公演ごとに実力派役者陣をそろえ、演出家・大河内直子が名戯曲の魅力を掘り起こすユニットunrato。10作目となる今回は、チェーホフの『三人姉妹』がいよいよ登場。長女のオーリガ役は、劇団四季を退団後も的確な演技力で活躍する保坂知寿、次女のマーシャ役は、元宝塚歌劇団トップスターで誠実な芝居と豊かな歌唱力に定評のある霧矢大夢。そして三女イリーナには、所属する文学座のほか外部公演や映像作品にも進出中の平体まひろが扮する。3人に意気込みを聞いた。「このおふたりと共演と聞いて、まず安心感がありました」と話すのは保坂だ。「何度も共演している霧矢さんは、考えていることが似ていて何でも話せる人。まひろちゃん(平体)とは初めてですが、ストレートプレイの環境に身を置く人なだけに、私にはない感覚を持っているのではと思って楽しみなんですよ」と微笑む。霧矢は「私はまひろちゃんとも共演経験があって、おふたりとも頼もしい方だと知っているので、やっぱり安心感が(笑)。私の演じるマーシャは夫に不満があってトゲトゲしい人なのですが、そうでない部分をどう埋めていくかがチェーホフ戯曲を演じる際の“戦い”。なので、おふたりと戦いに挑めるのが心強いです」と語る。2人の期待の言葉に、「尊敬するおふたりに付いていこうと必死です」と興奮気味の平体。それでも本作の魅力を聞かれると、考えながら「余白がたっぷりあるところでしょうか」と口にした。「登場人物が好き勝手にしゃべって、たまに会話が成り立ってないようにも見えますが、それって私たちの日常でもよくあること。そういうグチャグチャした部分をいかようにも作れるのが、演じる側の面白さかなと思います」と話した。「チェーホフって、若い頃と今とでは観ていても感じ方が違うんですよね。色々な受け取り方ができるから、多くの国で上演され続けているのかなって」と言う保坂。続けて霧矢も「世界中の人たちが同じように閉塞感を感じている今、それでも人間ってたくましいよ、しぶといんだよということを教えてくれる作品。セリフがないところの芝居も大切に演じたいですね」と語った。本作は、劇団四季が創立50周年の2003年にオープンした自由劇場で上演。「(劇団四季の)創設者の浅利(慶太)さんは、チェーホフを上演するためにこの劇場を作ったんですって」と保坂が明かすと、「すごい巡り合わせ!」と驚く霧矢と平体。客席数約500の親密な空間で繰り広げられる『三人姉妹』。その本番が、今から楽しみだ。公演は9月23日(土・祝)~9月30日(土)まで。取材・文:藤野さくら
2023年08月30日舞台『家族モドキ』の公開ゲネプロが25日に東京・日比谷シアタークリエにて行われ、山口祐一郎、浦井健治、大塚千弘、保坂知寿が取材に応じた。同作は田渕久美子(脚本)×山田和也(演出)のコンビによるオリジナル作。大学で教鞭を執る高梨次郎(山口祐一郎)は、窓から家を覗いてきた若者・木下渉(浦井健治)に気づく。次郎の一人娘・民子(大塚千弘)の大学時代の同窓生だと名乗る渉を家に引き入れ、数年ぶりに家に帰ってくる娘の民子と再会を果たすことになったが、予期せぬ事実が発覚。混乱する次郎の前に、渉の妻・木下園江(保坂知寿)が現れ……。2020年12月にシアタークリエ他にて上演した『オトコ・フタリ』以来、脚本・演出・キャストと同じメンバーが約3年ぶりにそろったという同作。山口は「コロナのこともあって大変だったんですけど、その期間もみんなで力を合わせて、今年また会えて素敵な劇場で楽しい作品をお客様にも楽しんでいただけるということで、初日を今から楽しみにしています」と喜ぶ。同作に込められたメッセージについて聞かれると、「家族じゃないですかね。思いやる気持ち」(保坂)、「生きてたらいろんなことがある」(大塚)、「笑った後に泣くような人生だよなと。一寸先は闇じゃないですけど、みんなに起こりうる。今の日本で生活していたら必ず起きることかもしれない、だから学べるところが魅力」(浦井)とそれぞれに表す。最後に山口は「みんな違っていいんですよ~、あなたはあなたでいいんですよ~」と優しい言葉でまとめていた。また家族観について話が及ぶと、山口は「がんもどきも、雁のお肉に似てるということで、『家族モドキ』も“家族のような”というんですかね。いろんな形で『家族はこういうものです』と教育され、気がついた時にはしがらみの中で生きていくようなことがあるかもしれないんですけど、そんな中でカチッとした家族じゃなくて『今までと違ってこんなことがあるんじゃないでしょうか』という提案につながっていく」と同作について語る。「楽にみなさん頑張って生きていきましょう、というメッセージを自分ももらっているつもりです」と明かした。浦井は「ミュージカル界といいますか、演劇界って家族だなと痛感すると言いますか。『目線の先に未来がある』じゃないですけど、プロディーサーさんの眼差しとか、祐さんとか知寿さんのやってきたものの大きさも含めて、一緒に同じ時代を家族として生きていられることは醍醐味だなという気がします」と演劇界の“家族感”について話す。大塚は「“家族”と聞くと、あったかくなれる。それは血の繋がりがあろうとなかろうと関係ないんだなというのを、この作品を通じて痛感しましたし、この3年間、コロナでマスクで顔が見えなかったりという中での、人とのつながりを経験したからこそ感じるあったかさだったり、そういうものって家族なんじゃないかなって思います」、保坂は「血のつながりもあるけれど、そうでないつながりで、お互いを受け入れて寄り添って生きていく集合体というか、それはいろんな形があるよねというのが、『家族モドキ』という作品なのかなと思っています」と語った。公演は東京・日比谷シアタークリエにて7月26日〜8月13日。
2023年07月25日“現代における家族の形”を描いた新作舞台『家族モドキ』。山口祐一郎、浦井健治、大塚千弘、保坂知寿という実力派俳優4人が『オトコ・フタリ』(2020)以来、約3年ぶりに集結した。脚本・田渕久美子、演出・山田和也のタッグのもと、お互いを思いやる優しい心であふれた温かい物語を紡ぐ。共演の山口、浦井に話を聞いた。家族とは? 大事な人たちともう一度巡り合う作品ーーまずは今回『家族モドキ』という作品での共演になります。おふたりが演じられる役について、それぞれどのようなところに魅力を感じていらっしゃいますか?山口2020年から始まったコロナ禍。特に田舎から上京してきた学生さんにとっては辛い時期でしたよね。学校に行こうにもアルバイトに行こうにも、はたまた劇場に行こうにもどこも開いていない。家に帰ろうものなら「あなたが東京へ行ったことはみんな知っているから、絶対に帰ってこないように」と突っぱねられるというね。この間、『キングダム』の公演で札幌に行ったんです。そうしたら、この3年間で初めてじゃないかな。飛行機の座席も満席だったし、空港から駅に行く電車の中も混んでいて、マスクはしていましたけど、みなさん楽しくお話しされていたんですよ。ああ、コロナ禍以前の世界に、完全ではないにしても戻ってきているのかなと思いました。そんな今の時期に、この『家族モドキ』です。みんなが忘れかけていた、〈家族〉や〈仲間〉や〈恋人〉や〈同窓生〉といった大事な人たちともう一度巡り合える作品。今だからこそ上演する意味があるのかなと思います。僕が演じるのは父・高梨次郎。この多様性が尊重される時代でも『家族とはこういうものだ! 父親とはこういうものだ!』とひとりで言い張っているような親父です。本当は、父としての思いやりや温かい心ももっているのかもしれませんが……そんな父親を演じます。浦井僕は、その祐さん(山口祐一郎)が演じる父・高梨次郎と、大塚(千弘)さんが演じる娘・民子との間に入っていく役柄。渉は民子の大学時代の先輩になります。作品の中ではいろいろなことが起きて、いろいろな関わり方をしていくので、『家族とはなんだろう?』とお客様と一緒に考えていけるような役割を担うんじゃないかなと、現時点では思っています。ーー浦井さんは保坂さんと夫婦役ですね!浦井はい。最初は驚きましたし、『え、浦井でいいんでしょうか……』とも思いましたが、夫婦役ができることを光栄に思っています。人生の縮図が詰まっている脚本ですが、その中でこの夫婦が担うものも大きいと思うので、誠実に向き合っていけたらと思います。ーー一方の山口さんは、大塚さんが娘役です。何度か共演もされています。山口はい。最初に大塚さんにお会いしたのは、彼女が高校生のときかな。ご両親がいらっしゃって「娘をよろしくお願いします」とご挨拶いただきました。なので、僕も冗談で「え、僕でいいんですか?」と返したら、お母様が「はっ?」と(笑)。お父様が笑ってくださって冗談が成立したからよかったですけどね(笑)。そんな思い出が蘇りましたが、あれから二十数年経ちました。それから保坂さんは、彼女が劇団に来たときから知っていますので、そういう意味だと40年ほど。浦井さんとも、彼がデビューしたときからご一緒させていただいています。この『家族モドキ』の「モドキ」というのは、「家族のような」というね。ただただこのお仕事のために集まって、お互いのこともあまり知らずに、仕事が終わったらさようなら……というのではなくて。お互いが同じ場所でいろいろなことを経験して、またそれぞれ離れたところで経験を重ねて、また集まってきて……まさに「家族モドキ」。ご縁ですよね。浦井お話を聞いて改めて感じましたが、ミュージカル界のキングである山口祐一郎さんは、ずーっと見守ってくださっているんですよ。第一線を走っていらっしゃる先輩なのに、こんなにフレンドリーと言いますか、みんなのことをいつも見守りながら、引っ張ってくださる。またこうしてご一緒できること、嬉しいし、幸せだなぁと思います。より魅力的な一瞬一瞬をーー浦井さんは『キングアーサー』、山口さんは『キングダム』という“歴史もの”に出演されて、今回は現代劇です。何か違いを感じる部分はございますか? 意外と違いはないものですか?浦井うーん……何かありますかね?山口ついつい芝居中に、そのようなタッチになってしまったりしてね(笑)。浦井あはは、突然、刀を振り回さないでくださいね(笑)。山口『キングダム』を振り返ると、殺陣がとにかく大変で、みんなギリギリのところでやっていたんですよ。。でも、回を重ねるごとに、その殺陣がリアルになっていって、呼吸のタイミングまで合わせられるようになっていって……。毎年人口が減っている、この小さい島国ですが、ただただ衰退するわけではなくてね、そこにいる一人ひとりは自分の仕事に矜持を持って、真摯に真面目に向き合っている。素敵な若者がいっぱいいるんだと証明してくれた気がするんですよ。『キングダム』でたくさんのエネルギーをいただいたので、この『家族モドキ』では、古典とか現代劇とか映像とか舞台とか、そういう区別に拘束されずに、より魅力的な一瞬一瞬を作っていきたいと思います。今回出演する俳優は、その創作ができるメンバーだと思っていますから。ーータイトルにちなみ、おふたりにとっての「家族」とは? もしくは「家族モドキ」で連想されるものがあればぜひ教えていただきたいです。浦井ミュージカル界ってちょっと家族的なところがあるような気がするんですよね。山口さんを始めとした諸先輩方、我々の世代、そしてその下の若い世代がいて、互いを意識したり、見守ってくれたりしている。プロデューサーさんも含めて、これからの日本のミュージカルのあり方を考えている意味でも『家族モドキ』だなと感じます。山口『家族モドキ』って、とてもチャーミングなネーミングですよね。作家の田渕先生は本当に予言能力があるかのようだなと思うんです。戦後、核家族というものが理想とされてきたけれど、その〈あるべき姿〉がだんだん崩れていき、現代はまさに不確実で、多様性を尊重する時代になっている……。この作品を通して、改めて「家族とは何か」を考えてみようよと言われている気がします。4人が織りなす楽しいお話です。劇場でお待ちしています!取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己<公演情報>『家族モドキ』2023年7月26日(水)~2023年8月13日(日)会場:東京・シアタークリエ東京公演終了後、大阪(8/18~20・サンケイホールブリーゼ)、愛知(8/24・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール)にて上演《あらすじ》その日、高梨次郎(山口祐一郎)はリビングで立ったり座ったり、落ち着きがなかった。おまけに、ひとりの若者が、何度も窓から室内を覗いてくる。次郎はその若者を呼び止め、人の家を覗く無礼をたしなめる。彼は木下渉(浦井健治)と名乗り、次郎の一人娘・民子(大塚千弘)の大学時代の先輩だという。渉を家の中に引き入れる次郎。実はその日、民子が久しぶりに家に帰ってくることになっていたのだ。数年ぶりに父と娘は再会を果たすも、予期せぬ事実が発覚し、次郎は混乱。そして渉の妻・木下園江(保坂知寿)が現れて――。チケット情報
2023年06月29日4月23日に行われた東京都世田谷区の区長選で当選した、無所属の保坂展人区長(67)。しかし現在、保坂区長のツイートがネットで話題となっている。保坂区長は区長選では自民と維新が推薦した無所属新人の内藤勇耶氏(29)との一騎打ちを制し、見事4選を果たした。実はその前日、Twitterにこう投稿していた。《前から住みやすかった世田谷が、保坂さんの12年で益々住みやすくなった。このまま、しっかり仕事を続けてほしい》保坂区長が自身のことを《保坂さん》といい、自らにエールを送るーー。そんな“自分アゲ”な投稿に、Twitterでは《自作自演》《自画自賛》《自分自身を「保坂さん」ってwww》といった声が上がっている。実はこのツイートは保坂区長を応援するアカウントの投稿を引用して行われたもので、その引用元の投稿には松尾貴史(62)と保坂区長が握手するような写真もアップされている。そこで、本誌は保坂区長の事務所に“自分アゲツイート”について「投稿の意図は」などの質問表をメールで送った。すると、その直前に保坂区長はTwitterを更新し、こう綴った。《4月22日のツイートで「前から住みやすかった世田谷が、保坂さんの12年で益々住みやすくなった。このまま、しっかり仕事を続けてほしい」というセリフは引用リツイートした写真の松尾貴史さんのものです。「松尾さんのお話は」「松尾貴史談」と付け加えれば良かったと思っています》《「保坂のぶとサポーターズ」は事務所でスタッフが運営し、「保坂展人」は私自身が管理しています。サポーターズの松尾さんの記事を紹介して、挨拶された内容を紹介しましたが、説明不足だったようです。選挙期間中は更新、コメントが公選法で禁止されていて、昨日は修正出来ませんでした》またその後、事務所の担当者から本誌に《ご連絡ありがとうございました。先ほど本人がお詫び・修正のツイートをいたしました。ご確認いただければ幸いです》という回答があった。
2023年04月24日ムシラセ(代表:保坂萌)主催、『瞬きと閃光』が2022年11月30日 (水) ~2022年12月4日 (日)にシアター風姿花伝(東京都新宿区中落合2-1-10)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて10月26日(水)12:00より発売開始です。カンフェティにて10月26日(水)12:00よりチケット発売開始 公式ホームページ Twitter(@mushirase_tw) ムシラセ最新作『瞬きと閃光』カンフェティ独占発売開始!【おはなし】わたしたちの部室には、ずっとまえからおばけがでるらしい。コンテストの時期が近くなってくると大きいカメラをぶらさげて、じっと座っているのが「見える人」にはみえるらしい。そんなオカルト現象、写真に映らないなら話題にもならないから、興味ない。だいたい顧問はやる気がないし、部員は減ってるし、今年こそ入賞できないと私の写真家の夢がどうにもならないよ。つまんないことを気にしている場合じゃないのにさっきから、もじゃもじゃ頭の大人の女の人が、私に話しかけてくる。その人は、ちょっと昔の大きなカメラを持っていて、座ってるけど、床から二センチくらい浮いている。しっかりみえているはずなのに、わたしのカメラでは、うつらない。ちょっとまってよ、あんただれ?なんでそこにいるかわかってないおばけと、写真部の女子高生と、職員室の先生たちの、みえるとみえないと、写真と、夢のお話。ムシラセとは2008年結成。作・演出・舞台写真家の保坂萌が主宰するプロデュースユニット。団体名は「虫の知らせ」から。写真のような一枚絵の美しさを追求するビジュアライズと、今を生きる人々の切なさとおかしさを切り抜く作風が特徴。観終わった後、日々が楽しくなる気持ちが少しでも続くような作品作りを目指しています。2019年佐藤辰海演劇祭「つやつやのやつ」優勝。【脚本・演出:保坂萌(ほさかめぐみ)】演出家・劇作家・舞台写真家。成安造形大学ファッションデザインコースにて舞台衣装を学び、2008 年演劇プロデュースユニットムシラセを立ち上げ。並行してスポーツカメラ マンを経て舞台写真家として活動。ムシラセ全作品の作演出、2013 年アニメーション監督森本晃司との共同制作「羊人間 012」共同脚本・演出の他、外部演出、日本アカデミー賞脚本賞受賞・詩森ろば主宰 serialnumber のメインビジュアル、舞台写真担当等、分野を超えて様々なアーティストと幅広く創作している。2019 年佐藤辰海演劇祭・ムシラセ『つやつやのやつ』にて優勝。公演概要ムシラセ『瞬きと閃光』公演期間:2022年11月30日 (水) ~2022年12月4日 (日)会場:シアター風姿花伝(東京都新宿区中落合2-1-10)■出演者工藤さや小口ふみか辻響平(かわいいコンビニ店員飯田さん)輝蕗元水颯香中野亜美加藤彩土本燈子菊池美里つかてつお渡辺実希松尾太稀土橋銘菓・柴奏花(ダブルキャスト)■スタッフ脚本・演出・写真 保坂萌演出助手平井隆也(吉祥寺 GORILLA)舞台監督 西山みのり舞台美術 袴田長武照明 保坂美沙(C.A.T)音響 星知輝楽曲 Renn Saito宣伝美術 藤尾勘太郎宣伝ヘアメイク 上野小百合制作 小泉美乃(合同会社soyokaze)■公演スケジュール11月30日 19:00 柴12月01日 19:00 柴12月02日 14:00/19:00 柴/土12月03日 14:00/19:00 土/柴12月04日 13:00/17:00 土/土※開場は、開演の30分前■チケット料金一般前売:4,000円当日:4,300円写真アルバム付きチケット 10000 円(L版手差し40カット・キャスト別)(全席指定・税込)【写真アルバム付きチケットについて】※選択キャストにより内容が異なります。キャストの写真・キャスト自身がフィルムで撮影した写真を写真家の保坂萌が編集・構成したアルバムです。選択キャスト以外を写した写真も入ります。※アルバムは終演後会場でお渡しします。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月27日ドラァグクイーンを夢見る高校生を主人公にした、実話ベースのミュージカル『ジェイミー』。待望の日本初演開幕を前に、ジェイミーを愛し、支え、時に叱咤し導いていく、大人役のキャスト陣(安蘭けい、石川禅、今井清隆、保坂知寿、泉見洋平、吉野圭吾、樋口麻美、実咲凜音、永野亮比己)に、役どころへの想い、カンパニーの魅力について語ってもらった。ドラァグクイーンを魅力的に演じたい――それぞれの役どころについて教えてください。安蘭主人公ジェイミーの母親であるマーガレットを演じます。ドラァグクイーンに憧れる息子を全力でバックアップする、すごく懐が深い母親の役なので、演出のジェフリー(・ペイジ)とも相談しつつ、自分が思う、自分なりのマーガレットがつくれればいいなと思っています。石川僕はヒューゴというドラァグクイーン専門のドレスショップのオーナーで、かつてロコ・シャネルと言われた伝説のドラァグクイーンです。ジェイミーにとっては先輩や先生のような人物ですね。日本ではまだまだマイノリティな存在ですが、お客さまに「ドラァグクイーンって素敵だな」とか、現役のドラァグクイーンの方々には「これなら共感出来るな」と思っていただけるよう、そしてそう演じられなければ負けだと思って取り組んでいきたいです。今井ジェイミーの父親であり、安蘭さん演じるマーガレットとは元夫婦という役どころです。お客さまにとっては嫌な男であり、この役だけだとちょっときついので(笑)、ドラァグクイーンのサンドラ・ボロック役でいろいろ発散していきたいと思います。一同(笑)。保坂私はマーガレットの親友のレイという役です。彼女はとてもジェイミーに対して寛容なのですが、その理由づけとして、彼女もマイノリティな部分を抱えている、という設定をジェフリーが加えてくれました。それが今、私の中で大きな支えになっていて。またマーガレットが自分の幸せを見つける、先に進むための力添えが出来るような存在でありたい、とも思っています。泉見ライカ・バージンというドラァグクイーンの役です。ライカの「花束もらったらなんでも許せちゃう!」というセリフが好きで、この人がよく表れているなと。シリアスなテーマも多く描かれる作品ですが、その中でライカは、ほんわかした存在でありたいと思っています。吉野トレイ・ソフィスティケイというドラァグクイーンの役です。一番大事にしたいのは、やっぱり中身。こんな生い立ちがあって、今こうして立っているという中身さえしっかり埋まっていれば、そこに居るだけでいいんじゃないかなと。とにかく居る!居る、居る、居る!(笑)安蘭うん、わかったから、大丈夫(笑)。吉野そういう想いで舞台に立ちたいと思います。自分の中から出てきたものこそが本物樋口ジェイミーの学校の先生のミス・ヘッジを演じます。マジョリティ代表みたいな存在で、ジェイミーにとっては最初の社会の大きな壁であり、そうでないと生きていけないんだっていうことを強く生徒たちに教える人物です。また、ミュージカルにとってとても大切な“第一声”を担う役どころでもあるので、しっかりお稽古を積み上げていけたらと思います。実咲私も同じくミス・ヘッジ役で、ジェイミーを含めたすべての生徒たちに対して、愛情がある上での厳しさを伝えている先生です。劇中、常に怒鳴っているので(笑)、すごくパワーのある女性だとは思うのですが、少し奥手な場面もあり、その完璧じゃないところが魅力的な人だなと思います。永野僕はトレイとライカのふた役を演じます。同じドラァグクイーンでも生きざまがまったく違うふたりなので、しっかり演じ分けられるのか……。今も模索しながらですが、素晴らしい大先輩方のいいところをいっぱい盗んで、自分なりのドラァグクイーンをつくっていけたらと思います。石川これだけ周りの個性が強いとね(笑)。吉野でも真似する必要はないので!泉見うん、永野くんの中から出てきたものが本物だと思うよ。一同おー!大人チームでジェイミーを支えていく――稽古の「のぞき見会」にも参加させていただきましたが、雰囲気のよさがよく伝わってきました。改めてこのカンパニーならではの魅力や強みとは?石川とうこ(=安蘭)さんはもともと知寿さんのファンなんでしょ?安蘭そうなんです! 中学生の時、知寿さんが出ていた劇団四季の『キャッツ』を観てミュージカルに憧れたので。一同へ~。安蘭だから今回共演出来るのが夢みたいです。稽古中は知寿さんへの“好き”は閉じていますけど、もしかしたら溢れ出ちゃっているかもしれません(笑)。樋口その感覚わかります!私も保坂教の信者なので(笑)。保坂やめてよ~。今井僕もちーちゃん(=保坂)に憧れて四季入ったんだよ。石川僕も憧れてましたよ!吉野僕もそれで四季に入りました!保坂もういいから!一同(笑)。石川つまりこのカンパニーは、すべて保坂知寿からスタートしているという……(笑)。安蘭知寿さんから派生してね(笑)。今回のカンパニーってざっくり若者チームと大人チームに分けられるくらい、それぞれの世界がありますよね。そしてみんながジェイミーを応援するっていうお話ですけど、カンパニーとしても、ジェイミー役の(森崎)ウィンくんと(髙橋)颯くんのふたりを、私たち大人チームが支えていこうっていう気持ちがすごく強くて。それが作品にも表れていくと思いますし、ジェイミーを中心に一丸となって、いい作品がつくれるのではないかと確信しています。取材・文:野上瑠美子ミュージカル『ジェイミー』チケット情報
2021年07月29日ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』の公開ゲネプロが5月11日、東京・日生劇場で行われ、ダブル主演を務める城田優とHey! Say! JUMPの高木雄也が「いろいろと不安要素はありますが、観に来てくださったお客様に少しでも勇気や笑顔、希望をお届けできるように精いっぱい努めたいと思います」(城田)、「公演期間中、自分にできる限りの100%でぶつかっていきたいです」(高木)と意気込みを明かした。1994年に全米公開され、アカデミー賞7部門にノミネートされたウディ・アレン監督の代表作で、2014年にアレン本人がミュージカル化もした『ブロードウェイと銃弾』。1920年代、禁酒法時代のニューヨークを舞台に、理想に燃える無名の劇作家デビッド(高木)と、舞台に出資するギャングのボディガードを務めるチーチ(城田)が衝突しながら、新作舞台の成功を目指す。城田は2018年の日本版初演からの続投で、「僕にとっては再演になりますが、早い段階で通し稽古ができていたので、役はかなり自分に入っています」と準備万端。「これから初日が開いて、お客様の新鮮なリアクションを受けてどうなっていくか、今は非常に緊張していますが、とても楽しみであります」と期待に胸を膨らませる。一方、高木は「まずは初日を開けられること、久しぶりにお客様の前でお芝居ができることをとてもありがたく感じています」としみじみ。本作でブロードウェイミュージカル初挑戦を果たし、「このような状況下なので、いろいろと考えながら稽古をしている部分がありましたが、初のミュージカルの稽古は楽しかったです。僕は僕なりのデビッドを作り上げてきました」と手応えを示した。初演に続き、福田雄一が演出を手がけており、城田は「アドリブっぽく見せているシーンもありますが、演出家の指示で決まっている部分ですので、決してアドリブではないです(笑)。これは声を大にして言っておきます!」。歌よりも笑いのシーンが「緊張する」といい、「自分のやるべきことは変えずに、真剣に挑んでいきたいです」と話していた。高木も「福田さんの演出ですので、純粋に笑えるところもたくさんあります。そういうところは心の中で思いきり笑っていただけるとうれしいです」とコミカルな福田演出をアピール。「僕自身これからもミュージカルに挑戦していきたい気持ちでいますので、今は無理だけはしないでください。会場にいらっしゃった方は、ぜひ楽しんでいってください!」とファンにメッセージを送った。新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が31日まで延長されたことを受け、日生劇場での同公演は、すでに入場券を持っている観客に限定し実施することが発表されている。取材・文:内田涼【公演概要】『ブロードウェイと銃弾』原作:ウディ・アレン/ダグラス・マクグラス(映画『ブロードウェイと銃弾』より)脚本:ウディ・アレンオリジナル振付:スーザン・ストローマン演出:福田雄一演出:福田雄一出演:城田優、高木雄也橋本さとし、鈴木壮麻、平野綾、愛加あゆ、保坂知寿、瀬奈じゅん<公演日程・会場>【東京】2021年5月12日(水)~5月30日(日)日生劇場【兵庫】2021年6月4日(金)~6月6日(日)兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール【富山】2021年6月12日(土)~6月13日(日)オーバード・ホール【群馬】2021年6月19日(土)~6月20日(日)高崎芸術劇場 大劇場
2021年05月12日女優の葵わかなと三吉彩花が9日、東京・TBS赤坂ACTシアターで行われたミュージカル『The PROM』の取材会&公開稽古に、共演の大黒摩季、草刈民代、保坂知寿、霧矢大夢、佐賀龍彦(LE VELVETS)、TAKE(Skoop On Somebody)、岸谷五朗、寺脇康文とともに出席した。『The PROM』は2018年にブロードウェイで開幕。19年にはトニー賞 7部門にノミネートされ大きな話題となり、20年12月には、メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンという豪華な顔ぶれで映像化も実現した。物語の舞台は、アメリカの高校で、卒業生のために開かれるダンスパーティ"プロム"。レズビアンの主人公エマ(葵)が、様々な人たちとの触れ合いにより、"自分らしく生きる"ことを貫こうと奮闘する姿が描かれ、エマの元に現れる落ちぶれかけたブロードウェイスター4人の傍若無人な行動に、劇場は笑いの渦に巻き込まれ、ブロードウェイらしい華やかな音楽とダンスシーンに、誰もが手拍子をしたくなるようなハッピーミュージカルとなっている。翌日に初日を迎える心境を聞かれると、葵は「2カ月みんなで一生懸命、稽古をしてきて、今は早くお客さんに"こんな作品なんだよ"というのをお届けしたい気持ちでいっぱいで、緊張もあるんですけど、どちらかというとワクワクしたり楽しみが強いです」と声を弾ませ、「今回、この作品は映像化されないので、一期一会的な作品になるんだと控え室でも話していて、今このタイミングでしか見ることができないキャストやストーリーだったりするので、ここに来てくださるお客様とも一期一会だと思って、毎日頑張っていけたらなと思っています」と力を込めた。また、エマの同性の恋人アリッサを演じ、今回が初舞台となる三吉は「稽古をしてから長い道のりだなと思っていたんですけど、気付いたら初日が明日で、あっという間に今日という日が来てしまって不思議な感じです。こんなに月日が経つのが早いと感じるのは初めてです」と目を丸くしつつ、「この会場の大きさに負けないように、来ていただいたお客様にはたくさんの大きなパワーをお届けできるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。さらに、レズビアンの高校生カップルを演じる上での役作りや、お互いに意識している点を尋ねられると、葵は「(三吉との関係性は)非常に良好です。稽古場で2ヶ月一緒に過ごす中で、彩花ちゃんとわかながいい関係性になっていって、人間としても一緒にこれから長い公演をともに戦っていけるいいパートナーになれていると思います。その私たちの本当の関係性が、エマとアリッサになったときにもすごく生かされていると思うので、今は何の心配もなく2人で虹をかけて行こうというやる気に満ち溢れています」と目を輝かせ、三吉は「(初共演の葵とは)初めてという感じがしなくて、気が付けばずっと一緒で、何をするにも付いて回って、くっつき虫のように過ごしていたら、2人がどんなときでも一緒にいることが当たり前になってきて、それがエマとアリッサにとっても、愛し合っている関係性が当たり前のことなんだとリアルに表現できる関係性になってきていると思うので、とても安心しています。ねっ!!」と葵と微笑み合った。そんな2人の魅力を聞かれた岸谷は「わかなちゃんは難しい役どころを見事に演じてくれています。その中で必死に歌う曲が何曲かあって、難しい曲ではありますが、とっても感動して心に響く歌で、それを今、我々に届けてくれています。必ずお客様に感動していただける曲になっていて、わかなちゃんの歌になっているなと思います」と絶賛すると、葵は「本当に!? ありがとうございます」と恐縮。これに三吉と大黒は「私、昨日泣いたんだよ。号泣した」「私も泣いた」と口を揃えた。一方、三吉について岸谷は「苦悩して成長して、そして愛を育みながら、お母さんと戦いながら、PTAと戦いながら、成長物語がたくさんある役で、それを三吉彩花が繊細に、ひとつひとつを大切にクリアにして演じ切ってくれています」と褒め、「最後のエマとの2人のシーンは、我々、客席いてもちょっとヤバいです。みんなが一瞬で感動できる2人のシーンになっていて、それだけ大事にこの役を演じてくれています。初舞台とは思えない感じになっておりますので、そちらも楽しんでください」とアピールした。同ミュージカルは3月10日(水)より4月13日(火)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて、5月9日(日)より16日(日)まで大阪・フェスティバルホールにて上演される。
2021年03月10日「Daiwa House Special Broadway Musical『The PROM』Produced by 地球ゴージャス」の製作発表が行われ、主人公カップルを演じる葵わかな・三吉彩花らキャスト10人が登壇した。2018年に米ブロードウェイで上演され、翌年のトニー賞で7部門にノミネートされた本作。メリル・ストリープやニコール・キッドマンが出演した映像化作品がNetflixで配信され話題を集めたミュージカルの日本版を、地球ゴージャス主宰の岸谷五朗による脚本・訳詞・演出で届ける。同性の恋人アリッサ(三吉)と参加しようとしたダンスパーティー“プロム”が中止になり、その原因になったといじめを受けるエマ(葵)の存在を知ったブロードウェイの元スターたちは、自分たちの話題づくりのためにエマを助けようとして──。製作発表の冒頭で行われたパフォーマンスでは、葵とアンジー役の霧矢大夢が「ZAZZ」で、D.D.アレン役をトリプルキャストで務める大黒摩季、草刈民代、保坂知寿らが「目立ちたくないのよ!私」で歌声を披露。三吉のソロで始まった「It’s time to dance」ではホーキンス校長役をWキャストで務める佐賀龍彦(LE VELVETS)とTAKE(Skoop On Somebody)も加わり、ラストは全員で力強いハーモニーを響かせた。レズビアンの女子高生であるエマを、葵は「複雑な環境に身を置いている役」と表現。「自分にとっての当たり前を貫くためにどうしたらよいか葛藤し、成長していく彼女の“強さ”を表現したい」と覚悟を覗かせると同時に、「アリッサとの恋路に邁進する、10代のキラキラした要素も見せていけたら」と意気込む。これを受けた三吉も「わかなちゃんとは初共演ながら、波長が似ていると感じたんです。周りからもそう言われる機会が増え、カップルらしさが出てきたようで嬉しかった」と続く。そして「何といっても女子高生役。演じる私たちは20代前半ですが落ち着いて見られるので、もっとフレッシュさを出していけたら」と笑顔を見せた。バリー・グリックマン役としてキャストに名を連ねる岸谷は、2018年のトニー賞ノミネート作品を現地で10本近く鑑賞。その中に本作も含まれており、「帰り際の観客がいちばん幸せそうな顔をしていたから」という理由で日本版の上演を決意した経緯を語る。その提案を受けた岸谷の盟友で、トレント・オリバー役の寺脇康文も「地球ゴージャス25周年を終えたあとの展望に新しい風が吹く予感がした」と劇団名義で初となる海外作品への挑戦に向けた思いを述べた。公演は3月10日(水)〜4月13日(火)に、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。その後、5月9日(日)〜16日(日)に大阪・フェスティバルホールと巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年02月17日女優の葵わかな、三吉彩花が16日、都内で行われたミュージカル『The PROM』製作発表会に出席。恋人役で初共演となったが、三吉は「わかなちゃんと本読みで初めて会った時からリアクションの感じとか、醸し出す感じがすごく似ている」といい、「周りの方も『2人は違うけど似ているよね』と言ってくれる。だんだんとカップルっぽさが出てきたと思ってうれしい」と笑顔で語った。女子高生カップルを演じるが実年齢は高校生より上とあって、三吉は「フレッシュさを2人で頑張って出していこうと思う。なんと言っても女子高生ですが(自分たちは)『落ち着いているよね』と言われてしまうことがあるので、キラキラ、にこにこ、元気はつらつに、今の私に失われていた部分がありますので頑張りたい」とフレッシュな演技を目指すと宣言した。葵は「演じるエマは物語中、複雑な関係に身を置いている役。エマが当たり前だと思うことを周囲が理解するのにすごく苦労する。田舎の女子高生が自分の当たり前を貫くために成長していくんです」と説明し、「エマの強さも表現したいけど、そういう状況でもアリッサとの恋路は進めていきたいキラキラとした気持ちもあって、役より実年齢は上ですがエマとアリッサらしいかわいい恋の感じを、プロムを目指してやっていけたら」と意気込んだ。『The PROM』は2018年にブロードウェイで開幕した作品で、翌19年にはトニー賞7部門にノミネート、20年12月にはメリル・ストリープ、ニコール・キッドマン出演でNetflixでも映像化された話題作。アメリカの高校で卒業生のために開かれるダンスパーティー「プロム」を舞台に、レズビアンの主人公・エマ(葵)が恋人であるアリッサ(三吉)とプロムに参加したいと主張したことをきっかけに“自分らしく生きること”を貫く姿を描く。「もし学生時代にプロムがあったら参加したいか?」と問われると、葵は「行かないと思う。華やかな場所や学校の行事が得意じゃない。誘われていたら行っていたかもしれないけど、行かなくていいなら行かないかな…。ちょっと地味なタイプの学生だったので」と苦笑。三吉は「プロムは気になる女の子を男の子が誘って行く印象があるけど、友達同士で行っても楽しそう。仲のいい友達4人くらいで集合して行くのがいいな」と話した。また、同作にはブロードウェイスター役として歌手の大黒摩季がミュージカルに初挑戦する。会見で「ミュージカルは観る専門なのによもや自分が誘われるとは。青天の霹靂」とまさかのオファーにびっくりで、「私は借りてきた猫。日本に連れてこられたE.T.です。すべてが未知との遭遇。記事に“大黒摩季はE.T.”って書いてください(笑)」と報道陣に懇願し、笑いを誘っていた。会見にはそのほか、草刈民代、保坂知寿、霧矢大夢、佐賀龍彦(LE VELVETS)、TAKE(Skoop On Somebody)、岸谷五朗、寺脇康文も参加。舞台は3月10日から4月13日まで東京・TBS赤坂ACTシアター、5月9日から16日まで大阪・フェスティバルホールにて上演される。
2021年02月16日山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿が出演する舞台『オトコ・フタリ』が12月12日、シアタークリエで開幕した。初日に先駆け11日には最終舞台稽古が報道陣に公開されるとともに、会見も行われた。「オトコ・フタリ」公演情報はこちら山口祐一郎と、浦井健治。ミュージカル界を牽引する帝王と大スターが共演する本作は、NHK大河ドラマ『篤姫』『江~姫たちの戦国~』の脚本家である田渕久美子が書き下ろした三人芝居だ。抽象画家の大家でありながらなぜか“愛”をテーマにした作品だけは描けない禅定寺恭一郎(山口)の屋敷に、須藤冬馬(浦井)と名乗る青年が「母を出せ」と踏み込んでくる……という物語。なぜ恭一郎は“愛”が描けないのか? 冬馬の真意は? ……と、次の展開が気になる物語がテンポよく進む。一方で、飄々とした大物画家感を出しながらも冬馬をおちょくる一面やムキになる顔がチャーミングな山口、思い込んだら一直線という冬馬の熱血漢っぷりと情にほだされやすそうな素直さが可愛らしい浦井と、田渕が俳優たち自身の魅力をキャラクターに落とし込んだような脚本がなんとも愉快で、その世界の中を泳ぐ俳優たち自身も心なしかテンションが高く楽しそう。さらにここに有能家政婦・中村好子役として保坂が加わる。保坂の小気味よい芝居とコメディエンヌっぷりも存分に発揮され、クスリとした笑いから爆笑まで、さまざまなグラデーションの可笑しさが次々と押し寄せる作品に。そして2幕では少しシリアスな展開もあり、それぞれのキャラクターの人生に思いを馳せるような妙味もブレンドされ、奥行きのあるものになっていた。会見では山口が「それぞれの役者のキャラクター、チャーミングなポイントをこれほど温かく書いていただいた本はない。それを、僕たちの色々な芝居を一緒に作ってきた演出の山田和也さんが、それぞれの個性をさらに伸ばしてくださるディレクションをしてくださった。めったにない素敵な作品」とアピール。浦井は「山口さんと保坂さんはミュージカル界をずっと牽引してきたレジェンドであり憧れ。稽古場で話してくださる過去のエピソードなどもすごく勉強になる」と共演を喜び、保坂は「軽いタッチのお話なのですが、実はけっこう深い。それぞれが人生で背負ってきたものが出ないと薄くなる作品ですが、そこを山田さんも丁寧に作っておられました」と話した。なおこの会見の場で、声の出演として大塚千弘が参加することも発表に。会見に出席した大塚は「親戚の集まりかな、と思うくらい居心地の良い稽古場だった」と話し、浦井も「演出家に『3人が仲が良すぎて、それが舞台上に出ちゃうのは作品的にちょっと…』と注意された」と明かしていた。なお、このミュージカル界の大スター3人を揃えて歌はナシ!? と残念に思うファンの方はご安心を。中島みゆきの『糸』、米津玄師の『Lemon』といった歌が劇中、意味をもって登場しているのでお楽しみに。東京公演は12月30日(水)まで同劇場にて。1月上演の大阪・愛知公演のチケットも発売中。(取材・文:平野祥恵)
2020年12月14日劇団四季在団中には『オペラ座の怪人』や『ジーザス・クライスト=スーパースター』、退団後も『レ・ミゼラブル』『エリザベート』『ダンス オブ ヴァンパイア』など数々の大作に主演し、“ミュージカル界の帝王”の名をほしいままにする山口祐一郎。『エリザベート』のルドルフ役で頭角を現し、その後『アルジャーノンに花束を』や『デスノート』などを経て、今や帝国劇場で単独主演を張れる数少ない俳優のひとりにまで上り詰めた浦井健治。そして、劇団四季の看板女優として『クレイジー・フォー・ユー』『マンマ・ミーア!』などに主演後、退団してからは縦横無尽な活躍ぶりが光る保坂知寿。ミュージカルファン垂涎の顔合わせが、しかし意外にもストレートプレイでーー全員日本人の役でーー実現することがまた興味をそそる『オトコ・フタリ』が、本日12月12日(土)に東京・シアタークリエで開幕する。NHK大河ドラマ『篤姫』『江~姫たちの戦国』など、数々の名ドラマを世に送り出してきた脚本家、田渕久美子が書き下ろす三人芝居。演出は、『ダンス オブ ヴァンパイア』『ローマの休日』などでおなじみの山田和也が務める。舞台は画家・禅定寺恭一郎(山口)のアトリエ。「先生、お茶が入りました」と入って来た家政婦の中村好子(保坂)の目線の先には、真っ白なキャンパス。“愛”をテーマにと依頼された作品に、恭一郎は取り掛かることができないでいるのだ。とそこに、ドタバタとうるさい足音が。須藤冬馬と名乗る青年(浦井)は「母を探しに来たんです。母を出せ、今すぐに!」と、訳が分からない恭一郎と好子をまっすぐ睨みつける。愛を知らないオトコと愛に生きるオトコ、そしてフタリを見守るオンナがキャンバスに描き出す“愛”の形とは……?3人は既に、9月に行われた山口のスペシャル・トークショー『My Story~素敵な仲間たち~』、また11月に行われた本作の製作発表でも顔を揃え、息の合ったトークを披露。彼らならきっと、宣伝文句にある通りの“珠玉のエンターテインメント・コメディ”を紡ぎ出してくれることだろう。文:町田麻子『オトコ・フタリ』脚本:田渕久美子演出:山田和也出演:山口祐一郎 / 浦井健治 / 保坂知寿【東京公演】2020年12月12日(土)~12月30日(水)会場:シアタークリエ【大阪公演】2021年1月15日(金)~1月17日(日)会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ【愛知公演】2021年1月23日(土)~1月24日(日)会場:刈谷市総合文化センターアイリ
2020年12月12日12月12~30日に東京・シアタークリエで上演される『オトコ・フタリ』は山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿による3人芝居。脚本は、NHK大河ドラマ『篤姫』『江~姫たちの戦国~』の脚本家としても知られる田渕久美子の書き下ろしで、3人へのあて書きとなる。抽象画家役の山口に役づくりについて聞くと、脚本との関係をこう説明する。「田渕さんの脚本にはしっかりしたルールがあるので、何度観ても面白いと思います。というのも、たとえば人気のあるスポーツはルールがしっかりできていて、毎回なにが起こるのかわからない。そこではルールに基づきながらもプレイヤーが懸命に汗を流している。もしルールが弱いと、プレイヤーは自分でルールをつくらないといけないから動きはぎこちなくなってしまいます。でも田渕さんの脚本は隙がなく、どんなに僕たちがのびのび暴れまわっても大丈夫。崩れない脚本だからこそ、僕たちは自由に羽ばたけます」。それを受け、「オトコ・フタリ」のうちもうひとりのオトコである浦井は、演出の山田和也のすさまじさに触れた。「僕たちは羽ばたいているんだけど、山田さんの手腕のなかに埋め込まれていて、鉄骨みたいに絶対に崩れないんですよ。すごい方だなぁと、山田さんのすさまじさや、微笑んでいるけれども目の奥にある深さを感じます」。その言葉にまた山口も「山田さんは僕たちの動きに合わせて、あらかじめ作ったプランを調整してくれる。スーパースターです」と頷く。また保坂は脚本について「私たちがただ棒読みしても面白いと思う」と信頼を寄せる。「自由にやらせていただくなかで、そもそも面白い脚本をもっと面白く、より鮮明に見えるように山田さんがうまく私たちを調教してくださっていると思います(笑)」。今作には、“傍目には微笑ましいほどに仲良く喧嘩する”2人のオトコとそれを見守る一人のオンナが登場する。では山口と浦井のオトコフタリの関係は?と尋ねると、浦井の「(山口について)僕の目標とする方であり、どこか兄のような感じ。父とは言わないです」という答えに、山口がすぐに「息子とは言いませんが、弟のような気持ちです」と返す。保坂は隣で「持っている空気が似ている。2人とも柔らかい。だからご兄弟のような雰囲気です」と微笑んだ。東京公演後は1月15~17日に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、23・24日に愛知・刈谷市総合文化センター アイリスにて。文・河野桃子
2020年11月16日2019年のブロードウェイで話題となった新作ミュージカル『The PROM』が、2021年に東京と大阪の二拠点で日本初上演されることが決定した。本作は、2018年にブロードウェイで開幕し、2019年にトニー賞にノミネートされた新作ミュージカル。今年12月には、メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンによってNetflixで映像化されることも決定している。日本初上演にあたり、演出を手がけるのは今年結成25周年を迎えた地球ゴージャス主宰の岸谷五朗。アメリカではブロードウェイキャスターたちの傍若無人が行動で劇場を大爆笑に巻き込んだ本作を、日本公演では作品のテーマを大切に、地球ゴージャスが得意とする華やかなエンタテイメントやコメディを盛り込んでいく。物語は、LGBTQの高校生エマが同性のパートナーとプロムに参加することを表明したことから、そのことに反対したPTAによりプロム自体が中止となる場面から始まる。インディアナの小さな町は大騒ぎとなり、メディアによって報道された結果エマはアメリカ中の注目を集めることに。そんなエマと彼女を応援するという名目で、イメージアップを図ろうと集まったのがブロードウェイで落ち目の俳優たち。彼らが乗り込んできたことで、さらに街は大混乱。一方エマも俳優たちに振り回されながら自分のアイデンティティを見つけていく。現代社会が抱える問題をテーマにしながら、LGBTQのティーンエイジャーが自分らしい生き方を貫く姿を描いた本作。ニューヨークの独りよがりなブロードウェイスタたちの物語でもあり、他人を受け入れることや、寛容であることの大切さハッピーな興奮とともに感じることができる。主人公エマを演じるのは、NHK連続テレビ小説『わろてんか』でヒロインを務め、近年はミュージカル『ロミオとジュリエット』や『アナスタシア』などで主演に抜擢されたミュージカル界期待の新人、葵わかな。その恋人アリッサを、モデルとして活躍する一方、ミュージカル映画での主演も記憶に新しい三吉彩花が演じる。さらに今回が初舞台であり演技初挑戦となるトップアーティスト大黒摩季、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ数々の受賞歴を持つ女優・草刈民代、元劇団四季看板女優で退団後もミュージカル界で活躍する保坂知寿がブロードウェイスターのD.Dアレンをトリプルキャストで務める。また、元宝塚劇団月組トップスター霧矢大夢、LE VELVETSの佐賀龍彦、Skoop On SomebodyのボーカリストTAKEなど、葵と三好を支える豪華キャストが集結した。2019年のブロードウェイで観劇した岸谷が惚れ込んだブロードウェイミュージカル『The PROM』の日本初上演に期待したい。【出演者コメント】<葵わかな>今回初めて地球ゴージャスに参加させていただけること、このお話に関われること、とても光栄に思います。演出の岸谷さんはじめとする共演者のみなさんとお稽古させていただく中で、どんなエネルギーが生まれるのか、今からとてもワクワクしています。私が演じるエマは、同性愛者の自分自身や恋人の幸せな時間を願って、行動を起こします。うまくいかずに傷つくこともあるけれど、それでも応援してくれる仲間と出会えたことで、希望を持つ事ができます。この作品を通してエマの中で一貫していると感じたのは、いつでも自分を誇りに思っているという事です。そんな風に、かっこいいくらいに優しいエマの思いに寄り添いながら、精一杯務めていきたいです。公演は来年になりますが、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです。<三吉彩花>お話を伺った時、口が開いたまま暫く瞬きが出来ないくらい嬉しかった事を覚えています。それも「The PROM」という性の多様性を題材にしたブロードウェイ作品。プレッシャーを感じておりますが、生き生きとした三吉彩花を皆様にお見せできるように。そして男女という壁にとらわれず、ありのままの自分でいることの素晴らしさを皆様に伝えられるように、チームの力をお借りしながら精進して参ります!是非、楽しみにして頂けたら嬉しいです。<岸谷五朗>今年、10万人のお客様に観劇いただけなかった25周年祝祭公演。あの無念を心に、地球ゴージャスが満身創痍の中お贈りする新作は初のBroadway Musical!しかも!2019年度のトニー賞候補作品。しかも!世界初の海外プロダクション公演。しかも!Netflix版が完成した直後に日本での舞台公演!2019年、実際にBroadwayで観劇してから日本で絶対に公演をしたいと思った作品です。コロナを吹き飛ばすには最高の演目、骨太なテーマに巧みな登場人物。Broadwayならではのコメディーセンスと最上級のダンス・ナンバー!ゴージャスがゴージャスにBroadwayを料理する、大ミュージカルになるでしょう!乞うご期待下さい。<寺脇康文>今回のキーワードは、「リベンジ&チャレンジ!」そう、リベンジ。悔しかった。25周年祝祭公演が8公演しか出来ず、皆さんとの貴重な共有時間が奪われてしまった!その想いを胸に、皆さんでリベンジしましょう!そして、チャレンジ。地球ゴージャス初のブロードウェイ作品への挑戦!ゴージャスパワーとの化学反応へチャレンジします!そして今回も、豪華キャストが集ってくれました。劇場でお待ちしております。皆さんと共に前へ!【公演概要】Broadway Musical『The PROM』(Produced by 地球ゴージャス)東京公演:2021年3~4月/TBS赤坂ACTシアター大阪公演:2021年5月/フェスティバルホール公式サイト:
2020年10月12日劇団四季の看板俳優として『ジーザス・クライスト=スーパースター』『オペラ座の怪人』などに主演後、1996年に退団してからも『レ・ミゼラブル』『エリザベート』『ダンス オブ ヴァンパイア』など、数々の大作ミュージカルで圧倒的な歌声を轟かせ続けている山口祐一郎。空前のミュージカルブームが訪れ、“プリンス”花盛りの昨今の日本演劇界にあって、“帝王”と称される唯一無二の大スターだ。フットワーク軽くSNSやトーク番組でも活躍する“プリンス”たちとは一線を画す、その神秘的で謎めいた存在感も“帝王”たる所以のひとつ。だが、製作発表会見や千穐楽カーテンコールなどで披露する挨拶を通じて、人柄も魅力的であることはミュージカルファンなら誰もが知るところだ。そんな山口が9月17日(木)と18日(金)、帝王の“領地”とも言える帝国劇場にて、初の本格的なトークショーとなる『My Story~素敵な仲間たち~』を開催。本人をして、「前代未聞の珍事。今回のコロナなくしては、起こり得なかったイベントである」と言わしめる貴重な機会だ。公演では山田和也の演出のもと、山口がミュージカルで彩られた自身の“Story”を振り返るほか、共にミュージカルを作り上げてきた“素敵な仲間たち”とのクロストークも。ゲストは各回替わりで、まず17日昼公演には『オトコ・フタリ』(シアタークリエ/12月)で山口との共演を控える浦井健治と保坂知寿が、夜公演には『ローマの休日』(帝国劇場/10月)でかつて山口が演じた新聞記者ジョー・ブラッドレー役を引き継ぐ加藤和樹と平方元基が登場。そして18日昼夜には、山口との共演は『モーツァルト!』ただ一作ながら、今も交流が続いているという中川晃教が登場し、13年ぶりの帝劇共演を果たす。山田とのオンライン打ち合わせの過程で、山口の口からはなんと、「MCは必要ない」との衝撃発言が飛び出したとか。気心が知れた仲間同士のミュージカルトークは、果たしてどこに向かうのか――。各回まさに、予測不能の90分となりそうだ。文:町田麻子
2020年09月17日ミュージカルファンに激震が走った企画『My Story ~素敵な仲間たち~』。9月17日(木)・18日(金)の2日間、ミュージカルの帝王・山口祐一郎がコロナ後初めて帝国劇場に立つ。しかも自身初のトークショーだ。【チケット情報はこちら】毎回新たなゲストを迎えるが、初日は山口と共演経験も多い保坂知寿が、浦井健治とともに登壇する。企画を聞いた時の保坂は「びっくり。「おお!」と声が出ました(笑)」。しかも打ち合わせもないようで、いったいなにがでてくるのか……!保坂は山口と劇団四季時代から何度も共演しており、お互いのエピソードを引き出すのでは?と期待が高まる。先んじてなにか思い出深い話を伺うと、2009年のミュージカル『パイレート・クィーン』を振り返った。「2人ともすごく若い役でした。海賊だし、激しく動いて、走ったり、飛び降りたり、殺陣もある。だから、何度か稽古場で横になられて……休憩していました。限界が訪れたのかな、大丈夫かな、と思っていました(笑)そんな姿、なかなか見られないですよね」また、この機会だからこそミュージカルの“帝王”と呼ばれる山口に聞いてみたいことがあるという。「今は声優さんや歌手さんなどいろんな入り口があるけど、山口さんはミュージカルだけをやってこられた方。パイオニア世代。たくさんの人が憧れていると思う。それをご自身はどう思っているのかを聞きたいです。ミュージカルが広まったことや、コロナで上演できなくなったことなど、今のポジションにい続ける大変さがあるからこその思いを伺いたいです」今回、共に登壇する山口と浦井とは、12月の3人芝居『オトコ・フタリ』で共演する。浦井については「明るくて自由人。大変なことをされているのに大変そうに見えない。それが魅力かな」という印象だそう。3人でのトークにあたり、話題にしてみたいことは……?「世代が離れているので、浦井さんから見えている景色が違うのかなぁ、と気になります。今はミュージカルを目指す人も多いし、競争も激しいし、大変だと思うんです。映像やSNSでなにか発信したり、多才じゃないといけない。きっと苦しんでいる人もいるだろうから」。コロナ禍だからこそ、様々なことに思いを馳せる。観客へも「演劇を続けていく方法を一緒に探りましょう」と声をかける。「人が集まるところには、文化は必ずうまれる。期待通りではないことも起こるかもしれないけど、お客様も一緒にトライしていただきたいです」。取材・河野桃子
2020年09月11日この面積で暮らせるのか保坂邸は約19㎡。建築面積ではなく延床でだ。これはさすがにとてつもなく狭いのではないか、そう思って訪れたが、室内を拝見してまず最初に「意外と大きい」と感じた。たぶん、この印象は上に大きく抜けた吹き抜けから受けたものだろう。この吹き抜けがなかったら「大きい」という印象はなかったに違いない。建築家である保坂さんでさえ、この床面積ではたして住むことができるのかとの思いをずっと抱きつつ設計を進めていたくらいなのだ。「この大きさのものは設計したことがないので実績がない。不安でしょうがなかった」という保坂さん。実は当初、2階建てでの設計を考えていたという。通勤を考えて購入した土地は横浜に建てた前の家と敷地の大きさもプロポーションも似ていた。当然ながら同じ2階建てで考えていたが、ある日、要望を出してほしいと伝えていた妻のめぐみさんからの話で変更することに。グリーンが狭い空間に潤いをもたらす。椅子の下も収納スペースに使っている。道路から室内を見る。窓の部分も収納に活用。棚はコンクリートに付けた凹みに載せているだけ。平屋でつくる「そのときちょうど読んでいた江戸時代の生活の本の話をしたんです。当時は家族4人で4畳半でも決して狭くないという生活をしていて、それがここでは2部屋以上取れる。それくらいの広さだと考えたらまったく狭くないと思ったのでその話だけをしました。そしたら保坂に“わかった”って言われて、“えーっ、わかったの?”って思ったんですけれど、そのあとは何を聞かれるわけでもなく、しばらくして出てきたが平屋の案でした」平屋案に至ったのには横浜の家とは異なる敷地条件もかかわっていた。「決定的に違うのは南北に7階建てのマンションが立っている点で、2階建てにすると床と天井の高さが近くてトップライトを開けると空よりもマンションが見えている印象が強くなってしまうんです」(保坂さん)奥にベッドが置いてありそのまた奥の外部にバスタブがある。間にキッチンがあるため、手前のテーブルのところで夜遅くまで起きていても奥で寝ている人には気にならないという。左右の壁の間の寸法はいちばん広いところで2425mm。キッチン側から道路側を見る。キッチンと奥のスペースの間には段差が設けられている。キッチンに並ぶものには料理好きのめぐみさんのこだわりが感じられる。オーディオ関係は前の家の時よりも大きなものに取り替えた。レコードはちょうどその幅の分凹ませたコンクリートの壁に立てかけられている。ポジティブに考えるとはいえ床面積は横浜の家と比べほぼ半分。「前の家でもすごくコンパクトな生活だなと思っていたのにその半分になる。ふとんのサイズは半分にならないし椅子だって半分の大きさにはならない」。しかもめぐみさんからは大きなベッドがほしい、冷蔵庫を大きくしたいという要望も出ていた。自身もオーディオ関係を大きなものに取り替えたいと思っていた。いずれの要望も厳しい敷地条件とは逆方向を向くもの。さらに、トップライトからの採光のシミュレーションをしてみると11月から2月の半ばくらいまでまったく直射光が入らないことが分かったという。しかし狭さに関しては読んでいた本から、「“やってみればできるかもね”ってポジティブになれた」し、光に関しても「北欧でも直射日光がまったく当たらない季節があるので、ある意味冬は北欧のような生活ができる」というふうにポジティブな方向に頭を切り替えた。「冬は直射光が入らないんですが、トップライトから天空光が柔らかく入るのでそれを楽しむ空間にしようと。夏は燦燦と光が入るので北欧から南国までの光の変化を楽しめるというコンセプトで行こうということになりました」天井を見上げる。トップライトは2つの円弧からできている。ぶら下がっているコンクリートの壁は南からの光を反射させてベッド上の天井を照らす。トップライトからの光が時間ごとに違う場所に光の筋をつくり出す。ベッド側から天井を見る。狭くてもなんでもある内部の設計コンセプトも狭さゆえに向かう方向とは逆の方向で基本方針を立てた。「面積からするとヴィジュアル的にも生活的にもいろいろとそぎ落とす方向に行きかねないところで古代ローマのハドリアヌス帝などが大事にしていた〈学問、入浴、演劇、音楽、美食」という5つの要素を、こういう小さな家でも大事にできるようにしよう」と。こうして露天風呂も加わった保坂邸。保坂さんは冒頭にも書いたように実際に住み始めるまで不安でしょうがなかったというが、すべて杞憂に終わりお2人とも充実した日々を過ごしているようだ。「すべてがここにあるという感じがしています。前の家ではモノをなるべくもたない生活を楽しんでいたんですが、ここではほしいものはなんでもあってそれを楽しむ生活をしている感じがします」とめぐみさん。めぐみさんは「都会で露天風呂をつくっても入らないのでは」と思ったがとても快適で2人とも毎日入っているという。大きめのシャワールームが風呂の隣のスペースにつくられている。キッチン側から奥を見る。狭いためトイレとシャワールーム以外は扉をつくらないという方針のもと、コンクリートの仕切りの間のスペースをクローゼットとしている。保坂さんもこう話す。「日本でも戦前までは多くの人が狭くても豊かに住んでいましたが、現代はそうした生活とは完全に一回切れて住宅事情というのができていて脈々と受け継がれてきたものが途絶えている気がします。でも実際にこの狭いスペースで自分が生活をしてみると、このぐらいでも住めるというかむしろ楽しく暮らせる。そして、生活で大事にしているものをすべて入れ込んでいるから密度も濃い感じがしますね」住み始めて、狭くても楽しく豊かに過ごせるだけでなく、さらにまったく予想だにしなかった楽しみも生まれているという。「引っ越してガラス戸のすぐ向こうを人が通るなんてまったくイメージもできなかったし、想像すると少し怖い感覚すらあって窓を開けられないんじゃないかとも思っていました。でも今はふつうに窓も開けていて、そうすると話しかけてくる人がいたり中には“家の中を見せて”っていう人もいるんです」(めぐみさん)。そうしたコミュニケーションが楽しく近所の方ともつながりができたという。前の家とはまた異なる楽しみを何重にも感じながら暮らしているお2人の話の端々から暮らしの充実ぶりがうかがえた。窓の上には旅行先で購入した小物などが置かれていた。コーナー部分も本の収納スペースに。反対側のコーナーにも同様に本が置かれている。コンクリート壁にいくつかニッチをつくって収納スペースにしている。奥は保坂さんがよく使うペンのペン挿し。左のコンクリートの段差はハンコや付箋などの小物を置くためにつくられたもの。家の前の道路も保坂邸の敷地。ここを近所の人たちが通勤や買い物などで通り、室内のお2人に声をかけてくる人もいるという。玄関は右の側面につくられている。保坂邸設計保坂猛建築都市設計事務所所在地東京都文京区構造RC造規模地上1階延床面積18.84㎡
2020年03月23日公共の場で泣いている赤ちゃんを優しく見守り、子育てしやすい社会を目指す「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」。新たに2019年6月3日より世田谷区で「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」が始動します。都内自治体初となる今回の取り組み。背景にあったのは、近年の虐待事件をはじめ、さまざまな痛ましい事件を重く受け止めた世田谷区の、「育児で孤立しがちなママ・パパたちにもっと手を差し伸べたい」という強い願いでした。そこでウーマンエキサイトは、保坂展人区長にプロジェクトを始めるにあたっての今のお気持ちや世田谷区の現状、目指す未来についてお話を伺いました。今回は、ウーマンエキサイトのスペシャルサポーター「ママリーダーズ」のメンバーで、世田谷区在住 4児のママでもあるasacoさんと夫の政治さんを迎え、子育て世代からのリアルな声を交えた対談インタビューをお届けします。■泣き声やベビーカー問題。親の本音は?保坂区長:出先で(飲食店などで)困ることはやはり多いですか?asacoさん(以下、asaco):赤ちゃんと2人で外出したときに、バスや電車、お店などでギャン泣きされたときは周りの視線がとても気になって、毎度惨めな気持ちになります。泣き声以外にもスペースの問題でベビーカーがダメだったり…。政治さん(以下、政治):わが家は子どもが4人いるので、わりと大きめな店じゃないとなかなか入りにくいんですよね。保坂区長:ベビーカーで電車に乗って不便を感じたりは?政治:混雑しているときはやはり躊躇(ちゅうちょ)しますね。人によって対応は違いますし、嫌な顔をする人はもちろんいます。逆に手伝ってくださる方もいますが、それぞれ皆さん感じ方が違うな…というのが思うところですね。ウーマンエキサイトでも子育て中のママ・パパ(4,975人)を対象にアンケート調査(*)を実施したところ、「赤ちゃんとの外出に不安を感じたことはありますか?」の問いに「ある」と答えた割合は86.6%にも及びました。それほど多くのママ・パパたちが外出先などで周囲の視線が気になり、心理的負担を抱えてしまうのが現状なのです。(*ウーマンエキサイト×まちcomi調べ)■子どもの声は騒音? 地域で変わるべき「今」保坂区長:世田谷区は、今まで比較的高齢者が多い地域で、10年前までは子育て世帯は減っていたんです。しかし、ここ10年ほどで(子育て世帯が)増えてきたことで、例えば保育園の建設に対して、「子どもの声がうるさい」からと反対の声が一部あったり…。今まで久しく赤ちゃんの声などを聞いていなかった人たちがいて、実際に赤ちゃんの声が聞こえるようになって「いいね」と言う人もいれば、めくじらを立てるような人も一部いる。しかし、次の世代に還元しないといけないよねということで 『子ども・子育て応援都市宣言』 というものを4年前にやったんです。お店にしても、赤ちゃんが泣いても受け入れてくれるお店はあっても、見分けられない。だからこそ可視化して、さらにもうひとつ言うと、赤ちゃんに優しい街というのは評価がやっぱり高いわけです。今までは「ちょっとうちは…」というお店であっても、例えばその商店街が赤ちゃんに優しいと言われて評価が上がれば、お客さんもたくさん来る…というように、店主さんの意識も変わってくるんじゃないかなと思っています。asaco:私は地元が静岡県の浜松市なのですが、先日帰省した際、地元のお祭りである「浜松まつり」に参加して感じたのは、お祭りを通じて世代問わずたくさんの地域の方と交流が持てることの素晴らしさでした。やっぱり東京にくると親戚もいないし、この地で築いたつながりしかないから、今まで交流のなかった、特に年配の方とはつながりを持ちづらいのかなと感じています。保坂区長:そんな時はぜひ児童館をうまく使ってほしいなと思っています。児童館自体は、午前中は小さいお子さん向けの子育て講座などをやっている場合が多いですが、小学生や中学生も出入りしていて、児童館祭りという地域のお祭りを開催しているので、そこで知り合うというのもありだと思いますし。ほかにも、区内に30カ所ほど 『おでかけひろば』 というものを設置しており、保育スタッフやお手伝いのスタッフもいて、お母さん、お父さんがお子さんを連れて一緒に過ごせるスペースを用意しています。その土地に知り合いがほとんどいない人などでも、おでかけひろばで知り合いになって、イベントをやったり、参加していったり、口コミのネットワークができていったりするんです。■「そんなステッカーもあったね」と昔話になるようにー今後の取り組みを通して目指すもの、期待することは?保坂区長:WEラブ赤ちゃんプロジェクトが始まることで、子ども専用じゃない施設にステッカーをどんどん貼っていき、願わくはお子さんが子育て世代になる頃には、「そんなステッカーもあったね」と言われ、子連れでどこへでも行けるのが当たり前の社会にしたいですね。asaco:「子どもの声がうるさい!」と捉える方は、まだまだたくさんいらっしゃると思います。特に東京という地域柄、その傾向は強いのかもしれません。そんな中、都内の自治体のなかで世田谷区がいち早くこのプロジェクトに賛同したのは、区民として本当にうれしいことです。この動きをきっかけに、のびのびと子育てができる環境が、全国にどんどん広がっていくことを切に願っています。政治:WEラブ赤ちゃんプロジェクトをきっかけに、子育て世代に寛容な社会になってくれるといいなぁと思っています!▼世田谷版「泣いてもいいよ!」ステッカーの配布が始まりました!6月3日より、世田谷版「泣いてもいいよ!」ステッカーの配布が始まりました。区内の出張所、まちづくりセンター、児童館、おでかけひろば、保育園など、区の関係施設で手に取ることができます。おでかけひろばのひとつ『 古民家mamas 』に来ていたママたちにも、さっそくチラシやステッカーを手に取ってもらいました。集まったママたちに日頃のおでかけについて聞いてみると、「バスや電車に乗るときは泣かれないように万全の準備をするけれど、泣いたらやはり降りてしまう」「泣いているのを心配して若い男性が声をかけてくれた」などの声が。またこの度の「世田谷区×WEラブ赤ちゃんプロジェクト」については、「住んでいる地域で実施されるのはうれしい」「学生さんたちなどの若い世代にも広まってほしい」と期待を込めて語ってくれました。ステッカーの配布と同時に、区内の民生・児童委員などの地域の子育て支援の担い手には「泣いてもいいよ!」の缶バッジやキーホルダーを着用してもらいます。いよいよプロジェクトも本格始動。地域のみなさんと一緒に、「世田谷区×WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を積極的に広めていきます。(取材協力:古民家mamas)「世田谷区×WEラブ赤ちゃんプロジェクト」特設サイトがOPEN! 取り組みの詳細やステッカーの配布場所、区内の子育てイベントが紹介されます。さらに6月中旬からは、「世田谷区×WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を広げていくためのアイデア募集もはじまります!
2019年06月03日この夏、萩尾望都原作、野田秀樹共同脚本の名作舞台『半神』に主演した、乃木坂46キャプテン桜井玲香。中屋敷法仁のハイスピードな演出、コンドルズメンバーでもあるスズキ拓朗のユニークな振付にも食らいつき、美しい妹と腰でつながった醜い結合双生児の姉を好演。華やかな容姿に高い身体能力、滑舌の良さも際立ち、舞台女優としての可能性を強く印象づけた。そんな彼女がオーディションを経てゴシックロマン・ミュージカル『レベッカ』のヒロインに大抜擢。大塚千弘、平野綾とのトリプルキャストで東宝ミュージカルに初登場する。ミュージカル「レベッカ」チケット情報『レベッカ』は女流小説家ダフネ・デュ・モーリアの同名長編小説が原作。アルフレッド・ヒッチコックの映画版でも知られるスリリングな男女の愛憎劇だ。舞台版は『エリザベート』『モーツァルト!』の人気脚本家&音楽家コンビ、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイが2006年、ウィーンでミュージカル化。日本版の上演は8年ぶり3回目(大阪公演は2回目)。不遇な幼少期を過ごした「わたし」(桜井玲香)は年上の上流紳士マキシム(山口祐一郎)と運命的に出会い結婚、彼の邸宅で新婚生活を始める。しかし、事故死した先妻レベッカに長年仕えていた家政婦頭ダンヴァース夫人(涼風真世・保坂知寿)からの視線は冷たい。そんなある日、レベッカの死に関する新事実が浮上して……。昔から困難に立ち向かうヒロインが大好きで、ディズニーなら『シンデレラ』よりは『ポカホンタス』をよく見ていたという桜井。今回の「わたし」も「純粋でどんどん強くなっていく」憧れの役柄だ。「台本では暗く感じられたお話も、舞台になると衣装が華やか。音楽も柔らかく、明るい印象に変わりました」。トリプルキャストは先輩に学び、技を盗めるチャンスと捉える。「普段はアイドルとして活動しているので、そのときの音楽活動をひとつの武器と考え、自分らしいアプローチで役の個性を出せれば。この舞台はヒロインの歌から物語が始まるので、震えずに第一声を発することができるのか不安ですが、しっかりと期待に応えたい」。女優の現場は「ある意味リラックスして取り組める」という。「負の感情や醜い部分も隠さず、人間らしさを解放できるので。舞台は生き物みたいに毎日感情が変化するのが快感です」。将来はアイドルと並行して、映像も舞台もこなせる役者になるのが夢だ。「大舞台ですが、自分なりに頑張って楽しみたい。すばらしい初演を追いつつ、今回ならではの良さを上乗せしてお届けできればと思います」公演は、東京・THEATRE1010でのプレビュー公演を経て、12月20日(木)から28日(金)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2019年1月5日(土)から2月5日(火)まで東京・シアタークリエにて上演。地方公演あり。チケットは順次一般発売開始。一般発売に先駆け、9月10日(月)11:00まで、大阪公演のプレイガイド最速先行を受付中。取材・文:石橋法子
2018年09月03日2015年に日本初演したミュージカル『ドッグファイト』が再演する。作品はリバー・フェニックス主演の映画でも知られ、2012年にオフ・ブロードウェイでミュージカル化。映画『ラ・ラ・ランド』の歌詞でアカデミー賞を受賞し、作詞・作曲のミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』がトニー賞を受賞するなど、ブロードウェイで今注目のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのコンビが作り上げた。タイトルは、パーティに一番イケてない女の子を連れて来た者が賞金を得るという、海兵隊に伝わるゲームのこと。物語の舞台は、ベトナム戦争出征前夜のサンフランシスコ。若き海兵隊の兵士バードレイスは、仲間と共に最後の夜を楽しもうとゲームに参加、街の食堂でウェイトレスのローズと出会い、パーティに誘うが…。キャストは、主演の屋良朝幸とヒロイン役の宮澤エマらが続投。ふたりのほか、中河内雅貴、矢田悠祐、浜中文一(関西ジャニーズJr.)、保坂知寿らが出演する。初演で素晴らしい歌声を観客に強く印象付けた宮澤が来阪、作品のテーマと魅力、ローズ役への想いを語った。ミュージカル「ドッグファイト」チケット情報「この作品の主軸は、ラブ・ストーリーじゃないんです。人間の尊厳を理解し、自分を変えていく難しさを、人と人とのふれあいをテーマに描いている。早い展開の中に、彼らの命が次々と奪われていく戦争の恐ろしさも込められていて、こんな子供たちが戦争に行っていたということ、自分で考え自分で行動することの大切さも物語を通して感じます。決して押し付けることなく、歌の力でシンプルなメッセージをすっと伝えているのが、このミュージカルの魅力なのかなと、改めて思っています」。宮澤の演じるローズは、食堂を経営する母親とその場所から飛び出せない女の子で、見た目もイマイチ。男の子に初めてデートに誘われ、外の世界で傷つき歌う1幕最後の“笑えるわ”の曲が切ない。「ひどい目にあったのに、ポジティブに考えようとする彼女の心の美しさ。優しさの中に強さを秘めている彼女の魅力が一番出るのは、2幕で歌う“終わる前に”。世の中は可能性にあふれていて、それを自分のものとするかどうかは自分次第、きっともっとできるはず、と歌うんです。すごく力を持った曲で、ほんとにステキなんですよ」。客席は屋良のファンたちを含め98%が女子だった初演では、「すごく勇気をもらった」「背中を押されたような気がする」という声が多く届いたそう。「思いもかけず、自分たちのストーリーだって思っていただけたんだと思います。見た目で判断されることも女性はすごく多いと思うけれど、そうではない美しさを持つ強さを、私もローズから教わりました。すごくポジティブなメッセージ。今回、女の子たちは特に楽しみに来ていただければと思います」。公演は、12月8日(金)から11日(月)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、12月14日(木)から30日(土)まで東京・シアタークリエ、2018年1月6日(土)は愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。取材・文:高橋晴代
2017年12月06日浦井健治と城田優が、来年2月から上演される『ブロードウェイと銃弾』で6年ぶりの共演を果たす。ふたりが口を揃えて「すごく楽しみ」という作品の魅力、久々の共演への喜びを語った。チケット情報はこちら作品の舞台は1920年代のNY。売れない劇作家のデビッド(浦井)が、ギャングの親玉という出資者を得てやっとの思いでこぎつけた自作のブロードウェイ上演。ギャングの子分であるチーチ(城田)の監視のもと、クセのある俳優たちに翻弄されながら作品を作っていくも、さらにチーチまでも作品に口出しをしてきて……。アカデミー賞7部門にノミネートされたウディ・アレンによる同名映画を原作にブロードウェイでミュージカル化されたコメディの、日本初上演だ。浦井は「エンタテインメントを作り上げる素晴らしさを体感し、男同士の絆が生まれていく。デビッドとチーチの友情物語でもあるので、優とだったら自然体で出来るんじゃないかな」と城田との久々の共演への期待を語る。演じるデビッドについては「完全に巻き込まれ系ですね」と話し、「突飛なキャラクターたちに、いかに僕が振り回されるか。「どうしよー!」って、オドオドしていればいいかな(笑)」。対する城田は「僕は逆に周りで遊びを入れていく側。だから健ちゃんの方が大変だよね、(観客の)共感軸だからブレずにいないといけないから。でも、健ちゃんとは前回共演した2011年の『ロミオ&ジュリエット』の時に“目で芝居が出来る”関係性が築けた。今回は浦井健治を信頼して、後ろについて行こうと思っています(笑)」と浦井への絶大なる信頼を明かしつつ、「脚本がめちゃめちゃ面白いんです。「こんなんで舞台が作れるの!?」というほどクセの強いキャラクターが揃っている。最終的にそれまでの伏線が全部繋がっていくところとかもエンタメ要素が強い」と作品の魅力を熱弁する。ブロードウェイのバックステージを描いている物語ゆえ、華やかさもみどころ。全編を彩るのは20~30年代の軽快なジャズやポップスだ。「2014年に作られた割にはオールドテイストで、日本で言う昭和の匂いがします。“旧き良き”、ですね。“ジャズミュージカル”といった雰囲気のものも、僕も健ちゃんもあまりやっていませんので、僕らの新しい一面もお見せできると思いますよ」(城田)。演出はコメディを作り上げる手腕に定評のある福田雄一が手がける。映画『銀魂』やドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズで知られる福田は映像作品の印象が強いが、演劇からキャリアをスタートさせ、ミュージカル好きを公言していることでも有名だ。「脚本家でもあり演出家でもある福田さんは、デビッドと重なるところもある。そんな福田さんだから、舞台芸術の持つ力や、舞台作りへのオマージュも込めていかれるんじゃないかなと思います」(浦井)。共演は平野綾、保坂知寿、愛加あゆ、ブラザートム、鈴木壮麻、前田美波里ら。公演は2月7日(水)から28日(水)まで、東京・日生劇場にて。チケットは11月25日(土)に一般発売開始。その後大阪・梅田芸術劇場 メインホール、福岡・博多座でも上演される。
2017年11月24日浦井健治と城田優がW主演するミュージカル『ブロードウェイと銃弾』の製作発表会見が11月10日に行われた。ウディ・アレンによる同名映画を原作に、ウディ自身がブロードウェイでミュージカル化した作品の、日本初上演。演出は映画『銀魂』やドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズで知られる福田雄一が手がける。ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』チケット情報映画版はアカデミー賞7部門にノミネートされた、傑作との呼び声の高い作品。1920年代のNYを舞台に、自分の作品がやっとブロードウェイで上演されることになった売れない劇作家が、出資者であるギャングの親玉や、監視役のその部下、ギャングの愛人である大根女優、クセのある俳優たちに振り回されながらも舞台を作り上げていく様を描くコメディだ。「日生劇場(という大きな劇場)でやるということで身の引き締まる思いなのですが、真ん中のふたりがふざける気満々のようで、ちゃんと言うこときいてくれるか……」という福田のボヤきから始まったこの日の会見は、終始爆笑に包まれたものとなった。劇作家のデビッド役である浦井は「僕は福田さんの作品が大好き。福田作品の、みんなで楽しみながら楽しいものを作っていく現場も大好きです。城田優とコメディを一緒に作るのも初めてなので、そこも楽しみたい」と意気込みを真面目に語るも、会見終盤には城田に煽られ、なぜか美輪明宏氏のモノマネを披露する展開に。会場の爆笑を誘っていたが、「僕、この個性豊かな面々のなかで今も右往左往していますが、それがそのままデビッドというキャラクターになっていくんじゃないかな」。城田はギャングのボスから現場に監視役として送り込まれてきた部下、チーチ役。「みなさんに笑顔や勇気や元気を届けらるような、ハッピーなものを作りたい。チーチはクールで怖い感じなのですが、芝居作りにものすごくのめり込んでいく。そのギャップが面白いです。僕も演出家に(意見を)言ったりする面倒臭いタイプなのでそのあたりはチーチと似ているかな」と、自分と役柄の接点を語った。浦井と城田は6年ぶりの共演だが「友だちでもあり親友でもあり同志でもあり戦友でもある」(浦井)とのことで、掛け合いのようなやり取りが続いたが、コメディセンスについては「優の方がある」(浦井)、「狙って笑わせるのは僕だよね。でも天然で面白いのは健ちゃん」(城田)。ふたりがどんなコンビを生み出していくのかにも注目だ。ほかに平野綾、保坂知寿、愛加あゆ、ブラザートム、鈴木壮麻、前田美波里といった顔ぶれが脇を固める。“キンキン声で才能がないにも関らず芝居の主演を狙う”という役柄の平野が甲高いアニメ声で挨拶をしたり、“プライドの高い主演女優”役の前田が「浦井さんとキスシーンがあります!」と高らかに宣言したりと、それぞれの個性が噴出した楽しい会見に、本番の舞台への期待度が高まった。公演は2月7日(水)から28日(水)まで、東京・日生劇場にて。チケットは11月25日(土)に一般発売開始。その後大阪・梅田芸術劇場 メインホール、福岡・博多座でも上演される。
2017年11月14日ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』の制作発表が10日、都内で行われ、浦井健治、城田優、平野綾、保坂知寿、愛加あゆ、ブラザートム、鈴木壮麻、前田美波里、演出の福田雄一が登場した。同作はウディ・アレンによって1994年公開の映画を2014年にミュージカル化。劇作家のデビッド(浦井)だが、プロデューサーが見つけてきた出演者がマフィアの親玉だったためにハチャメチャな状況に。実は舞台を愛するマフィアの部下・チーチ(城田優)とともに作品を成功させるために苦労する。ジョークを飛ばすことの多いメンバーに、福田が「2人がちゃんとやってくれるかなという不安が……」と心境を明かすと、城田は「日本語ガワカリマセン……」と返し、波乱を感じさせるスタートに。それぞれが意気込みを語る中、前田が「どうも浦井さんとキス・シーンがございます! どうぞよろしくお願いします」と主張すると会場からは拍手が起こったが、前田は「言ったら赤くなっちゃった」と照れた様子を見せた。キンキン声のマフィアの愛人を演じる平野は福田から「『レディ・ベス』は大変だけどこれはそのまま出来るね」と言われたことを暴露すると、福田は「あんまりそういうこと言わないで!! ダメ!!」と大慌て。また、デビッドの恋人を演じる愛加は「前回『王家の紋章』で(浦井と)共演させて頂いた時に片思いして全く報われず、お姉さんに燃やされてしまう役で」と恋人役となったことに喜ぶと、福田が「ずっと黒焦げでしたよね!?」つっこみ、会場も笑いに包まれていた。作中のナンバーから、浦井による「I’m Sitting on Top oh the World」、城田による「Up a Lazy River」の披露も行われ、大盛況の制作発表だったが、最後に浦井が一発芸をやる流れに。『もののけ姫』に声で出演していた美輪明宏のモノマネを披露すると、共演者陣も「すごい似てるね!!」と驚いていた。製作発表終了後の取材では、互いの歌声を褒めあった浦井と城田。浦井は城田について「喉が違う。高音の最後シのフラットまで出て」と専門的に語り、城田は「安定している。健ちゃんは必ず決めてくる」と称賛した。さらにコメディセンスがある方は? と聞かれると、浦井は「優です」と即答。城田が「狙って笑わせるのは僕です。でも天然で面白いのはこっちです」と浦井を指すと、浦井は「意図的にできません」と苦笑した。しかし、先ほどのモノマネを褒められた浦井は「もう一つやります」とやる気に。『ハウルの動く城』の美輪明宏の「その呪いは解けないよ」というセリフを披露し、城田は「これは本編に入れましょう」と絶賛した。取材終わりには、城田がレポーターに「大丈夫ですか? もっとやばい質問とか。最近恋愛はどうですか? とか」と尋ね、周囲が慌てる一幕もあったが、浦井が強引に「ありがとうございました!」と頭を下げ、場を終わらせた。東京公演は日生劇場にて2018年2月7日から28にち。また、大阪公演は梅田芸術劇場メインホールにて3月5日~20日、福岡公演は博多座にて3月24日~4月1日。
2017年11月10日世紀の喜劇王・チャップリンの晩年の傑作映画『ライムライト』が世界で初めて舞台化される。チャップリンが扮した老芸人カルヴェロを演じるのは石丸幹二。演出は宝塚歌劇団出身、繊細な中にもペーソスやアイロニーを描き出す独特な美的センスを持つ荻田浩一だ。6月中旬、この稽古場を取材した。チケット情報はこちら物語は、かつて大きな名声を得ていたものの、現在は落ちぶれ仕事もろくに来ない老芸人カルヴェロが、足が動かなくなったことを悲観し自殺を図った若きバレリーナ・テリーを助けたところから始まる。カルヴェロはテリーをふたたび舞台に立たせようと支え、テリーもまたカルヴェロに心を開いていくが…。ふたりの心の交流が、第一次世界大戦勃発前夜のロンドンの暗い世相や、舞台人が舞台へ賭ける思いとともに描かれていく。出演者は石丸と、テリーを演じる野々すみ花を含め、たった8人。しかし良知真次、吉野圭吾、植本潤、保坂知寿ら演技巧者ぞろいの精鋭が次々と多数の登場人物を演じていき、鮮やかに1910年代のロンドンの町が生まれていく。くるくると表情を変える彼らの姿は、紙芝居や人形劇が持つようなノスタルジックな効果をも生んでいるようで、面白い。また石丸は劇中劇のシーンでは、コミカルな芸で稽古場を沸かす。眼をギョロリと剥き、口も大きく開ける、戯画的な表情がいかにもで楽しい。チャップリンを彷彿とさせるような部分もありそうで、チャップリンファン、映画ファンも必見のシーンになりそうだ。一方で成功の裏の転落、というシビアさも描かれ、石丸の陽気な笑顔とシリアスな表情の落差にはっとさせられる。荻田の演出はことさら“チャップリン”から想起させられるイメージに寄せすぎず、物語の本質を追求し、新たな『ライムライト』の世界を一から構築しているようだ。そしてカルヴェロとテリーが心を通わせていく過程がとても良い。カルヴェロはテリーを助けたもののどう接していいのか戸惑い、テリーもまた素直に心を開かず、殻に閉じこもる。石丸カルヴェロの屈折、野々テリーの硬質さが、すんなりはいかない不器用な人間たちの姿をうまく描き出す。そんなふたりだからこそ、ちょっとした会話で見せる笑顔が光り、この後ふたりの関係がどうなっていくのか…という期待感を抱かせた。公演は7月5日(日)から15日(水)まで、東京・シアタークリエにて。その後大阪、福岡、長崎、鹿児島、愛知、富山、長野公演もあり。チケットは発売中。
2015年07月01日劇団四季出身の保坂知寿と、『テニスの王子様』出身の中河内雅貴が、ミュージカルではなく、衝撃的な愛のストレート・プレイで競演する話題の舞台、tpt『地獄のオルフェウス』。12月7日(金)に迎えた初日の舞台をレポートする。tpt『地獄のオルフェウス』公演情報大人の女と、大人になれない男の、悲しいラブ・ストーリーである。中河内雅貴演じるヴァルは、自堕落な生活を改めようと切望する放浪のギター弾き。保坂知寿扮するイタリア女のレイディは、自分が切り盛りするトーランス商店へこの男を雇い入れる。忌まわしい過去が原因で、死病に冒された自分の夫を憎悪するレイディ。出会いのときから、ヴァルとレイディは魅かれあう。だが、アメリカ南部の田舎町を支配する、よそ者への陰湿な差別と暴力が、女と男の行く手を阻む。中河内は、柔らかく響くきれいな声質。未熟で不器用な男の役には、青年の憂いが香るあの声が強力な武器だ。ときおり見せる笑顔が母性をくすぐる。生ギターの弾き語りは2回。稽古の成果は明らかで、ヴァルの孤独が切々と伝わってきた。保坂知寿もセリフの響きで圧倒する。膨大な量を早口でまくし立てても乱れない、正確で音楽的な美声。コメディエンヌの才能が、実は随所に発揮されていて、陰惨なドラマに束の間の華やぎを用意するのも彼女。ふたりの愛は、生き急ぐように育まれていく。登場人物の感情を丁寧に洗い出す岡本健一の演出に、他にはないこだわりを見たのは、音だ。店の2階で死の床につくレイディの夫が、床を杖で叩く不愉快なノックは、恐怖を感じるほどの音量と回数。ギターの音楽が、アメリカ南部の空気感を、ドローンとしたコードで紡ぎ出す。夜のシーンが多い芝居である。照明は、深い夜の青色、月の灯りのような白色光、夕闇の紅色、室内電灯のさびしい琥珀色、さまざまな夜の色で場面を飾る。レイディの人生の悲願だったトーランス・カフェの開店日に、妨害者たちの悪意がしのび寄る。その緊迫を追う大詰めの第3幕、劇作家は、容赦なく、愛し合う者たちを衝撃的な結末へ追い込んでいく。そこで起きることについては、書かない。ただひと言、そのとき、照明が照らし出す夜の色は真っ赤である。真っ赤な夜、それがラストだ。この町で無力な反抗を繰り返す占部房子のキャロルが、幕切れに語る、かすかな希望の言葉。「野生のものたちはあとに皮を残してく、きれいな皮と歯、真っ白な骨を残してく、これは道しるべ、ひとりまたひとりと受け継いで、だから逃げゆくものたちはいつでも仲間のあとをおっていけるのね……」そこに、終演の闇が落ちてくる。2度目のカーテンコールで、先輩の保坂が、中河内を促して、彼ひとりを舞台に残す。深い一礼に、大きな拍手。衝撃の愛を演じ切った充実の笑顔がそこにあった。公演は、12月20日(木)まで、池袋の東京芸術劇場シアターウエストにて。
2012年12月10日劇団四季を振り出しに、数々のミュージカルへの主演歴を持つ実力派の保坂知寿と、「テニスの王子様」を足がかりに、こちらもミュージカルで頭角を表してきたニュースター、中河内雅貴。そのふたりが、ミュージカルではなく、硬派なストレート・プレイで、愛し合う男女の役に挑む。tpt「地獄のオルフェウス」。ラストスパートの稽古場に足を運んでみた。tpt「地獄のオルフェウス」公演情報この日は、保坂と中河内だけで出会いのシーンを特別稽古するのが目的。古い倉庫を改造した稽古場は暗い。小さな床置きの照明が1灯と、防寒用ストーブの炎だけ。中河内が演じるヴァルは、30才になったのを契機として、自堕落な生活を改めようと誓った流れ者のギター弾き。寡黙だが、内に秘めた情熱と挫折と葛藤が時に爆発する。保坂扮するレイディは、耐え難い過去の体験から、故郷の町と自分の夫を憎悪する、イタリア系の女である。稽古が始まる。自分が切り盛りする雑貨店兼カフェに、深夜、男が忍び込んでいるのを知ったレイディは、強い口調で警告するが、彼が自分のギターを取りに来ただけだとわかると、少しづつ、会話の糸口がほどけてゆく。保坂知寿のレイディは、クリアな口調が心地よい。ピストルを振り回したりする、感情の起伏が激しい女性だが、運命に負けまいとする人間の凛とした気品がある。「マンマ・ミーア!」のドナ、あの女性の強さとタフさを思い出す。ヴァルの中河内雅貴は、自分を持て余す青年の未熟さが魅力。30才という設定は中河内の実年齢より上だが、ナイーヴな役は彼の持ち味にぴったり。ぶっきらぼうで抑えたセリフのトーンが、保坂知寿の歌うようなセリフとコントラストを描き出す。舞台上にある椅子やテーブルを動かしながら、岡本健一が、そのまま演技を続行させて、セリフだけを注意深く聞いている。ときおり演技を止めて、友だちのように感想を伝える。スキンシップの多い演出家だ。何かを語りかけるとき、演出家の手は必ず、役者の肩の上にある。ふたりの気持ちがひとつに結びつく、この戯曲の有名な「鳥のセリフ」。それが、シーンのラストだった。脚がなくて、一生羽ばたくしかない鳥。眠るときは、風に乗って眠る。地上に降りてくるのはたった一度、死ぬときだけ。「--あたしもそんな鳥になりたい」「俺だってそんな鳥になりたい--おおぜいいるよ、自分もそんな小鳥になりたい--腐るのはごめんだってやつは!」中河内が、翼を広げた鳥のように、両手を顔の前に広げる。その後ろには、暗い稽古場なのに、キラキラと光って見える、彼の大きな瞳。傍らで、保坂知寿のレイディが、中空に、見えないはずの小鳥を目で追っている。その目も光っている。大人の女と、大人になりきれない男。人生を賭けたふたりの愛の運命は、平坦であるはずがない。公演は、12月7日(金)から20日(木)まで、池袋の東京芸術劇場シアターウエストにて。チケットは発売中。
2012年11月30日元宝塚トップスター、水夏希が主演する舞台『SHOW-ism IV「TATTOO 14」』の公開稽古が4月25日、都内にて行われた。SHOW-ism Ⅳ「TATTOO 14」チケット情報はこちら作・演出を手がける小林香が、新しいショウの形を目指し作るシリーズ「SHOW-ism」。これまで3度上演された人気シリーズの第4弾には、水をはじめ、シルビア・グラブ、高良結香、Jennifer、Miz、今枝珠美、保坂知寿という個性豊かでカッコいい7人の女優が結集する。7人が紡ぎだすのは、孤児として育った血の繋がらない7人の姉妹の物語。アメリカを舞台に、ショー・コンテストの本選出場権を獲得しながら、次女・ビーが起こした事件のために自然消滅した姉妹のショー・カンパニー「TATTOO 14」。様々な思いを抱えつつ、彼女らはナッシュビルからサンフランシスコまでをオンボロ車で移動し、ふたたびコンテストを目指す……。この日の稽古では、それぞれが自己紹介をしていく冒頭早々のシーンと、後半に組み込まれた1シーンを披露。ともに椅子やステッキを使ったクールなダンスシーンで、出演者たちは動きやポージングを入念に確認。決めポーズの連続のようなダンスは、どこを切り取ってもカッコいい。姉妹たちの愛情や、それぞれが抱える孤独などをセンシティブに描きながらも、今までのシリーズ同様、ショー的要素が存分に組み込まれた飽きさせない内容であることを伺わせた。次女・ビーを演じる水は「宝塚を退団してから、こんなに歌と踊りがたくさんある作品に出るのは初めて。トップの時もこんなにたくさん歌ったり踊ったりしたことはないです」と苦笑。また「退団してから、(男役からの)性転換の一貫として(笑)、女性の研究をしていますが、今回のカンパニーは女性率が高く、何をもって女性というかなどを考えています。新しい女性像を模索していきたい」と意気込みを語った。シルビア・グラブも「かっこいいナンバーを、めちゃめちゃ歌ったり踊ったりします!」と力強くアピール。またブロードウェイのカンパニーで『コーラスライン』や『RENT』に出演、映画『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』でも大きく取り上げられていた高良結香は「マイカントリーでこんな風にパフォーマンスするのは初めてなので、とってもとっても楽しみ」と笑顔でコメント。さらに作・演出の小林が「死ぬほど歌い踊り、芝居もあり、ものすごく大変な舞台になっていますが、プロフェッショナルな方ばかりで素晴らしい作品が出来つつあります。女子のみで稽古していますので、女子校のノリで稽古場もエンジョイしつつ、本番もその勢いでパワフルに踊ってもらいます」と自信を覗かせた。カッコいい女性たちがパワフルに作り上げる舞台に期待したい。公演は5月17日(木)・18日(金)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、5月21日(月)から25日(金)まで、東京・SHIBUYA-AXにて。チケットは発売中。なお、公演には日替わりでこれまでの『SHOW-ism』シリーズに出演した大貫勇輔、彩吹真央、井上芳雄、中川晃教、知念里奈がゲスト出演する。
2012年04月26日宝塚を2010年に退団後、昨年は主に映像を活動の場としてきた水夏希が、今年は精力的に舞台に出演する。紅一点の『7DOORS~青ひげ公の城~』の後、5月に上演されるのが、SHOW-ismシリーズ4作目で、ゲストを除く出演者は全員女性という『TATTOO 14』(タトゥー・フォーティン)だ。ショービジネス界での成功を夢見て、ショー・カンパニー「TATTOO 14」を結成し、「負ける気がしねぇ」と前向きに生きる7人の孤児たちの物語について、水が語った。『TATTOO 14』チケット情報『TATTOO 14』は水の他、シルビア・グラブ、高良結香、Jennifer、Miz、今枝珠美、保坂知寿が出演する。女性という共通点以外、キャリアも年齢も様々だ。「皆さん個性的で、自分はどこを売りにしたらいいのか、ちょっとドキドキしますね。他の方と同じでは意味がないですし、女優としての自分の個性を改めて見直す機会になりそうです」。水の役は、共同生活をしていた血の繋がらない7人姉妹の“次女”だが、器が大きく、男気にあふれた長男的存在という。「作・演出の小林(香)さんは、役者の本質を捉えたいとおっしゃっていて、本を書かれる前にお話させていただいたのですが、私の細かい所まで見抜いて、当て書きしてくださっています。でもそれだけではお客様にもすぐ想像がついてしまうので、私も気づいていない、観たことのない一面を引き出してくださるとおっしゃっていて、すごく楽しみです」。会場が、劇場ではなくライブスペースのSHIBUYA-AXというのも面白い。観客は劇中のショーの客でもあるわけだ。「新しい挑戦ですよね。ちょっと雰囲気が違うミュージカルになるんじゃないでしょうか。ライブの良さは、拍手とか熱気とか、お客様と交流できることなので、私は踊り担当と言われていますし(笑)、思いきり踊りたいですね」。期間中、今までSHOW-ismシリーズに出演したアーティストたちが、日替わりでゲスト出演する。中でも宝塚時代に水を支えた彩吹真央との共演は、ファンには嬉しいところだろう。「お忙しい方たちなのに、贅沢ですよね。彩吹さんとは宝塚以来ですし、男役ではなく女性同士で出るのが楽しみです」。タトゥーとは、一度受けるとなかなか消えない心の傷を表すらしい。「彼女たちは、親に捨てられたり死に別れたり、社会からのけ者にされてマイナスの要素を背負っています。でも、だからこそ心を通わせ、負けない強さが出せたら、観終わった後に明日も頑張ろうと思っていただけるような、勇気が湧く、心温まる作品になるんじゃないかな、と思っています」。公演は5月17日(木)・18日(金)に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで開幕後、5月21日(月)から25日(金)まで東京・SHIBUYA-AXにて開催。チケットは3月17日(土)より一般発売する。取材・文:原田順子
2012年03月05日