1934年にブロードウェイで初演されたミュージカル『エニシング・ゴーズ』。豪華客船を舞台に、ナイトクラブのスター歌手リノ、指名手配中のギャング・ムーンフェイスら個性的な登場人物が繰り広げる、恋ありスリルありドタバタありの楽しい物語を、アメリカで最も偉大な作曲家とも称される巨匠コール・ポーターの名曲が彩る人気ミュージカルだ。日本でも何度も上演を重ねる人気作だが、今回は宝塚歌劇団の原田諒が演出・潤色を担当、主役のリノを元宝塚歌劇団星組トップスターの紅ゆずるが演じるニューバージョン。これぞブロードウェイ・ミュージカル! のゴージャスさ、明るさがある作品にふさわしく、製作発表もクルーズ客船「にっぽん丸」で開催する豪華さだったが、その会見後同じく客船内にて、ハーコート夫人を演じる一路真輝、その娘ホープを演じる愛加あゆに本作の見どころや意気込みを訊いた。宝塚歌劇団の先輩・後輩の共演――船の上での製作発表、豪華でしたね。一路本当に、作品にぴったりで。私、自分の車でここまで来たのですが、ずっと『エニシング・ゴーズ』を流しながら運転していて。この曲を聴きながら船に向かっているというシチュエーションがとてもワクワクしました。愛加私も、この埠頭をお散歩したりすることはあったのですが、まさか乗船できるとは。こんな機会はめったにないので嬉しいし、何より、お稽古が始まる前に、客船の雰囲気を知ることができて良かったです。一路今は旅行もあまり行けないからね。疑似体験じゃないけれど、船に乗って旅行をする気分を味わえて、このまま稽古に突入できるというのはありがたいですよね。――おふたりは宝塚歌劇団の先輩・後輩ですが、共演は初めてですか?愛加はい!私は宝塚を知ったきっかけが、姉(夢咲ねね)が音楽の先生に借りてきたビデオなのですが、その中の一つが一路さん主演の『エリザベート』(1996年雪組)。それはそれはハマりまして、親友とずーっと学校で『エリザベート』について語った思い出があります。そんな一路さんとご一緒させていただけるなんて……!一路(笑)。私はもう辞めて約25年もたちますし、愛加さんも、紅さんも宝塚時代は存じ上げないんです。先ほど聞いて驚いたんですが、もう退団して6年なんですって?愛加今年の8月で、7年になります。一路それを聞いてびっくりしちゃって。そう思えないくらい初々しいですよね。でも、ということはもう、ミュージカルも何本も出ているのね。愛加そうですね。ただ、今回のホープのような令嬢役は久しぶりで……。一路娘役の経験が活きる役ね!愛加はい、昔を思い出して頑張らないと(笑)。一路……という事情も知らないくらいで恐縮なのですが(笑)。でも、私は人見知りで、どの現場に行ってもいまだに緊張するのですが、宝塚の後輩がいる現場は、宝塚の生徒だったというだけで共通の話題があるし、先輩として敬ってくれるし(笑)、心が落ち着くんです。だから私の方がありがたいなと思っています。愛加やめてください、そんな……。今回、稽古初日にご挨拶させていただいた時に「何て呼ばれているの」とまず聞いてくださって、そのあとに「私のことはお母さんって呼んでいいよ」とおっしゃってくださって。なんてお優しい……! と、感動しきりでした。一路いやいや(笑)。実際に母親ですし、こないだまでやっていた『舞台「刀剣乱舞」无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-』では40人近い男の子たちのお母ちゃんになっていましたので。楽屋では「母上」「おふくろさま」と呼ばれていたのでそれに慣れちゃった(笑)。だからあゆちゃんにも「お母さんでいいよ」って。――愛加さん、実際にはなんとお呼びしているんですか?愛加まだそんな、一路さんとしかお呼びできないです(笑)! でも、大先輩でいらっしゃるのに、こんなに歩み寄ってくださって、本当に嬉しかったです。ありがとうございます。私、『あかねさす紫の花』も大好きで。私自身、和物をさせていただく機会が多かったのですが、やはり一路さんたちが作られたものをすごくたくさん拝見して、勉強して、憧れていました。……すみません、昔の話、嫌ですよね……?一路ぜんぜん大丈夫よ。私はもう女優生活の方が長くなっていて、わりと昔の記憶が消えていることが多いんですが、宝塚の方とご一緒して昔の作品のお話をしたりすると、細胞がちょっとずつ思い出していく。そして「とってもいいところにいたんだな」とか、「宝塚の先輩・後輩の関係って素敵だな」とか再確認できることが嬉しくて。でもあゆちゃんの方が「お母さま」と呼びながら、私の横にトートの顔が見えたりするとやりづらいかなと思って「お母さんと呼んで!」と言ったんだけど、トートの顔してと言われたら全然出すよ(笑)? ……でも原田先生に怒られちゃうね!愛加わあ(笑)。……私、一路さんのエリザベート(2000年~東宝版)も大好きで……!!一路ありがとう(笑)。――話は尽きませんね(笑)。ホープの一途なところはきっと、リノに負けない(愛加)――そんなおふたりは今回、親子役を演じますね。一路さんがハーコート夫人、愛加さんがその娘のホープ。現時点で、それぞれの役をどういう人物だと考えていらっしゃいますか。一路ハーコート夫人は、娘をお金のために政略結婚させる、欲の塊のような女性なのですが、あまり細かく描かれていないのでその分作りやすいかなと思っています。原田先生からは「もっと貪欲に、物欲に溢れたおばちゃんにしてください!」とオーダーされました(笑)。これからもう少し研究しようかなと思っているところです。――ハーコート夫人の飼っている犬も、ポイントになってきますよね。犬は実際に登場するんでしょうか?一路本物のワンちゃんを使うんです! シングルキャストです(笑)。愛加昨日初めて稽古場に来ていましたね。一路可愛かった~。私も犬好きで、実家では犬を飼っていました。でも中型犬なのでそんなに抱っこをしていないんです。今回はずっと抱っこしているような小型犬なので、抱っこの練習をしなきゃと思っているところです。あゆちゃんは、犬は?愛加私も飼ってます! チワワと、チワワとチンのミックスの、2匹。一路わぁ。じゃあ、抱っこのしかた、教えて? きっと、どこか押さえたら安心する、とかあるよね?愛加でも一路さん、お子さんがいらっしゃるのだから……。一路赤ちゃんとはちょっと違ったわ~。やっぱりワンちゃんは、抱きなれている人にはおとなしいみたい。私はまだまだだったから頑張らないと!――愛加さんが演じるのは、社交界の華、ホープ。愛加いわゆるデビュタント、社交界デビューしたばかりの娘です。でもすでにお母さまに、結婚への道を作られてしまっている。時代的にはそういう娘さんはたくさんいたと思うのですが、ホープはそこから自分の意思で、自分の進みたい道を模索している状態の子です。私も最初は、言われるがままに生きている娘なのかなと少し思っていたのですが、原田先生ともお話させていただいて、そうではなくもともと強い芯がある女性で、自由に生きているお母さまの背中をみつつ、でも自分はこうしたいというものを持っている。単なるお嬢様として作らないように、私も模索しながらやっていきたいと思っています。一路このミュージカルはたった4日間の話。4日で人間が大きく変わるわけないもんね。だから乗船するシーンからそのキャラクターを作っておかないと。あゆちゃんの役は、すごく個性的な登場人物の中で一番まともな人だから、逆に悩んじゃうよね。愛加そうなんですよね。皆さんが強いから。一路でもだからこそ、どうとでも作れる。私たち、すごくポテンシャルの高い親子よね!――紅さん演じるリノはビリーが好きで、でもそのビリーはリノじゃなくてホープが好き、という関係性です。愛加さん、ホープがリノに勝っているところはどこだと思いますか?愛加えーっ(笑)。でも原田先生に言われてハッとしたのは、強さを持っているところ、です。お金持ちのお嬢様というところにビリーは惹かれたのではなく、彼女の信念、自分の進みたい道がきちんとあるところから醸し出る何かに惹かれたんでしょうね。それと、たぶん彼女はきっとひとりの人しか愛さない。そういう一途なところはきっと、リノに負けないところじゃないかなと思います!――そして何と言っても音楽がコール・ポーターというのも、この作品の大きな魅力ですね。おふたりとも、コール・ポーターの音楽がお好きだそうですが……。一路私は同じくコール・ポーターの『キス・ミー・ケイト』なども出演しています。彼の音楽はポピュラーすぎるくらいポピュラーなものと「こんな曲、このミュージカルにあったんだ」という意外性がある。曲調もジャージーなものからクラシカルなものまで幅広く、そういうところも魅力です。愛加私はコール・ポーターで特に好きなのは『ナイト・アンド・デイ』。『風と共に去りぬ』のデュエットダンスのナンバーなのですが、この曲がコール・ポーターだと知った時に「私、知らないあいだにコール・ポーター大好きだった!」と思いました(笑)。『エニシング・ゴーズ』も、独特の旋律がありますね。半音で行ったり来たりするところはすごく難しいのですが、それが複雑な恋愛模様を表現していたりして、おしゃれ。素敵だなと思って、頑張って曲と向き合っています。一路難しい曲、なかなか入り込めない曲ほど、身体に入ったときに何とも言えない快感があって、大好きな曲に変わるわよね。私、まさに『エリザベート』がそうだった。今回もそうなるんじゃないかな。愛加がんばります!“すべての人が主役”という作品になりそう(一路)――演出は、宝塚歌劇団の原田諒さん。ただ、製作発表の場で、「宝塚的なものを求められているかもしれませんが、あえてそうではないものを」と仰っていましたね。一路原田さん、最初の本読みの時点で「一人ひとりの個性をしっかり立たせてほしい、ただのコメディにしたくない」と仰っていました。この作品はお気楽なアメリカン・ミュージカルと思われがちなのですが、時代的には大恐慌の直後、それぞれの人が様々な思いで生きてきて、乗船してくるというバックボーンをしっかり持って欲しいと。私の役も、なぜそこまでお金に執着し、娘を政略結婚させたいかというと、それはつまり、娘の生活を考えてのことなんですよね。もちろん自分が楽をしたいという面があるにしても(笑)。ただの賑やかしのキャラクターにしてはいけないというのは強く思いました。愛加原田先生、アンサンブルに至るまで、それぞれのキャラクターの思いに時間をかけて言及していらっしゃいましたね。一路振りがすでについている場面に関しても、キャラクターがはっきりした後で、振りを変えてもかまわないとまで仰っていて。こういう作り方、ステキだなって思った。愛加みんなの士気が高まりましたよね。一路“すべての人が主役”という作品になりそうよね。様々なタイプの演出家の方がいらっしゃって、こちらに全て委ねてくださる時もありますが、原田先生の中のビジョンがきちんと決まっていて、まず最初にそれを提示してくださると、私たちもそれを起点に広げていくことができる。心強いですよね。――ちなみに紅さんはどんな座長になりそうですか?一路自然体でいらっしゃるんじゃないでしょうか。市川猿弥さんや陣内孝則さんが個性的でいらっしゃるから (笑)。とても楽しく盛り上げてくださる中で、みんながそちらに巻き込まれつつ、でもヘンな方向に行ったら(笑)紅さんが一喝してくれそう……というのはどうでしょう?愛加そんな図が見えますね、まだわかりませんが(笑)。一路今やっぱりマスクをして、会話も極力減らして……という状況ですが、さすがに2か月も公演があるから。心通じるものが生まれると、いいわよね。きっとそうなると思う!――最後に、見どころがたくさんある『エニシング・ゴーズ』ですが、あえて「ここ!」というポイントを挙げるとしたら、どういうところが魅力でしょう?一路先ほど時代背景が……とも申しましたが、でも題名(エニシング・ゴーズ=なんでもあり)のとおり、何もかも忘れて、色々なことを吹き飛ばしてくれるパワーのある作品です。曲調も、登場するキャラクターたちも、ダンスナンバーも、今の時代のうっぷんを吹き飛ばしてくれる。そんな魅力のある作品です! 演出の原田さんが、おしゃれな作品にしてくれます!愛加セットもすごく豪華。楽しみにしていてください。一路……あゆちゃんはタップ(ダンス)するの?愛加ないと思うのですが……台本に「全員タップ」と書いてあるところがあって……どうなるんですかね(笑)。全員!? と思って……。一路でもこの作品の大ナンバーはすごいよね、私も今までの公演を観ていて圧巻でした。それをみんながやるのを見るのが、楽しみ! 台本には大ナンバーになるとちゃんと「ハーコート、引っ込む」と書いてあるから(笑)。袖から観ーよう! と思ってます。一緒に観に行こうね!愛加はい! 特等席で観ましょう!取材・文:平野祥恵撮影:川野結李歌ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』2021年8月1日(日)~2021年8月29日(日)会場:東京・明治座ほか、愛知・大阪・福岡公演あり※新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、8月1日(日)~9日(月・祝)全ステージと11日(水)・17日(火)・19日(木)18:00開演、14日(土)・21日(土)17:00開演公演中止(7/30追記)チケット情報
2021年07月24日TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-の配信、及びライブビューイングの開催が4日、明らかになった。同作は『刀ステ』と呼ばれるシリーズの最新公演。名立たる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を率い、歴史を守るために戦う刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案に舞台化し、圧倒的な人気を博している。2021年は360°の回転ステージであるIHIステージアラウンド東京で、1〜3月に上演された「大坂冬の陣」からのバトンを受け取り、「大坂夏の陣」公演が行われている。「大坂夏の陣」には、三日月宗近(鈴木拡樹)、数珠丸恒次(高本学)、骨喰藤四郎(三津谷亮)、薬研藤四郎(北村諒)、へし切長谷部(和田雅成)、大千鳥十文字槍(近藤頌利)、泛塵(熊谷魁人)、鶴丸国永(染谷俊之)と8振りの刀剣男士が登場。また、豊臣秀頼(小松準弥)、猿飛佐助(風間由次郎)、霧隠才蔵(河合龍之介)、穴山小助(牧田哲也)、三好清海入道(坂口修一)、三好伊三入道(竹村晋太朗)、海野六郎(高田淳)、由利鎌之助(行澤孝)、筧十蔵(久保田創)、望月六郎(伊藤教人)、根津甚八(星璃)、そして高台院(一路真輝)が重厚な歴史ドラマを盛り上げる。今回、公演写真も追加で11枚解禁となった。ライブ配信は、動画配信サービスDMM.comにて、6月27日12時30分公演の全景(定点)映像、同日18時の千秋楽公演のスイッチング映像(カメラ台数18台)を配信。千秋楽ライブビューイングは27日18時公演を全国の映画館にて上映する。
2021年06月04日内野聖陽(52)が愛車の後部座席のドアを開けると、そろそろと降りてきたのは、84歳になる実母だった。かなり足も弱っているのか、杖をついている彼女の腕を内野が優しく支え、ゆっくりゆっくり自宅へといざなっていった。5月17日にスタートしたNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で、内野はヒロイン・百音(清原果耶)の父・永浦耕治を演じている。NHK関係者は次のように語る。「耕治は若いころはトランペット奏者としてならした男性で、実家の漁業を継がず、地元の銀行に勤めているという設定です。クランクインは昨年9月下旬。当初、清原果耶さんは非常に緊張していたそうです。そんな彼女の悩みや不安を、内野さんが本当のお父さんのように聞いてあげていたのです。ときおり、おやじギャグで清原さんを笑わせたり、現場の共演者たちをリラックスさせたりと、宮城県ロケではムードメーカーを務めていました」そんな内野の新型コロナウイルス感染が発表されたのは5月13日のことだった。「6日に発熱の症状があり、PCR検査で陽性が判明したそうです。幸いなことに『おかえりモネ』の撮影スケジュールにも影響がないことがアナウンスされました」(芸能関係者)さらに18日には内野自身が公式HPで経過についてメッセージを発している。《先日は、コロナ罹患で皆様には大変ご心配をおかけいたしましたが、自宅療養も解除され、日々元気に日常を取り戻しております。健康には自信があったものの、本当に昨今のウイルスは進化しており、感染力の強さ、しぶとさを身をもって実感いたしました》本人が語るように、これまで大病知らずだった内野。役柄によって、自分の体重を自由自在に変化させてきた。■実家の寺を継がなかった内野の“負い目”コロナ感染後も、自宅療養によって回復は順調だったようだが、実は“自分のカラダ”より心配なことがあったという。「80代のお母さんのことです。内野さんが住んでいる一軒家から車で2~3分のところにあるマンションで一人暮らしをされているのです。この数年で急に足が悪くなったそうで、介護も必要な状態になっています。重くてかさばる生活必需品などは、内野さんが運んであげていたようです。コロナ療養でそれもできなくなってしまい、内野さんとしては気が気でなかったのではないでしょうか」(内野を知る舞台関係者)6月までは『おかえりモネ』の撮影スケジュールもなく、“休業中”となっていた内野は自宅療養期間が解除されると、すぐに母のために動きだしたのだ。冒頭のように本誌が内野と母親を目撃したのは、彼が回復のコメントを発表した翌日夜のこと。車で母を自宅に連れてきた内野は“病み上がり”のせいもあるのか憔悴しているようにも見え、食料が入っていると思われるビニール袋を手に提げていた。親子水入らずで夕食をともにした後、内野は母をマンションへと送っていったのだ。車の乗り降りを手伝ったり、腕を貸してともに歩いたりする姿からは、内野の年老いた母への深い愛情といたわりが伝わってきた。「横浜にある曹洞宗の古刹の住職を務めていたお父さんが亡くなったのは’02年ごろです。母一人子一人ですが、内野さんはお母さんに対して“負い目”のような感情を抱いているようです。1つは、孫に会わせてあげられないこと。内野さんのお子さんの親権は’11年に離婚した一路真輝さんが持っています。もう1つは、俳優になるという夢をかなえるために実家のお寺を継がなかったことです」いまや誰もが知る人気俳優となった内野だが、かつて家族はその進路に猛反対していた。’06年に内野は本誌の取材に対して、その心情を明かしている。「跡を継がなかったのは、役者の道を歩みたいからです。もちろん最初に反対はありました。今はすべてきちんと、檀家さんに対しても僕の気持ちをお伝えして、自分の道を行くんだということで、ちゃんとやっております」■交際継続中の年下恋人も介護をサポートだがそのいっぽうで、父の逝去後は親戚が寺を継ぎ、母は住み慣れた “わが家”から出ていかざるをえなかったのだ。「複雑な思いがあったのでしょう。’10年、横浜市内のアパートで暮らしていたという実母は週刊誌の取材に対し、“家庭の事情もあるので、息子の俳優としての成功も喜べない”ということを語っています」(前出・芸能関係者)’11年に内野は個人事務所を設立し、母を代表取締役に据えている。また横浜から呼び寄せ、自宅近所のマンションに住まわせるようになったが、それらも“贖罪”の一環だったに違いない。歩行にも支障をきたすようになってきた母の介護をサポートしてくれているのが、’19年に交際が発覚した女優・小山あずさ(35)。彼女を知る舞台関係者によれば、「頭がよく、所属事務所のHPには首都大学東京大学院在籍時に、“抗菌ペプチド遺伝子の分子進化について研究し、論文を発表”したことも記載されています。最近ではドラマ『24JAPAN』(テレビ朝日系)にも出演しました。趣味は料理で節約家という家庭的な一面を持っています。内野さんもお酒が入って上機嫌のときには、『彼女が作ってくれるごはんがおいしいんだよね』と、のろけることもあるそうです」内野は前出のコロナからの回復メッセージで、次のような一文も掲載している。《罹患でご心配ご迷惑をおかけした分、健康に生きる喜びを込めて、演技者としてまた溌刺と現場で恩返しできたらと思っております》演技者として、そして一人息子として、内野の“恩返し”の日々は続いていく。
2021年05月26日TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-の公開ゲネプロが、10日に東京・IHIステージアラウンド東京で行われた。同作は『刀ステ』と呼ばれるシリーズの最新公演。名立たる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を率い、歴史を守るために戦う刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案に舞台化し、圧倒的な人気を博している。2021年は360°の回転ステージであるIHIステージアラウンド東京で、1〜3月に上演された「大坂冬の陣」からのバトンを受け取り、「大坂夏の陣」の公演が幕を開ける。11日より開幕する「大坂夏の陣」には、三日月宗近(鈴木拡樹)、数珠丸恒次(高本学)、骨喰藤四郎(三津谷亮)、薬研藤四郎(北村諒)、へし切長谷部(和田雅成)、大千鳥十文字槍(近藤頌利)、泛塵(熊谷魁人)、鶴丸国永(染谷俊之)と8振りの刀剣男士が登場。また、豊臣秀頼(小松準弥)、猿飛佐助(風間由次郎)、霧隠才蔵(河合龍之介)、穴山小助(牧田哲也)、三好清海入道(坂口修一)、三好伊三入道(竹村晋太朗)、海野六郎(高田淳)、由利鎌之助(行澤孝)、筧十蔵(久保田創)、望月六郎(伊藤教人)、根津甚八(星璃)、そして高台院(一路真輝)が重厚な歴史ドラマを盛り上げる。今作では刀剣男士に加えて、歴史に存在しないはずの真田十勇士たちも個性豊かなキャラクターを見せる。映像をたっぷり使い、圧巻の殺陣など、IHIステージアラウンド東京の面白さを引き出した内容は必見。上演は4月11日〜6月27日、DMM.comにて4月13日の12時半公演、18時公演のライブ配信・ディレイ配信を行う。○三日月宗近役:鈴木拡樹 コメント舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-からストーリーのバトンを受け取り、舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-全100ステージ完走を目標に、戦い続ける座組が出陣します。応援、ご協力、宜しくお願いします。360度回転式のステージと圧感の殺陣をお楽しみください。皆様お待たせ致しました、「刀剣乱舞。はじめよう」○数珠丸恒次役:高本学 コメントこの度、たくさんの方に長年愛されている舞台『刀剣乱舞』に出演させて頂き、数珠丸恒次という役を演じる事が出来て光栄に思います。IHIステージアラウンド東京での最大級のスケールに見合う様に、また天下五剣の一振りに相応しいパフォーマンスをお届け出来る様に、懸命に稽古に挑ませて頂きました。全100公演、誰一人欠ける事なく乗り切って「冬の陣」の皆様が繋いでくださったバトンをしっかり受け取り最後まで走り切りたいと思います。是非、楽しみにご来場ください。○骨喰藤四郎役:三津谷亮 コメント舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-いよいよ開幕です。厳しい日常を忘れ、観劇の皆さん、配信を視聴してくれる皆さんと、エンタメのドキドキを感じて頂けるように、カンパニーの一同みんなで走り抜けたいと思います。応援よろしくおねがいします!○薬研藤四郎役:北村諒 コメント舞台『刀剣乱舞』。実に5年ぶりにこうして再び薬研藤四郎として出陣できるのは、本丸を守り戦い続けている刀剣男士の皆と、審神者の皆様のおかげです。冬の陣を戦い抜いた尊敬する仲間たちの想いを背負い、前人未到の戦へ挑みましょう。最後まで、何卒よろしくお願い致します!○へし切長谷部役:和田雅成 コメント何よりも最後まで全員で戦い抜く。それが一番の目標です。このご時世、観劇するかどうかを迷う方もいらっしゃると思います。自分にとっての正解で良いです。その応援してくださる想いも乗せて戦わせて頂きます。また元気に笑顔でお会いしましょう。○大千鳥十文字槍役:近藤頌利 コメント舞台『刀剣乱舞』初参戦です。たくさんの方から愛される作品に関われたことを嬉しく思います!1公演1公演魂を込めて届けます!それを100回もできるんだから僕たちって幸せ者ですね。素敵な役に出会わせてくれてありがとうございます。最後まで怪我に気をつけて戦い抜きます。応援よろしくお願いいたします!○泛塵役:熊谷魁人 コメント今日から100公演・新次元・新感覚なエンターテイメントをお届けするという大きな挑戦の日々が始まります。これまで毎回の稽古を大切に全力で取り組んできました。生の演劇の良さを体感し、再認識して頂ける舞台だと思います。泛塵の舞台『刀剣乱舞』への初陣、そして、毎公演全ての公演へ挑戦し続ける姿をぜひ劇場でご覧頂けたらと思います。○鶴丸国永役:染谷俊之 コメントまた刀剣乱舞の世界に帰ってくることができ、とても嬉しく思います。冬の陣、そしてこれまでの作品の想いを全て背負って、夏の陣を大成功に収められるよう、全力で頑張ります。驚きの結果を、観に来てくださるみなさんにもたらせられるよう、千秋楽まで駆け抜けます。最後まで応援宜しくお願い致します。○あらすじ西暦2205年。歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」によって過去への攻撃が始まった。時の政府は「審神者」なるものたちに歴史の守護を命じる。その審神者の物心を励起する力によって生み出された「刀剣男士」たちは、さだめられた歴史を守る戦いへと身を投じるのだった。慶長十九年、大坂。方広寺鐘銘事件を発端に、徳川家康率いる幕府軍と豊臣秀頼を長とする豊臣家の間で勃発した戦国時代最後の大戦、大坂の陣。その皮切りである冬の陣では、圧倒的不利と見られた豊臣方が浪人衆たちの助勢により善戦。戦いの長期化を懸念した徳川方は和睦交渉に転じ、豊臣方もその条件をのむこととなる。その裏には、歴史を巡る刀剣男士と時間遡行軍の戦いがあった。山姥切国広率いる部隊の働きにより、1度は守られたかに見えた歴史。しかし、さだめられた未来に一矢を報いようとする真田信繁が、歴史とは異なる局面で自刃。その事実は、あるものたちが信繁の影武者を仕立て上げることによって隠蔽されるのであった。表向きだけの正史が遂行される歴史。大坂夏の陣の時代に、へし切長谷部を隊長とした三日月宗近、鶴丸国永、数珠丸恒次、骨喰藤四郎、薬研藤四郎からなる部隊が出陣する。たどり着いた大坂城下町は、祭りのような喧騒が溢れ返っていた。聞き込みによると、豊臣軍は徳川率いる幕府軍を相手に連戦連勝しており、町人たちは気の早い戦勝祝いに沸いているとのこと。豊臣滅亡という本来の歴史からずれ始めていることを察する刀剣男士たちは、任務の最中で奇妙な士たちに遭遇する。それは、史実には実在するはずもない真田十勇士であった。一方、政府より命じられた“ある任務”のために先んじてその時代へとやってきていた大千鳥十文槍と泛塵。ある事情により泛塵と別行動を取る大千鳥は、状況を打開するために三日月宗近に接触を試みる。やがて刀剣男士たちは、大坂夏の陣の頃には解体されてなくなっているはずの真田丸を訪れることとなる。そこで彼らを迎えたのは、三日月宗近の元主である高台院湖月心尼であった。(C)舞台『刀剣乱舞』製作委員会 (C)2015 EXNOA LLC/Nitroplus
2021年04月11日1月10日に東京・IHIステージアラウンド東京にて開幕した舞台『刀剣乱舞』新作2部作の後半に当たる「大坂夏の陣」公演において、2振りの刀剣男士の出演が決定した。末満健一が脚本・演出を手がけるシリーズ新作2部作では、大坂の陣が目前に迫る慶長19年の大坂を舞台に、本丸から出陣した刀剣男士たちの物語を展開。現在前半の「TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣- Supported by くら寿司」が上演中で、後半の「大坂夏の陣」は2021年4月~6月にかけ、360度回転する観客席が特徴的なIHIステージアラウンドで上演される。この度出演が発表されたのは、大千鳥十文字槍役の近藤頌利と、泛塵役の熊谷魁人の2名。また、追加を含む全8振りの刀剣男士ビジュアルと公演ビジュアル、追加キャストが公開された。さらに、正式タイトルが「TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-」に決定。詳しい日程などの詳細は続報を待とう。【公演情報】◆「TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-」原案:「刀剣乱舞 -ONLINE- 」より(DMM GAMES / Nitroplus)脚本・演出:末満健一日程:2021年4月~6月劇場:IHIステージアラウンド東京<出演>三日月宗近:鈴木拡樹 / 数珠丸恒次:高本 学 / 骨喰藤四郎:三津谷 亮 / 薬研藤四郎:北村 諒へし切長谷部:和田雅成 / 大千鳥十文字槍:近藤頌利 / 泛塵:熊谷魁人 / 鶴丸国永:染谷俊之豊臣秀頼:小松準弥 / 猿飛佐助:風間由次郎 / 霧隠才蔵:河合龍之介 / 穴山小助:牧田哲也三好清海入道:坂口修一 / 三好伊三入道:竹村晋太朗 / 海野六郎:高田 淳 / 由利鎌之助:行澤 孝筧 十蔵:久保田 創 / 望月六郎:伊藤教人 / 根津甚八:星璃 / 高台院:一路真輝 他公演に関するお問合せ: 主催:ニトロプラス / マーベラス / 東宝 / DMM GAMES / S-SIZE / TBS / ディスクガレージローソンエンタテインメント / 電通公式HP: ※詳細の公演日時、チケット情報は後日解禁予定◆「TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣- Supported by くら寿司」原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES / Nitroplus)脚本・演出:末満健一アクション監督:栗田政明音楽:manzo / 伊 真吾作詞:末満健一 / 作詞協力:前田甘露日程:21月10日(日)~3月28日(日)劇場:IHIステージアラウンド東京<出演>一期一振:本田礼生 / 鯰尾藤四郎:前嶋 曜 / 骨喰藤四郎:北川尚弥 / 宗三左文字:佐々木喜英加州清光:松田 凌 / 太閤左文字:北乃颯希 / 真田信繁:鈴木裕樹 / 大野治長:姜 暢雄豊臣秀頼:小松準弥 / 弥助:日南田顕久 / 阿形:安田桃太郎 / 吽形:杉山圭一徳川家康:松村雄基 / 山姥切国広:荒牧慶彦アンサンブル(五十音順):及川崇治、淡海 優、奥平祐介、川手利文、工藤翔馬、小西主馬、澤田圭佑、下尾浩章じゃっき〜、新川 陽、多胡亮平、田嶋悠理、日野亮太、星 賢太、真鍋恭輔、宮永裕都村山邦彦、山下 潤、山中隆介、横田 遼<公演日時・チケット情報>ローソンチケット受付URL: ※PC / スマートフォン共通※今作は新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みを、状況に応じて判断させていただくため、月毎にチケットを販売いたします。※新型コロナウイルス感染拡大に伴う1月7日(木)の政府の緊急事態宣言及び地方自治体等の方針を受け、開演時間等が変更になっております。最新情報は公式HPでご確認ください。その他のチケットに関する注意事項等は公式HPにてご確認ください。チケット価格:一般・サイドシート(※) 16,000円(前売・当日共 / 全席指定 / 税込)※舞台の一部で見えづらい箇所がございます。チケットに関するお問合せ:Mitt /TEL:03-6265-3201(平日12:00~17:00)公演に関するお問合せ: 特別協賛:くら寿司株式会社主催:ニトロプラス / マーベラス / 東宝 / DMM GAMES / S-SIZE / TBS / ディスクガレージローソンエンタテインメント / 電通電子チラシはこちら:
2021年01月29日TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-の追加キャスト、全刀剣男士のビジュアルが29日に公開された。同作は『刀ステ』と呼ばれるシリーズの最新公演。名立たる刀剣が戦士へと姿を変えた“刀剣男士”を率い、歴史を守るために戦う刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案に舞台化し、圧倒的な人気を博している。2021年は360°の回転ステージであるIHIステージアラウンド東京で、舞台『刀剣乱舞』大坂冬の陣/大坂夏の陣と2作続けての公演を行う。新たに出演が発表されたのは、 大千鳥十文字槍(近藤頌利)と泛塵(熊谷魁人)の2振り。すでに発表されていた三日月宗近(鈴木拡樹)、数珠丸恒次(高本学)、骨喰藤四郎(三津谷亮)、薬研藤四郎(北村諒)、へし切長谷部(和田雅成)、 鶴丸国永(染谷俊之)とあわせて、全8振りの刀剣男士のビジュアルが公開された。さらに追加キャストとして、豊臣秀頼(小松準弥)、猿飛佐助(風間由次郎)、霧隠才蔵(河合龍之介)、穴山小助(牧田哲也)、三好清海入道(坂口修一)、三好伊三入道(竹村晋太朗)、海野六郎(高田 淳)、由利鎌之助(行澤孝)、筧十蔵(久保田創)、望月六郎(伊藤教人)、根津甚八(星璃)、そして高台院(一路真輝)の出演も明らかに。公演はIHIステージアラウンド東京にて2021年4月~6月を予定している。(C)舞台『刀剣乱舞』製作委員会(C)2015 EXNOA LLC/Nitroplus
2021年01月29日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。1月22日(金)に兵庫県立芸術文化センターにて開幕した本作にオットー・トゥルスニエク役として出演する橋本さとしに、作品の魅力や共演者とのエピソード、コロナ禍で思った事などを聞いた。ストレートプレイに飢えていた――最初に、ご出演が決まった時の心境を教えてください。ここのところ、劇団☆新感線の『偽義経冥界歌』というエンタテインメント性の高い舞台や、『ビリー・エリオット』というミュージカルに出演させていただいたので、「ど」が付くストレートプレイに自分の中で飢えていたところがありました。このタイミングでお話をいただいたのは、僕にとってはとてもありがたくて、喜ばしいことだったんです。やはり僕はストレートプレイが自分の原点だと思いますので、この作品でもう一度、自分の演技的な基本に立ち返って、自分の中から湧いてくる感情に乗せたセリフ回しというものを、再スタートと言えば、少し大袈裟な言い方になるかもしれませんが、ここから何かを構築させていければなと。気合十分です。――『偽義経冥界歌』も『ビリー・エリオット』も、どちらも「父」役でしたね。そうなんですよ。一方は地獄のお父さんで、もう一方は炭鉱夫のお父さん。いろいろなお父さんを演じさせていただいて、僕もそういう役柄を演じるような年齢に差し掛かっているのかなとすごく実感しました(笑)。殺されて生き返るような冥界にいるお父さんと、超現実的な1980年代の労働者組合のストライキの真っ最中で戦いながらも、家族の間で揺れ動くリアリティのあるお父さんの役と、幅広かった。両方演じられてとても楽しい1年になりましたね。――その中で、今回は舞台となるキオスク(タバコ店)の店主オットー・トゥルスニエク役を演じられます。オットーという役も、まさに血はつながっていないですが、フランツという青年にとっては、親父的存在でいる役柄なんです。フランツという田舎で育った純朴な青年が、ウィーンの街に出てきて、第二次世界大戦目前の、ナチスドイツが台頭する現状を目の当たりにする。そのきっかけになる、オットー・トゥルスニエクというおじさんで、彼が人生観のスイッチを押してあげる役という意味では、親父的ポジションにいるのではないかなと思います。――現段階でどのような部分に難しさややりがいを感じていますか。ストレートプレイというのは、言葉のキャッチボールや感情の受け渡しあい、バトンをしっかり相手に渡すということがとても大事になってきます。特にこの作品は、原作が小説で、日本では先にリーディング版として上演して、今度はストレートプレイになります。演者が実際に演じるという形をとっていますから、緻密に小説で描かれているところを、舞台版ではある意味すっ飛ばして描いていたりする。その分、行間の芝居と感情がすごく大事なんです。どういうものを背負って、今この場に立っているか。それが、演者にとってはとても重要なことになってくると思いますし、難しいところですね。お客様の想像力をかき立てられるような立ち方で舞台の上に立ってないと、それは本を持っていないだけであって、ただのリーディングになってしまう恐れもありますから。――役者としての説得力というのでしょうか。たたずまいから観客の想像力をかき立てるにはどうしたらいいと思いますか。正直、セリフが多いんですよ。特に長台詞。長台詞をひとつひとつ分解して、解明していくと、やっぱり不思議と全然感情が入っていなかったり、自分の中でイメージがなかったりするセリフは、セリフ覚えが悪くなって入ってこないんですよね。僕たちがよくセリフを入れるという段階は、ただ覚えて暗記するという意味ではなくて、腹に落とし込んで、それが、心臓を通って、脳みそを通って、自分というフィルターを通して、言葉にすること。それができて初めて、セリフが入ったと言えるんですね。だからそのセリフを入れる段階というのが、僕にとってはすごく重要になってきています。単純に年々セリフ覚えが悪くなっているというのもあるんですけども(笑)、そこが一番苦労するところで、役者が孤独な作業をする段階ではあります。1日でも早く、自分というフィルターを通して、感情がぎゅっと締め付けられるようなセリフを気持ちよく吐きたいですね。林君のポジティブな気持ちがいい空気をもたらしてくれる――主演の林翔太さんをはじめ共演者の方々にはどのような印象をお持ちですか。林翔太くんはとてもピュアで、僕に比べたら超真面目。すごく真摯に芝居にぶつかっていく。合っていようが間違っていようが、まずぶつかっていく姿が、とてもピュアで、いろいろな垢にまみれた自分にとっては、すごく刺激にもなるし、見習うところでもありますよね。こちらも純粋な気持ちで一緒に芝居を作っていけるというのは、共演者としてはありがたい存在です。あと、弱音を吐かないんですよね。「ダメだな」とか「疲れたな」とか全然言わない。主役というのは他の作品でも一番大変な思いをするけれど、特にこの作品はフランツという青年が背骨になっている作品なので、負担はとても大きいと思うんです。で、僕も心配になって、「調子はどうだ?」と聞いたら「バッチリです!」とか、元気に答えてくれる(笑)。そういう彼のポジティブな気持ちや心構えが、僕たちカンパニーにいい空気をもたらしていると思います。若手で言えば、(上西)星来も、とてもフレッシュですね。彼女はまっさらな状態でこの芝居に臨んで来ているので、まっさらなキャンバスにどんどん色がついてくのが、日に日に見えていて。それを見ているのも、おじちゃんとしては楽しいかな(笑)一路(真輝)さん、山路(和弘)さんなど、昔からやらせてもらっている、信頼のおける先輩にも囲まれています。現場の空気感は温かい感じがして、居心地がとてもいいです。特に吉田メタルくんとは劇団☆新感線以外で初めての共演なんですよ。実は、劇団員の頃、吉田メタルと3年間一緒に暮らしていた時期がありまして。ぼろアパートに二段ベッドを買って、あいつが上で、俺が下に寝て。自分たちはどうなるんだろうという将来の話を毎晩、銭湯に行きながらして……。いつか共演できたらいいよなっていう話はずっと20年前ぐらいからしていました。役者ってやり続けていると、一瞬離れても、続けることによって、どこかでまたピタッと磁石のように出会う。個人的な話ですが、吉田メタルと劇団以外で同じ舞台に立つというのは本当に感慨深いものがありますね。――石丸さち子さんはどういう演出家だと思いますか。僕は今回初めてなんですけども、噂に違わず、本当にパワフルです。それでいて、繊細。豪快さや大胆さもある。お客様のことを信じる力がすごく大きな方だと思うんですよね。演出家というのは、細かく細かく演出して、お客様に分かりやすくしないと不安になられる方もいらっしゃると思うんですけれど、そういうこと関係なく、無駄なところは、ザクッと切り落として、あとはお客様の想像力に任せる。本当に演劇的な原点と言いますか、基礎的なところを久しぶりに味わせていただいています。稽古場で誰よりも声が大きくて、誰よりも笑っていて、喜怒哀楽を役者以上に表現している方です(笑)。石丸さち子という台風の目に、役者が巻き込まれている気がします。時々のみ込まれそうになるんですけれども、こちらも負けずにエネルギーをぶつけていくと、それに応えてくれる方なので、やっていて、楽しいですし、あまり役者に不安を感じさせない、安心感のある方ですね。無駄なことを必要と感じられる心の大切さに気づかされた2020年――2020年はコロナ禍で演劇界にとっても大きな意味のある1年でした。橋本さんにとってはどんな1年でしたか。また2021年の抱負をあわせて教えてください。2020年、役者人生で言えば、不安というものが常に付きまとってはいましたね。劇団☆新感線も途中でアウトになりましたし(※『偽義経冥界歌』が東京公演一部中止、福岡公演全中止)、『ビリー・エリオット』もいつ始まるのか分からないなか、スタンバイをしていて(※7月初日を迎える予定だったが9月に延期)。だからこそ、舞台に立つ喜びを噛み締めた年ではありますね。今まで舞台に立ってきて、こういう事態は本当に経験したことがなかった。ちょっとしたアクシデントで1、2日、舞台が止まってしまうことはトラブルとしてはありましたが、完全に切られるのは初めてで、自信を失いかけたときもありました。日本という国において、エンタテインメントの力はここまでだったのかなと。現実を目の当たりにはしましたね。真っ先に僕らの世界が、娯楽という世界が、切られていきましたから。いただいた時間の中で、随分いろいろなことを考えましたし、今までできなかったこともできました。物質的にも断捨離をして、フリマアプリで小銭を稼いだりもしましたが(笑)、心の断捨離みたいなものもできました。なあなあで来ていたものが通用しないと気づきましたし、当たり前だと思ってやってきたことも、実は当たり前のことではなくて、すごく奇跡的なことだったと実感しました。ハートは強くなったと思います。劇団☆新感線の舞台が途中で終わって、『ビリー・エリオット』が予定より2ヶ月遅れで始まって、やっと舞台に立てた時の劇場の空気。感染対策で、キャパの半分しかお客さんをお入れすることはできなかったんですけども、拍手が大きくて、満場の拍手をいただいた。その瞬間に、僕たちがいるべき場所、立つべき場所は、ここなんだなと。不安になっていた部分は自信に変わりましたし、娯楽・エンタテインメントの必要性を感じて、それを信じることができました。無駄と言えば無駄なのかもしれないけれど、無駄なことを必要と感じられる心の余裕や潤いって、人間が生きていく上でとても大事なことだと思います。僕たちは住む家を与えたり、お腹を満たすことはできないけど、心を満たすことができるという自信になりました。そういう意味では僕にとっては有意義で意味のある1年になりました。ただ、それはまだ過去の話ではなくて、状況が継続してしまっている現実があります。まだまだ油断はせずに、自分たちがやるべきことをしっかりやって、必要とされる存在でありつづけるために、エンタテインメントというものをこれからもずっと守り続けていくという気合いをもって、皆様に心の潤いを与えていきたいなと思っています。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己公演情報『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月23日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。稽古開始後間もない12月某日、本作に出演する、元宝塚歌劇団宙組トップスターで俳優の大空ゆうひに話を聞いた。エネルギッシュな石丸演出──『キオスク』の出演が決まった時の心境を教えてください。まず、脚本を読ませていただいて、1回で理解しきれる本ではなかったんですけれど、作品の持つ不思議なみずみずしさがとてもいいなと思いました。私は、その中で様々な役割を演じます。これは何かトライできることがあるんじゃないかなと思いました。演出の石丸さち子さんとは、以前に舞台『まさに世界の終わり』(2018年)でご一緒させていただきました。その時に石丸さんから感じたパワーが圧倒的で、エネルギーをもらい、また、違う作品で石丸さんの作品世界にチャレンジしたいと思いました。──本作では様々な役を演じられるとのこと、なかなか想像がつかないのですが……。まだ全貌が本当に分からないですし、正直、これからです。(演出の石丸さんは)今は一番ストーリーとして大事な主軸を作っていらっしゃる段階だと思います。今の状況をこのまま練っていって初日を迎えるというよりも、まだ二転三転するでしょう。日々、その日の風が吹くと思って、自分もそういう気持ちで稽古に臨みたいなと思っています。稽古場では、何かうごめいているものが、エネルギー体としては存在しているんですけど、まだはっきりとしたものは見つけていない。徐々に何かが見えてくる。そんな段階でしょうか。──それは役に関してもそうですし、石丸さんの演出がそういう演出なのでしょうか。特に今回はそうですね。毎日がエチュードをやっているというか、何を振られるか分からない状況。びっくりするような演出や、思いついたアイディアを試してみようという段階です。ここからもっと発展させていくのだろうなと思います。──“びっくりするような演出”というのは具体的にどういうことですか。思っていたよりも、書かれていないところに、いろいろなことが起きるんです。それは幕が開いてのお楽しみになるかもしれないですけど。シンプルな木枠がいろいろな窓になったり、電車になったり。そういうものを自分たちで表現していく際に、決定稿みたいなものはないので、私たちも想像力を使って更にひろげたい。無茶ぶりと思えるようなリクエストにも何か落とし所を見つけていく。毎日驚いたり、面白がりながらやっています。──改めて、石丸さんはどういう演出家だと思いますか。エネルギーがすごいです。パワーの塊みたいな感じです(笑)。石丸さんの中にある熱いものを作品に全力でぶつけていらっしゃるので、役者も同じような誠実さで持って、しっかりと何かを持って稽古場に行かないと、その熱量に負けてしまう。熱量を準備しながら、日々の稽古に臨みたいと思わせるような方だと思います。──前回ご一緒された『まさに世界の終わり』から2年ほど時間が経ちました。何か変化はお互いに感じられますか。石丸さんは私のことはどう思っていらっしゃるか分からないですけど(笑)、石丸さんはいい意味で全く変わっていらっしゃらないですし、パワフルさにも全く衰えがないです。稽古中も「あーそうそう、この感じ!」というように思います。1回ご一緒していますが、私の立ち位置も前回とは違うので、ちょっとヒートアップした石丸さんにツッコミを入れられるような場面を見つけていきたいですね(笑)。厳しさも楽しみながら。少しでも演出家の意図を理解して受け入れていくみたいなことができるといいなと思います。主人公と同じ17歳の時憧れた一路真輝との共演──共演者についてお伺いします。宝塚の先輩である一路真輝さんや、主演の林翔太さんの印象を教えてください。この作品の少年は17歳なんですけど、私が17歳で初舞台の時に、初めてお会いした、そのときのスターさんが一路さんでした。当時の自分のことを思い出しつつ、今回は稽古場でお隣に座らせていただいて……。女優さんとしての見習うべき点がたくさんあり、とても魅力的な方だと思います。私が17歳だった頃にはとても想像できなかったほど気さくに話しかけてくださるし(笑)。居方も演技もいろいろ勉強させていただきたいなと思っています。林くんとは初共演。今マスクをして稽古をしているんですけれども、きっとマスクをとってお芝居をしたら、全然違うんだろうなと。まだまだきっと知らない林くんがいっぱいあるんだろうなと思います。──コロナ禍ならではのエピソードですね。「え、そんな顔だったの?」って、コロナ禍あるあるです(笑)。どんな表情をしているのかも受け取る情報量が少ない、それでも伝わって来るものを大切に稽古しています。──2020年は演劇界にとっても大きな年でした。いろいろなことを感じられたと思いますが、コロナ禍でも舞台に立つ意味や思いをお聞かせください。舞台公演が中止になって、生の舞台ができない時期は、自分たちの仕事の意味や、俳優という仕事の役割を多少は考えましたが、舞台が再開できたときに、以前よりも、舞台で何かを伝えるということ、自分が置かれている日常とは違うものを劇場でライブで体感するということは、とても素敵なことなんだなと思ったんです。これまでも、「舞台が好き」とは思っていたんですけれども、今更ながらその芸術性を感じましたし、人間にとってそういうものは必要なんだなということを改めて感じることができて。仲間たちと一緒に作品を作ることが当たり前じゃないし、それができることに感謝するようになりました。それが、自分が舞台に立つエネルギーにつながったのかもしれないです。以前より、楽しめるようになったし、ただ楽しいだけではなくて、舞台に立っているときの気持ちが強くなりました。一回離れたことで、お芝居をすることと両思いになれたような気もして。その点、私にとってはいいこともあった期間でした。世界的には不安な状況ですし、マスクをしての稽古など、今まで想像もつかないような景色を見ているんですけれども、そうしながらも、何かを発信していくことはきっと続いていくだろうなというようなことも考えました。コロナ禍で上演することの意義──このコロナ禍で上演される『キオスク』。大空さんはこの作品を今上演する意義をどのように感じられますか。不穏な時代、不安の時代というのは、心情的に、とても現状の私たちと重なることが多いと思います。ピュアで多感な17歳の少年の目を通して、その世界を見る。自分たちがどこに向かっているのか分からないですし、正確な道標はないと思うんですけれども、作品の中で、純粋な目で、世の中や社会情勢を見ることで、迷い込んだ状況からちょっと視界がクリアになったり、絶対的に大丈夫という保証はないけれども、微かな希望が見えるかもしれない。今この作品を上演して、お客様がご覧になってくださることによって、きっといろんなことを感じられるはず。心が動くことも大事なこと。何かを提供できる作品だと思います。──大空さんは、宝塚歌劇団を退団されてから、ストレートプレイからミュージカル、インタビュアーとしても活躍されています。幅広いお仕事の中で、ストレートプレイはどういう位置づけなのでしょうか。私の中では、あまり位置づけをしたことはありません。私はミュージカルであれ、ストレートプレイであれ、歌の仕事であれ、表面的な形よりも、もう少し奥にある根底を見ていて、その作品や音楽が持っている、一番核となる部分をいろいろな手法で表現していく。奥にあるものを感じ取って表現するお仕事をしているという感覚です。たまたまそこで歌った。たまたまそこに音楽があった。それは、表現するための必然性。もちろんそれは作り手にとってはジャンルは違うのだと思うんですけど、私の中ではあまり境界線を引かないようにしています。──最後に、お客様へメッセージをお願いします。2020年から、様々な葛藤や不安を抱えて過ごした方が多いと思うんです。世の中全体が厳しい状況の中ではありますが、何か人間らしさや、人間の心、大切な温かいものが、まだ人々の中に残っていて。この『キオスク』という作品は、そういうところに触れてくれるような、だけれども警告も含まれる作品だと思います。きっと何かを持って帰っていただけると思うので、たくさんの方に劇場にいらしていただけたらと思います。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己ヘアメイク:大宝みゆきスタイリスト:SAKAI『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月14日2020年はベートーヴェン誕生から250周年。これまでその正体がわからなかった、“不滅の恋人”をアントニー・ブレンターノとし、ベートーヴェンの姿に迫る音楽劇、『Op.110 ベートーヴェン「不滅の恋人」への手紙』が東京・よみうり大手町ホールにて開幕した。本作は「エリザベート」などウィーン作品を日本上演する際のコーディネーター等も務める小熊節子が原案を担当。演出には現代日本を代表する演出家・栗山民也、脚本はDISCOVER WORLD THEATRE「罪と罰」で翻訳を務めた木内宏昌。舞台『Op.110 ベートーヴェン「不滅の恋人」への手紙』の公演チケット情報ベートーヴェンが多数の手紙をしたためながら、出すことがなかった「不滅の恋人」への手紙。その宛先が、アントニー・ブレンターノとしたのが今作だ。アントニーは裕福な貴族家庭に生まれ、ベートーヴェンとは結婚前に出会う。ベートーヴェンの音楽に魅せられるも、父親から実業家フランツ・ブレンターノとの結婚を決められてしまう。その二人が数年を経てまた出会い、かくしてアントニーはベートーヴェンの不滅の恋人となったのか……ということが語られていく。17歳でのベートーヴェンとの出会いと禁断の恋、そして別れとその後の姿までが描かれるアントニー・ブレンターノを演じるのは一路真輝。少女から、様々な出来事を経て一人で立つ女性の姿を、繊細に演じている。また田代万里生が演じるのはベートーヴェンの弟子であり、後年その伝記を書くことになる若き音楽家フェルディナント・リース。今作のストーリーテラーでもあり、田代ならではの伸びやかな歌唱も見どころだ。また今作の大きな特徴ともいえるのが、タイトルにもあるベートーヴェン自身は出ないこと。彼の姿を映すのは登場人物たちの回想。アントニー、フェルディナントだけでなく、例えばベートーヴェンの弟子であり、彼を愛したジョゼフィーネ(演・前田亜季)、肖像画を描いたシュティラー画伯(演・石田圭祐)らとの会話、回想を元に、ベートーヴェンがどのような人であったかを舞台上に浮かび上がらせている。舞台の真ん中には一台のピアノが置かれ、音楽家・新垣隆が生演奏を行う。生演奏の力強さ、また役者たちのセリフのリフレインや、歌唱と合わさって生まれる機微も、改めて舞台だからこその喜びを感じさせてくれる。ぜひ今年だからこそ、劇場に響く歓喜の歌を体感してほしい。公演は12月26日(土)まで、東京・よみうり大手町ホールにて開催。チケットぴあでは座席指定券を、各公演開演時間まで販売中。
2020年12月15日オーストラリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説『キオスク』が、林翔太を主演に戯曲版で日本初演されることが決定した。ナチスドイツが台頭するオーストリアで時代に翻弄される人々を描いた『キオスク』。2019年12月から今年1月にかけて、末澤誠也(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)主演、石丸さち子上演台本・演出による、原作に忠実に上演したリーディング版日本初上演は大好評を得た。今回は作者本人による戯曲版を、より視覚的に、演劇的な身体を駆使した形で上演することを目指している。本作の主人公は、ウィーンのキオスク(タバコ店)で働くことになった17歳の青年フランツ。ナチスドイツが台頭し、ヒトラーによるホロコーストが始まった1937年のオーストラリアを舞台に、フランツはさまざまな大人たちとの交流や初恋を通じて成長を遂げ、政治や世情と向き合っていく。主演の林を脇で支えるのは、リーディング版に引き続き出演する、実力派女優の一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ベテラン俳優・山路和弘。さらに、今作には、バイプレイヤーとして数多くの作品で活躍する橋本さとし、秀作舞台の常連女優・大空ゆうひ、劇団☆新感線公演でおなじみの吉田メタル、故蜷川幸雄演出作に多数出演の実力派、堀文明が出演する。豪華キャストによって上演される戯曲版『キオスク』をぜひ目の当たりにしてほしい。【公演概要】『キオスク』<兵庫公演>公演期間:2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール<東京公演>公演期間:2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス※ほか、各地公演予定ありオフィシャルサイト:
2020年10月10日俳優として数多くの作品に出演している、内野聖陽さん。名前の読み方は『うちのせいよう』で、本名は漢字が同じで読み方が違う『うちのまさあき』さんといいます。ドラマ『ふたりっ子』(NHK)でブレイクを果たし、クールなビジュアルで老若男女問わず人気です。そんな内野聖陽さんの若い頃の画像や再婚の噂、子供など、さまざまな情報をご紹介します。内野聖陽、若い頃の写真や活動を紹介!大学は早稲田1993年10月~11月にかけて放送されたドラマ『街角』(NHK)で俳優デビューした、内野聖陽さん。早稲田大学に在籍していた頃は国際的なジャーナリストになることを夢見ており、「いろいろな物を見てみたい」という好奇心を強く持っていたといいます。そんな中で留年が決まり、先輩から「1年遊んでるくらいだったら、芝居の勉強してきたらどうだ」とアドバイスを受け、劇団『文学座』の門を叩くことに。初めは芝居にまったく興味がなかったという内野聖陽さんでしたが、徐々に芝居の世界へとのめり込み、本格的に俳優として活動していきます。1993年に舞台『女たちの十二夜』で舞台デビューを果たした内野聖陽さんは、1996年に出演した朝の連続テレビ小説『ふたりっ子』(NHK)でヒロイン・野田香子の夫となる森山史郎役を演じ、一躍人気を集めます。1996年に紀伊国屋サザンシアターの公演『ロミオとジュリエット』で初の主役を務めると、1998年には大河ドラマ『徳川慶喜』(NHK)に徳川慶篤役で出演。内野聖陽 1998年1999年には舞台『裸足で散歩』で女優・石田ひかりさんと共演しています。石田ひかりと内野聖陽以降も活躍を続け、2000年にはミュージカル『エリザベート』に挑戦。2002年に舞台『藪の中』、2003年にはシェイクスピア劇『ペリクリーズ』、ミュージカル『レ・ミゼラブル』といった数々の作品に出演し、舞台、映画、ドラマとマルチに活動しています。内野聖陽 2002年写真を見ると、内野聖陽さんは若い頃からとてもイケメンだったことが分かりますね。内野聖陽の現在の姿は?内野聖陽さんは2018年4月から放送されたドラマ『ブラックペアン』(TBS系)に出演。二宮和也(にのみや・かずなり)さん演じる主人公・渡海征司郎と敵対する心臓外科医・佐伯清剛役を好演しました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 View this post on Instagram A post shared by TBS日曜劇場「ブラックペアン」 4月22日スタート (@blackpean_tbs) on Jun 24, 2018 at 4:00am PDT View this post on Instagram 【第6話放送まであと3時間❗️】 本日放送の6話から国産ダーヴィン #カエサル が登場 佐伯教授も興味津々のようです #ブラックペアン #tbs #内野聖陽 #本日よる9時 A post shared by TBS日曜劇場「ブラックペアン」 4月22日スタート (@blackpean_tbs) on May 27, 2018 at 2:02am PDT作家・海堂尊(かいどう・たける)さんの小説『新装版 ブラックペアン1988』を原作とした同ドラマは、一匹オオカミの天才外科医・渡海征司郎が大学病院を舞台に巨大な組織の不正や疑惑に真っ向から立ち向かっていく様子を描いた、医療エンターテインメントです。物語終盤では、渡海征司郎と佐伯清剛の知られざる過去や対立構造が明確に。内野聖陽さんの迫力あふれる芝居が話題を呼び、高視聴率を記録しています。内野聖陽さんは2019年にドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)に出演し、俳優の西島秀俊(にしじま・ひでとし)さんとW主演を務めました。 View this post on Instagram A post shared by 劇場版「きのう何食べた?」 (@movie_nanitabe) on May 28, 2020 at 8:04pm PDT「きのう何食べた?」をご覧いただいた皆様、いままでありがとうございました!またいつかどこかでお会いできますように! #きのう何食べた ? pic.twitter.com/EnPkePxTCw — きのう何食べた? テレビ東京ドラマ24 (@tx_nanitabe) June 28, 2019 原作はよしながふみさんの同名人気コミック。男性2人が2LDKのアパートに月2万5000円の食費で暮らす様子を描いたドラマで、内野聖陽さんはゲイの美容師・ケンジこと矢吹賢二役を繊細に演じています。これまでは硬派な役柄が多い印象だった内野聖陽さんですが、意外なまでのハマりっぷりが話題になり、原作ファンも「自然すぎる」と絶賛。演技や役作りが評価され、『第101回ザテレビジョンドラマアカデミー賞』主演男優賞を受賞しました。さらにドラマも好評だったことから、2020年1月1日には『きのう何食べた? 正月スペシャル2020』が放送され、多くのファンを歓喜させました。 #きのう何食べた ? 正月スペシャル2020ご視聴頂き、有難うございました見逃し配信もスタート!!BSテレ東では、1月5日(日)夜9時放送!ぜひ何度でも観て頂きたいです #西島秀俊 #内野聖陽 #何食べ pic.twitter.com/IHPQEHAbZv — きのう何食べた? テレビ東京ドラマ24 (@tx_nanitabe) January 1, 2020 内野聖陽は子供がいる?再婚は?内野聖陽さんは2006年に元宝塚のトップスターで女優の一路真輝(いちろ・まき)さんと結婚しました。2人は、2000年に行われたミュージカル『エリザベート』で共演。その後も、同作の再演でたびたび共演し、交際をスタートさせます。そして、2006年7月に婚姻届を提出した2人の間には、同年10月に第1子となる女の子が誕生しました。子供にも恵まれ、順調な結婚生活を送っていたように見えた2人ですが、2011年8月18日に離婚を発表。所属事務所を通じて、FAXで次のように離婚を報告しました。このたび、俳優内野聖陽と女優一路真輝は正式に離婚をすることになりました。本日、役所にて届け出を提出して参りました。結婚時に際しましては、関係各社のみなさま、ファンのみなさま、私たちの友人知人のみなさまよりたくさんの温かい祝福のお気持ちをいただいたにもかかわらず、本当に残念なご報告で申し訳ない気持ちでいっぱいです。ですが、家族のこと、それぞれのこれからの道のことを徹底的に話し合った末、今後もお互いに対話を持ちながら、前向きにそれぞれの道で精進して参ろうという結論に達しました。みなさまには、大変ご心配をおかけいたしましたが、内野、一路共々、これからもたゆまぬ努力を続けて参りますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。ファックスにて失礼いたしますが、ご報告のご挨拶とさせていただきます。内野聖陽に新しい恋人は?一路真輝さんと離婚後の2019年5月、内野聖陽さんの熱愛が報道されました。相手は17歳年下の女優・小山あずささんで、交際期間は1年以上になるとのことです。小山あずささんは2010年に『首都大学東京大学院理工学研究科』を卒業。在学中に、抗菌ペプチド遺伝子の分子進化について論文を発表したこともある『理系女子』として知られ、身長173cmの長身美女です。大学卒業後の2011年から2012年まで、俳優・仲代達矢(なかだい・たつや)さんが主宰する『無名塾』に在籍。そこから女優としてのキャリアをスタートさせ、数々のドラマや舞台で活躍しています。内野聖陽さんも交際を認める発言をしているといい、真剣交際のようです。若い頃から抜群の演技力を発揮し、俳優界を牽引してきた内野聖陽さん。今後の活躍にも注目です!内野聖陽プロフィール本名:内野聖陽(うちの・まさあき)生年月日:1968年9月16日出身地:神奈川県血液型:AB型身長:1773所属事務所:スターダストプロモーション1993年にドラマ『街角』(NHK)で俳優としてデビュー。1996年に出演した連続テレビ小説『ふたりっ子』(NHK)で、一躍人気を集め、2000年にはミュージカル『エリザベート』、2003年には『レ・ミゼラブル』に出演するなど、舞台でも活躍する。その後もドラマ『エースをねらえ!』(テレビ朝日系)や大河ドラマ『風林火山』(NHK)、『JIN-仁-』(TBS系)、『臨場』(テレビ朝日系)、『とんび』(TBS系)など、数多くの映画やドラマに出演。現在も数々の作品に出演する実力派俳優として活躍している。内野聖陽の昔と変わらぬ現在の姿に「かっこいい!」子供のころについて語ったこととは[文・構成/grape編集部]
2020年07月28日滝川クリステル(42)&小泉進次郎議員(38)、TOKIO城島茂(49)など、数々のビッグカップルが結婚を発表した19年。オリンピックイヤーとなる20年も期待したいところ!そこで注目の熱愛カップル20組の年内入籍はあるのか?もしくは破局の可能性は?芸能リポーターの長谷川まさ子さん、菊池真由子さん、城下尊之さんの3人に予想してもらった。本誌が熱愛を目撃したカップルたちの行く末は気になるところ。美容師男性との半同棲生活を送る次世代のバラエティ女王・朝日奈央(25)の結婚確率は長谷川さん、菊池さんともに低めの予想。しかし、こんな声も。「2人とも多忙で、すれ違う生活が続いたことで一時期は破局寸前だったそうです。しかし、熱愛報道が出たことでお互いの存在を改めて実感したそうです。彼はサロンの美容師とヘアーカットの講師を兼任しているのですが、朝日さんとの時間を作るために講師の仕事に専念しようかと考えているみたいですよ。今年の秋あたりに結婚を考えているとも聞いています」(芸能関係者)昨年12月に元タカラジェンヌ・朝海ひかる(年齢非公表)と愛犬を散歩させる姿を本誌が目撃したV6・坂本昌行(48)。長谷川さんは「結婚してほしいという願望も込みで80%」と期待を込める。「これまでジャニーズでは、各グループのリーダーは結婚しない傾向にありました。しかし昨年9月にTOKIOの城島茂さん(49)がついに結婚したので、年齢的にも次は坂本さんでしょう。また朝海さんは犬の散歩を代わりにするなどペットにも懐かれているほどの間柄なので、結婚する可能性は大いにあると思います」そんななか、中村七之助(36)の前には壁が立ちふさがっている。14年から交際中の一般人女性と同棲生活をスタートさせていた中村。結婚間近とも見られている2人だが、城下さんは「今年は絶対に無理なんです」と断言。そこには歌舞伎界の“掟”があった。「今年は市川海老蔵さん(42)が團十郎を襲名します。屈指の名跡である團十郎襲名という一大イベントに向けて歌舞伎界も総力をあげているときに、他に派手な活動をするのはご法度とされています。なので七之助さんが結婚を今年発表することはなかなか難しいはず。再来年以降に結婚できる可能性はあると思うのですが……」酸いも甘いも経験した内野聖陽(51)の決断からも目が離せない。昨年5月、一部週刊誌に小山あずさ(34)との交際宣言をしていた内野。一路真輝(54)との離婚も経験した内野だが、菊池さんは再婚の可能性は「極めて低い」と語る。「内野さん13歳のお子さんとの関係もとても良好と聞いているので、結婚はお子さんが大きくなってからでしょう。しかし、小山さんの年齢も考えると、“もう少し待って”と結婚を先延ばしするのもなかなか難しいはず。お互いの道を歩むために、別れるという決断もあるかもしれませんね」昨年は4組の結婚を的中させた本企画。果たして熱愛カップルたちはどうケジメをつけるのか――。「女性自身」2020年1月21日号 掲載
2020年01月09日宮崎あおい、永山瑛太、松坂慶子、松重豊らが共演する「渡る世間は鬼ばかり」の石井ふく子プロデューサーによる新春ドラマ特別企画「あしたの家族」が1月5日(日)、TBS系で放送される。昨年、宮崎さんと大泉洋が共演した「あにいもうと」に続く石井プロデューサーの特別企画となる本作。小野寺理紗は、4年前の結婚式当日に新郎に逃げられたという過去を持つが、今は立ち直っている。理紗の父・俊作と母・真知子は、娘夫婦と同居するために大きな二世帯住宅を建てるも思惑が外れ、広い家に両親と理紗の3人で暮らす毎日を送っていた。製菓会社の営業部長だった俊作だが人事異動で別の部に配属されることに。そこに兵頭幸太郎が新部長として着任する。かつての俊作の部下だった幸太郎が上司になったことに俊作の心境は複雑だ。ある日理紗がプロポーズされたと言って恋人の兵頭幸太郎を連れてきた。なんと、幸太郎は俊作の職場の元部下で、しかも現在は自分の上司だった…というのが本作のストーリー。理紗役には大河ドラマ「篤姫」で主演を務め、『舟を編む』や『怒り』では日本アカデミー賞に輝いた宮崎さん。幸太郎役には『余命1ヶ月の花嫁』『ディア・ドクター』などの映画から「ハロー張りネズミ」「anone」といったドラマまで幅広く活躍する永山さん。理紗の父・俊作には大人気の「孤独のグルメ」シリーズや大河ドラマ「いだてん」、映画『引っ越し大名!』などの松重さん。母の真知子に『蒲田行進曲』から『人魚の眠る家』まで数えきれないほどの作品に出演してきた名女優、松坂さん。この4人を取り巻く登場人物として一路真輝、六平直政、渋谷飛鳥、近藤芳正、田村健太郎らも共演する。新春ドラマ特別企画「あしたの家族」は2020年1月5日(日)21時~TBS系で放送。(笠緒)
2020年01月05日オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによる青春小説で、2018年には現地で映画化もされた『キオスク』が、石丸さち子の上演台本・演出により舞台化される。物語の舞台は、ナチスドイツが台頭する1937年のウィーン。田舎から出て来てキオスクの見習い店員となった17歳のフランツは、客としてやって来た精神分析学の創始者、ジークムント・フロイト教授と懇意になる。やがて年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの少女に恋をするフランツ。時代の波に飲み込まれようとする街で、少年がフロイト教授の手ほどきを受けながら、悩み行動する姿を朗読劇の形で描く「リーディングシアター」だ。フランツ役に扮するのは、今年2月に結成された関西ジャニーズJr.のユニット「Aぇ! group」のメンバーとして活躍する末澤誠也。ユニット所属以前から『ドッグファイト』『スケリグ』に出演するなどして舞台経験を重ねていたが、本作が初の単独主演作品となる。ほかに、自他ともに認めるオーストリアとゆかりの深い女優・一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、山路和弘が出演。石丸が「素晴らしく魅力的な出演者が集まりました」と胸を張る『キオスク』は、12月25日(水)から29日(日)まで東京芸術劇場 シアターイースト、1月18日(土)・19日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。文:町田麻子
2019年12月24日関西ジャニーズJr.のユニットAぇ! groupの末澤誠也が、リーディングシアター『キオスク』で初の舞台単独主演を務めることが24日、明らかになった。同作はオーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによる青春小説「キオスク」を、リーディング形式で上演。1937年、ナチスドイツが台頭するウィーンに、自然に恵まれた湖畔で母親と2人暮らしだった17歳のフランツがやって来る。キオスクの見習店員となったフランツは、母の旧友でもある店主からさまざまな事を学び、また店の客である精神分析学の創始者、フロイト教授と知り合いになる。教授からフランツは、人生を楽しみ恋をするよう忠告され、やがてフランツは年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの女の子アネシュカに心を奪われる。フランツに人生を説く晩年のジークムント・フロイト教授、ウィーンでの自立の扉を開くキオスクの店主・オットー・トゥルスニエク、そして時代のうねりにのみ込まれていくオーストリア。フランツの想いと歩みを描いて、ノスタルジックな空気感を醸し出すこの魅力的な作品は、2018年秋、日本でも映画版が公開されて好評を博した。演出は、ミュージカルをはじめ多彩な作品の演出で評価の高い石丸さち子、ほかキャストには実力派で秀作への出演が続く女優の一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、同じく様々な作品で高く評価されるベテラン俳優山路和弘と、そうそうたる顔ぶれがそろった。東京公演は東京芸術劇場 シアターイーストにて12月25日~12月29日、兵庫公演は兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて2020年1月18日〜1月19日。○石丸さち子(上演台本・演出) コメント17歳のフランツが出会う、都会ウィーン。新聞のインクと葉巻の匂いが立ちこめるキオスク。はじめての恋は狂おしく、恋と人生の手ほどきは心理学の第一人者フロイト教授。しかし、初々しい少年が喜び悩み大人に成長する自由は、ナチス・ドイツの台頭する政情に押しつぶされます。そんな時代の中にあって、なんてのびやかで無鉄砲で多感な青春でしょうか!この作品をご紹介できることに、大きな喜びと責任を感じます。素晴らしく魅力的な出演者が集まりました。フランツの人生を駆け抜ける末澤誠也さんにしっかり伴走したいと思います。○末澤誠也 コメント「舞台で主演をはらせていただく」というのが、僕の中で一つの夢でもあり、大きな目標でした。それをこんなにも早くに実現できることになり、本当に喜びと感謝で一杯です。芝居経験はまだまだ浅いですが、お芝居が大好きで、舞台に立たせていただいた際には、役者の皆さんから様々なお話を聞かせていただき、舞台上で表現させていただけることが本当に勉強になりますし、僕が成長していく大きな糧になっています。リーディングというジャンルのお芝居は初めての挑戦なので、少年フランツの成長、フランツから見て描かれる時代の変化をしっかり皆様に感じていただけるように精一杯頑張りたいと思います。是非劇場に足をお運び下さい!○一路真輝 コメント“オーストリアと日本の国交樹立150周年”の今年、その締めくくりに、リーディングシアター『キオスク』に出演させて頂ける事、とても嬉しいです。オーストリア、ウィーンは宝塚時代からずっと大好きな場所で、プライベートでもお仕事でも幾度か訪れ、わたしの身体の何パーセントかはウィーンの、オーストリアの空気感で満たされています。原作を読んでいても、地名を見るだけで景色が浮かんできて、ワクワクするのです。そして、何年も待ち焦がれていた石丸さち子さんの演出であることにも心惹かれ、石丸さんのお創りになる世界を楽しみにしています。
2019年09月24日谷崎潤一郎の小説を原作にした舞台「細雪」が5月4日に開幕し、現在上演中だ。初日の公演に潜入した。【チケット情報はこちら】1940年代に書かれた本作は、第二次世界大戦が今にも始まろうかという昭和十年代の大阪・船場を舞台に、徳川の時代から続く木綿問屋・蒔岡(まきおか)商店の蒔岡四姉妹を中心に人々が織りなす日常が綴られた物語。舞台版は1966年の初演以来1500回以上、上演されている。脚本は初演で菊田一夫が書いたものを堀越真が潤色。堀越と演出の水谷幹夫は35年に渡り本作を手掛けている。今作で四姉妹を演じるのは、浅野ゆう子、一路真輝、瀬奈じゅん、水夏希。全員「細雪」初参加のキャストだ。父から譲り受けた家業の暖簾を夫と守り、“本家”の誇りと格式にこだわるがゆえ妹たちにも厳しい長女・鶴子を浅野が、神戸・芦屋に分家を構え、本家のしきたりや格式に囚われず妹たちのよき相談相手を務める次女・幸子を一路が、 全ての面で控えめな性格なうえ縁談は長女の口出しもあってうまくいかない三女・雪子を瀬奈が、ハイカラで活発、時代を見極め手に職をつけて自立の道を切り開こうとする四女・妙子を水が演じる。それぞれが違う鮮やかな“色”を放つ四姉妹だが、誰が演じるかによって大きく変わるのが、その“色”におさまらない人間味だ。浅野が演じる長女は厳しいけれどチャーミングで、一路が演じる次女はおおらかさを支えるしなやかさが印象的、瀬奈の三女の“おっとり”には真っ直ぐな強さがあり、水演じる四女の奔放さには必死さも感じられる。そんな彼女たちの、姉妹ならではの絶妙な間合いで繰り広げられるやり取りから、これまで歩んできた家族の歴史、互いへの愛情や信頼が自然と感じられる。また、その夫や女中たちのひとりひとりが四人を支える姿も印象的。側で見つめているが何も語らない、そんな彼らにもぜひ注目してほしい。船場で五本の指に入る名家で起きるさまざまな出来事を描いていく本作。戦争に向けて時代が大きく変わっていく中で、姉妹は自分たちがいる世界がすでに過去になりつつあることを感じ始める。男女の立場の違いや家制度、上流階級の世界など、現代とは違う設定も多いが、そこで描かれる人々の姿は、時代が変わろうとしている今だからこそ響くものでもある。言葉にはならないものが多く描かれた舞台。ぜひ劇場で感じてほしい。船場言葉(柔らかな関西弁)や華やかな舞台セットや四姉妹の豪華で美しい着物にも注目の明治座五月公演「細雪」は5月27日(月)まで東京・明治座にて上演中。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年05月10日黒木瞳と檀れい11月下旬、元貴乃花親方・花田光司氏と河野景子さんの離婚が明らかになり、世間を驚かせたが、その2日後の28日、今度は及川光博と檀れいが連名で離婚を発表した。「仲良く過ごしてまいりましたが、互いが仕事に集中するあまり、時間的にも精神的にもゆとりがもてなくなってしまったのが実情です。笑顔で出した結論です」とつづられた文書からは、花田夫妻とは違う「円満な離婚」の雰囲気が漂っていた。「結婚当初から本当に仲がよかったんですよ。及川さんは9月には檀が出演した舞台『オセロー』も観に行って、カーテンコールの時はとてもうれしそうに拍手されていましたし、その後も2人で宝塚の舞台を観劇していましたし……」そう話すのは2人をよく知る芸能関係者だ。一部では、及川の若い女性との食事デート、檀が実家へ帰り“別居か?”など不仲を報じられ、「仮面夫婦」説も飛び出したが、先の関係者は「彼女の完璧主義がこういう結果になったのでは」と話す。「檀といえば、宝塚時代から人の何倍も努力することで知られています。家事もそれと同じで、家にいる時はすべて手作り。及川が好きな和食も及川家の味をマスターしたいと及川の実家に何度も通い彼の両親に習っていました。日頃の佇まいが演技に出てしまうからと、座る時は正座、椅子に座っても足を組んだりすることはありません。及川はそんな彼女に『頑張りすぎなくていいから、まゆみ(檀の本名)らしく』と気遣っていたのですが、彼女は仕事も家庭のことも自分の納得するようにやりたかった。でも、やはり舞台など仕事に入ると、そちらに夢中になり、家事などは疎かになってしまう。やりたいのに時間もなく、それを負担に感じるようになり……」(同前)■宝塚・娘役が同じ日に奇しくも同じ日、檀の宝塚の先輩である黒木瞳が出演する予定だった舞台『細雪』を降板したことが報じられた。来年5月に東京・日本橋の明治座で上演される舞台は、当初、長女役に黒木、次女に一路真輝、三女に瀬奈じゅん、四女に水夏希という元タカラジェンヌのトップが勢揃いする予定だった。「宝塚OGが四姉妹を演じるのは初めてのことですから、ヅカファンにとっては夢のようなキャスティングです。でも、長女役が黒木から浅野ゆう子に変更になったのです。明治座からの公式の発表もなく、詳しい事情は分かりませんが、降板は黒木の方からの突然の申し入れだったそうです」(女性誌記者)黒木は宝塚音楽学校時代から将来を嘱望されていた逸材の娘役で、大地真央が月組トップ男役に就任すると相手役に就任した。一方の檀といえば、音楽学校時代の成績は最下位、新人時代もその美貌を生かす機会にも恵まれなかったが、真琴つばさの相手役として、月組のトップ娘役に抜擢された。退団後の2人の活躍は周知の通りだが、「黒木は同じ宝塚出身の女優は、ほぼ共演NGだそう。しかも檀とは“犬猿の仲”だとすら言われています」(スポーツ紙記者)電撃離婚と謎の舞台降板ーー。いずれの真相も藪の中だ。<取材・文/小窪誠子>
2018年12月06日大泉洋と宮崎あおいがドラマ初共演、脚本を山田洋次、プロデューサーを石井ふく子が担当するドラマ特別企画「あにいもうと」が6月25日(月)今夜オンエアされる。本作はこれまで幾度となく映像化されてきた室生犀星の同名小説が原作。今回『男はつらいよ』『家族はつらいよ』シリーズの山田監督が脚本を担当、「渡る世間は鬼ばかり」で知られる石井さんが1988年放送の「くもりのちハーレー」以来、30年ぶりにテレビドラマで脚本とプロデュースを担当。2人は“1972年版”の「あにいもうと」でもタッグを組んでおり、今回の“2018年版”では当時のストーリーにはなかった、もう1つの結末を描き出すという。舞台は東京下町で工務店を営む赤座家。一家の兄・赤座伊之助を大泉さんが、妹の桃子を宮崎さんがそれぞれ演じるほか、一家の次女・佐知に瀧本美織、桃子の恋人・小畑裕樹に太賀、伊之助の同級生・岡村咲江に西原亜希、大工見習いの三四郎に七五三掛龍也(ジャニーズJr./Travis Japan)、桃子が常連の飲み屋の女将・シマに一路真輝、デザイン事務所の研究生・パティにシャーロット・ケイト・フォックス、赤座家の父で棟梁・忍に笹野高史、母のきく子に波乃久里子といった豪華キャスト。赤座家の兄の伊之助は、父であり棟梁の忍の下で大工職人として働き、妹の桃子は大型トラックの運転手をしている。体力仕事をしている兄妹だけあり、家の中はいつも血気盛ん。ある日、桃子が恋人との間にできた子を流産したことを家族に打ち明けるが、相手の男のことを何一つ話そうとしない桃子に対し、伊之助が激怒。人一倍、桃子を可愛がる伊之助は居たたまれなくなり桃子を殴ってしまう。そんな行き過ぎた愛情をありがた迷惑に思う桃子は反発。伊之助の腕に噛みつき、兄妹喧嘩はやがて嵐のような騒ぎに。翌日、桃子が家を出て行ってしまう…。それから半年後、赤座家で父・忍の古希の祝いが開かれる。計画したのは伊之助。忍のお祝いは表向きの理由で、実はそれを口実に桃子を帰宅させるのが目的らしく、それを妹の佐知から聞かされた桃子は仕方なく帰宅することを決める。半年ぶりに家族が顔を揃える赤座家だが、そこに突然、桃子の恋人だった小畑裕樹が訪ねて来る…という物語。ドラマ特別企画「あにいもうと」は6月25日(月)20時~TBS系でオンエア。(笠緒)
2018年06月25日大泉洋と宮崎あおいが、TBSにて放送されるドラマ特別企画「あにいもうと」でドラマ初共演を果たすことが決定。脚本を山田洋次、プロデューサーを石井ふく子が担当、2人が兄妹役を務めるほか、瀧本美織、笹野高史、太賀らが出演する。■あらすじ東京下町で工務店を営む赤座家。兄の伊之助(大泉洋)は、父であり棟梁の忍(笹野高史)の下で大工職人として働き、妹の桃子(宮崎あおい)は大型トラックの運転手をしている。体力仕事をしている兄妹だけあり、家の中はいつも血気盛んだ。ある日、桃子が恋人との間にできた子を流産したことを家族に打ち明ける。相手の男のことを何一つ話そうとしない桃子に対し、伊之助が激怒。人一倍桃子を可愛がる伊之助は、居たたまれなくなり桃子を殴ってしまう。そんな行き過ぎた愛情をありがた迷惑に思う桃子は反発。伊之助の腕に噛みつき、兄妹喧嘩はやがて嵐のような騒ぎに。翌日、桃子が家を出て行ってしまう。それから半年後、赤座家で父・忍の古希の祝いが開かれる。計画したのは伊之助だ。忍のお祝いは表向きの理由で、実はそれを口実に桃子を帰宅させるのが目的らしい。そのことを妹の佐知(瀧本美織)から聞かされた桃子は仕方なく帰宅することを決める。半年ぶりに家族が顔を揃える赤座家。誰もが桃子の帰りを心待ちにする中、突然、桃子の恋人だった小畑裕樹(太賀)が訪ねて来て…。■1972年版でもタッグを組んだ山田洋次×石井ふく子で新たに描く!原作は、これまで幾度となく映像化されてきた室生犀星の同名小説。野性味にあふれ本能的に生きる一家を舞台に、兄と妹の狂おしいほどの情愛を通して家族の在り方を見つめる人間ドラマだ。今回この原作を、『男はつらいよ』『家族はつらいよ』シリーズの山田洋次監督が脚本化、「渡る世間は鬼ばかり」で知られる石井ふく子がプロデュースを務める。2人がテレビドラマで脚本とプロデュースを担当するのは、1988年放送の「くもりのちハーレー」以来30年ぶり、また1972年放送の「あにいもうと」でもタッグを組んでおり、今回は当時のストーリーにはなかった、もう一つの結末を描き出すという。石井氏は、「山田さんの脚本がすごく素敵なんです。現在、2020年のオリンピックに向けて、様々な場所で建設工事が行われていますよね。その中で、昔ながらの工法で日本の伝統技術を守る大工さんを描いてみたいと思い、山田さんと取材を行いました。物語の中では、赤座家は工務店を営んでいるという設定で、大泉さんには昔ながらの大工を演じていただきました。家族の在り方をもう一度考え直すことのできる、素敵な作品になったと思います」とコメント。山田氏も「石井さんとお会いするたびに『ぜひ、またご一緒しましょう。いい本を書いてください』と言われ続けてきた」と明かしながら「今回、このような形で実現できてよかった」と告白、「大泉洋さんと宮崎あおいさんという素晴らしい配役に決まり、テレビドラマ化できたことをうれしく思います」と喜びを語っている。■大泉洋、今回の出演は「ご褒美」! 宮崎あおいとテレビドラマ初共演そして今回、主人公の赤座伊之助を、『探偵はBARにいる』シリーズや『恋は雨上がりのように』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』など今後も続々と主演作が控える大泉洋。また伊之助の妹役・桃子を、『怒り』『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』の宮崎あおいと、日本を代表する俳優の2人が、兄妹役でテレビドラマ初共演を果たす。人生で初めてモノマネをしたのが寅さんだと言う大泉さんは、「脚本を読んだとき、“寅さん”がいるような気がして興奮しました。妹への愛情、家族への愛が詰まっていて、尚且つコメディの要素が入っていて面白い。こんなに素敵な役をやらせていただけることは、ここまでがんばってきた僕へのご褒美じゃないかと。この役に出会わせてくれて本当に感謝しています」と出演決定への思いを明かす。一方、「大泉さんはみなさんご存知のように、ムードメーカーで、現場ではいつもみんなを笑わせてくれました」と撮影をふり返った宮崎さんは、「しかし、もんち(桃子)は、お兄ちゃんのユーモアに笑わず、喧嘩し、いつも悪態をつくような人。演じていて思ったのは、この兄妹はすごく似ているなと。似ているからこそぶつかってしまう。喧嘩をしてしまう。大好きだからこそ許せないところがたくさんあるのだなと強く感じました」とコメント。さらに、「とても愛に溢れた物語を、石井プロデューサー、脚本の山田さん、清弘(誠)監督と話し合いながら一生懸命作り上げました。家族みんなで楽しんでいただけると思います」と述べている。大泉さんと宮崎さんのほかにも、赤座家の次女・佐知役に瀧本美織、父・忍役に笹野高史、母・きく子役に波乃久里子、桃子の恋人・小畑裕樹役に太賀。さらに、西原亜希、七五三掛龍也、一路真輝、シャーロット・ケイト・フォックスらも出演する。ドラマ特別企画「あにいもうと」は6月25日(月)20時~TBSにて放送。(cinemacafe.net)
2018年05月08日新国立劇場の2017/2018シーズン演劇公演『トロイ戦争は起こらない』が10月5日に開幕した。栗山民也を演出に迎え、鈴木亮平に一路真輝、鈴木杏、谷田歩ら実力派キャストが、フランス近代演劇の金字塔といわれるジロドゥの傑作に挑む!初日直前の稽古場の模様をレポートする。舞台『トロイ戦争は起こらない』チケット情報外交官でもあったジロドゥが第二次世界大戦開戦の4年前、ナチスが台頭する社会情勢の中で執筆した本作。トロイの木馬で知られるトロイ戦争の開戦をなんとか回避しようと奔走するトロイの将・エクトールの姿を通じ、戦争を繰り返す人間の愚かさ、哀しみをあぶりだしていく。勇将と名高いエクトールだが、この物語で求められるのは“武”ではなく“智”であり言葉の力。栗山はジロドゥの戯曲について「英語のような論理性ではなく、モノローグとダイアローグが混在し、詩のよう」とその難しさを語るが「俳優の肉体を通すことで、その言葉が独特のリズムを持ち、物語を転がしていく」とも。鈴木は自らの大きな体躯を道具とし、言葉を共鳴させながら、戦争回避のための言葉を力強く繰り出していく。だが、その重い言葉の数々が目の前の人々の心に響かないところが、人間の愚かさであり、本作の面白さ。戦争の原因は美女。エクトールの弟、トロイ王子・パリスがギリシャの王妃・エレーヌにひと目ぼれし、誘拐したことから一触即発の状態に陥るが、エクトールの父である王をはじめ、男たちはみなエレーヌに入れあげ「ギリシャにエレーヌを返すべき」というエクトールの言葉に耳を貸さず、「戦うべし」と勇ましい言葉ばかりを並べる。“国難”を前に、略奪愛&不倫で始まり「名誉は守られたのか? それとも一線を越えたのか?」と騒ぎ立てるさまは、まさに現代のどこかの国の状況そっくりである。開戦か否かでいきり立つ男たちと対照的な女たちの姿も印象的。エクトールの妻で、彼を深く愛し信じる強い妻・アンドロマックを演じる鈴木杏、彼の妹で男たちを醒めた目で見つめるカッサンドルを江口。エクトールの母で戦争の愚かさとそれを望む男たちの醜悪さを鋭く指摘するエキューブを三田。栗山が「みんな動物的(笑)! 主張が体に満ちていて、それを相手にぶつけ、関係性が変化していく」と語るように、女優陣の寸鉄人を刺すような鋭いセリフの応酬は大きな見どころ。中でも圧巻は、栗山が「ファムファタール」と語る絶世の美女で、一路演じるエレーヌ。白鳥に化けたゼウスと人間の間に生まれただけあって、終始、何とも言えぬ不思議な浮揚感を身にまとい、男たちを虜にし、グイグイと言葉で切り込んでいくエクトールの攻勢をひらりとかわす。クライマックスはエクトールと谷田演じるギリシャの将・オデュッセウスの会談。共に戦いを望まぬ知将ふたりの話し合いが、なぜ、その後10年に及ぶ戦争へと繋がってしまうのか…? 栗山が「実に演劇的な仕掛けになっている!」と語る終幕の演出を含め、最後の最後まで目が離せない。公演は10月22日(日)まで東京・新国立劇場にて上演中。兵庫公演あり。取材・文・撮影:黒豆直樹
2017年10月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一帯一路」です。「一帯一路(One Belt,One Road)」とは、中国が目指す経済と外交圏構想のこと。今年5月に初の一帯一路サミットが開催されました。アメリカに次いで、GDP第2位となった中国。いまや中国の経済発展は、世界にとっても有益なこと。ただ、中国は陸地に囲まれ、領海がほとんどありません。ですから、一帯=中国から中央アジアを経由してヨーロッパまでの「シルクロード経済ベルト」と、一路=中国沿岸部から東南アジア、アフリカまでを網羅する「21世紀海上シルクロード」を実現させ、交易を活発にしようと主張しているのです。僕は今年初めて北京を訪れ、その発展ぶりに驚きました。天安門広場に自転車で行き交う人民服の人々なんて光景は皆無。ポルシェやアウディといった高級外国車が走り、三里屯(サンリトン)という日本の青山のような若者に人気の街では、ユニクロやスターバックス、アップルストアなどが立ち並び、おしゃれな装いの世界中の人たちであふれていました。IT化も進んでいて、街中はなんでもスマホのQRコードで決済可能。現金決済は減少しているそうです。2015年に中国政府が掲げたスローガンは“大衆創業・万衆創新”。みんなで起業し、イノベーションを起こして儲けよう、というもの。共産主義国とは思えませんが、そのくらい本気で経済発展に本腰を入れてきています。日本やアメリカは、中国と北朝鮮が隣接しているため、緊張関係にありますが、ヨーロッパ諸国は中国とは貿易相手としてとても良好な関係を築いています。また、中国は早い段階からアフリカ進出を行い、電信・通信網や港湾などインフラ開発をする代わりに資源の採掘権を得るなどしてきました。一帯一路の関係国は約70か国。アメリカを除く大国のほぼすべてがこの経済圏に入っています。中国と距離を置いている日本ですが、6月に安倍総理は「条件が合えば、一帯一路構想に協力する」とコメント、態度を翻しました。アメリカ次第では、拒絶していたAIIB(中国主導で作られたアジアインフラ投資銀行)にも加盟するかもしれません。いずれにせよ、日本の舵取りが重要になってきています。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年8月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年08月03日この秋で20周年を迎える新国立劇場のシーズン最初を飾るのは、フランス近代演劇の巨匠、ジャン・ジロドウの『トロイ戦争は起こらない』。1935年に書かれて以来、世界中で上演が続く不朽の名作だ。歴史に名高いトロイ戦争の直前、戦争を止めたいトロイの英雄エクトールは、開戦派の父や弟の説得に奔走、ギリシャの知将オデュッセウスとの会談に臨む。古代の物語に題材を借りて、戦争を起こす人間の愚かさや、避けられない運命を描く。7月29日に行なわれた制作発表会見では、鈴木亮平、一路真輝、鈴木杏、谷田歩、三田和代が出席、それぞれの想いを語った。新国立劇場演劇『トロイ戦争は起こらない』チケット情報トロイの王子で、国一番の英雄であるエクトールを演じる鈴木亮平は「僕は世界遺産が大好きで、トロイ遺跡も世界遺産です。大好きな分野の物語だ!と思っていましたが、台本を読むと、とても現代的で、戦争を起こす人間の愚かさが深く描かれています。ジロドウは外交官でもあり、情報局長官も務めた人で、戦争の裏側も知っていたはず。どんな思いを込めたのか稽古の中から見つけていきたい」と抱負を語る。エクトールの弟パリスに誘拐されて、戦争の原因ともなるギリシャの王妃エレーヌには一路真輝。「初めてのフランス戯曲で、新しい挑戦ができるのはうれしいことです。エレーヌは絶世の美女と言われていて、私でいいのかしらと思いましたが、三田和代さんが、スタートラインはみんな一緒と言ってくださったので、勇気をもらいました」と笑顔を見せた。エクトールの妻で、平和を望んでいるアンドロマックには鈴木杏。「台本を読んだときは、戦争が題材で、胸が苦しくなるように感じましたが、クスッと笑えるような部分もあって、ウィットに富んだ面白い作品だと思いました。言葉が詩のように美しく素晴らしいので、みなさんの声で作品が立ち上がってくるのが楽しみです」まずは、名前を覚えなきゃと、笑いを誘った。トロイの王妃でエクトールとパリスの母、エキューブを演じるのは三田和代。「皮肉やエスプリのきいたことばかり言う女性。戦争にはもちろん反対で、エレーヌに魅了されてしまっているトロイの男たちには辛辣だし、戦争の悲惨さをちゃんとわかっている人物。いわゆる“お母さん”らしくはないですが、初めてのキャラクターでとても新鮮に感じています」と、取り組みがいを語った。ギリシャ一の知将オデュッセウスを演じるのは谷田歩。「戦争が始まると策を弄するのですが、本当は戦争をしたくなかったのではないかと思います。エクトールとの話し合いでは、その思いが読み取れますね。どちらも戦争を望んでいなくて、開戦の運命に挑戦しようとするところが、醍醐味だと思っています」戦争と平和というシリアスな物語でありながら、夫婦や恋人、家族といった日常につながるような要素もたくさんある。演出の栗山民也は、丁寧に細部を掘り起こし、頼もしいキャストと共にヴィヴィッドなドラマを見せてくれるに違いない。公演は10月5日(木)に東京・新国立劇場 中劇場にて開幕。取材・文:沢 美也子
2017年07月31日2018年で開場20周年を迎える新国立劇場の2017/2018シーズンのラインアップ発表会見が1月12日に行われ、演劇芸術監督の宮田慶子、舞踊芸術監督の大原永子らが出席した。演劇では、次期芸術監督の小川絵梨子演出による『1984』をはじめ、3本の日本初演作、シェイクスピアの『ヘンリー五世』、蓬莱竜太による新作と充実のラインアップ。バレエ&ダンスでは『くるみ割り人形』が“新国立劇場バレエ団版”として新たに制作されることなどが発表された。演劇では、2期にわたって芸術監督を務めてきた宮田が来季で退任となり、昨秋より芸術参与に就任した小川絵梨子にバトンを渡すことになる。宮田は2期8年にわたった任期を感慨深げに振り返りつつ、来シーズンのテーマとして「世界を映し出す」を掲げた。その言葉通り、8本中の3本が日本初演、1本が新訳上演。まず10月は岩切正一郎の新訳による『トロイ戦争は起こらない』で幕を開ける。1935年に初演されたジロドゥの名作で、いまなお、やむことのない“戦争”を炙り出す。鈴木亮平、一路真輝、鈴木杏らを迎え、演出を栗山民也が務める。日本初演の3本の1本目は、11月に上演される『プライムたちの夜』。近未来を舞台に85歳の老女と30代の男性の思い出話から家族の姿を描き出す。2018年3月には、鄭義信の『赤道の下のマクベス』がお目見え。新国立劇場では『焼肉ドラゴン』『パーマ屋スミレ』『たとえば野に咲く花のように』の戦後3部作が大反響を呼んだが、さらに時代を遡り、1947年のシンガポールの刑務所を舞台に物語が展開する。こちらは韓国語で書かれたオリジナル版を全面改訂し日本語での上演となる。2018年4月~5月にはジョージ・オーウェルの小説を基にした『1984』が小川絵梨子の演出、井上芳雄主演で上演される。古典では、昨年の『ヘンリー四世』二部作に続くシェイクスピアの『ヘンリー五世』を前回に続き浦井健治、岡本健一らを迎えて贈る。また、子どもと大人が一緒に楽しめる企画として好評を得た長塚圭史作・演出で、長塚、首藤康之、近藤良平、松たか子出演の『かがみのかなたはたなかのなかに』の再演が決まった。2018年6月は井上ひさしの『夢の裂け目』の再演、7月は蓬莱竜太の新作戯曲でシーズンの幕を下ろす。バレエではシーズン幕開けの10月~11月に新制作の『くるみ割り人形』を上演する。2014年の『眠れる森の美女』の改訂上演で高い評価を得たウエイン・イーグリングが振付を担当し、前田文子が衣裳デザインを務める。新制作はこの1本だが、2018年4月~5月には『白鳥の湖』6月には『眠れる森の美女』とチャイコフスキーの3大バレエがラインアップされている。また、「こどものためのバレエ劇場」と銘打ち7月には『しらゆき姫』の上演を実施。そして、ダンスでは「舞踏の今」シリーズとして山海塾と大駱駝艦の公演が行われるほか、森山開次、高谷史郎(ダムタイプ)といった世界的な活躍を見せるアーティストが新国立劇場に登場する。取材・文・撮影:黒豆直樹
2017年01月13日"イギリスの喜劇王”と言われるアラン・エイクボーン作の舞台『扉の向こう側』が、11月11日に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて開幕した。【チケット情報はこちら】男役トップスターとして観客を魅了してきた元宝塚歌劇団雪組・壮一帆が、宝塚退団後、初の女性役、しかも2036年のSMクイーンに扮し、セクシーなコスチューム姿を披露することでも注目を集める本作品。物語は、イギリスの五つ星ホテル「リーガル」のスィートルームが舞台。40年間の時空を行き来しながら、殺すか殺されるかのスリルと、それぞれの時代に生きる女性たちの奮闘ぶりが堪能できる、痛快タイムスリップ・サスペンス・コメディだ。ホテルの部屋には、過去にふたりの妻を殺した罪を悔い、懺悔の心を込めて告白文を書いた70歳の実業家のリース(吉原光夫)がいた。そこに、仕事の依頼を受けやって来たSMクイーン・フィービー(壮)が現れる。壮がコートを脱いだ瞬間、観客が目にするのは黒いこのコスチューム。それだけでもかなりの刺激ではあるが、それ以上に長い足と抜群のスタイルが目を引く。事件に巻き込まれ命の危険を感じたフィービーが開けたドアの向こうに待っていたのは、2016年の同じスィートルームにいるリースの2番目の妻・ルエラ(一路真輝)。様々な人生経験から得た落ち着きと凛とした理知性をもつルエラを、一路は、自然に魅力的に演じている。そして更に20年遡るもうひとつの時代、1996年にはリースの最初の妻・ジェシカがいた。紺野まひる演じるジェシカは、上品で清しく可憐。新婚ほやほやで、まだ未来しか見ていないジェシカにリアリティを与え、フィービーやルエラのような、人生の影を内在する人物とはまた違う空気をもつ人物像が際立つ。男優陣も吉原光夫、岸祐二、泉見洋平と実力派揃い。ミュージカルで主演も多く務めてきた6名のスターキャストが、ストレートプレイでも、実力を遺憾なく発揮し贅沢な劇空間を生み出している。壮は、上演に際し、「とにかく体当たりでぶつかりながら、いいペースをつかむ事が出来たらと思います。絶対に妥協はせず、共演する方の呼吸を感じて、フィービーとしてのボールをどんどん投げて楽しいお芝居にしていきたいと思います」と意気込みを語った。演出の板垣恭一が「この作品の魅力は、タイムワープするという仕掛け以上に、この人間関係がどうなっちゃうんだろう、というハラハラドキドキがずっと続くこと」と語るように、息もつかせぬ展開に心を奪われそうだ。舞台『扉の向こう側』は兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでの上演後、11月16日(水)より11月23日(水・祝)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、11月28日(月)愛知・名古屋市青少年文化センター アートピアホールで上演。
2016年11月15日1992年にウィーンで初演され、日本でも1996年の宝塚歌劇団での初演以来、幾度となく上演を繰り返しているミュージカル『エリザベート』。宝塚歌劇団だけで9度、ほかに東宝製作の男女混合ミュージカルとしても上演を重ねている大ヒット作だ。この『エリザベート』の日本初演20周年を記念し、宝塚版の歴代キャストが集結、『エリザベートTAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』が年末から年明けにかけて上演される。11月4日、その制作発表会見が都内にて開催された。エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート チケット情報『エリザベート』は、ハプスブルク家の滅亡の時代に生きた美貌の皇后エリザベートの生涯を軸に、架空の存在・トート(死)と皇后の愛憎を描く作品。歴代のトップスター9名が顔を揃え壮観な会見となったが、それでも、主役のトートとエリザベートを演じるキャストの一部のみ。公演には総勢25名の元トップスターが出演する。『エリザベート』という作品が宝塚で深く愛され、大切に上演を重ねているからこその、今回のこの豪華なガラ・コンサートの上演なのだろう。会見で流れた、過去9回の『エリザベート』のダイジェスト映像を見て、演出の小池修一郎も「それぞれが自分たちの青春、宝塚歌劇団での男役人生・女役人生すべてを燃焼させてこの公演をやってくれたんだな、その積み重ねで20周年に繋がったんだなと改めて思いました」としみじみ。さらに今回の公演については「若き日の青春の情熱とは違うものになるかもしれませんが、演技経験や人生経験を加え、厚みのある『エリザベート』になるのではと期待しています」と語った。今回の公演は1996年雪組初演メンバーによる<モニュメントバージョン>、扮装でのコンサート形式<フルコスチュームバージョン>、歴代出演者が競演する<アニヴァーサリーバージョン>の3バージョンで上演される。初演の雪組公演でトートを演じた一路真輝は、「今、初演の記者会見を思い出していました。トートの扮装をして出て来ましたら、「宝塚の男役トップスターが死神をやるのか」という、皆さま(記者)からの、恐ろしいほどの殺気を感じました(笑)。命がけで『エリザベート』という作品を、雪組全員で作ったことをしみじみと思い出します。20年経った今、愛される『エリザベート』になったこと、本当に嬉しく思います」と挨拶を。ほか、「初演の雪組公演が素晴らしく、プレッシャーに耐えられず辛かったが、あの時にトートを演じさせて頂いて本当に良かった」(麻路)、「試練がまたやってきました」(姿月)、「当時は毎日(プレッシャーに)押しつぶされ、必死で立っていた」(春野)等、口々に当時の思いや、作品への思いを語った出演者たち。また、9月に退団したばかりの元月組トップスター・龍真咲は、過去に演じたルキーニ役のほか、エリザベート役にも初挑戦。「楽曲のエネルギーに負けないように、しっかり演じたい」と意気込みを語った。公演は、12月9日(金)から18日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、2017年1月8日(日)から20日(金)まで東京・オーチャードホールにて。
2016年11月07日11月に上演されるアラン・エイクボーン作のコメディー『扉の向こう側』で、宝塚歌劇団雪組の歴代男役・娘役トップスター3人が顔を揃える。ホテルのスイートルームに呼び出され、見知らぬ実業家から「二人の妻を殺した」という告白文の証人になってくれるよう頼まれる娼婦のフィービー。逃げ出そうとして隣の部屋に繋がる扉を開けると、そこにはとっくの昔に死んだはずの妻たちが…!?三つの年代を行き来しながら進むタイムワープものだが、演出の板垣恭一が「大胆な仕掛けを決して安っぽくない形で使った、とてもとても面白い戯曲」と惚れ込む傑作だ。【チケット情報はこちら】フィービーを演じるのは、宝塚を退団後、これが3作目の舞台となる壮一帆。「1作目で男役、2作目で性別のない役を演じ、やっと女性の役が来たと思ったらSMクイーン役(笑)。普段使わない言葉が並ぶ台詞の中で、壮一帆の人となりをどれだけ出せるかがテーマです」と新たな挑戦に意欲を燃やす。タイムワープ先の40年前の世界に生きる、最初の妻ジェシカ役の紺野まひるは、「舞台は6年ぶりなので緊張します。見た目も内面も、90年代っぽい雰囲気を出して演じられたら」。そして20年前の世界=現代に生きる二番目の妻ルエラ役の一路真輝は、「この3人で良かったと言われる舞台にしたい」と意気込みを語った。この3人、壮と紺野は同期だが、二人が一路と本格的に共演するのは今回が初めて。だが現場には、とてもそうは思えない和やかな空気が漂っていた。役に対する不安を覗かせる壮に、「未来のSMクイーンなんだから何でもアリなんじゃない?」と一路が言えば、「それもそうですね。じゃあ触覚とかつけましょうか(笑)」(壮)、「楽しくなってきた!」(紺野)と二人が乗っかって大盛り上がり。また、一路が「私、出ハケが苦手で色々やらかすと思うからよろしくね」と意外な告白をすると、壮が「この中ではまひるがいちばんしっかりしてると思う」、紺野が「いえ、私もそう見えるだけで、私生活なんてハチャメチャです(笑)」とパスを回し、最後には「みんなで力を合わせて頑張りましょう」という何とも平和なゴールを決めるひと幕も。この空気感は、今回の舞台にも生きてくるのでは、と一路は分析する。「歌劇団出身の方とご一緒すると、在籍した時代が違っても、不思議な共通意識が流れているのを感じるんです。物語の中の3人も、同じ男性を知っているという共通点からか、初対面なのにすぐに理解し合って協力するようになる。そういう意味でも、非常にいいメンバーだと思います」。一路の言葉に、壮と紺野、そして板垣も深く頷いていた。『扉の向こう側』は11月11日(金)兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールより開幕。その後、東京、愛知を周る。なお、現在チケットぴあでは東京・愛知公演の先行抽選受付中。兵庫公演発売中。取材・文:町田麻子
2016年08月12日2012年に韓国で誕生し、心理スリラーミュージカルという新たなジャンルを打ち立てた『ブラック メリーポピンズ』。小劇場オリジナルミュージカルでありながら、その年の韓国の公演ランキングトップ10に入る人気作となり、2014年には日本で初演。作品により深みを加え、シャープに仕上げた田村孝裕の上演台本、鈴木裕美による巧みな演出で上演した日本版も高い評価を得、今回満を持しての再演が決定。そのタイトルロールを演じる一路真輝に舞台の話を聴いた。ミュージカルブラック メリーポピンズ』チケット情報「『メリーポピンズ』に『ブラック』が付いているようにちょっとサスペンス的、スリラー的な作品になっています。と言っても、オドロオドロしいとかではなく、心の中の痛みのようなものを表している作品。私はタイトルロールでありながら、そんなに出番がある訳ではなく、4人の兄妹を見守る役。でもその中で存在感を出さないといけないという、難しくて私自身とても勉強になった役でした」14年前に起った火事の記憶を失った4人の養子たち、そして失踪した家庭教師メリーの衝撃の事実が明かされていく物語。今回、メリー役の一路真輝、養子の兄妹を演じる小西遼生、上山竜治、良知真次ら初演メンバーに加え、新ヒロインとして中川翔子が初参加。彼女にとっては初舞台、初ミュージカルでの大役で、その辺りも見どころだ。「私は今年35周年になるんですが、小西遼生くんが『僕、生まれてなかった』とか言うんですね。兄妹の最年長ですら、私の芸歴にかなわない(笑)。私は舞台の上に立っている事が日常だったりするのですが、若い女優さんから『舞台に立つことが怖い』という話も聴いたり。私にできることがあれば力を貸してあげたいなって思う時期に、(中川)翔子ちゃんが入ってくるよとお聞きして。ご一緒できるのは本当に楽しみですし、できることがあればお手伝いさせていただきたいと思ってます」本作は舞台上に真ん中に大きな盆、そして小さな盆が4つあり、それぞれの回転や照明で、現在と過去を行ったり来たりする展開。「いきなり子どもになったり、現在に戻ったり、最初は驚くかもしれませんが、観る内にどんどん引き込まれる感じですね。音楽も主張しずぎず、でもとても効果的に使われていて、楽曲とセリフがきちんと融合していて自然。ミュージカルが苦手という方でも楽しんで頂けると思いますよ」新たなミュージカルの魅力を感じさせてくれそうな本作、5月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、6月3日(金)から5日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9日(木)福岡・福岡市民会館 大ホール、17日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで上演。チケットは発売中。
2016年05月19日2年前の日本初演時、ドラマチックな楽曲と深い物語性、予想を越えるスリリングな展開で話題を呼んだ『ブラック メリーポピンズ』。韓国で2012年にヒットした舞台の日本版だが、演出に鈴木裕美、上演台本に田村孝裕と、こちらも日本演劇界の実力者が集結した。今回の再演にあたっては、同じスタッフはもちろん、初演キャストの一路真輝と小西遼生、良知真次、上山竜治に加え、これが初舞台となる中川翔子が出演。注目の集まるなか、5月13日のゲネプロの前に囲み会見が行われた。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報1920年代のドイツ。有名な心理学者として知られるグラチェン博士の屋敷で火事が起き、博士の遺体も燃え尽きてしまう。だが彼の養子たちーーハンス(小西)、ヘルマン(上山)、アンナ(中川)、ヨナス(良知)は、家庭教師のメリー・シュミット(一路)によって、猛火から救い出される。ところがその翌日、彼女は失踪し、子どもたちも次第に事件の詳細を忘れてゆく。それから12年後。ハンスたちは、博士が当時書きつけていたという手帳の存在を知る。そこに書かれていた驚くべき真実とは……。囲み会見では、キャストの5名が登場。中川は「(稽古中は)『皆様の足を引っ張ってはならない!』とガチガチになって。胃薬も飲んでました」と緊張の面もち。その一方で「コンサートと違ってお芝居は皆で作るものだなと。"ちゃんと(アンナの)人生を生きる"って思っていると、(芝居中も)涙が出てきたり、心が裸になる感じがします」と手応えを感じている様子だ。一路も「翔子ちゃんたちは、子ども時代と大人になった現在とを演じ分けなきゃいけないんですが、私は子ども時代のアンナちゃんがすごく可愛くて。メリーが母親のようにアンナたちを思う、そんな役の気持ちを翔子ちゃんからもらっています」と語った。小西や上山、良知も、揃って中川との顔合わせを新鮮に感じているという。「(中川の参加で)兄弟の関係性も前回とは全然違っていて。イチから新しいものを作っている感覚」と言うのは小西だ。続いて上山が「中川さんは最初全く目が合わなくて。最近はやっとコミュニケーションがとれるようになったんだよね」と優しく中川に言うと、恐縮する中川に一路たちは大笑い。本当の兄と妹のような温かい雰囲気に、思わず取材陣からも笑いが漏れた。とはいえ“心理スリラーミュージカル”と銘打つ本作では、歌や芝居のほかにも素早い舞台の進行など、多くのハードルがそびえるのも事実。それについても良知は、「中川さんは段取りを覚えるのが早くて、歌声も綺麗。堂々としてますよ」と太鼓判。最後は中川が「全力全身で挑みたい」と改めて表情を引き締め、心地よい緊張感のなか会見は終了した。5月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、6月3日(金)から5日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9日(木)福岡・福岡市民会館 大ホール、17日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで上演。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2016年05月17日“心理スリラー・ミュージカル”という異色の魅力を持った舞台『ブラック メリーポピンズ』、その再演が5月、東京・世田谷パブリックシアターにて開幕する。韓国創作ミュージカルをもとに2014年に上演された日本版初演は、原作により深みを加えてシャープに仕上げた田村孝裕の上演台本、ミステリーの興奮を引き出す小野寺修二の振付などを演出の鈴木裕美が巧みにまとめ上げ、高い評価を得た注目の舞台。14年前に起った火事の記憶を失った4人の養子たち、失踪した家庭教師メリーの衝撃の事実が明かされていく物語だ。今回、再び総指揮をとる鈴木、メリー役の一路真輝、養子の兄弟を演じる小西遼生、上山竜治、良知真次ら初演メンバーが再集結するなかで、新加入となる妹アンナ役の中川翔子に熱い視線が集まっている。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報「チームワークでひとつの作品を作り上げる、その役として生きるということ自体が初めての世界で、とても新鮮です。ミュージカルは明るく楽しいというイメージがあったけど、これは孤独や哀しみ、心に負った傷とどう向き合うかといった作品。でもそれだけじゃなく、子供時代のシーンでは兄弟たちが笑顔で、幸せを噛み締める瞬間もあります。そのギャップがまた面白く、より哀しみが深まる繊細な舞台。すべてが学びの時間になりそうで、脳が『吸収したい!ゴクゴク飲みたい!』と言ってます(笑)!」(中川)長兄のハンス役を演じる小西遼生は「中川さんが入ることで、またゼロから作り上げようという新鮮な気持ちになれる。新たな原動力ですね」と妹に期待を寄せる。鈴木は「役は人と人との関係性からできてくるもの。“初演はこうだった”は禁止するところから始めます」と朗らかにひと言。それらの言葉を受けた中川からは「コミュニケーションが大事なんですね。脱・コミュニケーション下手!」と熱い誓いが飛び出した。「兄弟3人にとってはアンナを必死で助けようとする気持ちが大事なので、中川さんは“守ってあげたい妹”として気持ちが作りやすい。僕の想像ですが、中川さんはたぶん、とても自由に羽ばたく気がします。楽しみなのは、ほかのふたりの兄弟(上山、良知)がどういう変化を起こすのか。きっとすごく変わるんじゃないかな(笑)」(小西)「ソ・ユンミさんという才能ある作家が書いた、若いエネルギーにあふれたお話です。5人が演じるどの役も俳優の持つすべてを使わないとこなせない舞台。とにかく俳優を観ていただきたいですね」(鈴木)盤石のキャスト陣に迎えられる緊張はあれど、中川は「急にイケメン兄弟に囲まれて、まるで今の女子向けゲームでいきなりフィーバーモードみたいな感じですよね!?(笑)。素直に『お兄さん、教えて!』とぶつかっていきます!」と、持ち前の元気パワーで前進宣言。新たなアンサンブルで再生する心理スリラー・ミュージカル、期待の全容がまもなくお目見えする。東京公演は5月14日(土)から29日(日)まで。その後、兵庫、福岡、愛知でも公演。取材・文上野紀子
2016年04月20日2012年に韓国で初演され、2014年には日本でも上演された韓国発心理スリラーミュージカル『ブラック メリーポピンズ』。同作が2016年5月より東京・世田谷パブリックシアターで再演される事が決定した。同作の舞台は1920年代のヨーロッパ。著名な心理学者・シュワルツ博士の豪邸で火事が起こり、博士は死亡。助け出されたのはハンス、ヘルマン、ヨナス、アンナという名前の4人の子供と、業火の中子供たちを命がけで助け出した養育係メリー。彼らの封印された過去が解き明かされ衝撃の真実が展開される、心理スリラーサスペンス。不安や心の揺らぎをリアルに描き出す魅惑的なメロディーと、息をもつかせぬストーリー展開は独特な陰影と美意識を持つ世界観を生み出し、韓国では”ブラックメリーポピンズシンドローム”を巻き起こした。再演にあたり、新しくヒロインのアンナ役を務めるのは、同作が舞台初出演となる中川翔子。また、前回の公演で出演していた小西遼生、良知真次、上山竜治、一路真輝は続投する。初舞台に際し中川は、「『ブラック メリーポピンズ』への出演が決まった時、自分でもビックリしました!自分が舞台に出るなんて想像もしていなかったので、舞台初挑戦という事で、決まった瞬間から緊張しています(笑)。でも作品を見て「面白い!」と思ったと同時に、「アンナ」という女性に共感できる部分もあって、今は緊張しつつも自分でもどんな舞台になるのか楽しみにしています!ミュージカルの世界は、歌もお芝居も毎回が生の戦いで、あらゆるスキルが必要となり心の強さも大切な世界。様々な先輩方を目指し学び、経験値を重ねて初めての世界に飛び込みたいと思います」とコメントを寄せている。ミュージカル「ブラック メリーポピンズ」は、2016年5月から6月まで、東京・世田谷パブリックシアターで上演。そのほか、兵庫、福岡、愛知でも上演予定。
2015年12月24日