1985年に製作された坂本龍一のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』が、4Kレストア版として2026年に劇場公開されることが決定した。坂本龍一が4枚目のソロアルバム「音楽図鑑」を制作し始めた時期に、東京でわずか1週間という短期間で撮影された本作。スタジオでのレコーディング風景やインタビューを通して、30代だった坂本が自身の生い立ち、価値観、音楽哲学、文化について語る姿が収められている。監督はニューヨーク生まれのマルチメディア・アーティスト、エリザベス・レナード。ジェリー・ルイスやシャンタル・アケルマンのポートレート撮影を手掛け、アンディ・ウォーホルやポール・シュレイダー監督作『三島由紀夫の四季』の撮影現場にも関わった。本作は、1985年のロッテルダム映画祭、ロカルノ映画祭、サンパウロ国際映画祭で上映され、日本では同年6月9日に第1回東京国際映画祭でのみ公開された後、VHSとDVDが発売されたが入手困難な状況が続いていた。しかし、最近になって倉庫に眠っていた16mmフィルムが発見され、修復を経てデジタル化が実現。2025年1月17日、坂本の誕生日に開催された「坂本龍一|Birthday Premium Night 2025」で特別上映が行われた際には、チケットがわずか2時間で完売。多くのファンの熱い要望に応え、ついに2026年、劇場での一般公開が決定した。この公開決定に併せ、展覧会「坂本龍一|音を視る 時を聴く」では、本作の場面写真を使用した特報版フライヤーを限定配布中だ。『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版は2026年、全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2025年03月13日こんにちは!hugmugフレンズの木村です☺︎今、東京都現代美術館で開催させている大注目の「坂本龍一 音を視る 時を聴く」展に、小学生の長女と行ってきました。誰もが知っている坂本龍一さんの音楽と、没入型・体感型の展示ということで、楽しみにしていました!!今回はおススメの子連れ美術館のまわり方も合わせてご紹介しようと思います!ダイナミックな音と映像の世界!「坂本龍一 音を視る 時を聴く」展東京都現代美術館〒135-0022東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)東京都現代美術館観覧料一般2,400円(1,920円)大学・専門学校生・65歳以上1,700円(1,360円)中・高校生960円(760円)小学生以下無料開催期間「坂本龍一 音を視る 時を聴く」展2024年12月14日〜2025年3月30日全身で体感する!子どもも楽しめるおすすめの展示作品を紹介1階と中庭、地下に展示された10点の作品。混雑対応により、2月11日以後は残念ながら撮影可能エリアが変更になるそうですが、特におすすめしたい展示作品をご紹介します!《water state 1》水盤に雨を降らせて音の変化や波紋の表情を視る作品《water state 1》。水面に出来る波紋と水の落ちる音が心地よくて、ずっと見ていたくなります。《IS YOUR TIME》東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校のピアノに出会い、それを「自然によって調律されたピアノ」と捉え作品化した《IS YOUR TIME》。世界各地の地震データによってピアノの音が鳴り、水盤の上にあるピアノと天井の雪の映像が妙にリアルで、震災の怖さを感じる展示でした。《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》館内の作品で1番広い展示の《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》。これは見るからに圧巻の展示で、長女も興奮気味に観覧しました(^^)水と霧、光と音楽が場面場面で変化していくのでずっと見ていても飽きない作品でした!《LIFE WELL TOKYO》霧の彫刻最後は親子で1番楽しみにしていた、中庭で展示されている《LIFE WELL TOKYO》霧の彫刻。30分に1回、中庭いっぱいに霧が現れるのですが、思った以上に霧が濃く、前に進むのも困難なほどなので、子連れの方はお子さんとはぐれないよう要注意!!そして、霧の中は想像以上にびしょ濡れになります笑濡れた髪や顔を拭くハンカチは必須です笑びしょ濡れで寒くても、この空間はきっと子どもは大好きなはず..(°▽°)"雲に乗りたい"と言っていた長女に、雲の中を体験させることができました!笑子どもが飽きずに美術館を楽しめる方法をご紹介!ポイント① 手ぶらでまわる!荷物や上着は無料コインロッカーを使用◎我が家は美術館に着いたらまず、コインロッカーに携帯以外の荷物を預けて身軽にします!これが結構重要で、荷物が無い分、子どもも大人もストレスフリーで作品に没入できます◎東京都現代美術館では100円玉が必要ですが、返却されるので長時間居たとしても、出し入れできるのでとても便利です!ポイント②チケットはオンラインで購入しておく!とにかく子ども一緒の時は、最短ルートの方法を選択しています!!オンラインチケットは、事前にスマホで購入して着いたらそのまま会場に向かえるので、当日チケットより断然スムーズ◎チケットに並ぶだけでも、「疲れた」とか言いだしますからね..泣ポイント③あらかじめ、じっくり観たい展示は子どもに共有しておく!美術館に行く前に前もって、「ここが面白そう!」「ここが気になる!」など写真や動画をあらかじめ見せておいて興味をそそる作戦をとっています。笑実際作品を目の当たりにした時に、「ここだねー!」と感動を共有できて、じっくり作品を観ることができますよ♡↑是非トライしてみてください!私たちは学校おわりの、平日15時頃に行ったのですが、平日にも関わらずかなりの人混みでした!長女のペースに合わせてまわったので、感覚としては早いペースでまわったつもりでしたが、それでも2時間弱はかかりました。(個人的には各所もっと長く観ていたかった笑)大人気の為、しばらくは混雑が続きそうですね..。予め日時指定のオンラインチケットをとってから行くことをおすすめします!
2025年02月09日女優の當真あみが25日、自身のインスタグラムを更新。【画像】當真あみ、藤﨑ゆみあと久しぶりのいちご狩りを満喫!ファンから歓喜の声!「【坂本龍一 音を視る 時を聴く】」と題した展覧会を訪れたことを報告した。投稿では、「音」を多角的に体験できるこの空間で、自身の日常にどれほど音楽が組み込まれているのかを再認識したと綴り、坂本龍一の深遠な世界観に触れた感想を共有した。文化的な発見を重ねる當真の姿に、多くの共感が集まった。 この投稿をInstagramで見る 當真あみ(@ami_touma_)がシェアした投稿 ファンからは「同じ場所に行けて嬉しい!」「あみさんの探究心に尊敬します」「私服のモノトーンコーデもお洒落」と称賛の声が続出している。
2025年01月26日坂本龍一の軌跡を辿る映画の特別上映会「坂本龍一 | Birthday Premium Night 2025」が、2025年1月17日(金)に東京・109シネマズプレミアム新宿にて開催される。坂本龍一の軌跡を辿る3作品を上映「坂本龍一 | Birthday Premium Night 2025」は、坂本龍一の軌跡を辿る関連作品の特別上映会。3部構成となっており、国内初公開となる4Kレストア版の映画を含む、全3作品が上映される。幻のドキュメンタリー映画4Kレストア版にて初公開となるのは、幻のドキュメンタリー映画『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』。同作は、坂本龍一がYMOのメンバーとして成功を収め、その後ソロ・アーティストとして革新的な音楽活動を展開していた、1985年に制作。坂本龍一本人が出演し、当時のリアルな情景を記録した特別な作品となっている。ドキュメンタリー&コンサート映画を極上サウンドでまた、闘病生活やオリジナルアルバム「async」制作などの軌跡を追ったドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』、最期のピアノ・ソロ演奏を記録した長編コンサート映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』も公開。半世紀以上にわたる活動の歴史や音楽を、坂本龍一監修のシアター音響「SAION -SR EDITION-」による、極上のサウンドで楽しむことができる。特別音楽が流れるラウンジ館内では、坂本龍一が作曲したラウンジ用の音楽や、開場を知らせるチャイムが流れるという演出も行われる。来場すると特別なギフトもゲットできるのも嬉しいポイントだ。展覧会に合わせた上映イベントも同時開催さらに、2024年12月からスタートした展覧会「坂本龍一|音を視る 時を聴く」に合わせた上映イベント「Ryuichi Sakamoto Premium Collection」も、2024年12月20日(金)から2025年3月27日(木)まで開催している。開催期間中は、展覧会のコラボレーション・アーティストであるアピチャッポン・ウィーラセタクンが監督を務める『ブンミおじさんの森』『MEMORIA メモリア』、坂本龍一が音楽を担当した映画『怪物』 などの上映を行う。【詳細】「坂本龍一 | Birthday Premium Night 2025」開催日:2025年1月17日(金)時間:開場 17:00、開演 18:00、終演予定 23:00会場:109シネマズプレミアム新宿 シアター7住所:東京都新宿区歌舞伎町1-29-1チケット料金:クラスS 10,000円、クラスA 8,000円※開演1時間前からメインラウンジが利用可能※メインラウンジ入場後、開演前と休憩時間にポップコーンとソフトドリンクが注文可能※外部からの飲食物の持ち込みは不可※クラスSのチケット購入者は、鑑賞後プレミアムラウンジ「OVERTURE」が利用可能(ウェルカムドリンク付き)チケット販売:2025年1月9日(木)0:00より、109シネマズプレミアム新宿公式サイトにて販売開始プログラム:第1部 『Ryuichi Sakamoto | Opus』(103分)第2部 『Ryuichi Sakamoto:CODA』(102分)第3部 『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版 (63分)※各作品の合間に15分間の休憩時間あり◾️「Ryuichi Sakamoto Premium Collection」開催日程:2024年12月20日(金)~2025年3月27日(木)上映作品:・『Ryuichi Sakamoto | Opus』 12月20日(金)~2025年3月27日(木)・『Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014』 12月20日(金)~2025年3月27日(木)・『戦場のメリークリスマス』※35mmフィルム 12月20日(金)~2025年1月2日(木) ※上映終了・『ラストエンペラー 劇場公開版 4Kレストア』 1月3日(金)~1月16日(木)・『怪物』 1月17日(金)~1月30日(木)・『トニー滝谷』※35mmフィルム 1月31日(金)~2月13日(木)・『ブンミおじさんの森』 2月14日(金)~2月27日(木)・『MEMORIA メモリア』 2月28日(金)~3月13日(木)※上映スケジュールは金曜日からの1週間分を、直前の月曜日の夜を目途に公式サイトで掲載※作品の公開時期や内容は変更になる場合ありチケット料金:クラスS 6,500円、クラスA 4,500円※詳細は公式サイトを終了
2025年01月11日1月17日(金) 東京・109シネマズプレミアム新宿にて、『坂本龍一 | Birthday Premium Night 2025』が開催されることが決定した。本イベントでは、同劇場の音響監修を務めた坂本龍一の軌跡を辿る関連作3作品を、坂本の誕生日である1月17日(金) に特別上映。特に、1985年に制作された幻のドキュメンタリー作品『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』(1985年/フランス製作)は、国内で初めて4Kレストア版で上映される。その他にも劇場では、坂本が作曲したラウンジ用の音楽や開場を知らせるチャイムが聞けるほか、来場者への特別なお土産もプレゼントされる。<イベント情報>『坂本龍一 | Birthday Premium Night 2025』1月17日(金) 東京・109シネマズプレミアム新宿シアター7開場:17:00開演:18:00終演予定:23:00【チケット】CLASS S:10,000円CLASS A:8,000円2025年1月9日(木) より109シネマズプレミアム新宿公式HPにて販売開始※開演1時間前からメインラウンジが利用可能。※各作品の合間に15分間の休憩時間あり。※メインラウンジ入場後、開演前と休憩時間にWELCOME CONCESSIONで自由にポップコーンとソフトドリンクが注文可能。※『Ryuichi Sakamoto | Opus』の上映中は作品の性質上、ポップコーン及びTHE BARのフードメニューのシアター内での飲食は遠慮ください。その他の作品の上映中は、シアター内でも飲食可能。(外部からの飲食物のお持ち込みは不可。)※CLASS Sのチケット購入者は、鑑賞後プレミアムラウンジ「OVERTURE」を利用可能(ウェルカムドリンク1杯付き)。【プログラム】第1部『Ryuichi Sakamoto | Opus』(103分)第2部『Ryuichi Sakamoto:CODA』(102分)第3部『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版(63分)『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』(1985年/フランス製作 4Kレストア版)監督:エリザベス・レナード出演:坂本龍一YMOのメンバーとして世界的な成功を収め、その後ソロ・アーティストとして革新的な音楽活動を展開していた1980年代半ばに制作された幻のドキュメンタリー。『Ryuichi Sakamoto:CODA』(2017年)監督:スティーブン・ノムラ・シブル出演:坂本龍一東日本大震災で被災したピアノとの出会い、闘病生活、そして8年ぶりのオリジナルアルバム『async』制作までの軌跡を追ったドキュメンタリー。実験的な音楽性と社会への深い洞察が交差する後期の活動に迫ります。『Ryuichi Sakamoto | Opus』(2024年)監督:空音央出演:坂本龍一坂本龍一最期のピアノ・ソロ演奏を記録した長編コンサート映画。半世紀以上にわたる音楽活動の集大成となる珠玉の演奏をお届けします。109シネマズプレミアム新宿公式HP:
2025年01月08日坂本龍一の作品を紹介するイベント「サカモトコモン ギンザ(sakamotocommon GINZA)」が、東京の銀座ソニーパーク(Ginza Sony Park)にて、2024年12月16日(月)から25日(水)まで開催される。坂本龍一が遺したものを共有する「サカモトコモン ギンザ」は、2023年にこの世を去った音楽家・坂本龍一が遺したものを共有化し、文化の発展に寄与することを試みる「サカモトコモン」によるイベントだ。坂本がライゾマティクス(Rhizomatiks)の真鍋大度とともに手がけた作品を展示するほか、坂本の生前最後のアルバム『12』の立体音響バージョンなどを展開する。“電磁波を可視化”真鍋大度とのコラボ作品坂本と真鍋のコラボレーションによる《Sensing Streams 2024 - invisible inaudible》は、人間が通常は知覚することのできない電磁波を検出し、可視化・可聴化する作品である。これまで、ソウルやアムステルダム、香港、北京など、世界各地で展示されてきた同作を、銀座ソニーパークの地下空間で展開し、銀座を行き交う電磁波を顕在化してゆく。フィールドレコーディングや『12』を立体音響で展開坂本は生前、マイクとレコーダーを持ち歩き、自分の気になった音を収録していた。これらの音源は、作品に使われることはあったものの、多くは公開されず今に至っている。会場では、坂本が採集していた雨の音や風の音など、7つのフィールドレコーディング素材を立体音響として構成するとともに、坂本のアルバム『12』を立体音響バージョンで展開する。「Merry Christmas Mr.Lawrence」などの自動演奏も坂本は1999年、初のオペラ《LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999》を手がけている。会場では、このオペラのためにデザインされたピアノ「Opera Piano」を設置し、坂本が残した演奏データによる自動演奏を実施。演奏曲は、「Merry Christmas Mr.Lawrence」、「Aqua」、「energy flow」、「put your hands up」、「鉄道員」を予定している。開催概要サカモトコモン ギンザ会期:2024年12月16日(月)〜25日(水)会場:銀座ソニーパーク住所:東京都中央区銀座5-3-1開場時間(予定):11:00~19:00※12月22日(日)は、「東北ユースオーケストラ in Ginza Sony Park」実施のため、4階「Opera Piano」は15:30までの入場※12月23日(月)は、「sakamotocommon構想会議」実施のため、地下2階の《Sensing Streams 2024 - invisible inaudible (GINZA version)》は16:00までの入場※入場には、サカモトコモンのクラウドファンディングへの参加(3,000円~)が必要。詳細については下記ページを参照:
2024年11月28日フィギュアスケートペアの木原龍一が11日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】"りくりゅう"ペアの「恋人目線」ショットが話題に三浦璃来の誕生日をお祝い11月10日に行われたNHK杯で見事銀メダルを獲得したりくりゅうペア。「悔しいミスが、出てしまいましたがファイナルではベストな演技ができるようにトロントで練習に励みたいと思います。」と木原らしくストイックなコメントを綴り写真をアップ。腰の怪我も一安心とのことだが、まだまだ万全ではない様子にファンからの心配のコメントも。次戦のファイナルではさらなる活躍が期待されている。 この投稿をInstagramで見る Ryuichi Kihara(@kihara_ryuichi)がシェアした投稿 この投稿に多くのいいねの他、「見ていて「力強さ」を感じました☺️」「お疲れさまでした素晴らしい演技でした。次はファイナル頑張って❣️」などの応援コメント続々!!!
2024年11月12日音楽家、坂本龍一がのこした作品の数々を、彼が深く影響を受けたクラシック作品と共に演奏する日本フィルハーモニー交響楽団の公演「作曲家 坂本龍一、その音楽とルーツを今改めて振り返る」が6月2日(日)に東京芸術劇場で開催される。昨年3月に亡くなった坂本龍一は、伝統音楽やジャズ、現代テクノロジーといった幅広い音楽を融合させ、独自の音楽世界を築き上げ、多くの音楽ファンを魅了し続けている。本公演では坂本龍一作品から「箏とオーケストラのための協奏曲」、映画 『ラストエンペラー』より「The Last Emperor」、地中海のテーマ(1992年バルセロナ五輪開会式音楽)、そしてドビュッシーの《夜想曲》と 武満徹の組曲 《波の盆》より「フィナーレ」を演奏。クラシック音楽を学び、オーケストラも指揮した彼の作品をクラシック文脈の中で捉え直してみる試みだ。日本の音楽をこよなく愛する日本フィル首席指揮者カーチュン・ウォンがタクトをとり、箏の遠藤千晶、東京音楽大学の合唱団、ピアニストの中野翔太が出演。開演前には、監修の小沼純一によるプレトークも行われる。■公演に寄せて小沼純一(早稲田大学文学学術院教授、音楽・文芸批評家)坂本龍一が世を去って、1年。日本フィルはこの音楽家への敬意を、コンサートというかたちであらわします。あまりふれる機会のないオーケストラ作品をステージで演奏する。音楽家じしんが敬愛し、意識していた先達の作品もあわせて提示します。中心に据えられるのは、《ラストエンペラー》とともに、バルセロナ・オリンピック開幕のための《地中海のテーマ》と《箏とオーケストラのための協奏曲》、2つのオリジナルのオーケストラ作品。《協奏曲》は2010年に関西圏と関東圏で演奏されていらい再演されていません。これらはまた、映像や物語に付随することなく、描写的なタイトルもなく、楽器の音そのものによって構築される、音・音楽と聴き手がじかに対面できる作品です。ドビュッシーの生まれ変わりではないだろうか。そう坂本龍一青年はおもったそうです。《雲》のゆったりしたさま、時間の感覚は、音楽家のなかに生きつづけてきました。武満徹へは、若き日のアンビヴァレンツなおもいをこえ、いくつかの作品のテクスチュアへの愛着を隠しませんでした。武満徹の映像とともにある音楽を、ドビュッシーとのつながりも考慮し、坂本龍一作品のあいだに配置する。プログラミングはそのようになっています。ドビュッシーや武満徹の音楽を対照しながら、「オーケストラ」という媒体をとおしてあらわれてくる坂本龍一の顔貌にふれる―かならずや貴重な機会となるでしょう。日本フィルハーモニー交響楽団第255回芸劇シリーズ作曲家 坂本龍一、その音楽とルーツを今改めて振り返る日本フィルハーモニー交響楽団Ⓒ飯田耕治■チケット情報()6月2日(日) 14:00開演東京芸術劇場【出演】指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]箏:遠藤千晶*ピアノ:中野翔太**合唱:東京音楽大学***【プログラム】ドビュッシー:《夜想曲》***坂本龍一:箏とオーケストラのための協奏曲*坂本龍一:The Last Emperor (映画 『ラストエンペラー』より)武満徹:組曲 《波の盆》より「フィナーレ」坂本龍一:地中海のテーマ(1992年バルセロナ五輪開会式音楽)**,***監修:小沼純一
2024年05月16日キジマ タカユキ(KIJIMA TAKAYUKI)が、坂本龍一が愛したワークキャップを再現。2024年3月28日(木)より、キジマ タカユキ 代官山などで発売される。坂本龍一が愛したワークキャップを再現コラボレーションキャップのベースとなるのは、生前、坂本龍一が愛用していたワークキャップ。キジマ タカユキによるエッセンスを加え、日常の寄り添うシンプルなキャップが完成した。ボディには、ナイロンのような風合いとハリ感を持つコットン 100%のキャンバスを使用。柔らかさとしわ感を兼ね備える処理を施し、新品の状態から自然に馴染む見た目に仕上げた。カラーは、ブラックのみ。帽子の裏側には、コラボレーションのために作成されたネームを備えている。【詳細】ワークキャップ for リュウイチサカモト(WORK CAP for Ryuichi Sakamoto)発売日/販売店舗:・2024年3月28日(木) 坂本図書 ※完全予約制、場所は非公開。・2024年3月28日(木)~31(日) キジマ タカユキ 代官山※完売次第終了※4月1日(月)~7日(日)までキジマ タカユキ オフィシャルウェブサイトにて受注販売。価格:19,800円サイズ:1~3
2024年03月22日1999年に日本武道館、大阪城ホールで上演され、約4万枚が即完売した公演『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』に続き、坂本龍一が全曲を書き下ろし、高谷史郎(ダムタイプ)とコンセプトを考案、創作したRYUICHI SAKAMOTO+SHIRO TAKATANI『TIME』が2024年3月28日(木) から新国立劇場 中劇場にて上演される。2017年から約4年の製作期間を経て、21年に世界最大級の舞台芸術の祭典「ホランド・フェスティバル」(オランダ・アムステルダム)で世界初演され、高い評価を得た本作。今回が日本初演となる。このたび、ヴィジュアル・デザイン+コンセプトを担う高谷をはじめ、出演者である田中泯(ダンサー)、宮田まゆみ(笙奏者)、石原淋(ダンサー)が取材に応じ、日本上演への意気込みや、坂本への思いを語った。くしくも上演初日は、坂本龍一の一周忌にあたる。「始まりも終わりもない、時間に縛られない作品をつくりたい」。そんな坂本の思いに共鳴しながら、生み出された舞台作品『TIME』。雨音だけが響く客席空間、水鏡のように舞台上に揺らぐ水面と、精緻な映像を写しだすスクリーン。時間というテーマを内包するテキストとともに、田中、宮田、石原のパフォーマンス、サウンド/インスタレーション/ヴィジュアルアートが、光と水が交錯し幻出する劇場空間で融合する。「(アムステルダム公演から)何かを変えるというより、空間が変わると、見えない部分も含めて、すべてが変わるので……、例えば、泯さんの歩数から変わってきますから、今回は再演だとは思っていないんですね。出演する皆さんにも、何かを演じてもらうのではなく、その場で発生すること、そこにその人がいるという感覚が重要だと考えています。坂本さんが設計した空間的なルールはありますが、インスタレーションにどう反応するかは、(出演者が)自分で決めることですから」(高谷)アムステルダムでの上演を経て今回の日本初上演に対する意識について、田中にも聞いてみると「変わるも何も、忘れているから」と笑みを浮かべる。「高谷さんが作った、僕が石垣の前を歩いている映像があって、その前を僕も歩くんですが、記録されている僕と、(舞台上の)僕では、時間差があって、同じことをできるはずもない。振り付けもまったく決めていません。初演の僕はもういないので、今の僕を見ていただくしかない」と、まさに時間をテーマにした本作だからこその言葉が返ってきた。笙奏者の宮田は「とにかく静かに演奏してくださいとおっしゃっていた」と、坂本からのオファーを回想。「そうは言っても、水の上を歩きながらですから、息づかいも大変だなと思いながら、静かに演奏することを心がけた。演奏は、人間の情緒や喜怒哀楽とは関係なく、自然や宇宙と交信できればいいなと思いながらですね。まるで宇宙遊泳をしているみたいです」と語る。また、石原は、アムステルダム公演で宮田が担った、「女」という自然を象徴するパートを演じることになり「光栄ですし、緊張しています」と心境を明かし、「坂本さんが厳選した言葉が(映像に)映し出されるので、日本人にはより染み込んでいくのでは。心を解放して、ぜひ頑張らずに見てほしいです」とアピールした。高谷と田中には、いまは亡き坂本氏への思いを改めて聞いた。「一緒に仕事をしていて楽しい人、信頼できるコラボレーターですね。細かい指示はなく、信頼していただいているのもありがたい。泯さん、宮田さん、淋さんとの出会いも含めて、感謝しかないですね。先輩……、兄さんみたいな存在です」(高谷)「教わることも、これからも学びたいこともたくさんあるし、もしかすると坂本さんも僕から何かを盗んでいたかもしれない。お互いを認め合えたし、自分の中で、彼の存在を止めたくないんですね。会えば、踊りや音楽の歴史、それだけじゃなく政治や人類と地球の関係まで。その手の会話は延々としました」(田中)この春、“時間”という概念を超え、パフォーマンスとインスタレーションという境界も超えた坂本のイマジネーションの世界が、日本の観客に届けられる。東京公演は4月14日(日) まで。京都公演は4月27日(土) 〜28日(日)、ロームシアター京都 メインホール。取材・文・撮影:内田涼スタイリスト:九(Yolken)ヘアメイク:山本菜々子衣裳:A-POC ABLE ISSEY MIYAKE/ジャケット¥165,000(税込)<東京公演>RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI『TIME』音楽 + コンセプト:坂本龍一ヴィジュアル・デザイン + コンセプト:高谷史郎出演:田中泯(ダンサー)宮田まゆみ(笙奏者)石原淋(ダンサー)公演日程:2024年3月28日(木)~2024年4月14日(日)会場:新国立劇場 中劇場チケット情報:()
2024年02月29日坂本龍一の最初で最後のコンサート長編映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』の公開日が5月10日(金)に決定。109シネマズプレミアム新宿では4月26日(金)から先行公開される。複合現実(MR)コンサート「KAGAMI」のニューヨークやロンドンでの上映、全曲を書き下ろしたシアターピース「TIME」が3月から東京で上演されるなど、逝去した以降も国内外から常に求められ続けている世界的な音楽家、坂本龍一。本作もまた、ヴェネチア国際映画祭でのワールドプレミア後、山形、釜山、N.Y.、ロンドン、東京と世界中の映画祭で上映され、先月から公開された韓国でも10日間で4万人を動員するなど、世界中からの賞賛を浴び続けている。解禁されたポスタービジュアルでは、その人生が刻み込まれた手が、長年コンサートで愛用したヤマハのグランドピアノと共に印象的に収められている。予告編では様々な角度から坂本さんが映し出され、奏でられる音楽と共に珠玉の映像体験を連想させる。先行公開を行う109シネマズプレミアム新宿は坂本さん自らが音響監修を務めたシアター音響「SAION -SR EDITION-」を備える映画館。5月10日の公開後も優れた音響設備を持つ映画館での上映を予定しており、ぜひ劇場で極上の音楽を堪能してほしい。『Ryuichi Sakamoto | Opus』は4月26日(金)より109シネマズプレミアム新宿にて先行公開、5月10日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:Ryuichi Sakamoto | Opus 2024年春、109シネマズプレミアム新宿ほか全国にて公開ⓒ KAB America Inc. / KAB Inc.
2024年01月17日今年3月28日にこの世を去った坂本龍一さん(享年71歳)。YMOの音楽活動のほか、俳優として出演した映画『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞を受賞するなど世界で活躍した。坂本さんとは’80年代に発表したアルバムでコラボレーションするなど、音楽を通して親交があり、近年は非戦、非原発をともに願った仲でもある加藤登紀子(79)が、坂本さんへの想いを語った。■「彼の思いを胸に、歌い続けたい。」心に響く伝説になったーー。亡くなってもう9ヶ月も経ったけれど、龍一さんの存在は私たちの心の中に響き続けている。ジョンが亡くなった時、「イマジン」が世界中の人を一つに結ぶ力を持ったように、坂本龍一の音楽が今、私たちを世界の人と繫いでくれている!それは不思議な安堵感であり、未来を見つめる光のように私たちを勇気づける!1970年代、大胆なテクノミュージックで世界の若者に新風を巻き起こし、最後には、ピアノのソロ演奏で、今、ここにいる瞬間のすべてが音楽だと、静かに語りかけて逝った。音楽だけではなくて、彼は言葉と行動でも「坂本龍一的世界」を表現した。非戦へのメッセージ、反原発の行動、そして神宮の森を守って下さい、という祈りは、実存の底から溢れる彼の音楽と共に、美しき生きる意味を伝えてくれている。彼と一緒に音楽を生み出せた幸せな一人として、彼の思いを胸に、歌い続けたい。加藤登紀子
2023年12月28日世界的な音楽家である坂本龍一さん(3月28日逝去、享年71歳)は、環境活動や脱原発運動などを積極的に行ってきた。亡くなる直前にも、自然豊かな東京・神宮外苑の樹木の伐採などが予定されている再開発に対して本誌(『女性自身』2023年4月18日号)掲載の記事でこう語っている。「3月22日には神宮第二球場の工事が始まってしまいました。この問題に気づき声を上げるのが遅かったのかもしれません。まだ立ち止まることはできるはずです。そうでなければ、美しい自然と景観を守ることができなかったことを子どもたちに詫びなければなりません」「誤りに気づいたら考えを改める。ネイティブアメリカンに『7世代先を考えよ』という教えがあります。私たちは彼らのように賢明ではありませんが、せめて次の世代に美しいバトンを渡したい。まだできることはあるはずです」こうした多くの人の声が届いたのだろうか。神宮外苑の樹木伐採は2024年以降に延期されることが決まったが、今後も事業者の樹木保全に関する対応に注視していく必要がある。坂本さんはこうした社会活動への取り組みを通じて、世の中に疑問を投げかけ続ける存在だった。『女性自身』2017年12月5日号のインタビューでも、東日本大震災やがん闘病によって起きた心境の変化について以下のように語っている。「僕は、以前から環境問題に強い関心があったから、ほかの人より自然のことがわかっているという自負が多少あったんです。でも、3.11の巨大な地震と津波が起こったことで、自然の力がこれほど大きいことを知らなかった、と強いショックを受けました。人間の文明は自然の力の前に、こんなもろく崩れ去るんだと」東日本大震災から3年後の2014年に中咽頭がんを患った。「人間の体という“自然”の中に起こった“がん”という一種の災害のようなものでしょう。それでまたショックを受けたんです」健康に自信があった分だけ、ショックは大きかったという。「僕は、40代ごろから食や健康には十分、気を使ってきたつもりだったんです。整体や足湯なども、みんなが言いだすはるか前からやっていたので、『そんなことは、もう昔からやっている』という自負もあった。それでも、がんになってしまうんだ、と。だからちょっとした自信や知識なんてなんの役にも立たない。病気になるときにはなるんだ、自然のことも体のことも、自分はわかっていなかったんだ、と気づいてね。自然に対する畏敬の念、かなわないという気持ちは強くなりました」自身の信念や知識、自負が揺らぎ、改めて人間が持つ本来の性質“本性(ほんせい)”を見つめなおすことになったという。そして、日本のナショナリズムについても、人間の本性により注意しなければならないと懸念した。「このままいくと、憲法改正です。その後は徴兵制になって、戦争に突っ込んでいって——。あなたたちのお子さんが兵隊に取られて死ぬんですよ、と。それがわからない人は、そんなに多くないはずなのに、あまりにも巨大な歯車が回っていて、ひとりでは止められないとなると、その問題から目を背けてしまう。こういう弱さも、ある意味、人間の本性なんじゃないかと思うんです。でも、本性だからどうしようもないとあきらめてしまったら、政治の暴走を認めてしまうことになるんですよね」「僕だって、自分が生まれ育った国を愛していますよ。ある意味、いま日本をズタズタにしている人たちよりも、僕ははるかに“愛国主義者”だと思う。でも、“ナショナリスト”ではありません。日本は素晴らしいけど、他国はダメなんて思わない。お互いの違いをリスペクトしあって、生きていきたいです」地球が環境破壊や戦争によって、取返しのつかないダメージを受けないうちに人間の本性を変えなければ、と続ける。「人間は、誰もが自分がもうかれば他人がどうなってもいいとか、トクをすればいいとかそんな欲望をもっていますよ。それも人間の本性のひとつ。これを変えるには、あと1万年くらいかかるかな……。最近つくづく、人間ってダメだなぁって思うんです。地球のことを考えれば、人間は消えたほうがいいのかもしれない。せめて地球の人口が500万人くらいに減ったら、環境に負荷がかからなくていいんでしょうけど。でも、自分だって、がんになってもまだ死にたくなくて人工的なものの力を借りて、一生懸命治療しているくらいだからね(笑)」本誌2017年2月7日号に掲載された吉永小百合との対談でも、地球の未来、子どもたちの将来への責任を感じられる言葉があった。90年代初期に“温暖化”という言葉を聞き、「地球はこのままいくとまずいのかもしれない」と考えるようになったのが、環境活動などにつながるきっかけだったといい、「その原動力になったのは子どもたちの将来です。次の世代が、いまよりもっと過酷な状況で生きなければならないとしたら、それは僕らのせいだ。親として、大人として倫理的に許されることではないという気がして『自分にできることはやろう』と思ったのが動機です」また、脱原発への強い思いも語っている。「戦後生まれとはいえ、広島、長崎で被爆している日本人ですから。『核』に対する忌避感は子どものころから強くありました。だから、チェルノブイリの原発事故(86年4月)のときも、とても不安だったし、兵器はもちろん発電にも『核』は使うべきではない。吉永さんがおっしゃるように『核と人類は共存できない』と、僕も考えています」そして、“いますぐ私たちにできること”も残してくれていた。「脱原発=原発をなくしていく手だてとしては、核発電をしている会社とは契約しない。いまは電力を選べるようになったし、インターネットなどで調べれば、核発電か、そうでないか簡単にわかりますから」「電力だけでなく、僕らが少し知恵を働かせるだけで、いろいろなことが変わるんです。たとえば、環境にいい取り組みをしている企業の商品を買うことは、その企業を応援することになります。また、商品を選ぶ場合も、自分が住んでいるところに、より近いところで作られたものを買うようにする。それだけでも、輸送によるCO2(二酸化炭素)の排出を減らすことができます。『ものを買う』ということは、日々選挙の投票をしているのと同じなんです」「とくに女性の消費者はすごいパワーを持っていますから。このことを自覚してものを買っていただく。そうすれば、日本のみならず世界は確実に変わると思います」大々的な活動や運動だけでなく、暮らしの中でできることがある。坂本さんが訴え続けた思いをしっかり受け止めていきたい。
2023年12月21日企画展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が、東京都現代美術館にて、2024年12月21日(土)から2025年3月30日(日)まで開催される。坂本龍一の大型インスタレーションを包括的に紹介多彩な表現活動を通して、常に時代の先端を切り拓いてきた音楽家・アーティスト、坂本龍一。企画展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」は、坂本が手がけた大型インスタレーション作品を包括的に紹介する、日本初にして最大規模の個展だ。坂本龍一、活動の軌跡1952年に生まれ、1978年に『千のナイフ』でソロデビューした坂本は、同年に細野晴臣、高橋幸宏とともに「イエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra)」を結成。1983年の散開後も、映画『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』の音楽を手がけるなど、多方面で活躍している。さらに、1990年代からは、マルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開。2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通じて、展示空間内に音を立体的に設置する試みを積極的に展開するも、2023年にこの世を去った。坂本が生前に遺した構想に基づく展覧会企画展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」は、坂本が生前、東京都現代美術館のために遺した展覧会構想を軸に開催される個展。坂本が長年にわたって関心を抱いてきた音と時間をテーマに、未発表の新作やこれまでの代表作から構成される本展では、美術館屋内外の空間を会場に、約10点のサウンド・インスタレーション作品を展示する。高谷史郎や中谷芙二子などとのコラボレーション作品会場では、高谷史郎や真鍋大度、カールステン・ニコライ、岩井俊雄などとのコラボレーション作品を展開。たとえば、高谷とのコラボレーションでは、東日本大震災の津波で被災したピアノを作品化した《IS YOUR TIME》に加えて、本展にあわせて制作された《async-immersion tokyo》や《TIME TIME》など、5点を展示する。また、坂本は、2017年にリリースされたアルバム『async』を「立体的に聴かせる」ことを試み、Zakkubalan、アピチャッポン・ウィーラセタクン、高谷史郎とインスタレーションを制作していた。本展では、タイの映画監督・アーティストであるアピチャッポン・ウィーラセタクンとのコラボレーション作品《async-first light》など、「async」シリーズを紹介する。さらに、水を使った人工の霧を発生させる作品「霧の彫刻」で知られるアーティスト、中谷芙二子とのスペシャル・コラボレーションも。美術館屋外のサンクン・ガーデンを舞台に、霧と光と音が溶けあう作品《LIFE-WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662を展開する。展覧会概要企画展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」会期:2024年12月21日(土)〜2025年3月30日(日)会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F・B2F ほか住所:東京都江東区三好4-1-1開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜日(1月13日(月・祝)、2月24日(月・振)は開館)、12月28日(土)〜1月1日(水・祝)、1月14日(火)、2月25日(火)観覧料:一般 2,400円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,700円、中学・高校生 960円、小学生以下 無料■コラボレーション・アーティスト高谷史郎、真鍋大度、カールステン・ニコライ、 アピチャッポン・ウィーラセタクン、Zakkubalan、岩井俊雄■スペシャル・コラボレーション中谷芙二子【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2023年11月30日坂本龍一の最初で最後の長編コンサート映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』が第36回東京国際映画祭で10月24日に上映され、上映前に坂本龍一と親交のあった役所広司が登壇したトークショーが行われた。また2024年春に日本公開されることも決定した。2023年3月に逝去した音楽家、坂本龍一。闘病生活を続けていた彼が最後の力を振り絞り演奏したソロ・コンサート。2022年9月、東京のNHK 509スタジオで行われた撮影に、2000年に坂本さんのためにカスタムメイドされ、長年コンサートで愛用したヤマハのグランドピアノだけで臨んだ。「Merry Christmas Mr. Lawrence」、2023年に発表された最後のアルバム「12」からの曲、初めてピアノ・ソロで演奏された「Tong Poo」まで、自身が選曲した20曲から構成。ボーダーを越え活動を続けた坂本さんの軌跡を辿る曲目、鍵盤を奏でる指と音楽家の息遣い、その人生が刻みこまれた手。坂本さんが全面的に信頼を寄せた監督と撮影クルーたちが入念に撮影プランを練り上げ、親密かつ厳密な、世界でひとつしかない宝物のような映画空間を生み出した。坂本さん自身がアプルーブし、入念なポストプロダクションを経て完成した、最初で最後の長編コンサート映画である。東京国際映画祭での上映に登壇した役所さんは「坂本さんに最初にお会いした時から、人間としてとても魅了され、尊敬し、勝手に恩師だと思っています」と坂本さんとの交流について語り、「以前に坂本さんがお元気だった頃に対談させてもらって、その時にスタジオで演奏される姿を目の前で観たことがあります。その時は筋力に溢れていらして、その演奏もとても素晴らしかったけど、今日これから観ていただく作品の坂本さんは、その時のような筋力はないんですね。でも筋力はないけれど、一音一音に気を込めて弾いてらっしゃる姿が、そして色々なものを削ぎ落として演奏されている姿がとても美しく、人間はここまで美しくなれるのかと感動しました」と本作の魅力を語った。『Ryuichi Sakamoto | Opus』は2024年春、109シネマズプレミアム新宿ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:Ryuichi Sakamoto | Opus 2024年春、109シネマズプレミアム新宿ほか全国にて公開ⓒ KAB America Inc. / KAB Inc.
2023年10月25日2024年3月28日(木)から坂本龍一が生涯最後に手掛けたシアターピース「TIME」が上演されることが決定した。「TIME」は、2021年に坂本龍一がアソシエイト・アーティストに選出された世界最大級の舞台芸術の祭典「オランダ・フェスティバル」(オランダ・アムステルダム)にて、世界で初めて上演された作品。サウンド・インスタレーション・パフォーマンス・ヴィジュアルアートが劇場空間で融合する唯一無二の鑑賞体験は、満場のスタンディングオベーションをうけるほどの高い評価を獲得。今回遂に日本で初めての上演を迎えることになった。1999年に日本武道館・大阪城ホールで上演され、約4万枚が即完売した公演「LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999」に続く本作。坂本龍一が全曲を書き下ろし、コンセプトを考案、生前最後に手掛けたこのシアターピースでは、そのヴィジュアルデザインとコンセプトを、坂本と数多くのプロジェクトで創作をともにした高谷史郎(ダムタイプ)が手掛ける。出演には、田中泯、宮田まゆみ、石原淋が名を連ねる。田中は、ダンサー、そして俳優としても国際的に活躍している実力者。宮田は、伝統楽器「笙」を国際的に広めた第一人者で、ジョン・ケージ、武満徹など、世界的アーティストの新作初演も手掛けている。石原は、今回の日本初公演で新たにキャスティングされた、国内外で多彩な活躍を続けるダンサー。オランダでの世界初演から、更なる進化を遂げた本作に期待が膨れ上がる。公演は、東京・新国立劇場(中劇場)で2024年3月28日(木)〜4月14日(日)、京都・ロームシアター京都(メインホール)で2024年4月27日(土)〜4月28日(日)に上演される。<公演情報>RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI『TIME』音楽+コンセプト:坂本龍一ヴィジュアルデザイン+コンセプト:高谷史郎出演:田中泯(ダンサー)宮田まゆみ(笙奏者)石原淋(ダンサー)【東京公演】2024年3月28日(木)〜4月14日(日)会場:新国立劇場(中劇場)【京都公演】2024年4月27日(土)〜4月28日(日)会場:ロームシアター京都(メインホール)チケット情報公式サイト
2023年09月11日今年3月28日に71歳で亡くなった、坂本龍一の意思を継いだ「一般社団法人坂本図書」が立ちあがったことがわかった。「坂本図書」は、「いつか古書店の店主になるのが夢だった」と語るほど愛書家として知られる坂本さんが2017年から準備を進めていた、自身の本を多くの人と共有するための図書構想。今回の「一般社団法人坂本図書」の設立に伴い、坂本さん所蔵の本を実際に手に取り、読むことができる空間「坂本図書」が東京都内に9月末にオープンする。大きくはない空間のため、完全予約制で場所は非公開で運営。予約できた人だけがその場所にたどり着くことができる、特別な場所になりそうだ。予約の詳細などは、「坂本図書」のSNSやオフィシャルサイト、登録制のニュースレターから知ることができる。また、この設立にあわせて書籍「坂本図書」の刊行も9月24日に決定。本書は、2018年から2022年まで雑誌『婦人画報』で連載していた「坂本図書」全36回分の他、坂本さんが絶大な信頼を寄せた編集者・鈴木正文氏との対談(2023年3月8日実施)、「2023年の坂本図書」が新たに収録される。発売元となるバリューブックスの「坂本図書」ページで予約すると、本書内でも語られている夏目漱石の短編「夢十夜」の冊子(初版500部限定)と、坂本さんの残した言葉を記した坂本図書オリジナルしおりが付いてくる。書籍「坂本図書」は本日8月28日よりバリューブックスおよび、全国の書店で予約開始(なお、上記の予約購入特典の配布は予告なく終了する場合があり)。(シネマカフェ編集部)
2023年08月28日坂本龍一の作品を、クラシック界で活躍する若き俊英たちが演奏するコンサートが8月29日(火)に東京オペラシティ コンサートホールにて開催される。ピアニストの中野翔太とヴァイオリニストの成田達輝。ふたりが坂本と初めて会ったのは、2022年9月のことだった。中野翔太(Pf)、成田達輝(Vn)成田「坂本さんが東京芸術大学の学生時代に書いたヴァイオリン・ソナタと弦楽四重奏曲を録音するとのことで、ヴィオラ奏者の安達真理さんから声がかかりました。僕の場合、坂本さんといえば、YMOのファンだった母がピアノで弾く『Energy Flow』を小さい頃からいつも聴いていた思い出があって。僕はバッハの音楽にはじめて触れたのとほぼ同時期に、坂本さんの音楽を聴いていたのだと思うと、まるで自分にとっての“音楽の父”のように感じる存在でした」中野「僕にとっても坂本さんは特別な存在です。僕は15歳からアメリカに留学したのですが、なぜ日本人である自分が西洋の音楽をやっているのか、意味を見出せなくなって、壁にぶち当たっていた時期がありました。そんなとき、ふと坂本さんの音楽が耳に入ってきて、“あ、こういうことなんだ”と思ったんです。言葉にするのが難しいですが、今までの自分の悩みが小さなものに感じられました。それから坂本さんの音楽にどんどん惹き込まれていきました」今回のコンサートでは、そのヴァイオリン・ソナタを聴くことができる。1970年に作曲され、ほとんど人前で演奏されることのなかった作品だ(1984年の演奏が録音として残っている)。中野「おそらく皆さんがイメージするような坂本さんの作風ではなく、現代音楽的な響きのなかに、ラヴェルやドビュッシーをはじめさまざまな音楽の要素が詰め込まれている感じ。若き日の坂本さんの“やってやる!”という音楽に対する情熱があふれ出ているような作品です」成田「無駄のない、高度な作曲テクニックで書き上げられた形式的な第1楽章、能のすり足を思わせるような第2楽章、そして血潮がほとばしるような鮮烈さをきわめた第3楽章。ギラギラしたものを感じます」LEO(箏) (C)NIPPON COLUMBIAさらに特別ゲストとして、同じく坂本をリスペクトする箏アーティスト、LEOを迎え、「戦場のメリークリスマス」「M.A.Y in the backyard」をトリオで披露。「ラストエンペラー」「The Sheltering Sky」といったおなじみのメロディから、ウクライナのヴァイオリニストとコラボした「Peace for Illia」など最新の楽曲まで、“作曲家・坂本龍一”の本質を伝えるコンサートとなるに違いない。アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2023-2024若き俊英たちによる戦場のメリークリスマス8月29日(火) 13時30分東京オペラシティ コンサートホール■チケット情報出演中野翔太(Pf)、成田達輝(Vn)、LEO(箏)曲目坂本龍一:戦場のメリークリスマスラストエンペラーPeace for IlliaソナタA Flower is not a Flower文:原典子
2023年07月20日「坂本龍一さんの訃報は、ネットのニュースで知りました。ご体調がすぐれないのは聞いていましたが、こんな突然に別れが来るとは思っていませんでした。最初は気持ちが追いつかずに、頭が真っ白になるというのは、こういうことかと」語り始めたのは、昨年、メジャーデビュー20周年を迎えた歌手の元ちとせさん(44)。今年3月28日に71歳で逝去した坂本さんとは18年ほど前に出会い、以来、親しみを込めて愛称の“教授”と呼んでいたという。「残されていた新作の映画音楽などを聴くたびに、教授にとって、最後まで音楽がご自分のパートナーだったんだなということを改めて感じています。今もまだそばにいてくれるようで、いなくなった気がしないんです。そう思わせることもまた、坂本さんらしいやさしさなんだと」今年もまもなく終戦の8月を迎えるが、毎年、この時期に、元さんが大切に歌い続けてきた歌がある。タイトルを、『死んだ女の子』という。45年8月6日の原爆投下直後の広島を訪れていたトルコの社会派詩人ナジム・ヒクメットの詩に作曲家の外山雄三が作曲した作品。広島の原爆により、7歳で死んでしまった女の子の声を代弁したものだ。〈あたしは死んだのあのヒロシマで〉と訴える歌詞は、炎に焼かれて死んだ子は、二度と甘いあめ玉もしゃぶれないといった切ない内容に続いていく。元さんは、05年以来、毎年夏にこの曲を期間限定で配信を行い、その収益をチャリティとして寄付してきた。広島、長崎のあの悲劇を二度と繰り返さないという平和へのメッセージが込められた曲をプロデュース、アレンジしたのが坂本龍一さんだった。「この歌を私が再び歌いたいと思うようになったとき、プロデュースなどを“世界のサカモト”にお願いしたいと思ってお声かけしたんです。坂本さんは、すぐに快諾してくださいました」この「再び歌いたい」との発言でもわかるが、実は元さんは、この曲と10代のころに出合っていた。しかし「詞の内容を理解できなかった」と録音をためらい、いわば封印した過去があった。■広島平和記念資料館で衝撃を受けて『死んだ女の子』に向き合った79年1月5日、鹿児島県大島郡瀬戸内町で生まれた元さん。19歳の秋に上京し、数寄屋橋のCDショップでアルバイトをしながら、デビューに備えた。「ちょっとデモ盤を録るから」所属した音楽事務所の当時の社長でプロデューサーも務めていた森川欣信氏(70)からある1曲を渡されたのは、このころのことだ。「それが、『死んだ女の子』でした。単純に、なんで、こんな怖いタイトルの曲をと思いました。歌詞も原爆で幼い女の子の髪の毛が焼けたりするという内容で、正直、私の中ではどういう感情で歌に向き合っていいのかわからなくて。その録音のあとは私自身、歌いたい気持ちも起きないままでした」時間は、少しさかのぼる。デビューしてすぐのことだった。「夏に音楽イベントがあって、広島に行ったとき、初めて広島平和記念資料館を訪れました。正直に言うと、最初はどんなところかわかっていなくて、遠足のような気分で出かけてしまったのですが、一歩、資料館に足を踏み入れたときの温度感や、展示されていた被害の現実は衝撃的でした。原子爆弾の熱線で石段に焼きついて残っていた女の子の影も実際に見ました。当時、私は24歳で自分はもう大人だと思っていましたが、こんな大切な歴史の真実も知らないで大人だと思っていた自分を恥ずかしいと感じたんです」資料館を出て、原爆ドームを見上げながら、同行していた森川氏に言った。「『死んだ女の子』って、こういうことだったんですね」続いて、こう口にしていた。「もう一度、歌ってみたいです」こんな心境の変化があった。「イベントなどでシマ唄を歌いはじめたとき、誰かが拍手をしてくれて、そのときの喜びがそれまで私を歌わせてくれていました。でも、今度は、私の歌を聴いた人が、何かを感じてくれたり、考えたりするきっかけになるような歌手になりたい。そう思ったんです」そこから、『死んだ女の子』のレコーディングの準備が始まる。「この曲をどんなふうに伝えたらいいか、すごく悩みました。そのうち、世界中の人や偉い指導者たちがこれを聴いて、平和について考えてほしいなと思うようになって。そんな葛藤のなかで、“世界のサカモト”にお願いしてみたいと思ったんです」こうして、前出のとおり、ニューヨーク在住の坂本さんとコンタクトを取って快諾をもらった元さんは、日本を旅立つのだった。■坂本さん自ら英語で『死んだ女の子』の歌詞の意味と、広島の歴史について解説した坂本さんは素顔は、とてもおちゃめな方でした」元さんはそう語ったが、その数日後、スタジオの指揮台に立つと一転、音楽家として繊細かつ妥協のない姿があったという。「20人ほどの国籍も肌の色もさまざまな演奏家を前に、坂本さん自ら英語で『死んだ女の子』の歌詞の意味と、原爆が落とされた広島の歴史について解説をしてくれました。それから、『この音楽を、あなたたちがアメリカで演奏するということに大きな意味があるんだ』と、力を込めておっしゃいました。演奏前にしっかり意思統一をして録音を一発で終わらせようとしたのは、弦楽器の奏者にすごくハードな演奏が必要だったので、何回もやらせたくないという坂本さんの心遣いもあって。そういうやさしさは、本当にかっこよかったですね」やがてスタジオの演奏家らの気持ちも高まっていき、そこに元ちとせさんの、平和な世界を心から願うという渾身の歌声が重ねられていく。「二度と同じ過ちを繰り返してほしくないという思いで、みんなが一つになりました」こうして、元さんの新たな代表曲の一つとなった『死んだ女の子』は、’05年8月5日より配信が始まる。翌日の広島への原爆投下から60年という節目の8月6日、元さんは報道番組『筑紫哲也のNEWS23』(TBS系)において、原爆ドームの前で、坂本さんのピアノの生演奏により『死んだ女の子』を披露。裸足で歌い上げるパフォーマンスは大きな感動を巻き起こした。このあと、09年に長男が生まれた元さんは、生まれ故郷の奄美大島に帰る。その後も、子育てをしながらの歌手業が続く。’11年3月の東日本大震災と福島第一原発の事故を経て、翌年夏の「NO NUKES 2012」には、女性のソロアーティストとしてはただ一人参加して、『死んだ女の子』を歌った。「これも、坂本さんからお声をかけていただきました。『死んだ女の子』をレコーディングしたときも思いましたが、あからさまに戦争反対とかではなく音楽でしか生まれないもの、熱いものを、お互いに同じ温度感で作品に詰め込むことができた。つくづく坂本さんの音楽というのは、人そのものなんですね。彼のやさしさ、愛情、思いやりが、その根底にある」そのやさしさに直接ふれた出来事があったと、元さんは語る。あの、原爆ドーム前での共演が『NEWS23』で放送された8月の夜のことだった。「私も慣れていない生放送で緊張していたんだと思います。歌の前のインタビューのときにガチガチに固まっていたら、横に並んでいた坂本さんが、いきなりギュッと手を握ったんです。びっくりしたんですが、その瞬間、もういいやと、履いていたヒールを脱いで裸足になりました。坂本さんのあのギュッで、吹っ切れたんですね。そういうやさしさも、きっと感性の鋭さからくるもので、周囲の人の感情にも気づいてしまうんでしょうね。本当に貴重な経験でした」アルバム『平和元年』は、元さんが、戦後70年を迎えた’15年夏に発表した。『死んだ男の残したものは』『さとうきび畑』など平和への祈りが込められた12曲で構成され、『死んだ女の子』もこのアルバムで聴くことができる。坂本さんはじめ、幾多の出会いを経て、「唄者」としての自分に新たな使命と覚悟ができた。「坂本さんの人としてのやさしさと反戦のメッセージを、私も一緒の曲作りを通じていっぱいいただきましたから、今度は私が引き継いで、世界中の人たち、そして子供たち世代に、歌を通じて、手渡していきたいと思うんです」昨年のデビュー20周年のアルバム『虹の麓』や記念ライブなどを機に、再び旺盛な音楽活動が始まっている。「原点に戻ってシマ唄ともう一度向き合いたいし、『平和元年』の第2弾もいずれ作りたい。そんな話も、スタッフと始めたところです」【後編】私は唄い続ける坂本龍一さんの魂を…元ちとせが反戦歌『死んだ女の子』に込めた祈りと覚悟へ続く
2023年07月09日【前編】元ちとせ反戦歌『死んだ女の子』原爆ドーム前での共演でふれた坂本龍一さんのやさしさから続くウクライナでの戦争など世界で軍事的緊張が高まるなか、広島の原爆で亡くなった女の子の歌『死んだ女の子』を歌い続ける元ちとせさん(44)。この歌は先日亡くなった坂本龍一さん(享年71)がプロデュースし、自ら指揮をして録音。そこで知った坂本さんの平和への思い。間近で感じた、戦争という過ちを繰り返さないとの巨匠の強い思いとそこに隠された深い愛情を忘れないーー。今年もまもなく終戦の8月を迎えるが、毎年、この時期に、元さんが大切に歌い続けてきた歌がある。タイトルを、『死んだ女の子』という。45年8月6日の原爆投下直後の広島を訪れていたトルコの社会派詩人ナジム・ヒクメットの詩に作曲家の外山雄三が作曲した作品。広島の原爆により、7歳で死んでしまった女の子の声を代弁したものだ。〈あたしは死んだのあのヒロシマで〉と訴える歌詞は、炎に焼かれて死んだ子は、二度と甘いあめ玉もしゃぶれないといった切ない内容に続いていく。元さんは、05年以来、毎年夏にこの曲を期間限定で配信を行い、その収益をチャリティとして寄付してきた。広島、長崎のあの悲劇を二度と繰り返さないという平和へのメッセージが込められた曲をプロデュース、アレンジしたのが坂本龍一さんだった。「お会いする前から、とにかく、まわりのスタッフたちがガチガチに緊張しているのが伝わって、坂本龍一さんってそんなに怖い人なのかなと。私自身は、いつもどおり、先入観を持たずにお会いしたいと考えていました。初対面はニューヨークの、坂本さんが“社食”と呼んでいるイタリアンカフェでしたが、そのときに聞いたのは、それこそ『みんな気をつかって、僕にオファーをしてくる人はそんなにいないんだ』と。だから、私たちの依頼を本当に喜んでくれていた。素顔は、とてもおちゃめな方でした」と、語る元ちとせさん。その数日後、スタジオの指揮台に立つと一転、音楽家として繊細かつ妥協のない姿があった。「20人ほどの国籍も肌の色もさまざまな演奏家を前に、坂本さん自ら英語で『死んだ女の子』の歌詞の意味と、原爆が落とされた広島の歴史について解説をしてくれました。それから、『この音楽を、あなたたちがアメリカで演奏するということに大きな意味があるんだ』と、力を込めておっしゃいました。演奏前にしっかり意思統一をして録音を一発で終わらせようとしたのは、弦楽器の奏者にすごくハードな演奏が必要だったので、何回もやらせたくないという坂本さんの心遣いもあって。そういうやさしさは、本当にかっこよかったですね」やがてスタジオの演奏家らの気持ちも高まっていき、そこに元ちとせさんの、平和な世界を心から願うという渾身の歌声が重ねられていく。「二度と同じ過ちを繰り返してほしくないという思いで、みんなが一つになりました」■広島平和記念資料館で衝撃を受けて『死んだ女の子』に向き合った79年1月5日、鹿児島県大島郡瀬戸内町で生まれた元さん。19歳の秋に上京し、数寄屋橋のCDショップでアルバイトをしながら、デビューに備えた。「ちょっとデモ盤を録るから」所属した音楽事務所の当時の社長でプロデューサーも務めていた森川欣信氏(70)からある1曲を渡されたのは、このころのことだ。「それが、『死んだ女の子』でした。単純に、なんで、こんな怖いタイトルの曲をと思いました。歌詞も原爆で幼い女の子の髪の毛が焼けたりするという内容で、正直、私の中ではどういう感情で歌に向き合っていいのかわからなくて。その録音のあとは私自身、歌いたい気持ちも起きないままでした」インディーズを経て『ワダツミの木』でメジャーデビューを果たしたのは’02年2月。同曲はオリコン1位となり、80万枚を超えるセールスを達成する。ルーツにシマ唄を持つ、独特の歌唱法で、天にも届くような歌声は「神様の声」とも絶賛された。23歳だった。続く2曲目『君ヲ想フ』もヒットし、ファーストアルバム『ハイヌミカゼ』も1位となり、第44回レコード大賞ベストアルバム賞に輝いた。初の全国ツアーも大成功。快進撃が続いていた’04年1月、ホームページで結婚と妊娠が発表された。そして人気急上昇のさなかに、拠点を沖縄に移した。「スタッフの理解もあって、沖縄と東京を行き来しながらの生活が始まりました」翌05年、長女が誕生。そして、戦後60年の節目でもあったこの年の夏、元さんは、『死んだ女の子』の音源を発表した。「母親になったことも大きかったです。でも、私自身、あの歌を忘れていたわけではありません。いつも頭のどこかにあった。再び歌う気持ちになったのは、広島を訪れたのがきっかけでした」デビューしてすぐのことだった。「夏に音楽イベントがあって、広島に行ったとき、初めて広島平和記念資料館を訪れました。正直に言うと、最初はどんなところかわかっていなくて、遠足のような気分で出かけてしまったのですが、一歩、資料館に足を踏み入れたときの温度感や、展示されていた被害の現実は衝撃的でした。原子爆弾の熱線で石段に焼きついて残っていた女の子の影も実際に見ました。当時、私は24歳で自分はもう大人だと思っていましたが、こんな大切な歴史の真実も知らないで大人だと思っていた自分を恥ずかしいと感じたんです」資料館を出て、原爆ドームを見上げながら、同行していた森川氏に言った。「『死んだ女の子』って、こういうことだったんですね」続いて、こう口にしていた。「もう一度、歌ってみたいです」こんな心境の変化があった。坂本さんの助力を得て、元さんの新たな代表曲の一つとなった『死んだ女の子』は、’05年8月5日より配信が始まる。翌日の広島への原爆投下から60年という節目の8月6日、元さんは報道番組『筑紫哲也のNEWS23』(TBS系)において、原爆ドームの前で、坂本さんのピアノの生演奏により『死んだ女の子』を披露。裸足で歌い上げるパフォーマンスは大きな感動を巻き起こした。「平和であることが当たり前じゃないということを、忘れてはいけないと思うんです。もちろん母親として、自分の子供が戦争に巻き込まれてほしくないという気持ちも大きいです。この歌をきっかけに、その思いが多くの人々に届くといいな、と思いました」このあと、09年に長男が生まれた元さんは、生まれ故郷の奄美大島に帰る。「島に戻ったのは子育てのためというわけではなく、どこかで漠然と“いつかは島に戻るんだろうな”という気持ちがあって、それがそのタイミングになっただけ。とはいえ、本当に、まわりに助けられています。島のお母さんたちも多くが働いていますが、私の場合は、ライブなどで島を離れなきゃならないことが多いのも理解してもらっていて。一度もPTAの役に立ったこともないですが、『いいよ、いいよ』と。子供は、小さなころは勝手にどこかの家に泊めてもらっていて、今日はウチの子はどこなんだろうと(笑)。また、悪いことをしたら、誰かが叱ってくれるという島ぐるみの子育ても、私の幼いころと変わっていませんでした」その後も、子育てをしながらの歌手業が続く。’11年3月の東日本大震災と福島第一原発の事故を経て、翌年夏の「NO NUKES 2012」には、女性のソロアーティストとしてはただ一人参加して、『死んだ女の子』を歌った。「これも、坂本さんからお声をかけていただきました。『死んだ女の子』をレコーディングしたときも思いましたが、あからさまに戦争反対とかではなく音楽でしか生まれないもの、熱いものを、お互いに同じ温度感で作品に詰め込むことができた。つくづく坂本さんの音楽というのは、人そのものなんですね。彼のやさしさ、愛情、思いやりが、その根底にある」■「戦争はいやだ」という作文を書いた娘。自分の歌の意味が通じた喜びを感じてアルバム『平和元年』は、元さんが、戦後70年を迎えた’15年夏に発表した。『死んだ男の残したものは』『さとうきび畑』など平和への祈りが込められた12曲で構成され、『死んだ女の子』もこのアルバムで聴くことができる。「全曲カバーのこのアルバムを作ろうと思ったのは、坂本さんとの共演もきっかけの一つですし、さらには、吉永小百合さん(78)との出会いも大きいです」アルバムの題字を書いたのは、その吉永さん。「広島の平和コンサートに坂本さんとともに呼んでもらったときに、吉永さんとお話ししました。あの方は、戦後と同い年なんですね。『戦争から何年たったかを忘れてほしくないから、年齢を公表しています』と。吉永さんが平和に対する思いを、朗読会などを通じて届け続けていることに心打たれました」そしてもう一つ、元さんの気持ちを後押ししたものがあった。「前年に当時小学3年生の娘が書いた作文のタイトルが『戦争はいやだ』。私は、あんまり教育熱心でもなく、立派なお母さんを目指したこともありません。母と娘というより、同じ一人の人間として互いに歩いているという気持ちできたので。ただ、『死んだ女の子』もそうですが、子供に私の歌について話すときに、戦争で奪われなくてよかった命が奪われることもあるんだよ、ということは常々話していました。幼い娘が聞いて、そこで生まれたハテナが彼女の引出しに残っていて、やがて成長して戦争報道のニュースなどを見たときに、『あっ、ママの言ってたことはこれだったんだ』とつながっていたと知りました。ああ、歌い続けてきてよかったと思えたんです」ウクライナとロシアの戦争も出口が見えないなか、平和への願いを歌い続けている元さんが今、思うこととは。「奄美や沖縄の基地のことも含めて、何も知らないですむことじゃないですからね。いろんな考えがあるのは当然ですが、自分の意志を持つことは大事と思っています。私自身、奄美の歴史をほとんど知らずに育って、ようやく20代になって03年の復帰50年を機に学びました。本土と行き来するのにパスポートが必要だったりする苦労を乗り越えてできた、島の人の絆の強さを知りました。もっと早いうちに理解していたら私の中で何かが変わっていたかもしれない。だから、今の若い人たちにも、そうした歴史などを知っていてほしいと思うんです」昨年のデビュー20周年のアルバム『虹の麓』や記念ライブなどを機に、再び旺盛な音楽活動が始まっている。「原点に戻ってシマ唄ともう一度向き合いたいし、『平和元年』の第2弾もいずれ作りたい。そんな話も、スタッフと始めたところです。『死んだ女の子』は、坂本さんの参加により、国際的にも注目される力のある作品となりました。音楽というものは世界中の人の音が集まって重なり合っても争い事にはなりませんから、そうやってできた歌をこれからも届けていきたいと思うんです」
2023年07月09日4月14日(金) から5月31日(水) まで開催されていた坂本龍一の関連作品を上映するイベント『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』が、7月14日(金) から12月28日(木) にかけて109シネマズプレミアム新宿で再び開催されることが決定した。再開催ではこれまでのラインナップに加え、同館のシアター音響監修を務めた坂本が音楽を担当した新旧の映画作品や自身のドキュメンタリー映画、さらに彼が同館の館内楽曲を制作中に「#観たいもの」とメモしていた作品を追加。また、「フィルム上映できる劇場をぜひつくって欲しい」という坂本の意志のもと作られた同館だからこそできる、35mmフィルムでの上映作品も用意されている。<イベント情報>『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』7月14日(金) ~12月28日(木) 109シネマズプレミアム新宿『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』告知画像【上映作品】7月14日(金)~27日(木):『アフター・ヤン』7月28日(金)~8月10日(木):『怒り』8月11日(金・祝)~24日(木):『Ryuichi Sakamoto: CODA』8月25日(金)~9月7日(木):『シェルタリング・スカイ』9月8日(金)~21日(木):『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK: async』9月22日(金)~10月5日(木):『ラストエンペラー 劇場公開版 4K レストア』※4K10月6日(金)~19日(木):『ヤンヤン 夏の想い出 』※35mmフィルム10月20日(金)~11月2日(木):『御法度』※35mmフィルム11月3日(金)~16日(木):『東京物語』 ※35mmフィルム11月17日(金)~30日(木):『秋刀魚の味』※35mmフィルム12月1日(金)~14日(木):『愛の悪魔 フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』※35mmフィルム12月15日(金)~28日(木):『戦場のメリークリスマス』※35mmフィルム・4K109シネマズプレミアム新宿 公式サイト:
2023年07月06日是枝裕和監督が19日、都内で行われた映画『怪物』(公開中)の大ヒット御礼舞台挨拶に登壇。同作の音楽を担当し、今年3月28日に亡くなった坂本龍一さんへの思いを明かした。同作は是枝監督と脚本家・坂元裕二氏によるオリジナル作で、第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。この日のイベントには是枝監督のほか、主演を務めた安藤サクラと永山瑛太が参加。観客動員数100万人を目前に控えている同作だが、その反響について是枝監督は、「周りに若い監督たちが仲間として同じ空間にいるんですが……」と切り出す。続けて、「彼らから、“いつもよりも演出に迷いがない”“編集のキレがいい”“もう自分で脚本書かない方がいいんじゃないか”という温かいメッセージを頂いております」と周囲の正直な感想を明かし、笑いを誘った。これに安藤が「それを聞くとどんな気持ちになるんですか?」と反応すると、是枝監督は「悔しい気持ちもなくはない」と吐露。その一方で、「『坂元さんと一緒にやったことを自分で吸収して、次は無駄のない脚本を書こう』という気持ちになってます」と前向きにも捉え、次回作への糧としても受けとめている。また、印象的なシーンについてトークが展開すると、安藤と永山が互いの身体表現を賞賛し合う。是枝監督も「役者さんは究極的に言うと、運動神経だと思います」と持論を明かし、「それはスポーツができるとかではなくて、体をコントロールしていく能力が高い役者さんが優れた役者だと思うと、この2人はとてもそれが優れているから、演出をしていて楽です」と、安藤と永山の秀でた部分を解説した。念願叶ってタッグを組んだ坂本さんについて聞かれると、是枝監督は「う~ん、これがいちばん言葉にしづらい」と言いよどむ。「全部の音楽をお願いできたわけではないですが、一緒に同じスタッフロールの中に名前があるというのは本当に嬉しく思っています」と感慨深げな表情を浮かべた。脚本を書きながら使用する音楽を想像することで知られる是枝監督。ロケハンのときから音楽は坂本さんにお願いすると決めていたそうで、「脚本をもらって、コンテを書いているときには坂本さんの音楽をかけていましたし、自分の中で一体化してしまったもんですから、そこから離れるのは難しかった」と強いこだわりで坂本さんへオファーをしたことを振り返る。そして、「本当に断られなくてよかった。ちょっと無理をさせたんじゃないか……という気持ちはありますが、引き受けていただいて感謝しています」と坂本さんへの思いを語っていた。
2023年06月19日雑誌『SWITCH』の坂本龍一特集号が、2023年6月20日(火)に発売される。『SWITCH』の坂本龍一特集、膨大なアーカイブを分解・再編集音楽家として比類なき作品の数々を残し、2023年3月28日に逝去した坂本龍一。「特集 坂本龍一 Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し」と名付けられた本号は、これまでに幾度となく坂本にまつわる特集を組んだ『SWITCH』が、膨大なアーカイブを4つのテーマに分解・再編集した特別な一冊だ。音楽・美術・映画・環境の4つテーマ「音楽」設けられたテーマは、「音楽」「美術」「映画」「環境」の4つ。例えば「音楽」では、坂本龍一の自作解説はもちろん、盟友の細野晴臣と高橋幸宏が語る「坂本龍一の10曲」、ニューヨークのプライベートスタジオ取材、アルヴァ・ノトや大貫妙子といったコラボレーターとの対話などを紹介しながら、その音楽的な魅力に迫る。「映画」また、坂本のキャリアを語る上で欠かせない「映画」も見逃せないテーマの一つだ。映画『戦場のメリークリスマス』の思い出を開陳しつつ独自の大島渚論を展開した2010年2月号の特集「闘う、大島渚」、ジャン=リュック・ゴダールの10作品を選び語った2011年1月号、劇伴を努めた『レヴェナント:蘇えりし者』をめぐる真鍋大度との対談などを収録している。現代美術との関係性、環境保全問題もこのほか、早い時期から声を上げ続けてきた環境保全問題、現代美術との関わりの原点ともいえるナム・ジュン・パイク、ジョン・ケージとの邂逅の記録など、様々な角度から特集を組んできた『SWITCH』ならではの視点で、その好奇心・想像力・そして反骨精神のあり方に迫る内容となっている。書籍情報SWITCH Vol.41 No.7(2023年7月号)特集 坂本龍一Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し発売日:2023年6月20日(火)価格:1,540円
2023年06月19日現在公開中の映画『怪物』より、是枝裕和監督から本作の劇伴を担当した坂本龍一への感謝のコメントと制作エピソードが公開された。本作は『万引き家族』の是枝監督、『花束みたいな恋をした』の脚本家・坂元裕二、そして『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞した坂本という3人のコラボレーションで紡がれるヒューマンドラマ。出演者には安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、と豪華キャストが集結。先日開催された第76回カンヌ国際映画祭では坂元が脚本賞を受賞し、独立部門「クィア・パルム賞」と合わせて2冠を獲得した。これまでは脚本を執筆する際に聴いていた音楽をもとに、まず楽器のイメージを固め、それから音楽家に曲を依頼するケースが多かったという是枝監督。以前から坂本に音楽を依頼する機会を伺いながらも具体化することがなかったが、「今回は自分で脚本を書いていないので、その段階では音楽のイメージがなかったんです。ただ撮影中や編集中に、ホテルの部屋で坂本さんのピアノ曲をかけながら作業していたら、これしかないなと思って」と確信し、今作でオファーすることを決意。そして坂本へ音楽を依頼したい旨をしたためた手紙と、坂本の楽曲を仮に当てて編集した映像を送ったところ、「お引き受けしますが、スコア全体を引き受ける体力はない」という回答とともに、「思い浮かんだ曲が1、2曲ある」という返事があったという。最終的に書き下ろしの2曲と、坂本の最新アルバム『12』からの曲、そして過去の曲により、本作の音楽は構成されることになった。是枝監督は「坂本さんに断られていたら、根本から発想を変えるしかなかった。音楽も、それ以外の活動も尊敬している坂本さんに音楽をお願いすることができて、本当に嬉しかったです」と喜びをあらわにした。坂本龍一また、先日開催されたカンヌ国際映画祭の日本用囲み会見で、坂本とのエピソードを聞かれた是枝監督は、「観た直後に音楽室のシーンがすごく好きだと言ってもらい、あのホルンとトロンボーンの音を邪魔しない音楽を作ろうと思った、という意見をもらいました。映画の中から聞こえてくるような曲になったんじゃないかなとおこがましいけれど思いました」と坂本とのやりとりや本作のために書き下ろされた楽曲について振り返った。なお、坂本が音楽を担当した本作のサウンドトラックは現在発売中だ。<リリース情報>サウンドトラック『怪物』■アナログ盤&CD発売中ブックレット:是枝裕和監督コメント掲載■配信リンク:【販売形態】アナログ盤/CDDL ※バンドル配信のみサブスク ※Aquaは除く6曲で配信【収録曲】1. 202202072. Monster 13. hwit4. Monster 25. 202203026. hibari7. Aqua<作品情報>映画『怪物』公開中公式サイト:
2023年06月05日映画『戦場のメリークリスマス』の『メリー・クリスマス ミスターローレンス』をはじめ、多くの名曲を生み出してきた、音楽家の坂本龍一さん。2023年4月2日、坂本さんが同年3月28日に息を引き取ったことが所属事務所によって明かされました。坂本さんは2020年6月にがんが発覚して以来、闘病生活を送りながらも、体調がいい時は自宅のスタジオで創作活動に励んでいたといいます。日本を代表する音楽家の1人として、楽曲を通してたくさんの人に感動を与えてきた坂本さん。その旅立ちに、国内外から感謝する声が相次ぎました。坂本龍一が生前に作った『葬儀用のプレイリスト』が公開へ2023年5月15日、坂本さんのウェブサイトやSNSアカウントがスタッフにより更新。坂本さんが生前に作っていたという、自身の葬儀で流すために作った楽曲のプレイリストを一般公開したことを発表しました。最期の時は、誰にでもいつか訪れます。だからこそ、坂本さんは自分が旅立った後のことを考え、あらかじめ葬儀で流す楽曲を選んだのでしょう。坂本さんが作ったプレイリストのタイトルは、『funeral(葬儀)』。33曲が登録されており、全部でおよそ2時間半です。公開されたプレイリストは、音楽ストリーミングサービス『Spotify』で聴くことができます。funeral - playlist by Ryuichi Sakamoto坂本さんは有名なヨハン・ゼバスティアン・バッハの『シンフォニア第9番』をはじめ、クロード・ドビュッシーなどのクラシック楽曲をセレクト。また、自身が過去にコラボレーションをした、ミュージシャンのアルヴァ・ノトの楽曲も収録されています。プレイリストの公開を告知したスタッフは、坂本さんについて「最期まで音楽とともにあった」とコメント。音楽を心から愛しているからこそ、葬儀の楽曲にもこだわったのでしょう。坂本さんのプレイリストに対し、ネットからは「公開してくれてありがとう!」「素晴らしい選曲に泣いてしまった」といった声が上がりました。また、坂本さんの『終活』に感銘を受け、「自分もマネをしたい」と思った人も少なくないようです。日本を代表する音楽家が「この曲で見送ってほしい」と思った珠玉の楽曲を、あなたも聴いてみてはいかがでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2023年05月15日株式会社Big Island(所在地:東京都北区、代表取締役:大島理紗子)は先日逝去された坂本龍一氏を偲び、追悼コンサートを2023年5月6日(土)に北とぴあ つつじホールで無料開催いたします。2023年3月28日に私たちは偉大な音楽家を失いました。美しい音楽を遺し、旅立たれた坂本龍一氏を偲び、追悼コンサートを開催いたします。坂本龍一氏の美しい音楽を大島理紗子をはじめとする3人の音楽家による演奏でお楽しみください。入場無料。■コンサート概要タイトル: ―記憶に残り続ける、坂本龍一の美しきメロディーたち―坂本龍一追悼コンサート日時 : 2023年5月6日(土) 開場 19:00/開演 19:30会場 : 北とぴあ つつじホール〒114-8503 東京都北区王子1丁目11-1入場料 : 無料主催 : 株式会社Big IslandURL : <演奏者>・大島理紗子(ヴァイオリニスト)愛知県出身のヴァイオリニスト。5歳よりアメリカにてヴァイオリンを始める。第13回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-J全国大会第一位。第68回全日本学生音楽コンクール全国大会第一位、併せて日本放送協会賞、音楽奨励賞を受賞。その年に名古屋市教育委員会から表彰される。第2回宗次ホールツィゴイネルワイゼンコンクール最高位、併せて聴衆賞とオーナー賞を受賞。2018年ウィーン・ベートーヴェン国際ヴァイオリンコンクール最高位受賞。第21回演奏家コンクール弦楽器部門大学生の部第一位。2019年ポーランドナウンチェフ国際ヴァイオリンコンクール第一位。東京藝術大学在学時に安宅賞受賞。またモーニングコンサート演奏者に抜擢され藝フィルと共演。2019年東京フィルハーモニー交響楽団と共演。2018年さいたまスーパーアリーナにてKYGO、JustinJessoらと共演。XFLAGPARK MONSTER STRIKE ORCHESTRA2021,2022ソロヴァイオリニストとして出演。フジテレビ『さんまの東大方程式』、NHK『らららクラシック』、BS日テレ『恋するクラシック』、BSテレ東『バカリズムの30分ワンカット紀行』、SEGAのYouTube番組『セガにゅー』の「セガスタ」などのメディアの方でも活動中。V6アルバム『STEP』の「雨」「家族」ストリングスアレンジ、大島理紗子ストリングスを手掛ける。その他多くのアニメや映画のレコーディングなどでも活躍中。東京藝術大学音楽学部卒業。ヴァイオリニスト 大島理紗子・高倉圭吾(ピアニスト)第64回全日本学生音楽コンクール高校の部北海道大会一位、全国大会三位。第5回野島稔よこすかピアノコンクール二位。東京藝大モーニングコンサート出演。第15回G.Pecar国際ピアノコンクール一位。Les Musicales du Centre即興部門一位。第90回日本音楽コンクール三位。札幌南高校、パリ国立高等音楽院ピアノ科、パリ地方音楽院室内楽科を経て、東京藝術大学音楽研究科卒業、藝大クラヴィーア賞受賞。これまでに室内楽をTrio Wanderer、F.Salque、迫昭嘉、河野文昭の各氏に、ピアノを佐藤睦美、橘高昌男、植田克己、上田晴子、F.Braley、有森博の各氏に師事。現在東京藝術大学にて非常勤講師を務める。ピアニスト 高倉圭吾・三谷野絵(チェリスト)愛知県春日井市出身。第19回KOBE国際音楽コンクール優秀賞及び神戸市教育委員会賞、第68回全日本学生音楽コンクールチェロ部門入選、第7回岐阜国際音楽祭コンクール弦楽器部門第一位、など。2014年小澤征爾音楽塾に参加。名古屋市立菊里高等学校音楽科を経て、東京藝術大学音楽部器楽科チェロ専攻卒業。東京を拠点に、室内楽やプロオーケストラの客演を中心に活動中。クラシックのみならず、ポップスのレコーディングやゲーム音楽など幅広い演奏活動を行なっている。チェリスト 三谷野絵<お申込み方法>公式サイト: <プログラム>・戦場のメリークリスマス・ラストエンペラー テーマ曲・八重の桜 メインテーマ・energy flow・ゴリラがバナナをくれる日■会社概要商号 : 株式会社Big Island代表者 : 代表取締役 大島理紗子所在地 : 〒114-0021 東京都北区岸町1-3-5 キョウワフラッツ王子203事業内容: 出張コンサート/イベント出演/楽曲制作・編曲/レコーディング・自宅録音/Big island音楽教室/メディア出演資本金 : 990万円URL : 【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】株式会社Big IslandTEL : 050-3159-9510お問い合せフォーム: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年05月01日BS10スターチャンネルでは、世界的音楽家・坂本龍一の関連作品を、6月より特集放送することを決定した。先月、新宿歌舞伎町に開業した「109シネマズプレミアム新宿」。この注目の劇場の音響監修を務めたのは、世界的音楽家の坂本さん。現在、期間限定で特別上映「Ryuichi Sakamoto Premium Collection」が実施されており、今回明らかになった特集放送「坂本龍一コレクション」は、これの連動企画となっている。放送されるのは、坂本さんが手掛けた映画音楽の代表作のひとつでもある、ベルナルド・ベルトルッチ監督作品『シェルタリング・スカイ』。若きキアヌ・リーヴスが出演する、壮大な歴史絵物語『リトル・ブッダ』。大島渚監督の遺作となった異色時代劇『御法度』。『シェルタリング・スカイ』なお、Amazon Prime Videoチャンネル「スターチャンネルEX」では、特集放送に先駆けて『ラストエンペラー[劇場公開版][4Kレストア版]』ほか4バージョンを配信中だ。「109シネマズプレミアム新宿『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』連動企画坂本龍一コレクション」【STAR2 字幕版】は6月3日(土)12時~一挙放送、6月15日(木)~17日(土)21時~連続放送(全3作品)。109シネマズプレミアム新宿」開業記念オープニングイベント「Ryuichi Sakamoto Premium Collection」は5月18日(木)まで期間限定特別上映中。(cinemacafe.net)■関連作品:ラストエンペラー 劇場公開版 4K レストア 2023年1月6日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開© Recorded Picture Company
2023年04月21日2023年3月28日に逝去した、世界的に著名な音楽家の坂本龍一さん。坂本さんは2020年6月にがんが発覚して以来、闘病生活を送っていました。細野晴臣、坂本龍一を追悼2023年4月17日、音楽グループ『イエロー・マジック・オーケストラ(通称:YMO)』で坂本さんとともに活動していた、ミュージシャンの細野晴臣さんは、坂本さんへの追悼を自身のTwitterに投稿しています。坂本くんは数年かけて準備をし永眠しました。御本人も御家族も後悔なく、静かに旅立ったと聞きました。それを知ってから、僕も安らげています。@hosonoharuomi_ーより引用 pic.twitter.com/kpBGP5wu69 — 細野晴臣_info (@hosonoharuomi_) April 16, 2023 短いコメントで、現在の心境を率直につづった、細野さん。同じくYMOのメンバーである高橋幸宏さんが同年1月11日に逝去した後、立て続けに坂本さんが亡くなったことで、細野さんは、いいようのない悲しみの中にいるのかもしれません。それでも、故人が充実した人生を生きたという事実が、細野さんの気持ちを救っているのでしょう。投稿には、細野さんを気遣うコメントなどが多数寄せられていました。・つらいのに心境を語ってくれたことに感謝。さびしいけど、YMOの音楽を楽しみ、今こうして悲しめることを幸せに思います。・細野さんが何も気負わずに、自分を大切に生活してほしいと祈っています。・YMOは永遠です。細野さんが少しでも和らぐことができているなら、それが一番。身体を大切に長生きしてほしいです。・愛に満ちた優しいコメントで、私たちファンの心も癒されました。3人で素晴らしい音楽を生み出し、たくさんの感動を届けてきた、YMO。細野さんが今後も活躍し続ける姿を、天国から高橋さん、坂本さんも見守っているでしょう。[文・構成/grape編集部]
2023年04月17日東京・新国立劇場と京都・ロームシアター京都にて来春、「TIME」の日本初上演が決定した。本作は2021年、坂本龍一がアソシエイト・アーティストを務めた世界最大級の舞台芸術の祭典「ホランド・フェスティバル」(オランダ・アムステルダム)で世界初演。坂本さんが生前、本作のために全曲を書き下ろし、演者の動き、光と映像、水を駆使した表現は、満場のスタンディングオベーションを呼び起こした。そんな劇場空間でインスタレーション、パフォーマンス、ヴィジュアル・アートが融合し、ふたつの夢幻が交錯するシアターピースの最新作が、待望の日本初上演を迎える。本作では、長年にわたる深い信頼関係のもと、コラボレーションを続けてきた坂本さんと高谷史郎のこれまでの共同作品の要素を踏まえつつ、2人が新たなコンセプトを追求。坂本さんの音楽、高谷さんのヴィジュアル・デザインにより創り上げられる。出演には、ダンサーとしても国際的に活躍する田中泯、伝統楽器「笙」を国際的に広めた第一人者、宮田まゆみらを迎える。なお、チケット情報ほか詳細は後日発表となる。また、関連イベントとして、「109シネマズプレミアム新宿」開業を記念し、全シアターの音響監修を務める坂本さんの関連作品を期間限定特別上映。「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展ダムタイプ|2022: remap」は、アーティゾン美術館(東京・京橋)にて開催中だ。「RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANITIME」は2024年3月28日(木)~4月14日(日)東京・新国立劇場(中劇場)、4月27日(土)~28日(日)京都・ロームシアター京都(メインホール)にて上演。109シネマズプレミアム新宿 開業記念オープニングイベント「Ryuichi Sakamoto Premium Collection」は4月14日(金)~5月18日(木)開催。「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展ダムタイプ|2022: remap」はアーティゾン美術館 6階展示室にて5月14日(日)まで開催中。(cinemacafe.net)
2023年04月12日「偉大な先輩です。素敵な、偉大な作品を残してくれて、魅力的な生き様を見せていただいてありがとうございます」4月8日、坂本龍一さん(享年71)の訃報を受けて、レギュラーを務めるラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TOKYO FM)のなかで、こう追悼した桑田佳祐(67)。桑田は坂本さんの印象についても話している。「教授(坂本さんの愛称)と仕事をするチャンスはほとんどなかったんですけど、あの方と一緒に仕事をした人は『教授って人は、ロジックもハートも技術も全部持ち合わせた素晴らしい人だよ』ってみんな言うよね」意外にもいっしょに仕事をする機会はほとんどなかったという坂本さんと桑田。しかし、実は二人のルーツと呼べるライブハウスは同じなのだという。当時をよく知る音楽プロデューサーが明かす。「坂本さんと桑田さんは、’70年代のまだデビュー前のころから、ライブハウス『ロフト』に出入りしていました。時期は坂本さんの方が少し早く、最初は山下達郎さん(70)らがいたバンド『シュガー・ベイブ』に参加していました。一方、桑田さんは坂本さんより少し遅れて活動を開始。まだ青山学院大の学生バンドでした。当時の『ロフト』は他に竹内まりやさん(68)や大貫妙子さん(69)らもいて、独特の熱気や仲間意識に包まれていました。桑田さんは、すでにミュージシャンとして頭角を現していた坂本さんを憧れの目で見ていましたが、一方の坂本さんは、桑田さんのことをそれほど気に留めている様子はありませんでしたね。坂本さんは歌詞に対する意識があまりなくて、楽曲を“音のみ”で判断することが多いんです。桑田さんの曲は歌詞も含めての魅力的なのですが、なかなか坂本さんには響かなかったようですね。これはのちに聞いたことですが、坂本さんは桑田さんの人気の秘密を知りたがってもいました。共演が見たかったですね」坂本さんは天国で桑田さんの言葉を聞いて、当時を懐かしんでいるに違いない。
2023年04月11日