民主化を求める一般国民を中国政府が権力と武器で制圧した、1989年の天安門事件。そこに居合わせ、後に世界に衝撃を与えた一枚の写真を撮影したアメリカ人カメラマン、ジョーを軸に、当時のチャイナ(中国)と現代のアメリカを行き来し描かれる舞台『チャイメリカ』。「いまは役柄がなかなか掴めないし、セリフも多く、稽古のペースの速さについていくのがやっとで、辛くて泣きたくなるくらい。でも同時に、栗山(民也)さんの稽古場にいられることが楽しくて幸せで…矛盾した日々を送っています」そう話すのは、ジョーと親密な関係となるテスを演じる倉科カナさん。「以前から栗山さんがどんな演出をされるのか、すごく興味があったんです。映像ではできない表現をされていて、それが観客に対して問題提起になるような鋭さがあって、観ると考えがちょっと豊かになるような舞台をお作りになられているんですよね。実際、いまその舞台が立ち上がる過程を拝見しながら、お茶を取るなにげないタイミングひとつでも、栗山さんの演出通りにやると、こんな深い意味が立ち上がるのかと…キュンとしています。ただ、自分の場面のことはいっぱいいっぱいすぎて、全然わからないんですけれど」テスは、確固としたイデオロギーを持ち、それをはっきりと口にするキャリアウーマン。「じつは、ちょっと自分に似ていて…」と笑う。「30歳を過ぎてひとりで働いていて、仕事に対してのプライドもある。そこが共通していますし、愛情表現は下手だし、皮肉交じりのユーモアを言うところにも共感します」その清楚な雰囲気から、おとなしく控えめな印象があったけれど…。「ごめんなさい。じつは結構毒っ気強いほうなんです(笑)。白か黒かというはっきりした性格なので、反省することも多いですし。ただ、柔らかい印象を持ってくださる方が多いので、それも使っていきたいとは思っているんですよ。どっちもやれれば、幅が広がりますから」一筋縄ではいかない作品を前に苦戦しながらも、「ぐちゃぐちゃと悩んでいても何も始まらないし、誰も助けてくれない」ときっぱり。「自分のやりたいことははっきりしているんです。それは、芝居がしたいということ。逃げたり止まったりしてるより、効率いいのは戦うこと。やるべきことをやって、努力して、それでもできなくて落ち込んだら、一晩ヤケ酒して思いっきり泣いて、すっきりして次に向かうんです」倉科さんの台本は、作品に描かれる時代背景やセリフに登場する政治や経済に関する言葉を調べては書き込みしていき、すでにボロボロ。「もともと政治にも歴史にもそんなに詳しくないんです。でもわからない部分を調べていくと、点と点が繋がる感覚があって、セリフも演出もしっくりしてくるんですよ。そうなって演じてみると、頭で考えるより感覚で理解できる部分も出てきたりして。ご覧になる方は難しく考えずにいらしてくださったら、きっとわかると思いますし、きっと何かを感じて持ち帰るものがあるんじゃないかと思います」『チャイメリカ』1989年、天安門事件に居合わせたジョー(田中)は、戦車の前に立ちはだかる男(通称“タンクマン”)の姿を写真に収めた。あれから20数年。彼はその男の軌跡を追い始める。2月6日(水)~24日(日)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター作/ルーシー・カークウッド翻訳/小田島則子演出/栗山民也出演/田中圭、満島真之介、倉科カナ、眞島秀和ほかS席(1・2階席)8300円A席(3階席)6000円(すべて税込み)世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515(10:00~19:00)愛知、兵庫、宮城、福岡公演あり。撮影:笠井爾示くらしな・かな1987年12月23日生まれ、熊本県出身。近作に映画『3月のライオン』『あいあい傘』、ドラマ『春が来た』など。現在放送中のドラマ『トクサツガガガ』(NHK)に出演。ブラウス¥35,000スカート¥39,000(共にmuller of yoshiokubo/muller of yoshiokubo TEL:03・3794・4037)ピアス¥60,000リング、大¥92,000中¥34,000小¥17,000(以上CHERRY BROWN/CHERRY BROWN TEL:03・3409・9227)※『anan』2019年2月13日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・多木成美(C.Corporation)ヘア&メイク・吉田真妃(クララシステム)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年02月06日アンアン読者にとっては、お父さんと同世代であろう奥田瑛二さん。“渋みのある大人の男”のイメージがありますが、実は’80年代には、“トレンディドラマ”と呼ばれた若者の恋愛模様などを描いたテレビドラマで、女性たちをメロメロにした過去があるのです…。――30年以上ずっと“かっこいい奥田瑛二”をキープしてこられたのに、2月に全国公開の映画『洗骨』では、情けなく、かっこ悪い男性を演じていますね。そう。僕が演じた信綱という役は、最愛の妻を亡くし、酒に溺れ、世捨て人のように暮らしている男。ここ5~6年よく演じていた、検事や刑事、会社の重役といった役とはまったく違うタイプの男。まあね、年齢的にそういう役回りなんだろうけれども、恫喝したり、あるいは経済や政治に関する専門用語をバーッとまくしたてたりすることが多くて、こっちは年をとるのに覚えるセリフはどんどん増えるわけだから、正直ちょっと疲れちゃってさ(笑)。それで一昨年の夏に、“もうそういう役、やーめた”って思ったの。それで今後は、父親でもいいし、もちろんジジイでもいいんだけど、人の心にある喜びや悲しみ、痛みに寄り添うような役柄をやろうって決めて。そんなときにこの話をいただいた。脚本を読んですぐに監督に会いたいって思って、渋谷のルノアールで話を聞いたんだよね。――照屋年之監督、ガレッジセールのゴリさんですね。うん。笑えるところがあって、切なくなって、また笑えてまた涙が出て。読み終えたとき、それこそ珠玉のため息が出たんです。脚本を読んで、自分から監督に会いたいと思ったのなんて、それこそ25年ぶりくらいじゃないかなぁ。それで「なんで僕なんですか?」って聞いたんですよ、監督に。――監督はなんと?「目です」、と。――ほう…。その時点で、“こいつ、俳優を殺しに来やがって…”って脳裏で思ったんですけど(笑)、さらに続けて「奥田さんの目の奥にある眼差しには、悲しみと切なさがあるのがいい」と。おいおい、倍かけて口説いてきてるよって。もう僕が女性だったら、すぐに相手のものになっちゃうくらい、すごい口説き方だったんです(笑)。承諾して、家に帰る道すがら、今まで積み上げてきた〈俳優・奥田瑛二〉を取っ払うんだろうなぁと思いつつ、自分を再構築したいと思っていたところだったから、もう一度原点に立ち返るのにはすごくいいタイミングだったんですよ。――作品の舞台は沖縄の粟国島。そこで奥田さん演じる信綱は、家に閉じこもって酒浸りの日々を生きているわけですが、先ほど「人の痛みに寄り添う役をやりたかった」とおっしゃいましたけれど、ここまで情けない男を演じることに、躊躇はなかったんですか?まったくなかったよ。ファーストシーン、信綱はケツのたるんだダルダルのブリーフにくたびれたランニングで登場するんだけど、衣装合わせのときに伸び切ったブリーフをはいたらさ、「おぉ~、これだこれだ!」って。自分はもちろん監督も、いわゆる〈奥田瑛二〉を崩していくことが、結構楽しかったんだと思います(笑)。――奥田さんがここ最近演じてきた役柄として挙げたのは、検事や刑事といった職業でしたが、信綱はもはや職業もない“ただの沖縄の離島の男”ですよね。役作りのアプローチは異なりますか?うん、違うね。まず、その役に対しての責任の度合いが違うんだよな。そこに生きている人を演じるって、すごく責任が大きいんだよ。もちろん検事をやるときにも、実際に検事の方にお会いして話を聞いて、リサーチを重ねるわけだけど、信綱のような男はもっと土着性が必要になる。なんだろうね、その土地に溶け込む才能っていうのかな。今回は1か月ちょっと粟国島や沖縄本島に住んでロケをしたんだけど、島の土、風、自然、人々、すべてに好奇心を持って近づき、そのあとは一切考えないようにして、ネイティブの空気感を身につけるんだ。こういう役は形より、心を掴むことが大事。そういう意味では、今までで最も難しい役どころだったかもしれないね。おくだ・えいじ1950年生まれ、愛知県出身。’79年『もっとしなやかに もっとしたたかに』で映画初主演。’86年のドラマ『男女7人夏物語』を機にブレイク。’89年の映画『千利休 本覺坊遺文』で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞。映画監督としても活躍しており、’06年『長い散歩』でモントリオール世界映画祭でグランプリを含む3冠を受賞した。『洗骨』死んだ人を一度土葬あるいは風葬したあと、縁深き人たちの手により骨をきれいに洗うという風習、“洗骨”。4年前に妻を亡くし、沖縄の粟国島で世捨て人のように暮らす信綱の元に、島の外にいる娘と息子が帰ってくる。家族の思いがすれ違う中、洗骨の日が近づいてきて…。共演に、筒井道隆、水崎綾女、筒井真理子ら。沖縄で先行公開中。2月9日より、丸の内TOEIほか全国公開。※『anan』2019年2月6日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)インタビュー、文・河野友紀(by anan編集部)
2019年02月01日恋も仕事も失敗続きのしくじり女子が、イケメン3人から同時に愛されて人生が激変!?この冬一番ハッピーなラブコメディ『初めて恋をした日に読む話』が登場した。東大を目指したガリ勉青春期…からの受験失敗。以来、恋も仕事も不調なアラサー塾講師・春見順子を演じるのは深田恭子さん。「原作のコミックを読んで、順子はダメな人どころかすごく素敵な女性だと思いました。ただ絶対的な目標を失って、時が止まってしまっただけ。その彼女が東大を目指す高校生、由利匡平(ゆりきょうへい)君と出会って輝きを取り戻していく。そんなお話です」豪華共演陣にも注目。順子のエリートな従兄弟・八雲雅志役に永山絢斗さん。そしてピンク髪のワケあり問題児・匡平役には、注目の若手俳優・横浜流星さん、順子の元同級生で匡平の担任・山下一真役は中村倫也さん。タイプの違う3人が順子に思いを寄せる…という四角関係!深田さんが順子なら、どうする?「私は瞬間の感情を大切にしたいから、誰の思いに気づくか、その順番とタイミングによると思います。頭で考えていたら胸はキュンとしないんじゃないかなって」スペックも立場も関係なく心がときめく。ピュアな恋模様とともに、若者に向けた熱い言葉も魅力。「親に言われるがままに勉強漬けの青春を送った順子は、匡平たち若い人には受験も恋愛も両立させ、10代の“今”を楽しんでほしいと思っています。『人生も恋愛も貯金できない』というセリフがあるんですが、まさにその通り。その順子の思いを丁寧に伝えようと心がけています」そんな作品中のセリフをきっかけに、自らを振り返る瞬間も…。「作品中『拝啓15の君へ』と語りかける場面があるんですが、もし私なら15歳の自分に何を伝えるかな、なんて。うーん…『自分が想像するより、長くお仕事させていただけているよ』でしょうか。でもそれは知らなくていいかも。知っていたらあんなに頑張れなかったと思うから」キュンキュンしつつ、熱くなるこの作品。「私も昔のことを思い出したり、匡平や雅志のストレートなアタックを『かわいい!』と思ったり(笑)、演じつつ楽しんでいます。アンアン読者の皆さんは仕事もプライベートも忙しいと思いますが、火曜の夜だけは、このドラマの世界に浸って順子と一緒にキュンキュンして、元気になっていただけたらうれしいです」ふかだ・きょうこ数多くのドラマや映画に出演。咋秋に20冊目の写真集『Blue Palpitations』(講談社)が発売。公式Instagramは@kyokofukada_official『初めて恋をした日に読む話』東大受験に失敗して以来、就活も婚活もうまくいかない残念女子・春見順子。そんな彼女の知らないところで、3人のイケメンに胸キュンな恋心が芽生えて…。同名の人気コミック待望のドラマ化。TBS系毎週火曜22:00~。※『anan』2019年1月30日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・大澤千穂(by anan編集部)
2019年01月29日1月期ドラマ『初めて恋をした日に読む話』をはじめ、映画出演も相次ぐ横浜流星さん。マルチに活躍する彼の潔すぎる選択の裏側とは。どんな経験にも、意味のないことなんてない「選択に迷うことは、あまりないですね。例えば何人かでごはんに行っても、自分だけすぐにメニューが決まるので待ち時間が長くなってしまうことも多くて」そう言って、爽やかな笑顔を浮かべる。まるで少女漫画の世界から飛び出してきたような完璧なルックスで、世の女性を魅了する横浜流星さん。しかし実は極真空手の国際大会優勝という意外すぎる経歴の持ち主でもある。「空手は小学1年生の時に習いはじめました。最初はサッカー、野球、スイミングと、いろいろなスポーツを試したのですが、最終的に自分から『空手がやりたい』と親に言ったそうです。試合や稽古がどんなに苦しくても、自分が一度決めたことは責任を持って貫く、という精神力は空手を通じて培うことができたと思います」そして栄えある世界チャンピオンの座に輝いたのは、中学3年生の時。格闘家としての将来を有望視され、当時はほぼ空手中心の生活を送っていたという横浜さん。どうして俳優の道に進むことになったのかは、気になるところ。「小学6年生の時にスカウトされて今の事務所に入ったのですが、徐々にお芝居の仕事の楽しさを実感するようになったんです。高校に入ってからも、このまま空手を続けるか、俳優一本に絞るか、それとも大学に進学するかでかなり迷いました。ですが、最終的には『今しかできないことをやろう』と思い、この世界で生きていくことを選択しました」その時の決断を後押しした、忘れられないひとことがあるそう。「親に言われた『人生は一度きりなんだから、流星の好きなように生きなさい』という言葉です。思えば空手をはじめた時も、芸能界に入った時も、親はすべての判断を自分に委ねてくれて。僕が俳優としての決意を固めた時も、そのスタンスは変わりませんでした。ただし、『悪いことだけはするな』と釘は刺されましたが(笑)」‘17年には俳優以外に、歌手としてアーティストデビューも果たした横浜さん。どんなことも自分で決める決断力は、今もさまざまな場面で発揮されている。「歌手になるプランはもともと自分の中になかったのですが、滅多にないチャンスをいただけたので、せっかくだから挑戦してみようと決意しました。きっと、どんな経験にも意味のないことなんてないはず。だからこれからも、チャレンジできることには積極的に取り組んでいきたいと思います」よこはま・りゅうせい‘96年9月16日生まれ、神奈川県出身。出演映画『愛唄-約束のナクヒト-』が1月25日より、『L(ハート)DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』が3月21日より公開予定。シャツ¥32,000(シュガーヒル/シックTEL:03・5464・9321)その他はスタイリスト私物※『anan』2019年1月30日号より。写真・樽木優美子(TRON)スタイリスト・伊藤省吾(sitor)ヘア&メイク・永瀬多壱(VANITES)取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2019年01月28日昨年は、ツッパリ役で注目の的になった伊藤健太郎さん。経験を積み重ねるほど大きな選択も増えていくようで、そのたびに覚悟を決めているんだそう。直感が働けばすぐに従って選択できる。いま勢いのある俳優の一人、伊藤健太郎さん。迷いなど感じない切れ長で涼しげな目もとが印象的だが、これまでの人生では大きな選択と決断をしてきたという。「一番の選択は、モデルから俳優の道に進む決心をした高2の時。本当は、ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』のオーディションに落ちたら、俳優の道はあきらめてアメリカに留学しようと思っていて。オーディションは何度も呼ばれてなかなか決まらなかったから、留学手続きもだいぶ進んでいました。でも、役に決まったと報告があった瞬間にアメリカ行きは即自分の中で排除されたんです。直感が働けば、すぐに従って選択できるタイプなのかな」俳優デビュー作は大ヒット。その後もドラマや映画の出演作を年々増やし、今や武将もツッパリも演じきってしまう活躍ぶりだ。選択の岐路に立たされた時のその直感は、かなり鋭いよう。「昨年は、名前を変えるという選択もしました。前から、名字の伊藤をつけたほうがいいと周りから言われていたのですが、まだタイミングじゃないと思っていたんです。でもドラマ『今日から俺は!!』でいただいた役名が伊藤で、僕の本名と同じで。さらに、ちょうど21歳の誕生日を迎えるので節目にもなると思った。モデル時代は健太郎、俳優となったら伊藤健太郎として、一つの覚悟を決めるのもいいのかな、って」選択に迷った時は兄弟や先輩、地元の友達など周りの人に相談するというが、その理由がまた、伊藤さんらしい。「自分1つの脳みそよりも、いくつもの脳みそで考えたほうがいいと思いませんか?最終的には自分で決めるけれど、いろいろな意見を参考にするのも勉強になると思っています。仕事で迷った時は先輩の太賀さんに、行き詰まった時は言葉を交わさなくても察してくれる地元の友達に相談すると心強いですね。最近印象的だった選択?あ、機内食をハンバーグステーキにするか、カツ丼にするか!行きでカツ丼を選んで失敗したから、帰りはハンバーグステーキにしたのに、また失敗で。この場合は“選択しない”というのが正解でしたね(笑)。基本、何を選ぶにもそんなに悩まないし、直感派だけど、どうしてもごはんだけは選べないんですよ。食べたいものが多すぎて、美味しい店だと全部食べたくなっちゃう。1つだけ選ぶなんて酷だよ、っていつも思っています」いとう・けんたろう‘97年6月30日生まれ、東京都出身。ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(CX系)で演技を始め、『アシガール』(NHK総合)、『今日から俺は!!』(NTV)などに出演。主演舞台『春のめざめ』が今春上演、主演映画『惡の華』が今秋公開。カーディガン¥18,500(BLUEBLUETEL:03・3715・0281)カットソー¥9,200(EGO TRIPPINGTEL:03・6434・9452)パンツはスタイリスト私物※『anan』2019年1月30日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・池田友紀(BeGlad)ヘア&メイク・伊藤ハジメ(Crollar)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2019年01月27日唯一無二の存在感と個性を放ち、今、映画やドラマに欠かせない存在の岡山天音さん。仕事やコンプレックスとの向き合い方を通じて見えたのは、彼の持つ強さでした。24歳という若さながら、“演技派俳優”“名バイプレイヤー”などと評されることも多い、注目俳優のひとりである岡山天音さん。現在放送中のドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』は、本田翼さんとW主演をつとめていることでも話題に。――今作は、オンラインゲームを通じて知り合った二人のラブコメディです。原作を手がける金田一(蓮十郎)先生のマンガは、子どもの頃からずっと好きで読んでいたので、お話をいただいた瞬間、一気にやる気が湧きました。僕、ラブストーリーが好きで。それまで交わってなかった二人が、自然の流れやモノの作用でちょっとずつ心を通わせていくというのは、人と人とのドラマのなかで、すごく美しいものだと思うんです。今作でも、僕が演じる(さつき)たくみは、見ないようにしていた傷やトラウマを、(おかもと)みやこさん(本田翼さん)に出会って癒されていく。そういうことは現実世界でも起こる話だから、段階を意識して、大事に演じたいと思いました。――たくみは男性ですが、オンラインゲームのなかでは「パウダー」という名前で女性を装っています。そういう、他の誰かになりたい気持ちはわかりますか?思春期の頃はすごく思っていましたけど、いつ頃からか全然、思わなくなりましたね。やっぱり、その人の人生で収穫できるものと、僕の人生で収穫できるものは違うので。その人が得ていて僕が持っていないものはあるけど、その逆もあると思うんです。人それぞれ、悩んでいる内容は違うかもしれないけど、幸せ度数と不幸度数って、そんなに変わらないのかなって。だから、人に対して“幸せそうでいいな”と思うこともないです。――すごく大人な考え方だと思うのですが、そういう価値観はいつから持っているのですか?えー、いつ頃ですかね?思い出せないけど、俳優の仕事を始めたのは大きいと思います。この業界にはカッコいい人やきれいな人がいっぱいいるじゃないですか。最初は、コンプレックスがすごくあったけど、だんだん、そういう人ができないことを僕はできるんじゃないかなって思うようになりました。画面の中にカッコいい人ばかりいてもリアリティがなかったりするかもしれない…って。コンプレックスの落としどころって、大人になるにつれて見つかっていくんだと思いますが、僕はわりと早い段階で、そのあたりの戦いが終わった感じがします。オーディションに行くと「面白い顔だね」と言ってもらったりして。最初は、“僕って面白い顔なんだ”と思ったけど、そのおかげで素敵なお仕事をもらえていますから。――ご自身は、ゲームはお好きですか?好きなんですけど、ゲーム機自体は持っていなくて、実況動画を見たりしています。あとは、やっている人に話を聞いたり…。ゲームを持っていない子どもみたいですよね(笑)。『スプラトゥーン』が気になっていた時期は、周りの人に“僕はこういうゲームだと思っているんですけど、実際はどうですか?”って聞いて回ったりしてました。やりたいんですけど、ハマったら誰も止めてくれないだろうから怖いんです。この仕事をしていると、家でやることや準備も多いので。でも、このドラマを見た人が『ドラゴンクエストX』に興味を持ってもらえると嬉しいですね。今でも、いろんな現場で、このゲームをプレイしている人に出会うし、それほど人を熱狂させる魅力的な作品ですから。人生が少し豊かになるんじゃないかなって思っています。――たくみのような、オタク気質はお持ちですか?かもしれないですね。マンガが好きだし、収集癖もあります。カナブンの標本とか…。――えっ…!5匹いて、めっちゃきれいです。あとは人形の手や、巻き貝の大きいやつ。その隣には、どこかの国の神様の像を並べています。頭が不自然に欠けていて、バランスが悪いんですよ。買ったお店の人に「これは何ですか?」と聞いたら、どこかの国の人が何かの像を壊して売ったものが、めぐりめぐってここにあると言われて…。なんか怖いんですけどね(笑)。おかやま・あまね1994年6月17日生まれ、東京都出身。’09年に『中学生日記 シリーズ・転校生(1)~少年は天の音を聴く~』でデビュー。映画『ポエトリーエンジェル』や、連続テレビ小説『ひよっこ』などに出演。BSスカパー!『I’’s アイズ』、TX『デザイナー 渋井直人の休日』が放送中。映画『きばいやんせ!私』が3月9日から全国公開される。MBS/TBSドラマイズム『ゆうべはお楽しみでしたね』は、MBS毎週日曜24:50~、TBS毎週火曜25:28~放送中。U‐NEXTで独占配信中。オンラインゲーム「ドラゴンクエストX」内で仲のいいゴローと同居することになった、さつきたくみ(岡山天音)。でも、実際のゴローは、ゲーム内のキャラとは違うギャル系女子・おかもとみやこ(本田翼)で…。ロングシャツ¥29,980(L QUARTET TEL:03・5453・1133)その他はスタイリスト私物※『anan』2019年1月30日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・岡村春輝ヘア&メイク・森下奈央子インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2019年01月26日自称、優柔不断の中川大志さん。演技、ショッピング、定食屋…何をするにも「基本ずっと悩んでばかりです」。演技の選択は正解がないから難しい。「選択なんて毎日、目が覚めた時から始まりますよ。洋服は何を着て、朝ごはんは何を食べて、どの道から行くかとか。僕、優柔不断なほうなんで、基本ずっと悩んでばかりです(笑)」今年成人式を迎えた中川大志さん。それを記念して、成人の日にファン待望の写真集『maka hou』が発売された。ハワイで撮り下ろされたのは、20歳になったばかりの中川さんの貴重なショットの数々。実は企画・制作から写真のセレクトまで自ら関わったというが、それこそまさに選択の嵐だったのだそう。「どこで何をやるか、衣装はどれにするか、自分はこっちの写真が好きだけど、ファンの方はこっちが好きだろうな…など悩みまくりました。仕事の場合は、僕の好き嫌いよりも求められているほうを選ぶようにしていますが、同じチョイスでも、演技の場合はまたちょっと違う。セリフをどういう感情で言うのかは、一種の選択だと思います。でも難しいのは正解や不正解がはっきりしていないこと。「よかった!」という言葉をもらうこともあれば、イマイチ刺さらなかったりする場合もあって、見る人によって捉えられ方が全然違うんです。だから、正直手応えを感じないことも多くて。ただ、いつもチャレンジングな選択を続けていきたいとは思っています。安定した選択によって型にはまってしまうと、新しいものが生まれないような気がするから」さらに、プライベートの買い物まで悩みに悩む。「僕、ネットで買い物することが多いので、何か買う時は例えば同じ商品でもいろんなサイトを見比べて値段をチェックしたり、口コミもたくさん読んでから決めないと気が済まないんです。だって、後からもっといいものを見つけて後悔したり、失敗したくないから。長い時は1週間ぐらい考えることも珍しくないですね」そんな中川さんが、唯一選択に悩まないという場所が、定食屋。「なぜ悩まないかというと、毎回同じメニューを注文するからなんです。それが美味しいってわかっていたら間違いないじゃないですか。ごはんは失敗したくないですね…とは言いつつ、それってつまらないのかなぁ?もしかしたら、ほかにもっと美味しいメニューがあるかもしれないですもんね。あ~、ここでも悩んじゃう(笑)」なかがわ・たいし‘98年6月14日生まれ、東京都出身。20歳を記念してハワイで撮り下ろされた写真集『maka hou』が発売中。1stBlu-ray『holoholo』は2月14日発売。トップス¥33,800パンツ¥36,800(共にジュリアン デイヴィット/エドストローム オフィスTEL:03・6427・5901)※『anan』2019年1月30日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・徳永貴士ヘア&メイク・池上 豪(NICOLASHKA)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2019年01月26日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は歌手、女優の上野優華さんです。「泣ける声」と話題!リアルで切ない恋の歌に共感する人続出。20代になって初のアルバムとなる『好きな人はあなただった』をリリース。新たな自分に出会うきっかけになったそう。「デビュー以来ずっと長かった髪を30cm以上カット!新曲は、尊敬するアーティストの方々にそれぞれのラブソングを書き下ろしていただいて、一皮むけた大人な曲調に仕上がっています」。何事にも挑戦する性格が魅力的。「何がきっかけで才能が開花するかわからないから、とりあえずやってみる!プライベートでは、リアル謎解きゲームにハマって、友達とよく行っています」喉が潤う紅茶を持ち歩いています。軽い炎症を鎮静化する効果も。さらにマヌカハニーも入れています!洋服がシンプルな分、指輪をアクセントに。マイクを持つときに目立つのでよくつけています。大ぶりのものが好き!朝晩のシートマスクで肌荒れしにくい肌に。去年の春からリピートしています。しっかり保湿できて肌の調子が改善!うえの・ゆうか1998年生まれ。2012年、キングレコードと講談社主催のオーディションでグランプリを獲得。日本以外にも、ベトナム、中国、ミャンマーなどアジア圏で活躍している。※『anan』2019年1月30日号より。写真・土佐麻理子文・松下侑衣花(by anan編集部)
2019年01月23日映画界は俳優も作品も、ますます多様化の一途!2019年、要注目の俳優は?映画ライターの山縣みどりさんに聞きました。アジア系も大活躍!さまざまな人種のニューカマーが勢揃い。映画のキャスティングに人種の多様性が求められるのは、もはや常識に。「さらに最近は映画の中国市場が大きくなっていることもあり、アジア系スターの活躍が目覚ましい。デビュー作『クレイジー・リッチ!』で世界的に注目されたのが、マレーシア生まれのヘンリー・ゴールディング。ガイ・リッチー監督作をはじめ新作が多数控えています。日系イギリス人のソノヤ・ミズノは『ラ・ラ・ランド』やネットフリックスの『マニアック』に出演する注目株。また『ゲット・アウト』で評価され『ブラックパンサー』に抜擢された黒人俳優のダニエル・カルーヤは、オスカー候補との呼び声も高い『妻たちの落とし前』にも出演し、注目度アップは確実。同じくキャリアを積み重ねているのがザジー・ビーツ。『デッドプール2』に続き’19年公開の『Joker』のヒロインを演じます」王子様系の英国俳優もチェック。「『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』で主人公の兄を演じたカラム・ターナーや、甘いマスクのジョー・アルウィンは、“あのカッコいい人は誰?”と日本で話題になること必至です」ヘンリー・ゴールディング1987年、マレーシア生まれ。デビュー以後、『Last Christmas』、ガイ・リッチー監督の新作『Toff Guys』など注目作への起用が続く。ソノヤ・ミズノ1986年、東京都生まれ。モデルとして活躍後、『エクス・マキナ』で女優デビュー。『ラ・ラ・ランド』『クレイジー・リッチ!』に出演。ダニエル・カルーヤ1989年、イギリス生まれ。母はウガンダ人。『ゲット・アウト』の演技で、ゴールデングローブ賞など多くの賞にノミネートされた。ザジー・ビーツ1991年、ドイツ生まれ。アフリカンアメリカ人の母を持つ。『ジオストーム』などに出演し、『デッドプール2』のドミノ役がヒット。カラム・ターナー1990年、イギリス生まれ。『クィーン アンド カントリー』で脚光を浴び、『さよなら、僕のマンハッタン』では主人公を好演した。ジョー・アルウィン1991年、イギリス生まれ。『女王陛下のお気に入り』に出演して人気を博す。テイラー・スウィフトの本気の恋人としても知られる。山縣みどりさん映画ライター。映画レビューやインタビューなどを中心に幅広く執筆。『クレイジー・リッチ・アジアンズ』(竹書房)の翻訳を手がける。※『anan』2019年1月2・9日号より。取材、文・重信 綾写真・Getty Images(by anan編集部)
2018年12月27日9年ぶりに日本のドラマに出演した水嶋ヒロさん。12月7日に全10話が配信されたAmazon Prime Videoの『東京BTH~TOKYO BLOOD TYPE HOUSE~』第4話にゲストとして登場しています。同作の舞台は、稲垣吾郎さん演じるIT社長・ゴロー(O型)、要潤さん演じる整体師・ジュン(A型)、勝地涼さん演じる花屋・リョウ(AB型)が暮らすシェアハウス。“血液型トーク”を繰り広げる、新感覚のシチュエーションバラエティドラマで、水嶋さんは本人役を演じました。久々のドラマ出演について自身のブログに、「涼ちゃんとも吾郎さんとも色んな話ができたし楽しかった」と、久々に稲垣さん、勝地さんと共演した喜びを綴っています。そんな水島さんのインタビューが18日、「Yahoo!ニュース特集」で公開され、またたく間に拡散。タイトルは「水嶋ヒロはいま何をしてるのか?――表舞台から姿を『消した』理由、バッシング、家族を語る」。2009年、シンガーソングライター絢香さんとの結婚を発表し、翌年2010年から芸能活動が少なくなっているように見えた水嶋さんは、その間、所属事務所からの独立、自身の会社設立、経営、投資の勉強、小説執筆など、俳優業以外の仕事を模索していたといいます。目的は「人生で最優先している家族のために、場所や時間に縛られずに働きたいから」。家族へのあたたかい気持ちが、水嶋さん自身の言葉で語られていました。このインタビューを読んだ人たちからは、「今になって思えば、一つの仕事を極めるべきっていうのも呪いなのかもしれないですよね」「これは俳優業をやめたときに一度離れちゃったファンもまた好きになっちゃうナイスインタビュー」「すごいとしか言いようがない。自分の軸がある人は、どんな人でも素敵だなぁ」「姿を消したんじゃなくてクロックアップして目に見えない速さで動いてるだけ。高速のビジョン見逃してるだけ」など、水嶋さんの選んだ生き方、芯の通った思考に、共感やリスペクトを示す声が多数あがっています。自分は何を大事にして生きていくのか、どう在りたいのか――そんなことを考えさせられた人が多かったようです。
2018年12月18日朝の情報番組『ビビット』での、視聴者に寄り添いながらも自身の意見をズバリと表明する嘘のない姿勢が、多くの人の共感を得ている。率直で飾らない真矢ミキさんの素顔とは。――伝統を重んじる宝塚に、次々と新しい価値観を持ち込んだのが真矢さんだったといわれていますけれど、自覚はありましたか。真矢:ないですね。ただ、いま下級生と劇場で会ったりして、あの時に真矢さんにこんなことを言われて、って話を聞いて、自分でびっくりすることも多いんです。ある時、私のところに電話がかかってきて、「生きるのが嫌んなっちゃった」って言われたことがあって、その時の私ったら、「私には必要だから生きてね。じゃあ私、忙しいから切るわね」って切ったんだそうです。その電話の主には、「いろんな人から言われたどの言葉より、あの時に“生きなきゃ”って焦りました」って感謝されるんだけど。でも、そういうところあるんですよ。あんまり自分の意見を人に熱く語ったりするタイプじゃないんです。だから、気が合えば最高だけど、受け入れられない人もいるんだろうと思います。その方々には申し訳ないんだけれど。――『ビビット』でも、ご自身の言葉で語ろうとされていらっしゃるところが素敵だなと思います。真矢:あるがままなんです。だから時に言いすぎちゃったり、しゃべっているうちに何が言いたかったのかわからなくなってしまうこともあって…あの番組の2時間の間に、結構落ち込んだりしています。ぬいぐるみを置いて去ろうかと思ったこともありますから(笑)。――堂々とした印象があって…。真矢:それはこれまで演じてきた役のイメージが大きいと思います。そもそも私、カッコ悪い人間なんですよ。あるがままでいすぎて、失敗も多いし、失言も多いし。そんな自分に、唯一カッコいいところがあるとしたら、そのカッコ悪さを包み隠さずに言えるところだと思っています。――ナーバスな話題にも、無難なコメントで終わらせようとせずに、きちんと意見を表明するところがすごいなと思っています。真矢:私、無難っていうのが好きじゃないんです。それは自分のダメなところでもあるんですけどね。うちの母はずっと私に「普通に生きろ」と言い続けてきました。でも、言われるたびに「普通って、一番興味ないんですけど」って心の中で思ってたんですよね。母が他界してから、うっすらとわかってきたのは、人生って激動だから、いつも普通にいられるような考えでいろ、っていう意味だったんじゃないかってこと。忘れられないのは、私が初めて主役をもらった時、両手いっぱいの花束を抱えて帰ってきた私に、母がすぐに、「その花束を置いてゴミを出しに行ってきて」って言ったんです。その時には、なんでいまなのって思ったけれど、当時の母の心境としては、どんどん大きな役をもらうようになっていた私が過信するのを止めたかったのかもしれません。私が調子に乗っているのがわかると、いつも隣でそれを諌める人でしたから。だからいまも、ちょっと調子に乗りそうになると母の声がどこからか聞こえてくるんです。宝塚時代、悔しい気持ちが頑張るバネになってくれた。――宝塚でトップスターに上り詰めるには、ある意味、自分を信じることも必要だったのでは。真矢:でも、最後までそうは思えなかったです。代わりに悔しさがバネになってくれていました。周りのいろんな人に、どうせ上にはいけないんだからって言われるほど、いまに見てろっていう気持ちになって。当時の私は、ゆるーいアウトローみたいな感じ。あまり役がつかなかった時に、上層部の一番偉い方に、「なんで私に役がつかないんですか?」って言いに行ったこともありました。「できないからだよ」ってあっさり返されたうえ、一部始終をみんなに聞かれて、あれは恥ずかしかったぁ。そんなカッコ悪いことをいっぱいやってきているんです。――そんなふうに自分に正直に生きられたらと思う若い女性たちは多いんじゃないでしょうか。真矢:周りにいる若い子たちを見ていると、物事を逆算して考えて進んでいける賢さがあって、勇気も正義感もあって、すごいんです。彼らに足りないのは、あとはコミュニケーションだけじゃないかと思います。いまの時代って、興味があることは検索すればすべて出てきますよね。便利だけど、逆に自分の好きなことしか入ってこない。無駄だと思うかもしれないけれど、人としゃべったり、テレビやニュース番組とか、雑誌や新聞を見てほしいと思う。無駄なものがたくさんあるかもしれないけれど、その無駄なものから得られることっていっぱいありますから。自分の興味とは離れたところに新しい発見があって、それを手に入れたら、いまの若い子たちは鬼に金棒じゃないかしら。まや・みき広島県生まれ、大阪府育ち。1981年に宝塚歌劇団に入団し、’95年に花組トップスターに就任。宝塚の男役スターとして初めて日本武道館でソロライブをおこなうなど、高い人気を博した。’98年の退団後は女優に転身。ドラマや映画、舞台など幅広く活躍。’15年より『ビビット』(TBS系)の司会を務める。真矢さんの主演するドラマ『さくらの親子丼2』は、毎週土曜23時40分~、東海テレビ・フジテレビ系で放送中。全8話。自ら営む古本屋で、行き場をなくした子供たちに無償で親子丼を振る舞う九十九さくら(真矢)を主人公に、’17年に放送された『さくらの親子丼』の続編。今回は、古本屋から「子どもシェルター」に場所を移し、食事スタッフとして子供たちと向き合っていく。共演に名取裕子、柄本時生、相島一之ほか。※『anan』2018年12月19日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・石野美穂ヘア&メイク・平 笑美子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年12月14日転機があったからこそ今がある。初のヒロイン映画がカンヌで大絶賛された、女優・唐田えりかさんの運命が動いた瞬間とは?今年公開された映画『寝ても覚めても』のヒロイン・朝子を好演。その吸い込まれそうな透明感で、「第71回カンヌ国際映画祭」でも注目を浴びた唐田えりかさん。――唐田さんにとって、最大の転機とは。『寝ても覚めても』で濱口竜介監督に出会ったことです。ちょうどその頃、モデル志望だったこともあり、お芝居なんてできないと思っていた暗黒時代で(笑)。オーディションに落ちるたび、自分を否定されているような気がして自信も失ってしまって。『寝ても覚めても』のオーディションがあったのは、「もうこの仕事辞めたい」って、事務所の方にも母にも伝えた直後でした。――オーディションではどんなお話を?監督に「お芝居はどうですか?」って聞かれたので、「全然楽しくないです」って正直に言ってしまって(笑)。でも後日、脚本を読ませていただいた時、初めて号泣してしまうくらい感情移入できたというか。今までは役になりきらないといけない、と思っていたのに、朝子の場合は役が自分の中にすんなりと入ってきた感覚だったんです。そんな経験が初めてだったので、これは絶対にやりたいと思いました。受かったっていう知らせを聞いた時は、嬉しかったと同時に、直感で「これで変われる気がする」って思えたんです。――濱口監督から何かアドバイスは?クランクイン前に、「役作りがどういうことなのかわからないんです」って言ったら「何もしないでください。相手の芝居をちゃんと見て、聞いてください。ただそれだけでいいです」と。最初の本読みの時も、感情を一切入れず、「相手の心の中に鈴が垂れていると思って、その鈴を揺らすように読んでください」と言われて。最初は何を言っているんだろうって思ったんですけど、やっていくうちに少しずつわかってきたんです。濱口さんが言いたいのは、“ちゃんと聞いて、ちゃんと届ける”ということなんだなって。そういうレッスンを続けていくうちに、相手の声をちゃんと聞いていたら、何も考えずに自分の中からセリフが自然と出てくるような感覚になって。お芝居ってこういうことなんだと、その基盤を濱口さんに教わったような気がします。――苦手意識はなくなりましたか?やっぱりまだ、お芝居って難しいなって思うんですけど、前は「できないから辞めたい」だったのが、「できないから知りたい」に変わりました。今は『寝ても覚めても』の頃の自分を超えることが目標です。唐田えりかさんの運命が動いた瞬間年表10歳:お年玉で初めてデジタルカメラを買い、写真を撮り始める。写真が好きでファッション雑誌をよく読んでいて、モデルへの憧れを抱くようになる。17歳:マザー牧場で今の事務所にスカウトされる。直感で“この事務所なら、ちゃんと見てもらえそう”と感じ、芸能界入りを即決。18歳:事務所の寮に入り、東京で活動を始める。最初の3か月は楽しめたものの、その後、演技の壁にぶち当たり、“暗黒の時代”に突入。雑誌『mini』の連載が始まる。昔から大好きだった雑誌で連載が決まり、“夢を見ているような気分”だった。19歳:映画『寝ても覚めても』のオーディションに合格。クランクイン。←ターニングポイント濱口竜介監督との出会いをきっかけに、苦手だったお芝居に対する意識が変わる。20歳:韓国の大手芸能事務所「BHエンターテインメント」と契約。韓国での活動開始。K‐POPが好きで、“いつか韓国と関わる仕事がしたい”と考えていた夢が現実のものに。雑誌『MORE』専属モデルになる。小さい頃からずっと憧れていた、ファッションモデルとしての活動も本格化。韓国版『ハーパース バザー』の撮影にて、カメラマンのチェ・ムンヒョク氏に出会う。ゆっくり動きながら瞬間を切り取るという撮影方法で、写真にも感情がのるようになる。21歳:雑誌『週刊文春』の「原色美女図鑑」でカメラマンの横浪修さんと撮影。撮影中に感情が入りすぎて大号泣。写真でも“演じたい”という気持ちが一層強くなる。からた・えりか1997年9月19日生まれ、千葉県出身。女優、モデル。ヒロインを演じる映画『覚悟はいいかそこの女子。』が上映中。来春公開の映画『21世紀の女の子』にも出演。ワンピース¥87,000(ナンバーシックス/シティショップ TEL:03・6696・2332)※『anan』2018年12月12日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・仮屋薗寛子ヘア&メイク・Georgeインタビュー、文・菅野綾子(by anan編集部)
2018年12月09日「今年一年、これを楽しみに生きてきたようなもの。稽古が始まった時点から、“終わっちゃうんだ”って寂しくなっているくらい」そう蒼井優さんが話すのは、数々の俳優から“いま一番仕事のしたい演出家”として名前が挙がる小川絵梨子さんが手掛ける舞台『スカイライト』。妻を亡くした男・トムが、かつて不倫関係にあった女・キラの元を訪れ、繰り広げられる濃密な会話劇だ。未練や愛情、不信感や罪の意識など、ふたりの口に出せない想いが水面下で激しく交錯し合う。不倫関係のふたりが3年ぶりに再会。夜通し語り合った会話の行方は――?「人生の肉離れみたいな時期に入っているトムと、本人は走っているつもりだけど客観的には膠着しているように見えるキラ。そんなふたりの姿は見ていて苦しいけれど、愛おしくもある。彼らの会話だけで物語が動いていくんですが、この戯曲には、ふたりがそれぞれに声に出して語っている言葉と、腹に抱えている言葉というのが存在している。稽古場で、話している言葉の内容が大切なのはどのセリフで、音として必要なのはどのセリフかを見極めて自分の整理をつけているところなんですが、その作業がとても面白いんです」小川さんの稽古場は、「全員が円になっていて、その真ん中に台本やステージがある」イメージ。「先頭に立って、自分の解釈についてこいっていうのではなく、この舞台に携わる全員が等間隔で作品と向かい合って、みんなで一緒に作っている感覚。そのうえ、役者の生理的な感覚も大事にしてくださるんです。そのぶん、疲れから無意識に出てしまう役者の甘えや自我は、どんどん削がれる。私にとって無意識に出てしまう緩みほど恥ずかしいものはないので、逆に安心できる現場です」その小川さんは、蒼井さんありきでこの戯曲の上演を決めたとか。意志の強さや、不器用にも思えるまっすぐさは役と通じている。「泥くさいんです…生き方が(笑)。20代の頃は、スマートな生き方に憧れて、おしゃれな自分を匂わせようと振る舞っていたんです。でも、自分を演じているような違和感があって、30歳くらいの頃に、そっちの器じゃないと気づいて。近頃はそんな自分を楽しんでいます」キャリアを重ね、純粋に「いま、稽古が一番楽しい」と笑顔で語る蒼井さんのまっすぐさが眩しい。「舞台って、本当に毎日全然違うんです。時どき、お客さんが作品を押し上げてくれる日があって、その日の本番は格別ですけどね」『スカイライト』ある夜、キラ(蒼井)が暮らす質素なアパートに、3年前に別れた不倫相手のトム(浅野)が訪ねてくる。ふたりは夜更けまで語り合うが…。12月6日(木)~24日(月)初台・新国立劇場 小劇場作/デイヴィッド・ヘア演出/小川絵梨子出演/蒼井優、葉山奨之、浅野雅博A席6480円B席3240円Z席1620円(すべて税込み)12月1日・2日にプレビュー公演あり。新国立劇場ボックスオフィスTEL:03・5352・9999(10:00~18:00)あおい・ゆう1985年8月17日生まれ。福岡県出身。ナビゲーター役で出演するドラマ『このマンガがすごい!』(テレビ東京系)が放送中。出演映画『斬、』も公開中。ワンピース(プルオーバー付き)¥49,000(エンフォルドTEL:03・6730・9191)トップス¥59,000(ペレック/タク&コーTEL:03・6712・2709)ブーツ¥36,000(ライラ ヴィンテージTEL:03・3406・4088)※『anan』2018年12月5日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・田畑アリサヘア&メイク・草場妙子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年12月03日ドラマ『半分、青い。』をはじめ、さまざまな作品でただ笑えるだけじゃなく、妙に気になる存在感で、スパイス的な役割を果たしている矢本悠馬さん。自らバイプレイヤーと称する、その人とは。才能がないことに早いうちに気づけたことが、自分の強さだと思います。いまにも雨が降りだしそうな曇天。撮影のため、通りから一本入った細い路地裏に矢本悠馬さんを連れ出した。てくてく歩きながら、スタッフと軽口を交わしていたが、カメラマンから「ちょっとクールな表情で」と声がかかると急に照れだして、困り顔で「そういうの、あんまやったことないんで…」と苦笑い。けっしてイケメンとはいえないけれど(失礼!)、何気ないその瞬間の表情や仕草が妙に愛らしい。映画やドラマに出ている矢本さんに思わず惹きつけられてしまうのは、もしかしたらそのせいなのかもしれない。――連続テレビ小説『半分、青い。』のブッチャー役をはじめ、最近、活躍の幅が広がっています。矢本:この間、バイプレイヤーっていう言葉をネットで調べたんですけれど、まさに僕のことだな、と思いました(笑)。――主役願望はありますか?矢本:やらせてもらえるならやりたいですけれど、このご時世、美しいものへの需要が高いですからね。僕みたいな俳優が、最初から恵まれて、バイトをすることもないまま続けてこられたのって、奇跡に近いと思っています。そういう意味では、自分を誇っているし、恵まれているなと感謝しています。――でも実際、ブッチャー役も、映画『ちはやふる』の肉まんくんこと西田役も好評でしたよね。それは、矢本さんが製作側から求められている以上のものを役にプラスしていたからだと思うんです。矢本:そんな才能はないですよ。僕はもっと冷静に、大人の人たちがどういう人と仕事をしたいかを考えて、そう思われる人になろうとしています。僕らにとって、最初のお客さんは監督やプロデューサー、キャストさんたち。まずは、現場にいる方々に楽しんでもらったり、泣いてもらったり、感動させないとマズいな、と思っていますし、しゃべる時もサービス精神は欠かしません。目立ってナンボです。――そういう意識を持つようになったのは、いつ頃から?矢本:最初っからあったかもしれない。自分には何もない、って気づくのがわりと早かったんですよ、僕。最初、研究生として大人計画(松尾スズキさんが主宰する劇団)に入ったんですけれど、舞台稽古の初日に、ヤバい、才能ないって思い知らされました。あんな天才や変人たちと自分のような何にもない凡人が渡り合えるわけがないって。もちろん、若かったし、そんなことないってつっぱりたかったですけれど、努力でどうにかなるような壁の厚さじゃない。完全に戦い方を変えないといけないなと、逆に冷静になりましたし、そこに早く気づけたことが自分の強さなのかなってポジティブに(笑)。――そもそも、なぜ大人計画に入ろうと思われたんですか?矢本:両親が大人計画が好きだったんです。ふたりはずっと僕を俳優にしたいというのがあって、オーディションの告知があった時に、勧められたんで、軽い気持ちで。ただ、当時通っていた専門学校で落ちこぼれだったんで、受かって先生や同級生を見返したいというのはあった気がします。――で、合格されたわけです。矢本:僕の番が来る頃には、審査員も飽きてるだろうと思って、演技力とか面白さがどうこうより、とにかくインパクトを残そうと悪目立ちするようにしたんです。めんどくせー奴いたなって話題になって、奇跡起こんじゃねーかって(笑)。実際、起こりましたし、二次も三次もめちゃくちゃ怒られたけれど、受かっちゃいました。――どんなことを?矢本:雑誌に載せられるようなことじゃないです。黒歴史です。審査のなかに、将来の自分へ、という作文もあったんですけれど、その時は遠距離だった彼女と別れたばっかり。辛すぎて書くことがなくて、スペースが余って「直接会え」ってでっかい文字で書きました。芝居とか笑いのセンスでは一切勝負しなかったです。――でも、せっかく人気劇団に入れたのに、やめてしまいます。矢本:すごすぎたんです。あまりにも大人計画の世界がかっこ良すぎて、その価値観に囚われてしまいそうで…。ここが自分のすべてじゃない、もっといろんな考え方に触れないとって思ったんです。ただ、DNAは確実に残ってはいます。よく、宮藤(官九郎)さんや阿部(サダヲ)さん、荒川(良々)さんに飲みに連れていってもらっていましたが、話していると、皆さんのユーモアとか笑いに対する貪欲さがすごい。学生の頃って、ちょっと面白いだけで注目されるじゃないですか。でも、プロの中に入ると、全然通用しない。一体この人たちはどういう視点を持っているのか、これまで何を観てきたのかって疑問が湧いて、レンタル店で、ア行から順番に借りて観たり、舞台もできるだけ観に行って、知識の引き出しを増やすようにしました。あとは、性格悪くなってやろうって思ったり。――性格を悪く、ですか?矢本:大人計画って、人のコンプレックスを笑いに変えていくようなところがありますよね。結局、芝居って全部そうだと思うんです。どんな人にもコンプレックスがあって、それがユーモアとか人としての深みになる。だから、とにかく人のコンプレックス…癖から何から、変なところやダメなところをたくさん見つけるようにしました。普通の人が気にならないところに、イラついたり面白がったり。それを役にあてがっていったりもして、どんどん自分の武器にしていくようになってから、ちょっと評価されてきた気がします。だから、人を傷つける目的ではなくて、人を喜ばせるために性格を悪くしていったというんですかね。そういう視点で周りの人を見るようになってから、逆にたいていのことは許せるようになったし、他人にイラつくことがなくなりました。――先ほど、ご両親が矢本さんを俳優にさせたかったっておっしゃっていましたけれど、親の敷いたレールには乗りたくない、というような反抗心はなかったですか?矢本:弟はそっちでした。僕は自分に期待してなかったし、やりたいこともなかったんで。あと、小さい時から、お前は役者に向いてるって言われてきて…完全に親バカですけど、僕も、それ以外に道がないと思っていたんだと思います。もう洗脳です(笑)。だからいま、両親はすげー嬉しそうです。やもと・ゆうま1990年8月31日生まれ。京都府出身。映画『ぼくんち』で映画デビュー。大人計画出身。近作に、ドラマ『半分、青い。』『フェイクニュース』『ルームロンダリング』、放送中の『今日から俺は!!』のほか、2019年の映画『賭ケグルイ』『アイネクライネナハトムジーク』や、1月期の連続ドラマなど多数の作品が待機している。矢本さんが出演する映画『レディ in ホワイト』は11月23日より、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほかで順次公開。裕福な家庭で何不自由なく育ってきたヒロイン・如月彩花(吉本実憂)が、理不尽な仕事を押し付けるパワハラ上司に立ち向かっていくお仕事コメディ。矢本さんは如月の先輩社員を演じている。シャツ¥46,000(スタジオ ニコルソン/キーロTEL:03・3710・9696)パンツ¥16,000(バージスブルック/プーオフィスTEL:03・6427・7081)usedのシューズ¥12,000usedのチェーンブレス¥6,000(共にラムホール ベルーフTEL:03・5489・6567)※『anan』2018年11月28日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・市野沢祐大(TEN10)ヘア&メイク・Reina(TRS)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年11月22日何気ない瞬間の表情や仕草が妙に愛らしい。ドラマ『半分、青い。』をはじめ、さまざまな作品でスパイス的な役割を果たしている矢本悠馬さんに、お話を伺いました。役者って、言葉にできない気持ちを表現するのが醍醐味だと思うんです。――たくさんご覧になった映画やドラマで、こういうものに出てみたいと思うものはありました?矢本:なかったですよ。ただ、出たいというより、羨ましいなという役はありました。できないけれど、『マスク』のジム・キャリーの芝居はヤバかったですね。外見だけじゃなく中身も役が憑依しちゃっているようで、世界にはこんな人がおるんやって。あとは、映画『ゆれる』の香川照之さんかな。役者って、嬉しいとか悲しいとかじゃなく、もっと複雑な言葉にできない気持ちを表現するのが醍醐味だと思うんです。香川さんは、あの役の人生を経験していないのに、あのラストカットの表情は、まるで本当に経験した人の顔で、ゾッとしました。衝撃でしたね。――自分が経験していない人生を演じるのがお仕事ですが、矢本さんはどうされていますか?矢本:すごいピュアな人も、大量殺人を犯すような人も、この世には存在するわけで、遠い別次元のところにいるとは思っていないんです。僕は、親にも友達にも恵まれたけれど、違う環境に育っていたら、どうなっていたかわからないわけです。人殺しにも、仏心の持ち主にもなっていた可能性はあるわけで。だから、あまり役作りとかは考えていないかも。見せ方というのは考えますけどね。――テストを見て変える、とか?矢本:僕、テストとリハーサルと本番で、全然芝居が違うんですよ。自分のセリフをどこまで面白くできるかをつねに考えていて、思いついたら試すんで、本番で全然違うものになることも多いです。――矢本さん自身が面白がれる役とは、どんな役なんでしょう。矢本:ぶっちゃけ、出番が多いとモチベーションも上がりますし、計算してやれますから面白がれる。とはいえ、ワンポイントでオイシイ役もありますからね~。…ただ、誰がやってもいいじゃん、っていう役はあまりやらないかもです。――ラブロマンスとかは?矢本:えーっ、それはやりたくないかも。普段、NGをほとんど出さないんですけれど、恋愛的なシーンがあると、照れて、めっちゃ出すんですよ。自分にイラつくくらい。壁ドンを初めてやった時、28回出しましたからね。カッコつけるっていう引き出しがマジで欠けちゃってるんです。――コメディリリーフ的役柄が多い印象ですが、映画『レディ in ホワイト』では普通の会社員役。失礼ですが、リアルなお芝居も上手な方なんだなと思いました。矢本:じつはストレートな芝居って一番難しいんですよ。嘘がつけないんで。今回は自分でもあまり見たことない顔をしていて、ちょっと恥ずかったです。ああいうリアルな芝居は、もうやりたくないです(笑)。僕は、作られたもので人を感動させたいんですよ。計算して、技術で作り上げたもので騙したい。それが気持ちいいんです。やもと・ゆうま1990年8月31日生まれ。京都府出身。映画『ぼくんち』で映画デビュー。大人計画出身。近作に、ドラマ『半分、青い。』『フェイクニュース』『ルームロンダリング』、放送中の『今日から俺は!!』のほか、2019年の映画『賭ケグルイ』『アイネクライネナハトムジーク』や、1月期の連続ドラマなど多数の作品が待機している。矢本さんが出演する映画『レディ in ホワイト』は11月23日より、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほかで順次公開。裕福な家庭で何不自由なく育ってきたヒロイン・如月彩花(吉本実憂)が、理不尽な仕事を押し付けるパワハラ上司に立ち向かっていくお仕事コメディ。矢本さんは如月の先輩社員を演じている。シャツ¥46,000(スタジオ ニコルソン/キーロTEL:03・3710・9696)パンツ¥16,000(バージスブルック/プーオフィスTEL:03・6427・7081)usedのシューズ¥12,000usedのチェーンブレス¥6,000(共にラムホール ベルーフTEL:03・5489・6567)※『anan』2018年11月28日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・市野沢祐大(TEN10)ヘア&メイク・Reina(TRS)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年11月21日目線ひとつで相手を震え上がらせる、そんな迫力を持つ俳優、遠藤憲一さん。犯人役を筆頭に、これまでさまざまな悪人を演じてこられました。11月16日公開の主演映画『アウト&アウト』でも、元ヤクザの探偵を熱演。ソファに座っているだけで、圧倒的な存在感があり、“黒い魅力”がダダ漏れです。――’09年の『湯けむりスナイパー』以降、“強面だけど内面はコミカル”という役が増えている印象がある中で、久しぶりに“悪い魅力”がたっぷりの遠藤さんを拝見できて、眼福でした。遠藤:ありがとうございます(笑)。たしかにおっしゃるとおり、10年くらい前から、“柔らかい方向”で使っていただけることが増えましたね。特にCMはね、変わった役柄が多くて(苦笑)。ゲームのCMでは妖精になりましたし、お菓子のCMでは鳥の体に僕の顔がくっついてたり…。ちょっと笑かす系が多いですね。そのおかげか、昔なら絶対声をかけられることがなかった学生さんたちなんかからも、反応があるので、嬉しいです。――声をかけられたりされます?遠藤:されますね。でも10代の子って面白くて、1人だとちら見する程度なんだけど、3人くらい集まると「あぁぁぁ!!」みたいに反応がすごく大きいの。若い人たちのエネルギーを感じます(笑)。――お若い頃は、それこそ“悪い役”が多かったと思うのですが、当時はそのことに関して、どう思われていましたか?遠藤:20代のときは、本当に犯人役ばっかりだったんです。寡黙で不器用、みたいなキャラクターで。時代劇に呼ばれても、同じような感じ。でも自分自身は全然そういうタイプじゃないから、一生懸命“悪っぽいキャラ”を作り上げて演じてたんですよね。――素の遠藤憲一さんは、どんな方なんですか?遠藤:幼稚な男です。――幼稚?!遠藤:そう。知り合いから、「小学校4年生くらいの感じだね」って言われるんで、そうなんでしょう(笑)。でも、トランプだとババ抜きが一番好きなので、たしかに小学校4年生っぽいですね。単純なのかな。あとね、落ち着きがない(笑)。ほっとくと体が動いちゃうし、あっちこっちすぐ行きたくなっちゃう。自由な態勢でいられないのが嫌いなんですよ。――ドシーンと構えた演技が得意そうに見えるのに、意外です。そんな遠藤さんが、影のあるダークな男を演じているって…。遠藤:(即答で)もうね、大変ですよ!立つ、座る、そこから大変(笑)。今回の役を演じるにあたっても、最初に「あまり動き回らず、ドシンと座ったり、立ったりしてほしい」と言われたもんで、苦労しました。しゃべってるとき、つい頭をかいたり、歩き回ったりしたくなっちゃうんだけど、とにかく我慢。ひたすら我慢(笑)。アウトローをやるなら、チンピラのほうがいいんですよね、俺。まあ、もう57歳なんですけど…。――57歳の遠藤さんがチンピラだったら、若頭役を演る人がいなくなっちゃうじゃないですか。遠藤:えー、でも57歳でチンピラも斬新で面白くない?ドンは落ち着きのない男より、知恵者がやったほうがいいですよ。年下のドンとかよくないですか?美しくて落ち着いた雰囲気がある人…。窪田正孝くんとか、いいんじゃない?(突然立ち上がり)窪田くんが「今日どこ行ってきた?」って重い感じで俺に聞いて、俺は「今日は、えっとですね、3軒目のシノギがあんま良くなくてですね」(と、歩き回って芝居を始める)って、落ち着きない感じで(笑)。こういうほうが素に近い。――全然ドシッとしてない!!遠藤:でしょ?(笑)でも、とはいえ今回みたいな重い役も、20代で演じていたときとはアプローチを変えなきゃいけないわけで、そういうところは面白いし、やりがいがありますよ。えんどう・けんいち1961年生まれ、東京都出身。養成所や劇団を経て、22歳でドラマデビュー。その後ビデオシネマを中心に活動し、’09年、大根仁監督のドラマ『湯けむりスナイパー』に主演し、人気が上昇。現在、大河ドラマ『西郷どん』(NHK)、『ドロ刑‐警視庁捜査三課‐』(日本テレビ系)に出演中。またCMで見せるコミカルな顔も好評。ジャケット(nude:masahiko maruyama/NUDE TEL:03・5728・3880)その他はスタイリスト私物『アウト&アウト』ワケありで預かることになった小学2年生の少女・栞(白鳥玉季)とともに暮らす元ヤクザの探偵・矢能(遠藤)。裏社会と政治家が絡む案件に足を踏み入れてしまった矢能だったが、そのせいで栞に危機が…。主演映画『アウト&アウト』は、久々に“黒い遠藤憲一”を味わえる作品。TOHOシネマズ 新宿ほかで11月16日公開。※『anan』2018年11月14日号より。写真・馬場わかなスタイリスト・中本コーソー(Leinwand)ヘア&メイク・村上まどかインタビュー、文・河野友紀(by anan編集部)
2018年11月11日中性的なルックスなのに、実は雄っぽい。そんな一筋縄ではいかない雄ネコ男子が「中毒性高い」と話題。今回は雄ネコ代表として、千葉雄大さんがご登場!「確かにイヌよりはネコっぽい性格な気はします。考えてみれば僕、気分屋だし。ネコって、抱っこしようとしてもその気がないと“イヤッ”て逃げるじゃないですか。そこは似てるかも(笑)」微笑みを浮かべながら、自分の性格を分析する千葉雄大さん。でも飼いネコほど従順ではなく…。「僕の勝手なイメージかもしれないですが、飼いネコって、多少は主人の気を惹くような行動を取りますよね?でも僕の行動原理にはそれはなく、ただひたすらマイペースなだけ(笑)。大勢で飲んでても、ふと一人になりたくなったらふらふらっと外に行っちゃうし、あるいは隅っこでボーッとしてることも結構ある。自分的に楽しんでいるんだけど、“大丈夫?”って確認されることも多くて。つまり僕のマイペースさは、人には理解不能なのかもしれない。どっちかっていえば、同じネコでも野良ネコに近いのかなぁ…」街でこんなに愛らしいネコに出会ったら、手を伸ばさずにはいられない!とはいえさすが野良ネコ。一筋縄ではいかないようで…。「あえて言いますが、確かに“かわいい”って言っていただくことは多いです(笑)。でもかわいいっていっても、“柔らかいかわいい”もあるし、“あざといかわいい”もある。しかもそれが重なっている部分もあるし、他の“かわいい”だってある。さらにルックスと内面のギャップとか言いますが、人間って、外と中の2面だけではなく、もっと多面的ですよね。よく、『実は内面は男らしい?』と聞かれることもありますが、そういう部分もあるし、でも中性的な僕もいる…とか言ってると、なんか煙に巻いてるみたい(笑)。どんなときでも、直球は投げたくないのは本心。いろんな球を投げるけど、最終的にストライクは取るからいいでしょ?って感じ。天の邪鬼なんですよ、結局」公開中の映画『スマホを落としただけなのに』では、過去がありそうな若い刑事・加賀谷を演じている千葉さん。彼の思わせぶりな行動からは、何か裏があるのでは…と思わせる妙な闇があり、そこにどんどん興味を惹かれてしまう。「僕自身はそんなにそこを意識して演じたわけではなかったんですが、そういった感想をたくさんいただいたので、驚きつつも嬉しかったです。でも人は、一面だけではなく裏や闇があるんだろうなって思いますよ。それを意図的に使う人もいるだろうし、僕が演じた加賀谷みたいに、図らずもそれが出てしまう人もいるし」誰にも見せない一面をあえて見せることで、相手をドキッとさせる…。そんなふうに、恋のチャンスを意図的に作ることもできる?「あ、いわゆる“恋の駆け引き”みたいなやつですか?僕はそれ、嫌い。ヤキモチ焼かせたり、相手を試したりするのって、僕はダメです、苦手。自分は絶対できないし、女の人からそれをされると悲しくなるから、やめてほしい(笑)。徐々に徐々に距離を詰めて、手が届く…と思ったら、サッと手を伸ばして手に入れます」ちば・ゆうだい1989年生まれ、宮城県出身。東宝系で公開中の映画『スマホを落としただけなのに』に、若い刑事の役で出演。また、放送中のドラマ『プリティが多すぎる』(日本テレビ系)では主演を務めている。ジャケット¥35,000(Scye/マスターピースショールームTEL:03・5414・3385)Tシャツ¥13,000(ATELIER BETON/STUDIO FABWORKTEL:03・6438・9575)パンツ、靴、靴下はスタイリスト私物※『anan』2018年11月14日号より。写真・樽木優美子スタイリスト・寒河江 健(Yolken)ヘア&メイク・堤 紗也香撮影協力・AWABEES
2018年11月08日刑事、捜査官、重要な任務を負った企業戦士…。最近の西島秀俊さんが演じていた役柄は、シリアスなイメージが強い。しかし今回の映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』で西島さんが扮するのは、地方の遊園地で働く、“魔法使い”と呼ばれるカリスマ上司。大きなスクリーンで、“明るい、笑顔の西島さん”を思い切り楽しめます!「僕が演じた小塚慶彦は、地方の遊園地をいかに楽しい場所にするか、その仕事に没頭している男。台本を読んだ限りではぶっきらぼうな印象があったので、そんな感じで役作りをしていたんですが、ロケ地は遊園地だし、柄本明さんをはじめ周りの役者さんは手練れの方々ばかり。やっているうちになんか楽しくなってきちゃって、気づかぬうちに結構笑ってたみたいです。そこを監督が上手く捉え、さらにたくさん使ってくれたのかも。出来上がった映画を観て、“俺、こんな笑ってたっけ?!”と正直驚きました(笑)」物語の舞台は、熊本県に実在する遊園地「グリーンランド」。22歳の新卒・波平久瑠美(波瑠)は年上の彼氏と同じ超一流ホテルチェーンに就職したものの、なんと配属は地方の遊園地!!思い描いていた仕事ができないジレンマ、彼氏とのすれ違い、空回りする自分にイライラしながらも、徐々にやりがいを見出していく、お仕事エンターテインメントです。舞台である遊園地に、なにか思い出があるか伺ってみると…。「僕は中高男子校だったんですが、年に1回<クラスの日>みたいな日に、遊園地に行くっていうイベントがあったんですよね。今思うと10代の男子が集団で遊園地に行くってなんなんだよって思いますが(笑)。でも当時は、“なんか起きるんじゃないか”って妙に期待するんですよ、思春期の男子は。女の子とどうこう、とか。当然、行ったところでなにも起こらないんですけど。そもそも、“なんか”ってなんだよって話ですし(笑)。結局コーヒーカップを信じられないくらいのスピードでぐるぐる回して帰ってくるだけなんですけどね。でも遊園地って、そこにやってくる人をワクワクさせる、不思議な魅力がありますね。この映画は、波瑠さん演じる波平の成長物語ではあるんですが、“人を楽しませる”ことの裏で、多くの人が努力をしていて、笑いと涙のドラマがたくさんあることも描いています。明日も仕事頑張ろうかなって思ってもらえる、そんな映画だと思います」1か月間、ロケ地の「グリーンランド」にほぼ“住んだ”状態で、撮影をしていたそう。撮影は、遊園地の営業時間にも行われた。「監督と共演した橋本愛ちゃんは熊本県出身で、原作者の小森陽一さんも九州の出身。地元を愛する皆さんの思いをひしひしと感じながら、住み込みで撮影をするのは、俳優としてもなかなか得難い経験でした。昼間に撮影をして、夜はホテルのバーで共演者と飲むのがとても楽しかったです。その砕けた空気感が、飲み会のシーンに非常によく出ていると思いますので、そんなところも楽しんで観ていただけると(笑)」『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』『海猿』などを手がけた作家、小森陽一氏の小説『オズの世界』が原作。遊園地という夢のような場所を舞台にした、お仕事エンタメムービー。監督/波多野貴文出演/波瑠、西島秀俊、岡山天音、中村倫也、橋本愛ほか10月26日より全国TOHO系で公開。©小森陽一/集英社©2018 映画「オズランド」製作委員会にしじま・ひでとし俳優。1971年生まれ、東京都出身。時代劇映画『散り椿』が公開中。11月16日に『人魚の眠る家』が公開予定。NHKスペシャルなどでナレーションの担当も。オーダースーツ¥325,000~その他はすべて参考商品(以上ジョルジオ アルマーニ/GIORGIO ARMANI/ジョルジオ アルマーニ ジャパンTEL:03・6274・7070)※『anan』2018年10月31日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・TAKAFUMI KAWASAKI(MILD)ヘア&メイク・亀田 雅(The VOICE)インタビュー、文・河野友紀
2018年10月27日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の秋山ゆずきさんです。叫ぶ演技が印象的!あの話題作のヒロイン役。映画『カメラを止めるな!』でヒロインを演じた秋山さん。「前半は37分ワンカット。弾丸撮影で時間が限られていたのでプレッシャーはありましたが、撮っている間は無我夢中でした」。その作品のヒットで仕事の数が急増。「今年でデビュー10周年なんです。10年目にして初めて見る景色に日々遭遇し、現場では平常心を保とうと必死(笑)。正直なところ売れたいとかあまり考えたことがなく、ただお芝居が好きで舞台中心に活動していたのですが、続けてきてよかったなあって、噛みしめています」トレーニングで汗をかくのが日課。家でできる筋トレ方法(#タクトレ)をインスタで探して真似してます。今さらながら、ハマってます!いろんなお店のタピオカを飲み比べ。流行にのるのが遅いんです(笑)。お風呂上がりのマストアイテム。ボディクリームが好きで集めています。一番のお気に入りはバニラの香り。あきやま・ゆずき1993年生まれ。15歳の時にアイドルとしてデビュー。『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督作品の映画『恋する小説家』『ナポリタン』にも出演。※『anan』2018年10月17日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年10月10日今、注目の女の子を紹介する『anan』の「イットガール」。今回は女優の片山友希さんです。映画にドラマと出演作続々。素顔は京都弁の愛されキャラ!10月19日公開の映画『ここは退屈迎えに来て』など数々の話題作に出演。「中学生の時に劇団に入り、10代は関西ベースで女優をやっていました。仕事がなくてくすぶっていた時もあるので、今めっちゃ楽しい!上京したばかりの頃はホームシックで泣き続けていたんですけどね、ずっと東京行きたがっていたくせに。でも仕事が決まったらすっと涙がひきました。単純(笑)」。今ハマっているのは、絵を描くことだとか。「道行くおじさんばかり描いています。イラストの連載をやるのが目標です」オフの日のお供は本とマンガとDVD。渋谷直角さんのマンガ『デザイナー 渋井直人の休日』が最近のヒット。真心ブラザーズにハマっています。失恋した時、歌詞に共感して以来のファン。CDを全部集めたいんです電車で見かけたおじさん3人組。「スマホができひん」って話していて。味があってかわいかった(笑)。かたやま・ゆき1996年生まれ。10月12日公開の映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』や来年2月22日公開の映画『ねことじいちゃん』にも出演。※『anan』2018年10月10日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年10月09日今年2月に急逝した、俳優の大杉漣さん。その時、ドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズ2作目の撮影を共にしていた光石研さんは、同シリーズ1作目の撮影の合間に、大杉さんから直接、主演作兼初のプロデュース作でもある映画『教誨師(きょうかいし)』の出演オファーを受けていた。「絶対に漣さんの“魂”が映ってる」光石研さんが確信する濃厚な会話劇。「オファーといっても、『映画撮るから、研ちゃん、ちょっと手伝ってよ』という感じで。その時は、漣さんはご自身が主演だとかプロデュースするとか一切言わず、内容さえも知らなかったんですが、漣さんのお誘いだったので、『ぜひ!』と即答しました。現場でも、エグゼクティブプロデューサーとして君臨するのではなく、漣さんがお好きだったサッカーで喩えると、同じフィールドに立つキャプテンのようでした」大杉さんは、受刑者に向き合い、悩みを聞いたり、安らぎを与えたりする牧師である教誨師の役。外部との接触が制限される死刑囚とも、面会を許される立場にある。光石さんは、元ヤクザの親分の死刑囚を演じ、大杉さんと一対一で芝居を交えた。「この役をくださったのは、きっと漣さんが、僕が“いかにもヤクザ然としたアプローチはしない”ことをわかってくださっていたからだと思います。漣さんの教誨師の役は、6人の死刑囚と対峙しなければいけないから、本当に大変だった。なのに、巨木のようにどしっとそこにいてくださって、こちらがどんな芝居をしようとも、包み込んでくれました」互いに勝手知ったる名役者同士。撮影は当初の予定より大幅に巻いて終わったそう。「漣さんと読み合わせをしていたら、『どんどんカメラ回していこう』となって、ダダダッと撮りました。それができたのも『バイプレ』で過ごした濃密な時間があったからこそだと思います。フレキシブルに対応してくれた佐向組のスタッフのみなさんにもすごく感謝しています。やっぱり、漣さんを思うと、『バイプレ』での合宿のような生活が甦るんですよ。毎晩一緒にごはん食べて、『じゃあね』って隣の部屋に帰って、翌朝からまた『暑い』だの愚痴を言い合いながら(笑)、撮影していた日々が」本作が生と死を描いていること、大杉さんの初プロデュース作であること。それらの事実と、その死に関係はない。けれど、この作品を観た時、何か見えない結びつきのようなものを感じずにはいられない。「僕の考えでは、映画というのは、カメラに映ったものがすべて。役者は基本的には脚本に書かれていることをやるだけだし、役者の想いのようなものは、映りっこないと思っています。でも、この作品はちがう。この映画に限っては、漣さんの魂が映っていると、確信してるんです」『教誨師(きょうかいし)』教誨師と6人の死刑囚の会話劇から生と死を見つめる。監督・脚本/佐向大出演/大杉漣、玉置玲央、烏丸せつこ、五頭岳夫、小川登、古舘寛治、光石研10/6より有楽町スバル座、池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開。©「教誨師」membersみついし・けん1961年9月26日生まれ、福岡県出身。映画『Helpless』を機に、日本を代表する名脇役として活躍。近年の主な出演作にドラマ『陸王』、映画『アウトレイジ 最終章』。ジャケット¥58,000シャツ¥29,000パンツ¥33,000ネクタイ¥12,000(以上ENGINEERED GARMENTSTEL:03・6419・1798)※『anan』2018年10月3日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・下山さつきヘア&メイク・山田久美子インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2018年10月02日「率直に、こういう役をいただけたことが嬉しいと思いました」そう野村周平さんが話すのは、映画『純平、考え直せ』の主人公・坂本純平のこと。これまでに多く演じてきた爽やかな役柄とは一転、組に属して生きるチンピラで、リーゼントヘアにスカジャンという出で立ち。作品では、彼が対立する組の幹部を殺す“鉄砲玉”を命じられてから決行するまでの3日間が描かれている。「監督からは『イメージに合っているから好きなようにやっていいよ』と言われました。“自分ってどんなイメージなんだろう?”と思ったけど、でも、考えてみるとたしかに僕も少し純平に似たようなところがあるのかなと思いました(笑)。純平は、今、絶滅しかけている任侠的な男の中の男。筋を通しすぎていて、不器用だと思います。だって、器用な生き方ができる人は、鉄砲玉なんてやらないですから。そういう生き方をしなければいけないほど真っすぐで、自分の好きなものや理想の生き方があって、それについて語ることができる中身のある男ですね。僕は、純平に『考え直したほうがいいんじゃない?』と言いたいけど、周りに止められてもやめない気持ちや、信念を貫く姿勢には共感できる。それは、僕もバイクやスケボーといった好きなものがあって、誰に何を言われても絶対に続けていこうと思っているから。観た人に、自分の信念や生き方についてあらためて考えさせる作品かもしれません」今作で重要な役割を担っているもののひとつが、SNS。純平と偶然出会ったOLの加奈は、彼の生き方に興味を抱いて行動を共にするが、状況を逐一、SNS掲示板に書き込む。それをきっかけに、鉄砲玉になった純平を無責任に煽る人や真剣に止める人が現れるなど、ネット上は盛り上がっていく。「加奈は、自分が居場所を発信したことで危険な目に遭ってしまいますが、ある意味、SNSの被害者ですよね。アップしなければいいのにと思うけど、僕もスマホを持っていたらSNSを見てしまうのでそれはしょうがないのかなと感じる部分もある。きっと多くの人がそうだと思います。でも、純平の生き方は、そんな僕たちとは対極です。人と面と向かって本音で話すし、周りに惑わされない。そもそもガラケーを使っていますから(笑)。だからこそ、SNSの中にいる人は、彼に興味を持ったのかもしれません」これまでになく激しいラブシーンにも挑戦した野村さん。「今作のベッドシーンは、美しく見せたいので、汚く撮らないでほしいと監督に伝えていました。そのほうが、ラストシーンとのギャップが生まれて、作品がもっと、よくなると思ったんです。僕の完ぺきな体、特に背中はめちゃくちゃきれいなので、そこも併せて観て楽しんでいただけたら嬉しいです(笑)」『純平、考え直せ』新宿・歌舞伎町のチンピラとして誇りを持って生きる坂本純平は、対立する組の幹部を殺すよう命じられる。その話を、偶然出会ったOLの加奈(柳ゆり菜)に洩らしてしまい…。監督は森岡利行。9月22日より全国順次公開。©2018「純平、考え直せ」フィルムパートナーズのむら・しゅうへい1993年11月14日生まれ。兵庫県出身。俳優。映画やドラマ、CMで活躍。出演する映画『ビブリア古書堂の事件手帖』が11月1日より公開。ワイドパンツ¥33,000(Auralee/jackpotTEL:03・3352・6912)その他はスタイリスト私物※『anan』2018年9月19日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・猪塚慶太ヘア&メイク・NORIインタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2018年09月13日禁断のキスで顔を入れ替える、二人の女の嫉妬と欲望の物語『累―かさね―』を演じる、土屋太鳳さんと芳根京子さんにお話を伺いました。舞台女優として花開かずにいる美女・ニナ(土屋太鳳さん)と、天才的な演技力を持ちながらも醜い容姿にコンプレックスを抱く累(芳根京子さん)。二人はキスした相手と一定時間顔を入れ替えられる不思議な口紅の力を使って互いの欲を満たすが、やがてそれぞれの劣等感や嫉妬心が抑えられなくなっていく…。――原作漫画を読んだ時の印象は?土屋太鳳:累は容姿に劣等感があって、誰にも受け止めてもらえない。ニナも容姿には恵まれているけれど家族とうまく心が繋がっていない。二人とも本当の自分を愛してくれる人を探し求めているんだなと思って、とても愛しく感じてしまいました。芳根京子:私は率直に、この世界観を実写で表現するのは難しいなと、原作を読めば読むほど悩んでしまって。でも、累なだけに本読みなどを何度も重ねていったことで(笑)、少しずつ不安が解消されていったんです。――一人二役、二人一役という難しい設定の中、お二人でどのように役を固めていったんですか?土屋:私はもともと劇中で仲が悪い相手とは舞台裏でも距離を置く、みたいなことが苦手なタイプなので、難しい役だからこそしっかりコミュニケーションをとりたいと思っていたんです。それを受け止めてくれたきょんちゃん(芳根さん)に感謝!芳根:でも、たくさん話して詰めていくというよりは、それぞれの目線や声のトーンとかをお互いなんとなく感じ取って演じることが多かったよね。あと、劇中ではキスをすることで顔が変わるんですけど、一度入れ替わらずに、私が最初から最後まで累、太鳳ちゃんが最初から最後までニナを演じるということを繰り返しながら、感情の確認をしあったり。土屋:それから、ノートね。芳根:そうだ、ノート!(笑)土屋:共演の浅野忠信さんが「こんないい役は滅多にないんだから“ニナと累ノート”を作ってちゃんと合わせたほうがいいよ」って。それですぐにノートを買って、視線や姿勢といった基本的なことから感情まで書いていたんですけど…。結果、2ページで終わっちゃいました(笑)。芳根:でもそれは私たちにとって一冊くらいの濃さがあるんです(笑)。――お二人は今作が初共演ということですが、撮影をしていく中でお互いどんな印象を受けましたか?土屋:きょんちゃんは感情を爆発させる力がすごい。私もこれだけの爆発力があればいいのになって。芳根:でもその代わり、同じ芝居ができないのが私の課題。映像作品はひとつのシーンを何度も撮るので最後まで感情を繋げるのが難しいんですけど、太鳳ちゃんは何回やっても心にくるお芝居をされる方。だから私はずっと太鳳ちゃんに引っ張ってもらっていたんです。太鳳ちゃんと共演できて、本当によかった!つちや・たお1995年生まれ、東京都出身。女優。ドラマ『チア☆ダン』(TBS系)に出演中。10月からドラマ『下町ロケット』(TBS系)に出演。主演映画『春待つ僕ら』が12月14日公開。よしね・きょうこ1997年2月28日生まれ、東京都出身。女優。ドラマ『高嶺の花』(日本テレビ系)に出演中。出演している映画『散り椿』は、9月28日から公開。芳根さん/トップス¥42,000パンツ¥36,000(共にシロマ/グスクマ TEL:03・6804・5865)イヤリング¥23,000(1DKジュエリーワークス/ドレスアンレーヴ TEL:03・5468・2118)パールリング¥29,000ダイヤモンドリング¥120,000(スタージュエリー/スタージュエリー表参道店 TEL:03・5785・0201)『累―かさね―』原作は累計発行部数230万部を突破した、美醜がテーマの松浦だるまの同名コミック。監督/佐藤祐市出演/土屋太鳳、芳根京子、横山裕、浅野忠信、檀れいほか。9月7日より全国東宝系にてロードショー。©2018 映画「累」製作委員会©松浦だるま/講談社※『anan』2018年9月12日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・木村舞子(土屋さん)藤本大輔(芳根さん)ヘア&メイク・加藤由紀(土屋さん)尾曲いずみ(storm/芳根さん)取材、文・菅野綾子(by anan編集部)
2018年09月07日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の古賀哉子さんです。初グラビアで表紙に大抜擢。「あの子は誰?」と話題に!この夏『週刊ヤングジャンプ』と『週刊プレイボーイ』、2誌の表紙を飾った古賀さん。「『目力がある』という声をたくさんいただきました。この目は完全に遺伝。父のおかげなんです(笑)」。6月に『ラストアイドル』を卒業し女優に本格転向したばかり。映画やドラマへの出演が続々と決まっている。「演技は奮闘中ですが、台本に書かれていない背景を想像して表現することが楽しい。息抜きはラップバトルの動画を見ること。ラッパーたちの高度な言葉遊びを聞いていると時間を忘れちゃう」愛犬の写真を毎日チェック。家族のグループLINEで送られてきます。3歳で5kgのビッグなチワワ。感性や想像力を養うため美術館へ。「ルーヴル美術館展」は時代背景や人々の想いを感じる深い展示でした。凍らせるだけ、の簡単アイスにハマり中。豆乳を冷凍庫に入れて作る即席アイス。ヘルシーだし、おいしい!こが・やこ1997年生まれ。オーディション番組『ラストアイドル』(テレビ朝日)でデビュー。9月9日スタートの『文学処女』(MBS、11日にはTBSで放送)でドラマ初出演。※『anan』2018年9月12日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年09月05日さまざまなジャンルの作品に出演し、俳優・文筆家・ミュージシャンとして活躍する宮崎吐夢さん。昨年、大人計画の舞台『業音』に向け、主宰・松尾スズキさんの命を受け、2か月で約10kgのダイエットに成功。見事な痩せっぷりが話題になり、芝居の感想は差し置き、女優陣から「どうやって痩せたの!?」と楽屋で質問攻めにあったとか。持ち歌をダイエットバージョンにして歌う予定です。「基本筋トレです。ジムでおばちゃんとグループレッスンしながら、登山もみんなでやれば登れるみたいな感じで。食事も糖質制限でも朝昼のみ。やっぱり、2か月後にパンツ一丁で舞台に立つと思うと、食欲も失せますよ。みんな年に1回、人前で脱がなきゃいけない理由を作ったら、痩せれるんじゃないですかね」この舞台本番までの吐夢さんのダイエット道を余すことなく伝えるのが、『真夏のダイエット(orリバウンド)歌謡ショー』と、会場で販売される書籍『吐夢の(秘)ダイエット手帖』である。彼がどうやって太っていったのか、減量法、断食で激痩せした俳優・黒田大輔さんとの対談など盛りだくさんの160ページ。コンサートは、芝居と歌謡ショーの二部構で、お客様のダイエットを応援するものになるとかならないとか。実際問題、動きやすい格好で行ったほうがいいんでしょうか?「動きはそれなりにあると思いますね。ゆずのライブのラジオ体操くらいですかね(笑)。お芝居は、ゲストに根本宗子、金山寿甲、金子鈴幸という注目の劇作家が3人いるので、彼らにお知恵を拝借できたらなと。ダイエットしすぎで死んでもいいし、しなくてもいい、人間だもの。みたいなことを歌っていくコンサートにしたいなと思ってます」その後、リバウンドで体型が中間くらいに戻ったという吐夢さんが、ダイエットを経て学んだこととは?「痩せているときは、屋外でやたら鏡に映る自分を見て、『あ、いい!』と思うナルシストになっていたんです。少しすると、ハイクラスの美人やイケメンのちょっとしたダメなところを見つけては、『あっ』と残念に思うようになった。家柄が貧しかったのに意識高い系のお受験して受かっちゃった人みたいな感じで、ギスギスした嫌な奴になりましたね。体型が戻ってくると、愛嬌を武器にするしかない!と思えるので、また謙虚になりました。ダイエットするのも考えものですね」『真夏のダイエット(orリバウンド)歌謡ショー』独自の減量方法をまとめた著書は、8月24日(開場18:00/開演19:00)に東京キネマ倶楽部で開催する歌謡ショーで販売。4300円(整理番号付きスタンディング・ドリンク代別)大人計画TEL:03・3327・4312みやざき・とむ1970年生まれ。’92年『冬の皮』以降、大人計画に参加。CD・DVDリリースや、小説の執筆など多方面に活動。映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』に出演。※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・山田 薫インタビュー、文・小川知子(by anan編集部)
2018年08月18日柔らかい雰囲気の中に秘めた、全力疾走のエネルギーがいま、爆発。男女問わず、いつの間にか好きになる…そんな魅力にほだされて。田中圭さんの魅力を探ります。撮影はホテルの一室。部屋に入った瞬間から、ざっくばらんな雰囲気で賑やかに会話を繰り広げ、用意してあったおいなりさんを「食べていいですか?」と、嬉しそうに頬張る。田中圭さんの、無邪気な“男子”な姿に、現場は一気に明るく和む。――ここ数年、大きく取り上げてほしいという要望が編集部に頻繁に寄せられています。田中:僕も声がかかるのを待ってるんですけどね。かれこれ2年くらい。――ファンの間では、優しい顔立ちと“いいカラダ”とのギャップが話題です。田中:鍛え始めて6年経ちますが、ジムに通い続けながら、一回も楽しいと思ったことがなくて。これが仕事のための体づくりなら、めっちゃやる気出して鍛えるんですけど。――では、なぜ鍛え始めたんですか。田中:映画『図書館戦争』の最初のシリーズの時に、岡田准一君の人柄に惚れまして。その時はアクションシーンも、岡田君以外の役者は誰も動けてなかったのですが、続編で再会したら、僕も含めて共演者全員が鍛えていたことがわかって。続編が決まる前から、皆、岡田君に影響されていたんです。でも、ある時、すごい気弱な役をやっていたのに、映像を観たら、めちゃくちゃ自分の腕が太くなっていて、これじゃ成立しない、って思ってやめました。いまは機会があったらすぐに体をつくれるくらいのところで維持しています。――田中さんが熱中するもの、夢中になるものって?田中:ときめきかぁ…(かなりの時間考え込む)。物事に執着しないタイプなんです。しいて言えば、自分が面白いな、かわいいな、かっこいいなと思った人はやたら好きになりますけど。昔、趣味を持とうと思ってカメラを買ったり、釣りに行ったりもしましたけど、ハマらなかったです。服にも興味がないし。一番ハマったのは携帯ゲームの課金。やめたいんですけれど、課金しすぎてやめるにやめられないって、最悪です(笑)。――休日はどんな過ごし方を?田中:体のことを考えた一日にするか、家族のために使うか、だらだら過ごすだけか。――田中さんというと、この間まで放送していたドラマ『おっさんずラブ』の反響がいまだに続いています。田中:僕自身、あの作品ですごく意識が変わったし、自分のターニングポイントと言っていい作品になったと思うので嬉しいです。――そう思わせたのは何ですか?田中:自分が座長でやれる機会ってそうないし、内容も内容だし、「コケたくない」って思ったんですよね。それで、現場では遠慮も我慢もせずにいようって決めて臨みました。それで、例えば、感情を爆発させる場面では、段取りもテストもなんとなくやって、本番一回に勝負をかけるやり方をさせてもらいました。スタッフ側からすれば、事前にどうくるかわかったほうが安心なわけです。でも、僕の意見に賛成して、絶対に撮ってやるぞっていう気持ちで臨んでくれた。共演者もスタッフも全員が、その場の一瞬一瞬で生み出されるものを大事にしていたから、あんなに多くの人に届いたのかなと思うんです。それができたのも、現場の信頼関係が築けていたからですが、やっぱり偶然の賜物っていう部分もあるかなと。だから、このやり方を全部の現場に持ち込めるかといったら、無理だと思うんですけど…。――いまの俳優としての理想は?田中:究極的に言うと、毎クール1話に1シーンだけ出番があって、しかもまとめ撮りでギャラが発生することです(笑)。でもたぶんそれ、僕に向いてないので、自分が面白いと思う作品に出るってことかなぁ。最終的には楽しいかどうかが基準です。――では人としてこうなっていきたい、という目標はありますか?田中:実は、今ありまして。僕、ちょいエロちょい悪オヤジになりたいんです。この間共演させてもらった(吉田)鋼太郎さんとか、ちょっと触れるだけの芝居が、めっちゃエロくて(笑)。もちろんそういう演技なんですが、そこに熟年の技を感じるんです。かっこいいなぁって。――では、最近ときめいたことって何かありますか?田中:こいつかわいいなぁって思ったのは、この間、(林)遣都から、突然部屋の間取りが送られてきたことですね。少し前に、遣都も含めいろんな友人を家に呼んで食事したんですが、それがすごく楽しかったらしくて、「僕も、みんなで集まれるような部屋がいいなと思って…」って、すごくかわいくないですか?でも、それをヨメに話したら、「遣都さん、部屋のはじっこでつまらなそうにしてたのに」って。そんな楽しかったんなら、感情を表に出せよって思うんですけど(笑)。たなか・けい1984年7月10日生まれ。東京都出身。俳優。’ 03年のドラマ『WATER BOYS』で注目され、以降、ドラマ、映画、舞台で活躍。現在、ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)に出演中。フード付きプルオーバー¥180,000パンツ¥126,000(共にジル・サンダー/オンワードグローバルファッションTEL:0120・919・256)その他はスタイリスト私物※『anan』2018年8月8日号より。写真・笠井爾示(MILD)スタイリスト・岡部美穂ヘア&メイク・大橋 覚(VANESSA + embrasse)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年08月04日ドラマやバラエティ番組にも活躍の場を広げている、ミュージカル界のプリンス、山崎育三郎さん。≪ミュージカルポップス≫という新しい音楽を聴かせたい。山崎育三郎さんは、ソロシンガーとして約2年かけて完成したはじめてのオリジナルアルバム『I LAND』をリリースした。「いままで2作のカバーアルバムを制作しましたが、その中で自分でも楽曲を作りたい、オリジナル楽曲を届けたい、という気持ちが高まっていました。ここに満足できる作品が完成し、大きな目標に到達できたので、感慨深いものがありますね」『I LAND』は、山崎さんが自ら作詞作曲した楽曲も含め、全て書き下ろしのオリジナルアルバム。そこには彼本人のリアルな体験や心境が伝わるナンバーもあり、いままでの彼の作品、ミュージカルのCDやカバーアルバムとは違うものだ。「ミュージカル俳優としてデビューして20年になるんですが、ミュージカルは決まった歌詞、メロディに自分の感情をどうのせていくか、ということが大事。それとは全く違い、自分でゼロから曲を作り上げることをやってみたかったんです。基本的に、ミュージカル俳優はポップスを歌わないんです。先輩たちを見ても、出されるCDはミュージカルの楽曲か、カバーアルバムです。誰もゼロから作る方はいなかった。だからこのアルバムは、ある意味≪挑戦≫でしたけどすごく楽しかった」アルバムの1曲目は、山崎さんが詩を共作したタイトル曲「I LAND」。ミュージカル仕立てのサウンドアレンジで、彼らしい世界に即、誘われ、ワクワクするはじまりだ。だがそれだけではない。プライベートな経験から生まれた温かい言葉が並ぶ「ヒカリ」や、人生を変えたほどの大切な経験を切々と歌い上げ、聴く者の胸をキリキリとさせるような「Turning point」など、全ての曲でリアルな思いが綴られる。どれも山崎さんにしか歌えない言葉。「ゼロから音楽を作り上げたい」という言葉に納得させられる。いままで“ミュージカル”というある種ファンタジーの世界でファンを酔わせてきた彼とは正反対の、自分自身を正直にさらけ出す楽曲の数々。その大きな隔たりに果敢にチャレンジしたことに驚かされる。「リアルに僕の心情を音楽で表現するというのは、いままでしていなかったことです。でも歌手・山崎育三郎としては、何か真実がないと伝わらないと思いますし、新しい表現にチャレンジしたかった。チャレンジしながら歌っていると全く違う感情が生まれたり、よりグッと歌に入っていけたり、そんな気持ちに自分自身ワクワクしています」カテゴリー分けするなら『I LAND』はポップアルバム、だろう。しかし既成のカテゴリーに収まりきらない、ユニークなパフォーマンスを感じずにはいられない。「そう言われると嬉しいですね。僕は≪ミュージカルポップス≫と呼べるような、新しいジャンルを自分で作り上げたいと思っています。J-POPでも、ミュージカルソングでもない僕のオリジナル作品、ですね。まだ誰もやってない新しいジャンルがあってもいいでしょう」Original Album『I LAND』【初回限定盤CD+DVD+GOODS】¥4,300最新シングル「Keep in touch」など11曲収録。DVDには『I LAND』のMVとメイキングが。【通常盤CD】¥3,000(UNIVERSAL MUSIC)やまざき・いくさぶろう1986年1月18日、東京都生まれ。‘07年『レ・ミゼラブル』でミュージカル俳優としてデビューし、その後も数々の名作に出演。2019年1月から「山崎育三郎 LIVE TOUR 2019~I LAND~」の開催が決定。※『anan』2018年8月1日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子(by anan編集部)
2018年07月28日「ゆくゆくは舞台も経験してみたいと思っていたんですが、まさか俳優を始めてまだ1年経っていないなか、こんなにすぐ出ることになるとは思ってもみませんでした」ちょっと照れたように語る宮沢氷魚さん。出演するのは、演劇界を超えて注目を集める藤田貴大さんが作・演出を手がける『BOAT』。ボートで漂着する人々と、新たな土地を目指し出航する人々の物語。「藤田さんの稽古場は、僕がイメージしていたような舞台とはまったく違っていました。台本がなく、その場で作っていくこともですけれど、稽古の冒頭にみんなでボードゲームをやりだしたのにも驚きました。でも、普段使わない脳を使ったり、普段は動かさないような体の部位を稼働させたり、自分でも知らなかった自分の一面を発見することがあって、いまは稽古に行くのが楽しいです」普段はかなりの心配性。初ドラマの『コウノドリ』では、台本が手放せず、何十回も読み直したほど。「でも、今回に関しては不思議と不安がなくて、藤田さんについていけば大丈夫って思えるんです。稽古中、『15分考える時間ちょうだい』って言われる時があるんですけれど、どんな作品にするかで悩んでいるんじゃなく、どういう道筋をたどるのが一番効果的かを探っているだけ。藤田さんの頭の中には、すでに何か明確なものがあるのがわかるから、安心できているんだと思います」希望して足を踏み入れた俳優の道。「やればできるだろうくらいに考えていたけれど、実際やってみると、台本から気持ちを作る作業がとてつもなく難しい。役のことが全然わからなくて、しんどい時期もありました。でも、嫌だと思ったことはなくて、その苦しさが逆に癖になる…楽しくなってきています(笑)」そんな宮沢さんの突破口になったのは、ドラマの撮影で考えすぎモードになっていた時、台本から離れようとなにげなく入った老舗の喫茶店。「お客さんは普段は接点が全然ないようなオジさんとか、夜のお仕事の女性たち。さりげなく見ていたら、話している内容や行動、顔の表情まで、全部が興味深くて。台本に向かっているだけじゃわからない、日常生活の中から得られる気づきって意外と多いんだなって思いました」いまは、稽古終わりに共演者と食事に行き、作品から離れて他愛のない話をする時間も大切にしている。「藤田さんの舞台って観る人によって捉え方も変わるし、感じ方も全然違ったりする。でも、それでいいと思うし、作品の芯にあるものはブレずに届くと信じているんですよね」7月16日(月)~26日(木)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス作・演出/藤田貴大出演/宮沢氷魚、青柳いづみ、豊田エリー、中嶋朋子ほかS席5500円A席4500円(共に税込み)ほか東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296 AD:名久井直子撮影:井上佐由紀みやざわ・ひお1994年、アメリカ生まれ、東京育ち。モデルとして活躍する傍ら、昨年より俳優の活動をスタート。近作にドラマ『トドメの接吻』『R134/湘南の約束』。※『anan』2018年7月18日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・森上マリコインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年07月17日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の木竜麻生さんです。映画初主演は“女力士”役。新体操経験が役に立ちました!デビューのきっかけは14歳の時のスカウト。でも、大学に入学して上京するまでは学業を優先させたそう。「大学では近代文学を学びました。本を読むのが好きなんです」。公開中の映画『菊とギロチン』では初主演を務める。「大正時代に実在した、女相撲興行の力士役。相撲は初体験でしたが、子供の頃新体操をやっていたからか、股割りはすんなりできました(笑)。映画を観るのは大好きなので、ひとつでも多くの作品に関わりたい。自分が携わった作品が誰かの心に残ったら、幸せだなって思います」ふとした時に読み返す谷川俊太郎さんの本。子供の頃から絵本で親しんでいました。ひとつひとつの言葉が響きます。外出する時はフィルムカメラは必携。風景や人を撮ります。おじいちゃんのお下がりなど、中古のカメラを愛用。甥っ子&実家の犬が私の元気の源。この子たちの写真を見ると癒されて、頑張ろうって活力が湧くんです!きりゅう・まい1994年生まれ。’14年に映画『まほろ駅前狂騒曲』でデビュー。自身初の写真集『Mai』が6月に発売されたばかり。11月公開の映画『鈴木家の嘘』にヒロインとして出演。※『anan』2018年7月18日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年07月16日初めて『銀魂』ワールドに入り、新キャラを演じた三浦春馬さん。『銀魂2』から新たに登場した、真選組の伊東鴨太郎を演じる。大ヒットした映画のパート2から参加することに対して、プレッシャーはあったのだろうか。映画への思いを伺いました。「なかったです、全然(笑)。もちろん、福田組(福田雄一監督)は初めてですから緊張感はありましたけれど、でも長らく福田監督から“一緒に仕事がしたい”とお声がけをいただいていたので、やっと参加できるという喜びのほうが大きかったです。しかも、真ん中にいるのは小栗旬さん。僕は小栗さんと一緒だったらいつどんな作品でも参加したいと思っているので、そこも嬉しかった。そして、いただいた鴨太郎という役柄も、すごく魅力的でやりがいのあるキャラクターで。今まで、彼のようなヒールはあまりやったことがなかったので、いろんな意味で、モチベーション高く、現場に臨むことができました」福田組の現場の清々しさは、まるで部活のようだった?!そんな期待高まる状態で入った福田組は、予想を上回る楽しさだったそう。「なんか、部活に通ってるみたいな現場でした。清々しくて、毎日気持ちよく終わって、美味しくごはんが食べられる感じ。福田さんは、演出方法はもちろん、ちょっと気がついたことなども、すべてきちんと提示してくれる。全部が直球勝負なんですね。だからなにか悩んだとしても、それをちゃんと現場で解決できる。題材がコメディということもあるとは思いますが、コメディ要素が一切ない役を演じている僕でさえ、考え込んだり、悶々とすることがまったくなかった。本当に明るい現場で、楽しかったです」撮影時、印象に残っているエピソードを聞くと、「いっぱいあるんだけどなぁ…」と考え込みながら、共演者の話をしてくれた。「柳楽(優弥)くんと共演できたのは、感慨深かった。同じ子役出身で、僕が高校の後輩なんです。お互いにまったく違う個性を持つ役者だと思われながら、二人とも芸歴が20年近くになって、今の共演。殺陣練習の初日にお手合わせしたとき、僕らは驚くほど息が合って、間合いや距離感をすり合わせる時間がまったく必要なかった。本当に気持ちいい時間でした。同じ作品に出られたこと、心から感謝してます。あとは、(中村)勘九郎さんと一対一で演技ができたことも印象的でした。それこそ、息遣いが聞こえるような距離感で、きっと人間国宝になるであろう人の芝居をまじまじと観せてもらうって、最大のエンターテインメントですよね。普段めったに見られない、値段のつけられないような陶器を見ているような、そんなありがたみがありました。ネタバレになるから詳しくは言えないですが、クライマックスに向かってのシーンの撮影は、本当に最高で、忘れられない時間です」今回は、シリアスな役どころだった三浦さん。みんなが楽しくコメディを演じているのは、羨ましくなかった?「コメディは好きですが…。この映画は万事屋3トップをはじめ、芸達者な人ばっかりじゃないですか。そこで僕がどんなに笑いの要素を出したって敵わない(笑)。でも、コメディ自体は大好きなので、違う福田作品でお願いできると嬉しいです(苦笑)」みうら・はるま俳優。1990年生まれ。公開待機作に、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(8/31)、『アイネクライネナハトムジーク』『こんな夜更けにバナナかよ』が。シャツ¥30,000パンツ¥27,000(共にアクネ ストゥディオズ/アクネ ストゥディオズ アオヤマTEL:03・6418・9923)シューズ¥69,000(ジャンヴィト ロッシ/ジャンヴィト ロッシ ジャパンTEL:03・3403・5564)その他はスタイリスト私物『銀魂2 掟は破るためにこそある』 ’17年、邦画実写映画No.1の人気を誇った作品の第2弾。もちろん監督は1作目に引き続き福田雄一氏。原作マンガの、“真選組動乱篇”と“将軍接待篇”をミックスしたストーリー。8月17日より全国ロードショー。※『anan』2018年7月18日号より。写真・酒井貴生(aosora)スタイリスト・澤田石和寛(SEPT)ヘア&メイク・佐鳥麻子(by anan編集部)
2018年07月16日