だるい、疲れる、食欲がない。気温が高くなると毎年のように襲ってくる夏バテの症状。そこで、鍼灸師(しんきゅうし)で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、その対策のためのツボを聞きました。■ラップの芯で足の甲を刺激する「夏バテでの症状を、脱力感、疲労感、食欲減退の3つのポイントで考えて、自分で指圧できるツボをご紹介します」と丸尾先生。早速、教えていただきました。1解渓(かいけい)―けだるさなど脱力感に解は「解く、ほどく」、渓は「谷」の意味合いがあり、解渓とは、足と下肢部(かしぶ)の境目、谷間を表します。ここを指圧すると全身へのリンパ、血液の流れが促され、だるさやむくみが改善されます。足先がじーんとするようなしびれやこわばりにも効きます。ツボの位置足首の前、中央のへこんだくぼみ。足首をすねに向かって曲げたときにできる横じわから1~2センチほど上。ツボの刺激法親指でひと押し5~10秒の指圧を繰り返します。また、すりこぎやラップの芯で、このツボから足の甲全体をゆっくり、1~2分ほど転がすのもお勧めです。2湧泉(ゆうせん)―だるい、疲れやすいなど脱力感、疲労感に生きるエネルギーがわくツボとして、万能の役割があると言われます。体力とスタミナをアップする効果があり、血流を整えるため、のぼせ、冷えにも効きます。また、バテ気味のときに起こる気の落ち込みや高ぶりといった、気分を整えるツボでもあります。ツボの位置足の裏にあり、足の指をすぼめたときにできる「人」という字の中央部分。ツボの刺激法両手のひらで足をかかえ、親指でぐいぐい、ひと押し10~30秒の指圧を繰り返します。デスクワーク中には、ゴルフボール、ラップの芯などを床に置き、足の裏で押さえながら回転させると、刺激をすることができます。3鳩尾(きゅうび)―食欲がないときに一般的には「みぞおち」と読みますが、ツボの名称では「きゅうび」です。ツボの場所が、鳩の尾の形に似ていることからこう呼ばれています。胸の最下部で胃の上部にあたり、疲れたときのイライラや憂うつ感、また、怒りや緊張などで食欲がなくなるとこのツボはかちかちに硬くなります。暑さがうっとうしいことによる精神的疲労、不眠、動悸(どうき)、息切れをも改善します。ツボの位置左右のろっ骨の下のへりを指でなぞり、中心で合わさった部分の1~2センチ下のへこんだ部分。ツボの刺激法両手の人さし指と中指を重ねるようにあて、息を細く吐きながら、みぞおちの上のほうに向けてひと押し10~30秒の指圧を繰り返します。硬いときは指圧をしながら、自分で徐々にほぐしていきます。このツボから胃にかけて手のひらでさするだけでも緊張がほぐれる、胃をいたわることになり、効果があります。また、鳩尾から、自分の親指の幅1本分(約1~2センチ)下、みぞおちのまん中あたりに、「巨闕(こけつ)」というツボがあります。食欲不振のほか、胃炎を起こしているとき、下痢、吐き気がある、胸やけがするときにも効きます。さらに、このツボは息切れ、動悸、胸痛にも対応します。両手の人さし指と中指を重ねるようにあて、息を吐きながらやや上のほうに向けて10~30秒の指圧を繰り返しましょう。ツボの効能に加え、暑さ対策には、血液やリンパ、気の巡りが大事なのだということが分かりました。バテてぐたっとなる前に、これらのツボを刺激して全身の活力をアップしましょう。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年08月05日鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生は、「腰痛はその原因を知ることが大事です。ここではいつも腰がだるくて痛い、姿勢によっては常に痛むという慢性腰痛を対象に、デスクワークや作業などの仕事中でも、誰もが簡単に自分でさっとケアできる方法とツボについてご紹介します」と話します。■たたく、回す、反る、指圧する「腰がだるい、重いと感じたら、すぐに、『腰のあたりをたたく』、『腰を回す』、『後ろに反る』、その後、『ツボを指圧する』と試みてください」と丸尾先生。以下は、丸尾先生談です。1.腰をトントンとたたく腰に疲れを感じても座ったり休んだりできないときには、まずは背筋を伸ばしてから、両手のこぶしで腰のあたりをトントンとたたきます。血流が促されるため、腰の重だるさを瞬間的に緩和することができます。デスクワーク中などは、椅子に座ったままで行います。歩き疲れ、運動時の疲労には、腰からおなか、脚全体をたたくと、すっとだるさがとれます。また、「強めに速くたたく」と、さらに効果があります。2.腰を回す腰の痛みは、座ったまま、立ち仕事などで、腰を動かさないことで起こることが多いのです。両方の腰骨の出っ張ったところに両手をあて、ゆっくりと回します。左右に各20~100回を1セットとして何度でも行ってください。3.腰を反る腰痛の原因の一つに「猫背」があり、骨盤などにもゆがみが起こります。「背中の左右の腎臓あたりにこぶしをあて、鼻から息を吸って、口から細く息を吐きながらゆっくりと後ろに反り、体の前面をストレッチして背中には力を入れる」という姿勢をとります。反るときに、首を急に後ろにぱたっと倒さないようにしましょう。また、腰に違和感以上の痛みが走る場合は、神経やほかの原因が考えられますので、反るのを中止してください。4.ツボを指圧する筋肉の疲労、姿勢に問題があって腰が痛む場合は特に、ツボを指圧するととても効果があります。次に紹介する特効ツボを、押しやすい指で、ひと押し10秒~1分を数回、繰り返し指圧しましょう。しこりがあるときは、ほぐすようにじっくりと押します。・膀胱兪(ぼうこうゆ)下半身の血流を促す働きがあるツボで、腰痛、坐骨神経痛、冷え性や膀胱炎、便秘の改善に効果があります。ここにカイロを貼ると、これらの症状にとても有効です。ツボの位置と指圧法:お尻の上、仙骨(せんこつ・腰の平らな部分の骨)の中央(背骨の延長線)にある上から2番目のくぼみから、左右の外側へ自分の親指の幅1本半ほど向かったところ。仙骨のくぼみは、ひざを抱えて背中を丸めて座りながら触ると見つけやすいでしょう。・殷門(いんもん)「殷」とは、「大きい、真ん中」、「門」は「邪気の出入り口」という意味があります。座骨神経痛の特効ツボで、慢性腰痛や背中のこわばり、足のしびれなどを訴える患者さんにはここにお灸(きゅう)、鍼(はり)をするとよく効くと言われます。こむら返りにも効果があります。ツボの位置と指圧法:太ももの後ろの中央あたり。いすに座って手を太ももの下に差し入れ、指圧しながら、しこりや違和感がある場所を探します。中指でひと押し10秒~1分を数回、繰り返します。・委中(いちゅう)腰からお尻、足にかけて痛みがあるときの特効ツボで、足のしびれ、ひざの痛みにも効きます。ここを押すと飛び上るほど痛む人もいます。その場合は優しく、指の腹でなでるように指圧しましょう。ツボの位置と指圧法:ひざの裏の関節の真ん中。中指でひと押し10秒~1分を数回、繰り返します。いすに座ってひざを両手で包み込み、中指で委中を押しながら足を前後に振るとより刺激が伝わります。(トップの写真参照)丸尾先生は、次のアドバイスを加えます。「とにかく腰を動かし、ツボ押しで血流増進効果を高めるようにしますまた、ツボには、お灸(きゅう)や鍼(はり)での刺激もお勧めします」どれも日常的に簡単にできる腰痛対策で、ありがたい情報です。痛みが出てからではなく、疲れそうと思ったらすぐに「腰をトントン」から始めて予防しておくのが得策です。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里筋線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年04月15日鼻水、涙、くしゃみ、頭痛、頭重……「花粉症の辛い諸症状には、ツボを刺激することで対処することができます」と鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生。■小鼻の脇から目頭、頭の前までを刺激「花粉症を発症すると、鼻や目の粘膜が荒れます。東洋医学では、鼻水が出る、鼻がつまるなどは、鼻を通る経絡(東洋医学で言う、気の通り道)が滞ると考えます。気の流れを意識しながら、鼻、目、頭を順番に指圧すると、症状緩和の効果はアップします」と丸尾先生は説明します。以下は、丸尾先生談です。1.迎香(げいこう)鼻水・鼻づまりの特効ツボです。「香りを迎える」という意味があり、鼻がつまってにおいを感じにくくなったときにここを押すとよい、という重要なツボです。ツボの位置:小鼻の両脇、根元のすぐ横のほうれい線(小鼻の両脇から、唇の両端に伸びるしわ)上にあるくぼみ。ツボの刺激法:両手の人さし指や中指で、同時に左右のツボを刺激します。やや強めに押すことを意識し、ひと押し10秒~1分を数回、繰り返します。2.晴明(せいめい)目が疲れたとき、無意識にここを押す人も多いでしょう。このツボは、目に現れるさまざまな症状を緩和する特効ツボです。涙目、目のかゆみ、目の疲れを感じたときにはすぐにここを指圧しましょう。また、鼻の付け根で目頭にあたることから、鼻水、鼻づまり、鼻血など、鼻の機能を調整するツボでもあります。ツボの位置:目頭の脇。ツボの刺激法:指で押さえて上下させると、鼻の奥に違和感を覚える場所、方向があります。そこをめがけてひと押し10秒~1分を数回、繰り返します。1の迎香とセットで覚えておき、迎香から晴明にかけて、鼻筋に沿って人さし指や中指の腹で50~80回ほど上下にマッサージをすると効果的です。3.印堂(いんどう)花粉症など慢性のアレルギー鼻炎、副鼻腔炎などによる、頭までツーンと響く鼻づまり、それにともなう頭痛、頭重感、息苦しさ、不快感などを緩和するツボです。また、精神的な不安があるときはここにおきゅうをすると効果があります。ツボの位置:左右のまゆの間の中央。ツボの刺激法:人さし指か中指で、ひと押し30秒~1分を数回、繰り返します。4.上星(じょうせい)口が渇いて鼻水が濃いときには、ここを長めに強めに刺激します。ツボの位置:前髪の生え際の中央から、真上に自分の親指の幅1本分を上がったところ。ツボの刺激法:人さし指や中指、また、つまようじやペン先の丸い部分で、鼻の奥をめがけてそこにズンと通じるように、強めにひと押し10秒~1分を数回、繰り返し指圧します。中指でトントンと2~3分ほどたたくのもよいでしょう。いずれも鼻を意識し、刺激が鼻に通じる感覚で押すようにします。最後に丸尾先生は、「花粉が飛び散る時期、症状が顕著になったときだけではなく、普段からこれらのツボを意識して指圧することが大事です。ツボ刺激は、予防に役立つのです」とアドバイスします。これらのツボをじっくりと押していくと、鼻の血流が促されたように感じて指圧の効果が分かります。ツボの位置も覚えやすく、オフィスでも実践しやすいので日常的に指圧するようにしたいと思います。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年03月03日