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8月30日から開催される第80回ヴェネチア国際映画祭にて、俳優のトニー・レオンと監督のリリアーナ・カヴァーニが栄誉金獅子賞を受賞することが分かった。これまでに出演作3本(『非情城市』『シクロ』『ラスト、コーション』)が金獅子賞を受賞しているトニーは、「ヴェネチア・ビエンナーレから知らせを受け、大変驚くと共に光栄に思います。これまで一緒に仕事をしてきた映画製作者たちとこの賞をお祝いしたいですね。この賞は彼らへの贈り物でもあるのです」と受賞を喜んだ。ヴェネチア国際映画祭の常連で、監督作『卍/ベルリン・アフェア』が金獅子賞の候補になったこともあるリリアーナは、「このような素敵なサプライズをくださったヴェネチア・ビエンナーレに大変感謝しており、またとてもうれしく思います」とコメント。リリアーナの代表作には『愛の嵐』『フランチェスコ』『リプリーズ・ゲーム』などがある。栄誉金獅子賞は多くの優れた映画作品を生み出した映画人を称える賞で、これまでに黒澤明監督、宮崎駿監督、スティーヴン・スピルバーグ、スタンリー・キューブリック、クリント・イーストウッドらが受賞。昨年はカトリーヌ・ドヌーヴに贈られた。(賀来比呂美)
2023年03月28日今年、生誕100年となる写真家ヘルムート・ニュートンに迫るドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』。公開に先駆け、名女優シャーロット・ランプリングがニュートンによって撮られた自身のヌード写真について回顧する本編映像がシネマカフェに到着した。長年にわたって一流ファッション誌で女性を撮り続けたファッション・フォトグラファーの世界的巨匠ヘルムート・ニュートン。2004年にロサンゼルスで自動車事故により不慮の死を遂げた後も、長く人々の記憶に残り続けている写真家のひとり。そしてシャーロット・ランプリングといえば、脇役で映画デビューしてから数年後、ルキノ・ヴィスコンティ監督に見初められ『地獄に堕ちた勇者ども』(69)に出演、その後、リリアーナ・カヴァーニ監督作の『愛の嵐』(73)で脚光を浴び、そのスキャンダラスな役柄から大センセーションを巻き起こした。撮影当時は20代半ばを過ぎたころで、自身のイメージを探っていた時期だったという。フランス・アルルのノールピニュ・ホテルで行われた撮影では、ランプリングもニュートンもお互いにヌード撮影は初だったという。「私はどこか反抗的だったと思う。近づかないで、干渉しないで、という態度をとっていた」というランプリングだが、撮影が始まるとニュートンの作り上げたイメージのなかで、新しい自分のイメージを作り上げる自由と楽しさに気づいたという。そのときのヌード写真は、いまふり返っても「私の写真の最高傑作」だと言い切る。映画では、ランプリングのほかに、大女優と名監督を父母にもつデヴィッド・リンチ作品でも有名なイザベラ・ロッセリーニや、英国貴族の生まれで歌手でもあるマリアンヌ・フェイスフル、グレイス・ジョーンズ、ハンナ・シグラといった女優たちが登場し、ニュートンとの時間をふり返る。自由で自立した女性たちが毅然とした態度で語る姿からは、ニュートンの人となりが浮かび上がると同時に、いまは亡きニュートンが彼女たちの何に惹かれて被写体としていたのかも伝わってくるようだ。『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』は12月11日(金)よりBunkamura ル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ヘルムート・ニュートンと12人の女たち 2020年12月11日よりBunkamura ル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Foto Helmut Newton, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton Foundation
2020年12月13日『まぼろし』(’01)『スイミング・プール』(’03)とフランスの鬼才フランソワ・オゾン監督作に相次いで出演し、久々の主演作品となった『さざなみ』(原題:『45 Years』)で自身初の米国アカデミー賞「主演女優賞」にノミネートされた英国の大女優シャーロット・ランプリング。2月5日に70歳の誕生日を迎える彼女は、今年、女優生活51年目に突入した。数々の巨匠たちに愛され、先日のノミネートの際にはグザヴィエ・ドランやオゾン監督も祝福ツイートを贈ったという、元祖“クールビューティー”の軌跡に迫った。映画『さざなみ』は、結婚45周年の記念パーティを控えた、ある熟年夫婦の物語。土曜日に結婚記念パーティを控えたジェフとケイト。だが、月曜日に1通の手紙が届いたことで、彼らの土曜日までの6日間は、それまで45年の結婚生活を大きく揺るがしていく。山岳事故で死んでしまったかつての夫の恋人の存在が、突如として夫婦の関係に入りこんできたとき、夫は過去の恋愛の記憶を日毎に蘇生させ、妻は存在しない女への嫉妬心を夜毎、重ねていく。それはやがて、夫へのぬぐいきれない不信感へと肥大していくのだった…。夫婦が重ねた45年とはいったい何だったのか?長い年月は互いの不信や嫉妬の感情を乗り超えることはできないのか?男女の結婚観、あるいは恋愛観の埋められない溝と決定的な違いという普遍のテーマを、本作は突きつけていく。いまなお、多くの女性誌に特集されるその変わらぬクールビューティーな美貌や、幾多の男性遍歴と2度の結婚、著名なビジネスマンと15年以上婚約状態でありながらも結婚する意志はないという結婚観など、自立した女性として多くの女性から支持され続けるシャーロット・ランプリング。1946年、イングランド・エセックス州スターマー生まれ。1965年、ロンドンで秘書の仕事の傍ら、ファッションモデルをやっていたシャーロットは、当時まだ無名だったジェーン・バーキンやジャクリーン・ビセットらと青春コメディ『ナック』で女優デビューを果たす。翌年、変わり者の女性を演じた『ジョージ・カール』(’66)では、次世代スターとして取り上げられた。その後、ロンドンのロイヤル・コート・シアターで演技を本格的に学び、イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督に見出され『地獄に堕ちた勇者ども』(’69)に出演、退廃的な魅力を発揮し世界中から注目の的となると、女流監督リリアーナ・カヴァーニのもと演じた『愛の嵐』(’73)で、華奢な裸にサスペンダー、ナチ帽をかぶった姿でバレエを踊るという妖艶なシーンを披露し、世界中に衝撃を与えた。1985年には、故・大島渚監督の『マックス、モン・アムール』(’86)にチンパンジーに恋をする人妻役で出演し日本でもその名を轟かせることに。映画以外でも、ファッションフォト界の巨匠ヘルムート・ニュートンの撮影で芸術ヌードも発表したことも。そして、2000年代に入ると、オゾン監督の『まぼろし』『スイミング・プール』に主演し、円熟味を帯びた凄みのある演技を見せ、最旬若手女優とも絶妙な化学反応を起こし再び注目を集めた。そして、カズオ・イシグロ原作の『わたしを離さないで』、ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』、オゾン監督の『17歳』などの出演を経て、久々に『さざなみ』で主演。さらなる成熟の域に達した千変万化のニュアンスを含んだ演技で、ベルリン国際映画祭「銀熊賞(女優賞)」をはじめ、ヨーロッパ、アメリカ各地賞で主演女優賞を獲得。70歳を迎える今年、初めてアカデミー賞にもノミネートされた。“多様性に欠く”と批判を受けている今回のアカデミー賞についても、その率直な発言が曲解されてしまい注目を集めたが、彼女の満を持してのノミネートには異論を唱える人はいないだろう。『さざなみ』は4月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月05日