お子さんたちは毎日、夏休みを楽しんでいますか? でも、忘れてはならないのが学校の宿題。特に、自由研究に関しては、何をネタにしようか毎年親子で悩んでしまう家庭も多いはず。そこで今回は、筆者が実際に娘と一緒に料理実験に挑戦! 自由研究のテーマ選びの参考にしてみてはいかがでしょうか?今回、実験をするにあたり参考にしたのが 『ナショジオ式自由研究 親子でできるおいしい料理実験』 (日経ナショナルジオグラフィック社)です。同書の魅力は、家の台所にある食べ物を使って、気軽に科学を掘り下げられること。しかも、ほとんどの実験がおいしく食べられるのです!アイスクリーム作りを通して「分子」の概念を学んだり、バナナパン作りを通して「化学反応」を調べたりと、実験方法はシンプルなのに奥が深いのです。数ある項目の中から、フローズンソーダ作りと、紫キャベツを使った色の手品をチョイス。さっそく実験してみることに。■液体なのに注ぐと氷!? 過冷却フローズンソーダ「過冷却」の実験。過冷却とは、液体が冷えて氷になる温度(凝固点)よりも低い温度になっても、液体のままでいる状態のこと。液体を静かにゆっくり冷やすことで、過冷却が再現できます。また、過冷却された液体は不安定で、ちょっとした衝撃で急激に凝固、つまり氷になるのが特徴。この性質を使って、フローズンソーダを作ります。【準備するもの】・グラス・時計またはタイマー・ソーダ水 1本(500ml) ※好みの炭酸飲料でOK【作り方】1) 冷蔵庫で冷やしたソーダ水のペットボトルを、ふたを開けずによく振る。ここがポイント!:ペットボトルを振ることで、ソーダの中の二酸化炭素がぬけてベットボトル内部の圧力が高まり、より凍りにくい状態になります。2) 冷凍庫に入れ、3時間前後冷やす。凍る直前まで冷やすのがコツ。冷蔵庫の機種によって冷え方が異なるので、2時間半を過ぎたあたりから、何度か様子を見ることをおすすめします。ここがポイント!:・冷凍庫の扉を激しく開けるのはNG。ペットボトルに衝撃を与えないように静かにゆっくり開けましょう。・炭酸飲料のペットボトルは、冷凍庫に入れたままにしておくと破裂する恐れがあるので注意しましょう。3) 冷凍庫から取り出し、ゆっくりふたを開け、空気を抜きます。4) いよいよグラスに注ぎます。高いところから注いだり、勢いをつけると氷ができやすくなります。ここがポイント!:ソーダ水を過冷却状態にするのが意外と難しい! 油断するとあっという間に凍ってしまうので、ある程度時間がたったら冷凍庫を随時チェックするのがコツです。冷凍庫から取り出したソーダ水が過冷却になっているかどうか不安でしたが、グラスに注ぐとたちまち氷に! これには6歳の娘も大興奮。実験後はシャリシャリのフローズンソーダをおいしくいただきました。■「まるで魔法みたい!」食べ物の酸性・アルカリ性を知る“色の手品”理科の授業でリトマス試験紙を使ったpH(ピーエイチまたはペーハー)を調べる実験をした記憶はありませんか? そもそもpHとは、液体の性質を示す単位で、pHが7より小さくなる物質は酸性、pHが7より大きい物質はアルカリ性と呼ばれています。この実験では、紫キャベツのゆで汁を使い、身近な食べ物のpHを観察してみたいと思います。【準備するもの】・容器(透明なガラス瓶、グラスなど)・紫キャベツ 1/2個・重曹または卵白・家にあるいろいろな食べ物や飲み物【実験方法】1) キャベツを細かく切り、水(カップ3)と一緒に鍋に入れます。2) 鍋を強火にかけ、煮立てます。5分ゆでたら穴あきおたまなどでキャベツを取り出し、ゆで汁の色が濃くなるまで2~3分煮つめ、火から下ろし、粗熱をとります。ここがポイント!:・煮詰めすぎると肝心な実験ができなくなってしまいます。様子を見て、適宜火から下ろしましょう。・取り出したキャベツはピクルスやサラダの材料に使うとムダがありません。3) 実験したい食べ物を用意。野菜などは細かく切っておきます。4) いくつかの容器に、2)のゆで汁を注ぎ入れます。5) まずは重曹または卵白を 4)に入れてかき混ぜ、色の反応を見ます。ここがポイント!:重曹や卵白はアルカリ性なので、まず試しに実験してみると、色の反応がくっきり出て(紫から青に変化)、子どもも楽しく実験ができます。【before】【after】6) 同様に、ほかの食べ物でも観察します。今回試したのは、梅干し、グミ、ソーセージ、重曹、牛乳、卵白、パン、ニンジン、ピーマン、ブルーベリーの10種類。鮮やかな色水ができあがり、娘も大満足の結果となりました。いつも食べているパンからおやつのグミまで、いろいろな食べ物のpHをチェック。ゆで汁に入れた瞬間にパーっと色が変わる様子は、大人も見ていて楽しめます。ふだん、なに気なく食べている食品の成分について、あらためて見直す良い機会にもなりました。色がはっきりわかる透明のグラスで実験するのがベストですが、(わが家のように)グラスの数が少ない場合は、内側が白いコップや湯呑みを使っても十分観察できました。特別な器具を使わなくても、身近にあるものでも十分「科学」を学ぶことができます。そして何よりも、親子でひとつのことを楽しむことのできる「ナショジオ式自由研究」。ぜひこの夏、お子さんと博士になったつもりで“実験”してみてはいかがでしょう?参考図書: 『ナショジオ式自由研究 親子でできるおいしい料理実験』 (日経ナショナルジオグラフィック社)2,000円(税別) 「マヨネーズを作って液体の乳化を観察しよう」「クッキーを焼いて、酸とアルカリの指示薬を試そう」など、料理を通して科学や生物学、簡単な生命科学について学べる料理実験48種を掲載。家庭にある材料や器具を使い、楽しく作って、おいしく食べて、深く学べる一冊。親子で理科を楽しめる『親子でできる たのしい科学実験』も好評既刊。文/長谷部美佐
2018年08月10日