自らを“ピチピチロックギャル”と称するミュージシャン、ラブリーサマーちゃん(通称・ラブサマちゃん)。メディアへの全面的な顔出しはナシ。ちょっぴり謎めいているものの、’90年代UKロックをベースとした曲は、一聴してかっこいい。その音に乗るのは、かわいさと気だるさが同居した歌声と、尖った歌詞。そんなラブサマちゃんの世界観に浸れるアルバムが、4年ぶりに発売に。赤裸々に表現することは私の中で本当に重要。負の感情もその一つ。「前のリリースから、時間が空いているんですよね。このアルバムには、その間に日記のように書き溜めていた曲を集めました。私、作詞・作曲のほかにも編曲とかまで自分でやるので、1曲作るのにすごく時間がかかるんです。たとえばバンドさんだったらギターはギタリストさんとかそれぞれの担当者にディレクションを任せられると思うんですけど、私は自分一人で決断しないと。だから時間がかかるし、疲れちゃう。それでもアルバムを作りたいと思うのは、シングル一枚一枚よりアルバムのほうが、没入感があると思うから。制作中は自分の曲を聴きすぎて、いいのか悪いのかよくわからなくなってしまったんですけど(笑)、完成してからふとした時に聴いてみたら、ちゃんといい曲が揃っている。すごく素敵なアルバムで、私は好きです」リード曲は疾走感ある「AH!」。音に身を任せつつ歌詞に耳を傾けると、歪んだ社会について痛烈に歌っている。こうした反骨心や自分の中にある負の感情まで赤裸々に綴るのが、ラブサマちゃんの真骨頂だ。「私のアーティスト名は、本名の『愛夏』を英語にしたものなんです。だからラブリーサマーちゃんとしてのアーティスト活動は、私のすごくパーソナルなものを表現する場所。その意味で赤裸々であることは、本当に重要です。なかでも楽しかったことより、負の感情を詞にすることが多いのは、そういうモヤモヤのほうがデトックスしたくなるから。居酒屋でクダを巻くとか解消方法は人それぞれだと思うけど、私にとってはそれが歌詞なんです」初回限定盤のCDには、そんな詞や曲に込めた思いが綴られたセルフライナーノーツ付き。最後に、顔出しをしない理由を改めて聞くと…。「一つは、スーパーとかで『ラブサマちゃんじゃない?』って無言で見られるみたいな日が訪れたら、めっちゃ怖いなって思って(笑)。あと、顔ってすごく印象が強いものだと思うんです。ビジュアルによって曲のイメージが変わるというか…。そういうものに左右されずに、私の曲を聴いてもらいたいから」11曲+シークレットトラック1曲が収録された3rdフルアルバム『THE THIRD SUMMER OFLOVE』。【初回限定盤(CD+初回盤限定ブックレット付)】¥3,300【通常盤(CD)】¥2,500(日本コロムビア)1995年生まれ、東京都出身。2013年より自宅で音楽制作を開始。サウンドクラウドなどネットにアップした楽曲が話題に。’15年に1stアルバム『#ラブリーミュージック』、’16年にメジャーデビューアルバム『LSC』をリリース。※『anan』2020年9月30日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2020年09月29日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回はシンガーソングライターのラブリーサマーちゃんさんです。リアルで繊細な歌詞が響く!ネット発の要注目アーティスト。「中学生の時に趣味がないことに危機感を覚えて、アコースティックギターを弾き始めたのが音楽を始めたきっかけでした」。18歳になると宅録した音源をネット上で公開。ジャンルにとらわれない多彩なメロディを生み出し、ファンを増やしている。特に自分らしい、と思うのが「青い瞬きの途中で」という曲。「歌詞、メロディ、編曲、演奏の全てに私の弱気なところや素直な性格が表れているので。メジャーデビューから4年、人生がこんなに面白くなるとは。これからも好きな曲を演奏し続けたいです!」恋に落ちてしまった魅惑のベトナム料理。去年からバインセオにハマり、理想の味を目指すべく頻繁に作っています。永井祐さんの歌集が最近のお気に入り。『日本の中でたのしく暮らす』という歌集。ちょっとニヒルで面白い。’90年代のイギリスのバンドが好き。特によく聴くのがelasticaというバンド。音もルックスも全てがタイプ!ラブリーサマーちゃん1995年生まれ。アルバム『LSC』で2016年にメジャーデビュー。両A面シングル『心ない人/どうしたいの?』をリリースしたばかり。※『anan』2020年6月3日号より。文・間宮寧子(by anan編集部)
2020年05月27日フワフワしたウィスパーボイスと多彩なサウンドで、独特の世界観を放つシンガーソングライター、ラブリーサマーちゃん。最新作『人間の土地』について話をうかがいました。最新作は4曲入りEP盤『人間の土地』。ラブリーサマーちゃんが大好きだというサン=テグジュペリの作品名をタイトルに借り、海を思わせる曲もある、サマー気分な作品だ。「名前もこうなので、今までも『夏っぽい曲を書いて』と言われていたんですが、去年までは頑なに拒否していました。いわゆる『ザ・夏の曲』みたいなイケイケな世界観が苦手なんですよ、根暗なので。だけど、あの夏はラブサマちゃんの曲けっこう聴いたなー、と言ってくれるファンがいるかもしれないと思い、ポリシーを崩して、夏に聴きたくなるような曲を書いちゃいました(笑)」とはいえ≪終電で海へ行く≫という物語が彼女らしいというか、ユニーク。全ての歌詞は実体験に基づいて書いているそう。一曲一曲から彼女の物事の感じ方や捉え方が誠実に伝わってきて、ハマる人が多いのもうなずける作品ばかりなのだ。「高校時代に同い年の子たちとバンドをやっていたんですが、3年生になるとみんな受験で忙しくなり、一人になってしまって。そこから宅録を始めたんですよ。パソコン音痴だったので、ハウツー本を見ながら曲を作り始めました。そうすると今日はエフェクトのかけ方を覚えたとか、毎日少しずつですが新しいことができるようになり、なんて楽しい!とモチベーションになりました」完成した作品をネットにアップし始めると、徐々にネット上で知られる存在に。アーティスト名もそのころ決めたそうで、本名の漢字を英語に置き換えたものとか。「本気で書いたガチンコの曲が評価されなかったら落ち込むと思ったので、最初はふざけた曲ばかり上げていました。その後、本気で書いた『あなたは煙草私はシャボン』がきっかけでレコード会社から連絡が来たんです。でもネットでしか活動していなかったので実在しないと思われたみたいで、中の人はこんなです、って自分のプリクラを送って、実在する女の子だと信じてもらいました(笑)」今作『人間の土地』はメジャー2作目。今までの曲と同様に、ラブサマちゃんが日々様々なものを見て感じて、悩み傷つき…というリアルな息遣いが聞こえてくるよう。つぶやきのような歌詞と、その言葉に寄り添うアッパーなサウンドが、聴くほどに沁みてくる。「音楽を作るって、自分の頭の中でしか鳴っていないものを、他の人も聴けるようにすること。そういうモノ作りが、すごく面白いんです」ラブリーサマーちゃん1995年生まれ、現役大学生。高3のとき自宅で音楽制作を始め、ネット上に公開した作品が話題になる。昨年秋『LSC』でメジャーデビュー。8/25にShibuya WWW Xで初の自主企画イベント「ラブリーサマーソニック 2017」を開催する。1st EP『人間の土地』【初回限定盤CD+DVD】¥1,800「海を見に行こう」など4曲入りEP盤。DVDには初の映像作品を収録。【通常盤CD】¥1,200(SPEEDSTAR RECORDS)※『anan』2017年8月9日号より。写真・水野昭子文・北條尚子(by anan編集部)
2017年08月04日