「こんなところに七之助さんがいるなんて思わなかったので、びっくりしました!しかも彼女さんもいっしょで……。帰り際にはしっかりと手まで繋いでいて、とても仲がよさそうでした」(居合わせた客) 8月27日に八月納涼歌舞伎の千秋楽を迎えた中村七之助(34)。1日3公演を約3週間という超過密スケジュールを乗り切った彼は、“意外な場所”にいた。9月9日、沖縄県の南にある波照間島で目撃されていたのだ。 波照間島とは、日本最南端の有人島。透き通るような波照間ブルーの海や南十字星が見られる満天の星空が人気のリゾート地だ。石垣島から高速船で約1時間かかる「日本の果て」の孤島とあって“お忍びデート”には持ってこいの秘境スポット。七之助はそこに彼女と “婚前旅行”へ出かけていたという。 「お二人ともサングラスをかけていましたが、人気も少ないとあってかなりラブラブでしたね。私が朝イチの船に乗って行ったらもういらっしゃったので、昨晩から泊まっていたようです。お店でのやりとりは彼がしていて、彼女はそれを嬉しそうに見つめていました」(前出・居合わせた客) 七之助が連れていた彼女とは、14年8月に写真週刊誌『FLASH』で交際を報じられたAさんだ。今年8月には、八月納涼歌舞伎の公演合間にAさんのもとへ駆けつける七之助を本誌が目撃。たった30分間だけでも逢いに行くほどの“本気ぶり”に、梨園関係者からも「恋多き男もいよいよ年貢の納め時か」と驚きの声があがっていた。 交際発覚から早や3年、いつもそばで支えてくれる彼女を労いたいという思いもあったのだろう。七之助はこの“婚前旅行”をAさんといっしょに決めたという。 「Aさんは七之助さんと付き合ってから、彼の公演に足しげく通うようになりました。今回の旅行でもしっかりとサポートしていましたし、梨園妻になろうと頑張っているのではないでしょうか。周囲からは『あんなに遠くまで行かせるなんて……。台風とか大丈夫なのかしら?』と心配する人もいます。でも七之助さんは『結婚相手くらいは自分で決めたい!』と意を決しているようです」(梨園関係者)
2017年09月19日8月18日の昼下がり。都内の大通りを、ひと組の男女が歩いていた。男性は中村七之助(34)。横にいる女性は、白い半袖カットソーにグレーのロングスカート姿。長いワンレングスの黒髪と切れ長の目が印象的な清楚系美女だ。東京・歌舞伎座で行われていた『八月納涼歌舞伎』に出演中だった七之助。午前中に行われた第一部を終えると、第二部までのわずかな休憩時間を縫ってわざわざタクシーで彼女のもとへ駆けつけていたのだ。 束の間の逢瀬を楽しんだ七之助はタクシーに乗り込むと、再び歌舞伎座へ。残った女性は笑顔で手を振る。そして車が走り出す瞬間、彼女は七之助に投げキスをした。名残惜しそうに去っていく七之助。それは歌舞伎の演目のような、恋の香りを漂わせていた――。 「この女性は、14年8月に写真週刊誌『FLASH』で交際を報じられたAさんです。北川景子似の一般人で、このとき七之助さんは彼女を連れて都内にある実家へ。母・好江さん(58)や兄・中村勘九郎さん(35)一家、そして伯母・波乃久里子さん(71)が住む“四世帯住宅”へ連れ帰ったことから、“家族公認”とも騒がれていました」(芸能関係者) 七之助といえば、数多くの熱愛が報じられてきた梨園きってのモテ男。12年7月には、写真週刊誌『FRIDAY』が“松下奈緒似”エステティシャンとの“お泊りデート”をキャッチ。A子さんとの交際報道後も15年2月にトリンドル玲奈(26)との熱愛報道が浮上。8カ月後の15年10月にも九州在住の“浜崎あゆみ似”一般女性との連泊デートが報じられた。しかし七之助自身はいつもマイペース。恋愛に対しては一歩引いたスタンスだったという。 「彼は自分から告白して追いかけたりせず、女性から言い寄られて初めて交際に発展するタイプでした。だから付き合ってからも、相手が彼に合わせる生活になってしまう。なのに七之助さんは『結婚願望がない』なんて公言するから、長続きしないんです。家族からも『大丈夫かしら……』と心配の声があがっていました」(歌舞伎関係者) だが、七之助とAさんの交際発覚からもう3年になる。それだけでも異例だが、彼は公演の合間までわざわざ逢いに行っている。つまり七之助自身が、Aさんを強く求めているのだ。さらに翌日も、彼女のマンション近くの鶏料理専門店で仲睦まじい光景が目撃されていた。 「七之助さんたちは初めて来店されたようで、『予約した波野と申します』と言って店内へ。その後にモデル風の女性が入ってきました。七之助さんは店内でも料理が出てくるたびに『いただきます』『とてもおいしいです』と丁寧な口調で話していました。女性も、とてもおしとやかな方。七之助さんが『今日はこんなことがあって』と話す際も、敬語のように丁寧な口調で受け答えをしていました」(居合わせた客) 店を訪れたのは21時すぎ。18時半から行われた第三部を終えてすぐ、合流したようだ。 そして翌週の8月21日。この日も第一部の公演を終えた七之助は、Aさんのいる“癒しの自宅”へとタクシーを飛ばしてきた。そのまま嬉しそうに中へと入っていったが、マンションから出てきたのはなんと30分後!七之助はこの日も第二部に出演するため、タクシーに乗って戻っていった。たとえわずかな時間でも、彼は連日の密会をやめなかった。 「ここまでひとりの女性に入れ込むなんて、過去の七之助さんなら絶対ありえないことでした。そのため梨園でも『今回ばかりは七之助も本気。年貢の納め時のようだ』との声が出ています」(前出・歌舞伎関係者)
2017年08月29日「七之助さんは小学校のときからモテモテ。同級生の女性が何人も『彼が初恋の相手だった』と漏らしていたほど。女性に困ったことがなかったと思います。それにどこか天然なところもあって、休日デートの際にスタイリストが用意したスーツを着て行ったこともありました。それがまた女心をくすぐるんですよね」(芸能関係者) これまで数多くの熱愛が報じられてきた“梨園きってのモテ男”中村七之助(34)。8月18日の昼下がり、逢いに行ったのは長い黒髪と切れ長の目が印象的な清楚系美女。東京・歌舞伎座での『八月納涼歌舞伎』に出演中だった七之助だが、午前中に行われた第一部を終えて第二部までのわずかな休憩時間を縫ってタクシーで彼女のもとへ駆けつけていた。 「この女性は14年8月に『FLASH』で交際を報じられたAさん。北川景子似の一般人で、七之助さんは彼女を連れて都内にある実家へ行っていました。母・好江さん(58)や兄・中村勘九郎さん(35)一家、伯母・波乃久里子さん(71)が住む“四世帯住宅”へ連れて帰っていたことから“家族公認”とも騒がれていました」(前出・芸能関係者) この日以外にも連日、密会を続けていた七之助。たとえ30分間でも逢いに行くほどで「今回ばかりは七之助も本気。年貢の納め時のようだ」と歌舞伎関係者の間で囁かれているという。だがモテすぎるゆえか、過去の恋愛はマイペース。いつも一歩引いたスタンスだった七之助。それが最近では、「七之助は変わった」と評価する人も多いのだ。 「父・中村勘三郎さん(57)が亡くなったのが12年12月、最近の七之助さんは以前にも増して歌舞伎へ精進するようになっています。大役も任されるようになり、すっかり風格も出てきています。また今年3月の俳優祭では市川海老蔵さん(39)の関連商品を取り扱う売店よりも、中村兄弟の売店のほうが長い列ができていました」(歌舞伎関係者) 父の死から5年目となる節目の年。七之助は前出の本誌インタビューで、勘三郎さんから伝えられた結婚条件について振り返っていた。 《「歌舞伎俳優だったら、どんな職業の女性でも、どんな国籍の女性でも、本気で愛したなら、結婚できなきゃだめだよ。だって俺たち、舞台ではそれこそ吉原の遊女や花魁と惚れたはれたって芝居してるんだから。結婚相手を選ぶときは、職業や国籍とか、そういうんじゃないんだよ」って》 愛を貫き通してこそ、歌舞伎俳優――。そんな父の言葉をかみしめているのだろう。また15年1月に中村獅童(44)が結婚したことにも、彼は意外なことを漏らしていた。 「獅童さんは猛アプローチの末、妻・沙織さんと結婚しました。また沙織さんも三歩下がって夫を支える“梨園妻の鏡”のような存在です。そんなふたりの結婚について、七之助さんが『あんな女性なら僕も結婚したい』と漏らしていたことがあったんです。『あの七之助がそんなことを言うなんて』と驚きを隠せませんでした」(別の歌舞伎関係者) そんな七之助の変化に応じるかのように、Aさんも“梨園妻としての準備”を進めていた。 「Aさんの交際発覚後も、七之助さんには“恋の噂”が絶えませんでした。それでも彼女は、彼を決して見放しませんでした。そして彼女は交際を始めて以降、彼の公演に足しげく駆けつけています。15年9月に行われた『赤坂大歌舞伎』の客席でも、真剣に見つめる彼女の姿がありました。奔放な自分を見捨てず、静かに支えてくれる。そんな彼女の3年間を見ているうちに、七之助さんもようやく覚悟を決めたようです」(前出・歌舞伎関係者) 七之助は結婚について、本誌で《僕は、前々から言ってますが、歌舞伎が好きな女性じゃないと結婚は難しいかな、と思ってます。僕ら、家も生活も歌舞伎にどっぷりですから》とも語っていた。梨園NO.1のモテ男が「男のケジメ」をつける日は、間もなくだ――。
2017年08月29日6月2日福岡・博多座で「六月博多座大歌舞伎」が開幕。中村橋之助が八代目中村芝翫を襲名。同時に、長男の国生が四代目中村橋之助、二男の宗生が三代目中村福之助、三男の宜生が四代目中村歌之助を襲名という、歌舞伎界初となる親子4人同時襲名披露として大きな話題を呼んでいる。その初日、中村芝翫が博多座ロビーで鏡開きを行ない、公演に対する思いを語った。六月博多座大歌舞伎「昨年の東京・歌舞伎座、そして今年お正月の大阪松竹座に続き、大好きな博多座で親子4人揃って、襲名披露ができます事、本当に嬉しく思います。先輩方、後輩、素晴らしい役者さんたち。スタッフの皆様、劇場に足を運んでくださるお客様。そして今日も朝から裏で頑張ってくれている家内。そんな皆様の支えあってこそですね。本当に有り難いです」と笑顔で挨拶する芝翫。詰めかけたファンも「成駒屋!」「八代目!」と掛け声で答える。今回は昼夜それぞれ親子4人の共演演目(昼:「車引」、夜:「祝勢揃壽連獅子」)が上演となるが、特に「車引」は並々ならぬ思いがあるとか。「橋之助の梅王丸は吉右衛門の兄さま、福之助の桜丸は菊之助さん、そして歌之助の杉王丸は染五郎さんがそれぞれ教えてくださって。倅たちもそれぞれ、役者への思いというものが少しずつピントが合ってきたように思います。本当に歌舞伎界全てで支えてくださって有り難いですね。身に余る光栄でもあり、なんとか恩返ししなくてはと思っております」残念ながら、休演となった中村獅童も今回の博多座公演は非常に楽しみに思っていたようで「博多の皆様によろしく」と電話をもらったとか。「この芝翫という名前は個人の名前ではない。中村芝翫という会社の社長に就任したようなものですよね。そして、私は八代目芝翫を大きくして業績もあげなきゃいけないということ。そしてそれを倅の誰かにこっそりと渡してやりたいと思いますね(笑)」と語り、博多手一本で締めくくった。6月26日(月)まで上演。チケット発売中。
2017年06月02日赤坂大歌舞伎 新作歌舞伎「夢幻恋双紙 赤目の転生」が、4月6日に東京・TBS赤坂ACTシアターにて開幕した。作・演出は、昨年の『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016年)での第20回鶴屋南北戯曲賞の受賞も記憶に新しい気鋭の劇作家・蓬莱竜太。中村勘九郎たっての願いで初めての歌舞伎の作・演出に挑んだ。「赤坂大歌舞伎」チケット情報舞台は江戸時代。気の弱い男・太郎(勘九郎)が愛する歌(中村七之助)を幸せにするために転生を繰り返していくという物語だ。全編、現代語のセリフで書かれており、歌舞伎を普段見慣れていないひとにも聞き取りやすく、蓬莱の描く登場人物たちの心の機微がそのまま伝わってくる。切り絵を用いた舞台美術や、歌舞伎には珍しくピアノを使った音楽など、歌舞伎の枠にとどまらない演出も随所に施された。前日の会見で蓬莱は「歌舞伎の役者さんたちが『新しい歌舞伎だね』と言ってくださる。演劇のひと(ファン)が見ると歌舞伎のおもしろさを十分に堪能できるし、歌舞伎のひと(ファン)が見ると、また演劇のおもしろさも味わえるんじゃないかなと。両方をミックスしたような融合が見ものなのでは」と手ごたえ十分。蓬莱とのタッグを熱望していた勘九郎は「念願叶って蓬莱さんに作・演出をしていただいて、すごく充実した稽古を過ごすことができた。1日1日のライブ感を大切に、ひとりでも多くのお客様に僕たちの思いを届けられたら」と意気込み。七之助は、歌という自身の役について「歌は表面的には周りに好かれます。男性は女性の表面的な言葉だったりを真に受けますが、同じ言葉でも女性の心の中では鬱憤が蓄積されていたり。歌は悪い人間ではないけれども、心の中では人間の普遍的な、なくてはならない感情がずっと動いているひとだと思う」と解説。古典歌舞伎の女形では、自分の感情をそのまま言葉にすることはそうそうないが、今回の役では自分の気持ちをストレートに表現する。役作りにあたってモデルにした女性は?という記者からの質問に「全世界の女性です」と答えるなど、古典作品とはひと味違った七之助の女形も見どころだ。出演は勘九郎、七之助のほか、市川猿弥、中村鶴松、中村いてう、中村亀鶴、片岡亀蔵ら。亀蔵、猿弥は口をそろえ「お客様の反応を早く知りたい。今はそれが何よりの楽しみ」と新しい歌舞伎への自信を覗かせた。公演は4月25日(火)まで。チケットは発売中。
2017年04月07日3月21日、「五月花形歌舞伎」の取材会が行われた。これは大阪松竹座で5月に開催されるもので、市川猿之助、中村勘九郎、中村七之助の3人が2009年2月以来、じつに8年ぶりに大阪で共演するというもの。「五月花形歌舞伎」チケット情報取材会は、席に着くやいなや猿之助が手持ちのスマホで勘九郎を撮影するなど、終始和やかな雰囲気。かつて共演を重ねてきた「浅草歌舞伎」の思い出に話が及び、「楽しかった」と3人から笑顔がこぼれる。勘九郎が「『浅草歌舞伎』は1年の始まりでもあり、締めくくりでもあった」と話すと、七之助も「公演が終わって飲みに行くなんてことはほとんどなかった。でもお互いが舞台の上で理解しあい、熱気が生まれ充実していた」と懐かしんだ。当時は若手だった彼らも、8年という時を経て実力も人気もぐっと高まったタイミングで催される今回の公演。中村屋と澤瀉屋、それぞれの家が得意とする演目にお互いが出演するのがひとつの見どころだ。昼の部で上演される『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』は三代猿之助四十八撰の内のひとつで、宙乗りもあり、エンタテインメント性の高い演目。猿之助はこの公演中、5月16日(火)の公演で宙乗り1000回を達成することとなる。驚く勘九郎、七之助に「あっという間でしたね。それでもおじ(猿翁)の記録を更新するにはあと4000回やらないといけないですから」と淡々と話す猿之助。「最初は力んでいたが、年を重ねて無駄な力が抜けた」と道のりを振り返った。勘九郎、七之助はともに初役であり、「演じるのが楽しみ」と顔をほころばせる。夜の部で上演される『怪談乳房榎』は中村勘三郎が繰り返し工夫を重ねながら上演をしてきた演目。勘九郎、七之助も赤坂ACTシアターを始め数々の劇場で演じてきたが、松竹座での上演は初となる。今回磯貝浪江役を演じることとなる猿之助は、勘三郎との思い出として「『あなたは(観客に)魔法の粉を振りまくからね』と言ってくださったことがあった。それはいまも誇りです」と明かすと、勘九郎が「猿之助さんの芝居を観た父が僕に電話をしてきて、『俺に似てる!』と褒めていた」と笑わせた。若い頃に同じ舞台で共演を重ねた3人が、それぞれに経験を重ねて再びあいまみえる。その成長と息の合った演技に期待したい。公演は、5月2日(火)から26日(金)まで大阪松竹座にて上演。チケットの一般発売は4月5日(水)10:00より。一般発売に先駆け、チケットぴあでは、4月4日(火)23:59までインターネット先行先着(プリセール)を実施中。取材・文:釣木文恵
2017年03月31日赤坂大歌舞伎 新作歌舞伎「夢幻恋双紙 赤目の転生(ゆめまぼろしかこいぞうしあかめのてんせい)」。その4月6日(木)の開幕を前に赤坂氷川神社で公演成功祈願が行われ、中村勘九郎、中村七之助、作・演出の蓬莱竜太をはじめ、出演者の市川猿弥、中村鶴松、中村いてう、中村亀鶴、片岡亀蔵が出席した。赤坂大歌舞伎 チケット情報「赤坂大歌舞伎」5回目にして初の新作歌舞伎としても注目を集めている本作。作・演出は『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016年)での第20回鶴屋南北戯曲賞受賞も記憶に新しく、勘九郎、七之助と同世代でもある劇作家・蓬莱が務める。成功祈願後に行われた囲み取材で、勘九郎は「赤坂大歌舞伎として成功祈願というものを初めてやらせていただきました。身の引き締まる思いです」と挨拶。現在真っ最中の稽古について蓬莱は「初めて歌舞伎の演出をやらせていただいていますが、劇団のようにみんなが一緒になって作っているという印象で、リラックスして充実した稽古ができています。歌舞伎と現代劇は違うと思って入ったのですが、そういうことをあまり意識しなくていいという空気を作ってくださって。自由に歌舞伎を発想していいんだという風に勘九郎さんも七之助さんも言ってくださるので、その言葉を鵜呑みにしてやっております」。本作が描くのは、男と女の業。愛する歌(七之助)を幸せにするために転生を繰り返す男・太郎を演じる勘九郎は「(今作で描くものが)普遍的だったり日常の会話だったりするので。そこで転生していく男としていろいろな言葉を浴びせられるのは…まあ疲れますね!歌舞伎でも、突拍子もなく殺されるとか自分の子供を身代わりにしたりとかいう感情の苦しさはあるんですけど、(本作のように)日常にあることを言われ続けるというのは、意外とクるものがあります」と古典とは違う感覚を明かす。“恋愛あるある”が描かれたストーリーについて七之助は「世の男性は少なからず体験したことはあるんじゃないかという台詞が散りばめられています。だからこそ表面だけで演じたらペラペラになっちゃう。ひとつ芯を持って掘り下げないと、せっかく蓬莱さんの描いた作品を台無しにしてしまうので、今はその稽古中ですね」。さらに成功祈願を行った赤坂氷川神社が東京三大縁結び神社のひとつであることにかけ「この作品に出合えたことも縁だと思いますし、普段の歌舞伎ではあまり一緒にならない出演者たちが集まっていることも縁。それを大切にしたい」と本作ならではの“縁”を語り、稽古の充実を感じさせた。出演者のこれまでにない姿が見られそうな本作。公演は4月6日(木)から25日(火)まで、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2017年03月15日4月にTBS赤坂ACTシアターで上演される「赤坂大歌舞伎」。2008年に始まり5回目となる今回、初めての新作歌舞伎『夢幻恋双紙 赤目の転生(ゆめまぼろしかこいぞうしあかめのてんせい)』を上演する。その作・演出をつとめるのは、中村勘九郎・中村七之助と同世代の劇作家である蓬莱竜太。赤坂大歌舞伎 チケット情報今作を「演劇界をひっくるめての事件になれば」と熱く語る勘九郎に話を聞いた。「前々から蓬莱さんに書いて欲しいと話していたのですが、4月に赤坂大歌舞伎をやることになって『じゃあここでできるじゃん!』って」と、待ちに待ったタッグであることが笑顔から滲み出る勘九郎。蓬莱といえば小劇場のイメージもあり、先日行われた製作発表会見でも「僕が普段やってる芝居は歌舞伎とは縁遠いというイメージを持っていまして。逆にそれがどう融合するか楽しみ」(蓬莱)と話していたが、勘九郎自身は「蓬莱さんは家族や日常を…日常の変な人たちを描くのがすごくうまい。(蓬莱が脚本を手掛けた)『まほろば』を観たときに絶対に(歌舞伎でも)書いて欲しいと思ったんです」。同世代の蓬莱とのタッグは、父である十八代目中村勘三郎の言葉も背景にある。「父が言っていたんですよ、『俺はしあわせだ。同世代で野田秀樹、渡辺えり、それに串田和美さんとか、いろんな人と巡り会って新しいものを生み出してきた。お前達も巡り会えたらいいね』って。だからこれは喜んでくれると思います。ただやっただけじゃ怒られますけども」。気が弱くイマイチな男・太郎(中村勘九郎)が、愛した歌(中村七之助)を幸せにするために転生を繰り返す物語。勘九郎は「あらすじを読んですぐ電話しましたね、『天才だ!』って(笑)。ミステリーであって、喜劇のようで、笑いながら深い闇に落とされるような話です」。会見では蓬莱が「パラレルワールドみたいなもので、人格がこんなに人生に影響していくんだっていうことが描かれています」と解説。恋模様については勘九郎が「さすが蓬莱さんというような台詞が散りばめられています。(愛する女性に)これを言ったらいけないよとか、これ絶対『帰る』って言い始めるよ…って言葉がね、あるんですよ(笑)。男性も女性も覚えのあるものが表現されると思います」と話し、どこか馴染みやすさを感じさせる。会見では七之助も「リアルな描写。これを歌舞伎にしてどうなるのかなというのが楽しみです」と感想を述べつつも、演者として「役者が一生懸命やらないとダメにしてしまう作品。がんばらないと」と気合いをみせた。公演は4月に東京・TBS赤坂ACTシアターにて。チケットぴあでは2月8日(水)午前11時まで抽選先行プレリザーブのエントリーを受付中。取材・文:中川實穗
2017年02月03日ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで12月8日、中村橋之助改め八代目中村芝翫、中村国生改め四代目中村橋之助、中村宗生改め三代目中村福之助、中村宜生改め四代目中村歌之助が、歌舞伎界“史上初”となる“親子4名同時襲名”を行い、パークで公演中の15周年記念パレード「ユニバーサル・RE-BOOOOOOOORN(リ・ボーン)・パレード」を「襲名披露リ・ボーン・パレード」と代え、一家で“やり過ぎ”お練りを披露した。中村芝翫さん、橋之助さん、福之助さん、歌之助さんの4名が「襲名披露リ・ボーン・パレード」を先導する、ユニバーサル・グローブを掲げたフロートの上で手をふると、パークのゲストから次々と歓声が。メイン・ストリートでは中村芝翫さんの妻で三兄弟の母である三田寛子さんがパレードを見守り、「今日はいちギャラリーとして参加したけど、ゲストと一緒に心が一つとなってお祝いできたことが本当にありがたいです」とコメントした。一方、中村芝翫さんは、「パレードに乗車して涙がこぼれそう。USJのように我々の歌舞伎も日本から世界に届けたい。日本の伝統芸能である“歌舞伎”、世界最高のエンターテイメントを提供し続けてきたユニバーサル・スタジオ・ジャパン、ともにこれからも素晴らしいエンターテイメントを日本から世界へ発信していきましょう」と、抱負を口にした。また、「襲名披露リ・ボーン・パレード」を終えた中村芝翫さん一家は、「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」エリアにて、今年新たに登場した「ワンド・マジック」を体験。家族全員で「ロコモーター!」と呪文を唱えて杖をふると、「魔法のクリスマス・ツリー」のオーナメントが次々と踊り出して、魔法界のクリスマスを満喫した。■ユニバーサル・スタジオ・ジャパン×大阪松竹座中村橋之助改め八代目中村芝翫国生改め四代目中村橋之助、宗生改め三代目中村福之助、宜生改め四代目中村歌之助「襲名披露リ・ボーン・パレード」2016年12月8日(木)1日限りで開催写真提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(C)&(R) Universal Studios. All rights reserved.(text:cinemacafe.net)
2016年12月13日中村勘九郎、中村七之助の兄弟を中心とする中村屋一門が、時期に応じて「新緑」「錦秋」と銘打ち、2005年以来、毎年行っている巡業公演が今秋も開催。今回の上演は、「歌舞伎塾」、七之助『汐汲』、勘九郎『女伊達』の3演目。「歌舞伎塾」は新たな試みで、立役と女方ができるまでの化粧の様子や実演を、勘九郎と七之助の解説と共に見せていくもの。全国14か所を巡る今年の「錦秋特別公演」を前に、七之助が抱負を語った。【チケット情報はこちら】「歌舞伎塾では、『草摺引』の曽我五郎役の中村いてう、舞鶴役の中村鶴松が化粧をする過程をスクリーンも使ってリアルタイムでお見せし、その後『草摺引』の一部を実際に上演します。これは、鎧を持って出かけようとする曽我五郎を舞鶴が引き止めようとして草摺(鎧の一部)を引っぱる、という単純な舞踊劇。派手だし、むきみ(隈どりの一種)だし、台詞もあるし、歌舞伎らしさを楽しんでもらえると思います」七之助が踊る『汐汲』は、須磨に暮らす海女の姉妹、松風と村雨が、在原行平から寵愛を受けたという伝説に基づく能『松風』の趣向を取り入れた、長唄の舞踊だ。「『汐汲』は、日本舞踊で初めのころに教わる、基礎中の基礎。お能の格式を表現したかと思えば、行平が残した烏帽子と狩衣を着て、恋しい人への切ない思いを表すなど、様々な要素が詰まった踊りです。僕自身もかなり前に習いましたが、舞台で踊ったのは(坂東)玉三郎のおじさまと共演した『村松風二人汐汲』(2014年)が初めて。おじさまには“型と型の間こそが踊りになる”ということを丁寧に教えていただきました。型と型の間というのは、呼吸や間合い、目線、動きなど、ちょっとしたことで変わります。今回はひとりなので、玉三郎のおじさまの踊りを思いながら、最初は格式高く、やがて情愛たっぷりに踊りたいですね」最後は勘九郎の『女伊達』。桜が満開の新吉原を舞台に、尺八を差した美しい女伊達(女侠客)が、男伊達たちを相手に踊る作品だ。「男伊達ふたりとの立ち廻りもある華やかな踊りです。兄の女方は久しぶりですが、もともとは女方だったんですよ。きびきびとしてすっきりとした、江戸っ子の女方になるのではないでしょうか」多忙の中、10年以上欠かさず続けて来た巡業公演への思いは強い。「とにかく、色々な人に観てほしいです。歌舞伎というと難しいイメージがあるけれど、本当はそんなことないですから。僕たちが地方を回ることで、普段は歌舞伎をご覧にならない方にも気軽に来ていただき、“意外と面白いな”と思ってもらえたら嬉しいし、つまらなくても、それは人それぞれ。まずはふらっと歌舞伎を観に来てもらえるようにしたい。錦秋公演は、歌舞伎が好きな方はもちろん、初心者の方にもわくわくしてもらえるよう、敷居を一生懸命削ってお届けする公演です」11月7日(月)の東京・オリンパスホール八王子での公演を皮切りに各地を巡る。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2016年08月17日歌舞伎の様式美に現代的なセンスを加え、古典の新たな魅力を創造している「コクーン歌舞伎」。今回上演されるのは“お岩さん”でおなじみの『四谷怪談』。お岩と夫・伊右衛門、お岩の妹・お袖と直助の悲劇を軸に忠臣蔵のドラマが絡んでいく。「15歳で東京バレエ団に入団した時、最初に出た舞台が、忠臣蔵を題材にしたモーリス・ベジャールさん振付の『ザ・カブキ』という演目でした。それから18年を経て、退団する時に最後に踊ったのもこの作品。そもそも自分が、歌舞伎の舞台にお誘いを受けたこと自体が予想外すぎたので、思い切ってそんな縁を繋げて、エイッてお引き受けしました」バレエダンサーながら、近年は現代劇や映像でも活躍中の首藤康之さんも、さすがに歌舞伎でのオファーは驚いたそう。「稽古が始まったいまも、まだ緊張が解けない」とか。「皆さんのセリフを聞いたら圧倒されて、古典の偉大さと、そこで生きてこられた方々の力強さを実感しました。バレエもそうなんですが、古典をやりこなすには、積み重ねたものがベースにないと難しいんですね。それを皆さんの佇まいから少しでも取り入れられたらと思います」コクーン歌舞伎の演出を長年手がけてきた串田和美さんからのオファー。あえてダンサーの首藤さんを歌舞伎の舞台にキャスティングした狙いがきっとあるはず?「どうでしょう…串田さんに伺っても、なかなか手の内は明かしてくださらないので(笑)。でも、こちらが聞いてもお話しされないのは、僕に余白を与えてくださってるんだと思うんです。これまでお仕事でご一緒してきて、串田さんのお作りになる世界を信頼していますし、それを拠り所に頑張りたいと思っています」◇6月6日(月)~29日(水)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作/四世鶴屋南北演出・美術/串田和美出演/中村獅童、中村勘九郎、中村七之助、首藤康之、笹野高史、片岡亀蔵、中村扇雀1等ベンチ席1万3500円~3等席4000円当日立見券3500円・2500円あり(すべて税込み)チケットホン松竹TEL:0570・000・489◇しゅとう・やすゆき9歳からバレエを始め15歳で東京バレエ団に入団。’04年の退団以降は、現代劇、映像へも挑戦。現在放送中のドラマ『99.9』(TBS系)にも出演。◇首藤さんが演じるのは、病に臥せる小汐田又之丞。彼への忠義一心で薬を盗んだ小平は、伊右衛門に殺され、お岩同様に亡霊となって現れる。復讐劇の鍵を握る存在だ。※『anan』2016年6月8日号より。写真・津留崎徹花インタビュー、文・望月リサ
2016年06月03日歌舞伎役者の市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助が17日、都内で行われたシネマ歌舞伎『阿弖流為<アテルイ>』(6月25日公開)の完成披露上映会に登場した。劇団☆新感線・いのうえひでのりが演出、中島かずきが脚本を担当し、2015年に新橋演舞場で行われた、歌舞伎NEXT『阿弖流爲<アテルイ>』を映像として編集、全国公開する。舞台挨拶では、18日に33歳の誕生日を迎える七之助に、サプライズでバースデーケーキが贈られた。観客に祝われた七之助は「どんどん衰えていくものなので、次の歌舞伎NEXTの時は動けるように、日々精進していきたいと思います」と33歳の抱負を語った。染五郎が七之助の口にケーキの装飾の熊を「あ~ん」と食べさせると、七之助は「甘いです」と苦笑。また、勘九郎は「いい1年にしてください」とメッセージを送った。『阿弖流爲<アテルイ>』について、染五郎は「すごいもの、びっくりするものを作ろうじゃないかと、思いだけで作り上げた感じ」と説明し、「同じ方向を向いて一気に作り上げた」と感慨深げに振り返った。七之助は「劇団☆新感線は見るもんで、出るもんじゃないと言われていたけど、まあ、地獄でした(笑)」と舞台の激しさを語り、「養老院みたいな人たちが走らされて、けが人続出で大変でしたね」としみじみ。また七之助は、舞台上の動きがほとんどいのうえの演出指示通りであることを明かし「型が決まっている中で、自分の感情を表現するのは歌舞伎と同じ」と表現した。劇団員である俳優・古田新太や橋本じゅんについて、「自由にやってるなと思ってたんですけど、毎回そういう演出を受けてたんですよ。ああ恐ろしい人達だと思いました」とすごさに触れた。
2016年05月18日「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展が、6月5日まで東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている。所蔵作品45万点を誇るアメリカのボストン美術館は、「古代」、「ヨーロッパ」から「アジア、オセアニア、アフリカ」、「アメリカ」、「現代」に至るまで古今東西の優れた美術品で知られ、その中でも仏画、絵巻物、浮世絵、刀剣など日本美術のコレクションは質、量ともに充実していることで知られる。1876年のボストン美術館開館以来初の大規模な歌川国芳と歌川国貞の展覧会となる同展では、同美術館の優れた日本美術のコレクションにあって、圧倒的な点数を誇る浮世絵コレクション1万4千枚超の中から、幕末の人気浮世絵師であった国芳と国貞の作品170件、約350枚が公開される。今回展示された作品は、一度貸し出されると美術館の規定により5年間は公開されなくなるため、非常に貴重な機会となる。展覧会では、豪快な武者絵と大胆な構図を描いた国芳、そして、粋な美人画や緻密な表現で一世を風靡した国貞という対照的な作風を持つ天才絵師2人が、いかにして創意工夫を凝らしてきたかを知ることが出来るように、名品の数々を同一のテーマで比較展示。さらに、身近な感覚をもって作品を理解するために、当時最大の娯楽であった歌舞伎の演目になぞらえ、各章のタイトルに一幕目の一「髑髏彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)」や、一幕目の二「物怪退治英雄譚(モンスターハンター&ヒーロー)」、二幕目の六「今様江戸女子姿(エドガールズ・コレクション)」など現代的でポップなルビが振られている。また、同展では、当時西洋から輸入された化学顔料「ベロ藍(プルシャンブルー)」の濃淡とほんの少しの紅などで表現された「藍摺」と呼ばれる錦絵の中でも特異な作品が展示されるほか、豪華さを演出するために無地背景に雲母粉を用いた「雲母摺(きらずり)」と呼ばれる作品も展示され、浮世絵師の多様な色彩表現が紹介される。なお、展覧会のオフィシャルサポーター及び音声ガイドのナビゲーターを歌舞伎役者の中村七之助が務める。テーマ曲には、B'zの松本孝弘による書き下ろしの楽曲「Ups and Downs」が使用されている。【イベント情報】ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞会場:Bunkamuraザ・ミュージアム住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1会期:3月19日から6月5日時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)料金:一般1,500円、大学・高校生1.000円、中学・小学生700円休館日:会期中無休0123
2016年05月02日俳優・中村雅俊の娘でモデル・タレントとして活動する中村里砂が主演を務める、世界的カルト漫画の実写映画化『少女椿』。このほど、中村さん演じるヒロインのみどりをはじめ、カナブンや紅悦など、原作の世界観を表現する強烈なキャラクター写真の数々が解禁となった。ある時代の東京。14歳のみどり(中村里砂)は、病気の母親を置いて家を出て行った父親の代わりに家計を助けるため、花売りをしていたが、ある日、家に帰ると母親(鳥居みゆき)は病死していた。一人ぼっちになったみどりは、赤猫サーカス団の団長である嵐鯉治郎(中谷彰宏)に拾われる。地方巡業に回るサーカス団には、怪力自慢の赤座(深水元基)、美少年のカナブン(武瑠)、蛇使いの紅悦(森野美咲)、足芸の鞭棄(佐伯大地)ら、個性的で怪しげな連中が顔を揃えていた。その中で下働きするみどりは、いじめにあいながらも健気に毎日を送り、走る列車を見ながら東京の我が家のことを思うのだった。そんなある日、サーカス団にワンダー正光(風間俊介)という超能力を持った男が加入する。いじめにあうみどりを見たワンダー正光は、彼女のことを気にかけ、彼自身が持つ超能力で不思議な光景を見せる。彼の優しさにみどりは次第に心を寄せていく。ワンダー正光の評判は瞬く間に広まり、サーカス団は連日大入りとなった。だが、団員たちは彼の人気に嫉妬し、さらにみどりをいじめる。それを見たワンダー正光は怒り、超能力で団員たちを従わせる。彼はみどりのことを愛していたのだった。それに嫉妬した鞭棄も、みどりを力づくで振り向かせようとするが、それを見たワンダー正光は激怒、超能力で鞭棄を殺害してしまう――。1984年の発刊以来、アニメ化や舞台化がされてきた、丸尾末広によるカルト漫画を原作とする本作。これまで実写映画化は何度も試みられながら、その世界観を描くことが難しく、幾度も企画が立ち消えになってきたが、このほど短編映画『ミガカガミ』でモントリオール国際映画祭ほか、国内外の映画祭で数々の賞を受賞した監督TORICOによってついに実現。本作の公開決定がニュースとして流れるや、Twitter上などSNSでは大きな盛り上がりを見せ、翌日のTwitterでは話題度1位となったほど。先に発表となった、主人公でヒロインのみどりを演じる中村さんのほか、ワンダー正光には『猫なんかよんでもこない』の風間俊介、カナブンにはビジュアル系ロッカーの武瑠(SuG)、紅悦にはグラビアでも話題となった女優『花鳥籠』の森野美咲、鞭棄には若手俳優の注目株『アキラNo.2』の佐伯大地、赤座には『新宿スワン』の個性派俳優・深水元基、そしてサーカス団団長の嵐鯉治郎には作家としても活躍する中谷彰宏といった、超個性的な面々が登場。見事なまでに、美しくも奇妙でエログロな世界観を再現した本作を、これらの写真から覗いてみて。『少女椿』はシネマート新宿ほか5月21日(土)より全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月05日2月29日(月)、大阪・梅田のシアター・ドラマシティで『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』が幕を開けた。深津絵里と中村七之助がW主演し、デヴィッド・ルヴォーが演出する近松門左衛門の代表作『心中天網島』。その魂は、約300年の時を超え、かつて人形浄瑠璃で初演した同じ大阪の地で、観客の胸にダイレクトに飛び込んで来た。休憩20分を含む約3時間近い芝居が、舞台に魅入られてアッと言う間。カーテンコールの拍手は鳴りやまず、総立ちの客席からルヴォーも登場した初日の観劇ルポを。『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』チケット情報満員の客席。カンカンカン!と半鐘を鳴らす強い鐘の音で一気に消灯。目の前に吊られた歌舞伎幕がスルスルと開き、プロジェクションマッピングの映像だとわかる。その瞬間、ニューヨークの空撮映像が投影、リーマン・ショックのニュースを経て、大阪・道頓堀のネオン界へ。舞台は、大阪・ミナミ。借金と加齢に悩みつつ、「金のため」と売春で稼ぐハル(深津絵里)。常連客で妻子持ちのジロウと恋をしているが、ジロウの兄(音尾琢真)が訪れ離縁を迫る。ののしられ、「金のため」と別れを受け入れたハルは、自暴自棄になって街を歩き、川に行き当たる。遊女の涙であふれたと言われる幻の蜆川(しじみがわ)。そこにかかる幻想の橋の上で、ハルは遊女・小春(中村七之助)と出会い、江戸時代の古い恋の世界へ…。舞台上には小空間を形作る複数の平台。それらの組み合わせで場面転換がスピーディに行われる。近松門左衛門のような人物(中嶋しゅう)の案内で、『心中天網島』の物語に入り込み、眺めているハル。歌舞伎で有名な“河庄”や“しぐれの炬燵”の物語が描かれる中、観客はハルの視点で常に現代と結ばれ、共に江戸の物語を旅するよう。当時の風景や女性の心情がわかりやすく伝わり、近松の世界が新たな色合いで浮かび上がる。途中休憩で観客の顔が語っていた。自分たちは今、なんとおもしろい芝居を観ているのか、と。深津の非の打ちどころのない繊細な演技、歌舞伎の女方の様式美を存分に生かした七之助の魅力、中嶋の達者な案内役。心に闇を抱えて生きる現代人に突き刺さるセリフもいい。「生きているのに、死ぬほど苦しい」「心中を心づくしと言うのなら、死なないですむ心づくしはないのか」。男と女の愛が、死と生の物語が、鮮烈なインパクトを持って立ち上がり、最後には私たちを極上の優しさと切なさで包み込む。安易な予想を瞬時に振り切り、驚きのなかで着地させる見事な結末!「歌舞伎の演目を演出してほしい」と言っていた、かつての十八代目中村勘三郎との約束を、ルヴォーは見事に果たした。この舞台へ、そして息子・七之助の挑戦へ、勘三郎も天上から拍手を贈っているに違いない。取材・文:高橋晴代
2016年03月03日2月29日(月)、大阪・梅田のシアター・ドラマシティで『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』が幕を開けた。深津絵里と中村七之助がW主演し、デヴィッド・ルヴォーが演出する近松門左衛門の代表作『心中天網島』。その魂は、約300年の時を超え、かつて人形浄瑠璃で初演した同じ大阪の地で、観客の胸にダイレクトに飛び込んで来た。休憩20分を含む約3時間近い芝居が、舞台に魅入られてアッと言う間。カーテンコールの拍手は鳴りやまず、総立ちの客席からルヴォーも登場した初日の観劇ルポを。『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-』チケット情報満員の客席。カンカンカン!と半鐘を鳴らす強い鐘の音で一気に消灯。目の前に吊られた歌舞伎幕がスルスルと開き、プロジェクションマッピングの映像だとわかる。その瞬間、ニューヨークの空撮映像が投影、リーマン・ショックのニュースを経て、大阪・道頓堀のネオン界へ。舞台は、大阪・ミナミ。借金と加齢に悩みつつ、「金のため」と売春で稼ぐハル(深津絵里)。常連客で妻子持ちのジロウと恋をしているが、ジロウの兄(音尾琢真)が訪れ離縁を迫る。ののしられ、「金のため」と別れを受け入れたハルは、自暴自棄になって街を歩き、川に行き当たる。遊女の涙であふれたと言われる幻の蜆川(しじみがわ)。そこにかかる幻想の橋の上で、ハルは遊女・小春(中村七之助)と出会い、江戸時代の古い恋の世界へ…。舞台上には小空間を形作る複数の平台。それらの組み合わせで場面転換がスピーディに行われる。近松門左衛門のような人物(中嶋しゅう)の案内で、『心中天網島』の物語に入り込み、眺めているハル。歌舞伎で有名な“河庄”や“しぐれの炬燵”の物語が描かれる中、観客はハルの視点で常に現代と結ばれ、共に江戸の物語を旅するよう。当時の風景や女性の心情がわかりやすく伝わり、近松の世界が新たな色合いで浮かび上がる。途中休憩で観客の顔が語っていた。自分たちは今、なんとおもしろい芝居を観ているのか、と。深津の非の打ちどころのない繊細な演技、歌舞伎の女方の様式美を存分に生かした七之助の魅力、中嶋の達者な案内役。心に闇を抱えて生きる現代人に突き刺さるセリフもいい。「生きているのに、死ぬほど苦しい」「心中を心づくしと言うのなら、死なないですむ心づくしはないのか」。男と女の愛が、死と生の物語が、鮮烈なインパクトを持って立ち上がり、最後には私たちを極上の優しさと切なさで包み込む。安易な予想を瞬時に振り切り、驚きのなかで着地させる見事な結末!「歌舞伎の演目を演出してほしい」と言っていた、かつての十八代目中村勘三郎との約束を、ルヴォーは見事に果たした。この舞台へ、そして息子・七之助の挑戦へ、勘三郎も天上から拍手を贈っているに違いない。取材・文:高橋晴代
2016年03月03日「女方として、できる範囲のことはすべてチャレンジしたい」と語るのは、中村七之助。彼の今年最初の舞台は、歌舞伎ではなく現代劇だ。十八代目中村勘三郎とデヴィッド・ルヴォーの企画で誕生したという『ETERNAL CHIKAMATSU-近松門左衛門「心中天網島」より-』。『心中天網島』は、遊女小春・紙屋治兵衛・その妻おさんの三角関係を描いた近松の代表作。この作品を、注目の若手作家・谷賢一が、ルヴォーのオリジナルアイデアに基づき新作戯曲として描き下ろす。七之助は、初めてルヴォーの演出を受け、これまであまりやったことのない現代劇で女方を演じ、そして初共演の深津絵里とW主演する。まさにチャレンジだ。稽古前に来阪し、「父の、死してなお夢を実現する力」を感じながら、遺志を受け継いで出演する意気込みを話した。『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より-』チケット情報「父は、歌舞伎の演目を海外の方に演出してほしいという夢があり、私たち息子にも話していました。具体的にルヴォーさんで近松を、と。それをルヴォーさんが覚えていてくださり、今回の上演になりました。ルヴォーさんという暮らしも文化も違う方が、近松作品をどういう解釈で演出され、そこからどんな変化が生まれるのか。今回、それが一番楽しみです」。物語は、現代に生きるハル(深津)が、江戸時代に生きる遊女・小春(七之助)と出会い、近松門左衛門の古い古い恋の物語に引き込まれていく。ハルと小春を通して描く、究極の愛。1月下旬から稽古に入るが、初めてやる時に一番大事にしていることは「お稽古までに台本を全部覚えて行くこと」と言う。「これは父が口を酸っぱくして言ってましたから。それと、柔らかい気持ちで行くことかな。杉村春子先生は台本を100回読まれたと。だから、台本は最初から最後までよく読んで、自分のキャラクターを考えます。でも、固めて行かない。固めると、そこから抜け出ることが大変になるから」。今回、深津とはガップリ四つの初共演だ。「僕はテレビでも映画でも歌舞伎でも、相手役はほとんど男としかやったことがなかったんです。だから、深津さんとほぼ初対面でポスター撮りした時、『もっと顔を近づけて、近づけて』と言われて、恥ずかしくてね(笑)。すごい脇汗でした(笑)。深津さんはキレイな人で、すごくいい方でした」。ほかに伊藤歩、中嶋しゅう、中島歩、音尾琢磨らが出演。「今回は、歌舞伎で培ってきたものをいろいろ試せる、チャレンジできる舞台でうれしいです。現代劇の中で女方として出るなんて、これは僕個人としてもおもしろいし、ボクがお客様だったら、ちょっと観てみたいな(笑)」。公演は、2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2016年02月05日ロンドンやブロードウェイをはじめ世界をまたにかけ活躍をしつつ、日本でも数多くの作品を送り出している英国出身の演出家デヴィッド・ルヴォー。彼が近松門左衛門の心中ものをベースに作る新作舞台『ETERNALCHIKAMATSU ―近松門左衛門「心中天網島」より―』の制作発表会見が1月27日、都内にて開催された。主演は深津絵里、中村七之助。舞台『ETERNAL CHIKAMATSU』チケット情報もともとは、ルヴォーと故・中村勘三郎さんとで歌舞伎に取り組む約束をしていたそうで、今回の上演について「勘三郎さんと出会えたおかげ」とルヴォーは語る。紡がれる物語は、江戸時代を舞台に遊女小春と紙屋治兵衛、その妻おさんの三角関係を描いた『心中天網島』の世界と、現代日本で売春婦として暮らし、客のジロウと恋に落ちる女性・ハルのストーリーから、“愛”を描き出していくものになるとのこと。「当初話していたものとは違う形になりましたが、勘三郎さんと語ったオリジナルの思いは詰まっている。作品のイメージは、近松作品の登場人物を通して、現代の日本と過去の日本とが手を結ぶというもの。過去と現在の女性ふたりが出会い、相手の中に自分を見つけ、ふたりが愛について探っていく」とルヴォー。ダブルヒロインを務めるのが深津と七之助で、深津がハルを、七之助が小春を演じる。深津は「これまで何度も上演されている近松の物語を、デヴィッドさんがどう演出するのかに興味を抱きました。近松のドロドロした“愛の渦”に身をおけるのかな、と思ったら、私は現代を生きる女性の役でした(笑)。でもデヴィッドさんのあふれ出るアイディアがいたるところに散りばめられているので、とてもユニークな作品になりそうです」と楽しみにしている様子。七之助は「父の遺志を引き継げたことが嬉しく思う。父の思い描いていたものより、もっともっと、スケールの大きいものになっています」と話した。ふたりは初共演になるが、深津が「七之助さんは、すごく軽やかで美しい。美しさではすでに負けているので、そこは足掻かず、その美しさを自分の中に取り入れたい」と話し、共演の伊藤歩も「(七之助の美しさには)降参です、そこを比べられてしまうと…」と語ったところ、七之助が「さっきから公開処刑みたいになってる、やめてください!」と悲鳴を上げ、場内が笑いに沸く一幕も。なお、このダブルヒロインを配したことに関してルヴォーは「女性が女性を演じる、女性を男性が演じる、このふたつが同時に舞台に存在する時に生まれる緊張感や深みも探っていきたいし、そこが面白いポイントになると思う」と期待を話していた。出演はほかに、中嶋しゅう、音尾琢真ら。公演は2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。
2016年01月27日近松門左衛門の代表作「心中天網島」をベースにした舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」の製作発表が1月27日(水)、水天宮ピットで行われ、出演する深津絵里、中村七之助、伊藤歩と演出家のデヴィッド・ルヴォーらが出席した。「ETERNAL CHIKAMATSU」は、遊女小春、治兵衛、その妻・おさんの三角関係を描いた近松の「心中天網島」をベースに、究極の愛を描いた物語。演出家デヴィッド氏のオリジナルアイデアに基づき、作家の谷賢一が書き下ろす新作戯曲となっている。主演を務める深津さんと中村さんは、本作が初共演。中村さんの印象について、深津さんは「まだ信じられないような気持ちです。七之助さんは本当に軽やかな方で、すごく美しいんです。ものを作る姿勢が本当に素晴らしくて。一緒に芝居を1から作っていけることの喜びをすごく感じています。すでに美しさは負けているんですけど」と語り、伊藤さんも「美しさは降参です」と、女形で培った中村さんの可憐な美しさに触れた。首を振っていた中村さんだったが、「公開処刑、やめてください。今、心の中ではすごく小さくなっています」と恐縮しきりだった。一方、深津さんの印象を尋ねられると中村さんは絶賛。「もちろん綺麗だということは前提で、ミーハーなんですけど『踊る!大捜査線』のすみれさんだあ!、というイメージが強くて」と記者を笑わせた後、「舞台も拝見していて、映画『悪人』も素晴らしいですし、映像もドラマも舞台もできる女優さんは少ないと思っているので、本当に尊敬できる大先輩です」と、女優としての器の大きさを感じていたようだ。もともと本作は七之助さんの亡き父、勘三郎さんがデヴィッド氏と「歌舞伎で上演できれば」と話を進めていたものだという。その延長戦上にあるプロジェクトゆえに、中村さんは「父の願いは近松の作品を歌舞伎で演出することでしたが、父親が描いていたものをはるかに超えて、もっともっとスケールの大きいものになっているので、すごく楽しみです」と、希望をたたえた瞳で舞台への意気込みを語った。会見には、そのほか中嶋しゅう、音尾琢真が出席した。舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」は、2月29日(月)~3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、3月10日(木)~27日(日)まで東京・Bunkamura シアターコクーンで公演。(cinamacafe.net)
2016年01月27日『黒いハンカチーフ』『BIOHAZARD THE STAGE』と主演舞台が続いている矢崎広。間違いなく、2016年注目すべき若手俳優のひとりであろう彼が、2~3月に『ETERNAL CHIKAMATSU ―近松門左衛門「心中天網島」より―』に出演する。歌舞伎でもよく知られる遊女小春と紙屋治兵衛の心中事件と、現代に生きる男女の物語を絡めて“究極の愛”を描き出すもの。深津絵里・中村七之助をW主演に、日本文化にも造詣の深いデヴィッド・ルヴォーが演出を手がけるという、演劇ファンなら心躍るこの話題作に挑む心境を、矢崎に訊いた。チケット情報はこちら2015年は8本もの舞台に出演した。そんな多忙の中でも、ひとつの役を演じるにあたって「自分の参考になる資料は全部集めようと思うし、調べたいですし、実在の人物を演じるのでしたら、その人が行ったところに行きたいと思っています。自分が体験出来ないことを体現しないといけないので」という勉強家だ。「今回も近松門左衛門の話をベースにしていますので、そういう資料は当たりたいです」。一方で、実際に稽古に入るとなれば「僕なんか、まだまだ何も出来ないので…。演出家の方に「料理してください!」という感じです。自我は捨てていかないと、と思っています」とも話す。勤勉さと、自分が獲得した知識に固執しないフラットなスタンスが、色々な演出家の作品に次々と呼ばれる理由かもしれない。さて、その矢崎が次に組むのは、英国出身で、世界で高い評価を得ている名演出家。「2014年に、ルヴォーさんの公開ワークショップに参加したんです。お客さんが見ている前で行うワークショップは初めてだったのですが、お客さんを楽しませようとしちゃう自分の気質や、自分が楽しむことによってお客さんも楽しんでくれる、ということを改めて発見しました。ルヴォーさんも、包み込むような空気とパワーがある方。緊張はしましたが、楽しかった。得るものが多く、すごく身になった経験でしたので、いつかルヴォーさんとご一緒したい、力をつけてから…、10年先かな…、と思っていたら、わりとすぐその機会が来ちゃって、ちょっと焦ってます」と照れ隠しのように笑うが、それはやはり、そこまでの実力が伴ってきた証だろう。作品のベースに古典芸能を置いていることについても「最近はあまり観れていませんが、歌舞伎はすごく興味あります。伝統芸能は、やっぱり美しいですよね」と、楽しみにしている様子。「ご一緒する深津さん、七之助さんも、僕がこの世界に入る前から活躍されている方。憧れでしかない方と一緒に舞台上に立てるのは、夢のようです。でもそんな気持ちで終わったら意味がない。自分がこの作品に携わる意味を見つけて、僕がここまでやってきたものをルヴォーさんに引き出してもらって、素敵な作品を作れたらと思っています」。公演は2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。
2016年01月08日歌舞伎役者の市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助が主演を務めるシネマ歌舞伎 『歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉』が2016年6月25日に公開されることが決定した。シネマ歌舞伎第24弾となる本作は、今年7月に東京・新橋演舞場で上演。もともとは2002年、染五郎が、2002年に劇団☆新感線とタッグを組み、神話や史実をモチーフとした時代劇シリーズ・いのうえ歌舞伎『アテルイ』として上演した。それから13年の時を経て、再び染五郎が歌舞伎化したものが新橋演舞場での公演で、映画では演劇の可能性を広げた、新たな歌舞伎誕生の瞬間をも捉えているという。タイトルにもなっている、阿弖流為の役を務めるのは、染五郎。苦悩しながらも蝦夷を率いる若いリーダーを演じる。そんな阿弖流為に奇妙な友情を感じながらも蝦夷征伐へと向かう坂上田村麻呂の役は、映画および舞台『真田十勇士』(2016年9月公開)でも主演を務めることが発表された勘九郎が、阿弖流為を導く謎の女・立烏帽子の役は七之助が、それぞれ務める。このほか、坂東彌十郎、市村萬次郎、片岡亀蔵らの出演も決定している。染五郎は本作を、「自分の夢でもある歌舞伎と映像の融合の第一歩になる、さらなる可能性を感じる作品」と形容。「舞台では表現できない編集によって生まれ変わりました」とした上で、「映像ならではの魅力が詰まった、歌舞伎NEXT『阿弖流為』を多くの方にご覧いただくことを心より願っています」とアピールしている。
2015年12月24日母国イギリスのみならず、トニー賞も受賞するなど世界で活躍をしている演出家デヴィッド・ルヴォー。シアタープロジェクト・東京(TPT)を立ち上げるなど日本にも縁が深く、数々の名作を生み出している彼が、深津絵里・中村七之助をW主演に迎え『ETERNAL CHIKAMATSU ―近松門左衛門「心中天網島」より―』を上演する。近松門左衛門の心中物をベースにした新作だ。この注目作に出演する入野自由に話を聞いた。チケット情報はこちらルヴォー作品初挑戦だが、入野は昨年、ルヴォーの公開ワークショップに参加している。「演劇に携わる者にとって、雲の上のような存在。なのに、自分に目線をあわせて話してくれてとても話しやすい方なんです。ワークショップというものは、色々なことを試し、いっぱい恥をかいて失敗して、その中で何かを掴んでいく作業だと思っているのですが、それをお客さまの前でやる“公開ワークショップ”というのは初めての経験で、すごく緊張したのですが、ステージに立ったらルヴォーさんが僕らを包んでくれ、安心してチャレンジ出来た覚えがあります」とその時のことを振り返る。「最初に「楽しんでね」と言われ、「そんなことできるはずない!」と思ったんですが(笑)。実際楽しかったし、その後しばらく、夢のようにその時のことが心に残っていました」。だからこそ、本作の話があった時は「オーディションを受けられるだけで、すごく嬉しかった」という。「ワークショップの数十分だけでも、たくさんのものが得られたので。なんとしても参加したいと強く思いました」という意気込みで挑み、チャンスを掴んだ。「今度は稽古から本番までの長い時間、濃密な時間を過ごせる。無駄な時間なんてない。楽しみにしています」。作品は、遊女小春と紙屋治兵衛の心中事件を軸にした近松の『心中天網島』の悲劇と、現代に生きる男女の物語を並行して描き“究極の愛”を描き出すもの。入野は現代側で、深津絵里演じるヒロインと深い関わりを持つ男を演じる予定。「まだどうなるかわかりませんが、直截的に主人公たちに影響を及ぼすものではないかもしれないけれど、間接的にとても重要な役割を果たす役になりそうです。ふたつの時代で、違う人たちが動いていく物語なのですが、根底の部分では同じものが描かれているというのが面白い。男と女、恋、そういうものは現代も過去も変わらないですね」。声優として長いキャリアを持つ一方で舞台俳優としても名だたる演出家たちと組み、着実に結果を残している入野。最後に今後、どんな俳優になっていきたいかを聞いた。「この作品もですが、世の中には素敵な作品がたくさんある。それに参加できるとなったときに、力足らずではなく、ちゃんと作品に見合う、そして真摯に向き合える俳優でありたいと思います」。憧れの演出家のもと、またひとつステップアップする入野が見られそうだ。公演は2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。
2015年12月24日真っ青な秋空に映える大阪城の天守閣。10月25日、大阪城西の丸庭園で5年ぶりとなる大阪平成中村座が開幕した。前日の会見で、中村扇雀は「感無量」と言い、中村橋之助は「兄が亡くなり、こんな早い時期にできたことは本当にうれしい、皆様のおかげです」と感謝。今回は、坂東彌十郎と坂東新悟、中村橋之助と中村国生、中村扇雀と中村虎之介という、3組の親子共演も楽しみだ。「大坂の陣400年記念 大阪平成中村座」チケット情報中村勘九郎・七之助はもとより、座組み全員が十八世中村勘三郎への想いを胸に、舞台に立った初日。昼の部には、満員の観客席に京都・先斗町から舞妓さんたちの姿もズラリと。『女暫(おんなしばらく)』は、歌舞伎十八番の『暫』を女方が演じる演目。七之助が凛々しくもキュートな巴御前を演じ、大奮闘!『三升猿曲舞(しかくばしらさるのくせまい)』は長唄舞踊。木下藤吉郎に扮した勘九郎が踊りの名手ぶりを披露する。紅葉の背景が開くと、陽に輝く大阪城が借景に!大拍手の客席に秋風が流れ込む。『狐狸狐狸(こりこり)ばなし』は、だまし合いの喜劇。扇雀が弾けて大活躍、七之助も魅力を発揮し、物語のおもしろさに引き込んで笑わせる。客席は大喜びのうちに昼の部が終演。休憩は2回。お弁当は敷地内の五軒長屋で早めに買おう。トイレは長蛇の列でも大丈夫。順番待ちまで楽しませるお茶子さんの話と超スムーズな誘導、場内案内からお弁当の空箱回収まで手際の良さは抜群だ。これぞ中村座名物、勘九郎の言う「世界に誇れるお茶子さん」。イヤホンガイドもおすすめ。公演中はもちろん、休憩時間には大阪城の歴史などの解説も。夜の部は『俊寛』と、30分の休憩をはさみ『盲目物語』。「どちらも祖父、父と二代に渡って大切にしてきたもので、父の想いが詰まった演目です」と七之助。前回、十八世勘三郎が演じたゆかりの演目『俊寛』は、来年、八代目中村芝翫を襲名する橋之助が渾身の演技で。『盲目物語』は、「ずっとやりたかった」と勘九郎、「大阪城にぴったりの作品」と七之助。今回の中村座の目玉はこれだ。お市の方に仕える盲目の弥市と豊臣秀吉の対照的な人生を、勘九郎が早替りで演じ分ける。回り舞台まで使う演出、幕切れは三味線を弾く弥市と幻想の中で琴を合奏するお市。その背景にライトアップされた大阪城が…。「鳥肌の立つような演出をご覧いただきます。観た人は最後を言わないでください」と扇雀。だから、言いません。「『還暦になったらまた大阪に来るよ』と言っていた父は、約束を守りました」と語っていた勘九郎。まるで十八世勘三郎が乗り移ったかのような舞台だった。彼らを、芝居小屋の18か所から“隠れ勘三郎”の眼が見守る。「最後の1個が探し出せたら賞金もの」。空き時間に“眼”を探し、スマホで撮影。とことん楽しませてこそ中村座だ。ただし、全部見つけても「賞金は出ません(笑)」。『大坂の陣400年記念 大阪平成中村座』は11月26日(木)まで大阪城西の丸庭園内 特設劇場にて上演中。取材・文:高橋晴代
2015年11月16日イギリス人演出家デヴィッド・ルヴォーが近松門左衛門の「心中天網島」を現代劇として企画、演出。谷賢一がルヴォーの原案をもとに脚本を手掛ける。『ETERNAL CHIKAMATSU―近松門左衛門「心中天網島」より―』が、深津絵里と中村七之助のW主演で上演される。『ETERNAL CHIKAMATSU-近松門左衛門「心中天網島」より-』チケット情報物語は小春と治兵衛による心中を核として、現代と江戸時代をパラレルに行き来しつつ展開してゆく。今回、中島歩が近松の世界観を担う重要な役どころに挑む。「心中物というと遠い話の気がするけれど、恋愛と社会が折り合わないのは今もよくある話です。プロットを読んだら現代社会からの逆風がリアルで、身近に起こり得る話だなと感じました。僕の好きなノンフィクションに、『ドナウよ、静かに流れよ』という、ドナウ川に身を投げた日本人留学生男女の話があり、一途な恋心も心中物の魅力のひとつかと」中島は舞台『黒蜥蜴』で2013年俳優デビュー、NHKの朝ドラ『花子とアン』で注目を集めた、期待の新星である。「ルヴォーさんの演出は初めてで全く想像がつかない分、楽しみです。深津さんとも七之助さんとも初共演。おふたりが役にどのように取り組まれるのか、気になりますね。何より歌舞伎俳優さんは所作もきれいでしょうし、盗めるものはできる限り盗みたい」もし、中島が好きな女の子に「一緒に心中して」と言われたらどうするのか?「『嫌だ。ダサくない?もっと違う方法を考えよう』って言います。死ぬか生きるかでいったら、死ぬより生きて、きっと先に楽しいことがあると思う方を選択したい。僕、すごく楽天的で、嫌なことはすぐ忘れるタイプなんです」大学時代はモデルをしながら、立川藤志楼(高田文夫)、立川志らく、春風亭一之輔を輩出した名門落語サークルに所属していた変わり種でもある。「元々、役者になりたかったので、モデルをすれば芝居に出られるようになると素人考えで始めたのですが、そんなチャンスは皆無でしたね。それより落語のほうが楽しかった。亭号は大家主水(だいやもんど)。ダサいでしょう?先輩がつけるので、どうにもならないんですよ。古典落語が中心で、『千早振る』『火焔太鼓』をよくやりました。何が楽しいって、受けた時の気持ち良さ!あれを知ったら、抜けられません。落語は究極のひとり芝居。全部俺の力でやってるぜ!という快感は格別で、その幸せな原体験が今の舞台で役立っています。落語で学んだ江戸時代の感覚は『ETERNAL CHIKAMATSU』にも活かせるはず」公演は2016年2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演。チケットは東京・大阪共、12月12日(土)より一般発売開始。なお、一般発売に先がけ、先行抽選プレリザーブを実施。受付は11月13日(金)11:00から11月18日(水)11:00まで。取材・文:三浦真紀
2015年11月12日深津絵里、中村七之助が初共演かつダブル主演を勤める近松門左衛門の代表作『心中天網島』をベースにした舞台、『ETERNALCHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より-』が2016年春、大阪、東京で上演されることが決定した。『ETERNAL CHIKAMATSU-近松門左衛門「心中天網島」より-』チケット情報遊女小春、治兵衛、その妻おさんの三角関係を軸に、究極の愛を描いた作品。演出は、『日陰者に照る月』でウエストエンド演劇賞を受賞後、様々な作品でトニー賞を受賞・ノミネートし続けている奇才、デヴィッド・ルヴォーだ。「今回の作品は、中村勘三郎さんと歌舞伎に取り組む約束をし、近松の世界を取り上げる話をしていました。そのプロジェクトの延長線上にあるものです。勘三郎さんのアイディアとエネルギーに支えられ、深津絵里さんと中村七之助さんに託すことで、より明確化するときが訪れたのだと思っています」とルヴォー。ルヴォーのオリジナルアイデアに基づき、作家の谷 賢一が戯曲を書き下ろす。共演には他に、映画・ドラマで特別な存在感を放つ伊藤歩、実力・人気ともに日本でオンリーワンの演劇集団TEAM NACS の音尾琢真、柔剛自在な演技力とその個性が光る中嶋しゅう、さらにNHK 連続テレビ小説『花子とアン』で一躍有名となった中島歩など、錚々たる俳優陣が名を連ねる。今作品を前にして深津は、「七之助さんとご一緒できて大変光栄です。この不思議なご縁を大事にしたいです。また、お稽古から贅沢な時間となりそうで、今からとても楽しみです」とコメント。七之助も、「深津さんはすてきな方ですばらしい大先輩。僕は現代劇で女性の方とのお芝居も初めてなので、新人のつもりで取り組みたいです。そして、有言実行の人だった父(勘三郎)の夢が、このような形で実現し、この上なくうれしいです。きっと父も喜んでくれていると思います」と意気込みを語った。『ETERNALCHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より-』は、2016年2月29日(月)~3月6日(日)まで、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて、3月10日(木)~27日(日)まで、東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。チケットは12月12日(土)より一般発売開始。一般発売に先駆け、11月11日(水)11:00まで最速抽選「いち早プレリザーブ」を受付中。ぴあスペシャルシート(前方10列目まで)の受付も有。
2015年11月05日“ヘルシー”の代名詞「中村アン」今、最も人気を集めているモデルのひとりが「中村アン」だ。抜群のファッションセンスに、誰もが羨む健康的なパーフェクト・ボディで、今や“ヘルシー”の代名詞とも言われている。10月9日、エムオン・エンタテインメントは、「andGIRL 11月号」において、彼女の特集記事を組んだことを発表した。20代は仕事、30代は結婚!質問形式で彼女のライフスタイルに迫った特集では、1番の幸せを感じるのは、「今はお仕事してるとき」だと回答し、仕事が上手くいかないと「ごはんもお酒もおいしくない」と告白。仕事がプライベートに直結していることを明かした。また、将来の夢を尋ねたところ、20代は仕事重視で、30代に入ったら結婚して家庭を持ちたいとコメント。子供は2~3人、産休後はすぐに仕事に復帰、など具体的な未来予想図を描いており、夢の実現のために「今は自分ならではのフィールドを確立したい」と語った。「ユニクロ」と「GU」の鉄板コーデその他、同誌では、「ユニクロ」と「GU」の人気過熱ぶりをうけて、鉄板コーデを企画。1ヶ月間の着回しや、ユニジョの着こなしを特集している。「オールジャンルでランキング!」や、気になる今年のコート解説など見逃せない記事が盛りだくさん。オシャレでアクティブな女性は必見の一冊だ。(画像はプレスリリースより)【参考】・エムオン・エンタテインメント プレスリリース(@Press!)
2015年10月13日声優として活躍中の中村繪里子によるライブ「中村繪里子 Thank You LIVE ら❤ら★ら♪なかむランド~Love❤Laugh★Live♪~」を記念したオリジナルアルバムが、2015年10月17日にリリースされる。本作は、完全新規レコーディングの全6曲を収録。「通常盤」「CD付特別盤」「DVD付限定版」の3ラインナップとなっており、それぞれ写真の異なる全12ページのブックレットが同梱される。予約は、10月12日(火)の26:00からシーサイドSHOPにて受付開始。10月17日(土)より順次発送となる。【通常盤】価格:2,200円(税込)完全新規レコーディングの全6曲を収録。全12ページのブックレットは「CD付特別盤」「DVD付限定盤」とは異なる写真が使用されている。【CD付特別盤】価格:3,000円(税込)全6曲入りの楽曲CDに加え、「CD付特別盤」にはCDをもう1枚同梱。この「特別盤CD」には、全6曲の楽曲をFM番組風に紹介するトラックが収録されている。【DVD付限定盤】価格:3,000円(税込)全6曲入りの楽曲CDに加え、「DVD付限定盤」にはMV「ヒカリ咲く」と、そのメイキング映像「Making of ヒカリ咲く」を収録したDVDが同梱される。○アルバム「中村繪里子 Thank You LIVE ら❤ら★ら♪なかむランド~Love❤Laugh★Live♪~」収録楽曲ヒカリ咲くForever SmileI.W.B.DPrecious無敵の絆Someday Somewhere
2015年10月10日美術家の中村ケンゴによる展示会「中村ケンゴと中村ケンゴと」が、10月14日から20日まで、伊勢丹新宿店本館5階のアートギャラリーで開催される。中村ケンゴは大阪府生まれの美術家。マンションの間取り図や漫画の吹き出し、キャラクターのシルエットなどの現代社会を象徴するモチーフを使ってユニークな絵画を製作している。15年には掛川市二の丸美術館で個展を開催した。今回開催される「中村ケンゴと中村ケンゴと」では、顔文字をモチーフにした絵画シリーズ「心文一致」の新作が登場するほか、東京では未発表の作品も出展される予定。10月17日、18日(各日午後2時から午後2時30分まで)にはアーティストガイドツアーが実施される。【イベント情報】中村ケンゴと中村ケンゴと会場:伊勢丹新宿店本館5階=アートギャラリー会期:10月14日~20日営業時間:午前10時30分~午後8時まで(最終日は午後6時まで)
2015年10月08日十八代目中村勘三郎の発案で、2008年に始まった「赤坂大歌舞伎」が、2年半ぶりに帰って来た。第4回の今回は、糸操り人形が三番叟を踊り、糸を操る後見とのユーモラスなやりとりも見せる舞踊『操り三番叟』を中村勘九郎が、ひとりで七役を、早替りも交えて演じる『お染の七役』の主役を中村七之助が勤めている。「赤坂大歌舞伎」チケット情報勘九郎が『操り三番叟』を踊るのは、今回が2回目。前回は2009年、歌舞伎座で披露している。「もともと、うちの父に勧められた演目なんです」と、勘九郎は振り返る。「糸に操られての人形振りは膝にかなり負担がかかるのですが、後見の(中村)国生とのチームワークを大切にし、重力を感じさせないイメージで、お客様に楽しんでいただきたいですね」。ACTシアターの空間については「すでに『棒しばり』で松羽目物もやっています。あの時のことを考えても、大丈夫なんじゃないでしょうか!」と笑顔を見せた。一方、七之助が「プレッシャー」と語るのは『お染の七役』。2012年、平成中村座において初役で勤め、「父から珍しく褒められた」舞台だ。「ストーリーというよりも空間に支えられて今に残ったようなところがある芝居で、平成中村座にも助けられました。それを、ACTシアターでやるのは正直、かなり難しいですね」。とはいえ、意識的に演じ方を変えるつもりはないという。「玉三郎さんから教わった通り、早替りショーで終わらせずに演じる役々をきちんとやる。そこはぶれません。自分が持っているものを全て出したいと考えています」と表情を引き締めた。なお、『お染の七役』には勘九郎も出演。七之助が演じる七役のひとつ、土手のお六の亭主、鬼門の喜兵衛を演じる。兄弟の息の合った芝居が期待できそうだ。これまでとはひと味違うこの演目立てにこそ、第4回ならではの挑戦がある。「赤坂大歌舞伎はもともと、歌舞伎を観たことのないお客様にも歌舞伎に触れてもらい、好きになって帰ってもらう企画。うちの父はプロデュース能力がすごくて、ずっとそういう演目立てをしてきました。でも今回は、本当に挑戦。現代的な劇場には合わないかもしれない作品で、お客様を歌舞伎の魅力に引き込むのは僕の責任ですし、逆にこれを好きになってもらえたら、可能性が広がるはずです」(七之助)「ACTではずっと、演出を変えずに古典を上演しているのも特徴です。今回の挑戦を通して、また見えて来るものもあるだろうから、先へと繋げることができるのではないかと思います。いずれは、僕たちが出ずに、がんばっている若手での公演ができたらとも考えていますね。そうやって、先人から教わったものを、次に伝えていくのが、僕たちの使命。父が遺してくれた赤坂大歌舞伎も、絶やさずに続けて行きたいです」(勘九郎)『赤坂大歌舞伎』は9月25日(金)まで、東京・赤坂ACTシアターにて上演。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2015年09月18日赤と黒のシックな劇場に映える、中村屋ならではの「黒・白・柿」の定式幕。幕が開けば、歌舞伎特有の鮮麗な色彩が次々に溢れ出す――。そんな、赤坂大歌舞伎でしか見られない景色が、2年半ぶりに蘇る。9月7日の初日を前に、舞台稽古の一部が公開された。赤坂大歌舞伎 チケット情報1演目は舞踊『操り三番叟』。まず、面箱を持った千歳(坂東新悟)、続いて翁(坂東彌十郎)が登場する。恭しく礼をし、扇を手に厳かに舞う両者。静謐な雰囲気から、この作品が本来、神事に近いものであることが伝わってくる。続いて、切戸から後見(中村国生)が現れて一礼し、背景の書割が松羽目から二羽の鶴に。人形箱から三番叟(中村勘九郎)の人形を取り出し、丁寧に点検する後見。三番叟が動き出すと同時に、静謐な雰囲気から一転、囃子方の演奏が賑やかさを帯び始める。勘太郎時代に初役で勤めた2009年以来、約6年ぶりにこの役を踊る勘九郎は、キレ味鋭い動きに加え、伸びやかな浮遊感をも表現。巧みに身体をコントロールし、あたかも糸に操られているかのような人形振りを、躍動感たっぷりに表現してみせた。休憩を挿んで、中村七之助が七役を演じる『於染久松色読販 お染の七役』。序幕「柳島妙見の場」では、浄瑠璃塚が建つ柳島の妙見神社境内を舞台に、可愛らしい質屋「油屋」の娘お染、その恋仲の丁稚で実は侍の子である久松、久松の姉で威厳漂う奥女中竹川、久松の許嫁で可憐なお光、艶やかな芸者の小糸……と、七之助が演じる主要登場人物がずらり。恋と刀を巡るドラマが、ここから始まるのだ。山家屋清兵衛役の彌十郎、庵崎久作役の片岡亀蔵らの確かな演技も舞台を支える。このほか、勘九郎扮する鬼門の喜兵衛と七之助扮する土手のお六による序幕第三場「小梅莨屋」と二幕目第一場「油屋店先」での息の合った応酬、そして華やかな大詰と、目が離せそうにない。『操り三番叟』からの流れを感じさせるちょっとした趣向も。出演者が立ち位置や台詞・動きのタイミングを確認し相談し合うなど、稽古らしい風景も。その中で勘九郎、七之助がイニシアティブを取る姿に、改めて、座頭としてのふたりの成長・飛躍がうかがえた。多くの観客が楽しめるよう、本番に向けてギリギリまで調整が続いた“赤坂大歌舞伎”は、9月7日(月)から25日(金)まで、東京・赤坂ACTシアターにて上演。取材・文:高橋彩子
2015年09月11日