不動産業というものは生活全般に関わるものです。そのため世の中の動きの影響をもろに受けることもあれば、お客様の動きから世の中の意外な流れに気付かされたりすることもあります。今回は世の中の動きが仕事に影響した意外な事例を3つご紹介します。■ 1.若者の車離れがマンションの一般会計を直撃ニングル / PIXTA(ピクスタ)若者の車離れが進行しているといわれています。車を持とうとしないどころか車そのものに興味を持たない、更には教習所に通うのは金と時間がかかるから免許も取らないという、車好きの筆者にとっては信じられないような世の中になっています。これは自動車業界にとって深刻な問題となっていますが、実はマンションの管理組合にとっても重大な問題なのです。YNS / PIXTA(ピクスタ)マンション内の駐車場使用料は管理組合にとって管理費に次ぐ収入の柱であり、空き区画が増えることはその分だけ一般会計の収支が悪化することにつながります。マンションの駐車場はおおむね稼働率7割~8割くらいを想定しています。郊外のマンションの場合まだまだ問題になっていないようですが、筆者が担当していた都心部のマンションでは5割以下になってしまったところが多く、一般会計が大幅赤字になって繰越金が年々減少し、対応に苦慮したものです。■ 2.若者のテレビ離れも相当なものがあるUshico / PIXTA(ピクスタ)車離れほど話題になっていないようですが、若者のテレビ離れも相当なものがあるようです。駅前の不動産会社に勤務していた時、地元のケーブルテレビと提携して「引っ越し時に無料でチャンネル調整をやります」というキャンペーンを展開したことがあります。kou / PIXTA(ピクスタ)お客様と日時を打ち合わせたうえで訪問してテレビのチャンネル調整をするというものですが、その際にしれっとケーブルテレビの新サービスを紹介するのが真の目的です。ケーブルテレビ会社から紹介料がもらえることもあって積極的に告知しましたが、1Kタイプを契約した人の約半数が「テレビを持っていないので別にいいです」と言ってきたのは驚きでした。■ 3.リーマンショックが半年後に筆者の歩合給を直撃オカキ / PIXTA(ピクスタ)最後に、世の中の動きが仕事に影響した事例といえば、やはりリーマンショックです。アメリカの歴史上最大規模の企業倒産であるリーマンブラザーズの経営破綻が発生したのは2008年9月15日でした。筆者はその頃賃貸マンションの仕事をしていましたが、9月という比較的ヒマな時期であったこともあり、クビになった社員が段ボールを抱えて次々とビルから出てくるニュース映像をそれこそ他人事のように見ていたものです。しかしこれをきっかけとして発生したリーマンショックと呼ばれる世界規模の金融危機が直ちに日本を直撃し、さらに半年後には筆者の歩合給を直撃しました。maruco / PIXTA(ピクスタ)賃貸マンションの営業といえば1~3月がとにかく忙しく、特に3月は賃料の高いファミリータイプのマンションが法人契約の借り上げ社宅としてガンガン動くため、1年で最も大切な月になります。生命の危険を感じるほど忙しくなるのが常ですが、その分だけ歩合給も相当な額になります。しかし景気が悪くなれば企業はまず福利厚生に関する支出を削減します。2009年の3月はファミリータイプの法人契約がほぼなくなり、そのためとても3月とは思えない売上になってしまいました。チンク / PIXTA(ピクスタ)いかがでしたか。マンション管理という仕事は景気変動の影響を受けにくいといわれていますが、電気料金の値上げや消費税増税が組合会計を直撃し、それが管理委託費の減額要求に結び付いたこともあります。生活と直結している仕事であるためいつも気が抜けませんでした。
2018年08月01日不動産検索サイトや不動産販売の広告などでよく目にする「建築条件付き土地」。その意味についてなんとなく知っている人は多いと思いますが、その中身をしっかりと理解している人は少ないのでは?建築条件付き土地の中身を理解するために、少し変わった角度から建築条件付き売地を考えてみます。実は「売主のタイプ」の違いによって、その建築条件付き土地の性質や「メリット・デメリット」に違いが出る場合があるのです。以下ではその「売主のタイプ」を大きく2種類に分け、その違いを解説します。■ 売主タイプ1.昔ながらの不動産業者HAKU / PIXTA(ピクスタ)このタイプの売主はその多くが、建築条件付き土地の販売を建売住宅販売の一形態と考えている傾向があります。宅地建物取引業法では、建築確認(許可)等を取得していなければ土地建物一体での売買契約は禁止されています。しかし、土地の販売期間短縮や販売経費削減をしたい、さらに土地売却益だけでなく建設工事でも利益を得たい売主が、建築確認等を取得したり現実に建設工事に着手しなくても土地建物をセットで販売(請負)したいと考えた場合に、土地の売買契約に建物請負契約締結の条件を付した「建築条件付き土地」という方法を選択するのです。つまり、本来は土地建物一体での販売をしたいのに法の制限によりそれができないため、やむを得ず建築条件付き土地売買という形態をとっている場合が多いのです(もちろん違うケースもあります)。■ 売主タイプ2.ハウスメーカーなどの建設業者HAKU / PIXTA(ピクスタ)このタイプの売主はその多くが、土地売買契約より建設工事請負契約にその比重を置いています。つまり土地を販売する目的自体が「建物を売るため」なのです。そのため、このタイプの売主は土地販売時にかなり踏み込んだ建物の打ち合わせを行います。土地の販売自体が主たる目的ではないため、購入希望者の建物ニーズが自社商品と合わない場合はその時点で土地購入を積極的に勧めません。建設工事請負契約が円滑に進まない可能性がある顧客と土地売買契約を結ぶメリットがないのです。■ 売主タイプ1のメリット・デメリット売主タイプ1の建築条件付き土地の場合、先述のようにその売主は土地売却益だけではなく建設工事請負による利益を期待している場合がほとんどです。そのため、見込んでいた利益が土地売却だけで得られるなら、この建築条件を外せるケースも多く見受けられます。「土地は気に入ったけど、建物ニーズが合わない」「この土地にどうしても別のハウスメーカーで建てたい」などの場合、その交渉を受け付けてくれやすいのはこのタイプの売主なのです。また、不動産業者が売主のため、上下水道などの供給施設がすでに整備されている土地も多く、権利関係(差し押さえ等)や隣地境界トラブルも整理されている土地が多いのもメリットといえるでしょう。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ただ、もちろんデメリットもあります。上記のように建築条件を外す交渉がうまくいっても、その売買条件変更にともなう価格のアップを要求される場合が多いのです。それで結局予算オーバーとなるケースも見られます。だからといってその価格が割高であるという意味ではありません。建築条件付き土地の場合、その価格設定は条件なしの土地と比べ若干低めに設定している場合も多いのです。■ 売主タイプ2のメリット・デメリット売主タイプ2の建築条件付き土地のメリットですが、この売主はそもそも建物を売るのが主たる目的なので、土地の検討当初からその土地に最適な参考プランや推奨仕様など、かなり充実したものを用意している場合が多くみられます。そのため、自分で建設業者を見つけて別々に発注するよりも割安で良質な住宅が手に入る場合があります。タカス / PIXTA(ピクスタ)デメリットは、このタイプの建築条件を外すことはほぼできないということです。建物を売るのが目的なので条件外しの交渉さえ受け付けてもらえないでしょう。どうしてもその土地を購入したい場合はその指定された建物を購入(請負契約)するしか選択肢は無いのです。ただし、土地売買契約後の打ち合わせによって請負契約が不調に終わる場合は土地売買契約も解除されます。いかがでしたか?ここで取り上げた以外にも様々な売主さんはいますが、建築条件付き土地を検討される場合は「売主のタイプ」を知り、そのメリット・デメリットを知ったうえで購入を判断する材料のひとつにしてください!【参考】※東京都都市整備局不動産取引の手引き
2018年06月15日不動産取引によく登場する用語として「坪」というものがあります。「坪」とは尺貫法に基づく日本独自の広さの単位ですが、メートル法が普及した現在においても根強く使用されています。そして、不動産業界に転身した初日に教わった一つに、坪と平米の換算法があります(もう一つは建蔽率と容積率)。今回はこの「坪」についてご説明します。YNS / PIXTA(ピクスタ)■ 「坪」とはどのようなものか1坪というのは一辺が6尺(1間)の正方形の面積です。1尺は1mの33分の10の長さと定義されていますので1坪=60/33m×60/33m=約3.305 785 124平米ということになります。Happiness* / PIXTA(ピクスタ)部屋の広さを畳の数で表現するのも日本特有の習慣ですが、主に愛知・岐阜県といった中京地方や東北、北陸の一部で使用されている中京間においては畳のサイズは3尺×6尺と定められており、そのため日本においては「1坪=畳2枚」というイメージが根強く残っています。■ 「坪」を使用することは基本的に禁止されているGraphs / PIXTA(ピクスタ)日本の計量法において面積に関しては平米を法定計量単位として指定しており、取引または証明において坪の使用は禁止されています。そして「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」においても土地の面積や建物の床面積は平米で表示することになっています(1平方メートル未満は切り捨てることができる)。法定計量単位とともに、カッコ書きで非法定計量単位を併記することは認められており、162.29平米(49.09坪)というような表記をすることは可能です。■ それでも「坪」はどっこい残っているPIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)1坪=約3.305 785 124平米というのはメートル法万能の時代においては何とも面倒な単位に思われるかもしれませんが、「1坪=畳2枚」という日本人の生活の中から誕生した単位であるため、「坪」は根強く使用されています。土地取引ではほとんどの場合で土地面積の表記で坪数が併記され、販売価格を坪数で割った坪単価も明示されますし、戸建においても土地面積と建物面積の両方で坪数が併記されている事例がかなり多くなっています。平米よりも坪の方が広さをイメージしやすいという人も多いのかもしれません。売買仲介の営業にとって担当エリアの土地相場を坪単価で把握しておくことはスムーズに仕事を進めるための絶対条件となります。また戸建住宅においては、延べ床面積である建物面積とは別に地面に接する部分の広さを意味する「建坪」という言葉があり、家の大きさを判断するうえで重要視されています。■ 「坪」は新築マンションの営業でも重要shimanto / PIXTA(ピクスタ)筆者は不動産業界の中でもマンションにかかわっていた時期が圧倒的に長いのですが、新築マンションの場合、販売価格の総額を販売面積全体で割った「平均坪単価」が意外に重要でした。同じマンションでも広さや階数によって部屋の価格が変わりますが、平均坪単価はそういった要素から独立した共通の物差しになります。販売価格を他物件と比較することもできれば、新たな物件に値付けをする際の基準にすることもできます。営業としては「坪〇〇万円ならこれくらいのグレードになる」ということと、「坪〇〇万円までなら売れる」ということを把握しておくことが必要でした。ちなみに2000年頃神奈川エリアで営業をしていた筆者には坪150万なら手頃なマンション、坪200万以上で高級マンションという感覚が残っていますが、今では全然違うものになっているかもしれません。■ 平米から坪への換算方法june. / PIXTA(ピクスタ)坪というものは正式な表記ではないため、平米から坪への換算には駅からの距離のような正式な計算方法が定められている訳ではありません。恐らく大半の業者で行われているのは以下の方法だと思います。平米×0.3025=坪数この場合表記するのは小数点以下2桁までで、3桁以降は切り捨てます。ちなみに「1坪=畳2枚」というのはあくまで目安であって、「1畳」の広さが正式に決まっているわけではありません。そのため筆者の場合、洋室の「約〇帖(畳)」はかなり適当に決めていました。いかがでしたか。不動産業界に根強く残る「坪」についてご説明してきました。様々な相場を比べるための指標としては「平米単価」でも別に問題ないではないかとも思うのですが、法律で強制したくらいでは長年根付いたものをやめることはできないのかもしれません。
2018年05月27日家を「借りる」と「買う」どちらが得か?という議論が、不動産業界には……いえ、世の中には昔からありますよね。この問題、筆者が不動産業界に入った19年前から(恐らくもっと以前からあったでしょう)盛んに議論されていましたが、いまだに結論が出たという話を聞きません。TATSU / PIXTA(ピクスタ)■ 「借りる」「買う」どちらが得か?問題のカラクリkou / PIXTA(ピクスタ)この問題のベースとなっているのは「“家賃”を払い続けるのと“住宅ローン“を払うのとどちらが得か?」ということで、大抵の場合、それぞれ発生する費用の合計をシミュレーションして比較しています。まだ紙の媒体が不動産情報の中心だった時代の話です。同じ出版社で賃貸向けと売買向け、2つの情報誌を出していましたが……、KAORU / PIXTA(ピクスタ)賃貸の情報誌では「借りる方が少しだけ得」、一方、売買の情報誌では「買った方が少しだけ得」というまったく異なる結論を出していました。一生の間に必要となる住宅関連の支出の合計は簡単にシミュレーションできるようなものではなく、前提条件を少し変えればまったく違う結論となります。つまり、立場が変われば結論も変わるのです。■ 設備やインテリアのグレードに大きな差はある?freeangle / PIXTA(ピクスタ)入居者が頻繁に入れ替わることを前提とした賃貸住宅に対し、分譲住宅は入居者が永住することが前提となります。そのため設備や内装等についていえば、分譲の方が長持ちする仕様となっていることが多かったように思います。特にクロスについては、ランクが全然違いました。賃貸の場合、入れ替わる度に何らかのリフォーム工事が入りますし、何かあれば退去した時交換すればいい、という意識がどこかにあるのかもしれません。■ 分譲マンションで発生する費用って?hug++ / PIXTA(ピクスタ)分譲マンションの場合、毎月発生する住宅ローン返済、管理費、修繕積立金等の他、故障等による設備の修理は当然のことながら全額自己負担です。分譲マンションには専有部と共有部があり、雑把に分けると玄関の内側で起こったことについては自己負担です。厄介なのは配管やインターホンといった、専有部と共有部両方にまたがる部分のトラブルで、原因がどちらにあるかによって負担額も変わってきます。専有部と共有部の細かい区分けについては管理規約に必ず記載がありますので、購入前にチェックしておくとよいでしょう。■ 賃貸住宅は、実は家主にとって厳しい時代にABC / PIXTA(ピクスタ)賃貸住宅の場合、賃料と共益費を毎月払いますが、消耗品関係を除き設備の故障については原則として家主負担となっています。また退去時における原状回復に際しても、「国土交通省ガイドライン」や「東京都住宅紛争防止条例(東京ルール)」により、自然損耗や経年劣化については借主は負担しなくてよいとされています。そのため、退去に伴うリフォーム工事についてもその大半を負担しなくてはならないなど、家主にとって厳しい時代となってきたように感じます。■ 賃貸住宅はまだまだ高齢者に厳しいのが現実foly / PIXTA(ピクスタ)賃貸住宅を語る上で、どうしても避けて通れない問題があります。賃貸物件の営業をやっていた時代に痛感しましたが、「高齢者に非常に厳しい」というのが日本の不動産業界の現状です。高齢者の場合、現役世代と違って収入が限られるということと、室内で万一のことが起きる可能性がある、ということが原因として挙げられます。高齢者を受け入れる物件はかなり限れられますし、仮にOKという場合でも内容のいい親族が保証人となり、かつ近くに住んでいなければならない、などといった厳しい条件が付きます。freeangle / PIXTA(ピクスタ)そして既にリタイアされた方の場合、年金だけが収入とみなされます(預金残高は考慮されないことが多い)。年金の金額だけで借りられるレベルの部屋というものは、高齢者が暮らしやすいようなものとは決して言えないでしょう。家は「買う」「借りる」どちらが得か、という問題は、おそらく今後も永久に決着はつかないでしょう。しかし「どちらがいいか」ともし聞かれたら、「リタイアするまでに、どこかで買っておいた方がいい」というのが筆者の結論です。(written by 鶴間正二郎)
2018年04月13日消費者契約法って?消費者契約法とは、事業者と消費者(個人)との間で締結される全ての契約に適用され、消費者の保護を図ることを目的とした法律です(2001(平成13)年3月施行)。事業者から不適切な勧誘を受けた場合は、その取引を取消すことができます。不動産取引における具体的な例として、以下のようなケースが考えられます。重要事項説明について事実と異なることを告げられた重要事項について不利益となる事実が告げられなかった将来の変動が不確実な事項について断定的判断が提供された勧誘の場所から事業者が退去しないまたは自らの退去を妨げられたまたこれに留まらず、契約条項のうち消費者にとって不当(不利)なものは、その契約条項自体が無効となります。例えば以下のようなケースです。消費者の利益を一方的に害する条項事業者の損害賠償の責任を免除する一定の条項消費者が支払う損害賠償の額を予定する一定の条項しかし不動産取引において適用される「宅地建物取引業法(以下、宅建業法)」が適用される契約を締結する場合、消費者契約法とは異なる規定が条項(例、瑕疵担保責任や損害賠償額の予定など)に組み込まれる場合があります。消費者契約法は個別法といい、宅建業法は特別法といいます。この場合、特別法である宅建業法を優先するので(特別法優先主義)、場合によってはその契約自体が無効とならないことがあるので、注意が必要です。消費者契約法が適用される不動産取引とは?場合によっては宅建業法が消費者契約法に優先することもありますが、消費者(個人)が不利益を得た場合に消費者契約法が適用される不動産取引とはどんなものでしょうか。以下のようなものがそれにあたります。宅建業(売買契約、賃貸借契約、媒介契約、代理契約)その他(建築請負契約、設計契約、管理委託契約などすべての契約)当然ながら、事業者同士の契約や、個人間同士の契約は該当しません。そのため、売主が個人で買主が宅建業者であったとしても、消費者契約法は適用されます。消費者契約法が宅建業法と異なる点は?まずは宅建業法からみてみましょう。宅建業法宅建業者が不当な行為をしないよう、監督処分や罰則など法律で監視しています。宅建業者の不正のせいで取引が中断するのは、消費者にとって不利益です。そのため事業者(宅建業者)が宅建業法に違反したとしても、取引そのもの自体が無くなることはありません。消費者契約法一方で消費者契約法は、取引そのものが無くなります。まとめ不動産取引を契約する場合にも、消費者契約法は適用されます。しかし場合によっては宅建業法が優先することもあるので、契約の際にはしっかりと条項を確認するようにしましょう。
2018年03月17日共有持分・共有名義とは?共有持分とは、複数の人が1つの不動産を共同で所有している時に、それぞれの人がその不動産について持っている所有権の割合のことをいいます。たとえば夫婦で1つの不動産を2分の1ずつ共有している場合は、夫と妻それぞれが持っている所有権の割合(2分の1ずつ)のことをさします。そしてこの割合を登記所に登記しなければなりません(持分登記)。登記とは、第三者に「これは私の所有権だ!」と主張することです。さて共有持分といったワードを聞くと、セットのように「共有名義」といった言葉を耳にすると思います。共有名義とは、その不動産の所有権を持っている人のことをいいます。たとえば3000万円の住宅をあなた(妻)と旦那さん(夫)で購入するとしましょう(共有名義はあなたと旦那さんになります)。出資額で持分割合が決まりますので、2,000万円分を旦那さんが、残りの1,000万円をあなたが出したとしましょう。するとこの住宅の持分割合は、旦那さん:3分の2あなた:3分の1となります。共有持分のメリットとデメリットは?「これから結婚して新居で夫婦生活を始めるんだ」といったご夫婦は、上記のように不動産を共有の持分とすることもできるわけですね。または年収や貯金を考慮すると2人でお金を出す方が良いかもしれない、といった人も少なくはありません。しかし「共有名義・持分にするとなんだか面倒なことにならないかな?」と懸念を抱いてしまうもの。まずはデメリットについてみてみましょう。デメリット夫(共有者)の承諾がないと、売却できない!ご夫婦2人の持分なので、当然にご自身の判断だけでは不動産を売却することはできません。旦那さんの承諾がないと売却できないわけですが、ここで夫婦喧嘩が起きることも・・・・。離婚した場合、売却を視野に考えたくはありませんが、夫婦喧嘩の火が広がって離婚することとなった場合、売却の可能性が高まります。住宅購入の資金に余裕がないから住宅ローンを組んだり、共有名義での購入を検討したはずです。つまり、片方がいなくなればその分を補填しなければならず、それは現実的に難しいので結果的に売却せざるをえなくなるわけです。夫(共有者)が他界した場合、相続の対象となる不動産は相続の対象となります。多くの場合、配偶者であるあなたかもしくは子どもが相続の対象となります。しかしほかに相続人がいたりすれば、遺産分割の対象となり、話は少し面倒になります。贈与税の対象となるもし旦那さんの方が先にお仕事を辞めた場合、住宅ローンが残っていればその分はあなたが支払うことになります。この場合名義人はあなたのみとなるので、旦那さんからあなたに不動産が贈与されたこととなり、贈与税が課せられます。逆もしかりです。メリットデメリットでは少々暗い話を考慮する必要がありましたが、メリットは明るい話です。なんと税制において2つもトクするのです!住宅ローン控除を二重に受けられる住宅ローン控除は、購入価格の一定割合を所得税から税額控除できる制度で、年末の住宅ローン残高の1%が税控除できます。住宅ローン控除は夫婦それぞれが、自身の住宅ローンの残高に対して利用できます。しかし夫(共有者)が病気などで仕事を辞めざるをえなくて収入が無くなるようなことや将来的にあなたが出産などで仕事を辞めるなど、ライフスタイルの変化も考えられます。この場合、住宅ローン控除は使えなくなる可能性があるので要検討です。売却時の特別控除を二重に受けられる不動産を売却するときには、なんと3,000万円が控除されます(居住用財産の買換えの特例)。通常だと3,000万円しか控除できませんが、不動産を夫婦2人の名義で購入した場合は、これが6,000万円となります。不動産を売却した時に利益が出れば、税金がかかります。この際にかかる税金6,000万円分のは支払わなくて済むといった制度です。まとめいかがでしたか。共有持分にする場合、片方が病気になって収入減がなくなるなどといったことを考慮しなければなりません。しかし将来(さき)のことは分かりません。デメリットなどを考慮して不動産を選ぶよりも、購入資金や住宅ローンの支払いに少しでも余裕が持てる物件を選ぶことが肝心だといえるでしょう。
2018年03月04日不動産管理委託契約とは不動産管理委託契約とは、不動産オーナー(管理組合や個人投資家など)が管理会社(マンション管理会社など)にその物件の管理をお願いする契約のことをいいます。主にマンション管理を委託する契約のことです。マンション管理会社がマンション管理法に定める「マンション管理業者」である場合は、以下の業務を行う義務があります。マンション管理会社は、管理委託契約の締結前に一定の重要事項を説明しなければならない(マンション管理適正化法第72条)。マンション管理会社は、管理委託契約を締結するときに、一定の事項を記載した書面(通常は管理委託契約書)を遅滞なく交付しなければならない(マンション管理適正化法第73条)。不動産オーナーである大家さんは、不動産は所有していますがその資産を運用する知識に関してはうとい場合があります。自分で運用するよりも、その道のプロである管理会社に運用をお願いした方が運営はうまくいくとみて、管理会社に委託をお願いするわけですね。運用とは具体的に何をするのでしょうか。たとえば共用部分などの管理・修繕マンションやアパートといった集合住宅は、ほかの人も住んでいます。階段や廊下などといった共用部分は居住者全員が利用するので、管理が大変です。また不動産も人と同じように年をとります。古くなってきたら外観などを補修しなければなりません。これには膨大なお金が掛かるので、あらかじめ計画を立てる必要があります。入居者の募集また一番の問題は、高い収益を得るにも空室率をなるべく低くしなければなりません。しかし大家さんは不動産に限っては素人です。空室率が低くなるよう、なんならゼロになるよう運営するためにもプロの手ほどきが必要です。このように、マンション1つを運営するだけでも大変な労力と戦略が必要となります。それを一手に担うのが管理会社で、そしてその契約である管理委託契約には2種類があります。2種類の管理委託契約一般管理契約一般管理契約とは、契約の対象となる不動産の大家さんが行うはずの管理業務を管理会社が「代行」する契約のことをいいます。具体的な業務内容として、入居の際の「賃貸契約」や「入金管理」など入居者との事務手続きや、マンションの共用部分であるエレベーターなどの整備・保守、清掃作業などが挙げられます。併せて、一般管理契約を選択した場合のメリットとデメリットもみてみましょう。メリット:高い収益性が見込める賃貸契約の内容(賃料、礼金・敷金など)や条件を、大家さんが取り決めることができるため、比較的高い収益が見込めます。デメリット:空室率を考慮した入居募集と広告にリスクがあります上記メリットで先述したように、一般管理委託契約は大家さんと入居希望者が直接契約を結ぶ契約です。メリットでは高い収益性があると挙げましたが、それはあくまでも「入居希望者が契約書にハンコを押せば」です。入居希望者が入居するまでにその広告をうつ必要があり、管理会社によってはこの費用が高額なところもあります。広告をうっても入居者が決まらず、それによって空室率が高くなれば、当然家賃も入りません。サブリース契約(一括借り上げ管理契約)サブリース契約とは、不動産管理会社が大家さんから物件を借り上げて、その管理会社が入居者と賃貸契約を直接結ぶ契約形式のことをいいます。一般管理委託契約とはどう違うのでしょうか。メリットとデメリットについてみてみましょう。メリット:安定して家賃収入が得られる「一般管理契約」との最大の違いは、家賃滞納や空き部屋が生じた場合でも「家賃収入」の保証があることです。サブリース契約は、「保証賃料(管理会社が査定した相場賃料の90~95%の率をかけた料金が一般的)」が管理会社から大家さんにオーナーに払われることになります。また入居者との契約も、大家さんと入居希望者ではなく、管理会社と入居希望者との直接契約を行なうことになります。そのため、大家さんと管理会社による確認の手間や時間を省くことができます。デメリット:高い収益が見込めない一般管理委託契約と比べると高い収益性が見込めません。家賃収入が最大化しないのがデメリットです。また管理会社との契約や広告の確認の手間や時間が省けることをメリットとして挙げましたが、裏を返せば入居者を選定することができないことを意味します。特に気にしないという大家さんもいますが、モラルの低い入居希望者が入居する確率も高まるといえます。しかしサブリース契約を受ける管理会社も、トラブルは避けたいため、入居審査は厳しめに行うところも多いのでそんなに気にする必要もないと思われます。まとめいかがでしたか。今回は管理委託契約の種類についてみてきました。一見、安定的に収益が入るサブリース契約の方が良いように思われます。しかし、サブリース契約には落とし穴も多く、あまり良い印象を持たれていないのが実状です。サブリース契約の注意点については、また別記事でご紹介しますのでお見逃しなく!
2018年03月03日予告広告ってなに?予告広告とは、物件の価格や賃料が確定していない、直ちに取引することのできない物件(分譲宅地、新築分譲住宅、新築分譲マンション、新築賃貸用マンションなど)について、本広告に先立って販売時期などを広告するものをいいます。そのため予告広告は、価格などは未定のまま行われますが、私たち消費者が物件選択に時間的余裕が持てるよう、物件の存在を知るなどといった目的のためにその広告が認められたものです。また本広告とは、物件の申し込みなどを前提として行う広告のことをいいます。予告広告を行うには、法律的なルールが存在します(不動産公正取引協議会連合会)。各社はこれに従って物件情報を掲載し以下の内容表示を義務付けるものとなっています。予告広告であること価格が未定であること、または予定最低価格と予定最高価格、および予定最多価格帯を明示すること販売予定時期を明示すること予定販売戸数を一括で発売するのか、または数期に分けて販売するのか、または決まっていない場合はその旨本広告においては販売戸数を明示すること本広告を行うまで契約または予約に応じない旨、および申し込み順位の確保に関する措置を行わない旨また予告広告を掲載するには、以下2つの条件があります。予告広告を掲載する条件開発許可または建築確認が下りた時点で掲載予告広告を掲載した場合は、必ず本広告も掲載すること予告広告は先述したように、価格などは未定で行われる広告のことをいいます。そのため、予告広告では「未定」や「予定」といった用語が使われています。条件2の本広告において、予告広告では未掲載であった「販売価格」や「販売戸数」、「販売時期」などについて掲載する義務があるわけですね。予告広告を活用するメリットって?正式に販売を告知する本広告の前に掲載される予告広告を活用することで、私たち消費者には以下のメリットがあります。早期に販売前の物件を確認できるほかの物件と比較できるつまり、購入(賃貸)前までに時間的猶予があります。ここで物件探しのコツをご紹介しましょう!予告広告で気になる物件を発見したら、ぜひ資料請求をしてみてください。本広告が掲載された時点で請求先から連絡が入ると思うので、ほかの人よりいち早く情報収集やモデルルーム見学の予約ができます。
2018年02月10日まずは確認したい「不動産特定共同事業法」とは不動産特定共同事業法(以下、不特法)とは、投資家から資金を募って不動産を小口化したうえで、それを元に売買・賃貸し、その収益を投資額に応じて配当として投資家に分配する不動産事業のことをいいます。不特法は、事業主の適正な運営や投資家の利益の保護を図るために、この事業に対して「許可制」を設けているのが特徴的といえます。また不動産特定共同事業には主に2種類あります。出資者が所有権を持つことのできる「任意組合型」出資者は配当を受ける権利を持つが、所有権自体は事業者が持つ「匿名組合型」いずれにせよ、投資家が利益を得るには当然ながら事業主が重要となってきます。この事業主について説明していきます。法改正前の不動産特定共同事業を行うには?法改正前の不動産特定共同事業を行うには、主務大臣の許可を受ける必要があり、以下3つの条件が必要でした。宅建業の免許事務所ごとの業務管理者配置(自ら不動産特定共同事業の許可を得るために)資本金1億円以上が必要宅建業(大家業などの自ら賃貸業以外のこと)の免許が無いとなると、不動産会社でなければ事業主になることはできません。また仮に宅建免許を取得できたとしても、資本金1億円以上が必要ですので、多くの不動産会社はこれを行うことができずにいました。つまり分配利益を得る投資家の数は、そう多くはなかったといえます。これらの制度問題を解消するべく、本年度に法改正が行われました。不特法改正の背景と期待される効果とは現在、空き家の増加問題が社会的な問題として顕著となっています。また老築化の一途を辿る不動産を再生化し、市場に売り戻すことなどが喫緊の課題として認知されています。さらに当事業を行うには資本金1億円以上が必要であり、これでは中小企業である不動産会社が参入できず、結果、地方では良質な不動産ストックの形成が比較的難しいという問題がありました。これらの社会的背景を解消するために、不特法の改正が行われました。不特法を改正することで期待される効果は、以下のとおりです。空き家(空き店舗)の再生に伴う投資傾向の増加良質な不動産ストックの形成地方などの中小不動産企業事業参入不特法改正のポイントから、具体的にどのような効果(投資家にとってのメリット)が期待できるのかみてみましょう。新設:小規模不特定共同事業とは先述したように、従来の不動産特定共同事業は資本金1億円以上のある企業でないと当事業を行うことはできず、この条件によって、地方などの中小企業が参入しづらいといった問題がありました。これを解消すべく、今回の改正で小規模不特定事業を新設しました。業者が応募に必要となる要件を確認してみましょう。宅建業法の免許を受けており、資本金が1000万円以上で、かつ負債額が資産額の10%以下であり、主務大臣等による登録を受けた者(許可制から登録制に緩和)であること、などこれにより、不動産小口化商品で出資者を募ることのできる不動産会社が増えることが期待できます。つまりこれは、投資家目線でいえば「投資先がかなり増えた」「投資参入壁が低くなった」といえますまとめいかがでしたか。今までは資本金額や許可制などの厳しい条件があり、宅建業者は当事業に参入しにくく、また投資家もその影響で参戦しづらい状況でした。しかし今回の改正で、宅建業者の当事業への参入壁が低くなり、地方の業者でも参入しやすくなりました。伴って投資家が参入できる枠もかなり増えることが期待できます。
2018年01月28日指定流通機構(レインズ)とは指定流通機構(通称、レインズ)とは、宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構のことをいいます。不動産業者は、この指定流通機構に登録されたすべての物件を閲覧することができ、これにより買主に最適な物件を早急に見つけることが可能です。このような不動産流通の円滑化を目的に、全国に4法人(東日本、中部圏、近畿圏、西日本)の不動産流通機構が設立されています。指定流通機構の役割とは指定流通機構は不動産物件の情報を一元化しているコンピュータネットワークシステムですが、その役割は何でしょうか。不動産流通機構の役割として、以下の3つが挙げられます。不動産情報の交換不動産業者が売主の依頼により媒介契約を受けた場合、指定流通機構に物件情報などを登録する必要があります(一般媒介契約の場合は依頼者の任意)。上述したように指定流通機構は、登録された物件情報すべてを不動産業者が閲覧できるようにしています。こうすることで、迅速に買主を見つけることが可能となります。指定流通機構は、不動産流通の円滑化が促進される働きを担っているといえるでしょう。成約情報の集約登録した物件の売買契約が成立した場合、不動産業者は以下の項目を指定流通機構に通知する必要があります。『登録番号、売買契約の年月日、取引価格』不動産業者がいつまでも成約済みの物件情報を掲載していては紛らわしいので、成約したらすぐにその旨を指定流通機構に通知する義務があるのですね。ところで、物件価格はどのようにして決められているかご存知ですか。実は物件の販売価格などは、不動産業者が対象物件の近隣の成約価格(実際に販売された価格)を基にして決めています。指定流通機構は、この成約された物件情報を集約することで、不動産業者が次の取引を適切に行えるよう、その環境を提供しているのです。取引情報の提供近年インターネットが普及したことから、私たち消費者は不動産取引情報をスマートフォンなどで収集するようになりました。私たちは不動産に関しては素人なので、相場関係が分かりません。これでは不動産取引時に情報弱者となるといった懸念から、指定流通機構は不動産取引情報提供サイト「RMI(レインズ・マーケット・インフォメーション)」を公開しています。このサイトでは、指定流通機構が保有している成約物件の情報を、私たち消費者でも閲覧できるようになっています。こうすることで、私たち自身の目で取引の相場価格を把握することができ、安心して取引を行うことができます。まとめ不動産業界には、取引流通の円滑化や購入者の利益保護を図るべく、物件情報などを指定流通機構に一元化していることが分かりましたね。不動産業者は不動産取引のプロではありますが、常に正確な情報を提供しているとはいえません(しないと犯罪ですが、私たち素人ではわからない情報もあり隠そうとします)。不動産取引を行う際には、ぜひご自身の目で指定流通機構のRMIで取引相場を確認するようにしてみましょう。
2018年01月23日身近な法律家「司法書士」とは司法書士とは、一般的に不動産売買時や会社設立時に必要となる『不動産登記』を行うスペシャリストといった認識があります。司法書士の主要業務には、大きく分けて以下の5つが挙げられます。登記業務(不動産、会社設立など)成年後見に関する業務相続・遺言に関する業務債務整理に関する業務裁判業務私たち一般消費者が司法書士と関わる機会は少ないのですが、実は人生で重要な場面でお世話になっているのです。たとえば「1.登記業務」なんかは、その最たる例といえるでしょう。司法書士が私たちの生活をどのようにして支えてくれているのか、具体的にみていきましょう。司法書士の役割とは登記とは上記1で挙げた登記業務(不動産)は、私たちの生活を支えてくれている良い例といえるでしょう。不動産登記とは、土地や建物の「物理的な状況」や、その不動産が誰から誰に移ったかなどといった「権利の変更」を、法務局の登記簿に記録し、国民に広く知らせる制度のことをいいます。司法書士は上記でいうところの「権利の変更」に関する登記申請を、私たちの変わりに行ってくれます。なぜ代わりに申請してくれるのでしょうか。それは「登記の必要性」に答えがあります。登記の必要性とはそもそも登記とはなんぞや!?って感じですよね。登記とは、第三者に対して「これは私の権利だ!」と主張することのできる権利(対抗力)のことをいいます。たとえばあなたが、不動産をAさんから購入するとしましょう。しかしAさんは、あなたの他の人にもその不動産を売却したとしましょう(二重売買といい、実際にこのようなケースは多くあります)。これでは所有者が2人になってしまい、争いが起きてしまいますよね。この場合あなたならどのようにして権利を主張しますか?向こうも当然、自分が先だ!と主張してきます。こうなっては争いになってしまいますよね。法律に無知な私たちはどうすればよいのでしょうか。争いを避けながらも「これは私が先だ!」と主張するためにも、登記を行う必要があります。上記のように、民法など人との争いには法律が絡んできます。ご存知のように法律は複雑なため、私たちのような素人では到底太刀打ちできません。しかも一生に一度しか買い物をしない不動産なんて、なおさらですよね。そこで法律のプロである司法書士に、自身の財産を守ってもらうように登記申請を依頼するのですね。直接依頼しなくても良いから気楽!しかも、司法書士への依頼は“不動産屋さん”がやってくれます。不動産購入の費用の中に「司法書士への依頼報酬(約5万円ほど)」があるのですが、自分の財産を守ってくれるための費用と思えば、安いものですよね。まとめ司法書士は、私たちの財産を他人から守ってくれる身近な法律家です。直接関わることは少ないですが、いざという時には最も頼りになる存在です。これからマイホームを購入される方は、物件の引き渡し時に司法書士の先生と立ち会うこととなるでしょう。有事の際にはぜひ、その先生に頼ってみてはいかがでしょうか。しかし「なんだか敷居が高いな・・・・」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は、不動産屋さんに相談してみるのもひとつの手です。不動産や金融に関する相談はもちろん、案件によっては司法書士の先生に繋いでくれるので、気軽に相談してみましょう。
2017年12月21日建築基準法とは建物を建てる際の敷地や構造、設備及び用途に関する守るべき最低基準を定めている法律のことをいいます。1950年に制定された建築基準法は、国民の生命、健康および財産を保護すべく、都市計画法、宅地造成等規正法、消防法などさまざまな法律の規制を受けます。このことから、建築基準法は建物を建築するうえで最も基本となる法律とされています。そのため、着工前の「建築確認」や工事中の「中間検査」、工事完成後の「完了検査」、違法建築物の「是正勧告」などについての規定も定められています。また建築基準法は以下の2種類に大別することができます。建物自体の安全性や構造・防災・衛生などについて定めた「単体規定」都市の防災や環境向上などの観点から定めた「集団規定」1の単体規定では、具体的には居室の採光(床面積の7分の1以上)や換気(20分の1以上の開口部を設ける)、トイレ、電気設備など、個々の建物を建築する際の基準がまとめられており、全国一律に規定されます。一方、2の集団規定では、敷地と道路に関する基準(接道義務など)、建物の用途や形態に関する基準(建ぺい率や容積率、高さ制限、各種斜線制限など)、都市再生特別地区等、防火地域、景観地区などが集団規定に当たります。また集団規定は、都市計画区域及び準都市計画区域に限ってその規定が適用されます。建築前に確認したい代表的な法令とは建物の建築には、実に多くの法令が絡んでいます。その代表例が、上記で述べた「建築基準法」といえます。建物建築時の基準となるこの法律ですが、そもそもほかの法令も理解していないと、これを理解することは難しいといえるでしょう。数ある法令の中でも、建築基準法と密接に絡んでいる都市計画法について確認してみましょう。都市計画法都市計画法とは、都市の将来あるべき姿(人口、土地の利用方法、主要施設等)を想定する都市計画に基づき、必要な事項を定めている法律のことをいいます。都市計画法では、計画的に街づくりを行う「都市計画区域」と、都市計画区域外の区域で放置すれば、将来、都市としての整備や開発、保全に支障が生じるおそれのある区域であるとして指定される「準都市計画区域」があります。また都市計画区域内では、積極的に市街化する「市街化区域」と、市街化を抑制する「市街化調整区域」とに線引きします。この市街化区域内では、異なる地域が混在しないよう、その地域ごとの用途や使用目的に合った建築物が建つよう、地域ごとに細かく分けられます(例:住宅地と工業地を分ける、など)。これを「用途規制」といいます。建物を建てるには、建築基準法に適しているかどうかを確認する前に、まず都市計画法に適しているかどうかを確認しなければならないといえるでしょう。
2017年11月30日『サザエさんの「花沢不動産」はなぜ潰れないのか?現役不動産屋が教える仕事とカネの裏事情』(齋藤智明著、宝島社)とはユニークなタイトルです。花沢不動産といえば、アニメ『サザエさん』にも頻繁に登場する磯野家のご近所。娘の花子はカツオの小学校のクラスメートで、「アハハ!」という豪快な笑い声と「磯野くーーん!」と呼ぶダミ声が印象的な女の子。将来はカツオと結婚して花沢不動産を継ぐという夢を持っています。花沢不動産もたびたび登場しますが、たしかにいつも店内にお客はゼロ。それなのに、社長で花子の父・金太郎はカツオにお寿司やうなぎをご馳走するなど、むしろ羽振りがよさそう。こうした“お客がいないのに潰れない”不動産屋、身近でもけっこう目にしますよね。そんな不動産屋あるあるについて、自らも不動産会社で働く著者が著したのが本書。そのなかから、タイトルにもなっている“客のいない花沢不動産の羽振りがいい不思議”の項に注目してみましょう。■花沢不動産のメイン業務は「賃貸管理」著者によれば、不動産会社にはデベロッパーとも呼ばれる「開発型」や不動産の有効活用に関する提案を行う「コンサル型」など、12もの業態があるそう。各社、このうちいくつかの業務を行い利益をあげるわけですが、花沢不動産の場合、「賃貸仲介型」と、大家さんから賃貸物件をあずかり管理する「賃貸管理型」の業務をメインに行っているようだ、と著者。「賃貸仲介型」は、文字通り賃貸物件を探している人々に物件を仲介し、仲介手数料を得る業態。窓にはびっしりと広告が貼られ、わたしたちが部屋を借りようと思ったときに訪ねる場所です。しかし、花沢不動産には、そんなお客さんがいたことはありませんよね。そこで重要になってくるのが「賃貸管理型」業務です。■賃貸管理型は縁の下の力持ち的な存在!「賃貸管理型」は、大家さんから直接物件の管理を任され、庭や建物の共用部分を定期的に掃除したり、家賃を集めたり、事故やクレームの対応をしたりと日々の建物の管理をします。部屋を借りようと思って名前の通った不動産会社の店舗を訪ねると、営業マンが適当な物件をみつくろい、その場で電話をかけて「○○アパートの××号室は案内可能ですか?」と確認しますが、その相手こそ、この賃貸管理型不動産屋。花沢不動産のような賃貸管理型の不動産屋は、そうした内見に備え、普段から空き物件を訪ねて換気をしたり、室内のほこりをきれいに掃除したりとメンテナンスを怠りません。隠れた苦労が多い賃貸管理型の不動産会社は、まさに縁の下の力持ちといえそうです。■花沢不動産のお客さんは地域の大家さん借り手が部屋を気に入れば契約成立。ここからやっと、賃貸管理型不動産会社のもうけが発生します。まず契約時。借り手は物件を仲介した不動産会社に仲介手数料を支払いますが、物件管理型の不動産会社は大家さんから仲介手数料を受け取ります。さらに、物件を管理すると定期的な収入が見込めます。まず、家賃の集金代行手数料。相場は家賃の3~5%で、かりに5%とすると家賃10万円×0.05=5,000円。部屋数100室、家賃平均10万円の物件を管理すれば、これだけで毎月50万円の収入になります。このほか、入居者から鍵交換手数料、保証会社をつければ保証委託契約の手数料、火災保険加入手数料などなど。2年ごとに訪れる賃貸契約の更新時手数料は、貸し手と借り手双方からダブルで受け取っているのだそう。花沢不動産の主なお客さんは、地域の大家さんたちだったのです。店内にお客がいなくても経営が安定しているのは、大家さんたちをしっかりとつなぎ止めているからなんですね。*このほか本書では、なかなか知ることのできない不動産業界の裏事情がたっぷり紹介されています。興味深いのは、良心的な不動産会社を見分ける方法。たとえば、賃貸物件を借りたときに支払う「賃貸仲介手数料」、“仲介手数料1ヶ月分”という表示を見かけますが、じつは規定額は家賃の0.5ヶ月分で、利用者の承諾があれば1ヶ月分まで受け取れるというルールなのだといいます。つまり、知らないうちに必要以上の金額を支払っている可能性があるのです。逆に“仲介手数料0円”の場合も、礼金を2ヶ月分としてその半額を大家さんから受け取るケースがあるとか。いずれにしても、良心的な対応を期待できる会社ではありません。雑学としてだけでなく、実用的な知識も満載。物件を借りたり買ったりする前にも読んでおきたい1冊です。(文/よりみちこ) 【参考】※齋藤智明(2016)『サザエさんの「花沢不動産」はなぜ潰れないのか?現役不動産屋が教える仕事とカネの裏事情』宝島社
2016年04月03日富士通とみずほ銀行、富士通研究所は3月9日、取引履歴の改ざんが事実上不可能なブロックチェーン技術を応用し、国境を越えた証券クロスボーダー取引の決済業務に要する期間を、従来の3日間から即日に効率化するための実証実験を共同で実施したと発表した。これまでも、証券クロスボーダー取引の決済プロセスにおいて、集中管理によるデータ共有することで決済に要する日数を短期化することが検討されてきたが、システムの運用管理コストが大きくなるなどの課題があり、実現できていなかった。実証期間は、2015年12月~2016年2月(実施済み)で、今回の共同実証実験にあたり、みずほ銀行は証券決済業務のノウハウの提供、富士通は実証システムの開発・評価・検証、富士通研究所はブロックチェーン技術の適用検証をそれぞれ担当した。今回の実証実験の目的は、ブロックチェーン技術を活用し、大規模な決済システムを新規に構築することなく、約定情報を改ざん不可能なデータとして瞬時に共有・決済できる仕組みを構築することで、約定から決済までの期間を従来の3日間から即日に短縮。低コスト・低リスクな証券クロスボーダー取引を実現するとしている。実証実験は、ブロックチェーンのOpen Assets Protocolを応用し、富士通のクラウド環境上で、1件の約定情報(対象銘柄、株数、通貨コード、金額、決済国、決済方法、決済日)を1つの関連したブロックとして記録し、ブロックチェーンを形成するシステムを構築。同システムで生成される約定情報を含むブロックは時系列にブロックチェーンとしてつなげられ、改ざん不可能な情報となる。さらに、その情報が複数社間で共有できることから、結果として決済業務の時間短縮が可能なことを確認した。今後、3社は今回の共同実証で得られた結果を活かし、2016年3月以降、証券クロスボーダー取引におけるブロックチェーン技術の適用実現に向けた方針を検討していくという。
2016年03月09日日本IBMは2月16日、日本取引所グループと共同で低トランザクション市場を想定したブロックチェーン技術に関する実証実験を3月より支援することで合意したと発表した。両社は、ブロックチェーン技術の特性を長短所の両面から早期に把握し、ブロックチェーン技術の評価と低コストでの運営可能性を検証する。実証実験では、業界標準として広く普及する可能性、各種認証方式やプライバシー要件、複数資産カテゴリー、複雑な業務処理への適用を勘案し、オープンソース・コミュニティ「Linux Foundation」が提唱するハイパーレジャー(Hyperledger)プロジェクトのフレームワークを利用する予定。日本IBMは今回の実証実験で、IBM東京基礎研究所を含むIBMリサーチとの連携や、金融機関を含む60社を超えるグローバルでの顧客との検討実績といったグローバルのネットワークを生かし、支援を推進していく。
2016年02月16日●サービス誕生の背景にある、不動産市場の課題テクノロジーの力によって不動産業界に革新的な変化をもたらそうという「リアルエステート・テック(不動産テック)」という言葉が、金融業界で盛り上がる「フィンテック(金融テック)」と並んで昨年から話題になるようになってきた。不動産テックとは、これまで不動産会社が管理してきた中古物件の様々な情報をオープン化し、インターネットを通じて一般消費者が自身の物件価値の把握や売買のために有効活用することができるようにしようという動きで、今回取材したヤフーとソニー不動産が共同で運営する「おうちダイレクト」をはじめ、不動産情報サイトのHOME’Sが開始した「PRICE MAP」、求人サービスで知られるリブセンスが開始した「イエシル」など、既に様々なサービスが生まれている。こうした不動産テックは従来の不動産取引にあるどのような課題を解決し、何を目指しているのか。不動産の個人売買プラットフォーム「おうちダイレクト」をソニー不動産と共同で運営する、ヤフー 不動産本部で「Yahoo!不動産」のサービスマネージャーを務める山口隆志氏に話を伺った。2015年11月にサービスインした「おうちダイレクト」は、マンション所有者が自分自身で物件価格を決定して売り出し、購入検討者と直接対話しながら物件を売却することができるサービスだ。売買交渉のサポートや重要事項説明、売買契約や引き渡し時の手続きといった法令で定められている不動産取引業務は、ソニー不動産がサポートするという。そして、マンション所有者が自分の物件価値を把握するために、過去の売買履歴を基にしたビッグデータと、ソニーとソニー不動産が共同開発した機械学習ソリューションによって、物件の資産価値を独自のアルゴリズムで推定する「不動産価格推定エンジン」を提供している。実際に売り出すことができるマンションは現在のところ東京都23区内に限られているが、不動産価格推定エンジンのデータベースの量は既に1都3県の約5万棟のマンションに及ぶ。山口氏は、このサービスを生み出した背景について、現在の不動産市場が抱える課題を挙げている。それは、“一度購入した新築物件に一生住み続ける”というライフスタイルそのものに対する疑問だ。「本来であれば、子どもの成長などライフスタイルの変化に合わせて住み替えていくという選択肢があってもいいはず。しかし、日本では自分の所有する不動産をどのように活用していくのかという点に対するリテラシーが少ないのが現状だ」と山口氏は説明する。実際に、日本の住宅流通戸数に占める中古物件の割合は、約14.7%。これは、米国と比べると8分の1程度と非常に少ない数字だ。「日本では人口が減少し、空き家が増加しているのにも関わらず、その住戸活用が米国に比べて進んでいない。都市部における新築マンション建設が土地の枯渇などを背景に限界に達しようとしている中で、このままの状況では不動産市場そのものが減速してしまうという懸念がある」(山口氏)ではなぜ、私たちは購入したマンションを手放すことができないのか。最も大きなネックは、住み替えに掛かる膨大なコストだ。例えば、売却するために必要な手数料や税金などは、100万円以上掛かる場合があり、それに住宅ローンの残債、新居への引越し費用を加えると、コストは三重構造になる。加えて、不動産会社の査定に基づく肝心の物件売却価格は、提示されても情報不足のためにその良し悪しを判断することができず、結果的にこうしたコストを吸収できない場合が多い。山口氏によると、「おうちダイレクト」はこうした不動産売却時にマンション所有者が感じる不透明感や、コストファットになる構造をテクノロジーによって解決しようと生み出されたのだという。「もちろん、普通の人は複雑な手続きを代行してくれる不動産会社へ売却することが当たり前だろう。しかし、私たちは従来の方法での売却に(コスト負担などの点で)抵抗があった消費者に新しい選択肢を提供することによって、不動産売買のマーケット全体が拡大し、中古物件の市場そのものが活性化するのではないかと考えている。売買プロセスを見直し、ユーザー自身がDIY的に売却することができる環境を作ることで、売却する人にとっては住み替えるコストの最適化が期待できる。そうすれば、“住み替えたいけれど、動けない”という人々が動き出すのではないか」(山口氏)しかし、山口氏はこの個人が不動産物件を売却するというスタイルは、従来の不動産業界のエコシステムを駆逐する存在にはならないとしている。あくまでも、これまでどおり“住み続けるか”、“高いコストを掛けて住み替えるか”という2択の間で沈黙していた潜在顧客を呼び覚ますための、有力な“第3の選択肢”を生み出すことを目的としているという。「このサービスが、従来の不動産売買に取って代わりメジャーな存在になるとは考えていない。しかし、大きな選択肢のひとつになるのではないかと考えている」(山口氏)●反響は大きいものの、物件数の増加には啓蒙・啓発が課題このような考えを背景にスタートした「おうちダイレクト」だが、その滑り出しはスロースタートだ。サービス開始時は売り出せる物件の対象地域が都内6区に限られていたという事情があるものの、実際に公開されている売却物件数は十分とは言えない。この点について、山口氏は「多いか少ないかと言われたら、もう少し頑張らなくてはいけない数字。満足はしていない。しかし、自分の所有物件の価値を検索する機能の利用者は昨年12月時点で目標を達成しており、問合せも多い。潜在顧客の取り込みには成功しているのではないか」と評価する。なお、今後掲載する予定の審査中物件も控えているという。それでは、今後どのような戦略で物件数や利用者を増やしていくのか。1月14日に開始した売り出し物件の対象エリア拡大に加え、“自分自身で所有している不動産を売却する”という考え方そのものの啓蒙・啓発、そして実際の手続きのサポートが課題だという。山口氏によると、昨年12月と今年1月にはマンション売却を検討している人を対象にしたセミナーを実施。従来の売却方法と個人売却がどのように違うのか、実際にどのようにサービスを活用するのかなどについて説明を行い、質疑応答や個別相談も実施したのだという。「“自分で物件を売るとはどういうことか”という点の理解を深めてもらい、サービスに対するハードルを下げていきたい」(山口氏)また、これまでは不動産会社に任せていた物件広告の制作、書類の用意、売却時のリフォームやクリーニングなどをサポートするようなサービスも検討しているとのこと。そして、現在は1都3県に限定している不動産価格推定エンジンのデータベース量の拡大にも意欲的だ。「目指しているのは、世の中の全ての不動産情報をオープン化すること。自分の住宅の価値がどのような要素で決まっているのかを米国並みにクリアにすることで、不動産取引の透明性を確保したい。また、自分の住宅に対する投資(リフォームや修繕など)を物件価値に反映できるようにすることで、投資対効果を明確にしたい」(山口氏)。○社会の課題に対して、ひとつの選択肢を提示したいこのように、ヤフーとソニー不動産が物件の個人売買に本気で乗り出し、他社も様々なサービスを生み出して不動産テックを盛り上げている背景には、「2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場を倍増させる」という国の政策がある。山口氏も、新築マンションの着工件数が減少していることなどを踏まえて、「中古住宅市場が活性化するポテンシャルは十分にある」と語り、今後も「おうちダイレクト」のサービス拡充に取り組んでいきたい考えだ。「市場における勝者になるつもりはない。社会の課題に対してひとつの選択肢を提示するという意識で取り組んでいる。今後も、従来の不動産取引に対する疑問を解決するような挑戦は、様々な企業から生まれてくる。テクノロジー業界だけでなく不動産業界からも色々なチャレンジを生み出されれば、消費者の選択肢は更に増えるのではないか」(山口氏)そして、物件の個人売買が不動産所有者にとって有力な選択肢となるために、同社ではユーザーの声を踏まえて、物件の歴史や地域の情報を網羅したデータベースの網羅性の確保などサービスの改善に取り組み、売買事例を増やしていきたい考えだ。「まずは利便性を追求し、個人売買に対する不安を解消していくことによって、サービスに対する門戸を広げていきたい。キャズムを超えるまでは、サービス開発に徹底的に投資をして、本気で取り組む。数年後には、個人が物件を売却する“個売”が不動産所有者にとって有力な選択肢となる時代を生み出していきたい」(山口氏)
2016年02月09日不動産投資に関する書籍は多く、しかしその多くはメリットばかりを強調する傾向にあります。でも現実的にはリスクも大きいものであるだけに、石橋はしっかり叩いて渡りたいところ。そこでおすすめしたいのが、『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』(ふどうさんぽ著、御井屋蒼大監修、日本実業出版社)です。著者の「ふどうさんぽ」とは、不動産投資家を目指す、あるいはすでに不動産を所有しているメンバーと、不動産投資に関する情報交換をするサークル。メンバーは1,000人を超え、中心メンバーは億を超える資産を持つ経験値の高い人達ばかりなのだとか。つまり本書では、豊富な経験に基づいた、さまざまな失敗事例が紹介されているわけです。しかし、それらを理解するためには、まず基本を知ることが重要。そこで、不動産投資の基本をおさらいしてみましょう。■「利益を得られる物件」を購入するべし不動産投資は、「購入して、保有(運用・管理)して、売却する」という3つの基礎構造によって成り立っているもの。購入手順はマイホームを買うときと同じで、物件を探してもらい、それに見合った物件が見つかれば紹介を受け、気に入れば購入、となります。しかし、ここで重要なのは「利益を得られる物件を購入しなければならない」ということ。「利益を得られる物件」を自分でイメージでき、具体的に条件を書き出すことができなければ、不動産仲介業者に自分の希望を伝えることは不可能。また購入時に銀行から融資を受けることも考えると、「利益が得られて、融資が受けられる」物件であることが必須となるわけです。たとえば相場で5,000万円の物件を、誤って6,000万円で買ってしまったとします。この物件で年間100万円のキャッシュフローが得られるとすると、10年間に1,000万円のプラスとなります。しかし10年間でローンの残高が4,000万円まで減ったものの、売却したら経年変化もあって3,000万円でしか売れなかったとなれば、キャッシュフローのプラス分1,000万円とキャピタルロスのマイナス分1,000万円で、差し引きトントンになってしまうことになります。もちろんオーナーは10年にわたり、不動産投資家としてきちんと働いてきたはず。ところが、最初に相場より高い物件を買ってしまったため、その労働すべてがチャラになってしまうということ。でもトントンならまだマシで、マイナスになってしまうこともあるのだとか。そんな場合は10年間タダ働きだったということになるだけでなく、「働いてお金をロスする」という意味不明の結果になってしまうのです。■必ず相場よりも安い物件を購入するべしこの例からもわかるように、「相場より高く買う」という失敗は、絶対に避けなければいけないと著者は強調しています。大切なのは、まず購入時に正確な相場を学び、必ず相場より安く、無理なら相場と同等の金額で購入すること。そしてそのためには、誠実で信頼できる不動産仲介業者から紹介してもらうべきだといいます。■物件の「売却額」も自分で算定するべしまた売却の際にも不動産仲介業者に協力してもらいますが、キャピタルゲインをいくら得られるかを計算し、売却額を自分で算定することが必要。相場を知るのはもちろんのこと、ローン残高を考えて、「これより下回ったらトータルでいくらの損になるのか」を知らなければならないということ。また、売買のタイミングも自分で知るべき。建物が劣化して使えなくなってから売るのか、使えなくなった建物を壊して土地だけ売るのか、減価償却が終わったタイミングで売るのかなどによって、利益が変わるのです。こうしたことをすべて考えたうえで、「どのような条件で手放したいか」を伝え、それに見合った広告を出してもらい、買い手を紹介されて売却となるわけです。そして購入時の金額と売却するときの差益がプラスであればキャピタルゲインとなり、マイナスならキャピタルロスとなるということ。もちろん世間の経済状況にも左右されるでしょうが、しっかり勉強し、必要ならコンサルティングなどプロのアドバイスに耳を傾けることが大切。そうすれば、好景気でも安く購入することや、不況でも利益を出して売却することが可能だと著者はいいます。*こうした基本をベースに、以後の章では数多くの失敗事例が具体的に紹介されています。「不動産屋さんと会話がかみあわなかった」というようなコミュニケーションの問題から、「部屋のなかで孤独死が発生してしまった」というようなシリアスな話までさまざま。不動産投資に関心があるなら、手にとってみればきっと役に立つ内容だと思います。(文/書評家・印南敦史)【参考】※ふどうさんぽ(2015)『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』日本実業出版社
2016年01月27日ソフトバンク・ペイメント・サービス(以下「SBPS」)は、実店舗や訪問販売などで利用できる対面取引でのクレジットカード決済「端末決済サービス」の提供を、2016年1月19日から開始すると発表した。対象は法人・個人事業主。利用には、通信機能を備えたスマートフォンやタブレットが必要で、これらとクレジットカードリーダー兼PINパッド(年21,000円(税別)でレンタル)や、レシートプリンタ(買取で22,200円~(税別))が必要になる。対応カードは、Visa、MasterCard、UnionPay(銀聯)、JCB、American Express、DinersClub INTERNATIONAL、DISCOVER。利用料金は初期費用や月額利用料は無料だが、決済ごとに決済手数料が必要(料金は要問合せ)。同社では、近年のクレジットカードとポイントサービスなどの連携による対面取引でのクレジットカード決済のニーズの高まりや、訪日観光客を中心にクレジットカード決済の需要が伸びることを見据え、このサービスの提供を開始したという。
2016年01月19日こんにちは、恋愛作家の片瀬萩乃です。仕事中、社外で関係が発展する可能性が高い相手は誰だと思いますか? それは、取引先の人。毎日会えるわけではないですが、自分が担当している場合は会う頻度も高くなるものです。今回は、取引先の人との距離の縮め方についてお話ししたいと思います。■情熱はあくまでも仕事に向ける仕事を通じで知りあったわけですから、仕事をしっかりするのは当然のこと。取引先の人ですから「うちの担当は、仕事への情熱が薄い」と思われると、あなた自身の評価も下がってしまいます。あくまでも情熱は仕事に向けてください。たとえば、気になる彼のいる会社の担当でしたら、積極的に「何かありましたら、私の方にご連絡いただければ対応させていただきます」と伝えること。あなたが窓口だと理解してもらえるうえに、仕事に対して真摯(しんし)に取りくんでいる人だという印象を彼に与えられることでしょう。「でも、彼に良く思われたい! という下心があってもいいの?」と思うかもしれませんが、大丈夫! むしろその下心が仕事へのパワーになるなら、どんどん利用してください。■イチにもニにも笑顔が大切取引先の女性にときめくポイントは、何といっても笑顔だそうです。ということで、どんなときでも笑顔で対応できる女性でいることが大切!仕事が大変なときも彼の前では笑顔で取りくむ姿勢を見せることは、会社としてもひとりの女性としても大きな評価につながっていきます。■覚えられる=うれしい!私が会社員として働いているとき、前任の先輩が得意先のリストをもっていました。引きつぎのときにそのリストを受けとったところ、「○○会社 ○○さん コーヒー苦手(お茶がよい)」という情報が書かれていたのです。お茶出しをするときも、リストの情報通りにいれると「前任の○○さんは、かゆい所に手が届くタイプで、私たちも助かりました」とおっしゃっていました。このように、彼の情報もメモしておきましょう。たとえば、飲み物ひとつでも「コーヒーはブラックでしたよね?」というだけで、相手に「こんなことも覚えてくれているんだ。気のきく女性だ」という印象をもたれます。■お酒の席をセッティングしようプロジェクトがスタートするときや終わったときに飲み会が開催されるというケースがあります。とはいえ、お酒を楽しむのは上の人たちばかり…なんてことも少なくありません。そんなときは、自分たちと年齢が近い人たちに「せっかくこの大きなプロジェクトが成功したので、みなさんで飲みに行きませんか?」と声をかけてみてはどうでしょうか。参加者の年齢が近ければ、相手も気軽なノリで付きあってくれるかもしれません。このときに連絡先を聞いておくと、プライベートな連絡がスムーズにできます。ふたりで飲みに行きたい気持ちもわかりますが、まずは複数からの方が会話も弾みやすいもの。ふたりで会うのは、彼のプライベートの趣味などを聞いてからでも決して遅くありません。■恋人(妻)の有無をチェックするには取引先の人に恋人や配偶者がいるかどうかは、なかなか判断しにくいもの。既婚男性の全員が指輪をしているとも限りません。そんなときは「おしゃれなネクタイですね! どこで買われたんですか?」という質問をしてみましょう。結婚している場合「妻が買ってくるので、わからないんです」と答えることが多いです。このように、相手をほめながらプライベートを引きだすことで、自分の恋心を知られることなく相手の情報を手にいれられるので、オススメです!仕事をするようになると、出会いは少なくなると思うかもしれません。しかし、視野を広げることで、じつは運命の相手は日常に潜んでいることに気づくのです。意識してまわりを見わたしてみてください。いま関わっている取引先の彼は、もしかしたらあなたの運命の相手かもしれませんよ?
2015年12月25日日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会は12月17日、「企業顧客による取引先変更状況に関する調査」を実施し、その結果を公表した。同調査は、過去に取引先を変更したことがあるユーザー企業と取引先企業の接触状況と、両者の間で接点となる各媒体の役割を把握することを目的とし、同調査委員会とWest Webマーケティング委員会が共同で行ったもの。調査は、10月9日~14日の間に、BtoBビジネス3業種(電子部品・材料/建材・住設機器/ドキュメントソリューション)において過去5年以内に取引先を変更したことがある企業担当者を対象として実施し、回収数は3,000となる。これによると、ユーザー企業が変更後の取引先を候補に入れたきっかけとして最も多くあがったのは「過去の取引経験があった(48.0%)」で、次いで「営業を受けた(46.7%)」「当企業のWebサイトを見た(44.0%)」という結果に。過去の取引経験や営業、企業Webサイトの間で大きな数値の違いは見られなかった。また、取引先を変更するに至った案件が発生するまでに、ユーザー企業と取引先企業との接点となった媒体としては、「企業Webサイト(42.5%)」と「カタログ・パンフレット(42.4%)」が最も大きな割合を占め、次いで「メーカーの営業(34.5%)」との回答が多い結果となった。加えて、取引先を変更するにあたり、各選定理由がどの程度影響を与えたかを尋ね、それぞれについて、企業Webサイト閲覧者と非閲覧を比較した結果、いずれの選定理由においても、企業Webサイト非閲覧者より閲覧者に対して影響を及ぼしていることが分かった。特に、変更後の取引先を選定した理由としては、「性能と要件の適合度」に関して、閲覧者が非閲覧者を大きく上回る結果となっており、Webサイト閲覧者の方が非閲覧者のグループよりも、メーカーや製品をより理解して選定している可能性が高いと考えられるという。
2015年12月18日日立製作所(日立)は12月17日、スマートフォンを用いたキャッシュカードレスの金融取引を実現する「日立モバイル型キャッシュカードサービス」を、国内の金融機関向けに販売を開始した。同サービスは、通常はキャッシュカード内に保管されている口座番号などの情報を、NFC対応のスマートフォン(Android搭載端末)に格納し、モバイル型キャッシュカードとして利用可能とするもの。利用者は、金融機関が提供するスマートフォンアプリを使用して、現金の引き出しなど希望する取引内容を事前に登録し、営業店窓口やATMに設置された読み取り端末にかざすことで、取引を完了することが可能となる。これにより、同社では、キャッシュカードの携帯や窓口取引での伝票記入・印鑑使用が不要となるほか、金融サービスの利用開始手続きを簡易化するとしている。モバイル型キャッシュカードの発行は、スマートフォン上での利用申請と専用アプリケーションのダウンロード・設定を行うことで完了するため、金融サービスの利用開始手続きを簡易化し、利用開始までに要する期間を大幅に短縮させることが可能となっている。また、ATMでの取引時にも、金融機関が提供するスマートフォンアプリに取引内容を事前登録すれば、NFC対応のATMにスマートフォンをかざすことで、取引が可能となり、インターネットでの取引も、モバイル型キャッシュカードが発行されれば、個別に利用申し込みを行うことなく、利用開始できるという。同サービスは、スマートフォンにキャッシュカード情報を搭載するためのシステム構築を支援する「日立モバイル型キャッシュカードサービス(基本サービス) 」と、モバイル型キャッシュカードを各取引チャネル上で利用可能とするためのシステム構築を支援する「日立モバイル型キャッシュカードサービス for 営業店」、「日立モバイル型キャッシュカードサービス for ATM」、「日立モバイル型キャッシュカードサービス for インターネット」の4種が用意されている。価格はいずれも個別見積もり。基本サービス以外は2016年度上期に提供開始の予定となっている。
2015年12月17日三井物産クレジットコンサルティングは12月14日、海外企業との取引(貿易取引・現地取引)におけるクラウド型リスクマネジメントサービスツール「みんなの海外取引 CONOCER(コノサー)」を正式に運用開始した。同ツールは、取引先所在国、取引の形態、自社の立場(買い手か売り手)をプルダウンで選択、クリックすることで取引のリスクポイントがわかり、さらに海外取引(貿易取引・現地取引)における情報収集、分析、判断が可能なクラウド型サービスとなる。取引先の決算書(財務諸表)を基に格付が提供されるほか、「国」・「形態」・「自社の立場(売り・買い)」「決済条件等」という4つの質問に答えてクリックすることで、取引パターンに応じた「取引の特徴・注意点」の概要を把握することが可能。また、法人情報を登録すると、4段階のカントリーランクを確認することができるという。さらに、取引に関して収集した情報を「チェックシート」に入力、保存することで、情報整理が可能となり、整理した内容を基に取引の問題点や評価点を比較分析することで、取引推進可否判断の根拠を可視化し、蓄積することを可能としている。加えて、チェックポイントに対する回答やコメントを入力した結果を、レポート(PDF)として出力可能なほか、海外固有のリスクであるカントリーレポート、アジア・マーケット情報、海外企業調査レポートなど、取引パターン、取引内容に即した情報を取得することができる。
2015年12月14日多国間不動産トランザクション事業及び多国間不動産ブロックチェーン事業を展開する世界は8日、仮想通貨ビットコインを活用した不動産決済支援サービスを開始したと発表した。サービス提供の第一弾として2015年12月6日、香港人投資家が日本の不動産を決済する際、世界の決済支援サービスを利用したという(※同社調べ)。サービス提供第一弾では、日本デジタルマネー協会の協力のもと、ビットコイン取引所である「coincheck」を運営するレジュプレスと、同じくビットコイン取引所「Pegapay」を運営するヴァロンの2社を選定し、決済が行われたとしている。ビットコインを活用した決済は土日祝日でも着金確認ができ、手数料数円と、「従来の海外送金と比較して圧倒的なコストダウンが可能になる」(世界)。ビットコインはブロックチェーンの高度なセキュリティ技術が活用され、取引の際にカード番号や個人情報を入力する必要がない。また決済コストが安価で、土日祝祭日でも着金確認が可能といったメリットがある。世界によると、2014年9月末時点の投資額は330億円以上となっているという。2014年6月、世界最大オンライン旅行会社がホテル予約でビットコインの利用を開始。同年7月には大手コンピューター会社が公式ホームページを通じた自社製品の販売で、ビットコインによる決済受け付けを開始するなど、「世界的な商業流通量はまだ小規模であるものの、実際に製品やサービスの支払いに使用されている」(世界)。世界は、2012年1月設立。資本金4,500万円。2015年ジグソーなどを引受先とする第三者割当増資を実施。多国間不動産トランザクション事業及び多国間不動産ブロックチェーンサービス事業を展開。世界が運営する中国・香港・台湾投資家向け不動産情報サービスの利用者は50,000人以上(2015年12月時点)。2014年販売支援実績額は約10億円。2015年3月に台湾最大の金融ポータルcnYESと業務提携し、台湾人をはじめとした中華圏100万人以上へ不動産情報を提供している。世界は今後、不動産のクロスボーダー取引活発化と仮想通貨普及の流れに合わせ、「中華圏の投資家に向け同サービスを拡充、拡大していく」としている。
2015年12月08日Infineon Technologiesは11月16日(独時間)、非接触決済の取引の性能と安全性を向上させたセキュリティコントローラ「SLC 32Pファミリ」を発表した。同ファミリは、MasterCardが自社のブランドの下で発行された非接触型製品に対するカードの処理時間を300ms以下にするといった2016年1月以降に義務付ける要件を満たすために開発されたもの。65nmプロセス技術に基づいた新規セル構造と自社のSOLID FLASH技術を組み合わせて開発されており、支払機能の付いた決済カードや、ウェアラブル機器、非接触トークンなどのメーカーは、新製品の市場投入までの時間を半分以下に短縮することが可能となるとする。また、100MHzで動作するため、従来ソリューション比で3倍高速に情報処理が可能なほか、データ処理は15倍に高速化することができるとする。なお、同ファミリのサンプル出荷はすでに開始されており、認証製品は、2016年以降、大量生産される予定だという。
2015年11月20日楽天銀行はこのたび、会員優遇プログラム「ハッピープログラム」をリニューアルした。○取引件数に応じて楽天スーパーポイントも貯まるこのたびのリニューアルでは会員ステージの判定基準を改定し、これまで以上に分かりやすいプログラムを実現したという。また、「振込手数料の一定回数無料」を新たな優遇特典として追加するとともに、対象となる商品・サービスの範囲を拡大した。取引件数に応じて楽天スーパーポイントも貯まるとしている。楽天銀行によると「会員ステージの判定基準が、以前は直近3カ月の同行で取り決めた取引レベルとなっていたが、わかりにくいこともあり、前月1カ月分の取引件数とした。取引件数にしたことで、お客様も次のステージに行くためには何が必要かがわかりやすくなった。また、このたびローンの借り入れなどでもステージアップできるようになったので、より対象者の範囲が拡大し、お客様の利便性が高まった」としている。○主な変更点会員ステージ判定を「取引レベル」から「取引件数」に会員ステージの判定基準をこれまでの「取引レベル」から、対象となる商品・サービスの「前月1カ月分の取引件数」に変更。なお、「資産残高」の判定基準に変更はない会員ステージに応じて「振込手数料の一定回数無料」を追加顧客からの要望に応え、「振込手数料の一定回数無料」を新たな優遇特典として追加。会員ステージに応じて、振込手数料が月1回~3回まで無料になる。なお、「給与/賞与/年金受取で月3回無料」の特典は継続し、会員ステージの特典と「給与/賞与/年金受取で月3回無料」の特典のうち、多い方の回数が付与される「ローンの借入れ+楽天銀行口座を返済口座」で会員ステージが1ステージアップローン商品の借入れがあり、返済口座を楽天銀行に設定している顧客は、会員ステージが1ステージアップ。このたびのリニューアルで、カードローンや住宅ローンに加えて、不動産担保ローン、教育ローンも対象となった会員ステージ判定対象商品・サービスの拡大会員ステージ判定のための対象商品・サービスを次のとおり拡大した。(1)資産残高:円普通預金、円定期預金、新型定期預金、外貨普通預金、外貨定期預金(2)ローン商品:カードローン、住宅ローン、不動産担保ローン、教育ローン。楽天銀行口座を返済口座にしていることが条件(3)取引:他行口座からの振込、給与/賞与/年金(国庫金)の受取、他行口座への振込(手数料有料分が対象)、口座振替(自動引落)、ゆうちょ銀行本人名義口座への振込、Pay-easyでの支払、即時入金サービス、海外送金、宝くじの購入、公営競技投票サービスへの入金(JRA、ボートレース、楽天競馬など)、楽天バンク決済、楽天銀行法人口座からの振込入金、楽天証券の利用(改定前の「1レベル」が「取引件数1件」となる)、ATM入金・出金(手数料有料分が対象)取引件数に応じて楽天スーパーポイントをプレゼント対象となる取引(前述の会員ステージ判定対象の取引参照)の利用で、取引件数に応じて楽天スーパーポイントが貯まる。会員ステージのポイント獲得倍率も適用され、「取引件数×1ポイント×会員ステージ毎の倍率」でポイントが貯まる。なお、獲得ポイントは、従来と同じく楽天PointClubの画面で確認できる楽天銀行は、今後も顧客にとって利便性の高いサービスの提供を続けていくとしている。
2015年11月09日ヤフーとソニー不動産は11月5日、新しい不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」の提供を開始した。同プラットフォームは、1都3県(東京都/神奈川県/埼玉県/千葉県)の約5万棟のマンションに関する情報をデータベース化し、マンションの所有者と購入検討者を従来よりもダイレクトに結びつけるサービス。マンション所有者は、不動産仲介会社を介さず「自分のマンションを、自分が決めた価格で、自分で売り出す」ことができ、売却方法の選択肢を広げることが可能。マンション購入検討者は、まだ売り出されていないマンションについての「購入希望の意思表明」や、売り出し中のマンション所有者に対する「物件に関する質問」を直接できるようになり、より能動的に物件購入を検討することができる。これにより、マンション所有者による物件の売り出しから、購入検討者による物件見学の申込みまでがWebサイト上で完結。その後の物件見学から売買代金の決済・物件の引渡しまでのオフラインにおける不動産取引実務は、ソニー不動産がサポートしていく。また、同プラットフォームにおいて、マンション所有者は、自分の住戸の推定成約価格(以下、システム推定価格)を把握することが可能。このシステム推定価格は、ソニーR&Dのディープラーニング(深層学習)技術を核とし、ソニー不動産が持つ不動産査定のノウハウや不動産取引の知識を導入して共同開発した機械学習ソリューション「不動産価格推定エンジン」によって算出される。同エンジンでは、さまざまな不動産関連情報を元にデータを解析し、不動産売買における成約価格を統計的に推定。その推定精度は、MER(Median Error Rate : 誤差率の中央値)で6.08%(1都3県)、5.39%(東京都23区)となる。加えて、簡単な情報入力と所有者確認手続きのみで、不動産仲介会社に相談することなく自分の住戸の物件情報を「Yahoo!不動産」に無料で掲載し、購入希望者を募ることが可能に。物件掲載時の売り出し価格については、システム推定価格を参考にしながら、所有者が自由に設定できる。なお、サービスを開始時は、東京都心6区(千代田区/中央区/港区/渋谷区/品川区/江東区)のマンションを売り出しの対象とし、その後サービスエリアを随時拡大していく予定だ。一方、マンション購入検討者は、データベース化されたすべてのマンションについて、売り出し中の住戸がそのマンション内にない場合であっても、「買いたいリクエスト」を出すことで購入検討中という意思表明できる。さらに、リクエストをしておくと、そのマンションのタイプごとのシステム推定価格を知ることができるほか、そのマンションの住戸が売り出されたときに通知が届くようになる。同プラットフォームは、マンション所有者向けPC版の提供を11月5日に開始し、11月16日に購入検討者向けPC版サービスを、2016年1月下旬にスマートフォン版サービスの提供を開始する。
2015年11月06日S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(以下、S&P DJI)、日本取引所グループ(以下、JPX)および同グループ傘下の大阪取引所(以下、OSE)は15日、「S&P/JPX 日本国債 VIX指数」の算出を開始した。OSE広報は「日本国債の投資家にとって有用な指標となることが期待される」と話している。○日本国債のインプライド・ボラティリティを算出同指数は、OSEで取引される日本国債(長期国債)先物オプション取引の価格を用いた日本国債のインプライド・ボラティリティを算出するベンチマークで、シカゴ・オプション取引所から同社が所有するVIXの算出メソドロジーに係るライセンスの供与を受けたうえで、S&P DJI、JPXおよびOSEが共同開発した。シカゴ・オプション取引所ボラティリティ指数(R)(VIX(R)指数)と同様のメソドロジーを利用した日本初の本格的な債券ボラティリティ指数となる。インプライド・ボラティリティを算出するために、長期国債先物のプット・オプションおよびコール・オプションの価格を用いている。しかし、アット・ザ・マネー(ATM)の権利行使価格から導出されるインプライド・ボラティリティとは異なり、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)の権利行使価格に織り込まれる情報を取り込むことで、特定の理論モデルや権利行使価格に依存しないボラティリティを計測するという。
2015年10月15日ソニーとソニー不動産は8日、独自の機械学習技術を応用した「不動産価格推定エンジン」を開発したと発表した。○業界最高水準の精度を実現同技術は、両社が共同開発した機械学習ソリューション。ソニーR&Dのディープラーニング(深層学習)技術を核とし、ソニー不動産が持つ不動産査定のノウハウや不動産取引に特有の知識を導入している。様々な不動産関連情報を元に、独自のアルゴリズムに基づいてデータを解析し、不動産売買における成約価格を統計的に推定する。ソニー不動産広報は「不動産の査定は経験により差が出る場合がある。そこでソニーの機械学習技術を転用できないかと考えた」と話している。東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県のすべての中古マンションの推定成約価格を算出することができ、常に最新のデータを日々自動で学習する。推定精度はMER(Median Error Rate:誤差率の中央値)で5.48%と、業界最高水準の精度という。今後は、売却・購入コンサルティングサービスの利用者に対し、同エンジンで算出される推定成約価格を提供する新たなサービスを提供していく。また他のサービスとの連携も予定している。機械学習技術とは、人が持つ学習能力をコンピュータで実現しようとする技術。またディープラーニング(深層学習)技術は、近年急速に発展している機械学習技術の一つで、人間の脳の構造を模した計算モデルを用いる点に特徴がある。
2015年10月09日フォレスト出版はこのほど、書籍『空き家を買って、不動産投資で儲ける!』を発売した。著者は収益不動産経営コンサルタント・全国古家再生協議会顧問の三木章裕氏。価格は1,500円(税抜)。○少額で誰でも簡単に始められる不動産投資法を紹介今、空き家が社会問題になっている。行政では、廃屋化する空き家が危険建築物として倒壊する恐れや、犯罪の温床になるということで対策を進めているが、実際に深刻な問題に直面しているのは、空き家を所有している家主だ。再建築不可物件など様々な理由から空き家が増え続けているのが現状だが、実はこうした物件が今、不動産投資物件として生まれ変わっており、家主の中には「空き家不動産投資」で成功している人も出てきているという。同書は、少額で誰でも簡単に始められる、新しい不動産投資法を紹介。投資の方法から資産づくりの指南、不動産投資をするための心得まで、初めて投資をする人にも分かりやすく説明している。著者はもともと、大阪で不動産業を営んでいたが、バブル崩壊で借金返済に追われ、物件を購入していた立場から、物件を紹介する事業を開始。巨額の借金返済という厳しい経験を通じて、クライアントに寄り添った失敗しない資産づくりを指導しているという。著者の三木章裕氏は1962年大阪生まれ。甲南大学経営学部卒、大阪学院大学大学院商学研究科卒。現在、収益不動産経営コンサルタント・全国古家再生推進協議会顧問としてクライアントの資産づくりをサポートしている。
2015年09月03日VOYAGE GROUPは8月26日、シード・プランニング デジタルインファクトと共同で実施したSSP(Supply Side Platform)広告取引流通総額に関する調査の結果を発表した。調査結果によると、広告枠の買い手である広告主と広告枠の売り手である媒体社が、DSPやSSPなどの広告配信プラットフォームを介し、オンライン上で自動取引する「プログラマティック取引」市場の拡大に合わせ、SSP広告取引流通総額は順調に拡大し、2015年は277億円、スマートフォン向け流通の拡大により、2018年には434億円に達することが予測されるという。2015年の広告取引流通総額は、対前年比135.1%の277億円と予想されているが、今後は、これまでSSPの取引流通額の増加をリードしてきたPC向け広告に代わり、主にスマートフォン向け広告がリードしていくことが予想されるとしている。広告フォーマットとしては、動画広告やネイティブ広告など、新しいタイプの広告流通が増加し、取引流通額の増加が見込まれる。そのほか、2011年頃より普及が進んだプログラマティック取引市場は、PC向け需要が一巡し、近年はスマートフォン向け需要が拡大し、その成長をけん引している。2015年の市場規模は、対前年比119.6%の2250億円と順調な拡大が予想され、デバイス別の内訳は、PC向け需要が対前年比103.2%の1015億円、スマートフォン向け需要が対前年比137.5%の1235億円と予想されている。
2015年08月26日