20世紀を代表する芸術家のひとりであるマルク・シャガール(1887-1985)は、絵画とともに版画制作にも熱心に取り組んだことで知られる。生涯で2,000点以上の版画を残したというシャガールが様々な技法で試みた6つの版画集の中から、厳選した約140点の作品を紹介する『マルク・シャガール版にしるした光の詩(うた)神奈川県立近代美術館コレクションから』が、7月1日(土)から8月27日(日)まで、東京の世田谷美術館で開催される。帝政ロシア領のヴィテブスクにユダヤ人として生まれ、ロシア革命やふたつの世界大戦に翻弄されながらも、宙を舞う恋人たちや花束、動物などを豊かな色彩で幻想的に描き出したシャガールは、一貫して詩情豊かな画家だった。一方で、モスクワやベルリン、パリやニューヨーク、さらに南仏へと活動の地を移した「異邦人画家」としての境遇が、作品に陰影を与え、その妙味を奥深いものにしたという。神奈川県立近代美術館の望月コレクションから出品される6つの版画集は、1950年代から60年代にかけて、版元や工房との協働によって生み出されたもの。絵画に通ずる部分はありながらも、またひと味ちがった独特の表現と味わいが刻まれている。同展の魅力は、色彩豊かなリトグラフ『ダフニスとクロエ』や『サーカス』など代表作はもちろん、エッチングにリトグラフを併用した『馬の日記』や、アクアティントを併用した『悪童たち』など、これまであまり目にする機会のなかった逸品も紹介されること。モノクロームのエッチングによる『ラ・フォンテーヌ寓話集』や、木版による荒々しく素朴な味わいの『ポエム』など、様々な版画技法による表現の違いが楽しめるのも興味深いところだ。版画集はまた詩や物語とともにあるものだという認識から、物語の粗筋やその絵がどのような場面を描いたものなのか、わかりやすい解説がつくという。古代ギリシアの作家ロンゴス作とされる波瀾万丈の恋物語を描いた『ダフニスとクロエ』や、17世紀フランスの『ラ・フォンテーヌ寓話集』など、物語を知ると、シャガールの世界観がより味わい深いものになるに違いない。刷りと保存状態のよい作品で知られる望月コレクションは、色彩に特別なこだわりのあったシャガールが表現したかった絶妙な色を当時のままに感じさせてくれるコレクションだという。その鮮やかな色彩も、ぜひこの機会に堪能したい。<開催情報>『マルク・シャガール版にしるした光の詩(うた)神奈川県立近代美術館コレクションから』会期:2023年7月1日(土)~8月27日(日))会場:世田谷美術館)時間:10:00~18:00 (入場は17:30まで))休館日:月曜(7月17日は開館)、7月18日(火))料金:一般1,200円、65歳以上1,000円、大高800円、中小500円)公式サイト:
2023年06月26日映画『C.R.A.Z.Y.』が2022年7月29日(金)より劇場公開される。監督はジャン=マルク・ヴァレ。ジャン=マルク・ヴァレ監督、カナダ映画史に残る名作映画『C.R.A.Z.Y.』は、2021年12月、その生涯を終えたジャン=マルク・ヴァレ監督による作品。ジャン=マルク・ヴァレは、アカデミー賞3部門受賞の『ダラス・バイヤーズクラブ』や、ヴァネッサ・パラディ主演の『カフェ・ド・フロール』など、数々の名作を世に送り出してきた人物だ。映画『C.R.A.Z.Y.』は、ジャン=マルク・ヴァレ自身が「一生に一本でいい、こんな映画を作りたい、作らなければと思う映画に出会うことがある。『C.R.A.Z.Y.』も、そんな映画の一本であると思いたい」という言葉を寄せていた作品。トロント国際映画祭最優秀カナダ映画賞、イリス賞13部門受賞ほか、多くの映画祭で高評価を獲得し、“カナダが生んだ映画史に残る名作”とも評されている。保守的な家庭で育った青年ザックの成長を描く物語は、1960年代のカナダ・ケベック、保守的な家庭で育った青年ザックが、アイデンティティを確立するまでの葛藤と成長を描くもの。5人兄弟の4男として育ったザックは、キリストと同じ12月25日に生まれ、「特別な子」と呼ばれながら、クリスマスのミサへの参加を義務付けられてきた。軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、それぞれ文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に足を踏み入れる1970年代。ザックは、父親と同じく音楽を愛しながらも、反抗を覚え、やがて自らのアイデンティティに目覚めていく。幼少期のザックを演じるのは、ジャン=マルク・ヴァレ監督の次男であるエミール・ヴァレ。『カフェ・ド・フロール』でも主人公アントワーヌの青年期を演じるなど、ジャン=マルク・ヴァレの作品にて、俳優として活躍している。時代を彩る名曲と共にシャルル・アズナヴール、デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズ、ピンク・フロイド、パッツィー・クラインらの時代を彩る名曲も魅力的。音楽、反抗、ユーモア、青春の躍動感と彩りにあふれた一本となっている。<映画『C.R.A.Z.Y.』あらすじ>1960年代の保守的な家庭で、5人兄弟の4男として育ったザック。「特別な子」と呼ばれた彼は、軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、それぞれ文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に足を踏み入れる1970年代。ザックは自らのアイデンティティと、父親の価値観の間でもがくようになる。【詳細】映画『C.R.A.Z.Y.』公開日:2022年7月29日(金)監督:ジャン=マルク・ヴァレ出演:ミシェル・コテ、マルク=アンドレ・グロンダン、ダニエル・プルール2005/カナダ、モロッコ/フランス語、英語/カラー/129分 映倫:PG12 後援:カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所 配給ファインフィルムズ
2022年05月12日フレンチカナディアンの映画監督ジャン=マルク・ヴァレが亡くなった。58歳。死因は発表されていないが、心臓発作である可能性が高いようだ。彼はケベック・シティのバケーションハウスに人々を招待すべく準備をしていたが、その前に亡くなったらしい。ヴァレはワークアウトに熱心で、体は鍛えられていたという。ヴァレはモントリオール出身。カナダ映画『C.R.A.Z.Y.』でカナダのジニー賞を受賞。その後、エミリー・ブラント主演の『ヴィクトリア女王 世紀の愛』、マシュー・マコノヒー主演の『ダラス・バイヤーズクラブ』、リース・ウィザスプーン主演の『わたしに会うまでの1600キロ』などの映画を監督。最近ではテレビドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』で高い評価を受けていた。文=猿渡由紀
2021年12月28日「ビッグ・リトル・ライズ」『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ監督が亡くなった。58歳だった。地元当局の発表によると、26日、ケベック・シティー郊外の山小屋で亡くなっているのをヴァレ監督と会う約束をしていた友人が発見したという。「ニューヨーク・タイムズ」紙などが報じた。パブリシストのバンブル・ウォードは「予期せぬ死」と語っており、現在のところ死因は分かっていない。ヴァレ監督の代表作にはアカデミー賞3冠&自身も編集賞にノミネートされた『ダラス・バイヤーズクラブ』、エミー賞(リミテッドシリーズ・テレビ映画部門)で監督賞、作品賞などを受賞し、ゴールデングローブ賞でも作品賞、主演女優賞などを受賞した「ビッグ・リトル・ライズ」などがある。「ビッグ・リトル・ライズ」のリース・ウィザースプーンは、「心が張り裂けそう。私の友人。大好き」とヴァレ監督の死を報じたニュース記事を引用し、ツイート。同じく「ビッグ・リトル・ライズ」のローラ・ダーンは「素敵なジャン=マルク・ヴァレ。世界は偉大で純粋なアーティスト、夢追い人の一人を失った。それに私たちは大切な友人を失った。本当に悲しい」との追悼文とヴァレ監督との2ショットをインスタグラムに掲載した。(Hiromi Kaku)■関連作品:ダラス・バイヤーズクラブ 2014年2月22日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© 2013 Dallas Buyers Club, LLC. All Rights Reserved.
2021年12月28日1970年アメリカ生まれのピアニスト、ニコラ・アンゲリッシュが来日する。熱烈なピアノ・ファンが相手ならば、過去の来日時におけるソロ・リサイタルやオーケストラとの共演、さらには「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」での素敵なパフォーマンスでもお馴染みのアンゲリッシュについて、前置きなしですらすら話ができそうなところだが、一般の方々に彼の魅力を伝えることは、原稿用紙(今やPC)を前にしたこの期に及んでなかなか難しいことにはたと気がつく。そう、アンゲリッシュには、これといった強烈な個性が見当たらないのだ。しかしながら、「だったらだめじゃん」などと思うのは大間違い。強烈な個性というものは、一歩間違えば奇をてらった陳腐な演奏と紙一重であるということも認識しておきたい。アンゲリッシュには、そのあたりの世界とは全く無縁の領域に生息するピアニストとしての存在価値があるように思えるのだ。言い方を変えればオーソドックス。しかしそのオーソドックスの絶対的な高みとは、他に代えがたい価値であるということを知ってほしい。特に今回のプログラムに並ぶドイツの作曲家たちの作品においては、オーソドックスであることの意味が大きく物を言いそうだ。音楽の価値や演奏の価値とはいったいどこにあるのだろう。そんな事を改めて考えさせられそうな重みを持つアンゲリッシュのリサイタルになりそうだ。●公演概要10月15日(火)紀尾井ホール「ニコラ・アンゲリッシュピアノ・リサイタル」●ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)(c)Jean-François-Leclercq-Erato1970年アメリカ生まれ。5歳で母からピアノの手ほどきを受け、7歳でモーツァルトのピアノ協奏曲K.467を弾き演奏会デビュー。13歳でパリ国立高等音楽院に入学し、アルド・チッコリーニ、イヴォンヌ・ロリオ、ミシェル・ベロフ、マリー=フランソワーズ・ビュケに師事した。ピアノと室内楽で1等賞を授与され、同音楽院を卒業。レオン・フライシャー、ドミトリー・バシキーロフ、マリア・ジョアン・ピリスのマスタークラスも受講。クリーヴランドのロベール・カサドシュ国際ピアノ・コンクールで第2位(1989年)、ジーナ・バッカウアー国際ピアノ・コンクールで第1位(1994年)に輝く。ドイツでは、フライシャーの推薦でルール・ピアノ音楽祭の新人賞を受賞。2013年、フランスのヴィクトワール・ド・ラ・ミュジークより年間最優秀器楽奏者に選出された。2003年5月、クルト・マズアの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番の独奏を務め、ニューヨーク・フィルハーモニックにデビュー(リンカーン・センター)。マズア指揮フランス国立管弦楽団の日本ツアーでは、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏した。2007年10月にはウラディーミル・ユロフスキよりモスクワに招かれ、ロシア・ナショナル管弦楽団のシーズン・オープニング・コンサートに出演した。これまでソリストとして、シャルル・デュトワ、ロジャー・ノリントン、ウラディーミル・ユロフスキ、ヤニック・ネゼ=セガン、トゥガン・ソヒエフ、ステファン・ドゥヌーヴ、マルク・ミンコフスキ、エマニュエル・クリヴィヌ、チョン・ミョンフン、ジャナンドレア・ノセダ、ダーヴィト・アフカム、パーヴォ・ヤルヴィ、クリスチャン・ヤルヴィ、ダニエル・ハーディング、ヴァレリー・ゲルギエフ、ミヒャエル・ザンデルリング、クシシュトフ・ウルバンスキ、デイヴィッド・ロバートソン、ヘスス・ロペス=コボス、ケネス・モンゴメリー、アレクサンドル・ドミトリエフ、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、ヒュー・ウルフ、クリスティアン・ツァハリアス、大野和士らの指揮のもと、フランス国立管弦楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、フランス国立リヨン管弦楽団、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロサンジェルス・フィルハーモニック、ピッツバーグ交響楽団、サンクトペテルブルク交響楽団、マリインスキー劇場管弦楽団、ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団、モンペリエ管弦楽団、ローザンヌ室内管弦楽団、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団、南西ドイツ放送交響楽団、hr交響楽団、スイス・イタリアーナ管弦楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団、トーンキュンストラー管弦楽団、モントリオール交響楽団、アトランタ交響楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、スウェーデン放送交響楽団、ソウル市立交響楽団、マーラー・チェンバー・オーケストラ、ヨーロッパ室内管弦楽団などと共演。ロンドン、ミュンヘン、ジュネーヴ、アムステルダム、ブリュッセル、ルクセンブルク、ローマ、リスボン、ブレシア、東京、パリを始め、各地でリサイタルを行っており、ヴェルビエ音楽祭、マルタ・アルゲリッチ主宰のルガーノ音楽祭より定期的に招かれている。2009年7月には、ヤニック・ネゼ=セガン指揮スコットランド室内管弦楽団との共演で、BBCプロムスへのデビューを果たした。古典派・ロマン派作品を得意とし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲やリストの《巡礼の年》全曲を世界中で演奏。さらに20・21世紀の音楽にも関心を寄せ、ラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、バルトーク、ラヴェル、メシアン、シュトックハウゼン、ピエール・ブーレーズ、エリック・タンギーらの作品を演奏。ブルーノ・マントヴァーニの《Suonare》、ピエール・アンリの《オーケストラのないピアノ協奏曲》、バティスト・トロティニョンのピアノ協奏曲《Different Spaces》(Naïveレーベルに録音)をそれぞれ初演している。室内楽にも精力的で、マルタ・アルゲリッチ、ギル・シャハム、ヨーヨー・マ、ジョシュア・ベル、マキシム・ヴェンゲーロフ、諏訪内晶子、ドミトリー・シトコヴェツキー、ルノー・カプソン、ゴーティエ・カプソン、ジャン・ワン、ダニエル・ミュラー=ショット、レオニダス・カヴァコス、ジェラール・コセ、ポール・メイエ、エベーヌ四重奏団、モディリアーニ四重奏団、イザイ四重奏団、プラジャーク四重奏団、パヴェル・ハース四重奏団がらと共演している。レコーディングでは、代表的なソロ・アルバムに、『ラフマニノフ:ピアノ作品集』(Harmonia Mundi)、『ラヴェル:ピアノ作品集』(Lyrinx)、『リスト:巡礼の年』(Mirare、「ル・モンド・ド・ラ・ミュジク」Choc賞、「クラシカ」推薦盤)、『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番、第21番「ワルトシュタイン」、第32番』がある。Eratoレーベルとはブラームスに重点を置き、ピアノ三重奏曲(共演:ルノー&ゴーティエ・カプソン、ドイツ・レコード批評家賞)、ヴァイオリン・ソナタ(共演:ルノー・カプソン、ディアパゾン・ドール、「ル・モンド・ド・ラ・ミュジク」Choc賞、「グラモフォン」エディターズ・チョイス、「スケルツォ」特選盤)、ピアノ独奏曲(「ル・モンド・ド・ラ・ミュジク」Choc賞、「BBC ミュージック」優良盤)を録音。さらに諏訪内晶子との共演で『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、第7番 』(Decca)を、パーヴォ・ヤルヴィ指揮hr交響楽団との共演で『ブラームス:ピアノ協奏曲第1番、第2番』(Erato)をリリースしている。このほか、フォーレの室内楽作品、J.S.バッハの《ゴルトベルク変奏曲》、『Dedication:献呈されたピアノ作品~リスト、シューマン&ショパン』などの録音も高い評価を得ている。最新盤は、『ベートーヴェン: 三重協奏曲、ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」』(共演:パーヴォ・ヤルヴィ、フランクフルト放送交響楽団、ギル・シャハム、アンヌ・ガスティネル)、またロランス・エキルベイ指揮、インスラ・オーケストラとの最新レコーディング『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番・第5番「皇帝」』も2018年9月にリリース。
2019年10月10日14回目を迎える「フェスタサマーミューザKAWASAKI」2018。概要の発表会見が、3月28日に主会場となるミューザ川崎シンフォニーホール内で開かれた。「奏(so)クール!」をキャッチフレーズに、首都圏のプロ・オーケストラが今年の夏も川崎に勢ぞろいする。プログラムをざっと見てみよう。ミューザを本拠とする東京交響楽団が、ホスト・オーケストラ役としてオープニング(7月21日(土))とクロージング(8月12日(日))に登場、生誕100年のバーンスタイン作品を含む祝典プログラムを聴かせる。前者の、大西順子、中川英二郎、本田雅人らトップ・ジャズ・ミュージシャンたちの共演は聴き逃せないし、後者の、かつて舞台上演でも主役を演じた幸田浩子、中川晃教の二人が歌う《キャンディード》(バーンスタイン)からのナンバーにも注目だ。7月22日(日)新日本フィルと7月29日(日)は東京シティ・フィル、2公演で「正統派ドイツ音楽 I&II」。前者では横山幸雄のモーツァルト第20番、後者ではシュテファン・ヴラダーによるベートーヴェン《皇帝》と、定番の名ピアノ協奏曲も楽しめる。一方、平日の7月24日(火)と8月3日(金)の2公演は、期待の若手ロレンツォ・ヴィオッティが指揮する東京フィルのラヴェル&ドビュッシーと、川瀬賢太郎/神奈川フィルのサン=サーンス特集による「絶品フレンチ I&II」を形成する。こちらも、小山実稚恵のラヴェル(7月24日(火))、サン=サーンスでは神尾真由子のヴァイオリン協奏曲第3番、4月からミューザのホール・オルガニストに就任する大木麻理の交響曲第3番と、共演者も楽しみな陣容。ほかにも、現在パーヴォ・ヤルヴィの助手を務める1992年生まれの熊倉優が振るNHK交響楽団(8月4日(土))、鬼才マルク・ミンコフスキが都響を率いる《くるみ割り人形》(8月5日(日))、反田恭平がラフマニノフの《ピアノ協奏曲第5番》(交響曲第2番の編曲)を日本初演する藤岡幸夫/日本フィル(8月9日(木))、客席の投票でNo.1を決める東京ニューシティ管の「灼熱のアリアバトル」(8月10日(金))、もはやおなじみ新百合ヶ丘テアトロ・ジーリオ・ショウワでの「出張サマーミューザ@しんゆり」(7月29日(日)&8月4日(土))など、例年にも増して魅力的なラインナップがずらり。オーケストラ公演以外にも、恒例の「サマーナイト・ジャズ」(7月28日(土))や、鈴木雅明のオルガンによる「真夏のバッハ」(8月11日(土・祝))など、日程を眺めているだけで食指が動く。いつものように、プレトークや公開リハーサル、出演者による室内楽など、開演前のうれしい「おまけ」もチェックしたい。「フェスタサマーミューザKAWASAKI」2018は7月21日(土)から8月12日(日)まで全19公演。会期後半には、昨年逝去した音楽写真家・堀田正矩さんの追悼写真展「音楽へのまなざし」も併催される(7月31日(火)~・ミューザ川崎企画展示室)。取材・文:宮本明
2018年03月30日使いこむほどに育っていく究極のタオル「育てるタオル」から、贅沢な心地よさを味わえるプレミアムライン「マルク(MARQUE)」が新登場。1月24日より伊勢丹新宿店をはじめ、各店舗にて発売を開始する。「育てるタオル」製造から半世紀の経験を経て完成した「育てるタオル マルク グラン」(7,000円)は、綿100%で一般的なバスタオルよりも一回り大きい700mm×1,400mmサイズ。たっぷりと包まれる感覚と驚きの軽さ、そして上質な心地よさを体感できる。穏やかに過ごす自分だけの時間に寄り添い、タオルと過ごす時間さえも楽しめる一品。「育てるタオル マルク グラン」スモークグレー(7,000円)商品にはブランドカラーであるグレーを採用。存在感のあるグレーの濃淡をダークグレーとスモークグレーの2色展開で表現した、シンプル&ベーシックなミニマルシックテイスト。パッケージには漆黒のオリジナルボックスを採用し、時が経っても変わらない普遍的なかっこよさを演出している。同商品は、1月24日から2月6日まで伊勢丹新宿店本館5F=バスパウダールーム、1月31日から2月14日まで松屋銀座本館5F=紳士服 紳士雑貨、2月6日から20日までJR名古屋タカシマヤ9F=寝具バストイレタリーで開催されるポップアップにて先行販売。なお、1月24日からは育てるタオル オンラインストア()でも販売する。
2018年01月25日写真家マルク・リブーの写真展が、ライカギャラリー東京&京都で開催される。期間はそれぞれ、2017年9月22日(金)から2018年1月14日(日)、2017年9月23日(土)から2018年1月18日(木)まで。20世紀を代表する写真家の一人であり、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ロバート・キャパらとともに、写真家集団マグナム・フォトの名を世界に知らしめる礎となった写真家、マルク・リブー。今回の展覧会では、ライカギャラリー東京は「マルク・リブーの世界」、ライカギャラリー京都は「マルク・リブーが見た日本の女性」と題し、それぞれ異なる作品を展示する。ライカギャラリー東京「マルク・リブーの世界」展ライカギャラリー東京での「マルク・リブーの世界」展は、独自の詩情あふれるドキュメンタリーを築き上げた、マル ク・リブーの代表作で構成。1953年に『LIFE』誌に掲載され、リブーがマグナム・フォトに参加するきっかけにもなったエッフェル塔のペンキ塗りの写真など、生前に「暴力より世界に存在する美により惹かれる」と語っていたリブーの世界観を直截的に伝える作品14点を展示する。ライカギャラリー京都「マルク・リブーが見た日本の女性」展そして、ライカギャラリー京都での「マルク・リブーが見た日本の女性」展では、日本国内でまとめて発表されることがなかったシリーズ「Les Femmes Japonaises」から精選した15点の作品を展示。マグナム・フォトの写真家の例にもれず、世界を駆け巡り撮影を行ったマルク・リブーは、40年にわたって断続的に撮影を続けた中国やインドをはじめ、アジア諸国においても多くのルポルタージュを残しており、日本もその例外ではない。特に、マルク・リブーが初めて日本を“発見”した1958年に集中的に撮影された日本女性のルポルタージュは、写真家の観察眼と美的感覚とが絶妙に融合したもので、リブーの作品の中でも独特の場所に位置している。この「Les Femmes Japonaises」には、伝統と変化をもっとも体現する存在であったとも言える、高度成長期における日本の女性たちが様々な場所で写し出されている。開催概要マルク・リブー写真展■ライカギャラリー東京 (ライカ銀座店 2F)タイトル:マルク・リブーの世界期間:2017年9月22日(金)〜2018年1月14日(日)住所:東京都中央区銀座 6-4-1TEL:03-6215-7070■ライカギャラリー京都(ライカ京都店 2F)タイトル:マルク・リブーが見た日本の女性期間:2017年9月23日(土)〜2018年1月18日(木)住所:京都市東山区祇園町南側 570-120TEL:075-532-0320
2017年08月26日シャネル銀座ビル4階に位置し、昨年末で10周年を迎えたシャネル・ネクサス・ホール。若手音楽家をサポートするクラシック音楽のコンサートや、意欲的な展覧会を開催しています。2015年は、「ボヤージュ(旅)」をテーマにした展覧会が企画されています。新年の幕開けを飾るにふさわしい展覧会は、20世紀を代表する写真家の一人である、1923年フランス・リヨン生まれのマルク リブーが、約60年前に秘境アラスカを旅して撮影した貴重な作品によるものです。リブーの「アラスカ」シリーズは日本初公開となります。写真ににじみ出るリブー独特の詩情が魅力ここは……雪原? 展覧会場に足を踏み入れた瞬間、白一色でデザインされた見事に潔い空間が、決して広くはないのに果てしなく続く雪原のように見え、テンションが上がります。アンリ カルティエ=ブレッソンやロバート キャパとともに、写真家集団マグナムの一員として活躍したマルク リブー。彼は1958年、ジャーナリストのクリスチャン ベルジョノーと「パリ・マッチ」誌特派員として、目的地アラスカを目指しデトロイトを出発しました。フェアバンクスとコッツビューに1週間ずつ滞在した後、2ヶ月かけて終着地メキシコへ南下する旅を敢行します。そんな今回の展示作品は、「写真を撮ることは旅すること」と語っていたリブーらしい、アラスカ縦断中の驚きに満ちた旅の記録であり、写真史に残る名作です。走行中は、絶えず車のフロントガラスから氷を削り取らなければならず、パンクしたら凍え死ぬといわれていた過酷なアラスカ・ハイウェイ約2500キロの道程。その広大な未開の風景を、白いキャンバスに描かれる点描のようにレンズで切り取り、現地に暮らすエスキモーの生活を生き生きと活写しています。零下34度の中、氷に穴を開けて魚を釣る姿や、凍結した馬の死体が横たわる写真など、目を奪われずにはいられません。それはリブーの視点が、フォトジャーナリストとしてだけでなく、ヒューマニストとしても卓越しているからでしょう。同時に、リブーの美意識が反映された白と黒の絶妙なバランス、幾何学的なグラフィックとしての斬新さは非常に現代的であり、私たちをみることへの情熱で釘づけにします。「リブーの写真を“芸術作品”に昇華させているのは、そのイメージに色濃くにじみ出る独特の詩情である」とは、本展覧会のキュレーターである佐藤正子さんの言葉。その詩情をぜひ、展覧会場を訪れて実際に体感してみてはいかがでしょう?ココ シャネルの美意識とメセナ精神を踏襲する展覧会写真のみならず、空間全体もそこに漂う空気感も含め、透徹した美意識がすべてに行き届いた、こんなにも完成度の高い写真展が日本で楽しめるとは驚きです。(しかも無料で!)今さらながら、ピカソ、コクトー、ストラヴィンスキーら若き芸術家たちを支援し、革新的であることを追及し続けたシャネル女史のエスプリが、現在も脈々と受け継がれているのを感じ、白銀の世界が熱気で満たされる思いでした。リブーご本人は、高齢のため来日なさいませんでしたが、息子さんで建築家のテオ リブー氏がオープニングに際して挨拶し、「私はアラスカで、生涯一番寒い日々を過ごした」「世界の暴力より美しいものを撮りたい」というお父様の言葉を紹介。フランスの連続銃撃テロの直後だけに、「父がもし若かったら、レピュブリック広場に駆けつけて、デモに参加したでしょう」「リブーは自由な人々の味方です」と語り、やはり熱い想いを感じました。本展覧会は、2015年4月18日(土)~5月10日(日)、國際写真フェスティバル京都グラフィーの公式展覧会として、京都に巡回されます。京都展にもぜひ訪れたいと思います。
2015年01月21日