『タクシー運転手 約束は海を越えて』で描かれた光州事件から7年後。『サニー 永遠の仲間たち』でも描かれた韓国民主化闘争の最中に起こった衝撃の実話を描いた『1987、ある闘いの真実』が、いよいよ9月8日(土)より公開される。この度、本作に出演するキム・ユンソク、ハ・ジョンウら人気俳優たちの役作りへのこだわりや撮影裏話などを、『お嬢さん』で注目された女優キム・テリがナビゲートするメイキング映像がいち早くシネマカフェに到着した。■ストーリー1987年1月、全斗煥大統領による軍事政権下の韓国。徹底的に北分子を排除したい南営洞警察のパク所長(キム・ユンソク)が指揮する取り調べは、日に日に激化していた。そんな中、ソウル大学の学生が行き過ぎた取り調べ中に死亡する。警察は隠ぺいのために親にも遺体を見せず火葬を申請するが、何かおかしいと感じたチェ検事(ハ・ジョンウ)は検死解剖を命じる。解剖により学生は拷問致死であったことが判明するが、政府は取り調べをした刑事2人を逮捕することで事件を終わらせようと画策。これに気づいた新聞記者、刑務所看守らは、事実を白日のもとにさらそうと奔走するが、警察による妨害もエスカレート。また、拷問で仲間を失った大学生たち(カン・ドンウォン)も立ち上がろうとしていた――。日本では空前の好景気“バブル”の幕開けに国中が浮かれていた1987年、飛行機でたった3時間の韓国では、歴史をくつがえし、国民全員の人生を劇的に変えた大事件が発生していた。すべての始まりは、1人の青年の“不可解な死”。取り調べ中に命を落としたソウル大学の学生の死を警察は心臓麻痺と発表するが、新聞が「拷問中に死亡」とスクープ、大騒動へと発展していく。そんな“1987年”という激動の時代を生きた人々を演じたのは、韓国映画界を代表する豪華俳優陣たち。北分子の徹底排除に信念を燃やす南営洞警察のパク所長役にキム・ユンソク、学生の死を隠ぺいしようとする警察に対峙するチェ検事役にハ・ジョンウ、危険を顧みず運動家に手紙を運ぶ看守役にユ・ヘジン、拷問死の真相を隠蔽するために逮捕されるチョ刑事役にパク・ヒスン、真相追及に奔走するユン記者役にイ・ヒジュン、看守の姪で大学生役のキム・テリ、学生デモに立ち上がる大学生をカン・ドンウォン、警察にマークされている運動家にソル・ギョングなど、ベテランと若手の演技派俳優が集結。■『お嬢さん』のキム・テリが当時を生きる大学生に!今回、解禁となったメイキング映像では、チャン・ジュナン監督が、徹底的なリサーチと細部にこだわる考証で1987年当時の建築物や街並を完全に再現した様子が明らかに。ユ・ヘジンとキム・テリが暮らすスーパーや当時の新聞社、さらには大規模なオープンセットを作り、熱気に包まれる当時の街などをよみがえらせた。「わずか30年前の話で、記憶に新しい時代を映画にするためにリアルさを追求した。そしてすべてのシーンにおいて、セットも役者の心も本物でなければならないと戒めていました」とジュナン監督。美術だけでなく、衣装の生地にまでこだわったというスタッフのコメントも興味深い。さらに、「単なる悪人ではインパクトが弱くなる。彼の根っこは何か?外見も実在人物に近づけた」と相当な覚悟で役作りしたキム・ユンソクの圧倒的な存在感、「異端児を軽快に演じようと思った」として現場に臨むハ・ジョンウの真摯な姿ほか撮影風景も満載。パク・チャヌク監督の『お嬢さん』の侍女役で一躍注目を集めたキム・テリが、初めて体験する“1987”という時代へのコメントにも注目。それぞれの俳優に対するジュナン監督の丁寧な演出シーンも必見となっている。「30年前の熾烈な闘いに大勢の人々が勇気を持ち果敢に挑みました。1987年を生きた人たちから勇気と希望を受け継いでほしい」と語る監督の思いを、ぜひ劇場のスクリーンで確かめてみて。『1987、ある闘いの真実』は9月8日(土)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2018年09月02日「彼女が収監されるとすれば恐らく韓国内で唯一の女性刑務所『清州女子刑務所』になるでしょう」と話すのは、韓国の刑事政策に詳しいジャーナリスト。弾劾された朴槿恵・前大統領(65)が、約57億円の収賄や公務上秘密漏えいなど18件の容疑で起訴されている。 これまでも韓国では2人の大統領経験者が逮捕され、実刑判決を下されている。全斗煥(86)と盧泰愚(84)、2人の元大統領だ。2人とも収監され、囚人服姿を国民の前にさらされた。プライドの高い朴槿恵・前大統領はそんな恥辱に耐えられるのだろうか。だが、デイリーNK編集長の高英起氏はこう話す。 「全斗煥も盧泰愚も実際にはその後に特赦、恩赦を得て、2人とも釈放されています。今では悠々自適に暮らし、長生きしていますよ」 やはり大統領経験者は特別なようだ。とはいえ、コリアレポート編集長・辺真一氏がこうも話す。 「朴槿恵にも最終的には恩赦が与えられるでしょうが、一度は収監されるのは間違いない。今回は“親友”の崔順実被告など事件に連座して逮捕されている人間も多いですから、朴槿恵ひとりが早々に出てくるのも難しいでしょう。少なくとも2年以上は実際に刑務所生活を送ることになるでしょうね」 だが、刑務所生活よりも「彼女には、もっと辛いことがある」と言うのは辺氏。 「それは、敬愛する両親と同じ墓に入れないということです。父親の朴正熙・元大統領は、国立ソウル顕忠院に眠っています。しかし顕忠院の墓地は、弾劾や懲戒処分で公職を解任された者は入ることができないのです」 恩赦を得て刑務所を出られたとしても、晩節を汚した彼女を待つのは孤独の苦しみだけだとは――。
2017年04月27日「彼女の周りには人がいない。独身で家族もなく、40年来の親友は、自分への贈賄容疑で被告の身。孤立している。哀れでかわいそうだ」(辺真一コリア・レポート編集長) 3月10日、朴槿恵・韓国大統領(65)が罷免された。憲法裁判所8人の裁判官、全員一致の決定だった。 韓国の歴代大統領は“血塗られた歴史”と言われてきた。退任後にいずれも悲惨な運命をたどったからだ。だが朴前大統領について、ジャーナリストの高英起氏はさらに過酷な運命が待つという。 「冷静に考えると、退任後に断罪された歴代大統領たちも、例えば息子が罪に問われた金大中は悠々自適。金泳山もそうでした。逮捕された全斗煥、盧泰愚も最後は恩赦で許されています。しかし朴前大統領は罷免され、単なる一般人になりました。任期を全うし、最後は許された歴代大統領たちと決して同じではありません」 コリア・リポート編集長の辺真一氏もこう言う。 「彼女の今後は2つしかありません。ひとつは、塀の中に入ること。もうひとつは、温情で在宅起訴になることです。どちらにしても有罪は免れません。朴氏がそれを“生き恥”と考えたら、かつての盧武鉉・元大統領のような悲劇的な結末を迎えるのではと私は恐れます。本当に、彼女はいま孤独なのです」 08年まで大統領の座にあった盧武鉉氏は、退任後に不正疑惑で側近や実兄が次々と逮捕された。元大統領自身の逮捕も噂されるなか、09年に盧氏は自殺。元大統領の自殺に韓国社会は衝撃を受けた。 大統領職を追われた65歳の朴氏が、現在それ以上の絶望に瀕しているだろうことは容易に想像がつく。 公職にも5年間は就くことができない。惨めな引退生活に、彼女は耐えられるのか――。
2017年03月17日