お帰りなさい!いってらっしゃい!イギリス留学から帰ってきたウエンツ瑛士さんと、イタリア留学を志すブルゾンちえみ改め藤原史織さん。新しいチャレンジに向かって、大きな決意を胸にネクストシーズンへと踏み出した二人が赤裸々トーク。人生の節目に心得ておきたいヒントがたくさん!ウエンツ瑛士×藤原史織の挑戦に学ぶ、ネクストシーズンへの踏み出し方。――二人が留学を決めた理由、その決断に隠れた本音とは?藤原さん(以下、史織):私、ウエンツさんが帰国後に出演された番組やインタビューはけっこうチェックしているんですよ。その中でも、「留学前は自分のやっていることに胸を張ることができなかった」という言葉が印象的で。「ウエンツさんでもそんなこと思うんだ」って、すごく意外でした。ウエンツさん(以下、瑛士):子どもの頃から長く芸能界にいることもあって、常に“他人の物差し”で生きている感覚が強かったんだと思う。だから自分に自信が持てなかったし、どんなに頑張っても満足感を得ることができなかったのかもしれない。それで30歳になる少し前に、留学を考え始めたら「行きたい!」という気持ちを止められなくなってしまって。史織:私もわりと直観タイプの人間なので、自分が「いいな」と思ったことに対して方向転換していくのには賛成ですよ。瑛士:でもブルゾンさん…じゃない(笑)、藤原さんが事務所を辞めたのはかなりの決断だったと思う。これは少し失礼な言い方かもしれないけど、自分の中で「逃げてる」という感覚はなかったの?史織:私の中では「芸能界でまだやり残したことがある」というよりも、「満足!」という気持ちのほうが強いんです。もちろん、全部を完璧にできたから卒業というわけではないし、「まだまだこれからなのに」と言ってくださる方もいました。でも私の中では芸人としての自分にすごく納得ができたので、「それならまだ経験していない新しいことに挑戦してみよう」って、素直に思えたんです。瑛士:たぶん「自分はやり切っていないんじゃないか」という思いがあると、なんとなく逃げてるような気持ちになって、なかなか「やめる」という選択肢がとれないんだろうね。でも僕は「逃げることの何が悪いの?」とも思う。理由なんて何だっていいし、チャレンジしたくなったら挑戦して、失敗したら「間違えた!」って戻ってくればいいだけの話で。史織:そういう意味でいうと私、イタリアで「これをしたい」という確固たる目標があるわけではないんです。事務所まで辞めたのに(笑)。はじめてローマを訪れた時に「ここに住みたい!」と直観的に選んだけれど、実際にどうなるかは住んでみないとわからないじゃないですか。だから今回のイタリア留学は、私にとっては上京するのに近い感覚というか。「とりあえず東京に住んで、普通に生活してみたい」というのと同じです。瑛士:それ、すごくわかるなぁ。史織:ウエンツさんはロンドンに1年半留学して、何がいちばん変わったと思いますか?瑛士:やっぱり、「自分を褒められるようになったこと」かな。向こうにいると、とにかくみんなが褒めてくれるんですよ。どんな小さなことでも「よくできたね!」って。それが毎日続くと、本当に「自分は頑張ってるんだ」っていう気持ちになって、どんどん自信につながっていくから。史織:わかります。私も今イタリア語を勉強していて、めちゃくちゃ楽しいです。1から10まで言えただけで、「ブラ~ボ~!!」って先生に褒めてもらえるし(笑)。瑛士:日本人って褒められるとつい「いや、自分なんてまだまだです…」なんて謙遜してしまうけど、素直に「ありがとう、うれしいです」と言えるだけで、お互いポジティブな気持ちになれるよね。だから僕も今はなるべく自分を褒めるようにしているし、周りの人のことも褒めてあげたい。史織:最強の自己肯定法ですね。瑛士:もちろん、変わってない部分もたくさんあると思う。でも自分で決断して行動した結果「変わらなかった」のと、何もせずに「変わらない」というのでは全然意味が違うから。史織:私、「10年日記」というのをつけているんです。毎日1ページに2行だけ日記を書いて、次の年の同じ日にまた2行書き足していく、という。去年の今頃はちょうど「事務所辞めたい」とか書いてて(笑)。「10年後、このいちばん下の行を書く時、私はどうなっているんだろう」って、ちょっとドキドキします。瑛士:「あー事務所戻りたい!」って書いてたりして(笑)。でも、その可能性もあるから面白いということだよね。結局、自分でした決断はそれが失敗であろうが成功であろうが、ものすごく満足できるものだと思う。史織:試行錯誤したことも私にとってはプラスの経験なので、自分が「こうしたい」と思ったことを実行して、その時の感情をこれからも大事にしていきたいです。瑛士:最終的には、楽しく死ねりゃいいんですよ(笑)。史織:確かに!死ぬ時に「あ~、あれしとけばよかったな…」って思うことは極力少なくしたいかも。瑛士:だからさっきも言ったけど、「帰りたい」と思ったら帰ってくればいい。それくらいラフに楽しんできてくれたらなと思います。史織:今は新型コロナの影響で出発が延期になっていますが、私が無事にイタリアに住むことができたら、ぜひ遊びに来てください!うえんつ・えいじ1985年10月8日生まれ。東京都出身。『火曜サプライズ』(日本テレビ系)にレギュラー出演。2018年10月から舞台演劇の勉強をするためロンドンに留学。ロングシャツ¥30,000半袖ニット¥22,000パンツ¥26,500(以上CULLNI/Sian PR TEL:03・6662・5525)グラスフォルダー¥14,000(JOHN MASON SMITH/HEMT PR TEL:03・6721・0882)スニーカー¥15,000(FECV/HEMT PR)靴下はスタイリスト私物ふじわら・しおり1990年8月3日生まれ。岡山県出身。お笑い芸人「ブルゾンちえみ」として2017年に大ブレイク。2020年4月からは本名の「藤原史織」名義で活動中。ドレス¥160,000(sakayori./エム TEL:03・3498・6633)タイツ¥1,690(CALZEDONIA/H3O ファッションビュロー TEL:03・6712・6180)ベルト¥28,000左腕のバングル¥18,000ピアス¥24,000(以上KLOSET/H3O ファッションビュロー)右手のセットリング¥43,600(SWAROVSKI/エム)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年6月10日号より。写真・五十嵐瑛仁(SIGNO)スタイリスト・丸本達彦(UNFORM/ウエンツさん)奥田ひろ子(ルプル/藤原さん)ヘア&メイク・輝・ナディア(Three PEACE/ウエンツさん)取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2020年06月03日編集部:学研キッズネット編集部勉強も服の好みも価値観も、幼い頃から母の言いなりになってきた史織。中学受験に失敗し、友だちとの人間関係も壊れてしまった彼女が、父の実家であり転勤先でもある佐渡について行くことを決めるところから『君だけのシネマ』は始まります。「佐渡に行きたい!」でも母はどんな反応をするだろう、心が大きく揺れ動く史織の姿を想像しながら、わたしは白黒ハッキリさせることが極めて苦手だった自分の子ども時代を思い出しました。「アンケートの選択肢になぜ『どっちでもいい』という答えがないのかな」といつも思っていたわたしのような子どもが、圧倒的な自信で迫ってくる母親にあれこれ口を挟まれていたらどうなっていただろうと思うと、史織のことをとても他人事とは思えません。新潟から佐渡へ親子といえども人間どうし。相手が誰であろうと「嫌なことは嫌」と言いたいものですが、史織の母には、そう一筋縄ではいきません。母は、がんばって勉強していい中学に入り、レベルの高い教育を受けることが子どもの「将来」のためだと信じています。友だちと地元の公立中学に行きたいという史織の主張をねじふせたうえ、最後の小学校生活を楽しみたいとどんなに訴えても、受験直前には小学校を休むことを強要します。「六先生を送る会も来なかったの、史織だけだったよ」「いくら受験でも学校来ないのって、さみしくない?言えばいいじゃん。学校行きたいって」仲のいい級友からの一言に怒りを爆発させ、さらに9年間がんばったかいもなく中学受験に失敗して地元の中学に進学することになった史織は学校に通えなくなっていきます。そんな史織のようすを見て、はじめて子どもと向き合うことにした父は佐渡への転勤を決めてきます。「佐渡に行けば……絶対、学校に行く」ふりしぼる思いで母を納得させた史織は父についていくことにするのですが、そこで目にしたのは、周囲が何と言おうと夢に向かって邁進する大好きな祖母「さっこちゃん」の姿でした。さっこちゃんの夢は、映画館のない佐渡にミニシアターをつくること祖父の亡きあと、二間の和室を改造してミニシアターをつくりたいというさっこちゃんは、精力的で楽しそうです。門の色を塗り替えたり、庭を手入れして流木を置いたり、カフェコーナーで出すコーヒーのブランドにこだわったり、自由な態勢で映画が観られるように座席を工夫したり。映画館の立ち上げ、運営、お客さんの呼び込み。映画館を軌道に乗せるにはやるべきことがいっぱいです。そんなさっこちゃんの片腕となって活躍するのが、史織と、佐渡の中学に通う映画好きな史織の親戚・桐谷瑛太、モノを創るのがすばらしく上手な、しかしクラスでは「変わり者」として敬遠されている藤原一花でした。自分の世界をしっかり持っている瑛太や一花に比べて、史織はいつでも、何を決めるにも自分の感性を否定してくる母の心の声に縛られ苦しめられます。史織ほどではないにしても、自分の直感を信じきれない感覚はだれにでも思い当たる節があるのではないでしょうか。だからこそ、それを受け止めるさっこちゃんの言葉に少なからず勇気づけられるのかもしれません。「史織のセンスは、史織だけのものだよ。もし九十九人が、そのいすを選ばなくても、史織がステキって思ったら、たった一人でもそれでいいと思うな」「私は逃げることって……選ぶことだと思うんだ。……自分が心地好くいられる場所を選ぶことが逃げることなら、逃げるって悪くない。そう思わん?」自分の選択は、自分の心に聞いて判断する。だれかと本音で関わることで、相手にも自分の個性を発見してもらう。「自分が(・)やりたいこと」や「自分が(・)好きなもの」を「自分が(・)選ぶ」という経験は少しずつ史織に生きる希望をもたらし、彼女を明るい方へと押し出していきます。やがて迎える母親との対峙――。愛されたいから苦しんでしまう中学生の頃の自分がこの物語を読んだなら、間違いなく史織に肩入れし、「あなたのため」と言いながら子どもに依存する母親に憤慨していたと思います。けれども今のわたしは物語を読みながら、「自分も母親として子どもを縛っていないだろうか」「子どもにとって母親とは、かくも絶対的な存在なんだ」ということを痛感しました。史織は母親に認められたい。認められたいだけでなく、心から喜んでほしい。だからこそ限界までがんばってしまうのだし、母の良しとするものが自分にとっても良いのだと思い込もうとするのでしょう。そのうちに自分の本心がわからなくなり、自分がうまくいかないのは母親の言う通りにしなかったからだ、つらくても母親の言う通りにするべきなのだ、というように母親に支配されていく、その過程が本当に恐ろしいと思いました。親子関係に問題がなくても、何のために生きているのだろう、自分は将来どんなふうに生きていけばよいのだろうと考える中学生は多いでしょう。この作品は、そんな迷える中学生に生きるヒントを与えることと思います。同時に、大人が読むことで、わが身の2種類の親子関係を振り返るきっかけにもなるのではないでしょうか。この物語には、『人生フルーツ』と『ニュー・シネマ・パラダイス』という2つの実在する映画作品が登場します。特に『ニュー・シネマ・パラダイス』は物語の軸ともいえる存在です。この映画を観てから『君だけのシネマ』を手に取るのもおすすめです。DATA『君だけのシネマ』(高田由紀子・作PHP研究所)『君だけのシネマ』(高田由紀子・作PHP研究所)学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年11月12日