意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「地方公務員の受験者数減少」です。地域活性や防災において重要な役所。働きやすい環境を。2022年度に行われた地方公務員の採用試験の競争率は5.2倍。過去30年間で最低の数字となり、14.9倍だった1999年度から約20年間で競争率は大幅に下がっています。これには教員は含まれず、事務や技術職の統計で、受験者数は前年度よりも2万人以上減りました。少子化や待遇への不満が要因といわれていますが、今は公務員に対しての風当たりが強いですし、業務が多岐にわたって逼迫しています。高齢者が増え、格差が広がり、外国ルーツの住民も増えることで多言語対応も必要になってきています。福祉において、役所はあらゆるニーズに応えなければいけません。また、災害時にはとても大切な役割を担います。総務省によると、2022年度中に免職、降任、休職などの分限処分を受けた職員数は3万5365人で、年々増え続けています。このうち、心身の故障が理由の職員は3万4520人。おそらくコロナ禍の影響もあったでしょうし、人手が足りず、人材育成も追いついていないのでしょう。一方で、活気のある地方自治体もあります。北海道の上士幌(かみしほろ)町では、全国最年少主査や最年少課長など、若手に権限を与え働き方改革をしたところ、周辺から「上士幌町役場で働きたい」と若い人材が集まるようになりました。島根県の海士(あま)町では「半官半X」という、半分役場で働き、半分は民間で地域に還元する働き方を導入しています。農業、漁業、福祉、教育、芸術など、地域のためになることなら何をしても構いません。ずっと役場の中だけにいては気づきにくい当事者意識を、業務時間内に外に出ることで体験、交流し、地域に役立てたいという発想です。職員にとっては、やりがいを感じやすくなるでしょうし、半官半Xのような取り組みは他の自治体も取り入れたらよいのではないかと思います。どの自治体なら活躍できるのか、透明性を高めて、外部の目が入ると内部改革が進み、働きやすい環境になるかもしれません。地方公務員の方々が活躍できることが地域の活性や防災にとって重要です。受験者数を増やすことより、職員の方がやりがいを持てる環境づくりをすることが先決でしょう。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年3月20日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年03月17日「2023年、岩手県内の人口は1万4000人余り減少しましたが、過去最大の減少幅です。これに歯止めをかけようと、県は人口減少対策の予算を前年度より上乗せするなど、対策強化に乗り出しています」(社会部記者)2月13日、岩手県は「人口問題対策会議」を開催。深刻な人口減少の問題に対する取り組みの方向性について議論を行った。会議には達増拓也県知事や県の幹部職員らが出席。少子化対策、県内就職率向上などについて説明が行われた。少子化対策としては、結婚支援をはじめ、妊娠・出産・子育て支援、また女性の雇用労働環境改善等に取り組んでいくという。岩手県が公表している資料では、「有配偶率の向上」のための施策として、「“いきいき岩手”結婚サポートセンター(i-サポ)」のマッチングシステムの機能充実、交際の発展に向けた交際成立カップルへのお食事券の配付、結婚支援コンシェルジュの配置などが挙げられている。「i-サポ」は、岩手県が提供する結婚サポートサービス。会員登録制で、1対1の出会いの機会を提供、パートナー探しをサポートする。新年度、このシステムを通じて成立したカップルには、「お食事券」(5000円程度)が提供されることになるという。この「マッチングシステムの機能充実」を通じて出会いの機会を拡充し、「お食事券の提供」によって交際の発展をはかろうという取り組みに関しては、ネット上での反応はさまざま。賛否それぞれの声が上がっているようだ。《ようやく「産んでない」んじゃなくて「結婚してない」ことに気付いたか》《確かに広報のインパクトはある》《若者向けに減税だけしとけばいいのに》《デート補助金は流石に笑ってしまった》《出産、子どもの医療費、高等教育費無料とかにすれば刺さりそうですけど、食事券ですか》達増知事はこの日、「人口減の要因分析は深まり、政策もそろってきた。しかし、人口減少対策は、結局は人の心を動かしていかないと効果が出ない」と語っている。岩手県の新たな施策は、人の心を動かし、人口減少を食い止める一手となるか――。
2024年02月15日法政大学を含む6大学・2短期大学で構成する千代田区内近接大学の高等教育連携強化コンソーシアム(千代田区キャンパスコンソ)は、シンポジウム「人口減少社会の中の地域と大学連携」を12月20日(水)に法政大学市ケ谷キャンパスで開催します。千代田区キャンパスコンソシンポジウム「人口減少社会の中の地域と大学連携」社会課題が多様化・複雑化し将来の予測が困難な時代において、持続的な発展を実現するために教育の果たす役割がますます大きくなっていると言われています。このシンポジウムでは、人口減少・少子高齢化が加速度的に進展するなかで、持続可能な社会を維持・発展させてゆくことができる地域と大学の連携のあり方とその可能性を考えます。【開催概要】■日時 : 2023年12月20日(水)17時30分~19時45分■場所 : 法政大学市ケ谷キャンパスボアソナード・タワー 26階 スカイホール■参加対象 : 千代田区在住・在学・在勤の方、受験生とその保護者の方、テーマに関心をお持ちの方、千代田区キャンパスコンソの学生・教職員■定員 : 100名(事前申込制先着順)■プログラム: (1)千代田区キャンパスコンソ紹介(2)基調講演(樋口高顕 千代田区長)(3)パネルディスカッション(6大学・2短期大学 学長等)(4)地域連携・大学連携の取り組みに参加した学生による活動報告申込フォーム : シンポジウム詳細: 【千代田区キャンパスコンソについて】千代田区キャンパスコンソは、千代田区内の徒歩圏にキャンパスが近接する6大学・2短期大学(大妻女子大学・大妻女子大学短期大学部、共立女子大学・共立女子短期大学、専修大学、東京家政学院大学、二松学舎大学、法政大学)で構成され、千代田区、地域産業界等とともに、近接地の立地等を生かした大学間連携と地域発展の推進を図ることを目的として、様々な連携事業を展開しています。千代田区キャンパスコンソウェブサイト: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年11月22日人口の減少に悩む地域は、子育て支援の見直しや、若者の移住をはかるなど、さまざまな手を打っています。交通の便を改善するのも、1つの手でしょう。伊東(@ito_44_3)さんは創作漫画で、新幹線を通す提案をされた県知事の様子を描きました。とある田舎の県知事 pic.twitter.com/8wIe0mkcjd — 伊東 (@ito_44_3) April 16, 2023 県外に人々が出て、より人口が減少することを恐れる県知事。「県外に出る運賃を高額にする」という斜め上のアイディアが出てくるほど、悩みは深いようです!漫画には、「別の方向で人口を増やしてくれ」というツッコミのほか、「B級のホラー映画にありそう」という感想も寄せられました。人々の意思を無視して、人口を増やすことはできません。何が必要なのかをしっかりとヒアリングして、街に反映していくことは、現実でも大切なことですね。[文・構成/grape編集部]
2023年04月17日恋愛において、愛が冷め始めるというのは避けられないことです。しかし、その兆候を見逃してしまうと、後々大きな問題を引き起こすこともあります。今回は、愛が冷め始めるときの危険信号をランキング形式でご紹介します。■第3位:コミュニケーションが減少する愛が冷め始めると、お互いのコミュニケーションが減少してしまうことがあります。会話が減り、会話自体がなくなってしまうこともあるでしょう。このような状況になると、お互いの気持ちがわからなくなり、関係が悪化してしまうこともあります。■第2位:デートの回数が減る愛が冷め始めると、デートの回数が減ってしまうことがあります。お互いのスケジュールを合わせようという気持ちがなくなったり、デートの提案がなくなったりすることが原因です。デートが減ると、ワクワクやドキドキを感じる機会がなくなり、関係が希薄になってしまうこともあります。■第1位は...第1位は、肌の触れ合いが減る。愛が冷め始めると、肌の触れ合いが減ってしまうことがあります。キスやハグ、手を繋ぐなど、肌の触れ合いが減ると、お互いの愛情が薄れてしまうこともあります。肌の触れ合いは、お互いの愛情を確かめ、深めるために大切な要素です。■まとめ以上が、愛が冷め始めるときの危険信号のランキングでした。愛が冷め始めたと感じたら、早めに対処することが大切です。どれだけ長く付き合っていても、お互いの気持ちを確認し、改善するための努力は怠らないようにしましょう。(Ianoiton/ライター)(ハウコレ編集部)
2023年04月05日大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区、社長:上原 茂](以下、当社)は、当社が開発を進めてまいりましたオルリスタット製剤の内臓脂肪減少薬「アライ」について、本日、要指導医薬品として「腹部が太めな方※の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」の効能・効果で、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたのでお知らせいたします。※腹囲(へその高さ):男性85cm以上、女性90cm以上承認内容の概要「アライ」は、脂肪吸収阻害作用をもつオルリスタットを有効成分とした内臓脂肪減少薬です。オルリスタットは消化管管腔内で脂肪分解酵素であるリパーゼの活性を阻害し、食事由来の脂質の吸収を抑制します(図1)。「アライ」の服用とあわせて食事・運動の改善(生活習慣の改善)を行うことで内臓脂肪が減少し、結果として腹囲の減少へと導くことが期待できます。[図1アライの薬理作用]オルリスタットは、120mgカプセルが医療用医薬品として1997年8月にアルゼンチンで初めて承認され、その後、欧州や米国を中心に100ヵ国以上で承認されています。さらに、医療用医薬品の半分の用量である60mgカプセルが、一般用医薬品として2007年2月に米国で初めて承認され、その後、欧州を中心に70ヵ国以上で承認されています。今回、当社が承認を受けたオルリスタット製剤の内臓脂肪減少薬「アライ」は、日本で医療用医薬品での発売を経ずにOTC医薬品として承認されるダイレクトOTCであり、要指導医薬品としての発売になります。今後、発売に向け準備を開始いたします。発売時期や製品概要等詳細につきましては、準備が整い次第、改めてお知らせいたします。PR_内臓脂肪減少薬「アライ」の製造販売承認取得.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年02月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「人口爆発」です。想定外の早さで世界は人口が急増。いまから対策を!2022年11月に世界の人口は80億人に達しました。現在、最も人口の多い国は約14億2600万人の中国ですが、今年、インドが中国を追い抜くと予測されています。1960年のインド人の平均寿命は41.42歳でしたが、’20年には69.89歳に。衛生環境が急速に改善し、医療技術の向上で乳幼児の死亡率も低下し、平均寿命が延びました。60年の間に平均寿命が28歳延びたというのはものすごい急成長ぶりです。’50年にはインドの人口は16億人を突破するといわれています。さらに、人口が急増しているのがアフリカです。現在、アフリカの総人口は約14億人で世界人口の18%を占めています。それが’50年には24億人を超え、先進国は人口減少に傾いていますから、世界の4人に1人がアフリカの人になると予測されています。世界は今、人口爆発の真っ只中にあり、食糧危機が迫っています。現に西アフリカでは干ばつや洪水などの気候変動で食糧生産ができなくなり、生産できる土地が奪われ、紛争地域が広がっています。今後20~30年の間にアフリカで10億人以上の人が急増、地球規模で人口が増えれば、当然抱えきれなくなるでしょう。国連によると、’50年までに人口が大幅に増える国はインド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、エジプト、フィリピン、タンザニアです。予測では’50年のナイジェリアの人口は3億7470万人で、アメリカの3億7500万人に並びます。現在の戦争の火種は、鉱物資源や民族的なアイデンティティに基づいた問題ですが、食糧を作れる土地の奪い合いが世界に広がれば大変なことになります。知恵を結集して、互いの繁栄のための持続可能な食糧確保、生産、共生のあり方を模索しないといけません。人口が急増すると、学校も不足し、学ぶための資材も足りなくなります。教育を受けられないと、困難を乗り越えるための知恵を生み出すことも難しく、奪い合いや暴力に発展しやすくなります。子どもや孫たちの世代が穏やかに暮らせるようになるために、今から対処しておかなければいけないことを知っておいてほしいと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~)が放送中。※『anan』2023年1月11日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年01月07日「今の人口減少や少子化は、日本にとって深刻な問題です。ずっと国に対して『ええ加減ちゃんとせなアカンで』という思いですから、明石市長としても真剣に取り組んできました。マスクさんのようにお金を持っていらっしゃる方は、言い換えると“未来を見る能力の高い人”。そんな方が危機感を表明しているタイミングで、国民規模で議論の提起をしたかったんです」こう語ったのは、明石市の泉房穂市長(58)だ。さかのぼること5月7日、電気自動車企業「テスラ」のCEOであるイーロン・マスク氏(50)が《当たり前のことだけど、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう。これは、世界にとって大きな損失になる》とTwitterに投稿。すると泉市長はツイートに反応し、こう綴った。《“世界の損失”うんぬんの前に、私たち自身の問題として、日本が消滅しないよう、日本の“政治の転換”を図りたい》子育てをサポートするために、こども医療費の無料化や第二子以降の保育料の完全無料化など、所得制限や自己負担なしの“5つの無料化”を行なっている明石市。泉市長は全国的にも類を見ない手腕で“こどもを核としたまちづくり”を進めているため、今回のツイートも大きな話題となった。そこで本誌は泉市長に取材をすることに。すると、冒頭のようにツイートの真意を明かした。さらに「国全体で、こども支援を本気でしなきゃダメなんです」と強く訴え、こう続ける。「マスクさんは『世界の損になる』といいますが、日本国民にとっては“自分たちの問題”ですからね。損得関係なく、未来に関わること。命に関わる問題とも言えますね」‘03年に国会議員となり、’11年4月の市長選で初当選となった泉市長。こども支援に一気に舵を切った結果、明石市の人口は9年連続で増加し、合計特殊出生率も’18年には1.70を記録。さらに8年で税収が32億円も増え、’10年度の市の貯金は70億円だったものの、’20年には112億円に。うち2億円は、コロナ禍にも関わらず上乗せとなった分だという。明石市の生活満足度は関西で1位に輝き、全国戻りたい街ランキングでも1位に。さらに調査の結果、9割もの市民が「住みやすい」と感じているとも判明している。■積極的な子育て支援に2つの理由現在、12年目の泉市長。なぜ、こども支援にフォーカスしてきたのだろうか。そう尋ねると、泉市長は「理由は2つある」と明かす。「一つ目は、“子供はすべからく支援対象であるから”です。子供が1人で社会を生き抜くことはできません。どうしたって支援が必要なんです。それに親が子育てをしっかりやるとは限りません。何らかの理由で途中から、子供を大事に思うことができなくなる人だっています。なので、子供の貧困や虐待死があるわけです。人間は悲しい生き物ですからね。『子供を社会のみんなで支えていく』というのが私の大きなテーマです」そして、二つ目の理由は「子供は日本の未来だから」と話す。「子供の数が増え、無事に育っていくというのは日本の未来にも繋がります。いま現役の人だって、必ず世代交代しますからね。老いた時に支えてくれるのは、今の子供たちですよ。それなのに日本は子供に冷たい。私は大学時代、教育哲学を専攻していました。『子供に冷たい社会に未来はない』と論文に書きましたが、悲しいことに、その冷たさは加速しているように感じます」日本全体の問題を解決するための道のりは長い。しかし、「市長ならひとまず、明石の街を変えることはできる」という。「市民の皆さんから預かった税金で施策を行うことで、街のみんなで子供を支援する。すると子供だけでなくて、街のみんなもハッピーになるんです。俗っぽい言い方になりますが、地域経済も回りますからね。今の子育て世帯は大体が共働きです。家を買えばローンを組むことになり、自ずと住み着いてくれます。すると、夫婦の両方で市民税が増えます。人気が高まると地価も上がる。建設業界の利益も上がって、法人市民税も上がる。『子供施策をやったら何かと得でっせ。国も自治体もちゃんとしなさいよ』と思います」泉市長は「明石市では子育てにかかる経済的な負担を軽減したことで、人口増加と出生率の上昇に繋がっています」といい、「国の少子高齢化対策は本気じゃない」と主張する。「子育てをしている層がどんどん貧しくなっているんですよ。収入が増えていないのに、負担ばかり増えているから。以前に比べると、子供に使える家庭内のお金が減っているということです。それでも、本気で変えようという意思が国から伝わってこないんですね。『そんなんで国民が子供なんて産めるかいな』って思いますよ」■“子供は親の持ち物”という考えが日本に及ぼす悪影響こども家庭庁は’23年4月に創設される見通し。子供をめぐる問題に対して、縦割り行政に阻まれることなく、一体的に取り組む組織とされている。虐待やいじめの対策、ヤングケアラー支援などを例に挙げているが、具体的な政策の内容や安定した財源を確保する手段は明らかになっていない。そんななか、こども家庭庁という名前も物議を醸している。もともとは“こども庁”という呼び方だったものの、岸田政権になってから自民党内の議論で「子どもの基盤は家庭」との声が相次いだため“家庭”の2文字を付け加えることになったのだ。野田聖子子ども政策担当大臣(61)は’21年12月の会見で、「そもそも名称は仮置きだった」と述べた。しかし「“子供のことは家庭で”という考えが広がるのでは。大変懸念しています」と泉市長は苦言を呈す。「日本は世界でも類を見ない価値観の国で、“子供は親の持ち物”という考えが非常に強い。親に責任があり、権限もある。言ってしまうと、“生かすも殺すも親の自由”なんです。その責任感が、結果的に親を苦しめる一つの原因にもなっています。しかも、“子供は親の持ち物”という考えがあるから、国は子供にお金を使おうとしない。大問題です」5月10日、岸田文雄首相(64)は政府の教育未来創造会議で「現在、世帯年収約380万円以下の学生を対象に実施されている授業料の減免、給付型奨学金支給といった制度を拡充する」と提言。続けて、「約380万円を超える中間所得層についても、子が3人以上の世帯と理工系や農学系の学生に対して支援する」と述べた。泉市長は「条件をやたらつけて、『大変貧しい人にしか手を貸しません。他は親がやってくださいよ』と。『それほどしたくないわけ?』って思いますよ。国民のことを考えていたら、これほど冷たい政治はしないと思います」といい、呆れ顔を見せる。「政府の施策の大半は『子供を産むな』というマイナスのメッセージに繋がっています。『産んだら自分で責任取れよ』という国で、産めるわけがありません。逆に『産んでくれてありがとう。みんなで応援するよ』と言うことが大事。メッセージ性のマイナスからプラスへの転換も課題です」さらに泉市長は、OECD(ヨーロッパ諸国を中心に日本やアメリカなど38ヵ国の先進国が加盟する国際的な経済協力開発機構)を例に挙げる。「OECD諸国の中で、日本は公共事業費が平均の倍。にも関わらず、子供予算は平均の半分です。私が大学生だった40年以上前から、ずっとそうなんです。公共事業で経済を回してきたけれど、もはや経済成長はしていない。なぜかというと、そういう時代ではないから。それなのに、ずっと同じままなんです。他の国と同じように公共事業を半分に抑えることがまず必要。それにプラスして、子供予算を2倍どころか3倍にしないとダメです。それほど日本は少子高齢化の面で、危機的な状況にあります」■「やるならちゃんとやりましょうよ」実は当初、こども庁に対して賛成の立場をとっていた泉市長。「先頭を切って応援団をやっていましたよ」という。「でも、途中から『えー!』ってなってきてね。今は子ども基本法案も子ども・子育て法案も両方反対。むしろ、“しない方がいい”とすら思っています。まず文科省含めて、組織改変をしないと意味がありません。しかもこども家庭庁は方針も不明確で、財源も不十分。ちゃんとお金を使ってやりましょう。そうでないと人は動きませんから。先々のことを思うと『このタイミング逃すともったいないよ』と言いたい。単に“家庭”って文字を入れても、何も変わりませんよ」泉市長が就任する前、明石市の子供に関連する予算は約100億円だった。ところが、泉市長は倍の200億円以上を注ぎ込むことに。こども部門の職員数も39人から135人に増やした。泉市長はこう明かす。「子供を守るためにはお金が必要です。こども家庭庁は“金は増やさん人も増やさん”ですから、うまく機能するわけないんですよ。これでは国民も冷めてしまいますよね」本誌の取材直前、日本記者クラブでこども家庭庁に関する講演を行ない、「縦割り行政が残ったままなら、むしろつくらない方がいい」と強く非難していた泉市長。「さっきも言ってきたんですけど、やるならちゃんとやりましょうよ。もったいないから」と訴える。「未就学児には4つの種類があります。保育所や幼稚園、こども園に行っているか。もしくは在宅しているか。そしてこれらの管轄は、みんなバラバラなんです。保育所と在宅は厚労省が担当で、幼稚園は文科省。こども園は内閣府と。3省庁に分かれたまま、ずっと解決されて来なかったんです。そして、こども家庭庁に文科省はほとんど関わっていません。省庁の縦割りによって現場も混乱しているのに、利権という“しがらみ”もあります。保育園は保育協会、幼稚園は幼稚園協会。それに属する国会議員もいる。既得権益が蔓延して、改善しようにもどうしたって動かないわけです。『いつまで、そんなことやってまんねん』っていうのが本音です」【第二章】泉房穂市長 出生率アップのキーワード語る「二つの不安を取り除くこと」 へ続く
2022年05月21日京都市内において不動産売買や宿泊施設、飲食施設の管理運営を行う株式会社レ・コネクション(京都市下京区、代表取締役:奥田 久雄)は、競技人口の減少が続いている少年野球を盛り上げるべく、2021年春より「レ・コネクション杯」を開催しております。京都府下全49チームが参加した大会の決勝戦が2021年10月10日に行われ、代表の奥田が表彰を行いました。詳細URL: 「第2回レ・コネクション杯」Aの部優勝「桃南クラブ」クラスごとの優勝チームの表彰を執り行いました■30年で約100チームが解散 減少が続く少年野球人口ある関係者にお話を伺ったところ、京都府下において活動する少年野球チームのうち、この30年あまりで約100にも及ぶチームが解散したといいます。競技人口減少の理由には、少子化ももちろんですが、スポーツの多様化に加えて地域で野球のできる環境が少なくなったことが考えられるとのことです。1学区のみでのチーム編成が難しく、複数の学区をまたいでの構成や、合併し連合チームとして活動することを選択する動きもあります。■かつてプレーした地元伏見の少年野球を盛り上げたい!冠大会「レ・コネクション杯」を開催このような状況を目の当たりにし、自身もOBである奥田の「少年野球を通して子どもの成長はもちろん、自身の生まれ育った地元の活性化に寄与したい」という想いから、伏見少年野球連盟が主催する大会の協賛という形で2021年春季より「レ・コネクション杯」が始まりました。2021年夏季大会として京都府下49チームの参加した「第2回レ・コネクション杯」は2021年10月10日決勝戦が行われ、熱戦を制した各年代の優勝チームに奥田が表彰いたしました。■子どものこころとからだの成長を応援 地域の活性化にも繋げていきたい小学校の2年生から6年生まで伏見区下の少年野球チームに所属していた奥田は、子どもたちに「少年野球を通じて、仲間と力を合わせて1つの目標に向かって努力する大切さを学んでほしい」と話します。当社は今後も大会の協賛を通じて、子どものこころとからだの健やかな成長を応援すると共に、地域の活性化にも寄与していきたいと考えております。■代表取締役 奥田 久雄 プロフィール代表取締役 奥田 久雄1983年 京都市伏見区生まれ(38歳)1990年 小学2年生より地元伏見の少年野球チームに所属2002年 京都外大西高等学校在学中、3年間野球部に所属2005年 父親の経営する飲食店を手伝う中で料理への興味を持ち、京都先斗町の料理屋に修行に出る。調理師免許取得その後3年間様々なアルバイトを経験2008年 大手寝具メーカーに人生初めて営業として就職訪問販売を一日200件以上こなし、営業の基礎を叩き込まれる2010年 不動産業界に転職。6年間かけて不動産のイロハを習得2016年 株式会社レ・コネクション設立■会社概要社名 : 株式会社レ・コネクション代表者 : 代表取締役 奥田 久雄所在地 : 京都市下京区東塩小路町684電話番号 : 0120-14-6200/075-352-8600事業内容 : 不動産流通業不動産総合コンサルティング新築建築・リフォーム宿泊施設の企画・販売・運営・飲食事業M&A事業ホームページ: 自社ブランド: 「紡 Machiya Inn」 「紡 Dining」 「紡 cafe」 京町家を再生し、宿泊施設として活用する■人を結び 街を紡ぐ当社は2016年4月の起業時より「人を結び 街を紡ぐ」をコンセプトに、不動産を通して京都の未来を紡ぐ担い手となるべく事業を展開しております。京都のブランド価値を高めるため、特に京町家の保存と再生・活用をする取り組みに注力しています。伝統的な構法を用いた家屋である「京町家」は築100年以上経つ建物が多く、京都の歴史情緒を感じさせてくれます。しかし、所有者の高齢化やそれに伴う相続問題、加えて独特の形状の間取りのため修繕が難しく、一日に約2軒のペースで「京町家」は取り壊されているのが現状です。また放置されたままの空き家は倒壊の恐れや街の景観を損なうことに繋がり、街としてのブランド価値を下げる要因になりかねません。当社は多くの文化的価値を持つ「京町家」を次の世代に受け継ぐべきものであると考え、外観や内観の趣や意匠をできるだけ残し、一日一組限定の一棟貸し宿泊施設として再生する取り組みを行っております。デザインや施工、運営管理、清掃まで一貫してトータルサポート出来ることが当社の強みであり、宿泊していただくゲストには京町家に泊まるという特別な体験を、そして地域社会には街の再生や活性化という形で貢献していきたいと考えています。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月26日この街から日本の風景を変えていく。発達障害や感覚過敏のある方が暮らしやすい川崎市の取り組み「障害のない社会をつくる」。発達ナビを運営する株式会社LITALICO メディア&ソリューションズが掲げるこの理念にも通じる、「誰もが自分らしく暮らし、自己実現を目指せる地域づくり」の実践を全国に先駆けて始めている街があります。それが、神奈川県川崎市の「かわさきパラムーブメント」です。今このプロジェクトが、近い将来の人口減少社会を見据え、一人ひとりが尊重され、能力を発揮することができる環境づくりのモデルケースとして、大きな注目を集めていることをご存知でしたか?Upload By 発達ナビ編集部2016年度から継続する「かわさきパラムーブメント」は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020大会」)の開催をきっかけとして、「人々の意識や社会環境のバリアを取り除き、誰もが社会参加できる環境を創り出す」ことを理念としています。「人それぞれの個性への理解」が「心とハードのバリアフリー」につながり、「社会環境によるバリアのない暮らし」が自己実現を可能にし、「社会への参加」が当たり前となり、そのことで新しい価値が創出されていくという循環を目指すプロジェクトです。Upload By 発達ナビ編集部川崎市は、パラリンピアンとの交流をきっかけに共生社会を実現するための先導的かつ先進的な取組を総合的に実施する「先導的共生社会ホストタウン」に認定され、「心のバリアフリー又はユニバーサルデザインの街づくりの取組の継続的・加速的な実施」と「東京大会の事後交流も含めた幅広い形での相手国・地域のパラリンピアンと市民との交流」に取り組んでいます。今回はその先導的・先進的な取り組みの事例について、川崎市 市民文化局 オリンピック・パラリンピック推進室の永田光太郎さんに、お話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部人々の意識や社会環境のバリアを取り除き、誰もが社会参加できる環境を創り出す――まずは「かわさきパラムーブメント」が始まった背景について教えてください。以前から少子高齢化、人口減少社会の到来を見据えた持続可能なまちづくりについて議論や検討を重ねてはいましたが、その計画をさらに大きく前に進めるきっかけになったのは東京2020大会の開催が決まったことでした。川崎市では、パラリンピックを未来につながるダイバーシティとインクルージョンの象徴と捉えています。パラリンピックに重点を置き、障害のある人が生き生きと暮らすうえでの障壁となっている、私たちの意識や社会環境のバリアを取り除くことや、新しい技術でこれらの課題に立ち向かうこと、これらを「ムーブメント」として展開していくことを目指し、かわさきパラムーブメントの取り組みがスタートしました。――その中でも川崎市では、身体障害がある方の他にも発達障害や感覚過敏がある方への取り組みに力を入れているそうですね。全国的にも身体障害がある方への取り組みはハード・ソフトの両面で増えてきている一方で、目に見えない困難を抱える人たちへの取り組みはまだ実践の例が少ないのが現状です。ですので、先導的に川崎市発で発達障害や感覚過敏がある方へのサポートを全国に広めていければと、そんな想いで取り組みを進めています。今回は、「かわさきパラムーブメント」を象徴する3つの事例について、紹介させていただきます。日本初!発達障害、感覚過敏のあるお子さんのための「サッカー&ユニバーサルツーリズム」――その取り組みのひとつが、「サッカー&ユニバーサルツーリズム」と伺いました。「かわさきパラムーブメント」の取り組みにより未来へ遺していくレガシーのひとつとして、「誰もがスポーツ・運動に親しんでいるまち」があります。このレガシーの形成に向けて、JTBやANA、富士通、川崎フロンターレ等と連携し、2019年7月27日の川崎フロンターレ対大分トリニータ戦において、日本で初めて発達障害のあるお子さんを対象とした「サッカー&ユニバーサルツーリズム」を実施し、当日の試合観戦と翌日のサッカー教室にご参加いただきました。――それはどのような課題に対しての取り組みだったのでしょうか。発達障害のあるお子さんの中にはその特性から感覚過敏の方も多く、人混みや喧噪などが外出等における障壁となっていて、外出や旅行をためらってしまうこともあるそうです。またスポーツ観戦に関しても、スタジアムは歓声や音響が大きく、照明の光も強いので、そもそも観戦を諦めてしまう親子も多いとも聞いています。そんな親子の力になりたいと思ったんです。Upload By 発達ナビ編集部――多くの企業と連携したプロジェクトとなりました。元々はJTB主催のシンポジウムで、発達障害をテーマとしたパネルディスカッションで生まれたご縁から始まりました。関わるスタッフに向けた勉強会や研修を実施していただいたり、川崎市自閉症協会の方にお話をいただいてケーススタディをしたり、発達障害というものを全員で学びながら進めていきました。――企業と連携したからこそ、できたことがあったと。それぞれの企業ができることは何かと考え、ひとつずつ形にすることで最後には大きな力となりました。当日は大分からも当事者のご家族に参加いただいたので、まずANAに飛行機やツアー中の移動をサポートしていただき、JTBには移動時に限らず運営に携わるスタッフに向けた心のバリアフリー研修を行っていただきました。また、富士通には当事者ではない方にも感覚過敏の特性とそれに対する配慮の仕方を学習できるVR動画を制作してもらったほか、サッカー観戦などの貴重な体験を簡単に日記にできる「気持ち日記」というアプリを提供してもらったりと、コンテンツ面で力を発揮していただきました。Upload By 発達ナビ編集部――お子さんにとって、スタジアムで直接サッカーを観戦するという、得難い体験になったのではと思います。そうですね。会場となった等々力陸上競技場にはセンサリールームを特設して、音も光も抑制された部屋で観戦できるようにしました。同時にカームダウンスペースとスヌーズレンも用意して、疲れた時に休憩できるようにもしたんです。また試合開始前には川崎市長からこの取り組みについての説明をしたり、川崎フロンターレの計らいでオーロラビジョンの選手名をひらがなで表記していただいたりしました。サポーターの方たちが歓迎の横断幕を用意してくれたのも印象的でした。――そして翌日にはサッカー教室も開催されました。当日は、前日の試合に出場してリカバリートレーニングをしていた選手も急遽参加してくれて、思う存分サッカーを楽しんでもらう体験をしていただきました。普段見られない一面が見られて良かった、ひとつの成功体験となりその後の学校生活の中でも積極的に動けるようになったと、ご家族にも喜んでいただけたことが嬉しかったですね。Upload By 発達ナビ編集部――今振り返ると、どのような意味のある取り組みとなったのでしょうか。発達障害の当事者以外の方も巻き込んで、みんなが考えるきっかけとなったことが大きかったなと考えています。実施後も、国際ユニヴァーサルデザイン協議会主催のIAUD国際デザイン賞2019UXデザイン部門での金賞や、公益社団法人日本プロサッカーリーグ主催の2020Jリーグシャレン!アウォーズでのJリーグチェアマン特別賞の受賞など、たくさんの反響をいただきました。現在も、他の自治体などから問い合わせをいただいており、今後はこの取り組みが全国的に広がっていくことが大切だなと思っています。Upload By 発達ナビ編集部日本初!商業施設で安心して買い物を楽しむための「クワイエットアワー」――他の取り組みとして、「クワイエットアワー」についても教えてください。「サッカー&ユニバーサルツーリズム」のサッカー教室の日に合わせて、会場近くの「イオンスタイル新百合ヶ丘」に朝9時から10時まで、日本で初めての試みとなる商業施設における「クワイエットアワー」を実施していただきました。買い物を楽しんでから、サッカー教室に参加しようという提案です。――まだ「クワイエットアワー」は日本で浸透していない中での取り組みとなりました。そうですね。例えば、川崎市のホスト国である英国では、すでに商業施設でも特定の曜日・時間帯に行われているもので、感覚過敏のある方も安心して買い物ができるよう、音や光を緩和していると聞いています。感覚過敏がある方にとって、店内の音や光や匂いなどによって、生活に必要な買い物が苦痛になってしまうことがあります。この取り組みをきっかけに川崎市内、将来的には全国で「クワイエットアワー」が浸透していってほしいと願っています。Upload By 発達ナビ編集部――具体的にはどのような取り組みだったのでしょうか。店内の照明の明るさを通常時より2~5割程度暖和したり、店内に流れるBGMに配慮したり、カームダウンスペースの配置などを行いました。検討にあたっては、医師のほか、音響の専門家、当事者団体など、多くの方に意見を伺いながら進めました。Upload By 発達ナビ編集部――日本初の商業施設における「クワイエットアワー」、やってみていかがでしたか?当事者の方のサポートになるということは前提として、やはり大切なのは当事者以外の方に知ってもらう、考えてもらうことだと思っています。その意味で、普段お買い物をされている方が「クワイエットアワー」を知り、「よい取り組みですね、応援します」と言ってもらえたことは収穫でした。同時に、「少し店内が暗くて見えにくい」との素直なお声もいただき、今後も理解を広げていくための取り組みを推進していきたいと考えています。――取り組みを川崎市全体に広げたいという想いもあるのではないでしょうか。そうですね、市内の他の商業施設などに展開をしていきたいと考えていて、現在各方面から情報を集めながら進めています。構えずに参加しやすいように、例えば照明やBGMを落とすだけでもサポートになるんですよという提案をしていきたいと考えています。そして実施事例が増えていくことで、発達障害や感覚過敏について知る機会が増え、自分も何かできないかと行動に移す、そんな風に広がっていって欲しいです。マイノリティの立場で世の中を考える、「バリアフルレストラン」――最後に、今年実施した「バリアフルレストラン」についても伺わせてください。「バリアフルレストラン」とは、車いすユーザーと二足歩行者が逆転した架空の世界を体験する、「チーム誰とも(主体:公益財団法人日本ケアフィット共育機構)」によるプログラムのことです。「令和2年度共生社会ホストタウンサミットin多摩川」に合わせて、目玉となる出展のひとつとして二子玉川ライズ ガレリアで実施しました。――障害の社会モデルの一環で、マイノリティの立場を体験するための企画ということですね。はい、今の社会の多くは無意識のうちにマジョリティ優先の考え方で成り立っています。その前提をひっくり返して、世界の中で車いすユーザーが多数だったときに、どういうレストランになるのかを具現化して当事者ではない方に体験していただきました。コロナ禍ですので人数制限などの対策を万全にしながらの実施となりましたが、体験された方から貴重な機会になったとのお声をいただいています。Upload By 発達ナビ編集部――発達ナビのメンバーも参加させていただきましたが、非常に貴重な体験となりました。ありがとうございます。川崎市長も体験をしたのですが、「すごい気づきをいくつも感じることができる非常に貴重な体験であり、このような機会をいろんなステークホルダーの方たちと連携しながらいくつもつくり出していきたい」とのコメントがありました。この取り組みをきっかけとして、身体障害のある方もそうですし、発達障害や感覚過敏がある方についても、当事者以外が自分事で考えたり体験したりしてもらうための取り組みを続けていきたいと思っています。Upload By 発達ナビ編集部――東京2020大会の見通しは不透明ですが、一旦は「かわさきパラムーブメント」の区切りを迎えることになります。もちろん東京2020大会はきっかけのひとつでしかないので、今後も培ってきた考え方を広げて、どのように推進していくかを議論しているところです。時代の流れと共に常に視点は更新しながら、川崎市としての軸はブラさずに、レガシーを形成するために一歩一歩着実に取り組んでいきます。――発達ナビの読者の皆さんにも、メッセージをお願いします。川崎市では、街の物理的なバリアフリーの実現はもちろん、「心のバリアフリー」についても浸透させていくことで、発達障害や感覚過敏のある方にとっても暮らしやすい街づくりを目指していきます。私たちの取り組みを知っていただき、ぜひ川崎にお越しいただきたいと思います。そして何より、川崎市が始めた「誰もが自分らしく暮らし、自己実現を目指せる地域づくり」の取り組みについて、ぜひご友人や暮らしている街の人たちにも伝えて広めていただきたいと思っています。この活動が川崎市だけではなくて全国に広がっていくことが、真に多様性を受け入れる社会の実現に繋がると考えているからです。真の共生社会の実現に向けて、ともに歩んでいきましょう。「かわさきパラムーブメント」についてご興味をお持ちいただき本当にありがとうございました。2024年に100周年を迎える川崎市、その取り組みをたくさんの方に知っていただきたいから「かわさきパラムーブメント」の考え方や取り組みには、発達障害や感覚過敏の当事者の方も、当事者でない方も、この社会で暮らす全員にとって多くの学びや発見があります。川崎市が踏み出した一歩が少しずつでも広がっていくことが、これからの社会には必要なはず。多様性を受け入れる街が、ひとつ、またひとつと増えていくことで、「障害のない社会」はきっと実現していきます。ぜひ皆さんにも、もっと取り組みについて知っていただき、近くの誰かに伝えていただけると幸いです。サッカー&ユニバーサルツーリズムの取り組みを動画で見る!
2021年02月26日6月7日、厚生労働省は平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況を公表しました。 出生数は過去最少を更新出生数は、918,397 人で、前年より 27,668 人減少しました。出生数が100万人を割るのは3年連続となりました。また、出生率(人口千対)も 7.4 と前年の 7.6 より低下し、合計特殊出生率(15 歳から 49 歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は 1.42で前年の 1.43 より低下しています。 母親の年齢と出生数を比較してみると、平成29年(2018)より出生数が上昇していたのは45歳以上の階級のみで、それ以下の年齢階級ではすべて出生数が減少していました。出生順位別の出生数を見ても、第1子から第3子以上、すべての出生順位において前年より出生数が減少していました。このことから、わが国の晩婚化や晩産化が進み、1人の女性が産む子どもの数も減少しているということがわかります。 そのほか、共働き世帯が増え、核家族化が進み、子どもを産み育てる環境が整っているとは言い難いというのが現状だと思います。女性が安心して子どもを産み育てられる環境作りが急務と言えるでしょう。 改元は出生数に影響する??過去にも昭和から平成、1999年から2000年、20世紀から21世紀へと時代が移り変わるときがありましたが、そのときの出生数はどうだったのでしょうか? 少し振り返ってみたいと思います。 ●昭和から平成1989年1月7日に当時の天皇陛下(昭和天皇)が崩御され、元号が昭和から平成になりました。昭和63年(1988)の出生数は1,314,006人、平成元年(1989)の出生数は1,246,802人に減少し、13万人を初めて割りました。 ●1999年から2000年西暦が1900年代から2000年代にかわるときはどうだったのでしょうか? 1999年の出生数は1,177,669人、2000年の出生数は1,190,547人で12,800人ほど増加しました。当時、2000年生まれの赤ちゃんは「ミレニアムベビー」と呼ばれていました。 ●20世紀から21世紀へ2001年は20世紀から21世紀になった年です。2001年の出生数は1,170,662人で、2000年より19,800人ほど減少しました。この年に生まれた赤ちゃんは、「新世紀ベビー」と呼ばれていたそうです。 平成から令和への改元は、これまでにないお祝いムードのなかでおこなわれました。令和元年初日には、令和初日に生まれた赤ちゃんや令和にちなんだ名前をもつ人の話題で盛り上がりましたね。ですが、第2次ベビーブームで1971~74年に生まれた世代が40代半ばとなり、今後も出産可能な女性の数が減少していくことから、大きな出生数の上昇は期待できないとの予測もあります。出生数をはじめ、令和元年の人口動態はどのようになるのでしょうか? 今後の推移も注視していきたいと思います。
2019年06月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新聞読者減少」です。進むウェブ移行。海外への発信を期待したい。毎年10月に日本新聞協会は新聞の発行部数を発表しています。2018年は約3990万部で、前年よりも約223万部減り、14年連続の減少となりました。電子版の契約者数を公表している大手新聞社は2社のみで、全体でどのくらいウェブに移行したのかは不明ですが、日経新聞電子版の有料会員数は昨年60万人を超えました。紙の新聞はコンパクトにまとまっていて、情報を端的に得るのには便利です。ただ、紙面が限られているため情報量は少なく、深く知りたい場合は電子版のほうが適しています。読者が減ることで新聞が衰退すると、ジャーナリズムの力が弱まるのではと懸念する声も。なぜなら紙と電子版では広告料金に大きな差があり、それが取材者の原稿料にも反映し、ウェブは紙の1/3~1/4とか。その結果、深く掘り下げた取材ができず、情報の質や多様性に影響を与えるのではというのです。そんななか、ニューヨーク・タイムズでは、数年前に購読料収入が広告収入を上回ったことがあります。デジタルプロパーを経営陣に入れ、大規模な経営改革をしたからです。電子版なら世界で読まれます。英語ということもありますが、ニューヨーク・タイムズもウォール・ストリート・ジャーナルもワシントン・ポストもローカルメディアにもかかわらず、世界中で読まれています。これは、記者が世界中の読者に向けて記事を書いているからです。日本の新聞をそのまま英訳しても、日本国内の読者を対象に取材・執筆しているため、海外の人は関心を示しません。新聞に限らず放送も含めて、日本のメディアはグローバル化が必要だと思います。ジャーナリズムとして生き残り、自分たちの言論で世界を変えたいのなら、海外と日本をシームレスにつなぐ、そんな目線をもった取材者の育成が急務なのではないでしょうか。多言語化対応も必須です。ロイター、AP、AFPなどの通信社やCNN、BBCなどの放送局は既に日本語でも発信しています。それらのニュースが日本に関係ないかというと、そんなことはありません。世界の政治や経済、最新科学の情報も、将来の私たちの生活に関わってくる大事な事柄なんです。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月25日高齢化や人口減少が進行することにより、我が国では今後様々な問題が発生すると予想されており、その中には「空き家の大量発生」や「廃墟マンションの出現」といったマンションに関わってきた者にとって目を背けたくなるものも含まれています。何か適切な解決策はないか、と「第2回団地マンションリノベーション総合展」で開催されたマンション管理についての講演会に先日参加し、思いがけない考え方に接することができました。■ 団地マンションリノベーション総合展とは?11月20日~22日に東京ビックサイトで開催された「Japan Home & Building Show2018」は住まいに関する建材・部材・設備・サービスが一堂に会する日本最大規模の専門展示会で、その中で「第2回団地マンションリノベーション総合展」も併せて開催されていました。イベントでは講演会も開催されており、大手のマンション管理会社である大和ライフネクストの丸山肇氏による「高経年マンションのための将来設計」は、マンションで今後予想される危機を避けるために何が必要かを説いたものでした。■ 2025年のマンションでは「2つの老い」が進行している!?2025年の日本は国民の3人に1人が65歳以上で5人に1人が75歳以上という「超・超高齢社会」となっており、それによって発生する諸問題が「2025年問題」と呼ばれています。マンションは総戸数が700万戸を突破しますが、それと同時に高経年化が進行し、全体の平均築年数がなんと28.3年なります。さらにマンションの内部では60歳以上の世帯主が全体の70%を超えると予想されており、2025年のマンションは建物と居住者の「2つの老い」という問題にさらされることになります。しかしここまでなら筆者もよく知っている事実です。■ 盲点だった「終の棲家を全うした後」スイマー / PIXTA(ピクスタ)管理が簡単でバリアフリー化が進んでいるマンションは高齢者の住まいとして適しており、子供が独立した夫婦が戸建てを売却してマンションに住み替えるという事例も珍しくなくなっています。以前なら戸建てに移る前のひとつのステップだったマンションですが、今では終の棲家として永住志向が高まっています。「終の棲家を全うした後」という視点は筆者にとっても盲点でした。講演では「マンションで人生を全うするたびに空き家が増える」と説き、「その後の姿」として1.子供たちも、多くは自分の家を所有済み、転売して新しい購入者が住む。2.転売せずに賃貸に出す。賃借人が付くなら、空き家にはならない。3.売るに売れず、貸すに貸せず。固定資産税や管理費等が持ち出しになる負の資産になる4.負の資産として、はなから相続を放棄。管理費等の請求先がない状態へという4通りのモデルを提示しています。1か2なら全く問題なし。管理会社のフロントを長くやった筆者は3の事例は知っていますが、4については考えたこともありませんでした。今回のセミナーで最も印象深かった項目です■ 「三つの方法」に飛びつくな?ABC / PIXTA(ピクスタ)2025年問題で最も避けなければならないのが管理不全によるマンションの廃墟化であることは誰もが認めています。老朽化したマンションの「建替え」や「更地清算」が現実問題としてかなり困難である以上、諸問題への対策としては「長寿命化」しかないというのが一般的な論調となっています。これについては筆者も同感でしたが、一方で「長寿命化」のために必要だとして提示された管理組合の活動内容に対しては「非現実的」と感じたのも事実です。この何とも悩ましい問題に対して講演では「3つの方法に飛びつくな」とし、現状を把握してマンション全体で学び、共有化していくことこそが大切であるとしています。「長寿命化」「建替え」「更地清算」という「3つの方法」 はどれもハードルが高く、最初からどれかひとつに決め打ちしてしまっては話がまとまらなくなってしまうからです。それぞれのマンションが持つ潜在力を全員が正確に把握し、アイデアを出し合えば「3つの方法」以外の解決策が見つかるかもしれず、たとえ最終的に「3つの方法」のどれかに頼らなければならなくなった場合でも、このような取り組み方をすれば今後につながります。■ 持続可能性につなげる方法を考え出す建物と居住者の「2つの老い」という問題に対して講演では「持続可能性」という考え方を提示し、若い世代が「住みたいと思える価値造り」がカギになると説いています。筆者もフロントとして数多くの管理組合を見てきましたが、売買などにより常に新しい人が入ってくるようなマンションでは管理組合も幅広い年齢層で構成されており、そのような組合は多様な問題に対応できるだけの強さと柔軟性を持っていたと思います。「マンションの廃墟化を防ぐには長寿命化しかない」と突っ走るより、こういった考え方の方が多くの人にとってはとっかかりやすいかもしれません。■ 自分がかかわるマンションだけは何とかしたいPIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)今後人口減少が加速化していく中、それでもマンションは建ち続けています。需要の減少が確実な状況で供給が変わらないのですから、いくら個々のマンションで「持続可能性」を追求しても社会全体の流れとして「空き家の大量発生」というのはもはやどうしようもないでしょう。こうした中で採りえる策としては「自分が関わるマンションだけは何とかする」ということしかないかもしれません。
2018年12月06日口臭、虫歯といったお口の悩みに免疫力の低下。それらはすべて“唾液”の減少が原因かも! 今まで意識してこなかった唾液の大切さを理解して。虫歯になりやすい、舌が白い、口臭が心配など、口の中に気になることがある人は、唾液に注目。「唾液は、口内の健康を保つうえで、最も重要な存在です。しかも、潤沢に分泌していることが不可欠で、口内のトラブルは、すべて唾液の量が少ないことが原因といっても過言ではないほど。逆に、唾液を増やせば、口の中はもとより、美容や健康にもいい影響があるんです」(歯科医・森昭先生)ところが、今は唾液の量が少ない人が多いそう。「原因の一つは、電子機器を長時間使う生活による姿勢の悪化。唾液は血液からできているので、姿勢が悪く、巡りが滞ると、唾液の量は減少します。また、やわらかいものばかりを好む食生活や、大きな声で話さないといった、口の筋肉を使わない習慣も、唾液を減らす要因に。唾液を増やすトレーニングは至極簡単。それで口の悩みがすべてクリアになるのだから、やらない手はありませんよ!」唾液を増やすとどんないいコトがあるの?【二重あご解消、リフトアップ!】口の中は、意外にもむくみやすいと知っていた?「唾液分泌には、口内の血行不良を改善する働きがあります。頬を噛んだり、それにより口内炎ができたりするのは、むくんでいる証拠。唾液がたっぷり分泌されれば、むくみが取れて、二重あごがすっきり。リフトアップも望めます。また、唾液の中には、成長ホルモンや若返りの因子も含まれていて、美容効果は絶大です」【免疫力がぐんとアップ!病気に負けないカラダに】唾液の中には、免疫を司る成分も含まれているという。「そのため唾液が増えると、当然、免疫力が上がって、風邪をひきにくくなりますし、ひいてもすぐ治ります。また、疲れにくくもなるので、仕事など日頃のパフォーマンスがアップ。病気のリスクに関しては、唾液の殺菌作用も予防に大きく貢献。インフルエンザのような強いウイルスも、唾液で減らすことができるのです」【虫歯・歯周病・口臭、一気に解決!】美容や健康だけではなく、口内自体のトラブルも、もちろん唾液で解消できる。「唾液には虫歯から歯を守る作用がありますし、唾液のぬめぬめした成分は、歯周ポケットに菌が入るのを防ぐので、歯周病が回避できます。また、女性が気になる口臭の最たる原因は、口が乾いてニオイの元となる菌が繁殖すること。唾液がきちんと出ていれば、その心配もまずないでしょう」【味覚が敏感になり、ごはんがおいしく感じられるように】“味音痴”と思っている人は、唾液の量が少ないからかも。「たとえば白米を20~30 回噛むと、甘く感じられるようになりますが、これは唾液の働きによるもの。唾液には、このように食べ物本来のおいしさを引き出す作用があります。また、口が乾いて舌が乾燥していると、味覚のセンサーが鈍感に。その意味でも口内を潤すことが、食事をおいしく感じるための秘訣です」唾液減ってませんか?お口のセルフチェック 滑舌が悪いと最近よく言われる 口内炎ができるようになった ほっぺや舌を噛むことが多くなった 口臭が気になる・指摘される 歯茎が腫れて、血が出る2つ以上当てはまったら唾液が減っているサイン!森 昭先生歯科医。竹屋町森歯科クリニック院長。唾液から口内の健康を提唱する第一人者。『体の不調は「唾液」を増やして解消する』(PHP研究所)など著書多数。※『anan』2018年11月21日号より。イラスト・前田はんきち取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2018年11月18日人口減少が社会問題となっている日本で、「なぜこんなにたくさんの住宅をつくり続けているの?」って思ったことはありませんか?今回は、人口が減っていく日本で「住宅がつくり続けられる理由」について解説したいと思います。■ 日本の住宅って、どの位つくられているの?HAKU / PIXTA(ピクスタ)総務省統計局によると日本の人口は2005年の1億2,808万人をピークに減り始めているにもかかわらず、今なお一戸建てやマンションの新築住宅の戸数はあまり減っているようにみえません。実際に、2017年の新設住宅着工戸数は964,641戸で、前年比では0.3%減となったものの、着工戸数が減少に転じたのは3年ぶりです。では、なぜ人口が減少に転じているのに、新築住宅着工戸数は減っていかないのでしょうか?■ 新築住宅着工が減らない理由とは?1. 都市の人口が増えているからABC / PIXTA(ピクスタ)日本全体では人口減少が始まっていますが、実は首都圏を筆頭とした大都市圏では人口が減っていません。それどころか、ほとんどの大都市では人口が増加しているのです。まず、東京都の人口を見てみましょう。東京都総務局統計部のデータによると、東京都では1980年代後半から1990年代後半まで若干の人口減少が見られたものの、その後は22年間にわたり人口の増加が続いています。過去10年間の人口推移をみると、2008年の人口が約1,285万人で2018年の人口が約1,375万人なので、多少のばらつきはあるものの東京都の人口は1年間で約9万人づつ増えている計算になります。この増加人口のほとんどが人口移動(他の国、道府県からの移住)によるものなので、移動してきた人口分の住宅が必要になります。まちゃー / PIXTA(ピクスタ)東京都都市整備局によれば、東京都では2017年度の新築住宅着工件数は約14万戸なので、日本の新設住宅着工戸数の約15%を占めます。この新設住宅着工戸数の中には、古い住宅を壊して建て替えるものも含まれますので、実際に増加する住宅数はこの数字よりも少なくなります。ABC / PIXTA(ピクスタ)もちろん、移動してきた人たちすべてが新築した住宅に住むわけではなく、既存の住宅に住む場合も多いでしょう。しかし、既存住宅は年月とともに老朽化し、「住居として使用出来なくなっていくもの」が増えていきますので、そのエリアに以前から居住している人たちが住み替えるための住宅も常に確保されなければならないのです。2.住宅供給を抑制する法律がないから現在、日本では住宅供給を直接的に抑制する法律はありません。欧米では「都市計画」で住宅供給数を行政がコントロールしている国や州、市などがありますが、住宅供給を規制していない日本では、住宅を「つくりたければつくれる」ので、民間が住宅供給を主導している以上、住宅を「つくれる場所があればつくる」という状況です。ABC / PIXTA(ピクスタ)この、「住宅供給のコントロール」をできないことが、日本の中古住宅市場が活性化しない理由だともいわれています。ただ、住宅の「総量規制」ともいうべき住宅供給の規制には賛否両論があります。■ それでも人口は減り続ける日本の大都市では東京以外でも人口が増え続けていますが、東京都と同様に人口が増えている大都市も、その人口増加は移動(移住)によるものなので、出生率が低く自然増加(出生と死亡の差)が見込めない日本では将来、大都市でも「必ず」人口は減り始めます。つまり、このまま住宅をつくり続けると、将来的に必ず住宅の供給過剰状態に陥ることは間違いありません。住宅が供給過剰になれば、地価の下落、空き家の激増による外部不経済(空き家が管理不全になることで近隣に迷惑をかけること)等、さまざまな問題を引き起こしてしまいます。chachacha / PIXTA今後、住宅供給をコントロールできるかは分かりませんし、そして、その是非も分かりません。ただ、人口減少時代を迎えた日本にとっては少なくとも「つくっては壊し、またつくる社会」から、「いいものをつくり、きちんと手入れをして長く使う社会」への転換は避けられないのかもしれません。【参考】※総務省統計局HP「人口推計」※東京都総務局HP「東京都の人口」
2018年11月04日先日、NHKの番組でタワーマンションを特集のテーマとして取り上げていました。タワーマンションが建つことにより人が集まり、街が元気になるというという内容で、全体としてはタワーマンションの魅力を紹介するという好意的な内容でした。そんな中でも指摘されていたのが「この先人口は減少していくのにタワーマンションは建ち続ける」というものでした。ニングル / PIXTA(ピクスタ)■ どう見ても「空気が読めていない」現象はなぜ起きる?日本は今後人口減少が続き、2026年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2048年には1億人を割って9,913万人となり、2060年には8,674万人になると推計されています(内閣府「将来推計人口でみる50年後の日本」より)。建築技術の進歩により最近のマンションは100年もつといわれていますが、逆に一度建ててしまうと取り壊しが難しいものです。Jpno / PIXTA(ピクスタ)タワーマンションに限らず普通のマンションも依然として建ち続けていますので、50年後には空室だらけのマンションが林立するという恐るべき光景が容易に想像できます。このような人口が減少していく中でもマンションが次々と建てられる、どう見ても「空気が読めていない」現象の背後には、ある単純明快な理由があります。■ 人口が減少するのにマンションが建て続けられる理由PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)人口減少が進む中でもマンションが建ち続ける最大の理由は、マンションデベロッパーは「それしかできない」からです。土地を買い、そこにマンションを建てて売るというのがマンション事業ですが、大半のマンションデベロッパーはこれ以外の方法で利益を上げるノウハウを持っていません。土地が買えなくなるとマンションは建てられませんので、分譲中の物件の販売活動の裏で常にマンション用地を探し続けています。この流れのどこかが止まれば倒れてしまう、いわば自転車を漕いでいるのと同じような状態です。そのためデベロッパーにおいては、「今期の販売戸数」と同じくらい「来期以降何戸分の用地を確保しているか」ということも重要視されます。■ マンションが建てられる場所はだんだんと減ってくるマンションは土地がなければ建てることができないものですが、限られた資源である土地の中でもマンションを建てることができる場所は限られています。一定以上の広さがあることはもちろんですが、事業として利益を出すにはそれなりの価格を付けられるだけの利便性のある場所でなければなりません。shimanto / PIXTA(ピクスタ)そのため狙い目としては企業の福利厚生施設(特に社宅)、閉鎖した工場、駐車場、ゴルフの練習場、といった施設になります。限られた場所が次々とマンションに変わっていくので、用地探しはだんだんと難しくなります。マンション事業というものはまず用地取得の点から行き詰まってくると筆者は考えていますが、「分かっちゃいるけどどうしようもない」というのが実際にマンション事業を営んでいる方の心境ではないでしょうか。■ 大手なら転換できるが中小だとそうはいかない規模が大きく体力もある大手の場合は取りうることができる選択肢も多くなります。百獣の王をブランド名に持つかつての最大手の場合、関東一円に置かれていた支店を全て本店に統合してしまうという驚くほどの規模の縮小を断行しています。shimanto / PIXTA(ピクスタ)これまで建てまくってきたマンションの管理面に重点を移すという事なら誰でも考えられることですが、それに加えて戸建にも進出するという、元社員にとっては信じられないことまでやっています。「供給戸数日本一連続〇〇年」をひたすら追求していた時代にはありえなかったことで、大阪でプロ野球チームを持っている会社の傘下に入ることにより随分と余裕ができたようです。しかしこんなことは中小規模のディベロッパーにできる芸当ではありません。■ 良いイメージを持たれる業界に変化してほしいYNS / PIXTA(ピクスタ)大所高所からの長期的視野というのは不動産業界に最も欠けていて、ただひたすら目の前のことばかり考えているというのがかつて業界にいた者としての印象です。私は長く業界にいたためマンションの良さは十分にわかっており、現在住んでもいます。それだけにマンションが世間に迷惑をかけるような存在にだけはなってはならないと考えています。不動産業界が持つ悪いイメージの根源にはこの「目先のことばかりひたすら追求する」ということがあるように思われ、この点を改めて少しでも良いイメージを持たれる業界に変化するよう願ってやみません。
2018年05月13日4月10日、タレントのGENKINGが自身のInstagramを更新。派手なセレブ投稿をやめたことからフォロワーが減少したと明かした。 GENKINGは「最近は全く遊び歩かなくなって、昔みたいなインスタ映えする派手な生活とは無縁な私」と、近況を報告。「大好きだったお酒も月に1回飲むか飲まないか だからインスタにUPするネタがこんなご飯位しかないの」と、自身が作った晩御飯と常備菜の写真を投稿した。 さらに「だからかな 金髪ギャルをやめて、派手な服装やネイルをやめて、派手な写真を載せなくなってから、フォロワーさんも減ってきたし」とフォロワーの減少を告白し、理由を分析した。 以前のような作りこんだ華やかなセレブ生活をやめ、ありのままの姿を投稿する現在について「今の生活が私は幸せです何かが無くなると、新しいものが入ってくるって本当だね?」と前向き発言。最後に「今までのインスタは派手な部分ばかりだったけど、落ちついた私を嫌いにならないで」とファンに呼びかけた。 これに対し、多くのファンから「今の方が品のある女性らしさがあって綺麗」「私は最近フォローさせていただきました。今のさなさん、ステキですよ」「げんきの時もさなちゃんの今も、私はファンです」「嫌いになんてなりませんむしろ大好き!」と応援メッセージが寄せられている。
2018年04月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「人口爆発」です。食糧不足も深刻化。昆虫食の時代に?7月11日は世界人口デー。30年前のこの日、世界人口が50億人を突破したことから、国際連合開発計画が記念日に定めました。現在の世界人口は約70億人。日本では少子高齢化による人口減少が問題になっていますが、世界人口は爆発的に増加中。1秒に2.47人。1日に20万人。年間7800万人増え続けています。これは、カナダ、オーストラリア、ギリシャ、ポルトガルの人口爆発人口合計とほぼ同じ。4か国分の人が毎年増えていると思うと、恐ろしい数です。このままいけば、2050年には98億人に達すると予測されています。人口増加による一番の問題は資源不足です。水不足はとくに深刻になっており、現時点で約7億4800万人の人が安全な飲み水を手にいれることができていないそうです。経済が発展すると工場などでも水を大量に使うため、2020年には世界は、いまより40%以上多くのきれいな水が必要になる計算に。日本では、北海道のきれいな水資源近くの山や森林が、密かに海外資本に買い占められているということも、実は問題視されているんです。世界の食糧不足も深刻です。国連の食糧農業機関(FAO)の調査によると、2050年までに世界で60%の食糧生産を増やさないと、人口に見合った供給ができなくなるとか。とはいえ、食糧を増やすには土地や水が必要。地球温暖化による世界的な異常気象で、農作物も不作がち。すると貴重になった小麦や大豆などが投資の対象になり、ますます値が上がり、貧しい国は買えなくなってしまうのです。2010年に北アフリカと中東で起きた「アラブの春」は、干ばつにより穀物が高騰して食糧が買えず、我慢の限界に至った若者たちが蜂起したという背景がありました。人口増加、食糧不足、飢餓や貧困が深刻化すると世界の治安はますます悪くなるでしょう。そこでFAOが推進しているのが昆虫食です。まずは家畜の飼料用に昆虫を養殖するというもの。養殖には作物ほど広大な土地はいらないし、温室効果ガスの発生も少なくて環境に優しい。将来性があると開発が進められているんです。日本でも、大学生がコオロギラーメンを開発して話題になりました。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年7月19日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年07月13日2050年。今から33年後には、世界人口は70億人から92億人まで増加すると言われている。(参照元:農林水産省)人口の増加に伴って、必然的に必要となってくるのが食料。33年間で現在より70%も増加させないと世界中の人のお腹を満たすことはできない。(参照元:Food and Agriculture Organization of the United Nations)しかし、世界中にはすでに飢饉で命を落としている人々が存在する。現段階では食料は足りているにも関わらずだ。実は、現在の世界人口の9人に1人が飢えに苦しんでいる。(参照元:WTP)なぜなら私たちは毎年「30億人分もの食料」を捨ててしまっているから。全人類の生死に関わる「フードウェイスト(食品廃棄)」という深刻な問題が世界中で起こっている現状に心を痛め、たった1人で立ち上がり国を変えた女性が北欧デンマークに存在する。食べ物を平気で捨てていたデンマーク人
2017年03月17日国際ナッツ・ドライフルーツ評議会はこのほど、プルーンの骨量減少防止効果について発表した。プルーンにはビタミンKをはじめ、食物繊維や銅などが多く含まれている。さらに、独特の組み合わせのポリフェノール類を含有し、その量が豊富なことも特筆される(※1)。プルーンの研究については、骨粗しょう症の動物モデルを用いて、骨密度の維持と骨量減少の防止の可能性など、多くの研究が進められてきた。実験結果によると、骨質量および骨梁(こつりょう / 海綿骨)の量、数および厚みが増加するとのこと。骨梁間隔が増大すると、骨粗しょう症のリスクにつながると言われているが、プルーン摂取により骨形成が促進し、骨梁間隔が狭まることもわかった。また、骨再吸収が抑制され、骨強度の増加がみられたという。骨を守る効果は、抗酸化経路もしくは抗炎症経路、およびその下流シグナル伝達メカニズムを介して発揮され、骨芽細胞の石灰化と破骨細胞の不活性化につながると考えられている(※2)。2016年に公表されたランダム化比較試験によると、プルーンの摂取が骨量が減少した閉経後の高齢女性において、全身の骨密度(BMD)の減少を抑える可能性があることがわかった。同試験では、骨量が減少した65~79歳の女性48名を3つのグループ(「プルーン50グラムを摂取するグループ」「プルーン100グラムを摂取するグループ」「対照群」)に割り当て、6カ月間の実験を実施。骨密度測定(DEXA)法によって、スタート時と6カ月後における全身、大腿骨近位部、腰椎の骨密度を測定した。加えて実験中に、いくつかの骨代謝マーカーも判定された。研究データより、プルーンを摂取したいずれのグループの女性も、対照群の女性と比較して、全身の骨密度の減少が抑制されたことが明らかになった(※3)。この効果は、部分的にはプルーンに骨再吸収を抑制する力があるためだと説明されている。そして同研究結果は、プルーンが特に閉経後の高齢女性の骨量減少を防ぐ役割を果たす可能性を示す、従来のデータを裏付けているとしている(※4、5)。※1 米国農務省国立栄養データベース標準リファレンス、リリース28、2015年9月発行、2016年5月一部修正※2 Shen CL, von Bergen V, Chyu MC「骨の保護に役立つフルーツと食用フィトケミカル」『Nutr Res』2012年32(12):897-910※3 Hooshmand, S, Kern, M, Metti, D他「骨量が減少した閉経後女性の骨密度と骨バイオマーカーに対する2サービングのプルーンの効果:ランダム化比較試験」『Osteoporosis International』2016年;1-9※4 Franklin M, Bu SY, Lerner MR, Lancaster EA他「男性の骨粗鬆症モデルにおける乾燥プラム摂取の骨量減少を抑える効果‐IGF-I とRANKに関連」『Bone』2006年;39(6):1331-42※5 Rendina E, Hembree KD, Davis MR他「閉経後の骨粗鬆症モデルにおける骨量減少の防止と骨代謝の改善に役立つ乾燥プラムの特性」『PloS one』2013年;8(3):e60569
2017年01月20日「左利き」と聞いて、どんな印象を受けますか?「なんだか不便そう」「頭がよさそう」など、右利きの人とは違う印象をお持ちかもしれません。民族を問わず、人口の10%も存在する左利き。しかしそんな左利きについては、多くのことが謎のままなのです。そこで今回は、左利きに関する驚くべき事実のいくつかをご紹介しましょう。■1:双子はふつうの人より左利きになりやすい理由はわかっていませんが、双子は片方が右利きで、もう片方が左利きになることが多いそうです。ですから、ふつうの人より左利きの確率が高いわけです。不思議ですね。■2:両親が左利きの場合26.1%の子どもが左利きに左利きが遺伝によるものかどうかは不明ですが、両親ともに左利きだと、左利きの子どもが生まれる確率はふつうより高くなります。しかし両親が二人とも右利きだった場合、左利きの子どもが生まれる確率は、たったの9.5%です。■3:ほとんどの動物は利き手が特に決まっていないほとんどの動物は約半数が右利きで、約半数が左利き。ですから人間や、人間に近いチンパンジーなどは例外的。人間の約90%とチンパンジーの70%は右利きなのですから。■4:オウムの47%は左足でエサを食べる鳥類ですが、オウムは左足を頻繁に使う傾向にあります。オーストラリアに住むオウム320羽を観察したところ、その47%は左足でエサをつかんで食べることがわかり、33%は右足を使う傾向にあり、残りのオウムはどちらともいえないそうです。オウムは人間の言葉を覚えることでもよく知られていますから、他の動物よりも人間に近いのでしょうか?■5:人間の利き手は子宮の中ですでに決まっている75人の胎児の指しゃぶりを調査した研究者たちによると、10年後には、右手の親指を指しゃぶりしていた胎児は100%が右利きに、左の親指を指しゃぶりしていた胎児の67%は左利きになったそうです。つまり、子宮のなかで人の利き手はほぼ決まっていたわけです。だとすれば、生まれてから止めさせても遅いかもしれません。■6:左利きと右利きの言語中枢には違いがある脳の左半球には、言語をつかさどる言語中枢があると考えられています。そこでは音を処理したり、発語を促したりします。これは右利きの人の95%に当てはまりますが、左利きの人の場合は当てはまるのは70%のみであることが、科学者たちの研究でわかりました。一方、左利きの30%の人たちの場合、「言語中枢をつかさどるのは脳の右半球か、どちらでもない」という結果が出たそうです。脳のなかでも違いが生まれる左利きは、実にミステリアスです。■7:メジャーリーグの選手は25%が左利きサウスポー(左利き)という言葉がスポーツでよく使われるのは、それだけ左利きの人たちのプレーが、右利きの人たちと異なるからでしょう。実際、左利きのバッターは、わずかながら右利きのバッターより有利だといわれています。それは、一塁ベースに一歩近くなるから。そう考えると、メジャーリーグの選手に左利きが多いのも理解できるかもしれません。■8:左利きの方がクリエイティブで天才的?世界的に有名なギタリストのジミ・ヘンドリックスは、多くのミュージシャンに影響を与えてきた天才です。彼は左利きなのに、右利き用のギターを逆さに持って左手で弾きました。このように、左利きの人は器用な人が多いのです。一般的に左利きの人の方が、クリエイティブで音楽的な才能があると考えられています。ただし、科学者たちはこの説を肯定はしていません。*ハサミがそうであるように、多くの製品は右利き用につくられています。左利き用のものや、利き手がどちらの人も使えるユニバーサルデザインの製品も増えていますが、すべての製品に左利き用を取り入れることは不可能。世の中が右利きの人を中心に回っていて、左利きの人は右利きの社会に合わせて生活を送っています。だからなおさら左利きの人は、器用になっていくのかもしれません。ただ、芸術的才能やスポーツの才能は、器用だというだけでは説明がつきません。左利きについては謎ばかり。利き手への研究はこれからも続くでしょうし、いつしか左利きの謎が解明される日もくるかもしれません。しかし利き手がどちらであっても、不便を感じることなく、のびのび暮らせる世の中にしていくことが大事でしょう。(文/スケルトンワークス) 【参考】※8 astounding facts about a great scientific mystery that affects only 10% of the population-BUSINESS INSIDER※左利き者の言語中枢について(第一報) : 文献的考察-CiNii
2016年03月30日先進国はアメリカをのぞいて、人口減少と少子化に苦しんでいます。少子化だけで考えても、平成25年の日本における合計特殊出生率は1.43、2012年のデータでは、ドイツは1.38、アメリカは1.88という状況です。国際経済評論家の長谷川慶太郎さんとジャーナリストの田原総一郎さんが、オリンピックイヤーの日本社会を予言した『2020年世界はこうなる』(SBクリエイティブ)では、出生率改善のために、子育てにまつわる優遇制度を手厚くするべきだと論じています。子育てしやすい社会のため、保育園数の確保は必要不可欠。そのためには保育士の給料の改善と、保育士および介護士にロボットを大量投入して財政資金で補助するという、驚きのアイデアも提案されています。さらに未婚者の増加について、「国から結婚お祝い金を出すべきだ」という話も飛び出しますが、それもまったくトンデモない話ではないかもしれません。ところで日本が効果的な少子化対策をできずにいる一方、50年かけて人口が増加した国があります。それはフランス。なぜフランスは自然の人口増加が達成できたのでしょうか。著者のひとり、長谷川慶太郎さんに伺いました。■フランスの2人目が産みたくなる制度とはそもそも、フランスが少子化対策に力を入れた理由とはなんだったのでしょうか。長谷川さんによると、「フランス政府は1930年代、ドイツとの対抗上、人口増加政策を導入しなければならないという政治判断に至り、育児奨励策を導入しました。戦後はその伝統を一段と発展させるべく一連の制度を確立する努力を重ねて今日に至っています。同国の出生率は2008年に2.01となった後、現在まで2を維持しています。政府が国民に対して手厚くきめの細かい家族手当を実施していることが、その理由です」とのこと。つまり、フランスは「ドイツに負けたくない」精神が出生率増加につながったのです。また、フランスは家族手当の制度が充実しており、その数は30種類以上あります。それも出生率増加に大きく関係しています。「第2子以降は所得制限なしで20歳になるまで家族手当を給付するほか、子どもが3歳になるまで育児休暇か、労働時間の短縮が認められ、第2子の育児休業手当は3歳まで受給されます。さらに、ベビーシッターを利用する際には補助金も支給されるのです。この政策は、2人目の子どもを産むかどうかで、強烈なインパクトをもたらしたのではないかと思います。日本でも同様な政策が講じられれば、出生率は上昇するのではないでしょうか」(長谷川さん)日本の児童手当の制度は1971年にスタートしましたが、フランスの家族手当は1932年にスタート。支給額や支給期間も、日本とはくらべものにならないぐらい充実しています。現在のフランスの高出生率を支えているのが、この家族手当なのです。家族手当は20歳未満の児童は第二子から支給され、123ユーロ、第三子は158ユーロ、そしてさらに11歳以上の子に対して34ユーロ、16歳以上の子に対して61ユーロの加算があります。しかも所得制限はなく、どのような収入の人にも無条件で支給されるのです。■育休期間短縮の代わりに給料5割アップ!日本では1人目を出産しても、保育園や職場復帰の問題で、2人目出産を躊躇する「2人目の壁」が存在するといわれています。一方、フランスでは育休制度も充実しており、子どもが3歳になるまで取得することが可能。親が終日休む育児休業と、労働時間を短縮する時短勤務のどちらかを選ぶことができます。また第三子については休業時間を1年に短縮するかわりに、賃金制度を5割増しにする制度が導入されました。手厚い給付と並んで、柔軟な休業制度がフランスの家族政策の特徴となっています。さらにフランスには、子どもを大切にする文化があります。チケット売り場やレジなどでどんなに長い行列ができていても、子連れは先頭にまわしてもらえるのです。公共交通機関では小さな子どもを連れている場合、席を譲ってもらえることがほとんど。手厚い政策だけでなく、国民の間に誰に強制されたわけでもない子供を優先してあげる文化が根づいているため、多くの人が「子どもを産んでみよう」「この国で育ててみよう」と思えるのです。人口を国力と考え、公立保育園も午前8時半から午後4時半まで、無料で預かってくれます。保育アシスタントも利用されており、3歳未満の子どもを自宅で預かってくれる制度があります。保育料は年間1万ユーロかかりますが、こちらも公的な補助を受けることができます。そして、文化面で見てみると、シングルマザーや事実婚の許容など、多様な家族のあり方が認められています。未婚の母も多く、いろいろな価値観が浸透しているのです。多様な家族のあり方を許容しているからこそ、子どもを産みたいと思った時にすぐ産める環境が整っている、といえるでしょう。*日本でも徐々にステップファミリーが増えてきており、多様な家族のあり方が浸透してきました。2020年には、日本もフランスのような家族のあり方が増えてくるかもしれません。長谷川さんは『2020年世界はこうなる』のなかで、日本以外の国についても今後どうなるのかを予測しています。世界の将来が気になるかたは、必読です。(文/渡邉ハム太郎)【取材協力】※長谷川慶太郎・・・国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。【参考】※長谷川慶太郎・田原総一郎(2015)『2020年世界はこうなる』SBクリエイティブ※人口動態統計-厚生労働省※平成26年版少子化社会対策白書-内閣府※パパの育児休暇69%がとれたら嬉しい-1 more baby応援団
2016年02月11日人口減が続く鳥取県にあって、唯一ゆるやかに人口増を続ける自治体がある。これまた県内唯一の村である日吉津村だ。面積は県で一番小さく、村内に鉄道の駅もなければ、中学校もない。そんな村の充実した子育て支援策がいま、ひそかな注目を集めている。○移住者を呼び込み定住させる子育て支援広さわずか4.16平方km、北を日本海、残りの三方を米子市に囲まれた日吉津村。近年では米子市など近隣市町への通勤が可能な立地に新築の集合住宅ができたことや、「イオンモール」があって買い物に便利なことなどを背景に若い世帯の転入が進み、2005年には3,121人だった人口が2014年の3,473人に増加している。これら若年層の定住をはかり、さらなる移住者を呼び込もうと、村は昨年度から「日吉津版ネウボラ」と銘打った子育て支援に力を入れている。ネウボラとはフィンランド語で「アドバイスする場所」を意味し、妊娠期から就学までのさまざまな相談にのり、切れ目ない支援を提供する場所として全国で広がりを見せている制度だ。○全ての親に支援プランを提供日吉津村では、福祉保健課内に相談支援のワンストップ拠点である子育て世代包括支援センターを設置。年間に生まれる子ども30~40人のすべての親を対象に保健師が聞き取り調査を行い、パートナーや就労の有無など親の状況に合わせて異なる支援プランを提供する。内容は検診の案内や両親学級、産前・産後のサポートなど。(1)妊娠~誕生まで、(2)誕生~就園まで、(3)就園~就学までの時期ごとにそれぞれ3~4つのプランを用意しているという。また、情報収集が苦手な人にも情報が漏れなくいきわたるように独自パンフレットの「子育て支援ナビ」を作成。子育て支援施設や医療機関のマップ、各種の経済的支援制度に加え、乳幼児検診や予防接種など時期や回数がバラバラで煩雑な情報が一目でわかるように凝縮して掲載した。○規模の小さい村だからこそ「悩みは何でも受けられる」日吉津村の場合、自治体の規模が小さいために、さまざまな相談事の窓口が一本化できているのも特徴だ。福祉保健課には保健師のほか社会福祉士ら専門職員も常駐しており、同課は「検診など健康に関することから各種の手当やファミリーサポートなどの支援、生活困窮に関する相談まで、子を持つ親の悩みは何でも受けられる」と話す。鳥取県も来年度から「鳥取版ネウボラ(仮称)」として県内の全自治体に相談窓口を整備する予定だ。さらに国の補助事業の要件に合わない市町村独自の子育て支援策に対しても、事業費の半額程度を補助することを検討している。県子育て応援課は、「核家族化や過疎化、地域の関わりが薄くなっている中で子育てに余裕をもって取り組める環境づくりが必要になっている。日吉津村のような行き届いた支援がもっと広がるといい」と話している。※写真と本文は関係ありません
2015年12月24日野村総合研究所(NRI)が12月2日に発表した推計によると、今後10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業は人工知能やロボットなどで代替が可能だという。同試算は、同社未来創発センターが英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士と共同で、「“2030年"から日本を考える、“今"から2030年の日本に備える。」をテーマに行っている研究活動の1つ。人口減少に伴い、労働力の減少が予測される日本において人工知能やロボットなどを利用して労働力を補完した場合の社会的影響に関する研究をしているという。同試算では、労働政策研究・研修機構が2012年に公表した「職務構造に関する研究」で分類している、日本国内の601の職業に関する定量分析データを用いて、オズボーン准教授がアメリカおよびイギリスを対象に実施した分析と同様の手法で行い、その結果をNRIがまとめたとのこと。これによると、日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボットなどで代替できるようになる可能性が高いと推計したという。一方、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業や、他者との協調、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能などでの代替は難しい傾向があるという。しかし、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業は、人工知能などで代替できる可能性が高い傾向が確認できたとしている。同社は今回発表した推計に関し、2016年1月12日に東京において、オズボーン准教授及び東京大学の松尾豊准教授を招聘し、研究報告講演会を開催する予定だ。
2015年12月03日厚生労働省は27日、「人口減少社会に関する意識調査」の結果を発表した。それによると、子育てにおいて負担・不安に思うこととして最も多かったのは「出費がかさむ」で46.2%を占めた。○「子どもの声が騒音」、35.1%が「同感できる」0歳~15歳の子どもが1人以上いる人に対して、子育てをしていて負担・不安に思うことがあるかと聞くと、「ある(どちらかといえば+とても)」と答えた人は72.4%に上った。具体的な負担・不安の内容は、「子育ての出費がかさむ」が46.2%で最も多く、以下、「将来予想される子どもにかかる経済的負担」が40.8%、「子どもが病気のとき」が33.3%と続いた。同省は「子育てにおける経済的負担は長年の課題であり、政府としては若者の雇用の安定化に向けて取り組んでいく」と話している。全員を対象に、若者世代が出産・子育てにより前向きになるために必要と思うことを尋ねたところ、「とても必要、大事」の割合が最も高かったのは「安定した雇用と収入」で72.4%。次いで「安心して保育サービスが利用できること」が47.4%となった。住宅地に立地する保育所を巡って「子どもの声が騒音」であるという声があり、近隣住民からの苦情や訴訟に発展するケースが出ていることについて質問すると、35.1%が「同感できる(ある程度+とても)」と回答した。同省は「家庭や地域社会に子育てへの理解を求めていくことが重要」と話している。調査時期は2015年3月、有効回答数は15歳~79歳の個人3,000人。
2015年10月27日『絶対こうなる!日本経済ここが正念場!』(田原総一朗責任編集、アスコム)は、ジャーナリストの田原総一朗氏が、経済問題に関する巨頭である榊原英資、竹中平蔵両氏とともに日本経済の未来を先読みした書籍。きょうはそのなかから、誰もが気になる「人口減少」を取り上げた部分をご紹介したいと思います。■人口減少は40年前からわかっていたこの問題についてはまず竹中氏が、「人口減少は止められない、と私は思います」と断言しています。日本の合計特殊出生率(ひとりの女性が一生の間に産む子どもの平均数)は、団塊ジュニア世代の子どもが生まれた1972~73年は2.14と高かったのだそうです。しかしそれが、74年の2.05を最後に、ずっと2を下回り続けているのだとか。つまり、現在のような状況になることは40年前からわかっていたのだというのです。そして「なんで止めなかった?」という田原氏の質問に対し、竹中氏は「止めるという意識が、そもそもなかった」と答えています。日本は豊かになればなるほど、「もっと豊かになりたい」と考え、子どもの数を減らしてきました。その証拠に日本でいちばん所得の高い東京で出生率が低く、いちばん所得の低い沖縄で出生率が高い。これは自然にそうなっているのではなく、「豊かになりたい」「よりよい生活をしたい」という欲求がそうさせているのだというのこと。だから竹中氏は、この流れは並大抵のことでは止められないと主張しています。■全国523箇所で人口が1万人未満そして話は、地方の問題にまで及びます。ここで田原氏が持ち出したのは、岩手県知事や総務大臣をやった増田寛也さんが、2014年5月に日本創生会議で出したレポートの話題。子どもを産む人の95%を占める20~39歳女性の人口を、出生率や社会的移動を考えて計算したところ、いまから25年後の2040年に、ほぼ半数の市区町村で半減する。推計対象の全国約1,800市町村のうち、523箇所で人口が1万人未満となってしまうのだそうです。■地方創生を自分たちでどうするかさらに竹中氏は、日本の地方創生を考えるとき、日本は他の国と根本的に違うところがあるといいます。それは、地方自らが自分の首を絞めているという問題。たとえば、農業がダメになったのは農協がダメだから。シャッター通りができたのは、立ち退かず居座っている人たちがいるから。地方が非常に多くの規制を、自らに課しているというわけです。だから地方創生の中身も、「自分たちでどうするか」をちゃんと考えなければ、実効性のあるものにならないというわけです。*対談形式になっているため、とても読みやすいところが魅力。「知りたいけれどなかなか聞けない」経済についての疑問を、解消できるかもしれません。(文/書評家・印南敦史)【参考】※田原総一朗(2015)『絶対こうなる!日本経済ここが正念場!』アスコム
2015年10月05日人口増加が顕著になってきた現代、世界はますます混雑しそうです。7月に出された国連の新しい統計によれば、人口は73億人から84億人に増加しました。さらに2050年までに97億人、2100年には112億人に到達すると推定されています。今回は『BBC』の記事を参考に、人口増加に関する諸問題についてまとめました。■都市部への人口流入は止まらない!郊外から東京への道を2~3時間も運転すれば、日常的に大渋滞が起こっていることがわかるでしょう。しかし都市部は、移動が少し困難になったくらいで人口が減ることはありません。わざわざ不便な場所へ移住する人も、ほんの一部です。とはいえ人口の少ないところ、たとえばモンゴルのゴビ砂漠やサハラ砂漠、南極大陸で生活している人がいるのも事実です。人口が増え、住むところがなくなったら、郊外に行ってどんどん土地活用をすればいいと単純に考えてしまいがちですよね。ですが実際には、さらに都市部に人が集まるだけ。事実、人口研究の専門家ジョエル・コーエン氏は、人口増加は都市部で起きていると断言します。地域を都市部と農村部に分けて考えたとき、たしかに農村部にも働き手が必要なことは事実です。しかし兼業農家の増加を考えても、技術の進歩と効率化によって昔よりもより少ない手間で農業は可能。仕事の面から地域性を考慮してみても、都市部の人口が増えることは必至です。都市部人口の推移としては、1930年は世界の30%、現在は55%ですが、2050年までに3分の2になるとコーエン氏は発言しています。ちなみに、世界の人口のおよそ半分は、50万~300万人が居住する小都市に住んでいます。そして残りの人々は、100万人から1,000万以上の大都市に居住しています。後者はほとんどが新興国や途上国、具体的には中国やインド、ナイジェリアなどの都市です。自然に人口増加した都市部とはまた異なり、ニューヨークや中国の珠江デルタのように都市スプロール現象が見られた場所もあります。都市や地方は、人口が増加するほどに地理的にも拡大していく傾向があるのです。■人口密度の高い地域は住みづらい?高い人口密度の地域でも人は生きられます。国連人口局長のジョン・ウィルモス氏も発言していますが、マンハッタンのような人口密度の高い地域でも快適に暮らすことは可能なのです。高物価でもそれに比例する高収入、高学歴な教育を受けるだけの経済力があれば生活でき、暮らしの質は高くなるでしょう。しかし地方で育ったからといって、都市で育った人々より劣るわけではありません。2100年には、アフリカだけで10億人以上人口が急増するという推定が出ています。そんな発展途上のアフリカでもっとも整備すべきなのは公衆衛生の部分。システムや資金の提供だけではなく、それを継続してコントロールする人材や機関が必要なのです。アフリカにできる都市は、このままではスラム街になってしまうでしょう。同じくアジアも発展目ざましいものがありますが、都市部自体に人口流入の吸収力がありません。たとえばラゴス、ダッカ、ムンバイのような都市は、発展はしていますが物価は高く、生活は苦しく、エコに気を配るほどの余裕はないのです。*これからの私たちは、地球とともに生きることをこれまで以上に意識するべきです。先進国や発展途上の都市部が今後どうなっていくかは、私たちの地球に対する態度で変化するでしょう。気候変動が都市部に影響を及ぼすことは想像に難くありません。気候の変化で、その時々で快適な都市が変わることもあり得ます。そして一極集中型の都市は特に、天災時に大打撃を受けます。なにかが起きたときに国や地球全体でどう対処すべきか、事前に答えを用意しておく必要があります。これまでの私たちは、地球上のたくさんの資源を使い切りはじめています。都市部への流入数の限界、地球環境への影響を考えても、世界人口はいつか増加から横ばいに転じるでしょう。減少すらはじめるかもしれません。次の10年で、人口減少の世界に生きることになる可能性もあります。いまこそ地球と向き合い、人や地球と共生することが重要なのではないでしょうか。(文/スケルトンワークス)【参考】※Is the world running out of space?-BBC
2015年09月15日○日本の人口はどうなる?日本の人口減少が止まりません。2050年には1億人を割り込み、2060年には現在より4,000万人減少して8600万人になると予想されています。日本は人口が減少するなか、移民を受入れない限り日本経済の規模も縮小し、世界経済における日本経済の重要性が低下すると問題視されています。○人口と経済成長の関係国の経済成長にとって人口は重要です。1つ目の理由は労働力です。労働力が多ければ、それだけたくさんの人が働き、収入を得ることができます。2つ目の理由は消費の拡大です。収入を得る人が増えるとお金を使って消費をする人も増え、経済活動が活発になります。つまり、人口が増加すれば経済全体の活性化と成長にもつながるのです。新興国が高い成長性を期待されるのも、今後人口が増加すると見込まれるからです。○人口で見る今後魅力的な国は?では、人口で見た場合、今後成長が期待できる国はどこでしょうか?人口が今後も増加していく点から考えると、新興国は魅力的です。新興国の中でも特にアフリカやアジアの国々は人口規模、伸び率ともに期待できます。現在アフリカの人口は11億人ですが、2040年には20億人になると見込まれます。こうした背景もあり、アフリカ市場は今後の成長が期待できる市場と考えられます。また、現在人口が43億人のアジアも2040年には50億人を超えると見込まれており、今後の成長が期待できる市場となっています。経済成長を考えるうえで人口はとても重要なキーワードです。人口を見ればその国の成長性も見えてきます。これから人口が増加すると見込まれる新興国と各国の経済成長に注目です。主要地域別の人口推移(年次、期間:2015年~2100年)●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。
2015年08月25日世界各国で少子化が問題になっていますが、それでも世界規模では人口は増え続けています。いま、世界の人口はおよそ73億人。しかし『The Guardian』によると、2050年には97億人に達するという予測が国連で発表されたそうです。いったい、世界でなにが起こっているのでしょうか。■世界の人口増加率は1970年代に低下10年前の人口増加率は1年に1.24%でしたが、現在は1.18%に落ちています。それでも、1年に8,300万人も人口が増えている計算です。世界の人口増加率は1960年代にピークを迎え、1970年代から下がり始めました。国連の調査によると、増加率が緩やかになった原因は、世界的な出生率の低下にあるとか。出生率とは、女性が生涯で産む子どもの人数の平均値。世界でいちばん出生率が高いアフリカでも、その人数は減っていたそうです。しかし、それでもすでに人口が多い国では、人口は増え続けています。インド、ナイジェリア、パキスタン、など9つの国の人口増加率は、2050年までに世界の半分の人口増加率をカバーするだろうと国連は予測しています。■人口増加は先進国の少子化より深刻世界の人口は、2030年までに84~86億人、2050年までに94~100億人、そして2100年までには100~125億人になるだろうと予想されています。アフリカは2050年までに28の地域で人口が倍になり、これからの35年間で世界の半分以上の人口増加を担うだろうといわれています。ナイジェリアは2050年には世界で3番目に人口が多い国になり、アメリカの人口を超える予想です。アフリカは途上国が多いため、2050年以降は人口が増加する唯一の地域になりそうです。世界の人口におけるアフリカの割合は、2100年までに現在の25%から39%にまで増える見込みです。それと入れ替わるように、アジアは2050年までに54%、2100年までに44%に減ると予想されています。今後、実際に出生率がどうなるかは断定できないとはいえ、アフリカが世界の人口のカギになるのは間違いなさそうです。■世界の人口増加は貧困にもつながる調査を行った研究者のひとりであるジョン・ウィルモスさんは、アフリカでの人口増加は、さまざまな問題も抱えていると語っています。「人口が増加するにつれ、貧困や格差、飢餓や栄養失調、公衆衛生などの問題の解決が必要になってきます。これらは国の発展に欠かせません」ウィルモスさんによると、1970年代以降の人口減少は、全世界で均一に起きているわけではありません。アフリカは人口増加が早い地域ですが、子どもの死亡率の低下により、以前ほどたくさん産む必要がなくなってきました。現在人口14億人で世界トップを誇る中国は、7年後にはインドに抜かれるだろうといわれています。インドは2030年以降も、何十年かは人口が増え続ける見込みですが、中国は減っていくと考えられています。ヨーロッパは、唯一人口が減り続けている地域です。7億3800万人の人口は、2100年までに6億4600万人にまで減少すると予測されています。■世界各国で高齢化が社会問題となるヨーロッパの国々や北アメリカなど、世界のおよそ半分にあたる46%の国では、出生率は2.1人以下になっています。インド、インドネシア、パキスタンなど、46%の国では出生率は2.1~5人、ナイジェリアやコンゴ共和国などの国々では5人以上です。出生率が5人以上の国はほとんどがアフリカにあります。出生率の低下は高齢化ももたらします。現在ヨーロッパの60歳以上の人口の割合は24%ですが、これが2050年までには34%になるといわれています。また、ラテンアメリカの国々でも現在の倍の25%に、そして若い世代が一番多いアフリカでも、5%から9%に増えると予想されています。調査では「特に発展途上国で、健康と家族計画についての知識を広めることが必要」としています。2015年の調査では途上国の34%の女性が避妊しておらず、22%以上が望まない妊娠をしていました。避妊についての正しい知識がないことも、アフリカの人口増加に影響しているようです。いずれにしてもエネルギー問題同様に、人口問題についてはこれから考えていかなければなりません。(文/スケルトンワークス)【参考】※Global population set to hit 9.7 billion people by 2050 despite fall in fertility―the guardian
2015年08月14日●利用率減少の理由その1米国でのApple Payの利用動向に関して、ある最新のアンケート調査報告が話題になっている。米国でのサービスインから9カ月近くが経過したApple Payだが、その利用率は今春の水準をピークに減少へと転じており、サービス利用に必要なiPhone 6の販売台数が増えるにつれ、相対的に利用率が減少する現象が顕在化しつつあるようだ。この状況の背景にあるものは何なのか。今回の調査報告を行っているのはPYMNTS.comで、同社がInfoScoutとの共同調査形態でユーザーアンケートをまとめて8月5日(米国時間)に公開したものだ。両社は昨年2014年11月のBlack Friday、今年2015年3月、そして今回の6月という形で3回にわたってApple Payの利用動向調査を行っている。Black FridayのタイミングではiPhone 6 (iPhone 6 Plus)発売から2カ月が経過した程度であり、あまり十分なデータが取れなかったようだが、iPhone 6の普及率が一定水準に達した今年3月と6月の2つのデータの比較で今回の傾向が明らかになったという。具体的には、Apple Payの利用経験があるかという問いに対して、2015年3月時点では15.1%があると答えていたのに対し、6月には13.1%へと減少している。また実際に買い物に利用したかどうかの問いに対して、3月時点では39.3%だったものが、6月には23%まで減少しているという。実際に決済にApple Payを利用したか、という後者の問いについては、過去に利用経験があり、かつ実際に店舗に非接触決済ターミナルが存在してiPhone 6が手元にあるにも関わらず、あえて利用しなかったユーザーの比率が増えているということだ。ここでは2つのデータが読み取れる。ひとつは「アーリーアダプター」がキーワードになる。例えばAppleの会計年度で2015年度第3四半期(4~6月期)だけで4753万台のiPhoneが販売されているが(すべての種類のiPhoneを含む)、iPhone 6の販売期間である直前6カ月の2014年9月~2015年3月だけで1億3600万台のiPhoneが販売されており、おおまかに2015年4月から6月の3カ月間に3割程度iPhone 6ユーザーが増えていると推測される。もし、Apple Payに興味あるiPhoneユーザーが、新製品発売後すぐに入手して試そうとするようなアーリーアダプターに偏っていた場合、この3割程度の母数上昇で「実際に試してみた」という比率を押し下げる結果になってもおかしくなく、その意味では15.1%から13.1%への減少幅というのは比較的小規模に収まっているのではないかというのが筆者の感想だ。もう1つのデータは、実際に利用経験があるにも関わらずApple Payそのものの利用率が減っているという現象だ。これは2つの側面があると考えられ、まず一度ないし何回か試したユーザーがすでに「飽きて」しまい、次から使わなくなってしまうことが理由の1つだと考えられる。本来であればタップ&ペイで気軽に決済が行えるはずなのに、むしろ元の支払いスタイルに戻ってしまっているということは、モバイル端末で支払うことにあまりメリットを見出せず、リピーターを掴んでいないことの証左だといえる。●利用率減少の理由その2○セキュリティに懸念理由の2つめは「技術を信用していない」という部分で、PYMNTS.comのデータでも「セキュリティ上の懸念がある」との回答が15%から19%に増加しているほか、実際に使えない可能性があるとの理由で敬遠しているといった回答もみられる。本来、トークナイゼーション(Tokenization)に対応してEMVのチップ入りクレジットカードではない磁気ストライプ型のカードよりははるかに安全なApple Payであり、既存のクレジットカードインフラをそのまま利用して決済が可能な仕組みではあるが、利用方法の周知も含め、ユーザーへの教育が浸透していない結果なのだろう。今回のPYMNTS.comの報告では、9 to 5 Macがきれいに要点をまとめているが、Apple Payが技術普及におけるかなり初期のステージに位置していることがよくわかる調査報告となった。非接触ターミナルを使ったモバイル決済において10年以上が経過している日本では「すでに通った道」という印象が強いが、「インフラ普及(端末普及も含む)」と「ユーザーへの教育」が浸透したうえで、かつ「継続利用するモチベーション」が重要な意味を持っており、Apple Payが広く認知されるにはまだ期間が必要だといえる。例えばFeliCaの利用が急増したのは大型小売店舗での一斉導入がスタートした時期で、さらにポイントカード連動によるユーザーの囲い込み策が継続利用のモチベーションとなっている。交通系から小売店まで、都市部ではおサイフケータイのみでほぼ生活できる状況が整ったのは比較的最近の話だが、おそらくはApple Payについてもこのレベルの利便性が確保されない限り、利用率は今後も微減傾向が続くと考えられる。iOS 9ではPassbook改め「Wallet」が導入され、Apple Payとストアカードの連動が可能になったが、これはサービス普及のための大前提であり第一歩だといえる。いずれにせよ、1~2年でどうこうなる話ではなく、インフラとして認知されるまで数年単位の継続努力が必要となるはずだ。
2015年08月10日