映画パーソナリティーとして活躍中の伊藤さとりが、オトナ女子ならではの目線で恋に効くオススメ映画を紹介!記者会見や舞台挨拶の裏話もあるかも!?本当の自分を好きになってくれる男性の見極め方~『真夜中の五分前』「男の前で態度が変わる子ってキライ」そんな言葉をよく耳にします。でも実際のところ、好きな人を前にすると声がワントーン上がる女性がほとんど。少しでも可愛く見られたいという意識が働くからで、それは決して悪いことではないんです。でも、性格そのものが変わってしまったら。。。今回は、『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督が、本多孝好のベストセラー小説を日中合作で映画化した恋愛ミステリー『真夜中の五分前』から、人格が変わるとは、どういう心理が働くからか?を考えてみましょう。主人公は、時計の修理工をしているリョウ(三浦春馬)。彼は、プールで知り合った中国人女性ルオラン(リウ・シーシー)から、双子の妹ルーメイ(一人二役:リウ・シーシー)へ贈る婚約祝いを一緒に選んで欲しいと持ちかけられる。再びリョウの前に現れたルオランは、実は妹のルーメイ。いたずら好きな妹の発案で二人は入れ変わっていたのだ。これを機にリョウは姉妹と親しくなる。そして自信に満ち、自由奔放な妹と違い、どこか寂しげなルオランに惹かれていく。しかし、彼女は密かに妹の婚約者ティエルン(ジョセフ・チャン)に想いを寄せていた。そんなある日、ルオランとルーメイが旅先で事故にあってしまう――。双子のルオランとルーメイは、一卵性双生児なので、顔がそっくり、趣味趣向も似ている。なのに性格はまったく違い、姉のルオランは思ったことを口にできない大人しいタイプ。でも、どこかで妹ルーメイのように開放的な性格に憧れていることが、あるシーンで見え隠れします。自分ではない、誰かになりたいという心理。それこそ、普段、思ったことを口にできなかったり、他人の目が気になってしまったりする人は変身願望が強くなりがち。自分のことを知らない人の前では、なりたい自分になっても許されると思えば、合コンでいつもと違う喋り方や立ち振舞いをしてしまうのも可愛い女心と思えるかも?もともと人は、社会的に見せる顔と、プライベートで見せる顔、二つの面を持ち合わせているのが当たり前。じゃあ、どっちが本当の顔なのかって?「他人も自分も知ってる自分」、「他人だけが知っている自分」、「自分だけが知ってる自分」、そしてもうひとつ「他人も自分も知らない自分」、という人格が実は存在するんです。映画のヒロインは、後々、他人も自分も知らない自分と出会って悩むのですが、、、、、、。他人も自分も知らない自分を知った時、新しい才能や精神的な解放が訪れることも。ただ、これは、他者との関わりの中で突然気付きがあったりするものなので、今回は紹介しません。かいつまんで言えば、色んな自分を統合して人格は形成されているから、たくさんの顔を持つ人ほど、ミステリアスで人を惹き付けるのですよ。「最初のイメージと違ったからいやだ」と言うような男性は、ある側面しか見ない相手。無理に付き合い続けても長続きしないから、こちらが頑張らなくてOK。大切なのは、出会った時とその後、付き合っていく中での印象が変わってしまったとしても、それを「色んな面を持っていて面白いね」と言ってくれる相手かどうか。それこそ、相手があなたの一面だけでなく、様々な面を見よう、知りたいと思って深くあなたを好きになり始めている証拠なのだから。あらすじ:上海で時計修理工として働く青年リョウは、知りあったばかりの美女ルオランから、彼女の双子の妹ルーメイへの婚約祝いのプレゼント選びを手伝って欲しいと頼まれる。美しいルオランにひかれるリョウだったが、ルオランはルーメイの婚約者ティエルンを愛しており、大切な妹への嫉妬心に悩んでいた。リョウはそんなルオランの気持ちを優しく受けとめ、二人の関係はゆっくりと恋人へと発展していく。そんなある日、ルオランとルーメイが旅先で事故に遭ってしまい、1人だけが生き残った…2014年12月27日(土)ロードショー原作:本多孝好 『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A/side-B』(新潮文庫刊)出演:三浦春馬、劉詩詩(リウ・シーシー)、張孝全(チャン・シャオチュアン)監督:行定 勲『真夜中の五分前』()(C)2014 “Five Minutes to Tomorrow” Film Partners伊藤さとり:映画パーソナリティー、心理テストカウンセラー。様々な映画イベントや記者会見のMCを努める映画司会者&映画コメンテーター。年間400本以上の映画を観る。TSUTAYAの店内放送で新作DVD紹介のDJ、Gyao!&ぴあ映画生活&Youtube動画「伊藤さとりと映画な仲間たち」では、監督、俳優、プロデューサー、脚本家らと対談し、映画紹介を行う。Amebaブログ:さとりのひとりゴト あの映画のウラ・オモテTwitter:伊藤さとり@SATORIITO
2015年01月14日上海を舞台に、三浦春馬が美しい双子の姉妹に恋をするミステリアスなラブストーリー『真夜中の五分前』。主演の三浦さん、ヒロインを演じた中国の人気女優リウ・シーシー、『GF・BF』など台湾の若手トップスターのチャン・シャオチュアン(ジョセフ・チャン)、行定勲監督、とアジアの才能が集結した本作に込めた想いをたっぷりと語ってもらった。本作で三浦さんが演じるのは、時計修理工の良。ひょんなことからルーメイ(リウ・シーシー)という美しい女性と出会うが、彼女には女優をしているルオラン(リウ・シーシー/1人2役)という一卵性双生児の妹がいた。ルオランには、人気俳優・ティエルン(チャン・シャオチュアン)という婚約者がいる。ルーメイは妹の婚約祝いに、彼女を驚かせる贈り物をしたいと知り合ったばかりの良にプレゼント選びを手伝ってもらうことに。良は美しいルーメイとの出会いに胸を躍らせるが、親しくなるにつれ、良はルーメイが抱える心の闇に気づいていく…。ーーアジアにまたがる映画を作るにあたり感じた期待や不安など、また参加したことで得たものを教えてください。行定:「これは必然だったと思うんです。当初は日本映画として作ろうと思っていたんですが、現在、日本で映画を作る状況というのは閉塞的で、“結末を観客にゆだねる映画”を嫌う傾向にある。そうしたら、上海のプロデューサーがこの企画に賛同してくださって。それで一緒にやろうということになり、シナリオを全部書き換えて、スタートしたんです。だから、この映画はこのメンバーが集まらないと出来上がらなかったんですよ」。三浦:「結末を考えさせるという作品に関われたことは、とても楽しくもあり、僕の役者人生において、チャレンジでしたね。行定監督が『上海でやることに意味がある』と仰っていたのですが、実際、上海に行く前から高揚感があり、上海に降り立って、撮影をしていくうちに、その意味が分かってきたんです。というのは、上海の街並、夜景、そして光の入り方というのがこの作品にとてもマッチしていて。光が、この作品のテーマも訴えかけていますし、登場人物の心情も表現してくれているんじゃないかと思っています。全編に渡って中国語にトライさせていただいたり、僕の人生の中でも、とても刺激的な時間を過ごすことができました」。リウ:「私は初めて国を超えた作品に出演したので、違う国の人たちと協力し合うことで新しいものが得られることへの期待が大きかったです。行定監督はとても優しい方で、プレッシャーをかけられることもありませんでした(笑)。撮影前にカット割りなども教えてくれましたので、心の準備もできました。中国では、カット割りなどを事前に教えてくれる監督はほとんどいないんです。みんな一旦リハーサルをして、そこから段取りを考えるというやり方でしたから。でも今回は、最初から決まっていたので、準備をすることが出来て、とてもよかったです」。三浦:「無言のプレッシャーはありましたよね(笑)」。リウ:「でも、楽しかったですよ」。行定:「基本的に僕は役者を信じているので。たまに裏切られる場合もあるんですけど(笑)、彼らは裏切らなかったですね。信じていないと、国を越えて作るのは難しい。中国で撮るということで、彼らの培ってきたもの、アイデンティティを頼りにしているわけですから。いろいろ話もしたし、春馬を含め、3人ともきちんと考えを持っている人たちなので、そこは信頼していました」。チャン:「僕は最初から、国を超えたプロジェクトということで、かなり興奮していましたし、期待していました。違う国の方と協力し合ってどんなものが出来る上がるのか、とても楽しみでした。そして実際にやってみて、もちろん多少の問題はありましたが、やっぱり楽しかったです。国に関係なく、一人一人誰もが仕事のやり方というのは違うと思うんです。ただ行定監督と仕事をしてみて、監督はとても繊細な方ですし、僕たちにも繊細なものを要求する、という部分はあったと思います」。ーー三浦春馬さんと共演した印象を教えてください。リウ:「三浦さんは台詞をすべて中国語で話さないといけないので、撮影の合間もずっと練習していましたね。それを横で聞いていて、たまに『発音がちょっと違う』と指摘すると、それをすごく真面目に受け止めて、すごく感謝してくれて。最後には私は申し訳ない気持ちになってしまいました(笑)」。チャン:「三浦さんは、本当に真面目。すごく芝居に集中していました。僕と三浦さんで階段の踊り場で話しをするシーンがとても印象に残っています。とても気持ちよかったんです。演じながら、2人のヒロインに対する感情がいっぱい出てきて、深いところまで演じることが出来たと思いますね」。ーー劇中、ある事件によってリウ・シーシーさん演じる双子が入れ替わったのでは…?という疑いが生まれますが、どのように演じてみて如何でしたか?三浦:「(演じた主人公の)良について言えば、彼自身、どちらの女性を愛していたのか…そして自分の中の愛とは何なのか?という問題に焦点が当たっている作品なんじゃないかと感じました。でも現実的な問題が後半に出てくる。後半、いろいろなことが起きて、自分の愛と現実の狭間で揺れる感情が面白い。観ている方にも、自分の愛とは何なのか、ということを考えていただけたら嬉しいですね」。リウ:「ルオランとルーメイという双子をはっきり分けて演じようとは思わなかったんです。一卵性なので、あまりに違いを出すと、観客も違和感があるでしょうから。同じようで、違うところを見せ、自分でも曖昧な部分を演じてみたかったんです」。チャン:「愛というものは、何かものを作り上げるパワーであると同時に、壊すパワーもあると思うんです。ティエルンという人物は最初、大人で包容力があるように見えましたが、愛の力によって自分が崩壊してしまう。一方、良は子どもっぽいところはありつつ、愛に対して一直線です。そこが対照的で面白いと思いますね」。ーー愛する人の存在を疑うわけですが、それは自分自身をも疑うことにも繋がるのでは?行定:「誰もが人を愛することはあるけれど、何において愛しているのか。それは不確かだということを、この話は浮き彫りにしているんです。これは、自分は恋人の何に対してを愛を持っていたのかを疑う話なんです。その疑いの目を持ったときに初めて、自分という存在に対しても疑いを持つ。同時に人格についての話でもある。リウ・シーシーさんが素晴らしいのは、2人の演じ分けと、混乱を、自分の中で受け入れている。ある意味、混乱しているんだけれど、それによって3人目の人格を作りあげているんですね。それを2人の男が的確に受け止めている。実は、『どっちがどっちなのかさっぱりわからない』という人もいるんだけど、そういう犯人探しをするような話しではなく、人をどう愛するのか、という話なんですね。“愛する”という行為自体が不確かなんです」。三浦:「上海の街並や、登場人物たちの持つ空気にゆったり包まれながら、自分の愛は打算もあるのか、本当の愛なのか、ということを含めて、愛するとは…ということを考えていただけたら、嬉しいですね」。(photo / text:Ayako Ishizu)
2015年01月05日