、わたしのお気に入りは《黒豆塩きなこ》。北海道幕別町の農園で育てられた無農薬黒豆のきな粉がたっぷりまぶしてあり、「きな粉食べてる!」という実感が湧くんです。「作っていらっしゃるご夫婦の人柄が出てるんです。真面目で、明るくて……」と、北海道出身の店主、春日井順さん。ひとつひとつの素材への思い入れ、半端じゃないです。アツい!果実味がすばらしいラズベリーソースも自家製だそう。生地にも内側からジュワーッとしみ込んで、このメニューだけリング状じゃないことがストンと腑に落ちました。チョコレートは、聞けばなんとヴァローナ社のものなのだとか!「それ、メニューに書くべきですよ!」と思わずおせっかいが出てしまいましたが、春日井さんご自身は「もっとおいしいのないかなと探していったら、これがおいしかったんですよ」とさらり。なので、わたしからお伝えしておきますね。オレンジピールがまたニクい!HIGUMAソフト450円(税込)プラス50円で黒豆塩きなこ、シナモンシュガー、プラス100円でラズベリーソースがトッピングできます。こちらの「HIGUMAソフト」も大人気。何しろ北海道の素材を大切にしているお店ですから、ソフトクリームのミルク感も「ここ北海道の牧場?」ってくらい濃厚なんです。ただし、もちろんドーナッツとのバランスを考えて甘さはひかえめ。あと味もすっきりなので、ペロリといけちゃいますよ。ソーセージに続く肉メニュー。ハンバーガーが完成!手前:手作りソーセージ600円、奥:ハンバーガーとポテトのセット1,500円(ともに税込)。現在、ハンバーガーはランチタイム(12:00〜14:30)のみの提供。それから、忘れちゃいけない肉メニュー。お肉が大好きだという春日井さんが作りあげた理想のソーセージは、自然溢れる日高でのびのびと育った豚肉の新鮮な赤身に、たっぷりのスパイスを加えたワイルドな1本。甘いものが苦手な男性も、これとビールのセットを提案すれば、喜んでドーナッツタイムに付き合ってくれるはず。そして8月26日のグランドオープンからは、ランチタイム限定でハンバーガーも新登場!このハンバーガーがまたすごいんです。ハンバーガーの要となるパテは、1度も冷凍せずに届く十勝産のブロック肉を店内で超粗挽きに。こねる段階では、つなぎどころか塩も入れず、成形してから焼く直前に軽く塩胡椒をふるのみというから驚きです。豪快にかぶりつけば、目を見開くおいしさ……!ハンバーガーもかなりの数を取材して食べてきましたが、こんなパテ、はじめて!新しく導入したオーブンで焼き上げるオリジナルのバンズには、チェダーチーズたっぷりの自家製のマヨネーズ。グリルしたレッドオニオンの甘みに、フレッシュなレタスとトマトのみずみずしさ。熟成させた洞爺湖産無農薬じゃがいもをじっくりと揚げたポテトも、ホクホク甘くて……常日頃からハンバーガーはバランスだと思っているわたしですが、これはもう、まいりました。春日井さんは「食べものに大事なのって、まずはおいしいこと。食べて幸せになるってことだと思うんです」ときっぱり。せっかく入れたオーブンで焼くパンの販売や、週末限定で朝ごはんなど、これから実現させたい“おいしい”ことが、まだまだ控えている様子。妥協知らずのため、叶えていくのはひとつひとつゆっくりになると思いますが、納得いく形で叶っていくのを楽しみに待ちたいと思います。【HIGUMADoughnutsヒグマドーナッツ】●住所:東京都目黒区鷹番2-8-21●電話:03-5734-1308●営業時間:10:00〜21:00(売り切れ次第終了)●定休日:水曜HIGUMA Doughnuts●文醍醐由貴子ライター。女性誌から男性誌まで、ジャンルはフードからライフスタイルまで、幅広く活動中。すっかり意見するようになった息子に助けられつつ、日々奮闘しています。●写真さくらいしょうこ▽連載「小さなお店」の他の記事もチェック♪▽【小さなお店 #9】パリッ! サクッ! 甘じょっぱくて香ばしい揚最中【小さなお店 #8】小さな空間は、ほしいものだらけ。イタリアの自然派ワインと食材のお店【小さなお店 #7】梅雨支度に。贈りもの探しに。世界中から絵本が集まる、自由な絵本屋さん
2018年09月06日