バロック時代のイタリアの作曲家アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)の代表曲『四季』は、クラシック音楽の長い歴史の中でも最も人気の高い作品のひとつだ。この曲が作曲されたのは1723年。ヴィヴァルディ45歳の時とされている。この名曲『四季』を軸に、ヴィヴァルディの父ジョヴァンニが、息子アントニオと育んだ栄光と挫折、そして希望に満ちた人生を4つの季節である「四季」になぞらえ、彼の代表曲ヴァイオリン協奏曲集『四季』にそって描きだす“バロック音楽劇”『四季』の東京公演が開幕する。今まであまり触れられることのなかったヴィヴァルディの真実とはいかに。クラシック史上最大のヒット曲誕生から300年の時を経て、そのすべてが明らかになる。物語の舞台は1703年のイタリアだ。アントニオ・ヴィヴァルディ(高田翔)25歳。そしてその父ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ(辰巳琢郎)48歳。サン・マルコ広場近くのカフェでは、いつものように女主人のメリッサ(一色采子)と給仕のマルタ(寿三美)のもとに、様々な人たちが集っている。床屋でありながらヴァイオリンに長け、サン・マルコ大聖堂のヴァイオリニストにも選ばれていたジョヴァンニは、息子アントニオの才能を見抜き、どうしても音楽の道で成功させたいと願い、まずは神学校に入れ、遂には司祭にして身分に箔をつけさせた。今日もこのカフェに来ては息子自慢をしながら、息子をプロデュースするジョヴァンニ。さてさて、この後の展開やいかに。ヴィヴァルディの名曲と共に進行する物語は、普段のコンサートでは体験できない面白さ。音楽劇ならではの親しみやすさにもぜひご注目を!バロック音楽劇『ヴィヴァルディ四季』12月27日(水)、28日(木)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール2024年1月6日(土)〜14日(日)新国立劇場 小劇場
2023年12月22日音枕OtomakuRa(代表:梶野絵奈)主催『コンサートに行ってみようヴィヴァルディ「四季」全曲』が2021年12⽉14⽇(火) に三鷹市芸術文化センター風のホール(東京都三鷹市)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松大剛)にて11月16日(火)より発売開始です。カンフェティで11月16日(火)12:00よりチケット発売開始 公式ホームページ 初めての人も、久しぶりの人も、コンサートに行ってみませんか。お馴染みの名曲を中心とした、休憩なし約1時間のプログラムをご用意しました。クラシックのコンサートが初めての人にも、感染症が気になる人にも、肩の力を抜いて楽しんでいただけますように。ヴィヴァルディ「四季」のソリストを務めるのは、地元・三鷹市出身の梶野絵奈。2019年に現役ヴァイオリニストとして初めて東京大学大学院より博士号を取得し、演奏はもとより研究や教育にも活動の幅を広げています。【演奏曲目】ヴィヴァルディ弦楽のための協奏曲 イ長調 RV158ヴィヴァルディヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』より「四季」全曲このささやかなコンサートは、コロナ禍の音楽家に久しぶりの演奏機会を提供するとともに、来場のお客様にとっても、新しい日常を生きる活力の源となることを願って企画されました。昨年来続く、コロナ感染症の流行によって、小中学校における音楽鑑賞教室の実施が著しく妨げられている状況があります。そして学生や、社会人であっても、非正規雇用であったり、働き始めたばかりであったりと、経済的な理由でコンサートに行くことを断念しなければならない若者も、世の中には多く存在します。本公演は、若い世代へのクラシック音楽の普及を目的として、25歳以下のお客様には1,000円で前売チケットを販売し、生の音楽に触れる感動を体験してもらいたいと考えています。東京都の感染拡大防止ガイドラインを遵守して公演を実施します。お客様のコロナ感染のリスクを下げるため、休憩なし、約1時間の短いプログラム構成としました。現在、大声での歓声や声援等を伴わないクラシック音楽のコンサートでは、収容率100%までチケットを販売するものも増えてきましたが、それでは不安に感じるというお客様もいらっしゃいます。そこで本公演では、2階席(固定席185)に1席おきの座席使用制限を設け、コロナ感染が特に不安だというお客様にはそちらを選んでいただくようにしました。なお1階席(固定席440)は、前方2列を使用しないほかは、すべての座席にお客様をご案内します。本公演は、文化庁令和2年度第三次補正予算「ARTS for the future!」(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)の補助対象事業です。音枕OtomakuRa音枕OtomakuRaは、ヴァイオリニストの梶野絵奈を中心に、2021年1月に設立された団体です。音楽家が、音楽を人々に届けて、喜んでもらうという、夢のような職業であり続けるために、音楽家自らが発信するプロジェクトを支え、更にはその活動を通して、性差や年齢差など、あらゆる差異をも超えて、世の人々が精神的な豊かさを共有できる社会づくりの一端を担うことを目的としています。YouTube配信 公演概要『コンサートに行ってみよう ヴィヴァルディ「四季」全曲』開催日時:2021年12月14日(火) 19:00開演/18:30開場会場:三鷹市芸術文化センター 風のホール(東京都三鷹市上連雀6-12-14)■出演梶野絵奈(ヴァイオリン・ソロ)石川友香里(チェンバロ)塗矢真弥(コンサートミストレス)鈴木弘一(セカンドヴァイオリン首席)特別編成音枕弦楽合奏団■チケット料金一般:2,500円U25:1,000円(全席指定・税込)※当日券:3,000円 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年11月16日去る5月末、東京芸術祭特別公演「ファンタスティック・サイト」として、大駱駝艦・天賦典式『Crazy Camel Garden』公演が、東京都庭園美術館の芝庭で行われた。「ファンタスティック・サイト」とは、「江戸から明治へと歩き出し」「ときには動揺しながらも、その文化をしなやかに受け入れ、新たな社会を形成してき」た日本の、「時代の狭間が存在し続ける土地を舞台に、日本発の芸術表現である舞踏やそのエッセンスを受け継ぐアーティストたちのパフォーマンスによって、当時そのままの風景や感情をありありと浮かび上がらせ」るという試みだ。1960年代に土方巽や大野一雄らによって創設、発展された舞踏は、近代化・西洋化が進む日本にあって、前近代的で土着的な身体を目指した前衛芸術。今では世界でも「BUTOH」の名で知られるジャンルとなっている。大駱駝艦を率いる麿赤兒は土方巽に師事し、1972年に大駱駝艦を旗揚げ。国内外で精力的に公演活動を展開している。今回の『Crazy Camel Garden』は2012年にパリで初演された『Crazy Camel』を原型としており、タイトルはパリの有名なキャバレー「Crazy Horse」に由来する。一方、会場となった庭園美術館は、久邇宮朝彦親王の第8王子である鳩彦王が1906年に創立した宮家・朝香宮家の邸宅だった場所。フランスに長期滞在していた朝香宮夫妻は、フランス人芸術家アンリ・ラパンに主要な部屋の設計を依頼し、日本古来の職人技を駆使しながらアールデコ様式でこの邸宅を作った。つまり、今回の『Crazy Camel Garden』はまさに、様々なレイヤーで近代と前近代、日本と西欧が交錯する催しであるわけだ。晴れて心地よい風が吹く夕べとなった公演最終日、芝庭の特設舞台にまず現れたのは、全身に金粉を塗った舞踊手たち。舞踏の創成期、踊り手たちはキャバレーなどでの金粉ショーに出演して生計を立てた歴史があり、大駱駝艦では今も路上などで金粉ショーを行っているが、『Crazy Camel Garden』の舞台上に居並び、こちらをみつめる舞踊手たちはさながら、三十三間堂の仏像だ。次第に深まる夜闇の中、金色の肉体がきらめくさまは実に艶やか。初日は雨だったようだが、濡れた身体もまた風情があったことだろう。と、そこに、リボンとセーラー服の白塗りの女学生(麿赤兒、鉾久奈緒美)がやってくる。容姿は対照的だが仲良く戯れる二人。しかしそこに男子学生(村松卓矢)が登場すると、彼女たちの様子は一変。競い合うように、男子学生を誘惑し始める。激しい恋の鞘当てにもかかわらず、モネの画集を持ち歩く、どこか気取った男子学生は、どちらにもなびかない。ヴィヴァルディ「四季」に乗せて彼らの人生の四季も移ろい、二人に服を脱がされた男子学生は老人の姿に。人生が永続するかのような錯覚は、この一瞬によって裏切られ、儚さを露呈する。本作はパリでの初演後、形を変えながら日本各地で上演されているが、今回はシンプルな構成となった分、群舞のダイナミズムが際立った半面、女学生と男子学生のドラマには枯淡の趣が増したようにも感じた。金色の肉体の中で描かれる性の目覚め、成長、そして老い。聖俗も時も超え、大駱駝艦のパフォーマンスはひととき庭園に降り立ち、そして美しく消えたのだった。取材・文:高橋彩子【開催概要】東京芸術祭特別公演 ファンタスティック・サイト 大駱駝艦・天賦典式『Crazy Camel Garden』日程:5月21日(金)・22日(土)・23日(日) ※公演終了会場:東京都庭園美術館・芝庭振付・美術・演出:麿 赤兒出演:麿 赤兒、村松卓矢、田村一行、高桑晶子、鉾久奈緒美ほか
2021年06月04日『スナッチ』『シャーロック・ホームズ』シリーズのガイ・リッチーが監督・脚本・製作を務めた映画『ジェントルメン』より、昭和の任侠映画を彷彿とさせるWEB限定の予告編が公開された。本作は、マシュー・マコノヒーやチャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、コリン・ファレル、ヒュー・グラントら豪華俳優が集結した痛快クライム・サスペンス。世界興収1億ドルを突破し、いよいよ日本公開間近となった本作から新たに今回到着した「『ジェントルメン』予告編 極道紳士Ver.」と題された映像では、ヴィヴァルディの「四季」より“春”に乗せて、「新世紀エヴァンゲリオン」の碇ゲンドウ役や「銀魂」の長谷川泰三役、「世界の果てまでイッテQ!」「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」などのナレーションでもお馴染みの立木文彦のナレーションで幕を開ける。そして、任侠映画の予告編を思わせる映像へと変化し、百獣の王、頼れる相棒、鬼嫁、お坊ちゃん、ゲス野郎などとキャラクターたちを紹介していく。そんな本映像を見たリッチー監督から「Amazing, Cool, Fantastic. I Love it!」と、とても気に入った様子のコメントも到着した。『ジェントルメン』は5月7日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ジェントルメン 2021年5月7日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2020 Coach Films UK Ltd. All Rights Reserved.
2021年04月29日毎年春に杉並公会堂で開催する日本フィル春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわる オーケストラ!」も12回目。子どもたちが五感を使って楽しめるフェスティバルで、毎年完売の人気公演だ。今回は、「今こそ子どもたちに聴いていただきたい魅力あるオーケストラ・サウンド」を約60分のオーケストラ・コンサートに凝縮し、永峰大輔さん(指揮)、江原陽子さん(司会)が親しみやすくストーリー仕立てで音楽の世界へ誘う。子どもたちを飽きさせない工夫が満載だ。残念ながら今年は感染症拡大予防のため、楽器体験やバックステージツアー等の各種イベントは行われないが、代わりに、購入者にはアンサンブルの演奏やオーケストラ奏者の1日に迫った「特典映像」をプレゼント。入場は4歳以上で座席は前後左右間隔を空けるなど感染症対策を実施しているので、安心して親子で音楽を楽しんで欲しい。チケット好評発売中!【公演概要】日本フィル春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわるオーケストラ!」2021年3月28日(日)11時開演/15時開演杉並公会堂大ホール指揮:永峰大輔司会:江原陽子管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団[プログラム]チャイコフスキー:バレエ《眠れる森の美女》より ワルツビゼー:《子どもの遊び》より「ギャロップ」ビゼー:歌劇《カルメン》より「ジプシーの踊り」ヴィヴァルディ:《四季》「冬」より第2楽章ベートーヴェン:序曲《レオノーレ》第3番マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より 間奏曲J.シュトラウスⅡ世:歌劇《こうもり》序曲入場券2,500円(全席指定)※休憩なし、約60分の公演です。※ご来場時にマスク着用必須となるため、入場は4歳以上となります。※チケットはお一人様一枚ご用意ください。※感染症対策を施し、政府や自治体等のガイドラインに従って販売いたします。以下を必ずお読みください。(座席数はホールの50%を使用し、前後左右を空けてご着席いただきます。)ご来場時の新型コロナウイルス感染症予防対策のお願い※出演者、曲目等は変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。※今後の状況によっては開催できなくなる可能性もございます。開催の可否は当日必ずホームページにて開催をご確認の上、ご出発ください。
2021年03月18日1966年ドイツ・ハーメルン生まれの作曲家マックス・リヒターをご存知だろうか。クラシック音楽とエレクトロニック・ミュージックを融合させた音楽、いわゆる「ポスト・クラシカル」の旗手と呼ばれる人物だ。その彼のライフワークと言える「眠り」をテーマにした音楽と、その効果を実証するかのような“真夜中のコンサート”の模様を描いたドキュメンタリー映画が公開される(3月26日よりロードショー)。音楽、特にクラシックは“かしこまって静かに聴く”といったイメージの対極にある「眠り」のためのコンサートでは、会場である野外パークに集まった人々が、用意された簡易ベットの上で、深夜から朝までの時間を思い思いに過ごすのだ。生演奏が延々と続く中で人は一体何を感じ何を思うのか。ロサンゼルスの野外グランド・パークやシドニーのオペラ・ハウス、さらにはアントワープの聖母大聖堂など、さまざまな会場において行われる“眠り”と“目覚め”が、マックス・リヒターの人生を重ねながら描かれる本作は、まさに心地よい「眠り」を求める現代人に向けた「マックス・リヒターからの招待状」に違いない。(C)2018 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin All Rights Reserved(C)2018 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin All Rights Reserved『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』監督:ナタリー・ジョンズ製作:ステファン・デメトリウ、ジュリー・ヤコベク、ウアリド・ムアネス、ユリア・マール撮影:エリーシャ・クリスチャン出演:マックス・リヒター、ユリア・マール、(ソプラノ)グレース・デイヴィッドソン、(チェロ)エミリー・ブラウサ、クラリス・ジェンセン、(ヴィオラ)イザベル・ヘイゲン、(ヴァイオリン)ベン・ラッセル、アンドリュー・トール2019年/イギリス/英語/99分/シネスコサイズ/原題:Max Richter’s Sleep/映倫:G配給:アット エンタテインメント●映画公式サイト: ●アルバム情報: ●MAX RICHTERマックス・リヒター/作曲家・ミュージシャン1966年3月22日ドイツ・ハーメルンに生まれ、イングランド・ベッドフォードで育つ。エディンバラ大学と英国王立音楽院でピアノと作曲を学んだ後、フィレンツェでルチアーノ・ベリオに作曲を師事。2002年、オーケストラとエレクトロニクスのための『メモリーハウス』でソロ・アルバム・デビューを果たす。その後、イラク侵攻に反対する目的で作曲された『ブルー・ノートブック』(2004)、村上春樹の小説にインスパイアされた『ソングズ・フロム・ビフォー』(2006)、携帯電話の着信音を変奏曲形式で作曲した『24 Postcards in Full Colour』(2008)、ロンドン地下鉄テロ犠牲者を追悼した『インフラ』(2010)、ヴィヴァルディ《四季》全曲をリコンポーズ(再作曲)した『25%のヴィヴァルディ』(2012、英米独iTunesクラシックチャート第1位)、睡眠中のリスニングを前提とした8時間の大作『スリープ』(2015)、作家ヴァージニア・ウルフの小説と生涯を音楽化した『3つの世界:ウルフ・ワークス(ヴァージニア・ウルフ作品集)より』(2017)と、新作を発表するたびに斬新な作曲アプローチに挑み、クラシックとエレクトロニカを融合したポスト・クラシカルのカリスマ作曲家として絶大な人気を集める。映画/テレビのサウンドトラックも数多く手がけ、『戦場でワルツを』(2008、ヨーロッパ映画賞作曲賞)『さよなら、アドルフ』(2014、バイエルン映画賞作曲賞およびストックホルム映画祭作曲賞)『LEFTOVERS/残された世界』(2014-17、HMMAテレビテーマ作曲賞)『女神の見えざる手』(2016)『TABOO タブー』(2017)『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(2018、HMMA劇映画作曲賞)などで高い評価を得ている。映画『メッセージ』(2016)に使用された《オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト》(『ブルー・ノートブック』収録曲)は公開時、日本でもiTunesクラシックチャート第1位を獲得した。初来日は2004年。2019年3月には「すみだ平和祈念音楽祭」出演のため、15年ぶりの来日。
2021年03月12日一生忘れ得ぬ、鮮烈な恋の決して消えることのない燃ゆる炎を描いたフランス映画『燃ゆる女の肖像』。世界が絶賛を惜しまない必見作から、主人公のふたりの女性の心が初めて近づく、印象的な本編シーン映像を独占入手した。貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)は、相手の顔さえ知らない見合いを控えて修道院から出てきたばかり。見合いのための肖像画を描かれることを拒んでいた。そんな彼女の前に、“散歩相手”であると身分を偽った画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)が現れる。ふたりはともに島を散策するが、親が決めた未来に悲観し心を閉ざしたエロイーズは笑うことさえしなかった。今回到着したシーンは、ミサでしか音楽を聴いたことのないエロイーズのために、マリアンヌが古いオルガンで好きなオーケストラ用の曲であるヴィヴァルディの協奏曲「四季」より「夏」を聴かせてあげる場面。エロイーズの表情は硬いままだが、マリアンヌの奏でる自然の息遣いとその解説に興味津々なことが伺える。そして、こわばりながらもマリアンヌに向けて初めて笑顔を見せる――。アデル・エネルは、「修道院を出てきたばかりのエロイーズは誰かとコラボレーション(協働)をできるような状況にありませんが、エロイーズを演じる上で私が追求したのは、レジスタンスのもたらす可能性です。私たちは、現実に存在し抵抗する人物の生き様を描きたいと思いました」と語る。マリアンヌとエロイーズがともに過ごすわずかな日々を通じて、ふたりの心にどんな解放と“レジスタンス”が生まれるのか、注目したい。音楽を「求めながらも遠い存在のものとして描きたい」ちなみに、本作では音楽がこの「夏」を含め2曲しか使われておらず、それは登場人物たちが実際に歌い奏で耳にする音楽だ。セリーヌ・シアマ監督はこうした音楽の使い方について、「彼女たちの人生において、音楽は求めながらも遠い存在のものとして描きたいと思いました。そして、その感覚を観客の皆さんにも共有してほしかったのです」と明かし、「この映画で、美術や文学や音楽などのアートこそが、私たちの感情を完全に解放してくれることを描きたいと思いました」と狙いを語る。また、「夏」は後のシーンで実際にオーケストラによる曲としても登場する。シアマ監督が最初に脚本に取り掛かったのがそのシーンであるといい、そこで「夏」を使うことは当初から考えていたという。つまり、この本編シーンはその場面への伏線ともいえるが、その余りに圧倒的なシーンに触れれば、誰もがシアマ監督のビジョンに感嘆することだろう。『燃ゆる女の肖像』は12月4日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:燃ゆる女の肖像 2020年12月4日よりTOHO シネマズシャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開©Lilies Films.
2020年11月30日昨年のカンヌ国際映画祭で脚本賞とクィアパルム賞をW受賞し、世界の映画人から絶賛を受けるフランス映画『燃ゆる女の肖像』。この度、女性画家と貴族の娘が徐々に距離を縮めていく様子と、彼女たちの視線を堪能する新場面写真10枚が一挙に到着した。母が決めた望まぬ結婚を控える貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)と、その肖像画を描くことになった画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)。描き上げた肖像画を自らの手で消してしまったマリアンヌに対し、エロイーズがモデルになると申し出たことをきっかけに、ふたりは急速に接近していく。解禁となった新場面写真では、ひとりになることを好むエロイーズから離れた岩陰で、マリアンヌがこっそり彼女のことを描き留めようとするマリアンヌや、マリアンヌが大好きな曲であるヴィヴァルディ協奏曲第2番ト短調 RV 315「夏」をつたないピアノ演奏でエロイーズに聴かせてあげるシーンをとらえる。眠ってしまったエロイーズの寝顔をこっそり描き始めるマリアンヌの姿など、ふたりが徐々に距離を縮めていく様子を写し出す。また、マリアンヌの前を進んでいたエロイーズが振り向き初めてマリアンヌを見る重要シーン、泳げもしないのに海に入りたいとドレスを脱ぎ捨てひとりで海に向かうエロイーズの姿、暗闇の中で純白の衣装を着て佇むどこか幻想的なエロイーズも…。エロイーズがひとりで写っているカットは、全て劇中マリアンヌの視線そのもの。これらの場面写真だけでも、ふたりの“視線”が映画の中で重要な意味合いを持つことが伝わる場面写真となっている。セリーヌ・シアマ監督は、「この物語のことを空想し始めて、すぐにぶつかった難題が18世紀当時の女性たちの親密な感情を表現することでした。女性たちは、自分たちの将来がすでに決められているものであることは分かっていた一方で、定められた運命以外の体験もしていました。好奇心旺盛で、賢く、恋愛することを望んでいたのです」と語る。「女性たちの欲求が当時の世界では禁じられていたものであったとしても、その事実は変わりません。1人になったときようやく、すべての儀礼から解放され、警戒感が解け、気を抜くことが許されます。自分の体が自分のものになる唯一の時間でした。私は、彼女たちの友情や問いかけ、その姿勢、ユーモア、そして、走ることへの情熱に報いたかったのです」と、エロイーズやマリアンヌのような女性をはじめとする、当時の女性たちに心を寄せる印象的なコメントを寄せている。『燃ゆる女の肖像』は12月4日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:燃ゆる女の肖像 2020年12月4日よりTOHO シネマズシャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開©Lilies Films.
2020年10月26日2年前の2018年にスタートした、ギタリスト荘村清志のスペシャル・プロジェクト「デビュー50周年特別公演」がいよいよ大団円を迎える。Vol.4の今回は、大友直人指揮東京都交響楽団との共演によるロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を中心に据えた豪華なプログラムが用意され、50周年記念の最後を飾る素敵なステージに華を添える。その中身はといえば、モーツァルトのオペラ「皇帝ティートの慈悲」序曲を皮切りに、ロドリーゴの代表作「あるき貴紳のための幻想曲」&「アランフェス協奏曲」のほか、cobaの「ギター協奏曲」世界初演まで行われるという、なんとも盛り沢山な内容だ。しかも会場は、日本最高峰のステイタスを誇るサントリーホールとなれば、ギターファンならずとも気になるところ。ピアノと並んで最も身近な楽器ギターの奥深さを、“ギター界のレジェンド”のステージで堪能したい。●公演概要3月29日(日)サントリーホール「荘村清志 スペシャル・プロジェクト vol.4デビュー50周年特別公演」●荘村清志(ギター)荘村清志は実力、人気ともに日本を代表するギター奏者として近年ますます充実した活動を展開している。2017年から20年にかけてギターの様々な可能性を追求する「荘村清志スペシャル・プロジェクト」(全4回)に取り組んでいる。第1回は17年にさだまさしと、第2回は18年6月(いずれも東京オペラシティコンサートホール)にcoba、古澤巌、錦織健と共演し、ジャンルの垣根を越えたコラボレーションが話題となった。本年はデビュー50周年に当たり全国各地でリサイタルを行っている。9歳からギターを始め、父・荘村正人と、後に小原安正に師事する。1963年、来日した巨匠ナルシソ・イエペスの歓迎演奏会で氏に認められ、翌年スペインに渡りイエペスに師事。同時期にスペインに滞在していた岩崎洋に音楽理論も学ぶ。1967年イタリア各地で18回、翌1968年にはミラノなど22都市でリサイタルを開き、各地で好評を博す。帰国後、1969年の日本デビュー・リサイタルで、「テクニック、音楽性ともに第一人者」との高い評価を得る。1971年にイタリアで開かれた世界青少年協会国際フェスティヴァルに日本代表ギタリストとして参加し、この成功により北米各都市で28回にのぼる公演を開き、国際的評価を確実なものにする。1974年にはNHK教育テレビ「ギターを弾こう」に講師として出演し、一躍、日本全国にその名と実力が知られることになった。1977年と1980年に再びスペインに渡り、イエペスのもとでさらに研鑚を積み、ヨーロッパ各地でコンサート活動を行なう。以後、リサイタルや、日本の主要オーケストラとの共演で活躍を続けている。99年マルク・グローウェルス(フルート)、2001年グローウェルスと、インマ・ゴンザレス(カスタネット)との共演、2004年女優の岸田今日子とのコラボレーションによる《ギターと朗読の庭》のツアーを行い、カステルヌオーヴォ=テデスコの「プラテーロとわたし」をメインにした内容が好評を博す。05年にはCD《郷愁のショーロ》をリリース、アコーディオンのシュテファン・フッソングをゲストに、猿谷紀郎の委嘱新曲と新アレンジを含む意欲的なアルバムで、東京や大阪で記念コンサートを開催するなどギターの魅力をさまざまな形で伝えている。07年にはNHK教育テレビ「趣味悠々」に講師として登場し、改めて日本ギター界の第一人者としての存在を強く印象づけた。08年ミラノ弦楽合奏団の日本ツアーにソリストとして参加。同年ビルバオ交響楽団の定期演奏会に出演。《アランフェス協奏曲》を録音09年にCDをリリース、また同団との日本ツアーを行い好評を博した。14年デビュー45周年を記念して東京にて大友直人指揮東京都交響楽団と協奏曲3曲を演奏。2015年10月にはイ・ムジチ合奏団と共演、レコーディングを行い、ジュリアーニ、ヴィヴァルディのギター協奏曲を含むアルバムが16年1月にリリースされた。現代のギター作品を意欲的に取り上げるだけでなく、日本人作曲家に多数の作品を委嘱、初演するなど、ギターのレパートリー拡大にも大きく貢献している。特に武満徹には74年に「フォリオス」、93年に「エキノクス」を委嘱、77年荘村のために編曲された「ギターのための12の歌」を初演・録音、96年には「森のなかで」を全曲初演している。16年は武満徹没後20年に際し、同氏のギター曲を各地で演奏し好評を得た。現在、東京音楽大学客員教授。
2020年03月18日開館65周年を記念した神奈川県立音楽堂の室内オペラ・プロジェクト公演、ヘンデルのオペラ『シッラ』が開催される。全く耳慣れないこのタイトルにもかかわらず、おそらく多くのオペラファンが興味津々である理由は、このオペラを手掛ける団体が、ファビオ・ビオンディとエウローパ・ガランテだからではないだろうか。“世界最高峰のバロック・バンド”とでも言うべき彼らの演奏は鮮烈の極み。過去に体験した圧倒的な名演奏を思えば、今回の公演への期待感も当然。どんな刺激を与えてくれるのか楽しみでならない。一方、『シッラ』とは一体どんな作品なのかといえば「ヘンデルの美しい音楽がぎっしりつまったオペラ」という言葉がピッタリの誰にでも楽しめる作品だ。日本初演となる今回の公演によって、バロック・オペラの新た魅力に出会えることを期待したい。●公演概要2月29日(土)、3月1日(日)神奈川県立音楽堂ヘンデル『シッラ』全3幕ファビオ・ビオンディ指揮エウローパ・ガランテ●ファビオ・ビオンディFabio Biondi(音楽監督:指揮・ヴァイオリン)イタリア、パレルモ出身。1990年、イタリア・バロック音楽アンサンブル「エウローパ・ガランテ」を結成。ソリスト、指揮者としても数多くのオーケストラと共演。ノルウェー・スタヴァンゲル交響楽団のバロック音楽のための芸術監督。サンタ・チェチーリア音楽院学芸員。バレンシアのパラ・ド・ラ・アルテオーケストラ音楽監督。2015年、フランス文化省から芸術と文学の国家学術員に指名されるなど、世界の古楽界を牽引し続けている。●エウローパ・ガランテEuropa Glante(管弦楽)1990年、音楽監督であるファビオ・ビオンディによって設立された古楽アンサンブル。パルマのドゥーエ劇場を活動拠点として、バロック、古典の作品を当時の楽器で演奏しイタリア国内のみならず世界中に招かれている。バロックの器楽曲のほか、ヴィヴァルディ作曲『バヤゼット』『テルモドンテ川のエルコレ(ヘラクレス)』『メッセニアの神託』ほか、ヘンデル作曲『アグリッピーナ』『イメネオ』等、バロック・オペラやオラトリオもレパートリーとしている。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院とは共同で、アントニオ・カルダーラ『キリストの受難』、レオナルド・レーオ『カルヴァリオの丘の聖エレナ』等、18世紀以前のイタリア・オペラの再発掘や復元に尽力し、CDのリリース、受賞歴も多い。
2020年02月21日新年の幕開けは、普段とは一味違う贅沢な時間を味わいたい!と願うのが人の常。音の良さには定評のあるトッパンホールで開催されるニューイヤーコンサートは、まさにその願いを叶えてくれるひとときだ。ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのコンサートマスターとして活躍するダニエル・ゼペックが率いるトッパンホール チェンバー・オーケストラと共演するのは、ドイツの名門シュターツカペレ・ドレスデンの首席奏者として活躍してきたチェロの名手ペーター・ブルンズと、日本のホープ山根一仁(ヴァイオリン)。彼らが奏でるハイドンのチェロ協奏曲とヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「四季」は、2020年の幕開けに相応しい豪華さだ。もちろん、コンサートマスター、ダニエル・ゼペックによるJ.C.グラウンのヴァイオリン協奏曲も見逃せない。音楽はワイン同様、それを味わう器によって印象は大きく変わるものだ。408席の親密な空間にあふれる美しい音の息吹に身を委ねる快感を、是非ご体験あれ!●公演概要1月8日(水)トッパンホール「トッパンホールニューイヤーコンサート2020」●ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン)Daniel SEPECフランクフルト生まれ。ディーター・フォルホルツ、ゲルハルト・シュルツに師事、シャンドル・ヴェーグ、アルバン・ベルク弦楽四重奏団にも学ぶ。1993年からドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務める一方、ソリストとしても活躍、ハーディング、ブリュッヘン、ピノックらの指揮者と共演している。また、ヨーロッパ室内管弦楽団、カメラータ・ザルツブルク、アンサンブル・オリオール・ベルリンに客演コンサートマスターとして出演するほか、優れた古楽奏者としてホグウッド指揮/アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック、ハーゼルベック指揮/ウィーン・アカデミー合奏団、ヘレヴェッヘ指揮/シャンゼリゼ管弦楽団等と共演。バロック・ヴァイオリンによるソロ公演も行い、ビーバー《ロザリオのソナタ》全曲レコーディングがドイツ・レコード批評家賞を受賞するなど、高い評価を得ている。2010年9月から14年7月までバーゼル音楽院で教授を務めた後、14年にリューベック音楽大学教授に就任。トッパンホールには、アルカント・カルテットのメンバーとして2回出演、14年10月の北村朋幹〈エスポワール シリーズ〉Vol.2にスペシャル出演、18年3月には無伴奏で登場。J.S.バッハやビーバーに、ベリオ、ライヒを組み合わせたプログラムで名演を聴かせた。●山根一仁(ヴァイオリン)Kazuhito YAMANE●ペーター・ブルンズ(チェロ)Peter BRUNSドイツを代表するチェリストとして、国際的な評価を得ている。ベルリン生まれ。ベルリンのハンス・アイスラー音楽院にて、ペーター・フォーグラーに師事。ソリスト、また室内楽奏者として、ベルリン・フィルハーモニー、カーネギーホール、ウィグモアホールのほか、東京、香港、シンガポール、ドレスデン、ライプツィヒ、ゲヴァントハウスなど世界各地で演奏している。クフモ、ベルゲン、ロッケンハウスなど国際音楽祭への参加も数多い。また、シノーポリ、インバル、ノセダ、M.アルブレヒトらの指揮のもと、シュタッツカペレ・ドレスデンやベルリン放送交響楽団をはじめとする世界の主要オーケストラと共演。古楽から現代まで幅広い時代の作品をレパートリーとし、とりわけベルリン古楽アカデミーと共演を多く重ねている。1993年から2000年まで、モーリッツブルク城での室内楽フェスティヴァルのアーティスティック・ディレクターを務めている。ドイツ国内の音楽学校でも教授を務め、98年から05年までドレスデン高等音楽院、05年からはライプツィヒ高等音楽院で教鞭をとっている。06年9月からはライプツィヒのメンデルスゾーン室内オーケストラのプリンシパル・ゲスト・コンダクターを務めている。2007/2008シーズンには、ゲヴァントハウスにおいて自身のコンサートシリーズを行っている。CDは、ブラームスのチェロ・ソナタ、バッハの無伴奏組曲、フォーレ、ブルッフ、シューマン、CPEバッハの作品を録音しているほか、シュターツカペレ・ドレスデンとのドヴォルザークの協奏曲、メンデルスゾーン室内オーケストラとのハイドンのチェロ協奏曲は高く評価されている。使用楽器は、パブロ・カザルスが所有していた1730年ヴェニス製のカルロ・トノーニ。
2019年12月30日ベルリンのコンツェルトハウスを拠点に活動を展開するベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ。この腕利き集団を率いるのが日本の名手、日下紗矢子であることがなんとも誇らしい。超難関として知られる「パガニーニコンクール」2位(2000年)の実績を引っさげて、天下の名門ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の第1コンサートマスターに就任したのが2008年。2013年には読売日本交響楽団コンサートマスターに就任するなど、近年の活躍ぶりには眼を見張るものがある。その日下紗矢子が、2009年に新設されたベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラを引き連れて、リーダーとして凱旋するとなればこれは気になる。日本各地で開催されるコンサートには、ヴィヴァルディやパッヘルベルなど、バロック時代の巨匠の作品にあわせて、グリーグ&シベリウスの北欧メロディが楽しめるのも嬉しい限り。弦楽アンサンブルが最も引き立つ瞬間がここにある。●公演概要・12月06日(金)青葉区民文化センターフィリアホール・12月08日(日)宗像ユリックスハーモニーホール・12月09日(月)東京文化会館小ホール・12月14日(土)兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール●ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ Konzerthaus Kammerorchester Berlin『ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ』の母体であるベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団/Konzerthausorchester Berlin(旧称ベルリン交響楽団/Berliner Sinfonie-Orchester)は、楽都ベルリンのコンツェルトハウス(旧シャウシュピールハウス)を本拠地に1952年設立の旧東ドイツを代表する伝統ある名門オーケストラ。1960~1977年の間は名匠クルト・ザンデルリンクが首席指揮者を務めた。近年では2017年春にエリアフ・インバル指揮で来日。2008年にヴァイオリンの日下紗矢子が日本人初の第1コンサートマスターに就任、短期間のうちに団員の厚い信頼と支持を得て、翌2009年に日下紗矢子をリーダーとして『ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ』が結成された。ベルリンでの旗揚げ公演は大成功を収め、以降も常に意欲的なプログラムを取り上げながら着実にその評価を高め、チェロの巨匠ミッシャ・マイスキーとの共演、ヴァイオリン奏者ダニエル・ホープとのドイツ・グラモフォンでのCD録音(2013年独エコー賞受賞)など急速に活動の場を広げている。現在本拠地コンツェルトハウスで年3~4回の定期演奏会を行うほか国内外への招聘も相次いでおり、2012年からはベルリンのb-sharpよりCDが続々リリースされている(2015年「バルトーク&ピアソラ集」は『レコード芸術誌《特選盤》』に選出)。2013年初来日、精緻かつ躍動感あふれるアンサンブルと美しい響きで絶賛を博した。2015年の来日公演ではNHKが収録し、BS「クラシック倶楽部」、FM「ベスト オブ クラシック」、Eテレ「クラシック・ハイライト2015」、同「クラシック音楽館」等でオンエアされた。2017年9月、3度目の日本ツアーで全国6公演を行い成功を収めた。結成10周年となる2019年12月には2年ぶり4度目となる日本ツアーを行う。●日下紗矢子 Sayako Kusaka, concertmaster & violin solo(C)Kiyoaki Sasaharaベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団第1コンサートマスター。兵庫県出身。東京芸術大学を首席で卒業。米・南メソディスト大学大学院およびフライブルク音楽大学留学。2000年パガニーニ国際コンクール第2位。日本音楽コンクール第1位。シベリウス国際コンクール第3位。2002年ロドルフォ・リピツァー国際コンクール第1位、併せてバッハ賞、モーツァルト賞、現代曲賞など7つの副賞を受賞。2009年第19回出光音楽賞、2013年ミュージックペンクラブ・ベストニューアーティスト賞ほか受賞歴多数。ソリストとして国内外のオーケストラと多数共演。ロッケンハウス音楽祭をはじめ数々の音楽祭に出演。2008年ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団第1コンサートマスター就任。翌2009年に設立されたベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラのリーダーに抜擢される。2011年1月ベルリンの日本大使館で行われた「日独交流150周年」オープニング式典ではドイツ大統領出席のもと演奏を披露。2015年には、日本とドイツの文化交流に大きな貢献があったとしてベルリン駐在日本大使より「在外公館長表彰」が贈られた。CD「Sayako Kusaka Solo Violin」(HERB-011)リリース。2013年リリースの「Sayako Kusakaリターン・トゥ・バッハ」(COCQ-84998)は、平成25年度(第68回)文化庁芸術祭賞レコード部門「優秀賞」受賞。また「レコード芸術」誌上で「特選盤」に選出される。2014年から2019年まで東京・トッパンホール主催「日下紗矢子・ヴァイオリンの地平」シリーズ(全4回)に出演。2013年読売日本交響楽団コンサートマスター就任(2017年度より特別客演)、日独両オーケストラのコンサートマスターを兼務しながら、オーケストラ、室内楽、ソロと活発な活動を展開している。ベルリン在住。
2019年12月03日「イ・ムジチ」の名を聴いた瞬間にヴィヴァルディの「四季」を思い起こす方も多いのではないだろうか。まさにクラシック界の“永遠のベストセラー”とでも呼ぶべき名曲「四季」は、イ・ムジチの演奏とともに浸透していったと言っても過言ではない。イ・ムジチの「四季」をきっかけにしてクラシックに目覚めたファンの数も決して少なくないはずだ。その伝説的なアンサンブル「イ・ムジチ」が来日公演を行う。1952年にイタリア・サンタ・チェチーリア音楽院の卒業生12人によって結成されたというのだからその歴史はすでに67年。メンバーも演奏様式もその時々に合わせながら刻々と変化を遂げつつ、人の一生にも近い年月を刻んできたことに頭が下がる。日本への来日回数は一体どのくらいの回数になるのだろう。そのたびごとに人々を幸福にし続けた美しいアンサンブルは今も健在。そして何より嬉しいのがヴィヴァルディの「四季」を再び我々のもとに届けてくれることだ。今回の来日公演では日本を代表するソプラノ天羽明恵をソリストに迎えた、ヘンデルの名曲「オンブラ・マイ・フ」や、モーツァルトのモテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」なども用意され、アンサンブルの華やかさが一層引き立つ予感がする。◆10月2日(水) 19:00サントリーホールカジモト・イープラス 0570-06-9960【プログラムC】 with 天羽明惠(ソプラノ)モーツァルト: ディヴェルティメント ニ長調 K.136ヘンデル: オペラ「ジュリオ・チェーザレ」からこの胸に息のある限りヘンデル: オペラ「セルセ」からオンブラ・マイ・フテレマン: ディヴェルティメント TWV 50:23モーツァルト: モテット「エクスルターテ・ユビラーテ(踊れ、喜べ、幸いなる魂よ)」K.165ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集「四季」 op.8◆10月4日(金) 14:00ミューザ川崎シンフォニーホール問:神奈川芸術協会 045-453-5080【プログラムB】「バロック・セレブレーション」コレッリ: 合奏協奏曲 ヘ長調op.6-2サンマルティーニ: 合奏協奏曲 ニ長調 op.2-6エイヴィソン: 合奏協奏曲第5番 ニ短調(スカルラッティ原曲)ヴィヴァルディ: 4つのヴァイオリンのための協奏曲 ロ短調 「調和の霊感」ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集「四季」 op.8
2019年09月30日クラシックにはあまり見識がないという人でも、「ストラディヴァリウス」という名前を知らない人はいないのではないでしょうか。そう、ヴァイオリンをはじめとした弦楽器の名称です。その価値は億単位と言われ、時には骨董品として扱われてしまうこともあるそうです。しかし、ストラディヴァリウスが真価を発揮するのは、「生きた楽器」として演奏されてこそ。そんな「生きた楽器」としてのストラディヴァリウスを、さまざまな角度から楽しめるフェスティバルが2018年7月から10月にかけて東京で開催されています。そこで、大人の教養を身に着けたいクラシック初心者のスタッフHが、フェスティバルの第一弾「ソロイスツコンサート」に参加してきました。実際にストラディヴァリウスの音色を聴いてみた感想と、フェスティバルの魅力についてお伝えします。■完璧な造形を持つ300年の名器・ストラディヴァリウスとはコンサートの感想をお伝えする前に、ストラディヴァリウスについて少し説明します。そもそも「ストラディヴァリウス」という名前はどこから来ているかご存知ですか。実は、人の名前から来ているんです。17世紀から18世紀にかけて活躍した、イタリア北西部のヴァイオリン職人アントニオ・ストラディヴァリ、そしてその子らが制作した弦楽器が、現在ストラディヴァリウスと呼ばれているものです。ストラディヴァリ父子は生涯で1000〜1100挺(ちょう)もの弦楽器を製作したと言われており、約600挺が現存しているそうです。彼らは、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロなど、今日のクラシックシーンに欠かせない楽器から、なんとギターに渡るまで、多様な弦楽器を製作しました。■フランス王妃マリー・アントワネットにも愛された楽器ストラディヴァリたちが活動した17世紀は、教会や宮廷サロンをはじめとする室内楽が盛んに催され、ヴァイオリンが世の中に普及し始めた時代でした。ストラディヴァリウスは当時から高い評価を受け、それが奏でる音はローマ法王やフランス王妃マリー・アントワネットにも愛されたと言われるほど。多くの製作者がヴァイオリンを生産した時代にも関わらず、ストラディヴァリウスが突出して高く評価されたのは、徹底的に楽器の質にこだわり、隅々まで丁寧に作るという職人としてのこだわりがあったからだそう。300年前に生きた職人が残した楽器……しかも、クラシック音楽の演奏シーンが室内からより大きなコンサートホールへと場を移した現代においても、なおその評価は上がっているのです。想像しただけでも、期待が高まります。アントニオ・ストラディヴァリを描いたとされる絵、楽器を見つめるまなざしに職人気質がうかがえる。出典:■コンサート第一弾は若手ソリストと次世代の才能の競演(C)1002MCH今回スタッフHがお邪魔したのは、若手ソリストと次世代を担う音大生たちのジョイントコンサート。出演は、大河ドラマ『真田丸』のテーマ音楽演奏も話題になった新進気鋭のヴァイオリニスト・三浦文彰さん、チェリストとして国内外での活躍が目覚ましい宮田大さん。そして、東京藝術大学・英国王立音より選抜されたソリスト4名もストラディヴァリウスを演奏。オーケストラは同2校によるジョイントオーケストラです。■主役は楽器であるストラディヴァリウス(C)1002MCHプログラムはすべて、ソリストが使用するストラディヴァリウスの魅力を存分に堪能できる協奏曲で構成され、若手ソリスト2名、次世代ソリスト4名、計6挺のストラディヴァリウスの音を楽しめる構成です。1幕では、三浦さんによるモーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲」、宮田さんによるカバレフスキーの「チェロ協奏曲」の二曲を演奏。若手ソリストの技巧と、ヴァイオリンとチェロ、それぞれのストラディヴァリウスの音の違いを味わいます。2幕では次世代のソリスト4名が、ヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」を。そして、フィナーレには三浦さん・宮田さんが競演し、ブラームスの「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」で幕を下ろしました。ヴァイオリンだけでなく、チェロの協奏曲も盛り込まれているのは、「チェロのストラディヴァリウスもあることを知ってもらいたい」という主催者の思惑があってのこと。スタッフHは、その思惑通り「チェロのストラディヴァリウス」の存在とその音に大変驚いたのでした。特にフィナーレの二重協奏曲は、ソリストおふたりの魅力はもちろんのこと、ヴァイオリンとチェロのコラボレーションによって生まれる多彩な音の響きを堪能できる稀少な時間となりました。■見えないはずの音が立体的に響いてくる感覚(C)1002MCH今回のコンサート会場は定員数約2000名、日本屈指のコンサートホールであるサントリーホール。ソリストの後ろには何十人というオーケストラが同時に演奏します。それにも関わらず、ストラディヴァリウスの音色だけが、そこから飛び出して、客席の私たちの耳へとまっすぐ届いてきたのです。音色の美しさは言わずもがな、立体的な響きは明らかにその楽器が特別なものであると示しているかのよう。特に約5063挺しか現存していないというチェロが奏でる深みのある音は、心地よく耳に響くだけでなく、深く心にまで染み入るような感覚をおぼえました。もし天国に召されるときには、ストラディヴァリウスの音色で送ってほしい……というのは半分冗談ですが、天使が奏でる音色はかくあらん、と思えるほど。300年前に生きた人々も同じようにこの楽器に魅了され、あるいはその音をこぞって聴きたがり、あるいはその価値を神格化して所有を望み……。時代が移り変わり技術が進歩しても、人が「美しい」と感じるものは、そう大きく変化しないのかもしれません。■素晴らしいものは人間の好奇心をも刺激するクラシックコンサートに伺うのは、実に3年ぶりとなるスタッフH。これまで積極的には触れてこなかったクラシックを、この機会に改めて王道から学んでみようと思い、参加しました。ストラディヴァリウスの美しい音色の響きは、確かに私たちの耳を満足させてくれました。しかしそれ以上に、素晴らしいものとは、人間の好奇心をも呼び覚ましてくれるものだと感じました。科学技術が発達した現代でも完全には明かせていないその音の秘密とは一体何なのか。なぜこの音を、美しく、心地良いものと多くの人が感じるのか……。コンサートを聴いておしまいにするのは、あまりにもったいない。だんだんとストラディヴァリウスについてより深く知りたくなるのです。■「ストラディヴァリウス 300年のキセキ展」で深まるその魅力出典:今回のフェスティバルでは、実際にストラディヴァリウスが演奏されるコンサートのほか、歴史的・科学的な側面からその魅力を紐解く「ストラディヴァリウス 300年のキセキ展」が10月に開催される予定です。展示会場では、楽器の製作過程をライブデモンストレーションで見ることができるなど、学術的な側面以外からもその魅力を徹底的に知ることができます。音楽を聴くことに限らず、あらゆる芸術を自分なりに受けとめるには、ある段階からその感性を動かすための筋力のようなものが必要です。そしてそれは結局、知識や体験を自分で重ねていかないことには鍛えることができないのです。スタッフHのように、普段あまりクラシックに触れる機会がない方こそ、ストラディヴァリウスをきっかけに、クラシック音楽と向き合う感性を磨いてみてはいかがでしょうか。別に大勢が価値を認めているからといって、「美しい」とか「良いものだ」とか、無理に感じなくても良いのです。自分の心を動かすものは何なのか。それを模索することによって、自分自身を見直す機会にもきっとなると思います。ストラディヴァリウスフェスティバル2018は、今回のコンサートの後、2回のコンサートを経て、「300年のキセキ展」へとバトンをつなぎます。生音を耳で聴いてから、エキシビジョンで楽器を間近に見たり、学ぶことで、その世界を深めてみてはいかがでしょうか。■ストラディヴァリウス フェスティバル2018 詳細[コンサート]徳永二男 プレミアム・リサイタル ~巨匠が奏でる、世界の名器ストラディヴァリウス~日時:2018年8月17日(金)19:00開演(18:30開場)会場:ヤマハホール東京都中央区銀座7-9-14東京メトロ銀座線/丸ノ内線/日比谷線「銀座」駅A2出口より徒歩4分都営地下鉄浅草線「新橋」駅、「東銀座」駅より徒歩7分JR線「新橋」駅より徒歩7分出演:徳永二男(ヴァイオリン)、坂野伊都子(ピアノ)曲目:P.サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン Op.20C.サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 Op.28H.ヴィエニャフスキ/華麗なるポロネーズ 第1番 ニ長調 Op.4ほかチケット(全席指定/消費税込)6000円チケット取扱いチケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:114-774)主催:東京ストラディヴァリウス フェスティバル 2018実行委員会監修:日本ヴァイオリン共催:ヤマハ株式会社お問い合わせ:株式会社1002[イチマルマルニ] 03-3264-0244※都合により、出演者・プログラムが変更になる場合がございます。予めご了承ください。※未就学児のご入場はご遠慮ください。[コンサート]マキシム・ヴェンゲーロフ ストラディヴァリウス・リサイタル 2018 ~世界最高峰のヴァイオリニスト、2挺本のストラディヴァリウスストラディバリウスに挑む~日時:2018年10月1日(月)19:00開演(18:30開場)会場:サントリーホール 大ホール東京都港区赤坂1-13-1出演:マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)、ルスタム・サイトコーロフ(ピアノ)曲目:J.ブラームス/ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」作品78第2番作品100ほかチケット(全席指定/消費税込)SS 25000円S 20000円A 18000円B 15000円C 10000円学生5000円チケット取扱い:チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:114665)e+(イープラス)サントリーホールチケットセンター0570-55-0017主催:ネオクラシカ協賛:東京ストラディヴァリウス フェスティバル 2018実行委員会お問い合わせ:株式会社ネオクラシカinfo@neocl.co.jp03-3461-0508[エキシビジョン]ストラディヴァリウス 300年のキセキ展至高の響きを生むための完璧な造形を持つと称されるストラディヴァリウス。実物はもちろん、その誕生の系譜から、制作環境、所有者の履歴、その秘密を解き明かすための科学的実験に至るまでを展示する壮大なエキシビジョン。ストラディヴァリウスの響きが人間に与える美しくも不思議な現象を“f”enomenonと称し、4つの視点から分解する。至高の楽器のその所以を深く知った上で、会場内ステージで貴重な生音も実際に体験できるまたとない機会になります。会場:森アーツセンターギャラリー実施期間:2018年10月9日(火)〜15日(月)会 期:2018年10月9日(火)~15日(月)開館時間:10/9(火) 15:00~22:0010/10(水)10:00~17:3010/11(木)12:00~17:3010/12(金)10:00~17:3010/13(土)10:00~22:0010/14(日)10:00~22:0010/15(月)10:00~17:30チケット情報:一般 2300 円、中・高・大学生 1500円 、小学生 800円、小学生未満は無料※障がい者手帳をお持ちの方とその介助者(1名まで)は、当日料金の半額となります。ご入館の際に、チケットカウンターにて障がい者手帳をご提示ください。
2018年08月01日寄宿舎を舞台に少女たちの激しくも儚い愛を描き、国際的に高評価を得た『翼をください』(’01)、病いの少年と幻の蝶をめぐる奇跡の実話を映画化した『天国の青い蝶』(’04)などで知られるカナダを代表する女性監督、レア・プール。彼女が、時代に翻弄されながらも音楽の力を信じる教師と生徒たちを描き、本年度カナダ・ケベック映画賞最多6部門を受賞した『天使にショパンの歌声を』から本編映像がシネマカフェに到着した。1960年代、白銀の世界に佇む小さなカナダの寄宿学校。そこは音楽教育に力を入れ、コンクール優勝者も輩出する立派な名門校だった。しかし、ケベックの急速な近代化により、修道院による学校運営が見直され、採算の合わない音楽学校は閉鎖の危機に直面する。校長であり教育者であるオーギュスティーヌは必死に抵抗し、音楽の力で世論を動かす秘策を考える。一方、転校してきたばかりの姪アリスに天性のピアニストの才能を見出すが、アリスは一筋縄ではいかない問題児。オーギュスティーヌは、孤独で心を閉ざしたアリスに、音楽の素晴らしさを教えようとするが…。カナダ・ケベックの近代化を社会背景に、つつましくもたくましく、伝統と歴史に立ち向かう女性たちの姿を音楽を通して描き出す本作。劇中には、ショパンの「別れの曲」、リストの「愛の夢」など涙を誘うピアノの有名曲から、モーツァルト、ベートーヴェンのピアノソナタ曲、そして心洗われるヴィヴァルディの合唱曲「グローリア」など数々の名曲が彩り、『天使にラブ・ソングを…』も彷彿とさせる“シスター・アクト”を見せている。また、実際に新進気鋭ピアニストとして活躍中のライサンダー・メナードの見事な演奏も光る。今回到着したのは、女子音楽学校の寄宿舎での夜の過ごし方を垣間見ることができる本編映像。女子たちは全員、真っ白なネグリジェ姿、クッキーと牛乳で小腹を満たしながらおしゃべりに花を咲かせるのが夜の常。しかも、大切な話し合いは、なぜか決まって夜に行われるから、大騒ぎに!このシーンについてレア・プール監督は、「この年頃の少女たちの扱いは実は慣れていて、監督になる前、教師をやっていた経験が役に立ちました」とコメント。「自分のフィルモグラフィーを見ると思春期の物語が多く、なぜ自分がそこに魅かれるのかわからないのですが、この映画では時代の変化が背景なので、少女から大人への変化という意味でもつながりました」と語る。「キャスティングでは、キャラクターを重視しながらいろいろなタイプの女の子を選び、実際に演出する上では彼女たちに委ねました。特に、エリザベス(実は美声の持ち主のメガネ女子・スザンヌ役)やライサンダー(天才ピアニスト少女・アリス役)には確信がありました」と自信をのぞかせ、「このシーンは、特別な集会だったんです。オーギュスティーヌ校長が、マスコミに演奏を披露するから皆で頑張るわよ!と号令をかけるために集めたものでした」と明かしている。彼女たちが閉鎖寸前の学校を守るため、どんな歌声と演奏を聴かせてくれるのか、劇場で確かめてみて。『天使にショパンの歌声を』は1月14日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月13日映画『天使にショパンの歌声を』が、2017年1月14日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国の劇場で公開される。舞台は、白銀の世界に佇むカナダの寄宿学校物語の舞台は、白銀の世界に佇む小さなカナダの寄宿学校。音楽教育に力を入れ、コンクール優勝者も輩出する立派な名門校だったが、修道院による学校運営が見直され採算の合わない音楽学校は閉鎖の危機に直面することに。校長であり教育者であるオーギュスティーヌは必死に抵抗し、音楽の力で世論を動かす秘策を考える。そんな時、転校してきたばかりの姪のアリスに天性のピアニストの才能を見出すが、彼女は一筋縄ではいかない問題児。オーギュスティーヌは、孤独で心を閉ざしたアリスに、音楽の素晴らしさを教えようとするのだが…。物語を彩るクラシックの名曲の数々劇中には、ショパンの「別れの曲」、リストの「愛の夢」など涙を誘うピアノの有名曲から、モーツァルト、ベートーヴェンのピアノソナタ曲、そして心洗われるヴィヴァルディの合唱曲「グローリア」まで数々の名曲が登場し物語を彩る。天才少女アリス役のライサンダー・メナードの繊細で高度なピアノ技術、アリスの親友役エリザベス・ギャニオンの胸打つアカペラなど、純粋な“音楽の力”を堪能できるのが本作の見どころの一つだ。カナダを代表する女性映画監督、レア・プール監督本作でメガホンを取るのは、『天国の青い蝶』『翼をください』などで知られる女性映画監督、レア・プール。時代に翻弄されながらも音楽の力を信じて強く生きる女性たちを通して、映画『天使にラブソング』を彷彿とさせるような、感動の“シスター・アクト”を描き出した。【作品情報】『天使にショパンの歌声を』公開日:2017年1月14日(土) 角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開監督:レア・プール 『天国の青い蝶』『翼をください』出演:セリーヌ・ボニアー『アサインメント』、ライサンダー・メナード、ディアーヌ・ラヴァリー、ヴァレリー・ブレイズ、ピエレット・ロビタイユ、マリー・ティフォ、エリザベス・ギャニオン(C)2015-9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)
2016年10月14日ヴァイオリンのマウロ・イウラートとピアノのジュゼッペ・マリオッティによるデュオ、UniDuo(ウニドゥオ)とフルート奏者の角家道子が9月23日(水・祝)、銀座ヤマハホールで「イタリアの涙」と題したトリオコンサートを行う。ウニドゥオと角家道子のトリオコンサート~イタリアの涙~のチケット情報マウロ・イウラートは現在、アンサンブル神戸コンサートマスター、兵庫県立芸術文化センター管弦楽団ゲストコンサートマスターほかを、ジュゼッペ・マリオッティは徳島文理大学音楽部で学部長を務める。ともにウィーン国立音楽大学に学び、2003年、同大学と徳島文理大との提携プロジェクトにより、客員教授として来日。以来、学生の指導にあたりながら、「UniDuo」として日本とヨーロッパを中心とした演奏活動を行っている。角家道子は桐朋学園大学卒業後、演奏活動を開始。1999年にはカーネギーホールでニューヨークデビューを飾った。現在は演奏の拠点を神戸に置き、「UniDuo」とは兵庫県立芸術文化センターなどで共演を重ねている。3人揃っての東京公演は今回が初めて。コンサートではバロック期のヴィヴァルディ、タルティーニから現代のロータ、そしてカンツォーネまで気鋭の伊・日トリオならではのユニークなプログラムで、イタリア音楽の多面的な魅力を概観する。チケットは発売中。
2015年08月19日上野の春恒例のクラシック音楽祭「東京・春・音楽祭」が、開幕初日の3月15日にJR上野駅ガレリアでサプライズイベント「フラッシュモブ」(※1)を開催した。「東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2013-」の公演情報毎年3月中旬から4月にかけて上野のコンサートホールや文化施設を中心に行われる「東京・春・音楽祭」。オペラ、オーケストラ、室内楽などの本格的なクラシック音楽のほか、バレエや日本歌曲、アルゼンチン・タンゴ、朗読、美術館や博物館とのコラボレーションなど、バリエーションに富んだプログラムで人気を博している。音楽祭初日の3月15日、JR上野駅ガレリアをジャックしたフラッシュモブは午前11時よりスタート。まずは寿司職人に扮したキーボード奏者とコスメ店員に扮したヴァイオリニストが、エルガーの「愛の挨拶」を演奏。突如聴こえてきた生演奏の音色には、行き交う利用客も「何が起こったのか」と驚きながらも、足を止めて聴き入る様子。文字通り、挨拶代わりとなったエルガーの名曲の後は、駅ビルの飲食店や雑貨屋の店員、交通整理員などに扮した演奏家たち総勢24名が、ヴィヴァルディ「春」を演奏しながら、あらこちから次々と登場。全員が揃ったところで、ピッタリと息の合った合奏を披露。突如駅構内に響き渡った、春の到来を告げるかのような美しく軽妙な旋律に大勢の利用客から温かい喝采が送られた。本イベント翌日3月16日には、平年よりも早めの東京での桜開花宣言も発表。いよいよ桜満開の季節となる上野でクラシック音楽に浸る「東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2013-」は、4月14日(日)まで約100公演を開催。オペラの二大作曲家、ヴェルディとワーグナーの生誕200周年にちなんだコンサートなど、多彩な企画が予定されている。また音楽祭期間中には、上野の近隣施設などで無料のミニコンサート「桜の街の音楽」も開催される(日程・会場などの詳細は公式サイトまで)。(※1)フラッシュモブ:街頭など公共のスペースで示し合わせて、群衆に紛れたパフォーマーたちが、パフォーマンスを一斉に行い、その場に居合わせた人々を驚かせ、楽しませる集団サプライズイベント。
2013年03月19日優しい曲、ドラマチックな曲、情熱的な曲。20代ビジネスウーマンが選ぶのは?何世紀にもわたって、今なお多くの人に感動を与えるクラシック音楽。決して色あせない美しい旋律は、味わえば味わうほど奥深いものです。オーケストラを舞台としたドラマのヒットや冬季オリンピックのフィギュアスケート競技などで、新たな注目が集まるクラシック音楽について、20代ビジネスウーマン604名に聞いてみました。>>男性編も見るQ.好きなクラシック音楽の作曲家を教えてください。(複数回答)1位ショパン27%2位モーツァルト22%3位ヴィヴァルディ12%3位チャイコフスキー12%3位ベートーヴェン12%■ショパンが好き!その理由は……・「ショパンの曲はピアノできれいに弾けるように努力した思い出があります」(23歳/金融/金融系専門職)・「『ピアノの詩人』と言われるだけあって、ピアノで奏でられるメロディに訴えかけてくるものがある」(23歳/商社/財務)・「初めて好きになったクラシックは、幼稚園のときに聴いたショパンの『ノクターン』。今でも好きな曲」(25歳/生保/金融系専門職)■モーツァルトが好き!その理由は……・「モーツァルトの曲を聴くと頭が良くなると聴いたから」(23歳/IT/営業)・「モーツァルトを描いた映画を観て、天才ぶりと華やかな曲が好きになった」(29歳/アパレル/クリエイティブ)・「『レクイエム』という曲を、フィギュアスケートの安藤美姫選手が今期のショートプログラムで使用していた。もともと安藤美姫選手が好きだし、初めて演技を見たときからこの曲が気に入った」(29歳/商社/秘書・アシスタント)■ヴィヴァルディが好き!その理由は……・「母のお腹にいる頃、ヴィヴァルディの『四季』をよく聴いていたと母に教えられたから」(23歳/金融/金融系専門職)・「『四季』の『春』は弾くのも簡単だし、軽やかな春の気分がするので好きです」(24歳/運輸/サービス)■チャイコフスキーが好き!その理由は……・「高校生のときにオーケストラ部に所属しており、1年生のときの定期演奏会でチャイコフスキーの交響曲を演奏した。そのときの全身に鳥肌が立つほどの感動が忘れられない」(23歳/教育関連/サービス)・「小学生のときに習っていたバレエで『くるみ割り人形』をやってから、チャイコフスキーの音楽は大好き」(24歳/旅行/その他)・「ロシアに住んでいたときのピアノの先生がロシア人で、チャイコフスキーをよく弾いていた。暗い曲も多いが、メロディの転調が好き」(27歳/IT/SE)■ベートーヴェンが好き!その理由は……・「好きになったきっかけは誕生日が同じということ。才能というよりは努力型なところが好き。幼い頃からずっとピアノを習っていて、高校3年生のときの発表会でやめることになったとき、先生が私に選んでくれた最後の曲はベートーヴェンのピアノソナタ『熱情』でした」(23歳/ホテル/サービス)・「幼稚園のときに『交響曲第9番』をドイツ語で合唱してから」(27歳/公益法人/総務)■その他の好きなクラシック音楽の作曲家・ドビュッシー:「ドビュッシー作曲の『アラベスク』をピアノで弾いてから、どの曲も好きになりました」(27歳/医薬品/研究開発)・ラフマニノフ:「ドラマ『のだめカンタービレ』を見て好きになった」(25歳/金融/金融系専門職)総評子どもの頃にピアノを習っていた人が多く回答したせいか、トップのショパンをはじめ、美しいピアノ演奏曲を作り出した作曲家が多く選ばれました。ランキングには入らなかったものの、“旬”の勢いを見せたのは6位のラフマニノフ。映画化されて話題になっている『のだめカンタービレ』で紹介されたことに加え、バンクーバーオリンピックで浅田真央選手がフリー演技の楽曲にラフマニノフの『鐘』を選んだことが追い風となりました。ふとしたきっかけがあれば何度も違う魅力を発見できる、それもクラシック音楽のよさかもしれませんね。(文・藤原のん)調査時期:2010年3月9日~3月18日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:女性604名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク毎日が音楽三昧!さまざまなアーティストの音楽をお得に楽しむ方法【女性編】初めて買ったCDのアーティストランキング【女性編】ハマッた「月9」ドラマランキング完全版(画像などあり)を見る
2010年04月12日映画、ゲーム、ドラマなどで親近感のある曲が人気クラシック音楽は年配の方の音楽、難しい音楽と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、映画やドラマ、CMなどでよく耳にしますし、最近ではバンクーバーオリンピックのフィギュアスケートをきっかけに人気も高まっているようです。そこで20代ビジネスマン216名に、好きなクラシック作曲家を聞いてみました。>>女性編も見るQ.好きなクラシック音楽の作曲家を教えてください。(複数回答)1位ショパン16%2位モーツァルト14%3位ヴィヴァルディ7%3位チャイコフスキー7%3位ベートーヴェン7%■ショパンが好き!その理由は……・「映画『戦場のピアニスト』で使用されている曲を聴いてから好きになった」(23歳/IT/営業)・「『子犬のワルツ』を聴くとすごく落ち着く」(25歳/金融/営業)・「ピアノの音が少し悲しく、ひっそりと流れてくるので、壮大なクラシックより自分に合っている気がします」(28歳/商社/販売)・「ショパンの『幻想即興曲』は、今でも弾けるようになりたい理想の曲です」(24歳/IT/SE)■モーツァルトが好き!その理由は……・「『トルコ行進曲』が初めて好きになったクラシック曲だから」(23歳/マスコミ/営業)・「映画『アマデウス』を観て」(24歳/自動車関連/財務)・「モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』を小学校の音楽会のときに演奏した。練習は本当に苦労したが、最終的には本番でしっかり演奏できたことが印象に残っている」(26歳/繊維/研究開発)■ヴィヴァルディが好き!その理由は……・「ヴィヴァルディ作曲『四季』の協奏曲第1番『春』は気分が明るくなる曲だから好き。ほかの季節についてはあまり聴かれていないようだが、聴いてみる価値はあると思う」(23歳/教育関連/サービス)・「バイオリンを習っていたので、特にヴィヴァルディは好き」(25歳/商社/金融系専門職)■チャイコフスキーが好き!その理由は……・「音楽の授業でチャイコフスキーの曲を聴いたときに、なぜか惹かれた」(24歳/IT/SE)・「コンサートで聴いて鳥肌が立った」(28歳/金融/営業)■ベートーヴェンが好き!その理由は……・「作曲家自身の生き様と『交響曲第9番』の見事な整合性がかっこいい!」(27歳/コンサルティング/マーケティング)・「『交響曲第9番』の歌詞がすごく好きです」(29歳/小売/販売)■その他の好きなクラシック作曲家・ホルスト:「小学校の音楽で『惑星』を聴いてから好きになった」(24歳/旅行/販売)・ラフマニノフ:「ピアニストの辻井伸行さんが弾いているのを聴いて良いと思った」(23歳/印刷/企画開発)総評コメントで多く見られたのが「音楽の授業で聴いて好きになった」というもの。クラシックとの出会いが小学校の音楽室という人は多いようです。さて、ランキングトップは、「ピアノの詩人」ことショパン。ピアノ演奏会で取り上げられることの多いショパンの曲は、オーケストラで演奏される曲よりもぐっと身近な存在のようです。不動の人気のモーツァルトやベートーヴェンは、曲もさることながら彼らの過酷な運命や数奇な人生にも関心が集まりました。(文・藤原のん)調査時期:2010年3月9日~3月18日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:男性216名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク毎日が音楽三昧!さまざまなアーティストの音楽をお得に楽しむ方法【男性編】初めて買ったCDのアーティストランキング【男性編】ハマッた「月9」ドラマランキング完全版(画像などあり)を見る
2010年04月12日