女優の中嶋佳子が12日に自身のアメブロを更新。PTAで人気の役職とその理由を説明した。この日、中嶋はPTAの役員と学級代表決めがあったことを明かし「どんな活動してるかとか過去の分をチェックしたり下調べという事前準備やりまくって覚悟を決めて挑みました」と報告。「学年全体での保護者会があって、今年度の各クラスの担任の先生の紹介や勉強の進め方とか説明があり」と述べ「そこからクラスに分かれてPTA委員と学級代表決めでした」と当日の様子をつづった。続けて、各クラスから広報委員と厚生委員を1人ずつ選出したことを明かし、進行役から「どれか役員やりたい方いらっしゃったら挙手お願いします」と言われたことを説明。広報委員に2人が立候補したそうで「ま、まさかの定員オーバー」「す、すごい!!やりたい人が多くてジャンケンなんて」とコメントしつつ、広報委員について「ネットで検索してもけっこう人気だった」とつづった。また「運動会で保護者が入れないところから子ども達の写真が撮れる」「保護者が行けないイベントにも広報として参加して子ども達の様子を見れる」と広報委員が人気の理由を説明。「撮った写真を使用しての広報誌の発行は年3回で、1回ずつ分担する」といい「ペーパーレス化したので印刷などはなく、出来上がったものをHPにアップしたら終了」と述べ「どうせやるなら広報委員でしょ!! と人気だそうです」とつづった。さらに、自身は厚生委員に立候補して決まったことを明かし「主にベルマーク集めで、コロナ禍から自宅で集計することも多いらしくて、それが苦でなければそこまで負担とは感じないらしいです」と仕事の内容を説明。「委員はすべて定例会があるので、それがどのくらいあるのか不安ですが、内容としてはそこまで難しいことではなさそう」と述べ「無事に低学年のうちに任務終わらせられそうで良かった」と安堵した様子でコメントした。最後に「早速今回決まった各クラスの委員の中から、委員長と副委員長を決める会がある」と明かし「できれば…委員長と副委員長は避けたい」と本音をコメント。「くじ引きとかになったら引き当てそうで怖い」「そこだけまだ不安があります」と述べつつ「オーディション並みに緊張したものが一旦は終わって良かったです」とつづり、ブログを締めくくった。
2024年04月12日子供たちが大好きなコーンを使ったしゅうまいレシピです。電子レンジで30分以内に調理出来るので、時間があまりない時にも、材料があれば簡単に作れます。コンロで火も使わないので、親子で楽しく調理ができますよ。「我が家の子供たちには小麦と卵のアレルギーがあるので、しゅうまいを作るのは難しいかなぁ」と思っていました。今回、小麦粉も卵も使わないレシピに出会えたので、作ってみたいと思います。材料:・鶏ひき肉600g・コーン缶450g・玉ねぎ1/2個・片栗粉大さじ2・酒大さじ2<調味料>・砂糖小さじ2・塩少々・こしょう少々・醤油小さじ4・鶏がらスープの素小さじ2・ごま油小さじ2コーンを最後にまぶす際には、加熱した時に落ちないように、手でギュッと押し付けるのがポイントです。では、4人前を前提に、早速作ってみましょう。玉ねぎをみじん切りにします。コーンに片栗粉を入れて混ぜます。ボウルに鶏ひき肉、玉ねぎ、<調味料>を入れて粘りが出るまで混ぜます。混ぜ続けると粘りが出ます。丸く成形し、2で作ったコーンをまわりにくっつけます。耐熱皿に並べて酒をまわしかけ、ラップをふんわりかけます。600wの電子レンジで6分30秒加熱します。粗熱が取れたら、でき上がりです。味はまさにしゅうまいです!まわりのコーンがプチプチしているので、その食感も楽しめて子どもも大人もおいしくいただけます。混ぜて形を作り、コーンを最後につけるだけなので、簡単に作ることができました。次回作る時には、子供たちと一緒に作ってみたいと思います。[文/AnyMama(エニママ)・構成/grape編集部]
2022年03月21日企画・製作:しゅうくりー夢、しゅうくりー夢 Vol.66『君に会いたい』が2022年3月2日 (水) ~2022年3月6日 (日)に中野ザ・ポケット(東京都中野区)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 劇団員・横井伸明が演じる最悪な刑事「居在家」の3作目。キーマンである「空」役に掛川僚太を迎え、作・演出・出演の松田環が世の中で感じた「いたみ」を綴ります。【STORY】都内で女性が刃物で喉を掻っ切られ殺害されるという事件が相次ぐ。警察は同一犯による連続殺人事件として捜査を始めるが、ただ1人、元公安の刑事「居在家」だけは奇妙な違和感を覚えていた・・・幼い頃に両親を亡くした「空」と「大地」の兄弟は、肩寄せ合いつましく暮らしていた。だが兄の大地が恋をしたことで兄弟の絆が綻んでいく・・・コールセンターでパート社員として働く主婦の「尚子」は、声しか知らない若い男性に心惹かれていく・・・狂気の海で揺蕩う者たちが愛を乞う時、残酷な運命は時を刻み始める。最悪な刑事「居在家」、好評に応えて再々登場!しゅうくりー夢の真骨頂であるハードボイルドな世界をご堪能下さい!劇団しゅうくりー夢1985年創立。劇団員は松田環、横井伸明。人々の関係性の中で生れてくる様々な「愛」をテーマに、非日常的な世界で展開するスピーディーなストーリーを、全作、松田環のオリジナル台本で上演中!公演概要しゅうくりー夢 Vol.66『君に会いたい』公演期間:2022年3月2日 (水) ~2022年3月6日 (日)会場:中野ザ・ポケット(東京都中野区中野3-22-8)■出演者大槻朋華 / 掛川僚太 / 上林九十九 / 酒井謙輔 / 島田美智子 / 松田環 / 宮原理子 / 毛利光汰 / 矢沢幸治 / 横井伸明(五十音順)■スタッフ照明: 橋本剛(コローレ)音響: 山下菜美子(mint Avenue inc)舞台監督: 大河原敦宣伝美術: 加藤タカ(Studio Selfish LLC)制作・キャスティング協力: オフィス・REN企画・製作: しゅうくりー夢■公演スケジュール3月2日(水)19時3月3日(木)14時☆/19時☆3月4日(金)19時☆3月5日(土)14時/18時★3月6日(日)14時※開場は、開演の30分前■チケット料金全席指定:4,000円(税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月15日大人気マンガシリーズ、今回は津島ゆりえ(@yurie_tsushima)さんの投稿をご紹介! 「しゅうちゃんとトイトレ」です。保育園の先生から我が子がトイレで用を足した事を聞くゆりえさん。家ではトイトレもさせていなかったが…?「しゅうちゃんとトイトレ」出典:instagramトイトレのトの字も…出典:instagramトイレを促すと…出典:instagramそこで…出典:instagram第二子ってスゴい!
2022年02月02日【音楽通信】第87回目に登場するのは、音楽界とお笑い界の才能が集結した、小籔千豊さん、くっきー!(野性爆弾)さん、中嶋イッキュウさん、川谷絵音さん、新垣隆さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ!番組をきっかけに才能豊かなメンバーが集結写真左から、新垣隆(Key)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、小籔千豊(Dr)。【音楽通信】vol.87バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)発のプロジェクトとして、2017年に誕生した小籔千豊(Dr)さん、くっきー!(野性爆弾/B)さん、中嶋イッキュウ(Vo)さん、川谷絵音(Gt)さん、新垣隆(Key)さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ。お笑い芸人さん、ミュージシャン、現代音楽家と、さまざまなジャンルのジェニー(フランス語で天才の意)が集結。バンドの全面プロデュースを「ゲスの極み乙女。」や「indigo la End(インディゴラエンド)」などのバンド活動も行っている川谷さんが兼任する、才能豊かで個性あふれるメンバーが揃っています。そんなジェニーハイが、2021年9月1日に、2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされるということでメンバーから、小籔さん、川谷さん、中嶋さんの3名にお話をうかがいました。――あらためて、それぞれ初めて会ったときの印象から、お聞かせください。小籔川谷P(川谷プロデューサーの呼称)のことは、すでに「ゲスの極み乙女。」の音楽を聴いて認識していました。いざ番組でバンドを作るとなったときに、曲を作っていただく先生を決めることになり、第一希望で「川谷さんが良い」と話していたんです。ご快諾いただいて、実際にお会いすることになったのですが、ミュージシャンではなく、例えば演歌歌手における曲を作ってくれる先生にお会いするような感覚でしたね。そこから初対面の感想は……意外と、普通やったなと(笑)。ミュージシャンて「僕は空がパープルのときじゃないと曲が思いつかないから」とか、もっと前衛的なことを言うのかと思ったらそういうこともなく(笑)。川谷わはは、普通ですよ(笑)。初めて会ったときは確か番組の収録現場だったので、深くは話さず、その後ご飯に行きましたね。小籔さんは、テレビで観ている印象よりも、だいぶん優しい人だと思いました。小籔それはよう言われます。この間は、坂下千里子さんに「小籔さんて飲んでいるときは全然怒らない、ジェントルマンですよね」と言われましたし(笑)。中嶋私は(川谷)絵音さんの第一印象をあまり覚えていなくて。昔、渋谷にあるライブハウスのeggmanで、私がボーカルとギターをやっているtricot(トリコ)というバンドとindigo la End la Endが対バンしたときが初対面なんです。覚えているのは、その後に全国ツアーを一緒にまわらせてもらったときのことですね。絵音さんはライブのMCがすごく長くて面白くて、淡々と話し続けるんですが、演奏しているときとのギャップがスゴイから、ユニークな人なのかなと感じました。――今日はご不在のくっきー!さんと、新垣さんの印象は?小籔ガッキー(新垣さん)は、いろいろな騒動後にメディアに初めて出たのがこの番組だったんですが、えらい上品な方やなと思いました。よく「僕は『BAZOOKA!!!』で救われました」と常々おっしゃるし、ジェニーハイに誘っても「恩があるのでやらせていただきます」と快諾する、何に対しても男気のある方です。マネージャーをされているお兄さんいわく、「『BAZOOKA!!!』のお話じゃなかったらバンドは組んでいないはず」と。それに、才能のある川谷Pの存在も大きかったようです。くっきー!は芸歴が一個下なんですが、吉本興業の養成所のNSCの同期に情報通がおって、「一番面白いのは野性爆弾です」と聞いていて。下には次長課長、チュートリアルやブラマヨとかおるんですが、「一番面白いの誰や?」と聞くと、ダントツ1位が野性爆弾。ただ、あの見た目だしと思ったけど、会ったら気のええやつでしたね。とにかく、ジェニーハイはいいバンドです。――そもそも川谷さん、小籔さん、中嶋さんが、プロになる前に憧れていた歌手やアーティストの方などと、初めて購入したCDなども教えてください。川谷これまで音楽の変遷はいろいろとあるんですが、もとは小学生のときに、T.M.Revolutionの西川貴教さんに憧れていました。初めて買ったCDは、EXILEです。中学1年生ぐらいのとき『EXILE ENTERTAINMENT 』(2003年)というCDを買いました。当時は楽器が弾けないので、鼻歌で曲を作っていて、最高のメロディが出来た! と思った鼻歌のメロディが完全にEXILEのアルバムの曲と一緒だったこともありました(笑)。聴きすぎていたんですね。「あっ俺、音楽の才能無いかも」って当時思いました。小籔まあ、子どもやったらそうなるわなあ(笑)。僕は、親が音楽を好きすぎて、母親は「大阪球場にマドンナのライブ行ってくるわ」「ジェームス・ブラウン行ってくるわ」とか。掃除機をかけるときもよくレッド・ツェッペリンとか、洋楽を爆音でかけていました。僕が小さいときにおばあちゃんから「ファミコンのカセットを買うたるからギターを習いに行け」と言われることも。うちは自転車屋やったんですが、自転車が好きと思ったこともないですが、すでに自転車に囲まれていたという状況に近いというか、無意識のうちに音楽のシャワーを浴び続けていたような感じです。車に乗るようになってからは、FMラジオを聴くようになって、TOKYO No.1 SOUL SET、ピチカート・ファイヴ、スチャダラパーとか、車に乗っていた時期に一番音楽を聴きましたね。中嶋小学校のときに、モーニング娘。にハマったのが最初ですね。中学高校とバンドをしたので、また好きな音楽も変わっていきました。一番好きなロックバンドは、システム・オブ・ア・ダウンです。川谷ギターが弾けなくて、コピーするのをやめたやつ?中嶋そう、難しくて、まだ全然弾けないんです(笑)。絶妙な曲がいっぱいある飽きないニューアルバム――2021年9月1日に2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされますね。川谷前作が約2年前のリリースなのですが、僕がやっている各バンドでは毎年アルバムを出しているので、2年ぶりというととても期間が空いた感覚もあります。ただ、ジェニーハイはすごくレコーディングに時間がかかるので、そのぶん準備できて良かったなと。練習の時間もできるので、だんだんと曲のレベルが上がっていっています。そういう意味では、早く作らなくて良かったなって(笑)。いろいろなジャンルの曲が入っていて、バンドの成長記録としては、やっと世に出せるものになったかなという感じ。老若男女が聴けるアルバムになりました。――6月に先行配信された収録曲1曲目「華奢なリップ feat.ちゃんみな」では、実際にラッパーのちゃんみなさんと組んでみていかがでしたか。中嶋ちゃんみなさんとは今回初めてお会いしました。レコーディングは別々だったのですが、MV撮影のときに一緒になって、そのときに表現力が圧倒的だなと。コラボさせてもらって、刺激を受けました。川谷コラボ作品でも基本的に、いつもは僕が歌詞を書くのですが、この曲は最後のラップの歌詞をちゃんみなに書いてもらってコライトをして、新しい刺激をもらいましたね。こういう書き方もあるんだな、こういう譜割りもあるんだなと。歌もちゃんみなが自分で録ったものを1トラックのみ送ってきて、たぶんコレという歌のバランスやこだわりが強く本人のなかにあるようで。ジェニーハイって、良くも悪くもふわっとしているので、彼女のようにストイックな人が入ってくると、バンドの空気も良くなると思いました。小籔川谷Pもイッキュウさんも、ちゃんみなに刺激をもらったんですね。僕は、『BAZOOKA!!!』内の企画「高校生RAP選手権」にちゃんみなが出ていて、「あの子はみんなを惹きつける子」やなとその当時から言っていました。出演の翌年(2017年)にその子がデビューして、パーティに歌いにきてもらったり、彼女のミュージックビデオに出たり、ご飯に行ったり。高校生のときから知っているから、僕のなかでは東京の娘、親戚の子という感じ。うちの娘もちゃんみなが好きですし。ある日、突然、川谷Pが「ちゃんみなとコラボしようと思うんです、知ってますか?」と言われての今回です。みんなで串カツを一緒に食べに行ったら、ちゃんみなが串カツを上品に食べていたんですよ。僕は、そんな串カツの食べ方に刺激を受けましたね(笑)。――2曲目「夏嵐」は7月配信の軽やかなサマーナンバーです。川谷ジェニーハイの曲はシンプルな曲もあるんですが、わりと複雑な曲も多いので、この曲はシンプルに作ろうと思って。アルバムのスパイスになるよう、疾走感のある曲を作ろうと考えました。夏の曲にしようとは思っていなかったんですが、あとから歌詞で夏らしさを入れ、J-POPとして広く聴いてもらいたいので、イントロから耳なじみの良い曲を作りました。中嶋今作のなかで「夏嵐」が一番意外で、これまでになかった感じの曲でした。歌うときもどういう感じなのか想像できなかったというか、できあがって聴いてみたら、すごく爽やかでずっと聴いていられる曲に仕上がったと思いましたね。小籔イッキュウさんの声が一番可愛らしいな、合ってるんやろうなと。僕はドラムのところから聴いて、だんだんマスターして余裕が出たら、歌を聴いて、楽しくなってきました。たくさんの人に聴いてもらいたいなと思いますね。――6曲目「良いんだって」や、8曲目「ジェニーハイボックス」もみなさんで歌うラップ曲ですが、バンドの演奏曲とラップ曲とのバランスが絶妙ですよね。「ジェニーハイボックス」は自己紹介があって、聴いていて楽しくなります。川谷ラップを作っていると、自己紹介する感じになっちゃうんです。「良いんだって」は全然自己紹介の曲じゃないですが、こんな曲もラップでできたりしますし。新垣さんのソロラップも「ジェニースター」には入っていて、新垣さんは最初いやがっていたんですが、最近は「ラップの王になる!」と言うまでになっているので(笑)。わりとラップの曲は増えてはいますね。ジェニーハイにしかできないことがやりたいので、普通のバンドだったらこんなことやったらただ寒いだけかもしれないんですが、新垣さんは真面目にやっているだけで面白いじゃないですか。あれはもう天性のものですし、この5人のバランスだからできることです。小籔ライブではガッキーのラップがすごい盛り上がるんですよ。女の子からの声援のあとに、めちゃくちゃ下手なラップが聴けるという(笑)。僕が見ていても、この人がメンバーでいてくれて良かったです。ーーアルバムのタイトル曲となる11曲目「ジェニースター」は、一番今作を表すということでしょうか。川谷表すと言えば表すんですが、ちょっとふざけた曲なので(笑)。ジェニーハイがもともと、「天才を超える」という意味なので、まだまだみんなスターじゃないんですよね。だから本当はスターじゃないけれど、例えばいきなり自分が超人になる夢を見るような、「スターになったらいいな」という思いを自虐的に表している曲なんです。――川谷さんはindigo la End、ゲスの極み乙女。、ichikoro(イチコロ)その他複数のプロデュースにも携わっていますが、ジェニーハイの楽曲制作にあたり心がけていることや、他のバンド制作の際と違う面があればお聞かせください。ジェニーハイはインディゴやゲスのように、いい意味で深く考えすぎないというか。ゲスとかインディゴとかは「べつにわかりづらくなってもいいや」と作り込んでしまうことも多くて。でも、ジェニーハイは、わかりやすさ、ポップさみたいなものを優先しています。――小籔さんは「よしもと新喜劇」の座長として、そしてお笑い芸人さんとして活動されている一方、2003年にラップユニット「ビックポルノ」(2014年に解散)、2016年にバンド「吉本新喜劇ィズ(よしもとしんきげきぃず)」を結成、音楽フェスティバル『コヤブソニック』を開催など、音楽活動にも積極的な印象です。小籔お笑いに関しては、努力したことがないんです。ぐうたらなんで、新喜劇に入って最初の2年間だけです、努力したのは。新喜劇も、いまはそれほど気を張ってやらんでも、目配りをすることもないですし。台本はだいぶん手間をかけて真剣にやっていますが、それ以外はそうでもないから。でも、いまはそれ以外のお仕事をさせていただくことが多くて、ドラマに出演させていただくときも、セリフだけはきちんと入れます。役者さんのほうが絶対に芝居がうまいし、僕は絶対下手やけど、セリフは覚えているから許しといたろうか、と思ってもらいたいと。音楽をやるときも、新喜劇でデビューする前ぐらいに、最初はスチャダラパーを聴いたときに面白くてカッコいいけど、逆に芸人がラップやったら面白いかもと。それでふとしたきっかけでラップをやることになって。新喜劇ィズのメンバーには、いつも言うてることがあって、例えばフェスで僕らが出るとなったら、絶対に裏で舌打ちしてるやつはおると。なんでお前と一緒に出なあかんねんと思う人が、言ってけえへんだけでおる。そこで、芸人がフェスに出てすみませんと思うんやったら、あいつめっちゃ下手やけど練習はちゃんとしてるな、下手やけど音楽に対しては真面目やなと思ってもらうのが大切や、と言っているんですよね。――イッキュウさんは、2010年からロックバンド「tricot」としても活動されていますが、ジェニーハイのシンガーのときは意識の違いはありますか。中嶋 tricotでは、長い間自分で作って自分で歌うことしかしていなかったので、ジェニーハイのデビュー曲「片目で異常に恋してる」が地獄のように難しかったんです(苦笑)。絵音さんの曲は一筋縄ではいかないとは予想していましたが、レコーディングでもすごく苦戦した記憶があって。でも、最終的にはその作業が自分の実になっていて、他の人が想像するゴールに向かって考えるというのはとても楽しくて。自分のなかでまた違う扉が開いた感じがあって、tricotのときとは違う脳みそを使っている感じですね。川谷「片目で異常に恋してる」は、コンピューターが歌うようなメロディなんですよね、ボカロのような譜割りで。人間が歌うには限界の速さに近いんです(笑)。これが1曲目だったから、そのあとはスムーズに受け入れられるというか。この曲は変拍子だし、ドラムとギターも全然違う譜割りで弾いてもらうような難しい曲をやっていたから、あれ以上に難しいものはいまやってないですね。自分で演奏するのもいやだから(笑)。小籔難しいものばっかりになったら、こちとら、ヒィヒィ言わなあかんから、難しい曲をやりたいときはその気持ちだけにしておいてください(笑)。――では今回のアルバムをどんなふうに聴き手に聴いてほしいでしょうか。川谷楽しいアルバムですが、全曲に切なさもあって、ただ明るいだけのアルバムでもない。絶妙な曲がいっぱいあるので、好きなときにいつでも聴いてほしいですね。クリスマスの曲もありますし、飽きないアルバムになっています。中嶋私は家でも聴いていて、楽しくてワクワクする感じがわいてきます。歌詞自体は両手放しで楽しいです、という話ではないのもあるんですが、音がすごいワクワクするので、音楽を聴いて楽しんでもらえたらと思います。小籔全部通して聴いていただきたいですし、1曲だけ鬼聴きする感じでもいいですし。わりと長いこと、聴いていただけるようなアルバムちゃうかなと。ぜひ買っていただきたいなと思います。――9月25日には初のアリーナ公演が控えていますが、どのようなライブになりそうでしょうか。川谷けっこう効果的な演出にもなりそうで、かなりバラエティ豊かなステージになると思います。小籔芸人がおるバンドのライブじゃないような、「めっちゃアーティストやん」っていう感じのライブになります。曲がいいのはもちろんですが、きっと12回は笑うと思います、そのうち8回は、ガッキーで笑うでしょうけど(笑)。「65歳までジェニーハイを続けたい」(小籔)――よろしかったら普段のご様子もお聞かせくだい。みなさんはおうち時間をどのようにお過ごしですか?川谷以前は映画を観ることもありましたが、最近はずっと観れなくて。曲を作るときは集中しているんですが、きっと人間は脳の容量があって、いろいろな曲を作っているとそれ以外のことは端から忘れていくんじゃないかなと。映画を観た直後しか内容を覚えていないぐらい、集中できないんです。だから、2、30分で終わるようなアニメをずっと流して、部屋の掃除をしたりしていますね。(新旧のアニメが鑑賞できる)バンダイチャンネルで視聴できる『わがままフェアリーミルモでポン!』(テレビ東京系列シリーズは2002年〜2005年放送)という、ほのぼのアニメなんかを観ています。BGM代わりにちょうどいいんです。それ以外のときは基本曲を作ったり、あんまり休みという休みはないですね。前はご飯を食べに行ったりしていましたが、いまはできないですから。小籔よう働いてはりますもんね。1回、沖縄の砂浜を携帯も持たずに裸足で歩くような日が、1年に1回ぐらいは必要かもしれないですね。川谷そうかもしれないですね、デトックスしないと。デトックスといえば、いまは以前は飲んでいたコーヒーもやめて、お酒も飲まないので、寝起きもよくてすごく調子がいいですね。なんとなくやめてみたんですが、カフェインにおかされていたんだなと(笑)。曲を作っていても、以前とは違う気もします。小籔諸説ありますけど、昼の14時以降にコーヒーを飲んだら、夜の睡眠に影響があるって、言いますもんね。川谷一番長いと、14時間ぐらいカフェインがきいちゃうという説も。小籔僕はいま、ドラムと(オンラインゲームの)「フォートナイト」の2本をやっていますね。ドラムもゲームも、基礎練習が必要なものですが、ドラムで好きな曲を叩いているときと「フォートナイト」をやっているときが、何も考えなくていい楽しい時間です。それ以外は、社会の闇に怒っていたり、子どもたちの将来が心配だったりして……僕も沖縄に行って、裸足で歩かなあかんかな(笑)。中嶋私も家では、曲を作るか、服を作るか、絵を描くかですね。仕事でもあるけど趣味でもあるので、これをやっているときは一番癒されます。自分でブランドをやっているので、カバンなど持ち物にどういう機能をつけようかな、とか考えるのが楽しいので、家ではそういうことをしていますね。――美容面では気をつけていることは?中嶋健康的な生活が一番いいと思っていて、犬を飼っているので、早寝早起きを心がけています。川谷めちゃくちゃ早朝に散歩に行ってない?バンドマンぽくないよね。中嶋そうですよね(笑)。いま暑いので早朝に犬の散歩に行っています。散歩しているときは携帯も見ないですし、1時間ぐらい散歩するので、脳がクリアになりますね。それが一番美容にも、結果的に良さそうかなという気がします。――では最後に、バンドを代表して小籔さんから、ジェニーハイの今後の抱負をお聞かせください。小籔「紅白歌合戦」に出て、日本の三大フェスにも出て、全国ツアーも毎年開催して、それが65歳まで続けばいいなと思っています。僕が65歳になるまで、ジェニーハイを続けたいと思っていますので、目標を達成するために、みなさんさまざまなご支援をお願いします。取材後記まさにスターが集結した、ジェニーハイのみなさん。ananwebのインタビューの際は、川谷絵音さんの音楽の感性や秀逸さ、中嶋イッキュウさんのシンガーとしての魅力、小籔千豊さんの音楽や人生に対する真摯さを実感。とくに小籔さんは、筆者やスタッフの方にもお菓子を自ら配るなど、気配りが素晴らしい方。大阪出身の筆者としては、ジェニーハイの音楽もお笑いもたくさんの人たちに届いて、笑顔が広がることを祈っています。そんなジェニーハイのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりジェニーハイPROFILE小籔千豊(Dr)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、新垣隆(Key)からなる5人組バンド。バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)の知名度をあげるため、2017年にプロジェクトとして誕生。音楽番組や音楽フェスなどへの出演を目標に、当初は番組MCの小籔千豊、レギュラー出演のくっきー!、中嶋イッキュウの3人で結成。その後、3人からのアプローチにより、川谷がプロデューサー&ギターに就任。さらに小籔の推薦で新垣をメンバーに迎える。2018年3月、1st配信シングル「片目で異常に恋してる」でメジャーデビュー。2021年9月1日、2ndアルバム『ジェニースター』をリリース。9月25日、ぴあアリーナMMにてアリーナ単独公演「アリーナジェニー」を開催。InformationNew Release『ジェニースター』(収録曲)01.華奢なリップ(feat.ちゃんみな)02.夏嵐03.バイトリーダー典子04.BABY LADY05.コクーンさん06.良いんだって07.ルービックラブ08.ジェニーハイボックス09.卓球モンキー10.クリスとマス11.ジェニースター12.シャンディー2021年9月1日発売*収録曲は全形態共通。*トールサイズデジパック仕様、オリジナル漫画掲載「ジェニースター」ZINEを封入。(通常盤 CD)WPCL-13323¥3,300(税込)(初回限定盤 CD+DVD)WPZL-31892/3¥4,950(税込)(初回限定盤 CD+Blu-ray)WPZL-31894/5¥5,500(税込)*初回限定盤2形態には下記公演映像を付属。・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」(2020.2.18@Zepp Divercity Tokyo)・ジェニーハイ無観客ワンマンライブ「ベイビージェニー」(2020.10.27@Zepp Tokyo)・ジェニーハイ1stフルアルバム『ジェニーハイストーリー』リリース記念フリーライブ(2019.11.27@六本木ヒルズアリーナ)・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」Behind the scenes取材、文・かわむらあみり
2021年08月29日最高の恋を手にするために集まった男女の等身大でリアルな姿や、自由な恋愛模様が見られる「虹とオオカミには騙されない」の第4話が先日配信され、しゅうぞうを巡る3人の女性による三者三様の真っ直ぐな気持ちのぶつけ合いに、「全員同じくらい可能性がありそうだから結末が想像できない!続きが気になる」と視聴者から反響が寄せられている。さくらがしゅうぞうをデートに誘った「太陽ライン」デートでは、同じくしゅうぞうを想うセイラと、第3話で揺れる気持ちを明らかにしたTakiも参加。絵具作りを楽しむ中、さくらはしゅうぞうを2ショットに誘い、「いずれ世界を飛び回っていきたい」と、さくらが今後の夢を打ち明けると、しゅうぞうも「夢が一緒かもしれない」と嬉しそう。価値観の一致で急接近した2人に視聴者からも「夢が一緒なのはポイント高い!」「相談し合える関係もいいよね」と好印象な意見が寄せられた。一方、しゅうぞうを2ショットに誘ったTakiは、鳥を見つめながら「I wish I was a bird.(鳥になれたらいいのに)」「Like that I can fly to your heart.(そうすればあなたのハートに飛んでいけるのに)」と伝え、視聴者からも「ロマンチックすぎる」「海外ドラマをみているみたい…」と興奮のコメントが。情熱的なTakiのアプローチによって「今日でちょっと自分の中ではっきりしたかも」と語ったしゅうぞうの気持ちはどのように揺れ動いたのか?またスタジオからも、「甘い時間すぎて…」「鳥肌たった!」と黄色い声が上がった。番組後半では、しゅうぞうのとある一言により、さくらが「自分勝手かもしれないけど…私を見ててほしい」とより強くなった恋心を伝える一幕も。またエザキが、「恋愛対象に入る。友達のまま終わるのかな…」と、ある女性メンバーに伝えるなど新たな恋が生まれる兆しも見られた。次回の第5話は、現時点での想いを伝える“中間告白”直前、しょうたがTakiをデートに誘う。デートでは、野球レクチャーで後ろから抱きしめられる場面も…と、Takiの気持ちがどう変化するかにも注目だ。さらに、刻一刻と近づく脱落に向け、オオカミ予想が加速する。「虹とオオカミには騙されない」第5話は8月29日(日)22時~ABEMAにて配信。(cinemacafe.net)
2021年08月29日小劇場の緊密空間で、上質のドラマがもたらす衝撃に震える。そんな演劇体験を提供してきた「風姿花伝プロデュース」の第6弾、『終夜』が9月29日(日)に東京・シアター風姿花伝にて開幕する。プロデュース第1弾(2014年)『ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる』の作者、スウェーデン作家ラーシュ・ノレーンが1983年に発表した、日本初登場の戯曲である。『ボビー・フィッシャー~』の演出も手がけた上村聡史が、岡本健一、栗田桃子、斉藤直樹、那須佐代子の、際立つ個性と実力を誇る4人の俳優とともに、ノレーンの怪作に再び挑む。「不思議な作風に惹かれます」と語るのは、シアター風姿花伝の支配人であり、これまでの6作品すべてに出演してきた那須だ。ノレーン戯曲の魅力、稽古の手応えについて聞いた。「上村さんは留学中にノレーンの作品に出会ったそうで、第1弾は候補作のひとつとして『ボビー・フィッシャー~』を提案してくださいました。でもご自身としては恐る恐る……というか、たぶん別の作品になるだろうと思っていたようです。大体の戯曲は、何かしらの完成形がイメージできるけれど、『ボビー・フィッシャー~』はあまりに難解で、まったくそれが見えなかった。でも、これはひょっとしたら面白いんじゃない?と私が言ったら、上村さんが“まさか選ぶとは”とびっくりして(笑)。ヘビーな話でしたから。でも結果的には良かったなと思います」父、母、娘、息子の家族4人、それぞれが内なる思いを激しく噴出させる壮絶な会話劇『ボビー・フィッシャー~』は、プロデュース公演の始まりを強烈なインパクトで彩った。今回の『終夜』は兄と弟、それぞれのパートナーによる同じく4人芝居。執拗に繰り返される兄弟、夫婦の衝突によって、人間の愛の渇望、究極の孤独が浮き彫りになっていく。「作家というものは、“これを届けたい”という思いを持っているものだと思うんですが、ノレーンの場合はそれが本当にわかりにくい。劇構造を安易に提示することを嫌悪している、そんなふうに書いてもいる作家なんですよね。わかりやすいものを客に持ち帰ってもらう、なんてことに嫌悪感がある。劇構造を裏切っていきたい思いがあるのでしょう。今回の作品は夫婦喧嘩が延々と続くんですが(笑)、ノレーンは詩人でもあったので、言葉が面白いんですね。どんどん喧嘩が煮詰まっていくけれど、そこにちょっと抜け感があるというか。どこかで“え?”と肩透かしされるような、ユーモアと言っていいのかわからないけれど、不思議な風通しの良さがあるんです」母親の葬儀を終えて帰宅した精神科医ヨン(岡本)とその妻シャーロット(栗田)。そこへヨンの弟アラン(斉藤)とその妻モニカ(那須)が訪れる。不仲の兄弟、そして夫婦の間に沸き起こる不協和音はさまざまな組み合わせによって反響を繰り返して……。それぞれの抱える不安、不満、鬱屈が暴力的に露出していく展開を追っていくのは何とも息苦しいが、那須の言葉通り、ところどころで吹く渇いた風が頬を緩ませ、笑いが心を救っていく。「母親の死の後、というところが大きなポイントでしょう。身近な人が亡くなった後には、人間の内側にあるものが表に出ちゃったり、何かが起きますよね。今、稽古をしていて思うのは、この4人がすごく可愛らしいなと。シャーロットなんて本当にくどくどとうるさくて半分クレイジーに感じる女だから、やり方によっては嫌われる役だと思うんです。でも栗田さんが演じると、彼女の持つピュアな雰囲気によって嫌いにならない。生命力を強く持った女性として、シャーロットをとてもチャーミングに演じてくださっています。岡本さんも、私は彼のことをすごく色っぽい人だと思っていて。これまでシェイクスピア作品などでご一緒することが多かったんですが、今回はわりと等身大の役で、このヨンという人は自分から発信していくというよりは、受け身の立ち位置にいるんですよね。そんなキャラクターに、岡本さんの色気がとても発揮されていると思います。斉藤さんは踊りをやっていらした人で身体表現がすごく上手だから、アランが最後、崩壊していくところなんて、もう無茶苦茶な感じが体全体から滲み出て、滑稽で笑えるくらい。私が演じるモニカもこれまでやったことのない役で、ちょっと不思議な女の人です。この戯曲、ものすごく重くて暗い話にもできるし、コメディっぽく作ることもできる。誰が演じるかによっても大きく違って見えるから、“今、この座組で作るこの作品をどう届けるのか”ということを、上村さんが一生懸命に考えてくださっています」『ボビー・フィッシャー~』では、読売演劇大賞において作品賞、出演の増子倭文江が優秀女優賞、上村が最優秀演出家賞を受賞し、以降の風姿花伝プロデュース作品でも俳優、スタッフに賞をもたらしている。小劇場のプロデュース公演という稀な形態で輝かしい実績を生み出したのは、那須の奮闘はもちろんのこと、もうひとりのプロデューサーの尽力も大きかった。「一昨年に亡くなられた俳優の中嶋しゅうさんがこの劇場を気に入ってくださって、“2019年まではプロデューサーとして関わる”と言ってくださっていたんですね。それでいろんな方に声をかけてくださった。岡本さんもそうですし、昨年の第5弾『女中たち』演出の鵜山仁さんや、今回なら照明の沢田祐二さんなど、一流のスタッフの方々が関わってくださるのも、しゅうさんのおかげです」名プロデューサーがつなげた豊かな人脈によって、今年も風姿花伝に骨太の大作が立ち上がる。予告された上演時間は、実に4時間半だ。「原作は7時間くらいあるんです」と聞いてさらに驚く。現状は、「今の稽古の感触では、休憩含めても4時間以内に収まりそう」とのこと。この空間だから成立する濃厚なドラマセッションに、観客としてぜひ参戦したい。「今回は一日一回公演しかできません。岡本さんは“3カ月くらいやろうよ”と最初は言ってたけど(笑)。第6弾を迎えて、ありがたいことに“見応えのあるストレートプレイをやっている”イメージが定着してきているので、4時間も何のその!といった気持ちで来てくださるといいなと思っています(笑)」取材・文:上野紀子
2019年09月27日舞台『BLUE/ORANGE』が東京・DDD青山クロスシアターにて開幕した。それに先がけ囲み取材とフォトコール(写真撮影会)が行われ、取材には演出・出演の千葉哲也、出演の成河、章平が登壇した。【その他の画像はこちら】イギリスの劇作家Joe Penhallによって書かれた本作は、ロンドンの精神病院でひとりの精神病患者とふたりの医師が繰り広げる24時間のやり取りを描いた3人の会話劇。2010年の日本初演は、演出・出演を千葉、出演を成河、中嶋しゅうで上演され、成河が第18回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞した。9年ぶりの上演となる今回は新たに翻訳を小川絵梨子が手掛け、引き続き出演する成河と千葉も初演とは違う役を演じる。わずか2場面ながら、あっという間に引き込まれた緊張感ある芝居を披露したフォトコール後、出演者3人は囲み取材に出席。本作について、成河は「表面的に一言で言うと、千葉さん演じるロバート医師は“ちゃらんぽらん”、僕のブルースは“正義感に溢れた医師”ですが、それが2時間50分かけて“おや?”となっていくような劇です」、千葉は「登場する3人は、“自分に正直であること”に関しては間違っていない。意見の食い違いが出てくるだけで、誰かが正義で誰かが悪ということではない」、章平は「精神病院が舞台ですが、そういうカテゴライズを取っ払うと、この3人の関係性はありふれたものです。観た後に解釈を議論したり噛み砕いてみるような楽しみ方をしていただけたら」と語った。成河が「噛み応えのある戯曲なので、みんなでいろんな歯を使って噛んできた感じです」と言うように、稽古では3人でアイデアを出し合いながらつくってきたという本作。小川による新訳ということもあり、千葉は「今回は観終わった後に嫌な感じが残る感じではなくなった気がします」と変化を語る。今回が初参加で、9年前に成河が演じた精神病患者のアフリカ系青年クリスを演じる章平が「おふたりは何をやっても成立させてくれる。安心感しかないです」と稽古を振り返ると、成河は「僕がクリスを演じたときにもそうさせてもらった。この立場に立つと、クリスは自由であればあるほどいいことが稽古していてわかる」と明かした。最後に成河は「この作品は、エンターテインメントが“考えることをやめるためのもの”ではなく“考える方法を育むためにあるもの”なのだという、まさにそのもののような気がします。ぜひそういう体験をしに来てください」と話した。対面で客席が設置された「覗き見の芝居」(千葉)でもある本作は、4月28日(日)まで東京・DDD 青山クロスシアターにて上演。チケット発売中。取材・文・撮影:中川實穗
2019年04月01日2009年の『ヘンリー六世』に始まり、『リチャード三世』、『ヘンリー四世』と鵜山仁の演出で、浦井健治、岡本健一らを迎えシェイクスピアの歴史劇を上演してきた新国立劇場。その集大成とも言える『ヘンリー五世』がまもなく幕を開ける。【チケット情報はこちら】前作『ヘンリー四世』(2016年)では、浦井はハル王子として、放蕩三昧の暮らしを送ったかと思えば、あっさり悪い仲間たちと手を切り、戴冠しヘンリー五世に即位した。本作では冒頭から、王子時代の若気など一切感じさせぬ、怜悧かつ威厳に溢れた王の姿を体現。ハル王子時代はヘッドフォンを首から下げ、ハイテンションの芝居が印象的だったが、今回は王冠に王笏、ローブという“王道”スタイルで、目は据わり、セリフ回しにもどっしりと重みが感じられる。仏王の挑発を落ち着いて受け止め、裏切り者の諸侯を苛烈に処断し、戦争となれば、先頭に立って躍動し、勇ましく兵たちを率いていく。『ヘンリー四世』でタイトルロール、つまりハル王子の父親を演じたのは、昨年、急逝した中嶋しゅう。演出の鵜山は「このシリーズはいわば、浦井健治がいろんなものを食べて、成長していくという話。しゅうさんのことも含めて、いろんな“エコー”を背負って、吸収し、変化していくのを感じる」と浦井が背負うドラマに言及する。そんな王が象徴する「国家」と相反する「個」を象徴する存在として描かれるのが、王にとっては王子時代の悪友であるピストル。前作に続き、岡本が演じているが、こちらは子どもがそのまま大きくなったかのような悪童ぶり。言葉遣いは乱暴で酒好き。欲張りで器が小っちゃく、勇ましいことは言いつつも戦には及び腰、しかし仲間の命のために奔走する情の厚さも持つ男を岡本は人間臭く、魅力的に演じている。鵜山はこのピストルを「大義名分よりも個の幸せや欲望。大陸を巻き込んだグローバルに対するローカルを象徴している」と評す。浦井と岡本は過去のシリーズでは、様々な関係性で一騎打ちを見せてきたが、本作では直接やりあうシーンはない。後半、ふたりが顔を合わせるシーンでは、ピストルは目の前の相手が王でかつての悪友であることを認識せぬまま、王に対する評価を口にする。「直接、ぶつからないのが厄介(笑)。このすれ違いを掘り下げていくと何か見えるんじゃないか」(鵜山)。もうひとり、物語…というよりも歴史の歯車を大きく回すことになるのが、中嶋朋子が演じるフランス王女でヘンリー五世に嫁ぐことになるキャサリン。英語の会話もままならぬ状態で、“戦果”として英国に渡ることになるが、彼女の存在が『ヘンリー六世』、そして『リチャード三世』へと繋がっていくことを想像しながら見ていると、英語を必死で練習し、片言で受け答えをするコミカルなやり取りがどこか恐ろしく感じられる。『ヘンリー五世』は5月17日(木)より東京・新国立劇場中劇場で上演。取材・文・撮影:黒豆直樹
2018年05月16日今年は『ビッグ・フィッシュ』や『デスノート THE MUSICAL』などが好評だった俳優の浦井健治(36)。日韓文化交流企画『ペール・ギュント』の製作発表の席では、「アンニョンハセヨ!」と挨拶し、会場の緊張をほぐした。 「僕の役、ペールならこういう挨拶しそうだなって(笑)」(浦井・以下同) ノルウェーの劇作家イプセンの劇詩を原作に、韓国の演出家ヤン・ジョンウンが演出する壮大な“自分探し”の物語。自由奔放なペールが現実と精神世界で出会いを重ねながら、数奇な一生をたどる。 「ヤンさんが『浦井はペールみたい。ぜひ演じてほしい』とこの演目を選んでくれて。ところが、ペールって女たらしで逃げ腰で、とんでもなく自分勝手。えっ、これが僕!?って(笑)。でも確かにペールと僕は似ているかもしれない。普通であることに満足していなかったり、尊敬しているのに親に歯向かってしまったり。逃げ腰なところも(笑)。それに人生でいちばん大切なものが何かわかっているけれど、とりあえず旅してみたいなと思っている。きっと今の自分を認めたくないんです」 デビューから16年。次々に大舞台に立ち“ミュージカル界の王子”とも呼ばれるが。 「『順調ですね』って言われますけど、作品ごとにいったんゼロの状態になると、次に飛び込むのが怖くなる。そういうときは恐怖心を受け入れます。そしてたまに逃げる。漫画やゲーム、買い物、筋トレに励んでみたり。けれど結局、逃げ場はなく、稽古場や板の上でみんなで答えを導き出して乗り越えていく連続です」 去年の『ヘンリー四世』では限界や危機をも感じたそう。 「それは僕にとってまさに“事件”でした。思うように演じられず、プレッシャーに押しつぶされそうで。先日、劇場近くの喫茶店でマスターが、『浦井は今回のハル王子をしっかり演じきったら高評価を得るだろう』としゅうさんが話してたよ、って。共演した中嶋しゅうさんは常にアドバイスをいただくなどお世話になってきた憧れの先輩。夏に突然亡くなられてしまいましたが……。いつも陰で見守っていてくださったんですよね」 先輩の予言どおり、今年文化庁芸術選奨の演劇部門新人賞を受賞。彼もまた、人との出会いに支えられながら人生を紡いでいる。
2017年11月27日公開初日を迎えた映画『彼女がその名を知らない鳥たち』の舞台あいさつが28日、東京・新宿バルト9で行われ、ダブル主演の蒼井優と阿部サダヲをはじめ、松坂桃李、竹野内豊、白石和彌監督が出席した。阿部らが演じた3人の男性と関係を持つ十和子を演じた蒼井は「お三方(阿部、松坂、竹野内)に対して違う面を見せていければと思いながら演じました。お三方とはロケも全然異なり、阿部さんは汚い感じ(笑)、松坂さんとはキラキラしてライトが綺麗なところのロケが多く、竹野内さんとは嘘みたいな白いお家と砂浜で撮影しました。三本の作品を撮っているような感覚でしたね」と振り返った。また、本作は7月に死去した俳優・中嶋しゅう氏の最後の映像出演作品で、「しゅうさんは私に芝居の面白さを伝えてくださり、国枝という役をしゅうさんにやってもらいたくて、監督にお話させていただいたんです。演劇で共演させてもらい、映像ではなかったので、私の夢が叶ってしゅうさんとご一緒できました。びっくりするほど気持ち悪い役ですが、しゅうさんの最後の姿を目に焼き付けていただけたらと思います」と故人を偲んだ。究極の愛を描いた本作にちなみ、「究極の●●エピソードは?」という共通質問に、蒼井は「究極の寒がりなんです。近年のスケジュールを考えても、真冬は舞台の仕事で、どうにか真冬のロケは出てないです(笑)。寒いという感情が一番嫌いなんです(笑)」とカミングアウト。対する阿部は「芝居の前はトラックの運転手をしていました。(自身が本作で演じた)陣治みたいな感じで(笑)。ドカジャン着て金髪で髭生やしてもっと汚かったですよ」と明かして登壇者や観客を驚かせ、「陣治は心地良かったです。あれはあれで良かったですよ」と昔を懐かしんでいた。ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに、「究極の愛とは何か?」というテーマを突きつけ、読者を虜にした沼田まほかるの同名小説を、『日本で一番悪い奴ら』などを手掛けた白石和彌監督が映画化した本作。クレーマーで自分勝手で嫌な女・十和子を蒼井優、その十和子に異様な執着を見せる不潔でちんけで下劣な男・陣治を阿部サダヲ、さらに妻子がありながらも十和子と肉体関係を結ぶ下衆男・水島を松坂桃李、十和子の元恋人で別れる時に彼女の心や身体を傷つけたクズな男・黒崎を竹野内豊がそれぞれ熱演している。
2017年10月30日蒼井優、阿部サダヲのW主演で贈る映画『彼女がその名を知らない鳥たち』初日舞台挨拶が10月28日(土)、都内にて行われ、蒼井さん、阿部さんに加え、出演した松坂桃李、竹野内豊、白石和彌監督が一堂に会した。挨拶中、阿部さんのマイクの音が急に出なくなるというハプニングに襲われたが、出演陣が一斉にマイクを差し出すというほほえましい事態に。中でも、とっさに渡した竹野内さんの姿に、観客が「優しい~!」とメロメロになると、阿部さんが「竹野内さんって、優しいんですよ!」となぜか誇らしげにしていた。『彼女がその名を知らない鳥たち』は、究極の愛を描いた物語。8年前に別れた男・黒崎(竹野内さん)を忘れられない十和子(蒼井さん)は、いまは15歳上の男・陣治(阿部さん)と暮らし、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる水島(松坂さん)と関係を持ち情事に溺れていくが、陣治が執拗に自分をつけ回していることに気づいてしまう。本作で、自分勝手に見える女を熱演した蒼井さんは、阿部さん、松坂さん、竹野内さんと三種三様のベッドシーンを担当した。その様子をふり返った蒼井さんは、「ロケ地も違うので、全然違いました。阿部さんのところは本当に汚いところばかり(笑)。松坂さんとはキラキラしたような、ライトがキレイなところが多くて。竹野内さんとは嘘みたいなロケ地で、白い砂浜とかで撮影していました」と笑顔を見せ、「3本の作品を撮っているような感覚でした」と贅沢な撮影を思い出していた様子だった。これまで演じたことのない最低のクズ男を演じ、新境地を拓いた竹野内さんは、「なぜ私に声をかけてくれたのかなって…」という疑問を白石監督にぶつけたと述懐。白石監督は、「いままで映画でクズをいっぱい撮ってきているんですけど、黒崎は擁護のしようがないクズ」と竹野内さんの役を説明したのち、「とはいえ、台本では描ききれていない黒崎の人生があり、哀しみや孤独さとかがないまぜになっている。描き切れないからこそ、竹野内さんにやっていただければ、存在としていろいろなものを表現できるだろうとオファーしました」と、全幅の信頼を寄せていたことを明かした。舞台挨拶の最後、蒼井さんは本年7月6日に舞台出演中に転落し亡くなった中嶋しゅうについて、想いを語った。「(『彼女がその名を知らない鳥たち』は)中嶋しゅうさんの最後の映像作品です。偉大な偉大な先輩で、芝居の面白さを私に教えてくださった方。演劇で共演していて映像がなかったので、差し出がましいですけど『國枝役は、しゅうさん、どうですか?』と監督に(提案)させていただいて、私の夢がかなって今回ご一緒できました。びっくりするほど気持ちの悪い役ですけど(笑)、しゅうさんらしくて愛らしい方なんです。しゅうさんの姿と松坂さんの熱演を目に焼き付けていただけたらと思います」。『彼女がその名を知らない鳥たち』は全国にて公開中。(cinamacafe.net)■関連作品:彼女がその名を知らない鳥たち 2017年10月、全国にて公開(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
2017年10月28日●『凶悪』『日悪』に続いて「心中した」原作『凶悪』(13)や『日本で一番悪い奴ら』(16)で、人間の業を炙り出してきた白石和彌監督が一転、「無償の愛」に挑んだ。10月28日に公開となる映画『彼女がその名を知らない鳥たち』。クレームで憂さ晴らししながら、地位も金もない陣治(阿部サダヲ)を足蹴にする依存女・十和子(蒼井優)。そんな十和子への執着心を隠さない不潔男・陣治と、薄っぺらな甘い言葉で十和子と肉体関係を結ぶ不倫男・水島(松坂桃李)。そして、自らの地位のために十和子を踏み台にする野心家の男・黒崎(竹野内豊)。不倫報道が日常化してきた今、ただその是か非かを問いただすのではなく、それら登場人物たちを通して、一観客に「あなたの愛とは?」を鋭く投げかける。その担い手となる役者を手とし、足とするからには。白石監督はそんな強いこだわりと責任を腹に据えて本作と向き合っていた。奇しくも映画作品で遺作となった中嶋しゅうさんとの思い出にも、役者への尊敬の念がにじみ出ている。○「同じような役」をオファーしないワケ――高校の先輩から数冊の本をもらい、その中の一冊が今回の原作だったそうですね。幻冬舎さんに小玉(圭太)さんという高校の大先輩がいらっしゃるのですが、小玉さんが『凶悪』を観て僕の存在に気づいてくださり、食事に誘ってもらって、それ以降かわいがっていただいてたんです。小玉さんが出版社問わず映画化したい本を数冊持ってきてくださって、その中の一冊が『彼女がその名を知らない鳥たち』でした。――『凶悪』がなければ、今回の作品も生まれなかったと。そうですね。『凶悪』問わず、すべての作品はそうやっていろいろなことに繋がっているんだと思います。――「無償の愛を描きたい」という思いが一致した作品だったと聞きました。映画化しづらい原作だと思います。過去の話が重要な要素を占めていますし、ラストの描き方もとても難しい。原作を読み終わって、1週間ぐらいそのあたりが引っかかっていました。でも、繰り返し考えているうちに、「好きかも」となってきて(笑)。そう思ってしまうと「もう、やるしかない」。――物語の起承転結も含めて、そうやって冷静に判断されてから決断されるんですね。もちろん。『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』もそうでしたが、「この原作と心中できるか」という覚悟がないと。もう少し手軽に撮っちゃえばいいのかもしれないですけど、「そうはいかん」と言い聞かせています。――原作に忠実に。ご自身の解釈で映画化することは本意ではないというお考えですか?もちろんそういうこともあり得るし、正しいとも思います。今回も読み終わって、ラストを変更することも考えて、いくつか書き出しました。でもやっぱりしっくりこなかった。最終的には「このラストしかない」と。これ以上の衝撃はありませんからね。――映画を観た後、何か引きずられているような独特の"魔力"がありました。CMで蒼井優さんを見ると十和子と重なって、以前とは違う魅力を感じたり。出ている役者さんが、それぞれ自分が抱いていたイメージとは少しずれているというか、キャスティングの妙を感じました。起用は原作を読んでの直感なのですが、阿部サダヲさんや蒼井優さんをはじめ、パブリックイメージと違う役割をいかに与えるのかというのが重要と考えています。阿部さんは最近「いい人」というか、潔癖感のある役が多かったのですが、今回のだらしない男も喜々として演じてくださいました。――そのあたりが「役者冥利」なんですかね。そうだと思いますよ。同じような役をやってもね。それを課されている俳優本人がいちばん思っているんじゃないですかね? でもみんな文句も言わず、当然プロだからきちんと全うしています。起用する側は、役者の将来性も踏まえてちゃんと考えてあげた方がいいと思います。●少女漫画映画の「恋」頼りを憂う――表現は正しくないのかもしれませんが、心理テストを受けているような映画でした。つまり、登場人物に対して自分がどのような印象を抱いているのか。そこがとても肝となるストーリー展開でした。そうですか(笑)。原作の流れには基本的に沿っていますが、陣治についても阿部さんから「どうやって演じたらいいですか?」と聞かれると、「さっき人を殺してきたような顔で」とお願いしていました。○連日の不倫報道と世間の「愛」――最近の映画は恋を描く作品が多くて、愛を描く作品が少ない。そんなこともプロダクションノートに書かれていました。今回の映画では、その「愛」を描こうとしている。少女漫画を原作にした映画がたくさん作られてますが、そのほとんどが恋の映画。また、そういう映画でしかヒット作を生み出せない日本の現状を憂いているというか、愛は愛でも気軽に口に出せる愛ではなくて、口に出すこと自体が軽く感じてしまうようなものをせめて作ろうよと。――そういう点での「無償の愛」は、とても覚悟のいるテーマですね。伝わっている人には伝わると信じたいですね。この映画は、最後に提示されるのが「愛」であるからこそ、観ていてつらくなるような展開を経ても残るものがあるんだと思います。いつか十和子が死ぬ時、きっと「良い人生だった」と前向きになるに違いない。そう思っています。――ここ数年、著名人の不倫が連日取り上げられています。今回の「無償の愛」は世相に対する問いかけとも受け取れます。でも映画を観て、ほとんどの人は無意識に「有償の愛」を求めているんじゃないかと思ってしまいました。本当にその通りだと思います。「無償の愛」は容易ではありません。相手に見返りを求めず、すべてを捧げることができる人はなかなかいない。そうやって深く考えていくと、この作品に潜んでいる過激なメッセージが聞こえてきます。でも、なかなか「無償側」にはなれませんよね。――そうですね。でも人として「無償でありたい」とも思います。1万分の1ミリでも、そうありたい (笑)。そうなれれば、何かが変わるんじゃないか。そんな予感がするんですよね。――松坂桃李さん演じる水島。十和子をもてあそぶゲス男でしたが、自分都合で考えてしまうことは多かれ少なかれ、自分も含めて誰にでもあるような気もしました。"そっち側"の人がほとんどだと思います。出演者の方には世の中の不倫についてとか具体的なことは話しませんでしたが、みんな共通して同じようなことを思っていたんじゃないですかね。○ピエール瀧の悪役像を生み出した起源――阿部さんからは「脚本に対して忠実に演じようとするルール」を感じたそうですね。脚本に書いてあることや僕がしてほしいと思っていることを、まずは素直に再現しようとする努力を惜しまない。そういう印象を感じましたね。役者さんが受け入れられなければ話し合うこともありますが、そういうこともあまりなかったです。互いに陣治のイメージが一致していたんだと思います。思い入れが強い役だったので、脚本にもだいぶ手を入れさせてもらいました。――『アウトレイジ 最終章』のピエール瀧さんを見て、『凶悪』を思い出しました。そういう悪役イメージを引き出したように、白石監督ならではの役者さんとの距離感、独自の演出法があるのではないかと。今の阿部さんの話を聞いても思いました。どうなんだろう。さきほど言われてうれしかったのが、もともとのイメージとずれている配役だったと。パブリックイメージと違う役割を与えるというのが、まずは僕の役目だと思うんですよね。それは役者にとってはうれしいことだし、一方では不安になるかのどちらかなんですよね。その役をやってみたいと思えばうれしいし、絶対にできないと思っていれば不安になるだろうけど。ただ、確実に普段やり慣れていることよりは、何かアプローチを変えなきゃいけないから。そういう役割をちょっとでも与えると、役者は急激に輝きを増すと思います。それは一般社会でも同じじゃないですか? プロ野球の監督も優勝すると、どのように指揮したのか分析する記事が上がりますよね。でも、その内容は結果を残したからこそ引きがあるわけで、結局は「勝てば官軍」。そういう考えに近いというか。新しい何かを発見してあげれば、役者は喜んでくれると信じています。●中嶋しゅうさん「また出てやるよ」――役者への尊敬の念ともいえますね。黒崎(竹野内豊)の妻・カヨ(村川絵梨)の叔父である国枝を演じた中嶋しゅうさん。残念ながら今年7月6日、舞台出演中に倒れ、帰らぬ人となってしまいました。映画で観ていただいた通り、役者としてとても輝いている方でした。嬉々として演じてくださって。国枝という役は原作では回想シーンしか登場しなくて、現在の十和子とは会わない。映画では2人が対面して。そのためにセリフを設けました。――「お前のことは覚えている」。身の毛もよだつセリフでした。やりたい放題やってきた国枝が五体満足で出てくるのも面白くないので、半身不随の設定にしました。どうですかねと尋ねてみたら、すごく喜んでくださって。「こんな感じの歩き方でいいかな?」とかいろいろ細かいアイデアをくださって。本当に楽しかったです。――どのような経緯で出演が決まったんですか?しゅうさんは前から出てもらいたいと思っていたんですけど、舞台でお忙しいのでなかなか映画のスケジュールと合わなかった。今回は、映画『関ヶ原』が終わって、ロケ地が大阪と近かったのでその足で来られるということになって、たまたまタイミングが合ったんです。やっと出てもらえてよかった、またお願いしますね、なんて話していたんですけどね。「また出てやるよ」と言ってくださっていたのに。――貴重なお話ありがとうございました。強烈な存在感とインパクトを残した役だったと思います。監督ご自身としてはここ最近、オファーが続々と舞い込んでいるそうですね。どのような基準で作品を選ばれているんですか?基本的には「面白い」と思えたもので、「ハートに火がつくかどうか」を方針としているんですけど、作品が増えすぎてきたのでまた方針を変えていこうかなと思っています。みなさん付き合いが長いと僕のことを知っていて「次にこういうのやりたいんじゃないの?」みたいなものを持ってきてくださって、それをやっちゃったりするので(笑)。『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』と同じように、この子(映画のプレスを指しながら)がまた新しい扉を開いてくれる映画になるんじゃないかとすごく期待していて。「お前、実録の人だろ?」みたいに言ってくるヤツもいましたが(笑)、職人でいたいなとは思いますよね。アレも撮れるし、コレも撮れる。そういった意味での新たな一面に挑戦できたことはよかったと思います。この作品も、新たな出会いのきっかけになることを願っています。■プロフィール白石和彌(しらいし・かずや)1974年北海道生まれ。1995年、中村幻児監督主催の映画塾に参加し、その後、若松孝二監督に師事。助監督時代を経て、行定勲、犬童一心監督などの作品にも参加。初の長編映画監督作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10)の後、ノンフィクションベストセラー小説を実写化した『凶悪』(13年)は、第37回日本アカデミー賞優秀監督賞ほか、各映画賞を総なめした。その後、『日本で一番悪い奴ら』(16)、『牝猫たち』(16)、Netflixドラマ『火花』(16)など、幅広いジャンルを映像化し、来年は『サニー/32』(18)、『孤狼の血』(18)の公開を控えている。(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
2017年10月27日小川絵梨子演出「CRIMES OF THE HEART -心の罪-」が9月2日(土)に開幕する。舞台「CRIMES OF THE HEART -心の罪-」チケット情報本作は、1981年にピュリツァー賞・ニューヨーク劇評家サークル賞を受賞したべス・ヘンリーの戯曲で、小川演出版の今作には、安田成美、那須佐代子、伊勢佳世、渚あき、斉藤直樹、岡本健一が出演する。開幕を約2週間後に控えた稽古場に潜入した。物語は、三人姉妹の末っ子・ベイブが上院議員の夫を銃で撃ち、朝刊の一面を飾ることから始まる。しかし実は、描かれるのは“事件”ではない。40歳の長女・レニー(那須)、37歳の次女・メグ(安田)、34歳の三女・ベイブ(伊勢)の、可笑しくて愛おしい三姉妹の“絆”だ。この日、稽古が行われたのは三姉妹のシーン。親代わりの祖父が危篤状態になったことを明かす場面だが、最初は病状について真剣に語り合っていたはずが、気付けば徹夜明けのテンションで笑いが止まらなくなったり、靴のかかとの修理を始めたり、姉の恋を応援したり…。いくつもの笑えない状況を抱えたまま気ままに過ごす3人の姿から、不思議なほどに互いへのいたわりや、深い諦めが感じられ、姉妹が歩いて来た険しい道のりを思わずにはいられないシーンとなっていた。暗い雰囲気になってもおかしくない物語だが、自然と笑いが存在し、テンポもよく、観やすいのは、俳優そして演出の成せる技。責任感が強い長女、奔放な次女、無邪気だが爆弾を抱える末っ子…その一見よくある三姉妹の、実はハードな生い立ちや孤独が滲む芝居は見事で、さらに渚や斉藤、岡本が、姉妹それぞれの内に秘めた感情を鮮やかに浮き立たせていた。稽古後、小川に話を聞くと、「稽古は楽しいです。メンバーがみんな素敵な方なのでありがたい」と笑顔。本作は、7月6日に急逝した中嶋しゅうの企画ということで「しゅうさんのおかげでつくらせてもらっている、という感じで。それが一番です。今回のメンバーはみんなしゅうさんと親しい方ばかりですし、しゅうさんの企画なので。そういう意味では本当にしゅうさんと一緒にっていう気持ちで。そしてこのメンバーで楽しくやらせていただけるのは、しゅうさんのプレゼントだなと思います」。「タイトルの印象で重い感じかなと思われるかもしれないですけど、基本的にはコメディなので。気軽に観に来ていただけると嬉しいです!」と小川も言うとおり、姉妹のタフでしなやかな姿に、笑わされ、励まされ、やさしく心を揺さぶられる本作。公演は9月2日(土)から19日(火)まで東京・シアタートラム、9月22日(金)に神奈川・やまと芸術文化ホール メインホールにて。取材・文:中川實穗
2017年08月28日岡田准一が8月26日(土)、石田三成役で主演を務めた『関ヶ原』の初日舞台挨拶に登壇。同作で共演し、今年7月に亡くなった俳優・中嶋しゅうさんを偲び、「この日(初日)を迎えられたと報告したい。届けばいいなと思っています」と思いをはせた。歴史小説界の巨匠・司馬遼太郎によるベストセラー小説をもとに、戦乱の世に終止符を打ち、その後の日本の未来を決定づけた「関ヶ原の戦い」の6日間を壮大なスケールで映画化した。舞台挨拶には岡田さんをはじめ、有村架純(伊賀の忍び・初芽役)、平岳大(島左近役)、東出昌大(小早川秀秋役)、伊藤歩(蛇白/阿茶役)、音尾琢真(福島正則役)、和田正人(黒田長政役)、中越典子(花野役)、役所広司(徳川家康役)、原田眞人監督が出席した。過酷な撮影をふり返った岡田さんは、音尾さん演じる福島正則に蹴られるシーンを挙げて「股やお尻あたりなら耐えられるので、そこを中心に、お腹はたまにとお願いした」のだとか。しかし、役に入り切った音尾さんは「夢中になってしまい、ずっとお腹を蹴ってしまって(笑)。カットがかかった瞬間、『ずっと、腹!』って怒られてしまった。その節は申し訳ありませんでした」と平謝りだった。また、「もし別の登場人物を演じるなら?」と質問されると、岡田さんは「東出くんですね。(背が)大きいんで、よく見渡せそう。役柄で言うなら、やっぱり徳川家康がいいですね」と持論。「原田監督が25年かけて構想した大作に、出演できるのは役者として幸せな時間だった」としみじみコメントした。原田監督は、約600人の観客で満席となった会場を見渡し「今日は天下を取った気分」と晴れやかな表情だった。『関ヶ原』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2017年08月26日映画監督に、出演役者の印象を伺っていく「監督は語る」シリーズ。今回とりあげるのは、有村架純(24)だ。2010年、『ハガネの女』でドラマ初出演を果たし、2013年にはNHK連続テレビ小説『あまちゃん』出演で人気を博す。その後多くのドラマに出演する売れっ子女優で、2017年4月から放映のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』では主演を務めている。『映画ビリギャル』(15)で、第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞と新人俳優賞を受賞。さらに同作と『ストロボ・エッジ』(15)でブルーリボン賞主演女優賞を獲得するなどの活躍を見せ、最新作となる映画『関ヶ原』(8月26日公開)では、伊賀忍びの初芽を演じる。○有村架純の印象最初に彼女に会ったのは、作品ではなくブルーリボン賞の授賞式だったんです。一緒に壇上に立って「うわあ、かわいいなあ」と思い、『ビリギャル』を観て、やっぱりかわいかったですね(笑)。切り替えの芝居もうまいし、ベタ惚れになって、ヒロインはまず第一に有村さんにお願いしたいという思いがありました。今見ると、彼女はリハーサルをすればするほど、理解度が深まっていくタイプなんですよね。僕が見た限りでは、今回の芝居で1番素晴らしいのが、1番多くリハーサルした、最初の三成との会話でした。天才型ではなく努力を重ねるタイプで、じっくり1つのシーンに対して、ある程度の演技指導を行っておくと、次の時にはそれをクリアして、なおかつプラスαが出てくるんです。物静かな勉強家です。もっともっといろんなことができると思うし、『ビリギャル』を中心とした有村架純のイメージしか抱いてなかった人は、彼女の守備範囲の広さにびっくりすると思うし、これ以上の本格派の時代劇をやったとしてもきっとできますよ。それくらい学習能力が高い女優です。○撮影現場での様子努力家の有村さんですから、現場でも、僕が見る限りでは物静かでした。キャピキャピして騒ぐタイプではないし、真剣になって役の心情と会話している感じですよね。有村さんは、スケジュール調整がものすごく大変だったんですよ。最初は出演が絶望的だったんですが、もしかしたら3~4週間空けることができるかもしれないと風向きが変わってきたので、とにかく彼女のシーンをまとめて撮影できるように少し書き変えたりしました。撮影前のリハーサルは出来るということなので、所作指導やアクション指導も行いましたが、本当に一生懸命ですし、今までやったことないのに、勘が良い。役者は勘が良いことが1番大きな要素なんですが、そこがすごかったですね。○映画『関ヶ原』でのおすすめシーン彼女の素晴らしさが1番見えたのは、比叡山で撮った忍者バトルのシーン。当日結構な豪雨になっちゃって、普通だったら中止なんですが、考えてみれば普段誰も入れない比叡山の修行道で、雨降らしの機械も持ち込めないところで雨が降ってくれている。映画の神様の雨降り効果だから、やるしかありません。あの忍者バトルは、みんな腰を落として体を低くして戦っていて、最初に立ち上がったやつがやられてしまうというコンセプトで組んでいたんです。でも有村さんは集中して全部のアクションをやっているから、疲労で立ち上がる前に尻もちをついてしまったんですよね。その表情がすごくよかった。その疲労感や、絶望で中嶋しゅうさんを見上げる顔こそが、映画のリアルだなということで、少しコンセプトを変えました。ハプニングが起きたとしても、役として輝く要素を残してくれました。(C)2017「関ヶ原」製作委員会
2017年08月25日ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに“究極の愛とは何か”と突きつけ、読者を虜にした沼田まほかるの人気ミステリー小説を原作に、蒼井優と阿部サダヲのW主演で映画化する『彼女がその名を知らない鳥たち』。この度、本作の脇を固める実力派俳優陣の場面写真が到着した。8年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、いまは15歳上の男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんなとき、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――。『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督が、初めて本格的な大人のラブストーリーに挑んだ本作は、W主演の蒼井さん、阿部さんの2人に加え、松坂桃李、竹野内豊といった実力確かな豪華俳優陣が織りなす、全員最低なのにまぎれもない愛の物語。蒼井さんが演じるクレーマーで自分勝手な女・十和子、阿部さんが不潔で下劣、そのうえ十和子に異様な執着を見せる男・陣治。また、松坂さん演じる一見誠実そうな風貌ながらとにかく薄っぺらな水島、竹野内さん演じる十和子の昔の恋人であり、自身の出世や保身のためなら女を道具に使うことも厭わない黒崎…と、全員共感度0なクズなキャラクターたちが集結。そんな癖の強い4人を支えるのが、今回公開された場面写真に写る個性派ぞろいの実力派俳優陣。まず、黒崎の妻・カヨを演じているのが、「ROOKIES」『花芯』などに出演する村川絵梨。カヨは十和子を自宅に招き入れ、黒崎が失踪した日のことを思い出しながら語り始め、そこで「黒崎は、きっと殺されています」と主張し、十和子を惑わす。妻は一体何を知っているのか…本作随一のミステリアスな女性だ。また、十和子の姉・美鈴を演じるのが『曲がれ!スプーン』『愛の渦』などに出演する赤澤ムック。2児の母で夫と別居中だが、十和子に対して真っすぐな愛を宣言する陣治との関係を唯一応援している人物。そして、黒崎失踪事件を捜査する刑事・酒田を演じるのは、劇団「THE SHAMPOO HAT」の全公演の作・演出・出演を務め、映画『葛城事件』の監督も手掛けた赤堀雅秋。5年前から黒崎が失踪しているという事実を、十和子に告げる役として登場するのだが、何か真実を知っている様な風格を持ちながらも、優しく十和子に接する不気味な刑事…。さらに、十和子がその姿を見た瞬間、震えだし動けなくなる程恐れるカヨの叔父・國枝を、先日急逝した中嶋しゅうが務めている。黒崎の失踪事件に何かしら絡んでいるのではと思われ、本作のカギを握る人物となっている。シーンをさらに色濃く印象づけていく、豪華脇役陣の彼らが魅せる細やかな演技は必見だ。『彼女がその名を知らない鳥たち』は10月28日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:彼女がその名を知らない鳥たち 2017年10月、全国にて公開(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
2017年07月25日アイドルグループ・V6の岡田准一が18日、都内で行われた主演映画『関ヶ原』(8月26日公開)の完成披露舞台挨拶に、有村架純、平岳大、東出昌大、伊藤歩、滝藤賢一、西岡徳馬、役所広司、原田眞人監督とともに登場した。原田監督は、6日に急性大動脈乖離を発症し亡くなった俳優の中嶋しゅうさんについて「冥福を謹んで祈りたい」と語る。忍びの赤耳役として同作に出演していた中嶋さんについて、岡田も「ものすごくかっこいい方で、憧れの俳優さんだったんですけど、現場でいつもお話させてもらっていました」と振り返った。岡田は「黒澤明監督の『影武者』の話もいろいろ話して、笑顔で話してくださっていたのを思い出します」と沈痛な面持ちに。「映画にこだわりがあって『いい監督とやりたい。いい監督以外とはやりたくない。原田監督は絶品だ』とおっしゃって笑顔でいられたのを、すごく覚えています」と思い出を明かした。さらに岡田は「この映画を観る前に亡くなってしまったということを聞いていますので、中嶋さんに届けばいいなと思っております」と決意を新たにし、「ここにいる皆さんと一緒にご冥福をお祈りできたらなと思っています」と語りかけた。同作は司馬遼太郎の同名小説を実写化。戦国時代に終止符を打った"関ヶ原の戦い"で石田三成(岡田)はなぜ徳川家康(役所広司)に負けたのか、封印された真実をひもとく。三成と淡い恋を育む伊賀忍び・初芽を有村架純が演じ、原田眞人監督がメガホンをとる。
2017年07月18日「救急車を呼んで!」 寺島しのぶ(44)の声が劇場に響き渡った。7月6日に東京藝術劇場シアターウエストで初日を迎えた寺島主演の舞台『アザー・デザート・シティーズ』。事故が起きたのは、第1幕の終盤。娘役の寺島と大ゲンカのあと、父親役の中嶋しゅうさん(享年69)が言い負かされて立ち上がる場面で、意識を失って舞台から75センチ下の客席に落ちてしまったのだ。 突然の出来事に客席は騒然。反応がない中嶋さんの様子に、寺島は両腕でバツ印をつくり、中止を舞台監督に促した。 「お客さまのなかでお医者さまはいらっしゃいますか?」 偶然にも医師が見に来ていた。呼吸が止まっていたため、すぐさま人工呼吸と心臓マッサージが行われる。共演者やスタッフが中嶋さんのもとへ駆けより、「しゅうさん!」と呼びかけたが、意識が戻ることはなかった。 「目の前でしたから、しのぶさんは相当大きなショックを受けていました。中嶋さんはしのぶさんにとって、父親のような存在だったんです」(演劇関係者) 2人の初共演は約20年前に遡る。それ以来、中嶋さんを何かにつけ、頼るようになったという。 「13年前の『楡の木陰の欲望』の夫婦役で共演したとき、中嶋さんは事実婚を25年間も続けていた鷲尾真知子さん(68)と籍を入れたばかりでした。結婚理由を『生命保険の受取人に困るから』と説明していたのを、しのぶさんはニコニコして聞いていました。しのぶさんは物静かな中嶋さんには話しやすかったんでしょうね。しのぶさんの話を中嶋さんが『うん、うん』と聞いている姿をよく見ました。寺島さんは演技の相談だけではなく、『家族に迷惑かけない仕事をなるべくしていきたい』と人生相談までしていましたね」(前出・演劇関係者) 中嶋さんが倒れたとき、妻の鷲尾は舞台『ふるあめりかに袖はぬらさじ』の稽古が明治座で終わった直後だった。 「劇場からタクシーで直接病院に向かいましたが、死に目には間に合わなかったそうです。それでも翌日の初日の舞台に立たれた」(演劇関係者) 死因は急性大動脈解離。前出の演劇関係者がこう明かす。 「病院には共演者たちも詰めかけました。中嶋さんが亡くなったとわかったとき、しのぶさんは『どうして……』と号泣。『(親しい人が)もう死ぬのはいや』と涙ながらに漏らしたそうです。というのも2週間前にも交流のあった小林麻央さんが亡くなったばかり。麻央さんが最後に観た舞台は、しのぶさんが海老蔵さんと共演した『座頭市』だったそうです」 寺島が大女優になったことを心から喜んでいた中嶋さん。急逝を悼む声は止まないーー。
2017年07月13日映画『彼女がその名を知らない鳥たち』が、2017年10月28日(土)より、新宿バルト9ほか全国の劇場で公開される。原作は、“イヤミスの女王”と評される小説家・沼田まほかるによる同名の人気小説。実写化にあたって、監督に『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌を迎え、“共感度ゼロ”の最低な女と男がたどり着く究極の愛を描いた異質なラブストーリーを映像化する。物語に登場する“最低な”4人“嫌な女“北原十和子 - 蒼井優主演・蒼井優が演じる北原十和子は、働きもせず同居人の陣治の稼ぎをあてに堕落した生活を送っているが、その陣治を毛嫌いしている。昔の男・黒崎が忘れられず、新しい男・水島との不倫に走る自分勝手で“嫌な女“。“下劣な男”佐野陣治 - 阿部サダヲ「十和子のためだったらなんでもできる」と言い、嫌がられながらも執拗に電話をかけたり、尾行をしたりと異様なほど十和子に執着している。地位もお金もなく、不潔でちんけで“下劣な男”佐野陣治役は阿部サダヲ。“ゲスな男”水島真 - 松坂桃李端正なルックスと柔らかな物腰、一見誠実そうな風貌ながら、その実、自分の性欲のためだけに動いており、ロマンティックな夢や趣味を臆面もなく語るがその内容は薄い。妻子がありながら十和子と肉体関係を結ぶ“ゲスな男”水島真を演じるのは、松坂桃李。“クズな男”黒崎俊一 - 竹野内豊十和子の昔の恋人。スマートで羽ぶりもよいが、上昇志向が強く自身の出世や保身のためなら女を道具に使うことも厭わない。別れる時に十和子の心にも体にも傷が残る手ひどい仕打ちをした“クズな男”黒崎俊一役に竹野内豊。サブキャラクターのキャストも続々決定サブキャラクターのキャストが決定した。メインキャラクターに負けず劣らず”共感できない”人々を演じるのは、確かな演技力を持つ実力派俳優たち。 黒崎の妻・カヨ役には村川絵梨、黒崎の失踪を追う刑事・酒田役には赤堀雅秋、十和子の姉役 に赤澤ムック、カヨの叔父で不気味な謎の男・國枝役を、先日急逝した中嶋しゅうが務める。蒼井優、日本アカデミー賞で初の最優秀主演女優賞を受賞第41回日本アカデミー賞で、蒼井優が最優秀主演女優賞を受賞した。彼女にとって同部門での最優秀賞受賞は初のこと。それを受け、蒼井は受賞式で感激の涙を流した。当日は、洗練された黒のドレスにヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)の「ア シュヴァル イヤリング」を着用。ラウンドカットのダイヤモンドがまばゆいばかりに輝く同アイテムが、彼女を上品かつ華やかにみせた。ストーリー八年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、今は15歳上の男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――作品情報映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開日:2017年10月28日(土)キャスト:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、村川絵梨、赤堀雅秋、赤澤ムック、中嶋しゅう、竹野内豊監督:白石和彌原作:沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
2017年05月01日岡田准一、役所広司、有村架純をメインキャストに迎え、『日本のいちばん長い日』の原田眞人監督がメガホンを取った『関ヶ原』。このほど「関ヶ原の戦い」を舞台に超豪華キャストが集う本作の、ティザービジュアル&劇中写真がお披露目された。混乱を極めた戦乱の世。「官僚派」の代表格・石田三成(岡田准一)と「武断派」の武将たちは、豊臣秀吉が命じた「朝鮮出兵」をきっかけに対立を深めていった。豊臣家への忠義から立ちあがる三成と、天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)。やがて名だたる大名が、三成率いる「西軍」(約10万)と、家康率いる「東軍」(約7万)に分かれ、後の世で“天下分け目の関ヶ原”と語られる通り、関ヶ原で歴史的節目の戦いに臨むこととなる。三成と家康は、いかにして世紀の合戦に向かうのか?そして、命を懸けて三成を守る忍び・初芽(有村架純)との、密やかな“恋”の行方は…?権謀渦巻く中、「愛」と「正義」を貫き通した“純粋すぎる武将”三成の戦いがいま、幕を開ける。いわずと知れた歴史小説界の巨星・司馬遼太郎が生み出した小説「関ヶ原」を原作に、『駆込み女と駆出し男』『日本のいちばん長い日』など知られる名匠・原田監督がメガホンをとる本作。このほど、公式サイトで解禁されたティザービジュアルには、岡田さん扮する石田三成が、「大一大万大吉」の旗印が入った軍旗を背景に関ヶ原の合戦に臨む、雄々しい姿を披露している。己に降りかかる厳しい戦況を見据えているかのような強烈な眼差しに、いったいどのような策で役所さん演じる徳川家康に挑むのか、ストーリーの展開が気になるビジュアルとなっている。また、作品のキャッチコピーとして“「愛」と「野望」、激突!”と掲げられているとおり、男たちの熾烈な戦いに加え、恋愛模様も描かれるのでは…? と期待は高まる一方。さらに添えらえた「わずか6時間で決した史上最大の戦いは、その後の日本の歴史を大きく変えた戦国武将総出演で繰り広げる天下分け目の大合戦。今誰も見たことのない戦国の、扉が開く!」というフレーズには、歴史ファンならずとも興味を惹かれてしまうはず。そして今回は、西軍・東軍含め豪華オールスターキャストが勢ぞろいした劇中写真も解禁!お披露目されたキャストは役所さん、有村さんをはじめ、島左近役の平岳大、小早川秀秋役の東出昌大、大谷刑部役の大場泰正、直江兼続役の松山ケンイチ、安国寺恵瓊役の春海四方、赤耳役の中嶋しゅう、花野役の中越典子、尼僧妙善役の壇蜜、井伊直政役の北村有起哉、福島正則役の音尾琢真、黒田長政役の和田正人、加藤清正役の松角洋平、蛇白役の伊藤歩、北政所役のキムラ緑子、前田利家役の西岡徳馬、豊臣秀吉役の滝藤賢一の総勢18名。日本映画界が誇る実力派キャストの顔ぶれを見るだけでも、本作のスケールの壮大さが伺える。誰もが知る「関ヶ原の戦い」を日本映画史上初めて描く、戦国エンターテインメント超大作。岡田さんの三成をはじめ、それぞれの熱い想いを感じてみて。『関ヶ原』は8月26日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年03月28日蒼井優と阿部サダヲをW主演に迎え、沼田まほかるの人気ミステリー小説を映画化する『彼女がその名を知らない鳥たち』。この度、本作の全キャストが決定し、松坂桃李や竹野内豊らの出演が発表された。8年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、いまは15歳上の男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんなとき、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――。本作は、ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに、「究極の愛とは何か」と突きつけ、読者を虜にしたイヤミス女王の一人、沼田氏の20万部を超える人気ミステリー小説の映画化。また、ノンフィクションを原作に骨太な社会派エンターテイメントを作り出してきた『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督が、初の本格的大人のラブストーリーに挑戦する。すでに、北原十和子役に蒼井さん、佐野陣冶役に阿部さんが決定しているが、今回新たにキャストが決定。まず松坂さんが演じるのは、高級デパートの時計売り場主任・水島真。端正なルックスと柔らかな物腰、一見誠実そうな風貌ながら、実は自分の性欲のためだけに動いており、ロマンティックな夢や趣味を臆面もなく語るが内容は薄っぺら。十和子とは不倫関係となる最低の男だ。また、竹野内さん演じるのは、十和子の昔の恋人・黒崎俊一。スマートで羽振りもよく、女性を喜ばせる所作に長けているが、上昇志向が強く自身の出世や保身のためなら女を道具に使うことも厭わない男。十和子と別れるときに、彼女の体にも心にも残る手ひどい仕打ちをした、水島に引けを取らない最低の男。蒼井さんと阿部さんとは今回初共演となる松坂さんは、「蒼井さんは『すごい』の一言。数々の作品の先頭に立って、走って、何かを残して続けてきた人のすごさを、お芝居を通して体感できました」と貴重な体験だったと話し、「僕は映像作品で初めての濡れ場だったのですが、相手が蒼井さんというのはとても光栄でした」と明かしている。また白石組は初参加だそうで、「油断のできない現場でした。台本を読んだだけでは想像ができないことが現場で次々と襲い掛かってくる。巻き起こるんじゃなくて襲い掛かって来るんです。すごく面白い体験でした」とふり返った。自身の役柄について、救いようのない人物で共感出来る要素は一つもなかったと語る竹野内さんは、「黒崎を演じるにあたり、この人は幼少期からどの様な人間関係の中でどんな人生を辿って生きて来たのか、時折ふと思い浮かべていました。そして、初めて白石監督とお会いしたとき、役柄について相談したところ『黒崎は最低で最高です!』と意味不明なことを仰っていて、この人面白いなーと思いチャレンジしてみたくなったんです。救いようのない役に挑むことで、白石監督に私が救ってもらいたかったのかも知れません(笑)」とコメント。また竹野内さんも蒼井さんとは初共演。蒼井さんについては、「役者である前に、人として生きて行く指針をご自身の中にしっかり持っていらっしゃる方。だからこそスクリーンの中に映る蒼井さんは偽りが見えない…そう思います。近い未来で、また別の役柄を演じる蒼井さんをぜひ目の前で拝見したいです」と話している。そのほか、村川絵梨、赤堀雅秋、赤澤ムック、中嶋しゅうらが脇を固めることも決定。共感度0、不快度100からどのように心を震わす愛の物語に観客を引き込むのか、ますます期待が高まるようだ。『彼女がその名を知らない鳥たち』は10月、新宿バルト9ほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2017年03月21日安西慎太郎主演の舞台『幸福な職場~ここにはしあわせがつまっている~』 が、1月26日(木)に開幕する。その稽古場で、安西と作・演出のきたむらけんじに話を聞いた。舞台『幸福な職場』チケット情報本作は、劇団「東京フェスティバル」が2009年に初演し再演を重ねてきた、きたむらの代表作。全国初の心身障がい者雇用モデル工場となった日本理化学工業が初めて知的障がい者を雇用したときのエピソードをベースにしており、今作では知的障がいのある女の子・聡美のほのかな恋心という新たなエピソードが加わる。物語の舞台は昭和34年。大森(安西)は父親が病に倒れたため、急遽、チョークを製造する「蒲田理化学工業」の専務として働いていた。若造が上司になることを快く思わない久我(谷口賢志)や、大森に引き抜かれたものの作業に飽き飽きしている原田(松田凌)が働く工場には、先代に頼まれ住職(中嶋しゅう)も毎日顔を出す。そんなある日、近所の養護学校の教師(馬淵英里何)に頼み込まれ、知的障害者の聡美(前島亜美/SUPER☆GiRLS)が実習で働くことになり――。ストーリーから重い空気も想像していたが、稽古が始まってみると登場人物それぞれに奥深い魅力を感じ、心掴まれ、あっという間に物語に引き込まれた。安西は「(23歳の)僕自身より年上(28歳)で専務という役なんですけど、頑張って自分のランクを上げて年上を演じて、果たして魅力的になるんだろうかと思って。だったら若く見えたとしても会社を守る想いが強いところが見えればいいのかなって」。するときたむらは「すごく頼れる専務になってます。この感じが伝わるとお客さんもいい会社だねって物語の世界に入っていけるんじゃないかな」。稽古場では、キャストがきたむらに芝居のアイデアを出したり、台詞の背景を確認したりする姿も多く見られ、活気が溢れる。きたむらの演出について安西は「きたむらさんは役者の言葉を受け止めてくれるし、ダメ出しもどうやったらちゃんと役者の身体に入っていくかをすごく考えて話してくださる方。そこを諦めないでずっとやってくれるのでありがたいです。きたむらさんについていけば大丈夫だなって信頼させくれます」。きたむらも稽古は「順調すぎるくらい順調」と話し、「キャストの皆さんが本を深く読みこんでくれて、細かいところを丁寧に作っていくような作業をしています。コミュニケーションを取りながらいい形に向かっています」と笑顔。「安西さんの座組っていうやさしい雰囲気が出てます」(きたむら)という本作。公演は1月26日(木)から29日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて。取材・文・写真:中川實穗
2017年01月25日シェイクスピアの歴史劇『ヘンリー四世』二部作が鵜山仁の演出により、11月26日(土)新国立劇場にて開幕する。稽古も佳境を迎えた11月中旬、第一部の通し稽古の模様を取材した。舞台『ヘンリー四世』チケット情報同劇場では鵜山の演出で、2009年に『ヘンリー六世』、2012年には『リチャード三世』を上演。この2作にメインキャストで出演してきた浦井健治が今回、父王ヘンリー四世にとっては頭痛の種である奔放な放蕩息子・ハル王子を演じ、同じく過去2作に出演した岡本健一が、王に反旗を翻す“ホットスパー”に扮する。取材したこの日は第一部の後半、まさにこのふたりの見せ場を稽古。反乱軍と体制側が交互に描かれ、異なる立場のふたりが己の運命に向き合い、やがて、一騎打ちに至るまでが描かれる。物語を包む空気をひとことで表すならば、超ハイテンション。浦井は常に陽気で“正”の磁力とスピード感にあふれるハル王子を体現し、舞台上を何度も全力疾走で駆け抜ける。衣裳は当時の時代風俗に沿ったもので、小道具もしかり。ところが、浦井だけヘッドフォンをぶら下げているのが気になる。また同じハイテンションでも、岡本演じるホットスパーはどこか狂気を宿し、自らの言葉に陶酔しているようにも見える。戦いを前にしてのパワフルな演説は、見る者の胸を熱くさせるが、その裏に、王に反抗する男の悲壮な決意、哀しみさえも感じさせる。そんなふたりがクライマックスで激突。高低差のある遊園地のアトラクションのような巨大なセット(稽古場ではあくまで木が組んであるだけで、本番でどのように仕上がっているかは分からない)が目を引くが、浦井と岡本は縦横無尽に駆け巡り、激しく刃を交わらせる。もちろん、このふたり以外の個性豊かな登場人物たちも魅力的に物語を彩る。ヘンリーの“悪友”の大酒飲みで、シェイクスピア作品の中でもひときわ高い人気を誇るフォールスタッフを愛嬌たっぷりに佐藤B作が演じるほか、ホットスパーの叔父で共に王に反旗を翻すウスター伯を演じる下総源太朗、同じく反乱軍に参加する騎士ヴァーノンの今井朋彦など実力派俳優たちが存在感を放つ。そんなベテラン俳優たちも、浦井&岡本の熱気に乗せられるかのように、演技がどんどんヒートアップしていく。シェイクスピア芝居でありながら、ライブ会場か熱狂的なカリスマ政治家の演説会に来ているかのような錯覚、興奮さえ感じる。唯一、落ち着きを持っているのが王ヘンリー四世を演じる中嶋しゅう。周囲があまりに高揚しているせいか、王の静かにつぶやくようなひとことが、まるで“ツッコミ”のように作用し、何気ないシーンでドッと笑いが起こる一幕も。なんとも不思議な空気とリズムが包むシェイクスピア劇になりそうだ。公演は11月26日(土)から12月22日(木)まで「第一部」「第二部」を交互上演(一部例外あり)。チケットは発売中。取材・文・撮影:黒豆直樹
2016年11月23日シェイクスピアの歴史劇で第一部だけでも約3時間、二部を通しで観たら6時間超…。そう聞くと、何かの修行?と感じそうなものだけれど、'09年の『ヘンリー六世』からスタートした新国立劇場のこのシリーズは、長時間もまるで苦にならないほど、めっぽう面白い。「最初に台本を読んだ時は、堅いし難しいし、まったくセリフが頭に入ってこなくて大変でした。でも、稽古場で人が口にした途端に、言葉がものすごくエネルギーを放ち始めたんです。セリフの裏にある役の背景が見えてきたり、口にしていることとは真逆の気持ちが生まれてきたり。シェイクスピアは400年経っても何も変わらない人間の根底を描いているんですよね。観れば、こういう人いるな~とか、うちの家族もこんな感じだな~とか、きっと、舞台を斜めに見ながら笑ったり共感したりしてもらえると思います。頭で難しく考えるより、むしろ感覚的に観ていただくほうが、わかりやすく楽しめるのかもしれません」そう話すのは、いまやこのシリーズになくてはならない浦井健治さん。これまでにヘンリー六世、ヘンリー七世を演じてきたが、今回は『ヘンリー四世第一部-混沌-・第二部-戴冠』で同じ血脈に繋がるヘンリー五世に扮する。「イングランドの歴史のなかでも偉大といわれる王様ですから、高貴で気高い人物を思い描いていたんです。でも、王子時代のハル(後のヘンリー五世)にはそのイメージが全然なくて、それまで考えていた役作りは全部白紙に(笑)。先輩方からいろいろアドバイスをいただいて、もう一度台本と向き合ってみると、対峙している相手とは別の人に自分の考えを伝えようとして意図的にしゃべっていたり、言っていることと考えていることが真逆だったりすることがわかってきて、なんて複雑でひねくれた人物なんだろうって。でもいまは、ハルのそんなところに、興味を惹かれています」浦井さんをはじめ、岡本健一さんや中嶋しゅうさんなど、共演者の多くはシリーズを通じて出演しているお馴染みの面々。「心にゆとりがあって、お芝居が好きで、何より作品をいいものにすることを第一に考えているような先輩方ばかり。いまは、皆さんにぶつかるだけぶつかって、ときどきとっ散らかる自分を楽しんでいます」◇うらい・けんじ1981年、東京都生まれ。近作にミュージカル『王家の紋章』、舞台『アルカディア』など。来年2月にはミュージカル『ビッグ・フィッシュ』出演が決まっている。ジャケット¥48,000 カットソー¥13,000パンツ¥19,000(以上DISTICTION MEN'S BIGI/メンズビギ リミテッド 有楽町マルイ店 TEL:03・6738・3801)その他はスタイリスト私物◇'09年に上演され、数々の演劇賞を受賞した『ヘンリー六世』。その続編『リチャード三世』が'12年に上演された際には、同じ役を同じキャストが演じ、歴史の流れが掴みやすいと評判に。今回の『ヘンリー四世』は『~六世』の前の時代の物語。浦井さんは今回、以前に自身が演じたヘンリー六世の父を演じることになる。写真は、'09年『ヘンリー六世』より。撮影:谷古宇正彦◇11月26日(土)~12月22日(木)初台・新国立劇場 中劇場作/ウィリアム・シェイクスピア演出/鵜山仁出演/浦井健治、岡本健一、ラサール石井、中嶋しゅう、佐藤B作ほか二部作通し券1万6000円(S席)S席8640円A席6480円B席(注釈付2階席)3240円*すべて税込み新国立劇場ボックスオフィス TEL:03・5352・9999(10:00~18:00)写真は、'12年『リチャード三世』より。撮影:谷古宇正彦※『anan』2016年11月23日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・宮崎智子ヘア&メイク・山下由花インタビュー、文・望月リサ
2016年11月21日安西慎太郎主演の舞台『幸福な職場~ここにはしあわせがつまっている~』 が、2017年1月に上演される。本作は、2009年の初演以来、劇団「東京フェスティバル」が再演を重ねてきた、きたむらけんじ代表作。全国初の心身障害者雇用モデル工場となった日本理化学工業が初めて知的障害者を雇用した時の物語を描く。舞台『幸福な職場』チケット情報主演の安西、松田凌、谷口賢志に話を聞いた。本作への出演について「すごく嬉しい」(安西)、「早く稽古したい」(松田)、「楽しみしかない」(谷口)と口々に語る3人。谷口は「お話をいただいたときに安西慎太郎の名前を見て、とにかく嬉しくて。それに松田凌くんや中嶋しゅうさん、世田谷パブリックシアターで6人芝居でって…最初からおいしいケーキが届いてるのに、どんどんいいものがトッピングされてくみたいな情報しか来ない(笑)」、松田も「主演が他の役者だったら悔しかったと思います。しんた(安西)は、演技力と人間力が好きで、彼とだったらやりたいって思わせてくれる役者さん。今回、ガッツリ芝居で絡めるのがすごく嬉しいです」と共演を喜ぶ。本作の印象を、安西は「前段階の情報に障害を持たれてる方を初めて雇用した会社っていうのがあって、重かったりしっとりした感じかと思っていました。でも逆で、障がいを持たれている方が入ってきたから人間関係が渦巻いていくし、ところどころコミカルで楽しくて、ほっこりするような作品です」と話す。谷口「“泣く”という意味での感動的な作品なのかなと思ったのですが、そこが軸ではない。働くことは普遍的なテーマで、その普遍的なことがある種の小さい奇跡でつながっていくお話です。個人的な話ですが、僕は、障害者の方に対して無駄にやさしくしてないかとか、余計に明るくしてないかとか、もしくは避けてはいないかとか、自問自答することがあります。そんな中でこの作品に携わって、僕自身も何か広がるものがあると思うので、そこも楽しみです」松田「押し付けで奇跡を与えるわけではなく、だけど人生が少し変わる要素を確実に皆さんに届けられる作品だと思っています。必ずなにか持ち帰って頂けるんじゃないかなと思いますので、ぜひ観に来てください!」安西「実際に起きたことなので、強い責任をもって、キャスト6人、そしてきたむらさんをはじめとするスタッフの皆さんで素敵な作品を届けたいなという一心でやります。皆さんぜひ楽しみにしていてください!」公演は2017年1月26日(木)から29日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて。取材・文:中川實穗
2016年10月28日映画『関ヶ原』が、2017年8月26日(土)より公開される。誰もが知る「関ヶ原の戦い」の誰も知らない「真実」を描いていく。原作は、累計発行部数580万部以上を誇る、司馬遼太郎の同名小説。「国取り物語」「新史太閤記」と並ぶ“戦国三部作”でもある『関ヶ原』は、戦国史上最大の合戦・関ヶ原の戦いを描いた作品だ。1981年にTBSでドラマ化され、2017年、待望の初映画化。関ヶ原の戦いとは?慶長5年9月15日(西暦1600年10月21日)、関ヶ原が主戦場となった合戦。代表格・石田三成と大谷吉継「官僚派」と黒田長政や加藤清正など「武断派」の武将たちは、豊臣秀吉が命じた「朝鮮出兵」をきっかけに対立を深めていった。やがて名だたる大名が、三成率いる「西軍」(約10万)と、家康率いる「東軍」(約7万)に分かれ、関ヶ原で激突。日本を二分し、今なお天下分け目の戦いと語られる、歴史の節目の戦いとなった。石田三成に岡田准一、徳川家康に役所広司己の「正義」を強く信じ、愛を貫き通そうとした“純粋すぎる武将”石田三成には、俳優・岡田准一。そして、豊臣秀吉亡きあとの天下取りに野望を抱く、徳川家康には名優・役所広司が抜擢された。さらに、三成の下で忍びとして、また女性として支え続ける初芽(はつめ)には、女優・有村架純。石田光成の右腕として主君を支える島左近役は平岳大、天下分け目の決戦の命運を握る小早川秀秋役は東出昌大、島左近の妻であり優秀な看護婦でる花野役は中越典子が担当。対する東軍の猛将軍・井伊直政役は北村有起哉、そして光成を取り立てた豊臣秀吉役は滝藤賢一が演じる。石田三成と結託し、東から家康を討とうと試みる会津の武将・直江兼続は松山ケンイチ。武将として人気も高い直江兼続を彼がどう演じ切るか注目したい。そして、島左近の昔なじみの尼僧妙善を演じるのは、女優として活動の幅を広げている壇蜜だ。集結した名優たちが繰り広がる天下分け目の決戦に期待が高まる。映画『関ヶ原』の監督は、映画『ラスト サムライ』で俳優としてハリウッドデビューもした監督・原田眞人。撮影は2016年8月中旬より約2ヶ月半、滋賀・京都などを中心に、国宝級の歴史的建造物での映画初撮影も行った。この決戦を描くために、約3,000人規模のエキストラも参加しての迫力のある撮影となる。『関ヶ原』ストーリー西暦1600年10月21日。長く混迷を極めた戦国時代に終止符を打ち、そ豊臣家への忠義から立ちあがり、史上最大の合戦に挑んだ石田三成。権力に様々な権謀が渦巻く中、多勢に流されず己の「愛」と「正義」を信じ、貫き通そうとした“純粋すぎる武将”三成を中心に、「愛」と「野望」の激突が、今幕を開ける!!燃え、天下取りの私欲のために戦う徳川家康。圧倒的に有利と言われた三成率いる西軍はなぜ負けたのか?そこには“封印”された真実が隠されていた!そして、三成を命を懸けて守り、愛し続けた忍び・初芽との許されない、淡い“恋”の行方は・・・。の後の日本の支配者を決定づけた、戦国史上最大の天下分け目の決戦“関ヶ原の戦い”。その決着に要した時間はたったの6時間だった。作品詳細『関ヶ原』公開日:2017年8月26日(土)出演:岡田准一、有村架純、役所広司、平岳大、東出昌大、中越典子、北村有起哉、伊藤歩、音尾琢真、和田正人、滝藤賢一、キムラ緑子、西岡徳馬、中嶋しゅう、松山ケンイチ、壇蜜ほか監督・脚本:原田眞人原作:司馬遼太郎『関ヶ原』(新潮文庫刊)製作:「関ヶ原」製作委員会製作プロダクション:東宝映画 / ジャンゴフィルム配給:東宝 アスミック・エース(c)2017「関ヶ原」製作委員会
2016年08月15日2月29日(月)、大阪・梅田のシアター・ドラマシティで『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』が幕を開けた。深津絵里と中村七之助がW主演し、デヴィッド・ルヴォーが演出する近松門左衛門の代表作『心中天網島』。その魂は、約300年の時を超え、かつて人形浄瑠璃で初演した同じ大阪の地で、観客の胸にダイレクトに飛び込んで来た。休憩20分を含む約3時間近い芝居が、舞台に魅入られてアッと言う間。カーテンコールの拍手は鳴りやまず、総立ちの客席からルヴォーも登場した初日の観劇ルポを。『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』チケット情報満員の客席。カンカンカン!と半鐘を鳴らす強い鐘の音で一気に消灯。目の前に吊られた歌舞伎幕がスルスルと開き、プロジェクションマッピングの映像だとわかる。その瞬間、ニューヨークの空撮映像が投影、リーマン・ショックのニュースを経て、大阪・道頓堀のネオン界へ。舞台は、大阪・ミナミ。借金と加齢に悩みつつ、「金のため」と売春で稼ぐハル(深津絵里)。常連客で妻子持ちのジロウと恋をしているが、ジロウの兄(音尾琢真)が訪れ離縁を迫る。ののしられ、「金のため」と別れを受け入れたハルは、自暴自棄になって街を歩き、川に行き当たる。遊女の涙であふれたと言われる幻の蜆川(しじみがわ)。そこにかかる幻想の橋の上で、ハルは遊女・小春(中村七之助)と出会い、江戸時代の古い恋の世界へ…。舞台上には小空間を形作る複数の平台。それらの組み合わせで場面転換がスピーディに行われる。近松門左衛門のような人物(中嶋しゅう)の案内で、『心中天網島』の物語に入り込み、眺めているハル。歌舞伎で有名な“河庄”や“しぐれの炬燵”の物語が描かれる中、観客はハルの視点で常に現代と結ばれ、共に江戸の物語を旅するよう。当時の風景や女性の心情がわかりやすく伝わり、近松の世界が新たな色合いで浮かび上がる。途中休憩で観客の顔が語っていた。自分たちは今、なんとおもしろい芝居を観ているのか、と。深津の非の打ちどころのない繊細な演技、歌舞伎の女方の様式美を存分に生かした七之助の魅力、中嶋の達者な案内役。心に闇を抱えて生きる現代人に突き刺さるセリフもいい。「生きているのに、死ぬほど苦しい」「心中を心づくしと言うのなら、死なないですむ心づくしはないのか」。男と女の愛が、死と生の物語が、鮮烈なインパクトを持って立ち上がり、最後には私たちを極上の優しさと切なさで包み込む。安易な予想を瞬時に振り切り、驚きのなかで着地させる見事な結末!「歌舞伎の演目を演出してほしい」と言っていた、かつての十八代目中村勘三郎との約束を、ルヴォーは見事に果たした。この舞台へ、そして息子・七之助の挑戦へ、勘三郎も天上から拍手を贈っているに違いない。取材・文:高橋晴代
2016年03月03日2月29日(月)、大阪・梅田のシアター・ドラマシティで『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』が幕を開けた。深津絵里と中村七之助がW主演し、デヴィッド・ルヴォーが演出する近松門左衛門の代表作『心中天網島』。その魂は、約300年の時を超え、かつて人形浄瑠璃で初演した同じ大阪の地で、観客の胸にダイレクトに飛び込んで来た。休憩20分を含む約3時間近い芝居が、舞台に魅入られてアッと言う間。カーテンコールの拍手は鳴りやまず、総立ちの客席からルヴォーも登場した初日の観劇ルポを。『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』チケット情報満員の客席。カンカンカン!と半鐘を鳴らす強い鐘の音で一気に消灯。目の前に吊られた歌舞伎幕がスルスルと開き、プロジェクションマッピングの映像だとわかる。その瞬間、ニューヨークの空撮映像が投影、リーマン・ショックのニュースを経て、大阪・道頓堀のネオン界へ。舞台は、大阪・ミナミ。借金と加齢に悩みつつ、「金のため」と売春で稼ぐハル(深津絵里)。常連客で妻子持ちのジロウと恋をしているが、ジロウの兄(音尾琢真)が訪れ離縁を迫る。ののしられ、「金のため」と別れを受け入れたハルは、自暴自棄になって街を歩き、川に行き当たる。遊女の涙であふれたと言われる幻の蜆川(しじみがわ)。そこにかかる幻想の橋の上で、ハルは遊女・小春(中村七之助)と出会い、江戸時代の古い恋の世界へ…。舞台上には小空間を形作る複数の平台。それらの組み合わせで場面転換がスピーディに行われる。近松門左衛門のような人物(中嶋しゅう)の案内で、『心中天網島』の物語に入り込み、眺めているハル。歌舞伎で有名な“河庄”や“しぐれの炬燵”の物語が描かれる中、観客はハルの視点で常に現代と結ばれ、共に江戸の物語を旅するよう。当時の風景や女性の心情がわかりやすく伝わり、近松の世界が新たな色合いで浮かび上がる。途中休憩で観客の顔が語っていた。自分たちは今、なんとおもしろい芝居を観ているのか、と。深津の非の打ちどころのない繊細な演技、歌舞伎の女方の様式美を存分に生かした七之助の魅力、中嶋の達者な案内役。心に闇を抱えて生きる現代人に突き刺さるセリフもいい。「生きているのに、死ぬほど苦しい」「心中を心づくしと言うのなら、死なないですむ心づくしはないのか」。男と女の愛が、死と生の物語が、鮮烈なインパクトを持って立ち上がり、最後には私たちを極上の優しさと切なさで包み込む。安易な予想を瞬時に振り切り、驚きのなかで着地させる見事な結末!「歌舞伎の演目を演出してほしい」と言っていた、かつての十八代目中村勘三郎との約束を、ルヴォーは見事に果たした。この舞台へ、そして息子・七之助の挑戦へ、勘三郎も天上から拍手を贈っているに違いない。取材・文:高橋晴代
2016年03月03日「女方として、できる範囲のことはすべてチャレンジしたい」と語るのは、中村七之助。彼の今年最初の舞台は、歌舞伎ではなく現代劇だ。十八代目中村勘三郎とデヴィッド・ルヴォーの企画で誕生したという『ETERNAL CHIKAMATSU-近松門左衛門「心中天網島」より-』。『心中天網島』は、遊女小春・紙屋治兵衛・その妻おさんの三角関係を描いた近松の代表作。この作品を、注目の若手作家・谷賢一が、ルヴォーのオリジナルアイデアに基づき新作戯曲として描き下ろす。七之助は、初めてルヴォーの演出を受け、これまであまりやったことのない現代劇で女方を演じ、そして初共演の深津絵里とW主演する。まさにチャレンジだ。稽古前に来阪し、「父の、死してなお夢を実現する力」を感じながら、遺志を受け継いで出演する意気込みを話した。『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より-』チケット情報「父は、歌舞伎の演目を海外の方に演出してほしいという夢があり、私たち息子にも話していました。具体的にルヴォーさんで近松を、と。それをルヴォーさんが覚えていてくださり、今回の上演になりました。ルヴォーさんという暮らしも文化も違う方が、近松作品をどういう解釈で演出され、そこからどんな変化が生まれるのか。今回、それが一番楽しみです」。物語は、現代に生きるハル(深津)が、江戸時代に生きる遊女・小春(七之助)と出会い、近松門左衛門の古い古い恋の物語に引き込まれていく。ハルと小春を通して描く、究極の愛。1月下旬から稽古に入るが、初めてやる時に一番大事にしていることは「お稽古までに台本を全部覚えて行くこと」と言う。「これは父が口を酸っぱくして言ってましたから。それと、柔らかい気持ちで行くことかな。杉村春子先生は台本を100回読まれたと。だから、台本は最初から最後までよく読んで、自分のキャラクターを考えます。でも、固めて行かない。固めると、そこから抜け出ることが大変になるから」。今回、深津とはガップリ四つの初共演だ。「僕はテレビでも映画でも歌舞伎でも、相手役はほとんど男としかやったことがなかったんです。だから、深津さんとほぼ初対面でポスター撮りした時、『もっと顔を近づけて、近づけて』と言われて、恥ずかしくてね(笑)。すごい脇汗でした(笑)。深津さんはキレイな人で、すごくいい方でした」。ほかに伊藤歩、中嶋しゅう、中島歩、音尾琢磨らが出演。「今回は、歌舞伎で培ってきたものをいろいろ試せる、チャレンジできる舞台でうれしいです。現代劇の中で女方として出るなんて、これは僕個人としてもおもしろいし、ボクがお客様だったら、ちょっと観てみたいな(笑)」。公演は、2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2016年02月05日