ウーマンエキサイトをご覧の皆さん、こんにちは。年末ですね。師走ですね。今年は帰省もままならず、巣ごもり年越しするので準備に地味にやることが多いです…さて、 前回 に引き続き、今回も習い事についてです。子どもの習い事は、学ぶ内容はもちろん、環境や先生との相性、学び方もいろいろなので合う合わないの見極めが大事。親が良かれと思ってやればやるほど、子どもに苦しい思いをさせてしまうことも…。スイミングは、どうしても泳げるようにさせてあげたいという思いから、長男の気持ちを無視して結構長く粘ってしまいました。子どもに対しても、そして金銭的にも大反省…でした。ただそれが実感できたのは最近のことでして(おっそ…)。自分自身の運動系が苦手というコンプレックスから、子どもに最低限のことは習得させてやりたいという思いが強く、小1ぐらいまでは夏休みや冬休みに懲りずに短期の体操教室に通わせてみたりしていたダメ親です。現在は考えを改め、習っているスポーツ系の習い事は本人が強く希望して始めた少年野球のみ。それも数ヶ月に渡り長男のタイプに合うチームを探して見つけました。(詳しい経緯は ブログ の方に書いているのでご興味あればご覧ください)人数も少なく強いチームでは無いけれど、「勝つ」「強くなる」ことよりも「野球を好きでいられるように」「楽しいと思えるように」とじっくり教えてくれる穏やかなコーチのおかげで、マイペースな長男もプレッシャーを感じずに自分なりに努力して参加できているので、良かったと思えています。では、学習・勉強系は? というと…これまたスポーツと似たような考え方でつい最近まであれこれジプシーしていました。はい、まだまだ習い事暗黒時代が続きますよ…最初に学習系に手を出したのは長男年長さんの頃。未就学児向けに毎月楽しめる教材を送ってくれる通信講座にはずいぶんお世話になりました。これのおかげで長男は平仮名をある程度覚えられたと思うし、一定時間机に向かう習慣のような、小学校入学準備にもなったので良かったです。ただ、小学校に上がるタイミングでふと過去の自分が甦ってきました。同じ記憶がある方も多いのでは無いでしょうか?付録だけ使って、あるいは封さえ開けないまま毎月積み上がっていく教材たち…小学校に上がってから急に増える「やらなければいけないこと」を思うとどうしても過去の自分の二の舞になりそう、と先回りして辞めさせてしまいました。長男と自分は別の人格なんだし、コツコツやるタイプの子には合っている通信講座。もしかするとあのまま続けていても良かったのかも…と今となっては思います。なぜかというと…通信講座をやめて代わりに始めた通塾型の教室があまり合わず、続かなかったんです。学校から直接行って先生から個別指導してもらえるのが魅力の立地。そして通信型だと自分次第なところがあるので親がくどくど言うことになってしまいますが、毎週先生に見てもらえるし、学校の進みに合わせて予習復習ができてありがたい、と思っていたのですが…ワタシが勝手に先回りしたせいで、むしろ入学でいろいろ不安定な時期にまた別の新しい環境につっ込むことになってしまい、負担を増やしてしまったのかもしれません。楽しい付録もなく、毎日宿題もあったのですが1年生の長男はやりたがらず、教室でもあまり集中して取り組めていないことが分かり…やめることになってしまいました。次回に続きます…
2020年12月29日最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い印象の子が増えている、それは大人に原因がある。ということを前編でお送りしました。子どもが忘れ物をしてツライ思いをしないようにと、いつまでも学校の道具やサッカーの準備を親がすべてやってあげていませんか?進学塾「VAMOS」の代表で、日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組む富永雄輔さんは、子どもの自立には勉強でもサッカーでも普段の生活の部分がとても大事だと言います。後編では、わが子を徐々に自立させるために保護者に意識していただきたいことを伺いました。(取材・文:前田陽子)(写真は少年サッカーのイメージです)<<前編:今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!?自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと■親に大切なのは我慢する勇気――子どもを甘やかしてしまう原因は何だと思いますか?子どもを子ども扱いして甘やかしてしまう原因のひとつに、SNSをはじめとする情報収集ツールがあると思っています。親御さん世代の人は盛んに使っていて、そこから典型的なマニュアルを入手している方もいるようですね。今の小学生の親世代は、ちょうど厳しい教えがNGとされてきた変換期で育っているため、教育への観念が同じ世代でも大きく異なります。そういった背景から親自身が結論を持っていないので自分の指針となるマニュアルを求める方が多いように思います。結果、「まだ子どもだから」「子どもを傷つけたくないから」など自分に都合のいい意見だけを切り取って子どもに対峙するので、子どもに甘くなるのだと思います。――親世代がちょうどマニュアルがあることが当たり前な世代ですよね。どうしても指針を欲してしまいます。親がブレると子どももブレます。親が真偽不明な情報に惑わされると子どもも混乱してしまうのはわかりますよね。また、甘やかされた子は勉強でもスポーツでも中途半端になってしまいます。自立させなければいけないことに、親は早く気が付かなければいけません。失敗した経験は子どもをおのずと成長させます。ですので早いうちにたくさんトライをして、たくさんエラーを経験させましょう。例えば、子どもが考えて実践した勉強のやり方で結果が出なくてもその方法を否定してはいけません。そのまま続けるのか、勉強法を変えるのか。それは子どもがまた考えて、トライすればいいのです。勉強なら、そんな経験を受験にまだ間に合う小学5年生、中学2年生の段階でたくさん失敗することは大切だと思います。失敗している間は、親は極力口出しを控えることも大事なことです。失敗を子どもに負わせ続けることを我慢する勇気が親に必要なのです。さらに、今は結果を見る時期なのか、経過を見るべき時期なのかを見極めること。勉強なら小5は過程を学ぶときで、小6は結果を見るときです。もっと短いスパンで考えてもいいですね。今度のテストは算数は結果を見て、苦手な国語はこれまでやってきたプロセスが良かったかどうかを見るとか。結果と過程のどちらに着目するかの基準を持っていると良いと思います。親が子どもにその時、何を学ばせたいかをはっきりすること。それをしないと、結局あれもこれもになってしまいます。■ゼロか100ではなく、徐々に手を放す――子どもの自立を考えたときに大切なのは日々の生活なのかなと思います。そう思います。現在海外で活躍しているサッカー選手の多くは、練習以外の時間を現地の言葉を習得するための勉強などに多くの時間を割いています。そういった努力はほとんど報道されませんが、一流選手たちは練習以外で努力していることがたくさんあります。親御さんにはそこに気づいてほしいですね。勉強にしてもサッカーにしても、上を目指すなら生活の部分がとても大事です。親が口を出し、手を出すことのすべてがダメではないと思いますよ。たとえば九九ができない子に割り算をしろと言っても無理なことです。ベースとなる知識は教えてあげないといけません。教えるステップと手を放すステップが重要なのですが、子どもが失敗することを心配して手を放せない親がとても多いと思います。いきなりすべてのことから手を放す必要はありません。部分ごとに手を放せばいいのです。例えばサッカーなら、練習場は試合会場まで一緒に行くけれど、準備はひとりでやらせる。試合会場へのアクセスを考えさせて、一緒に行くとか。少しずつで良いのです。いろいろな自立のさせ方があると思います。付くのと離れるのを段階的にすることを意識してほしいですね。中学生になったから、高校生になったからと、いきなりすべてをつき放すのではなく、子どもの様子を見ながら徐々にでいいと思います。そして親もトライ&エラーを繰り返していくこと。親がエラーする様子を見せることも、子どもにとっては「失敗してもいいんだ」という教訓になります。■親もアップデートが必要――子どもたちの習い事のスタートが低年齢化していると思います。やはり早く始めないとダメなのでしょうか?ひと昔前に比べて、塾もサッカーなどの習い事も、スタートする年齢が下がってきています。その結果、小1の段階でうまい子がたくさんいます。小学校から始めようとクラブに入った子が同じ練習をしたときに、幼稚園から始めていた子はできて、小学校から始めた子はできないということがたくさんあります。そんな時に小学校から始めた子が「自分はダメだ」とあきらめてしまう子がいるんです。できないのではなくて、やり方を知らないだけなのに。それなのに子どもも親も諦めてクラブを辞めてしまう、これはとても不幸なことだと思います。正当な競争をさせないことでつまづきやチャレンジがないので、ぬるい環境で甘えが出てきてしまうのです。そして甘えが多いと精神的に幼い子が増えます。そういった子を増やさないためには、正当な競争が必要だと思います。過度な椅子取りゲームは精神的にもきついですが、適度な刺激を子どもに与え続けると考え方は変わってくるはずです。一生懸命挑戦してみて、それでも思ったような結果が出なかったり、別の目標をに向かうことを決断することもあるかもしれません。ですが、目標を変えることは挫折ではなく新たなことへのチャレンジなのです。親はつい挫折をさせたくなくて手を出してしまいますが、チャレンジととらえられれば、応援することができるのではないでしょうか。今回のコロナ禍で実感された方も多いと思いますが、10年後どころか、少し先の将来は予想がつかない社会に変化する可能性もあるのです。大人が考えている以上に子どもを取り囲む環境は進化して、これまで以上に変わっていきます。AI、プログラミングなどを小学生時代から学ぶことは、親世代には経験がなかったこと。ですから、親もアップデートが必要です。向上心を持っている親は、子どもへの植え付け方がとても上手ですよ。子どものためにも、自分たちが変わることに躊躇しない親がいいですね。<<前編:今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!?自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)などがある。進学塾「VAMOS(バモス)」ホームページはこちら>>
2020年06月30日みなさんのお子さんは、年齢なりに自分の事を自分でできますか?親御さんがあれこれ手をかけたり、「こうしなさい」と先回りして口出ししてしまっていませんか。わが子がつまづいて挫折してほしくないばかりに親がつまづきそうな要因を取り除いてしまう......。そうすることが子どもの自立を阻んでいるとしたら?「最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い印象の子が増えている」と、進学塾「VAMOS」の代表で、日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組む富永雄輔さんは言います。はたしてそれはなぜでしょうか。子どもを年齢なりに自立させるために親はどうすればいいのかを伺いましたのでご覧ください。(取材・文:前田陽子)(写真は少年サッカーのイメージです)■以前に比べて、子どもたちは実年齢より4歳幼い!?――大学入試に親が同行することが普通となりつつありますが、どう思われていますか?受験のみ、住まい探しなどは別の機会に行う前提ですが、保護者世代の方々の経験として、遠方に入試に行く際に、子どもが女子だとまれに親御さんが会場まで一緒に行く方もいたと思いますが、男子の場合はなかったですよね。最近は男女問わず親がついていくことも増えつつあり、子どもの方も親と一緒に行くのが安心という子もいるようです。そういった、自分で行動する面なども含め、今の子たちは実年齢より4歳くらい幼い印象です。ここ5~6年、特に男の子に幼さが残っていると感じることが多いですね。同様の事は、同業者の中でも聞くことが増えました。「幼い」と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが、悪いことばかりではないと思います。どの子もずっと幼いままでいるわけではなく、成長が緩やかなだけで、どこかで追いつきますので、たとえ今お子さんが他の子より精神的に未熟だとしても心配しすぎないでください。では、どうして今の子どもたちが幼いかというと、子どもたちがダメージを受けると立ち上がれないからです。「挫折したら立ち上がれない」「レールを外れたら戻れない」という空気があり、それでも立ち上がれる子はいるのですが、多くの場合は自分の子が大きな挫折をしたら立ち上がれないことがわかっているから、わが子にダメージを与えないようにと親が先回りをして、つまづく要素を取り除いてしまう。その悪循環が突き進みすぎていると感じています。――確かに。子どもたちを守ってあげたいという気持ちはわかりますが。それで社会に出て大丈夫かと心配になります。生物の世界には生存競争があって、勝ち残らなければいけないという本能があります。少し前から「徒競走で順位をつけない」「サッカーでレギュラーを決めない」「成績をつけない」という動きがあります。サッカーで選手全員にチャンスを与えようという主旨はわかりますが、社会に出て全員が同じ条件で同様なチャンスが与えられることは100%ありません。子どもの幼さを増長している要因のひとつは、大人がチャンスを強制的に与えるからだと考えています。昔の部活では、部内の競争を経て18名のメンバーが決められ、そこからスタメンの11名を目指す。全員に与えられたチャンスを生かせるか、生かせないかは個人の努力や力で、その過程が子どもたちを成長させました。けれど、今の子どもたちはチャンスが過度に与えられることで競争する必要がない=無理やり成長をしなくて良くなっているのです。■子どもが幼いのではなく、大人が幼い子どもを作っている――プロとして活躍している選手たちの子ども時代はもっと大人だったと思いますか?近年様々なジャンルでトップ層の子どもは考えがしっかりして成熟している子も多いと思います。サッカーでいうと、今、スペインで活躍している久保建英選手は18歳ですが、20年前の18歳に比べて格段と大人です。インタビューの受け答えなども、とてもしっかりしていますよね。勉強でも東大に入って「東大王」などに出ている子たちは、勉強だけでなく、幅広い知識や柔軟な発想が求められるクイズもできる。どの子も非常に要領が良くて、セルフプロデュースに長けているんです。天が二物を与えた子がたくさん出てきている一方で、前述したように幼い子どもたちも増えているという状況です。――同年代の子どもたちで差が出るのは、なぜでしょう。今の子どもたちは自分で選択せず、大人が与えた環境の中で過ごしています。それは子どもにとって言い訳しやすい状況です。そういう状況を大人が用意し続けた結果が、子どもの成長を妨げていると感じています。『親が出すぎる→過度な公平な機会を与える→順位を付けない→厳しくしない→成長しない』そんな循環ができてしまっています。順位付けをしない、厳しくしないというのは、指導者からするととても楽なことなのです。チームを強化する必要がないので、子どもたちを公平に扱うことさえすればいいだけですから。プロセスに重点を置いて楽しもうという方針にも利点はたくさんありますが、結果を求められないことは指導者にとって非常に楽という側面もあるのです。今の子どもたちはいろいろなことから守られすぎている結果、幼さが残っているのかなと思いますね。何でもかんでも厳しくしなければいけないとは言いません。けれど、競争をさせたら出来る子はたくさんいます。子どもは頑張れるのに、大人がその環境を取り除いてしまうので、頑張り方を知らない子が多すぎるのです。■親は現実を直視しよう――親はどう接していくべきだと考えますか?親御さんの多くが、現実を直視できていないと感じています。日本代表やオリンピック代表を見れば、おのずと過保護で伸びる子が少ないというのはわかるはず。サッカーは飛び級が許されているので、高校生でプロになる子も少なくありません。プロになったら何歳であろうと大人と一緒にプレーをします。15~16歳で大人扱いをしてあげなければいけないことに、親が早く気が付くことが重要です。プロを目指しているのではないので......。と思う人もいるかもしれません。けれど、自分の学年より上のカテゴリーの試合に出る機会がサッカーには多くあります。上の年代の人たちと一緒にプレーをして、自分の意見を言う。そういう環境は身近にあると思います。子どもは勝手に大きくなりません。親の関わり方によって、子どもの成長が変わることを肝に銘ずること。親が周囲の人たちにどう接していくべきかを考え、実行することで子どもの今後が左右されるのです。富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)などがある。進学塾「VAMOS(バモス)」ホームページはこちら>>
2020年06月22日「先回り」をする親が増えている――子育てや家庭教育関連のメディアで頻繁に目にする内容です。それらのメディアは、「先回りはよくないもの」として扱っていることが多いよう。ただ、「先回りにも『いい先回り』と『悪い先回り』がある」と言うのは、幼稚園の園長を務めた経験もある、東京家政大学子ども学部教授の岩立京子先生。その真意を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/山本未紗子(インタビューカット)社会の情報化と少子化が招いた、先回りする親の増加いま、「先回り」をする親、「手出し口出し」をする親が増えていると言われています。このことには、社会の情報化が進んだことが大きく影響しているのでしょう。以前と比べれば、インターネットなどを介して子育てに関する情報に触れる機会が増えましたよね。それらのたくさんの情報に基づいて、「最高の子育てをしたい!」と考える親が多いのです。また、少子化もそういった親が増えていることの一因でしょう。むかしのように4人も5人も子どもがいれば、子どもひとりひとりの子育てに十分に手をかけられません。でも、いまは子どもがひとりかふたりですから、「絶対に子育てを成功させなければならない」といった意識が強く働き、「こうあるべき」「こうしなければならない」というふうに考え、先回りや手出し口出しをしまうのです。でも、子どもは親の思うとおりに育ってくれません。子育てというのは、子ども自身の発達がまずベースにあります。それに対して親がどのような働きかけをするかで、子どもがどんなふうに成長していくかが決まるのです。いくら親が「バイオリニストにしたい」「学者にしたい」と思ったところで、そうなる可能性は高くはありません。ですから、親にとって重要となるのは、子どもをしっかりと見て、子どもが持つ可能性を最大限に伸ばす働きかけをすること。そのことを第一に理解してほしいと思います。子どもから学びのチャンスを奪う「悪い先回り」さて、親の先回りについてですが、子育て関係の記事では「先回りはよくない」というふうに語られることが多いようですね。ただ、わたし自身は、先回りにも「いい先回り」と「悪い先回り」があると見ています。「悪い先回り」とは、それこそ子育て関係の記事でNG行為として語られるような、子どもの力を奪ってしまう先回りのこと。なぜ子どもの力が奪われるかというと、「失敗」の経験を積めないからです。人間という生き物は、失敗から多くのことを学びます。でも、なんでもかんでも親が先回りをしてしまうと、子どもは失敗することなく育つことになる。親の先回りが、学びのチャンスを子どもから奪ってしまうのです。ただ、子どもに失敗をさせることが重要だと言っても、そのバランスは大切。たとえば、10回挑戦して9回失敗するようなことになれば、子どもはチャレンジする勇気ややる気を失ってしまうでしょう。そこで、もう少し成功率を上げられるようなお膳立てを、親であるみなさんに考えてほしいのです。もちろん、あからさまに手出し口出しをすることはよくありません。なぜなら、子どもには子どもなりのプライドがあるからです。そのプライドによって、親の手出し口出しに反発して、やろうとしていたことを結局投げ出してしまうことにもなりかねません。ですから、こっそりとお膳立てをしましょう。それこそが「いい先回り」です。たとえば、料理をお皿に盛りつけるお手伝いをするような場合なら、長い菜箸だとうまく使えないということもあるでしょう。ならば、子どもでも扱いやすいトングを用意するといった具合です。それでうまくできたなら、しっかりとほめてあげる。そのことが、子どもの自己肯定感や、自分に対する信頼を高めてくれます。「いい先回り」とは、親としてしておくべき「予測」「いい先回り」とは、親としてしておくべき「予測」と言い換えてもいいかもしれません。たとえば、子どもと電車に乗って出かけるとします。すると、移動中の車内でぐずってしまうようなことが予測できます。それなのに、親がそのことを予測せず、なんの準備もしていなかったら、いざ子どもがぐずってから場当たり的に対処することになります。でも、しっかり予測ができていたら、お出かけグッズを入れるバッグのなかに、子どもの機嫌がよくなるようなものを忍ばせておくこともできるでしょう。また、子どもは親のやることをやりたがるものですが、まだ成長段階の途中にある子どもには親と同じようにはできないことや、危険が伴うようなこともたくさんあります。親が食器を洗っていたら、子どももやりたがるというのもよくあることですよね。そのとき、子どもが皿を落としたとしても割れる心配がないプラスチック製の食器を用意しておくとか、あるいは床が濡れてもいいようにビニールシートを敷いておくのです。もちろん、子どもは親と同じようにはやれませんから、時間もかかります。親には根気も必要だと認識したうえで、「いい先回り」ができるように工夫してください。『遊びの中で試行錯誤する子どもと保育者 子どもの「考える力」を育む保育実践』岩立京子 監修/明石書店(2019)■ 東京家政大学子ども学部教授・岩立京子先生 インタビュー記事一覧第1回:イヤイヤ期には“気そらし方略”がうまくいく。3歳の子育てを楽にする、2歳までの「しつけ」のコツ第2回:もう「早く!」なんて言わなくていい。“ニンジン作戦”で子どもを楽しい世界にいざなってあげて第3回:子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?第4回:「しつけもしっかりしたいけど、自主性も育てたい」親のこの考えが“完全に間違っている”理由(※近日公開)【プロフィール】岩立京子(いわたて・きょうこ)1954年生まれ、東京都出身。東京家政大学子ども学部教授。東京学芸大学名誉教授。東京学芸大学教育学部卒業後、同大学大学院教育学研究科修士課程を経て、筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位取得退学。筑波大学心理学系技官を経て、1986に東京学芸大学講師となり、1991年に筑波大学で博士(心理学)を取得。その後、東京学芸大学で34年間にわたり保育・幼児教育の専門家養成に関わった後、現職に就く。2014年から2017年まで、東京学芸大学附属幼稚園長を兼任。主な著書に『幼児理解の理論と方法』(光生館)、『保育内容 人間関係』(光生館)、『たのしく学べる乳幼児の心理』(福村出版)、『乳幼児心理学』(北大路書房)、『新幼稚園教育要領の展開』(明治図書出版)、『子どものしつけがわかる本 がまんできる子、やる気のある子を育てる!』(主婦の友社)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月31日どうもあかりです。外見的や性格的な「かわいさ」というのももちろん愛されるためには重要ですが、それだけでは十分な差別化にはなりません。彼氏に「この子、すごいな」「彼女、めっちゃ頼れる」「こういう子、なかなかいないよね」と思ってもらい、リスペクトされる存在になるためには、「先回り」して行動できる能力が大切です。「先回り」と言っても抽象的でよくわからないと思いますので、さっそくご紹介していきたいと思います。■「彼氏の不安」に先回りまず「先回り」を目指してほしいのが「彼氏の不安」です。ここでいう「先回り」とは、「彼氏が不安を口にする前に、彼氏の不安を解消できるように行動する」ということ。心配性だったり、やきもちを妬きやすい彼氏である場合はもちろん、そうじゃない彼氏であっても、交際中のいろんな場面で彼女に対して「不安」を覚えるわけですが、そんなタイミングで、彼氏に「不安だから〇〇してよ」と言われてから行動をするか、彼氏にそう言われる前に自ら先回り的に行動するかでは、彼氏からの評価、信頼のレベルが大きく変わってきます。恋愛でも仕事でも友人関係でも、「〇〇をしてほしい」ということを伝える前に先回りで行動してくれる人というのは、とても貴重でありがたいですので、一目置かれるし、すっごくリスペクトされるんですよね。具体的な実践編をいくつか見てみましょう。■男性のいる飲み会編彼氏が彼女に対して不安を覚える第一のポイントは、男性のいる飲み会でしょう。職場やサークルなどの飲み会には、当然女性だけでなく男性もいるわけですが、そういった「同じコミュニティ内にいる男性」というのは、往々にして、彼氏が勝手にライバル視をしてしまいがちな存在です。「彼女のことを好きなヤツがいるのでは」「彼女とめっちゃ仲が良いヤツがいるのでは」みたいな邪推してしまうんですよね。これはきっと、彼女としても、彼氏に対して同じようなことを感じたりすることがあるはずなので、気持ちはわかります。こういうときに、彼氏から「終電逃さないようにね!」とか「帰ったら連絡してね」とか言われたりすることがあると思うのですが、そういうことを「言われてしまってる」時点で、実は「先回り」には失敗しています。「今日は職場の飲み会なんだよ~」と彼氏に伝えたときに、自分の方から「〇時までには帰るよ」「帰ったら連絡するよ」と一緒に伝えてあげるのがコツです。付き合っていれば、自分が飲み会に行くとき、彼氏がどんなことを不安に感じて、その不安をどんな形で伝えてくるか、ということは彼女として簡単に予測が立てられるはず。そしてその予測に基づいて、先回り的に行動してあげましょう。そうすれば彼氏はあなたのことを「この子は大丈夫な子」と信頼してくれるようになりますし、その証に、「早く帰ってきてね」とか「帰ったら連絡してね」とか言われることが次第に少なくなっていくはずです。■男性や元カレとのLINE編彼女が自分以外の異性とLINEをしているときにも、やっぱり彼氏は不安を覚えるものです。それが彼氏にとってよく知らない男性であれば、「そいつ誰?」、「どういう関係?」などいろいろな不安が生まれるでしょうし、彼氏も知っている男性であっても、ふたりがやりとりしている様子があまりに親密そうだったり、いつもその男性とのトークルームが上の方にあったりすれば、「もしやただの友達ってわけじゃなく・・・・・・?」という気持ちになるでしょう。彼氏との関係においては、「たかがLINE」と思うのは少し危険です。たしかにLINEはただのおしゃべりですが、「LINEでだけ仲がよい人」というのは実はあまりいません。たいていは、「リアルでも仲がよいから、LINEでも仲がよい」という構図になるはずです。だから、いまどき「男とLINEをするな」とあまりにも厳しすぎることを言ってくる彼氏は少ないかもしれませんが、口では言わなくても、「彼女がLINEしてる男」に対して警戒心や不安を感じていることが普通なんだということはぜひ覚えておいてください。そこで、もしもデート中に自分が彼氏以外の男性とLINEしてるところを見られたら、即「誤解しないように言っておくけど、この人は〇〇の人で、だけどふたりでデートしたりはないから」的な念押しを自らしてあげましょう。もちろん「慌てた感じ」が出ると逆に怪しいので「あなたを不安にさせないため」に言ってますよ、というニュアンスを出すのは忘れずに。■「彼氏の不安」に先回りのコツは・・・・・・勘のよい方はお気づきかもしれませんが、「彼氏の不安」に先回りのコツは、彼氏に不安を口にさせる前に、自分から「〇〇するよ」と約束をしてしまうこと、その約束を必ず守ることです。覚えておいてほしいのは、仮に彼氏に「〇〇をして」と言われて、そのとおりに「〇〇」をしても、彼氏の不安はとくに解消されず、特別信頼もされないということです。それはただ「彼氏の言うとおりにしただけ」ですからね。そうじゃなくて、自分から約束を作って、それを自ら守ることで、「この子は俺がわざわざ不安を伝えなくてもちゃんとやってくれる子」と認識してもらえるんです。これは、彼氏からの信頼獲得のための"王道"ですので、ぜひ覚えておいてください。■「気遣い」も先回り恋愛になると、女性は「受け身」に陥りがちです。彼氏から何かをしてもらう、気にかけてもらう、ということがメインで、自分から何かを彼にしてあげることができる女性というのは実は少数。彼氏に「〇〇してもらっていい?」とかお願いをされる前に、自分から動いて「気遣い」をしてあげられる彼女になると「彼女は俺のことをよくわかってるな」「イイ女だな」という評価にも繋がるので、すごく頑張りどころです。「気遣い」をできる場面は無限にあるわけですが、ここでは、すぐに実践ができて、しかも彼氏ウケがよい「気遣い」を2つ紹介しますので、ぜひ入門編としてご活用くださればと思います。■「一杯のお水」だけでイイ女は演出できるすぐにできて、しかもものすごく効果的な最高のコスパを誇る「気遣い」のひとつに、「一杯のお水」というものがあります。これはなかなか馬鹿にできません。たとえば彼氏とお泊りデートをしたとしましょう。彼氏のお風呂上りのタイミングを見計らって、一杯のお水を脱衣所に黙って置いておいてあげる。どうでしょう?なんかすごく、「イイ女」っぽくありませんか?少なくとも男性から見て、そう映ります。ここで「パジャマ」とか「タオル」という選択肢もあるのだけれども、それだと若干「お母さん」ぽいのです。あまりセクシーじゃない。「一杯のお水」というところに、絶妙なセクシーさがにじみ出るのです。また、エッチをした後でもこれは有効。終わった後に、トイレか洗面所にでも行くフリをして、コップ一杯のお水を持ってきて彼に「はい、どうぞ」と渡してあげる。彼の頑張りをねぎらう意味もあるし、そもそもエッチの後男性はヘトヘトで喉も乾いています。気の利き方が超絶妙。男性のツボを押さえるための一番手っ取り早い方法かなと思います。■自宅の冷蔵庫に彼の好物を彼がお家にいつ遊びに来てもいいように、彼が好きな飲み物や食べ物を入れておく、というのもぜひやっていただきたい気遣いです。彼氏が家に来てから一緒に買いに行ったり、彼氏に「〇〇買っておいてくれると嬉しい~」と言われてから買うのでももちろんいいのですが、「何も言われないでも買っておいてあげる」というところで差別化になりますし、「彼の好物をちゃんと押さえている」というのもポイント高いです。こういう細かいことが普段からできると、彼氏的にも「この子と一緒に住んだら楽しそうだな」と思えるんですよね。■「デート」も先回りデートでも、「先回り」ができることはたくさんあります。デートって、彼氏がいろいろとコーディネートしてくれますので、何もしなくてもそれなりに成り立ってしまうのですが、彼女からの先回り的なアプローチがあると、デートはもっと楽しくなるし、彼氏的にも「彼女がデートにコミットしてくれてる感」を感じられて嬉しいです。「この子とデートするの、好き」と彼氏に思ってもらえるように、デートのときの「先回り」も手抜かりなく実践しておきたいものです。■行くところを事前に下調べ彼氏に「ここ、予約しておいたよ~」的なことをデートの数日前に報告された瞬間、「ありがとう!」で済ませるのではなく、自分でもそのお店についてネットで調べて、そのお店のおいしい料理や食べたい料理について事前に下調べをしておいてあげるとよいでしょう。男性って割とネットのレビューとかお店の雰囲気とか価格帯とか場所とか、ふわっとしたところでお店を選ぶことが多いですので、そういう細かいところまでは下調べをしていないことが実は多いです。なので彼女がその役目を担ってあげると、彼氏的にもありがたいし、お店に着いて「ここってこれがおいしいらしいよ」「これ食べたいなって思ってたの!」みたいなことが言えるとすごく盛り上がるし、彼氏も「ちゃんと調べててくれたんだ」と嬉しい気持ちにもなります。お店選びを頑張ってくれた彼氏のねぎらう意味でも、重要なワンアクションですので覚えておくように。■待ち合わせのリマインド男性が意外に喜ぶのが、待ち合わせのリマインド。デートの前日に「明日は〇〇に〇時集合だよー。たのしみ!」と簡単なリマインドをしてあげるだけで彼氏はかなり喜んでくれるはずです。もちろん彼氏も、待ち合わせの時間場所を忘れてるなんてことはないので、このリマインドの真の目的は「リマインド」ではなく、「デートを楽しみにしてるってことを彼に伝えること」にあるわけです。どうでしょう。でもたしかに、デートの相手からこうやってリマインドが来ると、「めっちゃ楽しみにしてくれてるじゃん。なんか嬉しいな」って気持ちになると思いませんか?LINEを送るだけでできますので、必ずやってほしい先回りです。■お天気情報は意外に嬉しい全然やってる人がいなくて「もっとみんなやればいいのに」と個人的に思っているのが、お天気情報を送ってあげることです。デートの直前に「今日は寒くなるらしいよ」とか「今日の夜、雨らしいよ」と送ってあげるだけなのですが、男性は私たち女性が想像している以上に、その日の天気に無頓着です。ただその日の天気を教えてあげているだけなのに、ちょっとした差別化になるのでコスパはかなりいいです。すごくおすすめなのに、全然誰もやっていないことなので、「先回り」とは少しニュアンスが違うかもしれませんけど、せっかくなのでご紹介させていただきました。ということで今回はこの辺で。女性がみんな、彼氏に言われるまでやらない、あるいはそもそもやらないことをやって、自分の価値を高めるのがこの「先回り」のテクです。ちょっとした心がけで思った以上の反響があるはずですので、だまされたと思って試してみてもらえるといいかなと思います。ではまた!(遣水あかり/ライター)(ハウコレ編集部)
2020年03月19日育児の「不要なもの」を捨てるとは 「ほかの子と比べたくなる」気持ちに悩まない ママの『こうすればよかった』を投影しない の続きです。心配で、子どものことを囲いこみたくなるママ。そんなママの奥底にある気持ちについて、「 花まる学習会 」代表の高濱正伸さんに伺った。しない4:「心配する生きものである」自分を否定しない「ママとは心配する生きものです。子どものことが心配で、心配でたまらないというのは、ママになって初めてわかる感情なのかもしれませんね」と、高濱さん。「心配する」生きものであるなら、「心配しない」というのは無理。だからこそ、自分を客観視した上で、「ママとは、心配事が次々に出てくるものだ」と心に留めておくだけでも、気持ちが少し楽になるかもしれない。「『自分が心配し過ぎているな』と思ったら、信頼できる誰かに、その心配事を話してみてください。『それは、心配しすぎだよー』という周りからのひとことで、すっと心が軽くなれば、また新しい一日を迎えられます」(高濱さん)しない5:「いやなこと」を完全ブロックしない「子どもが心配で大事に育てるあまりに、安全な場所に囲いすぎて、反対に子どもを弱らせてしまうこともあるんですよ」という高濱さんの言葉に、この記事を書いている私は、ドキっとする。 次男に発達障害がある せいか、どうしても、息子を安全な場に囲い込みたくなるからだ。親から見るととてもつらいことで、できるならば避けて通らせてあげたい経験はたくさんある。なぜなら、子どもが大変な思いをしているのを見るのが悲しくならないママはいないから。「でも、その経験がその子の将来のためになります。子ども時代にいやな経験をひととおりしているからこそ、大人になったときに人の痛みを理解することができるようになるし、逆境でも『やるしかない』と思え、耐性がつくのです。少しのことではめげない心の強さを身につけることができます」(高濱さん)しない6:親の安心感のためだけに、先回りの教育をしない子どもを「いやなこと」から回避させたいという私の気持ちは、相当強いものだ。痛い思いはさせたくないし、失敗だってしてほしくない。「その思いが強いと、次々と先回りをして、ママがすべての準備を整えてしまいがち。そうすると、どんどん、その子の考える力は奪われてしまいます」(高濱さん)高濱さんは、続ける。 「たとえば、人間関係。乱暴者もいるし、意地悪な人もいる。立派なことを言いすぎてしまう人もいる。教科書どおりが通用しない環境で、生身の人間のコミュニケーションを、子ども時代にたくさん経験しておかなくてはいけない。ところが親が理想だけで『そういうことをすると嫌われるよ』と常に先回りしていると、子どもの試行錯誤の経験を奪ってしまいます」(高濱さん)。「先回りするのは、親が安心したいから」。この部分について、もうひとつ、高濱さんが警告を鳴らすのが先回りしすぎる教育について。「わが子がほかの子よりも先にいると、『親の自分が安心できる』というのが落とし穴です」(高濱さん)小学校6年生になったら並ぶ力であるにも関わらず、少しでも早く身につけた方が親は安心するというだけで、幼児期に詰め込みすぎてしまう場合がよくあるという。「結果、子どもは、いろいろなことに対して伸びるはずの適切な時期を失ってしまうのです」(高濱さん)子ども自身も、最初のうちは「ほかの子よりできる」ことが自慢で勉強が得意と思っているかもしれない。しかしそれは表面的にできるようになっただけ。しだいに「あと伸び」してきた子どもたちに抜かされてしまい、そこで自信を失ってしまう場合もあるそうだ。「先回りの教育を与えていると、親はまったく悪気なく、一番大切なことを見落としてしまうこともあるのです」(高濱さん)次回は、『「○○しなくちゃ!」にとらわれない』の話です。■今回取材を受けてくださった高濱正伸さんの著書『 「しない」子育て」 (花まる学習会代表 高濱正伸/KKベストセラーズ)』(本体1,250円+税)●高濱正伸花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。 1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。算数オリンピック委員会理事。 保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30,000人を超え、毎回キャンセル待ちが出るほど盛況。なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」など多数メディア出演もしている。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳なぞぺー』など、著書多数。2016年7月からニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカーとして活躍中。
2017年01月05日子育てのゴールは子どもが自立することと言われています。しかし、親がつい先回りした行動をすることで、子どものやれる、頑張れるという意欲を削いでしまうことになります。親がよかれと思って手や口を出すことは、実は子どもの意欲をつぶしてしまうことになりかねません。先回り育児とはどんなことで、どうすれば改善できるのでしょうか。子どもの「やりたい」の芽をつんでしまう行為親にとって子どもはいつまでたっても子ども。親心からつい手を出してあげたくなってしまうものです。しかし、そういった行動が子どもの「やりたい」気持ちを奪い、自立心が育たなくなってしまいます。下記の行為は、典型的な先回り育児です。ついやってしまっていませんか?・この子にはまだできないと判断して手を出す・時間がなくて親が着替えさせる・子どもが悩んでいる時に答えを待てずに親が決める・うまくできない時に、やり方を教えるやってもらうことが当たり前になると、子どもは自分でやろうと思わずに人に依存するようになります。先回り育児をしないための4つの心得実際の場面を目の当たりにするとつい手がでてしまうかもしれませんが、そんな時に知っておきたい心得を覚えておきましょう。・手を出すのは子どもに頼まれた時だけ少し頑張ればできそうなことに挑戦しようとする子どもの意欲を優先してあげましょう。また、やってみてできない時に自分から「やって」と頼めるかどうかも自立の一つです。学校や社会に出れば必要な時に人に頼む場面もでてくるでしょう。自分ができない時は助けを求めることができる子にすることも大切です。・時間がなくて親がやる場合は事情を説明する先回りしてしまう理由の1つに「時間がかかる」「イライラする」ということもあります。確かに、全てのことを子どもに託していては、ママのストレスはたまってしまいます。また、時間が限られている場面も多くあります。そのような時は無理に我慢をする必要はありません。しかし、手を出す場合は頭ごなしに「ダメ」と言ったり、黙って手を出したりすることはないようにしましょう。「ごめんね。できることは分かっているけど、今日は忙しいからママがやるね」などとしっかり事情を説明し、子どもが納得してから手を出しましょう。・自分で選択させる自分で選ぶということも自立には欠かせないことです。自分で決めたことは行動に移しやすいものです。食べたい物や着たい物など小さいことからで構いませんので子どもに決めさせる機会をたくさん作りましょう。決めたことは絶対に否定せず、意思を尊重しましょう。・失敗することも良い経験と思う親が先回りをしてしまう理由として他には、子どもに失敗をさせないため、ということもあるでしょう。そのために手を出したり上手くいく方法を教えたりするのです。しかし失敗することは悪いことではなく、むしろ失敗の中から良い方法を探すことが良い経験になるのです。危険が生じることでなければ、大いに失敗を経験させてあげましょう。私の息子は、最近一人でお布団に入るようになりました。「一人で寝てみる」という意志を尊重していますが、どうしても寝付けない時は本人に呼ばれて結局一緒に寝ることもあります。逆にそのまま寝つけた時には、翌日「一人で寝られてすごかったね」とたくさん褒めています。できない時は無理をしないことがストレスをかけずに成功する鍵だと思います。その分頑張れた時にはそのことがどんどん自信となるようです。子どもは昨日と同じと思っても、しっかり成長しているものなのですね。余裕のある限り見守ること・・・それが子どもの自立を促します。今後はイライラをぐっとこらえて、待つことを意識してみてはいかがでしょうか?
2016年12月01日子どものやることに、ついつい手を出していませんか?先回りばかりしていると、子どもが本来持っている「自分でやりたい!」という気持ちが奪われ、自立心が育たなくなってしまいます。“見守る保育”を園の方針に掲げる、新宿せいが保育園園長の藤森平司さんに「先回り育児」をしないための心得を聞きました。お話を聞いたのは:藤森平司さん新宿せいが保育園(東京都新宿区)園長。自由遊びの内容や、給食を誰と食べるかを選択制にするなど、1日の活動の多くを園児たち自らに決定させる「見守る保育」を園の方針に掲げ、全国の幼稚園・保育園長らが見学に訪れる。著書に「やってあげる育児から見守る育児へ」(学習研究社)。Q、子どもができること・できそうなことを代わりにやってしまうことはありますか?Q、やってしまうのはなぜですか?※2016年7月6日~8月9日、WEBアンケート、有効回答数1081人4位以下は「自分がやる方がきれいにできるから」「結局やり直すことになるから」「汚す・けがをするなど失敗するから」「どうせできないと思うから」などの理由が上がりました。また「特に理由はないけれど、つい手を出してしまう」という声も。子どもは生まれながらに「自分でやりたい!」気持ちを持っている子どもはもともと、「自分でいろいろなことができるようになりたい」という意欲を持って生まれてきます。その成長意欲がもっとも強いのは赤ちゃんのとき。生まれたばかりの赤ちゃんは、自分の力だけではどこへも行けませんが、やがてハイハイができるようになり、歩けるようになり、自分の行きたい所に行けるようになります。もし、ママやパパがいちいち抱っこで、赤ちゃんの行きたい場所へ運んであげていたら、どうなるでしょうか。自分で歩く必要はないと思って、歩かなくなってしまうかもしれません。このように、「何かをやってあげる」というのは、「自分でやる!」という気持ちや、その能力自体を本人から奪ってしまうということなのです。子どもの自立を、「自分の手から離れるようでさびしい」と思うかたもいるかもしれませんね。ですが、そんな気持ちは敏感に子どもに伝わります。「僕が〝自分でやる〞と言うと、ママが悲しむから」と思い、いつまでたってもやってもらうケースが少なくないようです。「自分でやりたい!」気持ちは成長の証し。わが子の自立を喜べる親であってほしいと思います。あるある!? あなたはいくつ当てはまる!ありがちケース5■ありがちケース1時間がないとき親が代わりに着替えさせる■ありがちケース2「まだ無理」と思うことはやってしまう■ありがちケース3周りを汚しそうなことは親がやってしまう■ありがちケース4子どもが悩んでいるのを待てずに親が決めてしまう■ありがちケース5うまくできていないときいいやり方を教えてしまう先回りしないための4つの心得先回りがいけないと言われても、実際の場面ではつい手が出てしまうもの。そんなときには、この心得を思い出すことで、ちょっと意識が変わるかも?ママ&パパに覚えておいてもらいたい、4つの心得を藤森さんに聞きました。親の心得その1親が手を出すのは「やって」と言われたときだけ自分ができないことを人に頼めるのも、自立のひとつ。「ママがやって」と言うのは、何となく自分には無理そうだと感じているからで、自分の力量が分かってきた証しなのです。子どもが「やって」と言ったときに手を貸すのは、先回りではありません。「その度に手を貸していたら、いつまでたっても自分でできるようにならないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、それは逆。子どもは、自分が求めたときには必ず応えてもらえることで心が満たされ、「今度は自分でやってみようかな?」と思えるようになるのです。理想を言うなら、親がやってあげるのは完成の一歩手前までがベストです。たとえば着替えなら、ポロシャツでも上着でも、最後の方のボタン留めだけを子どもにやらせましょう。普通、最初だけやらせて続きを親がやってしまうのですが、「これくらいならできるかな」と思えるところまで親がやり、完成したときの喜びを子どもに味わわせるのがコツです。そうすると、「自分でもっとやりたい!」気持ちが育っていきますよ。親の心得その2忙しいときは事情を説明して親がやってOK「先回りはいけない」けれど、忙しいときまで子どもに全部やらせていたのでは、ママたちのストレスはたまる一方。そんな無理をする必要はありません。その時の状況によって、手を出すことがあっても構わないと思います。「ごめんね。本当はあなたができることは分かってるんだけど、今日は忙しいからママがやるね」と事情を説明すれば、子どもも納得します。大事なのは子どもの「やりたい」という気持ちに向き合うこと。黙って取り上げたり、頭ごなしに「だめ!」と言うのはやめましょう。親の心得その3子どもが“自分で選ぶ”チャンスを増やす「自分で選ぶ」というのは、子どもの自立にとってすごく大切なことです。その理由の1つめは、決定を受け入れてもらうことで、「自分はできる!」という気持ち(自己有能感)が生まれるから。2つめは、責任を取ることを覚えていくからです。たとえばうちの園では、給食をどれだけよそうか子どもたちが自分で決めるのですが、この方法を取ってから残飯がすごく少なくなりました。先生が何も言わなくても、「自分で決めたんだから食べなきゃ」という意識が自然と芽生えるんですね。家庭でも、食べたい物や着たい物など、日常の小さなことで「これは子どもに決めさせても問題ないな」ということがあったら、できるだけ子どもが自分で選ぶ機会を多くつくってほしいと思います。そして、親がいいと思う物を子どもが選ばなくても、「そんなのだめ。こっちにしなさい」と否定しないこと。子どもの意思を大切にしてください。親の心得その4どれだけできたかという結果より失敗する過程が大事ママたちがつい先回りをしてしまう理由の多くは、「まだ無理」「周りを汚しそう」など、今の子どもの力では上手にできないことがあるから。また、うまくいく方法を教えたいがために、善かれと思って手を出してしまう場合もあると思います。けれど、これからいろいろな能力を身に付ける子どもにとっては、何度も失敗しながら、自分でいいやり方を見つけ出す経験こそが大切です。大人はついつい結果を重視してしまうので、上手にできるようにと手を出したくなってしまいますが、大事なのは試行錯誤を繰り返す過程。そう思えば、自然と先回りをしなくなるのではないでしょうか。ただし、いくら失敗が大事だとは言っても、危険過ぎることはいけません。安全な範囲で失敗を経験させることが親の役目です。藤森さんから終わりに「待てる親」が「自分で考える子」を育てる「将来、自分で考えられる子になってほしい」というのは、ママやパパに共通の願いでしょう。そのために親ができるのは、子どもの選択や、やろうとしていることを「待つ」ことだと私は思います。たくさん自分の頭で悩んで、考える機会を与えられることで、子どもは親の言うなりではなく、自分で考えられるようになります。ただし、子どもの力だけでは解決が難しいことももちろんあるでしょう。そんなときこそ、大人の出番です。「どこまでやってあげれば、子どもの考える力を邪魔しないか」を見極めることこそが、私たち大人の役割なのです。監修/西東桂子(あんふぁんサポーター)illustrationKAWAZOE Mutsumi
2016年11月02日