みなさんは、お子さんを褒めることが多いですか?それとも叱る回数のほうが多いですか?「子どもの自己肯定感を高めるためにも褒めてあげなきゃ」とプレッシャーを感じている親御さんも多いのではないでしょうか。「子どもは褒めて伸ばすべき」という考えにとらわれすぎて、ちょっとしたことで過剰に褒めるなど、間違った褒め方をしている親御さんが増えているいま、子どもが「褒められ依存症」になっているケースも少なくありません。今回は「褒めることのデメリット」について、詳しく解説していきます。その褒め言葉、本当に必要?近ごろでは、「褒めて伸ばす」子育てが主流になってきています。育児書やメディアなどでは、子どもを褒めることのメリットが盛んに取り沙汰され、効果的な褒め方を指南する専門書もたくさん目にするようになりました。たしかに、叱られるよりは褒められたほうが自己肯定感も上がり、毎日を前向きに過ごせそうです。特に子どもは素直で単純なので、親が上手に褒めてあげることで、本人のやる気を引き出したり、持っている能力を伸ばしてあげたりできるでしょう。しかし、心理学者の榎本博明先生は「なんでも褒めればいいと勘違いしている親が増えている」と指摘します。褒めることで自信がつき、期待に応えようと頑張るようになるというメリットがある一方で、「打たれ弱くなる」「褒めないと機嫌を悪くする」「注意や叱責を素直に受け入れられない」「見返りがないとやる気になれない」などといった弊害をもたらすかもしれないのです。榎本先生は、「褒めることと叱ることのバランスを考えることが大切」と説きます。褒めてばかりいても、子どもにとっては悪影響を及ぼすことも。次に詳しく見ていきましょう。「褒められないとモチベーションが上がらない」人間になる!?「子どもを褒めることによる弊害」には、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。タイプ別に解説していきます。■“褒められること”が目的化する医師・臨床心理士の田中茂樹先生によると、褒められてばかりいると「親に褒められること」を優先的にやろうとするそう。しかも、繊細で大人の顔色をうかがうタイプの子ほど、その傾向が強いといいます。この問題点は、「自分が本当にしたいこと」と「親に褒められるからすること」の境界が曖昧になること。つまり、子どもは「自分で選んだ」と思い込んでいても、根底には「親が喜ぶから」「親が望んでいるから」ということが選択の基準になっているのです。それは、おもちゃや食事といった小さなことから、進路や友人選び、就職や結婚など人生における大きな選択に至るまで、子どもの心を支配します。■褒められないと不安になる些細なことでもすぐに褒めてしまう親御さんは要注意です。公認心理師・産業カウンセラーの大美賀直子氏によると、たとえば「宿題できたの?えらいわね」などと、やって当たり前のことでもいちいち褒められていると、子どもは「褒められる状態」がデフォルトになるそう。すると、「褒められない状態」に不満や不安を感じるようになるといいます。さらには、社会に出てからは「褒められないとモチベーションが上がらない」「上司が命令ばかりしてくるからムカつく」というように、自分は何もしなくても褒められて当然の存在だと勘違いして周囲とぶつかるケースも見られるそう。■失敗を恐れるようになる榎本博明先生は、「褒められてばかりいると、ちょっと注意されただけで自分が全否定されたような気になってしまう」と述べています。そのため、非常に打たれ弱く、挫折することを必要以上に恐れるように。頑張ってもいないのに、むやみやたらに褒められ続けてきた結果、困難に立ち向かったり、失敗を反省したりする経験がないまま大人になってしまうのは本人のためにもなりません。■難しい課題に挑戦しなくなる褒められ続けて「失敗を恐れる」という状態からさらに発展すると、「難しい課題に挑戦しなくなる」傾向が見られるようになります。榎本先生によると、褒められ続けると、その状態を維持しなければならなくなるため、失敗するかもしれない難しい課題には最初から挑戦しなくなるそう。確実に褒められる自信がある得意な課題ばかりに取り組み、自分を成長させるための難しい課題には手をつけなくなってしまうのです。■本番に弱くなる中学受験専門塾ジーニアス代表の松本亘正さんは、「褒めて伸びる子」と「褒めて伸ばすが通用しない子」の違いについて、次のように説明しています。そもそも、聞き分けがよくてかしこい子であれば、親は自然に褒める機会が多くなります。すると本人が勝手に自信をつけて、さらに伸びるようになるそう。一方で、調子に乗ってふざけやすかったり、うっかりミスが多かったりすると、親は叱ったり小言を言ったりする機会が増えます。しかし、親が育児本などを読んで「褒めて伸ばさなきゃ」と叱ることを我慢すると、子どもはますます野放し状態に。松本さんは、「注意されるべきときに甘やかされた子どもは、ここぞというときに実力を発揮することができない」と断言します。叱られずに甘やかされた環境では、いざ勝負というときに結果を出せるタフなメンタリティーは育たないのです。■ズルをするようになる米カリフォルニア大学、カナダのトロント大学、中国杭州師範大学の研究者らによる調査で、子どもを「賢い」「頭がいい」と褒めると不正行為を働きやすくなる可能性があるという驚きの結果が出されたそうです。3歳児と5歳児を各150人ずつ、計300人の子どもたちを対象にしたこの実験では、伏せられた数字カードの数を当てるという簡単な推理ゲームを行ないました。子どもたちが数字を当てたあとに、あるグループには「賢いね」と褒め、またあるグループには「がんばったね」と褒め、さらにはまったく褒めないグループを作ります。その後、「ズルをしないでね」と約束したあとに研究者らが部屋を出て子どもたちの様子を別室で観察しました。すると、「賢いね」と褒められた子どもたちだけ、伏せられたカードを盗み見し始めたのです。研究者らはこの結果を受け、不正行為を働いてしまう原因として、「賢い」という褒め方がプレッシャーになっている可能性を示唆しています。「いいことをした場合に『素晴らしい』とその行為を褒めるのとは異なり、『賢い』というのは自身の能力への評価であることを子どもは理解しています。自分の能力だけでは達成できない問題に直面したときでも他人の期待に応え、『賢い』と評価してもらう必要があると考え、不正行為を行うようになってしまうのです」(引用元:J CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよ)「頭がいい=賢い」ことを褒められた子どもは、「頭が良くない」結果が出ることを恐れ、期待に応えなければという過度なプレッシャーを感じます。そして、ズルをしてでも結果を残すことに執着してしまうのです。子どもを「褒められ依存症」にしないためにできること子どもを過剰に褒め続けた結果、子どもの人間性や将来の可能性にまで影響を及ぼしてしまうことがおわかりいただけたのではないでしょうか。最後に、子どもが「褒められ依存症」にならないために、親ができることをお伝えします。みなさんは、無意識のうちに「100点満点なんてすごい!」「A判定ばかりでよかったね!」と、テストや成績表の結果にだけ注目する褒め方をしていませんか?認定心理士の中垣俊子さんは、このような褒め方をしていると結果重視になり、結果にこだわって手段を選ばなくなることもあるといいます。この場合、「集中して勉強してたからだね」「苦手を一生懸命克服しようとがんばったからだね」と、子どもが取り組んだことに注目して褒めてあげるといいでしょう。ほかにも「それでこそうちの息子だ」「お母さんも鼻が高いわ」と、子どもと親を一体化したような褒め方も危険です。子どもの行動によって、まるで親の価値が上がるような気持ちにさせると、「お母さんのために○◯しなければ」とプレッシャーを感じてしまいます。子どもの手柄は子どものもの。子どもの成功やいい結果に対しては、共感して一緒に喜ぶだけに留めておきましょう。脳科学者の篠原菊紀先生は、「『気が向いたときに褒める』くらいの適当さが、褒めることの効果を高め、結果的には子どものやる気を維持させることにもつながる」と話します。常に子どもを褒め続けてしまうと、子どもが「こうすれば褒められるんじゃないか」と予測したときに脳の快楽物質・ドーパミンが分泌されるようになるそう。しかし次第に、実際に褒められたときには喜びが薄れてしまうようになるのです。「いつ褒めよう」「どうやって褒めよう」と考えすぎると、親子の関係性にまで影響を及ぼしかねません。だからこそ、親は子どものテストの結果だけに注目するのではなく、ありのままの姿を見て、いい部分を見つけたら認めてあげるように心がけましょう。***わが子がいいことをしたら、めいっぱい褒めてあげたいのが親心。ただし、ここで説明したように、間違った褒め方ばかりをしていると逆効果になることも。「褒めてあげなきゃ」と考えるよりも、お子さんの普段の様子をよく観察して、「成長したな」と思える部分に着目した声かけをするといいでしょう。(参考)榎本博明(2015),『ほめると子どもはダメになる』, 新潮新書.DIAMOND online|「ほめる子育て」の問題点は「命令」が隠れていること。All About|ほめすぎは逆効果?アドラー流・よりよい声かけのコツ東洋経済オンライン|「褒めて育てる」でダメになった日本の若者PRESIDENT Online|「子を褒めて伸ばす」ブームで子が潰れるJ CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよPHPのびのび子育て 2019年12月号, PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「ほめ方」メソッド
2020年03月10日次から次へと新しい情報が入ってくる現代社会では、「このままでいいのかな」と誰しも不安になるもの。そして、子どもの将来を心配すればするほど、よりよい教育を受けさせたいと考えるのは当然の親心です。ただし、あまりにも教育熱心になりすぎるのいは逆効果かも。今回は、教育熱心な親が子どもにもたらすデメリットについて、とことん考えていきましょう。わが子をスーパーマンにしようとする親たち今の子どもたちは、小学校に上がる前から複数の習い事に通ったり、通信教育などで先取り学習をしたりと、学びの機会に恵まれています。しかし、そのほとんどは、親が選び、親が決めたものばかりなのではないでしょうか。玩具などを手がける株式会社バンダイが2019年に実施した「子どもの習い事に関する意識調査」によると、習い事を始めるきっかけは「親の意向」が全体の約6割という結果に。人気の習い事トップ3の「水泳」「学習塾」「ピアノ」にいたっては、いずれも親の意向がきっかけで始めたという回答が多いものの、「ダンス」や「サッカー」は “子どもの意向で始めた” という回答のほうが多く、子どもの興味がある習い事と、親が子どもにやらせたい習い事にはズレがあることが浮き彫りになりました。時代が進むにつれて、新しいジャンルの習い事が増えたり、多様な学習法が誕生したりと、子どもを取り巻く教育環境は変化し続けています。だからといって、親が焦って「流れに乗り遅れないように」と必死で新しいもの取り入れることは、はたして本当に「子どものため」になっているのでしょうか?教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「今の親は、子どもをスーパーマンみたいな人間に育てようとしている」と危惧しています。情報が氾濫している時代ゆえに、親はわが子に「高学歴を得たうえで、英語ができないといけない、プログラミングができないといけない、コミュニケーション能力が高くないといけない……」と、高すぎるハードルを課してしまうのです。教育熱心なのに残念な親の3タイプ教育熱心な親は年々増加傾向にあるものの、その根底にある思いや願望は人によってさまざまです。なかでも注意しなければならないのは、「教育虐待」に陥った結果、子どもの自己肯定感や親子の関係性を崩壊させてしまうこと。「教育虐待」とは、教育を理由に子どもに無理難題を押しつける心理的虐待であり、具体的には次のようなケースが該当します。・宿題が終わっていないと、夜遅くまでやらせる・解けない問題があると、「どうしてできないの?」と責める・塾や習い事でスケジュール漬けにしている・親子間の約束が守られなかったとき、厳しく責め立てる・成績が悪いと、「努力が足りない」「人間のくず」などの暴言を浴びせる(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|その習い事、子どもは本当に望んでいますか?身近すぎる「教育虐待」の怖さ)子どもは決して勉強ができないわけではないのに、「わが子にはもっともっと高いレベルを目指してほしい」「今のままでは満足できない」という心理から、いきすぎた指導をしてしまうのが教育虐待をする親です。いったいなぜ、「教育熱心な親」が「教育虐待をする親」になってしまうのでしょうか。大きく3つのタイプに分けて解説していきます。タイプ1:子育てを競争だと思っている親「子どもの成功は自分の成功」だと勘違いしているのがこのタイプ。わが子がいい成績を取ることや、いい学校に進学することは、親である自分の成功だと信じているので、勝つことにこだわり、負けることが許せなくなるのです。『100万人が信頼した脳科学者の 絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者であるジョン・メディナ博士は、親が教育一辺倒となり、厳しい指導ばかりしていると、子どもの脳の発達に影響を及ぼすといいます。親からの大きすぎる期待を感じ取った子どもは、親を喜ばせようとして理解したフリをしたり、好奇心を失って妥協するようになったりと、思考力を伸ばすことが困難に。さらに、期待に応えられないわが子に怒り、失望した親の姿を見た子どもの脳は、うつ病の引き金ともなる「学習性無力感」を引き起こす可能性もあります。タイプ2:子どもと自分を同一視している親親と子どもは違う人間だとわかってはいても、「自分の子どもなんだから同じ価値観のはず」と心のどこかで信じているのがこのタイプ。明治大学文学部教授の諸富祥彦先生は、特に母親が娘に対して「自分のコピーのようなもの」だという認識をするケースが多いといいます。このタイプは、一見すると子どもに対して理解があるように見えます。たとえば進路を決める際に、「好きな学校を選びなさい」といいながらも、子どもの志望校を聞いたとたんに「でも、その学校だとこういうところが心配だな」とつぶやくなど、「あなたのためを思っているのよ」という態度を取るのです。すると、子どもは反発しづらくなり、結果的に親の顔色ばかりうかがう「いい子症候群」になってしまいます。ありのままの自分を認めてもらえない子ども時代を過ごすと、人間関係の壁にぶつかりやすくなったり、人生自体に虚無感を抱くようになったりと、成人後に生きづらさを抱えるようになるケースも。タイプ3:間違ったほめ方をしている親「子どもを伸ばすにはとにかくほめるべき!」と信じて、知らぬ間に子どもに負担を与えているのがこのタイプです。『子どもが伸びるいいわがまま心を荒らすわるいわがまま』(PHP研究所)の著者で認定心理士の中垣俊子さんは、「親のほめ方次第で子どもに悪影響を与える危険性がある」と指摘します。たとえば、「テストの結果だけに注目してほめる」「兄弟やお友だちと比較してほめる」など間違ったほめ方を続けていると、子どもは次第に失敗を恐れるようになったり、結果重視になり手段を選ばなくなったりします。また、「この調子で次もがんばるのよ」と将来への期待を込めて圧力をかけるほめ方もよくありません。子どもにとって「いつも○○すべき」というプレッシャーにつながるので、“次回” や “未来” ではなく、「今」の姿をきちんと認めてあげましょう。どんな子どもにも備わっている「自分で伸びる力」子どものためを思うがゆえに、熱意の方向性が間違ってしまったのなら、少し立ち止まってみませんか?「百ます計算」や「陰山メソッド」でおなじみの陰山英男先生は、「将来のため」と鬼気迫る表情で子どもに勉強や習い事をさせる保護者に対して、警鐘を鳴らしています。そして、「子どもに将来幸せな人生を送ってほしいなら、幼児期に子どもが楽しい・幸せだと感じられる時間を重ねることが大事」だと断言しています。親が一歩引いて子どもを見守るように心がけると、子どもは安心して物事に向き合えます。陰山先生は、「『失敗したら怒られる』『うまくやらなくちゃ』というプレッシャーを感じていない子どもは、勉強やスポーツなど、何事に対しても楽しみながら取り組むことができる」とも。さらには、人の失敗に対しても寛容になるので、相手を思いやる気持ちも育つといいます。子どもにたくさんの習い事をさせることで、将来への安心感を手に入れている親御さんに向けて、おおたとしまささんは次のようにアドバイスしています。習い事とは、子ども自身が求めるものをすることによって、夢中になり、達成し、挫折を味わい、そして壁を乗り越えることで、「やり抜く力」を育ててくれるものであり、なんらかのスキルを得るのは副次的な成果です。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある)おおたとしまささんいわく、「あれこれ習い事させる代わりに、『ぼーっとする時間』を子どもに与えるべき」とのこと。なぜなら、「ヒマだな」「何をして過ごそうかな」という時間があって初めて、子どもは自主性を発揮するから。そこで「ヒマだから本でも読もう」「絵を描こう」などと考えて、「何をしているときに幸せを感じるのか」を知ることができるのです。それはこれから先の長い人生で、大事な決断をしなければならないときや、自分が進むべき方向を決めなければならないとき、必要となる力の基礎になるでしょう。***親の期待が大きければ大きいほど、子どもにとってはプレッシャーになります。習い事などでスケジュールをパンパンに詰め込むよりも、「ぼーっとする時間」こそが子どもの能力をぐんぐん伸ばすかもしれませんよ。(参考)株式会社バンダイ|「子どもの習い事に関する意識調査」結果StudyHackerこどもまなび☆ラボ|その習い事、子どもは本当に望んでいますか?身近すぎる「教育虐待」の怖さダイヤモンドオンライン|「子育ては競争ではない。」親の「大きな期待」が子どもの思考を奪うのはなぜ?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|“手がかからない子”ほど要注意!「いい子症候群」が怖い理由と、その防止法PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.PHPのびのび子育て 2020年1月号,PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある
2020年03月09日子どもの性格は生まれ順だけで決まるものではありません。ただ「お兄ちゃんの気持ちが分かりにくい」「妹の方がちょっとズルい性格に思える」などのお悩みを解決するヒントのひとつが、生まれ順の違いにあるかもしれません。わが子に当てはまるかどうか、楽しむ気持ちで気軽に読んでくださいね。まじめな慎重派「長子」■特徴まじめな頑張り屋さん。ずるいことや卑怯なことが思い浮かばない、真っすぐな性格。常に下の子に追われている意識があるため、慎重派で失敗を怖がる。プライドがあるのでいばりんぼうに見えることも。「すごいね」ではなく「楽しいね」「うれしいね」を大切に「弟や妹よりもえらくなきゃ」「すごい自分でいなきゃ」というプレッシャーを常に抱えている長子。「◯◯すべき」を優先して行動するので、大人になってから「◯◯したい」が分からない人もいるようです。「◯◯してうれしいね」と声をかけ、自分の気持ちを大事にしようというメッセージを伝えてください。平等の国に住む合理主義者「中間子」■特徴幼いころから手際が良く、手がかからない。自分が損をしてでも平等を重んじる。上の子や下の子に対して常に「ずるい」という思いがあるため、皮肉屋な一面も。すねてしまったときは子どもの意見をとことん聞いて長子や末っ子に比べて、目をかけてもらうことが少ないと感じている中間子。いつもは我慢していますが、限界に達するとすねてしまったり、聞き分けがなくなることも。まずはママと二人きりの時間をつくり、「どうしたの?」「◯◯が嫌だったのかな」と、話をとことん聞きましょう。ママに受け入れてもらえることが分かれば、次第に落ち着いてくるはずです。サバイバル精神溢れる戦略家「二人きょうだいの下の子」■特徴アイデアマン。人付き合いがうまく、目上の人にかわいがられる。真っすぐな性格の長子と競い合う中で、自然と戦略的になるので、ずるく見えがち。上の子と比べずその子の個性を認めて褒めて「上の子と比較されている」という意識を持っており、特に同性のきょうだいの場合はその傾向が強くなります。褒めるときも叱るときも、上のきょうだいを引き合いに出さないように。子どもの方から「お姉ちゃんと私、どっちが好き?」と聞いてきたら、「お姉ちゃんは優しくて好き。あなたはかわいくて好き」と個性を褒めましょう。争い事を嫌い平和を愛す「末っ子」■特徴争い事や、怒っている人を見るのが苦手で、家族の平和を守ろうとする。甘え上手なタイプと、負けず嫌いなタイプに分かれるが、どちらもいつの間にか人にやってもらっている状況になりがち。「きっとできるよ!」でノリの良さを引き出してここぞというところには強いこだわりを見せる一方、日常のどうでもいいことは人に頼る末っ子。ただ、心配性の長子や一人っ子と違い、ノリが良いという長所もあります。「自分でやりなさい!」ではなく、「やってごらん、きっとできるよ!」と後押しを。また、できないことを先回りするのではなく、「ママと一緒にやってみようか?」と声を掛けることも大切です。心優しいマイペース「一人っ子」■特徴自分の世界を持っていて、発想もユニーク。一方、マイペースの度が過ぎて要領が悪い面も。特に幼いうちは、周りに対して気が回らなく見える。「おかげで助かったよ」で気配りの大切さを実感させて自分がどんなことをすると相手が助かるのかを伝えましょう。お手伝いの後には必ず、「おかげで助かったよ」の一言を。また、親の生まれ順の影響を一番強く受けるのが一人っ子の特徴。ママが長子だと末っ子らしい性格に、ママが末っ子だと長子らしい性格になるので、それぞれのタイプのアドバイスも参考に。ママの生まれ順×子どもの生まれ順・個性によって相手の見え方はどう変わる?「相性が良くないといけない」のではなく、個性の違いを知ることが、お互いハッピーに過ごせる第一歩。「子ども」の欄を自分の両親や、パパに置き換えても使えますよ。ママに関心を持ってもらうための戦略が個性として現れます生まれ順によって個性が出るのは、ママに関心を持ってもらうための作戦が変わるから。同じ生まれ順でも、きょうだいの性別や年齢差によって微妙な違いが出るのはそのためです。成長と共に、友達の中での立ち位置などもその子の性格に影響していきますが、ママが世界そのものである幼児期は、生まれ順による違いが最も強く現れる時期なのです。どの子も自分の色を持ち鮮やかに生きています例えばあなたが赤のサングラスを掛けていたら、緑色はくすんで見えるでしょう。緑のサングラスを掛けていればその逆で、赤い色がくすんで見えます。下の表で紹介している「相手の見え方」とは、この例えのようなもの。人は自分と似た戦略を持って生きる相手のことは安心して見ていられますが、自分と違う生き方をする相手は欠点が目立ち、心配になります。でも、子どもたちはそれぞれに鮮やかな色を持って生きているのです。だから、ママと違う生き方をする子どものことを心配する必要はありません。ましてや自分の望む通りの生き方に合わせるのは論外です。「この子の考えを理解できない」というときは、その子と同じ生まれ順の家族や友人に相談してみてください。「きっとこう思っているんだよ」と、その子を理解するヒントがもらえるはずですよ。子どもが「長子」● ママが「長子」互いに主張が強いため、ママが「教えてあげよう」という姿勢だとぶつかり合うことも多い。しかし根本的なところでは分かり合える● ママが「中間子」「年齢によって差をつけてもらえるのが当然」と感じる長子にとっては、常に「同じ」を重んじる中間子ママに違和感を持っているかも● ママが「二人きょうだいの下の子」ママからすると、慎重派なあまり、要領が悪く見える。生きづらそうだと感じ、何かとわが子のことを心配しがち● ママが「末っ子」しっかり者のわが子を頼もしく思う反面、長子が下の子にきつく接したときは、「いばりんぼうで優しくない子だ」と思うことも● ママが「一人っ子」上の子っぽい性格のママにとっては、ぶつかり合うことも。下の子っぽい性格のママにとっては、子どもが頼れる存在に子どもが「中間子」● ママが「長子」何事も真っすぐな長子ママにとっては、物事を斜めから見る中間子の考えが分かりにくいが、しっかり者なので心配しなくて大丈夫● ママが「中間子」何かと意見が合い、しっくりくる。年齢によって差をつけたりせず、文字通り平等に接するママのやり方に、子どもも納得がいく● ママが「二人きょうだいの下の子」何でも自分でやってしまう中間子に対し、さみしいと感じる面もあるが、たいていは頼もしい存在だと思える● ママが「末っ子」特に思春期は、わが子の考えが分かりにくいと感じる面も。家族やママ友など、周りの中間子に相談してみて● ママが「一人っ子」中間子は小さいころから自立心が強く、手際が良く、手がかからないので「この子は大丈夫」と安心できる子どもが「二人きょうだいの下の子」● ママが「長子」わが子に「うまくしてやられた」と思うことが多い。長子と比べると戦略家でずるく見えるが、子どものアイデアを面白がろう● ママが「中間子」子どもが「中間子」と「末っ子」の間くらいの相性。しっくりくる面もあればずるく思える面もあるが、大目に見られる● ママが「二人きょうだいの下の子」長子に対してとは真逆に、幼いうちから「この子は、将来も上手に世の中を渡っていける」と安心できる● ママが「末っ子」もともと人に頼りがちな末っ子ママから見ると、自信があり、わが道を突き進んで行く子どもは頼もしく思える● ママが「一人っ子」上の子っぽいママは「長子ママと二人きょうだいの下の子」を、下の子っぽいママは「末っ子ママと二人きょうだいの下の子」を参考に子どもが「末っ子」● ママが「長子」ママが子どもに使われがち。何かやってほしそうなときは、先回りして手を出すのではなく「お口でお願いして」と声掛けを● ママが「中間子」中間子ママにとって、一番ずるく思えるのが末っ子。「自分でやりなさい!」と叱るのではなく、「ママと一緒にやろうよ」と誘って● ママが「二人きょうだいの下の子」突っ込みグセがあるのが、二人きょうだいの下で育ったママ。特に末っ子はかわいい反面、からかいたくなるので、やり過ぎに注意● ママが「末っ子」家族の平和を守ろうとする末っ子同士。どちらも争い事や怒りの感情を嫌うので相性は良いが、相手の戦略が見えてしまう一面も● ママが「一人っ子」一人っ子ママも、自ら争いの火種はまかないので、争い事や怒りの感情を嫌う末っ子の気持ちがよく分かる子どもが「一人っ子」● ママが「長子」よく気がつく長子ママから見ると、まるで気が利かなく思える。お手伝いなどを通じて、「今の行動が助かったよ」と伝えて● ママが「中間子」ママの影響を受け、一人っ子であっても中間子らしい性格になるため、お互いにしっくりくる相性となる● ママが「二人きょうだいの下の子」サバイバル精神溢れるママからすると、マイペースな一人っ子は頼りなく、また怖がりに思いがちだが、子どものペースを信頼して● ママが「末っ子」上のきょうだいに気を使いながら生きてきた末っ子ママにとって、一人っ子の言動は率直過ぎて思いやりが足りないと感じることも● ママが「一人っ子」「一人っ子はわがまま」など、よくないイメージを聞かされて育ったママは、自分と似ないか心配しがち。一人っ子の良い面を見つめてお話を聞いたのは:中垣俊子さんなかがき・としこ/認定心理士。女性のためのカウンセラー「コルネット」主催。民間学童保育「アドラーこども学校」校長。著書に、生まれ順別の言葉掛けを紹介した「子どもとの信頼関係をきずく言葉かけトレーニング」(学事出版)、「子どもが伸びるいいわがまま心を荒らすわるいわがまま」(PHP研究所)など。illustrationSHIBATA Keiko
2019年01月10日子どもの機嫌が直らないときはどう対処すればいい?思い通りにならなかったり怒られたりすると、すぐにふてくされる4歳の息子。機嫌を取っても放っておいても直りません。登園前など時間に追われているときも頑として動こうとしないので困っています。[埼玉県・杏]illustrationHAYASHI Yumi気持ちに共感して普段通りの対応をふてくされているときは穏やかにあっさり対応するに限ります。子どもの気持ちに共感して、「本当はこうしたかったね」「パンよりご飯が食べたかったんだね」と代弁すると落ち着きやすくなります。時間があるときに「ご機嫌を直すにはどうしたらいいかな?クマさんを抱っこしてみる?」と、機嫌を直す方法を一緒に話し合っておくといいですね。子どもの機嫌に左右されたりイライラしてしまったりせず、お母さんが普通にしていると、子どもはいつものペースに戻りやすくなります。登園前も普段通りに支度をして、「さあ、出かけるよ」と言ってあげてください。結局、自分の機嫌を直すのは子ども自身の課題なんですよね。子どもにも機嫌を悪くする権利はあるけれど、機嫌を直す責任もあるよ、ということを親の態度から学んでいけば、少しずつ感情をコントロールできるようになっていきます。アドバイザー 中垣俊子さん認定心理士。保育士。女性のためのカウンセラー「コルネット」主催。民間学童保育「アドラーこども学校」校長。著書に「子どもが伸びるいいわがまま 心を荒らすわるいわがまま」(PHP研究所)。
2017年04月13日