皆さんは長野県の下諏訪町ってご存知ですか?諏訪湖のほとりに広がる風光明媚な町なんです。下諏訪といえば温泉や7年に一度行われる諏訪大社の御柱祭が有名ですが、あの岡本太郎が絶賛した万治の石仏も一見の価値ありだったりします。そんな町で古材を使ったリノベーション体験ツアーがあるという情報が編集部へ飛び込んできました。古材もリノベも大好物な編集部。これ幸いとばかりに、真冬の下諏訪町でリノベ作業を体験してきましたよ。今回はリノベ体験レポートと下諏訪町の情報をお届けします。■ KEYWORD1.「街」 おしゃれスポットも点在する歴史ある街諏訪といえば諏訪湖。温泉や釣り、御神渡りなどで有名。夏も冬も楽しめるレジャースポット下諏訪町は諏訪湖の北側に広がる人口2万人あまりの町。古くから甲州街道と中山道が交わる下諏訪宿として栄えた宿場町なんです。味わい深い建物もあちらこちらに残っていますし、下諏訪温泉の共同浴場が街中にいくつもあって、なんと230円で誰でも入浴できる。そんな温泉でひと風呂浴びて、宿場町の面影を色濃く残す町並みを歩けば、下諏訪という町の懐の深さに魅せられているかもしれませんよ。中山道の下諏訪宿。今でも昔の面影が残っています町の商店街にはこんなレトロな雰囲気の小間物店が。何周か回ってオシャレ!■ KEYWORD2. 「作家にやさしい」 アトリエやショップを開きたい若者を商店街もバックアップ町の中心は御田町(みたまち)商店街。一見地方によくあるレトロな雰囲気の商店街ですが、移住して開業したい人のウェイティングリストがあるほど人気商店街なんです。古い店と新しいものづくりの工房が混在する商店街を移住者が開いたカフェや雑貨店、工房などが取り囲み、下諏訪は今、あらゆる世代が活気にあふれた場を形づくっています。「マスヤゲストハウス」は築106年以上?の旅館をリノベした宿泊施設。こちらのオーナーも移住組カナダから移住したエリックチャンさんが営むオシャレなカフェ「Eric’s kitchen」賃貸の一戸建てをリノベして、生活雑貨専門のセレクトショップ「Bappa4.5」と一級士建築事務所「Layer Architects+Design」を営む宮澤さん夫妻■ KEYWORD3.「温泉」 共同温泉もあちこちに。温泉のお持ち帰りもできる!今も温泉の共同浴場が多く営業しているので、地元の人はもちろん、ここを訪れた人たちも利用することができます。入浴料は230円と激安。下諏訪の町の中心にある菅野温泉は明治19年創業のレトロな雰囲気。街のあちこちに温泉が湧出しているので、ペットボトルやポリタンクに汲んで持ち帰る人の姿もちらほら。ちなみに下諏訪温泉の湧出温度は高く、今回のリノベ作業で疲れた体もちょっとハードに癒してくれました。町の中心部にある「菅野温泉」。明治19年創業のレトロ感がたまらない町のあちこちに温泉が湧出。お持ち帰りも可の大判振る舞い■ KEYWORD4. 「移住交流スペース mee mee center Sumeba(ミーミーセンター スメバ)」下諏訪町に興味を持ったら、ぜひここを訪れてみてください。mee mee center Sumeba(ミーミーセンター スメバ)は御田町商店街にあるコミュニティスペース。観光情報や就労情報、空き家情報などを提供してくれます。地域おこし協力隊のスタッフ、綿引遥可さんと小林由香里さんがここを訪ねてくる人に親切に対応してくれるんです。ふたりとも移住者ですが、すっかり地域にとけ込んでいました。商店街の中ほどにあるmee mee center Sumeba。こちらも古い商店をリノベしていますフレンドリーな綿引遥可さん(左)と小林由香里さん(右)は、旅行者や移住希望者の強い味方では次からリノベ作業の実際を見てみましょう。■ いよいよリノベーション作業へ!リノベーションは今が旬!今回のツアーでは、ペンキ塗りと古材を使った床張りを体験できました。諏訪市のリビルディングセンタージャパン(略して「リビセン」)のスタッフが分かりやすくレクチャーしてくれましたよ。「リビセン」は古い建築物から仕入れた古材や建材を使っても新築やリノベーションを手掛ける会社。あわせて古家具の販売やカフェを運営する、地元でも一目置かれる今注目の事業所なんです。古材屋兼古道具屋兼カフェ、イベントスペースはオシャレ偏差値が高くて、見学していると帰れなくなりそうな場所でした。リビセンの内部。古い建具を組み合わせてカフェと展示スペースを仕切っています正面玄関。ショップの中では宝探しをするような気分になれますよ今回リノベーションするのは町の高台にあるしごと創生拠点施設「ホシスメバ」の一部です。「ホシスメバ」とは、下諏訪氏が運営する移住者の居住スペースと起業のためのワークスペースを備えた大型施設。居住スペースはオシャレな共用キッチンやワークスペースを備えたシェアハウス。15平米の居住スペースに、なんと月額2万円で入居できます。ただし、起業創業を目指す人や移住希望者のための支援施設なので期限に条件はついているのでご注意を。「ホシスメバー!」の掛け声で気合満々のツアー参加者たち。足の緑部分は、靴の甲を養生しているから「ホシスメバ」の居住スペース廊下にはDIYのための工具がカッコよく配置されています共用のキッチン、ダイニング。一人一人が自由に過ごすこともできれば、皆でワイワイ楽しむにも十分なスペース。もちろんリノベ済みです居住スペースはこんな感じ。Aさんは珈琲焙煎ショップを開くべく奮闘中だそうです■ 初日は壁のペイントで日が暮れるリノベツアーは2泊3日のプログラム。初日は壁と天井のペイントです。「リビセン」スタッフがあらかじめ養生などの準備を整えてくれたので、参加者はバケツとローラー片手に、ひたすら壁と天井を塗り上げてきます。一度塗りの段階では「ホントに大丈夫かな」と心配になるくらいムラだらけだった壁が、二度、三度と重ね塗りをするとキレイに仕上がりました。私もローラー片手に壁塗りにトライ。うっかりスイッチが入ってしまい夢中でローラーを動かすことに。日が暮れる頃には筋肉痛が……。「ペイントイットホワイト!」塗って塗ってまた塗って、丁寧に仕上げていきます隅っこも丁寧に塗り込まないと。仕上がりが違ってくるんです■ 2日目は古材を使った床張りに挑戦翌日は床張りです。使用する古材を大量に搬入。ここからちょうどいい按配の木材をセレクトします。色合いが異なる古材をどうレイアウトしたらバランスがよくなるかを考えるのがポイント。規則性がありすぎるとわざとらしくなるそうですよ。センスの問われる作業ですね。古材とはいえ、家の床に使用するため裸足でもけがをしない程度に整えておく必要があるため、ささくれなどはサンダーで削ります。削りすぎると古材の風合いが消えてしまうので要注意です。レイアウトが決まったらコンプレッサーから圧縮空気で、釘を打つエア釘打ち機で床板を固定。シュパン!シュパン!とリズミカルに打っていくのがうまくいくコツだとか。いかにも「わたしたち、施工してるなぁ」とちょっとした快感を味わえますよ。そこで問題は筋肉痛。しかし、わたしたちには温泉という心強い味方がいるんですけどね。古材はそれぞれ表情が違うので、多めに搬入しておくにこしたことはありませんささくれはサンダーをかけて除去。ただし削りすぎには注意が必要古材をレイアウト。様々な組み合わせを試していきますくぎ打ちをしているときの工事してる感がすごい。快感です■ 3日目はいよいよ仕上げにかかります最終仕上げはオイルの塗布。汚れを落とし、軽く乾かしてから自然派オイルをたっぷり塗布しました。使われた歴史の分だけほこりをかぶって色が変わった古材は、浸透性のオイルを塗って磨き上げると、重厚な雰囲気はそのままに、生き生きとした表情を取り戻すんです。その表情は、新しい素材ではお目にかかれません。これこそ古材の醍醐味です。廃材寸前の古材がこんなカッコいい床に変身しました養生を外してフィニッシュ。「ココ施工したよー!」と満足げな参加者たち今回のリノベ体験では壁塗りのコツやカッコいい床の貼り方のヒントをたくさんもらいました。またリノベーションにも力を入れている長野県下諏訪町の魅力も堪能。このリノベーションツアー体験記事は「住まいの設計2019年4月号」に掲載されています。そちらも参考にしてみてくださいね。【協力】※下諏訪町mee mee center Sumeba(ミーミーセンタースメバ)※リビルディングセンタージャパン撮影/山田耕司(扶桑社)住まいの設計2019年4月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「家族のシアワセのときが流れるキッチン&バスルームあります」 【第二特集】「HOUSE with SMALL SHOP小さなお店のある暮らし」
2019年03月23日