新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいる国では、観光客向けにワクチンを提供するツアーが次々と発表されている。そんな中、ルーマニアでまるでテーマパークのようなサービスが開始されることがわかった。BBCによると今月から毎週末、作家ブラム・ストーカーに『ドラキュラ』のインスピレーションを与えたとされるトランシルヴァニア地方の「ブラン城」で、ファイザー社のワクチンが無料で接種できるという。ルーマニア政府は9月までに少なくとも1,000万人への接種完了を目指すとしている。しかし、スロヴァキアのシンクタンクGlobesecの調査によると、全国民約1,941万人のうち約半数が接種を希望していないという。ブラン城を接種会場とすることで、国内からの観光客も呼び込みつつ、接種率を少しでも上げようという狙いがあるようだ。予約は不要で、城内にある中世の拷問器具の展示なども無料で公開されるという。スタッフもドラキュラの牙を模したステッカーを身に着けたり、ドラキュラを彷彿とさせる看板があちこちに置かれたりなど、様々な工夫が随所に見られる。
2021年05月10日ヘンリー王子とメーガン妃が、「新型コロナウイルスワクチンをすべての人に」と呼びかけるキャンペーンコンサート「Vax Live: The Concert to Reunite the World」に出席することが明らかになった。英王室や世界の王室ファンを震撼させたオプラ・ウィンフリーとのインタビュー番組放送後の“お出まし”となり、話題性もたっぷりだ。同コンサートは極度な貧困の撲滅を訴える国際団体「グローバル・シチズン」が主催。5月8日に開催され、セレーナ・ゴメスが司会を務める。パフォーマンスを行うのはジェニファー・ロペス、エディ・ヴェダー、「フー・ファイターズ」ら。スペシャルゲストとしてベン・アフレック、ショーン・ペン、オリヴィア・マンらが出席する。ヘンリー王子&メーガン妃の役割はというと、「新型コロナワクチンへの公正・平等なアクセス」を確実にするための取り組み「Covid-19 Vaccines Global Access」(COVAX)への寄付を呼びかけることだという。2人は「この1年間で、世界は痛み、喪失、葛藤を一緒に経験しました。いまこそ私たちは、一緒に立ち直り、癒すべきなのです。だれも置いてきぼりにはできません」とコメント。だれもが平等に新型コロナワクチンの接種を受けることの大切さを説いている。(Hiromi Kaku)
2021年04月28日「厚生労働省によると、ワクチン接種期間は来年の2月末までを予定しています。最初は、医療従事者から接種を開始。そこから高齢者や基礎疾患を有する方など、リスクの高い人へと優先的に打っていく見込みです。実際、4月から高齢者へのワクチン接種がスタートしました。しかし現状では数が限られているため、申し込みについては“早い者勝ち”になってしまっているのが実情です」(行政関係者)4月12日から始まった、65歳以上の高齢者に向けた新型コロナウイルスのワクチン接種。しかし、多くの自治体で予約申し込みが殺到しているという。「ワクチン接種には、まず各自治体から届けられる『接種券』というものが必要になります。これを受け取った後、電話やインターネットなどで予約。接種会場で予診票への記入や医師からの問診があり、安全確認をしてからようやくワクチン接種という流れになっています。しかしこのうち、ほとんどの人が “予約”の段階でつまずいてしまっているのです。たとえば東京都八王子市では市内に住む高齢者の約1%分しかワクチンが供給されなかったため、受付け開始直後から電話がつながりにくい状態となりました。ネットでの予約も、わずか20分で終了。問い合わせのため、市役所の窓口まで訪れる市民が後を絶たなかったといいます。また程度の差こそありますが、多くの自治体が似たような混乱状態に陥っていたそうです」(前出・行政関係者)激しい“争奪戦”になっているワクチン接種。プラチナチケットを入手するような困難さだが、いったいどうすれば受けられるのか。成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんは、予約枠を取るための“5つの工夫”を語る。これらは一般的に、チケットなどを予約するためのテクニックとして使われているという。■「最初の1回目でつながるかどうかが勝負」「まずは、【電話回線の違いを利用すること】です。スマホと自宅の固定電話では使用している回線が違うので、混み合っているのは片方だけという場合があります。だからスマホと固定電話を併用し、ご家族にも協力してもらいながらいっしょに電話したほうがよいと思います。また、【ネットで予約すること】も視野に入れておきたいポイントです。高齢者にはネットに不慣れな方もまだまだ多いので、電話よりは混み合わない可能性もありますからね。事前にお子さんやお孫さんなどに準備をお願いして、予約画面まで操作してもらっておきましょう。そして、【電話をするタイミング】も重要です。自治体の電話回線は受付け開始直後からフル稼働し、予約枠はすぐに埋まってしまうはず。つまり、最初の1回目でつながるかどうかが勝負になってきます。だからそこに滑り込めるよう、開始時間の数秒前に電話をかけるようにしましょう。ただし早すぎるとかからないので、タイミングが重要です」また、高橋さんは“電話の発信タイミングを操作する工夫”も伝授してくれた。「あまり知られていませんが、【電話番号の末尾に#をつけると、電話機が間を置かずにすぐ発信してくれる】という機能があります。通常は入力された番号をほんの少し待っているのですが、#を押すと“この番号でOK”と認識してくれるのです。要するに、発信のスタートボタンみたいな役目をしてくれるということですね。1秒を争う状況なので、知っておくと便利かもしれません。あとは、【スマホのリダイヤル機能を使うこと】。意外と使い方がわからなかったりするので、ご家族に教えてもらっておくとよいでしょう。もしくは事前に番号を登録しておくのもおすすめです」「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年04月15日4月12日から、65歳以上へのワクチン接種が日本でもスタート。でも、副反応の報道を見て接種をためらう人も多いという……。そこで、私たちの不安をワクチン先進国・米国ですでに接種を受けた医師にぶつけてみたーー。「ワクチン接種を受けた人はマスクを外して会えるようになりました。また、レストランの入場制限も緩和され始めています。ワクチンに守られているという安堵感が町中にあふれ、患者さんにも1年ぶりの笑顔が戻ってきました」そう語るのは、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の内科医・山田悠史先生。4月中旬に『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答!新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)を発売予定だ。山田先生はすでにワクチンを接種したという。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えると期待されるワクチン。米国では3月25日までに1億2,000万回以上の接種がなされ、65歳以上の66%以上で1回目の接種が完了している。「現状では新型コロナの特効薬はありません。個人の感染や重症化を防ぐだけでなく、集団免疫を獲得して、コロナ禍以前の日常を取り戻すためにも、ワクチン接種の役割はとても大きいのです」日本でも、4月中旬から高齢者へのワクチン接種が始まるが〈副反応が出た〉などのニュースに不安を抱く人も。そこで、ワクチンの正しい情報を発信し続けている山田先生にワクチンに関するさまざまな疑問をぶつけてみた。【Q1】食物アレルギーがありますが、接種しても大丈夫?接種可能です。接種を避けたほうがいいのは、過去にワクチンに含まれる「ポリエチレングリコール」に対して重いアレルギーを起こしたことがある人です。また、1回目のワクチン接種でアナフィラキシー反応を起こした場合も、2回目の接種ができなくなります。【Q2】現在確認されている副反応にはどのようなものがありますか?接種後、すぐにみられる副反応にはアナフィラキシー反応と、注射への緊張や痛みから、立ちくらみを起こしたり気を失ったりしてしまう血管迷走神経反射があります。また、接種後数日以内に現れるものとして、接種部の痛みや腫れ、倦怠感、頭痛、発熱、下痢があるとされています。私の場合は、翌日に筋肉痛がでましたが、仕事は通常どおり行いました。私の周りでも、発熱や、強い痛みが出た人がいます。彼らも解熱剤や痛み止めを使って、すぐによくなっていました。また、あまり知られていないのですが、接種した腕の脇の下のリンパ節が痛みとともに腫れることがあります。多くの場合、1週間程度でおさまるのですが、ワクチン接種後に乳がん検診をすると誤って「がん」を疑われる可能性も。乳がん検診は接種前か、接種してから4〜6週間あけたほうが混乱を避けられるでしょう。まれに接種してから1週間以上たって、接種した箇所が赤く腫れる「遅発性局所反応」が起こることも報告されています。こちらも、自然に治癒することが知られています。【Q3】接種前後に気をつけることはありますか?接種後発熱することもあるので、接種翌日は仕事を休めるようにしておくなど予定を調整しておくといいでしょう。また、鎮痛薬を飲んでから接種を受けると理論上ワクチンの効果が下がる可能性があります。そのため、副作用の予防などの意味で不必要に痛み止めを飲むのは避けましょう。もちろん、持病で飲まれているような方は飲み続ける必要がありますが、あくまで必要がない場合には、飲まないほうがいいと考えます。また、接種後に痛みや熱が出てしまった際に、飲むのは構いません。このように持病があったり、薬を服用していたりなどで接種に不安のある人は、事前にかかりつけ医に相談しておくこと。接種会場で聞けばいいと思っている人もいますが、会場の医師は、あなたの状態をよく知る医師ではないので、適切な回答を与えてくれるとは限りません。接種後は、過去に重いアレルギー反応を起こしたことがある人は30分、そうでない人でも最低15分間待機することが推奨されています。また、接種当日の過度の飲酒や筋トレなどの激しい運動は、血行を促進して痛みや腫れを悪化させる可能性があるので避けたほうがよいでしょう。コロナワクチンの接種にあたって、不安や疑問を感じた場合、山田先生が中心となって立ち上げたLINEアプリ「コロワくんの相談室」もぜひ活用してほしい。日常を取り戻すため、正しい知識をもち、万全の状態でワクチンを接種しよう!「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月01日「ワクチン接種を受けた人はマスクを外して会えるようになりました。また、レストランの入場制限も緩和され始めています。ワクチンに守られているという安堵感が町中にあふれ、患者さんにも1年ぶりの笑顔が戻ってきました」そう語るのは、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の内科医・山田悠史先生。4月中旬に『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答!新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)を発売予定だ。山田先生はすでにワクチンを接種したという。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えると期待されるワクチン。米国では3月25日までに1億2,000万回以上の接種がなされ、65歳以上の66%以上で1回目の接種が完了している。「現状では新型コロナの特効薬はありません。個人の感染や重症化を防ぐだけでなく、集団免疫を獲得して、コロナ禍以前の日常を取り戻すためにも、ワクチン接種の役割はとても大きいのです」日本でも、4月中旬から高齢者へのワクチン接種が始まるが〈副反応が出た〉などのニュースに不安を抱く人も。そこで、ワクチンの正しい情報を発信し続けている山田先生にワクチンに関するさまざまな疑問をぶつけてみた。【Q1】アナフィラキシーなど副反応が多いように感じ、心配ですどんな薬にも作用と副作用があるように、ワクチンにも有効性と副反応があります。なかでも重大な副反応は唇や舌が腫れたり、呼吸が苦しくなったりするアナフィラキシー反応です。日本では医療従事者を対象に、3月11日時点で18万1,184回の接種が行われており、うちアナフィラキシー反応が37例(女性35例)報告されています。割合で言えば100万人あたり204件。米国の4.7件、英国の18.6件に比べ高いのではないかとの報道もあります。しかし、国内の接種数はまだまだ少ないです。報告の基準が他国と異なっており、過剰に報告されている可能性もあるので、数字を単純比較することはできません。また、なかでも重い副反応である「アナフィラキシーショック」に至っている例は1例のみ。運悪く発症された37例の方は皆回復されています。さらにこれまでのワクチンによるアナフィラキシー反応のほとんどが、接種後5〜30分以内に起きています。打ってから15分以上接種会場で待機することになっているので、万が一発症した場合もすぐに処置を受けられます。【Q2】接種後、くも膜下出血で亡くなったという報道がありましたが……現在、透明性の高い状況でワクチンの接種が進められています。そのためワクチン接種との因果関係が明らかではない症状(有害事象)も含めて情報が公開されています。関連性を100%否定することはできません。しかし、世界中で3億回以上のワクチン接種がされているなか、ワクチン接種のタイミングで偶然病気を発症してしまうこともある、と理解しておく必要があります。【Q3】新しいタイプのワクチンですが、どういうものですか?日本で接種されているファイザー社製のワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンという新しいタイプ。わかりやすくいうとコロナウイルスの一部の情報だけを体内に届けて抗体を作らせます。もちろん、ワクチンを打ったせいで感染するということはありえません。4万人以上が参加した臨床試験では、90%以上の発症予防効果が認められています。約60万人に接種したイスラエルのデータでは、ワクチンを打った人の発症予防だけでなく、重症化や感染を防ぐ効果も報告されているのです。短期間で実用化されたことを危惧する声も聞かれますが、安全性や有効性を確かめる臨床試験はほかのあらゆる新薬と同様のステップを踏んでいます。通常、新しいワクチンの開発では臨床試験の被験者を集めるのに膨大な時間がかかります。しかし、世界的なコロナ危機により、被験者をすぐに集めることができたことも、スピーディな実用化ができた要因です。【Q4】変異株にも効果はありますか?ファイザー社製のワクチンは複数の研究で変異ウイルスにも一定の効果があることが示唆されています。さらに、変異ウイルスに対応したワクチンの開発もすでに始まっています。コロナワクチンの接種にあたって、不安や疑問を感じた場合、山田先生が中心となって立ち上げたLINEアプリ「コロワくんの相談室」もぜひ活用してほしい。日常を取り戻すため、正しい知識をもち、万全の状態でワクチンを接種しよう!「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月01日3月22日、米クリスピークリームドーナツは、「新型コロナウイルスのワクチン接種カードを提示した人にオリジナル・グレーズド・ドーナツを無料で提供する」とホームページ上で発表し、話題となった。しかし、このキャンペーンは諸手を挙げての歓迎はされず、逆に非難を呼ぶ格好となってしまっている。オリジナル・グレーズドは、揚げたドーナツに砂糖のグレーズをまとわせた同社の看板商品。ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でもダイエット中のミランダが誘惑に負け、ジムで知り合った男性と半分ずつ食べながら「グレーズドを発明した人は天才よね」と話すシーンがある。1つ219kcalで、ダイエットの味方とはとても言えない。現在、アメリカでは肥満の人が急増しており、「肥満は新型コロナウイルス感染症が重症化する危険因子だ」とも言われている。CDC(米疾病予防管理センター)によると、米国人の42.4%が肥満だという。SNSでは、「クリスピークリームの施策が肥満の増加を助長する」との指摘が相次いだ。コメディアンのスティーヴン・コルベアは3月23日、「クリスピークリームは『ワクチンを接種した人に無料でドーナツを提供する』らしい。これは予防接種を受けたのに、まだ死にたいと思っている人にとっては朗報だ」と皮肉たっぷりにツイート。予想外の批判を受け、クリスピークリームのマイク・タッタースフィールドCEOはYahoo!Financeでこう反論した。「当社は甘いものを提供する会社です。ドーナツショップに行きたくない人は行かなくてもよいのですよ。私は医療機関にたくさんのドーナツを差し入れています。とても感謝されますよ。人は常にちょっとした甘いお菓子の休息を求めているものなのですから」クリスピークリームはドーナツの無料提供を続行すると明言。さらに、今後数週間はワクチンセンターで働く医療従事者やボランティアにドーナツの差し入れを行い、同社の全従業員に対し、ワクチン接種のために最大4時間の有給休暇を与えるともYahoo!Financeで発言している。
2021年03月29日医療従事者への先行接種がスタートした新型コロナウイルスワクチン。効果への期待と同時に、副反応を懸念する声もあるが、専門家の女性たちはどう見ているのだろう。緊急アンケートを実施した――。米国・ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンは、2月12日の第1便、2月21日の第2便に続き、3月1日に第3便の到着が予定されている。「感染者数の拡大はピーク時よりは抑えられているものの、まだまだ予断を許さない状況が続いています。新型コロナウイルスの特効薬がない状況で、期待されているのがワクチンです」(医療関係者)世界では欧米諸国を皮切りにすでにワクチン接種が始まっており、国内でも2月17日からワクチンの接種が開始された。第1弾のワクチンは安全性調査に参加する医療従事者に先行接種を行い、次いで診療に関わる医療従事者、65歳以上の高齢者……と進めるのが政府の方針で、一般の人へのワクチン供給は夏以降になるとみられている。日本で承認の申請がなされているワクチンは2種類。米国のファイザー社のほか、英国アストラゼネカ社が2月に厚生労働省に申請を提出している。ワクチンに関する最大の関心事がその安全性、副反応だ。今回のワクチンでは、アナフィラキシー(急性アレルギー反応)が主な副反応として挙げられているが、そのほかにも倦怠感や発熱、体の痛みなどが報告されている。欧米で行われているワクチン接種のデータには、ファイザー社製のワクチンで接種後に起こったアナフィラキシーは100万回に5件、アストラゼネカ社製では10万回に1~2件という統計がある。副反応の7割は接種後15分以内に起こるという報告があるため、副反応に対する態勢を整えておけば、深刻な事態を防ぐことができると考えられている。ワクチンについては、予防のために一刻も早く受けたいという肯定派と、年齢や抱えている疾患などの理由からしばらくは様子を見たいという慎重派の人とがいる。実際に現場での診察に当たっている医師はどう考えているのだろう。今回本誌では、女医の先生方に《新型コロナウイルスワクチンを接種しますか?》というアンケートを実施した。日々接している医療現場の状況から寄せられた声は、とても貴重なものばかりだ。さっそく結果についてみていこう。回答を寄せてくれた23人のうち、《接種する》と答えた医師が20人、《見送る》が3人となった。《接種する》といった肯定派のコメントでもっとも目立ったのは、《医療従事者という立場にいるから》という意見だった。《多くの患者さんに接種することを考慮すると、自分がワクチンを接種して抗体を持ち、患者さんへの感染源にならないようにすることは、医者として必要なこと》(中山晴美先生、麻酔科・ペインクリニック)《複数の高齢者施設と関わりがあり、自分が感染して施設に持ち込むことは避けねばならない》(岩井裕子先生、外科・消化器外科)《現時点ではこのウイルスに対してワクチン以外に有効な治療薬はなく、この仕事をする限り、打たないという選択肢はない》(渡邊千寿子先生、耳鼻咽喉科)このように、医療現場で感染を広げないためにワクチンを接種するといった意見が多く見られた。■ビッグデータの協力になるためにも受けるまずは自分が見本となって、打つ姿勢を見せたいというコメントも複数寄せられた。《ワクチンを打つことで感染しづらくなるのと、症状がひどくならない可能性が上がるのでメリットのほうが大きいと考えているが、医療従事者としてまず先に打つことが、一般の方への安心にもつながると考えている》(廣瀬能華先生、美容皮膚科)《現段階ではほかに手段がなく、医療従事者としてまず自分が接種してから患者にすすめるべきだと考えている》(おおたわ史絵先生、総合内科専門医)個人的な視点だけでなく、社会的観点による意見も散見された。《ワクチン接種することで集団免疫を獲得しないと新型コロナウイルスの蔓延は終わらない》(竹内聡美先生、呼吸器内科)《新型コロナウイルスによって社会活動が制限されている現在、しない理由がない》(濱木珠恵先生、内科・血液内科)《未知のワクチンだが、副作用が出るなら(自分が打って)その情報を公開する義務がある》(前出・渡邊先生)《ビッグデータの協力になる》(井上留美子先生、整形外科)肯定派のスタンスで、副反応について触れられたコメントを見ていくと、次のような意見が。《ワクチンによる死亡はなく、新型コロナウイルスの死亡率が多い》(本田まりこ先生、皮膚科)《すでに海外で報告されている副反応、アナフィラキシーショックの確率は小さく、治療可能だと考える。接種しないリスクのほうが大きい》(山口トキコ先生、肛門科)《有効性が高いデータが出ているし、副反応も許容範囲》(板根みち子先生、循環器内科)このように、接種に対する前向きな意見が多いが、今回のワクチンで議論になる理由の一つに、製法がある。新型コロナウイルスワクチンは、これまでにない遺伝子を使った方法で作られたワクチンなのだ。世界ですでに接種されているファイザー社製とモデルナ社製のワクチンはmRNAワクチン、アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクターワクチンと呼ばれる“遺伝子ワクチン”だ。総合内科専門医のおおたわ史絵先生は次のように説明する。「従来のワクチンは、ウイルスの抗原の一部分に近いものを弱毒化させて体内に入れる『弱毒性ワクチン』や『不活化ワクチン』ですが、今回のコロナワクチンは、ウイルスに対する抗体を作るための核酸を体内に入れ、それが体内でDNAやRNA遺伝子を複製させるというまったく新しい作り方をとっています。そのため、長期的な副反応などが未知数という側面があるのも事実です。新しいものに対して不安を抱くのは、人間として当然のことでしょう」医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子先生も、人々が不安になることを理解しつつ、ワクチン研究が“現在進行形”であることを強調する。「これまでのワクチン開発とは異なり、史上最大規模の財政的・人的資源の投入がごく短期間で行われているのが今回のワクチン開発の特徴です。つまり、副反応を含めたワクチンのデータもものすごい勢いで蓄積されていますから、さまざまなことが見えてくるスピードも別格なのです」ただし、海外でもワクチンの接種が始まったのは、ほんの1~2カ月前のこと。まだまだ未知である副反応に対する不安は、先生たちの反応からもうかがえる。《コロナ感染が流行しているなか、乳がん発生も減少せず続いている。医療者として、がん治療をきちんと行うためにも、ワクチンの短長期的な影響について不安がないとはいえないが、打つ》(土井卓子先生、乳腺専門医)《短期間で開発され、長期的なリスクについては不明なワクチン接種にまったく不安がないわけではないが、幸い自分には特に強いアレルギーがない(ため打つ)》(亀井倫子先生、ペインクリニック内科)一方、ワクチン接種を《見送る》と答えた慎重派の先生たちからは次のような意見があった。《新型コロナはインフルエンザよりもはるかに死亡率、罹患率が低い疾患。しかもほとんどの人が感染しても無症状。国民全員がワクチンを受ける必要性があるのか疑問》(小林有希先生、内科)《ワクチンを打つことによるベネフィット(利益)とリスク(不利益)を天秤にかけて十分に検討する必要がある》(正木稔子先生、耳鼻咽喉科専門医)《従来のワクチンの製法とは異なる遺伝子型ワクチンで、副反応がわかっていないという段階で使用を開始するのは危険。ワクチンを打つ前に必ず副反応を調べる必要がある》(星子尚美先生、内科)いずれも、今回のワクチンが異例の状況下で、短期間で開発されたことに対する懸念だ。■詳細な情報提供が十分にできないと悩む医師も「医師がワクチンに関して基本知識として知っているのは、生ワクチンと不活化ワクチンで、新型コロナウイルスのワクチンはどちらにも属していません。そのため、詳細な情報提供が十分にされていないのが現状です。何かが起こる可能性や、何が起こるのか、その程度や割合など、何も知らされていない状態で接種するのには同意できません」(正木先生)通常、ワクチンの開発には長い年月がかかる。しかし、新型コロナウイルスのワクチンは、その過程がわずか1年足らず、異例のスピードで認可されている。「『ワクチンファクトブック』(米国研究製薬工業協会が発行しているワクチンの手引書)によると、ワクチンは治験を含め、開発に10年程度かかるものです。特に治験は安全性の確認作業で、通常、最も時間がかかる部分ですが、新型コロナウイルスのワクチンは、発見から1年たたずに治験まで済んでいるといいます。mRNAワクチン、DNAワクチンは人類に初めて使用するものなのに、この程度の治験で実施に踏み切ってよいのでしょうか」(正木先生)検証期間については、次のような意見も寄せられた。《これは、人類初の“遺伝子組み換えワクチン”で、通常なら数年~10年以上及ぶべき検証期間を省いた、安全性のまったく確認されていないワクチン。飛びつかなければならないほどの切迫性はまったくない》(前出・小林先生)医療現場の専門家ですら、肯定的な意見と慎重な意見が出るコロナワクチン。親や子ども、また持病のある家族がワクチンを打つか打たないか、家庭内で意見が分かれることもあるだろう。そうした不安の声に、前出のおおたわ先生は次のようにアドバイスする。「中高年になると、糖尿病や高血圧など生活習慣病を抱える方が増えます。これはすなわち、新型コロナウイルスにかかったときの重症化のリスクが上がるということです。それも加味したうえで、ご自分がワクチンを接種するかどうかをよく考えていただきたいと思います」かかりつけの医師に相談する人もいるだろうが、“100%効果的で安全だ”と断言することはどんな医師にもできないとおおたわ先生は話す。未知のウイルスとの戦いが一日も早く落ち着き、日常が戻ってくることを願うばかりだ。「女性自身」2021年3月2日号 掲載
2021年03月01日「高齢者はたとえばインフルエンザワクチンを接種しても、予防効果が一般的な成人と比べて低いといわれています。理由は、加齢とともに免疫細胞が弱まっているから。そのため、抗体を作る力が落ちてしまっているのです。新型コロナのワクチンでも同じです。免疫細胞が弱ったままだと、ウイルスに対抗する強い抗体を作ることができません。しっかりとワクチンの効果を出すためにも、今から免疫力を高めておくことが重要といえるでしょう」こう語るのは国産ワクチン開発の第一人者でもある、大阪大学大学院の森下竜一寄付講座教授だ。2月17日から国内でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。まずは医療従事者から接種が始まり、4月からは65歳以上の高齢者が対象となる。そんななか、森下教授は「ワクチンの効果を高めるためにも、高齢な方々は特に今のうちから免疫力を高めておくべき」だと訴えたいという。そもそも、免疫力とは何なのか。教授はこう解説する。「簡単に言うと、体内にある免疫細胞たちの力です。免疫には自然免疫と獲得免疫があります。自然免疫には、NK細胞などと呼ばれるものがあります。ウイルスが侵入するとすぐ食べにきてくれる、警察のような存在です。いっぽうで獲得免疫には、ヘルパーT細胞などがあります。こちらは一度体内に入ってきたウイルスを覚え、抗体を作って攻撃してくれます。しかし先ほど申し上げたとおり、体を守ってくれる免疫細胞たちは年齢とともに弱まっていきます。そうして、体の免疫力も落ちてしまうんです」■免疫力は40歳でピーク時の半分ほどに実は、免疫力のピークは18歳前後。働き盛りの40歳でも、免疫力はピーク時の半分ほどになっているというのだ。厚労省が発表した昨年7月時点での新型コロナウイルスによる年齢別死亡率を見ても、60代から急激に高くなっている。ワクチンの効果を高めるためにも、重要な免疫力。それを高めるカギは、「ミトコンドリアを活性化させること」だという。森下教授が続ける。「ミトコンドリアとはいわば、細胞の中にあるエンジン。細胞を動かす原動力です。ヒトは、およそ37兆個の細胞でできています。その細胞に必要なエネルギーの90%以上を、ミトコンドリアが作り出しています。さらに、免疫反応全体のバランスをとる司令塔でもあります。ですからミトコンドリアを活性化させると、細胞が元気になります。そして免疫力アップにつながるというわけです」では、ミトコンドリアを活性化させるにはどうすればいいのだろうか。教授は7つのポイントを語ってくれた。「まず1つ目は、運動をすることです。体を動かすことで、細胞が活性化されます。ただ、やりすぎは禁物。細胞を活性化させるためには、適度な運動であることが重要です。軽いジョギングや20分程度の散歩、家でできる簡単なエクササイズなどで十分です。2つ目は、十分な睡眠をとること。7~8時間くらいが理想です。そして3つ目は、体を温めること。細胞を活性化させる体温は、36度前後といわれています。ただ筋肉量が落ちると体温も下がるので、高齢者は低くなりがち。なのでたとえば湯船につかったり白湯を飲んだりしていると、基礎体温が上がります。毎朝検温する習慣もつけましょう」■笑うことは、非常にいいことさらに、食事の重要性についてもこう指摘する。「4つ目は、食生活の見直しです。体を作るのは、なんといっても食事。できるだけ、バランスのよい食事を心がけるようにしましょう。栄養面はもちろん、食べすぎないようにも注意してください。そして5つ目は、コエンザイムQ10を取ること。ミトコンドリアが細胞のエンジンなら、コエンザイムQ10は細胞のエンジンオイル。ミトコンドリアの機能をスムーズにしてくれます。イワシや豚肉や牛肉、ブロッコリーやオリーブ油などに多く含まれています。ただ食事から摂取できる量は限られているので、サプリメントを取り入れてもよいでしょう」また意外にも、精神面の影響が大きいようだ。森下教授は次のように明かす。「6つ目は、笑うことです。細菌に感染した細胞を死滅させる、NK細胞というものがあります。それが笑うことで活性化され、免疫力アップにつながるという報告があるのです。また、セロトニンという心の安定を保つホルモンも分泌されます。だから笑うことは、非常にいいことなんです。そして最後の7つ目は、ストレスをためないことです。慢性的なストレスは体や心の疲労につながり、不眠を引き起こします。そうした悪循環に陥り、どんどん免疫力が落ちてしまうのです。最近は“コロナうつ”も増えているといいますからね。ワクチンの効果を高める意味でも、精神的に安定できる生活を心がけましょう」■接種の直前に頑張っても難しいちなみに、免疫力は季節の変わり目に低下しやすいという。「冬より夏場のほうが、要注意といわれています。夏バテで体力も落ち込みがちですからね。ワクチン接種の時期とかぶる方は、いっそう気をつけてください」そして最後に、森下教授はこう結ぶ。「高齢者は新型コロナウイルスにかかった場合のリスクも高いので、順番がきたらワクチンを打ったほうがいいと思います。ただし免疫力を高めておかないと十分な効果が出ない可能性もあると、理解しておくべきです。ワクチンを接種する直前に頑張ったところで、すぐに免疫力をアップさせるのは難しい。だから接種前の今こそ、体作りを始めましょう」いざ接種するときに慌てないためにも、早めの準備が重要といえそうだ。「女性自身」2021年3月9日号 掲載
2021年02月23日「できる限り2月下旬の(医療従事者を対象とした)接種開始を目指して準備したい」1月22日の会見で、新型コロナウイルスのワクチンについて語った河野太郎“ワクチン担当相”。日本で真っ先に接種が始まるのは、米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したワクチンだが、1月中旬には、世界の医療関係者が注目した報道があった。「ノルウェーで両社のワクチンを接種した約4万2千人のうち33人が、発熱や吐き気などの副反応を示し、接種後数日以内に亡くなったと報じられました。大半は80歳以上の高齢者だったそうです」(医療ジャーナリスト)ファイザー株式会社の広報担当者は、本誌の取材に対し、次のような見解を示した。《(亡くなった方の)ご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様にお見舞いを申し上げます。ノルウェー当局は老人ホームの入居者等に対するワクチンの接種を優先していますが、その多くは非常に高齢で基礎疾患を有しており、中には終末期の方もいます。ノルウェー医薬品局は、医学的にリスクの高い人に対する本剤の接種と死亡の関連性は完全には否定できないものの、ワクチン接種との直接的な因果関係を示すエビデンスは得られていないと表明しています。今回の件を受けて、ノルウェー保健局は重度のフレイル患者(例えば、Clinical Frailty Scale 8以上)、および終末期患者に対するワクチン接種のガイダンスを改訂し、ワクチン接種によって得られるベネフィットとリスクを慎重に評価するよう求めています。》■「追跡調査の期間が足りない」と指摘する専門家もこの件について、日本の専門家はどう見ているのだろうか。大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之さんは、「ノルウェーは日本と同じように高齢者が多い国ですし、その状況は今後も注視すべきだと思います。しかし、いっぽうで“ワクチン接種は危険なのではないか”というイメージだけが独り歩きしてしまうことを心配しています。ファイザーや米国のモデルナが開発したのは“mRNAワクチン”という種類のものです。ファイザーのワクチンは有効性が95%、モデルナは約94%と、非常に優秀です」だが軽重はともかくとして、あらゆるワクチンに“副反応”はつきものだという。「基本的には打った部分が腫れる、接種後に発熱する、関節痛のような痛みが生じる、といった症状です」(『ワクチン診療入門』の著書もある、ナビタスクリニック川崎の医師・谷本哲也さん)新潟大学名誉教授の岡田正彦さんはこう語る。「mRNAワクチンには、たんぱく質などを安定化させるポリエチレングリコール(PEG)が使用されていることが判明しています。“PEGによるアレルギー反応は不明”という論文もあり、その点について私は懸念を抱いています」PEGについて、前出の宮坂さんは、「薬品や化粧品などにも添加されている物質ですが、調査によればPEGによりアレルギー反応を引き起こされる人も多いのです。だから医師仲間の間では、『ワクチン接種後に、PEGによるアナフィラキシー(アレルギーの原因物質が体内に入ることによって、一つの臓器にとどまらず複数の臓器に強い症状が現れる過剰反応)が発生する可能性もあるのでは』という話はしていました。しかし幸い、アナフィラキシーに関して言えば、注射後の15?30分で反応が出ますので、医療機関の付近にいれば救命措置をとることもできます」“ワクチン反対派ではない”という岡田さんだが、接種後すぐに判明する副反応よりも、将来の不安を感じているという。「特に英国のアストラゼネカが開発したウイルスベクターワクチンで、すでに日本で治験が始まっています。人工合成したDNA遺伝子そのものを、無毒化したアデノウイルス(風邪のウイルスの一種)に組み込んで注射します。いままで人類が経験したことのない新型ワクチンですので、本来であれば、発がん性の有無などを確認するために、5年以上は追跡調査すべきだったと思います。長期的な安全が証明されていないわけですから、私自身は打つことを考えていません」『AERA』(1月25日号)には医療関係者1726人への調査結果も掲載されている。『ワクチンを接種しますか』という設問に対しては、「する」が31.4%、「種類による」が27.3%、「しない」が11.8%、「わからない」が29.5%と、意見も割れているようだ。■「若い人も高齢者も副反応は同じ」今回取材した専門家たちに、“接種を控えるべき条件”について聞いてみた。「ワクチン接種によりコロナ感染を防ぐというメリットと、接種による副反応というデメリットのバランスを、個別に判断していくことが必要となります。その際に、一つの尺度となるのが、“病気の重篤度”です。たとえば、高齢で、認知症のために寝たきりのような状態の方であれば、ワクチンの副反応が出たときに、体に致命的な影響が及ぶ可能性もあるでしょう。また心臓が弱っている方の場合、ワクチン接種で高熱を発することで、さらに心臓への負担がかかり、亡くなってしまうというケースもあるかもしれません」(谷本さん)現在は、医療従事者についで、高齢者が優先的に接種できるという方針が示されている。1月25日に厚生労働省は、65歳以上の高齢者への接種券を3月中旬以降に発送するといったスケジュールを明らかにした。だが、岡田さんは違和感を覚えているという。「ワクチンを製造している会社の論文を読むと、若い人も高齢者も副反応は同じ、とありますが、たとえばインフルエンザワクチンも私の経験では高齢者のほうが副反応は強いです」また、深刻なアレルギーを持つ人も注意が必要だという。「イギリスでは医薬品や食品、あるいはワクチンに対して重大なアレルギー反応が現れたことのある人には接種しないように呼びかけています」(宮坂さん)「アナフィラキシーを起こしたことがある方は避けたほうがいいと考えています」(谷本さん)最後に宮坂さんは、こんなアドバイスをしてくれた。「一般の人に接種の順番が回ってくるまで、あと数カ月は必要になるでしょう。その間に、世界のワクチンに関するデータは積み上がっていきます。そのデータを見て、自分は打つべきかどうか最終的に判断してはどうでしょうか」自分や家族の身を守るために、感染状況だけではなく、ワクチンの影響にまつわるニュースも注視していく必要があるのだ。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年01月29日新型コロナウイルス感染症の登場によって翻弄された2020年。生活様式もすっかり変わりました。今後の社会はどうなるのか?運命を拓くために、社会情勢を知ることは必須。堀潤&五月女ケイ子が検証します。afterコロナ?or withコロナ?2020-‘21の最大の課題を考える!堀:‘20年は新型コロナウイルス一色でしたね。五月女(以下、五):仕事柄、普段から家に籠もっているので、生活自体はあまり変わらないけど、外に出るのが怖くなっちゃいました。堀:緊急事態宣言が出たときは、法律に縛られたわけではないのに、みんな自粛して、あんなに人のいない渋谷や新宿を初めて見ました。見事に足並みが揃った。日本人らしさを発揮しましたね。五:ハロウィンもみんなおうちで過ごしていたみたいですし。堀:オンラインでアバターで参加とかね(笑)。強権と言われた前安倍政権でも、スペインのように自粛中に外出したら逮捕とか、韓国のように行動をGPSで追跡するなんてことはしなかった。接触確認アプリCOCOAを開発しましたが、必要最低限の情報だけ収集。日本の民主主義は国家権力に慎重姿勢だということが再確認できました。しかし、冬を迎え、再び緊張した状況に。正念場ですね。五:世界中が同じ状況になること自体が初めて。コロナ対応が国によって全然違うのも興味深かったです。ところで、ワクチンって、いつごろできそうなんですか?堀:ワクチンの開発(注1)は、通常では早くても3~4年はかかってしまうんです。副反応、副作用がないか、実証を得るまでに時間がかかります。ただ、開発にイノベーションが起きて、ウイルスのデータ解析に基づく机上の計算でできるようになりました。また、承認手続きを簡略化し、開発までの時間を短縮化するという国際的なコンセンサスも得られました。中国がいち早く開発に成功したのですが、安全面には課題が残っています。アメリカのファイザー社とドイツのビオンテック社が開発したワクチンは95%、アメリカのモデルナ社のワクチンは94%の有効性があると発表されました。イギリスのアストラゼネカ社のものは、たやすく保存でき、コーヒー1杯分(4ドル程度)で一回打てるようになるのではないかといわれています。五:うわあ。それは嬉しい!堀:イギリスでは早くも12月頭にファイザー社のワクチンを承認しましたし、アメリカでも緊急使用許可を申請しています。これらの発表は、メッセージ性のほうが強いのだと思います。「ワクチンがある」という安心感が人を動かしますよね?ただ、ワクチンはリスクゼロではありません。投入を急げばリスクは高まるし、安全性を求めると投与に時間がかかってしまいます。日本の国会では、ワクチンをどう承認し、深刻な副反応、副作用が出た場合の対処法などを協議しています。こうした動きは、きっと常態化していくのでしょう。五:常態化というと?堀:新型コロナの話は、いってみれば「シーズン1」で、別の新しいウイルスが「シーズン2、3」として登場するでしょう。そのたびにワクチンを即座に開発し投入が迫られる。どんな速さでその戦いを迎え撃つのか。タッチアンドゴーのような訓練がこれから続いていくんだと思います。注1「ワクチンの開発」新型コロナウイルスのワクチンは、中国のシノバック社がいち早く開発したものの、試したところブラジルで副反応が見られ、採用を中止に。イギリスのアストラゼネカ社のワクチンは平均で90%の効果があったと発表。他のワクチンは専用の冷蔵施設が必要なのに対して、これは一般的な温度での保管が可能なため、安価なワクチンを全世界に供給できるのではと期待されています。ワクチン開発では現段階では中国勢の分が悪い。ワクチンの主導権争いで欧米が勝てば、これまでの中国の一帯一路構想に水を差すことになり、中国になびいていた開発途上国や新興国を欧米勢に組み入れる大きな転機になりそうです。堀 潤さん1977年生まれ、兵庫県出身。ジャーナリスト。監督したドキュメンタリー映画『わたしは分断を許さない』が公開中。同名著書も刊行。ほかに『堀潤の伝える人になろう講座』等。五月女ケイ子さん1974年、山口県生まれ、横浜育ち。イラストレーター。WEBサイト「五月女百貨店」では、‘21年のカレンダーほか、楽しいグッズが絶賛販売中。※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。イラスト・五月女ケイ子取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年12月30日ウーマンエキサイトの皆さま、こんにちは! 前回 、娘たちのインフルエンザワクチンの2回目を予約しようとしたところ、「今季分は受付終了」との答えが返ってきました。▼前回のお話 予約激戦!? インフルエンザワクチンの予約が取れなくて焦った話(前編)【ムスメちゃんとオコメちゃん 第94話】 いや、完全に甘くみてました…、リサーチ不足でした。焦って電話するも、すでに受付終了している病院がほとんど。小児科以外の病院は、通院している人限定や、大人のみというところも多かったです。そりゃそうだ…。姉に助けを求めて、穴場の病院を発見! なんとか娘たちの分を確保できました。あぁよかった!その間もずっとぶつぶつ言って落ち込んでいた娘たちでしたが、あと1回、何とか頑張ってもらおうと思います!ちなみに、私もその後無事、違う病院で接種できたのですが、私はなぜか「予防接種を受けた年に限ってインフルエンザにかかる」という法則(ジンクス?)を持っているので、今年は必ず回避して、ジンクスを断ち切りたい! 決意でこの冬を乗り切りたいと思っています! 皆さまもどうかお大事に!!
2020年12月12日コロナのワクチンに大きな期待が寄せられる中、開発競争の舞台裏を描くドキュメンタリーが進行していることがわかった。タイトルは『Race for the Vaccine』。製作するのはCNNフィルムズとBBC。監督は、元ウィルス学者でフィルムメーカーのイギリス人キャサリン・ゲールと、医療ジャーナリストでフィルムメーカーのアメリカ人ケイレブ・ヘラーマンが共同で行う。ナレーションは、CNNの医療コレスポンダントで医師のサンジェイ・グプタが担当する。来年春、アメリカではCNN、イギリスではBBC Twoが放映する予定。文=猿渡由紀
2020年12月11日ウーマンエキサイト読者の皆さま、こんにちは。暖かい秋だなぁと思っていたら急に寒さが厳しくなったりして、なんだかんだ冬になったことを実感しております。さて、冬といえば風邪やインフルエンザがはやる季節。わが家にはワクチンを打ってもなぜか毎年のようにインフルエンザにかかってしまう長女ムスメがいるので、重症化しないためにもワクチン接種が必須だと思っているのですが…。(ちなみに次女オコメは感染せず毎回陰性。不思議です)かかりつけ医は、予防接種類は全て専用の予約サイトを使っての予約方法でして…。まぁ予想通り、ちょっと大変でした。でも電話で戦うよりは楽かもしれないですね。(余談ですが、接種履歴や各子供たちの、現在予約可能な予防接種の一覧も見られたりします。便利な時代になりました…)娘たち…というか、長女ムスメは予防接種の予定を聞いてしまうと、いくら先でももうずっと気になってしまう性格で。これまでもなるべく前日または当日に伝えるようにしていたのですが、今回は速攻バレてしまいました。もうそこからは本当、毎日のようにため息をついていて…、いや~ごめん!(でもちょっとは忘れてもいいと思うよ!?)母、やらかしました。続きます。
2020年12月05日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「ファイザー が12月にも米国で承認されれば、年内は流行が深刻な米国と欧州に優先的に供給されるでしょう。海外で良好なデータが得られれば、年明け早々にでも日本国内での手続きが進むと思います」そう語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さん。日本に供給される予定のワクチンは、米国の製薬会社であるファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカのワクチンで、3社から合計1億4,000万人ぶんを調達する予定だ。現在、日本国内ではファイザー、アストラゼネカが、第3相試験まである治験の第1、2相試験中、モデルナは準備段階だ。「今回は緊急性も要しているので、日本国内の治験は簡略化されるでしょう。新型コロナ治療薬として、抗ウイルス薬のレムデシビルがスピード承認されたように、海外の治験データが参考にされることになるはず。最短であれば、1月後半から2月前半くらいに承認されるのではないかと予想します。2月初めくらいから、まずは医療従事者や重症化リスクのある高齢者から摂取開始されるのではないでしょうか。ワクチン接種は公費負担される見通しなので、無料となる予定です」菅義偉首相(71)は「来年前半に国民全員の数量を確保」と語った。五輪前の6月ごろには国民に行き渡る見通しだ。ただ、注意したいのは接種開始となっても、直ちに日常が戻るわけではないということ。「接種者はある程度自由な行動が可能になると思われますが、未接種者はしっかりと感染対策をしなければなりません。日々の感染対策を行いながら、ワクチンによって地固めをしていくイメージです」また、開発されて間もないために、抗体がどれほど長く維持できるかも未知数だという。「1年に1回の接種なのか、数年に1回なのか、数カ月に1回接種する必要があるのかは、今後の経緯を見る必要があります」安全面、有効性を見ても、ワクチンがコロナ禍終息への希望の光であることは間違いない。しかし、現在の“第3波”はワクチンなしに乗り切らなくてはならない。「重症者数の推移を見ると、医療崩壊が現実的になってきました。個々の徹底した感染対策が求められます」「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。その有効性は?日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「米国製薬大手ファイザーが、FDA(米国食品医薬品局)に新型コロナワクチンの緊急承認申請を提出しました。順調にいけば、12月中に米国で接種が開始される見通し。これで良好なデータが示されれば、来年の東京五輪までに日本でワクチンが行き渡る可能性が高くなります」期待を込めて語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さんだ。ただ、通常10年かかるといわれるワクチン開発が、わずか1年弱で承認されるとなれば、安全性が気になるところ。まずは日本に供給される予定の3つのワクチンの仕組みから、峰さんに解説してもらおう。米国の製薬会社であるファイザーとモデルナが採用したのはmRNAワクチン。「従来型のワクチンは、ウイルスの毒性を弱めた生ワクチン、“死んだ”ウイルスを利用した、不活化ワクチンなどを注射し、体内に抗体を作るという仕組みです。一方、mRNAワクチンは新型コロナウイルスの一部のゲノム情報を持った化学物質のみを注射して、体内で抗体を作り、本物のウイルスがやってきたときに戦ってくれるという仕組み。これまで、一部の研究分野でしか存在しなかった、新タイプのワクチンです」そのため、開発当初から安全性に関して不安視する専門家も多くいた。峰さんもその一人だった。「しかし両社で行われた4万人の治験者の中で、死亡者は1人も出ませんでした。副反応も軽い発熱、頭痛、倦怠感が主体で、従来のインフルエンザワクチンなどと大差ありません」一方、英国のアストラゼネカが採用したのはウイルスベクターワクチンだ。「まったく別のウイルスに、新型コロナウイルスのゲノム情報を埋め込み、体内で抗体を獲得するタイプです。ウイルスそのものを体内に入れるので、強く副反応が出ることが懸念されていましたが、治験データを見る限り、副反応はファイザーとモデルナのものと変わらず、現段階では大きな問題は見つかっておりません。個人的な感想ですが、どちらのタイプも、安全性は高いと考えています。もちろん、接種が開始されれば、大規模なデータを注視しなければなりません」安全性の次に気になるのは、その効果だ。「ワクチンの効果は有効率で表します。たとえばワクチンを打たない場合、100人中10人が発症するとします。一方、ワクチンを接種した100人だと1人しか発症しなかった。この場合、90%発症が減ったので、ワクチンの有効率は90%ということになります。ファイザー、モデルナのワクチンは有効率が約95%で、アストラゼネカは70〜90%と報告されています。インフルエンザワクチンが30〜60%なので、極めて高い有効性を示しています。また、ファイザー、モデルナの試験では、ワクチン投与群では重症者がいないことも確認されました。つまり、ワクチンを接種していれば、仮に感染をしても、重症化を抑制する効果があるのではないかと考えられているのです」数量に関しても、従来型のワクチンと異なり、合成が簡単で大量生産できるという。政府はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社から合計1億4,000万人ぶんのワクチンを調達する予定だ。3社のワクチンとも2回接種しなければならない。ファイザーは1回目から3週間、モデルナは1回目から1カ月後に2回目を摂取することになるという。「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日提供:株式会社 明治コロナ禍が起きた今年、以前より「家族の健康」に気をつけるようになったパパやママは多いかと思います。これから冬にかけては、インフルエンザなど感染症も流行する季節。「予防対策をしなければ」と感じている方は少なくないのでは?インフルエンザの予防接種にも、例年より関心が高まっている!?この傾向を裏付ける、最新の調査結果も出ています。それによれば、「今年はインフルエンザの予防接種を受けたい」と回答した人は、全体の7割。「去年受けていないけれども、今年は受ける」という人は、約41% にも上りました。(参照:2020年9月、明治による調査)。その理由のトップ3は、以下のとおり。第1位:インフルエンザを発症したくないから第2位:子どもにうつしたくないから第3位:新型コロナウイルスとの同時流行に備えたいからコロナ禍との同時流行を警戒する声は、やはりランクインしていますね。特に20歳代女性では「子どもにうつしたくないから」が第1位、30歳代男性では「配偶者/パートナーから強く言われているから」という回答も第3位にランクイン。在宅勤務や外出自粛で家にいる時間が増えている今、「子どものためにもしっかり予防接種をして備えておきたい」という思いが反映された結果となりました。併せて「配偶者/パートナーにインフルエンザの予防接種を受けて欲しいと思う理由」について尋ねた項目では、「子どもにうつしてほしくないから」が第1位。「コロナとの同時罹患」や「重症化」の心配、「家庭内感染」を危惧している人が多い傾向が読み取れます。感染症の流行に備えるには「乳酸菌」の摂取が有効!確かに、家族がひとりインフルエンザにかかると、次々とうつって”看病連鎖”となり、全員が治るまで大変な状況になりますよね……。とはいえ、予防接種をしても罹患してしまう可能性がゼロでないのは、皆さんもご存知のとおり。せっかく受けた予防接種の効果をできるだけ最大化させるには、「Lactobacillus bulgarucus OLL1073R-1(以下、乳酸菌1073R-1株)」の摂取が有効と言われていることをご存知でしょうか?乳酸菌1073R-1株を使用したドリンクヨーグルトを飲用することで、インフルエンザワクチンの効果に影響があるかを確かめた研究結果をご紹介します。健康な25〜59歳の男女62名が、インフルエンザワクチン接種の3週間前から、毎日112mlのドリンクヨーグルトの継続飲用を開始。プラセボ飲料(未発酵の酸性乳飲料)を飲用した方と比べ、乳酸菌1073R-1株を使用したドリンクヨーグルトを毎日飲用した場合、インフルエンザA型H1N1型、B型のワクチン株の抗体について高い抗体価を記録。乳酸菌1073R-1株が、“抗体価をより高めるための物質”として働いている可能性が高いことがわかった。(2013年-2014年、明治による調査)。 つまり、インフルエンザワクチンの効果をより高めるには、乳酸菌1073R-1株を継続的に摂取することで良い効果が得られるかもしれない、というわけです。詳しい試験概要についてはこちら:乳酸菌1073R-1株で、「風邪疾患のリスク」も軽減できるかも!?山形県舟形町に住む70〜80歳の健康な57名と、佐賀県有田町に住む、60歳以上の健康な高齢者85名を対象にして乳酸菌の免疫システムへの働きを調べました。対象者を乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトを1日90グラム食べるチームと、牛乳を1日100ミリリットル飲むチームに分け、比較したところ、どちらの地域でも、乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトを食べたチームの方が、有意に風邪罹患リスクの低減を確認できたのです。詳しい試験概要についてはこちら:ワクチン接種と乳酸菌で、今冬も家族みんな健康に! コロナウィルスとインフルエンザのダブル流行が囁かれている2020年の冬。これまでになく感染症対策をしておきたいと思われているご家族も多いと思います。インフルエンザワクチンの接種と乳酸菌の摂取で、家族みんなの健康が維持できるといいですね! 乳酸菌研究の詳細はこちらから! テキスト:外山ゆひら イラスト:ホリカン提供:株式会社 明治編集・運営:エキサイト株式会社(記事に関する問合せ: womanpr@excite.jp)
2020年10月20日まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。従来に比べ開発が早く、現在主流となっている“遺伝子組み換えワクチン”について、国立遺伝学研究所の教授・川上浩一さんはこう解説する。「遺伝子組み換え技術というのは従来のワクチンでも使われていました。従来のワクチンはウイルスの一部であるタンパク質を所定の製造工場で生み出し、それを人間に接種することで免疫を獲得するという仕組みです。しかし、アデノウイルスベクターワクチンは、人間の体自身をウイルスが持つタンパク質の製造工場に変えてしまうのです」同ワクチンが働く仕組みを、もう少しかみくだいて説明してもらおう。■アストラゼネカ社が開発「アデノウイルスベクターワクチン」の仕組み【1】新型コロナウイルスの表面にある「突起」(スパイク)のタンパク質から遺伝子を採取する。【2】チンパンジーから一般的な風邪のウイルス(アデノウイルス)の遺伝子を採取し、ヒトの体内で増殖しないように無害化する。【3】1で採取した遺伝子を再配列し、2のアデノウイルスに組み込むことでワクチンが完成する。このワクチンがヒトの細胞に入り込むと、抗体やT細胞などの免疫抗体が生成される。新型コロナウイルスに遭遇すると、抗体やキラーT細胞が召集されウイルスに取り付いて撃退する。「新型コロナウイルスが持つタンパク質の遺伝子を、『アデノウイルス』というチンパンジーの風邪のウイルスに組み込みます。それを人間に接種することで細胞内に取り込まれ、そこで新型コロナウイルスのタンパク質が作られるようになります。それによって、免疫を獲得しようという狙いがあるのです」(川上さん)大阪府の吉村洋文知事が治験に積極的になっているバイオベンチャー企業・アンジェス社と大阪大学が共同で開発中の「DNAワクチン」のほか、すでに日本が6,000万人分の供給を受けることで基本合意した米ファイザー社の「mRNAワクチン」なども、同じ遺伝子組み換えワクチンにあたる。川上さんは「短期間の治験で、億を超える数の人間に打つことは“壮大な遺伝子組み換え実験”に相当する」と警鐘を鳴らす。川上さんがとくに危惧するのは、一度人体に入ったウイルスやDNAが“どんな挙動を示すかわからない”という点だ。「アデノウイルスベクターワクチンとDNAワクチンは、遺伝物質であるDNAが私たちの細胞に取り込まれます。以前、難病患者に対して行われていた『レトロウイルスベクター』を用いた遺伝子治療では、白血病を高頻度で引き起こし、レトロウイルスベクターは使用されなくなったという事例がありました」川上さんは「可能性は低い」としながらも、アデノウイルスベクターの挙動によっては、がんやその他疾患のリスクもぬぐいきれないと話す。「今回のワクチンのように億単位の人が接種した場合、何が起こるかわかりません。人間の生殖細胞に入り込む可能性もまったくゼロとは言い切れない。そうなれば、次世代に引き継がれて生物の歴史に影響を与えてしまいます。ワクチンの安全性が高まるまで、まずは検査を拡大し、感染者を隔離することで感染拡大を止めるべきではないでしょうか」アストラゼネカ日本本社(大阪府)は本誌に対して「生殖細胞にウイルスベクターが侵入したりする懸念はないと考えている」と答えたが、“ゼロ”と言い切れないかぎり、そこにリスクはつきものだーー。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日辞意表明の会見時、「冬の到来を見据えたコロナ対策を決定した」と語った安倍首相。全国民ぶんのワクチンを確保するとも報道されたが、専門家からは安全面を懸念する声がーー。まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。谷本さんによると、アデノウイルスベクターワクチンは、従来とはまったく異なるという。「従来のワクチンは、ウイルスの活性を奪って成分にする“不活化ワクチン”などが主流でした。いっぽうアストラゼネカ社が開発したワクチンは、最新のバイオテクノロジーを駆使し、遺伝子を操作したウイルスを成分に用いています。新型コロナについては、各社も新たな方法で遺伝子ワクチン開発に精を出している。ひとくちにワクチンといっても、従来型と遺伝子ワクチンは、ウーロン茶とコーラくらい大きな成分のちがいがあるんです」谷本さんはアデノウイルスベクターワクチンについて、「理論上安全とされているが、新しいワクチンなだけに未知数な部分が大きい」と語る。開発を急ぐあまり、本来の治験期間をかなり短縮しているという。「ワクチンは、接種してから約1週間以内でおもな副反応が生じますが、長期的な副反応もゼロではありません。ですから、治験では接種後も1年くらいかけて副反応に関するデータを集め確認するのが一般的なんです」アデノウイルスベクターワクチンは、短期的な副反応でさえ強く出ている。「公開されている論文を読むと、軽度から中程度の頭痛や発熱、筋肉痛、倦怠感などを訴える治験者が多数いる。こうした副反応を軽減するため、アセトアミノフェン(パラセタモール)という鎮痛剤を4,000ミリグラム(1日に投与できる最大量)も同時に投与しています。私もこの鎮痛剤を処方することがありますが、せいぜい3分の1の量を使う程度。欧米は、新型コロナの罹患率や死亡率が高いので、副反応が強くても効果を優先して治験を行っているのでしょう」厚労省は同ワクチンについて、海外で承認が下りれば国内での治験を省略できる“特例承認”も検討している。そうなると、日本での治験が行われない可能性も……。「たとえ欧米で重篤な副反応が出ていなくても、人種や体質の違いがある以上、国内でも数千人規模の治験は行うべきです。年齢層や基礎疾患の有無によっても副反応は異なる場合があります」とくに重篤な副反応が懸念されるのは、高齢者だという。新型コロナに罹患すると重症化しやすい高齢者ほど、ワクチンが必要に思われるのだが……。「いちばん心配されるのは『抗体依存性感染増強(ADE)』という事例です。これは、ワクチン接種によって得られた免疫が過剰に反応し、罹患したときにかえって重症化してしまうというケース。最悪の場合、死につながることさえあるのです」蚊が媒介する「デング熱」のワクチン接種プログラムを行っていたフィリピンでは、このADEによる感染の重症化が多発した疑いが強まり、ワクチンの認可が取り消された。アデノウイルスベクターワクチンにおけるADEの懸念について、本誌がアストラゼネカ日本本社(大阪府)に回答を求めたところ、「感染動物モデル(第1段階)において、ADEの兆候は認められていない」という返答が。「とはいえ、ワクチン開発は第1から第3段階まで、接種する量や回数、対象年齢などを変えて、早くても4〜5年、長い場合は10年以上かけて治験を行うのがふつう。デング熱ワクチンのように製造販売後に初めて重篤な副反応がわかるケースもあります。最終段階まで観察しても何が起こるかわからないからこそ、治験は慎重に進めるべきなのです」(谷本さん)取り返しがつかないことにならないよう、政府には慎重な見極めを求めたいところだ。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日世界中で日夜、研究開発が続けられている新型コロナウイルスへのワクチン。日本も来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、安倍晋三首相は開発が順調に進んでいることをアピールしていた。実際、日本での新型コロナのワクチン開発の状況はどうなっているのか。「いま最も注目されているのが、DNAワクチンです。これは、弱毒化したウイルスなどを使うワクチンとは異なり、ウイルスの遺伝子情報を体内に注入して、抗体を作らせようというもの。英米などで開発しているワクチンにくらべて安全性が高く、製造のスピードも断然速いといいます」(医療関係者)このDNAワクチンの開発に実際に携わるなど、日本のワクチン開発の最前線にいるのが、大阪大学大学院の臨床遺伝子治療学・森下竜一寄附講座教授だ。取材を申し込むと、「ADEのリスクについて、僕に聞きますか?」と苦笑いしつつも、真摯に応じてくれた。そもそも、ワクチンとは発症や重症化を予防するために投与する、弱毒化または無毒化した抗原のこと。あらかじめ投与して病原体に対する抗体を獲得しておき病原体が侵入してきても感染あるいは重症化を抑えられるという仕組み。しかし、本来はウイルスから体を守るはずの抗体が逆に細胞への感染を促進し、重症化を引き起こしてしまう現象がADE(抗体依存性感染増強)だ。「ADEというのは、どのワクチンでも起こるリスクはあります。デング熱のワクチンでは後に重症化することがわかり、使えなくなりました。ただし、実際に開発されたワクチンではほかにあまりそういった事例はありません。今回の新型コロナワクチン開発においてもADEの懸念はあります。厚労省も含め、ワクチン開発している研究者は、みんな気にしています。ADEのリスクは事前にはわからないのです。動物実験段階ではワクチンを打った動物を新型コロナウイルスに感染させますが、そもそも動物での感染モデルでは、大きな症状がないので重症化するかどうか確認できないかもしれません。少なくとも、従来行われたDNAワクチンの臨床試験ではADEが懸念されるデータは今のところないです」次のステップとなる人間への臨床試験はワクチン投与だけで、実際に感染させる実験は困難だ。「つまり、ワクチンが開発できても、投与した人が自然に感染するまで、ADEが起きるかどうかわからないということです。ADEのリスクは0.0何%といわれていますが、新型コロナの場合、高齢者や基礎疾患を持つなどハイリスクの人の致死率は10%を超えます。どちらのリスクを選択するか。危険性を十分認識したうえで、接種する人のリスクを検討する必要があると思います」現在、森下教授らが開発中のDNAワクチンはADE以外の安全性は既存の医薬品としての実績もあり、「基本的には安全性に関する問題は少ないと思います」と語る。「しかし、開発が成功しても早くて来春です。東京五輪までワクチンを国民全員が接種することは難しいと思います。到底、数が足りません。ですから、個人的にはハイリスクの人にまずは接種すればいいと思っています。たとえば、クラスターの起きやすい介護施設や医療現場で使えばいいのではと思っています。最終的には国が判断する話ではありますが……。今後、海外から人を受け入れ始め、大流行が起きたら医療崩壊のリスクもある。だからこそ、それまでに一つの選択肢としてワクチンは用意しておかなければいけません。そのため、本来ベストにするには3年ほしいですが、それでは遅いので、ベストに近いベターにしようと努力しています」現在、開発状況は「7合目」だという。東京五輪に向けワクチン開発を急ぐあまり、国民の安全を置き去りにしてはいけない――。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月25日「早ければ年末には接種できるようになるかもしれない」安倍首相は6月14日、米国・モデルナ社や英国・アストラゼネカ社と新型コロナウイルスのワクチンの交渉中と高らかに語った。「安倍首相はワクチンの開発が順調に進んでいると認識して、18日に予定どおり、移動自粛の全面解除を表明しました」(全国紙記者)だが、東京の感染者数は連日40人を超えるなど、コロナウイルスの脅威は全く収まっていない。「ウイルスは人が運んでいるものなので、人の往来が増えればまた流行するでしょう。本当に東京五輪を開催するなら、世界中から人が日本に来ます。それを受け入れるためには集団免疫が重要。その鍵がワクチンなのですが、このワクチンに重大なリスクがあることはあまり知られていません」そう語るのは、『人類対新型ウイルス私たちはこうしてコロナに勝つ』(朝日新書)の日本語版補遺を執筆した、科学・医療ジャーナリストの塚崎朝子さんだ。「各国がワクチン開発に急ピッチで取り組んでいますが、実は抗体依存性感染増強(以下、ADE)という現象が重大な問題となる可能性もあります」そもそも、ワクチンとは発症や重症化を予防するために投与する、弱毒化または無毒化した抗原のこと。あらかじめ投与して病原体に対する抗体を獲得しておき病原体が侵入してきても感染あるいは重症化を抑えられるという仕組みだ。「しかし、本来はウイルスから体を守るはずの抗体が逆に細胞への感染を促進し、重症化を引き起こしてしまう現象がADEなのです。同じコロナウイルスが病原体のSARSやMERSでは、ワクチンの動物実験でADEが確認され、ワクチン開発は断念されました。ワクチンを打ったにもかかわらず、ウイルスに感染して、より重症化するということが起きたのです」ADEのメカニズムはまだ不明だが、今回の新型コロナウイルスのワクチンの実用化に向けても、ADEが懸念されているという。「通常、ワクチンの開発には何年もかけて効果と安全性の検証を行います。今回のワクチンは世界中で臨床試験に入っており、信じられないスピードです。日本でもいろいろハードルを下げ短期決戦で挑んでいますが、安全性の担保とのせめぎ合いでもあります」また、病気の治療薬とは違って、ワクチンは“健康な人”に打つ点も十分に考慮されるべきポイントだという。「今後、新型コロナワクチンが開発されれば、高齢者や基礎疾患のある人から投与が始まるでしょう。効果的で安全なワクチンならいいのですが、有害なワクチンを使ってかえって健康を害するということだけは避けなくてはなりません」ADEを引き起こすなど、ワクチン接種で重症化という副反応が生じる恐れがあるのだ。東京五輪に向けワクチン開発を急ぐあまり、国民の安全を置き去りにしてはいけない。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月25日定期予防接種の1つであるHibワクチン。ワクチンに添付されている注射器の針にサビが発生し、製造販売会社が1月28日以降、出荷を一時見合わせていたため、ワクチン不足となっていました。2月25日、厚生労働省はサビが発生した原因の調査結果と今後の見通しについて公表しました。 サビの原因は?製造販売業者は、調査等の結果、注射器の製造などに問題は認められず、今回のできごとは複数の要因が重なることにより偶発的に発生したものと結論づけました。これをふまえ、製造販売会社は出荷前の検査を強化するとしています。 また、厚生労働省は製造販売業者に対し、抜本的な解決に向けて必要な対応をおこなうよう指導したとのことです。そして自治体に対して、Hibワクチンを取り扱う際は引き続き目視などで異常がないか注意深く確認すること、サビが発生したものの使用を避けるよう、関係団体や医療機関に周知するよう伝えています。 ワクチン不足はどうなった!?今回の調査を受けて、ワクチンの供給不足は解消されるとのこと。3月は 57.1 万本の供給を予定しており、2019 年の実績(28.5万本)と比較しても、今後、十分な量のワクチンが供給される見込みだそうです。 万が一、サビが発生した注射針を使用した場合の影響については、局所的な炎症性反応(注射したところが赤くなる、痛みが生じる、熱を持つ)などが生じる可能性は否定できないものの、全身性又は重篤な健康影響が生じる可能性は低いとしており、今のところ、健康被害の報告はないとのことです。 今回不足したHibワクチンは、Hib 感染症に対して日本国内で承認されている唯一の予防接種ワクチンです。ワクチン不足の影響を受けて予定通りに予防接種ができなかった……という方もいらっしゃるでしょう。スケージュール通りに予防接種ができなかった場合でも、定期接種が可能な期間であれば、引き続き定期接種としての接種が可能とのこと。今後の予防接種のスケージュールはかかりつけの小児科医に相談しましょう。ワクチン不足が解消されて一安心ですね。 ■参考:厚生労働省「乾燥ヘモフィルス b 型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)(販売名:アクト ヒブ)の供給遅延の解消について」 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年03月03日赤ちゃんの予防接種は生後2カ月から実施可能になっていますが、さまざまな種類を複数回接種する必要があり、スケージュール管理に頭を悩ませるママもいらっしゃるかと思います。ですが、今、あるワクチンが不足しているという話をご存知でしょうか? 不足しているワクチンって?今回、ワクチン不足が問題になっているのは、Hib(ヒブ=インフルエンザ菌b型)による感染症を予防する「Hibワクチン」です。 Hibワクチンは定期予防接種の1つです。生後2カ月~5歳の誕生日前日まで接種でき、標準的なスケジュールでは、4~8週間隔で3回、3回目から7カ月~13カ月以上あけて4回目を接種します。この予防接種を受けることで、重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。 Hib感染症とは?Hibはヒトからヒトに飛沫感染し、特に乳幼児で発生に注意が必要であると言われています。名称に「インフルエンザ」とついていますが、季節性のインフルエンザとは別のものです。 Hibに感染しても症状が出ない場合もありますが、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎などの重篤な病気を引き起こすことがあります。そして、これらを起こした子どものうち3~6%が亡くなり、特に髄膜炎の場合は、生存した子どもの20%に難聴などの後遺症を残すと言われています。 Hib感染症の予防接種は受けられないの?Hib感染症の予防接種に使われるワクチンが入った注射器の針にサビが発生し、製造販売会社が1月28日以降、出荷を一時見合わせているとのことです。現在、原因の調査中で、今月末までに製品の出荷を再開するか、製造販売会社と厚生労働省が判断するそうです。 また、厚生労働省は、ワクチンが不足しやむを得ない場合には、特に医師が必要と認める場合などを除き、可能な限り1回目および2回目の接種を優先することとしています。 新型コロナウイルスによる感染症が広がりつつあるなか、予防接種が受けられないとなると不安も増してしまうかもしれません。まずは、月末の報告を待つしかないという状況ですが、今後の情報に留意し、予防接種のスケジュールなどはかかりつけの小児科に相談しましょう。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年02月18日「風疹や百日咳は子どもの病気だと思っていませんか。実は大人もかかるんです。原因は小さいころに打ったワクチンの効果が薄れることにあります」こう話すのは、医療ガバナンス研究所の理事長で内科医の上昌広さん。小学生のころ、はんこ注射などの予防接種を受けた覚えのある人は多いだろう。でも、大人になってもう一度接種した人は少ないのではないだろうか。「平均寿命がまだ短かった昭和の時代なら、子どものときだけでよかったかもしれませんが、長寿社会の現代では通用しません。年齢を重ねるごとに、帯状疱疹(水ぼうそう)や百日咳、破傷風の抗体は減少します。50代以降は感染症の種類によっては、予防接種を受けていない人もいて、より感染リスクは高い。だからこそ“大人の予防接種”が必要なのです」そこで上先生に、50代以上こそワクチンを接種して予防したい感染症を教えてもらった。■百日咳「読んで字のごとく、約3カ月間、咳が続きます。国立感染症研究所(感染研)によると、’16年に感染した2,835人のうち25%は20歳以上。3週間咳が続いている人の約2割は百日咳が関与しているという報告もあります」グローバル化した現代では海外からの持ち込みもあるという。「世界全体の患者数は年間1,600万人。感染力も強く、流行するリスクはつねにあります」ワクチンの効果は4〜12年で下がるといわれている。「米国では成人にも接種が推奨されています」■帯状疱疹原因となるウイルスに初感染すると、全身に発疹が出る水ぼうそうになります。成人は子どもよりも重症化しやすく、髄膜炎や肺炎などを引き起こすこともある」1度かかった大人は感染しないと思っている人は多いが……。「ウイルスはずっと神経に潜んでいて、体内の抗体が減ると、再び暴れだし、激しい痛みをともなう帯状疱疹を引き起こします。抗ウイルス薬で治療しますが、痛みを抑えるのは難しい」50代以上に多く、80歳までに3人に1人が経験するとされるが、ワクチンで予防できる。「米国では有効なワクチンが開発されて、接種希望者が急増。品薄状態にまでなっています」■ジフテリア「鼻や耳などから感染した細菌の毒素が全身に回ると、心筋炎を発症することがあります。毎年の罹患者数は多くないですが、死亡率は約10%と、感染すると命に関わります」年齢が上がると、ジフテリアに対する免疫力は下がりやすく、感染研の報告では40歳を境に、予防に十分な量の抗体を持つ人の割合を示す抗体保有率が低下する。「米国では破傷風と同様、10年に1度の予防接種を推奨しています。40〜50歳をめどに検討してみましょう」■風疹「大人が発症しても症状は軽いですが、妊婦が感染すると、胎児に障害を引き起こすことがある。空気感染で、保菌者が少し離れた部屋にいてもうつります」米国の研究では、定期接種を2回行った子どもでも、成人になる前にワクチンの効果が薄れることが報告されている。「日本では30〜40代を中心に予防接種を受けていない人や1回のみの人がいます。今からでも遅くはないので、まずは不足分の接種をしてはどうでしょうか」紹介した感染症の予防接種はすべて成人でも受けられる。しかし、費用は自己負担しなければならない。「米国では成人も保険適用でほとんどのワクチンを接種できますが、日本はまだ、そこまで制度が充実していません。ただ、たとえばインフルエンザと3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンを同時に打っても負担額は1万円程度。これで重篤な感染症を予防できると考えれば、高すぎるものではありません」自分だけではなく、大切な家族への感染を防ぐためにも、予防接種を検討してみよう。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月06日わが国の国立感染症研究所は1月31日、新型コロナウイルスの培養に成功したと発表した。中国では治療薬の試験投与も開始。ワクチン開発も進んでいると専門家は語るーー。1月29日、中国内の新型コロナウイルス感染者数が、’03年に流行したSARSの5,327人を超えたと大きく報じられた。日本国内では、ヒトからヒトへの2次感染が疑われる患者も見つかり、新型コロナウイルスの恐怖をより身近に感じている人は多いだろう。だがここで「過剰な不安を感じるよりも、冷静な目で見ること」が大切だというのは、アメリカ国立衛生研究所の病理専門医である峰宗太郎さんだ。「単に感染者数を見るだけでなく、重症化した患者数も見るべきです。現時点ではSARSの死者数(349人)と比べ、特に多い印象はありません。また、論文の報告によると死者や重症患者は、持病のある人と高齢者にとくに多く、大部分の人は風邪のように軽い症状で、3〜4日で治っています」患者数が急激に増えたのも、ウイルスが広がりやすい性質を持つこと以外に理由があるという。「検査方法が迅速に開発され、早い段階で感染の有無を中国全土で判定できるようになったのが一因でしょう。検査では、見逃しやすい無症状や軽症の感染者も発見しているので、これも感染者数が増えた要因かもしれません」もちろん、油断はできない。「中国では感染者1人が2.5〜3人にうつしていると考えられています。感染者が増えれば、日本でも流行は起こりえるでしょう」そこで期待したいのが、抗ウイルス薬だ。科学技術の発展と幸運が重なったことで、急速に開発が進んでいるという。「SARSのときはウイルスの遺伝子情報を集めるのに約1カ月ほど時間が必要でしたが、今は1日で解析できています。迅速に新型コロナウイルスの全体像を知ることができているのです」調査の結果、新型ウイルスはSARSやMERSと似ていることが明らかに。「これが幸運でした。SARSは’02年から18年も研究が続けられており、ウイルスの持つタンパク質の種類や性質はすでに判明していた。その知見を新型ウイルスに応用することができたんです」注目されたのはウイルスの増殖に関わるタンパク質。この働きを阻害する物質を見つければ、ウイルスの増殖を抑える薬を作ることができる。「さらなる幸運は、開発されていた薬のなかに、阻害効果の期待できるものが複数あったことです。中国の研究グループによると、エイズの原因ウイルスであるHIVの治療薬や多発性骨髄腫という血液がんの治療薬、漢方薬の成分などに効果がありそうで、なかでも2種類のHIV治療成分を混ぜた『カレトラ』という薬に注目が集まっています」通常なら、試験管内での実験や動物実験を経て、臨床試験を検討するのが一般的。だが、今回は、すでに市販されている抗HIV薬であることと、感染者が増えていることを踏まえて、中国は新型ウイルス感染者への投与を開始し、薬の効果を確かめる治験も同時に行っている。治療薬ばかりではなく、ワクチンの開発も進められている。科学雑誌『サイエンス』のオンラインニュースは、新興感染症に対するワクチンの開発を後押しする非営利団体「CEPI」が、3つの団体に合計1,250万ドルもの開発資金を提供したと報じた。資金提供を受けた団体の一つが、峰さんが所属する研究機関だという。「進められているのは、MERSの原因となるコロナウイルスのワクチンを応用した開発です。MERSワクチンの開発は、流行が収まったので資金が投入されず、停滞していましたが、かなり完成度の高いものがあります。新型ウイルスのワクチンはこのMERSワクチンを応用することでできる。2月中にも試験用のワクチンは出てくるでしょう」その後、動物実験や臨床試験などを経るため、ワクチン接種が始まるのは、早くても数カ月先になる見込みだが……。「アフリカで流行したエボラ出血熱のときは、その緊急性を鑑みて、コンゴでは動物実験を急ぎ、かなり早く人に投与されました。今回の新型肺炎に関しても、状況を見ながら、中国政府などが判断をしていくはずです」感染拡大を防ぐには私たちの努力も必要だ。「飛沫感染と考えられるので、咳エチケットや人混みを避けることなど感染予防の基本を守りましょう。うがいは水ですれば十分。感染の疑いがある場合は、広げないためにマスクの着用をするのが望ましいです」ウイルスが付着したドアノブや机などをさわった手で、鼻や口の周りを触割ると、感染リスクは高くなる。「そのため、なにより手洗いは重要。新型コロナウイルスは、アルコールや石けんなどの界面活性剤に弱いウイルスです。市販のアルコールジェルを買うときは、消毒効果がもっとも高いアルコール濃度70〜80%程度のものを選び、消毒するときは、手にしっかりつけて、乾くまでしっかり塗り込んでください」自己防衛を怠らず、科学技術が、新種のウイルスを克服するのを待ちたい。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月06日ウーマンエキサイトをごらんの皆さま、こんにちは! ぴなぱと申します。今回はインフルエンザの予防にひと役かってくれているワクチンにまつわる、わが家の長女こまちゃんのお話。このお話は我が家で起こった話なので、みなさんに当てはまるものではないかもしれませんが、もし参考になればうれしいです。こまちゃんがインフルエンザワクチンを最初に受けたのは、2年前の3歳の冬。子ども園の保育部に通い始めたこともあり、集団生活では感染リスクも高くなるだろうとワクチンを打つことにしました。それまで打っていなかったのでワクチンスタートの時期も知らず、受けようと思ったときには在庫切れ。ワクチンの在庫がある小児科を探していたら年が明けてしまい、打てたのは1月下旬くらいになってしまいました。そしてようやくワクチンを打った1週間後。ちょうどワクチンを打ってすぐにこまちゃんのクラスで何人かインフルエンザの報告が出て、ギリギリセーフ!と、思っていたのですが、このタイミングでまさかの発熱。抗体ができるまで2週間ほどと聞いていたので、1週間じゃダメかも…と思いつつ病院でインフルエンザの検査をすると結果はやはり陽性。一応打ったんだから、接種後1週間でもある程度効果はあるのでは?なんて思っていましたが、やはり1週間では効果はあまり期待できないかもということでした。 翌年、こまちゃん4歳の冬。去年のリベンジを! と、前年よりは少し早い時期にワクチン接種を検討しましたが、またしてもかかりつけの病院はすでに在庫切れで、たまたま「ワクチン在庫あります」という看板を見かけたクリニックで接種することに。ちなみに脳神経科でした。電話で問い合わせたところ、小児科じゃないのでアフターケアはできないけど、ワクチンを打つだけなら子どもでもOKとのことだったので、その日のうちに打ってもらうことに。すると…昼過ぎにワクチンを打ち、夜お風呂に入ろうとしたら注射したところの周りが赤く腫れていました。朝になるとさらに腫れていて、上腕全体が赤く膨らみ熱も持っていて、かゆみと痛みもあるようでした。ワクチンのせいだとは予想できましたが、前述したようにワクチンを打った脳神経科ではアフターケアはできないと言われていたので、いつも行っている小児科で診てもらうことに。今回は2回目の接種は見送りに。特にアレルギーを持っているわけでもないので(現在は喘息を診断されていますが当時はまだ微妙なところだった)、その時は「今回たまたま反応してしまっただけかもしれないね」という感じでした。 そして5歳になった今年、2度の失敗を踏まえ、かかりつけ医のワクチン予約スタート日に即予約! 3歳の時の感染は完全に私がモタモタしていたせいだし、4歳の時のアレルギー反応もこまちゃんの体質の問題なので、それまでワクチンを受けたふたつのクリニックには何の非もありませんが、接種後のことも考えるとやっぱり普段から診てもらっている病院で受けるのが安心だという結論に至りました。 無事予約枠を確保でき、いざ打ってみると…去年のはたまたまではなかったようで、またしても真っ赤に腫れ上がってしまいました…。かかりつけ医に相談し、去年のこともあるので2回目の接種のときに抗アレルギー薬を試してみようということに。2度目の接種の前の日から接種翌日まで飲んで、これでアレルギー反応を抑えてみるそうです。以前蕁麻疹か何かが出たときにも飲んだことのある薬で、その時は確かに効いたので今回もこれで行けるか!?と思ったのですが…ダメでした。ただ症状は薬を飲まなかった1度目に比べたら格段に軽く、赤みは多少あるけど腫れはほとんどない感じでした。しかし本人が感じるかゆみはやはりあるようで、薬で完全にカバーできたとは言えませんでした。こうなるとこれ以上手はなさそうです。インフルエンザに感染するかはわからないけど、ワクチンを打ったらほぼ確実アレルギー反応が出る。インフルエンザにかかった時は確かに数日辛そうで、アレルギー反応のかゆみや痛みも同じくらい…元々注射は平気な子だったのですが、インフルエンザワクチンに限っては完全に嫌なイメージがついてしまいました。予防のため、感染した時の症状を軽く済ませるためにもワクチンは有効だとはわかっていますが、いかんせんこまちゃんとは相性が悪いようでした。今回の件でインフルエンザに限らず予防接種をするときには、子どもの体質なども加味することも、判断基準にしなければいけないなのだなと改めて思ったのでした。=========================================本記事に記載された症状は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証するものではありません。=========================================
2020年01月12日大人がかかると重症化するといわれる水ぼうそう。特に妊娠中は、感染しないように気をつけなければいけません。大人が水ぼうそうにかかった場合、その症状や、かかった場合のリスクは? 予防方法は? 大人の水ぼうそうについてくわしくご紹介しましょう。【監修】イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書に、13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等30冊を数える。■大人でもかかる水ぼうそう水ぼうそうとは、水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスによる急性の伝染性疾患です。水疱(すいとう)とも呼ばれ、季節的には7~12月の時期に、9歳以下の子どもが多く発症します。大人でもかかる病気で、写真のような水疱が全身にできます。水ぼうそうの症状とは水ぼうそうの主な症状は、発熱と盛り上がった赤い発しんの出現です。約3~5mmの赤い発しんが次々に全身に出ます。発しんの症状ですが、初期は皮膚の表面が赤くなることから始まり、水疱(すいほう)、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)ができ、最後にかさぶたとなり、治癒します。すべての発しんがかさぶたになるまでに約6日かかります。水ぼうそうの症状〜大人の場合〜水ぼうそうは大人がかかると、水ぼうそうそのものが重症化する場合があります。髄膜炎や脳炎などの重い合併症の併発もあります。水ぼうそうは一度感染すると、生涯その感染症にはかからない終生免疫なので、再感染することはありませんが、ウイルスが体の中に潜伏していて、数年後に「帯状疱疹」という症状で再発することがあります。日本では年間約100万人が罹患(りかん)し、そのうち約4,000人が入院し、約20名程度が死亡に至ると推測されている病気です。子どもの場合水ぼうそうは子どもに多い病気で、発症者の90%以上が9歳以下の子どもです。水ぼうそうは子どもがかかった場合、多くは軽症で回復することが多く、重症化することはほとんどありません。しかし、熱性けいれん、肺炎、気管支炎等の合併症が出た場合は、まれに重症化することもあります。妊婦が水ぼうそうにかかると危険水ぼうそうのワクチンの普及率は世界的にも90%以上と高くなっています。妊婦が罹患する確率は0.07~0.1%と低いのですが、妊婦が妊娠後期に水ぼうそうに罹患すると、水痘肺炎など重い病気が併発することがあります。胎児への危険性も高く、流産、早産、子宮内胎児発育不全などで死亡する例もあります。感染時期によりますが、胎児が乳児期帯状疱疹、周産期水痘などさまざま病気にかかる危険性があります。人にうつる期間は?水ぼうそうは空気感染、飛沫感染、接触感染で広がり、感染から10~21日間潜伏し、その後発しんの症状が現れます。大人の場合は、出現前に全身に倦怠感を覚え、発熱が伴うこともあります。感染したウイルスは、気道粘膜から体の奥へ侵入して増殖します。感染力は極めて高く、人にうつる期間は発しんが出る1〜2日前から出現後4〜5日まで、または発しんがかさぶたになるまで感染する可能性があるといわれています。学校保健安全法では、第2種感染症に定められているため、すべての発しんがかさぶたになるまで出席停止期間となっているため、医師の判断のもとで発行される登校許可証の提出が必要な場合もあります。■大人の水ぼうそうは重症化リスクが高い大人の水ぼうそうは水痘そのものが重症化するリスクが高く、合併症の併発頻度も高いのが特徴です。免疫力が下がっている人がかかると、命の危険が伴うこともあり、大変危険な病気のひとつとされています。水痘肺炎大人の水ぼうそうに合併する病気は、水痘肺炎とよばれる肺炎が多いことが特徴です。発症の引き金となる危険因子が男性であること、妊婦であること、喫煙者であることとされています。喫煙者は非喫煙者の15倍の発症数があるとされています。その他の合併症もその他の合併症としては、皮膚の二次性細菌感染や脱水、無菌性髄膜炎や脳炎を引き起こす中枢神経合併症などが報告されています。脳炎では小脳に失調をきたすこともあります。また、子どもに多い水痘脳炎は大人でもまれに併発することがあります。ほかには肝・胆道・膵(すい)酵素上昇、横紋筋融解症などの合併が知られています。■大人の水ぼうそうを予防する水ぼうそうは人から人へ感染する伝染病のため、一番の予防法は、感染源となる人との接触を避けることです。しかし、感染源を特定することはできませんから、予防接種を受けることが一番の予防策となります。予防接種・ワクチンは受けられる?予防接種は任意のワクチンの扱いとなります。予防接種を受けるには、居住する市区町村へ問い合わせをしてみると良いでしょう。1回の接種で水ぼうそうの重症化をほぼ100 %予防することが可能で、2回接種することで水ぼうそう自体の発症を予防できるといわれています。平成26年からは、水疱ワクチンが定期接種となっています。1歳の誕生日から3歳の誕生日の前日までが対象とされています。また大人の場合、一度、水ぼうそうを発症したことがある人は免疫があるため、予防接種を受ける必要はありません。受けたかどうかがわからない場合は医療機関や居住の市区町村へ相談する必要があります。再感染の可能性も水ぼうそうは初感染から回復すると、終生免疫を得て再感染はしないとされていますが、予防接種の場合、麻疹や風疹などのワクチンとは違い、抗体の獲得率が約92%のため、再感染する可能性がります。しかし、万が一かかった場合でも症状は発しんも少なく、極めて軽症のケースが多くみられます。ウイルスは生涯潜伏しているため、子どものときにかかった水ぼうそうが大人になってから帯状疱疹として症状が出る人もいます。■家族など身の回りで感染が確認されたら水ぼうそうに感染しないためには、感染者に近づかないことが一番の回避策です。しかし、家族間の感染を防ぐことは難しく、家庭での感染率は90%との報告もあり、家庭内での隔離の難しさを表しています。今後の治療に期待できる、このような研究結果も出ています。水ぼうそうがすでに流行している施設や家族内において、感染者と接触した場合、少なくとも72時間以内に水痘ワクチンを緊急接種することで、発症を防止し、症状の軽症化が期待できるというもの。心配な場合は、受診をおすすめします。水ぼうそうは子どもの病気と思われがちですが、大人にもうつる病気です。しかも大人がかかると重症化する危険があります。妊婦がかかると、妊婦だけでなく胎児にまで影響を及ぼす可能性があります。妊娠してからでは予防接種はできないため、水ぼうそうにかかったことがない人、心配な人は、妊娠する前に病院を受診し、予防接種の相談をしてはいかがでしょうか。参考資料:・東京都感染症情報センター 「水痘」 ・厚生労働省 「水痘」 ・国立感染症研究所 「成人水痘ー妊婦の水痘などを中心に」 ・国立感染症研究所 「妊娠中の水痘:帯状疱疹ウイルス初感染により妊娠第2三半期に子宮内胎児死亡に至った1症例―兵庫県」 ・国立感染症情報所 「日本で接種可能なワクチンの種類」
2019年11月26日5歳と1歳の4学年差兄弟を育児中のゆきです!こちらの連載では次男を妊娠中のお話を書かせて頂いてます。約2年前、私が2人目妊娠後期だったとき、インフルエンザが大流行していました。15話で長男が保育園の洗礼を受け病気にかかりまくったと書きましたが、今回はインフルエンザに感染したときの話を書きたいと思います。▼長男が保育園の洗礼を受けた話はこちら ■妊娠中にインフルエンザ大流行! 予防接種は…次男出産の直前までは、上の子を預ける予定がなかったので、インフルエンザの予防接種は見送ることもありました。しかし、その年は今までと状況が違い… 妊婦の私や保育園に預ける長男りゅうが感染したら大変なので、家族全員で予防接種を接種すると決めました。しかし、その年はインフルエンザのワクチンが足りないと連日報道されているほどで…、市内の病院に電話をかけまくって、ようやく接種することができました。※週数や妊婦さんの持病などにより、接種できない場合もあるようです。必ずかかりつけ医にご相談ください。 ■これでバッチリ! と思っていたけど…パパが感染し、長男はなんと2回も感染!幸いなことに夫と長男の感染時期がずれていたので、長男を看病して大変な時は、夫に買い物などをお願いすることができました。また、出張の予定があった夫ですが、インフルエンザの長男と妊婦を残していくのが心配ということで、仕事をキャンセルして家にいてくれたのでとても助かりました。■小さい子どもがいると、感染を防ぐのは難しい…!?1人目妊娠中の時は、感染症が大流行しているときに外に出ないようにしたり、夫が感染したときは実家に避難したりと、いろいろ対策をすることができました。しかし、上の子がいるとなかなか難しく…。また、自身の体調が悪い時の看病の辛さを実感しました。 赤ちゃんが産まれてから家族で感染したらもっと大変だったろうなと思います。■予防接種だけじゃなく、日頃の対策も大切我が家は予防接種をしても感染してしまいましたが、接種していたからか夫は軽めの症状だったと思いますし、長男も後遺症などなく済んだと思っています。そして私は2人の看病をしながらも感染せずに済みました。子どもがいる状態で感染を防ぐのは難しいですが、予防接種も含め、マスクや手洗い・消毒など、しっかりと自衛しておくことが大切だと身をもって感じました。教訓を生かし、今年も我が家は家族全員で接種しました!※このコラムは個人の体験記です。週数や妊婦さんの持病などにより、接種できない場合もあるようです。必ずかかりつけ医にご相談ください。
2019年11月14日冬が近づくと心配になるのが、ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性胃腸炎。保育園などで次々と感染したり、一家全員かかって散々な目にあったり……。インフルエンザ同様にママたちを震え上がらせる怖い感染症です。ノロウイルスとロタウイルス。どちらも感染性胃腸炎で、その症状から俗に“おなかにくる風邪”“胃腸風邪”と呼ばれて一緒くたにされることが多い感染症ですが、違いはあるのでしょうか? 感染するとどのような症状? 感染を防ぐためにはどうすれば? くわしく見ていきましょう。■ノロウイルス・ロタウイルス「流行時期は?」ノロウイルスとロタウイルス、どちらも感染性胃腸炎の一つですが、何が違うのでしょうか? 流行時期から見ていきます。国立感染症研究所の近年の患者報告数によると、年によって異なりますが、ノロウイルスは晩秋から流行り始め、12月から1月ごろにピークを迎えることが多いようです。子どもも大人も関係なくかかり、再感染することもあります。一方で、ロタウイルスはノロウイルスやインフルエンザの流行が落ち着いてくる冬の終わりごろから流行り始め、3月から4月にかけてピークを迎えることが多いようです。乳幼児がかかりやすいのが特徴です。ちなみに、感染性胃腸炎は一年中かかることがあります。■ノロウイルス・ロタウイルス「症状、潜伏期間、感染経路は?」ノロウイルスとロタウイルスでは症状にどのような違いがあるのでしょうか? また、見極め方や検査方法はあるのでしょうか?【ノロウイルス】【症状】主な症状は嘔吐と下痢。急に激しい嘔吐に見舞われることが多いようです。1日から3日で治るケースが多いですが、脱水症状を招くことがあるので注意が必要です。【潜伏期間と感染期間】潜伏期間は12時間から48時間と短いのが特徴です。急性期にもっとも感染力が高まりますが、治った後も便の中にウイルスが3週間以上排出されることがあります。【感染経路】経口感染、接触感染、飛まつ感染によって広まります。二枚貝、氷、サラダ、パンなどの食品を介して感染することもあります。便の中に大量のウイルスが排出されています。また、吐しゃ物の感染力も強いのが特徴です。保育園などでの集団生活により、流行することが多くあります。【ロタウイルス】【症状】主な症状はノロウイルス同様に嘔吐と下痢です。下痢便が白くなるケースが多いのが特徴です。2日から7日で治りますが、脱水やまれにけいれんや脳症などの合併症を引き起こすことがあります。【潜伏期間と感染期間】潜伏期間は1日から3日とノロウイルスよりはやや長いのが特徴です。急性期にもっとも感染力が強く、治った後も便の中にウイルスが3週間以上排出されることがあります。【感染経路】経口感染、接触感染、飛まつ感染。【ノロウイルス・ロタウイルスの検査方法】厚生労働省によると、ノロウイルス・ロタウイルスともに便の中のウイルスを検出できる検査キットを用いて、一般病院などで調べることができます。3歳未満、65歳以上には健康保険が適用されます。結果が早く出るのはいい点ですが、感染していても陽性とならない場合があります。調べたい場合は、かかりつけの小児科医などに相談してみましょう。検査をしていなくても、流行状況から臨床診断する場合もあるようです。■ノロウイルス・ロタウイルス「ワクチン接種で予防できる?」ノロウイルスやロタウイルスを防ぐためにはどうすればいいのでしょうか?共通していえるのは、手洗いやうがいなど一般的な予防法を行うことが大切です。アルコール消毒はノロウイルスには効かず、ロタウイルスにも効きにくいため、きちんと流水で石けんを使って手洗いをするようにしましょう。ウイルスは、付着した水や食べ物、手を介したり、周辺に飛び散って感染します。そのため、感染した子どものおむつ替え後もしっかり手洗いをしましょう。嘔吐物や下痢便のついた衣服は破棄するか、0.1%次亜塩酸ナトリウム(家庭用漂白剤を薄めたものなど)で消毒をします。【ノロウイルスの予防法】殺菌には、食品の場合、85℃から90℃で90秒以上の加熱。食器類は85℃で1分以上の加熱が有効です。【ロタウイルスの予防法】予防接種により、防ぐことができます。2011年から経口ワクチンの接種(任意)が始まりました。2回接種と3回接種、2種類のワクチンがあります。2回接種の場合、1回目の接種の推奨期間は生後2~4カ月。2回目の接種は生後24週までにすませます。3回接種の場合、1回目の接種は生後2~5カ月の間に、3回目の接種は生後32週までにすませます。生ワクチンのため、接種の間隔は27日以上あけます。【ノロウイルス・ロタウイルスの登校(登園)基準】ノロウイルス・ロタウイルスともに嘔吐や下痢症状が良くなり、全身状態がよければ登校(登園)していいことになっています。保育園によっては登園許可書が必要となるところもあるので、事前に確認しておくと安心です。症状がおさまってからも、引き続き手洗いをしっかり行いましょう。大人がかかってもつらいノロウイルス。一日に何度も嘔吐や下痢になってしまっては、小さい子どもにとってはかなりつらい感染症といえそうです。ロタウイルスは予防接種により防ぐことができます。任意接種のため、費用の負担はありますが、わが子をつらい目にあわせないためにも、また周囲に感染を広げないためにも、決められた期間のワクチン接種をぜひ検討しましょう。また、日頃から親子で手洗いやうがいをしっかり習慣づけておきたいですね。参考サイト: ・国立感染症研究所「ノロウイルス等検出状況」 ・日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」 ・日本小児科学会「知っておきたいわくちん情報」 ・厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
2018年11月20日毎年、冬から春にかけて流行することが多い水ぼうそう。2014年にワクチンが定期接種化される前までは、日本国内で年間約 100 万人が水ぼうそうにかかり、約 4000 人が重症化から入院し、約 20 人が死亡していたという怖い感染症です。幼稚園や保育園のころに感染したというママも多いのでは?赤ちゃんや小さな子どもがかかるとどうなるのでしょうか? 症状や予防方法などをくわしく見ていきましょう。■ワクチンの定期予防接種「乳幼児の患者数が激減!」水ぼうそうと聞くと、幼いころに感染してつらかった…という経験を持つママも少なからずいるでしょう。日本で水ぼうそうのワクチン接種(任意)が始まったのは1987年のこと。その後、2012年に日本小児科学会からワクチンの2回接種が推奨されるようになり、2014年10月に国が接種を強くすすめる定期接種ワクチンになりました。一定の月齢に達した子どもなら、基本的に無償で接種することができます。国立感染症研究所によると、全国約3000の小児科の定点あたり、報告数(年間)は2005年~2011年まで66.1人~88.1人でした。しかし、2012年から減少し始め、定期接種化後の2015年には大幅に減って2011年の約3分の1にまでなりました。なかでも1歳~4歳の占める割合が2005年~2011年までは約70%だったのに対し、2016年には約40%にまで減少しています。患者数が大きく減ったのは、ワクチンの定期接種化が大きな要因のようです。■水ぼうそう「どんな症状? どうやってうつるの?」症状は軽くなりますが、ワクチンの接種が1回だと水ぼうそうにかかることがあります。感染すると、どんな症状が出るのでしょうか?【水ぼうそう 症状】全身、とくに顔から首にかけて、かゆみを伴う発疹や発熱があります。発疹は最初のころが紅斑(赤い発疹)で、その後は丘疹(小さな発疹)、水疱(すいほう)、膿疱(のうほう、うみのある水疱)、かさぶたの順に進行していきます。発熱はしない場合もあります。脳炎や肺炎、皮膚の細菌感染など合併症があります。白血病や免疫抑制治療を受けている子どもは死亡にいたることがあります。大人は重症化しやすい傾向にあります。免疫の低下している妊婦はとくに注意が必要です。【水ぼうそう 潜伏期間と感染期間】潜伏期間は14~16日間と比較的長いのが特徴。感染期間は発疹が現われる1~2日前から、すべての発疹がかさぶたになるまで。【水ぼうそう 感染経路】空気感染します。せきやくしゃみなどのしぶきによる飛まつ感染や接触感染、母子感染(胎内感染)もあります。水疱や膿疱にはウイルスがいるため、触れないように気をつけます。かさぶたの中にはウイルスは存在しません。■水ぼうそう予防「ワクチンは2回接種が基本!」ワクチンが定期接種化されたことで、乳幼児の患者数は減っていますが、それ以前の任意接種時代にはワクチン未接種の人が比較的多くいます。年齢の大きな子どもの患者数はあまり減っていないようなので、上に歳の離れたきょうだいがいる場合などは気をつけておきたいですね。ワクチンは1回の接種で重症化を防げますが、しっかりと免疫をつけるために2回接種がすすめられています。【水ぼうそう 予防方法】1歳以上3歳未満の子どもは、1回目を受けてから3カ月以上あけて2回接種します。感染力が強いため、1歳になったらすぐ接種するようにしましょう。費用の負担はありますが、日本小児科学会では3歳以上でも2回目の接種を受けることを推奨しています。【水ぼうそう 登校(登園)基準】学校保健安全法により、すべての発疹がかさぶたになるまで出席停止とされています。1回かかってしまうと、症状がおさまるまで1週間くらいかかる水ぼうそう。働いているママにとっては、インフルエンザ同様に頭を悩ませる感染症です。1回しかワクチンを接種していない場合は、忘れずに2回接種して確実に防ぎたいですね。参考サイト: ・国立感染症研究所「水痘ワクチン定期接種後の水痘発生動向の変化」 ・日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」
2018年11月05日朝晩めっきり冷え込んで「冬」の気配を感じられるようになると、心配になるのが、子どもの感染症。冬の感染症といえば、インフルエンザが真っ先に思い浮かびますね。子どもが通う保育園や幼稚園、学校のクラスではやっていると聞いた暁には「どうか、かかりませんように」「今、休まれると仕事が…!」などと気が気でない日々を過ごすママも多いはず。今年のインフルエンザはどうなるの? 症状や対策は? くわしく解説していきましょう。■インフルエンザ2018「すでに学級閉鎖も」厚生労働省は10月12日、10月1日から7日の1週間のインフルエンザ報告数を発表しました。全国で848人(昨年同期1047人)、定点あたり0.17人(昨年同期0.21人)と、いずれも昨年よりはやや少ないようです。しかし、都道府県別にみると、沖縄県では2.79人となっており、9月10日の週から1.33人とすでに流行開始の目安となる1.00人を上回っている状態が続いています。9月に茨城県や東京都、福岡県などでインフルエンザによる学級閉鎖が報道され、驚いたママもいるでしょう。その後も全国的に学級閉鎖になる施設はじわりと広がっており、東京都では9月に入ってからすでに累計で13、大阪府では15にのぼっています。10月7日までの1週間では、全国で18の施設が学年閉鎖や学級閉鎖になりました。全国的に流行しているとはいえませんが、自分が住んでいる近くの施設ではやっている場合は、特に注意が必要といえそうです。流行シーズンはまだ先…と油断しているママも、気をつけておきたいですね。■インフルエンザ「どんな症状? どうやってうつるの?」【症状】急激に発病し、爆発的なスピードで感染が広がります。寒けや頭痛、高熱(39~40℃)により発病します。頭痛とともにせきや鼻水から始まる場合もあります。高熱が数日から1週間近く続きます。全身に倦怠感や筋肉痛がみられたり、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛を引き起こす場合もあります。A型やB型などウイルスによっても症状が異なります。合併症として、脳炎、脳症、中耳炎などがあり、乳幼児は重症化しやすいので注意。けいれんや意識障害を引き起こし、後遺症が残るケースもあります。また、異常行動があらわれることがあり、子どもが大きくなってからも見守りが必要といえます。【潜伏期間と感染期間】潜伏期間は1~4日、平均して2日です。感染期間は発病する1日前から3日目がピークで、7日目頃まで。低年齢児は感染が長引く傾向にあります。【感染経路】せきやくしゃみなどのしぶきによる飛まつによって感染します。接触感染もあります。毎年12月頃から翌年3月頃にかけて流行します。A型は大流行しやすいですが、B型は局地的な流行で終わることが多いとされています。■インフルエンザ「今年のワクチンは? 予防接種はいつがいい?」昨年はワクチン不足が騒がれ、「予防接種を受けたいのにワクチンがなくて受けられない!」と小児科をかけ回ったママもいるのでは? 今年は大丈夫でしょうか?厚生労働省によると、今年は例年並みのワクチン供給量を確保しているようです。今年は「ワクチンが足りない!」ということはなさそうなので、ひと安心ですね。【予防方法】飛まつ感染を防ぐためには、手洗いやうがいが効果的です。生後6カ月以降なら赤ちゃんでも任意接種で受けることができます。子どもは2回接種。10月から12月に2~4週間の間をあけて2回受けるのがいいでしょう。予防接種をしても、インフルエンザにかかる可能性はありますが、重症化することを防げます。小さな子どもがいる家庭では、家族全員で予防接種を受けるようにするといいでしょう。万が一、インフルエンザがはやっている時期に熱やせきなどの症状がある場合は、無理せずに安静にするようにし、全身症状が悪い場合は病院を受診します。外出を控え、必要に応じてマスクを着けましょう。【登校(登園)基準】学校保健安全法では、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで。 幼児においては、発症した後 5 日を経過し、かつ解熱した後 3 日を経過するまでが、出席停止の目安とされています。抗インフルエンザ薬を使用して早く熱が下がった場合でも、発症してから5日は欠席が望ましいでしょう。保育園や幼稚園、学校によりますが、登校(登園)許可書の提出を求められる場合が多いようです。これからの流行シーズンに備えて、早めに予防接種をしておくのが良さそうですね。予防接種の枠がすぐに埋まってしまう小児科もあるので、予約は早めにしておくといいでしょう。参考サイト: ・厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」 ・日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」
2018年10月21日