●依田氏がCDジャケットのデザインに行き着くまでワコムは27日、DIR EN GREYやthe GazettE、湘南乃風、BABYMETALなど数多くのミュージシャンのCDジャケットデザインを手がけるアートディレクター、コラージュアーティストの依田耕治(よだこうじ)氏が、そのコラージュテクニックを伝授するセミナー「Wacom Creative Seminar Vol.19 ~for Photo Collage~」を東京都・新宿にて開催した。ここでは、同セミナーの模様をレポートする。○好きなものをデザインするためにセミナーの前半は、依田氏が自身のプロフィールや仕事内容などについての話となった。依田氏はデザインの専門学校を出たあと、SP(セールスプロモーション)ツールなどを製作する会社で4年間ほど、商品パッケージやポスター、カタログなどを制作していたという。その頃はデザイン業界の制作環境がアナログからデジタルへの過渡期で、依田氏もそこで初めてMacに触れたということだ。やがて、「自分の好きなものをデザインしたい」という情熱から同社を退社し、アートディレクターのフリーアシスタントとして従事する。しかし、当初はこれまでの会社でしていたデザインとは明らかに異なるものであったことから「自分の力のなさを痛感した」と明かした。その後、数多くのCDジャケットデザイン制作を手がけるグラフィックデザイナー・サカグチケン氏の率いる「サカグチケンファクトリー」に入り、本格的にCDジャケットのデザインやディレクションを始めることとなった。依田氏はこうした経歴について「最初の会社では0から作って印刷までを行う実務的なことを学び、次の職場では"イメージを形にする方法"を教えてもらい、そしてサカグチさんのところではアーティストとの付き合い方やCDジャケット制作のやり方を教えてもらいました」と自身の成長過程について語った。そして2011年、あらゆるアートワークを担う職人集団「陸識」(ROKUSHIKI)を起ち上げ、数多くのアーティストのCDやDVDジャケットなどを世に送り出しているという。○コラージュ作りのきっかけは「苦肉の策」依田氏がこれまでに手がけたCDジャケットは、DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)やthe GazettE(ガゼット)、湘南乃風といった日本のトップクラスのミュージシャンをはじめ、現在世界中でブームを巻き起こしているBABYMETAL、仙台のご当地アイドル・ドロシーリトルハッピーなど幅広い。依田氏の作品の特徴は、自身で「コラージュアーティスト」と名乗っているとおり、さまざまな素材を組み合わせて一枚の絵を完成させるコラージュで独特な世界観を生み出していること。依田氏は、コラージュ作りを始めたきっかけとして「僕は絵(ラフ)が描けないので、クライアントにデザインを提案するときに写真を組み合わせて説明したり、予算がなくて思うような写真を撮影できなかったりしたため」と、苦肉の策によるものだったことを明かした。それが今では「表現したいものを形にする手段」になっているという。別々の素材を組み合わせるコラージュには、いかにも「切り貼り」した印象を受けるものもあるが、依田氏はそれを嫌い、「一枚の絵に見せる」ことを心がけているという。制作過程としては、先にイメージを思い描き、そのあとでイメージに近い素材を集めることもあれば、使いたい素材を先に見つけてそのイメージを膨らませていくこともあるという。先にイメージが浮かんだ場合の素材の集め方については「思い描いたイメージと完全に一致するものは皆無なので、テーマに合ったストックフォトを探したり、自分で撮影したりしている」と述べた。普段からストックフォトを集め、特に"変な形に見える裸体"の写真は好きで集めているということだ。○具体的なCDジャケット制作のプロセス&裏話ここからは、実際のCDジャケット制作についての話へと移った。the GazettEのアルバム「Beautiful Deformity」のCDジャケットの例に、制作段階において使われた絵コンテと3Dモデルを紹介。まずは思い描いたイメージを絵コンテで起こし、それをもとに3D造形物を制作した上で、最終的にアーティストが抱いているイメージのパッケージにどのように落とし込んでいくかを考えたという。また、DIR EN GREYのアルバム「ARCHE」("根源"という意味)のジャケットデザインでは、先にアルバムタイトルだけが伝えられ、そこからイメージしたビジュアルをいくつも提案したそうだ。その後、バンドメンバーの意見を取り入れつつテーマを絞り、制作した3Dの造形物をひとつのストーリーに沿ってさまざまなパターンで撮影したそうだ。実際に採用されたのはパッと見ではわかりづらいものであったが、「DIR EN GREYのメンバーは出落ち感(出た瞬間にすぐに理解できてしまう)ことを嫌うので、温度であったり匂いであったり、何か伝わるものに落とし込んでいくケースが多い」と、わかりづらい作品が選ばれたことにも理解を示していた。ちなみに、DIR EN GREYはメンバーのこだわりが強く、まとまるまでにとても時間が掛かり、ツアーで地方に出掛けているときには現地に出向くこともあるという。このほか、依田氏が関わるアーティストの特徴として、the GazettEはボーカルのルキ氏が明確なイメージを持っているため、ちょっとした補正案やブラッシュアップを行うと共に制作スタッフ達とさらにイメージを膨らませていく。一方、湘南乃風の「バブル」と言う作品は「基本的におまかせ」という形で自由にデザインさせてくれるなど、各アーティストのファンには興味深い裏話を明かしてくれた。●the GazettE 最新アーティスト写真でデザインワークを実演○依田氏の世界観を表現するコラージュテクニック講座セミナーの後半は、ワコムのペンタブレット「Intuos Pro small」とAdobe Photoshopを使って、コラージュ作りの過程や手法を紹介していく実践形式での講義となった。ちなみに依田氏は普段の作業では大きめのペンタブレットを使用しているが、アーティストがコンサートなどで地方にいるときは、smallサイズのペンタブレットを持って「出張デザイン」を行っているという。なお、この実践コーナーで使用するコラージュは、the GazettEのボーカル・RUKI氏の写真をベースに、8月26日発売の同バンドのニューアルバム「DOGMA」("教義"の意味)のイメージを、依田氏ならではの世界観で「異宗教」をテーマに表現した作品だ。ルキ氏の身体の中に「宇宙」や「祈る人」、「石像」などの宗教的なアイテムを埋め込むように表現したコラージュに仕上がっている。○クイック選択ツール+レイヤーマスクで髪の毛を切り抜く今回のコラージュ制作で最初の作業は「髪の毛を切り抜く」こと。いくつかの方法がある中、依田氏は「クイック選択ツール」を使って大雑把に選択したのち、上部の「境界線を調整」ボタンを押し、出力先では「新規レイヤー(レイヤーマスクあり)」を選んで新しいレイヤーとして保存するというやり方を選んだ。今回の素材は、背景と髪の毛の境界がはっきりせず切り抜きづらいものであったが、こうした場合はこの方法を用いることが多いという。次に身体の部分を使って表現するために身体全体や首の肌色部分を抜いて別の素材を挿入していく。手の部分も同様にレイヤーマスクに別素材(ここでは宗教画)を乗せ、ほかの部分に合わせて色味を変えて馴染ませる。その際、もとの素材(ここでは手)の立体感に欠けてしてしまうので、覆い焼きツールなどで陰影を強めて立体感を維持するように心がけているとのことだ。さらに身体の部分のレイヤーマスクに石像やクレーターの画像を重ねていくのだが、ここではより美しく仕上げるために、境目を葉っぱで隠すことで滑らかな表現を実現しているということだ。○素材の陰影に合わせて色を付けるテクニックある程度出来上がったら、全体のトーンを合わせるために石像に色をつけたり別の素材を重ねて合成していく。ここでもやはり石像が平面的にベッタリとなってしまいがちだが、今度は前述したような覆い焼きツールではなく、チャンネルの「演算」を使って、陰影に合わせて色を付けるテクニックを見せてくれた。「イメージ」メニューから「演算」を選択すると開くウインドウで、第1元画像と第2元画像、チャンネル(ここでは「レッド」)を指定する。これにより画像の「濃淡」だけをチャンネルとして抽出でき、それを石像の画像に重ね合わせれば、色付きの素材が明るい部分には濃く、暗い部分には薄くなることで立体感を演出できるという。さらにトーンカーブを使って好きなように調整すれば、より自分のイメージに近い仕上がりになるということだ。なお、このチャンネルの「演算」を使ったテクニックについては、現在ワコムが展開している「Create more」キャンペーンの依田氏のページからダウンロードできる「依田耕治 ダウンロードコンテンツ」に含まれる「チュートリアルe-Book」(eブック形式)の中で詳しく解説されている(メールアドレスの登録が必要)。ちなみに依田氏は、Photoshopの操作方法はすべて独学で覚え、この「演算」を使うテクニックは昔「気球に国旗を入れる」という作業を行った時に見つけたという。依田氏は「丸いものや凹凸のある素材にシンプルなものを重ねて練習すると覚えやすいでしょう」と聴講者にアドバイスした。最後に、ルキ氏の頭に角を生やしたり、顔に色々な素材を重ねたりして"人間っぽさ"をなくす作業となった。重ねる素材はガイコツやヘビ、柄など多彩だが、依田氏は「何を加えて良いのかわからなくなったら、とりあえずあらゆる素材を重ね、あとから不要なものを取り除いていく」という「引き算」方式で作り上げる方法を推奨していた。角の部分にも「演算」で色を付けたり、粒子感やノイズを乗せたりして境界線を馴染ませ、一枚の絵に見えるように仕上げていく。そしてすべてのレイヤーを結合し、「覆い焼き」や「焼き込み」といったツールで細かい調整を行い、作品の完成となった。最後に依田氏は「今、僕がやったことは何ひとつ難しいことはなく、根気さえあれば誰でもできます」とした上で、「時間短縮という意味でも、ペンタブレットを使うのもお勧めです」と語ったのち、「ただ、僕よりも良い物は作らないで下さい」というジョークでセミナーを締めた。
2015年07月01日ワコムはアートディレクター/コラージュアーティストの依田耕治氏がコラージュテクニックを伝授するセミナー「Wacom Creative Seminar Vol.19 ~for Photo Collage~」を開催する。日時は6月27日 13:00~15:30(12:00開場)。会場は東京都・西新宿の住友不動産新宿グランドタワー5階にあるベルサール新宿グランド会議室 A。参加費は無料(事前申込みが必要)。同セミナーは、人気バンドDIR EN GREYやthe GazettEなどのCDジャケットを手掛け、ワコムが現在実施している「Create more」キャンペーンにも登場するアートディレクター/コラージュアーティスト 依田耕治氏が登壇し、独特な世界観を生み出すコラージュテクニックを「Intuos Pro」を使った実践を交えて伝授するもの。最新のアーティスト画像を使用した普段見ることができない制作の工程や、コラージュ制作に役立つテクニックが紹介されるほか、クリエイティブ関連の質問にも答えてくれるということだ。また、会場にはプロフェッショナル向けペンタブレット「Intuos Pro」や液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズなどを実際に体験できる「タッチ&トライコーナー」が用意されるということだ。なお、セミナーに参加するには、事前に申込みページより申し込みを行い、申し込み完了画面をプリントアウトして持参すること。定員は72名(先着順)で、定員に達し次第応募を締め切るということだ。
2015年05月27日スカパーJSATはこのほど、「スカパー! プロ野球セット」の最新TVCMとして、広島東洋カープ・黒田博樹投手が出演する「スカパー! プロ野球『黒田博樹登板篇』(15秒/30秒」を全国で放送開始した(一部地域除く)。同CMは全国放映となっているが、黒田選手は全国で放映されるCMに出演するのは初めてとのこと。スカパー! も、プロ野球のTVCMを単独の現役選手で制作したのは、今回が初めてだという。チームの垣根を越えた日本球界を象徴するプレーヤーとして、プロ野球を盛り上げてほしいという思いを込めて制作した。CMは「また日本に戻ってプレーすることがあるならば、このチームしかない。そう言い残し彼は海を渡った」というナレーションからスタート。バックヤードからグラウンドへ続く階段、そしてベンチと、登板前の黒田選手の姿を再現した映像が流れる。手に握ったボール、背番号「15」をつけた黒田選手の真っすぐな視線が、並々ならぬ覚悟を感じさせる。撮影は3月16日、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島で実施。無事に撮影を終えた黒田選手は、「野球に注目してもらい、人気が高まれば、出演したかいがある」とCMに期待を寄せていたという。
2015年03月26日音楽ユニット・B’zの書き下ろし曲「RED」が、広島東洋カープ・黒田博樹投手のマツダスタジアムでの登場曲として使われることが、このほど明らかになった。黒田投手は2015年、大リーグ・ヤンキースから8年ぶりに古巣に復帰する。今回の登場曲誕生は、黒田投手が今年2月にアメリカ・ロサンゼルスでB’zの松本孝弘さんと食事をし、意気投合したことがきっかけだという。翌々日には黒田選手が直々に登場曲を依頼した。B’zはこれまで「ultra soul」(世界水泳)など、スポーツ大会の曲を書き下ろしてきたが、特定のアスリートのための曲を手掛けたのは今回が初めて。全国ツアーの合間を縫いながら、黒田投手をアメリカから帰って来たサムライにイメージを重ねて曲作りを行い、復帰を飾る「RED」を完成させた。B’zの曲を高校生くらいの頃からよく聞いていたという黒田投手は、完成した曲を聴いて「曲・歌詞とも本当にカッコいい」と大変満足した様子だった。タイトルの「RED」については、「カープのチームカラーですし、一番先にカープを連想するようなタイトルで素晴らしい」と絶賛している。また「松本さん、稲葉さん始め、曲作成に携わっていただいたみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。いいピッチングをして少しでも恩返しができたらと思います」と意気込みを語った。B’zの松本孝弘さんは「開幕まであまり時間がなかった」とタイトなスケジュールの中での曲制作だったことを明かした上で、「ミュージシャンとして興味深く、よい楽曲ができそうな予感はありました」とコメントした。「カントリーミュージックの代名詞的な楽器、バンジョーのリフから始まるのは、アメリカから帰って来たサムライといった感じのイメージ」と語っている。稲葉浩志さんは詞について、「どんな試合でも粘り強く寡黙に投げるという、男なら誰でもしびれるような黒田投手のイメージがありますが、他人には見せないであろう葛藤なども想像しながら言葉を選びました」と説明した。「単なる黒田投手のテーマソングではなく、それを歌う私や聞き手も自分を投影できる、B’zの作品になったと思います」。同曲は、黒田投手のマツダ スタジアム公式戦初登板で初披露となる。この曲は、広島東洋カープファンの応援歌としても愛され続けてほしいという願いが込められているという。
2015年03月26日TCエンタテインメントはこのほど、DVD「黒田博樹のカープ愛~野球人生最後の決断~」を発売した。プロ野球の黒田博樹選手は、広島東洋カープ(以下広島カープ)入団後にメジャーデビューを果たし、ドジャースとヤンキースで活躍した。今年はメジャー球団からの巨額年棒の提示を断り、2007年以来、8年ぶりに古巣・広島カープに復帰した。同商品は、黒田選手の"野球人生最後の決断"を記念した完全保存版DVD。2月16日に行った広島カープ復帰記者会見を完全収録している。さらに、広島カープ時代の映像や通算79勝をマークしたドジャース・ヤンキース時代の活躍シーン、今年1月にロサンゼルスで公開した自主トレーニングの様子とインタビュー映像、8年ぶりに広島カープのキャンプに合流した映像なども収録している。価格は2,800円(税込)。特典グッズとして、黒田博樹オリジナルステッカーも付いている。
2015年03月17日白泉社は3月13日0時より、マンガ「誰(た)がために ~黒田博樹物語~」の配信を、無料WEBコミックマガジン「ヤングアニマルDensi」にて開始した。同作は、メジャーで活躍していた黒田博樹選手の広島東洋カープ(以下広島カープ)電撃復帰を記念して発行するもの。ヤングアニマルに掲載した2話と描き下ろしの1話の全3話を無料配信する。第1話は、2006年の出来事を基にしたストーリーとなっている。同年にFA権を獲得した黒田選手は、権利を行使して他球団へ移籍する可能性が報じられていた。しかし、同選手は2006年ペナント最終戦に、広島カープファンの思いに心を打たれ、チームへの残留を決意する。第2話は、同選手の「男気」をテーマにしたオリジナルストーリー。同選手が広島カープで投手として活躍する2007年、広島に異動してきたある1人のサラリーマン青年は、仕事がうまくいかず悩んでいた。その折、青年は偶然観戦したカープ戦で、同選手のピッチングを見て勇気をもらい、前向きに自身の人生を歩む決意をする。第3話では、メジャーリーグで79勝という成績をおさめ、20億円以上のオファーを受けたと報じられた同選手が、2015年に広島カープに復帰する「はじまりのストーリー」を描いた。2月16日に行われた復帰記者会見がベースとなっている。(C)2013HAKUSENSHA all rights reserved.
2015年03月13日TOKYO FMは3月14日、21日の2週にわたり、スポーツ×音楽プログラム「TOYOTA Athlete Beat」にて、プロ野球・黒田博樹選手のスペシャルインタビューの模様を放送する。「TOYOTA Athlete Beat」は、注目のアスリートたちの素顔に迫るラジオ番組で、野球をはじめとするスポーツを好む俳優・藤木直人さんと、毎週フットサルをしているというタレントの伊藤友里さんが進行を務める。黒田選手は広島東洋カープ入団後、2007年にFA宣言。翌年メジャーデビューを果たし、ドジャースとヤンキースで活躍した。今シーズンは、20億円とも言われているメジャーからのオファーを振り切って、8年ぶりに古巣に復帰した。番組内では、「この先の野球人生がどうなるか分からないから、最後まで悩んでいた。待ってくれているファンもいる。一方で年齢も考えての決断でした」と復帰について語っている。古巣・広島カープのユニフォームには「この年齢だから、赤のユニフォームは似合わないか……」と照れる場面も。ゲストに迎えた選手が1曲を選ぶ同番組のコーナー「Cheer up songs!」では、お気に入りの曲を紹介。その曲は、昨年たまたま広島にいたときに出向いたコンサートで聴いた曲であったという。当時はアメリカに残るか広島に帰るかで悩んでいた時期であり、その曲の内容が自分自身と重なったとのこと。同プログラムでは、黒田選手のサイン入り広島カープタオルマフラーのプレゼントも予定している。放送時間は10時~10時50分。
2015年03月13日92回目にして、初の試みだ。11月8日、天皇杯ベスト16抽選会が行われた。大仁邦彌日本サッカー協会会長は「抽選会という新たな試みですが、これによって天皇杯に関心を持ってくださる方が増え、ひとりでも多くのファンがスタジアムに足を運んでくれることを願っています」と抱負を語った。ドロワーは木村和司をはじめ、長谷川健太、名良橋晃、福西崇史と天皇杯で幾多のドラマ、名勝負を演じた錚々たるメンバー。ドロワーたちは天皇杯の思い出を口々に語った。天皇杯で6度の優勝を果たした木村は、一番印象に残っているのは第63回大会だと言う。「ヤンマーと対戦した第63回大会。釜本(邦茂)さんがプレイイングマネージャーをされていて、後半に交代出場した時、これは勝ったなと思った」と笑わせた。名良橋は「3度の優勝よりも準優勝に終わった時の方が印象に残っている」と振り返った。福西は83回大会の決勝はケガで出場は叶わず。「大晦日の夜、サッカーのためにホテルに泊まって、日本一になることを願って寝たんですが……」と笑いを誘った。長谷川は78回大会を強烈に覚えていた。相手はチームの消滅が決まっている横浜フリューゲルス、清水エスパルスは前半を1-0でリードするも、「後半は国立競技場全体がフリューゲルスを応援し、すごい逆風だった」。結果は1-2で準優勝に終わった。抽選の結果、新たなドラマを刻むカードが決定。鹿島アントラーズ×ジュビロ磐田、浦和レッズ×横浜F・マリノスなど、黄金カードが決まる中、特に注目されたのが4回戦に勝ち残ったアマチュア2チームだ。福島ユナイテッドFCはジェフ千葉に挑み、横河武蔵野FCは柏レイソルに立ち向かう。大仁会長は「東北リーグの福島ユナイテッドFC、JFL所属の横河武蔵野FCは、天皇杯ならではのジャイアントキリング(番狂わせ)を起こしたチーム。今後も台風の目となって、天皇杯の歴史に名前を刻んでほしい」と2チームへの期待を語った。木村も「ジャイアントキリングはサッカーの面白さ、天皇杯の醍醐味」と言えば、名良橋は「格上のチームの方がやり辛い」と解説した。チャレンジが続く2チームの関係者は意気込み十分。「相手はどこでも関係なくチャレンジしていくだけ」(横河武蔵野FC・依田博樹監督)、「柏には強いイメージしかないが、粘り強い戦いをしたい」(金守貴紀主将)、「絶対に諦めない気持ちでやっている」(福島ユナイテッドFC・鈴木勇人社長)。福島は除染のため、ホームグラウンドを使用できない状況にある。選手たちは働きながら、米沢(山形)、白石(宮城)、会津若松(宮城)へ練習に出向く。往復の移動時間が練習時間を上回るのはざらという悪条件だが、鈴木社長は「タフな状況にはもう慣れている」とコメント。4回戦のその他のカードはガンバ大阪×FC町田ゼルビア、セレッソ大阪×清水エスパルス、名古屋グランパス×ロアッソ熊本、大宮アルディージャ×川崎フロンターレ、キックオフは12月15日(土)。決勝は2013年1月1日(火)・国立競技場で開催される。チケットの一般発売は11月24日(土)より。
2012年11月09日