『マーケティングで面白いほど売上が伸びる本』(市川晃久著、あさ出版)は、ビジネスセミナーの人気講師である著者が、マーケティングについてわかりやすく解説した入門書。「初めてマーケティングに触れる方でもわかりやすいように解説しています」という言葉どおり、有名企業の成功事例などを交えつつ、マーケティングの基本が紹介されています。注目すべきは、マーケティングに欠かすことのできない「3C分析」「STP分析」「4P戦略」について順番に説明がなされている点。つまり、この流れに従えば、無理なくマーケティングができるわけです。でも、ビギナーにとってはそもそも、「3C分析」「STP分析」「4P戦略」自体が疑問かもしれません。そこできょうは、この3つの基本をさらってみましょう。■3C分析とは複雑かつ多様な環境要因が存在し、常に変化を続けているのが現代社会。そのため、成果を上げるためにはまず「現状を正確に把握すること」が必要とされます。そして、そのための最初の手法として用いられるのが「3C分析」。3Cとは、「市場・顧客」「自社」「競合」のこと。詳しく見てみましょう。・市場・顧客(Customer)特定商品の市場規模や顧客特製のことで、「顧客ニーズ」「市場状況」と同義。・自社(Company)自社の「市場シェア」「技術力」「資金力」など、定性的および定量的の両面によってはかることができる「自社の経営資源」のこと。・競合(Competitor)自社と同じ市場で競争する「他者の経営資源」のこと。つまり3C分析においては、自社と競合を比較することによって、「競合に対して自社が優位なマーケティング活動をどのように実施すべきかを考えるわけです。3C分析なくして、「ターゲットの選定」「商品」「価格」「販路」「販促」を決定することは無謀。ところが現実的に、9割以上の企業はこの段階が不完全なのだとか。そして、マーケティングが失敗する最大の理由は、この現状分析を正しく行っていないことなのだといいます。■STP分析とはSTPの「S」とは「セグメンテーション(Segmentation)」の略であり、つまり「市場を細分化する」こと。「T」は「ターゲティング(Targeting)」の略で、細分化した顧客のなかから、どの顧客を狙う(選ぶ)のかを明確にする、いわば「顧客の選定」。そして「P」は「ポジショニング(Positioning)の略。自社が参入した(しようとしている)市場を細分化し、顧客を絞り込んだうえで自社の立ち位置を決定するということです。ちなみにこれは、3C分析の知識があって、初めて可能になるのだといいます。顧客(ターゲット)を決定せずに営業するのは、現実的に不可能。プレゼントをする際に、「誰」に贈るかに寄って購入するもの、予算、時期が変わるのと同じことだといいます。商品をつくってから、それを必要とする顧客を探すようなマーケティング活動では、収益は安定しないわけです。■4P戦略とはそして最終段階は、「顧客に自社の価値をどのようなマーケティング活動で伝えるか」。そこで重要なのが、4P戦略を活用していくことだといいます。4Pとは「商品(プロダクト)」「価格(プライス)」「流通(プレイス)」「販促(プロモーション)」の4つの略称。この「4つのP」をどのように組み合わせるかによって、顧客の感じる価値は大きく異なるそうです。自社のマーケティング活動は、ターゲットを明確にしたうえで「商品」「価格」「流通」「販促」の4P戦略を活用しつつ、自社の価値を最大化すること、そして顧客の満足度を最大にすることが目的。その組み合わせパターンを複数持っておくことで、そのときの経済環境や、さまざまな顧客ニーズにも対応できるというわけです。当然ながら簡単なことではありませんが、刻々と変化する市場においては、その対応なくしては生き残れないと考えるべきだと著者はいいます。*こうした基本を踏まえつつ、以後もマーケティングについて無理なく学べる一冊。聞きたくてもいまさら聞けないことでもあるだけに、大きく役立ってくれそうです。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※市川晃久(2016)『マーケティングで面白いほど売上が伸びる本』あさ出版
2016年05月24日アクセンチュアは4月5日、デジタル分野でのサービス拡大に向けて、デジタルマーケティング事業を展開するアイ・エム・ジェイ(IMJ)の株式の過半を取得することで合意した。IMJは1996年に設立し、現在およそ600名の社員を擁するデジタルマーケティング領域における国内企業で、さまざまな顧客に対し包括的なデジタルマーケティングサービスを提供している。同社の強みは、デジタル戦略の立案やコンテンツの設計・開発、デジタルマーケティング施策によるユーザー獲得支援、キャンペーン管理、データ分析などの多様なマーケティング機能と、それらを支えるクリエイティブを組み合わせた独自のサービスにある。同社はこれらのサービスにより、国内の消費財、飲料、自動車、通信、金融、エンターテインメントや小売業界などの顧客の成長に貢献しているという。今回の合意に基づく株式取得の完了後は、アクセンチュア・デジタルの構成チームであるアクセンチュアインタラクティブの国内市場に向けたサービス提供能力が強化される。また、アクセンチュアとIMJが持つ、クリエイティブ性、デジタルテクノロジーの専門知識、およびコンサルティング能力が融合され、戦略から実行までを一貫して提供できる体制が整う。なお、IMJの株式取得は規制当局による承認ならびに商習慣に基づく完了条件に従って実行され、完了後は両社で共同した運営体制を構築していく。
2016年04月06日ヤフー(Yahoo! JAPAN)は4月5日、デジタル・マーケティング情報サイトである「Insight for D (インサイト フォー ディー)」を公開した。デジタル・マーケティング入門、マーケティング事例、市場・トレンドといった記事を公開していく。新サイトは、デジタル・マーケティングに役立つ情報を、データを中心とした多様な切り口で分かりやすく発信する同社のオウンド・メディア。デジタル・マーケティングにおける国内外の最新トレンドの紹介や成功事例、業界リーダーへのインタビューなど、多彩なコンテンツを掲載し、マーケティングにおける戦略的データ活用に関わる人々に、ビジネスを成功に導くヒントを届けていくとしている。具体的には「意外と知られていない『検索データ』の戦略的活用法」や「データ活用、成功企業が実践するマネジメント」などの初回コンテンツをはじめ、耳目を集めているスポーツ業界におけるデータ・マーケティング実践事例など、多様な記事を順次公開していく予定だ。
2016年04月06日ロケーションマーケティングサービスを提供する米xAdは3月31日、同社の日本法人「エックスアド・ジャパン合同会社」(xAdジャパン)による国内サービス展開を、本格的に開始すると発表した。同社が提供するロケーションマーケティングサービスは、スマートフォンなどのモバイルデバイスからの位置情報をもとに、その場所に最適な広告配信を行うもの。同社は、モバイルデバイスにアプリを提供している事業者と提携し、そのアプリを通して、個人を特定しない形で位置情報を取得。そのデバイスに対して広告を配信できる。日本では現在、およそ2000万台をターゲットにできるという。米xAd チーフマ・ケティング・オフィサー(CMO) モニカ・ホウ氏は、2019年までに米国広告市場の43%が位置情報を使用することになるという調査データをもとに、位置情報の重要性を訴え、次のように述べた。「消費者が購買行動を起こすその瞬間を知ることで、消費者がそのときもっとも興味があることを目立たせることができる。たとえば、消費者がファーストフードやコーヒーショップの店内にいるのか、その近くをただ通りかかっているだけなのかを見極めることができれば、消費者に対するメッセージを、それに合わせたものにすることができる」(モニカ・ホウ氏)xAdジャパン カントリーマネージャー 安里勇吾氏も、その人が焼肉店にいることがわかれば、消臭剤の広告効果がより高まると訴える。ただ、モニカ・ホウ氏は現在の位置情報には、精度の面で課題があるとした。「現在の位置情報の問題は住所をもとにしているため、その住所の中間点が示され、購買行動が実際に行われているビルの上にはないのです。そのため、そのビルにいる人をターゲットにしたい場合、精度が外れてしまいます」(モニカ・ホウ氏)そこで、xAdでは、特許技術「Blueprint」を使ってその場所の領域の輪郭を描き、その建物の中にいるのか、外にいるのかを区別できるようにしているという。敷地や建物の輪郭を生成は70%が自動生成で、残りは、人の手によって行っているという。モニカ・ホウ氏は「xAdは、モバイルの広告プラットフォームとして知られているが、私たち自身はロケーションマーケットプレイスだと認識している。モバイルを利用した行動はどんどん増えているが、小売行動の90%はオフラインで行われている。そのため、eコマースだけに特化していては、氷山の一角にフォーカスしていることになる。われわれのソリューションは、適切な消費者に、適切なときに、適切な場所で広告を配信することで、購買行動を起こすことを決定するその瞬間をお手伝いできる」と述べた。同社では日本で本格展開するにあたり、すでに680万件の公共施設などの目標の建物を登録済みだという。安里氏は、「日本全国のセブンイレブンの17,000店舗に対しても、1クリックで指示できる」と語る。同社では、「現在その場所にいる人」、「現在、その場所の付近にいる人」、「過去、その場所に行ったことがある人」などのほか、日本独自の機能として、郵便番号や町丁目などを指定したターゲィングが行えるという。米国では、セルフサービスとして展開されているが、国内ではパートナーを通した販売を開始。セルフサービス型は2016年8月にベータ版を提供し、2016年第4四半期にリリースする予定だ。日本では、サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、Supershipなどのプレミアムパートナー企業との協業が大きな柱となっており、今後のプランについては、今年は代理店に対する啓蒙活動を行い、来年はパートナーの拡大、2018年から本格的に展開する予定で、まずは、米国での成功事例をもとに、ファーストフード、自動車販売、小売りをターゲットにするという。安里氏は「われわれはロケーションという概念をこの業界につくっていきたい。Googleは検索をリードし、FacebookはSNSをリードしている。われわれは、オフラインにおけるロケーションをリードしていきたい」と述べた。
2016年03月31日NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)とテラスカイは3月24日、これまで別管理されることが多かった企業のマーケティング活動と営業活動をセールスフォース・ドットコムが提供するマーケティングオートメーション「Pardot」、営業支援ツール「Sales Cloud」を簡易に連携させることで、営業結果につながるマーケティング施策を見える化し、同時に効率的な営業パイプラインの強化を図るソリューションを両社の連携により提供開始すると発表した。今回、提供する連携ソリューションでは営業支援ツール「Sales Cloud」の導入と活用支援で実績を持つテラスカイと、BtoBマーケティングで実績を有するNTTコム オンラインにより、二つのツールの連携を簡易に実現するととともに、個社ごとの業務に最適化した運用コンサルティングから、受注後の基幹業務までの一貫した支援や、周辺領域であるWebページやEメールなどの制作運営、マーケティングROI向上に向けての分析・コンサルティングまでをワンストップで支援する。同ソリューションの導入に向けて、マーケティングの観点から、顧客データベースの分析結果をベースに見込み客の行動パターン、業界特性を踏まえて最適なカスタマージャーニーを作成。また、営業の観点からも見込み客を営業に受け渡す最適なタイミングを見極め、合理的で効率のよい営業活動を行えるよう、シナリオの最適化、連携部分の設計を行う。そのほか、ローンチ後も自社での運用が可能になるまでコンサルタントが一緒に効果測定/改善に取り組む支援を行う。ツールの導入支援では、コンサルティングの結果を踏まえ、PardotとSales Cloudを最適に連携させた導入を行う。連携部分でもスムーズかつ、効率的にデータが受け渡され業務が流れるように、必要な開発をSales Cloud上で行う。運用支援では、導入コンサルティングで作成したカスタマージャーニーに基づき、見込み客のナーチャリングを行う。その際に重要となる顧客セグメントごとに最適化されたカスタマイズメールやWebコンテンツの作成を支援。さらに、Webサイトのマーケティングプレイス化を目指し、CMSを活用したサイトリニューアルや新規サイトの構築を支援に加え、営業活動の効率化のため見積作成、受注業務のシステムの見直し、在庫引当などのシステム化も支援する。なお、協業初年度の導入目標はNTTコム オンライン、テラスカイの2社で20社4億円を目標としている。
2016年03月25日トランスコスモスは3月17日、Reproと提携し、Reproが開発・提供するモバイルアプリ向けマーケティングツール「Repro(リプロ)」の取り扱いを開始したと発表した。インターネット利用デバイスがPCからスマートフォンへとシフトが加速する中、スマートフォン広告市場は引き続き大きく成長することが見込まれているという。こうした市場環境をうけ、同社はアプリマーケティング関連のサービスの拡充と専任スタッフの育成を進めており、モバイルアプリ向けマーケティングツール「Repro」の提供を開始する。マーケティングツール「Repro」は、アプリの成長に必要な機能を1つのSDKで提供しているグロースハックツール。ファネル分析やリテンション分析などの定量分析機能に加えてユーザーのアプリ内行動を動画として再現する定性分析機能もあり、アプリの課題発見が容易に行える。さらに、プッシュ通知やアプリ内メッセージ送信などのアプリ内マーケティング機能も充実しており、アプリの再訪率や課金率を高めることもできるとしている。
2016年03月18日ニールセンは3月16日、2016年3月3日にマーケティング意思決定支援システムのPointlogic(ポイントロジック)の買収を完了したと発表した。ニールセンではポイントロジックの買収を、ニールセンの視聴行動分析部門と消費行動分析部門のデータ資産とプランニング資産を拡大し、デジタル広告視聴率、トータル広告視聴率、デジタル・コンテンツ視聴率、トータル・コンテンツ視聴率を含むニールセンのトータルオーディエンスデータの普及を世界中で推進させるとしている。両社は2014年に戦略的提携を締結し、ニールセン メディア・インパクトを共同で開発してきた。ニールセンのプロダクトリーダーシップ部門プレジデントのメーガン・クラーケン氏は、今回の買収について、「ポイントロジックの買収により、当社の顧客企業はより高い精度でのメディアプランニングやプランの実施を行えるようになるでしょう。ニールセンは ポイントロジックと共に、顧客企業が最も効果的に消費者にリーチし、エンゲージメントを構築し、関係を確立する方法を変革し、結果として顧客企業が目標とするブランドやビジネスの成果を達成することを支援していきます」と述べている。
2016年03月16日ジャストシステムが3月11日に発表した「SNSプロモーション活用実態調査2016」の結果によると、マーケティング担当者が、今後マーケティング活動や販売促進活動に使いたいと考えているSNSは、全体平均ではFacebookが最多だったが、販促や売上拡大ではLINE、ブランドや商品などの認知度向上ではInstagramが最も多いなど、目的により利用したいSNSが異なっている。同調査は、同社が運営するマーケティング・リサーチに関する情報サイトである「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」において、ネットリサーチサービス「Fastask」を利用し、3月4日から6日にかけて実施したもの。調査対象は、事前調査で「マーケティング、販売促進」の職種と回答した20代から50代の男女221人。現在、マーケティング活動や販促活動に活用しているネット媒体を複数回答で尋ねると、「ホームページ」が67.9%で最も多く、以下、SNS(35.3%)、メール・マガジン(メルマガ、31.7%)、ブログ(20.4%)と続く。今後マーケティング活動や販促活動に活用したいSNSを複数回答で聞いたところ、Facebookが21.7%で最多だった。販売促進・売上拡大を狙う場合に使いたいSNSではLINE(59.1%)が、ブランド・商品などの認知度向上を目的とする場合はInstagram(45.5%)が、それぞれ最も多い。マーケティング活動や販促活動で既にSNSを利用している担当者に次年度予算を尋ねると、「2015年度と比較して、2016年度は増やすつもり」が30.8%、「2015年度とさほど変化なし」が29.5%で、「増やす」と「変化なし」が拮抗している。Twitterをマーケティング活動や販促活動に利用している担当者が実感している効果(複数回答)では、「ブランド・商品などの認知度向上」が41.3%と最多であり、以下「情報を拡散できる力が大きいこと」(34.8%)、「ブランド・商品などのファン増」(30.4%)と続く。Facebookをマーケティング活動や販促活動に利用する目的(複数回答)として、「集客」を挙げる担当者が51.0%で最多だったにも関わらず、集客アップの効果を実際に感じている担当者は19.6%にすぎない。
2016年03月14日ガートナーは2月24日 、ほとんどの新しいマーケティング・テクノロジ・イニシアティブには、セキュリティと精度よりもスピードと俊敏性に焦点を当てた新しいITアプローチが必要になるとの見解を発表した。ガートナーのリサーチ バイス プレジデントのキンバリー・コリンズ (Kimberly Collins) 氏は、「マーケティングは、常に革新と競争上の差別化が重視される領域でしたが、新たにソーシャル、モバイル、ビッグ・データ、モノのインターネット (IoT) の技術が注目されるようになり、マーケティング担当者にとって過剰なほどの新たなアイデアと機会が開かれました。市場の変化に後れを取らないように新たなアイデアや革新をテストするためには、事業部門とIT部門の両方にスピードと組織的な俊敏性が求められます。IT部門が新たなソリューションを実現するペース、または既存の環境をサポートするペースは、パートナーであるマーケティング部門の活動ペースと同じでなければなりません」と、その背景を述べている。これは、マーケティングをサポートするITリーダーは、マーケティング担当者が新たなアイデアや革新をテストし、試行できるIT環境を提供しながら、これまでどおりITガバナンス、技術的な支援、評価も提供する必要があるということだという。また同社は、新しいCRMの展望も発表。それによると、2018年までに、IT部門が関与するソーシャル・マーケティング・アプリケーションの意思決定は、今日の30%から増加し、約50%になるという。これは、従来、ソーシャル・マーケティングのテクノロジと戦略の意思決定はマーケティング部門が管理し、予算もマーケティング部門に割り当てられてきたが、この3年間、マーケティング部門はソーシャル・メディアの運用を全社規模に拡大しようとしており、IT部門と連携してソーシャル・マーケティングのテクノロジと戦略の組織的標準を作成することが必要になるからだとという。また2019年までに、マーケティング財務管理機能を搭載するマーケティング・リソース管理 (MRM) の実装は、今日の25%未満から増加し、50%以上になる予測。これは、ソーシャル、モバイル、ビッグ・データはマーケティングに多大な影響を及ぼしており、マーケティング担当者が顧客に働き掛ける機会をかつてないほど多く生み出しているが、マーケティング予算は顧客とのコミュニケーションを可能にする手段の数ほど速いペースでは増加していないため、マーケティング・パフォーマンス指標に基づいてマーケティング予算の配分と最適化を行うことは、かつてないほど重要になっているためだという。そのため、マーケティング担当者には、新たなアイデアや革新を試しながらリアルタイムで資金を再配分する俊敏性が求められ、アジャイル・マーケティングの時代では、マーケティング財務管理がMRMの重要な要件の1つになるという。ガートナー ジャパンのリサーチ部門主席アナリストの川辺謙介氏は「特に国内企業においてはこれまで、マーケティングによる市場創出・開拓といった考え方にあまり積極的ではなかったという側面もあり、マーケティングにテクノロジを活用しようとする動きはそれほど活発ではありませんでした。これは一般消費者の均質的な行動特性ときめ細かな作業を得意とする人的労働力によるものと考えています。しかしながら現在のデジタルの時代では、顧客接点の多様化、行動パターンの複雑化、それらに伴う情報の爆発的増加に速やかに対処しなければならず、もはやテクノロジの活用なしにはマーケティング業務をこなすことが不可能になってきました。そのため、IT部門にはマーケティング業務の目的、求められるスピード感と価値観を理解し、それに合わせたテクノロジへのアプローチを推進することが必要になります」と述べている。
2016年02月24日オプトホールディングとオプトグループのソウルドアウトは2月5日、バイドゥと業務提携してインバウンド・マーケティングに関する新サービスの開発・提供に取り組むと発表した。その手始めとして、中国の検索エンジンである「百度」(バイドゥ)の検索キーワード・ランキングに基づく認定ロゴを顧客企業に付与するサービスを開始、2016年末までに100社への導入を目指す。具体的な取り組みとして、バイドゥが運営する百度における検索キーワードのランキング・データに基づき、顧客企業が優位性を持つランキング指標の認定ロゴを付与した中国人観光客向けの販促物(店頭POPやのぼり旗など)の提供・利用により、来店及び購買を促進するインバウンド・ソリューション・サービスの提供を開始する。同サービスの導入企業第1弾として、コメ兵が、中国人観光客の消費がピークを迎えると目される2月8日の春節に向け、全国主要都市での利用を開始したという。3社は同サービスについて、中国人観光客から高い支持を受けるという百度の検索データを認証ロゴとして店頭の販促物に利用することで、製品のブランド力が高まり、中国人観光客が店頭で直接商品を選ぶ際に高い販促効果を期待できるとしている。3社は今後も新サービス開発・提供に取り組み、業務提携の成果を最大化していくとのことだ。
2016年02月08日電通は2月5日、海外本社「電通イージス・ネットワーク」がスペインのスポーツマーケティング会社「Alesport Group(アレスポーツ・グループ)」の株式100%を取得することで、同社株主と合意したと発表した。アレスポーツ・グループは、1975年に設立され、スポーツマーケティング領域を中心にビジネスを行い、傘下に、2輪・4輪車のモータースポーツやサイクリング、マウンテンバイクやマラソンの大会を企画・運営するRPMレーシング、BtoBイベントを企画・運営するRPMイベント、スポーツ関連情報の出版事業を行うAlesport(アレスポーツ)、スポーツ大会やイベント関係者の移動・宿泊などの手配を担うAventurismo(アベンツリズモ)の4社を抱えているという。また、スポーツ大会の企画・運営に加え、自社によるスポーツ大会の主催も手掛けている。なお、アレスポーツ・グループの2014年12月期の収益は1,371万ユーロ(約17.9 億円)。電通では、スポーツは今後強化していく分野の1つであり、2014年のスペインの広告費は経済の回復基調を反映して前年比6.2%増となり、2015年、2016年もそれぞれ6.9%増と堅調な成長が続くと予測されることから、買収することにしたという。買収後もアレスポーツ・グループ傘下4社によるサービス体制は維持し、スペイン内外の同社グループ各社との連携を図りながらシナジーの創出を図っていくという。
2016年02月05日サクラサクホールディングスとサクラサクマーケティング(サクラサクグループ)は2月4日、SEOや、リスティング広告やコンテンツ・ライティングなどWebマーケティングにおける各種分析ツール、最新情報、ノウハウなどを無償で提供するサイト「サクラサクLABO-β版」を開設した。同サイトで提供するツールは、以下の8種類。・Yahoo!&Google順位変動調査ツール: 同社独自という調査方法で検索エンジンの変動状況を数値化しリアルタイム配信する・ツール被リンク(バックリンク)分析ツール: 自社サイトへのリンク(バックリンク)を分析・チェックする・HTML&ソースコード分析ツール: 指定したURLのSEOにおける主要タグ(title、canonical、alternateなど)の値を返し、分析・チェックする・共起語&関連語検索調査ツール: 指定したキーワードに対する関連キーワードや、合わせてよく利用されるキーワードなど抽出する・リダイレクト&ステータスコードチェックツール: 指定したURLのステータスコードの値を返し、HTTPSや多段リダイレクトにも対応する・Google否認(disavowツール)ファイル生成ツール: disavowツールにドメイン単位で否認する際のアップ・ファイルを生成する・スマホキャプチャツール: スマートフォンでのサイトの見え方を表示してキャプチャする・スマホSERPsキャプチャーツール: スマートフォンでのGoogleの検索結果(SERPs)を表示してキャプチャする同社では同サイトを通じ、各種SEOにおける無料診断やペナルティ分析、コンサルティング相談などを随時受け付けているとのことだ。
2016年02月05日前編では、今後のデジタルマーケティングを展望する上で重要なトレンドである「アドテクとマーテクの融合」を取り上げた。後編では、前編でも取り上げたScott Brinker氏による2016年のマーケティングテクノロジー(以降、マーテク)の予測「7 not-quite-predictions for marketing technology in 2016」を題材に、2016年のトレンドを占ってみたい。○2016年のマーテク7つの予測タイトルに「あまりきちんとしたものではない」との断り書きがあるが、Brinker氏による2016年の予測は以下の7点である。2016年はMarketing Technology Landscapeに示されるベンダー数がピークを迎える。2016年は多くの大手マーテクベンダーにとって、「キャズム越え」に直面する年になる。アドテクベースのディスプレイ広告が苦境に陥る。エンタープライズ向けマーテクベンダー間の垂直的競争が激化する。オープンソースソフトウェアが選択肢に加わるマーケティングテクノロジー分野が増加する。異なるテクノロジーを組合せたマーケティングテクノロジースタックがテクノロジー統合を容易にするものとして広く受け入れられる。ABM(Account-Based Marketing)が2016年で最も熱い分野になる。この予測の1番、2番、4番は前編で解説した「アドテクとマーテクの融合」に関連する。そこで後編では、筆者が重要と考える予測の6番と7番を中心に、国内企業がマーテク分野で把握しておくべきトレンドを解説しよう。○求められるマーケティング・テクノロジー・スタックの定義現在のマーテクのエコシステムにおいて、マーケティング・オートメーション(以降、MA)ツールは企業のマーケティング活動の基盤を提供する製品である。この分野のソフトウェアを提供しているマーテク・ベンダーは、アナリティクス、DMP(Data Management Platform)/CDP(Customer Data Platform)といった分野の製品を製品ポートフォリオに組み込み、企業のマーケティング活動を包括的に支援する統合プラットフォームを提供しようとしている。通常、ビジネス・ソフトウェア市場では、スイート製品の登場がテクノロジー分野が成熟したことを示す。しかし、Marketing Technology Landscapeを見る限り、スイート製品登場の兆しはない。それどころか、Brinker氏の予測の2番目でも「キャズム越え」が課題として示されているように、マーテクはメインストリーム市場に向かう前段階にある。このような状況下で、企業がマーケティングスイート製品の登場を待ってから導入に踏み切るというのは現実的ではない。では、これからマーテクを導入する企業はどうすればよいのだろうか。多くの先進企業ではマルチベンダー戦略を選択する方向に向かっている。具体的には、さまざまなベンダーが提供する製品分野からそれぞれ最適な製品を集め、インフラストラクチャ、ミドルウェア、アプリケーションと積み上げる「テクノロジー・スタック(技術群)」を定義し、これに沿って製品を導入することになると見られる。テクノロジー・スタックはマーテク・ベンダーとユーザー企業のどちらにも必要である。モデルとなるテクノロジー・スタックを示すマーテク・ベンダーはまだ存在しないが、テクノロジー・スタックは、ベンダーを中心としたエコシステムの充実を示すことになり、連携のためのミドルウェアの選択肢をユーザー企業に提示することにも役立つ。また、ユーザー企業にとってもテクノロジー・スタックは、自社の他の業務システムとの連携を考慮した上で、最適なマーケティングシステムを構築するための指針となるし、自社のマーケターがマーテクで実現したいことの優先順位を付け、テクノロジースタックが示す計画に従って複数の製品導入を行う上で役立つ。○マーケティングとセールスの連携で期待されるABMABMとは、企業がこれまで以上のビジネス価値を最も重要なアカウント(顧客)に提供することを支援する戦略的アプローチである。そして、それぞれのアカウントを1つの市場として扱うことで、企業が既存のアカウントとの関係を深め、新しいアカウントへと関係を拡大することを支援する。製品やサービスをアカウント(顧客)とする考え方は、B2C企業にはなく、B2B企業特有のものだが、ABMは特に目新しい概念ではない。国内ではキー・アカウント・マネジメント(重要顧客マネジメント)として知られるビジネス・プラクティスと同じであり、優良顧客を明確にした上で、セールス部門が他部門と連携しながら適切な施策を展開するアプローチとして認識されている。古くからあるABMがあらためてマーテクで注目される背景には、セールス部門ではなく、マーケティング部門が優良顧客を定義し、既存の優良顧客と同様の属性を持つプロスペクトをリードとして育成することに役立つのではないかという期待がある。国内でも、スコアリングに役立つ企業情報を提供する東京商工リサーチが2015年9月にリリースした「TSR Connect for Oracle」はABMを意識している点で興味深い。ABMは、国内ではまだまだ「営業の仕事」として認識されているかもしれない。だが、大口顧客イコール優良顧客ではない。ABMはしばしば混同されるこの2つを区別し、B2B企業におけるリード・ナーチャリング・プロセスを補完する考え方であり、マーケティングとセールスの連携を進める上で鍵となる概念として脚光を浴びることになるだろう。
2016年01月29日アビームコンサルティングは1月27日、企業のマーケティング部門のあるべき姿を示しマーケティング業務の変革・改善を継続的に支援するという「マーケティングBPRソリューション」の提供開始を発表した。初年度で5社程度への導入を目指す。新ソリューションは、マーケティング部門のデジタル化推進状況を含む包括的な課題・改善点を可視化するという「マーケティングオペレーションアセスメントサービス」をベースに、自社経営計画に基づくマーケティング戦略の立案や、マーケティング部門がすべき投資計画、組織・人事計画の実現に向けたロードマップの策定支援を行うという。また、実際にマーケティング部門のデジタル化実現に必要なデジタル・テクノロジーの選定から導入、それらを有効に活用するための新しい業務や制度の設計までをワンストップで提供するとのこと。同ソリューションにより、自社の経営方針に基づいた形のマーケティング変革を業務・IT・組織の面から継続的に推進できるよう支援するとしている。同ソリューションでは、8種類のサービスを提供する。「マーケティングオペレーションアセスメントサービス」は、マーケティング部門における業務のあるべき姿と現状のギャップを測定し、成熟度を可視化するもの。「全社マーケティング戦略ロードマップ策定サービス」では、企業の経営計画に基づくマーケティング戦略立案と実現ロードマップ及びマーケティング・ポートフォリオの策定を支援する。「マーケティング部門戦略ロードマップ策定サービス」は、企業のマーケティング部門における投資計画や組織・人事(採用)計画などの実現ロードマップの策定を支援する。「マーケティングテクノロジー導入ロードマップ策定サービス」は、マーケティング部門の投資戦略・計画に沿って必要なツールに優先順位を付け、導入に向けたロードマップの策定を支援するもの。「マーケティング部門業務・組織改善サービス」では、マーケティング部門のBPR(Business Process Reengineering)を継続的に実行可能とするチーム・組織作りを支援する。「マーケティングテクノロジー導入実行計画策定サービス」は、策定したテクロジー導入ロードマップ内の個々の案件について、導入計画の策定を行うもの。「マーケティングテクノロジー導入サービス」では、策定した構想策定や導入計画に沿って、マーケティング・テクノロジーを導入する。「モニタリング・リサーチサービスマーケティング効果」は、マーケティング部の取り組みや、当初掲げた目標との乖離などを継続的にモニタリングするもの。サービスの提供期間は企業規模や個別要望により異なるとしながら、マーケティングオペレーションアセスメントサービスでは2ヵ月程度を想定しているとのことだ。
2016年01月28日2015年の国内マーケティング・テクノロジー動向を振り返ると、マーケティングオートメーション(以降、MA)の概念とマーケティングプロセスを支援するソフトウェアの導入領域に関して、認知度が急激に高まった1年だった。特に、これまではB2C企業に比べ、企業活動におけるマーケティング活動へのIT化に積極的ではなかったB2B企業もリードマネジメントを行うため、MAツールの導入に関心を示している。こうした市場環境の変化を踏まえ、2回に分けて、デジタルマーケティング全般に関して、米国における2016年の展望と日本市場に向けての示唆を考えてみたい。○マーケティングテクノロジーの現状企業のマーケティング活動を支えるソフトウェアやサービス、そして提供ベンダーを整理した資料として知られているのは、Chief Marketing Technologist Blog編集長のScott Brinker氏が作成を監修する「Marketing Technology Landscape」である。本稿時点での最新版は2015年1月に発表されたものであり、43分類にわたり1876のベンダーがマーケティング・テクノロジー(以降、マーテク)に関与している。このMarketing Technology Landscapeによれば、マーテクにはMAやSFAのような顧客関係のマネジメントに関するアプリケーション、アナリティクス、レポーティングツール、CMS(Content Management System)のほか、DMP(Data Management Platform)や各種連携用ミドルウェア、データベースまであらゆるソフトウェア・サービスが含まれる。なお、類似の資料に「カオスマップ」として知られる「Marketing Technology LUMAscape」があるが、インフラストラクチャやミドルウェアまではカバーされていない。このMarketing Technology Landscapeで驚くべきは、2014年1月は約900だったものが倍増している点である。さらに、Brinker氏は、マーテクに関する2015年の予測を発表する際、2015年末に向け、Marketing Technology Landscapeは縮小するのではなく拡大し、この市場に参画しているベンダー数はさらに増加すると予測した。これ以上の混沌とした状況はマーケターにとって好ましいものではない。マーケティング・ソリューションの選択肢が多いのは良いが、自社が取り入れるべきテクノロジーのビジョンを描きにくい中、最善のテクノロジーを選ぶことは非常に難しい取り組みとなるだろう。この点についてどうすべきかは、後編で詳しく述べたい。○米国におけるテクノロジー・トレンド「アドテクとマーテクの融合」多くのマーテクの識者たちは、この混沌とした状況下でアドテクノロジー(以降、アドテク)とマーテクの融合が進行していると指摘する。アドテクとは、オンライン広告のターゲティング、配信、表示、およびそれら一連のプロセスのマネジメントを行うためのソフトウェアおよびサービスの総称である。アドテクとマーテクの違いはどこにあるのだろうか?アドテクは、共通の属性を持つ匿名のオーディエンスに対してメッセージを配信するためのテクノロジーである。これに対し、マーテクは相手が誰かを把握した上でメッセージを配信するためのテクノロジーである。アドテクとマーテクはこれまでは別々のものとして発展してきた。しかし、アドテクもマーテクも、お金を払ってメッセージを届ける(いわゆるペイドメディア)か、自社が運営するWebサイトからメッセージを届ける(ペイドメディアに対してオウンドメディア)かという配信チャネルの違いがあるだけで、適切なメッセージを適切なターゲットに届けるというテクノロジーの原理自体に変わりはない。融合に向かうだけの共通点も存在するわけであり、それはマーケターのニーズに基づいている。マーケターとしては、属性を理解することはもちろん、正確にオーディエンスを特定して適切なメッセージを届けたい。このニーズに対して、マーテクが提供するターゲティング機能はアドテクでも有効であるし、アドテクの中には広告代理店のためだけのものではなく、企業で活用できるテクノロジーも含まれるからだ。ちなみに、マーケティング・テクノロジー・コンサルティング会社のRaab AssociatesのプリンシパルであるDavid M. Raab氏は、アドテクとマーテクの融合をデータ、意思決定、配信チャネルの統合という観点から見ており、示唆に富む。○トレンドの背景にあるものこのトレンドはゆっくりとだが確実に進んでいる。なぜならば、これが一貫性のある顧客体験を提供するためには不可欠な変化だからだ。2つのテクノロジーがバラバラのままよりも統合されているほうが企業としてはうれしい。統合されたテクノロジーを導入するほうがマーケティング活動の投資対効果がより高まるためである。では、アドテクとマーテクの力関係はどうか。資本市場の関係者から見ると、アドテクよりもマーテクのほうが魅力的に見えるようだ。これはマーテクのほうがより消費者・顧客に近いテクノロジーと見られていることが大きい。両者の交差点となるテクノロジーはMAであり、Adobe Systems、IBM、Marketo、Oracle、Salesforce.comといった主要ベンダーの企業買収やアライアンスの動向を見ていると、マーテク・ベンダーによるアドテク・ソリューションへの接近の傾向が伺える。また、テクノロジー統合のためにはデータを連携するミドルウェアが成功のカギを握ることが予想され、その意味でも上述の5社の動きは今後も注目の必要がありそうだ。
2016年01月26日クロス・マーケティングは1月21日、脳波をマーケティングに活用する技術、ノウハウをもつセンタンと業務提携し、ニューロマーケティングサービスを提供すると発表した。ニューロマーケティングは脳科学を利用して生活者の意識を明らかにする手法で、生活者の深層心理(インサイト)を読み解き、“無意識”を明らかにする。センタンは、脳科学・認知神経科学の知見に基づいたマーケティングコンサルティングを強みとしており、視聴者の関心が高いと値が上がるθ派を計測し、これまで蓄積したデータと比較することで、TVコマーシャルが効果的に購買に結びついているかを評価することができる。クロス・マーケティングは今回の業務提携により、生活者の“無意識”を明らかにする手法を拡充すると同時に、リサーチからプロモーションまで一貫してサポートできる体制を整えたという。なお、今回の提携においては、クロス・マーケティングが営業活動を行い、実際脳波の計測よる調査などはセンタンが行う。
2016年01月21日エスキュービズム・テクノロジー(Sテック)は1月20日、電通と共同で開発・販売しているEC向けマーケティング・オートメーション・プラットフォーム/ECパッケージである「DECIDE」を機能拡張し、マーケティング・エンジンとして利用可能な新パッケージとして「DECIDE Omni」を提供開始した。新製品は、従来製品が連携可能であったECサイトに加え、同社が提供するオウンド・メディア構築CMSとの連携、タブレットPOSである「EC-Orange POS」とのデータ連携、会員証アプリである「Orange Clubアプリ」との連携を実現し、EC/オウンド・メディア/実店舗で利用客の行動情報に基づくマーケティング・エンジンとして利用可能にした。タブレットPOSレジの購買情報のDECIDEへの連携、会員データの共通利用機能、DECIDEからスマートフォン用アプリに対してプッシュ通知を実施するモジュールの追加により、ECサイトでお気に入り登録した商品の在庫情報を利用客のGPS座標に基づいて店舗に近付いた際にプッシュ通知することや、店舗で手に取ったが買わなかった商品をECで割引販売するといった、より有機的な相互送客の実現が可能になるという。店頭での購買顧客や店頭のみでの購買顧客などの情報を連携し、ECやオウンド・メディアで実行しているのと同様の、購買提案や顧客育成に向けたステップ・シナリオなどの顧客育成施策を店頭でも実行し、ファンを増加させることが可能になるとしている。さらに、キャンペーン登録システムとキャンペーン・キッカーとしての機能を用意すると共に、集計やKPI指標に基づく施策の評価までを実施しているため、店舗/EC/オウンド・メディアの区別をせず、実施したキャンペーンの施策実施評価が可能とのこと。これらにより、従来と比べてキャンペーン施策などをより容易に登録・実行・評価可能になり、オムニチャネル時代のキャンペーンに発生するというデータの分散や評価主軸の散乱といった問題を廃し、適切に施策評価を実施できるようになるとしている。
2016年01月21日電通は1月14日、デジタル・マーケティング領域を中心とする運用型広告のオペレーション業務に特化した新会社「電通オペレーション・パートナーズ」をりらいあコミュニケーションズとの共同出資により設立し、沖縄に開設する新会社のオペレーション・センターの営業を1月15日から開始すると発表した。新会社の設立には、デジタル・マーケティング領域のビジネス増加があり、従来には無かった大量のオペレーション業務に効率的かつ迅速に対応する必要が生じているとしている。具体的には、デジタル&ダイレクト・マーケティング、システム・ソリューション、またソーシャル・マーケティングやPDCA(Plan Do Check Action)運用業務などにおいて、データ入力や集計作業、レポートの作成、コールセンター業務、簡易コンテンツの制作など定型業務の増大に対応する良質な運用体制の強化・拡充が急務となっていたとのことだ。一方で既にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の受託事業を行っているというりらいあコミュニケーションズは、デジタル・マーケティング関連サービスの拡充を目指しており、デジタル・マーケティング業務におけるBPO体制の強化を目指す電通と目的が合致したことから、互いにノウハウの提供をし合うJV(ジョイント・ベンチャー)を共同で設立することにしたという。新会社の電通オペレーション・パートナーズは、本社を東京都港区の電通本社ビル内に、オペレーション・センターを沖縄県那覇市の那覇新都心メディアビル内に置く。資本金は1億円で、出資比率は電通が70%、りらいあコミュニケーションズが30%。代表取締役社長には現在電通オペレーション業務マネジメント室に所属する岩井隆宜氏が就任し、従業員数は100人の予定。
2016年01月15日セプテーニは1月4日、中国におけるインターネットマーケティング市場の開拓を目的とし、中国に現地法人「七域広告(北京)有限公司」(以下「七域広告」)を設立し、2016年1月4日より営業を開始したと発表した。同社はこれまで、シンガポール、サンフランシスコ、ハノイ、ロンドン、ソウル、ニューヨークに拠点を設立し事業を展開しており、「七域広告」は新たな市場開拓を目的として6カ国8拠点目の海外拠点として設立した。
2016年01月05日さて、突然ですが、あなたの会社には、マーケティング部門もしくはマーケティングの専任担当者は存在しますか? 存在する場合、営業部門との連携は上手くいっているでしょうか?本連載ではこれまで、4回にわたり、BtoBにおける営業活動を効率化する上でマーケティングが重要となることをお伝えしてきました。そして、マーケティングを行う上では、シナリオの設計などの戦略立案や実行、検証のフェーズにおいて、広告の運用など「作業の部分」をマーケティングオートメーションで効率化することで、マーケターは高速PDCAを回すことができると言いました。そして、これらを実行に移そうと考えた際、もう一度みなさんに振り返って考えていただきたいことがあります ―― それは自社の組織体制です。具体的に、どの部分を見直せば良いのか、そのポイントや心構えについて整理してみましょう。○営業プロセスの分業化で、個人のスキルを活かせる伸ばせる組織へまず、本連載で最初に問題提起させていただいたことを思い出してほしいと思います。BtoBにおける営業活動は、これまで、見込み顧客の発掘から受注契約まで、つまり営業プロセスの初めから終わりまでのすべてを、それぞれの営業マンが一人で行ってきました。しかし、これでは営業活動の成果が担当者一人ひとりのスキルに依存してしまうため、結果として、「教育に時間を要する」「(結果が出ない場合)離職してしまう可能性がある」「組織の拡大に時間がかかる」など、非効率さとリスクを伴ってしまいます。そこで、まず目指していきたいのが、「営業プロセスに合わせて分業化された組織」の実現です。始めに、自社の営業プロセスを図に起こして整理しましょう。その上で、それぞれの営業プロセスに部署と人員の配置を行い、分業化された組織を構築していきます。例えば、営業プロセスが下の1から◯までの工数で成り立っていると仮定します。▼営業プロセス (仮定)1 : 顧客の課題の顕在化2 : 購買意欲の醸成3 : 見込み顧客の獲得4 : アポイントメントの取得5 : 商談6 : クロージング7 : 契約この場合、(1)~(3)までをマーケティングの部門が担い、(4)~(7)までを営業部門が担当するといった組織を構成することができます。なぜ、分業化する必要性があるのでしょうか。それは、一人の営業担当が担っていたときと比較し、教育工数の削減とスキルの早期取得が期待できるためです。また、業務を細分化することで、個人の性格や特性に合わせた人員配置が可能になり、それぞれの得意分野に集中してもらうことで、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。○分業化する一方で、共通したKPIを持つまた、営業プロセスの整理とそれに基づいた分業化を行う際、同時に、プロセスごとの目標値(以下、KPI)の設定を行ってほしいと思っています。組織では一般的に、最終的な目標を達成するため、現状の受注率や商談化率等をもとに、獲得するべき受注数や商談数、リード数…と遡って想定の売上額や利益を算出していきます。これは、営業活動においても同様です。しかし、営業プロセスにそって分業化した場合、これらの数字が共有・共通事項となっていないというケースが発生します。すると、十分な効果測定を行うことができず、ひいては、部門間の連携や各業務の最適化を不可能にする原因にもなり得ます。必ず、共通のKPIを認識している必要があるのです。○マーケティング部門と営業部門が不仲にならないように一方で、分業化することによるデメリットもあります。よく聞く課題として「マーケティング部門と営業部門の不仲説」がありますね。売上が上がらないことに対して、マーケティング担当は営業担当の商談スキルや進め方が悪いと考え、営業担当はマーケティング担当の発掘する見込み顧客の質が悪いと考えているといった状況です。このようにお互いの活動に懐疑的な状態では、分業化したところで協働はできません。売上・利益を上げるという組織全体の同じ目標に向かって、協力して行動するべきです。分担されていているそれぞれの役割を理解し、情報共有を密に行い、目標に向けての改善を共に行っていく……こういった部門間の連携を強化することは非常に重要になってきます。では、連携を実現するために、営業部門とマーケティング部門はそれぞれ、何を実践する必要があるのでしょうか。下記では、一例として、マーケティング部門が取り組むべきことを記載します。ステップ1 : 現状分析マーケティング部門は、現在進行中のマーケティング施策(Web広告や展示会への出展など)のうち、「どの施策から得たリードが実際に売上に繋がったのか」を営業部門が公開する実績から把握しましょう。そして、そのデータをもとに、今後強化して取り組んでいくべき施策を検討します。ステップ2 : リードの選別次に、マーケティング部門は、実施したマーケティング施策によって取得したリードを、見込み度合いによって選別しましょう。獲得したリードには、今すぐ商談に至らないものが多く含まれています。これらを含んだすべてを営業部門に渡してしまっては、無駄な営業活動を増やしていまします。商談に発展する可能性のあるリードのみ提供することができるよう、リードの選別基準とそのフローを構築しましょう。ステップ3 : 営業活動の結果を受けた分析最後に、営業部門に渡したリードが、その後どれくらい受注に至ったのか、どの程度の売上になったのかを、営業部門が実際に行った活動と紐付けて分析します。これは、どのようなマーケティング施策で獲得したリードが売上につながるのかといった「成功パターン」を見付けるための取り組みとなります。これにより、再度、今後強化するべきマーケティング施策を検討します。つまり、ステップ1に立ち返り、マーケティング活動の最適化を続けるということです。このように、BtoB企業の営業活動においては、ひとつの共通したゴールに向け、役割を横断して連携し、組織的な知見を蓄積し、それぞれの活動を最適化し続けることが重要なのです。さて、これまで5回にわたり、BtoB企業の営業活動にはマーケティングの要素が必要であるというお話をしてきました。主に、考え方を中心にお伝えしてきましたので、実際に組織の編成や分業化を行うとなると、なかなか難しいことに気付くでしょう。しかし、長期的な企業戦略を考えた場合、避けては通れない取り組みだと思っています。本連載が、BtoB企業のマーケティング活動と営業活動がより進化していく一助になれば幸いです。○執筆者紹介株式会社イノベーション「BtoBマーケティングを変革する」を使命に、年間900社以上の営業・マーケティング支援を行う。提供サービスとして、有望商談を発掘することを目的に、企業Webサイトにアクセスした企業名と個人名を判明し見込みリードを生み出す「リストファインダー」を提供する。そのほか、自社運営メディアとして、「ITトレンド」や「BIZトレンド」も展開。これらを通じて"法人営業の仕組み化と効率化"を実現し、BtoBマーケティングを変革することを目指す。
2015年12月29日マーケティング担当者が2015年に最も注目したキーワードはビッグデータであり、今後注目したいキーワードではIoTが最多だった。ジャストシステムが12月24日に発表した「マーケティングトレンドに関するアンケート調査」による。同調査は、同社のセルフ型アンケート・サービスである「Fastask(ファストアスク)」を使用して、事前のスクリーニング調査において「企画、マーケティング、広報、販売促進、市場調査・分析(リサーチ)の職種に従事している」と回答した全国の20代~60代の男女200名を対象に12月18日から21日にかけて実施したもの。マーケティング関連のキーワードで2015年に注目したものを尋ねたところ、ビッグデータが19.0%で最多だった。以下、LINE(17.0%)、Instagram(12.5%)、定額制動画視聴サービス(12.5%)が続く。今後注目したいキーワードではIoTが21.0%と最多であり、以下Instagram(19.5%)、Web接客(19.5%)、ビッグデータ(19.5%)、動画広告(18.5%)の順だった。ビッグデータとInstagramは、2015年に引き続いて2016年もマーケティング担当者が注目するキーワードのようだと同社は見る。一日に最も接触している広告媒体を見ると、スマートフォンを除くインターネットが51.0%と過半数を占めるが、スマートフォンも22.5%で続いている。3番手はテレビで14.0%であり、新聞や雑誌、ラジオはいずれも1桁だった。直近の半年間でのSNS利用度を尋ねたところ、「毎日利用している」との回答が最も多かったのは40.5%のLINEであり、「時々利用している」を合わせると6割が利用している。Facebookを毎日利用しているとの回答は21.0%、Twitterは18.5%だった。コンテンツ・マーケティングに対する取組状況を尋ねると、「現在取り組んでいる」との回答が11.5%、「現在取り組んではいないが興味がある」が24.5%だった。
2015年12月25日イノーバは12月22日、同社が提供しているコンテンツマーケティング支援ソフトウェア「Cloud CMO」において、個人事業主・小規模企業をターゲットとした「Cloud CMO Lite」の提供を12月22日より開始すると発表した。同社は2014年9月から、主に中堅・中小企業のマーケティング担当者向けに、コンテンツマーケティング支援に特化したマーケティングオートメーションソフトウェア「Cloud CMO」の提供してきたが、個人事業主・小規模企業からの問い合わせが多いことから、より低価格なLite版を提供することにしたという。価格は従来の「Cloud CMO」(Standard)の月額79,800円に対して、Liteは19,800円。初期費用もStandardの30万円に対し、Liteは10万円(いずれも税別)となっている。「CMO Lite」は、「Cloud CMO」が持つアクセス解析、ブログ制作、SEO支援、SNS投稿、メルマガ配信、ランディングページ作成、リード管理、スコアリング、分析レポート機能など、コンテンツマーケティングに要する数々の機能をすべて兼ね備えたマーケティングオートメーションソフトウェア。Standardの機能は落とさず、利用できる数に制限を加えることで低価格化した。StandardとLiteの機能差
2015年12月22日ルビー・マーケティングは12月18日、外国人YouTuberが日本の文化を発掘して動画で全世界に発信しているMCN(マルチ・チャンネル・ネットワーク)であるYummy Japanと業務提携したと発表した。ルビー・マーケティングは2015年1月から「iCON CAST」という、YouTuberと企業を繋ぐマッチング・サービスを提供しており、これまで400社以上の企業が活用する動画ソリューションを展開しているという。一方、Yummy Japanには約60組の外国人YouTuberが所属し、これまでに3,000本以上の動画制作で培ったノウハウで、インバウンドのターゲットとなる外国人に最適化した動画を制作している。今回の提携により、訪日外国人観光客(インバウンド)の需要に対して新たな海外向けパッケージを展開し、iCON CASTの利便性を高めることで、中堅・中小企業でも気軽に利用できるパッケージ開発にも注力するという。日本から海外に向けて情報発信をしたい企業に対し、より効果的で効率的なソリューション提供が可能になるとしている。
2015年12月21日グリーは12月15日、都内にて動画マーケティングカンファレンスを開催し、グリーの100%子会社でメディア事業を展開するピンテが動画コンテンツの製作からキャスティングを一気通貫して支援するサービス「WOOZ(ウーズ)」の提供を同日より開始することを発表した。「WOOZ」は、グリーが培ってきたマーケティングのノウハウを活用し、動画広告の企画立案からタレントやモデルをはじめとするインフルエンサーのキャスティング、動画制作、配信先メディアの選択などのマーケティング施策の提案、動画広告としての運用代行、効果分析までをサポートするもの。まずは、タレント事務所や制作会社と連携・ネットワーク化し、動画コンテンツの制作をシームレスに行っていくほか、広告主が展開するWebサイトやLP(ランディングページ)だけでなく、ピンテが運営するメディア「GREE ニュース」やTwitter・Facebook・Instagram・YouTubeなどのSNSに動画広告として掲載・配信していく。今後は、同じくグリーの100%子会社となるGlossomが提供する動画広告配信プラットフォーム「AdColony」との連携も行う予定だ。同日に開催されたカンファレンスでは、Glossom 代表取締役社長の江川嗣政氏が登壇し、宮崎県小林市 移住促進PRムービー「ンダモシタン小林」などを紹介しつつ、マーケティングにおける動画の可能性を強調した。同社によると、動画広告市場は、米国において2012年からの5年間で約3倍の成長を見込んでいるほか、日本国内においても2017年には640億円規模となる見通し。これほどまで拡大を続ける要因として江川氏は、「インターネット環境の変化」と「動画マーケティング効果」「動画プラットフォームの出現」「若年層への動画浸透」があると説明する。「通信の高速化やデバイスの変化により、Webはテキストから画像、そして動画へと移行してきました。マーケティング施策における動画の活用においても、閲覧後の商品認知度として65%UP、内容の記憶として20%UPしたとの調査結果もでています。今後も、例えばデジタルサイネージやビデオコマース、VRのような360%動画の普及などでこの流れは加速していくと考えています」(江川氏)これを受けピンテは、今回の新サービス「WOOZ」の発表に至った。江川氏によるとすでに、ECやゲームなどを展開する事業者、企業の採用担当者などから引き合いがあるという。「動画広告における制作やキャスティング、運用などバリューチェーンごとに競合となるサービスはあるが、一気通貫して提供できるのはWOOZの強みだと考えています」と自信をのぞかせた。
2015年12月16日矢野経済研究所が12月14日に発表した「DMP(データマネジメントプラットフォーム)サービス市場/MA(マーケティングオートメーション)サービス市場に関する調査結果 2015」によると、2015年のDMPサービスの国内市場規模(事業者売上高ベース)は52億円、MAサービスは220億円となり、いずれも2014年と比べて30%強の成長となる見込みだ。DMPサービスに関しては、2014年の市場規模は事業者売上高ベースで40億円であったが、消費者のニーズが多様化しており、広告会社に頼るだけではなく企業が自社や第三者が保有するデータを利用して生活者の行動要因を突き止め、自社のマーケティング活動を最適化することへの意識が高まっていることなどから、DMPの構築や利用の動きが加速しているという。また、大手企業でのDMP利用事例が広がりを見せていることも、市場への追い風になっているとのことだ。MAサービスについては、2014年の市場規模は事業者売上高ベースで168億円であったが、最近では企業におけるマーケティング活動の費用対効果が強く意識されるようになったことや、顧客の詳細なニーズに基づいてパーソナライズしたコンテンツを提供する必要性が増したこと、チャネル別に入手したデータの急増によりオートメーション・ツールが無ければマーケティング業務に支障をきたすようになったことなどから、MAを導入する機運が高まっているという。また、製造業を中心に日本企業の海外売上比率が高くなり、海外営業を支援するためのグローバルなマーケティング・プラットフォームが必要になっていることや、引き合いを待つビジネス・スタイルからの脱却といった目的でMAを導入する動きが活発化していることも、市場拡大の一因となっているとしている。DMPサービスとMAサービスを合わせたデジタル・マーケティング・サービスは、中堅・中小企業では未だ情報収集段階の企業が多数派を占めるものの、大企業では本格的な導入・検討のステージに入っており、今後も市場は拡大する見通しだという。また、ITを始めとするテクノロジーの進展によりマーケティングをビジネスの中核として捉える企業が増加基調にあることや、企業のIT投資が管理・効率化から変革・成長へとシフトしはじめていることがデジタル・マーケティング・サービスに対する前向きな投資を生むといい、2020年におけるデジタル・マーケティング・サービスの市場規模(事業者売上高ベース)は、2014年に対して約2.7倍の559億円に達すると同社は予測する。
2015年12月15日ヤフーは12月1日、アプリ提供者向けのマーケティングツール「Yahoo! MOBILE INSIGHT」の提供を開始した。「Yahoo! MOBILE INSIGHT」は、スマートフォンアプリのためのマーケティングツールで、アプリ広告の効果測定機能やアプリのアクセス解析機能を備え、広告運用の最適化を支援する。アプリの新規ユーザーの獲得に対しては、限られたプロモーション予算を、アプリ提供者のビジネス目標に合わせて効率的に運用するために、プロモーション施策の運用実績をレポーティングする。また、ユーザーの属性やアプリ内の行動を把握するため、それらの分析指標を提供し、ユーザーの傾向にもとづいたアプリのサービス運営をバックアップする。なお、同社では、今後は、効果測定や分析結果を幅広いプロモーション施策に活用できるよう検討を進めていくとしている。
2015年12月03日ヤフー(Yahoo! JAPAN)は12月1日、スマートフォン用アプリ提供者向けのマーケティング・ツールである「Yahoo! MOBILE INSIGHT」を提供開始した。アプリ広告の効果測定機能やアプリのアクセス解析機能を備え、広告運用の最適化を支援する。同社はこれまで、クラッシュ解析ツールを提供するFROSKとアプリ開発環境支援に取り組む一方、アプリ・マーケティング支援サービスとして「Yahoo!アプリインストール広告」を提供するなど、アプリ領域を強化してきた。新サービスでは、アプリの新規ユーザーの獲得に関して、プロモーション予算を効率的に運用するためにプロモーション施策の運用実績をレポーティングする。この分析レポートの利用により、アプリ提供者はより効果的なプロモーション運用が可能になるとしている。具体的には、メディア(自然流入、アドネットワーク、リワード広告など)、キャンペーンごとにインストール数・CVR%・アクティブユーザー数・ARPU・ARPPUなどの指標を時間別・日別・月別にレポーティングする「KPIレポート」、キャンペーンごとにインストールからの経過日数に応じたアクティブユーザー数の割合をレポーティングする「リテンションレポート」、新規ユーザー数や起動回数、課金ユーザー数などのアプリ全体の基本KPI情報に加えて、利用地域・キャリア・言語・OSバージョンなどのユーザー分布をレポーティングする「ユーザー属性分布」、ログイン・会員登録・カート・購入・チュートリアル完了・レベル到達などの15を超えるイベントの発生数やユニークユーザー数などをレポーティングする「イベントレポート」などを提供する。同社では、ユーザーにアプリを長く利用してもらうためには、ユーザーの属性やアプリ内の行動を把握することが重要とした上で、同サービスはこれらの分析指標を提供し、ユーザーの傾向に基づくアプリのサービス運営をバックアップするとのことだ。プランには無償のオープンプランと、単価×月間アクティブユーザー数での課金となるプライベートプラン(単価は月間アクティブユーザー数が30万未満が0.3、30万以上100万未満が0.15、100万以上が0.1)がある。
2015年12月02日GMOアドマーケティングは、メディアを閲覧するユーザーの興味関心・行動やコンテンツ特性を自動解析し、関連記事を表示してユーザーの回遊を促進する、コンテンツレコメンドウィジェット「TAXEL(タクセル) byGMO(以下、「TAXEL」)」を2016年1月上旬より提供開始すると発表した。TAXELは、ユーザーがアクセスしたコンテンツの特性や、ユーザーの関心・行動分析、ソーシャルメディアでの話題性といったデータを組み合わせて自動解析し、独自のアルゴリズムに基づいて、コンテンツをユーザーにレコメンド表示する。これにより、ユーザーあたりのPV(ページビュー数)を増加させることが期待できるという。管理画面では、レコメンド施策のクリエイティブおよび表示方法と、ユーザーの回遊性の変化をA/Bテストで検証することが可能で、レコメンド施策導入前後の回遊性の変化、回遊性の向上による広告収益効率の変化、収益向上視点での関連記事と広告枠の掲載順序などが検証できるという。料金は、初期費用・月額費用は無料だが、広告収益に関するシェアが別途発生する。
2015年11月30日●ソフトウェア分野では大きな伸びが期待IDC Japanは「2015年 国内企業のマーケティング活動とIT利用実態調査」を11月5日に発表した。企業のマーケティングに対する考え方や活動はどのように変化しているのか、国内558社を対象にしたこの調査を担当したアナリストである、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティマーケットアナリスト もたい洋子氏に聞いた。日本のIT市場は、すでに飽和状態にあり、どの分野でも大きな伸びは望めないともいえる状態だ。その中でわずかながら伸びているのがソフトウェア市場であり、さらにその中で大きく伸びているのがマーケティングソフトウェアだという。「企業の利用するソフトウェアというとERPなどいろいろなものを含みます。そのため、右肩上がりというほどではありませんが、2~3%程度は伸びると考えています。ただ、こういったものはすでに定期的な刷新はあるものの、爆発的に伸びるというものではありません。それに対してマーケティングソフトウェアはこれから本格的に入って行くもので、今後大きな伸びがあると考えました」と、もたい氏は語る。調査結果発表時に公開された概要では、今後2019年までにおけるマーケティングソフトウェア市場の年間平均成長率は10.5%とされている。同時期のアプリケーションソフトウェア市場全体の年間平均成長率が3.1%であることと比べて非常に高い数値だ。「マーケティング分野はこれまで、CMO(Chief Marketing Officer)のような全体を牽引する役割の方がおらず、部門ごとの予算をやりくりして、マーケティングやそのシステムというものが進んできました。しかしデータ分析の需要もありますし、今後パーソナルデータを活用するということになれば管理システムも必要です。全社で大きなお金を使ってまとめていかなければならないということもあるため、そういう部分での成長もあると見込んでいます」と、もたい氏は説明した。○CIO/CDOの激増と全社横断組織設置済企業の多さに感じる意欲企業の取り組みは、まず基本的な外枠を作るところから着手している状態のようだ。もたい氏が昨年から行った調査の中で、CMOおよびCDO(Chief Data Officer)が社内に存在すると回答した企業はいずれも3割程度あったという。「こんなにCMOが存在するのかと驚きました。ただし私見ですが、CMOは営業本部長兼務、CDOはCIO(Chief Information Officer)の兼務、というような状態ではないかとも思います。場合によっては、社長兼務ということもあるでしょう。結果を出すための役職というよりは、まず形として選任したという形です。しかし、数年前まで日本にはCMOがほとんどいなかったことを考えると大きな進歩です(もたい氏)同じく企業の多くが保有していることに驚いたというのが、データ分析を行うための全社横断的な組織だ。「相当数の企業が横断的な組織を持っていました。こちらもまだ何をしているというわけではなさそうですが、縦割りからは変えていかなくてはならないという意識が出てきたのでしょう」と指摘。従来の日本企業におけるマーケティング活動は、部署ごとに独立した活動であることが多かった。部門ごとに予算の中でマーケティング活動を行い、それぞれが分析するという形だ。営業部門が販売推進目的で行うものが多く、全社的にデータ活用を行うことはできていなかった。「部門ごとに小さく進んできたものが、横断的に対応していかなければならないという流れができてきています」と、企業の意識変化をもたい氏は語った。●今後、企業は何をしたいのか?では、企業は枠作りをした後、何をしたいと考えているのか? 調査の中では2015年度に行いたいことと、その後3年でやりたいことを分けて質問している。「2015年度は、新規顧客開拓や市場データ収集にとてもフォーカスしており、そこにアクセスしていく"面"を確保したいという傾向になりました。そしてその後は、そこからマネタイズすることや客単価の最大化といった方向へ深掘りしたい意向が見えます。つまり、今はシステム投資の段階で、来年以降がアクションの段階です」(もたい氏)当面の目標とされているのは、社内データの活用だ。特にECサイトを持つ企業の場合は、実店舗のデータとECサイトのデータで同一顧客の情報が二重登録されている場合も多い。そうしたものを「名寄せ」して、社内に実のあるデータを作り、分析の材料とすることが最初の一歩だといえる。「現在使っているマーケティングシステムは何ですかという問いには、圧倒的に管理システムという回答があがっています。顧客管理システムや販売管理システムなどです。ビッグデータなど外部データを活用するよりもまず、お客様データの可視化が注目されているため、管理システムは今後もまだ伸びるでしょう。新規システムとして導入検討されているのは、マーケティングオートメーションやウェブ会議・チャットなどです」ともたい氏。社内データが整理できていない状況からの脱却を目指しているという状況とともに、社内データ活用が進むであろうと分析される理由はもう1つある。それは、データ活用の準備が整っていないという実情だ。社内横断的な組織を構築し、CMOやCDOといった役職を設置しても、現実にデータ分析をできるスキルがないという回答が少なくない。「何が課題かという設問への回答は、人と組織に関わるものが多くあがりました。スキルがない、何をしていいかわからないというようなものです。分析する人材も足りませんが、その手前に存在すべきである、何をすべきなのかという意志も固まっていません。データ分析に必要なのは仮説と検証です。まず仮説を立てて、検証を行う。将来的にはシステムが自動化してくれるかもしれませんが、現状は仮説を立てて分析を行える人がいなければ始まりません。そういう意味でも、まずは目の前にある顧客情報の名寄せのようなものからスタートする形になるでしょう」(もたい氏)●マイナンバーは法人番号活用から積極展開企業の回答から見える傾向としては、パーソナルデータ活用への強い興味も窺える。特にマイナンバーがスタート間近であることから、注目が高いようだ。しかしマイナンバーの活用には、難しい面も多い。「個人番号に関しては、匿名化して使えるものではありませんし、使いたいような情報も今はないはずです。将来的にカードのチップに利用したいような情報が入り、法的に利用可能だということになれば意義はあると思います」と語るもたい氏が、利用を推奨するのが法人番号だ。ソーシャルマーケティングサービスなどが比較的投資対象になりやすかったのは、効果測定が容易だからだ。一方で、全社的にはデータが整理されていないこともあり、効果測定が行いづらかった。展示会で資料を配付した、セミナーを開催した、デモンストレーションを行った、といろいろなアプローチをしても、それが誰に届いたのか、購買につながったのかどうかが判断しづらい。「法人番号は支店単位などで発行されるものではありませんが、企業として統一されます。これを利用すれば、資料請求した人と、セミナーに参加した人、検証依頼をした人、契約した人がすべて分かれていても、成約につながったものの流れや、離脱状況が把握できるわけです。効果測定しづらかった部分が見えてきますし、企業単位での名寄せにも役立ちます。特にBtoBのビジネスを展開している企業にとっては有益なはずです」(もたい氏)○現状は法整備待ち、中小企業のデータ活用には事業者側の発進が必要マイナンバーに限らず、オープンデータや自治体のローカルデータ、各種ビッグデータなどを活用したいという意向を企業は持っている。それを阻んでいるのは技術的な面よりも、法律的なものの方が強いという。「先進的な企業はプラットフォームの準備を進めています。法的に匿名化して限られた用途にならば使っていいとなれば利用するでしょう。どこも勇み足を踏みたくないため、待っている状態です。ただ、このままだと大手企業だけが先行する形になるかもしれません。日本の場合企業側にITの知見が少ないため、ベンダーやサービス事業者がもっと積極的に、これを使えば何ができます、ということを発信して欲しいですね。そうでないと、中小企業は自分たちにも手が届くものだと感じないかもしれません」(もたい氏)
2015年11月30日野村総合研究所(NRI)とペガジャパンは今日、高度なデジタル・マーケティングの分野において協働を開始すると発表した。両社はまず国内の顧客に特化して、企業と消費者の様々な接点を最適化し、マーケティング改革を推進するソリューションの開発と、コンサルティングから運用までのサービス・メニュー開発を行うという。両社は2011年から、アライアンス・パートナー契約を締結して複数のシステム導入などの共同プロジェクトを実施してきたが、ソリューションの共同企画・共同開発は今回が初めてであり、またペガジャパンにとっては国内初の協業になるとのことだ。ペガのアプリケーションである「Pega Marketing」は、消費者の属性・状況・好みなどを分析し、見込み顧客に対して最適な情報を最適なタイミングとチャネルで提供する機能を持つという。今回NRIは、ペガに対してシステム・インテグレーション(SI)関連技術を提供すると共に、日本独特の商習慣や、顧客(業界)ごとに必要とされる業務知識などのノウハウを、同製品に追加するとのこと。一方、ペガはNRIに対して同製品に関する技術提供と、グローバル・トップ企業への導入実績で培ったというアプリケーション利用のノウハウを提供する。これにより、日本市場に特化した、高い品質と柔軟性を持ちながらも汎用的なデジタル・マーケティング・ソリューションを両社で開発・提供していくとしている。今後、協業を通じて開発するサービスは、顧客企業の経営戦略を始めとする上流工程から、具体的なソリューションの導入・運用までをトータルでサポートするものになるという。つまり、マーケティング戦略とそれを踏まえたシステム化計画、ソリューションの開発と提供、システム導入支援、及びPDCAを含む運用サービスまでを、ワンストップで支援する。両社は今後、多様な業界向けに、精度の高いテンプレートを準備すると共に、プロモーションを共同で行なうなど、日本での市場拡大に向けて活動していくという。
2015年11月25日