日本美術史を語る上で重要な位置を占める「円山・四条派」。この流派が近代に至るまで、いかに画壇に大きな影響を与えたかをたどる展覧会『円山応挙から近代京都画壇へ』が、東京藝術大学大学美術館(東京・上野)で9月29日(日)まで開催されている。【チケット情報はこちら】18世紀の江戸時代、京都では、近年大人気の伊藤若冲や曾我蕭白をはじめ、伝統的な流派である狩野派、土佐派、池大雅や与謝蕪村らの文人画など、様々な画家や流派が群雄割拠していた。そんな中、円山派の祖である円山応挙が現れたことで、京都画壇の様相は一変。特に応挙が得意とした緻密な写生画は、自然や動物などをありのままに生き生きとした姿を描き、京都の人々を虜にした。その結果、京都の画家たちはこぞって写生画を描くようになり、応挙のもとには多くの門下生が集まり、円山派という一大流派が形成された。一方、四条派の祖である呉春は、初め与謝蕪村に学び、師匠没後に応挙の画風を学んだことで、応挙の写生画に瀟洒な情趣をプラスした画風を育み、四条派を確立。呉春が住居を構えた場所が四条であったために四条派と名付けられたこの流派は、呉春の弟の松村景文や岡本豊彦などの弟子たちに受け継がれ、京都の主流派となる。そしてふたつを合わせて「円山・四条派」と呼ばれるようになり、明治維新後も「円山・四条派」は京都画壇のメインストリームとなっていった。本展は、なぜこの流派がメインストリームとなったのか、その全貌を、応挙、呉春から、竹内栖鳳、上村松園など戦前までの系譜を丁寧にしっかりと追うことで、解き明かしていこうとするのが狙い。会場は「すべては応挙にはじまる。」「孔雀、虎、犬。命を描く。」「山、川、滝。自然を写す。」「美人、仙人。物語を紡ぐ。」という4つのテーマで構成される。本展の目玉作品は、兵庫・大乗寺の応挙の最晩年にして最高傑作と言われている《松に孔雀図》(重要文化財)を含む障壁画。通称「応挙寺」と呼ばれる大乗寺には、応挙とその一門が描いた障壁画が収蔵されている。今回はその貴重な障壁画を、大乗寺の雰囲気をそのままに体感できる贅沢な立体的展示で紹介。ライトの色や当て方にも工夫が施され、細部までしっかりと応挙の筆致や色遣いを確認することができる。なお、《松に孔雀図》は東京展は全体の半分のみの出品となり、残りの半分は京都展での展示となる。そのほかにも、近年大人気の長沢芦雪の作品や、上村松園の美人画、岸駒のリアルな虎などの作品が会場に並び、モチーフは同じであっても、時代や画家によって、その表現の違いを見比べることができる構成となっている。取材・文:糸瀬ふみ同展は、京都国立近代美術館に巡回。※前期、後期、会場ごとに大幅な展示替えあり・東京展前期:8月3日~9月1日(日)後期:9月3日(火)~9月29日(日)・京都展前期:11月2日(土)~11月24日(日)後期:11月26日(火)~12月15日(日)
2019年08月14日2020年春にグランドリニューアルオープンする京都市京セラ美術館(旧京都市美術館)の新館長に、4月1日付で建築家の青木淳が就任した。同氏は同館の再整備事業の設計段階から関わってきており、今回の基本設計者として西澤徹夫氏と名を連ねている。同氏はこれまで水戸芸術館(磯崎新アトリエ所属時代)、潟博物館、青森県立美術館など数多くの文化施設を手掛け、その知見と国際的な知名度に京都市から期待が寄せられた。全景 京都市京セラ美術館(イメージパース)青木氏は「未来に向けて現代のアーティストが活動できる器を設計する役割から、運営自体を行う館長の打診に当初は戸惑ったが、これから美術館が進むべき道、目指すべき方向性が建築設計と似通っており、任をお受けした」と就任の会見で説明した。同美術館は1933(昭和8)年に竣工した日本に現存する最古の公立美術建築。前田健二郎の設計による帝冠様式の建物は東山を借景として京都市民に愛されてきた。今回のプロジェクトは老築化に伴う耐震化などさまざまな問題に対処するために行われるもので、「白紙に戻すスクラップビルドではなく、同館が重ねてきた長い年月の像の層を引き継ぎ、そこにもう一枚のレイヤーの像を重ねることを考えた」と青木氏。ガラス・リボン具体的には西側玄関の前庭に切り込みを入れスロープを設置。エントランスを地下に移設し、流線型のガラス・リボンと命名されたシンボリックなファサードを設けることで、美術館の内と外を一体化させた。「この前庭の広場では現代美術作家の野村仁がダンボール建築の風化の展示などを行い、京都の街の中でも価値ある空間であり、広場として残したかった」と青木氏は話している。本館は歴史的な意匠を可能な限り保存し、設備をアップデート。これまで同館になかった常設展示室が南回廊1階に新設され竹内栖鳳、上村松園など京都画壇の名品を展示。南回廊2階は創建当初の意匠を残し自然光で鑑賞できる空間となる。また、70年代にクリストが包み覆った本館中央に位置する天井高16メートルの旧大陳列室は、地下1階メインエントランスロビーから大階段によってつながる中央ホールとして各フロア、回廊へのハブの役割を果たす。本館 南回廊・北回廊本館 中央ホール特に今回、現代アートの展示スペースとして「東山キューブ」が新設されたことで東西の軸線が強化された。多様化する表現形態に自由度の高い対応できるこの新館が生まれることで、これまで展示の難しかった現代美術、サブカルチャーなどのジャンルの作品やイベントを積極的に取り上げていくことが可能となった。また、この新館には屋上庭園が設けられ東山も望める。東京六本木の国際文化会館の庭園も手掛けた七代目小川治兵衛が作庭に加わった日本庭園では、音楽・光・アートなどのイベントも提供しいく方針。東山キューブこの東山キューブとともに地元の美大出身の作家の活動の場としての機能として北西のエントランス部分に「ザ・トライアングル」を新設。新進作家のためのスペースとしての活用が予定されている。ザ・トライアングル今後のスケジュールは今春にミュージアムショップ、カフェなどの事業者が決定。今年10月末に竣工し、プレイベントを開催。2020年3月21日にリニューアルオープンを予定している。Text by Tatsuya Noda
2019年04月11日京都市東山区東山安井町。「ミナミ美容室」は、悪縁を切り、良縁を呼ぶ神社として若い女性に人気の「安井金毘羅宮」のはす向かいにある。創業131年。南登美子さん(91)の祖母、南ぢうさんが1888年(明治21年)に、舞妓芸妓の髪を結う「髪結い」として始めた店だ。戦後に建て替えられた木造2階建ての2階が店舗であり、急な階段を上ると、そこにはタイムスリップしたかのような空間が――。鏡の前に並ぶレトロな椅子、年代物のパーマ器が並び、大正時代のレジはいまも健在。登美子さんが日本髪を結うのは、店のいちばん奥のスペースである。電熱器で熱し、髪を整えるための愛用のコテも大正時代のものだ。「いま、京都でも舞妓さんの髪を結えるのは10人もいません」登美子さんは、引出しから京つげ櫛の老舗「十三や」の櫛を手に取り、慈しむように見やりながら語る。「ただ結うのではなく、頭や顔の形、雰囲気やどのような場所に行かれるのか、いろんなことを考え、その人が輝くイメージをもってこしらえなければいけません。『きれいになれ、きれいになれ』と思う心が大事なんですね」祖母は、京都一とうたわれた髪結いだった。2代目の母・ちゑさんも、その腕を高く評価され、昭和天皇ご即位の御大典では、高等女官のお髪上げを任されている。そして3代目の登美子さんは、古代朝廷の貴婦人から現代の舞妓まで、長い歴史のなかの300種類の髪形を再現できる。しかも、それぞれの時代の風俗や文化までも記憶しているという徹底ぶりだ。「髪形の変遷は、美を追求してきた歴史なんです。古墳時代の昔から、女性はずっとオシャレをしてきた。美容も、時代ごとにさまざまな手法、技を生み出してきました。美しくなってほしい--伝統を守るとは、そんな思いをつないでいくことなんでしょうね」1700年の美を受け継ぐ登美子さんは、伊勢神宮の神事にも関わる。現在は、天皇陛下の長女であり、祭主を務める黒田清子さんの結髪と着付けを担っている。1928年(昭和3年)、登美子さんは京都市東山区で画家の娘として生まれた。ミナミ美容室を営む父方の祖母・南ぢうさんと伯母・ちゑさんのもとに引き取られたのは、3歳のときだ。宮尾登美子の小説『序の舞』は、女流日本画家・上村松園(1875~1949)の生涯を描いたものだが、中にこんな記述がある。《南さんは京都中でいちばん上手と評判だったが、なるほど結って戻ったます子の頭はぴったりと形よく品よくでき上がっていて、申し分なく、それを婚礼衣裳の振袖を着せ、丸帯を締めさせて画室に入ってもらった》この“南さん”が、ぢうさんである。登美子さんは、ちゑさんの娘として育てられた。「当時の店は、お弟子さんが5~6人もいてすごく繁盛していました。私は、お母さんの傍らにいたくて、いつも店で髪結いさんごっこです。“さん払い”(和紙のハタキ)を髪に見立てて、島田や丸髷に結っては遊んでいましたね」母・ちゑさんは、生涯独身を通し、髪結いの技術はもとより、日本髪の変遷と研究に情熱を燃やした人だった。’56年に、京都三大祭りのひとつ「葵祭」のヒロイン・斎王代が復活したときには、斎王代の平安貴族の髪形から髪飾り、衣装の着付けまで担当。時代祭の皇女和宮、祗園祭の小町踊りの少女の結髪も手掛ける。「母は、それは熱心に日本画家の研究会に通ったり、大学教授と一緒に時代風俗を考察。そうやって勉強していたのです。また、大正天皇の貞明皇后にお仕えしていた女官さんに、宮中の女性の髪形もじかに教わっています。そうして伊勢神宮の神事もまかされるようになりました。私も、そんな母の助手としてついていき、多くを学びました」’81年、ちゑさんは功績が認められ、黄綬褒章を受賞。古代の朝廷や公家、武家の行事や風俗・習慣、装束などの伝統を学び伝える「有識美容師」になった。登美子さんもまた、髪形の歴史と伝統を学び、文献を読みあさり、雛形や日本画を参考に研鑽を積んでいった。「髪結いが下に見られんように、ほんまに頑張ってきました」驚いたことに、登美子さんが仕事で初めて日本髪を結ったのは、60歳のときだという。「花嫁の髪でした。病気で伏せていた母が、おぶわれて仕事場に来て、『上手に結えてる』とひと言。最初で最後の褒め言葉でした」翌’89年、ちゑさんは85歳で亡くなった。登美子さんは、母の仕事を引き継いだ。伊勢神宮の祭主である池田厚子さん(昭和天皇の四女)の結髪と着付けを担うようになる。祭主とは、神への天皇の勅使であり、2月の祈年祭、6月と12月の月次祭、10月の神嘗祭という大きな祭典を主宰する神職である。「ご祭主様は大変ですよ。式典は真夜中に行い、睡眠時間は3時間ほど。それを3日間、外宮と内宮をまわられるわけですから。私どもは小さな部屋で待ち、潔斎(沐浴)されたご祭主様の装束と髪形をつくります。その日の式典が終わると解くわけですが、寝る時間もやはり3時間ほどです」’95年、登美子さんもまた「有識美容師」になった。そして毎年4回、大きな祭典が行われるたびに伊勢神宮に足を運んできた。黒田さんは、’17年から伊勢神宮の祭主となり、登美子さんは引き続き現在もおつとめしている。登美子さんは「京都美容文化クラブ」の会長であり、会員は若い人も含めて50人ほど。「有識美容師をめざしている人たちに日本髪の伝統を受け渡し、次世代につなぐのが私の役目。クラブのみんなが後継者ですねん」銀縁の眼鏡の奥から優しいまなざしで前を見据える。「古代から現代の舞妓まで300種類の髪形を再現できる技を伝えていきたい」
2019年03月18日「乃木坂46」堀未央奈が映画初出演にして初主演を務める映画『ホットギミック』(山戸結希監督)に、桜田ひより、上村海成、吉岡里帆が出演していることが新たに分かった。堀さん演じる主人公・初が、幼なじみの橘亮輝(清水尋也)、小田切梓(板垣瑞生)、兄・成田凌(間宮祥太朗)の間で“本物の恋”を求めて揺れ動く、現代の女の子の葛藤と成長を描く青春映画。そんな若手俳優たちがメインキャストとして出演する本作をさらに盛り上げる、注目の3名がこのほど明らかに。桜田ひより、主人公の妹役に『脳内ポイズンベリー』『ういらぶ。』などに出演、ミスセブンティーン2018に選出されモデルとしても活躍中、また『東京喰種トーキョーグール2(仮)』『男はつらいよ おかえり 寅さん』と大きな作品への参加も発表され、今後の活躍も見逃せない桜田さん。Aimerの「Ref:rain」のMVに続いて2度目の山戸監督作品となる彼女が今回演じるのは、初とは正反対の性格で、早熟で初よりもどこか大人っぽく見える初の妹・茜。初の恋にどう関わってくるのか注目だ。コメント山戸監督とお仕事をさせて頂くのは、以前ご一緒したMVの撮影以来2回目となります。私の意見を尊重して頂きつつ、また繊細なところまで演出をして下さいました。とても演じやすい環境を作ってくださったので、のびのびと成田茜を演じることが出来ました。感謝の気持ちでいっぱいです。上村海成が主人公の幼なじみ役初の同級生で同じマンションに住む幼なじみの八木すばるを演じるのは、2010年「ニコ☆プチ」でモデルデビューし、「ミュージカル・テニスの王子様3rdシーズン」『ちはやふる』に出演した上村さん。昨年放送された連続テレビ小説「半分、青い。」では、永野芽郁演じるヒロインの弟・草太役を演じたことも記憶に新しい彼が、今回オーディションでこの役に抜擢。初への恋心を秘めつつも、茜の猛烈なアプローチに不思議と惹かれていき、初と茜の間で揺れ動く複雑なキャラクターに挑戦する。コメント山戸監督と初めてご一緒させていただいたのですが、細かく演出していただき、納得いくまで演技に向き合うことができ、とても勉強になりました。演じることがすごく楽しいと思える現場でした。吉岡里帆、影のある一面も見せるマネージャー役「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」「カルテット」をはじめ、続々とドラマに出演、ヒロイン役で出演する『パラレルワールド・ラブストーリー』がもうすぐ公開を迎える演技派女優の吉岡さん。今回彼女は、板垣瑞生演じる小田切梓が所属するモデル事務所のマネージャー・葛城リナ役で出演。演じるリナは、マネージャーとして梓を支えているように見えるが、実は生い立ちの似ている梓に依存し支え合っているという複雑な役どころ。時折、影のある一面も見せるリナという女性の繊細な表情にも注目。コメント山戸監督にしか思いつかない独特な世界観。思い描いている映像を皆で具現化しようとする結束力を感じる現場でした。繊細かつ妥協を許さない監督と一緒に、1カット、1カット噛みしめながら撮影していました。私は短い時間でしたが、ティーンの甘酸っぱさや苦味に遠目から触れる事が出来て、大人冥利に尽きる役でした。久しぶりの悪役、楽しかったです!『ホットギミック』は6月28日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ホットギミック 2019年6月28日より全国にて公開Ⓒ 相原実貴・小学館/2019「ホットギミック」製作委員会
2019年03月16日黒河内真衣子によるマメ(Mame Kurogouchi)がパリで初めてのショーを行った。会場となったのは、パリ医大に属する医学博物館の一角。今シーズン、2019年春夏ウィメンズコレクションのテーマは「The Diary」。4月1日から6月17日まで、手記、写真、ドローイングで構成される日記をつけ、互いに繋がりのないものを結びつけてコレクションに昇華したという。特にインスピレーション源となったものが、女性として初の文化勲章を受勲した画家、上村松園の日本画、そして各地の伝統的な祭りの衣装で、それらがコレクションに東洋的な表情を与えている。印象的だった淡い紫の青藤色は、上村松園が「月蝕の宵」で見せた着物の色から、一見パッチワークのようなラメのジャカード素材は、祭りの伝統衣装から引用されている。ニットパンツに刺繡を施したレースのロングドレスを重ね、布帛とニットを組み合わせたトップスをコーディネートするという、複雑なアイテムを複雑に組み合わせるレイヤードのスタイリングは新鮮。また、ラメを織り込んだ生地のガウンドレスはもちろんのこと、ラメ素材のオーバーサイズのコートも、どことなく着物を思わせるようなシルエットで、不思議な新しさを醸し出している。どのアイテムも東洋的な要素を含んではいるものの、トータルで見ると西洋・東洋の境界線を持たない、コンテンポラリーなコレクションに仕上げていた。
2018年10月03日レバノン出身の劇作家ワジディ・ムワワドが執筆し、数々の演劇賞に輝いた『炎 アンサンディ』に続き、上村聡史が演出を手掛ける『岸 リトラル』が東京・シアタートラムで上演される。舞台『岸 リトラル』チケット情報生きる意義を見いだせない青年・ウィルフリードと自らの死を受け入れられない父親・イスマイルの魂が、死体を埋葬すべき場所を求めて旅するさまを描く本作。ウィルフリードの死んだ母親や父子が旅路で出会う“歌う娘”など4役を演じるのが、上村作品初出演となる中嶋朋子だ。8年前に初めて本作を読んだという上村。改めて本を読み返し「荒唐無稽に突っ走りながら、古代と現代を行き来するような叙事詩のような質感が面白いと感じた」と明かす。『炎~』を含めたムワワドの“「約束の血」四部作”の第一作目に位置づけられ、作者が28歳の時に書いた作品だが、いま読んで、強く感じたのは若さゆえのエネルギーだという。「何かを創造し、世界を変革するには、このエネルギーは必要なんだと感じました。個人史的な部分から、大きな歴史――『オイディプス王』からシェイクスピアの『ハムレット』、ドストエフスキーの『白痴』まで様々なモチーフを抱えながら、大きな物語に展開していく。いまだからこそ、それをやりたいと思った」中嶋は、上村の舞台を観て「個人的で、でもすごく大きな物語があると思う」とムワワド作品と重なるものを感じているようだ。中東の荒野で展開する壮大な物語に圧倒されつつ、ワクワクした気持ちも抱いている。「『炎~』もそうなんですが、どうやって稽古から作っていったの? と感じさせるんです。今回、オファーをいただいて、掴み切れないような大きさを感じつつ、でも『あぁ、演劇するってそういうことなんだ』とどこかで思わせてもらいました。いまは『上村さんにすごい切符をもらったぜ!』と思ってます(笑)。私にとって新たな格闘のスタイルになると思うし、地球の硬い核のような深い部分まで掘り起こさないといけない何かがあるはずで、そこに触れた時、私はどうなるんだろう? という気持ちです。いまはまだ、全く想像がつかないですけど、生命として海から陸に上がって、肺呼吸になるくらいの変革、衝撃があるんじゃないかと思ってます」そんな中嶋に対し、上村は彼女の発する声、言葉に特別な“何か”を感じたという。「言葉が美しいんですよね。リアルなお芝居でも古典でも、発語された言葉が透明感をもって伝わってくる。愛することや憎しみ、その葛藤や、静謐さが時に荒々しさをもって、中嶋さんの声を通して伝われば」と期待を寄せる。その発言を受けて中嶋は「未知数です」と苦笑しつつ、歌で世界を変えようとする難役に対し「彼女の歌は歌唱というより、魂の響き。だから、きっと大丈夫」と語る。「俳優の身体を通した言葉に明かりを当てる」――。これは上村が信頼を置く照明の沢田祐二に言われ、自らの核としてきたという言葉。中嶋の歌声がどんなパッションを帯びて発せられるのか。楽しみだ。公演は2月20日(火)から3月11日(日)まで。取材・文:黒豆直樹
2017年12月28日役と声優のケミストリー。キャラと声の親和性の高さで評判を呼んでいる、『文豪ストレイドッグス』。その秘密を声優の上村祐翔さんに直撃。声で人々を惹きつけている背景には、巧みなテクニックとたっぷりの愛情が溢れていました。僕も、敦と共に成長したと信じたい上村祐翔さんが演じたのは、孤児院を追い出されヨコハマを徘徊していたところ、風変わりな男・太宰治と出会い、〈武装探偵社〉に入社することになる青年・中島敦。この作品で初めて“主役”に抜擢されたそうで、後日、監督に選んだ理由を聞いてみると…、「“天性のヘタレ感”と言われました(笑)。僕は経験も浅いですし、共演した先輩方に比べたら実力も低い。そんな自分が全力でオーディションに挑んだ結果、そのがむしゃらな姿勢が、一見気弱だけれどいざとなると大胆な主人公の中島敦とかぶるところがあったと、五十嵐卓哉監督と、若林和弘音響監督から聞きました。役作りするにあたり、あまり作りすぎず、思いきり本能的に演じてほしい、と。それを毎話積み重ねることで、敦と一緒に成長してほしい、と言っていただいたのを覚えています」アフレコの現場は、役者が作ってきたものが生かされる場合もあるけれど、それとはまったく違うリクエストをされることも多く、それに応える力が必要と上村さん。「アフレコに入る前に、毎回台本と映像をもらい、僕らはそれを見て役作りをしていくのですが、いざ現場で監督や若林さんに話を聞くと、まったく解釈が違うことも多々あって、自分の台本の読みの甘さを何度も痛感させられました。でも、そういった現場での指導や、共演した先輩方の演技が重なることで、どんどん新しいものが生まれていくのが、アフレコの面白さだと思うんです。声も、一人ではなく、みんなで芝居を練りながら作リ上げるものなんだと、改めて実感しました。その現場の熱量が、皆さんに伝わると嬉しいです。来年公開する劇場版では、2クールを経て羽ばたいた敦同様、大きく成長した僕を見せられるよう、頑張ります!」『文豪ストレイドッグス』中島敦、太宰治、芥川龍之介など実在した文豪がキャラクター化され、彼らが著作にちなんだ異能力を用いて、架空の都市・ヨコハマという街を舞台にバトルを繰り広げる。荒事を解決する〈武装探偵社〉と、凶悪な集団〈ポートマフィア〉。対立する両組織の戦いと、次々と起こるミステリアスな事件。シリアスな雰囲気の中に洒脱なギャグが織り込まれた作品は、’16年にTV アニメが2 クールにわたって放送され、大ブレイクした。うえむら・ゆうと1993年10月23日生まれ。俳優、声優。劇団ひまわり所属。ファミリー劇場『声優男子ですが…?』出演中。来年1月よりTOKYO MXほかで放送のアニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』に出演。ニット¥79,000(MARC JACOBS/マーク ジェイコブス カスタマーセンター TEL:03・4335・1711)※『anan』2017年12月6日号より。写真・岡本 俊スタイリスト・山本隆司ヘア&メイク・shibuya(vitamins)取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2017年12月02日「[企画展]上村松園 -美人画の精華ー」が東京都・山種美術館で開催される。開催期間は2017年8月29日(火)から10月22日(日)まで。会期中、一部展示替えもある。今回開催されるのは生涯を通じて「清澄な女性」を描き続けた上村松園に焦点を当てた企画展。上村の友人であった山種美術館創設者の所蔵品から、上村松園作品を中心に巨匠たちの描いたバラエティ豊かな日本の美人画・浮世絵のコレクションを公開する。最大のみどころである上村松園作品は、《蛍》《つれづれ》《砧》といった代表作を含む18点を展示。上村の描く品のある美しい色使いの女性たちの絵画を存分に楽しむことができる。また、同時公開される浮世絵コレクションも必見だ。喜多川歌麿や月岡芳年の作品のほか、世界で数枚しか現存が確認されていない希少な鈴木春信《梅の枝折り》などが展示される。また、日本人画家による女性を描いた洋画の展示も。和の美しさに溢れた近代の女性たちの姿を鑑賞してみてはどうだろう。【詳細】「[企画展]上村松園 -美人画の精華ー」期間:2017年8月29日(火)~10月22日(日)※会期中、一部展示替えあり。前期 8月29日(火)〜9月24日(日)、後期 9月26日(火)〜10月22日(日)。場所:山種美術館住所:東京都渋谷区広尾3-12-36開館時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)入館料:一般1,000(800)円、大高生800(700)円、中学生以下無料※()内は団体・前売り料金※着物着用、使用済み入場券の展示で団体料金適用出展作品数:約90点(内上村松園作品18点)【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600(8:00~22:00)
2017年07月23日「MOMAT コレクション」が東京国立近代美術館にて開催される。期間は2期に分かれており、前期は2017年2月18日(土)から4月16日(日)まで、後期は4月18日(火)から5月21日(日)まで。「MOMAT コレクション」は、国内最大規模約13,000点の所蔵作品から約200点を厳選して紹介する所蔵作品展。時宜にかなったテーマや切り口で年に数回ガラッと作品を入れ替え、多様な作品をとおして明治以降の日本美術の流れをたどることができる。今期の見どころは、春のこの期間しか見られない、桜を描いた日本画作品。川合玉堂《行く春》、菊池芳文《小雨ふる吉野》、松林桂月《春宵花影図》の3点がそろって展示されるのは8年ぶりで、前期のみの展示となる。その他、第3室の「おなじみのあの作品のモデルがこの作家で、この作家とあの作家は友人で、あの作家はこの人の……」と人脈の広がりを楽しめる展示「男たちのつながり 劉生を起点にして」や、第5室で紹介される「日本の近代美術に与えた影響」という観点から収蔵してきた西洋美術にも注目だ。なお、東京国立近代美術館では2017年3月25日(土)から4月9日(日)まで「美術館の春まつり」を開催する。風情のある日本の美を堪能できる、本展と「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」の2つの展覧会のほか、様々な催しが開催される。皇居や千鳥が淵、北の丸公園といった桜の名所エリアの散策に合わせて、ぜひ立ち寄ってみては。【詳細】所蔵作品展「MOMAT コレクション」会期:2017年2月18日(土)~5月21日(日)会場:東京国立近代美術館 本館 4~2階住所:東京都千代田区北の丸公園3-1開館時間:10:00~17:00※金曜日、土曜日は20:00まで※入館は閉館30分前まで休館日:月曜日、3月21日(火)※ただし3月20日、27日、4月3日、5月1日は開館アクセス:東京メトロ東西線「竹橋」駅1b出口 徒歩3分観覧料:一般 430(220)円 大学生 130(70)円※高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者とその付添者1名、MOMATパスポート持参者、キャンパスメンバーズ、友の会、賛助会員、 MOMAT支援サークルパートナー企業(同伴者1名まで、シルバー会員は本人のみ)は無料※()内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込無料観覧日:毎月第一日曜日、国際博物館の日(5月18日(木))問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)■展示される重要文化財・川合玉堂《行く春》(1916年) ※前期のみ・原田直次郎《騎龍観音》(1890年)・萬鉄五郎《裸体美人》(1912年)・岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》(1915年)・中村彝《エロシェンコ氏の像》(1920年)・上村松園《母子》(1934年) ※後期のみ■美術館の春まつり会期:2017年3月25日(土)~4月9日(日)会場:東京国立近代美術館住所:東京都千代田区北の丸公園3-1問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年02月25日アートを感じる「Cafe 椿」でゆったりとしたひとときを山種美術館1階に位置する「Cafe 椿」は、駒沢通りの銀杏並木をガラス越しにのぞむ光あふれる空間です。山種コレクションの中でも人気の高い重要文化財、速水御舟「名樹散椿」から名付けられたこのカフェでいただける和菓子は、展覧会ごとに特別オーダーされる限定メニュー。カッシーナなどのオシャレなインテリアに囲まれた落ち着いた雰囲気の中で、美術鑑賞後のゆったりとしたひとときを過ごすことができます。1. 「雪けしき」お抹茶セット ¥1,100上村松園《牡丹雪》をモチーフにした和菓子とお抹茶のセットです。雪がふりかかる女性の傘をモチーフに、松園の世界をかわいらしく表現しています。菓子楊枝を差し入れると、着物の色に合わせた抹茶色の柚子あんが顔を覗かせます。爽やかな柚子の風味を、お抹茶と一緒にいただきながら素敵なティータイムを。2. 「冬華」お抹茶セット ¥1,100田能村直入《百花》をモチーフにした一品。田能村によって描かれた鮮やかな冬の花を和菓子で表現しています。色とりどりの花が華やかにあしらわれた和菓子の中には菊家特製のこしあんが包まれています。美しい見た目と特製こしあんの味わいが人気の一品です。3. 「里の桜」お抹茶セット ¥1,100土田麦僊《大原女》をモチーフにした和菓子を、お抹茶を一緒にいただきます。屏風絵に描かれる女性の頭に乗せられた黄金色の柴と、淡いピンクの桜を和菓子で表現しています。女性の頭に見立てられた、かわいらしい外見とシナモン風味の味わいが女性に大人気の一品です。文・佐藤百イベント情報イベント名:山種美術館 「日本画の教科書」展催行期間:2016年12月10日 〜 2017年04月16日住所:東京都渋谷区広尾3-12-36電話番号:03-5777-8600
2017年02月01日「日本画の教科書京都編 - 栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ - 」を東京・広尾の山種美術館にて開催。会期は2016年12月10日(土)から2017年2月5日(日)まで。2016年に創立50周年を迎えた山種美術館。これを記念し、創立者・山﨑種二のコレクションから明治以降を代表する日本画を厳選。本展ではその中でも京都画壇にスポットを当てた作品が紹介される。「日本画の教科書」と題された通り、日本の近代絵画を語る上で欠かせない名画ばかりが揃う。明治時代以降、大きく様変わりする環境の中で、日本画家たちは流入してきた西洋画を強く意識し、新時代にふさわしい日本画を模索し続けてきた。なかでも京都は平安時代以来のやまと絵の表現や、江戸時代の円山四条派から続く写生の伝統を受け継ぐ一方、日本美術の発展のため日本初の画学校を開校させるなど、革新的かつ組織的な取り組みが見られた。それぞれの画家が、日本画と西洋の「美術」の間に生まれた矛盾に向き合い、数々のユニークな作品が誕生することとなる。本展では、そんな大きな変化の時代に活躍した画家たちが登場する。中でも見所は、美術館の顔とも言える竹内栖鳳の《班猫》(重要文化財)だ。つい触れてみたくなるほど見事に表現された毛並みを前面に押し出した柔らかい印象の作品だ。上目遣いで舌を出すその表情からは、愛らしく気ままな猫の気質がよく伝わってくる。さらに、重要文化財でもある村上華岳の《裸婦図》も展示。まるで仏教画を思わせるような女性の顔立ちや蓮のモチーフが、「裸婦」という西洋の油絵の伝統を意識した題材、かつ、近代的な描き方で表現されている。西洋と日本の古典が折衷した、この時代を代表するような作品だ。その他にも上村松園や、山元春挙、福田平八郎、小野竹喬といった近代を代表する画家たちを一堂に紹介する。どれも切手や教科書などで一度は目にしたことのある有名なものばかりなので、日本画の知識がなくても気軽に楽しむことができる展覧会だ。【詳細】「日本画の教科書京都編 - 栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ - 」会期:2016年12月10日(土)~2017年2月5日(日)会場:山種美術館住所:東京都渋谷区広尾3-12-36開館時間:10:00〜17:00 (入館は16:30まで)休館日:月曜日 (ただし1月9日(月)は開館、1月10日(火)は休館。12月29日(木)〜1月2日(月)は年末年始休館)入館料:一般 1,200円(1,000円) / 大高生 900円(800円) / 中学生以下無料※( )内は20名以上の団体料金、および前売り料金。※障がい者手帳、被爆者健康手帳の提示で、介護者1名を含め無料。※きもの割引:会期中きもので来館すると団体割引料金で入場可。複数の割引は不可。【問い合わせ先】TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル電話受付時間:8:00~22:00)
2016年11月20日「江戸絵画への視線 ―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―」展が東京・渋谷の山種美術館で開催される。期間は2016年7月2日(土)から8月21日(日)まで。開館50周年を記念したこの特別展では、山種美術館所蔵の江戸絵画を一挙に公開。江戸時代は、公家や武家だけでなく、庶民にいたるまで文化の享受層が拡大する中、個性豊かな芸術家たちが次々に登場し、新たな潮流が生み出された。美術館のコレクションでは、その多彩な歴史を概観することができる。作品としては、浮世絵の祖とうたわれる岩佐又兵衛《官女観菊図》や、 椿椿山《久能山真景図》をはじめとする重要文化財2点および、《竹垣紅白梅椿図》などの重要美術品3点がラインナップ。さらに、琳派の俵屋宗達や抱一や、文人画の池大雅、奇想の画家として名高い若冲、狩野派や円山四条派、復古やまと絵にいたるまで、諸派の優品の数々が集結する。また50周年にちなんで、横山大観、上村松園らなど美術館と縁の深い近代の日本画家の作品も特別に展示。近年関心の強まっている江戸絵画を存分に楽しめる企画となりそうだ。【概要】江戸絵画への視線 ―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―期間:2016年7月2日(土)〜8月21日(日)会場:山種美術館住所:東京都渋谷区 広尾 3−12−36開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)入館料:一般 1,200円(1,000円)、大学・高校生 900円(800円)、中学生以下無料※カッコ内は20名以上の団体料金。会期中に浴衣、着物で来場した場合も団体料金に。展示予定作品数:50点休館日:月曜 (ただし、7/18は開館、7/19は休館)
2016年07月02日音楽家・大沢伸一とボンジュールレコード(bonjour records)のバイヤー・上村真俊によるDJデュオ・オフザロッカー(OFF THE ROCKER)が、最新MIX-CD「SOFA DISCO 15FW」のリリースパーティー「SOFA DISCO」を9月12日に代々木Village Music Barにて開催する。“ソファーで聴くダンスミュージック”がコンセプトの「SOFA DISCO」。シリーズ1、2は代官山の高感度セレクトショップ・ボンジュール レコード(bonjour records)で累計売り上げ約800万枚を記録するヒット作となっている。第3弾となる今回は、オフザロッカーのオリジナルトラックに加え、ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)の「Right Here, Right Now feat.Kylie Minogue」のリミックスや、国内外の新進気鋭アーティストの新曲を中心にミックスしたCDと、UN-MIXのトラックを収録したCDの2枚組み。東京・代々木で12日に行われるイベントは、オフザロッカーの他、YOSA、DJ RUBY、K (Play decibel)、FLASH BUG (Mistsuharu Kitago + Kazuma Takahashi)をセレクターに迎えて開催。なお、10月3日には、大阪・東心斎橋のseven HOUSEでも開催を予定している。【イベント情報】SOFA DISCO会場:代々木Village Music Bar住所:東京都渋谷区代々木1-28-9会期:9月12日時間:20:00~料金:男性2.000円、女性1,000円(1ショット+1ドリンク付き)
2015年09月09日夏の風物詩といえば怪談。そこで今回は夏にぴったりな“幽霊画”の展覧会をご紹介。そもそも幽霊とは、化け猫や塗り壁などの妖怪とは違う、現世に怨念が残って成仏しきれなかった“人間”の姿。そのうらみつらみといった人の情を、おどろおどろしく、巧みに表現するのが幽霊画で、だからこそ「その気持ちはわかる、可哀想…でもやっぱり、こわい」というリアルな恐ろしさが伝わってくる。本展で並ぶのは、谷中の全生庵(ぜんしょうあん)が所蔵する明治時代の噺家・三遊亭圓朝(さんゆうていえんちょう)ゆかりの幽霊画コレクション50点が中心。圓朝は怪談を得意とした噺家で、幽霊画のコレクターとしても有名だった人物。希代の“幽霊マニア”と呼べる彼が収集した作品だからこそ、間違いなく“怖い”ラインナップだ。会場では「怪談牡丹燈籠」や「四谷怪談」「番町皿屋敷」など、有名な怪談のストーリーも解説。美術に興味のない人でも、名画とともに恐ろしいストーリーを追えば、背筋がゾクッ!お化け屋敷とはまた違う、不気味な肝試し気分が味わえる。◇information「うらめしや~、冥途のみやげ」展―全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心に―東京藝術大学美術館地下2階展示室東京都台東区上野公園12‐8開催中~9月13日(日)10:00~17:00(8月11日・21日は~19:00、入館は閉館の30分前まで)月曜休TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)一般1100円◇毒殺されたお岩の悲劇『東海道四谷怪談』。病気がちのお岩を厭う夫・民谷伊右衛門は、出世のため隣家の伊藤喜兵衛の孫娘・お梅と結婚すべく、お岩に毒を盛る。容姿が崩れたお岩は苦しみながら死ぬが、その後、民谷家には不幸が続き…。醜い顔のお岩の亡霊が夫の前に現れた恐怖の瞬間が、この場面。歌川国芳≪民谷伊右衛門市川海老蔵・お岩亡霊 尾上菊五郎≫天保7 年(1836)大判錦絵8/18‐9/13(後期)展示◇愛しい男の心変わりで女が鬼に変わる『葵上』。元皇太子妃で光源氏の愛人・六条御息所は気高く教養深い高貴な女性。けれど源氏の足が遠のいたことで、彼の正妻である葵上に嫉妬の炎を燃やし、呪術で葵上の魂を抜き取ろうとする…。この絵は御息所の心に巣くっている嫉妬心が生霊となって表れたシーン!上村松園≪焔≫大正7年(1918)絹本着色東京国立博物館9/1‐9/13展示◇父子で間男を討つ復讐劇『怪談乳房榎』。絵師の菱川重信の妻・お関に惚れた磯貝浪江は、重信に弟子入りして、お関に関係を強要したうえ重信を惨殺。さらに子供まで殺そうとする浪江の前に、重信の亡霊が登場し、我が子を救出する絵がこちら。その後、成長した子が、父の仇討ちを果たす。伊藤晴雨≪怪談乳房榎図≫明治~昭和時代(20世紀)絹本着色全生庵8/18‐9/13(後期)展示※『anan』2015年8月12日・19日号より。文・山田貴美子
2015年08月18日