トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1er Vol)の2018年春夏コレクションが、2017年10月20日(金)東京・渋谷ヒカリエで発表された。毎シーズン世界各国の民族衣装からインスピレーションを得ていて、今回のテーマは「アフリカ」だ。ショーは、南アフリカの「ンデベレ族」の正装で始まった。イエロー、ブラック、ブルーのストライプ柄のマントを羽織り、中にはンデベレの伝統柄がプリントされたトップスとロングスカート、頭部にはカンガの様な布を巻いている。その後もンデベレの伝統柄を異国情緒漂う春夏らしい洋服へとアレンジし、続々と登場した。フランス・パリでも人気のアフリカンワックス柄を使用したカラフルなドレスは、アフリカ衣装の色彩美を最も反映したシリーズと言えるだろう。異なる柄を複数重ね、フリルでボリュームを出し、色彩のみならずシルエットまでもが華やかな印象だ。アフリカの動物たちを洋服に閉じ込めたシリーズは、野生に生きる動物のしなやかな美しさがそのまま衣服の美しさとして反映されていた。ボリュームのあるスカートは、モデルが歩くたびに揺れ、プリントされた動物に生命を与えたようだ。最後に登場した「ファンタジックキューブ」は、今回最も目を奪われた洋服の一つだろう。純白の丸いフォルムのドレスが場内暗転になると、ドレス内側から輝きだした。アフリカが持つ生命の神秘を感じさせ、ショーの集大成ともいえるフィナーレであった。
2017年10月23日ナード ユニット(NERD UNIT)の2018年春夏コレクションが2017年10月20日(金)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。日本初となるコレクション発表のテーマは「エンブレムカモ」。第二次世界大戦の軍服に使われた柄や機能性を洋服に落とし込んだ。ミリタリースタイルを得意とするナード ユニット。アイコンである矢印を散りばめたオリジナルカモフラージュ柄をブルゾンや耳付きのフードパーカーなど多数のアイテムに施している。胸や袖にジップポケットを付けたブルゾンを着たり、ヘルメットのような帽子や覆面を付けたりなど、まるでブランドのアイテムで武装しているようだ。長いマフラーをずり下げたり、腰からベルトを垂らしたり…軍服だが、きっちりとしたスタイリングではなく、現代風に解釈し着崩している。オールインワンの腰部には大きく“WE ARE NERD UNIT”の文字が。レディースのベロアトップスやレザージャケットの背には、オレンジの糸で“NERD”と縫い付け、わざとほつれさせたデザインに仕上げている。軍服をモチーフにしていることもあり一点一点で目を引くアイテムが多いが、足元はナード ユニットのソックスをで揃えてスタイリング。ホワイトかブラックで統一しており、最後にモデル達が整列すると、全ルックのスタイリング、テーマの一貫性を感じることができたショーだった。
2017年10月23日HARE(ハレ)の2018年春夏コレクションが2017年10月19日(木)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。今季のテーマは“HAZE”。霧・もやという意味で、情報が溢れる現代で自分たちのリアリティをつかもうとする若者の姿を洋服に落とし込んだ。足元に霧がかかったランウェイで、電子音と共に大量の霧が立ち込める中からモデルが登場し、ショーは開幕した。重ねることで下に着ているものの存在を不確かにするシフォンスカートやメッシュTシャツなどの素材で、もやもやとしたイメージを形成。また、レイヤード風のコートは、オーバーサイズのものを再構築することで製作しており、境界線をぼやけさせている。もやがかかったようなプリントは、Tシャツ、ブルゾン、ワンピースに施され、光の当たり具合によって見え方が変わる。シャツを開けっ放しにしたり、前後で長さの違うトップスを肩を落として着たり、シルエットやスタイリングでも曖昧さを表現。グレー、ベージュ、アイボリーなどぼんやりとした色味のアイテムに合わせる足元は、派手なグラデーションのソックスとブラックサンダル。おぼろげな印象と調和させ、スタイリングを落ち着かせる。ストライプのセットアップやコートは、ロバート ゲラー(Robert Geller)とのコラボレーションアイテム。メンズとウィメンズを展開し、グレーとパープルの柄がルックに登場した。ショーの後半になると、カラーパレットやディテールから、強い若者の意志が感じられるように。フロントでシャツを結ぶ、中途半端に留めずきちんと閉じる、パンツの裾を折る…ネイビーやブルー、ピンクやパープルなどで自己を表現しようと試み、現代の霧の中に生きる若者と共に闘うコレクションであった。
2017年10月22日パラドックス(PARADOX)2018年春夏コレクションが、2017年10月19日(木)に渋谷ヒカリエで発表された。ストリート・ゴシック・フューチャーをキーワードにウェアを展開する同ブランドが今回テーマに掲げたのは「坊主」。デザイナー・鉄羽淳平は自分のルーツである「日本」に立ち返り、「和」の要素をスパイスとして取り入れた。ランウェイに登場したのは、ブラックをベースに、シルバーアクセサリーやネオンカラーを効かせたストリートウェア。フーディーやボンバージャケット、スウェットのハーフパンツなどは、背中や裾にシルバーリングなどがディテールとして取り入れられた。さらに、「和」らしい<結ぶ>という行為に繋げさせるかのように、長く垂れる紐が随所にデザインされている。また「坊主」や「仏教」からインスピレーションを得て、仏壇で火を灯す行為から導き出した「炎」モチーフが取り入れられ、ストリートウェアにジャポニズムの要素を融合させている。「和」をさらに加速させるのは、和服の合わせを取り入れたはっぴを思わせる羽織りだ。ただし、ロゴデザインなどを取り入れることで変化球に仕上げている。
2017年10月22日ヒロコ コシノ(HIROKO KOSHINO)の2018年春夏コレクションが、2017年10月19日(木)に東京・恵比寿にて発表された。「リバース」というテーマの下にクリエイトされた今シーズンのコレクション。終わりを常に新たな始まりと捉え、古いものや過去を見つめ直すことで湧いてくる、新たな創造の喜びを表現している。冒頭はストライプをキーワードに、この非常に単純な幾何学模様を、様々な形態に変幻させた。縦のストライプと横のストライプを混ぜたり、斜めのストライプをずらして配置したりして生まれる、リズミカルな視覚体験。やがてストライプは単に柄としての次元を飛び出し、ヘムスカートのプリーツや、ニットの立体的な編地模様などのストライプとして3次元化した。ウェアのシルエットはワイドが中心。生地をふんだんに使用して、歩くたびに揺れ動く豊かなドレープを生み出している。さらに特徴的なのは、服のパーツの一つ一つを、誇張したサイズ感で表現している点だ。ショルダーを横に大きく張り出させ、衿とラペルを普通の何倍にも拡大したロングコートや、袖ぐりやカフスをオーバーサイズにデザインしたシャツ、ジャケットなどがその例だ。しかし、シャープなストライプ模様が、膨張したシルエットとのバランスをとることで、すっきりとした印象は壊さない。会場の雰囲気が変わり、コレクションは次のパートへと移行した。ストライプ模様の余韻を残しながら次の主役として登場したのは“タンポポ”のモチーフだ。フルレングスのドレスに大きく描かれたり、幾何学的なパターンに変化したりと、様々なバリエーションがウェアを彩る。気付けば、あんなにも中心的な存在感を放っていたストライプは影を潜め、代わりに、たくさんの星を散りばめた幻想的なパターンが出現している。タンポポに寄り添うように輝くその星は、夜空の星というよりも、タンポポが産んだ無数の種子のよう。終わりを迎えたタンポポは、その種子によって新たな命をつないでいく。新たな創造もまた、過去と現在を通過した先にしか見えてこないのだろう。なお、本コレクションにはコンバース(CONVERSE)のスニーカーが登場。厚底のモデルや、サンダルのようにアッパーが空いているもの、キーテーマのストライプ模様をのせたものなど、スニーカーの雰囲気を残しつつもユニークなアレンジが加えられたシューズだ。さらに、メンズモデルが登場し、オーバーなサイズ感が魅力のメンズウェアも提案された。
2017年10月22日ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)の2018年春夏コレクションが、東京・表参道ヒルズで2017年10月19日(木)に発表された。「Flux」をテーマにした今季。流道、流転、絶え間なく流れ続けるというという意味を持つこの言葉を、デザイナーの天津憂は、自身のブランドにはぴたりと当てはまるという。彼はランウェイの上で、このテーマに沿う2つのシーンをみせてくれた。ひとつめは、序盤に現れたスタイル。ハナエモリ マニュスクリらしからぬ“物静かな”ルックが目立ったように感じる。裾がほんのり揺らぐサマーツイードのスカート、幾重かに重ねた細いベルトで絞めるシアーな素材のワンピース。際立つ色柄はほとんどなく、ドレープやギャザーがメインの装飾で、特徴的だったのは、ベルトや肩まで垂れ下がった大きなイヤーアクセサリーだ。流れるような落ち感のファブリックを背景にしたそれらは、今シーズンの「Flux」を語るにふさわしい。なぜなら、重力に逆らわずに落ちるフリンジやタッセルのディテールは、歩けばまるでエレガンスを主張するかのように揺れるが、足を止めれば、ただまっすぐに存在する。おそらく、ベースとしている滑らかなテクスチャーの素材も、ドレープやギャザーによって流動性のある立体感が生まれるからこそ、選んだものだろう。そして、次にふたつめのシーン。抽象的なグラフィック柄が投影される。リアルな花を銅板に写して、それをまるごと用いたという花柄は幻想的かつ魅惑的な印象を受ける。軽快な素材を用いているからか、さらに花という存在が現実的でなくなっている。一見、何模様か戸惑うほどの色柄が入り混じるテキスタイルは、よく見れば確かに花が咲き誇っている。そして、もちろんブランドのアイコン的存在である蝶の姿も見られる。こうした2つのシーンから読み解いたのは、ブランドの永遠のテーマである「エレガンス」である。追い求める上で、なければいけない存在であった美しく咲き乱れる花々は、土にかえり、そしてまた新たに生命を宿す。これもまた「Flux」に通ずるのだろう。そして、輪廻転生のように生き続ける花々と共に生きる蝶たちも……。ブランドのアイデンティティーであり、またやはり欠かせない存在だと、ランウェイの上で強く感じさせられた。
2017年10月22日ヴィヴィアンノ スー(VIVIANO SUE)の2018年春夏コレクションが2017年10月19日(木)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。フラワーアーティストのTAKAYA KISHIMOTOとコラボレーションし、伝えたいのは“花の一生”だ。花の始まりは発芽。ヴィヴィアンノ スーが得意とするボタニカルプリントを、レザージャケットの背や、フレアなワンピースに。ドレスは、プリーツとプリントが相まってまるで本物のツタのように見えるものも。そこから季節は巡り、蕾が芽生える。メンズのセットアップや、ウィメンズのシャツワンピース、ドレス一面にプリントされているのは白い蕾だ。その柄で存在感を放つアイテムはホワイトやブラックのパンツ、ジャケットとスタイリング。そこから続くのは、ウォームピンクのワントーンスタイル。蕾から花が咲いたのだ。ニットや、フリルトップス、ポイントで起毛のあるトレンチコートなど、満開の花が咲く、暖かい季節を思わせる。だが、満開の花もやがて散り、枯れる。蕾の頃はグリーンベースだったボタニカルが、ブラウンベースになってシャツワンピースなどに登場。コットン、シルク、ポリエステルなど様々な生地を用いており、生地によって柄の見え方が異なって面白い。最後には一面黒と、一面白のクチュールのドレスが登場。この優雅なドレスは、今までの花の循環を、“死と再生”として捉えたものだ。最後は、発芽から蕾、花が咲いて散り、枯れるまで…それぞれの時点での洋服を身に纏ったモデル達がランウェイを歩く。誕生から死まで、始まりから終わりまで、その変化がはっきりと映し出されていたコレクションだった。
2017年10月22日HYKE(ハイク)の2018年春夏コレクションが、2017年10月19日(木)東京・中目黒のHYKEプレスルームで披露された。昨シーズン同様にインスタレーション形式での発表である。アウトドア、ミリタリー、ワーク。HYKEの原点である要素は今季も変わらず存在している。そこに加えられたのは、フェミニニティへ近づくアイデア。ボリュームのコントロール、素材の差し方、細やかなディテールを追加することで、ドレスと並ぶほどエレガントなワーク・ミリタリースタイルを完成させる。軍服から着想したカーキのジャケットは、その男性性を排除するかのように胸上で潔くカット。そこにシースルーのプリーツ生地を繋ぎ、バストから足首まで流れるようなロングラインを作り上げた。襟は高く高貴に。コートの上で遊び回る、フラップポケットやドローコードの無邪気さが、逆にコート全体の気高さを引き立てている。胸ポケット付きの白いシャツ。男性的で力強いこのトップスは、アームのシルエットで遊んだ。襟下から別布を一枚かませてアームへと繋げ、ふんわりとしたボリューム袖を作り出す。袖口にはスポーティーなマジックテープベルトを添えて引き算を。重量感のあるコートやシャープになりがちなスリムパンツには深いスリットを入れて、女性的に仕上げる。また、レイヤードに起用したシースルーアイテムもキーアイコン。パンツの上に重ねたプリーツスカートは、程よいツヤがあり艶やか。手の平まで包み込むほど長く、ふわりと広がったアームカバーも、コートの下やジャケットの下から顔を出し、ソフトな雰囲気を作り上げる。目玉となるのは、2018年春夏よりスタートするザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)とのコラボレーションだ。披露されたのは数種類のトップスとアウター。フード付きジャンパーはバストラインまでのボレロ型。裾にはドローコードが配されていて、ぎゅっと絞ると程よいボリュームが出る。HYKEが好んで使うパイソン柄のロングコートは、胸から上がザ・ノース・フェイスらしい黒のフーディコートとジョイントしている。クルーネックトップスは、ザ・ノース・フェイスのロゴを大胆に使ったもの。ナイロン生地で前ポケット付き。ジップは全て止水ファスナーになっていて機能性に富んでいる。
2017年10月22日ベイク(BAKE)の新業態であるバターサンド専門店「プレスバターサンド(PRESS BUTTER SAND)」の2号店が2017年10月20日(金)に東京ソラマチにオープンする。「プレスバターサンド」はJR東京駅構内に1号店を構える、人気バターサンド専門店。より多くの人に、手土産としてバターサンドを選んでもらう機会を増やそうと、2号店の出店が決定した。店舗では、北海道産のフレッシュバターをたっぷりと使い、バターそのものの味わいを楽しめるよう研究開発された、こだわりのバターサンドのみを展開。サクサク感が特徴のクッキーに、濃厚なバタークリームと滑らかなバターキャラメルを挟むことで、ぞれぞれの素材の良さを引き出している。こだわったのはバターだけではない。クッキーも、この商品のために開発されたプレス機を使用したオリジナルのものを使用。和菓子の製法にルーツを持つ「はさみ焼き」を採用したプレス機で作られるクッキーは、大量生産では実現できないクオリティを形にした。また、「プレスバターサンド」は2017年10月26日(木)から11月1日(水)の期間、東武百貨店池袋店での期間限定ショップもオープン。素材から製法まで、全てにおいてこだわり抜かれた一品を是非一度味わってみて。【詳細】■「プレスバターサンド」東京ソラマチ店オープン日:2017年10月20日(金)営業時間:10:00~21:00住所:東京都墨田区押上1-1-2東京スカイツリータウン ソラマチ2階電話番号:03-6381-3220取扱商品:バターサンド6個入り 1,020円(税込)/バターサンド10個入り 1,700円(税込)※賞味期限は店頭購入から10日間。※焼きたて商品の販売はなし。■「プレスバターサンド」東武百貨店池袋店 期間限定ショップ開催期間:2017年10月26日(木)~11月1日(水)営業時間:月~土 10:00~21:00、日 10:00~20:00住所:東京都豊島区西池袋1-1-25 東武百貨店池袋店B1F ハナサンテラス取扱商品:バターサンド6個入り 1,020円(税込)/バターサンド10個入り 1,700円(税込)※賞味期限は店頭購入から10日間。※焼きたて商品の販売はなし。
2017年10月22日ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)が、「Amazon Fashion Week TOKYO 2018 S/S」期間中の10月17日、表参道ヒルズで2018年春夏コレクションを発表した。会場には、アマゾンファッションに招待された服飾業界を目指す学生たちが大勢つめかけ、熱気あふれるムードに包まれた。客席の照明が落ち、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(The Jon Spencer Blues Explosion)の名曲『ベルボトムズ(Bellbottoms)』とともにショーがスタート。疾走感のある音楽とともに、ヒッピースタイルを思わせるヘアスタイル、リボンを結んでつなげたピンクのジャンプスーツに厚底ブーツを履いたモデルが登場。続いて、フロントに大きく穴が開いたジャージの下に超ミニのトップスを合わせたルック、ネックや膝、スカートの裾部分にリブ使いが施されたルックなど、スポーティなテイストのルックをまとったモデルたちが現れた。ファーストルックで見られたリボンを結んでつなげたデザインやフロントに大きく穴が開いたデザインは、今回のコレクションの特徴的なルックといえるだろう。前回のコレクション発表後、無力感にさいなまれた吉田は、初心に戻って“日常の中のリラックス”をテーマに制作に取り組んだという。その中で、資料で見た70年代のヒッピーのファッションにインスパイアされ「彼らの“フリーな姿勢”や“自由な人としての在り方”に惹かれ、作っていた服にはさみを入れたり穴を開けてみたら、それまで感じていた“硬さ”がなくなり自由な質感が生まれた」と語った。リボンの結び方でシルエットが自在に変えられるルックや、ジャケットに開けた穴から全くテイストの異なるスポーティーな服が現れるルックで、その時の気分で“ありのままの自分を自由に表現できる”ことの喜びを表したのだという。プログレッシブロックの曲とともに迎えられたフィナーレには、70年代のヒッピーたちが感じていた、新しい時代の始まりを予感させる高揚感が重ねられていたようだ。“穴”によって無力感を打破し、自由を手に入れた吉田は、装うことの楽しさをまた一歩進んだ表現で提示して見せた。
2017年10月22日ファイブノット(5-knot.....)の2018年春夏コレクションが、2017年10月19日(木)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。今シーズンは、デザイナーが旅行で訪れたポルトガルの町“ナザレ”から得たインスピレーションをもとにしたクリエイション。海に面している“ナザレ”は、眺めが美しく、またビッグウェーブが来るサーフポイントとしても有名な町だ。町の景観の中の色彩や、日常的な要素、また気候を反映したピースやスタイリングが並ぶ。色彩豊かな植物柄は、ポルトガルのタイル“アズレージョ”や建築様式“マヌエル様式”がアイディアの源となっている。布地に隙間なく描かれたボタニカルプリントは、群生する植物のエネルギッシュな美しさを表す。赤をベースにしたエキゾチックな植物柄の豪華な彩りは、柔らかな素材に乗せることで開放的なムードを描き出す。カラフルな紐を使ったスタイリングは、旅先で見かけた洗濯物から着想を得た。“ナザレ”で、赤や黄色の紐にカラフルな洋服を吊るして洗濯物を干す光景に出会い、その色鮮やかな様子を投影している。ウエスト部分に巻き付けて、シルエットに変化をつけてみたり、首に巻いてアクセサリーの様に使用してみたりと、まるで海風を受けているかのように、コーディネートに動きを生み出す。所々で登場するビビッドカラーのエナメルストレッチは、彩りのアクセント。ソックスやトップス、パンツなどポイントで使用され、鮮やかなカラーが思わず目に飛び込んでくる。多彩なカラーやシルエットで登場したデニムは、レイヤードのスタイリングで表情豊かに。ラメで輝くパープルのコートとジャケットに重ね合わせたベアトップのデニムワンピースは、タイトなシルエットで上品な印象に。ギンガムチェックのデニムブラウスには、透け感のあるブラックのオーガンジーワンピースを合わせ、軽やかな雰囲気を演出している。また、ファイブノットが第13回「DHL デザイナーアワード」を受賞したことが発表された。海外展開の拡大も含め、今後のブランドの発展を予感させる受賞となった。
2017年10月22日リヒトステール(Licht Ster)のファーストコレクションとなる2018年春夏コレクションが渋谷ヒカリエで発表された。ファッションデザイナー・コシノジュンコを叔母にもつディレクターのヒカリと、デザイナー・澤柳 直志による同ブランド。「リゾートトラベル」をインスピレーションに「ストリートエレガント」という新しいスタイルを提案した。ウェアはほとんどホワイトカラーで統一。序盤はシフォンを取り入れたワンピースやスカート、スリーブにリボンをあしらったコートなど、フェミニンな服が続く。ただし、そこに大胆なロゴ使いのTシャツや、落書き風デザインのジャケットが加わり、ストリート要素が組み込まれることで「ストリートエレガント」というワードに繋がってくる。続いてランウェイを占領したのは、中国のスポーツブランド「アニファ(ANIFA)」とコラボレーションしたスポーツウェア。テニスウェアを彷彿させるワンピースは、スカートにシフォンを重ね、胸元にフリルをあしらうことで、スポーティなウェアをエレガントに昇華。他にも、裾にレースをデザインした可憐なジャージパンツなどが登場した。ラストは、エレガントで優美なウェアで締めた。大胆にシフォンを使い透け感を出したトップスやベアタイプのロングワンピース、袖のフリルが踊るトップスなどが、リゾートを感じさせる優雅な空気を運んだ。
2017年10月21日コートメール(COTE MER)の2018年春夏コレクションが2017年10月18日(水)、東京・渋谷のライブハウス、ギャレット宇田川にて発表された。ヒョウ柄、ペイズリー柄、タイダイ染めなど、とにかく多種多様な柄をつなぎ合わせたシャツやTシャツ、パンツが登場。上から羽織ったレザージャケットはスタッズやフリンジなどで装飾され、目を引くデザインに。ストリートの解釈を広げ、背番号のついたメッシュTシャツやラインが入ったパンツで、スポーティさを演出。裏にコートメールのロゴを大きくプリントしたオーバーサイズのデニムジャケットは、路地裏でも一際存在感を放つだろう。モデル達の頭には、クリーンな白のハットや黒のハンチングが。派手なカラーで展開するクローズに調和し、どこか落ち着きを持たせる。他にも、レザーブルゾンに登場した紅白金銀の和生地がベルトにも用いられているなど、ディテールの光る小物でスタイリングを完成させた。最後にブルーのジャケットを着たMC、K.A.N.T.Aが登場し、モデル達も全員集合。一緒に歌って盛り上がった。「仲間うち、日常」を表現したかったというショーは、ライブハウスだからこその盛り上がりを見せ、閉幕した。
2017年10月21日ミントデザインズ(mintdesigns)2018年春夏コレクションが東京・青山で発表された。今シーズンは、イタリア人宣教師が中国で撮影した写真集からインスピレーションを得て、西洋の視点から見た中国や、中国から見たキリスト教文化などを表現した。今季のポイントである「中国」は、チャイナドレスを彷彿させるボタンデザインを取り入れたトップスや、中国の陶磁器を感じさせる繊細な青の模様に染められたワンピースやスカートに現れた。さらに「アジアンノット(淡路玉)」と呼ばれる中国伝統の飾り結びが、ウエストマークのベルトやサンダルのタッセル部分、そしてウェアの柄にまで取り入られた。あらゆるウェアに取り入れられた陶磁器柄は、どこかエキゾチックさも醸し出ており西洋の中国趣味:シノワズリにも重なる。一方、中国の視点で見た西洋のキリスト教文化。ノースリーブのロングドレスに取り入れられたユニークな「天使柄」が一番顕著に現れている。羽根が生えたいくつもの天使がドレスの上できれいに整列した。着こなしはレイヤードスタイル。ワンピースの下から2重のスカートが顔を出したり、トップス2枚とスカートを組み合わせたり、ワンピースにトップスを重ねたりと、2枚3枚を合わせた着こなしが数多く披露された。素材は春夏シーズンらしい爽やかなリネンに加え、レースやシアー素材を部分的に取り入れることで、絶妙な軽やかさを出している。
2017年10月21日タエ アシダ(TAE ASHIDA)の2018年春夏コレクションが、2017年10月18日(水)に六本木・グランド ハイアット 東京にて発表された。近未来的なサウンドとともに始まったショーのファーストルックを飾ったのは、水面に広がる波紋のような、白と黒の幾何学模様プリントのドレス。グラフィカルな柄と、アシンメトリーなフォルムは、強いインパクトを与えるが、上品でシックな印象に。オレンジやエメラルドグリーン、ピンクなどの色をランダムに切り替えたマルチストライプのドレスは、光を反射して輝く万華鏡のようだ。パネルごとにストライプの太さや密度が異なり、視覚的に強い印象を与える。フロントには透け感のあるジョーゼット素材を使用し、歩くごとに優雅に揺れ動く。写実的に描かれたボタニカルモチーフは、クラシックな空気感を生み出す。透け感のあるブラウスに刺繍で施された花々も、スキニーパンツに立体的に描かれた花々も、生き生きとその美しさを発揮し、服を彩っていく。また、モスグリーンで表現されたゼブラ柄やボーダーに施されたグラフィカルなゼブラなど、動物的な表現や、自然に由来するモチーフがパワフルに存在感を放つ。レースやチュール、ラメなどのエレガントな要素はふんだんに盛り込まれ、華やかなムードを作り上げる。組み合わせるのはスタイリッシュなパターンだ。総レースのミニドレスはIラインのシルエットに仕立てることで、ミニマルな華やかさを演出。透け感のあるチュールエンブロイダリーのロングドレスは、オールブラックでクールに仕上げた。チュールを幾重にも重ねた上から、ボリューム感のあるカットジャカードの生地をふわりと被せたパステルピンクのドレスも登場。ジャカードの光沢感と分量のあるシルエットが、優雅さの中にも堂々とした風格を表している。
2017年10月21日バナナチップス(BANANA CHIPS)の2018年春夏コレクションが、2017年10月18日(水)に、東京・渋谷ヒカリエで発表された。子供服を中心に展開するバナナチップス。今シーズンは、フローラル柄やモノトーン、そしてブランドを象徴するバナナプリントなど、様々な要素を取り入れ、ブランドコンセプトである「日常の贅沢」をセクシーかつクールに表現した。ショーの冒頭は、バラ柄のプリントが多く登場。フローラルをシンプルにまとめ、甘くなりすぎないスタイルを提案した。ブラック・グリーン・ホワイトで表現されたフローラル模様のドレスは、ストンと身体に沿うようなミニマムなシルエット。一方で、スカートは立体感のあるフリルでフェミニンに仕上げた。腰元にフリルを配したトップスは、同じ柄のパンツと合わせ、モードな雰囲気に。モノクロームを基調としたルックは、甘さと辛さのミックスを表現している。ツイードのような素材を使ったブラックのワンピースは、襟元や裾などのディテールに白いレースをあしらわれ、レディライクで上品なスタイルを完成させた。それでいて、腰元はスタッズを配したベルトでマークし、エッジーなアクセントを添えた。マニッシュなパンツスタイルも登場。ジャケットの襟にはレザー素材を採用し、ハンサムにきめて。しかし、そんなハードなイメージに反し、首元は大ぶりの白いリボンを飾った。オールブラックでシックに決めたルックは、ブラウスのシリーブに膨らみを持たせフェミニンさをプラスした。後半は、モノクロームのシックなコーディネートから一転、リゾートなムードに変わる。バナナと葉をプリントしたワンピースは、その鮮やかなグリーンとイエローが夏らしい。フリルをあしらった袖口やワンピースのやわらかな生地が風を切り、爽やかな空気感を放っている。また、船のイラストを描いたスカーフ風のプリントも登場した。
2017年10月21日ハオリ ドゥ ティティ(haori de TiTi)の2018年春夏コレクションが、2017年10月18日(水)東京・青山にて発表された。穏やかな秋の午後、青山通りから少し奥へ入った閑静な通りに佇む「サロン・ドゥ・ティティ青山本店」にて、2018年春夏コレクションがショー形式で披露された。チェンバロの生演奏をバックに、和やかな雰囲気の中行われたショーは、まるで優雅なサロンのようだ。コレクションのピースも、気の置けない友人たちとのサロンに出かける、優雅な女性のための外出着のよう。シルクや麻といった肌に心地よい素材、透け感や光沢、ラメの輝きを織り込んだオリジナルテキスタイル、そこにあしらわれた刺繍やスタッズ、レースといった優美な装飾デコレーションがデザインの特徴だ。ショーはチェンバロが奏でる曲によって4つのパートに分けられた。まず最初に、牧歌的な雰囲気の漂う純白のルックが登場。シースルー素材や梯子レースなどで仕立てたロング丈の羽織を主役に、インナーを透かした軽やかなスタイリングを見せる。2つ目のパートは、イエローやオレンジといった鮮やかな色彩を大胆に使用しオリエンタルなテイストに変化。プリントかと見まごう程に繊細な総刺繍のカシミヤストールを肩からかけた、贅沢な着こなしが印象的だ。3つ目と4つ目のパートは、ブラックを基調としたよりフォーマルなウェアが主役。肌に密着した非常に薄い生地にレースを重ねたドレスや、立体刺繍のスタンプワーク技法でフラワーモチーフをあしらったワンピースなどが披露された。アクセサリーには、複雑な曲線を繊細な技術で表現したアラベスク文様のペンダントやピアスが登場。ジュエリーから誕生したブランドらしく、様々にデコレーションされたドレスの上でも引けを取らない存在感を見せている。
2017年10月21日エルザ・ウィンクラー(ELZA WINKLER)の2018年春夏コレクションが2017年10月8日(水)に、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。エルザ・ウィンクラーがショーを行うのは今回が初めて。「ハンガーにかかっているだけでは服の魅力は伝わらない。」そう語ったデザイナー中井英一郎が作り出したのは、確かに、そのデザインやシルエットで生身の人間の美しさを存分に引き出すアイテムたちだった。テーマは「アンダー ザ ムーンライト」。月明かりの下で躍動する動物、特にメインモチーフであるフクロウの「美しさ」や「強さ」、「賢さ」が再現された服たちはランウェイの上で生き生きと個性を発揮する。まず、印象的なのが、大きく立体的な襟で、胸元が開いたジャケット。中には下襟から上襟までボリュームがある設計を施し、セーラー服のように背面までその面積が至るものまである。このダイナミックな襟の形状は、デコルテのデザインにこだわりを持ったブランドであるが故であろう。モデルの全身を通して見ることで、この襟のデザインが果たす役割を理解することができる。パーツの大きさやデザインからこそ「強さ」を感じるが、アイテム全体としては「美」が追求されている。大きな襟によって上半身にボリュームを出し、ウエストを絞ることで、女性的なシルエットのボディラインを描くジャケット。そのデザインからは、「女性らしさ」をより華やかに、そして明確に表現しようとするブランドの強い意志が感じられた。ショーの後半で登場したのは、インパクトのあるイエローのドレス。フクロウの羽をイメージしてデザインされたこのドレスは、ショーの中でも抜群の存在感を誇った。この、羽のように柔らかな表地は全てカッティングによって製作されたもので、中井の技術が如何なく発揮された逸品だ。他にもこれまでのコレクションのイメージを踏襲した、鮮やかでありながらも、あくまで落ち着いた「大人」の女性に向けたアイテムが登場。美しいシルエットラインで、ラグジュアリーかつスマートな雰囲気を醸し出すアイテムを身に纏ったモデルたちは、まさに「暗中飛躍」する夜の生き物であった。
2017年10月21日フランスの宮廷文化を代表する磁器「セーヴル」の300年に迫る展示会2010年、国立セーヴル磁器製作所と国立セーヴル陶磁美術館が統合され「セーヴル陶磁都市」という新組織になりました。本展は、「セーヴル陶磁都市」の所蔵する名品・優品を約130点展示し、およそ300年におよぶセーヴル磁器の創造の軌跡を紹介する日本で初めての展覧会となります。国立セーヴル陶磁美術館のコレクション展が日本で開催されるのは、20年ぶりのことです。1740年、パリ東端のヴァンセンヌに誕生した軟質磁器製作所は、フランス国王ルイ15世(1710~74)の庇護を受けてパリ西端のセーヴルへ移転し、王立磁器製作所に成長しました。宮廷の彫刻家や画家たちが次々に考案する、洗練された形や絵柄。磁器というデリケートな素材の上に、いかなる形や絵柄も実現する、技術者たちの卓越した妙技。両者の真剣勝負が創り出すセーヴル磁器は、優雅で気品に満ち、またたく間にフランス内外の王侯貴族を虜にしました。以来、セーヴル磁器製作所は今日までヨーロッパ磁器の最高峰の一つに君臨しています。セーヴルの「18世紀」「19世紀」「アール・ヌーヴォーとアール・デコ」「1960年代~現在」の4章で構成セーヴルが協力芸術家として史上初めて受け入れた外国人は、日本の彫刻家・沼田一雅(1873~1954)でした。現在も日本の著名な芸術家・デザイナーたちとのコラボレーションは続いています。本展ではセーヴルと日本の交流についても作品を通じてご紹介します。創立から現在まで、常に時代の先端であり続ける「磁器芸術」セーヴルの姿を堪能できます。第1章 18世紀のセーヴル ---王の磁器---16世紀にポルトガルが、次いで17世紀にオランダがヨーロッパにもたらした中国磁器は、王侯貴族の間で大流行し、ヨーロッパ各地で中国磁器製作の秘術が探求されました。その結果まず完成したのが、16世紀イタリアのメディチ磁器をはじめ各地で製作された軟質磁器です。セーヴル磁器製作所の前身であるヴァンセンヌ製作所は、1740年、パリ東端に位置するヴァンセンヌの城の塔内で、軟質磁器の製作所として設立されました。ルイ15世の庇護の下、1756年に規模を拡大してパリ西端のセーヴルに新築・移転、王立セーヴル磁器製作所となりました。やがて、中国磁器のようにカオリンを用いた硬質磁器がヨーロッパでも製作できるようになりました。その嚆矢はザクセン公国が1710年に設立した、マイセン製作所です。セーヴルが硬質磁器の製作に成功したのは、公式には1770年のことでした。セーヴルを象徴する濃く麗しいブルーの地色の誕生セーヴルは当初、マイセン磁器を手本としていました。しかし1751年、ルイ15世の寵姫・ポンパドゥール夫人がセーヴル磁器に興味を示すようになると、マイセン磁器の模倣を止め、ポンパドゥール夫人(1721-64)の好みに応えて独自のスタイルを創出していきます。当代一流の宮廷芸術家たちが次々に新しい形と意匠を提案し、卓越した技術を持つセーヴルの技術者たちが磁器という素材の上に実現しました。その結果、セーヴル磁器に特徴的な、愛らしい子供たちや優雅な庭園を主題にした作品が生まれました。よりリアルな絵画表現のため無数の色絵具の新色が開発され、さまざまな壺や、大理石を思わせる無釉白磁のビスキュイ彫刻、セーヴルを象徴する濃く麗しいブルーの地色も誕生しました。本章では、セーヴルの芸術的挑戦が創り出し、18世紀の宮廷人の心を虜にした食器セット、壺、テーブルセンターピースなどをご紹介します。セーヴルのスタイルは東洋への憧れからもマイセン風からも脱却して、フランス独自の磁器芸術として 歩み始めたのです。パーヴェル・ペトロヴィチのティーセット 1772-73 年ⓒRMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) /Droits réservés / distributed by AMF ※無断転載禁止第2章 19世紀のセーヴル ---ブロンニャールと製作所の成功---フランス革命(1789~99)に端を発した大きな政治的混乱にもかかわらず、セーヴルは国有の製作所として存続しました。1800年から1847年まで所長を務めたアレクサンドル・ブロンニャール(1770~1847)は、19世紀の製作所を黄金期に導きました。鉱山技術者であると同時に鉱物学、地質学、動物学の研究者でもあった博識なブロンニャールの業績は、大きく4つに分けられます。第一に、鳥類学・植物学・地形測量学など広範な分野の知見を加えて、形や装飾を一新したこと。第二に、教育・技術双方に資するフランス初の陶磁とガラス専門の美術館を1824年に設立・公開したこと。第三に、画期的な製造技術を導入したこと。最後に、ステンドグラスや銅胎七宝など、磁器以外の火を用いる芸術分野にも挑んだことです。ブロンニャールの死後も、新技術の開発は盛んに推し進められました。一方造形面では、歴史主義の時流に倣い、装飾過剰とさえ言えるスタイルに達しました。製作所と美術館が現在の地に移転したのもこの頃(1876年)です。本章では、ブロンニャール時代の食器セットや壺などを中心として、広範な学問分野にまたがる豊かな知識とすぐれた技術が結晶した、19世紀のセーヴルの魅力をご紹介します。デザート皿《デュプレシ准将の戦闘と死》(エジプトのセルヴィスより)ジャック・フランソワ・ジョゼフ・スウェバー、ドミニク・ヴィヴァン・ドゥノン、アレクサンドル・テオドール・ブロンニャール(父) 1811年 セーヴル陶磁都市© RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF※無断転載禁止第3章 20世紀のセーヴル ---アール・ヌーヴォーとアール・デコ---19世紀後半、セーヴルを含む欧米諸国、日本、中国の陶磁器製作所は、万国博覧会で作品が一堂に会したことで互いに大きな刺激を受け、技術と芸術性の双方において競い合いました。ジャポニスムが隆盛をみたのもこの頃です。1897年に製作所の芸術部長に任命されたアレクサンドル・サンディエ (1843~1916)は、アール・ヌーヴォー様式を取り入れます。滑らかで洗練されたフォルム、植物を主要なモチーフとし左右対称性を強調した図案、各作品の形態に最も適した技法で施された装飾。すべてが完璧なレベルで調和した新しい作品群が誕生しました。それらは1900年のパリ万国博覧会において絶賛を博し、特にアガトン・レオナール(1841~1923)の優美で華やかなテーブルセンターピース「スカーフダンス」は、大きな評判を呼びました。ジャポニスムやアール・ヌーヴォーを経て、それまで外国人に門戸を開くことのなかったセーヴルが、1904年に外国人初の「協力芸術家」として日本の彫刻家・沼田一雅(ぬまたいちが)を受け入れたのは特筆すべきことです。一雅が提案した女性像や動物像はビスキュイ彫刻となり、その原型は今も大切に保管されています。一雅は、現在まで続く日本とセーヴルの交流の端緒とも言えるのです。1920年代には、形はさらに簡潔になり、装飾は幾何学的になって、質感や色彩の洗練が進みました。いわゆるアール・デコ様式の採用です。1920年に着任した所長、ジョルジュ・ルシュヴァリエ=シュヴィニャール(1878-1945)は、著名な芸術家、建築家、室内装飾家に協力を求め、1925年のパリ近代装飾美術産業博覧会では、斬新な形の壺や照明器具などを発表しました。そこで大きな成功を収めた製作所は、朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)などの重要な発注を受けるようになりました。本章では20世紀前半のセーヴル黄金期を築いたアール・ヌーヴォー様式とアール・デコ様式から選りすぐりの作品と、彫刻家・沼田一雅の作品をご紹介します。ダンサーNo.14(テーブルセンターピース「スカーフダンス」より)アガトン・レオナール 1899-1900年 セーヴル陶磁都市© RMN-Grand Palais (Sèvres, Cité de la céramique) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF※無断転載禁止第4章 現代のセーヴル ---ゴーティエの時代、現代の芸術家との協力---1960年代以降のセーヴル製作所は、歴代の名品の復刻を続ける一方、現代の著名な芸術家を招き、さらに魅力的な磁器芸術を創出することにも力を注いでいます。1963年に着任した所長セルジュ・ゴーティエ(1911~2004)は、フランスで活躍していた高名な抽象芸術作家たちに声をかけ、セーヴルに新しい現代性を吹き込んでくれるよう依頼しました。それに応え、アレクサンダー・カルダー(1898~1976)やセルジュ・ポリアコフ(1900~69)、エティエンヌ・アジデュ(1907~96)は、真っ白なカンヴァスに向かうがごとく、磁器の皿の上に描きました。またジャン・アルプ(1886~1966)は、彼の詩的で超現実的な世界観を象徴する、優雅な曲線で構成された壺を創作しました。ゴーティエの方針は受け継がれ、今日まで数々の有名な芸術家がセーヴルに新たな着想をもたらしました。時には製作不可能な空想にすら見えるアイデアを、セーヴルは技術と情熱の限りをつくし、磁器で実現しました。その挑戦が、新たな色、着色技法、素地についての研究をも進歩させることになりました。例えばルイーズ・ブルジョワ(1911~2010)の《ネイチャー・スタディ》、草間彌生(1929~)の《ゴールデン・スピリット》のように謎めいた彫像や、エットレ・ソットサス(1917~2007)のテーブルセンターピースのように自由に配置を変えられる、機能性を兼ね備えた作品もあります。これらは、セーヴル磁器の伝統的な「食卓の芸術」をすでに超越しています。《ゴールデン・スピリット》草間彌生 2005年 セーヴル陶磁都市 © Sèvres, Cité de la céramique, Dist. RMN-Grand Palais / Gérard Jonca / distributed by AMF※無断転載禁止本章では、建築・彫刻・絵画・デザインなど各分野の第一線で活躍する芸術家の自由な発想から生まれた、1960年代以降の作品をご紹介します。「六本木開館10周年記念展 フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」 開催概要会 期:2017年11月22日(水)~2018年1月28日(日)主 催:サントリー美術館、TBS、朝日新聞社企 画:セーヴル陶磁都市構 成:サントリー美術館会 場:サントリー美術館 (港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 )開館時間:10時~18時※金・土および11月22日(水)、1月7日(日)は20時まで開館。ただし12月29日(金)は18時まで開館。※いずれも入館は閉館の30分前まで休 館 日:火曜日(ただし1月2日、9日、16日、23日は18時まで開館)、12月30日(土)~1月1日(月・祝)入 館 料:一般1300円、大学・高校生1000円、中学生以下無料お問い合わせ先TEL.03-3479-8600
2017年10月21日アキコアオキ(AKIKOAOKI)が、「Amazon Fashion Week TOKYO 2018 S/S」期間中の10月17日、表参道ヒルズの本館B3F スペース オーで2018年春夏コレクションを発表した。アマゾンファッションによって招待された学生たちが大勢つめかけ、会場は立ち見が出るほどの盛況ぶり。注目度の高さがうかがえた。今回のコレクションについて青木が「“ループ”と“淡さ”をテーマに、答えを出さないこと、終わりと始まりがないこと、白黒をはっきりさせない曖昧さを表現するため、身体のラインを出さないシルエットを意識した」と語る通り、フリルやギャザーが過剰に入ったルックや、ジョーゼットを重ねて裾にボリュームを持たせるなど、体形を「淡く」カバーしたルックが目を引いた。また、シャツやワンピースの上に、開放した状態のコルセットを重ねたり、ブラトップを張り付けたルックには、本来身体を拘束する役割をもつアイテムを開放的に見せることで新たなデザイン性を追求する意図が込められていたのだという。随所にドローコードやベルト、サスペンダーをふんだんに使うことで、テーマの「ループ」とスポーティーさを表現したようだ。序盤はやわらかなピンク、ストライプ柄、ジョーゼットにビニールの箔加工を施したスモーキーブルーなどのカラーパレットで、次第にブライトなグリーン、真っ赤なニットなどヴィヴィッドなカラーが増えていった。これには淡い色からパワフルでフレッシュな色まで、個々で相反するものを、あえてぶつけて見せる意図があったようだ。モデルたちの耳元や首元には、石上理彩子が手がけるジュエリーブランド・モイル(moil)のジュエリーが身に着けられ、華を添えた。ランウェイを歩いたモデルたちがステージに並びフィナーレを迎えた演出について「1体1体で完結させるのではなく、それぞれの関連性やコレクション全体を俯瞰で見せたかった」と青木は語る。この演出により、淡く途切れなく続くかのように思われたコレクションが、くっきりと、迫力のあるショーとなったように思う。デザインと演出の妙で、「淡さ」と「ループ」を見事に表現した青木の想いが伝わるショーだった。
2017年10月21日アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)の2018年春夏コレクションが、2017年10月18日(水)に、東京・渋谷ヒカリエで発表された。モデルとして、元KAT-TUNの田口淳之介が登場。今季のテーマは、「ZIP OUT TO THE WORLD」。戦国時代を現代のファッション界になぞらえ、アクオド バイ チャヌならではのカッコよさを、弾丸のごとく世間に撃ち込んでいく。また、既成概念にとらわれず、アグレッシブに時代を突き進んだ戦国武将・織田信長にインスピレーションを得て、甲冑や弾丸、家紋といったディテールが散りばめられたコレクションだ。ショーは、織田信長が演じたともいわれる伝統的な舞、「幸若舞 敦盛」で幕を開けた。緊張感の中、続いて登場したのは甲冑を身に着けたストリート・ダンサー。パワフルなダンスが、斬新な世界の始まりを予感させる。目に飛び込んできたのは沢山のハトメだ。ハトメはファスナーとともに、肩や袖にびっしりと施され、硬質な防具のように身体を包み込む。モデルの頭にも、ハトメやファスナーの引手を装着し、金属の光が静かな存在感を放つ。流れるように布地を走るファスナーは弾道を示し、テーマの「ZIP OUT」と共鳴する。これまでモノトーンのピースを発表してきたアクオド バイ チャヌだが、今回は幾何学的な柄のプリント、レース、赤や黄色といったカラーが目立った。ユニークな柄は、実物の甲冑の文様をもとに、オリジナルで作り上げたもの。甲冑プリントは、レースやゴールドの素材、もしくは全面プリントで華やかに表現され、士気を高めていく。赤や黄色といった原色のカラーリングは、より一層黒の存在感を引き立て、強いものへと変えていく。ブランドマークを組み合わせて作られた家紋や、「下克上」「新黒扇動」の文字を刺繍したルックが宣言するのは、世の中に切り込んでいくアクオド バイ チャヌの強い意志。ショーの最後に垂れ幕でも登場した「新黒扇動」という言葉は、“アクオド”の当て字と、“世界を扇動していきたい”というメッセージのダブルミーニングになっている。
2017年10月21日モト ゴー(MOTO GUO)の2018年春夏コレクションが、表参道ヒルズで2017年10月17日(火)に発表された。東京で2度目のショーとなった、マレーシアを拠点とするモト ゴー。今シーズンのテーマは「TO KINDER」だ。デザイナーのモト ゴーが、自身のパートナーであり、ビジネスパートナーでもあるキンダー エング(Kinder Eng)に贈るコレクションでありながら、もう一つの側面も潜んでいる。KINDERとはドイツ語で「子供」を意味する。本コレクションは「子供」にオマージュを捧げ、徐々に大人になっていく様子が描かれた。序盤に目立つのは、幼稚園児が着用するようなブルマ。そして腰に巻かれた枕モチーフのポシェットだ。この枕は子供から大人まで、成長しても変わらず使い続けるものとして取り入れられた。トップスには、よだれかけを彷彿させるディテールが取り入れられ、多くのウェアには幼児服を思わせるベルベットリボンやフリルがデザインされている。また、“あっかんべえ”をしたかのように見える口元のアクセサリーは遊び心を感じさせた。そんな子供もいつか成長をする。徐々に着こなしは変わり、女性はスカートにジャケット、男性はキラキラとしたビースで輝くネクタイを締め上げ、パステルカラーのビジネスバッグを持って歩いて行く。ウェアにチェックやギンガムといった柄と淡いカラーリングを取り入れ、どこかレトロでノスタルジックさを感じさせるモト ゴー風の“大人”が表現された。
2017年10月20日ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)の2018年春夏コレクションが、東京・恵比寿 ザ・ガーデンホールにて発表された。ファーストルックを飾ったのは、澄んだ空の様なブルーの2体のドレス。心が弾むような明るい音楽に合わせて、軽快なリズムをとるかのようにシフォン素材が揺れ動く。水彩画の様に柔らかなタッチで描かれた花々は、奥ゆかしくも華やかにドレスを彩る。春夏の暖かい日差しのもとで、開放的なムードが漂う。爽やかでフェミニンな空気感を演出するのは、様々な花の表現だ。ひらひらと風に揺られる花びらを思わせるデザインのブラウスや、群生する小花模様のプリントワンピース。繊細なタッチで描かれたボタニカルプリントはニットカーディガンと、異素材のドレスのセットアップに落とし込まれた。カーディガンの柔らかい質感と、ドレスの光沢感がマッチし、表情豊かなスタイリングに。エレガントな刺繍が描き出す花々は、ラメで輝きを増し気品あふれる存在感を放っている。オープンで自由な雰囲気は、リラックスしたシルエットに由来する。さらりとした落ち感のプリーツパンツや、ストライプのワイドパンツなど、一見カジュアルなアイテムも、ソフトな素材と合わせることで上品さをプラスしている。明るいイエローのギャザースカートは、独特のシワ感が緊張感を解き放ち、ボーダーのニットと組み合わせて軽やかに。ホワイトのスニーカーや、シルバーのかごバッグ、デニムバッグなどの小物類も、優雅で心地良いリズムを作り出している。メロウな音楽に切り替わると、空気が変わった。現れたのは、煌びやかなドレスの上から透け感のあるブラックのガウンを羽織ったルック。頭にはスカーフを巻き、華やかさを敢えて隠すかのようだが、そのミステリアスな印象が優雅なオーラを強調する。後に続くのは、ひたすらに明るく豪華絢爛な世界だ。コレクションを締めくくるのは、みずみずしいライトグリーンのオーガンジーを幾重にも重ねたドレス。躍動感たっぷりにふわりと広がる様子は、楽しく生き生きとした光に満ちている。
2017年10月20日TOGA(トーガ)の2018年春夏コレクションが東京・国立新美術館にて発表された。12年ぶりとなる日本でのショーは、20周年を記念したものだが、デザイナー・古田泰子にとってはあくまでも現在進行形のTOGAを見せる場所としての想いが強いショーだった。会場に都会の喧騒が流れ始め、ショーが始まると、モデルは国立新美術館の長いエスカレーターを下りてランウェイを歩く。ロンドンでこれまで発表されてきたコレクションと違うのは、メンズとウィメンズを両方展開させたこと。デザイナーが日本という土地でショーを開催するにあたってボーダーレス、ジェンダーレスを意識した結果だ。今季の"HOLES,SUITS,CRUMPLED"というテーマの通り、前後にえりのあるシャツや丈が極端に短いテーラードなど、スーツスタイルをとにかく様々に変形したワードローブを展開。ショー中、音楽の勢いが変化し、その変形もより過激なものに。他にも袖がノースリーブ風に破れたテーラードや、裏返しに着ているように見えるジャケットなど、自由に変形を重ねている。多数登場する、バックスタイルで背中が大胆に空いているトップスや、足を裾から出して着る変形のプリーツスカート。既存の服では見ることができないが、TOGAの服でこそ見ることができる「第三の肌」をそこに出現させる。ショーが進むにつれ、ホログラムのような虹色のドレスなど、コレクションは、さらに軽やかに自由に変化を遂げる。片方の肩に大きく穴を開け、ブラトップとレイヤードして着るワンピースも登場。穴を開けたり、大胆なカッティングであったり…身に纏う人も制約から解き放たれる洋服を提案し続ける現在のTOGAを、現代的な夜の美術館で確認できるショーであった。
2017年10月20日アキコアオキ(AKIKOAOKI)の2018年春夏コレクションが2017年10月17日(火)、東京・表参道ヒルズにて発表された。今季のテーマは「ループ」と「淡さ」。終わりと始まりがないもの、答えを出しきらない日本独特の価値観を意識したコレクションだ。わざと開かれてぶら下げられたブラトップやコルセットなどが複数のルックに度々登場する。これは、本来体を拘束するものを開放的に見せることでアイテムを生まれ変わらせたもの。ぶら下がったドローコードや巻き付いたベルトはテーマの「ループ」を意識。ワークウェアのようなオーバオールの太いベルトはスポーティな印象も。ぼやっとした色合いのグリーンオールインワン、ジョーゼットにビニール加工したドレス、ジャストサイズのはずのニットに不思議なひだをわざと作り出したり…体の形を隠すわけでもないが、見えきらない「淡い」シルエットを、テキスタイルやカラーで表現している。カラーパレットは序盤モノトーンからパステルピンク、ショーが進むにつれてビビッドカラーが登場する。これは「淡さ」と「パワフルさ、フレッシュさ」という相反するものをぶつける、デザイナーの試みだ。最後はモデルが並びポージングをして、ショーは幕を閉じた。そこには一体一体で完結せず、俯瞰した目でコレクション全体を見て欲しいというデザイナーの思惑が。「淡さ」を表現しながら、きちんと一貫性を持った「ループ」で見せたい思いが伝わるランウェイだった。
2017年10月20日ティボー(thibaut)2018年春夏コレクションが、渋谷ヒカリエにて2017年10月17日(火)に発表された。今シーズンのテーマは「リハーサル」。Amazon Fashion Week TOKYOに初参加となる同ブランドが表現したのは発表会の本番ではなく、ゲネプロをイメージした、未完成であえて荒削りなリラックスウェア。デザイナー・伴 芽衣子が幼少期に習っていたというバレエ。その時の記憶から、リハーサルで着用されるレオタードやレギンスに加え、リネンコットン素材の羽織りなどが生み出された。どれも着心地の良さと程よいリラックス感が醸し出ている。また、舞台を夢見て練習するバレリーナを彷彿させる、ロマンティックなチュールスカートやボリューミーなフリル、ホワイトレースを取り入れたトップスやパンツなどもポイント。そこに加わるのは、斬新なリメイクデニムウェアだ。どれも原宿の古着屋メランジェ(MELALNGE)を手掛ける伴ならではのデザイン。デニムパンツは大部分が剥ぎ取られ、ガーター風のアクセサリーとして生まれ変わり、着古したパンツは見事なカッティングでキャミソールへと姿を変えている。着こなしは、リハーサルウェアとリメイクデニム、そして日常的でラフなストリートアイテムを組み合わせたミックススタイル。レオタードにプルオーバーやリメイクデニムをぶつけたり、フリルトップスにスポーティなパンツを合わせたりと、気負いしないことで生まれるアンニュイさやセクシーさを感じさせた。
2017年10月20日シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)の2018年春夏コレクションが、2017年10月16日(月)に発表された。今季は”NUDISTS BEACH” をテーマに、カジュアルドレスや日光浴を楽しむビーチスタイルを提案している。カラーパレットは、レッド、ブラウン、ブラックなど。デコルテを美しく見せるレッドプルオーバーや、ビーチの風景が描かれたノースリーブコートのブラウンは、ビーチで日焼けした様々な色の肌を表現。陽に当たって輝く砂浜をグリッターで描き、その中にパラソルに見立てたブラックの花を並べたジャガードワンピースも。ウエディングというテーマで、ブライダルを華やかに彩るカジュアルなワードローブを展開。大胆な花のモチーフのレースカジュアルウェアは、スイムウェア風のインナーとレイヤード。カメリアのモチーフが刺繍されたリネンコットンやオーガンジーは、幸福感に満ちたシーンを想起させる。一方、ビーチというテーマで展開されるのはシルクニットのレオタードや、水着とスタイリングして楽しむガウンコートやニットドレス。日焼け止めボトルと美容液チューブをヘアクリップにしたコスメモチーフや、まるで砂浜の上に書かれた文字のような型押しスエードバッグなどの小物も、ビーチのヘルシーな雰囲気を高めている。素肌のようにマットでなめらかなニットは、海の風に吹かれて揺れる。繊細な糸で編まれたカットソーは肌を覆う透明な膜のよう。繊細なウエディングと、ヘルシーな日光浴のイメージがゴージャスに融け合ったコレクションだった。
2017年10月20日ケイスケ ヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2018年春夏コレクションが2017年10月17日(火)、表参道ヒルズ スペース オーで発表された。クリエイションの動機は、日常の中での無気力に始まる。前回のコレクション発表後に無力感に見舞われたというデザイナーの吉田圭佑は、初心に立ち返ってリラックスした日常着を作ることから着手した。1970年代のヒッピー達が感じていた、世間の抑圧された空気感を重ね合わせ、より自由な姿勢や発想を求めて表現に落とし込んだコレクションだ。ヒッピースタイルを象徴する、パンタロンや厚底のシューズはサイケデリックな色彩が目を引く。赤やマスタードイエロー、ビビッドピンクやグリーンなど、ポップな色調が開放的な陶酔感へと導く。パンタロンに施された、膝下の切替部分にはスポーティーなリブをあしらい、裾にはギャザーを寄せてフェミニンなフォルムに。様々な要素を盛り込むことで、既成の型を外していく。Tシャツの裾を縛るような開放的なイメージで作られたのは、大胆なカッティングと組み合わせられたいくつものリボン。所々あえて結ばずにルーズな部分を残したり、結び目によって布地の動きを決定したりと、リボン結びが服を形作っていく。発想次第で多彩な着こなしが実現可能だ。硬質な服に自由な風を吹き込んだのは“穴”。既に服として成り立っていたものに、1個穴を開けただけで、新しい服の形が生まれ、可能性の幅が広がっていく。袖に切り込みを入れたブラウスや、前身頃に大きな穴を二つ開けたワンピースやベスト。従来であればかっちりとフォーマルな印象のアイテムも、大きく開かれた“穴”によって柔軟になり、スポーティーなアイテムと合わせてもスタイリングが成立する。この場に定められた着こなしは存在せず、思うままに服を着て良いのだと感じられる。ショーを盛り上げる音楽は、爆音のロックやプログレッシブ・ロック。何からも束縛されず、ありのままに自由を謳歌する、そんな高揚感が会場を満たしていた。
2017年10月20日古川雄輝が主演を務め、『猟奇的な彼女』『ラブストーリー』のクァク・ジェヨン監督が贈る日韓合作『風の色』。この度、本作の公開日が2018年1月26日(金)に決定。あわせて予告編と日本版ポスターが公開された。突然目の前から消えた恋人・ゆり(藤井武美)の死から100日、彼女との想い出の品々を胸に、失意のどん底からマジシャンになることを決意した青年・涼(古川雄輝)。その後、“自分と生き写しの人間”の存在に気付き始めた彼は、生前「私たちはまた会える」、「流氷が見たい」と言っていた彼女の言葉に導かれるように、北海道へと向かう。そして、旅の途中で偶然出会った、亜矢と名乗る、ゆりと瓜二つの女性(藤井さん/二役)。彼女もまた、2年前の事故により行方不明になっていた、涼と瓜二つの天才マジシャン・隆(古川さん/二役)との再会を待ち望んでいた――。もし、別次元にこの世界と全く同じ世界が存在し、そこに自分とまったく同じ人間が生きていたら――?本作は、流氷の北海道・知床と桜舞い散る東京を舞台に、時空を超えた2組の男女が繰り広げる“究極の愛の物語”。主演を務めるのは、中国版ツイッター「Weibo」において158万人を超えるフォロワー数を誇り、「僕だけがいない街」や新ドラマ「重要参考人探偵」、さらに出演した映画『曇天に笑う』が公開を控える古川さんと、公募オーディションで約1万人の中から選ばれた藤井武美。そして、竹中直人、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子といった実力派・ベテラン俳優が脇を固めている。今回到着した予告編では、東京で暮らす涼が、突然消えた彼女・ゆりを探しに北海道へ向かったところ、自分とそっくりのマジシャン隆を見て不思議な出来事に巻き込まれていくという、ファンタジックでミステリアスなシーンが散りばめられている。また、北海道・知床での大掛りな脱出マジックのシーンも登場。そして、Professor Greenの挿入歌「Read All About It(Feat Emeli Sande)」と、美しい流氷のシーンがより一層物語を盛り上げている。同時に公開された日本版ポスターは、遠くを見つめるような古川さんとヒロイン・藤井さん2人の顔のアップが切り取られ、左下には雪原の上を歩いてどこかに向かうかのような2人の姿が写し出されている。『風の色』は2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年10月20日ポプロ バティック(POPULO Batik)が2017年10月16日(月)に東京・渋谷ヒカリエで2018年春夏コレクションを発表した。インドネシアの伝統的なバティックを有して、もっとモダンに、もっと現代人に身近なものに昇華し、そして伝えていこう。そんな思いをもって「Amazon Fashion Week TOKYO」を最新コレクションの発表の舞台に選んだポプロ バティック。今回のショーでは、3つの異なるシーンでそれを叶えようとした。まず一つ目は「山(MOUNTAIN)」。メンズモデルによるランウェイでは、キルティング加工によって力強さを増したコットン素材と、無骨な風貌のレザーを組み合わせることでスタイルを形成している。ほぼブラウン一色でありながら、そこにははっきりと地層や岩を想わせる荘厳さが眠る。プリーツやギャザー、そして縦、斜めなど縦横無尽に走るステッチが、プリミティブな男性性とモダンな男性性を融合させている。場面が移り変わり、ウィメンズモデルたちが登場し、次にテーマとして掲げられたのは「川(WATER)」。シアーなシルク素材と、切りっぱなしのコットン素材。まるで流れる水のように自由に揺らぐドレスルックは、まるで1枚仕立てのような民族衣装独特のシルエットでありながら、そこにはプリーツやギャザーなどが混ざり、ふとした瞬間に現代女性のフェミニンさを感じられる。そして最後のテーマは「人々(PEOPLE)」。しかし、それを表現したのは今まで目にした「山と川」の2つの重なり、つまりは人が生きていく場所だった。シアーな素材は硬質的なキルトのヘムによってランダムな動きを見せる。今までなかった刺繍も加わり、よりトラディショナルな技が色濃く投影される。2つを当てはめていることは、こうしたテキスタイルや色使いで一目でわかるが、やはりベースは“伝統衣装”。ボトムスのレイヤードや結びの重なり、着物のような前合わせ。時にこれらは形を崩し、現代のバティックへと変化を遂げている。
2017年10月19日