セガゲームス セガネットワークス カンパニーは6月9日、スマートデバイス向けアプリのマーケティング支援ツール「Noah Pass(ノア・パス)」上での広告事業を2015年8月より順次展開すると発表した。同ツールは、ゲーム画面上にバナー広告を表示し合うことにより、ゲームアプリ間で相互に送客・集客することが主な機能で、100社が提供する462のゲームアプリが参加し、2015年5月末時点で累計約1億200万人が利用している。同ツールを利用する広告事業パートナー企業は、アドウェイズ、サイバーエージェント、CyberZ、GMOコマース、メタップス、Tapjoyの6社。8月より開始となる広告事業は、約1億200万のNoah Passユーザーに向けてゲーム以外の業種の商品・サービスを訴求することを目的としており、販売されるメニューは、Noah Passに参加している各ゲーム画面上に表示されるバナー広告と、来店連動型広告(O2O広告)の2種類。同社は、販売開始後約1年間で広告流通規模100億円への成長を見込んでおり、収益は広告掲載面を提供するNoah Pass参加アプリの運営会社間で分配するという。
2015年06月10日オプトは6月9日、スクーと連携し、オンライン動画学習サービスschooのマーケティング学部にて、実践的なデジタルマーケティングの授業となる「効果に繋がる最新マーケティング講座」を開講することを発表した。同講座は、全6回で構成され、オプトがeマーケティング会社として培ってきた最先端のノウハウをもとに、概論や汎用的な内容から施策や具体的な実務へ直結する内容を展開し、最先端のマーケターとなりうる人材の育成を図るもの。受講には、「schoo WEB-campus」の会員登録(無料)が必要。全6回の講義内容は、下記の通りとなる。同社は今回の授業を第一弾として、最新のデータやテクニック、ノウハウなどをより深く詳細な内容まで提供できるよう、継続して授業を開催していくという。
2015年06月09日前回は、コンテンツマーケティング実施においての"基本"となる「ビジネスブログ」について説明しました。オウンドメディアによる情報発信のハブとして機能するビジネスブログですが、コンテンツマーケティングにおける"コンテンツ"とは、なにもビジネスブログだけではありません。今回より2回に分けて、ビジネスブログ以外に焦点をあて、さまざまなコンテンツの種類について紹介します。○ホワイトペーパー / eBookコンテンツマーケティングの実践において、ホワイトペーパーやeBookは、ダウンロードコンテンツとして用意される方法が主流です。ビジネスブログやソーシャルメディアで集めた潜在顧客に対し、ユーザー事例や市場環境の調査レポートといった役立つコンテンツを提供することでリード情報を獲得します。ホワイトペーパーは、自社の顧客の導入事例や商品の仕様、市場環境分析、調査レポートなどを記載します。一方eBookは、商品のスタートガイドや活用のペストプラクティスをまとめたものなどを指しますが、どちらもPDFなどの形式を取る"電子版小冊子"のようなイメージです。これらは、ダウンロードしてもらい腰を据えて読んでもらうことを想定していますので、ブログ記事やWebサイトのコンテンツよりも、より詳しい情報や実践的な情報をしっかりと盛り込むようにしましょう。また、ただWebサイト上に置いておくだけでなく、内容が関連するブログ記事の最後に誘導バナーを設置するなど、ダウンロードを促すようにしましょう。このように、読者の行動を喚起するようなバナーやリンクを「CTA (Call To Action : アクションの呼びかけ)」と呼ぶこともあります。ブログに設置することで、CTAのクリック率やダウンロード率などを計測し、記事の品質や貢献度の評価が可能です。○オンラインセミナー国土の広い米国では、オンラインセミナー(Webセミナー / ウェビナーとも呼ぶ)が活発に行われており、無料の専用ソフトウェアもあります。オンラインセミナーのメリットは、その場で参加者の質問に答えたり、フィードバックを行ったりと、録画動画ではできない双方向のコミュニケーションを行える点にあります。例えば「Googleハングアウト」というサービスでは、最大10人でのビデオ通話が可能です。これを使えば、少人数のオンラインセミナーを開催することができます。また、最近Twitterが提供をはじめた「Periscope」というアプリでは、スマートフォンから世界中に生配信することもでき、注目を集めています。○インフォグラフィックスインフォグラフィックス(Infographics)とは、情報を意味する「インフォメーション(Information)」と「グラフィック(Graphic)」からなる造語で、データや情報、知識、ノウハウなどを視覚的に表現したものです。ビジュアル化することで、文章だけでは伝わりにくいメッセージや複雑な統計情報を視覚的に届けることができます。例えば、定量的なデータをビジュアルで見せたり、年表を分かりやすく伝えるほか、Webサイト上で閲覧者が表示するグラフやデータなどを任意に変更できるインタラクティブなインフォグラフィックスもあり、ソーシャルメディアとの相性がいい(シェアされやすい)という特徴があります。インフォグラフィックスの作成インフォグラフィックスを作成するときには、まず、利用するデータ・情報を整理し、伝えたいメッセージを決めます。その上でどのようなデザイン・レイアウトにするかをデザイナーと決定します。"デザイン"という要素が入るとは言え、基本的な流れは他のコンテンツ作成時と同様です。斬新なデザインや華美な装飾ありきではなく、あくまで読み手にとって分かりやすいことや、伝わりやすいことを最優先にしましょう。インフォグラフィックスが完成したら、ブログへの掲載やソーシャルメディアに投稿します。有益なデータや情報が分かりやすくまとまっていれば、インフォグラフィックスはソーシャルメディアでシェアされやすいほか、イラストの下部に自社のブランドロゴやURLを入れておくことで、ブランド認知の向上も期待できるでしょう。○プレスリリースプレスリリースは、新聞社やWebメディアなどの報道機関向けに用意する広報用の報道資料です。多くの会社では広報・PR部門の管轄であり、コンテンツマーケティングを運用するマーケティング部門の方にはピンとこないかも知れませんが、企業がコストをかけずに発信できる強力なコンテンツの1つです。プレスリリースの目的は、新商品やサービスのリリース、そのほか企業の活動についてメディアに知らせることで、記事として取り上げてもらい露出を得ること。うまくメディアの目に留まりニュースとして紹介してもらえれば、広告費をかけずに多くの人々に情報を届けることが可能です。しかし、報道機関では毎日たくさんのプレスリリースを受け取ります。その中で取り上げてもらうためには、「プレスリリースのフォーマットに従い作成すること」や「必要な情報が網羅されていること」「ニュース性のある話題が含まれていること」が最低条件となります。ブログ記事などオウンドメディアでのコンテンツ発信では、ペルソナ(読者像)を意識してコンテンツを制作しますが、プレスリリースだけは報道機関の担当者が最初の読者となることが他のコンテンツとの違いです。タイトルやリード文、本文といった各要素でメディアの記者や編集者の興味を引くための工夫をすることが重要です。さて、後半では、ソーシャルメディアや動画コンテンツに関して紹介したいと思います。○執筆者紹介イノーバ 代表取締役社長 宗像淳福島県立 安積高等学校出身、東京大学文学部卒業。その後、富士通にて北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等を経験する。MBAを取得するため、ペンシルバニア大学ウォートン校に留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから楽天へ転職。その後、ネクスパス (現 : トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当する。2011年6月に株式会社イノーバを設立(公式Webサイトはこちら)。著書に『商品を売るなーコンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる (日経BP)』がある。○書籍紹介商品を売るな著者 : 宗像淳発行 : 日経BP 2014年12月8日生活者の購買行動が大きく変化している。プッシュ型広告で商品を売り込んでも、顧客はそれを無視するようになっている。従来のマーケティングはもう効かないのだ。表立って宣伝せず、見込み客に見つけてもらうための古くて新しいマーケティング手法、それがコンテンツマーケティングである。この手法は、コカ・コーラやP&Gといったマーケティング先進企業だけでなく、中小・スタートアップ企業が積極的に導入している。では、コンテンツマーケティングとはどのような取り組みかなのか? どんな効果があり、費用はいくらか? 運用のコツは? 成功するポイントは? ――本書では、国内・海外企業の事例紹介を交え、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説する。
2015年06月09日本連載はこれまで、マーケティング担当者による最適なDSPの選定や活用を実現するため、アドテクノロジーの歴史からDMPまで、アドテクノロジーの概要を紹介してきました。各章でお話した通り、ビッグデータの活用を起点とした急速な発展は、Web広告の配信にとどまらず、マーケティング領域全般に拡がっています。最終回では、アドテクノロジーからマーケティングテクノロジーへと進化しつつある業界のトレンドをいくつかピックアップし、今後マーケターに必要となるスキルをデータ活用という観点で考えてみましょう。○2015年 マーケティング業界のトレンドとは1. マーケティング・オートメーションマーケティングオートメーション(MA)は、見込ユーザーの顧客化プロセスを管理するソリューションを指すことが多く、主にBtoBマーケティングを支援する目的で採用される傾向があります。前回の連載でお話したDMPとも一部シンクロする機能があり、この用語を厳密に定義することは難しいと言えるでしょう。その意味では、アドテク(ネット広告)やSFA(Sales Force Automation : 営業支援システム)、CRM(Customer Relationship Management : 顧客管理システム)などが提供する機能も同様で、今後、さらに重複度合いが増すことが予想されることから、競争は激しくなっていくのではないでしょうか。さて、MAはBtoBの場合、イベントやセミナー、Web広告、アウトバウンドコールなどで取得した多数のリードから、有望な見込み顧客として営業部門に情報を渡すまでのプロセスを自動化することを目指します。この仕組みの活用により、マーケティング部門は、獲得したリードの育成を管理し有望な見込み客を増やすことができるほか、営業部門は、有望な見込み客情報をもとに提案活動を行い、商談の確度を高めていくことが可能です。一方、BtoCの場合では、顧客との定期的で適切なコミュニケーションを実現・管理するために採用されることが多く、特に、顧客の利用状態に応じた個別アプローチを行うために必要とされるようです。というのも、顧客によって、ニーズのある商品やサービス、レコメンドのタイミング、インセンティブ内容などが異なり、広告主は、これらを管理するツールがない場合、月一回など一定のタイミングでまとめてアクションするしかなくなってしまうためです。このように、テクノロジーの進化は、広告入札の自動化だけでなく、キャンペーンのシナリオ設計や運用管理、セグメントに応じたクリエイティブ・訴求内容の変更、イベントに応じたパーソナライズ配信など、マーケティング活動全般の自動化に影響を及ぼしつつあるのです。2. オンライン・オフラインの融合前回、DMPはCRMなどオフラインのデータを取り込めることが大きな特徴だと話しました。つまり、DMPでは、オフラインの顧客データを取り込むことにより、オンラインの行動履歴と組み合わせ、顧客をより理解することが可能となっているということです。また、スマートフォンの普及に伴い、実店舗のプロモーションも大きく進化しています。顧客に無料のアプリを配布し、各フロアに「ビーコン(位置情報を示す信号を無線で発信するもの)」を設置することで、商品棚の案内やレコメンドなど、さまざまな施策を顧客・デバイスごとに出し分けできるソリューションも提供されています。加えて、顧客の協力によりセンサーデータを取得すれば、店舗内での移動(動線)などの見える化も可能で、言語では分析しにくい店舗の安全性や商品陳列の改善などにも活用することができます。このように、小売業が積極的にデジタルツールを活用することで、成果を上げている事例も耳にします。なお、メーカ側では最近、自社製品のみを紹介するカタログページではなく、顧客の悩みや興味、不明点などに合わせたコンテンツの配信を行う「コンテンツマーケティング」への取り組みも増えつつあるようです。製品を出荷し納品したら終わりではなく、その後のエンドユーザーの利用状態に合わせたサポートを提供する企業も目立ってきています。3. 人工知能 (AI)の浸透昨今、将棋やクイズ番組での対戦など、AIは注目を集めているだけでなく、その道のプロフェッショナルを一部凌駕するほどになっています。「今後10~30年くらいの間には、かなりの職種が人工知能にとって変わられる」と考える人たちも増えているようです。アドテクノロジーも、AI技術の一部を活用していると言えます。例えばDSPでは、優秀なアルゴリズムが備わっていることで、リアルタイムビッティング(RTB)の運用を実現しています。取引が増えるほど、取得できるデータの量も増加するため、同データを活用したアルゴリズムの精度向上はますます促進されます。しかし、AIの活用には、準備期間として半年から1年ほどを要し、基本知識や業務設計などの学習と検証を行うケースもあり、導入にはそれなりにデータ整備や工数が必要となるようです。なお、最近ではAIによる解析のオープン化も目立っており、AIが「どのデータから、どのような判断で、そのスコアを付けたか」を見える化し、利用者に根拠や判断材料を提示するものも出ているといいます。○では、今後のマーケターに必要なスキルはなんだ?このように、デジタル時代の広告技術やマーケティング手法は日々発展しておりますが、マーケティングの目指すところに変わりはありません。すなわち、マーケティング担当者は、そのアイディア次第で、施策の効果や結果を大きく変えることができる立場にいるということではないでしょうか。そして、その施策を成功へと導く鍵は、「顧客の理解」にあると私たちは考えます。マーケティングにおいて顧客を理解するために、データ活用は必須となり、データを活用するリテラシーは、専門家に任せるものではなく、マーケティングや営業、顧客サービスに関わる全員が一丸となって携わり、施策での成果を出せるような仕組みを作っていくことが重要だと考えます。これまでの連載記事にて紹介したように、ツールやテクノロジーはどんどん進化していますが、それらを使いこなしきっている人はまだまだ少ないです。それはなぜでしょうか。誤解を恐れずに言うと、統計や数理、データ分析が得意な人たちからは、施策につながるアイディアはなかなか出てこない。同時に、現場や施策検討者だからこそ思い付くアイディアというものもあるでしょう。たしかに、分析部門の役割でないと言えばそれまでですが、施策検討者が採用しなければ、せっかく分析した内容は活かされません。このような状況では、事前に活用できるデータが増えても効果的なマーケティングができないのではと思います。ABテストをしても、そこからの知見もそこそこに新たなテストへと移り、次のAかBどちらかを選択していく――オペレーションが効率化(自動化)されても、分類したセグメントやクリエイティブの根拠や狙い、比較対象が曖昧なままだと、効果が分からないままとなってしまいます。これは、非常にもったいないことです。このようになってしまう要因としては、やはり、データ分析や解析を難しいものと考え、「データ分析は、自分たちにはハードルが高いので専門家にやってもらうもの」と捉える傾向がまだまだあるようです。ですが、高度な能力を持つ分析者をたくさん集めるより、数名の分析者と各部門(営業・サービス企画・カスタマーリレーションなど)の現場経験者によってチームを組むほうが、組織として成果を上げているケースも増えてきています。さて、話しをまとめましょう。私たちは、今マーケターに求められているスキルを、"マーケティングの対象となる生活者の意識や行動の断片的なデータから、彼らのインサイトを想像し、同時に複数のストーリー(シナリオ)を仮説として立てること" だと考えています。データから素早くいくつかの可能性を見つけ出し、さまざまなテストを行いながら広告効果を磨き上げていきましょう。そして、これからのマーケティングでは、分断されがちな「データ活用」と「運用の自動化」をつなぎ合わせ、連続的にユーザーとのコミュニケーションを観察し、常に新たなシナリオを試行していくことが不可欠になっていきます。その連鎖のなかで、マーケティングテクノロジーはマーケティング活動を強力にサポートする武器となるのです。さて、8回にわたり掲載してきた本連載ですが、いかがでしたでしょうか。読者の皆さまは、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。皆さんのマーケティング活動の一助になれば幸いです。【連載】「今さら聞けない ! 」マーケティング担当者のためのアドテクノロジー第1話 : アドテクノロジーの歴史 - アドネットワークの誕生まで第2話 : アドテクノロジーの歴史 - アドテクノロジーの更なる進歩第3話 : DSPの基本機能「入札(オークション)」を見てみよう!第4話 : DSPの「入札戦略」とは第5話 : 「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」をおさらい!第6話 : DSPのターゲティング手法とは第7話 : DMPは魔法の箱ではない○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年05月28日ここまで5回の連載の中で、コンテンツマーケティング実施にあたっては目的・ゴールを明確に設定し、ペルソナ設計を通して "読者の情報ニーズ" に寄り添った情報発信が重要であることをお伝えしてきました。顧客視点に立つことがコンテンツマーケティング成功の何よりの秘訣ですが、その際に考えたいのが「コンテンツをどんな形で」届けるか。今回は、コンテンツマーケティングに取り組む際に、最も基本的かつ重要な施策となる「ビジネスブログ」について少し丁寧に説明します。○ビジネスブログはコンテンツマーケティングのハブビジネスブログは、コンテンツマーケティングの実施において最も基本的なものであると同時に最も重要な施策ですが、ブログ記事を1本公開するだけの取り組みに意味はありません。定期的にコンテンツを公開し続けることは、蓄積(ストック)された記事にGoogle検索などを利用した新規の読者がたどり着く可能性が高めるためです。このように、ストック型のビジネスブログにコンテンツ資産を貯めていきながら、フロー型と呼ばれるソーシャルメディア等でさらなる集客を図るという手法が、コンテンツマーケティングの1つの王道です。運用にはある程度の手間とコストがかかりますが、情報発信の "ハブ" となるオウンドメディアの核ですので、是非継続的な運用を確立してください。○高品質なブログ記事で、信頼を獲得するブログと言うと、Amebaブログのような無料のWebサービスを利用した、いわゆる個人の日記のようなものを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、企業がビジネスブログを運用する際には全く異なる水準で記事の内容を吟味する必要があります。そのブログでなければ読めないことなど、読者の知りたい情報を惜しみなく発信することで信頼を獲得できるほか、競合他社との差別化にもつながります。一方で、不十分な論拠による記事や間違った情報、他で書かれている内容をまとめただけ、といった記事は企業の好感度を下げ、信頼を損なう可能性もあります。「コンテンツマーケティングを成功に導く5つのステップ」で紹介したゴールとペルソナを意識しながらコンテンツを企画しましょう。○キーワードを意識して検索流入を増やす読者がブログにたどり着く経路は、GoogleやYahoo!といった検索エンジン経由と、ソーシャルメディアのシェアに大別されます。検索からの流入を増やすには、適切なキーワードを組み合わせたコンテンツを重点的に用意することが重要です。これにより、検索結果で上位に表示されるようになり、関連するトピックに注目している読者に見つけてもらいやすくなります。なお、この時に設定するブログのキーワードとして、会社名や商品名を選ぶことは効果的ではありません。なぜなら、会社名や商品名で検索する人は、すでにそれらの存在を知っているためです。これらの指名キーワードに対しては、検索後、会社のサービスページや商品ページが表示されるようにしましょう。では、ブログで意識すべきキーワードとは何でしょう。答えは、会社名や商品名は知らないものの、漠然と解決したい問題を抱えており、それを解決するためにあなたのビジネスに関連した情報を調べている人が検索しそうなキーワードとなります。○ブログを通してまだ見ぬ潜在顧客に存在を認知してもらう例えば、あなたがワインのネット販売を手掛けているとしましょう。具体的な銘柄や作り手の名前で検索する人たちには、そのワインの販売ページを表示してあげるのが一番です。すでにニーズが顕在化しているため、その場で購入してくれる可能性も高いと想像できます。しかし、例えば「ワインボルドー飲み方」といった検索キーワードでサイトにたどり着いた人はどうでしょう? 何かの記念にボルドーワインをもらったものの飲み方が分からないのかもしれません。おそらく、あなたの会社や店名は知らずに、サイトを訪問しているのでしょう。その時に、ワインの飲み方を詳しく説明しているブログ記事を見つけ、内容が参考になるものであれば、そのブログを運営する会社や商品にも興味をもってくれるかもしれません。つまり、商品名や会社名を売り込む前に、コンテンツを通して認知してもらえるのです。○コンテンツはどこに公開する? 自社メディアか、外部サービスかコンテンツマーケティングのためのビジネスブログを立ち上げる際には、大きく2つの方法があります。1つは「WordPress(ワードプレス)」や「Movable Type(ムーバブル・タイプ)」といったブログ用のCMS(コンテンツマネジメントシステム)を用いて独自に制作する方法。もう1つは「Amebaブログ」や「はてなブログ」といった外部のブログサービスを活用する方法です。外部のブログサービスを利用する最大の利点は、専門知識がなくても手軽に無料で利用できることでしょう。しかし、公開出来るコンテンツの自由度は低く、多くの制限が存在します。例えば、「ダウンロード用のコンテンツを用意して、ブログ記事からのリード獲得をはかる」といった仕組みも、用意できないことが多いようです。また、長期的な取り組みが前提となるコンテンツマーケティングにおいて、外部サービスは運営企業の事情でサービスを停止する可能性もあります。もともと個人利用を想定して作られており、規約変更などによってビジネス目的の利用を禁じられる可能性もゼロとは言い切れません。こうした場合、それまで蓄積したコンテンツは別のサービスに移行することになりますが、検索エンジン対策(SEO)など、それまで積み上げた蓄積を失ってしまうことになります。長期的な運用を考えると、自社で独自にビジネスブログを構築することをオススメします。○運営に必要な人材と、継続のための仕組みづくり長期的にブログを運営するためには、チームを作って運用することが有効です。理想的な構成としては、全体を管理する編集長と記事を書くライター、編集者といった役割を分担し、社内に無いリソースに関しては必要に応じて外部のカメラマンやWeb制作会社、デザイナー、校正士といったプロフェッショナルに協力を仰ぐことで補完するといった具合でしょう。この時のポイントは、内製と外注のバランスです。すべてを外部の会社に任せるのではなく、(兼任でも良いので)自社のコンテンツ発信戦略とブランディングに責任を持つ担当者を置くことをオススメします。これにより、ブランドメッセージがぶれるリスクを回避することができます。次回は、ビジネスブログと連携させることでコンテンツ発信の効果をさらに拡大してくれる「ブログ以外のコンテンツ」についてお伝えしたいと思います。○執筆者紹介イノーバ 代表取締役社長 宗像淳福島県立 安積高等学校出身、東京大学文学部卒業。その後、富士通にて北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等を経験する。MBAを取得するため、ペンシルバニア大学ウォートン校に留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから楽天へ転職。その後、ネクスパス (現 : トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当する。2011年6月に株式会社イノーバを設立(公式Webサイトはこちら)。著書に『商品を売るなーコンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる (日経BP)』がある。○書籍紹介商品を売るな著者 : 宗像淳発行 : 日経BP 2014年12月8日生活者の購買行動が大きく変化している。プッシュ型広告で商品を売り込んでも、顧客はそれを無視するようになっている。従来のマーケティングはもう効かないのだ。表立って宣伝せず、見込み客に見つけてもらうための古くて新しいマーケティング手法、それがコンテンツマーケティングである。この手法は、コカ・コーラやP&Gといったマーケティング先進企業だけでなく、中小・スタートアップ企業が積極的に導入している。では、コンテンツマーケティングとはどのような取り組みかなのか? どんな効果があり、費用はいくらか? 運用のコツは? 成功するポイントは? ――本書では、国内・海外企業の事例紹介を交え、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説する。
2015年05月26日電通とコロプラは5月20日、人々の移動傾向を可視化するマーケティングサービス「miraichi(ミライチ)」の提供を開始した。同サービスは、KDDIとコロプラが作成・販売する位置情報ビッグデータレポートに、電通のマーケティング知見を加えることで、人々のリアルな行動を分析するというもの。対象者の記憶に頼る従来のアンケート調査だけでは把握しきれなかった生活者の移動傾向を、クライアントのニーズに応じた切り口で分かりやすく可視化できるため、流通・小売業や都市開発に関わる企業・団体、自治体など、広範な業種における意思決定に役立つサービスとなる。具体的には、対象エリアへ来訪した人の発地地域や性別・年齢層に加え、滞在時間や来訪頻度といった人々の移動傾向を時系列で把握することが可能。これにより、商圏分析や出店戦略の策定のみならず、販促活動の効率的なプランニングや、競合他社を含む顧客ロイヤルティーの把握、各種施策の効果測定などに活用できる。電通によると、同サービスの提供開始に先立ち、大手流通企業を対象に実証実験を実施。その顧客動態分析では、新規店舗と既存店舗での顧客構造の違いや来店促進の課題抽出に成果を上げたという。両社は今後、互いが保有する他のサービスとも連動させることで、より付加価値の高いワンストップのマーケティングサポートを行っていく考えだ。
2015年05月21日オプトグループのデジミホは5月13日、同社が提供するEC事業者向けパーソナル・マーケティング・プラットフォーム(ASPサービス)「R∞」と、Tableau Japanの提供するBIツール「Tableau Server」を連携したと発表した。R∞では、4,000パターン以上の対象者抽出条件とチャネルを駆使して、実行するキャンペーンのシナリオを設計し、メール、ディスプレイ広告、Webサイト、スマホアプリなどを通して、一人ひとりに最適化されたコンテンツを提供するツール。Tableau Serverは、Tableau Desktopで作成したダッシュボードやレポートを、企業内で効率的に共有するためのソリューション。今回の連携によってR∞の「顧客の見える化」「効果検証」「予算進捗管理」といった各種分析機能に加え、「上位顧客分析」「RFM分析」「商品ランキング分析」「購買日時分析」「顧客属性分析」といった分析が可能となった。同社はそのほかにも、「購買パターン分析」「バスケット分析」のテンプレート登録を予定しており、今後も随時テンプレートを追加していくという。
2015年05月13日本連載は、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて分かりやすく解説し、マーケティング担当者による最適なDSPの選定や活用を実現することを狙いとします。前回は、DSPにおけるターゲティング手法を紹介しました。そして、このターゲティングにおいて重要な視点の1つとして「自社が保有するデータの積極的な活用」をあげ、これを可能にするためのソリューションとして注目を集めたものが「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」だと説明しました。今回は、ユーザーデータの集約・管理を可能とする「DMP」に関して解説したいと思います。○DMPは魔法の箱ではないさて、テクノロジーが発展した現代において、企業のマーケティング担当者のミッションとは何でしょうか。STP戦略(Segmentation-Targeting-Positioning)に従い、見込客・既存客といったユーザーごとの状態を把握し、適切なメッセージを適切なタイミングで発信することや、ROIの高い施策や新たなチャレンジ施策の実施において、PDCAをまわしながら常に効果を上げていくことだ、と私たちは考えます。そして、DSPとDMPの連携は、広告運用の効率性向上だけでなく、ユーザー分析や仮説検証によるマーケティング効果の向上や、他施策との連動による相乗効果などを期待した地道なチャレンジの継続を実現するプラットフォームとなり得るのではないでしょうか。一方で、DMPを設置すれば、準備完了! 万事快調! とはいきません。データの取り扱いをはじめ、各部署への連携と責任範囲の決定、経営プロセスへの組み込みなど、真面目にやればやるほど検討すべき事案が増えるケースもあります。既に導入した企業の担当者からは、「最初はものすごく大変だった」という声をよく伺います。したがって、安易に導入しても大きな効果は期待できないでしょう。それなりの覚悟をもって取り組む必要があります。○DMPとは? - 3つの基本機能DMPとは、さまざまなデータを「集約・統合」し「分析・分類」するほか、それらをWeb広告の配信やその他チャネルでのターゲティング情報として「入力・活用」するための管理ツールです。1. データの集約・統合DMPにて格納できるデータとして、自社Webサイトに設置したタグを基に収集するファーストパーティデータがあります。これは、訪問者のアトリビューションや滞在時間、閲覧ページ、Web上で購入した商品・サービスの特徴といったユーザーの特性を把握するためのオンラインデータとなります。また、第三者が提供するサードパーティデータも、DMPに格納できるデータの1つです。日本でもようやく、このデータを扱う企業や広告媒体社が増えており、広告主企業は、これらをファーストパーティデータと組み合わせて活用することでターゲティングの精度を高めることができると期待しています。アドテクノロジー領域はこれまで、オンラインデータとオフラインデータとの統合(組み合わせ)が難しいとされており、独自体系で発展してきました。しかし、DMPとの連携により、第三者が提供するオンラインデータだけでなく、自社内のCRM情報(例えば、購入金額や回数、メールの効果などのオフラインデータ)を同時に活用することが可能となります。すなわち、DMPの「データ集約・統合」機能により、「自社Webサイトの行動履歴」と「自社CRMデータ」「第三者データ」を組み合わせることで、配信対象の細かいセグメントとターゲティングを実現します。2. 分析・分類マーケティング担当者が効果の高い施策を実行するために、ユーザーインサイト(定性情報)を理解することは必須となるでしょう。昨今、注目されている行動観察やカスタマージャーニーというマーケティング手法も、顧客の行動プロセスやその背景を理解する、という顧客インサイトを発見するための一手法です。DMPは、上記の通り、さまざまなデータを集約・統合できることから、ユーザーインサイトの強化も期待されていますが、そのためには集約・統合したデータを分析・分類する必要がでてきます。例えば、同じプロモーションでサイトに訪れたユーザーであっても、訪問時の行動に大きな違いがある場合はセグメントを分けるなど、細かな分析・分類を行います。これにより、ユーザーインサイトの理解に繋がるほか、ターゲティングの精度向上も実現します。3. 入力・活用DMPにおいて作成したセグメントは、DSPと連携することで広告配信に活用できます。従来のターゲティング手法は、各DSPでターゲティングルールを設定し、個別に運用を最適化する必要がありました。しかし、DMPと連携することにより、企業側でセグメントを作成・管理することができるため、例えば、同一のセグメントがDSPごとにどのように反応するか、というテスト運用が可能となります。また、DSPに限らず、自社サイトでのLPO(Landing Page Optimization) や商品情報のレコメンデーション、メール配信における訴求内容の変更・配信時期の判断情報としても活用できるのです。○DMP導入に向けて最後に、DMPの導入に向けてのポイントを確認しましょう。これまで、DMPを導入しデータを本格的にマーケティングへ活用することは難しいと考えられていました。しかし現在は、クラウドやビックデータの活発化などで、DMPの構築も小規模でスタートすることが可能です。導入初期は、膨大なデータに圧倒され、あれもこれもと手を出してしまいがちです。高度な分析や複雑な解析を行う前に、シンプルな仮説とセグメントからテストを行い、少しずつ精緻なターゲティングを構築していきましょう。担当する商品やサービスの「ユーザー理解」から「複数のシナリオ作成」「具体的なアクションと検証」を継続的に実行することが重要です。また、DMPの導入は、ユーザー理解だけでなく、自社サービスが選ばれる理由やどのようにコミュニケーションをするべきかを改めて考える機会にもなります。「ツールが勝手に解決してくれる」と考え、安易に導入するのではなく、データドリブンなアクションを継続的に実施する意思を持って取り組んでほしいと思います。なお、DSPを採用する際は、できるだけ多くのベンダーの話を聞き、各社の特性を見極めながら、自社に合うかどうかを判断しましょう。DSPの連動を重視したものや、EC向けレコメンド機能を中心としたものなど、ベンダーによって特性が大きく異なります。さて、次回は連載の最終回です。これまで、アドテクノロジーの歴史や最適化、データ活用の急速な発展などを見てきました。テクノロジーの進歩はWeb広告の配信にとどまらず、マーケティング領域全般に拡がっています。最終回では、今後マーケターに必要となるスキルを、データ活用という視点で考えてみたいと思います。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年05月13日コンテンツマーケティングを正しく理解し、正しく実践するための本連載。今回からはいよいよ、コンテンツマーケティングを成功させるために "押さえておくべきポイント" をご紹介します。まず、コンテンツマーケティングの実践は、大きく5つのステップを踏むことが基本となります。この5つとは、「ゴールの設定」と「ペルソナの設定」「コンテンツ設計」「エディトリアルカレンダーの作成と運用」「KPIの測定」です。前編では、ゴールとペルソナの設定における考え方を解説します。○ステップ1. ゴールの設定コンテンツマーケティングは、顧客にとって価値があるコンテンツを提供することで、商品の関連分野に対する顧客の関心を高め、最終的に売上につなげる取り組み。役立つコンテンツでファンを獲得できれば、見込み客の購入意欲向上や既存顧客のリピーター化だけでなく、企業の信頼度を高めるブランディング効果も期待できます。このように、さまざまな効果を生むことができるからこそ、適切なゴール設定が重要。ゴール設定なくしては効果測定もままならず、継続的に改善することもできません。では、設定し得るゴールの例をいくつかご紹介しましょう。1. ブランド認知度の向上スタートアップ企業や新商品の場合に主要なゴールとされることが多いのが「ブランド認知の向上」です。発信するコンテンツにおいて、企業名やブランド名を押し出していなくても、読者にとって情報価値の高いコンテンツを発信し続けると、読者は発信者を次第に意識していきます。なぜなら、良いコンテンツを見つけた読者は、今後の参考としてその情報ソースを覚えておこうとするためです。反対に、コンテンツの質が低ければ、企業としての専門性を疑われ、ブランド毀損につながってしまうでしょう。2. リード獲得/リードナーチャリング資料ダウンロードやメールマガジンの登録などを通して、読者のリード情報(氏名・企業名・連絡先など)を獲得することや、コンテンツの配信により継続的にコミュニケーションを取ることで見込み客に購入を検討してもらうことも、ゴールの1つとなります。3. エンゲージメントの増加ブランド認知をさらに意義あるものにするため、コンテンツを通して生活者とのつながり(エンゲージメント)を強めることも、ゴールとして設定可能です。特にソーシャルメディアは、投稿を介して生活者と交流するような取り組みに適していると言えるでしょう。4. 既存顧客のロイヤリティ向上同じブランドの商品を継続的に購入する人は、「ロイヤリティの高い顧客」と呼ばれます。既存顧客に対して充実したコンテンツを用意できれば顧客満足度が高まり、リピーターの獲得につながります。5. オピニオンリーダー化特にBtoB企業などにとって重要なゴールとなり得るのが「オピニオンリーダー化」です。特定の領域において良質なコンテンツを発信し続けることによって、業界関係者が一目置く存在として認知されることができれば、信頼獲得につながり、競合と差別化しやすくなります。○ステップ2. ペルソナ設計(ターゲット設計)コンテンツマーケティングでは、「想定する読者の立場に立ってコンテンツを発信しなくては、価値ある情報を提供できない」と考えます。したがって、想定する読者像は、コンテンツを制作するチーム内で「ペルソナ」として明確に共有されている必要があります。ペルソナとは、商品やサービスを購入する架空の顧客像。漠然とした見込み客をターゲットとするのではなく、詳細なプロフィールが設定されたペルソナ "Aさん" を想定し、コンテンツを作るのです。ペルソナの設計ペルソナを設計する際には、実際の顧客との対のほか、アンケート調査や顧客属性データの分析といった多面的な調査をもとに、性別や年齢、職業、家族構成といった属性を設定。さらに、1日の生活パターンや趣味嗜好といった定性的な要素も盛り込んでいきます。コンテンツマーケティングのためのペルソナ設計においては、情報収集の手段や日々接触しているメディアといった項目も入れておくと良いでしょう。ペルソナを設計するメリットペルソナ無きコンテンツマーケティングの実践は、発信者視点の "誰にも共感されない" コンテンツ発信になりかねません。チーム内で具体的な読者像(ペルソナ)を共有し、その行動を意識することで、「読者の関心や興味にあったコンテンツの発信につなげやすくなる」というメリットがあるのです。さて、後編(5月15日公開)では、ペルソナに合わせた「コンテンツの設計方法」と、施策の継続化を可能とする「エディトリアルカレンダーの作成と運用」、そしてこれら施策の「KPI測定」についてお話します。○執筆者紹介イノーバ 代表取締役社長 宗像淳福島県立 安積高等学校出身、東京大学文学部卒業。その後、富士通にて北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等を経験する。MBAを取得するため、ペンシルバニア大学ウォートン校に留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから楽天へ転職。その後、ネクスパス (現 : トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当する。2011年6月に株式会社イノーバを設立(公式Webサイトはこちら)。著書に『商品を売るなーコンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる (日経BP)』がある。○書籍紹介商品を売るな著者 : 宗像淳発行 : 日経BP 2014年12月8日生活者の購買行動が大きく変化している。プッシュ型広告で商品を売り込んでも、顧客はそれを無視するようになっている。従来のマーケティングはもう効かないのだ。表立って宣伝せず、見込み客に見つけてもらうための古くて新しいマーケティング手法、それがコンテンツマーケティングである。この手法は、コカ・コーラやP&Gといったマーケティング先進企業だけでなく、中小・スタートアップ企業が積極的に導入している。では、コンテンツマーケティングとはどのような取り組みかなのか? どんな効果があり、費用はいくらか? 運用のコツは? 成功するポイントは? ――本書では、国内・海外企業の事例紹介を交え、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説する。
2015年05月12日セプテーニは5月7日、米AppLovinのパートナーとしてスマートフォンアプリ向けモバイルマーケティングプラットフォーム「AppLovin」の販売を開始すると発表した。AppLovinは、ROIベースでの最適化配信に強みを持ったスマートフォンアプリ向けモバイルマーケティングプラットフォーム。300億以上にのぼる広告リクエストと広告主からのリアルタイムデータを使い、1カ月で10億人以上のスマートフォンユーザーに広告を配信している。従来の広告では、CPIをKPIとした配信が行われていたが、AppLovinではインストール後の広告費用対効果をリアルタイムに広告配信の最適化に反映することで、広告出稿・分析プロセスを自動化することが可能となっている。また、スマートフォンアプリをインストールするストアページを表示する一般的なインストール広告に加えて、広告をタップすると同時に広告主アプリが起動し、最適なページへリンクするリターゲティング配信にも対応しており、ディープリンクを利用した広告タップ後のスムースなユーザー体験を提供することができる。
2015年05月07日コンテンツマーケティングを正しく理解し、正しく実践するための本連載。前回までは、コンテンツマーケティングの概論や実施の際のおおまかなステップ、そして今コンテンツマーケティングが求められる背景をご紹介しました。3回目となる今回は、「これからコンテンツマーケティングに取り組みたいのだけれど社内の理解を得るのが大変……」というマーケティング担当者の方向けに、上司説得術を伝授いたします。○1. コンテンツマーケティングの成果は測定可能ですコンテンツマーケティングは、効果が分からないのではないか――これは、実施する際に最も"ありがち"な反応です。確かに、直接的に自社の商品やサービスを宣伝しない手法のため、効果が分かりにくい印象があります。ですが、実はそうではなく、定期的に測定することでコンテンツマーケティングの効果を定量化することが可能なのです。マスメディアでの広告露出よりもむしろ計測しやすい、といってもよいでしょう。測定のポイントは、KPI設計効果を定量的に計るためには、あらかじめ「KPI (Key Performance Indicators: 重要業績指標)」を決めておくことが重要です。例えば、コンテンツを閲覧した人数「ユニーク訪問者」や、コンテンツを表示している時間「ページ滞在時間」からは、どれだけのユーザーがコンテンツを見て、関心を持っているかが分かりますし、ソーシャルメディアの「フォロワー数」からはブランド認知度が、コンテンツの「シェア数」からはコンテンツの人気度(共感度)が分かります。また、シェアされたコンテンツの種類や、それらへのコメントを読むことで読者の興味関心や意見を知ることも可能です。ダウンロードコンテンツを活用すれば、売上への貢献度も可視化できるまた、eBookやホワイトペーパー、お役立ちテンプレートといったダウンロードコンテンツを用意しておけば、見込み客のリード情報(属性情報)を取得することもできますし、その後実際に商品を買ったかどうかを評価することも可能です。どのコンテンツを見たユーザーが、会員登録・メルマガ登録・ダウンロード・問い合わせ・購入をしたか分かれば、売上に対するコンテンツごとの貢献度も数値化でき、より効果的なコンテンツを準備する際には重要な目安にもなります。コンテンツマーケティングでは「ユーザーが何に興味を持ち、どのような経路で購入するのか」を数字で把握することができるのです。○2. 小予算からでも始めることができます予算がないから始められない! ――これも、コンテンツマーケティングを提案したときに、上司から言われそうな一言ですよね。これに対しては、「一般的な広告に比べ、コスト削減につながります!」と堂々と切り返してください。広告の多くは、露出料に応じて出稿費用がかかりますが、コンテンツマーケティングは、(極端に言えば)自社サイトにコンテンツを置いておけば始められる手法ですのでコスト削減に繋がります。蓄積効果で継続に応じてROIが改善していくまた、広告は一般的に、出稿し続けるとその分費用が発生しますが、コンテンツは、一度公開してしまえばコストはかかりません。加えて、コンテンツの掲載を継続すればするほどその量は増えていくため、1ユーザーを取得するためにかかるコスト(CPA)は改善していきます。米カポスト(Kapost)のレポートによると、「コンテンツマーケティングはコンテンツ制作時に費用が掛かるものの、コンテンツを長期間にわたって公開できるため、公開後5カ月でリード情報の獲得単価が一気に下がる」ことが明らかになっています。○3. 人的リソースは、社内に隠れています競争の激しい今の時代において、社内に十分な人的リソースがあるような会社ばかりではないでしょう。むしろ、一人の担当者が数多くの業務を兼任するようなケースも多いのではないでしょうか。こういった企業のマーケティング担当者が抱える導入障壁は、「コンテンツマーケティングには興味があるが、社内には取り組める人材がいない」ことです。しかし、コンテンツマーケティングは新しい取り組みです。現状のマーケティング部門やWeb担当部門だけに着目していたら、経験者はいないかもしれません。(業界全体を見渡しても、まだまだ「コンテンツマーケティングのプロ」が少ないというのが現状です。)では、少し広い視野で社内を見渡してみましょう。手掛けている仕事のアウトプットを「コンテンツ」と呼んでいなかったとしても、日常業務でコンテンツ制作に携わってきた社員は、思いのほか少なくないのではありませんか?例えば、ほとんどの企業はWebサイトを持ち、日々運用しているはずです。商品販売用のECサイトを持っている企業もあるでしょう。そういったサイトの制作チームや、外部の制作会社との調整業務を行っている社員は、コンテンツマーケティングの担い手候補です。また、営業や販売促進の担当者として、顧客向けの説明資料やメールマガジンの制作に携わる社員はいませんか? 表品開発部門で商品パッケージのデザインを担当しているデザイナーは?このほかにも、メディア対応の窓口となり、ニュースリリースの執筆を行う広報担当者や、社内報の担当者などもコンテンツマーケティングにはうってつけと言えるでしょう。このように、社内外へ向けた何かしらのコンテンツを制作した経験のある社員から、マーケティングに興味を持ちそうな人を探してみましょう。最初は担当者ができることから始め、効果を見ながら徐々に取り組みを拡大していくことが成功の秘訣です。一定以上の規模に拡大する際には、社外のコンテンツ制作会社などを利用するのも手でしょう。いかがでしょうか?大きな投資をせず、まずは小さい規模でから始められることも、コンテンツマーケティングの利点の1つです。アメリカから盛り上がった手法ではありますが、すでに国内企業も続々と挑戦しています。競合他社に出し抜かれてしまう前に、ぜひ一歩を踏み出してみて下さい。次回は、コンテンツマーケティングを成功に導く5つのステップをご紹介します。○執筆者紹介イノーバ 代表取締役社長 宗像淳福島県立 安積高等学校出身、東京大学文学部卒業。その後、富士通にて北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等を経験する。MBAを取得するため、ペンシルバニア大学ウォートン校に留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから楽天へ転職。その後、ネクスパス (現 : トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当する。2011年6月に株式会社イノーバを設立(公式Webサイトはこちら)。著書に『商品を売るなーコンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる (日経BP)』がある。○書籍紹介商品を売るな著者 : 宗像淳発行 : 日経BP 2014年12月8日生活者の購買行動が大きく変化している。プッシュ型広告で商品を売り込んでも、顧客はそれを無視するようになっている。従来のマーケティングはもう効かないのだ。表立って宣伝せず、見込み客に見つけてもらうための古くて新しいマーケティング手法、それがコンテンツマーケティングである。この手法は、コカ・コーラやP&Gといったマーケティング先進企業だけでなく、中小・スタートアップ企業が積極的に導入している。では、コンテンツマーケティングとはどのような取り組みかなのか? どんな効果があり、費用はいくらか? 運用のコツは? 成功するポイントは? ――本書では、国内・海外企業の事例紹介を交え、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説する。
2015年05月01日オプトは4月28日、ユーザー参加型マーケティングプラットフォーム「Shuttlerock(シャトルロック)」の新しいツール「Shuttlerock SocialHub」の取り扱いをスタートしたと発表した。同ツールでは、Shuttlerockの基本機能はそのままに、デザイン性や機能面を強化し、ユーザーのアクション率の向上を目的にアップデートした。Shuttlerockはブランドの顧客が作成したコンテンツを自社サイトに活用し、ソーシャルハブを構築するソリューションで、最新のユーザーコンテンツを自社サイトに活用することで、購買への導線をスムーズにしたり、より深くユーザーと交流することが可能で、簡易にオウンドメディアを活性化することができる。今回のアップデートでは、アクションボタンの表示方法を変更し、また、コンテンツの読み込みをページ遷移型から無限スクロール型に変更したことで、企業のオウンドメディアにより近しいデザインとなった。また従来、ユーザーコンテンツのひとつを詳細に確認する場合、別ページに遷移させる手法をとっていたが、アップデート後のShuttlerock SocialHubでは、SPAを導入し、同一ページにてコンテンツを表示するため、離脱率の減少や滞在時間の向上が期待できる。さらに、ウィジェットのカスタマイズやボード自体をオウンドメディア配下に設置することが可能で、「シェア」「LIKE」などのアクションもウィジェット内で行える。
2015年04月30日2014年、多くの注目を集めた「コンテンツマーケティング」を紐解く本連載。前回は、その概論と歴史、実施する際の5つのステップを紹介しました。今回は、コンテンツマーケティングが多くの注目を集めた背景を解説します。○消費者のメディア接触が変容 - 広告をスキップする消費者さて、皆さんは日々、どのようなメディアに、どのくらいの時間接触しているでしょうか。総務省は、10~60代を対象に、テレビ・ネット・新聞・ラジオの4メディアにおける平均利用時間と利用者の割合を調査し、「情報通信白書」として発表しています。同白書の最新版となる平成25年版によると、全世代において、最も接触時間が長いメディアはテレビ(184.7分)で、それはネット(71.6分)の約2.6倍となります。一見、圧倒的にテレビの利用率が高いように見受けられます。しかし、同結果に大きく寄与する年代は、50代や60代の高年齢層。10代では、ネット利用時間の方が長いほか、20代においてもネットがテレビに肉薄する勢いです。同調査は平成25年のものですが、この2年間において、幅広い世代でスマートフォン(スマホ)が普及しましたし、各年代のネット利用時間はさらに伸びているであろうことは想像に難しくありません。特に若い世代にとっては、もはやテレビよりもネットのほうが身近なメディアになっていることがうかがえる結果です。また、テレビの視聴スタイルの変容も無視できません。博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が、消費者のメディア接触や、メディアのデジタル化に伴うハードウェア・サービスの利用実態を把握することを目的に毎年実施する「メディア定点調査」の2013年度版を参考に見てみましょう。同調査によれば、「携帯やスマホを操作しながらテレビを見ることがある」と回答した人は全体の48.6%で、「気になることがあるとすぐに携帯やスマホで調べることがある」との回答は42.8%でした。このことから、テレビの情報を真剣に見るというより、生活の中の背景としてテレビをつけながら、ネットを使って調べ物や情報閲覧をしたり、テレビから得た情報を検索してさらに詳しい情報を確認していたりする人が半数近くいることが想像できます。いわゆる「ながら視聴」と呼ばれるこの行為ですが、番組と番組の間のCM中に行われることが多いのではないでしょうか。つまり、消費者はスマホによって「CMをスキップ」しているのではと考えられるわけです。○デジタルパワーを得て変わる 消費者行動加えて同調査では、若年層の新聞離れや、ネットのニュースサイトで十分だと考えている実態が見て取れるように思います。30代以下の世代は、情報収集の手段がネットへシフトしているという傾向が非常に顕著に表れていると言えるでしょう。では、このようにメディアへの接触態度が変容した結果、消費者行動はどのように変わったのでしょうか。この図版は、ネットが普及する以前と現在の購買プロセスの違いを示したものです。「AIDMA(アイドマ)」という消費者行動モデルをご存じの方も多いのではないでしょうか。「ネット普及以前」に一般的だったこの購買プロセスをもとに、冷蔵庫を購入する際の消費行動を考えてみましょう。「ネット普及以前」の消費者は、まず、CMで宣伝を行うメーカーAの冷蔵庫に注意を向けます(Attention)。そして、その冷蔵庫の特徴に興味・感心を抱きます(Interest)。やがて、冷蔵庫の魅力を理解し、家にも1台置きたいと思うようになります(Desire)。その後、メーカーAのCMを何度も見ているうちに、メーカーAのブランドを記憶するようになり(Memory)、自分が「過去に買った商品と比較して」十分に魅力的であれば、店頭で購入という行動(Action)を起こします。「ネット普及以前」には、消費者が比較できる対象として、過去の自分の経験か、せいぜい家族や友人からのクチコミ程度だったのではないでしょうか。比較対象が少ないので、広告主は、「商品の良さ」を繰り返しアピールすることで販売に結びつけることが可能だったのです。ところが、「ネット普及以後」の消費者は、能動的に情報収集をするようになりました。特に、大きな影響を与えた存在は、Googleに代表される「検索 (Search)」とFacebookなどのソーシャルメディアによる「共有 (Share)」の2つです。消費者は、興味をもったらまずネットで「検索」し、購入後には製品体験の感想や意見をソーシャルメディアで広く「共有」する――。ソーシャルメディア上での「共有」は、かつての「クチコミ」とはケタ違いの影響力をもち、その伝播の速さと量は劇的に増加しています。○訪問者が必要な情報。「おもてなし」としてのコンテンツ消費者が能動的に情報収集をするようになったということは、広告主側としてもこの行動を前提としたコミュニケーションを考えなくてはなりません。消費者が折角、製品やサービスに関心を持ってくれたとしても、「検索」の段階で彼らのニーズを満たす情報を「見つけてもらえ」なかったら、購買行動には繋がらないのです。「検索」を通じてWebサイトにやってくる消費者は、どのような情報を必要としているのか――それを考え、その情報(コンテンツ)を用意することで、訪問者を「おもてなし」する。これが、インターネット検索時代のコンテンツマーケティングの基本です。さて、最後に。このように、コンテンツマーケティングが注目された背景には、消費者の購買行動の変化という、極めて本質的な変化があります。これは、一時的な流行などではなく、インフラ化したインターネットによってもたらされた不可逆的な変化と言えるでしょう。一人ひとりの消費者が能動的に情報収集をし、かつ情報発信力が極大化したことにより、企業は、彼らが求める情報(コンテンツ)の提供なくして商品を売ることができなくなりつつあるのです。これが、コンテンツマーケティングが「マーケティングのパラダイムシフト」と呼ばれる理由なのです。○執筆者紹介イノーバ 代表取締役社長 宗像淳福島県立 安積高等学校出身、東京大学文学部卒業。その後、富士通にて北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等を経験する。MBAを取得するため、ペンシルバニア大学ウォートン校に留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから楽天へ転職。その後、ネクスパス (現 : トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当する。2011年6月に株式会社イノーバを設立(公式Webサイトはこちら)。著書に『商品を売るなーコンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる (日経BP)』がある。○書籍紹介商品を売るな著者 : 宗像淳発行 : 日経BP 2014年12月8日生活者の購買行動が大きく変化している。プッシュ型広告で商品を売り込んでも、顧客はそれを無視するようになっている。従来のマーケティングはもう効かないのだ。表立って宣伝せず、見込み客に見つけてもらうための古くて新しいマーケティング手法、それがコンテンツマーケティングである。この手法は、コカ・コーラやP&Gといったマーケティング先進企業だけでなく、中小・スタートアップ企業が積極的に導入している。では、コンテンツマーケティングとはどのような取り組みかなのか? どんな効果があり、費用はいくらか? 運用のコツは? 成功するポイントは? ――本書では、国内・海外企業の事例紹介を交え、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説する。
2015年04月28日皆さんは、「コンテンツマーケティング」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか? マーケティング先進国となるアメリカでは5年ほど前から、国内でも一昨年ごろからよく聞かれるようになった新しいWebマーケティング手法です。このように申し上げると「また、FacebookやTwitterの時みたいな新しい流行り物か」と受け取られるかもしれませんが、コンテンツマーケティングはインターネットが生活インフラ化したことで変容した人々の消費行動に対応した、極めて本質的かつ普遍的な進化「マーケティングのパラダイムシフト」だと言われています。この連載では、コンテンツマーケティングの概論や、昨今注目されてきた社会的・技術的背景、実際に導入する上でのステップ、社内説得術などを6回に渡ってお伝えしていきます。○コンテンツマーケティング、それは"古くて新しい"マーケティング手法冒頭にて、「コンテンツマーケティングは新しいWebマーケティング手法」とご紹介しました。しかし、コンテンツマーケティングの考え方自体は、「最近生まれたまったく新しいもの」というわけではありません。むしろ、インターネットやコンピューターが登場する遙か以前から存在していた手法です。レストランガイドで有名な「ミシュラン (Michelin)」は1900年、フランスのタイヤメーカーが自動車旅に役立つ地図や自動車整備などの情報を掲載した400ページのガイドブック「ミシュランガイド」を初めて無料配布しました(図を参照)。今から100年以上も前のことです。彼らは、自社製品となるタイヤを売るのではなく、自動車旅行の楽しさやカーライフの便利さを広く伝えることで、自動車業界そのものを活性化し、タイヤ需要の底上げを狙ったと言われています。その直後となる1904年には、フルーツゼラチンミックス「JELL-O (ジェロ)」を開発した米国企業が、自社製品を使うレシピ本を無料で配布。まったくの無名ブランドが2年後には年間売上高300万米ドルを稼ぐまでに成長したといいます。○商品を売ることよりも、顧客に有益な知識を100年前から顧客獲得の手段として取り組まれていたコンテンツマーケティング――2つの事例に共通することは、「直接的に商品を売りこむのではなく、顧客にとって有益な知識を提供することで間接的に売上につなげている」ことです。さまざまな定義やネット関連のカタカナ用語によって複雑怪奇な印象を持たれることもあるコンテンツマーケティングですが、その本質はここに集約されています。「顧客の獲得を目的にコンテンツを制作し、提供することに注力したマーケティング手法」それこそがコンテンツマーケティングなのです。○コンテンツで見込み客に「見つけてもらう」コンテンツマーケティングに興味のある方であれば、「インバウンドマーケティング」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。米ハブスポット(Hubspot)が提唱したこの用語を理解するために、対義語となる「アウトバウンドマーケティング」からご説明しましょう。アウトバウンドマーケティングとは、商品を売ることを目的に「訪問販売」や「電話のセールス」「ダイレクトメール」「メールマガジン」などで見込み客にアプローチするプッシュ型のマーケティング手法です。ひと言で表せば「売り込み」と呼ばれる手法で、近年では急速に効果が低くなっていると言われています。訪問販売や電話でのセールスに対し、多くの人が警戒・拒絶するようになっているためです。一方、インバウンドマーケティングは正反対の考え方となります。消費者に嫌がられるような「売り込み」をせず、見込み客に自ら「見つけてもらう」ことを目標とします。では、いったいどうやって見込み客に「見つけてもらう」のでしょうか――そう、コンテンツです。「見込み客がどのような情報を必要とし、何を探しているのか」を正しく理解し、その情報を「見つけやすい形」で提供することこそ、インバウンドマーケティングの要諦となります。そして、顧客の方から寄ってくる(インバウンド)状況を作り出すために有益なコンテンツの発信に注力したインバウンドマーケティングが、コンテンツマーケティングであるとも言えるでしょう。○「見つけてもらい、ニーズを育成し、定着させる」コンテンツマーケティングの5ステップ前述のように、見込み客に見つけてもらい、そして製品やサービスを購入してもらうため、コンテンツマーケティングには5つのステップを要します。この中でも得に重要なステップは、「Webサイトやブログで情報を提供することでWebサイトへの訪問数を増やす」ことです。生活者は、モノを購入する前にインターネットを使って自分で情報を収集し、知識を得ることが当たり前になっています。彼らが探している情報を、いかに適切にタイムリーに提供できるか――それが生活者に商品やサービスを購入してもらう動機付けとなるのです。次回は、アウトバウンドマーケティングが効かなくなった背景や、なぜこれほどまでにコンテンツマーケティングが注目されたのかを社会的要因・技術的要因から紐解いてみたいと思います。○執筆者紹介イノーバ 代表取締役社長 宗像淳福島県立 安積高等学校出身、東京大学文学部卒業。その後、富士通にて北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等を経験する。MBAを取得するため、ペンシルバニア大学ウォートン校に留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから楽天へ転職。その後、ネクスパス (現 : トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当する。2011年6月に株式会社イノーバを設立(公式Webサイトはこちら)。著書に『商品を売るなーコンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる (日経BP)』がある。○書籍紹介商品を売るな著者 : 宗像淳発行 : 日経BP 2014年12月8日生活者の購買行動が大きく変化している。プッシュ型広告で商品を売り込んでも、顧客はそれを無視するようになっている。従来のマーケティングはもう効かないのだ。表立って宣伝せず、見込み客に見つけてもらうための古くて新しいマーケティング手法、それがコンテンツマーケティングである。この手法は、コカ・コーラやP&Gといったマーケティング先進企業だけでなく、中小・スタートアップ企業が積極的に導入している。では、コンテンツマーケティングとはどのような取り組みかなのか? どんな効果があり、費用はいくらか? 運用のコツは? 成功するポイントは? ――本書では、国内・海外企業の事例紹介を交え、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説する。
2015年04月24日マーケティング担当者向けに、アドテクノロジーの基礎知識を学ぶ本連載。前回は、マーケティングの基礎戦略となるセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングをおさらいしました。ターゲティングはアドテクノロジーにおける要の機能の1つです。このターゲティング手法の進化がきめ細かい広告配信を実現し、ディスプレイ広告の成長に大きく寄与してきました。(2015年4月)現在のディスプレイ広告では、そのほとんどが、何らかのターゲティングを用いてキャンペーン設定が行われていると言えます。ところが、DSPにおけるターゲティング手法は、各社によって手法が少し異なります。今回は次の視点で代表的な方法を紹介します。・ 広告主サイト訪問者を中心としたアプローチ・ Web閲覧行動を中心としたアプローチ・ハイブリット型○【1】広告主サイト訪問者を中心としたアプローチこのアプローチを行う上で用いられる代表的な手法は、リターゲティング(※注)です。これは、ひとことで言うと「自社サイトに訪問したユーザーをターゲティングする手法」となります。一度訪問したユーザーがサイトを離脱したのち、企業は、購入を保留した商品の再検討や関連商品の訴求、サイトへの再訪問など、ユーザーの状態を推定しアクションを促します。主に、複数商品やリピートする商品など、既存顧客へのアプローチとして利用されることが多い傾向にあります。同手法はこの数年、最も予算が拡大していると言えるでしょう。その理由は、Webサイト上でユーザーのアクションが完結する「ダイレクトレスポンス型」の領域で積極的に利用されたほか、その成果が測りやすく、DSPのターゲティング手法として定着したためです。また、昨今注目されている手法として、「ダイナミックリターゲティング」があります。これは、サイトに訪問したものの購入に至らなかったユーザーに対し、バナー内に複数の商品クリエイティブを生成し、「動的に変化させながら表示する」手法です。ECサイトであれば、訪問したユーザーごとに、閲覧したページの商品やサービスを解析し、最適な採用素材(この場合は、購入する可能性が高い商品)を選択後、バナーを自動で生成します。もちろん、バナー内の掲載商品やサービスは複数の組み合せも可能です。出稿には、広告主からの自社商品マスタ (商品リストや画像など)が必要となります。広告配信事業者は、どのユーザーにどのような商品を表示すると最適かを分析します。これは、各社によって独自のアルゴリズムが用意されており、単純な閲覧履歴だけでなく、蓄積された商品情報の解析や学習結果から、閲覧していないアイテムを抽出することもできます。同手法は主に、商品点数が多いECサイトや旅行業界、不動産業界などで活用が進んでおり、今後も更に市場は伸びていくでしょう。※注 : 「リターゲティング / Retargeting」は、マイクロアドの登録商標です。○【2】Web閲覧行動を中心としたアプローチ代表的な手法は、行動ターゲティングです。ユーザーを、インターネット上での行動をもとに何らかのカテゴリに分類し、このカテゴリを組み合わせて指定することでターゲティング対象を絞り込む仕組みとなります。従って、行動ターゲティングは、「ユーザーの興味・関心の特性に対するターゲティングする手法」と表すことができます。例えば、サイトの訪問数そのものが少ない場合や、再訪問の頻度・回数が少ない場合、新しい商品のため認知が低い場合などに「見込客(潜在的顧客)へのアプローチ」として利用されることが多く、うまく活用することで、見込客の誘導を促すことが可能です。○【3】ハイブリット型ハイブリット型とは、行動ターゲティングなどの外部データと、自社サイトのコンバージョンデータなどを積極的に融合してターゲティングする手法です。主に、「Look-alike」や「リターゲティング拡張」といった手法が挙げられます。「Look-alike」は、コンバージョンしたユーザーが、どのオーディエンスカテゴリに所属していたかを知ることで配信対象を指定します。弊社のDSP「Logicad」の場合、広告主サイト訪問者やコンバージョンしたユーザーのオーディエンスカテゴリとDSP全体のカテゴリを比較することで、ターゲットユーザーと関連の強いカテゴリを選択することができます。一方「リターゲティング拡張」は、コンバージョンなどを行ったユーザーに似ている対象者を、保有している膨大なインターネットユーザーの行動データなどから類似する行動・嗜好の特性を照らし合わせることで抽出します。従って、「Look-alike」にように明示的にカテゴリを指定しません。これらは各社によって異なりますが、類似度や配信規模などで配信を指定します。以上が、DSPにおける代表的なターゲティング手法の紹介となります。最後に、これらのターゲティングで考慮したい3つの視点を考えてみます。1つ目は、中間ゴールを設定すること。最終ゴールとなるコンバージョン(CV)ユーザーだけでなく、CVに至る複数の過程を考えてみましょう。過程(中間)を分析対象とすることで、CV数が少ない時点でも新たなデータの取得や学習速度を高めことができます。2つ目は、他の施策との関係性を考慮すること。データに対する判断では、「何を前提としているか」を忘れてはいけません。施策の影響を受けたユーザーかそうでないかによって、結果は同じでも判断は異なります。他の施策の影響を見ずにミスリードされないよう注意しましょう。3つ目は、自社サイトのWeb解析で得られたユーザーセグメント情報を積極的に活用すること。各セグメントの分類条件をDSP配信設定や解析・学習に反映し連動することで、予測精度が向上します。これに伴い、注目を集めたソリューションが、ターゲティングユーザーの集約・管理を可能とする「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」です。次回は、このDMPについて解説します。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年04月22日ZMPとテクノスデータサイエンス・マーケティング(TDSM)は4月21日、資本提携を行い、自動車・物流機器・ヘルスケア機器のセンサーデータをクラウドに収集し、ビッグデータを解析するサービスの共同開発を開始すると発表した。具体的には、自動運転技術の開発用車両プラットフォームRoboCarなどのセンサーデータをクラウドに収集し、ビッグデータ解析まで一貫して行うソリューションや、物流支援ロボットCarriRoやAGV、フォークリフトなどの物流機器のセンサーデータをクラウドに収集し、ビッグデータ解析をすることによって生産性向上を図るソリューション、24時間心臓見守りサービスheartomoの心拍データをクラウドに収集し、ビッグデータ解析によって心疾患を予防するアプリケーションの開発などを行う。両社は「ZMP のミッションである『Robot of Everything』によってロボット化されたさまざまなモノから得られるビッグデータを、TDSM のデータ解析技術によって活用し、未来の社会基盤となる人工知能プラットフォームの提供を目指してまいります」とコメントしている。
2015年04月21日アマナとイノーバは4月21日、企業がオウンドメディアを構築して情報発信を行うコンテンツマーケティング領域において協業し、両社の強みを活かしたサービスを2015年5月より開始すると発表した。広告・セールスプロモーション領域において、ビジュアル企画・制作を行うアマナと、コンテンツマーケティングに特化したサービスを展開するイノーバが競合することにより、ビジュアルの持つ力を生かしたコンテンツを提供していく。具体的には、アマナのストックフォト・撮影サービスと、イノーバが提供するコンテンツマーケティング支援のクラウドサービス「Cloud CMO(クラウドシーエムオー)」との業務連携や、両社の顧客に対する相互営業協力の連携、共同セミナーの実施・運営を予定しているという。
2015年04月21日2014年に注目されたマーケティング手法の1つとして、「コンテンツマーケティング」がある。ユーザーが必要とする情報をコンテンツとして適切に提供することにより、アクションにつながる活動を引き起こすことが目的だ。その多くは、記事や動画としてブログやオウンドメディアといったチャネルを通じて提供される。しかし、楽天の楽天マーケティングジャパン事業 RMJマーケティング部にて部長を務める向谷和男氏は、ペイドメディアを活用することも可能だと説明する。「【前編】ペイドメディアで行うコンテンツマーケティング - その意義とは」は、こちら。前編では、ペイドメディアでコンテンツマーケティングを行う意義についてお伝えしましたが、今回は効果的に行うためのポイントについてお話します。そのポイントとは、「データを活用してコンテンツを最適化すること」と「継続的にユーザーとコミュニケーションをとること」だと考えています。○データ活用で、コンテンツを最適化するそれではまず、ペイドメディアの優位性を振り返ってみましょう。情報ポータルサイトなどのペイドメディアは、ユーザー群が「いつ / どんなコンテンツを / どのくらいの時間閲覧したのか」といった行動データを保有しています。最近では、個人を特定しないことを前提に、このデータを活用した広告配信・展開が盛んに行われているため、メディアは、大量のデータを整備し保有するケースが多く見受けられます。ペイドメディアでコンテンツマーケティングを行う際も、同データを活用し、コンテンツの内容を最適化することで、より効果を高めることができるのではと考えます。ただ、データの活用といっても、そのユーザー群が女性か男性かといった「属性情報」や、お水買ったかお茶を買ったかといった「消費行動」など直接的に関係性の強いデータを活用しコンテンツを配信するだけではなく、「データを活用してユーザー群の嗜好性や行動特性などを推測する」ことが重要です。「データでユーザーの嗜好性を推測する」ということは、例えば、データとデータの関連性などを模索し、紐付けていくといった作業です。我々の分析では、保有する車とワインの購買に相関関係があることがわかっています。同じ輸入車を保有する消費者であっても、保有車種によってシャンパンやスパークリングワインなど最近人気の「泡もの」と呼ばれるジャンルを好むユーザー群と、単価の高い高級ワインを好むユーザー群に分かれたりします。こういったことが分かると、ユーザーの背後にある文脈(ストーリー)が推測でき、それに合わせたコンテンツを作成することができます。先程の車種とワインの例ですと、「輸入車とユーザー」の枠を超えて、「高級ワインを好むようなユーザーに自社の車が好まれているようだ」とすると、「ラグジュアリーな世界観を好むような人々にニーズがあるのではないか?」これを前提とした場合、訴求内容として「そんな人はどんなコンテンツを好むのだろうか?」――といった流れでコンテンツ内容を最適化することが可能となります。○ユーザーと持続的なコミュニケーションを実現するそして、もう1つの大切なポイントは、ユーザーとの「継続性を担保すること」です。昨今、ユーザーが接触する情報量は増え続け、企業は、販売促進や需要喚起を行う際、初期接触だけでユーザーの気持ちを的確に捉え、最適なコミュニケーションを実現するのは極めて困難でしょう。そこで、ユーザーと継続的な関係を構築し、最適化しながらマーケティングすることが重要となってきます。弊社で行った、とあるキャンペーンの運用事例では、申込などのアクションをコンバージョン(CV)とした際、初期接触時にアクションしなかったユーザーに対して2度目の接触を行うと、約30%程度申込が増加したという結果がでています。ペイドメディアは日頃から、ユーザーとの接点を継続的に保持すること(再訪率や回遊率の向上)に努めています。企業は、これらメディアを活用することで、ペイドメディア上ではありますが、ユーザーとのコミュニケーションを継続させることも有効な手段の1つではないでしょうか。さて、前編後編と2回にわたり「ペイドメディアで行うコンテンツマーケティング」について解説してまいりました。ユーザーが必要とする情報をコンテンツとして適切に提供することに重点を置く「コンテンツマーケティング」ですが、同手法を実践するにあたり、ユーザーを集めるだけでなく、ユーザーが集まっている場所に自ら行くことも、コミュニケーション手段の1つです。新たな視点でメディアの活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。○執筆者紹介楽天マーケティングジャパン事業 向谷和男1995年より在阪の広告会社にてインターネット広告事業に従事。その後入社したLycos Japanの楽天によるM&Aを経て、2003年より楽天株式会社に入社する。求人情報サービス事業責任者や楽天WOMAN編集部部長を勤めたのち、楽天グループのサービス・プラットフォームなどを活用した企画立案プロジェクトを統括。現在は、楽天マーケティングジャパン事業のマーケティング関連事業の推進と新たなスキーム・サービス開発を支援する。
2015年04月17日バリューコマースとMasterCardは4月16日、インバウンドビジネスを強化したい企業のための新しいマーケティング・サービスの提供に向けて協働することに合意した。同サービスにより、バリューコマースを通じて同サービスに参加する広告主は、現状オンラインでのみ展開されているポイントなどの利用者優待特典付与サービスを、実店舗を利用した海外からの消費者に向けて提供することが可能となる。また、MasterCardが昨年買収したオーストラリアのロイヤリティリワードサービスプロバイダーであるPinpoint Pty(ピンポイント)が管理する海外の顧客向けに、同サービスに参加する広告主の情報を告知展開することで、日本への送客を図れる。ピンポイントは、カード発行会社や加盟店向けに、オーストラリア、中国、インド、日本をはじめとするアジア/太平洋地域の各国で優待特典プログラムを運営しており、海外の消費者が日本国内の参加広告主の店舗で買い物をすると、所定のポイントを得ることができる。両社は、2015年6月に同サービスの提供を開始する予定だという。
2015年04月17日2014年に注目されたマーケティング手法の1つとして、「コンテンツマーケティング」がある。ユーザーが必要とする情報をコンテンツとして適切に提供することにより、アクションにつながる活動を引き起こすことが目的だ。その多くは、記事や動画としてブログやオウンドメディアといったチャネルを通じて提供される。しかし、楽天の楽天マーケティングジャパン事業 RMJマーケティング部にて部長を務める向谷和男氏は、ペイドメディアを活用することも可能だと説明する。そのワケを聞いた。まず、皆さんと考えたいことは、ペイドメディアでコンテンツマーケティングを行う意義です。弊社は、「メディアのロイヤリティにより浸透度を高めることができること」と、「特定の情報を収集するために訪れているユーザーに訴求できること」だと考えています。○メディアのロイヤリティがユーザーを"なんとなく"動かすさて、メディアのロイヤリティとは何でしょうか?雑誌を見てレストランをチェックしたり、テレビで紹介された食品を見て通販で購入するなど、メディアから発信される情報に刺激され、実際に店舗へ行ったり購入した経験――皆さんもあるかと思います。例えば、レストランのシェフ自身が「当店の料理は美味しい!」と言うより、自分がよく購入する雑誌に「このレストランの料理が美味しい」と記載されていた方が、"なんとなく"行きたくなることもあると思います。つまり、ユーザーの情報に対する「期待値」がメディアのロイヤリティであり、これがユーザーの「情報を受け取る姿勢 : 浸透度」を決めていると言えます。では、メディアのロイヤリティがユーザーに与えている影響を見てみましょう。弊社が運営するペイドメディアの1つで、あるデータがあります。このメディアでは、この広告主の情報を含めた約4分の番組型動画(コンテンツ)と、一般的な動画広告を同じ枠にて配信するという実験を行いました。すると、集客効率が約15倍になったほか、15秒程度の動画広告と約4分の動画コンテンツの完全視聴率はほぼ同じ水準という結果に。通常、視聴時間の長い動画の完全視聴率は下がると言われているにも関わらず、メディアが発信する「コンテンツ」の方が多くの人に見てもらえたという結果となりました。私たちは、これがユーザーの期待値(目的意識)が起こす差異だと考えています。○購入意欲が高まっているタイミングは、いつか?もう1つ、情報の浸透力を高めるために、ユーザーの「モード : その時の気分や気持ち」についても考えておく必要があります。例えば「ごま油」を訴求したい場合、一人の主婦が晩御飯のおかずを考えているときと、ゆっくりとお風呂に浸かっているときでは、情報の浸透率が変わってきます。コンテンツマーケティングにおいて、この「モード」考えることが、非常に重要な要素になってきます。現在(2015年4月)、多くの広告では「属性」を中心としたセグメントを利用し、クリエイティブや広告内容の出し分けを行っています。さらに、最近では、データを活用して「どんな人か」を特定する広告も増えてきています。しかし、検索履歴などの需要特定を除くと、多くの場合、ユーザー側の「その時の気分や気持ち」はなかなか特定できません。では、特化型のペイドメディアではどうでしょうか。例えば、レシピ情報のサイトでは一般的に、17時頃をピークとしてアクセス数が伸びると言われています。今晩のおかずを考えている「オンモード」なユーザーが集まってきているということが推測できます。こういったオンモードなユーザーに対し、「スープの素」や「ごま油」などの関連商材をコンテンツとして提供すれば、「モード」と「コンテンツ」のマッチングが行われ、浸透率を高めることが可能だと考えられます。ちなみに、コーポレートサイトやオウンドメディアなど自社サイトに訪問するユーザーは、既にオンモードなユーザーでは?と思う方が多いのではないでしょうか。私も、その通りだと思います。しかし、どれだけその商品が好きでも、何度も何度もメーカーサイトを訪れたりすることは少ないでしょう。広告主側も、タイミングのよい接触機会を何度も作っていくことは難しいのではないでしょうか。そこで、情報の設置場所にユーザーを呼ぶのではなく、ユーザーが集まる場所(領域特化されたメディア)にコンテンツを設置していくことで、ユーザーの生活上での「オンモード」を捉えることができ、この問題を解決することができるのです。後半では、ペイドメディアでコンテンツマーケティングを効果的に行うポイントを考えてみたいと思います。○執筆者紹介楽天マーケティングジャパン事業 向谷和男1995年より在阪の広告会社にてインターネット広告事業に従事。その後入社したLycos Japanの楽天によるM&Aを経て、2003年より楽天株式会社に入社する。求人情報サービス事業責任者や楽天WOMAN編集部部長を勤めたのち、楽天グループのサービス・プラットフォームなどを活用した企画立案プロジェクトを統括。現在は、楽天マーケティングジャパン事業のマーケティング関連事業の推進と新たなスキーム・サービス開発を支援する。
2015年04月15日電通と爽快ドラッグは4月6日、爽快ドラッグが運営するEコマースサイトを活用したテストマーケティングにおいて協業することを発表した。両社は今後、同サイトにて商品販売を行う企業向けに、統合的なサービス提案とデータ活用、実店舗と連動したオムニチャネル施策などの検証を提供していく。なお、電通によると、協業の背景として「広告コミュニケーションと売り場における販促活動をより効果的に連動させたい企業ニーズの高まり」があるという。また、サイトのリッチコンテンツ化により消費者は、Eコマースサイトを「買い場」としてだけでなく、「情報収集の場」として活用する(Eコマースサイトがメディア化する)傾向が見て取れると説明する。
2015年04月06日この連載は、2015年4月からWebマーケティング業界に足を踏み入れる新入社員や、新たにWeb担当者に着任した新人マーケターを対象に「覚えておきたい基礎知識」をご紹介するものです。前回は、Webマーケティング業界にて日常的に利用されるマーケティング用語10個を解説。後半となる今回も、残りの10個を出現頻度の高い順に見ていきましょう。※「【前編】これだけは覚えたい!Webマーケティング基礎用語20選」は、こちらをご覧ください。○11. LPOLanding Page Optimization : ランディングページ最適化出現頻度 : 60%【解説】広告をクリックすると最初に表示されるLP(ランディングページ)のデザインや文言を工夫し、CVR(コンバージョン率)を高めること。○12. ROASReturn On Advertising Spend : 広告の費用対効果出現頻度 : 60%【解説】広告掲載料1円あたりの売上額。この数値が高いほど、費用対効果が高く効率的に広告運用できていると言える。【使用例】10万円の広告費用を投資し、100万円の売り上げがあった場合、ROASは1000%(100万円 ÷ 10万円 × 100)となる。○13. SEMSearch Engine Marketing : 検索エンジンマーケティング出現頻度 : 60%【解説】検索エンジンから自社Webサイトへの訪問者を増やすマーケティング手法。一般的には、SEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告(検索結果の画面で一番上に出てくる広告のこと)の2つが主な手法とされている。○14. CPMCost Per Mille : インプレッション単価出現頻度 : 50%【解説】Webサイトへの広告掲載回数1000回(1000インプレッション)あたりの広告費。この料金単位で課金される制度を「CPM制」とよび、売上やサイト訪問者数増加よりも、ブランド認知度向上を目的とする場合に適した課金制度だ。○15. KPIKey Performance Indicator : 重要業績評価指標出現頻度 : 50%【解説】目標達成プロセスの実施状況を計測するために、実行の度合い(パフォーマンス)を定量的に示す指標。「何を持って進捗とするのか」を定義するために設定される尺度となる。【使用例】Webサイトの目的を「資料請求数の確保」とし、目標値を「新規顧客による月間40件の資料請求数を同サイトから得る」とした場合、KPIは「検索エンジン経由のアクセスのセッション数(訪問回数)」と設定できる。○16. PPC広告Pay Per Click : クリック課金型インターネット広告出現頻度 : 50%【解説】掲載には費用がかからず、広告が実際にクリックされた回数分だけ費用が発生するという課金形態の広告。リスティング広告やCPC広告を指す場合もある。広告に興味を示したユーザー分だけ費用が発生するため、よりクリック率の高い広告が選別される仕組みだ。○17. ROIReturn On Investment : 投資対効果 / 投資収益率出現頻度 : 50%【解説】投資した資本(費用)がどれだけの利益を生んでいるかを測る指標。「純利益÷投資額」で算出する。○18. ASPAffiliate Service Provider : アフィリエイト事業者 / Application Service Provider : アプリケーション事業者出現頻度 : 30%【解説】前者は、PC・モバイル問わず、アフィリエイト広告(成果報酬型広告)を仲介するサービスの総称。後者は、さまざまなアプリケーションをネット経由で提供するサービスを指す。○19. AIDMAAttention, Interest, Desire, Memory, Action(アイドマ)出現頻度 : 20%【解説】米学者ローランド・ホール氏が提唱した「消費者の購買決定プロセスを説明するモデル」の1つ。○20. AISASAttention, Interest, Search, Action, Share(アイサス)出現頻度 : 20%【解説】電通が提唱した「インターネット普及後の消費者による購買行動を説明するモデル」で、AIDMAからDesire(欲求)とMemory(記憶)がなくなり、代わりにSearch(検索)とShare(情報共有)が追加された。本稿にて紹介した略語は、Webマーケティングに携わるのであれば最低限知っておいて損はない用語群となります。しかし、大切なことは、略語や用語を覚えることではなく、Webマーケティングを活用して成果を上げていくことです。次回は、Web広告の種類とその概要についてまとめます。○執筆者紹介ソウルドアウト 葛谷篤志2009年オプトに入社し、2010年からソウルドアウト設立に参画。入社3年目から新潟営業所の立ち上げを経験したほか、Web事業のスタートアップや通販(美容品・アパレル)企業のWebマーケティング支援に携わり、顧客売上を2年で5倍にさせる等の実績を持つ。現在(2015年3月)は、Webマーケティング本部 パブリックリレーション部にて部長を務める。
2015年04月02日この連載は、2015年4月からWebマーケティング業界に足を踏み入れる新入社員や、新たにWeb担当者に着任した新人マーケターを対象に「覚えておきたい基礎知識」をご紹介するものです。Webマーケティング業界では、アルファベットの略語が日常的に飛び交っています。加えて、成長スピードが早く、目まぐるしく周辺環境が変化していく業界でもあります。そこで今回は、まず初めに押さえるべき20の略語を整理・解説しました。出現頻度の高い順に解説していますので、上から順にチェックしていけば、最小の労力で理解することができるでしょう。なお、出現頻度はWebマーケティング用語を解説する10のサイトを調査・分析し、客観的なスコアリングによって作成したものです。○1. CPACost Per Action : 何らかの成果(Action) 1件あたりの支払額出現頻度 : 100%【解説】会員登録や資料請求、商品の購入といったユーザーのAction1件につき支払った広告費用のことで、顧客取得単価ともいう。また、「Action(行動)」ではなく「Acquisition(獲得)」を用いる場合、新規顧客の獲得1件あたりの費用を意味する。【使用例】月間50万円の広告費をかけてバナー広告を掲載し、同広告から100件の商品購入を獲得した場合、CPAは5000円(50万円 ÷ 100件)となる。この数値が小さいほど「費用対効果の高い広告」だと考えることができる。○2. CPCCost Per Click : クリック一回あたりの料金、クリック単価出現頻度 : 90%【解説】Webサイトやメールに掲載したテキスト広告やバナー広告などが、1回クリックされるにあたり発生した費用。【使用例】広告費として30万円を支払い、Webサイトにバナー広告を一カ月間出稿し、5万クリックを獲得した場合、CPCは6円(30万円 ÷ 5万クリック)となる。○3. CTRClick Through Rate : クリックされた割合、クリック率出現頻度 : 90%【解説】広告がクリックされた割合(確率)を示す。この値が高いほど、ユーザーは広告に反応しているという意味となり、同広告は「反応率が高い」と判断できる。【使用例】メールにてテキスト広告を30万人に配信し、6000クリックを獲得した場合、CTRは2%(6000クリック ÷ 配信数30万 × 100)となる。○4. CVConversion (変換・転換・交換)出現頻度 : 90%【解説】企業がユーザーに起こしてほしいActionとして掲げる「最終的な成果」を意味する。特にWeb広告の分野においては、会員登録や資料請求、商品購入など「単なる訪問者から、会員や(見込)顧客への転換」という意味合いで使われる。○5. impimpression : 広告露出・掲載・表示回数出現頻度 : 90%【解説】Webサイトに広告が掲載された回数。ユーザーがとあるWebサイトに訪れ、広告が1回表示されることを「1インプレッション」とする。○6. PVPage View : アクセス数出現頻度 : 90%【解説】あるWebサイトが閲覧された回数を示す。同一ユーザーがサイト内のページを複数閲覧すると、PV数はその分だけ増える。○7. UUUnique User : 閲覧者数出現頻度 : 90%【解説】あるWebサイトを訪れたユーザーの数を表す。同じユーザーが同じページを何度も閲覧した場合でも、1UUとしてカウントされる。【注意】UU数の測定方法は、利用するアクセス解析ツールによって異なるが、基本的に「IPアドレス」や「ホスト名」「Cookie」といった情報を基に集計する。正確なUU数を測れない場合として、ユーザーがCookieの受け入れを拒否している状況や、デバイスやブラウザを複数使用するといった環境が考えられる。○8. CVRConversion Rate : コンバージョン(成果)率出現頻度 : 80%【解説】PV数やUU数のうちコンバージョンに至った割合を示す指標。「Webサイトに訪問したユーザーが実際にActionを取る割合」を意味する。【使用例】とあるバナー広告の300クリックうち、10件がコンバージョンに至った場合、CVRは10%(30CV ÷ 300クリック ×100)となる。○9. LPLanding Page : ランディングページ出現頻度 : 70%【解説】広告をクリックすると最初に表示されるページ、すなわち、Web広告の遷移先となるWebサイト(ページ)を示す。○10. SEOSearch Engine Optimization : 検索エンジン最適化出現頻度 : 70%【解説】GoogleやYahoo!が提供する検索エンジンの検索結果ページにて、上位に自らのWebサイトが表示されるように工夫すること、またはそのための技術やサービスを指す。例えば、ターゲットとするキーワードの選択やページ内でのキーワードの使用などを最適化することで上位表示を目指すが、サーチエンジンのランク付けアルゴリズム(計算方法)は年々変化するため、実際は「SEOに王道無し」と言われることもある。残り10用語は、4月2日に公開します。第3回からは、Web広告の種類や出稿方法、効果測定に用いる分析ツールなどを紹介していく予定です。○執筆者紹介ソウルドアウト 葛谷篤志2009年オプトに入社し、2010年からソウルドアウト設立に参画。入社3年目から新潟営業所の立ち上げを経験したほか、Web事業のスタートアップや通販(美容品・アパレル)企業のWebマーケティング支援に携わり、顧客売上を2年で5倍にさせる等の実績を持つ。現在(2015年3月)は、Webマーケティング本部 パブリックリレーション部にて部長を務める。
2015年03月31日BtoB企業向けにマーケティングを支援するシンフォニーマーケティングは3月30日、東京商工リサーチが提供する企業・事業所データベースをマーケティングに活用する新サービスの提供開始を発表した。同サービスでは、シンフォニーマーケティングが提供するBtoB企業に特化した顧客データの管理ツール「DBFocus」上で、各企業が保有する顧客データに対し、東京商工リサーチが提供する信用性の高い企業や事業所の属性情報を付与する。東京商工リサーチは国内トップとなる434万件以上の国内データと、世界最大規模を誇る2億4,000万件を超える世界200ヵ国超の企業・事業所データの情報を保有している。今回の新サービスにより、DBFocusユーザー企業は、マーケティング活動を行う過程でアプローチするべきターゲット顧客を明確にし、スコアリングの精度を高めて、さらに効率的な営業活動を速やかに実現できるようになる。シンフォニーマーケティングでは、既存顧客およびマーケティングオートメーションの導入検討中の企業を中心にサービスを提供していくという。また両社は今後、企業情報活用のセミナーの開催なども予定している。
2015年03月31日アドビ システムズは、トランスコスモスとデジタルマーケティング分野における提携を強化し、オンラインビジネス最適化のための統合されたオープンなプラットフォームである「Adobe Marketing Cloud」の中核となる6つのソリューションと、同社のオンサイト・ニアショア・オフショアの制作・運用体制を組み合わせたサービスを提供することを発表した。Adobe Marketing Cloudは、「Adobe Analytics」、「Adobe Target」、「Adobe Social」、「Adobe Experience Manager」、「Adobe Media Manager」、「Adobe Campaign」という6つのアプリケーションから構成されるマーケティング戦略ソリューション。顧客とのインタラクションの改善や自動化ができるため、マーケティングROI(投資対効果)を最大化し、利益率を高めることを可能にするものだ。今回の提携強化により、トランスコスモスはアドビのサポートを受け、すでに150人のオペレーターが「Adobe Marketing Cloud」の基本操作および運用トレーニングを開始しているという。また、既存のWebインテグレーションビジネスの中で、「Adobe Experience Manager」によるデジタルコンテンツ制作サービスを提供可能な体制を構築しているという。これによりアドビ システムズは、国内の企業および日本からグローバル展開する企業に対し、マーケティングコンテンツの制作から最適化まで包括的なデジタルマーケティングを導入しやすい環境を提供できるとしている。なお、トランスコスモスが提供するオペレーションサービスは、Adobe MarketingCloudで収集したデータと同社のノウハウを組み合わせ、効率的なテスト設計と効果的な施策プランニングを実施する「施策プランニング」、広告、メールマガジン、Webなどの分析を、シナリオ同士のA/Bテストまで包括して実施する事により、最適なシナリオを設計する「シナリオ設計」、Adobe Audience Managerを用いて、Web、メール、CRM、コールセンターなどのデータ活用を図り最適なデータ抽出と管理を実施する「データ活用」、トランスコスモスの運用ナレッジとAdobe Experience Managerの融合により、プロセス管理と徹底した品質管理による安定したサイト運用を実現する「制作オペレーション」、Adobe Audience Managerに蓄積されたデータと行動履歴に基づき、最適な広告配信セグメントを活用した広告運用を実施する「広告運用」、トランスコスモスの分析ナレッジとAdobe MarketingCloudとの融合により効率的なテストシナリオの作成から効果検証までをワンストップで対応する「効果検証」、広告運用やサイト分析、ソーシャル運用など各分野の専任担当者が、各種マーケティング施策の結果を中心に改善提案までを網羅したレポートを提供する「レポート」となる。
2015年03月30日アドビシステムズとトランスコスモスは3月30日、デジタルマーケティング分野での提携を強化すると発表した。トランスコスモスはアドビのプレミアパートナーとして、オンラインビジネス最適化のためのプラットフォーム「Adobe Marketing Cloud」の中核となる6つのソリューションの提供を開始するとともに、企業のデジタルマーケティングに必要なサービスを日本国内およびグローバルに提供する。今回の提携強化にあたり、トランスコスモスはアドビのサポートを受け、すでに150人のオペレーターがAdobe Marketing Cloud の基本操作・運用トレーニングを開始している。また、既存のWebインテグレーションビジネスのなかで、アドビのカスタマーエクスペリエンス管理ソリューション「Adobe Experience Manager」によるデジタルコンテンツ制作サービスも提供可能な体制を構築しているとのこと。両社は、アナリティクス、カスタマーエクスペリエンス、モバイル、DMP、パーソナライゼーション、ソーシャルメディアなど、マーケターの関心が高いトピックに対して、アドビのマーケティングソリューションとトランスコスモスの制作・運用体制を組み合わせ、企業のマーケティング戦略を加速させるための支援を強化していくという。
2015年03月30日SAS Institute Japanは3月26日、企業がオムニチャネル・マーケティングを実践するための新コンセプト「Customer Decision Hub」、それを実現する顧客分析・統合マーケティング製品「SAS Customer Intelligence」の最新版を提供開始したと発表した。執行役員 マーケティング本部 兼 ビジネス推進本部 本部長 北川裕康氏は、同社が3000人以上のマーケティング・エグゼクティブと働くことで、マーケティング部門に期待される3つの役割を見出したと語った。3つの役割とは「あらゆるデバイスおよびマーケティング・チャネルにおける一貫した顧客エクスピリエンスの提供」「マーケティング・プログラムのROIの提示」「顧客や見込み顧客の全デジタルチャネルを通した行動を理解し、顧客レベルでのインサイト・インテリジェントを引き出すこと」だ。これらを実現するコンセプトが、企業がオムニチャネル・マーケティングを実践するための新コンセプト「Customer Decision Hub」となる。「Customer Decision Hub」および「SAS Customer Intelligence 6.4」については、Customer Intelligenceグループ ソリューションコンサルティング第一本部 部長の小笠原英彦氏が説明を行った。小笠原氏は、「従来のオムニチャネルは""O2Oの延長や"ネット情報の有人チャンネルの連携"にとどまっているが、真のオムニチャネルは顧客に応じてすべてのあらゆるタッチポイントを駆使するものとなる。これを実現するには、GUIでチャネル横断のビジネスシナリオを作成して、リアルタイムでのチャネル連携基盤を構築する必要がある」と述べた。同社は、真のオムニチャネル・マーケティングを実現するプラットフォームに必要な機能要件「カスタマー・シングルビュー」「高度な分析機能」「シナリオ設計・管理/コンタクト管理」「チャネル間を連携するリアルタイム基盤」「最適化エンジン」を、「Customer Decision Hub」としてまとめている。小笠原氏は、「Customer Decision Hub」の特徴として、「インバウンドとアウトバウンドを組み合わせたマーケティング・シナリオを実現」「インバウンドをもとにNext BestOfferを特定するリアルタイム・アナリティクス」を挙げた。「Customer Decision Hub」を具現化するのが「SAS Customer Intelligence 6.4」となる。バージョンアップにあたって、WebベースのGUIで全製品が統合された。同製品は、「SAS Marketing Automation」「SAS Real-Time Decision Manager」「SAS Marketing Optimization」から構成される。「SAS Marketing Automation」は、マーケティングのPDCAサイクルを実装する統合マーケティング基盤の基本コンポーネントで、顧客の理解からキャンペーン管理・運営まで、アウトバウンドに関する処理をサポートする。「SAS Real-Time Decision Manager」は、顧客チャネルにおける最適な提案をリアルタイムに分析・決定を行い、インバウンドに関する処理をサポートする。「SAS Marketing Optimization」は企業側の活動をサポートするコンポーネントで、マーケティング・キャンペーンの実施規模と対象の数理的な最適化が行える。小笠原氏は、「SAS Customer Intelligence 6.4」の最大の特徴は、「データ蓄積」「マイニング」「レポート/BI」「データ収集・統合」「アウトバウンドキャンペーン管理」「リアルタイムシナリオ管理」といった、マーケティングのPDCAサイクルに必要なすべての機能をシングルプラットフォームで実現できることと語った。データもメタデータとして一元管理されている。他社製品の場合、各機能に最適な製品を組み合わせることになるため、機能間を連携させなくてはならなくなるという。グローバルで同製品を導入している企業は、銀行や証券会社が多く、これに流通や小売りが続くという。
2015年03月26日日本IBMは3月25日、オートバックスセブンが、個々の顧客に適したマーケティングを迅速かつ効果的に進めるため、IBM製品群を採用した新しいマーケティング基盤を構築したと発表した。オートバックスセブンは、複数の部署で顧客の購買データを収集・利用してきたが、2013年から、各種購買データの一層の活用とオムニチャネルでのキャンペーンを迅速に展開するため、組織を再編成し、データ分析の一元化に取り組み、2014年1月に新たなマーケティング基盤を導入した。新たなマーケティング基盤により、購買データなどのビックデータ分析、個人の行動や嗜好にあわせてパーソナライズしたキャンペーンの設計、的確なタイミングと場所での配信、そしてキャンペーン成果の評価に至る、一連のPDCAサイクルを社内で迅速に推進することが可能。日本IBMの製品としては、膨大な顧客データを蓄積する「PureData System for Analytics」、高度な分析により的確なセグメンテーションを可能にする「IBM SPSS Modeler」「IBM SPSS Statistics」を採用し、さらに、個々の顧客にパーソナライズ化した情報を提供する基盤として、「IBM Campaign」と「IBM Mobile Push Notification」が採用された。新基盤によって高度で高速なデータ分析が可能となり、セグメンテーションの精度を向上させ、顧客に身近なスマートフォンに的確な情報提供することにより、あるキャンペーンでは、開封率が25%、コンバージョン率が55%向上したという。
2015年03月26日米Facebookは3月24日(現地時間)、Facebookマーケティングで結果を出すためのノウハウを学べる教育プログラム「Blueprint」をリリースした。同プログラムは、広告代理店、Facebookパートナー企業、およびマーケティング担当者を対象に、オンライン講座や対面指導、認定制度の組み合わせにより、キャンペーンの最適化から、Facebook上の動画活用法、効果的な広告効果測定まで、Facebookマーケティングに役立つトレーニングを多面的に提供するもの。プログラムの中心となるeラーニングセンターでは、「ダイレクトレスポンスマーケティング」などのカテゴリや「デジタルメディアバイイング」などの役割別学習トラックのなかから、35以上のオンライン学習コースを受講できる。ほかの教育プログラムとの連携も可能で、進捗や成績のレポート機能も備わっている。Facebookのアカウントを持っていれば、デスクトップ、モバイルのどちらからでも受講することができる。現時点では英語版のみの提供となっているが、対応言語は順次追加される予定だという。日本語版は、年内の提供開始が予定されている。
2015年03月25日IDC Japan(IDC)は3月25日、国内データ活用型マーケティング関連ソフトウェア市場を調査し、2014年における同市場の推定規模と2015~2019年の市場予測を発表した。これによると、2014年の国内市場規模は806億3,800万円であったと推定するほか、2019年には1,300億円超に拡大する予測だという。○国内市場の成長、その鍵とは同調査では「デジタルマーケティングソフトウェア」を、例えば、営業部門が顧客にアプローチを行う際に使用するツールから、ECサイトの運営に携わるソリューションまで広い概念で捉えたものだとする。この理由を、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティグループにてグループマネージャーを務める眞鍋敬氏は、「消費者と企業の購買行動に変化が起こったためだ」と説明する。「消費者は、商品購入前に、そのスペックや口コミなどの情報収集・価格比較等をインターネットにて行うほか、企業とさまざまなチャネルで接点を持つようになりました。これにより企業は、消費者ごとにパーソナライズされたコミュニケーションの実現やその効率化を求め、結果として、データドリブンなマーケティングが可能なソフトウェアやオートメーションツールの需要が増したと考えられます」(眞鍋氏)一方で、同社が実施した「Marketing Automation Software 市場比較」では、2014年における世界市場規模が65億ドル(約7,800億円)で、そのうち米国市場が62%、EMEA(Europe the Middle East and Africa)市場が31.9%を占め、日本は1.8%にとどまるという。「これは、日本が他国と比べ、マーケティングソフトウェアの導入が遅れているということ。しかし、ニーズがないわけではなく、既に導入事例としても、旅行業界や金融業界などがあります。今後、国内市場を成長に導くためには、マーケティングソフトウェアの利用を促進する製品形態とアプローチ法が重要でしょう」(眞鍋氏)従って、ベンダーには、ユーザー企業の規模や産業分野の特性を意識した製品形態・サービス訴求の実現が必要となるほか、商品ブランドや事業ごとの販促部門へアプローチするだけでなく、全社的なマーケティング部門やIT・IS部門への売り込みやコネクションの構築が重要になってくるという。これらを実現することで、同国内市場は今後、年間平均成長率(CAGR : Compound Annual Growth Rate)10%で推移し、2019年には1,300億9,100万円にまで成長する見込みだ。なお、同調査は、データ活用型マーケティングに必要なテクノロジーとして、「顧客インタラクション管理」と「コンテンツ管理」「コラボレーション/リソース管理」「データ管理/分析」という4つのIT技術領域にて分類・分析した「IDCデータ活用型マーケティングテクノロジーマップ」と、同社が保有する国内ソフトウェア市場実績・予測などのリソースを用いて分析したもの。加えて2014年6月、企業のマーケティング関連業務従事者を対象に、「マーケティングITに関する企業ユーザー調査」を実施し、国内企業583社から有効回答を収集。これらの結果も同レポートへ反映した。眞鍋氏によると、このように広い概念での「デジタルマーケティングソフトウェア」に関する市場規模を調査したレポートは、おそらく、国内外問わず類を見ないという。
2015年03月25日