幼少時をヨーロッパで過ごし、同級生に貴族もいたという環境で培われた美学を盛り込んだ舞台が人気の演出家、藤沢文翁。彼が原作・脚本・演出を手掛ける音楽朗読劇『VOICARION(ヴォイサリオン)』が、豪華キャストを集めて上演される。公演は前半(8/27(土)~9/2(金))が日替わりキャストによる『女王がいた客室』、9/3(土)~9/5(月)が別キャストでの『Mr.Prisoner(ミスター・プリズナー)』。今回は藤沢と、『女王~』に出演する水夏希に話を聞いた。音楽朗読劇『VOICARION(ヴォイサリオン)』チケット情報20世紀初頭のパリ。従業員の多くがロマノフ王朝の生き残りとされるホテル「バッサーノ」は、"宿泊すると願いが叶うホテル"ともいわれていた。元の暮らしに戻ることを夢見るコンシェルジュのアレクサンドル・パーレン、ギャンブルと酒が好きでマダムの召使いのようになっているマイカ・デミドフも、元貴族。さらに黒いベールで顔を隠して長逗留しているマダムは、かつてのロシア皇帝アレクサンドル3世の皇后だった。そんな中、ただの客室係エレオノーラはマダムたちに振り回されながらも、女優になるという夢を追いかけていたのだが……。演じるエレオノーラを「天真爛漫ないわゆる“新人類”。自分とは思考回路が異なる役ですね」と言う水。「元宝塚スターに売れない女優の役なんてさせてスミマセン」と頭をかく藤沢には笑いながら、「でもその分、やり甲斐があります。それに私の世代も宝塚音楽学校に入った頃は、上級生から“新人類”って言われてましたし」と水が返すと、今度は藤沢が我が意を得たりとうなずいた。「実は、僕が水さんに託したいのはそこなんです。間違っていようがなんだろうが、“新時代を担う人間の強さ”ってありますよね。その"強さ"が未来を変えてゆく。水さんはいるだけでオーラを感じる方ですし、そういう意味ではエレオノーラ役にピッタリじゃないかと思って」と、配役の意図を語った。今回の出演を、「藤沢さんの作品を観ていて『あっち(作品)の世界に行きたい』と思っていたので、念願が叶って嬉しい」と話す水。魅力のひとつに「豪華な衣裳と美しいセット」を挙げると、藤沢が「実は演者の動きが少ない朗読劇だからこそ、衣裳は“足が開かない”“動くには重すぎる”などの制約を受けないで済む。それは美術セットも同じで、実用性より美しさを優先できるというメリットがあるんですよ」と語った。水も「声がメインの朗読劇だからこそ、お客様により多くの想像力を委ねられるというのもありますよね」と同意。「宝塚に在団時は、声をどういう風にしようかというところから役作りをしていました。今回もその点を意識しつつ、藤沢さんの世界に入っていければ」と、本作への意気込みを語ってくれた。公演は8月27日(土)から9月5日(月)まで東京・シアタークリエにて。取材・文佐藤さくら
2016年07月26日昨夏、フランス政府が総力を上げてパリで開催、熱い注目を集めた「LASCAUX INTERNATIONAL EXHIBITION(ラスコー展)」が、ついに日本にやってくる。しかも今回催される「世界遺産 ラスコー展~クロマニョン人が残した洞窟壁画~」は、世界巡回中の内容に日本独自のコンテンツを加えた特別展。東京・国立科学博物館(11月1日(火)~2017年2月19日(日))の後、宮城・東北歴史博物館(2017年3月25日(土)~5月28日(日))、福岡・九州国立博物館(同7月11日(火)~9月3日(日))と、約1年をかけて日本を巡る予定だ。その記者発表会が6月13日、東京の会場となる国立科学博物館で行われた。「ラスコー展」チケット情報「ラスコーの洞窟壁画」は、約2万年前にクロマニョン人によって描かれた壁画のなかでも、ずば抜けて鮮やかな彩色画で知られる。フランス南西部・ヴェゼール渓谷にあるこの壁画が、地元の少年らによって発見されたのは1940年のこと。たちまち見学者が押し寄せて状態が悪化したために、残念ながら現在では見学禁止となっているが、洞窟そばに設置された実物大のレプリカは、今もフランスで人気のスポットだ。本展ではそれをさらに1ミリ以下の精度で再現、“世界の芸術の起源”とも言われるラスコー洞窟の内部を体感できる仕掛けだ。さらにクロマニョン人が残した彫刻や道具など、選りすぐりの実物資料も併せて展示。2万年前の人類の暮らしぶりがひと目でわかる内容となっている。会見では、同博物館・人類史研究グループ長で本展の監修者でもある海部陽介氏が、「夢に描いていた展覧会」とその内容を表現。フランス国立考古学博物館の全面協力のもと展示される実物資料は、トナカイの角で作られた彫刻「体をなめるバイソン」や、壁画を描く際に使われたとされる「ラスコーのランプ」など、「"国宝級"の品ばかり」(同氏)。「借りられること自体が驚き」と海部氏が言うほどの逸品ぞろいで、その他、"ヴィーナス"と呼ばれる小立像や、ネコ科の動物をモチーフにした投槍器など、どれも日本初公開となる。その後、本展協力者である五十嵐ジャンヌ氏(東京芸術大学講師)や佐野勝宏氏(東京大学総合研究博物館特任助教)、佐藤宏之氏(東京大学教授・日本旧石器学会会長)も登壇。「石器の製作技術の進化を感じ取れるような展示」(佐野氏)、「同時代の日本の旧石器時代も紹介したい」(佐藤氏)と、それぞれに見どころを語った。会見用に展示された資料のレプリカを間近で確認すると、上記の「~バイソン」は12、3センチほど、また投槍器は10センチほどの大きさ。てのひらに収まるサイズに刻まれた、その繊細な彫刻に驚かされる。「当時の高い技術力と共に、豊かな人間性も感じてほしい」という五十嵐氏の言葉に、本展への期待がいっそう高まった。お得な早割ペア券は7/1(金)よりチケットぴあにて販売。取材・文佐藤さくら
2016年07月01日劇団四季在団中は数多の作品でヒロインを務め、退団して活動再開後もたった4年で、今や日本ミュージカル界を代表する存在となった濱田めぐみ。彼女の芸能活動20周年を記念して、ミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』が上演中だ。新国立劇場小劇場という客席400の濃密な空間で繰り広げられるのは、なんとソロ・ミュージカル。しかも『キャッツ』『オペラ座の怪人』の作曲で知られる巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーの手による、約40年前に初演された作品というから注目だ。ミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』チケット情報舞台はニューヨーク。スーツケースををぶらさげてロンドンからやってきたエマ(濱田)は、デザイナーと幸せな恋愛というふたつの夢を描いて胸を膨らませていた。ところが頼りにしていたニューヨークの恋人に裏切られ、女友達の家に転がり込むはめに。次にエマが恋したのは、大金持ちの映画プロデューサー。彼と共にロサンゼルスに移り住んだエマは、自分のスケッチを見てもらおうと意気込むが、恋人に軽くあしらわれてしまう。その後、自立を目指して再びニューヨークに戻ったエマだったが、年下の恋人との穏やかな時間も、やがて……。舞台奥から客席の前まで敷かれた白い"道"と、左右に同じく真っ白な布が天井から垂れ下がっているほかは、いくつかのトランクが置かれているだけのステージ。そこに登場した濱田も、最初は白いTシャツにショートパンツ姿だ。だが冒頭、シンプルな夢を抱いて都会に出てきたエマの歌声は、出会いと別れを繰り返して少しずつ陰影を増してゆく。弾けるような笑顔の少女が、挫折と現実を知った女性の横顔を見せるようになる。くるくると変わる表情や細やかな仕草で魅せる濱田を堪能するにつれ、セットなどの要素をギリギリまで削ぎ落としたスタッフの意図がわかるような気がした(演出/市川洋二郎、舞台美術/伊藤雅子)。楽曲は、当時の全英チャートにも入り、イギリスでは今も有名な曲だという「放っておいてよ」や、セリフをそのまま音に乗せたような「言わせて」など、どれもロイド=ウェバーならではのキャッチーなポップスばかり。一方で変拍子が多く、歌い手泣かせと言われる彼の曲だが、緩急自在に歌いこなして観客をグイグイと引き込むあたりは濱田の真骨頂。また舞台の白い壁面に映し出される映像は水彩画や軽いスケッチで、物語をさりげなく支えて印象に残った(映像/上田大樹)。「この何処にでもいるような女性の人生を描くことができるのは、類稀なる才能を持った女優だけ」(Whatsonstage.com)といわれる本作を、70分ノンストップで演じきる濱田。その言葉を見事に体現した彼女に、改めて感じ入る1本となった。公演は6月26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2016年06月14日今年、連載開始から20周年を迎え、「なかよし」(講談社)にて新連載をスタートさせた「カードキャプターさくら」。この度、連載開始に加え、新アニメプロジェクトが始動した事が明らかになった。「カードキャプターさくら」は、1996年より「なかよし」にて連載されていたCLAMPの同名大人気漫画。主人公・木之本桜が、ある日、父・藤隆の書庫で不思議な本を見つけるところからスタートする。その本の中には魔法のカード、“クロウカード”が入っていたが、ひょんなことからカードが町中にばらまかれてしまう。残された本の中から、ケルベロスと名のる奇妙な生き物が現れ、本に収められていたクロウカードの封印が解かれるとき、“この世に災いが起こる”と言うのだ。ケルベロスはさくらに封印の鍵を与え、カードを捕獲するカードキャプターになるよう命ずる。そしてその夜からさくらのクロウカード集め日々が始まっていくという物語。原作全12巻の単行本(なかよし60周年記念版は全9巻に再編成)のほか、 イラスト集、クロウカードセットなどの関連書籍も多く、 累計発行部数は1,500万部を突破。1998年からはアニメ化もされ、「クロウカード編」「さくらカード編」が放送。そして1999年、2000年には劇場版も公開されている。また漫画は、「クリアカード編」の連載が本日3日(金)発売の「なかよし」にてスタート。掲載決定発表時から大反響を呼んでいた16年ぶりとなる今回の新編は、中学1年生になった主人公・木之本桜と仲間たちの物語が描かれていくようだ。なお、連載20周年を記念したプロジェクトとして、イラスト集や新たにグッズも続々と登場し、公式Webサイトもリニューアル。さらに現在、NHK・BSプレミアムにて「クロウカード編」が再放送されている。漫画とア二メの新たなるスタートに盛り上がりをみせている本作。どんな内容のアニメとなっていくのか、続報にぜひ期待したい。(cinemacafe.net)
2016年06月03日2012年に鮮烈なデビューを飾って以来、ジャズ・シーンの若き担い手として注目されている桑原あい。彼女の4枚目のアルバム『ラブ・テーマ』は、桑原(ピアノ)と森田悠介(エレクトリックベース)、須川崇志(アコースティックベース)、石若駿(ドラムス)による、桑原あいトリオ・プロジェクトのカバーアルバムだ。冒頭から映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)の名曲『デボラのテーマ』に挑むなど、彼女の内的世界が映像となって浮かび上がるような全10曲。本作に込めた想いを、桑原に聞いた。【チケット情報はこちら】「実は私、自分のことをあまり"ジャズピアニスト"だとは思っていなくて(笑)。クラシックは今でもよく弾いているし、ミュージカルも映画も大好き。ジャンルを気にせず観たり聴いたりしてきた結果、今回は"好きなもの"ばかりが詰まったアルバムになったと思います」という桑原。その言葉通り、爽やかな『Here There and Everywhere』(レノン&マッカートニー)、美しく力強い『Finale(Tango Apasionado)』(ピアソラ)、プレーヤー全員が参加した『A Journey To Reedham』(スクエアプッシャー)、さらにマイルス・デイビスの名演で有名な『In Your Own Sweet Way』を桑原がゆったりとしたソロで聴かせるなど、次々と登場する曲はどれも鮮やかに異なる色彩を放つ。さらに注目したいのは、全曲を一発録りした点。桑原は「ずっとエンニオ・モリコーネ(『ニュー・シネマ・パラダイス』などの音楽も担当した巨匠)の大ファン。だから彼の『デボラのテーマ』は特に緊張しました」と語る。「でもリハーサルをやってから録るのは、音の道すじが見えてしまうようでイヤだったんです。個人的なエゴイズムなどを越えて、大きな意味での"愛"を表すこの曲を、心を研ぎ澄ませて出てきたものだけで奏でたかった」と桑原は言う。「5分くらいで録り終えたかと思った(笑)」という同曲は、実に11分。静謐かつライブ感あふれる1曲だ。一方、キューブリック監督の映画『バリー・リンドン』(1975年)からインスパイアされて桑原がアレンジした「ラブ・テーマ」は、映画が描く18世紀アイルランドの空気感をドラマチックに醸し出す。ちなみにアルバムタイトルも同じだが、こちらは「音楽そのものへの愛と、音楽家たちが刻んできた歴史へのリスペクトを込めました」と桑原は言う。「カバーだからといって、自分たちのものにするなんて気持ちは一切ない。全ての原曲の美しさをどこまで残せるかだよねって、皆で話しながらレコーディングしたんです」と、先人たちへの熱い想いを語ってくれた。それでもこぼれ落ちるものが個性というのなら、ここにそれがあるのは明白だ。瑞々しいアプローチの軌跡を、本作でぜひ味わってほしい。桑原あいは7月12日(火)に東京・東京オペラシティリサイタルホール、12月7日(水)に東京・サントリーホールブルーローズ(小ホール)で公演を開催。チケット一般発売は5月21(土)午前10時より。取材・文:佐藤さくら
2016年05月20日2年前の日本初演時、ドラマチックな楽曲と深い物語性、予想を越えるスリリングな展開で話題を呼んだ『ブラック メリーポピンズ』。韓国で2012年にヒットした舞台の日本版だが、演出に鈴木裕美、上演台本に田村孝裕と、こちらも日本演劇界の実力者が集結した。今回の再演にあたっては、同じスタッフはもちろん、初演キャストの一路真輝と小西遼生、良知真次、上山竜治に加え、これが初舞台となる中川翔子が出演。注目の集まるなか、5月13日のゲネプロの前に囲み会見が行われた。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報1920年代のドイツ。有名な心理学者として知られるグラチェン博士の屋敷で火事が起き、博士の遺体も燃え尽きてしまう。だが彼の養子たちーーハンス(小西)、ヘルマン(上山)、アンナ(中川)、ヨナス(良知)は、家庭教師のメリー・シュミット(一路)によって、猛火から救い出される。ところがその翌日、彼女は失踪し、子どもたちも次第に事件の詳細を忘れてゆく。それから12年後。ハンスたちは、博士が当時書きつけていたという手帳の存在を知る。そこに書かれていた驚くべき真実とは……。囲み会見では、キャストの5名が登場。中川は「(稽古中は)『皆様の足を引っ張ってはならない!』とガチガチになって。胃薬も飲んでました」と緊張の面もち。その一方で「コンサートと違ってお芝居は皆で作るものだなと。"ちゃんと(アンナの)人生を生きる"って思っていると、(芝居中も)涙が出てきたり、心が裸になる感じがします」と手応えを感じている様子だ。一路も「翔子ちゃんたちは、子ども時代と大人になった現在とを演じ分けなきゃいけないんですが、私は子ども時代のアンナちゃんがすごく可愛くて。メリーが母親のようにアンナたちを思う、そんな役の気持ちを翔子ちゃんからもらっています」と語った。小西や上山、良知も、揃って中川との顔合わせを新鮮に感じているという。「(中川の参加で)兄弟の関係性も前回とは全然違っていて。イチから新しいものを作っている感覚」と言うのは小西だ。続いて上山が「中川さんは最初全く目が合わなくて。最近はやっとコミュニケーションがとれるようになったんだよね」と優しく中川に言うと、恐縮する中川に一路たちは大笑い。本当の兄と妹のような温かい雰囲気に、思わず取材陣からも笑いが漏れた。とはいえ“心理スリラーミュージカル”と銘打つ本作では、歌や芝居のほかにも素早い舞台の進行など、多くのハードルがそびえるのも事実。それについても良知は、「中川さんは段取りを覚えるのが早くて、歌声も綺麗。堂々としてますよ」と太鼓判。最後は中川が「全力全身で挑みたい」と改めて表情を引き締め、心地よい緊張感のなか会見は終了した。5月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、6月3日(金)から5日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9日(木)福岡・福岡市民会館 大ホール、17日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで上演。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2016年05月17日唐々煙原作の人気コミック(マッグガーデン刊)を忠実に舞台化、昨年スマッシュヒットを記録した『曇天に笑う』。災いをもたらすといわれる伝説の大蛇を巡って、華麗なアクションと兄弟愛や人間愛をも盛り込んで描かれる〈明治婆娑羅大活劇〉だ。メインキャストの曇家三兄弟に扮する玉城裕規と植田圭輔、そして百瀬朔に、本作への想いを聞いた。舞台『曇天に笑う』チケット情報明治11年。琵琶湖に設けられた重犯罪者専用の“獄門処”は、脱出不可能な監獄として知られていた。明治維新以来、政府に不満を抱く者たちが続出し、“獄門処”への橋渡しを請け負う曇家の天火(玉城)、空丸(植田)、宙太郎(百瀬)も忙しい毎日。そんな折り、人々に災厄を及ぼすという「大蛇の器」を追って、天火が以前に所属していた右大臣直属部隊〈犲(やまいぬ)〉が動き出す……。天真爛漫ながら圧倒的な強さで弟たちを率いる長男の天火、真面目な努力家ゆえに、自由奔放な兄と弟に振り回される次男の空丸、そして素直な性格を持ち、天火を慕って行動する三男の宙太郎。そんな個性豊かな三兄弟のキャラクターにも注目だ。本作の魅力を「ただのエンターテインメントでは終わらないところ」と言うのは、長男の天火を演じる玉城だ。「アクションシーンもありますけど、物語ではそれぞれの登場人物の心の動きが丁寧に描かれているから、どのシーンも演じていてやりがいがありますね」と再演を喜ぶ。一方、今回が初参加となる次男・空丸役の植田は「出演が決まって原作を読んだんですけど、メチャクチャ面白くて何度も読み返しました。だからこそ舞台版『曇天~』の魅力は、これから稽古を重ねるなかでじっくりと見つけていきたいです」と意気込む。また三男の宙太郎役の百瀬も、「一つひとつのセリフが深いんですよね。自分のセリフでも話しているときに改めて、“いい言葉だなぁ”って感じることが多くて。そこはちゃんとお客様に伝えていきたい」と、演者ならではの視点で話してくれた。インタビュー中、キャラクターと同じく和気あいあいとした仲良しぶりを見せてくれた3人。「公演中は植田くんに助けてもらおうと思って」と甘え口調の玉城に、植田が「支えます!」と答えたり、「(宙太郎の)可愛いところを見てほしい」と言う百瀬に、またしても植田が「ホント可愛いからねー」と目元を緩ませたりと、三兄弟そのままの様子に取材班から笑いが漏れるひと幕も。そんな笑いの部分と、「人間のドロドロとしたドラマもあり」(植田)というダークな部分とが絡んで、どんな舞台が立ち上がるのか。「再演だからといって、初演と同じようにはしたくない」とキッパリと語った玉城の言葉を頼りに、その開幕を楽しみに待ちたい。5月27日(金)から6月5日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、6月10日(金)・11日(土)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて。なお、今回のインタビューを記念して、4月13日(水)午前10時から27日(水)午後11時59分の間、舞台の原作本である『曇天に笑う』(マッグガーデン刊)一巻が付いてくるお得なチケットを販売実施〈東京公演限定〉。取材・文佐藤さくら
2016年04月12日1999年の英国初演が話題沸騰、すぐに欧米ツアーを敢行して、日本への初来日も2002年に果たしている『バーン・ザ・フロア』。その後8回に渡る来日公演の間に、ブロードウェイ公演や英国ウエストエンド公演を成功させるなど、いまや名実ともに世界トップクラスの“エンターテインメントショー”に成長した本作が、現在9度目の来日公演中だ。「バーン・ザ・フロア NEW HORIZON」チケット情報今回『NEW HORIZON』と銘打ち、「全てが新しい挑戦。衣装やセットの変化はもちろん、音楽もトラディショナルな部分は残しつつ、例えばロックの名曲をフラメンコでアレンジしたりと、大きく変わったと思う」と語るのは、芸術監督のピータ・ロビー。その言葉通り、映画『バーレスク』の楽曲で表現する男女の駆け引きや、オペラ『カルメン』の三角関係を現代風の衣装と音楽で魅せるなど、どのシーンも目が離せないものばかり。その他、中世ヨーロッパの衣装で展開するボールルームダンス、日本でも人気の米国製・学園ミュージカルドラマを思わせる群舞など、時代もテイストも多彩なステージに息つくひまもない。一般に海外作品の来日公演は、ブロードウェイなどでヒットした後で来日することが多いが、『バーン・ザ・フロア』は欧米だけでなく、オーストラリアやアジアなどでもツアーを行いながら進化を続けてきた作品。日本では宝塚歌劇団や一部の舞台以外では馴染みの薄い“エンターテインメントショー”を、ドラマチックで豊かな歌唱力と圧巻のダンスで見せ切るのは、世界の観客と共に成長してきた実力の証だろう。そしてどのシーンでも共通しているのは、男女の機微。セリフがないからこそ、観客それぞれの想いを投影することで、自分だけのストーリーが浮かび上がる。本作はそんな真の“エンターテインメントショー”を堪能できる貴重なチャンスだ。初日前に行われたゲネプロでは、スペシャルサポーターのはるな愛と武井壮がダンスをセッション。ダンス経験のあるはるなはもちろん、武井もキレのある踊りを見せ、ダンサーたちから笑顔で拍手が送られるひと幕も。さらに終演後の会見では、同じくスペシャルサポーターのホラン千秋が「悩みごとがあっても吹き飛んでしまうような作品」と太鼓判を押せば、最近はニューヨークにダンスレッスンに通っているというはるなも「歌も照明もすごくて、今までこういう作品を観たことがないという方にもぜひ観てほしい」と興奮気味。「(色んな感情を表現しているダンスを)観ていると、恋をしたくなるね。付き合い始めのカップルなら、見終わった後にビッグチャンスが訪れるかも」と武井が言うと、ホランとはるなも笑いながら同意。三者三様に魅了された様子が伝わってきた。公演は4月13日(水)まで東京・東急シアターオーブ、4月15日(金)から18日(月)まで大阪・フェスティバルホールにて。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2016年04月11日東京・虎ノ門「アンダーズ 東京」の「ペストリーショップ」 にて、さくらのトライフルやマカロン、ロールケーキ、マシュマロなど、さくらをモチーフにした和テイストの「さくらスペシャルスイーツ」が、4月30日(土)までの期間限定で販売中だ。「ペストリーショップ」 の「さくらスペシャルスイーツ」は、桜の季節に合わせて桜餅の味をイメージしたり、桜の塩漬けを使用するなど、和テイストや桜の香りを感じる春らしい6種が登場する。「さくら トライフル」(594円)は、桜ゼリーと苺のコンポート、桜シロップに漬けこんだスポンジケーキ、ラズベリーのケーキ、桜のカスタードクリーム、白桃のゼリーが層になり、春の味覚が堪能できる。「さくら ロールケーキ」(540円)は、桜のペーストを練り込んだしっとりとしたスポンジと、桜のアロマで香りづけしたクリームをたっぷり味わえる。さらに、桜餅をイメージした、一口サイズの「さくら マカロン(3個入り)」(1,296円)や、桜パウダーを使用した生地に、アプリコットジャムやアーモンド、ドライラズベリー、桜の塩漬けなどをトッピングした「さくら パウンドケーキ」(810円)、「ペストリーショップ」のシグネチャーアイテムであるエクレアのさくらフレーバー「さくら エクレア」(スモール 216円、ラージ 530円)、同じく定番人気のマシュマロのさくらフレーバー「さくら マシュマロ」(702円)がラインアップ。午後のお茶のおともにぴったりのスイーツや、親しい人とシェアしたくなるような、春を彩るバラエティ豊かなさくらスイーツ6種。手土産としてもおすすめだ。(text:cinemacafe.net)
2016年04月05日桜も開花し、今年のさくらスイーツを楽しめるシーズンも残りわずか。東京・西新宿の「ハイアット リージェンシー 東京」の「ラウンジ」(1F)では、さくらをプレートで表現した「さくらスイーツセット」(2,614円)を、4月10日(日)まで提供中だ。まだチェックしていない人はぜひお早めに。「さくらスイーツセット」は、さくらの風味を付けたムースに、グリオットチェリーやスパイスの効いたトンカ豆のクリームをしのばせたケーキ、さくら風味のクリームに生地にもさくらをあしらったミニロールケーキ、「ペストリーショップ」でも人気のさくらマカロンを、さくらの花びらに見立てたデコレーションとともに美しく盛りつけたさくら尽くしのプレート。さらに、プレートにはコーヒー・紅茶付きで、カフェラテ、カプチーノ、ショコラチーノなどのほか、この時期は「マリアージュ フレール」の“サクラ グリーンティー”もおすすめ。お持ち帰りしたいのなら、「ペストリーショップ」(ロビーフロア・2F)へ。「さくらロールケーキ」(1,080円)や、「さくらマカロン」(5個入り・1,350円)が販売中だ。また、4月25日(月)~6月30日(木)は、「抹茶スイーツセット」が提供される予定だ。まもなく訪れる新緑の季節にあわせたこちらのスイーツセットも併せて楽しみにしたい。※表記価格は、サービス料・消費税が含まれたお支払い金額となる。(text:cinemacafe.net)
2016年04月04日ファミリーマートは3月22日、「さくらあんまん」(税込100円)を全国の「ファミリーマート」店舗で販売開始した。ファミリーマートは3月22日、「さくらあんまん」を全国の「ファミリーマート」店舗で販売開始した。2015年にも販売されていた同商品。2016年はどのような変化があったのか、実際に食べて確かめてみた。同商品は、さくらをイメージしたピンク色の生地に、さくらあん、餅を包んだ一品。まるで桜餅のようなかわいい見た目だ。中を割ってみると、さくらの香りがふんわりと広がる。さくらあんの中から、柔らかい餅が顔をのぞかせていた。2015年の「さくらあんまん」は、餅の中にさくらあんが包まれており、今回は逆になっていた。ひと口食べてみると、さくら色の生地はかなりしっとり。あんこからはほんのりとした塩気と、優しい甘さが感じられた。餅は思ったよりも弾力があり、中華まんというより、おまんじゅうを食べているような感覚だ。さくらが咲いたとは言ってもまだ肌寒い今日この頃。温かい「さくらあんまん」を買ってお花見に行ってみてはいかがだろうか。
2016年03月25日1951年のプロデビュー以来、日本のジャズシーンを牽引してきた北村英治。2月8日には『徹子の部屋』にも出演し、「星に願いを」などをクラリネットならではの温かな音色で聞かせ、お茶の間の注目を集めた。4月1日(金)に東京・サントリーホールで催される『北村英治 米寿コンサート』は、米寿を迎える北村を祝って国内外の著名アーティストが集合するステージだ。多彩な企画を考え中という北村に、見どころを聞いた。第1部は、北村英治カルテットからスタート。続いて花岡詠二と谷口英治を加えた「エイジキューブ」、さらに本邦初となる谷口英治らとのクラリネット六重奏にも注目だ。盟友スコット・ハミルトン(テナーサックス)とは、「恋人よ我に帰れ」などを披露する。第2部は、北村がクラシック界の重鎮・村井祐児(クラリネット)と中島由紀(ピアノ)と共に「メンデルスゾーンのコンチェルトピース」に挑戦。村井は北村が51歳の頃から師事している恩師だとか。クラシックとジャズの垣根を飛び越え、“師弟”による貴重な共演が実現する。人気ピアニスト小曽根真と北村との予測不能なジャズ・セッションを経て、日本最古のビッグバンド、森寿男とブルーコーツオーケストラで盛り上がり、最後はオールスターによる「シング・シング・シング」でフィナーレだ。豪華なゲスト陣について、「中学生の頃から知っている小曽根真や仲間たちが手伝ってくれるのがありがたい」と顔をほころばせる北村。中でも異彩を放つのは、クラシック・クラリネットの権威である村井との共演だろう。「僕はクラリネットを正式に教わったことがなかったのでね。本来の音と吹き方を知りたいと思って、村井先生に『教えてください』と、半ば無理矢理お願いしたんです」と北村は言う。「指導は厳しかったですが(笑)、基礎を学んだおかげでクラリネットの世界が広がった。なにごとも基本は大事だと実感しました」と、北村は充実の表情だ。戦後すぐの慶応大学時代には、クラリネットを買うことができず、「竹ぼうきの柄をクラリネットに見立てて指使いの練習をしていた」という北村。「“いま出来ることはやらなければ”の一心でね。本物を買えるまでに1年かかりましたが、おかげで指使いは上達して、楽器を買った後は吹き方だけを習得すればよかった。僕には合っている練習法でしたね」と笑う。「ほうきの柄でも、自分の耳にはクラリネットの音色と聴衆の歓声が聞こえていた」という北村は、後年、世界中のステージでその光景を現実のものとする。「本当に好きなものをひとつだけ。人はそれだけで幸せになれるんじゃないでしょうか」とは北村の言。豊かな人生経験に裏打ちされたそのステージを、本番では心ゆくまで堪能したい。3月19日(土)午前10時より追加席の発売決定。取材・文佐藤さくら
2016年03月18日1951年のプロデビュー以来、日本のジャズシーンを牽引してきた北村英治。2月8日には『徹子の部屋』にも出演し、「星に願いを」などをクラリネットならではの温かな音色で聞かせ、お茶の間の注目を集めた。4月1日(金)に東京・サントリーホールで催される『北村英治 米寿コンサート』は、米寿を迎える北村を祝って国内外の著名アーティストが集合するステージだ。多彩な企画を考え中という北村に、見どころを聞いた。第1部は、北村英治カルテットからスタート。続いて花岡詠二と谷口英治を加えた「エイジキューブ」、さらに本邦初となる谷口英治らとのクラリネット六重奏にも注目だ。盟友スコット・ハミルトン(テナーサックス)とは、「恋人よ我に帰れ」などを披露する。第2部は、北村がクラシック界の重鎮・村井祐児(クラリネット)と中島由紀(ピアノ)と共に「メンデルスゾーンのコンチェルトピース」に挑戦。村井は北村が51歳の頃から師事している恩師だとか。クラシックとジャズの垣根を飛び越え、“師弟”による貴重な共演が実現する。人気ピアニスト小曽根真と北村との予測不能なジャズ・セッションを経て、日本最古のビッグバンド、森寿男とブルーコーツオーケストラで盛り上がり、最後はオールスターによる「シング・シング・シング」でフィナーレだ。豪華なゲスト陣について、「中学生の頃から知っている小曽根真や仲間たちが手伝ってくれるのがありがたい」と顔をほころばせる北村。中でも異彩を放つのは、クラシック・クラリネットの権威である村井との共演だろう。「僕はクラリネットを正式に教わったことがなかったのでね。本来の音と吹き方を知りたいと思って、村井先生に『教えてください』と、半ば無理矢理お願いしたんです」と北村は言う。「指導は厳しかったですが(笑)、基礎を学んだおかげでクラリネットの世界が広がった。なにごとも基本は大事だと実感しました」と、北村は充実の表情だ。戦後すぐの慶応大学時代には、クラリネットを買うことができず、「竹ぼうきの柄をクラリネットに見立てて指使いの練習をしていた」という北村。「“いま出来ることはやらなければ”の一心でね。本物を買えるまでに1年かかりましたが、おかげで指使いは上達して、楽器を買った後は吹き方だけを習得すればよかった。僕には合っている練習法でしたね」と笑う。「ほうきの柄でも、自分の耳にはクラリネットの音色と聴衆の歓声が聞こえていた」という北村は、後年、世界中のステージでその光景を現実のものとする。「本当に好きなものをひとつだけ。人はそれだけで幸せになれるんじゃないでしょうか」とは北村の言。豊かな人生経験に裏打ちされたそのステージを、本番では心ゆくまで堪能したい。3月19日(土)午前10時より追加席の発売決定。取材・文佐藤さくら
2016年03月18日さくらインターネットとネットワークコンテンツの企画・研究・開発およびコンサルテーションを手がけるUEIは3月17日、業務提携し、ディープラーニング・ソフトウェアのASP事業を開始することを発表した。UEIはソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)との共同開発により、2015年からディープラーニングの独自研究を重ね、同年末にオープンソース・ソフトウェア「DEEPstation」を発表した。DEEPstationはWebから手軽に扱えるため、複数の大学や企業内の研究機関で実際の研究に活用されているという。現在、多様化するディープラーニングへの期待に応え、ASP型サービスの提供が待望されており、UEIとソニーCSLは共同開発したディープラーニング・ソフトウェア・プラットフォームのインフラとして、さくらインターネットの高火力コンピューティングプラットフォームを採用した。DEEPstationのクラウドサービス「DEEPstation Cloud」はCUDAコア3072x最大4基搭載した専用学習マシンをクラウド上に設置。標準構成(Xeon E5-2623v3×2、128GB RAM、240GB SSD)で、初期費用が39万9800円、月額費用が9万8000円から(実行時間160時間込み)、追加計算資源が1日当たり9800円となっている。
2016年03月17日現代人が抱える苦悩と希望を、寓話性を用いたストーリーと多彩な演出を取り入れて表現し、注目を集めている舞台芸術集団・地下空港。第16回公演となる『ポセイドンの牙』は、映画『告白』での抜擢以来、映像を中心に活躍する藤原薫や、舞台『激動』(水川あさみ主演)でもメインキャストを演じた原嶋元久ら、実力派若手俳優たちを客演に迎えた意欲作。地下空港で脚本と演出を担当する伊藤靖朗と、主演を務める藤原、昨年に続いての地下空港への出演となる原嶋に意気込みを聞いた。地下空港『ポセイドンの牙』チケット情報とある海洋都市、オトガメ市。水産高校に通う須永宇宙期(ソラキ/藤原)、クリスチャンの道井磨多井(原嶋)、貝類オタクの葛先賢人(猪野広樹)、エロで頭がいっぱいの生方英(平田雄也)、お坊ちゃんな萩原安打尊(佐野勇斗)の通称"スイサンズ"は、今日も女の子の話で盛り上がっている。そんな中、自治体が資金難に陥り、水産高校が防衛人材育成高校に変わる計画が持ち上がる。スイサンズは岬の海底に眠るという〈黄金の釣針〉を手に入れることで、その計画を阻止しようとするが……。物語は謎の怪物カルナ(兼崎健太郎)やドローナ(中村龍介)、正体不明なポセイドン(滝川英治)、さらにはオトガメ市の土地を買い占めようとする企業の社員(渡辺和貴)らも登場し、壮大なスケールで展開する。「海と命、そして戦争と未来を書きたかった」という伊藤は、「そう言ってしまうと、壮大すぎるかもしれませんが(笑)。原発事故以降の海洋汚染だったり、世界中で絶滅危惧種の動物が増えていたりすることへの不安は、今では誰もが感じていること。だからこそ子供たちに未来をどう託していけばいいのか考えたいと思った」と語る。とはいえ「固いテーマでも表現は楽しく」という伊藤らしく、スイサンズの日常は、どこにでもいるバカで愛すべき男子高校生のそれだ。藤原は「戦争のことはまったく知らない世代ですけども、伊藤さんの脚本の意味を一つひとつ理解して演じたい。等身大の高校生を演じつつ、物語の後半で海の神と対決するギャップを見せることで、同世代のお客さまにも戦争の意味を伝えられれば」と表情を引き締める。隣の原嶋から「伊藤さんの稽古は体力勝負だよ」と聞かされるも、「負けず嫌いなところがあるので、そこはたぶん大丈夫」と笑顔を見せる頼もしい一面も。また原嶋演じるクリスチャンの道井役は、「欧米映画の多くがそうであるように、僕も神話や聖書をメタファーにしているところはあります」(伊藤)というだけに、物語のカギを握る役どころだ。「伊藤さんの舞台は熱くて緻密なので大変だけど(笑)、やりがいは抜群です。小道具にまで意味が込められているので、ぜひ舞台の隅々まで観てほしいですね」と原嶋も気合い充分。ふたりの瑞々しい実力が存分に発揮されるだろう本作。その開幕が今から楽しみだ。公演は6月1日(水)から5日(日)東京・紀伊國屋ホールにて。チケットの一般発売は3月13日(日)午前10時より。取材・文佐藤さくら
2016年03月11日現代人が抱える苦悩と希望を、寓話性を用いたストーリーと多彩な演出を取り入れて表現し、注目を集めている舞台芸術集団・地下空港。第16回公演となる『ポセイドンの牙』は、映画『告白』での抜擢以来、映像を中心に活躍する藤原薫や、舞台『激動』(水川あさみ主演)でもメインキャストを演じた原嶋元久ら、実力派若手俳優たちを客演に迎えた意欲作。地下空港で脚本と演出を担当する伊藤靖朗と、主演を務める藤原、昨年に続いての地下空港への出演となる原嶋に意気込みを聞いた。地下空港『ポセイドンの牙』チケット情報とある海洋都市、オトガメ市。水産高校に通う須永宇宙期(ソラキ/藤原)、クリスチャンの道井磨多井(原嶋)、貝類オタクの葛先賢人(猪野広樹)、エロで頭がいっぱいの生方英(平田雄也)、お坊ちゃんな萩原安打尊(佐野勇斗)の通称"スイサンズ"は、今日も女の子の話で盛り上がっている。そんな中、自治体が資金難に陥り、水産高校が防衛人材育成高校に変わる計画が持ち上がる。スイサンズは岬の海底に眠るという〈黄金の釣針〉を手に入れることで、その計画を阻止しようとするが……。物語は謎の怪物カルナ(兼崎健太郎)やドローナ(中村龍介)、正体不明なポセイドン(滝川英治)、さらにはオトガメ市の土地を買い占めようとする企業の社員(渡辺和貴)らも登場し、壮大なスケールで展開する。「海と命、そして戦争と未来を書きたかった」という伊藤は、「そう言ってしまうと、壮大すぎるかもしれませんが(笑)。原発事故以降の海洋汚染だったり、世界中で絶滅危惧種の動物が増えていたりすることへの不安は、今では誰もが感じていること。だからこそ子供たちに未来をどう託していけばいいのか考えたいと思った」と語る。とはいえ「固いテーマでも表現は楽しく」という伊藤らしく、スイサンズの日常は、どこにでもいるバカで愛すべき男子高校生のそれだ。藤原は「戦争のことはまったく知らない世代ですけども、伊藤さんの脚本の意味を一つひとつ理解して演じたい。等身大の高校生を演じつつ、物語の後半で海の神と対決するギャップを見せることで、同世代のお客さまにも戦争の意味を伝えられれば」と表情を引き締める。隣の原嶋から「伊藤さんの稽古は体力勝負だよ」と聞かされるも、「負けず嫌いなところがあるので、そこはたぶん大丈夫」と笑顔を見せる頼もしい一面も。また原嶋演じるクリスチャンの道井役は、「欧米映画の多くがそうであるように、僕も神話や聖書をメタファーにしているところはあります」(伊藤)というだけに、物語のカギを握る役どころだ。「伊藤さんの舞台は熱くて緻密なので大変だけど(笑)、やりがいは抜群です。小道具にまで意味が込められているので、ぜひ舞台の隅々まで観てほしいですね」と原嶋も気合い充分。ふたりの瑞々しい実力が存分に発揮されるだろう本作。その開幕が今から楽しみだ。公演は6月1日(水)から5日(日)東京・紀伊國屋ホールにて。チケットの一般発売は3月13日(日)午前10時より。取材・文佐藤さくら
2016年03月11日クラシックの名曲をディズニーならではの美しく流麗なアニメーションと融合させ、子供から大人まで多くのファンを持つ映画『ファンタジア2000』。これは1940年、ウォルト・ディズニーが「芸術性の高い作品を」と製作した『ファンタジア』のリメイク版。4月29日(金・祝)東京・東京国際フォーラムホールAより開幕する『ディズニー・ファンタジア・コンサート2016』は、その両作品の世界観をスクリーンでのアニメーションとオーケストラの生演奏とで再現するコンサートだ。今回の来日公演でも、昨年に続きヴァイオリニストの高嶋ちさ子がライブナビゲーターとして解説を担当。今回、ぴあのインタビューに答えた。クラシック初心者でも安心して楽しめる構成となっている同公演。高嶋は、「クラシックの曲にアニメの映像が付くと、より身近に感じて聴けるようになるし、アニメに曲が添えられると、よりストーリーが理解できる。音楽とアニメの両方を相乗効果で楽しめるのが魅力」と語る。続けて「"スクリーンを観ながら音楽を聴く"って映画館と同じじゃない?と、思う方もいらっしゃるかも。でも録音されたものを聴くのとフルオーケストラの演奏をナマで聴くのとでは、やっぱり音の強さが違うんです」と高嶋。「"オーボエって、こんな風に哀しみの音色を出すんだ"とか、楽器を見て楽しむのもオススメ」と鑑賞のポイントも教えてくれた。気になる曲目は、三角帽をかぶったミッキーマウスで有名な『魔法使いの弟子』(デュカス)や、ドナルドダッグが奮闘する『威風堂々』(エルガー)、蝶の形をした群れの戦いを描いた『交響曲第5番』(ベートーヴェン)、迫力満点の『火の鳥』(ストラヴィンスキー)など、選り抜かれた名曲が登場する。さらに今年は、ピアニストの清塚信也がゲスト出演。伝説の風刺漫画家アル・ハーシュフェルドが描いたニューヨークをアニメ化した映像と、清塚の弾く『ラプソディー・イン・ブルー』(ガーシュウィン)のコラボレーションは必見だ。動くものに合わせて曲を演奏することについて、「それはミュージカルも同じではあるんですが、ある意味、アニメに合わせるほうが難しいんですよ」という高嶋。「演奏が盛り上がったとして、相手が俳優さんだったら互いに呼吸を合わせられる。でもアニメは時間が決まっているので、演奏するにはテクニックが必要なんです」とプレイヤー側の苦労も語った。高嶋自身、ふたりの息子とよくDVDを観ているというディズニーファン。「オーケストラで何曲も聴けるだけで贅沢なのに、ディズニーの映像があれば気負わずに聴ける。そこがこのコンサートのいいところですよね」と話しつつ、「私も演奏したいなって」と笑顔で制作スタッフをチラリ。そのサプライズも含めて、本番のステージに期待したい。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2016年03月09日クラシックの名曲をディズニーならではの美しく流麗なアニメーションと融合させ、子供から大人まで多くのファンを持つ映画『ファンタジア2000』。これは1940年、ウォルト・ディズニーが「芸術性の高い作品を」と製作した『ファンタジア』のリメイク版。4月29日(金・祝)東京・東京国際フォーラムホールAより開幕する『ディズニー・ファンタジア・コンサート2016』は、その両作品の世界観をスクリーンでのアニメーションとオーケストラの生演奏とで再現するコンサートだ。今回の来日公演でも、昨年に続きヴァイオリニストの高嶋ちさ子がライブナビゲーターとして解説を担当。今回、ぴあのインタビューに答えた。クラシック初心者でも安心して楽しめる構成となっている同公演。高嶋は、「クラシックの曲にアニメの映像が付くと、より身近に感じて聴けるようになるし、アニメに曲が添えられると、よりストーリーが理解できる。音楽とアニメの両方を相乗効果で楽しめるのが魅力」と語る。続けて「"スクリーンを観ながら音楽を聴く"って映画館と同じじゃない?と、思う方もいらっしゃるかも。でも録音されたものを聴くのとフルオーケストラの演奏をナマで聴くのとでは、やっぱり音の強さが違うんです」と高嶋。「"オーボエって、こんな風に哀しみの音色を出すんだ"とか、楽器を見て楽しむのもオススメ」と鑑賞のポイントも教えてくれた。気になる曲目は、三角帽をかぶったミッキーマウスで有名な『魔法使いの弟子』(デュカス)や、ドナルドダッグが奮闘する『威風堂々』(エルガー)、蝶の形をした群れの戦いを描いた『交響曲第5番』(ベートーヴェン)、迫力満点の『火の鳥』(ストラヴィンスキー)など、選り抜かれた名曲が登場する。さらに今年は、ピアニストの清塚信也がゲスト出演。伝説の風刺漫画家アル・ハーシュフェルドが描いたニューヨークをアニメ化した映像と、清塚の弾く『ラプソディー・イン・ブルー』(ガーシュウィン)のコラボレーションは必見だ。動くものに合わせて曲を演奏することについて、「それはミュージカルも同じではあるんですが、ある意味、アニメに合わせるほうが難しいんですよ」という高嶋。「演奏が盛り上がったとして、相手が俳優さんだったら互いに呼吸を合わせられる。でもアニメは時間が決まっているので、演奏するにはテクニックが必要なんです」とプレイヤー側の苦労も語った。高嶋自身、ふたりの息子とよくDVDを観ているというディズニーファン。「オーケストラで何曲も聴けるだけで贅沢なのに、ディズニーの映像があれば気負わずに聴ける。そこがこのコンサートのいいところですよね」と話しつつ、「私も演奏したいなって」と笑顔で制作スタッフをチラリ。そのサプライズも含めて、本番のステージに期待したい。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2016年03月09日日本を代表するタップの名手でもあり、演出家・振付家としても活躍する本間憲一が贈る、エンターテインメントショー『SHOWル・リアン』。村井良大、平方元基、青柳塁斗、大貫勇輔ら若手実力派たちと、本間の盟友でタップダンサーのHIDEBOH、元宝塚トップで現在は独自の個性で活躍中の女優・大空祐飛らベテラン陣とのタッグで綴る本作。さらに「雨に唄えば」「ショーほど素敵な商売はない」などスタンダードナンバーの数々を生演奏で盛り上げるのは、14歳の天才ピアニスト奥田弦だ。その内容について、本間と大空に聞いた。『SHOW ル・リアン』チケット情報舞台はヨーロッパの山中にたたずむ館〈ル・リアン〉。そこではオーナーであるMC(HIDEBOH)主催のライブが日々開かれていた。ある日、館を訪れた引っ込み思案の少年たくみ(松本拓海)は、ディーバ(大空)や出演するキャストたち、ピアニスト(奥田)らが繰り広げる華やかなステージに釘付けになる。オーナーのもとで研鑽中の次期MC(村井)が優しく見守るなか、たくみの心に変化が生まれて……。本間が本作へ込めたテーマは"絆"(フランス語でル・リアン)。往年のミュージカルの名曲を散りばめて未来へとそれをつなぎ、未来を担う若手スターへは、先人たちが培ってきたショーの精神を託したいという。「『サウンド・オブ・ミュージック』や『雨に唄えば』など名作ミュージカルの音楽は、聴くだけで楽しくなる曲がたくさん。だからこそスタンダードナンバーとして愛されているし、いま改めてそんな曲を盛り込んだショーを作りたいと思ったんです」という本間。往年のミュージカル映画には女優もタップを踏むシーンが多く登場するが、それは本作での大空も同様だ。「今まであまりタップの経験がなかったので、今回が初挑戦のようなもの。必死に練習しています」と笑いながらも、「スキップしながら怒れる人がいないように、タップを軽快に踏んで暗い気持ちになる人はいないのでは。そこに、本間さんの作る素敵なステージの秘密があるような気がします」と大空は話す。「村井くんや平方くんの、いつもとはちょっと違う表情を引き出したいなと思いながら脚本を書いたんですよ。大空さんにも、クールな雰囲気は大切にしつつ、伝説の(!?)『大空先生』のシーンを設けてみたりね」と本間がいたずらっぽく言うと、大空も「眼鏡をかけてビシビシいってみましょうか(笑)」と乗り気の様子。「ショーって華やかだったり笑えたり、出る人も観る人も皆がハッピーになれるもの。大人の方が観て楽しめるエンターテイメントを目指せれば」と話す大空に、大きくうなずいていた本間。魅力的なキャストたちがそろって放つショーの本番を、今から楽しみに待ちたい。公演は3月31日(木)から4月3日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、4月5日(火)・6日(水)大阪・サンケイホールブリーゼにて。取材・文佐藤さくら
2016年02月19日さくらインターネットと企業コミュニケーションツールの企画・制作を手がけるa2mediaは提携し、「さくらのクラウド」上でセキュリティ機能を強化したマネージドサーバサービス「a2media マネージドクラウドサーバー」の提供を2月18日から開始した。新サービスは、さくらのクラウド上でa2mediaがWebアプリケーションファイアウォール(WAF)などのセキュリティ機能やOSなどのセキュリティアップデートを代行するサービスを付加したマネージドサーバサービス。特徴としてマネージドサーバとしてコストが抑えられ、クラウド基盤を利用した耐障害性を有し、運用コンテンツの状況に応じた柔軟性も備え、データ転送量による従量課金はないという。近年、企業のコミュニケーションの一環としてホームページ上での情報提供が当たり前である一方、脆弱性を利用した不正アクセスにより、ホームページが改ざんされ、悪用される事例が増えている。そのような状況を踏まえ、両社は提携し、クラウドサーバのセキュリティ機能を強化したマネージド(運用・管理)サービス付きの新サービスを提供することで、ユーザーのサーバ運営をサポートしていく考えだ。価格は、いずれも税別でサーバ初期費用が2万円、月額2万円(スタンダード)。今後、3年間で導入企業300社を目指す。
2016年02月19日さくらインターネットは2月8日、IoT(Internet of Things)サービスに必要な通信環境とインフラ基盤サービスを一体で提供する「さくらのIoT Platform」を2016年度中に提供開始すると発表した。「さくらのIoT Platform」は、IoTサービスに必要な機能をサービスとして提供する。同社はデバイス向け通信モジュール「さくらのIoT通信モジュール」、同社のデータセンター内の閉域網に設けるデータを保存・処理するインフラ基盤を提供する。通信回線は、ソフトバンクとソラコムの2社から選択可能だ。データ提供者は同社の閉域網にデータを送受信できる。送信したデータをパブリックデータとして閉域網に保存する場合は無償で利用できるが、プライベート領域でデータを利用する場合などは有償となる。パブリックデータとして送信されたデータは、APIを介して、有償で利用できる。デバイスと通信モジュールの通信はUART、SPI、I2Cを介して、コマンドベースで行われる。非常に軽いため、貧弱なマイコンでも対応可能だという。提供が予定されているmbed用ライブラリ、Arduino用ライブラリ、IchigoJam用ライブラリ、Raspberry Pi(Linux)用ライブラリを利用することで、既存センサーや制御モジュールと同等に扱うことが可能になる。通信モジュールは1万円以内で提供され、課金は同社が定める単位「Message」に対して行われ、通信モジュールや通信にかかるコストはすべてこの料金に内包される予定。1個当たりのモノに対する実質負担は数十円程度に抑えるとしている。代表取締役 社長を務める田中邦裕氏がIoTプラットフォームを提供する背景を説明した。田中氏は「モノがつぶやけばいいのに」という会話がきっかけだったと語った。「Twitterでは、APIで情報を統合して価値を生み出した。これからは人間よりもモノのほうがインターネットに接続する機会が増えるため、モノのタイムラインを作ることで、そこから新たな価値が生まれるようになる。Twitterの世界をモノで実現したい」と田中氏。その一方で、IoTを実現するうえで、デバイスと通信が一体になっていないためインターネットと融合できないという課題があり、「通信」「モノ」「クラウド」をもっと簡単に接続する必要があると考えたという。田中氏は同サービスのコンセプトが「どこでも誰でも手軽に今すぐに」であることを紹介した。現状、IoTは、スマートフォンを介してなど、人間がいる場所でモノをつなぐことが前提となっており、つまり、人間がいないとモノを接続できないという。同社では、人間がいない場所でもモノが接続することを実現する。また、人間がいない場所でモノをつなぐにはコストの課題もあるとして、安価につなぐことも可能にする。さらに、田中氏は「エンジニアはハードウェア、ソフトウェアなど、ジャンルごとに分断されており、スタンドアロンのIoTデバイスを作ろうと思うと、知識不足がネックとなる」と指摘。そこで、同社はハードウェア、通信環境、APIを垂直統合で提供することで、技術面でのハードルの解消を目指す。なお、データを利用するAPI課金によって得られた利益はMessage課金によってデータを送信した人にフィードバックすることも計画しているという。「データが利用されればされるほど、インセンティブとして還元することを考えている」(田中氏)田中氏は「利用できるデータが増えれば、データを処理する量も増え、われわれのビジネスも広がる。つまり、もっとインターネットにデータが吐き出される必要がある」と、同サービスに込める期待を語った。サービス提供に先駆け、2016年4月より「さくらのIoT Platform α」、9月より「さくらのIoT Platform β」が提供される。「さくらのIoT Platform α」では、「さくらのIoT通信モジュール」が無償で貸与され、1000個の通信モジュールが用意される予定だ。2月8日より、「さくらのIoT Platform α」のパートナーが開始されたが、発表会には、ソラコムなど7社のパートナーの担当者が参加し、さくらのIoT Platformとの連携について説明した。
2016年02月09日さくらインターネットは1月27日、「さくらのVPS」の新プランとして安定性に優れた物理サーバ1台を専有できる「さくらのVPS ベアメタルプラン」の提供を2016年2月3日から開始すると発表した。さくらのVPSは、専用サーバの自由度とクラウドの拡張性を合わせ持つコストパフォーマンスに優れた仮想専用サーバサービス。月額685円から使える手軽さと、台数無制限の複数台構成に対応するスケーラビリティを兼ね備えている。今回、さくらのVPSの新プランとして、さくらのVPS ベアメタルプランを追加。同プランはCPU、メモリ、ストレージといった物理リソースを利用できるため、他のユーザ―の影響を受けることなく、安定したパフォーマンスを実現する。特に共用サーバでボトルネックになりがちなストレージのI/O性能に優れるため、データベースサーバとして使用することで、より安定したサーバ運用を可能としている。また、さくらのVPSのコントロールパネルにより、物理サーバ(さくらのVPS ベアメタルプラン)と仮想サーバ(既存のさくらのVPS)をシームレスに一元管理することができる。さらに、同コントロールパネルからの操作で物理サーバと仮想サーバ間でのローカルネットワーク接続が可能なため、物理と仮想それぞれのメリットを生かしたハイブリッド構成を容易に実現できるという。メモリは8GB、ストレージ容量はSSD(RAID1)で111GB、CPUは物理2コア、ネームサーバは10ゾーン、ゾーン(サーバ設置場所)は東京となる。価格は月額料金が7776円、初期費用が4万8600円(いずれも税込み)。
2016年01月28日さくらインターネット、インフォテリア、テックビューロの3社は1月7日、協業してプライベート・ブロックチェーンの実証実験プラットフォームとして、「さくらのクラウド」および「さくらのIoT」上で、「ASTERIA WARP(アステリアワープ)」と「mijin(ミジン)」のサービスを無償にて提供すると発表した。提供期間は1月18日から6月30日まで。これにより、幅広い用途におけるプライベート・ブロックチェーン技術の普及・啓発を図るとしている。ブロックチェーン技術とは、改ざん不可能なセキュリティ環境や実質ゼロ・ダウンタイムを実現するシステム構築コストを削減する技術で、特に金融システム(FinTech)の中核技術として注目されている。米国では、ナスダックにおける未公開株式取引市場での導入を2015年10月に発表するとともに、国内でも複数の都市銀行がブロックチェーン技術を利用するためのコンソーシアムに参加している。3社は国内におけるブロックチェーン技術の普及に向けた協業を開始し、金融を始め幅広い業界での導入の推進を目的として、以下の取り組みを展開する。プライベート・ブロックチェーン実証実験プラットフォームとして、さくらのクラウド上でASTERIA WARPとmijinを無償提供する。この実験環境では、プライベート・ブロックチェーンと既存システムとのデータ連携に関する実証実験を行う。実施期間は1月18日~6月30日。国内金融機関を始め各種用途でブロックチェーン技術の採用・導入を推進するため、セミナーを2016年2月から3社で共同開催する。IoT+ブロックチェーンの実証実験プラットフォームとして、さくらのIoTを対象としてmijinとASTERIA WARPをさくらのクラウド上で無償提供する。実施期間は2016年春(予定)~6月30日。さくらインターネットとインフォテリアは、インフォテリアが紹介する開発会社を通じてASTERIA WARP用「さくらIoTアダプタ」を開発しこの実験環境下で無償提供する。完成予定は2016年春ごろ。テックビューロが開発するASTERIA WARP用「mijinアダプタ」が完成次第、この実験環境下で無償提供する。完成は2016年4月を予定している。なお、同プラットフォームの利用には専用サイトからの申し込みが必要であり、受付は既に開始している。テックビューロとは、さくらインターネットおよびインフォテリア共に2015年12月に事業提携を締結しているが、3社の協業により既存システムでブロックチェーンを利用可能な環境を提供するため、大きなシナジー効果を導き出せると考えているという。今後はセミナーなどのマーケティング活動における協業も展開しながら、3社の製品・サービスの融合により、金融業界に加えて幅広い業界での利用を積極的に提案していく方針とのことだ。
2016年01月08日劇作家・演出家の長塚圭史にとって、『SISTERS』(08年)以来のパルコ劇場登板となる最新作『ツインズ』が大阪・森ノ宮ピロティホールで上演中だ。パルコ劇場での長塚作品といえば、『マイ・ロックンロール・スター』(02年)や『ラストショウ』(05年)のような、一見普通に見える家族の心理を血なまぐさい恐怖と笑いとで浮き彫りにする作品が印象的。今回も『ラストショウ』で怪演を見せた古田新太や、『SISTERS』に出演していた吉田鋼太郎など、おなじみの“長塚組”が出演。だがそこへ、舞台畑でも進境著しい多部未華子を投じることで、家族劇でありながらこれまでと異なる味わいの舞台となっている。「ツインズ」チケット情報舞台はリュウゾウ(吉田)と、看護師で家事をとりしきるローラ(りょう)、料理上手のトム(中山祐一朗)が暮らす海辺の家。そこへ、寝たきりで姿を見せない当主の余命がわずかと知り、リュウゾウの弟・ハルキ(古田)が娘のイラ(多部)を連れてやってくる。ハルキは父の遺産をもらい受け、娘を“この世界ではないどこか”で「人間らしい生活をさせ」るために台湾船に乗せたいと願っているのだ。そんなカネはないと突っぱねるリュウゾウとハルキの対立は悪化するが、彼らの甥夫婦・タクト(葉山奨之)とユキ(石橋けい)は他のことに気を取られている様子。そんなある日、夫婦の双子の赤ん坊がさらわれて…。父と娘、姉と妹、夫と妻などの関係性を、これまでは禁忌の淵をのぞきこむような濃密さで描いてきた長塚。観客に衝撃を与えた『SISTERS』から7年が過ぎ「外側から家族というものを見つめてみたい」(パンフレットより)と語っている通り、今回その筆致は大きな変化を見せている。ハルキたちの名前や「おはぎ」「八幡神社」といった単語から、どうやら日本が舞台のようなのだが、海の見えるリビングやトムとローラのたたずまい、トムが作るクラムチャウダーなどの料理によって、観客はしばしばそこが“日本ではないどこか”のような感触をもつ。「出歩かないほうがいい」「外でとったものを食べるな」といった意味のセリフは東日本大震災後の被災地を彷彿とさせるものの、物語はそんな安易な目線をはぐらかかすように、あくまでも家族の秘密に寄り添って進行する。古田は、和やかなリビングにバットを持って闖入する猥雑さを持ちながら、娘のイラには甘い笑顔を見せるという二面性のあるハルキを演じて面目躍如。対する吉田は、穏やかだが内面に深い闇を抱えるリュウゾウを繊細な持ち味で演じて、ドラマにリアリティをもたせている。そんな手練のキャストのなか、揺るぎない存在感を見せるのが、長塚作品初登場の多部だ。劇中「こんな世の中だから」というセリフが登場人物から何度か聞かれるが、くすんだ色のジャージを着て食べ物をぱくつく多部の眼差しを見るだけで“その国”が極度に荒んだ状態にあることがわかる。また鍵盤を弾く振りの場面では、パントマイムのテクニックは用いらず、むしろ技巧に依らないことでイラの心情が強く伝わってくることに驚いた。大阪、福岡、新潟、長野で上演。チケット発売中。取材・文 佐藤さくら
2016年01月06日さくらインターネットとテックビューロは12月16日、さくらインターネットが運営する「さくらのクラウド」上で、テックビューロが開発するプライベート・ブロックチェーンのクラウド化技術「mijinクラウドチェーン」の実証実験環境「mijinクラウドチェーンβ」を、2016年1月より無料で提供することを発表した。テックビューロの調査によると、プライベート・ブロックチェーン環境が、実用レベルのクラウドサービスとして一般向けに無料で提供されるのは世界初だという。クラウド上に用意されたプライベート・ブロックチェーン環境は、API経由で自由に使用することが可能。同環境を利用すると、ポイントサービスや銀行、電子マネーなどの勘定システムのほか、登記や資産記録などのシステムが、従来よりも低コストで構築が可能だという。プライベート・ブロックチェーン技術「mijin」をアプリケーションやサービスに実装することで、ゼロダウンタイムや信頼性の高いセキュリティ環境を自由に試すことが可能となっている。「mijinクラウドチェーンβ」は、12月16日より申込受付を開始し、2016年1月より順次提供される予定となっている。1秒間あたりのスループット上限の制限以外は、2016年に提供が予定されている「mijinクラウドチェーン(有料)」と同等だという。無償期間は2016年6月30日までとなっており、それ以降の継続利用については、2016年5月に「mijinクラウドチェーン(有料)」への移行手順が案内される。
2015年12月16日ポッカサッポロフード&ビバレッジは12月14日、「がぶ飲み さくらクリームソーダ 500mlPET」(税別140円)を全国で発売する。同商品は、春先の味わいとして定番化しつつある「さくら」をイメージしたフレーバーのドリンク。「さくらもち」風味をベースにし、アイスクリームが溶け込んだようなフロート風の微炭酸ソーダに仕上げた。クリーミーさを出すために、練乳を使用している。
2015年11月25日小説『グレート・ギャツビー』で知られる作家スコット・フィッツジェラルドと妻ゼルダを新しい視点で描いたミュージカル、『スコット&ゼルダ』が東京・天王洲銀河劇場で開幕中だ。時代の寵児となりながら破滅へとたどるスコットにウエンツ瑛士が、彼と共に時代のアイコンとなるも、非業の死を遂げるゼルダには実力派の濱田めぐみが扮し、華やかな歌とダンス、さらに緊張感漂う芝居で見応えのある舞台となっている。ミュージカル『スコット&ゼルダ』チケット情報1948年のアメリカ。ゴシップ作家のベン(山西惇)は、入院患者のゼルダ(濱田)を取材するため、ある精神病院を訪れる。ゼルダの夫スコット・フィッツジェラルド(ウエンツ)は1920年代に人気作家となり、夫妻の豪遊と奇行の数々は世間を賑わせた。あれから20余年。スコット亡き今、ベンはゼルダから裏話を聞いてひともうけしようともくろんでいたのだ。だがゼルダが当時の様子ーー華やかな生活とスコットとの確執の両方を生き生きと語るに従い、ベンの心情は次第に変化してゆく。スコットとゼルダの真実の姿とは、いったい何だったのか……。ウエンツは連続する濱田とのデュエットソングでも伸びのある歌声を聞かせ、ミュージカル出演2作目とは思えない出来。また作家の無邪気な横暴ぶりを、芸術家の純粋さゆえと説得力をもって示すことができるのは、ウエンツの瑞々しい存在感ならではだろう。純粋さと表裏一体であるスコットの脆弱さをも怖れずに表現し、新境地を見せている。冒頭で「鏡のよう、僕たちは似てる」という歌詞がある通り、スコットの希有なきらめきを乱反射する存在が、濱田演じるゼルダだ。自身も華やかな存在でありながら、より大きな光に引き寄せられるようにスコットと結婚し、それが彼女の人生に苦しみをもたらすことになる。濱田は揺れ動く心情を魅力的かつ的確に表現。終盤、自立へともがき続けたゼルダが、晩年を過ごす精神病院でひとり見せた表情が胸に迫った。舞台はショー要素の強い華やかな1920年代の様子と、"現在"である1948年の精神病院での芝居とが交互に進行。ベン役の山西はゼルダの言葉をノートにとりながら、舞台脇に出ずっぱりという辛抱役だ。だがゼルダへの聞き取りを続けるうち、一介のゴシップ作家に過ぎないベンもまた、かれらの屈折した光に取り込まれてゆく。自分はいったい何者かーー。私たちすべての心の底にひそむ問いを、山西はそのさまざまな表情の変化で客席に投げかけてみせる。元々は米国発のミュージカルだが、普遍的な人間ドラマへと押し上げたのは、日本版演出の鈴木裕美の手腕だろう。艶のあるダンスで圧倒する中河内雅貴が〈1920年代の象徴〉役としてアンサンブルを率い、"個"と"時代"の対比を鮮やかに照らし出していたのも印象に残った。公演は10月17日(土)から11月1日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、11月7日(土)・8日(日)大阪・新歌舞伎座にて。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2015年10月23日第一次大戦直後の英国を舞台に、伯爵家を継ぐことになった青年の愛と人生をファンタジックに描く『薔薇色のfrontier』。劇作家・演出家である斎藤栄作の書き下ろし作品で、美しい楽曲と、時代背景に合わせた華やかなコスチュームプレイにも注目が集まっている。主人公を演じる小野健斗と、その婚約者役の桜乃彩音、さらに主人公を不思議な世界へ誘う男に扮する泉見洋平に、意気込みを聞いた。舞台『薔薇色のfrontier』チケット情報1918年のロンドン。第一次世界大戦から帰郷した伯爵家の次男エディ(小野)は、戦死した兄の代わりに家督を継ぐことになる。兄と結婚するはずだったアンナ(桜乃)と婚約も決まり、アンナに恋心を抱いていたエディは「代わりでもいい」と幸せを感じていた。だが貴族社会の崩壊によって、伯爵家は経済的な危機に直面。アンナの母は、結婚後にエディも渡米することを条件に援助を申し出るが、エディの心は伯爵家の存続とアンナへの愛の間で激しく揺れ動く。そんなある日、バトラー(泉見)と名乗る男が現れて、不思議な世界〈frontier〉へエディを誘う。遠い記憶を呼び覚ます懐かしい歌声に、エディは……。劇中、エディとバトラーのふたりは“貴族の城の庭”“芝居小屋”など、異次元をさまよう。「エディはバトラーや他の登場人物によって激しく心を揺さぶられるのですが、それぞれの“次元”を経験していくうちに、どう変わっていくのかを見てほしいです」と小野。隣でうなずきながら泉見も「エディを追っているうちに、観客の方も懐かしい感情を呼び起こされるんじゃないでしょうか。そういう普遍的なテーマが、この作品には詰まっていると感じます」と、鑑賞のヒントを教えてくれた。一方の桜乃は、ヒロインのアンナを含め4役を演じる。「それぞれの“次元”ごとの演じ分けが難しいですが、どの役でもエディとの関係性を意識して演じたいです」と意気込みを語ってくれた。役との共通点を質問中、優しげな容姿とは裏腹に「けっこうガンコなんです、私」と大胆な発言も飛び出した桜乃。「でもそういう意思の強さはアンナにも感じるので、役づくりに生かせれば」と話した。対して、普段は穏やかな性格で、役と正反対というのが小野だ。「エディは自分の葛藤を、八つ当たりみたいにバトラーにぶつけているところがありますよね(笑)」という小野に、「それでエディの心の呪縛が解き放たれるわけだから大丈夫。バトラーとしては“サンドバック”になるよ」と泉見が包容力たっぷりに返し、小野と桜乃が笑い出すひと幕も見られた。小野が「軍服を着るのは初めてなので、なかなか慣れなくて…」と漏らすと、宝塚歌劇団出身の桜乃が「すごく似合ってましたよ」と太鼓判を押すなど、すでにチームワークは抜群の様子。本番の幕が開く日が、今から待ち遠しい。公演は10月28日(水)から11月2日(月)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2015年10月16日さくらインターネットは10月1日、プライム・ストラテジーが開発した超高速WordPress実行環境「KUSANAGI」を「さくらのクラウド」で実行できる「KUSANAGI for さくらのクラウド」の提供を開始したと発表した。KUSANAGIは、WordPress実行時間3ミリ秒台、秒間1,000リクエストをページキャッシュ非使用で実現するWordPress 実行環境。KUSANAGI for さくらのクラウドでは、IaaS型クラウド「さくらのクラウド」上から、KUSANAGIがインストールされたサーバを簡単に作成できる。KUSANAGI for さくらのクラウドは、追加料金不要で導入できるため、同社は、企業のWebサイトだけでなく個人のブログなどでの利用も想定している。
2015年10月01日小説「グレート・ギャツビー」の作者であり、酒と享楽が時代を支配した1920年代米国を表すアイコンとしても知られる作家、スコット・フィッツジェラルド。時代の寵児として駆け抜けたスコットと妻ゼルダの希有な人生を、作曲家フランク・ワイルドホーン(『ジキル&ハイド』『スカーレットピンパーネル』)がミュージカル化、今回初めて日本版が上演される。キャストのウエンツ瑛士と濱田めぐみ、中河内雅貴、山西惇、そして日本版演出の鈴木裕美と、今回特別に募ったオーディエンスが出席した製作発表が、8月27日、都内の会場で行われた。ミュージカル『スコット&ゼルダ』チケット情報製作発表はパフォーマンスからスタート。1920年代のアメリカは“ジャズ・エイジ”でもあり、ビッグバンド風の華やかな曲「唸るほどの金」をバックに、中河内が三つ揃いのスーツでダンスを。途中で参加したスコット役のウエンツとゼルダ役の濱田の歌は、成功に酔いしれる若者の心情がストレートに伝わってくる。次いでスローな曲調に変わり、ウエンツと濱田のデュエット「すべてをくれる人」。互いの魅力を歌で言い合う姿は、ふたりのつかの間の幸せを表しているようだ。どちらもワイルドホーンらしいキャッチーで耳なじみのいい曲で、観劇の帰りについ口ずさんでしまいそうだった。パフォーマンスの後、改めて登壇した5人。まず演出の鈴木が「日本版(上演台本は蓬莱竜太)では米国版と異なり、あるルポを書こうとする作家ベンの回想から始まります。少数精鋭のキャストで割りとスタイリッシュに、ソリッドなミュージカルにする予定です」と意気込みを語った。今回2度目のミュージカル主演となるウエンツは「また(ミュージカル出演の)チャンスをいただけて嬉しい。歌やダンスは僕より上手い人がたくさんいると思いますが、僕なりにスコットの魂をつかまえて演じたい」と役への全力投球を約束。相手役の濱田も、「実存した人物を演じるのは難しいですが、リアルさをもって演じて、この素敵な作品に貢献したいですね」と健闘を誓った。一方の中河内の役は「1920年代の象徴」という抽象的なもので、これも日本版オリジナル。「当時の風景や香りをしっかり表現したいなと。いろんなシーンで(登場人物の)邪魔にならないように、舞台に存在できれば」と稽古を楽しみにしている様子だ。「ベンはスコットと違っていわゆる“凡人”。でもルポを書くうちに、作家としての矜持を取り戻していくのかなって」と、役の印象を語ったのは、作家ベンを演じる山西。実力派の彼がどう舞台を引き締めるのかにも注目したい。それぞれユーモアをまじえて答えるなど、なごやかに進行した今回の製作発表。4名ともほぼ初対面というものの、舞台への真摯な姿勢は共通のもの。素顔がかいま見られた製作発表に、本番が一段と楽しみになった。ミュージカル『スコット&ゼルダ』は10月17日(土)から11月1日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、11月7日(土)・8日(日)大阪・新歌舞伎座にて。取材・文佐藤さくら
2015年09月01日