韓国と小樽を舞台に、20年前に閉じこめた記憶を呼び起こす女性たちのラブストーリーを描き、11もの映画賞を受賞した『ユンヒへ』。11月4日(金)に発売される本作のBlu-ray&DVDの“初回生産限定”特製アウタースリーブのデザインが決定。収録される映像特典のメイキングより、ワンシーンが公開された。東アジアにおける中年女性たちの同性愛と、彼女たちが経験してきた抑圧を真摯に描き出し、多くの映画ファンや評論家たちから高い評価を受けた本作。特製アウタースリーブは、表面にユンヒ、裏面にはジュンと、それぞれが想いをはせる本編中のシーンを切り取ったデザイン。アウタースリーブとは別に収録される豪華封入特典の詳細は後日公開される予定。また、Blu-ray&DVDには、オーディオコメンタリー2種に加え、各キャストのインタビューや、NGシーン、削除シーンなど、本編の分数を超える、ここでしか見ることのできない盛りだくさんの映像特典を収録。さらに、Blu-ray限定で先日シネマート新宿で行われたイム・デヒョン監督来日を記念した舞台挨拶も収録される。映像特典の中から今回、小樽ロケの撮影風景をおさめたメイキング映像より、ジュン役中村優子とイム・デヒョン監督のワンシーンが公開された。『ユンヒへ』は11月4日(金)よりBlu-ray&DVD発売、レンタルDVD同日リリース。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年09月15日2019年の釜山国際映画祭クロージング作品として上映されてから、日本のファン待望の公開となった韓国クィア映画『ユンヒへ』。いまSNS上でも熱い感想が飛び交っている本作の日本公開を記念し、韓国ソウル生まれの映画研究者ファン・ギュンミンと、ジェンダーやクィア関連のオンライン書店「loneliness books」オーナーの潟見陽を迎えたスペシャルトークイベントがオンラインで開催された。韓国映画史や韓国インディペンデント映画に詳しいファンさんは、チョン・ジュリ監督の『私の少女』(2014)やパク・チャヌク監督の『お嬢さん』(2016)、日本未公開作の『罪深き少女』(2017)、日本でもヒットした『はちどり』(2018)といった作品から「異性愛優位のジェンダー差別がある中で、女性に強いられている苦しみと問題を本当に真面目に取り扱う」流れを受け継いできたのが本作『ユンヒへ』だという。「『ユンヒへ』はそこから一歩進んで、韓国のクィア映画では滅多に観られない中年のレズビアンを登場させています」とファンさん。「韓国には年を重ねた女性に対する社会的な美徳というのか、40代・50代の女性は一般的には“誰かの母親”というイメージがあります。母親に対する保守的な価値判断があるというか」と言うと、韓国のクィアパレードに何度も参加してきた潟見さんも、その参加者が主に20代・30代だったことから「(それ以上の年代は)家父長制のキツい中で生きてきて、結婚とかも強いられている世代なのかという印象があった」と明かす。本作を観たことで、「レズビアンとして生きてきたことへの抑圧が真摯に描かれた映画が出てきたんだなと。こういう映画が作られたんだという感動や興奮がありました」(潟見さん)、「ユンヒ(キム・ヒエ)を苦しめる異性愛で成り立っている結婚や家族制度などがいかに性差別的なものかを示すと同時に、『ユンヒへ』ならではの特徴で、その家族によって女性たちがどういうふうに連帯していくのかもうまく提示することで、家族の意味まで考えさせている」(ファンさん)と感じたという。「その意味で『ユンヒへ』という作品は、クィア映画であると同時にフェミニズム映画としても、女性でありレズビアンであるユンヒを囲んだいろいろな問題を織り交ぜている」(ファンさん)、「セクシャルマイノリティーであり、日韓2つのルーツがあり、そして女性であるという3つの抑圧を背負って生きているジュン(中村優子)はユンヒ以上にこじらせているというか、彼女に“あのセリフ”を言わせる社会って何?と突きつけられた気がする」(潟見さん)と、女性たちを取り巻くこの社会への問題提起も2人は指摘。さらに、物語のそもそもの始まりとなる手紙を投函するジュンのおば・マサコ(木野花)について持論を語ったファンさんに、潟見さんも、司会進行の奥浜レイラも「同じことを思っていた!」と賛同し、盛り上がるひと幕もあった。『ユンヒへ』はシネマート新宿ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年01月19日韓国のシングルマザーのユンヒが、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性ジュンから1通の手紙を受け取ったことから始まるラブストーリー『ユンヒへ』。本作でユンヒはジュンが暮らす北海道・小樽へと旅立つが、小樽パートの美術を担当した日本人スタッフが雪国で暮らす人々の生活とぬくもりが溢れる世界観について語った。本作で日本パートの美術を担当したのは、美術/セットデザイナーの福島奈央花氏。演劇やダンスを中心に舞台美術家として活動した後に映画・広告・MVなどにも携わり、映画では『佐々木、イン、マイマイン』(内山拓也監督)の美術や『劇場』(行定勲監督)の舞台美術などを担当してきた。福島氏が本作で主に手掛けたのは、小樽パートで登場するジュンと伯母のマサコが暮らす家、ジュンの自室、ジュンが経営する動物病院、マサコがオーナーのカフェ、そしてユンヒとセボム親子が旅の途中で宿を変えたゲストハウスなど。それぞれの場所ごとに込められた美術的こだわりが伝わる、文字通り貴重な裏話が明かされている。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。●暖色系の日本パート/寒色系の韓国パートの色分け作品の美術については事前に、イム・デヒョン監督と韓国側の美術監督キム・ジニョン氏を交えた、オンラインミーティングが行われた。福島氏によると、その意見交換の中で日本のシーンと韓国のシーンでは、空間の色に違いを出していきたいという内容が話し合われたという。偶然にも、キム・ジニョン氏は韓国パートではユンヒとセボムの住む自宅を寒色系のトーンで提案し、福島氏は小樽のジュンとマサコが住む家を温かみのある暖色系だと想定していた。それらの案は採用され、福島氏は、小樽の象徴ともいえるステンドグラスやシーンごとに配色を考えた花といったふうに、日本パートにおける美術の細かなプランを構築していったという。●「驚きと尊敬の念を抱いた」ロケハン時の意外なエピソード本作のクランクインを約1か月先に控えた2018年12月中旬に、イム・デヒョン監督をはじめメインスタッフたちとロケハンを開始。その後は韓国チームとはリモートでやりとりを進めながら撮影に向けての準備に入ったそう。そのロケハンで監督と初めて会った福島氏は、彼と交わした印象的なやりとりについてこう語る。「その時、監督からスタッフやキャストに配布する台本の表紙のデザインについて、 “どのデザインがこの台本のイメージに合うか一緒に考えて欲しい”と相談を受けたのです。パターンはいくつかあり、どれも本当に素敵なデザインでした。クランクインが迫る時間のない中でも、こういったことにも一つ一つ丁寧に向き合う監督の姿勢を見て、驚きと共に尊敬の念を抱きました」と裏話を挙げる。その上で、福島氏は「このように監督の映画に対する深い愛情を感じられたことが、この映画を作るにあたり本当に大きかったです」とふり返った。●自然な暖かさを意識した照明ジュンとマサコが暮らす家、ジュンの動物病院、マサコのカフェ、ホテルやバーなどで共通しているのが、照明として蛍光灯ではなくランプが多用されている点。福島氏によると、イム・デヒョン監督と照明監督からは「自然な暖かさの照明にしていきたい」という要望があったといい、このため、どのようなランプを採り入れるかについても事前に監督や照明監督にイメージの共有をしたという。その狙いを福島氏は、「真冬の真っ白な雪景色を背景に温かみのあるランプを掛け合わせることで、外の冷たさと室内の暖かさ、その空気や温度のコントラストを表現したいと考えたのです」と明かす。また、窓から差し込んでくる光の見せ方にもこだわりが。マサコのカフェとユンヒ&セボムが滞在するゲストハウスには、それぞれ窓ガラスにステンドグラス風のデザインを施したという。小樽の有名な硝子業者である北一硝子からインスピレーションを受けた福島氏は、一からデザインを起こした上でそれぞれの窓に彩りを与えていった。●ジュンとマサコの家のこだわりジュンとマサコが暮らす家で、1階のリビングはその人間性や趣味の面でマサコの個性を見せることを重視したそう。そのカーテンは手作りで、マサコが好きなものに囲まれた、暖かさに包まれたような雰囲気のリビングとなっている。その上で、2階にあるジュンの部屋にある古い本棚や座卓も、その家にもともとあったものであることをイメージして配置されたという。福島氏は、これについて「ずっと昔からそこにあったようなどこか懐かしい雰囲気を大切にしたかったので、ジュンの部屋も座の空間にすることや、日本にしかないこたつ文化を取り入れるのはどうかと監督と事前に話し合いながら、イメージを固めて行きました」とポイントを明かす。劇中登場するジュンの自室は、彼女がユンヒに向けて手紙を書いているシーンとして登場するが、他の場面と比べてもジュンが自身を素直に解放させている空間であるようにも感じられる。ジュンを演じた中村優子は、この部屋について、「部屋に入った時の第一印象は、マサコに守られたすごく温かくて居心地のいい部屋だというものでした」と第一印象をふり返る。さらに、「例えば、ジュンが手紙を書いている座卓は、“もしかしたらマサコがずっと使っていた物をジュンも気に入って使っているのかもしれない”と想像させてくれます。ジュンの部屋ではあり、彼女らしくはあるんだけど、かえってリビングよりも、いかに彼女がマサコに無意識の中でも助けられ、支えられ、温めてもらっているのか…そんなマサコとの関係性をごく自然に漂わせてくれる空間だと感じていました」と、福島氏らが考え、作り上げたイメージを中村さんもそのまま感じ取っていたようだ。●セボムへの想いが詰まったゲストハウス一方、韓国から来たユンヒとセボムが小樽の旅の途中で、宿を変えた先が「ゲストハウス憩」だ。このゲストハウスは、ふたりに先んじて小樽入りしたセボムのボーイフレンド、ギョンスがセボムを想って選んだ宿ともいえる。福島氏はそれを踏まえて、「ギョンスは、セボムに喜んでもらえるようなゲストハウスを選んだのではないかと思うんです。だから、最初にふたりが滞在していた老舗旅館とはうって変わって、リメイクが趣味である彼らしく、彩りがあり、手作り感のあるゲストハウスの空間を提案しました」と明かす。このゲストハウスの実際のオーナーからは、事前に壁の張替えや塗り替えも含めて自由にアレンジすることを許可されていたそうだ。そこで、オーナーが多く持っていた日本のアンティークの家具を生かし、その家具と彩りのあるゲストハウスの空間の融合を目指したという。一方で、温もりのある”手作り”にこだわるために、看板製作や全ての壁面の塗替えは外注せず、美術チームのスタッフが自ら手掛けた。●ジュンの動物病院のポイントは?ジュンが勤める動物病院は、暖色系の照明や木製のベンチ、花や様々な動物の置物など、温かみを感じられる空間であるのが印象的だ。福島氏によると、ロケ地となった動物病院の室内はもともとブルーの壁だったという。そこで、「ジュンとリョウコ(ジュンに想いを寄せる女性)の静かなふたりの会話の時間を、温もりのある印象にしたいと考え、暖色の色の壁面を作ることにしました。また小樽の一つの象徴でもあるステンドグラスを、額や小物などに取り入れています」とポイントを明かす。●撮影中、一番印象に残ったシーンは?さらに、福島氏が美術を施したのは室内シーンだけではなかった。小樽を代表する観光地で、本作の中でも重要なシーンのひとつが繰り広げられる小樽運河は、ロケハン当時、運河全体にブルーのLEDイルミネーションが施されていたという。イム・デヒョン監督と福島氏は、この運河を「どうにかして、暖色のイルミネーションに変えたい」と考え、韓国から膨大な量の照明を取り寄せた。そして、そのシーンの撮影当日、猛吹雪に襲われる中で運河にイルミネーションを施す作業が始まった。長さ400mにも及ぶ運河の装飾であったが、施工当日は韓国、日本のほかのセクションのスタッフまで自主的に運河に集まり、スタッフ総出で運河全体に暖色系のイルミネーションを施したそう。「悪天候の中大変な作業ではありましたが、スタッフ皆の運河のシーン作りへの想いを改めて強く感じた、非常に心に残る光景でした」と福島氏は語っている。『ユンヒへ』はシネマート新宿ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年01月18日2019年、第24回釜山国際映画祭のクロージングを飾り、2020年には青龍映画賞で最優秀監督賞と脚本賞をW受賞した話題の韓国映画『ユンヒへ』が、2022年についに日本公開。12月、東京都が2022年度からLGBTQ+カップルを夫婦と同様に公的に認知する<同性パートナーシップ制度>を導入する方針を示し、多方面への波及が期待される2022年1月、この日本でレズビアンが主人公となった映画が相次ぎ公開される。そこで、これまで韓国・日本そして台湾で製作された東アジアのクィア映画の中から、注目のレズビアン映画を一挙に紹介。■『ユンヒへ』シネマート新宿ほか全国公開中韓国の地方都市で暮らすシングルマザーのユンヒ(キム・ヒエ)が、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性から1通の手紙を受け取ったことから始まるラブストーリー。母の手紙を盗み見てしまった高校生の娘セボム(キム・ソヘ)は、自分の知らない母の姿をそこに見つけ、手紙の差出人である日本人女性ジュン(中村優子)に会わせようと決心をする。セボムに強引に誘われるかたちで、ジュンが暮らす北海道・小樽へ旅立つユンヒ。それは、20年前の自分と向き合う、心の旅でもあった――。監督・脚本は、本作が長編2作目となる新鋭のイム・デヒョン。東アジアにおける中年女性たちの同性愛と、彼女たちが経験してきた抑圧を真摯に描き出す。これまで韓国ではほとんど描かれてこなかった中年女性同士の同性愛をテーマに取り上げ、主演に韓国を代表する俳優のひとりであるキム・ヒエを起用。イム・デヒョン監督は「誰でも見られるレズビアンのラブストーリーを作りたいという欲求がずっと前からありました」と語る。そんな本作に、同じくレズビアンが主人公になる『春原さんのうた』の公開を控える映画監督の杉田協士は、「雪の海沿いを走るあの列車の窓から見える景色は誰のものでもなくて、だから誰もがいつかと夢見ることができる」とコメントを寄せている。■『春原さんのうた』1月8日(土)よりポレポレ東中野ほかにて公開美術館での仕事を辞めてカフェでのアルバイトを始めた沙知(荒木知佳)は常連客から勧められたアパートの部屋に引越しをする。そこでの新しい生活を始めた沙知だったが、心にはもう会うことの叶わないパートナーの姿が残っている。そんな沙知の日々のささやかな暮らしを続ける姿をただ見つめていく。歌人の東直子による第一歌集「春原さんのリコーダー」の表題歌を杉田協士監督が映画化。前作『ひかりの歌』が口コミなどの評判により全国各地での公開へとつながった杉田監督の長編第3作。第32回マルセイユ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に出品され、日本映画で初となるグランプリ・俳優賞・観客賞の3冠を獲得。■『日常対話』1月14日(金)、「KINOフライデー・シネマvol.142」にて特別上映娘のチェン(ホアン・フイチェン)がカメラを手に、レズビアンである母アヌの本音に迫る台湾発ドキュメンタリー。2019年にアジアで初めて同性婚が合法化された台湾。しかし、1950年代の農村に生まれた母アヌがすごしてきたのは、父親を中心とした「家」の制度が支配する、保守的な社会だった。暴力を振るう夫から身を守るために、アヌは娘チェンとその妹を連れて家を逃げ出した。やがて自らも一児の母となったチェンはレズビアンである母の、ありのままの姿を映像に収めはじめる。多くを語りたがらない母に、娘が口に出せずにいた想いをぶつけるとき、世代や価値観を越えてふたりが見つけ出した答えとは?第90回アカデミー賞外国語映画賞台湾代表作品。▼各配信サービスで視聴可能な必見作■『お嬢さん』Amazonプライム、Huluほか各社配信中支配的な叔父(チョ・ジヌン)と、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに暮らす令嬢・秀子(キム・ミニ)のもとへ、新しいメイドの珠子こと少女スッキ(キム・テリ)がやってくる。秀子の財産を狙う藤原伯爵(ハ・ジョンウ)はスッキの力を借りて秀子を誘惑しようとしたが、スッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、秀子もまた献身的なスッキに惹かれて、その計画は狂い始める。パク・チャヌク監督がサラ・ウォーターズの小説「荊の城」を原案に、舞台を日本統治下の韓国に変更。2016年・第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門ノミネート作品。■『私の少女』Amazonプライム、Huluほか各社配信中ソウルから海辺の村に所長として赴任してきた警官のヨンナム(ペ・ドゥナ)は、少女ドヒ(キム・セロン)と出会う。実はヨンナムは、彼女が同性愛者であることが問題視され、左遷されてきたのだ。愛することをあきらめていた彼女は、血のつながらない父から虐待を受けるドヒを守るために心を許していく。監督は、これが長編デビューとなるチョン・ジュリ。脚本を書き上げ、ヨンナム役として思い浮かべていたペ・ドゥナに監督が脚本をメールで送ったところ、海外で撮影中だったにも関わらず、3時間後にペ・ドゥナから「やります」と返事が来たという。2011年・第64回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品作。■『藍色夏恋』Amazonプライム、U-NEXTほか各社配信中17歳の夏。モン・クーロウ(グイ・ルンメイ)は、親友のリン・ユエチェン(リャン・シューホイ)に頼まれて、水泳部のチャン・シーハオ(チェン・ボーリン)にラブレターを渡すことになった。だが、チャンはユエチェンではなく、モンに恋をしてしまう。モンは、チャンから猛アタックを受けるが彼女の愛する人は別にいて…。2002年の第55回カンヌ国際映画祭や各国の映画祭で絶賛された、イー・ツーイェン監督・脚本によるピュアな想い出が詰まった、台湾青春映画の傑作。(text:cinemacafe.net)■関連作品:お嬢さん 2017年3月3日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED日常対話 2021年7月31日よりポレポレ東中野にて公開© Hui-Chen Huang春原さんのうた 2022年1月8日よりポレポレ東中野ほかにて公開© Genuine Light Picturesユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年01月07日12月23日は今年最後の「ふみの日」。そこで、話題の韓国映画『ユンヒへ』から、手紙を書く人とその相手への想いが伝わる印象的な本編映像がシネマカフェに到着した。今回到着したシーンは、北海道・小樽に暮らすジュン(中村優子)が、自室で高校時代の初恋の相手であるユンヒ(キム・ヒエ)への手紙を書いている場面。シーンの冒頭で、かつてユンヒに撮ってもらった自分の写真を大切に飾っている様子を捉えているが、書く手を止めて思いを馳せるような表情を浮かべるジュンが見せた微かな笑みは、この場所でユンヒに向けて手紙を書いている瞬間が自分を解放させるひとときであることを感じさせる。このシーンでジュン自身が言葉を発することはないが、手紙の相手であるユンヒにその内容を直接語りかけるような、ジュンによるモノローグが静かでありながらも強い印象を残している。イム・デヒョン監督は、以前から書簡形式で繰り広げられる物語に魅せられていたといい、本作の脚本に着手する前に読んだシュテファン・ツヴァイクによる短編小説「見知らぬ女の手紙」からの影響を明かす。本作で、ジュンとユンヒがそれぞれの想いを伝え合う方法は直接交わす言葉でも、メールでもなく手紙。その内容は手紙を書いている人物によるモノローグを通して観客に共有される。映画に散りばめられたこのモノローグにより、ジュンとユンヒの人となりがはっきりと伝わってくる構成になっている。ジュンを演じた中村優子はイム・デヒョン監督の提案により、このモノローグを正式に録音する際のガイドにするために、中村さん自身の撮影が全て終わった直後に、手紙の朗読を北海道の現場でリハーサルとして録音したことを明かす。正式な録音作業はその録音の約3か月後に韓国で行われたが、監督からはその当時の読み方をベースにしてほしいとリクエストがあったといい、中村さんは同じトーンで朗読することを心がけたという。中村さんは、その録音作業を振り返り、「表現としてはまだブラッシュアップされていない荒いものだったのですが、ジュンとして生きたその感覚が鮮烈なまま声に乗せることができて、撮影直後のタイミングでガイドを録ろうと言ってくださったイム・デヒョン監督の判断は素晴らしいと思いました」と振り返っている。『ユンヒへ』は2022年1月7日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2021年12月23日韓国のアカデミー賞ともいわれる青龍映画賞で最優秀監督賞と脚本賞の2冠に輝いたラブストーリー『ユンヒへ』。この度、雪積もる冬の小樽で紡がれる母娘の旅や、その地に生きる人々をとらえた新場面写真10枚が一挙解禁となった。本作は2019年1月に小樽でクランクイン、韓国での撮影を挟んで同年3月に小樽でクランクアップ。まさに映画の舞台である冬に撮影が行われた。今回解禁となった場面写真で特に印象的なのが、小樽を訪れた主人公ユンヒ(キム・ヒエ)と娘セボム(キム・ソへ)が、雪深い中を静かに歩くシーン。この場面をはじめ、母と娘が真っすぐに向き合い絆の強さを感じさせるいくつかの場面の様子を捉えている。本作の脚本の構想を練っていたイム・デヒョン監督は、2017年に友人に誘われて小樽を訪れた際、小樽という町に観光地という側面だけでなくそこに暮らす人々の生活があることを強く感じ、物語の舞台として小樽で撮影することを決意した。監督は、そんな小樽との出会いを「シナリオの構想はそれ以前からありましたが、ロケ地は決めていませんでした。雪がたくさん積もっている空間が必要だったので、小樽を旅した時にここだと思ったのです。劇中のキャラクターはすでに私の心の中で、長い間をかけて一人ずつ作られていましたが、小樽という空間がキャラクターを肉付けして現実的な人物にするうえで役立ちました」とふり返る。そんな監督の個人的な体験が色濃く投影されている本作の中で丁寧に描かれていることの1つが、小樽に生きるジュン(中村優子)と伯母のマサコ(木野花)による暮らし。劇中では、2人が止まない雪に対して自然と口をついて出てくる言葉や、雪かきをする姿も捉えている。解禁となった新写真では、ジュンがひとりで寂しげに自宅前に佇むシーンや、セボムとボーイフレンドのギョンス(ソン・ユビン)がマサコの営む小さなカフェの中を覗く様子、マサコがジュンに語りかけるシーン、セボムがジュンのもとを訪ねる様子が…。そのほか、ジュンとある関わりを持つリョウコ(瀧内公美)や、ユンヒの元夫であるインホ(ユ・ジェミョン)など、主人公の2人を取り巻くキャラクターの姿も収められている。『ユンヒへ』は2022年1月7日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2021年12月15日第24回釜山国際映画祭で絶賛され、2020年の青龍映画賞で最優秀監督賞と脚本賞をW受賞した韓国映画『ユンヒへ』。この度、韓国から小樽へ、母娘の旅をきっかけに自分と向き合っていく心の旅を描き出した日本版予告編が完成した。韓国の地方都市で暮らすシングルマザーの主人公ユンヒ(キム・ヒエ)のひとり娘セボム(キム・ソへ)は、ポストに届いた見知らぬ人からの手紙に気づく。差出人は、北海道・小樽にいる日本人女性のジュン(中村優子)だった。予告編では、懸命に生きようとする日々の中で、ジュンからの手紙を受け取ったユンヒの心の揺れが伝わる表情を丁寧にすくい取っていく。また、ユンヒの元夫であるインホ(ユ・ジェミョン)が娘のセボムに打ち明ける寂しさを通じて、ユンヒが抱えてきた孤独がうかがえる印象的な場面も。やがて、「海外旅行に行こう、雪が積もる街へ」という娘セボムの誘いで、ジュンが暮らす小樽へ旅することになるユンヒ。時間を慈しむように小樽での何気ないやりとりを繰り広げる母と娘だが、次第にセボムは、母の胸の奥にしまい込まれた想いに気づいていく。一方で、伯母のマサコ(木野花)とささやかに暮らすジュンは、ユンヒとは違った孤独を抱えており、ユンヒが自分の書いた手紙を受け取り、小樽に来ていることを知らずにいた――。メールやチャットなど、簡単に連絡が取り合える現代社会において手紙という方法を採り入れた理由について、イム・デヒョン監督は「ユンヒとジュンは長い間、会うことができず、ずっとお互いを恋しく思っていました。ジュンは送ることのない手紙を書き溜めていました。かつての愛や恋愛には待って期待する、そんな時間があったはずです。だからこそ、せつない。そんな気持ちをこの映画で描きたかったのです」と語る。また、ジュンが人知れず書き溜めていた手紙は、あることがきっかけでユンヒのもとに届くことに。ユンヒとジュンそれぞれの身近な人物であるセボムとマサコという存在が、心の奥に閉じ込められた2人の物語を導く重要な役割を担っていると監督は語る。「セボムとマサコは、ユンヒとジュンを結びつけてくれる協力者であり、ふたりともそれぞれ、ユンヒとジュンの人生になくてはならない同伴者」と言い、「この映画はユンヒとジュンのラブストーリーですが、広い目で見ると、セボムとマサコの物語でもあるのです」と、この2人を登場させた意図を明かしている。『ユンヒへ』は2022年1月7日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2021年11月18日韓国で暮らすシングルマザーのユンヒが、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性から1通の手紙を受け取ったことから始まるラブストーリー『ユンヒへ』。今回、冬の小樽を背景にした、美しくミステリアスな日本版ビジュアルがいち早くシネマカフェに到着した。監督は、本作が長編2作目となる新鋭のイム・デヒョン。東アジアにおける中年女性たちの同性愛と、彼女たちが経験してきた抑圧を真摯に描き出し、多くの映画ファンや評論家たちから高い評価を受けた注目作がついに日本上陸。この度解禁となった日本版ビジュアルに添えられた、「あなたと出会ったから、私は自分が誰なのか知ることができた――」というキャッチコピーは、遠く離れた地で暮らすジュンが韓国にいるユンヒに宛てて書いた手紙の中にある1節。舞台である小樽の美しい冬景色を背景に、ユンヒ(キム・ヒエ)とジュン(中村優子)が背中合わせに立ち、韓国と小樽でそれぞれの人生を生きてきた2人が、長い間会うことも、言葉を交わすこともなく、かつての初恋を心の中に閉じ込め続けてきたことを表現。また、凛とした冬の空気が伝わってくるような雪景色と静かな街並みが、彼らが抱えてきた葛藤や心の空白を表すかのようで、切なくも印象的なデザインに仕上がっている。劇中、登場人物たちによるセリフにも注目の本作。韓国語だけでなく日本語に対しても深いこだわりを持つイム・デヒョン監督は、主人公の名前の日本語表記の仕方について、発音ではなく漢字で表記した際の意味に忠実でありたいという意図に基づき、“ユンヒ”にしたいと強く希望。ユンヒは漢字では“潤熙”と表記し、輝きと豊かさを意味する。潤の字は“じゅん”と読めることから、2人の名前の上でのつながりをほのめかすものにもなっている。また、「ユンヒという名前は、母親が若い頃に使っていた名前なのです」と明かした監督は、「ユンヒのキャラクターを作るうえで、母から多くのインスピレーションを受けました」とも語っており、監督にとって思い入れの強い名前がタイトルロールに起用されている。なお、本作はイオンシネマ小樽での凱旋上映も決定。韓国では“満月団”と呼ばれる熱狂的なファンを生み出した本作は、冬の日本でも熱い盛り上がりを見せそうだ。『ユンヒへ』は2022年1月7日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ユンヒへ 2022年1月7日よりシネマート新宿ほか全国にて公開©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2021年10月26日2019年、釜山国際映画祭のクロージングを飾りクィアカメリア賞を受賞、2020年には青龍映画賞で監督賞、脚本賞の2冠に輝いた『ユンヒへ』が、2022年1月7日(金)より待望の日本公開が決定した。本作は、韓国の地方都市で暮らすシングルマザーのユンヒが、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性から1通の手紙を受け取ったことから始まるラブストーリー。母の手紙を盗み見てしてまった高校生の娘セボムは、自分の知らない母の姿をそこに見つけ、手紙の差出人である日本人女性ジュンに会う決心をする。セボムに強引に誘われるかたちで、北海道・小樽へ旅立つユンヒ。それは、二十年前の自分と向き合う、心の旅でもあった――。監督は、本作が長編2作目となる新鋭のイム・デヒョン。岩井俊二監督の『Love Letter』にインスパイアされたと語り、ロケ地を北海道・小樽に選び、2人の女性たちが心の奥にしまってきた恋の記憶を描き出す。登場人物の心情に優しく寄り添うような小樽の美しい冬景色と、ミステリアスに紡がれるユンヒの恋。2人が離れた20年前に、一体何があったのか?控えめな言葉と降り積もる雪に隠されながらも、物語が進むにつれて少しずつ2人の思いが輪郭をあらわしていく。主人公のユンヒを演じるのは、長年ドラマや映画で活躍し、昨年韓国で放送された大ヒットドラマ「夫婦の世界」では数々の賞も受賞したベテラン俳優のキム・ヒエ、日本人女性ジュンに『野火』や『ストロベリーショートケイクス』の中村優子。ユンヒの娘セボムに元「I.O.I」のキム・ソへ、セボムのボーイフレンドに元「B Of You」のソン・ユビンが起用された。東アジアにおける中年女性たちの同性愛と、彼女たちが経験してきた抑圧を真摯に描き出しており、『82年生まれ、キム・ジヨン』や『はちどり』に続く、ジェンダーやフェミニズムをテーマにした傑作である本作は、韓国のLGBTQ+コミュニティや女性たちから熱狂的な支持を受け、2019年の釜山国際映画祭ではセリーヌ・シアマ監督『燃ゆる女の肖像』やグザヴィエ・ドラン監督『マティアス&マキシム』といった作品が顔を並べる中、クィアカメリア賞を受賞。同映画祭の審査員からは、「久しぶりに映画を見て、胸躍る経験をした。それが韓国で作られた女性たちの愛の物語を描いた映画だからなおさらだ」と絶賛された。なお、日本では2020年11月、第6回大阪韓国映画祭にて同タイトルで上映され、熱狂的に迎え入れられた。イム・デヒョン監督は「韓国と日本の女性は確かに違います。しかし、男性中心的な社会秩序が強固に成立した国で生きてきたという点では似ていると思いました。『ユンヒへ』で東アジアの女性たちが互いに連帯し、愛を分かち合う姿を見せたかったのです」と語っている。『ユンヒへ』は2022年1月7日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2021年09月18日