「生涯未婚率」とは、政府等の統計で“50歳になった時点で一度も結婚したことがない人の割合”のこと。すなわち、国は「50歳以上で初婚の人は極めてまれ」と規定している、ともいえるのかもーー。でも、その規定に反し、50代以降に結婚して幸せをつかんだ人ももちろんいます。回り道したからこそ気づけた幸せとは?53歳で結婚した大島さと子さん(63)に聞きました。取材中、「私はたまたま結婚した感じで……」と繰り返していた大島さと子さんは、20代から友人だったという1歳年上の実業家男性と、53歳のときに結婚。男性がハワイで事業を営んでいるため、結婚後は現在まで、ハワイと東京の二拠点生活を送っている。「少子化がますます進むと困るかもしれないけど、30代、40代のエネルギーをかけて自分の人生を駆け抜けたい、という女性もいると思います。平均寿命までの30年を穏やかに暮らしていこうと思ったら、50歳以上の“熟年婚”もありですよ、とお伝えしたいです」大島さんは、大学在学中に芸能界デビュー。バラエティから、レポーター、キャスターとトークを強みに活躍するなか、30代で女優業へとシフトしていった。「自分の軸をどうしていくか一生懸命考えて決めたことでしたし、仕事に対する責任もますます感じるようになりました。そうなると正直、結婚に対する思いを持つ余裕がないというか、興味が持てないというような感じだったのかな」仕事は順調そのもの。経済的に自立していることもあり、生活面で人に頼る必要がなく、男友達やボーイフレンドはいても、結婚を考えることはなかったという。そして年を重ねていくと、結婚適齢期を過ぎた未婚女性の活躍が珍しい時代だったこともあり、テレビ番組で“結婚しない女”と、いじられることも増えた。ところが「全然気にならなかった」と笑う。「とくに40代前半までは仕事も充実していて、子どものことを少し考えたことはあっても、未婚であることが欠点だとは思わなかったんです。『生涯独身を通すんですか?』と聞かれたこともありました(笑)」一方で、女優として役柄の幅が狭まり、壁を感じ始めたという40代中盤に入ったころ、『レディス4』(テレビ東京/’06年より出演)の司会を務めることになった。「それまで女優というイメージを定着させることが大事だったので、司会の仕事をセーブしていたんです。このお仕事も、正直とても悩みましたが、40代の私だからこそできるのかもしれないなと思い、引き受けることにしたんです」■50代になって芽生えた「自分の家族」への願望司会の仕事に携わることを決める少し前、現在のご主人が、事業を行うため単身ハワイへ。同世代の仲間の挑戦を、友人として応援していたという。「同じような時期に、お互いに『新しいステージ』を迎えたという部分で、シンパシーを感じたんですよね。ハワイと東京という、物理的な距離は離れましたが、以前よりコミュニケーションをとるようになり、仕事のことだけでなく、高齢の親についても相談するように」大島さんは45歳のときに父親を亡くし、その後、母親も病気に。自宅や施設での介護も経験している。「姉がいますが、結婚して家族がいるので、仕事が忙しいとはいえ自由のきく私が率先して介護をしていた感じです。一方の彼も一人っ子で早くにお母さまを亡くしていて、高齢のお父さまと2人家族という状況で。話すことで、お互いの支えになっていたと思います」また、「親はいつかいなくなる」という現実と向き合い、自分が一人であることを実感したという。「父が亡くなるまで、親がいることは当たり前で、『一人になる』という感覚が一切なかったんです。20代から一人暮らしでしたし、実家に寄り付かないなんてこともふつうだったので、物理的なことではなくて、両親の存在が心の支えになっていたんでしょうね。母もいつ亡くなるかわからない、というような状況のなかで、初めて家族というものを意識しました」寂しさを感じたということかと尋ねると、しばらく考えたあと、「というよりは、一人になることへの恐れ、不安……。本当に一人になったらどうなるんだろう、という不安だと思います。たとえば、自分が病気になるとか、トラブルに遭ったときに、いちばん最初に助けてくれるのは家族ですよね。友人とはちょっと違いますし、姉には姉の家族がいるので……」この不安を受け入れたことで、「一人で生きていくだろう」という気持ちが揺らぎ始めたという。50代に入ったころには「自分の家族」への願望が芽生えた。「当時、すでに主人とお付き合いをしていたので、お互いにいろいろと話していくなかで、『やっぱり誰かと一緒にいたい!』という結論に至りました。2人でいたら、この不安が少しは解消されるのかな、という気持ちになったんです」そして’12年、53歳のときに結婚。「一緒にいる」ことが目的ならば、籍を入れずパートナーという選択肢もあったのだろうか。「私たちの結婚は『家族』がキーワードだと思います。パートナーを選択する方も当然いると思いますし、それこそ家族と変わらないという方もいると思います。ただ、私たちは東京とハワイという距離があったので、ずるずると遠距離恋愛が続く可能性もあったんですよね。籍を入れて家族になることで、2人が一緒にいられる場所をつくっていくことが大切でした」結婚を機に、生放送だった『レディス4』の卒業を申し出たという。とても大きな決断だったのでは?「そういう決断ができたのが53歳だったんでしょうね。それだけ自分の家族をつくりたいと本気で思ったということ。昨年、母が亡くなりましたが、主人がいてくれて本当によかったと思いました。コロナ禍では、数カ月会えなかったり、逆に数カ月一緒にいられたり、いろいろありましたが、家族だから『一緒にいていい』という安心感に気づけたことも大きいです」近年、芸能界で50代以上での結婚が増えていることを尋ねると、「私が結婚した11年前は、浅野ゆう子ちゃんも、高橋ひとみちゃんも、床嶋佳子ちゃんも、『絶対結婚しない』というような顔しているように見えました(笑)。彼女たちも50代で何か変化があったんだと思いますし、今後はますます時代も変わっていくんでしょうね」【PROFILE】おおしま・さとこ1959年9月17日生まれ。神奈川県出身。1981年、大学在学中に芸能界デビュー。女優、司会者などマルチに活躍。
2023年09月11日「生涯未婚率」とは、政府等の統計で“50歳になった時点で一度も結婚したことがない人の割合”のこと。すなわち、国は「50歳以上で初婚の人は極めてまれ」と規定している、ともいえるのかもーー。でも、その規定に反し、50代以降に結婚して幸せをつかんだ人ももちろんいます。回り道したからこそ気づけた幸せとは?55歳で結婚した床嶋佳子さん(58)に聞きました。「私、半分諦めていたんですよ。確率として考えても、ハードルが高いというか、まさか結婚できるとは思っていませんでした」女優の床嶋佳子さんは、50代に入り「結婚したい」と友人や知人に伝えるようになったという。さらに、バラエティ番組で「寂しい!」と本音を出したことで、周囲から食事会や紹介の話が舞い込んだ。そして共通の知人を介してご主人に会った瞬間、「この人だ!」と思ったといい、8カ月の交際期間を経て、’20年、55歳のときに結婚。SNSではご主人との外出や食卓の様子など幸せな暮らしが垣間見える。「結婚3年を迎えますが、改めて幸せだなと感じています。とはいえ、長くそれぞれの生活をしてきたので、ぶつかることも。とくに新婚1年目は、とまどいもありました。たとえば、私は毎日お酒をんでいましたが、主人は健康のためにも平日はお酒を飲まないほうがいいと言っていましたし、ちょっとした電気のつけ方でも感覚の違いみたいなものがありましたね。でも、最近はお互い理解してぶつかることも減ってきました(笑)」床嶋さんがとくに結婚に求めていたのは、「心の豊かさ」だった。「50代って、ある程度のキャリアがあって、この先を諦めているわけではないけど若いときのような野心は少しそげてきますよね。そうしたなかで、これからどう生きていきたいか考えたときに、一人でいるより、同じ景色を見て『きれいだね』とか、食事をして『おいしいね』とか、人と幸せを共有することを楽しめるような、心の豊かな暮らしを望むようになりました」自分の望みがしっかり確立しているからこそ、日々の些細な衝突を大きくすることはない。「そうですね、けんかばかりするのはつまらないですから。けんかをして険悪でいるより、譲れるところは譲って、譲れないことはしっかり主張する。そのようなことを繰り返すことで、お互いの大事にしている部分を尊重できるようにも。ぶつかり合いと寄り添い合いを繰り返して、少しずつ歩み寄って、私たちのルールみたいなものがやっと見えてきた気がします。もちろん違う価値観の2人がともに暮らすのですからハッピーばかりとはいきませんが、それでもやっぱり2人でいるときは幸せだなって思えるんです」すてきな笑顔で語る床嶋さんだが、40代は「寂しさを感じていた」のだという。ところが、順調だった女優の仕事と向き合う時間のほうが長かった。「子どもを生み、育てる女性ってなんともいえない美しさがありますよね。憧れましたし、結婚願望ももちろんありましたが、ご縁がなかった。心が前向きになれず、だんだん『結婚はもう無理かも』という諦めになり、一生独身でいるのかなと。40代後半になると、すてきな人がいてもときめかない。人を好きになれない自分がますます嫌になり、幸せそうな家族を見るのもつらい時期がありました。悪循環ですね」仕事を忙しくすることで、悪循環に陥っている心を見ないようにしてきた面もあるという。ところが、50代に入り体に変化が訪れた。「更年期もそうですし、人間には老いというものがあって、がんばりきれなくなる時期がやってくるんですね。そこに寂しさも重なりましたが、だからこそ自分を変えるしかないと思えたんです」住む場所を変えてみたり、丁寧な暮らしを意識したりと、自分にできる変化を取り入れていったという。そして、思い切って知人や友人に頼ることに。事務所のスタッフにも相談したことで、バラエティ出演という新境地も開けた。「それまでは、女優としてのというか、“女優・床嶋佳子”として人に頼る、ましてや『寂しい』『結婚したい』なんて言っていいものか……と考えていたんです。恥ずかしさみたいなものもありました。でも、心を開いたことで、いろいろな方が手を差し伸べてくれて、主人に会うことができたんです」出会いの場では結婚相手としての条件ではなく、自分の「好き」という感覚を大事にしていたという。■「好き」という気持ちが日々の暮らしの助けに「すてきな人に会えてありがたいなと、いまでも思います。たとえば、思い切りけんかしても、『好き』という気持ちが助けてくれるんです。何もかもすべて合う人はいないでしょうし、条件で探したとして、その条件が崩れたときに一緒にいるのがつらくなりそうじゃないですか?私はそう思うんです」その「好き」という感覚をつかむこと自体が難しいように感じるが、努力で培うことができるようだ。「感覚や感性は磨けると思っています。たとえば自然に触れて心が動いたときに、『私はこういうものが好きなんだ』とインプットして、自分の感性を開いていくんです。何が好きで何が嫌いなのか、客観的に観察しながら、感性を磨いていくような感じです。いま思うと、40代の悪循環時代は、自分で感性を閉じてしまったんでしょうね」この感性を衰えさせないためにも、「後半の人生を2人で楽しもう」と考えているという。「だから主人にも、時間ができたら旅行しようと言っています。本当に仕事で忙しい日々を送っていて、頭が下がります。主人の仕事が一息ついたら、これまで味わっていないものをたくさん共有したいと思っているんです」2人の時間が増えていくことが、晩婚のよさなのかもしれない。「私も仕事がありますけど、若いときのように、がむしゃらに働く時期ではなくなってきたので、お休みの日には可能な限り趣味などを一緒に楽しめたらいいなと思っています。全然違う2人が出会って、受け入れられない部分もあったけれど、少しずつお互いを理解することで、心から楽しめるようになっています。50歳を超えて、こんな体験ができるとは思っていませんでした」人生100年時代、心が豊かになる結婚生活を満喫してほしい。【PROFILE】とこしま・よしこ1964年9月23日生まれ。福岡県出身。元バレエダンサー。1991年、27歳のときに女優に転身。ドラマや舞台のほか、近年はバラエティ番組にも出演している
2023年09月11日「ひかりの恋愛相談室」では、人気書籍 “ 「大人女子」と「子供おばさん」"の筆者であるコラムニスト・ひかりさんにGrapps読者様のお悩みを答えていただきます。----------離婚歴のある男性と結婚したい場合、状況によっては、初婚の人以上にハードルが高いこともあります。今回は、こういったお悩み相談です。Mさんのお悩み付き合い始めて2ヶ月の彼がいます。お互いアラフォーでバツイチ。彼は小2の子供がいて、前妻が育てていますが、成人になるまで養育費は払います。私は彼に、今から付き合う相手は、“再婚ありき”でないと考えられないことを伝えていますが、彼の方は、再婚という形には囚われてはいません。彼自身、子供がいることもあり、今まで初婚の人とは付き合いにくかったようで、そういう意味では離婚歴ある私に対しては、安心感があるようです。実は私は、完璧主義な性格から、ダイエットをしたら摂食障害になってしまうほど、性格が0か100かの極端なタイプです。最近は彼に依存しがちで、週末に一人寂しく過ごしたり、時間を持て余したりした時に過食しがちです。精神的に自立できるようなり、また彼と再婚できるようになるためには、どうすればいいでしょうか?Mさんへの回答まずは、今の彼との再婚について言うと、Mさんはもう少し、自分の立場ばかりを主張しないで、相手の立場や状況を想像した方がいいかもしれません。やはり相手にお子さんがいると、再婚は簡単な話ではなくなってきます。たとえ一緒に住んでいなくても、彼にとっては大切なお子さんです。まだ小学2年生のお子さんの気持ちを察すると、簡単に再婚しようなんて思えないのは当然のことです。子供にとって、両親の再婚は一大事ですしね。自分の親がどこか遠くに行ってしまうような感覚にもなるでしょうし。それに、まだつきあって2か月。今は恋愛に舞い上がっている楽しい時期ではありますが、Mさんも彼も、一度は結婚で失敗した経験があるからこそ、そんなに簡単に再婚に踏み込めないところもあるのではないでしょうか?なぜなら、2人とも、他の人と「一生添い遂げます」といって結婚したはずなのに、離婚したわけですよね?経験がある分、結婚生活を維持させる大変さを知っているはずです。結婚は恋愛とは違いますしね。だから、「再婚するかどうかは、今すぐには結論出せない」と思う彼の方が、よりリアルに未来について考えていると言ってもいいかもしれません。うまく結婚生活が維持できる人に!正直言うと、今、Mさんが欲しいものは、「再婚」という形に過ぎません。それは「結婚」と言う形を欲しがっているだけの結婚歴のない婚活女性とそう変わりません。むしろ、結婚と離婚を経験しているにもかかわらず、そこを学んでいない方が、問題はあります。今のように、相手に依存をしてしまうようなMさんが、本当にいい結婚生活を送れるでしょうか?再婚する前に、次は離婚しないためにも、“うまくやっていける自分”に変わることの方が先決です。Mさんは、完璧主義とのことですが、黒か白かをすぐに決着つけるような極端な性格だと、結婚生活の維持は難しいものです。なぜなら、夫と何でも価値観が合うわけでもなければ、相手がいつも自分の理想とする行動をしてくれるとは限らないので、すぐに決着をつけないで、“グレーの状態”で様子を見られるようになることが大切だからです。それは今も同じです。彼にとって、Mさんとの関係は、「いずれは再婚を考えている(であろう)」というグレーの状態です。それをMさんが「今すぐに」と結論を求めてしまっています。そんな性格のままでは、仮に再婚できたとしても、結婚生活を破たんさせる可能性は、決して低くはないでしょう。今の幸せを味わうことが大切!今ある幸せを感じ、味わうことをせずに、「もっと!もっと!」と進展ばかりを求める人は、いつだって物足りない気持ちでいて、幸せにはなれません。それはある意味、「欲深さ」が関係しているとも言えます。「足るを知る」というのは、大人になればなるほど、大切なことです。アラフォーであれば、若い頃とは違って、成長し続けるペースは落ち、加齢と向き合っていかなくてはいけなくなってきます。そんなときに、「もっと!もっと!」と欲深く生きてしまうと、どんどん生きづらくなるでしょう。今、独身ならではの良さもあるはずです。結婚ではなく、恋愛ならではの幸せもあるでしょう。それをもっと楽しんで、いつか再婚する機会が訪れるのを待ってみてはどうでしょうか?また、自分ではどうすることもできないもの(=相手次第の幸せ)ばかりを求めている人は、満たされることはありません。自分以外の人間をコントロールすることなどできないですしね。だったら、「相手が再婚を考えてくれない」と悩む前に、「自分が再婚するのにふさわしい人間になるためにはどうしたらいいのか?」を考え、変わっていくことの方が大切ではないでしょうか。正直言うと、「1人が寂しい」「時間を持て余している」なんて、大人の発想ではありません。大人なのであれば、「自分で自分を楽しませるためには、どうしたらいいのか?」を考えるようにならないといけません。そういうのをどんどん見つけて、楽しんでいたら、独身の今でもMさんは輝くでしょうし、彼にも新たな世界の面白さを見せてあげられることもできます。恋愛にばかり楽しみを見出そうとしている人は、正直言えば、人生をちょっとサボっています。もっと自分が夢中になれることを見つけてみてはどうでしょうか?Mさんが今、変わるか、変わらないかで、これから幸せになれるか否かが、変わってきます。ただ単に彼が再婚してくれたところで、幸せになれるわけではないのです。今後、ちゃんと幸せになれるように、根本的な部分で自分を変えていく必要があるのです。1人でも立っていられるように自立し、また心に余裕のある女性になって、自分から迫らなくても、彼の方から「結婚したい」と言わせられるくらいになりましょうね。コラムニスト・ひかり
2018年10月22日