神奈川県横浜市に建つ、平成10年築のマンションを購入したHさん夫妻。実は当初、3人の子どもたちとゆったり暮らせる戸建てを建築するつもりで土地を探していました。けれども、なかなか思うような土地が見つからず、諦めかけていたとき、不動産業者から内見を勧められたのがこのマンションでした。1階と地下1階からなるメゾネットタイプで、専有面積120平米という広さ。緑に囲まれ、専用庭もあって「戸建て感覚で暮らせそう」と感じたのが決め手になりました。そして、より上質な空間を目指し、1,080万円(設計料・施主支給別)でリノベーションしました。■ こだわったのは素材の質感や光の取り入れ方リノベ後のリビングダイニングリノベ前のリビングダイニング設計は、もともと戸建ての設計を頼もうと思っていたimajo designの今城敏明さん、由紀子さんにそのまま依頼しました。プロデュース会社ザ・ハウスで紹介され、空間づくりも人柄も気に入ってのことです。夫がこだわったのは、素材の質感や光の取り入れ方を重視した、家族が心地よく過ごせる空間です。LDKの床には既存の床暖房に対応しつつ、オークの無垢材部分が厚いものを採用しました。しっかりと質感が感じられる三層集成フローリングです。壁や天井には、吹き付け仕上げを採用しました。表面に凹凸ができるため、光が当たると豊かな表情が楽しめ、独特の高級感が生まれます。リノベ前のキッチンリノベ前は独立型のキッチンでしたが、オープンなスタイルに変更しました。壁を取り払ったおかげで、庭を眺めながら料理ができるようになりました。妻の希望通り天板にステンレスを使ったキッチンは、imajo designが家具工事で製作したものです。照明は手元を照らすものを選び、眩しく感じないように配慮しています。キッチンカウンターの笠木には、木目が美しく木の温もりが感じられるナラ無垢材を採用しました。出窓にもナラ無垢材を使用しています。対面式キッチンではありませんが、動線がリビングダイニングと一直線につながっています。「このほうが片付きやすく、リビングダイニングもすっきりします」と妻は言います。ダイニングスペースでは天板の厚みにまでこだわってオーダーしたアルダー材のテーブルが、やさしい雰囲気をかもし出しています。ソファなども含め、家具はインテリア好きの妻によるチョイスです。■ 5人家族がスムーズに暮らせるゆとりと工夫設計を担当したimajo designは、5人家族の暮らしやすさを考慮して玄関を広げました。引き戸の横にスリットを設け、暗くなりがちな廊下や玄関に光が届くようにしています。広げた玄関には引き戸を採用したシューズクロークを設け、扉をバタバタさせることなく出掛けられるよう配慮しました。3人の子どもたちが成長しても十分対応できるよう、リビング隣にあった洋室をウォークインクロゼットに変更しました。洗濯物の片付けもスムーズです。洗面室を広げて脱衣室と分けたところもポイントです。「パウダールームはリビングとつながっていて、ゲストが使うこともあるので、部屋のような心地よい空間にしたくて」と妻。家族が多いので、鏡もワイドです。トイレは床や壁、天井の仕上げをほかの部屋と統一しました。子ども室は、北側にあった2室をつなげて広いワンルームとしました。窓はすべて既存のままですが、壁を広げてサッシの枠を隠すことでスッキリと見えるようにしています。出入り口は2か所に設け、将来は2室に分けられるように計画されています。■ DIYはコストだけでなく後のメンテにもプラスに!地下室は寝室ですが、こちらは床のカーペットをシンプルでリーズナブルなシナ合板に張り替えるだけにして、コストバランスを取っています。地下室へ続く螺旋階段も、カーペットだった踏み板をシナ合板に張り替え、手すりを塗り替えました。そして、寝室の壁と天井はHさん夫妻がDIYで塗装しました。聞けば、1階の床のオイル仕上げもDIYしたそうです。DIYはコストダウンにつながりますが、慣れておけば後のメンテナンスにも役立ちます。「吹き付けの壁など減額案でも好みに合う素材を提案してもらったので大満足。物件を買う前から建築家に相談できたのもよかったと思います」とHさん夫妻は話してくれました。このリノベーションをもっと詳しく見たい方は、ぜひ『リライフプラスvol.27』も参考にしてみてくださいね。※物件価格、工事費、ご家族の年齢等は取材時のものです。設計/imajo designプロデュース/ザ・ハウス撮影/飯貝拓司
2018年11月07日神奈川県川崎市に住むTさん一家は、デザイン関係の仕事をしている夫と料理好きな妻、双子の姉妹の4人家族。仕事の都合で住んでいたロンドンからの帰国が決まり、子どもたちの学区を優先して築25年、庭付きの木造2階建てを選びました。■ 学区優先で戸建てを選択。中古+リノベーションで好みの空間に!中古の戸建を手に入れ、夫は迷わずリノベーションを選択。工事費は1,800万円(外構工事費、設計料、消費税は別)。雑誌で見て「デザインしすぎない普通っぽさ、穏やかさが気に入った」とimajo designの今城敏明さん、由紀子さんに設計をお願いすることに。南北に細長いつくりのTさん邸。1階は家族が集まるLDKです。夫の要望は「トンネルのようなワンルーム」。そのために、リノベ工事では珍しいことですが東側の窓を一部閉じ、間仕切りをできる限り取り払って、一番奥のキッチンまで光と風が抜けるデザインとしました。■ 1階のLDKは細長いトンネル?南北に光と風が抜ける光を取り込む南面には、天井までの大開口が!一番明るい場所に家族が集うリビングを配置しました。北側のキッチンからリビングを見たところ。間仕切りがないため、光が奥まで届いています。そう言われると、トンネルっぽく見えないこともない?キッチン脇の造り付けの収納は、どうしても撤去できなかった構造壁を利用して設けました。“トンネル感”を邪魔するものとして、夫としては唯一の心残りだとか。家具のデザインも手掛ける夫。ダイニングの椅子が一つひとつ違うのは、いろいろな椅子の座り心地を試したかったからとのこと。料理好きな妻は、当初ダイニングに向いたカウンターキッチンを希望していましたが、建物の横幅が足りず断念。結果、窓側にコンロ、背面にシンクを置いた大きなキッチンになりましたが「友人が遊びに来たときは、みんなでキッチンに立てて便利です」と妻。水回りは1階に集約。シンプルな洗面台はオリジナルで、今城さんが水回りのデザインによく使用しているスモーキーなグレーのタイルが気に入り、キッチンと洗面に使っています。■ 2階はプライベートスペース。子ども部屋はドアを増設して2部屋にキッチン脇の階段を上がって2階へ。オープンな1階と違い、2階は完全なプライベートスペースです。子ども部屋はいつでも2つに仕切れるよう壁だけを立てていましたが、双子の娘たちが中学生になり、つい最近ドアをつけて個室にしたばかりだそう。中学校ではそれぞれ違う部活に入るなど個性の異なる2人。どちらの部屋を取るかもめることもなかったそうです。窓に面して明るい部屋と、窓はないけれど広さのある部屋。どちらにもイケアのベッドと机を置いて、機能的な空間としました。ちなみに、2階から庭を見下ろすとこんなふう。庭はリノベーションの後に夫が設計して改装しました。友人を呼んで食事をすることも多いTさん一家。人数が多いときは、アウトドア用のテーブルをリビングから庭までつなげて楽しむそうです。こちらはエントランスのビフォーアフター。外壁などは基本的に既存利用ですが、エントランスは一部モルタル仕上げとしています。また、以前は玄関を入ってすぐに階段がありましたが、階段の位置を見直したことで右のような広々とした玄関になりました。間仕切りが多く、特に1階は奥に行くほど暗くなる造りだったT邸。壁を取り払い、明るくきれいなワンルームとなりました。思い描いたとおりの空間に大満足、という夫。友人を呼ぶ機会が以前よりずっと増えたそうです。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2018年1・2月号」も参考にしてみてくださいね。設計/今城敏明+今城由紀子(imajo design/イマジョウデザイン一級建築士事務所)撮影/飯貝拓司【巻頭特集】「ハウスメーカーで建てる家」「平屋ハウスで暮らそう」豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン品質だけじゃない!デザインも個性的なテイスト別ハウスメーカーで建てる家を紹介。
2018年09月01日フォトグラファーの今城純による新作写真集『encase』が12月6日発売する。また、出版を記念して12月6日から18日までクラスカ(CLASKA)にて写真展を開催。今城純は横浪修に師事後、06年に独立し、以降は広告やCDジャケット、雑誌など様々な分野で活動を行っている写真家。これまでに、『TOWN IN CALM』、『in the blanket』、『Pastel wind』などの写真集を発表している。今回は、4年に渡り撮り続けた、ヨーロッパの国々(フィンランド、ドイツ、デンマーク、フランス、エストニア、ラトヴィア、リトアニア)のクリスマスマーケットの写真を収めた写真集となっている。また、12月8日から1月8日まで代官山蔦屋書店でもクリスマスフェアを開催。会場では、アートワークやポストカードなどのグッズも合わせて展開される。【書籍情報】『encase』著者:今城純発売元:sky blue books上製/288ページ/192×258mm価格:4,800円【展覧会情報】写真展「encase」期間:2016年12月6日から18日場所:CLASKA 8F “The 8th Gallery”住所:東京都目黒区中央町1-3-18CLASKA 8F時間:11:00~20:00(最終日のみ17:00まで)*額装写真、ポストカードの販売も予定。
2016年11月24日