●人生で遭遇した"敵"を仲間にする方法「ドラゴンクエスト」シリーズなどの名作を生み出したエニックス(現 スクウェア・エニックス)。元社員のJUNZO氏はこのほど、人生をドラクエのような「血沸き肉躍る冒険ゲーム」にするための『人生ドラクエ化マニュアル - 覚醒せよ! 人生は命がけのドラゴンクエストだ!』(ワニブックス)を刊行した。仕事の失敗、人間関係のトラブルなどの試練を「冒険イベント」に変え、楽しく攻略するにはどうしたら良いのか。その秘けつを伺った。○「人生ドラクエ化」とは?――JUNZOさんのこれまでの経歴を教えてください(舛添)都知事と同じ高校を卒業後、大学へ進学。大学4年時、ゲーム大好き人間だったので、ゲーム会社4社の面接を受け、エニックスに就職しました。エニックス在任中に、人生ドラクエ化理論を思いつき、この理論を自分の身を持って実証したいと思うようになり、独立しました。独立したところ、本当に、人生がドラクエ化したんです。具体的には、独立後、ゲーム目的(実現させたかったこと)として、情報誌創刊、著書出版などを設定したのですが、理論にのっとり行動したところ、この全て楽しみながら実現させることができました。この"人生ドラクエ化理論"に自信を深めた私は、この理論を広めて、一人でも多くの人の人生もドラクエ化させたい! と思うようになり、「人生ドラクエ化マニュアル出版」という新たなゲーム目的を設定しました。そうしたところ、これまた面白いようにゲームが進行していき、こうして実際に、ワニブックスさんより出版されたわけです。つまり、この本の存在自体が、人生ドラクエ化理論の正しさを実証していると言っていいでしょう。――"人生ドラクエ化"とはどのような理論ですか?自分の人生に、ゲームの三大要素をブチ込めば、人生がドラクエのような血湧き肉躍る冒険ゲームに化けてしまう、という理論です。これにより、目的を阻止しようとする敵との闘いが楽しくなるんです。本来、不快なもの(敵との闘い)が、楽しいものに化けるんです。不快なものが楽しいものに化けたら、そりゃあ、人生、楽しくなるに、決まってますよね? (笑)――不快なものが楽しいものに化けるとは?ドラクエに登場してくる敵(メタルスライム、ゴールドマン、爆弾岩など)との闘いを振り返ってみてください。相手が敵にも関わらず、プレイヤーは楽しく闘っているんです。これを現実世界に適用させます。――"人生ドラクエ化"、思いついたきっかけを教えてくださいエニックス時代の上司の次の一言でした。「JUNZO君、ゲームとは何か? というレポートを書いて提出してよ」この上司からのクエストをきっかけとして、私は自分なりのゲーム理論を構築していくことになりました。ただ、当時は、ゲーミフィケーションという言葉、発想すらない時代でしたし、ゲームについて哲学している参考文献も皆無でした。あったのは、従来型の「遊び」に関して哲学してある本が2冊、『ホモ・ルーデンス』(ホイジンガ著、高橋英夫訳/中央公論新社/1973)と『遊びと人間』(ロジェ=カイヨワ著、多田道太郎・塚崎幹夫訳/講談社学術文庫/1990)だけでした。私は、この2冊と、ドラクエのマニュアル、そして今までのゲーム体験を元にして、類例が全くない独自のゲーム理論を築き上げていったのです。そして、この独自のゲーム理論を元にして、人生ドラクエ化理論が出来上がったのです。○ドラクエの本質は「遊びの楽しさ」である――ゲームが苦手な人でも楽しむことができるのでしょうか?この本を楽しみながら読むことができるか? という意味なら、イエスです。なぜなら、この本の中で、アクションゲームをするわけではないのですから(笑)。テレビゲームをあまりやったことがない人でも、小さな頃、遊んだことがない人はいないと思います。ゲームの本質は遊びです。なので、本書を楽しみながら読むことはできます。ゲームが苦手な人でも、人生をドラクエ化させて楽しむことができるか? という意味だとしても、答えはイエスです。ドラクエの本質は遊びの楽しさだからです。つまり、この理論にのっとり、行動すれば、人生を遊びのように楽しみながら生きることができるようになります。――ちなみに、好きなドラクエシリーズと、その理由を教えてくださいドラクエ2です。パーティープレイが初めて採用されて新鮮だったこと、登場してくる敵が殺意を持っているように感じたことが良かったです。●人生のゲームでは他者が敵を倒してくれる、ということもある○世間体、不安との戦い――JUNZOさんがこれまでに遭遇した、最も強大な"敵"はどのようなものでしたか?独立する際の「事業がうまくいかなかったら、どうしよう?」「路頭に迷ったら、どうしよう?」という不安でした。それから、世間体ですね。――その敵をどうやって倒した(仲間にした)のですか?不安、世間体、という敵は、私が倒したんじゃないんです。これらの敵を倒してくれた人がいるんです。脚本家の山田太一さんです。彼の『早春スケッチブック』という脚本の中に、次のようなセリフがあるんです。私は、このセリフを読んだと同時に、将来の不安はワクワクドキドキに変わり、そして、世間体など、どうでもよくなったんです。つまり、山田さんの脚本のセリフ(呪文)で、敵が倒れていったんです。どういうセリフかと言うとですねえ…竜彦「お前らは、骨の髄まで、ありきたりだ!」(湯のみを投げつける)竜彦「病気はなおしゃあいいのか? 長生きはすりゃあするほどいいのか? そうはいかねえ。身体が丈夫だって、長生きしたって、何にもならねえやつはいくらでもいる。何かを、誰かを深く愛することもなく、何に対しても心からの関心を抱くことができず、ただ飯をくらい、予定をこなし、習慣ばかりで1日をうめ、下らねえ自分を軽蔑することもできず、俺が生きてて何が悪い、とひらき直り、魂は1ワットの光もねえ。そんなやつが長生きしたって、何になる? そんなやつが病気治したって、何になる?」(急須を放り投げる。魔法瓶を放り投げる)それから…竜彦 「どうせ、どっかに勤めるか? どうせ、大した未来はないか? バカいっちゃいけねえ、そんなふうに見切りをつけちゃいけねえ。人間てものはな、もっとすばらしいもんだ」竜彦「自分に見切りをつけるな! 人間は給料の高を気にしたり、電車がすいてて喜んだりするだけの存在じゃねえ。その気になりゃあ、幾らでも深く、激しく、ひろく、やさしく、世界をゆり動かす力だって持てるんだ。偉大という言葉が似合う人生だってあるんだ! 自分をみがくんだ。世界に向かって、俺を重んじよ、といえるような人間になるんだ。適当に生きるなんて事を考えるな。体裁のいい仕事について、女房もらって、子供つくって、平和ならいいなんて、下らねえ人生を送るな」どうです? グサッと、胸に突き刺さってきませんか? 人生を変えたくなりませんか? (笑)。ということで、私の場合、山田さんが敵を倒してくれたのでした。人生ゲームって、こんな感じで、他者が敵を倒してくれることもあるんです。面白いでしょ? 予想外の回答だったでしょ?(笑)○ドラクエ化を実践するとどうなる?――JUNZOさんの周りに、"ドラクエ化"を実践された方はいますか?私の友人2人は、このドラクエ化理論を知って実際に実践し、人生を楽しんでいます。そのうちの1人、私の医者の友人Dr.Hは、この理論を知り、自分の医者としての仕事もゲームとして捉えられることに気づき、今まで以上に人生が楽しくなったと語ってくれました。そのことを物語るメールを以下、紹介しましょう。俺はねえ「患者の病気」という敵と日々格闘しているのだよ。毎日毎日、敵を分析し、敵の弱点を探し、攻撃方法を考える。その結果は、症状や様々な検査結果としてリアルタイムにフィードバックされ、HPやMPのように上下する。病気が同じでも、年齢、その人の社会背景、脳の機能、そういったことでも攻略法は変わる。場合によっては、敵との闘いに敗れたり(治療がうまくいかない、助からない)、敗れることがあらかじめわかる(老衰のような状態になる)こともあるので、敵から逃げる(良い引き際を考える)ことも選択する。病院でできる範囲の治療、かけられるコストといった制約ルール的なものもある。その中で、最善と思われるものを選択していく、そういった仕事であって。考えたら、毎日、診療ゲームをしているようなものなのだ。で、俺はその診療ゲームに全然飽きていないときている。彼の場合、人生をゲーム化した、というよりも、ゲーム理論を知り、自分の仕事もゲームだと捉えられることに気づくことにより、今まで以上に楽しく仕事を楽しみながら、できるようになった例ですね。――今後の目標を教えてください外国語に翻訳し、全世界で読まれる本にしたいですね。なぜなら、ゲーム目的を「全人類の人生のゲーム化」に設定しているからです。――今人生に悩んでいる方へのメッセージをお願いしますアナタは、定価5,500円のTVゲームに、面白さで負ける人生を送って、いいのか!?――ありがとうございましたJUNZO大学4年時、ゲームメーカー4社の面接試験を受け、エニックス(現 スクウェア・エニックス)に就職。同社で仕事をしている最中に、人生ゲーム化理論を発見。「人様のテレビゲームを作ってる場合じゃない! 自分の人生をゲーム化するほうが先決だ!」と気づき、エニックスに辞表を提出し独立。独立後は、情報誌創刊、電子ペット企画開発、銀座で占いビジネス展開、商品評価サイト企画運営、著書出版などなど…あらゆるゲーム目的(やりたいこと)を楽しみながら全て実現させている
2015年05月28日